説明

画像検索方法、システム、及びプログラム

【課題】大規模画像データベースから特定の平面オブジェクト検索をする。
【解決手段】クエリ画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化する(700)。後続の変換においては少なくとも2つの特徴を利用する。セグメントまたはポリゴンの変換を実行してクエリ画像に対するインライア特徴を判定する(701)。変換は、ハフ変換であってもよい。クエリ画像のインライア特徴を、対応する登録画像のインライア特徴と比較する(702)。比較は、パラメータ空間またはハフ空間で行なってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に画像検索方法、システム、及びプログラムに関し、特に大規模データベースにおける改良された画像検索に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模データベースにおける特定の平面オブジェクトの検索問題に対する試みが幾つかなされている。平坦面を有する特定のオブジェクトを含むクエリ画像が与えられた場合に、大規模な画像コーパスからそのオブジェクトを表す代表的な画像のセットを見つけることが目的である。クエリ画像とそのターゲット画像との間の幾何変換の複雑さから、問題は2つのクラスに分類できる。すなわち、回転−拡大縮小−平行移動(Rotation−Scale−Translation、RST)変換画像検索と、アフィン/ホモグラフィ変換画像検索とである。前者の技術に基づく具体的なアプリケーションとしては、EMM特定と部分複製画像検出がある。EMM特定においては、クエリ画像は、携帯電話で撮影された原画像の3D視点が僅かに変化した画像である。従ってマッチングした2つの画像間の主たる幾何学的変化は、RST変換であると言える。同様に、部分複製画像検出における画像変化は主として、原画像への2Dデジタル編集技術によるものである。従ってこの場合には、マッチングした画像間の幾何学的変化はRST変換で十分に説明できる。
【0003】
しかしながら多くの場合、画像は、アフィン変換や場合によってはホモグラフィ変換などのような、RSTよりももっと一般的で複雑な変換をしたものになっている。例えば、ユーザが街中である視点から映画のポスタ−写真を撮影したとしよう。この撮影されたクエリ画像に基づいて、ユーザはその高品質画像またはそれに関連するオンライン上の映画のレビューを見ようとする場合を考える。この様な場合には、検索適合率を上げるために後者の“アフィン/ホモグラフィ変換画像検索”技術が利用される。
【0004】
Bag−of−Words表現
【0005】
逆ファイル索引法と共に、Bag−of−Words表現は、拡張性と精度とにおいて見事な性能を実証してきた。しかし、Bag−of−Words表現は、Visual Wordsのすべての空間情報を捨象し、そのために表現能力が大いに制限されて、通常は検索適合率が非常に低い。検索精度を上げるために、空間情報の欠落を補う目的で多くの方法が提案されてきた。すべての幾何形状の検証を利用する方法がある。この方法はロバストで高い検索適合率を達成するが、かなり長い計算時間を必要とする。より効率的な方法として、隣接する特徴間の空間関係で基本的なVisual−Word表現を増強するものがあるが、このアイディアに基づく方法は現状ではメモリ容量を多く必要とする。
【0006】
画像検索の最新の方法は、Bag−of−Words表現と拡張可能なテキスト索引方式とに依拠する傾向にある。しかし、Bag−of−Words表現はVisual Wordsの空間配置情報をすべて無視するので、記述能力に大きな制限があり、検索適合率が低い。空間情報の欠落を補うために、空間ピラミッドマッチング方式を利用する方法がある。これは、画像を次第に微細なサブ領域に区分し、そのサブ領域の内部でのみVisual Wordsのマッチングを行う。この方式は高速で実装が簡単であるが、大きな幾何変換によるサブ領域の配列のずれにハード的なグリッド分割方式が影響される。
【0007】
全体幾何検証(Full Geometric Verification)
【0008】
