説明

画像検査装置及び画像検査方法

【課題】検査対象について所定の画像生成手段により生成された検査画像を検査することにより検査対象の表面に存在する欠陥を検出する画像検査において、撮像画像に現れる明度ムラに起因するノイズの影響を低減する。
【解決手段】画像検査装置1は、検査対象2に関する所定の画像51中の欠陥有無の判定の対象となる検査画素60と、その周囲にある複数の画素61〜68のうち検査画素60と最もグレイレベル値が近い画素との間のグレイレベル差である最小グレイレベル差を検出する最小グレイレベル差検出部(21、22、25、26)と、最小グレイレベル差が所定の検出閾値を超えるとき画素60の位置に欠陥が存在すると判定する欠陥検出部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象について所定の画像生成手段により生成された検査画像を検査することによりこの検査対象の表面に存在する欠陥を検出する画像検査装置及び画像検査方法に関する。より詳しくはこのような画像検査において検査画像に存在するノイズによる影響を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハや、フォトマスク用基板、並びに液晶表示パネルなどの半導体装置等の製造は多数の工数から成り立っており、最終及び途中の工程での欠陥の発生具合を検査して製造工程にフィードバックすることが歩留まり向上の上からも重要である。製造工程の途中で欠陥を検出するために、半導体ウエハ、フォトマスク用基板、液晶表示パネル用基板、液晶デバイス用基板などの試料の表面に形成されたパターンを撮像し、これにより得られた画像を検査することにより試料表面に存在する欠陥を検出するパターン欠陥検査が広く行われている(例えば、下記特許文献1)。
以下の説明では、半導体ウエハ上に形成されたパターンの欠陥を検査する半導体ウエハ用欠陥検査装置を例として説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体メモリ用フォトマスク用基板や、液晶デバイス用基板、液晶表示パネル用基板などの半導体装置を検査する欠陥検査装置にも広く適用可能である。
【0003】
図1は、検査対象(試料)となる半導体ウエハ(以下、「ウエハ」と記す)上のダイ(チップ)の配列を示す図である。ウエハ2上には、複数のダイ3がX方向とY方向にそれぞれ繰返しマトリクス状に配列されている。各ダイには同じパターンが形成されるので、これらのダイを撮像した画像同士は本来同一となるはずであり、各ダイの撮像画像の対応する部分同士の画素値は本来同様の値となる。
【0004】
したがって、2つのダイを撮像して各画素の画素値(グレイレベル値)を取得し、2つのダイの撮像画像内の本来同一となるべき対応箇所同士の画素値の差分(グレイレベル差信号)を検出すると、両方のダイに欠陥がない場合に比べて一方のダイに欠陥がある場合にグレイレベル差信号が大きくなる。
したがって2つのダイを撮像した一方の画像を検査画像とし他方の画像を基準画像として、これら画像間の対応する画素同士のグレイレベル差を検出し、このグレイレベル差を所定の検出閾値と比較して、この検出閾値を超えるグレイレベル差を検出することによりダイ上に存在する欠陥を検出できる(ダイトゥダイ比較)。
また、1つのダイ内にメモリセルのような繰り返しパターンが形成されている場合には、この繰り返しパターン内の本来同一となるべき対応箇所を撮像した画像同士のグレイレベル差を検出しても欠陥を検出できる(セルトゥセル比較)。
【0005】
なお、ダイトゥダイ比較では、隣り合う2つのダイ同士を撮像した画像を比較するのが一般的である(シングルティテクション)。これではどちらのダイに欠陥があるか分からない。したがって、更に異なる側に隣接するダイとの比較を行い、再び同じ部分のグレイレベル差が所定の検出閾値より大きくなった場合にそのダイに欠陥があると判定する(ダブルディテクション)。セルトゥセル比較でも同様である。
【0006】
【特許文献1】特開2004−177397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
検査対象となる試料を光学的な撮像画像にグレイレベル値のムラが生じると、撮像画像中の本来同一となるべき対応画素同士の間のグレイレベル差が大きくなりやすく、このため本来欠陥でない箇所について検出される欠陥(疑似欠陥)が多くなる。
また、半導体回路パターンの微細化のため、検査の対象となる試料の表面を光学的に撮像してもパターンを解像できないことが多い。解像できないパターンを撮像した画像ではランダムなグレイレベル値のムラが現れるため疑似欠陥の検出数が多くなる。
【0008】
上記問題点に鑑み、本発明では、検査対象について所定の画像生成手段により生成された検査画像を検査することによりこの検査対象の表面に存在する欠陥を検出する画像検査において、撮像画像に現れるグレイレベル値のムラに起因するノイズの影響を低減する。
また、本発明では、撮像画像において検査対象の表面のパターンが解像していなくても、撮像画像に現れた微小な欠陥を検出する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、検査対象について所定の画像生成手段により生成された検査画像において、この検査画像中の欠陥判定の対象となる画素である検査画素と、検査画素の周囲にある複数の画素のうち検査画素に最もグレイレベル値が近い画素と、の間のグレイレベル差である最小グレイレベル差を検出し、最小グレイレベル差が所定の検出閾値を超えるとき、検査画素が示す位置に欠陥が存在すると判定する。
