説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置本体の大型化を招くことなく、像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材が汚染されて潤滑剤の塗布不良が起こるのを抑制することを目的とする。
【解決手段】 潤滑剤塗布部材はクリーニングブレードの像担持体との当接部の鉛直方向下方に対向するように配置され、潤滑剤塗布部材における当接部と鉛直方向下方で対向する対向部は、潤滑剤塗布部材の回転方向において清掃部材と接触する位置よりも上流側であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式などを用いた複写機、プリンタ、FAXなどの画像形成装置に関するものであり、特にクリーニングブレードを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体上にトナー像を担持する。その後、像担持体上に担持されたトナー像は、最終的に記録材(記録用紙、OHPシート等)に転写され、定着された後に画像形成装置外に出力される。像担持体上のトナー像を記録材に転写する方式として、感光体上に形成されたトナー像を直接記録材に転写する直接転写方式がある。又、感光体上に形成されたトナー像を一度中間転写体上に転写してから、この中間転写体上のトナー像を記録材上に転写する中間転写方式等がある。
【0003】
上記のような感光体あるいは中間転写体などの像担持体は、一旦トナー像を担持して被転写材に対してトナー像を転写した後、像担持体表面には転写されずに残留する残留トナーが発生することから、次回の画像形成に供するために像担持体表面のクリーニングを行う必要がある。従来、クリーニングブレードを像担持体表面に当接させて残留トナーを除去するクリーニングブレード方式が幅広く採用されている。
【0004】
クリーニングブレードを像担持体表面に当接させる際に、像担持体との摩擦力が大きすぎるとクリーニングブレードの像担持体との当接部がめくれるブレードめくれが発生する恐れがある。また、ブレードめくれが発生しなくても、像担持体表面の削れや、キズが発生して画像不良が発生する恐れがある。これに対し、像担持体に潤滑剤の塗布を行うことで像担持体の表面エネルギーを低下させ、クリーニングブレードとの摩擦力を低減させることで上記のようなブレードめくれや像担持体のキズなどを防止する発明が開示されている(特許文献1)。
【0005】
また、重合トナーに対してもクリーニング性能を長期に渡って維持するために、感光体ドラムに当接するクリーニングブレードと、そのクリーニングブレードの上流側にトナー除去部材である弾性ローラとを配置し、それらの間に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を配置する構成が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−241114
【特許文献2】特開2004−334092
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、クリーニングブレードと像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材とを離れた位置に配置する場合には、必要とする空間が大きくなり装置本体が大型化してしまう。一方で、装置本体を大型化させないためにクリーニングブレードと潤滑剤塗布部材とを近接して配置すると、クリーニングブレードが像担持体から除去した転写残トナーや紙粉等の残留物が、潤滑剤塗布部材に落下して潤滑剤塗布部材に堆積してしまう恐れがある。このように、潤滑剤塗布部材に落下したトナー等が潤滑剤塗布部材に堆積してしまうと、潤滑剤塗布部材が像担持体に塗布する潤滑剤を適量塗布することが難しくなり、潤滑剤の塗布不良、塗布ムラ、ひいてはそれに起因するクリーニングブレードのめくれやびびりといったクリーニング不良を引き起こす恐れがある。そこで、本発明は画像形成装置本体の大型化を招くことなく、像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材が汚染されて潤滑剤の塗布不良が起こるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記の課題は以下の画像形成装置にて解決される。
【0009】
即ち、回転する像担持体と、前記像担持体と当接部で当接して前記像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニングブレードと、固形の潤滑剤と、前記クリーニングブレードよりも前記像担持体の回転方向上流側で前記像担持体に接触するように配置され、回転して前記像担持体に前記潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材と、前記潤滑剤塗布部材を清掃する清掃部材と、を有し、前記潤滑剤塗布部材は前記クリーニングブレードの前記当接部の鉛直方向下方に対向するように配置され、前記潤滑剤塗布部材における前記当接部と鉛直方向下方で対向する対向部は、前記潤滑剤塗布部材の回転方向において前記清掃部材と接触する位置よりも上流側であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