全体幾何検証法は、RANSACまたは最小二乗中間値(Least Median of Squares、LEMEDS)等のロバストな適合方法を利用するが、一般変換を扱うことが可能であり、通常、偽マッチングを除外するために用いられる。一般的に、2つの画像間の仮変換モデルは特徴に基づいて評価される。すべての特徴は評価モデルで検証され、モデルに一致しないものがアウトライア(outlier)として除外される。しかし、全モデルフィッティング手法は計算機処理が膨大となる。それに加えて、アウトライアのかなりの部分が量子化誤差および背景雑音から来るものであり、通常、RANSACやLMEDSなどの全モデルフィッティング方法は性能が低い。
【0009】
全体幾何検証の課題に対処するために、全モデルフィッティング手法を適用する前に、効果的ではあるがより弱い幾何学的検証に基づくアウトライア・フィルタリング方式を用いる方法もある。また別の方式としては、Bag−of−Words表現を隣接するVisual Words間の空間関係で補強しようとするものもある。例えば、従来法の1つは、Visual Wordsを検出された最大定常性極値領域(maximally stable extremal regions、MSER)によってグループに束ねて、各グループ内に幾何学的制約条件のセットを強制する。しかし、そのような方法の性能はバンドル方式のロバスト性、すなわちMSER検出器の再現性に大きく依存し、均一領域が僅かしか検出されないテキスト文書画像ではうまくいかない可能性が高い。別の方法では、空間コーディング方式を利用する。これは、各特徴を中心にして、この特徴と隣接する特徴との間の相対位置をコード化する。残念ながらこの方式は、全特徴に対する空間マップを格納するのに非常に大きなメモリ空間を必要とする。従ってあまり現実的ではない。
【0010】
ハフ変換
【0011】
別の1つの方法としては、アウトライアすなわち偽マッチングを処理するためにハフ変換を利用する方法がある。ハフ変換は、画像解析、コンピュータビジョン、およびデジタル画像処理に利用される特徴抽出手法である。この手法の目的は、ある形状のクラス内におけるオブジェクトの不完全なインスタンスを投票方式により発見することである。この投票方式はパラメータ空間で行なわれ、そこから、ハフ変換を計算するアルゴリズムによって明示的に構築されるいわゆるアキュムレータ空間における極大値として、オブジェクト候補が得られる。
【0012】
古典的なハフ変換は画像内の直線の特定に係わるものであったが、後にハフ変換は任意の形態、特に円や楕円の位置の特定に展開されるようになった。
【0013】
一般化ハフ変換(Generalized Hough Transform、GHT)は、ハフ変換をテンプレートマッチングの原理を利用して変形したものである。この変形により、ハフ変換を解析方程式で記述されるオブジェクト(例えば直線や円など)の検出のみならず、モデルで記述される任意のオブジェクトの検出にも利用できるようになった。
【0014】
画像中の(モデルで記述された)オブジェクトを見つけるという問題は、画像中のモデルの位置を見つけることで解決される。一般化ハフ変換においては、モデル位置を見つける問題は、そのモデルを画像にマッピングする変換パラメータを見つけるという問題になる。変換パラメータがわかっている限り、画像中でモデル位置を判定することができる。
【0015】
GHTの実装では、エッジ情報を利用して、エッジポイントの方向から形状の参照ポイントへのマッピングを画定する。ピクセルが黒または白の2値画像の場合、画像のすべての黒ピクセルは所望パターンの黒ピクセルとなり、ハフ空間内の参照点の位置を形成する。画像の各ピクセルが、対応する参照点に投票する。最大得票を得たハフ空間内のセル位置が、画像のパターンパラメータを示す。
【0016】
GHTの主たる問題点は、かなりの計算時間と記憶容量を必要とすることであり、オブジェクトの方向及びスケールを考慮する必要のある場合には特に深刻となる。計算コストを低減するために、エッジの方向情報が利用されてきた。別のGHT手法、例えばSC−GHT(ローカル特性として傾斜と曲率を利用する)等も提案されてきている。
【0017】
ハフ変換は、明らかなアウトライア(特徴の偽マッチング)を除外し、整合した変換解釈を示すインライア(inlier)(特徴の真マッチング)のクラスタを特定するために利用されてきた。或る方法では、マッチングした指標付けされた特徴に対するクエリ特徴の4つのパラメータ、すなわち2次元平面上の位置、スケール及び方向を利用して、ハフ空間内の粗く量子化されたビンの1つに投票する。ビンに4票以上投入された特徴のクラスタが、最小二乗法に基づくアフィン投影パラメータの評価に利用される。別の方法では、2つのマッチングしたVisual Word間のスケール及び方向の違いを利用して、主要ビンに投票しない組合せを単純に除外する。
【0018】
