説明

画像検査装置、画像形成装置、画像検査装置の制御方法及び画像形成システム

【課題】画像形成出力による出力結果を読み取った画像とマスター画像とを比較することによる画像の検査において、装置の稼動状況の経時変化による画像の位置ずれを補正し、画像の比較に要する処理の負荷を低減すること。
【解決手段】画像形成装置によって紙面上に画像形成出力された画像を読み取った読み取り画像の検査をページ毎に行う画像検査装置であって、マスター画像において設定された基準点周囲の画像を、読み取り画像において検索することにより読み取り画像における基準点を抽出し、マスター画像及び読み取り画像夫々における基準点の位置の差異に基づいて補正パラメータを算出し、前ページまでの画像の検査において算出された補正パラメータに基づいてマスター画像を補正し、基準点抽出の際、補正パラメータに基づいて補正されたマスター画像と読み取り画像において前記基準点を抽出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像形成装置、画像検査装置の制御方法及び画像形成システムに関し、特に、画像形成装置によって紙面上に形成された画像の検査に際する画像の位置合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷物の検品は人手によって行われてきたが、近年オフセット印刷の後処理として、検品を行う装置が用いられている。このような検品装置では、印刷物の読取り画像の中から良品のものを人手によって選択して読み取ることにより基準となるマスター画像を生成し、このマスター画像と検査対象の印刷物の読み取り画像の対応する部分を比較し、これらの差分の程度により印刷物の欠陥を判別している。
【0003】
しかし、近年普及が進んでいる電子写真などの無版印刷装置は少部印刷を得意としており、バリアブル印刷など毎ページ印刷内容の異なるケースも多く、オフセット印刷機のように印刷物からマスター画像を生成して比較対象とすることは非効率である。この問題に対応するため、印刷データからマスター画像を生成することが考えられる。これにより、バリアブル印刷に効率的に対応可能である。
【0004】
画像を比較することによりその差分を抽出する処理を情報処理によって実現する場合、検査対象の画像とマスター画像との位置及びサイズを合わせることにより、比較される部分、即ち画素が互いに対応する部分の画素であるようにすることが求められる。これに対して、検査対象の画像は、一度紙面上に形成された画像がスキャナによって読み取られることにより生成された画像であるため、画像形成出力に際する画像処理時の収縮や用紙の収縮等により、サイズがマスター画像と異なる場合があり得る。また、画像形成出力時のスキューによっても、同様のことが生じ得る。
【0005】
このため、何らかの基準点に基づいて検査対象の画像とマスター画像との少なくとも一方に対して拡大・縮小・回転等の補正処理を行うことにより、両者の位置及びサイズを合わせる必要がある。このような補正は、例えば、マスター画像において設定した複数の基準点を、パターンマッチングによって検査対象の画像において特定し、夫々対応する基準点の誤差に基づいて補正パラメータを求めることにより行う。
【0006】
パターンマッチングの処理においては、設定した基準点の周囲の画像をキーとして、検査対象の画像の所定範囲を検索することにより、画像のパターンが一致する位置を抽出する。このような処理において、画像のパターンが一致するか否かを判断する処理は負荷の高い処理であるため、少ない演算回数で完了させることが好ましい。しかしながら、上述した画像、用紙の収縮やスキューの態様がわからなければ、検索するべき範囲を狭く限定することはできず、範囲を限定することができない以上、ある地点をスタート地点としてその周囲を順番に比較演算していく必要があり、演算回数が多くなる。
【0007】
画像の比較検査の処理は、基本的に、出力されるページ毎に実行されるものであり、画像形成出力の生産性であるppm(page per minutes)を上げるためには、画像の比較検査の処理に要する時間も低減する必要がある。従って、比較検査において実行されるパターンマッチングの処理に要する処理量は可能な限り低減することが好ましい。
【0008】
このような課題に対応するため、予めマスター画像と検査対象の画像との誤差から定常ノイズの補正パラメータを算出しておき、その補正パラメータを適用して大まかに位置合わせをした上でパターンマッチングをする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された方法では、連続して装置が稼動する場合、同一の補正パラメータが用いられる。しかしながら、上述した画像、用紙の収縮やスキューの程度は、装置の稼動状況によって変化する。従って、装置の稼動状況が変化すれば、マスター画像と検査対象の画像との誤差も広がり、演算回数が多くなる。他方、装置の稼動状況に応じた補正パラメータを求めることができれば、特許文献1に記載された方法よりも更にパターンマッチングのために検索する範囲を狭めることができる。
【0010】
上述した画像、用紙の収縮やスキューに影響を与える装置の稼動状況としては、例えば、装置内の温度及び湿度が挙げられる。電子写真方式の画像形成出力においては、紙面上に転写されたトナー画像を定着させる定着器において高温を用いる。その際、トナー画像が定着されると共に、用紙に含まれる水分が蒸発し、その結果用紙が収縮する。その際の用紙の収縮度合いにより、画像サイズやスキューの誤差も変化することとなる。
【0011】
即ち、紙面上にトナーが転写される前の状態において用紙がどの程度水分を含んでいるかにより、収縮の度合いも変化することとなる。同様に定着器の温度が高ければ、蒸発する水分の量も多くなり、用紙の収縮度合いも変化する。そして、紙面上にトナーが転写される前の状態において用紙がどの程度水分を含んでいるかは、装置内の温度や湿度並びにスタックされた用紙のスタック量などによって経時的に変化するし、定着器の温度は装置に電源が投入されて稼動開始した後、所定の期間において更に向上することがあり得る。
【0012】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、画像形成出力による出力結果を読み取った画像とマスター画像とを比較することによる画像の検査において、装置の稼動状況の経時変化による画像の位置ずれを補正し、画像の比較に要する処理の負荷を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、画像形成装置によって紙面上に画像形成出力された画像を読み取った読み取り画像の検査をページ毎に行う画像検査装置であって、前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像を取得し、前記読み取り画像の検査を行うための検査用画像を生成する検査用画像生成部と、前記生成された検査用画像と前記読み取り画像とを比較して検査を行う画像検査部と、前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方において設定された基準点周囲の画像を、他方の画像において検索することにより他方の画像における基準点を抽出する基準点抽出部と、前記検査用画像及び前記読み取り画像夫々における基準点の位置の差異に基づいて前記検査用画像と前記読み取り画像との位置ずれを補正するための補正情報を算出する補正情報算出部と、前ページまでの前記読み取り画像の検査において算出された前記補正情報に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正する画像補正部とを含み、前記基準点抽出部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像において前記基準点を抽出し、前記画像検査部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像を比較して検