説明

画像形成装置

【課題】ベルト表面速度検知センサの設置誤差に起因した転写ローラの転写圧軸方向偏差を、所定の許容値内に抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】スケールセンサ6A、6Bを設けた表面速度検出装置110、又はスケールセンサ6A、6Bが一体に設けられたセンサ基板127を保持するセンサ保持部材130が中間転写ベルト10に接触しており、表面速度検出装置110のベルト移動方向上流側及び下流側のいずれか、又は両方の1次転写ローラ62Kや1次転写ローラ62Cの加圧機構140に、スプリング143の復元力による加圧機構140の加圧力を調整する調整機構160を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写ニップ部を介して張架される無端ベルトのベルト表面速度を検知するベルト表面速度検知センサを備えた電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタ、ファックス、複写機等の電子写真方式の画像形成装置において、転写ローラ等の軸方向に平行な方向(以下、軸方向という)で、転写ニップ部の転写圧に偏差(以下、転写圧軸方向偏差という)があると画像濃度に偏差が出てしまうことが知られている。そして、転写ニップ部を介して張架される中間転写ベルトや転写搬送ベルト等の無端ベルトを用いる構成においては、従来から次のようなことが知られている。
【0003】
ある転写ローラのベルト移動方向上流側又は下流側直近に配置される他の転写ローラやベルト張架部材の両端部における軸心位置の、所定の軸心位置に対するズレ量に両端部で偏差(以下、軸方向位置偏差という)が生じると、転写圧軸方向偏差に影響を与えてしまう場合がある。これは、次のような理由による。例えば、感光体に無端ベルトを介して転写ローラが下方から当接しており、この転写ローラのベルト移動方向上流側直近に配置されたベルト張架部材も下方から無端ベルトに当接しているものとする。このように当接している上流側のベルト張架部材の軸心の一端側だけが、各部材の加工精度の低さ等に起因して上記所定の軸心位置から上方に移動した状態で取り付けられると、所定の位置に取り付けられた他端側との間で軸方向位置偏差が生じる。また、無端ベルトとの当接位置も一端側が上方に移動してしまう。そして、一端側の無端ベルトの軌跡は、所定の軌跡よりも感光体に近づく方向に移動することになる。このように近づく方向に移動すると、無端ベルトの張力の作用により無端ベルトが感光体等を押圧する方向の力が増し、一端側の転写圧は上昇する。また、ベルト張架部材の軸心の一端側だけが、上記所定の軸心位置から下方に移動した状態で取り付けられると、無端ベルトとの当接位置も一端側が下方に移動してしまう。そして、一端側の無端ベルトの軌跡が所定の軌跡よりも感光体等から離れる方向に移動すると、無端ベルトの張力の作用により無端ベルトが感光体等を押圧する方向の力が減少し、一端側の転写圧は低下する。
【0004】
また、ベルトテンションに軸方向での偏差(以下、軸方向ベルトテンション偏差という)が生じて、転写圧軸方向偏差に影響を与えてしまう場合がある。これは、次のような理由による。例えば、転写ローラを感光体に突き当てて転写圧をかける場合、放電などの異常を防止することを目的として、転写ローラをオフセットさせて感光体に巻きつける構成をとる場合がある。このような構成で、軸方向ベルトテンション偏差があると、ベルトテンションの、感光体と転写ローラとの中心線を結ぶ方向の分力に、軸方向で偏差が生じるため、転写圧軸方向偏差に影響を与えてしまう。また、このような場合にも、転写ローラの上流側又は下流側直近に配置される転写ローラやベルト張架部材の軸方向位置偏差が重なることで、転写圧軸方向偏差への影響が大きくなる場合がある。そこで、従来から、このようにして生じる転写圧軸方向偏差を、画像濃度に偏差が生じない所定の許容値の範囲内に収めるように、各部材の加工精度を高めていた。
【0005】
また、このように無端ベルトを用いる構成では、無端ベルトの移動方向速度変動を抑制するため、無端ベルトのベルト移動方向速度を検知し、検知したベルト移動方向速度に基づいてフィードバック制御を行う構成の画像形成装置が普及している。ベルト移動方向速度の検知センサには大別して2種類があり、1つは従動ローラの軸にエンコーダを取り付けて回転数を検知するもので、もうひとつはベルト面にスケール等を加工してベルト表面速度を検知するベルト表面速度検知センサを用いる方法である。そして、従動ローラの軸にエンコーダを取り付けた場合、従動ローラのフレの成分を検知することができずに、ベルト表面速度検知センサを用いる方法よりも精度が落ちてしまうことが多く、ベルト表面速度検知センサを用いる方法が広く普及している。ここで、ベルト表面速度検知センサを用いる場合には、センサ保持部材をベルト面に接触させて、ベルトを挟んで対抗側には弾性部材を設けてベルトを挟み込むように設置し、ベルトのばたつきが検知に影響がでないようにすることが多い。そして、従来から、ベルト表面速度を測定する箇所は、色ずれ防止などの観点から転写ローラの付近に設置することが望ましく、カラー対応機で複数の転写ローラがある場合には転写ローラ間に設置することがより好ましいことが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のベルト表面速度検知センサを用いる場合には次のような問題があった。ベルト表面速度検知センサの設置位置が無端ベルトに垂直な方向にずれた状態で設置された場合、センサ保持部材等で無端ベルトを挟み込んでいるため、無端ベルトの軌跡が所定の軌跡からずれることになる。つまり、ベルト表面速度検知センサの設置誤差に起因して、無端ベルトの軌跡が所定の軌跡からずれることがある。また、ベルト表面速度検知センサは、片側にのみ設置されていることが多いので、無端ベルトの軌跡が転写ローラ等の軸方向に平行な方向で大きく異なってしまう。さらに、ベルト表面速度検知センサの設置誤差に起因した転写圧軸方向偏差に、上述した軸方向位置偏差や軸方向ベルトテンション偏差の影響が重なると、従来のように、各部品の加工精度を高めるだけでは転写圧軸方向偏差を許容値内に抑制することが困難な場合が発生していた。
【0007】
なお、転写ローラ軸の端部に設ける加圧手段の加圧力を調整する調整機構を設けた点が後述する本発明と共通する発明が特許文献1に記載されている。しかし、この文献の発明で転写ローラ軸の端部に加圧手段を設ける目的は、次に示すものであり本発明の目的と異なる。感光体等の像担持体に転写ローラを加圧させるために、転写ローラ軸の両端部に加圧される加圧力により、転写ローラ軸が歪んでしまい、両端部と中央部との転写幅に偏差が生じる場合がある。そこで、特許文献1に記載の構成では、転写ローラの径を両端部よりも中央部分を大きく形成し、像担持体に対する転写ローラ軸の距離(高さ)を変化させて、両端部と中央部との転写幅の偏差を抑制するというものである。そして、本発明の課題である、ベルト表面速度検知センサの設置誤差に起因した転写ローラの転写圧に、転写圧軸方向偏差が出てしまうことに関しては一切記載も示唆もされていない。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、ベルト表面速度検知センサの設置誤差に起因した転写ローラの転写圧軸方向偏差を、所定の許容値内に抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、像担持体と、無端ベルトと、前記像担持体と対向する位置で前記無端ベルトに接触する転写ローラと、該転写ローラを前記像担持体に向け加圧する前記加圧手段と、前記無端ベルトを張架する複数の張架ローラと、前記無端ベルトに所定の張力を付与する張力付与部材と、前記無端ベルトのベルト表面速度を検知するベルト表面速度検知センサとを備えた画像形成装置において、前記ベルト表面速度検知センサ、又は該ベルト表面速度検知センサを保持するセンサ保持部材が前記無端ベルトに接触しており、前記ベルト表面速度検知センサの前記無端ベルトの移動方向上流側及び下流側のいずれか、又は両方の前記転写ローラの加圧手段に、該加圧手段の加圧力を調整する加圧調整機構を設けたことを特徴とするものである。
本発明は、加圧手段に設た加圧調整機構を用いて軸方向位置偏差や軸方向ベルトテンション偏差、及びベルト表面速度検知センサの設置誤差に起因した転写圧軸方向偏差を小さくするように加圧手段の加圧力を調整することができる。ここで、加圧調整機構としては、例えば、転写ローラ端部で転写圧を付与するために設けられている加圧用スプリングの伸びを調整する機構等が適用可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、加圧手段に設た加圧調整機構を用いて転写圧軸方向偏差を小さくするように加圧手段の加圧力を調整することができる。