しかし、今日のハフ変換法は、周囲の特徴からの拘束は考慮せずに、個別の対応する特徴対に基づいて実行され、アウトライアを除外するための重要なヒントとなっている。さらに、これらの方法においては、パラメータ評価が粗いために、大きなサイズの量子化ビンを予め定めてハフ空間の投票に使用する。これではインライアとアウトライアの分離に限界があり、後続の全体幾何検証に大きな計算負荷を掛けてしまう。このようなハフ変換手法は高速ではあるが、これらのすべての方法は、非常に大雑把に評価したパラメータと、粗い、予め設定されたハフ空間と、単純な投票方式とを利用する。従って、これらの方式では、インライアからアウトライアを分離する性能がRANSACほどないことが多く、特にアフィン変換またはホモグラフィ変換などの複雑な変換に対してそうである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の方法は、画像検索の従来技術に関する1つ又は複数の前記及びその他の問題を実質的に取り除くための方法、システム及びプログラムに係わる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、インライア判定ユニットにより、クエリ画像の特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化することと、前記インライア判定ユニットにより、前記クエリ画像と少なくとも1つの登録画像との間の前記特徴のセグメントまたはポリゴンの変換を計算して変換パラメータを取得することと、前記インライア判定ユニットにより、前記変換パラメータにグループ化パターンを適用することと、前記インライア判定ユニットにより、投票方式を使用して前記クエリ画像に対するインライア特徴を投票することと、幾何検証ユニットにより、前記クエリ画像からのインライア特徴の投票を使用して前記少なくとも1つの登録画像から最適マッチング登録画像を判定することと、を含む方法が提供される。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、上記第1の態様において、前記変換は、RSTまたはアフィン変換であってもよく、前記変換パラメータにグループ化パターンを使用することは、ハフ空間における前記変換パラメータの高密度領域を特定することを含んでもよく、前記投票方式を使用することは、前記投票方式により特徴を破棄することをさらに含んでもよく、破棄されなかった特徴をインライア特徴と判定してもよい。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、上記第1の態様において、前記クエリ画像と登録画像との間の変換パラメータを取得することは、前記クエリ画像の変換特徴グループを前記少なくとも1つの登録画像の変換特徴グループと比較することを含んでもよく、前記変換は、RSTまたはアフィン変換であってもよく、前記変換パラメータは、前記クエリ画像と前記少なくとも1つの登録画像に対するハフ空間におけるインライア特徴を判定するために使用されてもよい。
【0023】
本発明の第4の態様によれば、上記第1の態様において、前記クエリ画像と前記登録画像との間の変換パラメータを取得することは、空間領域において前記クエリ画像のインライア特徴と前記登録画像の変換されたインライア特徴とを比較することにより行われてもよく、前記変換は、RSTまたはアフィン変換であってもよく、前記変換パラメータは、ハフ空間における特徴の投票に使用されてもよい。
【0024】
本発明の第5の態様によれば、上記第1の態様において、前記登録画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化することを更に含んでもよい。
【0025】
本発明の第6の態様によれば、上記第2の態様において、ハフ空間における変換パラメータの高密度領域を特定することは、前記クエリ画像と前記少なくとも1つの登録画像との間の前記セグメントまたはポリゴンの変換パラメータをハフ空間へマッピングすることと、ハフ空間のグリッド内のセグメントまたはポリゴンの変換パラメータの総数のピークを特定することと、前記ピークに隣接する所定の閾値を満たすグリッドを特定することと、前記ピークと前記特定されたグリッドとに基づいて高密度領域を特定することと、を更に含んでもよい。
【0026】