査を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の態様は、画像形成装置であって、画像形成出力を実行する画像形成部と、紙面上に前記画像形成出力された画像を読み取る画像読み取り部と、上記画像検査装置とを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の他の態様は、画像形成装置によって紙面上に画像形成出力された画像を読み取った読み取り画像の検査をページ毎に行う画像検査装置の制御方法であって、前記画像検査装置は、前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像を取得し、前記読み取り画像の検査を行うための検査用画像を生成する検査用画像生成部と、前記生成された検査用画像と前記読み取り画像とを比較して検査を行う画像検査部とを含み、前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方において設定された基準点周囲の画像を、他方の画像において検索することにより他方の画像における基準点を抽出し、前記検査用画像及び前記読み取り画像夫々における基準点の位置の差異に基づいて前記検査用画像と前記読み取り画像との位置ずれを補正するための補正情報を算出し、前ページまでの前記読み取り画像の検査において算出された前記補正情報に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正し、前記基準点の抽出においては、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像において前記基準点を抽出し、前記画像検査部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像を比較して検査を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の更に他の態様は、画像形成装置によって紙面上に画像形成出力された画像を読み取った読み取り画像の検査をページ毎に行う画像検査機能を有する画像形成システムであって、前記画像形成装置と、前記紙面上に画像形成出力された画像を読み取って前記読取画像を生成する読取装置と、前記読取画像の検査を行う画像検査装置とを含み、前記画像検査装置は、前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像を取得し、前記読み取り画像の検査を行うための検査用画像を生成する検査用画像生成部と、前記生成された検査用画像と前記読み取り画像とを比較して検査を行う画像検査部と、前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方において設定された基準点周囲の画像を、他方の画像において検索することにより他方の画像における基準点を抽出する基準点抽出部と、前記検査用画像及び前記読み取り画像夫々における基準点の位置の差異に基づいて前記検査用画像と前記読み取り画像との位置ずれを補正するための補正情報を算出する補正情報算出部と、前ページまでの前記読み取り画像の検査において算出された前記補正情報に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正する画像補正部とを含み、前記基準点抽出部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像において前記基準点を抽出し、前記画像検査部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像を比較して検査を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像形成出力による出力結果を読み取った画像とマスター画像とを比較することによる画像の検査において、装置の稼動状況の経時変化による画像の位置ずれを補正し、画像の比較に要する処理の負荷を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る検査装置を含む画像形成システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る検査装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリントエンジン及び検査装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプリントエンジンの機械的構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るマスター画像生成の機能構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態及び従来例に係るマスター画像と読み取り画像との比較態様を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る印刷枚数と画像の位置ずれとの関係を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るマスター画像の補正動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る比較検査動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係るパターンマッチングの態様を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る効果を説明するための図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る比較検査動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施形態に係る検査装置を含む画像形成システムの構成を示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る検査装置を含む画像形成システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、DFE(Digital Front End)が生成した二値画像に基づいて画像形成出力を実行するプリントエンジン及びエンジンコントローラと、二値画像を多値画像に変換した上で印刷出力を検査するための検査用画像であるマスター画像を生成して印刷出力結果を検査する検査装置とを含む画像形成システムについて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成システムは、商業印刷用の画像形成システムであり、図1に示すように、DFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4を含む。DFE1は、受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力するべき画像データをハーフトーン処理して各画素が有色/無色によって表現される二値画像を生成し、生成した二値画像をエンジンコントローラ2に出力する。
【0021】
エンジンコントローラ2は、DFE1から二値画像を受信し、二値画像に基づいてプリントエンジン3を制御して画像形成出力を実行させると共に、二値画像を検査装置4へ入力する。プリントエンジン3は、エンジンコントローラ2の制御に従い、二値画像に基づいて画像形成出力を実行すると共に、出力した用紙を読み取り装置で読み取って生成した読み取り画像データを検査装置4に入力する。
【0022】
検査装置4は、エンジンコントローラ2から入力された二値画像を多値画像に変換して、プリントエンジン3の出力結果を検査するためのマスター画像を生成する。そして、検査装置4は、プリントエンジン3から入力された読み取り画像を上記生成したマスター画像と比較することにより、出力結果の検査を行う画像検査装置である。この比較処理の際、検査装置4は、マスター画像と読み取り画像との位置合わせを行う。このマスター画像の生成処理及び位置合わせの処理の詳細が本実施形態に係る要旨の1つである。