画像形成装置本体の大型化を招くことなく、像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材が汚染されて潤滑剤の塗布不良が起こるのを抑制する。これにより、潤滑剤の塗布不良に起因するクリーニングブレードのめくれやびびりといったクリーニング不良の発生を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の概略断面構成図である。
【図2】実施例1に係る潤滑剤塗布手段の配置構成について示した図である。
【図3】実施例2に係る潤滑剤塗布手段の配置構成について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則してさらに詳しく説明する。
【0013】
(実施例1)
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本実施例に係る画像形成装置の概略断面構成を示した図である。本実施例の画像形成装置は、電子写真方式を用いて記録材(記録用紙、OHPシート、布等)にフルカラー画像を形成するレーザビームプリンタである。
【0014】
画像形成装置は、トナー像を形成する像形成手段として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部P(ステーション)を有する。
【0015】
尚、本実施例では、各画像形成部の構成は、使用するトナーの色を除いて同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に付した添え字y、m、c、kは省略し、総括的に説明する。
【0016】
画像形成部Pには、像担持体として円筒型の感光体、即ち、感光ドラム1が設けられている。またその他に、感光ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ2、露光手段としてのレーザビームスキャナ3、現像手段としての現像器4、クリーニング手段としての感光体クリーニング装置7が配置されている。
【0017】
各画像形成部Pの感光ドラム1と対向して中間転写ユニット5が配置されている。中間転写ユニット5は、トナー像を担持する像担持体の中間転写体である中間転写ベルト51を備える。中間転写ベルト51は、複数の支持部材として、駆動ローラ92、張架ローラ93、2次転写内ローラ(内ローラ)71、および2本のアイドラローラに張架され回転される。駆動ローラ92に駆動力が伝達されることにより、中間転写ベルト51は、図中矢印R2方向に周回移動(回転)する。
【0018】
そして、中間転写ベルト51の内周面側には、各画像形成部の感光ドラム1y〜1kに対向する位置に、1次転写手段としての1次転写ローラ6が配置されている。各1次転写ローラ6y〜6kが中間転写ベルト51を感光ドラム1y〜1kに向けて押圧することで、中間転写ベルト51が感光ドラム1に接触する1次転写部(1次転写ニップ)が形成される。
【0019】
又、中間転写ベルト51を介して内ローラ71と対向する位置に2次転写外ローラ(外ローラ)72が配置されている。中間転写ベルト51は、2次転写手段を構成する内ローラ71と外ローラ72とで挟持され、内ローラ71は中間転写ベルト51の内周に接触し、外ローラ72は、中間転写ベルト51の外周に接触する。
【0020】
さらに、中間転写ベルト51のクリーニング装置である中間転写体クリーニング装置10として、クリーニングブレード103と、潤滑剤塗布手段100とを備えている。また、潤滑剤塗布手段100は、潤滑剤101、潤滑剤塗布部材であるファーブラシ102、潤滑剤塗布部材上の潤滑剤を清掃する清掃部材104を備える。
【0021】
[画像形成装置の画像形成動作]
感光ドラム1は、図中矢印R1にて示す方向(反時計方向)に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光ドラム1の表面は、接触帯電部材である帯電ローラ2により所定の極性、電位に帯電(1次帯電)される。
【0022】
レーザビームスキャナ3は、イメージスキャナ、コンピュータ等の外部機器から入力される画像情報に対応してオン/オフ変調したレーザ光を出力する。そして、レーザビームスキャナ3は、このレーザ光で感光ドラム1の表面を走査露光する。レーザビームスキャナ3による走査露光により、感光ドラム上に目的の画像情報に応じた静電像(潜像)が形成される。
【0023】
感光ドラム上に形成された静電像は、現像器4によってトナー像として可視化される。本実施例では、現像器4は、現像剤として非磁性トナーと、磁性キャリア(キャリア)とを含む2成分現像剤を収容している。現像器4は、感光ドラム1に対向して配置された現像剤担持体としての現像スリーブを備える。そして、この現像スリーブ上に担持された現像剤の磁気ブラシから感光ドラム1に現像域でトナーを供給することにより、感光ドラム上の静電像が現像されトナー像となる。