【0010】
検査画像として、検査対象の撮像画像を使用することができる。通常、欠陥が存在しない画像においては、ある画素の近くには、その画素のグレイレベル値と同程度のグレイレベル値を有する画素が存在する。例えば、試料の表面のパターンが解像していない画像においては、表面のパターンに起因するグレイレベル値の変化は緩やかであるので、この傾向はさらに大きくなる。
したがって画像中のある画素(検査画素)の周囲の、例えばこの検査画素から適切に設定した距離だけ離れた複数個の画素を、適切な数だけ選択して、これら選択した各画素のグレイレベル値がいずれも検査画素のグレイレベル値と大きく異なる場合には、この検査画素の位置に微小な欠陥があると考えることができる。
【0011】
また、検査対象の表面に既知の繰り返しパターンが形成されているとき、検査画像として、検査対象の撮像画像中の各画素と、撮像画像中に現れる繰り返しパターンにおいて各画素にそれぞれ対応する画素と、の間のグレイレベル差を、各画素の位置の画素値として有するグレイレベル差画像を使用してよい。このようなグレイレベル差画像は、例えばダイトゥダイ比較において隣接するダイ間の差画像としてよく、例えばセルトゥセル比較において隣接するセル間の差画像としてよい。
ムラのある撮像画像に基づいて上記のグレイレベル差画像を生成すると、グレイレベル値のムラがある画像になる。このようなグレイレベル差画像上で、従来の画像検査と同様に所定の閾値を超える画素を欠陥として検出すると、グレイレベル値のムラに起因して疑似欠陥が多くなる。
【0012】
撮像画像のグレイレベル値のムラはグレイレベル値の連続的な変化であるので、これらの差であるグレイレベル差もまた連続的な変化として現れる。したがって、グレイレベル差画像を検査画像に用いた場合、検査画像中の欠陥でない検査画素の周囲に同程度のグレイレベル値を有する画素が存在する。このため、ある検査画素のグレイレベル値が周囲の画素のグレイレベル値から大きく異なる場合には、この検査画素の位置に微小な欠陥があると考えることができる。
【0013】
上記の欠陥検出では、ある程度大きい欠陥を検出することができないおそれがある。なぜなら、欠陥が大きい場合には、検査される画素がこの欠陥の位置にあってもこの画素から所定の距離だけ離れた画素の位置もまたこの欠陥の中にあり、これらの画素同士のグレイレベル差が大きくならず、検出閾値を超えないからである。
このため本発明では、上記の第1の欠陥検出とともに、検査画像内の所定の範囲に分布する複数画素の平均グレイレベル値を計算し、検査画素と平均グレイレベル値との差分を検出し、この差分が所定の検出閾値を超えるときこの検査画素が示す位置に欠陥が存在すると判定する第2の欠陥検出を行う。
この第2の欠陥検出では、平均グレイレベル値の計算に用いる画素が選択される所定の範囲に比べて十分に小さな欠陥であれば、ある程度の大きさの欠陥を検出することができるので、微細な欠陥のみを検出する第1の欠陥検出を補完することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、本発明により、撮像画像に現れるグレイレベル値のムラに起因するノイズの影響を低減する。
また、撮像画像において検査対象の表面のパターンが解像していなくても、撮像画像に現れた微小な欠陥を検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例を説明する。図2は、本発明の第1実施例による欠陥検査装置のブロック図である。欠陥検査装置1には、3次元方向に移動可能なステージ11が設けられており、ステージ11の上面には試料台(チャックステージ)12が設けられている。この試料台12の上に検査対象となる試料であるウエハ2を載置して固定する。
【0016】
試料台12の上方には、ウエハ2の表面の光学像を撮像するための撮像部14が設けられる。撮像部14としては、1次元又は2次元のCCDカメラ(好適にはTDIカメラ)といったイメージセンサが使用され、その受光面に結像されたウエハ2の表面の光学像を電気信号に変換する。本構成例では撮像部14として1次元のTDIカメラを使用する。ステージ11の移動により撮像部14とウエハ2とを相対的に移動させることによって、ウエハ2に対して撮像部14をX方向又はY方向に走査させてウエハ2の表面の2次元画像を得る。なお、撮像部14によるウエハ2の表面の画像の撮像には、明視野照明光学系及び暗視野照明光学系のどちらを使用してもよい。撮像部14から出力される画像信号は、多値のディジタル信号(グレイレベル信号)に変換された後に、検査画像として画像メモリ15に記憶される。
【0017】
また欠陥検査装置1は、それぞれ異なるアルゴリズムを用いて、画像メモリ15に記憶された検査画像に対して画像処理を行い、検査画像に現れるウエハ2の表面の欠陥の検出をそれぞれ行う第1欠陥検査部20及び第2欠陥検査部30と、第1欠陥検査部20が検出した欠陥の欠陥情報と第2欠陥検査部30が検出した欠陥の欠陥情報とを結合して出力する欠陥情報結合部40と、を備える。
【0018】