【0023】
ここで、本実施形態に係るプリントエンジン3及び検査装置4の機能ブロックを構成するハードウェア構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る検査装置4のハードウェア構成を示すブロック図である。図2においては、検査装置4のハードウェア構成を示すが、プリントエンジン3についても同様である。
【0024】
図2に示すように、本実施形態に係る検査装置4は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る検査装置4は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
【0025】
CPU10は演算手段であり、検査装置4全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
【0026】
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが検査装置4の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが検査装置4に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0027】
専用デバイス80は、プリントエンジン3や検査装置4において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、プリントエンジン3の場合は、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置や、紙面上に出力された画像を読み取る読み取り装置である。また、検査装置4の場合は、上述した二値画像の多値化処理や画像の比較処理を行うための演算を行う演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。
【0028】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るプリントエンジン3や検査装置4の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0029】
図3は、本実施形態に係るプリントエンジン3及び検査装置4の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン3は、印刷処理部301及び読み取り処理部302を含む。また、検査装置4は、読取画像取得部401、マスター画像生成部402、検査制御部403及び比較検査部404を含む。
【0030】
印刷処理部301は、エンジンコントローラ2から入力される二値画像を取得し、印刷用紙に対して画像形成出力を実行し、印刷済みの用紙を出力する。本実施形態に係る印刷処理部301は、電子写真式の一般的な画像形成機構によって実現される。読み取り装置302は、印刷処理部301によって印刷が実行されて出力された印刷用紙の紙面上に形成された画像を読み取り、読み取りデータを検査装置4に出力する。読取装置302は、例えば印刷処理部301によって出力された印刷用紙の搬送経路に設置されたラインスキャナであり、搬送される印刷用紙の紙面上を走査することによって紙面上に形成された画像を読み取る。
【0031】
ここで、印刷処理部301及び読取装置302の機械的な構成について、図4を参照して説明する。図4に示すように、本実施形態に係る印刷処理部301は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102と分離ローラ103とにより分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106BK、106M、106C、106Yが配列されている。
【0032】
これら複数の画像形成部106BK、106M、106C、106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106BKはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106BKについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Yは画像形成部106BKと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Yの各構成要素については、画像形成部106BKの各構成要素に付したBKに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0033】
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
【0034】
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106BKが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106BKは、感光体としての感光体ドラム109BK、この感光体ドラム109BKの周囲に配置された帯電器110BK、現像器112BK、感光体クリーナ113BK、除電器(図示せず)等から構成されている。光書き込み装置111は、夫々の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
【0035】
画像形成に際し、感光体ドラム109BKの外周面は、暗中にて帯電器110BKにより一様に帯電された後、光書き込み装置200からのブラック画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109BK上にブラックのトナー画像が形成される。
【0036】
このトナー画像は、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115BKの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナ113BKにより払拭された後、図示しない除電器により除電され、次の画像形成のために待機する。
【0037】
以上のようにして、画像形成部106BKにより搬送ベルト105上に転写されたブラックのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0038】
搬送ベルト105上に転写されたブラック、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
【0039】
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0040】
尚、両面印刷の場合、画像が定着された用紙は反転経路に搬送され、反転された上で再度転写位置に搬送される。片面または両面に画像が形成されて定着された用紙は、読み取り装置302に搬送される。これにより、読取装置302により、片面または両面が撮像され、検査対象の画像となる読み取り画像が生成される。
【0041】
次に、再度図3を参照し、検査装置4の各構成について説明する。読取画像取得部401は、プリントエンジン3において印刷用紙の紙面上が読取装置302によって読み取られて生成された画像情報を取得し、比較検査部404に検査対象の画像として入力する。マスター画像生成部402は、上述したようにエンジンコントローラ2から入力された二値画像を取得し、上記検査対象の画像と比較するための検査用画像であるマスター画像を生成する。即ち、マスター画像生成部402が検査用画像生成部として機能する。マスター画像生成部402に含まれる機能の詳細及びマスター画像生成処理においては後に詳述する。
【0042】