【0024】
感光ドラム上に形成されたトナー像は、1次転写ローラ6によって中間転写ベルト51上に静電的に転写(1次転写)される。この時、1次転写バイアス印加手段である1次転写バイアス電源から1次転写バイアスが出力され、1次転写ローラ6に印加される。1次転写バイアスは、本実施例では+900Vの電圧が用いられる。
【0025】
1次転写後の感光ドラム上に残留した残留トナー(1次転写残トナー)は、感光体クリーニング装置7によって除去され、回収される。これにより、像担持体上から残留トナーが除去されて、その後像担持体は再び画像形成に用いられる。また、感光体クリーニング装置7は厚み2μmのウレタン製のブレード部材を備えている。
【0026】
フルカラー画像形成時には、上述の画像形成動作が第1〜第4の画像形成部において順次行われる。これにより、各1次転写部において、各色のトナー像が、中間転写ベルト51上に重ね合わせて転写される。
【0027】
一方、中間転写ベルト51上のトナー像と同期するようにして、記録材供給部から2次転写部に記録材が搬送されてくる。記録材は、中間転写ベルト51上のトナー像とタイミングを合わされて、2次転写部に供給される。
【0028】
中間転写ベルト51上のトナー像は、2次転写部において内ローラ71と外ローラ72と間の電界によって、記録材に静電的に転写される。ここで、内ローラ71と外ローラ72とのどちらかに二次転写バイアス電圧を印加することで、これらローラ間に電界を形成することができる。本実施例の2次転写バイアスは、外ローラ72に2.3Kvの電圧が印加されるが、これに限定されずに装置に応じて最適な値に設定すれば良い。
【0029】
2次転写部においてトナー像が転写された記録材は、その後、図示しない搬送パスを通って定着装置に搬送され、記録材上のトナー像が定着画像とされる。
【0030】
本実施例では、中間転写ベルト51としては、基層、弾性層、表層の計3層構成からなるベルトを用いた。基層として、比誘電率ε=3〜5、体積抵抗率ρv=10〜1011Ω・m、厚み85μmの半導電性のポリイミド樹脂を用いた。弾性層として、体積抵抗率ρv=10〜1011Ω・m、厚み260μmのウレタンゴム層、表層として、絶縁性、厚み2μmのPVDF樹脂を用いた。
【0031】
1次転写ローラ6としては、2000V印加時の抵抗値が10〜10Ωの半導電性のものを用いることが可能である。本実施例では、1次転写ローラ6として、ニトリルゴムとエチレン−エピクロルヒドリン共重合体とのブレンドにより形成された、外径φ16mm、芯金径φ8mmのイオン導電性スポンジローラを用いた。この1次転写ローラ65の抵抗値は、温度23℃、湿度50%で10〜10Ω(印加電圧2kV)程度であった。
【0032】
内ローラ71としては、EPDMゴムに導電性カーボンを分散させた、外径φ20mm、芯金径φ16mmの半導電性ローラを使用した。この内ローラの抵抗値は、上記同様の測定方法で、温度23℃、湿度50%において10〜10Ω(印加電圧10V)程度であった。
【0033】
又、外ローラ72としては、ニトリルゴムとエチレン−エピクロルヒドリン共重合体とのブレンドにより形成された、外径φ24mm、芯金径φ12mmのイオン導電性スポンジローラを用いた。この外ローラの抵抗値は、上記同様の測定方法で、温度23℃、湿度50%において10〜10Ω(印加電圧2kV)程度であった。
【0034】
本実施例では、中間転写ベルト51のクリーニング装置である中間転写体クリーニング装置10として、クリーニングブレード103と、潤滑剤塗布手段100とを備える。尚、中間転写体クリーニング装置はクリーニングブレードのみを備えるようにし、潤滑剤塗布手段は別個に構成するとしても良い。
【0035】
また、本実施例においては、クリーニングブレード103として厚み2μmのウレタン製のブレード部材を用いた。ブレード部材は支持板金に貼り付けられており、支持板金に貼り付けされていない領域として、クリーニングブレードは8mmの自由長を有する。
【0036】
また、本実施例のクリーニングブレード103は、中間転写ベルトに対して図示しない加圧機構によって加圧され、加圧力は1.1kgfとしてある。また、クリーニングブレード103の当接角としては、中間転写ベルト51とブレード103の接触部における中間転写ベルト51の接線に対して17度の角度をもって当接されている。
【0037】
潤滑剤としては固形のステアリン酸亜鉛101を用いた。他に潤滑剤としては、脂肪酸金属塩を用いることが可能である。脂肪酸として、ステアリン酸、パルチミン酸、見ミステリン酸、オレイン酸などが用いられる。金属塩として、亜鉛、鉄、アルミニウム、鉛、マグネシウム、カルシウムなどを用いることができる。
【0038】