よって、ベルト表面速度検知センサの設置誤差に起因した転写ローラの転写圧軸方向偏差を、所定の許容値内に抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る複写機の全体概要図。
【図2】実施形態で用いた重合トナーについての説明図。
【図3】中間転写ベルトの駆動制御装置の概略構成についての説明図。
【図4】スケールマークとスケールセンサの配置状態についての説明図。
【図5】スケールセンサによるスケールマークの検出についての説明図。
【図6】スケールセンサの検出信号を波形整形した波形と波形の位相差の関係について説明図。
【図7】ベルトテンションが1次転写圧に与える影響についての説明図。
【図8】感光体、1次転写ローラ、及び1次転写ローラの中間転写ベルト移動方向下流側の張架ローラの位置関係について説明図。
【図9】表面速度検出装置の配置位置についての斜視説明図。
【図10】表面速度検出装置の配置位置についての平面説明図。
【図11】表面速度検出装置の説明図。
【図12】表面速度検出装置の設置誤差が無い場合の、中間転写ベルトの軌跡の説明図。
【図13】表面速度検出装置の設置誤差が有る場合の、中間転写ベルトの軌跡の説明図。
【図14】表面速度検出装置の有無による転写圧軸方向偏差のばらつきを表したグラフ。
【図15】従来の1次転写ローラの加圧機構の説明図。
【図16】実施例1の1次転写ローラの加圧機構に設ける調整機構の説明図。
【図17】実施例1の1次転写ローラの加圧機構に調整機構を設けた構成の説明図。
【図18】実施例2の1次転写ローラの加圧機構に調整機構を設けた構成の説明図。
【図19】実施例3の中間転写ユニットの説明図である。
【図20】実施例3の中間転写ユニットを本体フレームへ着脱可能に設ける構成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式のカラー複写機(以下、複写機という)に適用した一実施形態について、複数の実施例を挙げ、図を用いて説明する。まず、各実施例に共通する本実施形態の複写機500の全体概要について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る複写機500の全体概要図、図2は、本実施形態で用いた重合トナーについての説明図であり、(a)が、形状係数SF−1の説明図、(b)は形状係数SF−2の説明図である。図3は、中間転写ベルト10の駆動制御装置70の概略構成についての説明図、図4は、スケールマークMとスケールセンサ6A、6Bの配置状態について説明図である。図5は、各スケールセンサ6(6A、6B)によるスケールマークMの検出についての説明図であり、(a)はスケールマークMを上方から見た平面図、(b)はスケールセンサ6の光学系の構成と光路を示す側面透視図、(c)はスケールセンサ6の検出面の平面図である。図6は、スケールセンサの検出信号を波形整形した波形と波形の位相差の関係について説明図であり、(a)の部分がスケールセンサ6Aの検出信号、(b)がスケールセンサ6Bの検出信号、そして、(c)が、それぞれの位相差を示している。
【0013】
本実施形態における複写機500は、いわゆる中間転写方式のタンデム型の画像形成装置であって、乾式二成分現像剤を用いた乾式二成分現像方式を採用したものである。この複写機500は、複写機本体100、複写機本体100を載置する給紙テーブル200、複写機本体100上に取り付けるスキャナ300、及びスキャナ300の上部に取り付ける原稿自動搬送装置400から構成されている。複写機本体100には、中央に、無端ベルトである中間転写ベルト10を設けている。図1に示すように本実施形態の複写機500では、中間転写ベルト10を、3つの支持ローラ14、15、16に掛け回し、図1中、時計回りに回転駆動されるように構成している。また、3つの支持ローラの内、第2の支持ローラ15と第3の支持ローラ16との間に、記録媒体であるシート上にトナー画像を2次転写した後、中間転写ベルト10上の残トナーを除去するベルトクリーニング装置17を設けている。
【0014】
また、3つの支持ローラの内、第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写ベルト10上には、その中間転写ベルト10移動方向(以下、ベルト移動方向という)に沿って、上流側からイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成部20を構成している。また、図1に示すように、このタンデム画像形成部20の上方には露光装置21を設けている。一方、中間転写ベルト10をはさんでタンデム画像形成部20と反対の側には、2次転写装置22を備えている。2次転写装置22は、2つの支持ローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写ベルト10を介して第3の支持ローラ16に押し当てるように配置され、中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像をシートに転写する。
【0015】
2次転写装置22の図1中、左側には、シート上に2次転写されたトナー画像をシート上に定着する定着装置25を設けている。この定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てるように構成されている。上述した2次転写装置22は、2次転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。この2次転写装置22としては、非接触のチャージャを用いても良く、このような場合は、このシート搬送機能をあわせて備えることは難しくなる。また、このように構成した2次転写装置22、及び定着装置25の下方には、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像形成をすべくシートを反転させるシート反転装置28を備えている。
【0016】
次に、この複写機500ののコピー動作について説明する。この複写機500を用いてコピーをとるときは、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じるとともに、原稿自動搬送装置400で原稿を押さえる。そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合には原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合には直ちに、スキャナ300を駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行を開始する。走行開始後、第1走行体33の光源から光が、コンタクトガラス32上の原稿で反射し、その反射光が第2走行体34のミラーで反射されて、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に案内されて、原稿の画像情報が読み取られる。
【0017】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14を回転駆動して、他の2つの支持ローラ15、16を従動回転し、中間転写ベルト10を回転駆動する。同時に、各画像形成手段18で、感光体40を回転駆動させ、各感光体40上にそれぞれ、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の回転駆動とともに、各単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0018】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。又は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上にセットしたシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0019】
カラー画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えてカラー画像を、シート上に定着した後、切換爪55で搬送先を切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。又は、切換爪55で搬送先を切り換えて、シートをシート反転装置28に搬送し、そこで反転して再び2次転写装置22へと導き、裏面にもカラー画像を記録した後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。また、カラー画像転写後の中間転写ベルト10はベルトクリーニング装置17で、2次転写後に中間転写ベルト10上に残留する残トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。
【0020】