本発明の第7の態様によれば、クエリ画像を受信する装置と、前記クエリ画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化し、登録された各画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化し、セグメントまたはポリゴン変換を行なって前記クエリ画像及び各登録画像に対する変換パラメータを取得し、ハフ空間における変換パラメータの高密度領域からクエリ画像のインライア特徴を選択するプロセッサと、前記クエリ画像のインライア特徴と前記各登録画像の対応するインライア特徴とをマッチングする幾何検証ユニットと、を備えるシステムが提供される。
【0027】
本発明の第8の態様によれば、上記第7の態様において、前記ハフ空間における変換パラメータの高密度領域からクエリ画像のインライア特徴を選択することは、ハフ空間における変換された特徴の高密度領域を特定し、変換された特徴を投票方式に基づいて破棄することを含んでもよく、前記変換は、RSTまたはアフィン変換またはホモグラフィ変換であってもよく、破棄されなかった変換された特徴をインライア特徴と判定してもよい。
【0028】
本発明の第9の態様によれば、上記第7の態様において、前記クエリ画像と前記登録画像との間のインライア特徴変換を計測することにより、前記クエリ画像と前記各登録画像との間の変換パラメータを取得するパラメータ評価ユニットを更に備えてもよく、前記変換は、RST、アフィン変換、またはホモグラフィ変換であってもよく、前記変換パラメータは、ハフ空間における対応するインライア特徴の判定に使用されてもよい。
【0029】
本発明の第10の態様によれば、上記第7の態様において、前記クエリ画像のインライア特徴と前記登録画像の変換されたインライア特徴とを空間領域で比較することにより、前記クエリ画像と前記各登録画像との間の変換パラメータを取得するパラメータ評価ユニットを更に備えてもよく、前記変換は、RST、アフィン変換、またはホモグラフィ変換であってもよく、前記変換パラメータは、ハフ空間における対応するインライア特徴の判定に使用されてもよい。
【0030】
本発明の第11の態様によれば、上記第7の態様において、前記装置は、カメラであってもよい。
【0031】
本発明の第12の態様によれば、上記第8の態様において、前記ハフ空間における変換パラメータの高密度領域を特定することは、前記クエリ画像と前記各登録画像との間の前記セグメントまたはポリゴン変換をハフ空間へマッピングすることと、前記ハフ空間のグリッド内の前記クエリ画像と登録画像との間のセグメントまたはポリゴン変換の総数のピークを特定することと、前記ピークに隣接する所定の閾値を満たすグリッドを特定することと、前記ピークと前記特定されたグリッドとに基づいて高密度領域を特定することと、
を更に含んでもよい。
【0032】
本発明の第13の態様によれば、コンピュータに、クエリ画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化することと、ハフ空間において前記セグメントまたはポリゴンの変換を算出して、前記クエリ画像のインライア特徴を判定することと、前記クエリ画像のインライア特徴を使用して最適マッチング登録画像を判定することと、を含む処理を実行させるプログラムが提供される。
【0033】
本発明の第14の態様によれば、上記第13の態様において、前記クエリ画像のインライア特徴を判定することは、ハフ空間における変換パラメータの高密度領域を特定することと、投票方式に基づいて特徴を破棄することとを含んでもよく、前記変換は、RST、アフィン変換、またはホモグラフィ変換であってもよく、破棄されなかった特徴をインライア特徴と判定してもよい。
【0034】
本発明の第15の態様によれば、上記第13の態様において、前記処理は、変換されたクエリ画像のインライア特徴を前記各登録画像の変換されたインライア特徴と比較することにより、前記クエリ画像と各登録画像との間の変換パラメータを評価することを更に含んでもよく、前記変換は、RST、アフィン変換、またはホモグラフィ変換であってもよく、前記変換パラメータは、ハフ空間における対応するインライア特徴の判定に使用されてもよい。
【0035】
本発明の第16の態様によれば、上記第13の態様において、前記処理は、前記クエリ画像のインライア特徴を空間領域における前記各登録画像の変換されたインライア特徴と比較することにより、前記クエリ画像と各登録画像との間の変換パラメータを評価することを更に含んでもよく、前記変換は、RSTまたはアフィン変換、またはホモグラフィ変換であってもよく、前記変換パラメータは、ハフ空間における対応するインライア特徴の判定に使用されてもよい。
【0036】