また、潤滑剤塗布部材102として、回転するファーブラシを用いた。ファーブラシの毛体の長さは5mm、毛体の太さは6.25デニールを用い、芯金径を8mmとした。中間転写ベルト51に対しては、中間転写ベルト駆動ローラ92に対向する位置に配置され、駆動ローラ92とファーブラシ102の軸間距離を固定して配置され、中間転写ベルトに対して1mm進入した、進入量固定にて配置される。また、ファーブラシの配置としては、クリーニングブレード103よりも中間転写ベルト回転方向上流側の潤滑剤塗布位置で中間転写ベルトに接触する。また、ファーブラシ102は、中間転写ベルトに接触する潤滑剤塗布位置よりもファーブラシの回転方向上流側の潤滑剤接触位置で潤滑剤と接触して潤滑剤を掻き取り、かつ回転することで中間転写ベルトへと潤滑剤を塗布する。
【0039】
また、潤滑剤101としてのステアリン酸亜鉛は、ファーブラシ102に対して、図示しない加圧機構によって加圧されている。本実施例においては、0.4kgfの一定の加
圧力にて押圧されている。潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛は、消費されることで小さくなっていくため、ファーブラシに対して所定の加圧力で押圧し続けないと、ファーブラシに接触することが出来なくなるため加圧力を固定としている。
【0040】
一方で、ファーブラシについては、中間転写ベルトに接触させる方式として進入量を固定としている。仮に、ファーブラシの加圧力を固定する場合、ファーブラシは固形のステアリン亜鉛から押圧されつつ中間転写ベルトを押圧するため、加圧力が不安定になる恐れがある。そのため、本実施例ではファーブラシは中間転写ベルトに対して進入量を固定にして配置した。ただし、ファーブラシの中間転写ベルトへの加圧力を固定する方式としても良い。
【0041】
潤滑剤塗布部材であるファーブラシ102は、図示しない中間転写ベルト駆動ローラ92の軸に設けられたギアから駆動伝達を受け、中間転写ベルト51の走行方向に対して順方向に回転駆動を受ける。また、ファーブラシ102は中間転写ベルト51の移動速度(回転速度)に比べて遅い周速で回転駆動されており、本実施例においては、中間転写ベルト51の移動速度348mm/secに対して、104mm/secに設定した。
【0042】
[潤滑剤塗布手段の配置構成]
図2は潤滑剤塗布手段の配置構成について示した図である。
【0043】
本実施例において、クリーニングブレード103の重力方向の下方に潤滑剤塗布部材であるファーブラシ102が配置される。図に示すように、クリーニングブレード103と中間転写ベルト51とが接触するクリーニングブレードの当接部(ニップ部)を通る重力方向(鉛直方向)の直線を引き、また、ファーブラシ102の回転中心から短手方向に水平方向の直線を引いたときのファーブラシの両端部を通る鉛直方向の直線2本を引いたとする。その場合に、クリーニングブレード103と中間転写ベルト51との当接部を通る重力方向の直線は、このファーブラシの両端部を通る2本の鉛直方向の直線の間になるようにファーブラシ102が配置されている。即ち、クリーニングブレード103の中間転写ベルトとの当接部の鉛直方向下方に対向するように潤滑剤塗布部材であるファーブラシ102が配置され、鉛直方向においてクリーニングブレードと潤滑剤塗布部材とが重なるように配置されることで装置の小型化を図ることができる。
【0044】
しかしながら、クリーニングブレードの当接部において中間転写ベルトから除去された転写残トナー等の残留物は、重力によって自由落下してファーブラシ102に回収されてしまう。つまり、クリーニングブレードのニップ部を通る鉛直方向の下方で対向するファーブラシの対向部に、クリーニングブレードにより除去されて自由落下した転写残トナーや紙粉等が堆積してしまう。
【0045】
ここで、クリーニングブレードが除去した転写残トナーや紙粉等が回転するファーブラシに落下して堆積してしまうと、ファーブラシが中間転写ベルトに塗布する潤滑剤を適量塗布することが難しくなり、潤滑剤の塗布不良、塗布ムラ、ひいてはそれに起因するクリーニングブレードのめくれやびびりといったクリーニング不良を引き起こす恐れがある。
転写残トナーにより汚染されたファーブラシ102では、潤滑剤を十分に掻き取ることができなくなるためである。というのも、固形の潤滑剤とファーブラシとが接触する接触位置にトナーが介在すると、ファーブラシの先端が潤滑剤に接触する際にトナーが邪魔をして潤滑剤に対する十分な摩擦力を得ることが出来ず、トナーが介在する箇所で潤滑剤を十分に掻き取ることができなくなるためである。特に、二次転写残トナーは、多種多様なトナー像の転写残トナーであるため、長手方向での転写残トナーの載り量にムラがあり、そのまま潤滑剤の塗布ムラにつながりやすい。
【0046】
そこで、本実施例の構成では、ファーブラシ102は、クリーニングブレード103における当接部の鉛直方向下方に対向するように配置される。さらに、ファーブラシ102におけるクリーニングブレードの当接部と鉛直方向下方で対向する対向部は、ファーブラシの回転方向において清掃部材と接触する位置よりも上流側とする。この構成により、ファーブラシ102に落下し一旦回収されたトナー等の残留物が、ファーブラシの回転とともにファーブラシを清掃する清掃部材104により除去されるようにしてある。ファーブラシ102が清掃部材104の進入位置に供されると、ファーブラシ102の毛体の先端より内側に侵入した清掃部材104により、ファーブラシ102がはたき落とされファーブラシに一旦回収された上記の転写残トナー等の残留物が除去される。つまり、清掃部材104によりファーブラシに一旦回収された転写残トナーが、ファーブラシからはたき落とされ、ファーブラシ表面に堆積したトナーや余剰の潤滑剤等が除去されることが可能となる。