第1欠陥検査部20及び第2欠陥検査部30は、画像メモリ15に記憶された検査画像を構成する各画素に対して、それぞれの画素の位置に欠陥が存在するか否かを判定し、欠陥が存在すると判定した場合にはその欠陥の位置等を示す欠陥情報を生成する。以下の説明において、第1欠陥検査部20及び第2欠陥検査部30が、各画素に欠陥が存在するか否かを判定する際に判定の対象とする1つの画素を、「検査画素」と記す。
第1欠陥検査部20は、グレイレベル差検出部21と、グレイレベル差選択部22と、第1検出閾値決定部23と、第1欠陥検出部24とを備える。
【0019】
グレイレベル差検出部21は、検査画素と検査画素から所定の画素数Rピクセルだけ離れたM個の画素とのグレイレベル差をそれぞれ検出する。
グレイレベル差選択部22は、グレイレベル差検出部21に検出されたグレイレベル差のうち最小のものを最小グレイレベル差として選択する。そして検査画像中のそれぞれの検査画素について検出された最小グレイレベル差をグレイレベル値としてそれぞれ有する各画素を、それぞれの検査画素の検査画像中の位置に対応する位置に配置することにより、第1の差画像を生成する。
【0020】
第1検出閾値決定部23は、第1の差画像に含まれる各画素に対して所定の統計処理を施すことにより第1の検出閾値を決定する。
第1欠陥検出部24は、第1の差画像に含まれる各画素と第1の検出閾値とをそれぞれ比較する。そして第1の差画像内のある画素が第1の検出閾値を超えるとき、第1の差画像内のこの画素の位置に対応する検査画像中の検査画素が示す位置に、欠陥が存在すると検出する。欠陥を検出した第1欠陥検出部24は検出した欠陥の位置等を示す欠陥情報を生成する。
【0021】
第2欠陥検査部30は、平均グレイレベル計算部31と、差分検出部32と、第2検出閾値決定部33と、第2欠陥検出部34とを備える。
平均グレイレベル計算部31は、検査画像内の所定の範囲に分布する複数の画素の平均グレイレベル値を計算する。
差分検出部32は、検査画素のグレイレベル値と平均グレイレベル値との差分を検出する。差分検出部32は、検査画像中のそれぞれの検査画素について検出したこれらの差分をグレイレベル値としてそれぞれ有する各画素を、それぞれの検査画素の検査画像中の位置に対応する位置に配置することにより第2の差画像を生成する。なお、平均グレイレベル計算部31は、各検査画素との間で差分を検出する平均グレイレベル値を各検査画素毎に計算する。
【0022】
第2検出閾値決定部33は、第2の差画像に含まれる各画素に対して所定の統計処理を施すことにより第2の検出閾値を決定する。
第2欠陥検出部34は、第2の差画像に含まれる各画素と第2の検出閾値とをそれぞれ比較する。そして第2の差画像内のある画素が第2の検出閾値を超えるとき、第2の差画像内のこの画素の位置に対応する検査画像中の検査画素が示す位置に、欠陥が存在すると検出する。第2欠陥検出部34は検出した欠陥の位置等を示す欠陥情報を生成する。
【0023】
図3に示すフローチャートを参照して、本発明の第1実施例による欠陥検査装置1の動作をさらに詳しく説明する。図3は、本発明の第1実施例及び後述の第2実施例による欠陥検査装置1により実行される処理の全体フローチャートである。
ステップS1では、1次元TDIカメラである撮像部14を走査してウエハ2の表面の2次元画像を得る。図4はウエハ2の表面を撮像するTDIセンサ14と、TDIセンサ14により撮像された撮像画像51を示す図である。
【0024】
1次元TDIカメラ14は、2次元CCDを撮像素子に有するカメラによって、その撮像画素の2次元配列の一方の配列方向と同じ方向に、撮影対象を走査することによって実現する。そして各撮像素子で光電変換して得た電荷を、走査速度に同期してその走査方向と同じ方向に転送することにより、走査方向と同じ方向に配列した複数の撮像画素で得られた電気信号を積算して、走査方向と直交するライン方向に画素が並ぶ1次元画像情報を生成する。以下の説明及び特許請求の範囲における用語の使用法において、1次元TDIカメラ14について使用する「走査方向」とは、1次元TDIカメラ14で撮影対象を走査する際の走査方向を意味し、「ライン方向」とは走査方向と直交する方向を意味する。
【0025】
図4は、ダイ3a〜3c、…が形成されたウエハ2の表面を、1次元TDIカメラ14で図示の走査方向に走査する様子を示しており、1次元TDIカメラ14を走査することによって走査されたウエハ2上の領域50の部分の撮像画像を参照符号51に示す。なお図4に示す撮像画像51は模式図であって、実際の撮像画像の場合は、必ずしも図3に示すようにウエハ2上に形成されたパターンが解像するとは限らない。
以下の説明及び特許請求の範囲における用語の使用法において、1次元TDIカメラ14によって撮像された2次元撮像画像51について使用する「列方向」とは、1次元TDIカメラ14のライン方向に並ぶ撮像画素によってそれぞれ撮像された画素が並ぶ方向を意味し、2次元撮像画像51について使用する「行方向」とは「列方向」と直交する方向を意味する。
【0026】
図3に戻り、ステップS2において第1欠陥検査部20は、画像メモリ15に記憶された撮像画像51(検査画像)を構成する各検査画素に対して、それぞれの検査画素の位置に欠陥が存在するか否かを判定し、欠陥が存在すると判定した場合にはその欠陥の位置等を示す欠陥情報を生成する。