検査制御部403は、検査装置4全体の動作を制御する制御部であり、検査装置4に含まれる各構成は検査制御部403の制御に従って動作する。比較検査部404は、読取画像取得部401から入力される読み取り画像とマスター画像生成部402が生成したマスター画像とを比較し、意図した通りの画像形成出力が実行されているか否かを判断する画像検査部であり、膨大な計算量を迅速に処理するために上述したようなASICによって構成される。
【0043】
次に、マスター画像生成部402に含まれる機能の詳細について図5を参照して説明する。図5は、マスター画像生成部402内部の構成を示すブロック図である。図5に示すように、マスター画像生成部402は、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422、色変換処理部423及び位置合わせ処理部424を含む。尚、本実施形態に係るマスター画像生成部402は、図2において説明した専用デバイス80、即ち、ハードウェアによって実現される。
【0044】
少値多値変換処理部421は、上述した二値画像を取得し、少値/多値変換処理を実行して多値画像を生成する。少値多値変換処理部421の少値/多値変換処理によって生成される多値画像は、読取装置302によって生成された読み取り画像と同一の階調によって表現された画像であり、例えば、画素毎にCMYK各8bitで表現された1200dpiの多値画像である。
【0045】
解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像を取得して解像度変換を行い、中間画像を出力する。生成される中間画像は、画素毎にCMYK各色8bitで表現された200dpiの多値画像である。即ち、解像度変換処理部422は、読取装置302によって生成される読み取り画像の解像度に合わせて多値画像の解像度を変換する。
【0046】
色変換処理部423は、解像度変換処理部422によって生成された中間画像を取得して色変換を行い、マスター画像を出力する。生成されるマスター画像は、画素毎にRGB各色8bit(合計24bit)で表現された、200dpiの多値画像となり、読取装置302によって生成される読み取り画像の形式と等しくなる。本実施形態においては、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422及び色変換処理部423が、検査用画像生成部として機能する。
【0047】
位置合わせ処理部424は、本実施形態の要旨に係る構成であり、マスター画像と読取画像との位置ずれを修正して位置合わせを行う。即ち、位置合わせ処理部424が、画像補正部として機能する。ここで、マスター画像と読取画像との位置ずれについて、図6(a)、(b)を参照して説明する。図6(a)は、位置ずれが問題となる場合の例を示す図である。図6(a)に示すように、元画像に基づいて画像形成出力が実行され、用紙上に画像が転写されて転写紙が出力される。この元画像とは、上述した二値画像である。
【0048】
この転写紙が定着器116を通過することにより水分が蒸発する等して、用紙が収縮することにより、転写紙上の画像が元画像よりも小さくなる。このように画像が小さくなった転写紙が読取装置302によって読み取られると、元画像よりも小さい読取画像が生成される。
【0049】
他方、マスター画像生成部402における少値多値変換処理部421から色変換処理部423までは、元画像を上述したように変換することによってマスター画像を生成する。このようにして生成されたマスター画像と読取画像とを比較すると、元画像から変換されることによって元画像と同じ大きさで生成されたマスター画像と、用紙が収縮することによって小さくなった読取画像とを比較することになり、正確な画像の検査が実現できない。
【0050】
これに対して、本実施形態においては、図6(b)に示すように、位置合わせ処理部424が、元画像から変換されて生成されたマスター画像を用紙の収縮に合わせて補正することにより、補正後のマスター画像を生成する。この補正後のマスター画像と用紙が収縮することによって小さくなった読取画像とを比較することになり、正確な画像の検査が実現される。一般的に、位置合わせ処理部424に相当する構成が、用紙の収縮に合わせてマスター画像を補正する場合、マスター画像及び読み取り画像の夫々から対応する基準点を複数抽出し、その基準点の位置を比較することにより、拡大、縮小及びスキューの補正パラメータを算出する。
【0051】
ここで、マスター画像及び読み取り画像の夫々から対応する基準点を複数抽出する際の処理は、一方の画像において抽出した特徴点を基準点として設定し、その特徴点の周囲の画像を、パターンマッチングにより他方の画像において検索することにより、他方の画像における同一の特徴点を抽出して基準点とする処理である。この際、双方の画像のサイズが異なると、パターンマッチングに要する処理量も増加する。
【0052】
即ち、マスター画像と読み取り画像とのサイズを合わせることがパターンマッチングを行う目的ではあるが、パターンマッチングに要する処理量を低減するためには、マスター画像と読み取り画像とのサイズを合わせた上でパターンマッチングを実行する必要がある。このようなパターンマッチングを実行する前にマスター画像と読み取り画像とのサイズを合わせることが本実施形態に係る要旨である。
【0053】
図6(a)、(b)に示すような用紙の収縮度合いは、紙面上にトナーが転写される前の状態において用紙がどの程度水分を含んでいるかによって変化する。そして、マスター画像と読み取り画像とのサイズを合わせるためには、その用紙の収縮度合いに応じたサイズ補正、位置ずれ補正を行う必要がある。
【0054】
ここで、紙面上にトナーが転写される前の状態において用紙がどの程度水分を含んでいるかは、突発的な変化を除き、装置内の温度や湿度並びにスタックされた用紙のスタック量などによって経時的に変化することとなる。ここで、印刷出力の枚数に応じた印刷位置のずれ量、即ち、印刷位置のずれ量の経時的な変化の例について、図7(a)、(b)を参照して説明する。
【0055】
図7(a)、(b)は、夫々片面印刷、両面印刷の場合において、印刷枚数に応じた印刷位置のずれ量の変化を示すテーブルである。図7(a)、(b)に示すように、片面印刷よりも両面印刷の方が、定着器116において用紙に加えられる熱量が多いため、印刷位置のずれ量も大きくなっている。図7(a)、(b)に示す通り、装置に電源が投入されて稼動を開始した直後は、印刷位置のずれ量としては定常のずれ量(定常ノイズ)が発生している。
【0056】
その後、印刷出力が繰り返されて装置内の温度や湿度が変化すると、それに従って印刷位置のずれ量も変化する。例えば、装置が運用され続けることにより、定着器116の温度が上昇すると、定着器116によって用紙に加えられる熱量も増加し、その結果蒸発する水分の量が増加して用紙の収縮量が多くなる。その後、定着器116の温度上昇は収束していくため、それに従って印刷位置のずれ量も収束する。
【0057】
図7(a)、(b)に示すような印刷位置のずれ量の変化態様によれば、画像形成出力がページ毎に連続して実行される場合、1ページ前の比較検査におけるパターンマッチングによって算出された補正パラメータは、突発的な位置ずれが発生しない限り、その次の比較検査においても有効である。
【0058】
本実施形態に係る位置合わせ処理部424は、このような事情に基づき、1ページ前の比較検査におけるパターンマッチングによって算出された補正パラメータを用いてマスター画像と読み取り画像とのサイズを合わせる。そして、サイズが合わせられたマスター画像と読み取り画像とのパターンマッチングの結果は、次のページの比較検査における補正パラメータとして用いる。
【0059】
このような処理により、パターンマッチングを実行する際にはマスター画像と読み取り画像とのサイズが合わせられており、パターンマッチングに要する処理量が低減されることが本実施形態に係る要旨である。
【0060】