【0047】
ここで清掃部材104として、本実施例においては直径4mmのSUSの棒部材を用いた。また、ファーブラシ102の毛体の先端に対して1mm内側に進入した位置に固定して配置される。
【0048】
また、ファーブラシ102は、中間転写ベルト51に対し潤滑剤を継続して塗布するため固形の潤滑剤101に当接されている。そのため、中間転写ベルト上に付着した2次転写残トナーをファーブラシ102が一部回収してしまう。さらには、クリーニングブレード103から自由落下した転写残トナーも回収することになる。
【0049】
そこで、ファーブラシ102の回転方向に対して、ファーブラシ102と中間転写ベルト51との接触部のファーブラシの回転方向下流側に清掃部材104を配置し、かつファーブラシに対して清掃部材104が侵入する侵入位置のファーブラシの回転方向下流側に固形の潤滑剤101を配置する。また、ファーブラシ102におけるクリーニングブレードの当接部と鉛直方向下方で対向する対向部は、中間転写ベルトと接触する位置よりもファーブラシの回転方向上流側になるように配置する。これらの構成により、中間転写ベルト上からファーブラシが除去する転写残トナーや、クリーニングブレードから自由落下する回収トナー等の残留物が堆積したファーブラシを清掃し、清掃されたファーブラシによって潤滑剤を掻き取るため、装置を大型化することなく潤滑剤の塗布不良や塗布ムラを抑制することができる。
【0050】
尚、クリーニングブレード、ファーブラシは、中間転写ベルトに対して加圧して配置するために、中間転写ベルト裏面に対向部材を持って配置することが望ましい。
【0051】
また、本発明は中間転写ベルトに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段に限定されず、感光体ドラムや感光体ベルトに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段であっても良い。この場合には、感光体クリーニングブレードの重力方向下方に潤滑剤は配置されることとなる。
【0052】
(実施例2)
本実施例の画像形成装置、その他の構成は実施例1と同じであるため、それについての説明は省き、以下、特徴的な構成について説明する。
【0053】
まず、本実施例はファーブラシ102から清掃部材104によりはたき落とされた転写残トナー等の残留物が、中間転写クリーニング装置10の搬送スクリューに直接向かうように除去されることを特徴としている。これにより、ファーブラシから除去されたトナーや潤滑剤を固形の潤滑剤101や周囲に向かって飛散させることなく、除去することができる。
【0054】
(潤滑剤塗布手段の配置構成)
図3は、本実施例の潤滑剤塗布手段100について説明するための図である。図に示すように、ファーブラシ102や潤滑剤101の略下方に回収トナーを搬送する搬送部材である搬送スクリュー105を配置することで、中間転写ベルトから回収したトナーを搬送する構成とする。さらに、以下で搬送スクリュー105と、ファーブラシ102、清掃部材104、潤滑剤101等との配置関係について詳しく説明する。
【0055】
本実施例においては、ファーブラシ102の回転中心より、回転中心軸に対して重力方向垂線としてファーブラシの回転中心を通る重力方向の垂線を引き、ファーブラシの鉛直方向上方の垂線を0度としてファーブラシの回転方向である反時計回りにファーブラシの回転角度を定義する。このとき、中間転写ベルトに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布位置は、第4象限である270度以上で360度以下の位置になるように配置されている。また、清掃部材104について、ファーブラシの回転角度90度以上135度の位置に配置するのが望ましく、本実施例においては115度の位置に配置してある。また、ステアリン酸亜鉛は225度以上の位置に配置するのが望ましく、本実施例においては252度の位置に配置してある。
【0056】