図5は、図3に示す第1欠陥検出処理ステップS2にて行われる処理の第1例を示すフローチャートであり、図6は図5に示す処理の説明図である。
ステップS11〜ステップS14からなる繰り返しループでは、検査画像の全画素のそれぞれについて、各画素を検査画素としてステップS12及びS13を繰り返すことによって第1の差画像を生成する。
【0027】
ステップS12においてグレイレベル差検出部21は、検査画像中のある検査画素と、この検査画素から所定距離Rピクセルだけ離れたM個の画素とのそれぞれのグレイレベル差を検出する。例えば図6に示す検査画像51の例では、検査画素60から縦、横及び45度、135度、225度及び315度の角度の斜め方向にRピクセルだけ離れた8個の画素61〜68との間のグレイレベル差をそれぞれ検出する。整数Rの値は例えば3〜5ピクセルに設定してよい。
【0028】
ステップS13においてグレイレベル差選択部22は、グレイレベル差検出部21がステップS12で検出したM個のグレイレベル差のうちから、最小のものを最小グレイレベル差として選択する。そしてグレイレベル差選択部22は、検査画像51内の検査画素60の位置に対応する、第1の差画像内の位置の画素の画素値を、最小グレイレベル差の値に設定する。
図5に示すステップS11〜ステップS14からなる繰り返しループによって、検査画像の全画素のそれぞれについて上記処理を繰り返すことによって、第1の差画像が生成される。
【0029】
ステップS15において第1検出閾値決定部23は、第1の差画像に所定の統計処理を施すことによって第1の検出閾値を決定する。図7は、図5の検出閾値決定ステップS15の処理内容を説明するフローチャートであり、図8は、図7に示す検出閾値決定処理の説明図である。なお、図7及び図8を参照して以下に説明する検出閾値決定処理はあくまでも例示であり、本発明に使用する検出閾値決定処理がこれに限定されるものではない。
【0030】
ステップS21において第1の検出閾値決定部23は第1の差画像を入力し、ステップS22においてその画像に含まれる画素のグレイレベル値のヒストグラムを、図8の(A)に示すように作成する。ステップS23において第1の検出閾値決定部23は、このヒストグラムからグレイレベル値の累積頻度を算出する。
ステップS24において第1の検出閾値決定部23は、グレイレベル値がある所定の分布に従うと仮定した上でグレイレベル値に対して累積頻度が直線関係となるように、ステップS23で算出した累積頻度を変換する。このとき、グレイレベル値が正規分布、ポアソン分布、又はχ二乗分布などのある分布に従うと仮定して累積頻度を変換する。この変換累積頻度を図8の(B)に示す。
【0031】
ステップS25では、ステップS24で変換した変換累積頻度に応じて、グレイレベル値と変換累積頻度との関係を示す近似直線(y=ax+b)を導出する(図8の(C)参照)。
ステップS26では、近似直線のパラメータa、b及び感度設定パラメータ(固定値)から検出閾値Thを決定する。
【0032】
ここでは、グレイレベル値と変換累積頻度の近似直線において、固定の感度設定パラメータとしてVOPとHOを設定しておき、累積確率(p)に相当する累積頻度P1(pにサンプル数を乗じて求める。)になる直線上の点を求め、その点から縦軸方向にVOP、横軸方向にHO移動したグレイレベル値を検出閾値Thとする。従って、検出閾値Thは、所定の計算式
Th=(P1−b+VOP)/a+HO …(1)
により算出される。
【0033】
図5に戻りステップS16では、第1欠陥検出部24は、第1の差画像に含まれる各画素と第1の検出閾値とをそれぞれ比較する。そして第1の差画像内のある画素が第1の検出閾値を超えるとき、第1の差画像内のこの画素の位置に対応する検査画像51中の位置にある画素が示す位置に、欠陥が存在すると検出する。第1欠陥検出部24は検出した欠陥の位置等を示す欠陥情報を生成する。
【0034】
第1の差画像に含まれる各画素は、ある検査画素とこの検査画像の周囲のRピクセル(Rは3〜5程度)だけ離れた画素との間のグレイレベル差の最小値であるから、ステップS16により第1の差画像内のグレイレベル値が大きな画素を検出すると、Rピクセル離れた周囲の画素のいずれともグレイレベル値が異なる画素を検出することができる。したがって、本方法によって2Rピクセルよりも小さい程度の画素サイズを有する微小欠陥を検出することができる。
【0035】
図3に示すステップS3において第2欠陥検査部30は、画像メモリ15に記憶された検査画像を構成する各検査画素に対して、それぞれの検査画素の位置に欠陥が存在するか否かを判定し、欠陥が存在すると判定した場合にはその欠陥の位置等を示す欠陥情報を生成する。
図9は、図3に示す第2欠陥検出処理ステップS3にて行われる処理を示すフローチャートであり、図10は、図9に示す処理の説明図である。
ステップS31〜ステップS34からなる繰り返しループでは、検査画像の全画素のそれぞれについて、各画素を検査画素としてステップS32及びS33を繰り返すことによって第2の差画像を生成する。
【0036】
ステップS32では平均グレイレベル計算部31は、検査画素60と同じ列に並ぶN個の画素69のグレイレベル値の平均グレイレベル値を計算する。