本発明の第17の態様によれば、上記第13の態様において、前記処理は、各登録画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化することを更に含んでもよい。
【0037】
本発明の第18の態様によれば、上記第14の態様において、ハフ空間における変換された特徴の高密度領域を特定することは、前記セグメントまたはポリゴンの変換されたパラメータをハフ空間中にマッピングし、前記ハフ空間のグリッド内のセグメントまたはポリゴン変換パラメータの総数のピークを特定し、前記ピークに隣接する所定の閾値を満たすグリッドを特定し、前記ピークと前記特定されたグリッドとに基づいて高密度領域を特定することを更に含んでもよい。
【0038】
本発明に関するその他の態様は、以下の説明で部分的に説明され、また以下の説明で部分的に明らかであり、又は本発明の実行により習得することができる。本発明の態様は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲において特に指摘された要素、及び種々の要素と態様との組合せによって、実現及び達成をすることができる。
【0039】
上記及び以下の記述はいずれも、単に例示及び説明を目的とするものであり、特許請求の範囲に記載の発明もしくはその適用をいかなる形であれ限定することは全く意図されていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付の図面が、本発明の実施形態を例示し、説明と相俟って、本発明技術の原理の説明及び例示に供する。
【図1】本発明の実施形態による2次元高密度領域検出アルゴリズムの例を示す図である。
【図2】RST変換画像に対するハフ変換に基づくアウトライア・フィルタリング実装例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態による粗いハフ変換による明らかなアウトライアの除外とインライアのクラスタリングのプロセス例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態によるRST画像検索に対する2段階ハフ変換の例示的実装を示す図である。
【図5】本発明の実施形態によるアフィン/ホモグラフィ変換画像検索のために2次元ハフ変換のセットをバンドルし、フィルタリングされたハフ空間におけるパラメータを正確に評価する例示的実装を示す図である。
【図6】本発明の実施形態によるアフィン/ホモグラフィ変換画像検索のために、2次元ハフ変換のセットをバンドルし、モデルフィルタリング法に基づいてパラメータを正確に評価する例示的実装を示す図である。
【図7】本発明の基本的実施形態による例示的フローチャートを示す図である。
【図8】本発明の実施形態による例示的機能図である。
【図9】本発明のシステムを実装するコンピュータプラットフォームの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の詳細な説明においては添付の図面を参照する。ここで、同一の機能的要素は同様の符号で示される。前述の添付図面は、本発明の原理に整合する特定の実施形態および実装を例示するものであり、それに限定するためのものではない。これらの実装形態は、当業者による本発明の実行を可能とすべく詳細に記述される。また、他の実装も利用可能であること、及び本発明の範囲及び精神から逸脱することなく様々な要素の構造上の変更及び/又は代替が行われてもよいことを理解されたい。従って、以下の詳細な記述は本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。更に、記述される本発明の様々な実施形態は、汎用コンピュータ上で実行されるソフトウェア、専用ハードウェア、あるいはソフトウェアとハードウェアの組合せ、のいずれの形態において実施されてもよい。
【0042】