ファーブラシ上に堆積した回収トナーは、清掃部材104によってはたき落とされることでファーブラシ102が清掃される。このとき、ファーブラシ102からはたき落とされたファーブラシ上の回収トナーの射出方向は、図3に示すようにファーブラシに対して清掃部材が侵入している侵入位置(接触位置)におけるファーブラシの外周接線方向となる。この侵入位置における外周接線方向が回収トナーの搬送スクリュー105に重なるようにする。即ち、回収トナーの射出方向に搬送スクリューが位置するように配置する。さらに、ファーブラシと潤滑剤101が接触する潤滑剤接触位置において、潤滑剤の削れ粉体などが落下することも考えられるため、回収トナー用の搬送スクリューは、ファーブラシとステアリン酸亜鉛が接触する潤滑剤接触位置の重力垂線方向の下方付近にあることが好ましい。このことから、清掃部材はファーブラシ回転角度90度以上の位置に配置することが好ましい。ファーブラシ回転角度90度以下では、ステアリン酸亜鉛との接触位置における重力方向の垂線とファーブラシの当接位置接線とで交点をもつことが出来ず、1本の回収トナー搬送スクリューで、回収トナーとステアリン酸亜鉛の削れ粉を一括して回収することができないため、スクリューを複数設ける必要があることから構成が複雑化してしまう。
【0057】
一方、清掃部材104は、ファーブラシ回転角度135度以下の位置に配置することが望ましい。135度以上の回転角度の位置に配置すると、ファーブラシの当接位置接線とステアリン酸亜鉛当接位置垂線との交点が上方向になるため、回収トナー搬送スクリューとステアリン酸亜鉛との距離が短くなる。この場合には、回収トナー搬送スクリューによって巻き上げられた回収トナーが、かえってステアリン酸亜鉛を直接汚染してしまう恐れがある。
【0058】
ステアリン酸亜鉛101は、ファーブラシ回転角度で225度以上の位置に配置することが望ましい。清掃部材104によってファーブラシからはたき落とされた回収トナーが、直接ステアリン酸亜鉛を汚染することを回避することができる。
【符号の説明】
【0059】
1y、1m、1c、1k 感光体ドラム
2y、2m、2c、2k 帯電ローラ
3y、3m、3c、3k レーザースキャナ
4y、4m、4c、4k 現像器
6y、6m、6c、6k 1次転写ローラ
10 中間転写体クリーニング装置
51 中間転写ベルト
71 2次転写内ローラ
72 2次転写外ローラ
92 駆動ローラ
93 テンションローラ
100 潤滑剤塗布手段
101 潤滑剤
102 ファーブラシ(潤滑剤塗布部材)
103 中間転写ベルトクリーニングブレード
104 清掃部材
105 搬送スクリュー(搬送部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する像担持体と、
前記像担持体と当接部で当接して前記像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニングブレードと、
固形の潤滑剤と、
前記クリーニングブレードよりも前記像担持体の回転方向上流側で前記像担持体に接触するように配置され、回転して前記像担持体に前記潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材と、
前記潤滑剤塗布部材を清掃する清掃部材と、を有する画像形成装置であって、
前記潤滑剤塗布部材は前記クリーニングブレードの前記当接部の鉛直方向下方に対向するように配置され、前記潤滑剤塗布部材における前記当接部と鉛直方向下方で対向する対向部は、前記潤滑剤塗布部材の回転方向において前記清掃部材と接触する位置よりも上流側であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニングブレードが前記像担持体から除去したトナーは、前記潤滑剤塗布部材に落下して一旦回収された後、前記清掃部材により前記潤滑剤塗布部材から除去されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記対向部は、前記潤滑剤塗布部材の回転方向において前記像担持体と接触する位置よりも下流側であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記潤滑剤塗布部材における前記清掃部材の接触する位置の外周接線方向で、前記潤滑剤塗布部材と前記潤滑剤とが接触する位置の鉛直方向下方に、前記潤滑剤塗布部材から除去されたトナーを搬送する搬送部材を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記潤滑剤塗布部材はファーブラシであり、前記清掃部材は前記潤滑剤塗布部材の先端よりも内側に配置された棒部材であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記潤滑剤塗布部材の回転中心を通る鉛直方向上方を0度として、前記潤滑剤塗布部材の回転方向に回転角度を定義した場合に、前記清掃部材の位置は90度以上で135度以下に配置され、前記潤滑剤は225度以上に配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体は、弾性層を備えて担持するトナー像を記録材へと転写する中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−73085(P2013−73085A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212964(P2011−212964)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】