次に、本実施形態に係る位置合わせ処理部424の動作について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る位置合わせ処理部424が色変換処理部423からマスター画像を取得して位置合わせのための補正を行う動作を示すフローチャートである。図8に示すように、位置合わせ処理部424は、検査制御部403の制御に従い、色変換処理部423によって色変換されて生成されたマスター画像を読み込む(S801)。
【0061】
次に、位置合わせ処理部424は、検査制御部403の制御に従い、マスター画像を読み取り画像の収縮に合わせて補正するための補正パラメータを更新する(S802)。S802において、位置合わせ処理部424は、1ページ前の印刷出力における画像の比較検査において生成された補正パラメータを、検査制御部403による制御に従って取得する。本実施形態に係る検査制御部403は、制御用のプログラムに従って演算を行うCPU10によって構成され、S802の処理はCPU10によるレジスタ設定によって実行される。
【0062】
尚、装置に電源が投入されて装置が稼動開始した後1ページ目の比較検査であり、1ページ前の印刷出力における比較検査によって生成された補正パラメータが存在しない場合、図7(a)、(b)において説明した定常ノイズを補正するための補正パラメータ、即ち、図7(a)、(b)において“印刷枚数”が1枚の場合に関連付けられている位置ずれ量を補正パラメータとする。
【0063】
補正パラメータを更新した位置合わせ処理部424は、更新後の補正パラメータに従ってマスター画像を補正する(S803)。補正パラメータは、画像の拡大・縮小率、縦横方向へのシフト量、スキュー補正量、回転角度等の情報を補正の必要に応じて含む。そして、位置合わせ処理部424は、S803において、そのような補正パラメータに含まれる情報に従って画像の拡大・縮小、縦横方向へのシフト、スキュー補正、回転等の処理を行う。
【0064】
補正パラメータによる補正が完了すると、位置合わせ処理部424は、補正後のマスター画像から基準点を抽出し、抽出した基準点の座標を示す基準点情報を取得する(S804)。S804においては、例えば、ラプラシアンフィルタやコーナー検出フィルタ等の画像処理用のフィルタを用いて画像のコーナーを検出することにより、特徴点を抽出することが可能である。その他、裁断用のトンボ等のマーカを用いても良い。このような処理により、用紙の収縮に応じて補正されたマスター画像及び補正後のマスター画像において抽出された基準点の位置を示す情報(以降、基準点情報とする)が生成され、検査制御部403がそれらの情報を取得する。
【0065】
検査制御部403は、図8に示すような位置合わせ処理部424の動作によりマスター画像及び基準点情報を取得すると、比較検査部404を制御して読み取り画像とマスター0画像との比較検査を実行させる。図9を参照して、本実施形態に係る比較検査の動作について説明する。図9は、本実施形態に係る比較検査部404の動作を示すフローチャートである。
【0066】
図9に示すように、比較検査部404は、検査制御部403の制御に従ってマスター画像及び基準点情報を取得し、検査対象の読み取り画像中の基準点をパターンマッチングにより取得する(S901)。即ち、比較検査部404が、基準点抽出部として機能する。図10は、本実施形態に係るパターンマッチングの態様を示す図である。図10において“基準点周囲のマスター画像”として示す側の黒塗りの画素は、マスター画像において抽出された基準点である。他方、“基準点に対応する点周囲の読み取り画像”として示す側の斜線の画素は、読み取り画像において、マスター画像の基準点の位置に対応する点である。
【0067】
図10に示すように、比較検査部404は、マスター画像において抽出された基準点の周囲の画像をキー画像とし、マスター画像における基準点の位置に相当する読み取り画像の位置を中心として上下左右に2ピクセル分拡大した範囲の画像とのマッチングを行い、読み取り画像における基準点を抽出する。換言すると、比較検査部404は、マスター画像において設定された基準点周囲の画像を、読み取り画像において検索することにより読み取り画像における基準点を抽出する。
【0068】
上述したように、本実施形態においては、パターンマッチングの前にマスター画像と読み取り画像との位置合わせが行われているため、理論的には、読み取り画像の基準点は、上述した、“読み取り画像においてマスター画像の基準点の位置に対応する点”から抽出される。そのため、それ以上のマッチング演算は不要であるが、抽出漏れを回避するため、上下左右に2ピクセル分拡大した範囲についてマッチングを行う。図10の態様の場合、一の基準点についてマッチングを行う回数は最大で25回である。この25回という回数が、従来技術に比べて非常に低減された回数であることが、本実施形態に係る要旨である。
【0069】
尚、図10に示すように、上下左右に2ピクセル分拡大した範囲についてマッチングを行うことを予め決めておかなくとも、図10に示す“読み取り画像においてマスター画像の基準点の位置に対応する点”を開始地点として、その周囲の画素を順番に対象画素として演算を行っても良い。これによっても、パターンマッチングの前にマスター画像と読み取り画像との位置合わせが行われているため、最初の画素若しくはそれに隣接する画素においてマッチングが成立するため、上記と同様に演算回数を低減することが可能である。
【0070】
S901の処理により読み取り画像中の基準点を抽出すると、比較検査部404は、検査制御部403の制御に従い、マスター画像における基準点と読み取り画像における基準点とを比較し、補正パラメータを算出する(S902)。この補正パラメータが、マスター画像と読み取り画像との位置ずれを補正するための補正情報として用いられ、比較検査部404が、補正情報算出部として機能する。S902の処理によって算出された補正パラメータは、検査制御部403によりRAM20等の記憶媒体に格納される。
【0071】
S902において算出される補正パラメータは、S802において更新された補正パラメータにより補正されたマスター画像と読み取り画像との位置ずれを補正するためのパラメータである。換言すると、S902において算出される補正パラメータは、1ページ前の画像形成出力時の状態と、現在検査中のページの画像形成出力時の状態との位置ずれを補正するためのパラメータである。
【0072】
従って、次のページの比較検査処理において図8のフローが実行される場合には、このS902において算出された補正パラメータが、前回用いられた補正パラメータ、即ち、上述したS802において更新された補正パラメータに追加されることにより、次のページの比較検査処理におけるS802の処理が実行される。
【0073】
補正パラメータの計算が完了すると、比較検査部404は、マスター画像と読み取り画像とを比較し、差分画像を出力する(S903)。S903において、比較検査部404は、マスター画像を構成する画素と読み取り画像を構成する画素とで、対応する位置の画素の画素値を減算して差分を抽出する。画像形成出力が好適に実行されていれば、マスター画像と読取画像との差異は少なく、その結果画像を構成する画素の階調値はほとんど同じ値になり、上記減算した結果の差はゼロに近くなる。他方、画像形成出力が意図したとおりに実行されていなければ、画素の階調値に差異が生じ、上記減算した結果の差がゼロに近い値にならない。
【0074】
比較検査部404は、このようにして生成された差分の値について、予め定められた所定の閾値と比較することにより欠陥判定を行う(S904)。S904の処理は、RGB夫々のプレーンごとに閾値を設定し、算出された差分と比較しても良いし、RGB夫々のプレーンについての差分に基づいて明度、色相、彩度全体の色のずれを算出し、その値に対して設定された閾値との比較により欠陥を判定しても良い。このような比較の結果、生成された差分の値が、閾値を超えていれば、比較検査部404は、読み取り画像に欠陥ありと判定する。このような処理により、本実施形態に係る比較検査部404による動作が完了する。
【0075】