ステップS33において差分検出部32は、平均グレイレベル計算部31がステップS32で計算した平均グレイレベル値と検査画素との差分を計算する。そして差分検出部32は、検査画像51内の検査画素60の位置に対応する、第2の差画像内の位置の画素の画素値を、計算した差分の値に設定する。
図9に示すステップS31〜ステップS34からなる繰り返しループによって、検査画像の全画素のそれぞれについて上記処理を繰り返すことによって、第2の差画像が生成される。
【0037】
ステップS35において第2検出閾値決定部33は、第2の差画像に所定の統計処理を施すことによって第2の検出閾値を決定する。第2検出閾値決定部33による検出閾値の決定は、第1の差画像に代えて第2の差画像を使用する以外、図7及び図8を参照して例示した検出閾値決定処理と同様に行うことができるので、重複を避けるために説明を省略する。
図9に戻りステップS36では、第2欠陥検出部34は、第2の差画像に含まれる各画素と第2の検出閾値とをそれぞれ比較する。そして第2の差画像内のある画素が第2の検出閾値を超えるとき、第2の差画像内のこの画素の位置に対応する検査画像51中の位置にある画素が示す位置に、欠陥が存在すると検出する。第2欠陥検出部34は検出した欠陥の位置等を示す欠陥情報を生成する。
【0038】
第2の差画像に含まれる各画素は、ある程度長いNピクセルの画素列のグレイレベル値の平均値と検査画素との間のグレイレベル差である。したがって、整数Nの大きさが十分大きい値に設定されていれば(例えばN=1000以上と設定する)、第2の差画像内のグレイレベル値が大きい画素を検出することによって、第1欠陥検査部20で検出可能できない2Rピクセルよりも大きな欠陥を検出することができる。
【0039】
なお、ステップS32において平均グレイレベル計算部31は、検査画素60と同じ列に並ぶ画素69のグレイレベル値の平均グレイレベル値を計算する。その理由は以下のとおりである。
検査画素60と同じ列に並ぶ他の画素69のグレイレベル信号は、検査画素60のグレイレベル信号を生成する1次元TDIカメラ14の撮像画素と、同じ撮像画素によって生成される。したがってこれら画素69のグレイレベル信号のS/N比などの信号の特性が検査画素60のそれと同じとなる。
このため、ステップS33において差分検出部32が、画素69の平均グレイレベル値と検査画素60との差分信号を検出する際に、これらの画素信号を生成した撮像画素の違いによって差分信号に影響が生じることが回避される。
【0040】
図3に示すステップS4において、欠陥情報結合部40は、第1欠陥検査部20が検出した欠陥の欠陥情報と第2欠陥検査部30が検出した欠陥の欠陥情報とを結合し、これら欠陥情報を両方とも出力する。
【0041】
図11の(A)〜図11の(D)を参照して、本発明にて生成される第1差画像、第2差画像と、従来のセルトゥセル比較による差画像の相違を説明する。
図11の(A)は差画像の生成に用いた元の撮像画像であり、図11の(B)は図11の(A)の撮像画像を用いて従来のセルトゥセル比較を行って得た差画像であり、図11の(C)は本発明による第1差画像であり、図11の(D)は本発明による第2差画像である。
図11の(B)〜図11の(D)の画像のS/N比を比較すると、信号値の大きさをグレイレベルの最大値とし、ノイズの大きさを6σと規定すると、図11の(B)に示す従来のセルトゥセル比較による差画像のS/N比は0.83となり、図11の(C)の第1差画像のS/N比は1.14となり、図11の(D)の第2差画像のS/N比は2.07となった。
本実験結果により、本発明によって欠陥検出に使用する差画像に生じるノイズが効果的に抑制され、従来よりも高精度の欠陥検出が可能となることが分かる。
【0042】
図12は、本発明の第2実施例による欠陥検査装置のブロック図である。本実施例と第1実施例との違いは第1欠陥検査部20の構成の違いであり、第1の差画像の生成方法に相違がある。
本実施例による第1欠陥検査部20は、第1実施例のグレイレベル差検出部21及びグレイレベル差選択部22に代えて、基準画素選択部25とグレイレベル差検出部26を備える。
【0043】
基準画素選択部25は、図6に示す検査画像51中の検査画素60から所定の距離Rにある複数の画素61〜68のうち検査画素60と最もグレイレベル値が近いものを基準画素として選択する。
グレイレベル差検出部26は、検査画素60と基準画素との間のグレイレベル差を最小グレイレベル差として検出し、検査画像51内の検査画素60の位置に対応する、第1の差画像内の位置の画素の画素値を、最小グレイレベル差の値に設定する。
図13は、図3に示す第1欠陥検出処理ステップにて行われる処理の第2例を示すフローチャートである。図5に示す第1例との差は、ステップS41〜ステップS44による第1の差画像の生成処理である。
【0044】
ステップS41〜ステップS44からなる繰り返しループでは、検査画像の全画素のそれぞれについて、各画素を検査画素としてステップS42及びS43を繰り返すことによって第1の差画像を生成する。
ステップS42において基準画素選択部25は、図6に示す検査画像51中の検査画素60から所定の距離Rにある複数の画素61〜68のうち検査画素60と最もグレイレベル値が近いものを基準画素として選択する。
【0045】
ステップS43においてグレイレベル差検出部26は、検査画素60と基準画素との間のグレイレベル差を最小グレイレベル差として検出し、検査画像51内の検査画素60の位置に対応する、第1の差画像内の位置の画素の画素値を、最小グレイレベル差の値に設定する。