ここで、中間転写ベルト10は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を10〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率を10〜1013Ωcmの範囲となるよう調整されている。なお、必要に応じて、この中間転写ベルト10の表面に離型層をコートしても良い。表面コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
【0021】
また、中間転写ベルト10の製造方法は注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。そして、中間転写ベルト10の体積抵抗率が上述した範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなるため、電源コストの増大を招くため好ましくない。また、転写工程、転写紙剥離工程などで中間転写ベルト10の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるため除電手段を設ける必要が生じる。また、体積抵抗率及び表面抵抗率が上述した範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため、自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー飛び散りが発生してしまう。したがって、本実施形態における中間転写ベルト10の体積抵抗率および表面抵抗率は上記範囲内でなければならない。ここで、体積抵抗率及び表面抵抗率の測定は高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径:5.9mm、リング電極内径:11mm)を接続し、中間転写ベルト10の表裏に100V(表面抵抗率は500V)の電圧を印加して10秒後の測定値を用いた。
【0022】
また、各転写ローラ62は、発泡樹脂剤を金属製(鉄、SUS、AI等)の芯金に塗布したものである。発泡樹脂剤の肉厚は2mm〜10mmであるが、これに限定するものではない。
【0023】
次に、本実施形態で用いたトナーについて説明する。本実施形態に用いるトナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図2(a)は形状係数SF−1、図2(b)は、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0024】
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0025】
各形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなる。また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。また、トナー粒径は体積平均粒径で4〜10μmの範囲であることが望ましい。これよりも小粒径の場合には現像時に地汚れの原因となったり、流動性が悪化し、さらに凝集しやすくなるので中抜けが発生しやすくなる。逆に、これよりも大粒径の場合にはトナー飛び散りや、解像度悪化により高精細な画像を得ることができない。本実施形態では、トナー粒径の体積平均粒径が6.5μmのものを用いた。
【0026】
次に、中間転写ベルト10の駆動制御装置70による回転駆動について説明するする。図3に示すように、中間転写ベルト10は、駆動ローラ14と従動ローラ15、16とに架け渡され、一方の従動ローラ15により、移動(回動)方向(図の矢印G方向)に所定のテンションが付加されている。中間転写ベルト10は、テンションが付加された状態で駆動モータ7により、駆動ローラ14に取り付けられた減速機8が回転すると、駆動ローラ14により駆動されて所定速度で移動する。
【0027】
また、本実施形態の中間転写ベルト10には、内周面の側縁部に沿って、そのベルト移動方向Gの全体にわたって所定間隔(ピッチ)で複数のスケールマークMが連続して設けられている。これら複数のスケールマークMは、互いに平行に等間隔で、同じ長さに形成され、かつ、ベルト移動方向Gに沿って極めて小さいピッチで配列されており、中間転写ベルト10の全周に設けられている。そして、全体として中間転写ベルト10のスケール5を構成している。ここでは、スケールマークMは、所定色の目盛状に形成されており、例えば中間転写ベルト10の表面よりも反射率の高いインキ等によって印刷される。あるいは、地の反射率と異なる反射率のスケールマークMを印刷したテープが、中間転写ベルト10の全周に亘って貼り着けられる。
【0028】
これに対し、中間転写ベルト10の回転駆動を制御する駆動制御装置70は、互いに接続された制御装置71と、モータ駆動回路81と、スケールマークMを検出するスケールマークセンサ(以下、スケールセンサという)6A、6Bとを有している。そして、スケールセンサ6A、6Bを、中間転写ベルト10のスケールマークMの形成位置下方に僅かな距離を開けて設けている。スケールセンサ6A、6Bは、中間転写ベルト10のベルト移動方向Gに沿って所定間隔を置いて複数(ここでは2つ)配置され、それぞれ中間転写ベルト10上のスケールマークMを順次検出して、制御装置71に検出信号を出力する。制御装置71は、後述するように、検出信号からスケールマークMをピッチ補正するための位置データ等を取得し、目標位置データをモータ駆動回路81に入力する等して、中間転写ベルト10の移動速度を制御する。このように、制御装置71は、スケールセンサ6A、6Bで検出した中間転写ベルト10の位置情報等に基づき、モータ駆動回路81に適宜信号を出力し、モータ駆動回路81により駆動モータ7を駆動させて、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。
【0029】
また、スケールセンサ6A、6Bは、図4に示すように中間転写ベルト10のベルト移動方向Gに沿って、上流側に一方のスケールセンサ6Bを、下流側に他方のスケールセンサ6Aを、それぞれ全てのスケールマークMを検出可能に配置している。また、スケールセンサ6A、6Bは、それらの検出点の間隔Dが、スケールマークMのピッチの設計値をP0としたとき、P0の整数倍(D=N×P0(N=1、2、3・・・))に設定されている。そして、中間転写ベルト10に伸縮等がないときには、スケールマークMの中心部を同時に通過するように構成されている。スケールセンサ6A、6Bは、中間転写ベルト10が移動すると、それぞれスケールマークMを順次検出して検出信号を制御装置71に出力する。そして、制御装置71が、後述するように、検出信号(入力信号)の位相差等に基づいて、モータ駆動回路81をフィードバック制御する。
【0030】
このスケールマークMは、反射型のマークであり、図5(a)に示すように、中間転写ベルト10の内周面にベルト移動方向Gに沿って反射部(スケールマークM)と遮光部Sとが交互に形成されている。一方、スケールセンサ6は、図5(b)、(c)に示すように、LED等の発光素子121、コリメートレンズ122、スリットマスク123、ガラスや透明樹脂フィルム等の透明カバーからなる受光窓124、及びフォトトランジスタ等の受光素子125を有しており、それらがセンサ部筐体120の各部に固定されている。
【0031】
スケールセンサ6の光源である発光素子121が発光すると、その光がコリメートレンズ122を通過して平行光束になり、スリットマスク123のスケールマークMと平行な複数のスリット123aを通り、複数の光ビームLBに分割されて、中間転写ベルト10上のスケール5に照射される。この複数の光ビームLBの一部がスケールマークMにより反射されて、反射光が受光窓124を通って受光素子125によって受光され、受光素子125が反射光の明暗の変化(強弱)を電気信号に変換する。このように、スケールセンサ6は、受光素子125により反射光の強弱を感知してスケールマークMを検出し、中間転写ベルト10の移動にともなうスケールマークMの有無を、連続的に変調されたアナログ交番信号にして出力する。ここで、複数のスリット123aが形成されたスリットマスク123、及び受光窓124がスケール5に対向する面は、センサ部筐体120のスケール5に対向するセンサ面126と同一平面上となるように構成されている。
【0032】