次に、本実施形態に係る比較検査部404の処理の効果について説明する。図11(a)〜(c)は、本実施形態に係る比較検査部404の処理の効果を説明するための図として、図7(a)のような印刷位置ずれが生じる場合において、定常ノイズである印刷枚数1枚の時のX方向10pixel、Y方向7pixelのみを修正した場合の基準点のずれを示す図である。
【0076】
図11(a)は、印刷枚数が1枚の場合における基準点の位置を示す図であり、定常ノイズのみであれば、基準点の位置は本来の位置に補正される。この場合、上述したようにマッチングの漏れを回避するために上下左右に2pixel分拡大することを考えると、マッチングの回数は最大で25回となる。
【0077】
図11(b)は、印刷枚数が1000枚の場合における基準点の位置を示す図であり、斜線の画素がマスター画像の基準点の位置、黒塗りの画素が読み取り画像の基準点の位置である。図7(a)にも示すとおり、印刷枚数1000枚の場合、定常ノイズのみの場合に比べて、X方向に2pixel、Y方向に1pixelずれる。
【0078】
このような場合、マスター画像の基準点の位置を中心として、上下左右にパターンマッチングの範囲を広げてマッチングを可能とするためには、図11(b)に示すように、上下左右に2pixelずつ広げる必要がある。更に、上述したように、マッチングの漏れを回避するために更に上下左右に2pixel分拡大することを考えると、合計で上下左右に4pixel分拡大することとなり、マッチングの回数は最大で81回となり、上述した25回の3倍以上の回数となる。
【0079】
また、図11(a)の場合であれば、定常ノイズ補正後の基準点の位置を開始地点としてその周囲の画素を順番に対象としてマッチング演算をしていけば比較的少ない演算回数でマッチングが成立するが、図11(b)の場合、同様の方法だと上述した25回近い演算回数を必要とする。
【0080】
図11(c)は、印刷枚数が10000枚の場合における基準点の位置を示す図であり、図11(b)と同様にマスター画像及び読み取り画像の基準点の位置を夫々斜線及び黒塗りで示している。図7(a)にも示すとおり、印刷枚数10000枚の場合、定常ノイズのみの場合に比べて、X方向に4pixel、Y方向に3pixelずれる。
【0081】
このような場合、マスター画像の基準点の位置を中心として、上下左右にパターンマッチングの範囲を広げてマッチングを可能とするためには、図11(c)に示すように、上下左右に4pixelずつ広げる必要がある。更に、上述したように、マッチングの漏れを回避するために更に上下左右に2pixel分拡大することを考えると、合計で上下左右に4pixel分拡大することとなり、マッチングの回数は最大で169回となり、上述した25回の6倍以上の回数となる。
【0082】
また、上記と同様に、定常ノイズ補正後の基準点の位置を開始地点としてその周囲の画素を順番に対象としてマッチング演算をしていくと、図11(c)の場合、上述した81回近い演算回数を必要とする。
【0083】
このように、定常ノイズを補正するだけでは、経時的に発生する位置ずれに応じて、パターンマッチングに際して必要となる演算回数が飛躍的に増大し、処理負荷が増大する。結果的に、画像の比較検査に要する時間が増大することとなり、印刷出力の生産性であるppm(page per minutes)向上の障害となる。
【0084】
これに対して、本実施形態に係る検査装置4においては、経時的に発生する位置ずれの特性に着目し、前ページのパターンマッチングの結果によって生成された補正パラメータを用いてマスター画像を補正することにより、マスター画像と読み取り画像との位置合わせを行ってからパターンマッチングを行うため、位置ずれ量が少なく、少ない演算回数でパターンマッチングを終えることができる。そして、パターンマッチングによって得られた補正パラメータは、次ページの補正パラメータとして用いられる。これにより、経時的に発生する位置ずれに対応し続けることができる。
【0085】
以上、説明したように、本実施形態に係る画像形成システムにおいては、画像形成出力による出力結果を読み取った画像とマスター画像とを比較することによる画像の検査において、装置の稼動状況の経時変化による画像の位置ずれを補正し、画像の比較に要する処理の負荷を低減することができる。
【0086】
尚、上記実施形態においては、図9のS902及び図8のS802の処理により、最新の補正パラメータを常にアップデートしていく場合を例として説明した。このような態様の他、例えば、最新の10〜100ページ分の補正パラメータの平均値を用いるようにしても良い。図7(a)、(b)のような経時的位置ずれ量の場合、10〜100ページ分では大きな変化は現れない。他方、複数の補正パラメータの平均値を用いることにより、突発的な位置ずれの影響を低減することができ、結果的にマッチングのために要する演算回数を全体として低減することが可能となる。
【0087】
また、図7(a)、(b)に示すように、印刷枚数に応じた位置ずれ量の変化は、印刷枚数が増えるごとに緩やかになっていく。従って、上述した平均を取るページ数は、固定とするのではなく、印刷枚数に応じて変化させても良い。例えば、図7(a)、(b)に示す印刷枚数1〜1000枚の場合、印刷枚数に応じた位置ずれ量の変化は比較的急峻であるため、平均を取るページ数は10枚程度とすることができる。その後、印刷枚数の増加に従って位置ずれ量の変化は緩やかになるため、平均を取るページ数を増やしていくことが好ましい。そして、印刷枚数20000〜100000枚の場合、印刷枚数に応じた位置ずれ量の変化は収束しているため、平均を取るページ数も最大の枚数とすることが好ましい。
【0088】
また、上記実施形態においては、装置に電源が投入されて最初の出力の場合、定常ノイズを補正するために予め定められた補正パラメータを用いる場合を例として説明した。この定常ノイズは経験的に計算で求めることが可能であるため、このような態様であっても好適な画像の比較検査を実現することが可能である。
【0089】
他方、その日の温度や湿度によっては、装置に電源が投入されて最初の出力の際の定常ノイズが異なる場合があり得る。1度でもマッチングが実行されて補正パラメータの更新が行われれば、1ページの差で経時的な位置ずれ量が大きく変化することはないため、マスター画像と読み取り画像との位置合わせを高精度に行うことが可能であるが、最初の1回のみは、予め定められた値での補正となり、マスター画像と読み取り画像との位置合わせが不完全となる可能性がある。マスター画像と読み取り画像との位置合わせが不完全であれば、画像の比較検査を好適に行うことができない。
【0090】
このような課題を解決するため、装置に電源が投入されて最初の出力の場合においては、S902の後、算出された補正パラメータをマスター画像生成部402に入力して再度マスター画像の位置合わせ、即ち、S802及びS804の処理を実行した上で、その補正後のマスター画像を用いてS903以降の処理を実行するようにしても良い。これにより、装置に電源が投入されて最初の出力においても、好適に画像の比較検査を行うことができる。
【0091】
また、上述したように、本実施形態において、検査装置4は、毎ページの比較検査においてマッチングを実行して生成された補正パラメータを、その次のページの比較検査においてマスター画像を補正するためのパラメータとして用いることにより、1ページの比較検査においてマスター画像の位置合わせ補正処理を2回実行するようなことを回避し、処理量の低減を図っている。その場合でも、位置ずれが経時的なものであるため、補正が好適になされることは上述したとおりである。
【0092】
しかしながら、図9のS902において算出された補正パラメータは、そのページの比較検査におけるマスター画像と読み取り画像とのずれ量を示す。従って、この補正パラメータが示す補正量が大きいということは、即ち、そのページのマスター画像と読み取り画像との位置ずれ量が大きいということを意味する。そのような場合に、そのまま画像の比較検査を実行することは非効率な処理であるため、算出された補正パラメータの値に基づき、マスター画像の再補正を実行するか否かを判断しても良い。そのような例を図12に示す。