図13に示すステップS41〜ステップS44からなる繰り返しループによって、検査画像の全画素のそれぞれについて上記処理を繰り返すことによって、第1実施例にて生成した第1の差画像と同様の差画像が生成される。
【0046】
図14は、本発明の第3実施例による欠陥検査装置のブロック図である。本実施例は上述の第1実施例の変形例であり、第1実施例の構成に加えてグレイレベル差画像生成部50及びグレイレベル差画像保持部51を有する。
グレイレベル差画像生成部50は、画像メモリ15に記憶されたウエハ2の表面の撮像画像において、隣接するダイ同士の画像を比較して、隣接するダイの画像の対応する画素間のグレイレベル差を、画素値として有するグレイレベル差画像を生成する。または、グレイレベル差画像生成部50は、画像メモリ15に記憶されたウエハ2の表面の撮像画像において、隣接するセル同士の画像を比較して、隣接するセルの画像の対応する画素間のグレイレベル差を、画素値として有するグレイレベル差画像を生成する。
グレイレベル差画像保持部51は、グレイレベル差画像生成部50により生成されたグレイレベル差画像を保持する。
【0047】
図15は、グレイレベル差画像生成部50によりグレイレベル差画像を生成する処理の説明図である。本例ではダイトゥダイ比較によりグレイレベル差画像を生成する場合を説明するがセルトゥセル比較によりグレイレベル差画像を生成する場合においても比較の対象がセルになる点が異なるだけで他の点は同様である。
グレイレベル差画像生成部50は、画像メモリ15に記憶されたウエハ2の表面の撮像画像51中の隣接するダイ3a及び3bの範囲にある部分画像It及びIrの画素のうち、互いに対応する画素、すなわちダイ内座標が互いに等しい画素P1及びP2のそれぞれのグレイレベル値(P01及びP02)の差分GL0(P01−P02)を算出する。
グレイレベル差画像生成部50は、部分画像It内の各画素についてそれぞれグレイレベル差GL0を算出し、元の画像の各画素P1の位置(Xt,Yt)と同じ位置の画素のグレイレベル値が各画素P1について算出したグレイレベル差GL0である画像をグレイレベル差画像として生成する。
【0048】
第1欠陥検査部20及び第2欠陥検査部30は、グレイレベル差画像保持部51に保持されているグレイレベル差画像を検査画像として、検査画像に画像処理を行い、検査画像に現れるウエハ2の表面の欠陥の検出をそれぞれ行う。第1欠陥検査部20及び第2欠陥検査部30が行う処理は第1実施例におけるそれぞれの処理と同様である。
【0049】
図16は、本発明の第3実施例及び後述の第4実施例による欠陥検査装置により実行される処理の全体フローチャートである。
ステップS1では、図3に示すフローチャートのステップS1と同様にウエハ2の表面の2次元画像を得る。
ステップS50では、グレイレベル差画像生成部50は、画像メモリ15に記憶されたウエハ2の表面の撮像画像において、隣接するダイ又はセル同士の画像を比較してグレイレベル差画像を生成する。グレイレベル差画像はグレイレベル差画像保持部51に保持される。
その後のステップS2〜S4の処理は、第1欠陥検査部20及び第2欠陥検査部30が処理する検査画像がグレイレベル差画像保持部51に保持されているグレイレベル差画像である点を除いて、図3に示すステップS2〜S4の処理と同様である。
【0050】
図17は、本発明の第4実施例による欠陥検査装置のブロック図である。本実施例は上述の第2実施例の変形例であり、第2実施例の構成に加えて上述のグレイレベル差画像生成部50及びグレイレベル差画像保持部51を有する。第1欠陥検査部20及び第2欠陥検査部30が処理する検査画像がグレイレベル差画像保持部51に保持されているグレイレベル差画像である点を除いて、本実施例は上記第2実施例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、検査対象について所定の画像生成手段により生成された検査画像を検査することによりこの検査対象の表面に存在する欠陥を検出する画像検査装置及び画像検査方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】半導体ウエハ上のダイの配列を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例による欠陥検査装置のブロック図である。
【図3】本発明の第1及び第2実施例による欠陥検査装置により実行される処理の全体フローチャートである。
【図4】ウエハ表面を撮像するTDIセンサのライン方向及び走査方向と、撮像画像の方向との関係を説明する図である。
【図5】図3に示す第1欠陥検出処理ステップにて行われる処理の第1例を示すフローチャートである。
【図6】図5に示す処理の説明図である。
【図7】検出閾値決定処理を説明するフローチャートである。
【図8】図7に示す検出閾値決定処理の説明図である。
【図9】図3に示す第2欠陥検出処理ステップにて行われる処理を示すフローチャートである。
【図10】図9に示す処理の説明図である。
【図11】(A)は撮像画像であり、(B)は(A)の撮像画像を用いてセルトゥセル比較を行って得た差画像であり、(C)は本発明による第1差画像であり、(D)は本発明による第2差画像である。