スケールセンサ6A、6Bで検出された各検出信号は、図6(a)、(b)に示すように、矩形状のパルス信号となり、スケールセンサ6A(図6(a))では、Ca(1)、Ca(2)、Ca(n)の各周期の波形が、スケールセンサ6B(図6(b))では、Cb(1)、Cb(2)、Cb(n)の各周期の波形が、それぞれ出力される。ここで、スケールマークMのピッチが設計値(初期値)P0のままで、2つのスケールセンサ6A、6Bの間隔Dが正確にN×P0であれば、それらの検出信号の波形の立ち上がりと立ち下がりのタイミングが全て一致して、それらに位相差Cabは生じない(Cab=0)。しかしながら、複写機500内では、中間転写ベルト10の周辺温度や湿度、又は作用するテンション等により、中間転写ベルト10が伸縮して、スケール5内でのスケールマークMの位置がずれて変動する。その結果、図6(c)に示すように、スケールマークMにピッチ誤差が発生して、各スケールセンサ6A、6Bのパルス波形の立ち上がりと立ち下がりのタイミングが各々にずれて、それらに位相差Cabが生じる。この検出信号の位相差の波形は、各スケールセンサ6A、6Bの波形の差に応じて生じる位相差Cab(1)、Cab(2)、Cab(n)により、矩形状のパルス信号になる。
【0033】
本実施形態では、この各検出信号の位相差Cabを順次算出し、算出した位相差Cabに応じて、その変動等を打ち消すように補正しつつ、中間転写ベルト10の駆動を制御する。その際、例えば、任意のパルス位相差は、検出信号の各周期Ca(n)、Cb(n)から(ΣCa(n)−ΣCb(n))により算出される。しかし、Cab(n)には初期の時間差Cab(1)も含まれるため、(Cab(n)−Cab(1))=(ΣCa(n)−ΣCb(n))がパルス位相差となる。また、ここでは、両スケールセンサ6A、6Bは、180パルス分の間隔で配置されているため、1パルス分の補正値は、パルス位相差を180で除した{−(Cab(n)−Cab(1))/180}で計算できる。従って、補正後の値はCh(n)={Ca(n)−(Cab(n)−Cab(1))/180}により算出される。
【0034】
制御装置71は、このようにして、スケールマークピッチの補正データを算出し、この補正データとスケールマークMの順次算出される位相差や各周期の計測結果等に基づき、モータ駆動回路81をフィードバック制御して中間転写ベルト10の移動速度を制御する。そして、中間転写ベルト10の画像転写位置等の目標位置データを補正しながら、中間転写ベルト10の移動速度や位置をフィードバック制御する。あるいは、制御装置71は、スケールマークMのピッチ誤差のプロファイルを作成してスケールマークピッチ(ピッチ誤差)の補正データを算出するとともに、スケールマークMの検出結果から、中間転写ベルト10の移動速度を検出(算出)する。この移動速度と補正データに基づき、例えば検出した各スケールマークMのピッチ誤差を打ち消すように中間転写ベルト10の移動速度を制御する等して、上記と同様に目標位置データを補正しながら、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。また、この複写機500では、中間転写ベルト10の複数のスケールマークM中に、中間転写ベルト10の一周の基準となる基準マーク(0点マーク)を設けている。そして、この基準マークを基準マーク検出手段により検出して中間転写ベルト10が一周したことを判別して、制御装置71による制御に使用している。
【0035】
次に、本実施形態の特徴部である、中間転写ベルト10の1次転写部における転写ローラ等の軸方向に平行な方向の転写圧の軸方向偏差、つまり、1次転写部における転写圧軸方向偏差を抑制する構成について、複数の実施例を挙げて説明する。ここで、それぞれ1次転写部を形成する各画像形成手段18、及び1次転写ローラ回りの基本的な構成はほぼ同様であるので、どの色に対応した部材であるか符号を付して特定する必要がない限り、符合Y、M、C、Kは省略して説明する。
【0036】
(実施例1)
まず、本実施形態の第1の実施例である実施例1について、図を用いて説明する。図7は、ベルトテンションが1次転写圧に与える影響についての説明図、図8は、感光体40、1次転写ローラ62、及び1次転写ローラ62の中間転写ベルト10のベルト移動方向下流側の張架ローラの位置関係について説明図である。図9は、表面速度検出装置110の配置位置についての斜視説明図、図10は、表面速度検出装置110の配置位置についての平面説明図であり、サブフレーム151の見下げ図である。図11は、表面速度検出装置110の説明図であり、(a)が表面速度検出装置110が中間転写ベルト10を挟み込んだ状態の説明図、(b)が押さえ部材135の説明図、(c)がセンサ保持部材130にセンサ基板127を保持した状態の説明図、(d)がズケールセンサ6A、6Bを一体に設けたセンサ基板127の説明図である。図12は、表面速度検出装置110の設置誤差が無い場合の、中間転写ベルト10の軌跡の説明図、図13は、表面速度検出装置110の設置誤差が有る場合の、中間転写ベルト10の軌跡の説明図である。図14は、表面速度検出装置110の有無による転写圧軸方向偏差のばらつきを表したグラフ、図15は、従来の1次転写ローラ62の加圧機構140の説明図である。図16は、本実施例の1次転写ローラ62Kの加圧機構140に設ける調整機構160の説明図であり、(a)が1次転写ローラ62Kの軸方向中央側からの斜視図、(b)がサブフレーム151の側板外側からの斜視図である。図17は、本実施例の1次転写ローラ62Kの加圧機構140に調整機構160を設けた構成の説明図であり、(a)が斜視図、(b)が平面図である。
【0037】
本実施例の複写機500では、図7に示す、画像形成手段18Kの感光体40Kと、1次転写ローラ62Kとで構成される1次転写部の例のように、各1次転写ローラ62を、対向する各感光体40に対してオフセットして設けている。より具体的には、感光体40の回転中心よりも1次転写ローラ62の回転中心が、挟持する中間転写ベルト10のベルト移動方向下流側になるようにオフセットして設けられている。これは、1次転写部で発生し易い異常放電を抑制するためである。周知のように、放電はパッシェンの法則により電圧と隙間の距離に依存する。そこで、感光体40に対して、1次転写ローラ62をオフセットして設け、中間転写ベルト10と感光体40とで形成される転写ニップ部の隙間を距離を短くして、放電の発生を抑制するためである。
【0038】
このように1次転写ローラ62を各感光体40に対して、オフセットさせた場合の1転写ローラ62が中間転写ベルト10を介して感光体40を転写ニップ部で1次転写圧を生じさせる加圧力Fは、図7に示すように作用する。1転写ローラ62の両端部には、1転写ローラ62を感光体40に向け加圧する加圧手段である加圧機構140が設けられ、所定の1次転写圧が生じるように感光体40に向け加圧している。ここで、加圧機構140は、1次転写ローラ62を回転自在に支持し、加圧アーム回動支持部材142を支点として回動する加圧アーム141と、この加圧アーム141を回動させるスプリング143とから主に構成されている。そして、1転写ローラ62の両端部のスプリング143によりf1の力が作用すると、加圧アーム141を介して、1次転写ローラ62に、感光体40と1次転写ローラ62の回転中心を結ぶ直線に平行、かつ、感光体40側へ向かうf2の力が働く。
【0039】
しかし、1次転写ローラ62等には自重があるため、感光体40と1次転写ローラ62の回転中心を結ぶ直線と鉛直な直線とがなす角をθ0、1次転写ローラ62等の自重、つまり質量をmとすると、f2とは反対方向に、f3=m×g(重力加速度)×COSθ0の力が働く。さらに、中間転写ベルト10には、テンションローラとして機能する従動ローラ15により所定の張力Tが付与されるとともに、上述したように感光体40に対して、1次転写ローラ62がオフセットした状態で転写ニップを形成している。このため、転写ニップ部の上流側の中間転写ベルト10の直線部の軌跡と、感光体40と1次転写ローラ62の回転中心を結ぶ直線とがなす角がθ1となり、90度ではないため、感光体40側へ向かうf4=T×COSθ1の力が働く。また、転写ニップ部の下流側の中間転写ベルト10の直線部の軌跡と、感光体40と1次転写ローラ62の回転中心を結ぶ直線とがなす角がθ2となり、90度ではないため、1次転写ローラ側へ向かうf5=T×COSθ1の力が働く。
【0040】
これらの結果、1次転写圧を生じさせる加圧力Fは、1転写ローラ62の両端部のスプリング143により加圧アーム141を介して付与されるf2、1次転写ローラ62等の自重により生じるf3、転写ニップ部の上流側の中間転写ベルト10の張力Tにより生じるf4、及び下流側の中間転写ベルト10の張力Tにより生じるf5との合力(ベクトル量:F=f2+f3+f4+f5)となる。これに対して、1次転写ローラ62をオフセットさせず、転写ニップ部の上流側及び下流側の中間転写ベルト10の直線部の軌跡と、感光体40と1次転写ローラ62の回転中心を結ぶ直線とがなす角度が90度である場合、1次転写圧を生じさせる加圧力Fは次のようになる。中間転写ベルト10の張力Tに起因したf4及びf5は、いずれも生じず、1次転写圧を生じさせる加圧力Fは、スプリング143により加圧アーム141を介して付与される力であるf2と、1次転写ローラ62等の自重により生じるf3との合力(ベクトル量:F=f2+f3)となる。したがって、転写ニップ部の上流側及び下流側のいずれか、又は両方の中間転写ベルトの直線部の軌跡と、感光体40と1次転写ローラ62の回転中心を結ぶ直線とがなす角度が90度でない場合には、1次転写圧にベルトテンションが影響を与えることが分かる。