【0093】
図12は、算出された補正パラメータに基づいてマスター画像の再補正を実行する場合の比較検査部404及び検査制御部403の動作を示すフローチャートである。図12において、S1201及びS1202については、図9のS901及びS902と同様に処理が実行される。S1202により補正パラメータが算出されると、検査制御部403は、算出された補正パラメータを所定の閾値と比較する(S1203)。
【0094】
S1203の比較の結果、補正パラメータが所定の閾値以上であれば、マスター画像と読み取り画像との位置ずれ量が大きいと判断し、検査制御部403は、算出された補正パラメータをマスター画像生成部402に入力して図8のS802、S803の処理を再度実行させる再補正を行う(S1204)。その後、図9のS903、S904と同様の処理を実行し(S1205、S1206)、処理を終了する
【0095】
このように、算出された補正パラメータが閾値を超えている場合には、その補正パラメータを用いて再度マスター画像を補正することにより、突発的に生じた位置ずれを補正して画像の比較検査を好適に実行することが可能となる。
【0096】
尚、S1203における判断は、所定の閾値以上であるか否かの判断に限らず、補正パラメータがゼロであるか否かの判断としても良い。これにより、マスター画像と読み取り画像との間に少しでも位置ずれがあれば、マスター画像の再補正の処理が実行され、画像の比較検査が好適に実行されることとなる。
【0097】
また、上述したように、S1202において算出された補正パラメータは、次のページの比較検査におけるマスター画像を補正するためのパラメータとして用いられるが、S1203の判断において閾値を超えた場合、閾値を超えた補正パラメータについては、次のページの比較検査において用いないようにしても良い。換言すると、検査制御部403は、前ページの比較検査において算出された補正パラメータが閾値を超えていた場合、次ページの比較検査において、閾値を超えていた補正パラメータ以外の補正パラメータを用いてマスター画像を補正するように、位置合わせ処理部424を制御しても良い。これにより、突発的に生じた位置ずれが時系列の補正パラメータに影響してしまうことを回避することができる。
【0098】
また、上述したように、最新の10〜100ページ分の補正パラメータの平均値を用いる場合においても、閾値を超えた補正パラメータについては平均値の計算に含めないようにしても良い。これにより、突発的に生じた位置ずれの影響を更に好適に排除することができる。また、S1203の判断により、算出された補正パラメータが閾値を超えている場合において、次のページの補正パラメータとして最新の10〜100ページ分の補正パラメータの平均値を用いるようにしても良い。
【0099】
また、上記実施形態においては、マスター画像を補正する場合、即ち、用紙の収縮に合わせてマスター画像を縮小する場合を例として説明した。即ち、上記実施形態においては、図5に示すように、マスター画像生成402に、画像補正部である位置合わせ処理部424が含まれる。
【0100】
しかしながら、用紙の収縮に応じて読み取り画像を拡大することによっても、上記と同様の効果を得ることが可能である。この場合、マスター画像の生成においては画像の補正に関する処理は行われず、図8のフローにおいて、S802及びS803の処理はキャンセルされる。他方、比較検査部404に位置合わせ処理部424の機能が含まれ、比較検査部404が、図9のS901の処理の前に、S802及びS803に相当する処理を読み取り画像に対して実行する。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0101】
また、上記実施形態においては、図1において説明したように、DFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4が夫々別々の装置として構成されている場合を例として説明した。ここで、図1に示す夫々の構成のうち、DFE1、エンジンコントローラ2及びプリントエンジン3は、商業印刷用の画像形成装置ではない一般的な画像形成装置においても相当する機能が含まれる構成である。
【0102】
従って、図13(a)に示すように、DFE1、エンジンコントローラ2及びプリントエンジン3に相当する機能が搭載された装置であるプリンタに、検査装置4を接続するような態様も可能である。また、図13(b)に示すように、DFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4に相当する機能がすべて搭載された1つの装置としてプリンタを構成するような態様も可能である。
【0103】
また、上記実施形態においては、DFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4がUSB(Universal Serial Bus)や、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)等のローカルなインタフェースによって接続されてシステムが構成される場合を例として説明した。しかしながら、検査装置4はDFE1、エンジンコントローラ2及びプリントエンジン3と同一の拠点に設置されている必要はなく、例えばネットワークを介して利用可能なアプリケーションとして提供することが可能である。
【0104】
図14は、検査装置4の機能がネットワークを介して提供される場合の例を示す図である。図14の例においては、エンジンコントローラ2及びプリントエンジン3と検査装置4とはインターネット等の公衆回線5を介して接続されている。そして、エンジンコントローラ2及びプリントエンジン3は、公衆回線5を介して検査装置4に対して必要な情報を送信する。また、検査装置4は、エンジンコントローラ2に通知するべき検査結果を、公衆回線5を介して送信する。このような態様により、ユーザの拠点に検査装置4を導入する必要がなくなり、ユーザのイニシャルコストを低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0105】
1 DFE
2 エンジンコントローラ
3 プリントエンジン
4 検査装置
10 CPU
20 RAM
30 ROM
40 HDD
50 I/F
60 LCD
70 操作部
80 専用デバイス
90 バス
101 給紙トレイ
102 給紙ローラ
103 分離ローラ
104 用紙
105 搬送ベルト
106BK、106C、106M、106Y 画像形成部
107 駆動ローラ
108 従動ローラ
109BK、109C、109M、109Y 感光体ドラム
110BK 帯電器
111光書き込み装置
112BK、112C、112M、112Y 現像器
113BK、113C、113M、113Y 感光体クリーナ
115BK、115C、115M、115Y 転写器
116 定着器
301 印刷処理部
302 読み取り装置
401 読取画像取得部
402 マスター画像生成部
403 検査制御部
404 比較検査部
421 少値多値変換処理部
422 解像度変換処理部
423 色変換処理部
424 位置合わせ処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】特開2005−223515号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置によって紙面上に画像形成出力された画像を読み取った読み取り画像の検査をページ毎に行う画像検査装置であって、
前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像を取得し、前記読み取り画像の検査を行うための検査用画像を生成する検査用画像生成部と、
前記生成された検査用画像と前記読み取り画像とを比較して検査を行う画像検査部と、