【図12】本発明の第2実施例による欠陥検査装置のブロック図である。
【図13】図3に示す第1欠陥検出処理ステップにて行われる処理の第2例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施例による欠陥検査装置のブロック図である。
【図15】グレイレベル差画像を生成する処理の説明図である。
【図16】本発明の第3及び第4実施例による欠陥検査装置により実行される処理の全体フローチャートである。
【図17】本発明の第4実施例による欠陥検査装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1 欠陥検査装置
2 ウエハ
20 第1欠陥検査部
21 グレイレベル差検出部
22 グレイレベル差選択部
23 第1検出閾値決定部
24 第1欠陥検出部
30 第2欠陥検査部
31 平均グレイレベル計算部
32 差分検出部
33 第2検出閾値決定部
34 第2欠陥検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象について所定の画像生成手段により生成された検査画像を検査することによりこの検査対象の表面に存在する欠陥を検出する画像検査装置であって、
前記検査画像中の欠陥判定の対象となる画素である検査画素と、該検査画素の周囲にある複数の画素のうち該検査画素に最もグレイレベル値が近い画素と、の間のグレイレベル差である最小グレイレベル差を検出する最小グレイレベル差検出部と、
前記最小グレイレベル差が所定の検出閾値を超えるとき、前記検査画素が示す位置に欠陥が存在すると判定する欠陥検出部と、
を備えることを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記最小グレイレベル差検出部は、
前記検査画素と該検査画素の周囲の前記複数の画素とのグレイレベル差をそれぞれ検出するグレイレベル差検出部と、
前記グレイレベル差検出部に検出されたグレイレベル差のうち最小のものを前記最小グレイレベル差として選択するグレイレベル差選択部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記最小グレイレベル差検出部は、
前記検査画素の周囲の前記複数の画素のうち前記検査画素と最もグレイレベル値が近いものを基準画素として選択する基準画素選択部と、
前記検査画素と前記基準画素との間のグレイレベル差を前記最小グレイレベル差として検出するグレイレベル差検出部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記検査画像は、前記検査対象の撮像画像であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記検査対象はその表面に既知の繰り返しパターンを有し、
前記検査画像は、前記検査対象の撮像画像中の各画素と、該撮像画像中に現れる繰り返しパターンにおいて前記各画素にそれぞれ対応する画素と、の間のグレイレベル差を、前記各画素の位置の画素値として有するグレイレベル差画像であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記検査画素、前記検出閾値及び前記欠陥検出部を、それぞれ第1の検査画素、第1の検出閾値及び第1の欠陥検出部とし、
前記検査画像内の所定の範囲に分布する複数画素の平均グレイレベル値を計算する平均グレイレベル計算部と、
前記検査画像中の欠陥判定の対象となる画素である第2の検査画素のグレイレベル値と前記平均グレイレベル値との差分を検出する差分検出部と、
前記差分が所定の第2の検出閾値を超えるとき、前記第2の検査画素が示す位置に欠陥が存在すると判定する第2の欠陥検出部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項7】
所定の画像生成手段は、前記検査対象を撮像するための1次元ラインセンサを備えており、前記検査対象を該1次元ラインセンサでそのライン方向と直交する方向に走査することにより前記検査対象を撮像し、
前記検査画像において列方向に並ぶ同一行の画素を前記ライン方向に並ぶ前記1次元ラインセンサのそれぞれの撮像画素で撮像された画素とし、前記検査画像において行方向に並ぶ同一列の画素を前記1次元ラインセンサの同一撮像画素を前記ライン方向と直交する方向に走査することによりそれぞれ撮像された画素とするとき、前記平均グレイレベル計算部は、前記検査画像の各画素のうち、前記第2の検査画素と同じ列に属する複数の画素のグレイレベル値の平均を前記平均グレイレベル値として計算する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像検査装置。
【請求項8】
所定の画像生成手段は、前記検査対象を撮像するための1次元ラインセンサを備えており、前記検査対象を該1次元ラインセンサでそのライン方向と直交する方向に走査することにより前記検査対象の撮像画像を生成し、
前記検査対象の表面に既知の繰り返しパターンが形成され、
前記検査画像は、前記撮像画像中の各画素と、該撮像画像中に現れる繰り返しパターンにおいて前記各画素にそれぞれ対応する画素と、の間のグレイレベル差を、前記各画素の位置の画素値として有するグレイレベル差画像であり、