【0041】
また、例えば、図8に示すように転写ニップ部のベルト移動方向下流側に設けた下流側張架ローラ154が所定の位置より下方に移動した場合には、ベルトテンションが変化しなくとも1次転写圧に影響を与える。これは、転写ニップ部の下流側の中間転写ベルト10の直線部の軌跡と、感光体40と1次転写ローラ62の回転中心を結ぶ直線とがなす角がθ2が、θ2’(θ2’<θ2)に変化し、1次転写ローラ側へ向かうf5が大きくなるためである。また、上方に移動した場合には、感光体40と1次転写ローラ62の回転中心を結ぶ直線とがなす角がθ2が、θ2’’(θ2<θ2’’≦90°)に変化し、θ2’’が90度以下の場合には、1次転写ローラ側へ向かうf5が小さくなる。また、θ2’’が90度を越える場合(90°<θ2’’≦180°)には、f5が作用する方向が感光体40側に変化し、角度が増すごとに大きくなる。そして、図示はしていないが、転写ニップ部のベルト移動方向上流側に設けた上流側張架ローラ153が所定の位置より上下方に移動した場合にも、同様な理由により、ベルトテンションが変化しなくとも1次転写圧に影響を与えることとなる。つまり、転写ニップ部のベルト移動方向下流側及び上流側のいずれか、又は両方の下流側張架ローラ154や上流側張架ローラ153の押上げ部材が所定の位置からばらつけば、1次転写圧が変わることになる。また、加圧力Fは、転写ニップ部への中間転写ベルト10の軌跡が所定の軌跡よりも、感光体40側に近づくように変化すれば大きくなり、1次転写ローラ62側に近づくように変化すれば小さくなる。
【0042】
そして、上述したベルトテンションや押上げ部材の位置のばらつきが、軸方向(1次転写ローラ62や感光体40の軸方向と平行な方向)で偏差が生じる場合には、1次転写圧の軸方向の偏差に影響を与えてしまう。つまり、軸方向ベルトテンション偏差や軸方向位置偏差が生じると、転写圧軸方向偏差に影響を与えてしまう。そこで、従来は、各部品精度を高めるとともに、支持ローラ15にベルトテンションローラの機能を持たせ、1次転写圧の転写圧軸方向偏差を画像濃度に偏差が生じない所定の許容値の範囲内に収めるようしていた。
【0043】
しかし、本実施例では、上述したように中間転写ベルト10の駆動制御を行うために、スケールセンサ6A、6Bを設けて、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御を行っている。そして、本実施例では、スケールセンサ6A、6Bを、それぞれ単独で設けるのではなく、図9に示すように、中間転写ベルト10を軸方向の片側で挟み込む表面速度検出装置110に設けている。このように中間転写ベルト10を挟み込むため、表面速度検出装置110の設置誤差が生じた場合、表面速度検出装置110のベルト移動方向上流側及び下流側で、中間転写ベルト10の軌跡が所定の軌跡からずれしまう場合がある。また、表面速度検出装置110は、中間転写ベルト10の片側にのみ設置しているので、中間転写ベルト10の軌跡が軸方向で大きく異なってしまう。
【0044】
特に、表面速度検出装置110の中間転写ベルト10を挟み込む部材の端部から転写ローラまでの距離が短い場合に、所定の軌跡からのずれ角が大きくなり、転写圧軸方向偏差に与える影響も大きくなってしまう。さらに、表面速度検出装置110の設置誤差に起因した転写圧軸方向偏差に、上述した軸方向位置偏差や軸方向ベルトテンション偏差の影響が重なると、従来のように、各部品の加工精度を高めるだけでは転写圧軸方向偏差を許容値内に抑制することが困難な場合が発生する可能性が高まった。そこで、本実施例では、感光体40Kに中間転写ベルト10を介して対向する1次転写ローラ62Kを、感光体40Kに向け加圧する加圧手段である加圧機構140に加圧力を調整する加圧調整機構である調整機構160を設けることとした。以下に、表面速度検出装置110の構成や、1次転写部における転写圧軸方向偏差が生じるメカニズムを、より詳細に説明するとともに、本実施例の調整機構160について説明する。
【0045】
本実施例の表面速度検出装置110は、図9、及び図10に示すように、1次転写ローラ62Kを保持する、不図示のベルトユニットフレーム150に支持されるサブフレーム151上の軸方向の一端側に取り付けられている。かつ、感光体40Kに対向する1次転写ローラ62Kと、ベルト移動方向上流側に設けた上流側張架ローラ153との間に取り付けられている。このように、本実施例の表面速度検出装置110も、一般的に多い構成と同様に、1次転写ローラ62Kの近くの片側に配置されている。
【0046】
表面速度検出装置110は、図11(a)に示すように、センサ保持部材130とベルト押さえ部材135とから主に構成され、センサブラケット111を介して不図示のサブフレーム151の一端側に固定される。そして、センサ保持部材130とベルト押さえ部材135とで、中間転写ベルト10のスケール5が形成された部分を挟み込む。ここで、ベルト押さえ部材135は、図11(b)に示すように、ベルト押さえフレーム136と、このベルト押さえフレーム136に接着した基層がスポンジのベルト接触部材137とから構成されている。そして、センサ保持部材130とベルト接触部材137とで中間転写ベルト10を挟み込む際、中間転写ベルト10に対して圧力がかかるため、ベルト接触部材137のベルト接触部分の摩擦力を低減することが好ましい。そこで、本実施例のベルト接触部材137には、摩擦力を低減するため植毛を施している。
【0047】
センサ保持部材130は、図11(c)に示すように、スケールセンサ6A、6Bが設けられたセンサ基板127(図11(d)参照)を保持している。そして、センサ保持部材130のベルト対向面131には、各スケールセンサのセンサ面126の一部を中間転写ベルト10に対して露出させるためのセンサ窓132が2つ形成されている。また、このベルト対向面131には、ベルト押さえ部材135と同様に、摩擦力を低減するため植毛を施している。一方、センサ保持部材130に保持されるセンサ基板127には、図11(d)に示すように、ベルト移動方向Gの上流側にスケールセンサ6Aが、下流側にスケールセンサ6Bが設けられている。
【0048】
このように表面速度検出装置110を構成することで、スケール5の検知位置で、中間転写ベルト10のばたつきを抑制し、正確な速度検知を可能としている。ここで、本実施例では、表面速度検出装置110及びスケール5を設ける位置を、中間転写ベルト10の一端側としているが、これは、中央部に設けると、画像範囲内となってしまい上押さえを設置できなくなるためである。
【0049】
また、上述した表面速度検出装置110の配置に関する説明では、サブフレーム151上の配置について説明したが、さらにベルト移動方向上流側の感光体40C及び1次転写ローラ62Cを含めた配置は、図12に示すような配置になる。図12に示すように、ベルト移動方向上流側の感光体40Cと1次転写ローラCの1次ニップ部から、下流側の感光体40Kと1次転写ローラ62Kの1次ニップ部へ張り渡される中間転写ベルト10の軌跡が極力直線状となるように、上流側張架ローラ153及び表面速度検出装置110は配置されることとなる。このように配置された中間転写ベルト10の軌跡が目標とする、所定の軌跡となる。また、上述したように、表面速度検出装置110は、上流側張架ローラ153と1次転写ローラ62Kの間、つまり、1次転写ローラ62Kの近くれている。これは、1次転写時のベルト移動速度を、高精度に目標とする速度にしたい場合には、なるべく近いほうが良いためである。また、色あわせ精度向上を狙う場合にも、1次転写ローラ62間に配置するのが最も好適なためである。
【0050】
しかし、中間転写ベルト10の片側の端部に設けられる表面速度検出装置110に設置誤差が生じた場合、例えば図13に示すように、図13図中上方に移動して設置された場合には、そのベルト移動方向上流側及び下流側の中間転写ベルト10の軌跡が図12で示した所定の軌跡からずれてしまうことになる。このため、感光体40Cと1次転写ローラCの1次ニップ部から表面速度検出装置110までの中間転写ベルト10の軌跡、及び表面速度検出装置110から感光体40Kと1次転写ローラKの1次ニップ部への中間転写ベルト10の軌跡が、いずれも各感光体40側に近づくように変化する。しかし、表面速度検出装置110が設けられていない他端側の中間転写ベルト10の軌跡は、図13図中、1点鎖線で示す所定の軌道となる。このため、感光体40Cと1次転写ローラCの1次ニップ部、及び感光体40Kと1次転写ローラKの1次ニップ部、いずれでも、図13図中手前側、つまり表面速度検出装置110を設けた側の転写圧が高くなってしまうという、転写圧軸方向偏差が生じることとなる。
【0051】