大規模なデータベースにおける特定の平面オブジェクトの検索精度を上げ、検証プロセスを高速化するために、本発明の様々な実施形態ではハフ変換を利用する。既存のハフ変換をベースとする方法における限界に対処するために、画像全体におけるマッチングポイントの関係に基づくより高精度のパラメータ評価が実行される。従来手法に比べて、より高精度のパラメータ評価をすることにより、インライア−アウトライアをより正確に分離でき、その結果として、全体幾何検証の負荷が低減されて、検索適合率は向上する。さらに、予め設定された量子化ビンの境界効果に対処するために、2次元高密度領域検出という、よりロバストな手法を利用する。これは、任意の濃度で分散する一定の特徴のクラスタを特定することが可能であり、量子化サイズにあまり依存しない。RST画像を検索するために、検出された高密度領域をRSTパラメータの正確な値の計算に直接利用することができ、領域内の重み付きの量子化値の平均を用いてもよく(この方法はメモリをあまり必要としない)、または領域内のMSSにより評価された実際の値の平均を用いてもよい(精度は上がるが、より多くのメモリを必要とする)。200k以上の画像を有する大規模データベースにおける実験では、本発明の種々の実施形態は一貫して高精度が得られる傾向がある。すなわち、EMM特定においては99%を超えるトップ3の精度であり、部分複製画像検出においては8.5以上のトップ10の適合率である。さらに、メモリ使用量と計算時間もまた低くなる傾向にある。すなわち、EMM特定では560ms未満で1.2GBのメモリ空間であり、部分複製画像検出では1.2s未満で880GBのメモリ空間である。
【0043】
計算の複雑さを更に低減するために、特に複雑な変換を受けた画像に対して、粗段階のハフ変換が利用される。これは、早い段階で明らかなアウトライアを除外し、インライアをクラスタにグループ化する。そして、2段階のハフ変換をしてから、幾何検証をうける。
【0044】
アフィン/ホモグラフィ変換画像の検索に関して、最小サンプルセット(minimum sample sets、MSS)で評価されたパラメータを用いるハフ変換をベースとする検証における大きな課題は、高次元パラメータ空間においてアウトライアの割合が高いことである。全パラメータ空間を幾つかの2次元ハフ空間に分割すると、それぞれの2次元ハフ変換ではインライアよりもむしろアウトライアにモデルが合う可能性が高い。この問題に対処するには、ハフ変換のセットを一緒にバンドルして、インライアとアウトライアのセグメント化を行う。それぞれの2次元ハフ空間は、“弱い分類器”としてサンプルの分類に用いられる。そして投票方式によって最終判定がなされる。
【0045】
RST変換画像検索のためのハフ変換に基づくアウトライアのフィルタリング
【0046】
回転−拡大縮小−平行移動(RST)変換画像クエリに対して、本発明の実施形態ではハフ空間フィルタリング法を活用する。画像間のマッチングポイントの各対に対して、本発明の実施形態では、パラメータのセットを取得し、ハフ空間内に蓄積して、パラメータの評価を行う。
【0047】
RANSACやLMEDSの問題を克服するために、本発明の実施形態ではハフ変換の手法を活用してアウトライアをフィルタリングして除外して、検証プロセスを高速化する。そして、画像全体においてマッチングポイントに基づくより高精度のパラメータ評価を実行する。通常のハフ変換システムに比べると、より高精度のパラメータ評価を活用することで、より良好にインライアとアウトライアを分離できる。インライアとアウトライアを良好に分離することにより、全体幾何検証の負荷がさらに軽減し、認識結果を向上することができる。アウトライアのフィルタリングには次の3つのコンセプトを活用する。
【0048】
代表的パラメータの評価
代表的パラメータの評価は最小サンプルセット(MSS)を用いて計算される。最小サンプルセットには、モデルパラメータを判定するための最小数のサンプルすなわち特徴が含まれている。
【0049】
ハフ変換のための高密度領域の検出
投票して主ビン(最多得票ビン)を検出するために予め定義された量子化ビンを用いる代わりに、よりロバストな、これ以降2次元高密度領域検出と呼ぶ手法を利用して、任意の密度で一定の分布している特徴のクラスタを特定する。これは量子化サイズには過度に依存しない。そのようなインライアクラスタの検出方法を順番に利用することにより、計算及びメモリ空間の複雑さを軽減することができる。
【0050】
検出された高密度領域に基づく正確なパラメータの計算
検出された高密度領域内の特徴である、検出されたインライアに基づいて、領域内の重み付き量子化値の平均化か、領域内のMSSに基づいて評価された実際の値の平均化のいずれかにより、パラメータ値を直接計算することが可能である。
【0051】
Visual Wordのランク付け
クエリ画像のVisual Wordが画像中心からの距離の近い順にランク付けされる。
【0052】
代表パラメータの評価
【0053】
指標ポイント[x,y]のクエリポイント[u,v]へのRST変換は次のように表現される。
【数1】

【0054】
等方的な比例縮小、回転、および平行移動はそれぞれ、s、θ、[t,tで表される。