前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方において設定された基準点周囲の画像を、他方の画像において検索することにより他方の画像における基準点を抽出する基準点抽出部と、
前記検査用画像及び前記読み取り画像夫々における基準点の位置の差異に基づいて前記検査用画像と前記読み取り画像との位置ずれを補正するための補正情報を算出する補正情報算出部と、
前ページまでの前記読み取り画像の検査において算出された前記補正情報に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正する画像補正部とを含み、
前記基準点抽出部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像において前記基準点を抽出し、
前記画像検査部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像を比較して検査を行うことを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記画像補正部は、前ページまでの所定数のページの読み取り画像の検査において算出された前記補正情報の平均値に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記補正情報算出部は、前記算出した補正情報と予め定められた閾値とを比較してその比較結果を出力し、
前記画像補正部は、前ページの読み取り画像の検査において算出された補正情報による補正量が前記閾値を超えている場合に、前記平均値に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正することを特徴とする請求項2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記補正情報算出部は、前記算出した補正情報と予め定められた閾値とを比較してその比較結果を出力し、
前記画像補正部は、前記算出された補正情報による補正量が前記閾値を超えている場合、前ページまでの前記読み取り画像の検査において算出された前記補正情報に基づいて補正した前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を、前記閾値を超えた補正情報を用いて再度補正し、
前記画像検査部は、いずれか一方が前記画像補正部によって再度補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像を比較して検査を行うことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記補正情報算出部は、前記算出した補正情報と予め定められた閾値とを比較してその比較結果を出力し、
前記画像補正部は、補正量が前記閾値を超えていた補正情報以外の補正情報に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記画像補正部は、装置に電源が投入された後または省電力状態から復帰した後最初の前記読み取り画像の検査の場合、予め定められた補正情報に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記基準点抽出部は、前記画像補正部によって補正された前記検査用画像において設定された基準点周囲の画像を、前記読み取り画像において検索することにより前記読み取り画像における基準点を抽出し、
前記画像検査部は、前記画像補正部によって補正された前記検査用画像と前記読み取り画像とを比較して検査を行うことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記基準点抽出部は、前記検査用画像において設定された基準点周囲の画像を、前記画像補正部によって補正された前記読み取り画像において検索することにより前記読み取り画像における基準点を抽出し、
前記画像検査部は、前記検査用画像と前記画像補正部によって補正された前記読み取り画像とを比較して検査を行うことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の画像検査装置。
【請求項9】
画像形成出力を実行する画像形成部と、
紙面上に前記画像形成出力された画像を読み取る画像読み取り部と、
請求項1乃至8いずれか1項に記載の画像検査装置とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置によって紙面上に画像形成出力された画像を読み取った読み取り画像の検査をページ毎に行う画像検査装置の制御方法であって、
前記画像検査装置は、
前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像を取得し、前記読み取り画像の検査を行うための検査用画像を生成する検査用画像生成部と、
前記生成された検査用画像と前記読み取り画像とを比較して検査を行う画像検査部とを含み、
前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方において設定された基準点周囲の画像を、他方の画像において検索することにより他方の画像における基準点を抽出し、
前記検査用画像及び前記読み取り画像夫々における基準点の位置の差異に基づいて前記検査用画像と前記読み取り画像との位置ずれを補正するための補正情報を算出し、
前ページまでの前記読み取り画像の検査において算出された前記補正情報に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正し、
前記基準点の抽出においては、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像において前記基準点を抽出し、
前記画像検査部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像を比較して検査を行うことを特徴とする画像検査装置の制御方法。
【請求項11】
画像形成装置によって紙面上に画像形成出力された画像を読み取った読み取り画像の検査をページ毎に行う画像検査機能を有する画像形成システムであって、
前記画像形成装置と、
前記紙面上に画像形成出力された画像を読み取って前記読取画像を生成する読取装置と、
前記読取画像の検査を行う画像検査装置とを含み、
前記画像検査装置は、
前記画像形成装置が画像形成出力を実行するための出力対象画像を取得し、前記読み取り画像の検査を行うための検査用画像を生成する検査用画像生成部と、
前記生成された検査用画像と前記読み取り画像とを比較して検査を行う画像検査部と、
前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方において設定された基準点周囲の画像を、他方の画像において検索することにより他方の画像における基準点を抽出する基準点抽出部と、
前記検査用画像及び前記読み取り画像夫々における基準点の位置の差異に基づいて前記検査用画像と前記読み取り画像との位置ずれを補正するための補正情報を算出する補正情報算出部と、
前ページまでの前記読み取り画像の検査において算出された前記補正情報に基づいて前記検査用画像及び前記読み取り画像のいずれか一方を補正する画像補正部とを含み、
前記基準点抽出部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像において前記基準点を抽出し、
前記画像検査部は、いずれか一方が前記画像補正部によって補正された前記検査用画像及び前記読み取り画像を比較して検査を行うことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−57929(P2013−57929A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162802(P2012−162802)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】