本実施例の構成では、表面速度検出装置110からの距離が、感光体40Cと1次転写ローラCの1次ニップ部よりも、感光体40Kと1次転写ローラ62Kの1次ニップ部が近いため、その影響も大きく、感光体40Kと1次転写ローラKの1次ニップ部の転写圧軸方向偏差を許容値内に抑制することが困難であった。そこで、感光体40Kと1次転写ローラKの1次ニップ部での、表面速度検出装置110を設けた状態と、設けていない状態でのでの転写圧軸方向偏差を比較してみた。具体的には転写圧軸方向偏差を、表面速度検出装置110を設けた状態でを算出し(センサ有り:ア)、その後、表面速度検出装置110を取り外して算出し(センサ無し:イ)、さらにその後、表面速度検出装置110を取り付けて算出した(センサ有り:ウ)。そして、図14のグラフのような結果とを得た。
ここで、表面速度検出装置110を設けた側端部での転写圧を前側転写圧とし、表面速度検出装置110を設けていない側端部での転写圧を後側転写圧として、圧偏差(転写圧軸方向偏差)を、次の式(3)により求めた。
圧偏差[%]=(前側転写圧−後側転写圧)/(前側転写圧+後側転写圧)×100 ・・・式(3)
その結果、本実施例の構成では、表面速度検出装置110の有り無しで5%程度の差がでた。しかし、これは、各部材や組み付けの公差のばらつきによって決まるので必ずしも5%とは限らない。
【0052】
図14のグラフに示すように、表面速度検出装置110の有無で、5%程度の転写圧軸方向偏差が生じると、上述したように、感光体40Kと1次転写ローラKの1次ニップ部の転写圧軸方向偏差を許容値内に抑制することが困難であった。そこで、本実施例では、図7を用いて説明した、1次転写ローラ62Kを感光体40K側へ加圧するf2の力を、1次転写ローラ62Kの両端部で調整して、1次転写ローラ62Kの両端部で、加圧力Fを等しくするように調整することとした。具体的な方法としては、1次転写ローラ62Kの両端部に、それぞれ設けるの加圧機構140に、加圧力を調整する加圧力調整機構である調整機構160を設けた。そして、加圧アーム141を介して、1次転写ローラ62Kを感光体40Kに加圧する力(f2)を生じさせるスプリング143の復元力(f1)を調整することとした。
【0053】
従来は、図15に示すように、加圧機構140に加圧力を調整して、1次転写ローラ62の両端部で、加圧力Fを等しくするように調整する調整機構160を設けていなかった。この図15に示す加圧機構140は、次のように構成されている。ここで、1次転写ローラ62の両端部に設けられる加圧機構140は、1次転写ローラ62の軸方向中央部に対称であるので、図1図中紙面に対して正面側(以下、前側という)の加圧機構140について説明する。1次転写ローラ62を回転可能に保持するとともに、1次転写ローラ62を感光体40に向け加圧する加圧アーム141は、サブフレーム151の側板に、加圧アーム回動支持部材142で回動可能に支持されている。この加圧アーム141は、略L字に形成されており、長辺側の端部に1次転写ローラ62Kの支持部が、ベルト移動方向上流側で下方に曲がる短辺側の端部に、スプリング143の一端を支持する取り付けフック144が形成されている。そして、取り付けフック144のベルト移動方向上流側のサブフレーム151の側板には、スプリング143の他端を支持する円柱状で取り付け溝が形成されたスプリング引っ掛け部材145が固定されている。
【0054】
図15では、取り付けフック144の形状が分かり易いように、スプリング143を取り外した状態で記載しているが、組み付け時にはスプリング143の一端を取り付けフック144に取り付ける。このように構成された加圧機構140は、スプリング引っ掛け部材145と取り付けフック144とに引き伸ばすようにして支持されたスプリング143の復元力(f1)により、加圧アーム141を回動させる方向に力が働く。そして、1次転写ローラ62を感光体40に向け、所定の加圧力(f2)で加圧する。ここで、スプリング143のバネ定数は本例では0.4N/mmとしているが、レイアウト毎に異なるためこれに限定するものではない。また、一般に位置変動に対する加圧力の変動が小さいほうがよいのでスプリングのバネ定数は低いほうが有利である。このように、従来は、スプリング引っ掛け部材145が、サブフレーム151の側板に固定されており、スプリング143の復元力、つまりスプリング143の初期の引き伸ばし量が一定であった。
【0055】
そこで、本実施例の調整機構160では、スプリング143の復元力(f1)、つまりスプリング143の初期の引き伸ばし量を調整可能な構成とした。具体的には、図16(a)、(b)に示すように、従来は固定であったスプリング引っ掛け部材145を、サブフレーム151の側板とは別部品の調整板161に固定し、この調整板161をサブフレーム151の側板に対して回転可能にし、ねじ止めで固定する構成とした。調整板161は、略楕円状の形状をしており、その中心に調整板取り付けネジ162をねじ込む孔は設けられ、この孔の下方のサブフレーム151の内側の部分にスプリング引っ掛け部材145が固定されている。また、サブフレーム151の側板には、調整板161に固定されたスプリング引っ掛け部材145が、調整板取り付けネジ162を回動中心として回動できるように、円弧状の開口163が形成されている。
【0056】
そして、スプリング引っ掛け部材145を、開口163に嵌め込むように、調整板161をサブフレーム151の側板に外部から、整板取り付けネジ162で、ねじ止めする構成とした。また、調整板161の上部には調整用目盛り164を設け、サブフレーム151の側板外側の対応する位置に、目盛りの基準となる刻印を施す。実際には両端部近傍で転写圧を測定しながら、両端部に設けた調整機構160を調整することとなるため目盛りを設けなくても良いが、調整前の初期組み立て時の目安となる。ここで、図16(a)でも、図15と同様な理由に、スプリング143を取り外した状態で記載しているが、組み付け時にはスプリング143の一端を取り付けフック144に取り付ける。また、スプリング143のバネ定数も、従来例と同様に、本実施例では0.4N/mmとしているが、レイアウト毎に異なるためこれに限定するものではない。
【0057】
このように調整機構160を構成することで、初期組み付け時や、1次転写圧調整時に、調整板161を回動させて、スプリング143の初期の引き伸ばし量を調整可能な構成とした。すなわち、スプリング143による1次転写ローラ62Kを感光体40Kに加圧する力(f2)を生じさせるスプリング143の復元力(f1)を調整可能にした。したがって、スプリング143による1次転写ローラ62Kを感光体40Kに加圧する力(f2)、中間転写ベルト10の軌跡が所定の軌跡からの移動に起因した力(f4、f5)、及び1次転写ローラ62Kの自重等(f3)の合力である加圧力F(f2+f3+f4+f5)が調整可能になった。したがって、表面速度検出装置110の設置誤差に起因した1次転写ローラ62Kの転写圧軸方向偏差を、所定の許容値内に抑制することができる画像形成装置を提供することが可能となる。
【0058】
ここで、本実施例では、図17(a)、(b)に示すように、加圧機構140を1次転写ローラ62Kの両端部(前側端部、及び後側端部)に設けているので、f1乃至f5、及び加圧力Fはそれぞれ、各端部に作用させる力、及び、各端部で負担する力に相等する。また、本実施例では、加圧機構140を1次転写ローラ62Kの両端部(前側端部、及び後側端部)に設けているので、例えば、前側に設置した表面速度検出装置110が、図13に示すように上方に移動した状態で設置された場合には、次のような調整を行う。いずれの調整機構160も調整しない場合には、前側の加圧力F’が後側の加圧力F’’より大きくなる。そこで、前側の調整機構160で調整板161をベルト移動方向上流側へ回動させ、後側の調整機構160で調整板161をベルト移動方向下流側へ回動させる。つまり、前側の調整機構160でスプリング143の初期の引き伸ばし量を少なくし、前側の調整機構160でスプリング143の初期の引き伸ばし量を多くして、1次転写ローラ62の両端部で、加圧力Fを等しくするように調整する。このように、1次転写ローラ62Kの両端部の調整機構160を調整することで、各部材の交差等が大きく、転写圧軸方向偏差が大きい場合であっても、1次転写圧を所定の1次転写圧から大きくずらすことなく、その偏差を抑制できる。
【0059】