前記撮像画像において列方向に並ぶ同一行の画素を前記ライン方向に並ぶ前記1次元ラインセンサのそれぞれの撮像画素で撮像された画素とし、前記撮像画像において行方向に並ぶ同一列の画素を前記1次元ラインセンサの同一撮像画素を前記ライン方向と直交する方向に走査することによりそれぞれ撮像された画素とするとき、前記平均グレイレベル計算部は、前記検査画像の各画素のうち、前記第2の検査画素と同じ列に属する複数の画素のグレイレベル値の平均を前記平均グレイレベル値として計算する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像検査装置。
【請求項9】
検査対象について所定の画像生成手段により生成された検査画像を検査することによりこの検査対象の表面に存在する欠陥を検出する画像検査方法であって、
前記検査画像中の欠陥判定の対象となる画素である検査画素と、該検査画素の周囲にある複数の画素のうち該検査画素に最もグレイレベル値が近い画素と、の間のグレイレベル差である最小グレイレベル差を検出し、
前記最小グレイレベル差が所定の検出閾値を超えるとき、前記検査画素が示す位置に欠陥が存在すると判定する、
ことを特徴とする画像検査方法。
【請求項10】
前記検査画素と該検査画素の周囲の前記複数の画素とのグレイレベル差をそれぞれ検出し、
検出されたこれら前記グレイレベル差のうち最小のものを前記最小グレイレベル差として選択する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像検査方法。
【請求項11】
前記検査画素の周囲の前記複数の画素のうち前記検査画素と最もグレイレベル値が近いものを基準画素として選択し、
前記検査画素と前記基準画素との間のグレイレベル差を前記最小グレイレベル差として検出する、
を備えることを特徴とする請求項9に記載の画像検査方法。
【請求項12】
前記検査画像は、前記検査対象の撮像画像であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項13】
前記検査対象はその表面に既知の繰り返しパターンを有し、
前記検査画像は、前記検査対象の撮像画像中の各画素と、該撮像画像中に現れる繰り返しパターンにおいて前記各画素にそれぞれ対応する画素と、の間のグレイレベル差を、前記各画素の位置の画素値として有するグレイレベル差画像であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項14】
前記検査画素及び前記検出閾値を、それぞれ第1の検査画素及び第1の検出閾値とし、
前記検査画像内の所定の範囲に分布する複数画素の平均グレイレベル値を計算し、
前記検査画像中の欠陥判定の対象となる画素である第2の検査画素のグレイレベル値と前記平均グレイレベル値との差分を検出し、
前記差分が所定の第2の検出閾値を超えるとき、前記第2の検査画素が示す位置にも欠陥が存在すると判定する、
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項15】
所定の画像生成手段は前記検査対象を撮像するための1次元ラインセンサを備え、
前記検査対象を該1次元ラインセンサでそのライン方向と直交する方向に走査することにより前記検査対象を撮像し、
前記検査画像において列方向に並ぶ同一行の画素を前記ライン方向に並ぶ前記1次元ラインセンサのそれぞれの撮像画素で撮像された画素とし、前記検査画像において行方向に並ぶ同一列の画素を前記1次元ラインセンサの同一撮像画素を前記ライン方向と直交する方向に走査することによりそれぞれ撮像された画素とするとき、前記検査画像の各画素のうち、前記第2の検査画素と同じ列に属する複数の画素のグレイレベル値の平均を前記平均グレイレベル値として計算する、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像検査方法。
【請求項16】
所定の画像生成手段は、前記検査対象を撮像するための1次元ラインセンサを備え、
前記検査対象を該1次元ラインセンサでそのライン方向と直交する方向に走査することにより前記検査対象の撮像画像を生成し、
前記検査対象の表面に既知の繰り返しパターンが形成され、
前記検査画像は、前記撮像画像中の各画素と、該撮像画像中に現れる繰り返しパターンにおいて前記各画素にそれぞれ対応する画素と、の間のグレイレベル差を、前記各画素の位置の画素値として有するグレイレベル差画像であり、
前記撮像画像において列方向に並ぶ同一行の画素を前記ライン方向に並ぶ前記1次元ラインセンサのそれぞれの撮像画素で撮像された画素とし、前記撮像画像において行方向に並ぶ同一列の画素を前記1次元ラインセンサの同一撮像画素を前記ライン方向と直交する方向に走査することによりそれぞれ撮像された画素とするとき、前記検査画像の各画素のうち、前記第2の検査画素と同じ列に属する複数の画素のグレイレベル値の平均を前記平均グレイレベル値として計算する、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−43941(P2010−43941A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208079(P2008−208079)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】