また、本実施例では、表面速度検出装置110から近い側の、感光体40Kと1次転写ローラ62Kの1次ニップ部の転写圧軸方向偏差を抑制するため、1次転写ローラ62Kの加圧機構140にのみ調整機構160を設けた。すなわち、表面速度検出装置110のベルト移動方向下流側の1次転写ローラ62Kの加圧機構140にのみ調整機構160を設けた。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、表面速度検出装置110のベルト移動方向上流側の1次転写ローラ62Cの加圧機構140にも調整機構160を設けることを妨げるものではない。例えば、表面速度検出装置110のベルト移動方向上流側の1次転写ローラ62C、及び下流側の1次転写ローラ62Kの両方の加圧機構140に調整機構160を設けても良い。このように両方の加圧機構140に調整機構160を設けることで、表面速度検出装置110の両側の1次転写ローラ62の転写圧軸方向偏差を抑制することができる。また、ベルト搬送方向上流側の感光体40Cと1次転写ローラ62Cとのニップ部から、表面速度検出装置110までの距離が短く、その転写圧軸方向偏差のみを抑制する必要が有る場合には、1次転写ローラ62Cの加圧機構140にのみ調整機構160を設ければ良い。つまり、装置構成により、転写圧軸方向偏差を抑制する必要がある1次転写ローラ62の加圧機構140に調整機構160を設ければ良い。
【0060】
(実施例2)
次に、本実施形態の第2の実施例である実施例2について、図を用いて説明する。本実施例は、上述した実施例1と次のことに係る点のみ異なる。実施例1では、1次転写ローラ62Kの両端部の加圧機構140に調整機構160を設けていたのに対し、本実施例では、1次転写ローラ62Kの片方の加圧機構140にのみ調整機構160を設けていることに係る点である。その他の点は、実施例1と同様であるので、同様な構成及び作用・効果については、適宜省略して説明する。図18は、本実施例の1次転写ローラ62Kの加圧機構140に調整機構160を設けた構成の説明図であり、(a)が斜視図、(b)が平面図である。
【0061】
図18(a)、(b)に示すように、本実施例では、実施例1と異なり、1次転写ローラ62Kの加圧機構140にのみ調整機構160を設けている。より具体的には、1次転写ローラ62Kの前側の加圧機構140にのみ調整機構160を設けている。このように構成することで、実施例1のように両側の加圧機構140に調整機構160を設ける構成よりも調整後の1次転写圧が所定の1次転写圧からずれてしまうものの、1次転写ローラ62Kの加圧機構140の片側のみを調整するだけでも転写圧軸方向偏差を減らすことができ、両側の調整機構160を調整する手間を省くことができる効果がある。つまり、本実施例の複写機500のように、中間転写方式のタンデム型の画像形成装置であって、複数の1次転写ローラ62があり、その間に表面速度検出装置110がある場合には、表面速度検出装置110の両側の1次転写ローラ62の転写圧軸方向偏差を小さくする効果がある。さらに、両側に調整機構160を設けるよりもコストが削減できる。
【0062】
また、表面速度検出装置110も、調整機構160を設ける側と同じ前側に配置している。このように配置することで、表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bがある側が狙いの転写圧から外れることが多いが、狙いの転写圧に調整して圧偏差を小さくする効果がある。
【0063】
(実施例3)
次に、本実施形態の第3の実施例である実施例3について、図を用いて説明する。本実施例は、上述した実施例1、2と次のことに係る点のみ異なる。本実施例では、中間転写ベルト10、各転写ローラ62、表面速度検出装置110、加圧機構140、及び調整機構160等を具備した転写ユニット170を、装置本体に対してスライドさせて着脱可能なことを規定していることに係る点である。その他の点は、実施例1、2と同様であるので、同様な構成及び作用・効果については、適宜省略して説明する。図19は、本実施例の中間転写ユニット170の説明図、図20は、本実施例の中間転写ユニット170を本体フレームへ着脱可能に設ける構成の説明図である。
【0064】
図19に示すように、本実施例の転写ユニット170は、中間転写ベルト10、加圧機構140に調整機構160を設けた1次転写ローラ62Kを含む各1次転写ローラ62を具備している。また、上流側張架ローラ153や下流側張架ローラ154などの複数の張架ローラ、テンションローラとして機能する支持ローラ15、表面速度検出装置110、加圧機構140、及び調整機構160も具備している。また、図20に示すように、この転写ユニット170は、ベルト移動方向上流側に設けられた上流側スライドレール171と、下流側に設けられた下流側スライドレール172によって、本体フレーム180に対して、前後方向にスライドして着脱可能である。そして、1次転写ローラ62Kの加圧機構140の加圧力を調整する調整機構160と、表面速度検出装置110を装置本体からの取り外し方向である前側に設けている。
【0065】
このように着脱方法が前後スライド方式で、調整機構160が装置本体からの取り外し方向である前側にあるので転写ユニット170を装置本体に装着した状態で調整可能となり、転写ユニット170を引き出す手間を省ける効果がある。
また、表面速度検出装置110も、調整機構160を設ける側と同じ前側に配置している。このように配置することで、装置本体に装着した状態で、調整機構160を調整できるため手間を省くことができ、かつ、表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bがある側が狙いの転写圧から外れることが多いが、狙いの転写圧に調整して圧偏差を小さくする効果がある。
【0066】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
感光体40Kなどの像担持体と、中間転写ベルト10などの無端ベルトと、前記像担持体と対向する位置で前記無端ベルトに接触する1次転写ローラ62Kなどの転写ローラと、該転写ローラを前記像担持体に向け加圧する加圧機構140などの前記加圧手段と、前記無端ベルトを張架する上流側張架ローラ153や下流側張架ローラ154などの複数の張架ローラと、前記無端ベルトに所定の張力を付与するテンションローラとして機能する支持ローラ15などの張力付与部材と、前記無端ベルトのベルト表面速度を検知する表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bなどのベルト表面速度検知センサとを備えた複写機500などの画像形成装置において、前記ベルト表面速度検知センサ、又は該ベルト表面速度検知センサを保持するセンサ保持部材130などのセンサ保持部材が前記無端ベルトに接触しており、前記ベルト表面速度検知センサの前記無端ベルトの移動方向上流側及び下流側のいずれか、又は両方の前記転写ローラの加圧手段に、該加圧手段の加圧力を調整する調整機構160などの加圧調整機構を設けたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bなどのベルト表面速度検知センサの設置誤差に起因した1次転写ローラ62Kなどの転写ローラの転写圧軸方向偏差を、所定の許容値内に抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
(態様B)
(態様A)において、1次転写ローラ62Kや1次転写ローラ62Cなどの前記転写ローラを複数設け、いずれかの転写ローラ間に表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bなどの前記ベルト表面速度検知センサを配置し、前記ベルト表面速度検知センサの中間転写ベルト10などの前記無端ベルトの移動方向上流側及び下流側の前記転写ローラの加圧機構140などの加圧手段に、調整機構160などの前記加圧調整機構を設けたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、中間転写ベルト10などの無端ベルトの移動方向上流側及び下流側の1次転写ローラ62Kや1次転写ローラ62Cなどの転写ローラの加圧機構140などの加圧手段に、調整機構160などの加圧調整機構を設けることで、表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bなどの前記ベルト表面速度検知センサの両側の転写ローラの転写圧軸方向偏差を抑制することができる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、調整機構160などの前記加圧調整機構を、1次転写ローラ62Kや1次転写ローラ62Cなどの前記転写ローラの片方の端部にのみ設けたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例2について説明したように、1次転写ローラ62Kなどの転写ローラの加圧機構140などの加圧手段の片側のみを調整するだけでも、転写圧軸方向偏差を減らすことができ、両側の調整機構160などの前記加圧調整機構を調整する手間を省くことができる効果がある。
(態様D)
(態様C)において、表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bなどの前記ベルト表面速度検知センサと調整機構160などの前記加圧調整機構とを、1次転写ローラ62Kや1次転写ローラ62Cなどの前記転写ローラの同じ側に設けたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例2について説明したように、表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bなどのベルト表面速度検知センサも調整機構160などの加圧調整機構を設ける側と同じ前側に配置しているので、ベルト表面速度検知センサがある側が狙いの転写圧から外れることが多いが、狙いの転写圧に調整して圧偏差を小さくする効果がある。
(態様E)
感光体40Kなどの像担持体と、中間転写ベルト10などの無端ベルトと、前記像担持体と対向する位置で前記無端ベルトに接触する1次転写ローラ62Kなどの転写ローラと、該転写ローラを前記像担持体に向け加圧する加圧機構140などの前記加圧手段と、前記無端ベルトを張架する上流側張架ローラ153や下流側張架ローラ154などの複数の張架ローラと、前記無端ベルトに所定の張力を付与するテンションローラとして機能する支持ローラ15などの張力付与部材と、前記無端ベルトのベルト表面速度を検知する表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bなどのベルト表面速度検知センサとを備えた複写機500などの画像形成装置において、前記ベルト表面速度検知センサ、又は該ベルト表面速度検知センサを保持するセンサ保持部材130などのセンサ保持部材が前記無端ベルトに接触しており、前記ベルト表面速度検知センサの前記無端ベルトの移動方向上流側及び下流側のいずれか、又は両方の前記転写ローラの加圧手段に、該加圧手段の加圧力を調整する調整機構160などの加圧調整機構を設け、前記無端ベルト、前記転写ローラ、前記複数の張架ローラ、前記張力付与部材、前記ベルト表面速度検知センサ、前記加圧手段、及び前記加圧調整機構を具備し、装置本体に対して前後にスライドさせることで着脱可能な転写ユニット170などの転写ユニットの、装置本体からの取り外し方向側に前記加圧調整機構を設けたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例3について説明したように、着脱方法が前後スライド方式で、調整機構160などの前記加圧調整機構が装置本体からの取り外し方向である前側にあるので転写ユニット170などの転写ユニットを装置本体に装着した状態で調整可能となり、転写ユニットを引き出す手間を省ける効果がある。
(態様F)
(態様E)において、転写ユニット170などの前記転写ユニットの、装置本体からの取り外し方向側に、調整機構160などの前記加圧調整機構に加え、表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bなどの前記ベルト表面速度検知センサも設けたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例3について説明したように、装置本体に装着した状態で、調整機構160などの加圧調整機構を調整できるため手間を省くことができ、かつ、表面速度検出装置110に設けたスケールセンサ6A、6Bなどのベルト表面速度検知センサがある側が狙いの転写圧から外れることが多いが、狙いの転写圧に調整して圧偏差を小さくする効果がある。
【符号の説明】
【0067】
5 スケール
6A、6B スケールセンサ
7 駆動モータ
8 減速機
10 中間転写ベルト10
14 支持ローラ(駆動ローラ)
15 支持ローラ(従動ローラ、テンションローラ)
16 支持ローラ(従動ローラ)
17 ベルトクリーニング装置
18 画像形成手段
20 タンデム画像形成部
21 露光装置
22 2次転写装置
23 支持ローラ(2次転写ベルト)
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 感光体
42、50 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45、52 分離ローラ
46、48、53 給紙路
47 搬送ローラ
49 レジストローラ
51 トレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
62 1次転写ローラ
70 駆動制御装置
71 制御装置
81 モータ駆動回路
100 複写機本体
110 表面速度検出装置
111 センサブラケット
120 センサ部筐体
121 発光素子
122 コリメートレンズ
123 スリットマスク
123a スリット
124 受光窓
125 受光素子
126 センサ面
127 センサ基板
130 センサ保持部材
131 ベルト対向面
132 センサ窓
135 ベルト押さえ部材
136 ベルト押さえフレーム
137 ベルト接触部材
140 加圧機構
141 加圧アーム
142 加圧アーム回動支持部材
143 スプリング
144 取り付けフック
145 スプリング引っ掛け部材
150 ベルトユニットフレーム
151 サブフレーム
153 上流側張架ローラ
154 下流側張架ローラ
160 調整機構
161 調整板
162 調整板取り付けネジ
163 調整用開口
164 調整用目盛り
170 中間転写ユニット
180 本体フレーム
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
LB 光ビーム
M スケールマーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2009−025473号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、無端ベルトと、前記像担持体と対向する位置で前記無端ベルトに接触する転写ローラと、該転写ローラを前記像担持体に向け加圧する前記加圧手段と、前記無端ベルトを張架する複数の張架ローラと、前記無端ベルトに所定の張力を付与する張力付与部材と、前記無端ベルトのベルト表面速度を検知するベルト表面速度検知センサとを備えた画像形成装置において、
前記ベルト表面速度検知センサ、又は該ベルト表面速度検知センサを保持するセンサ保持部材が前記無端ベルトに接触しており、
前記ベルト表面速度検知センサの前記無端ベルトの移動方向上流側及び下流側のいずれか、又は両方の前記転写ローラの加圧手段に、該加圧手段の加圧力を調整する加圧調整機構を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記転写ローラを複数設け、いずれかの転写ローラ間に前記ベルト表面速度検知センサを配置し、
前記ベルト表面速度検知センサの前記無端ベルトの移動方向上流側及び下流側の前記転写ローラの加圧手段に、前記加圧調整機構を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記加圧調整機構を、前記転写ローラの片方の端部にのみ設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記ベルト表面速度検知センサと前記加圧調整機構とを、前記転写ローラの同じ側に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
像担持体と、無端ベルトと、前記像担持体と対向する位置で前記無端ベルトに接触する転写ローラと、該転写ローラを前記像担持体に向け加圧する前記加圧手段と、前記無端ベルトを張架する複数の張架ローラと、前記無端ベルトに所定の張力を付与する張力付与部材と、前記無端ベルトのベルト表面速度を検知するベルト表面速度検知センサとを備えた画像形成装置において、
前記ベルト表面速度検知センサ、又は該ベルト表面速度検知センサを保持するセンサ保持部材が前記無端ベルトに接触しており、
前記ベルト表面速度検知センサの前記無端ベルトの移動方向上流側及び下流側のいずれか、又は両方の前記転写ローラの加圧手段に、該加圧手段の加圧力を調整する加圧調整機構を設け、
前記無端ベルト、前記転写ローラ、前記複数の張架ローラ、前記張力付与部材、前記ベルト表面速度検知センサ、前記加圧手段、及び前記加圧調整機構を具備し、装置本体に対して前後にスライドさせることで着脱可能な転写ユニットの、
装置本体からの取り外し方向側に前記加圧調整機構を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記転写ユニットの、装置本体からの取り外し方向側に、前記加圧調整機構に加え、前記ベルト表面速度検知センサも設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−64865(P2013−64865A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203406(P2011−203406)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】