【0055】
表記を簡単にするために、a=s*cosθ、b=s*sinθと表すと、RST変換は次のように書き直される。
【数2】

【0056】
4つの変換パラメータ(a,b,t,t)を解くためには、少なくとも2つの特徴が必要である。従って変換は少なくとも2つの特徴に基づいて実行され、特徴のセグメントまたはポリゴンが利用される。N個の特徴から成るセグメントまたはポリゴンが与えられているものとすると、各MSSに基づくパラメータの評価によって、式(1)に示すように、N(N−1)/2のパラメータの評価が与えられる。
【数3】

【0057】
ここで、[Δuij,Δvij、[Δxij,Δyijがそれぞれクエリポイント[u,vと[u,vとの差、および対応するマッチングした指標ポイント[x,yと[x,yとの差である。(aij,ij,txij,tyij)は2つの特徴に基づいて計算されるパラメータである。
【0058】
ハフ変換のための高密度領域の検出
【0059】
パラメータが与えられると、標準的なハフ変換手順は3つのステップで行われる。a)全パラメータ空間を予め設定されたビンに量子化することによりアキュムレータ空間を構築する。b)各パラメータをアキュムレータ空間のビンに投入する。c)パラメータが最も多い主ビンを見つける。この手順においては、2つの大きな制約がある。第1に、全パラメータ空間において主ビンを探索するのに時間的空間的複雑さが大きい。これはO(K,...K)のオーダであり、ここで、K(1≦i≦m)は次元iの範囲であり、mはパラメータ数である。第2に、検出された特徴の位置誤差により、インライアから成るMSSのパラメータがパラメータ空間の1点に重ならないで、ある密度でのグループになる可能性がある。従って、インライアとアウトライアとの分離が、予め設定されたビンサイズで、すべての場合にうまく機能するわけではない。予め設定されたビンサイズが小さ過ぎると、真のインライアが隣接ビンに入ってしまい、主ビンの顕現性が損なわれる可能性がある。しかし、サイズが大き過ぎると、適正なビンに多くのアウトライアが入ってしまう。
【0060】
この複雑さの問題に対処するために、本発明の実施形態においては、全体の4パラメータ空間を2つの2次元空間、すなわちa−b空間とt−t空間とに分解し、それを順番に結合する。本発明の実施形態では、先ずa−b空間においてハフ変換を実行してインライアを特定し、次にこれらのインライアに基づいて正確なa,bの値を取得する。その後に、正確なa,bの値に基づいてそれぞれの対応のt,tを計算し、再度t−t空間においてハフ変換を実行して正確なt、tの評価を行う。
【0061】
第2の問題に対処するために、本発明の実施形態においては、2次元高密度領域検出アルゴリズムを利用する。そのプロセスを下の表に示し、図1で説明する。
【数4】

【0062】
図1は本発明の実施形態による2次元高密度領域検出アルゴリズムの例を示す。この実施例では、a−b空間は8×8のグリッド100に量子化される。ビンaとbとが次元aとbに沿って最大得票を得た主ビンとして検知される。主ビンとして検知されたそれぞれに関して、最近接のビンが検査される。そのビンが十分な得票を得ていれば(この実施例では、aの評価式102およびbの評価式103に対して閾値を3に設定した)、この次元の範囲を拡大して、そのビンを含むようにする。そうでない場合には終了する。拡大範囲内の領域が、検出された高密度領域101として判定される。
【0063】
検出された高密度領域に基づく正確なパラメータの計算
【0064】
検出された高密度領域に基づいて、高精度のパラメータa、b、t、tの計算を更に進めるために2つの方法がある。
a)領域内の重み付き量子化値を平均する。量子化値の重みは、検出された領域内において、この次元に沿うすべてのビン内のオブジェクトの総数に対する該当するビン内のオブジェクト数として定義することができる。この方式は、各MSSから取得されたパラメータの実際の値を格納する必要がないので、高速でありかつメモリ効率が良い。
b)検出された領域内のMSSに基づいて評価された実際の値を平均化する。この方式はより正確である。ただし、パラメータの実際の値を格納するためにより大きなメモリを必要とし、またそれにアクセスするのに時間も長くかかる。
【0065】
Visual Wordのランク付け
【0066】
すべての特徴を変換評価に利用して記録するには、時間もかかり、メモリも多く必要である。実際には、対象となるオブジェクトは一般的に、十分な画像空間を活用し、クエリ画像の中心付近に配置されているという事実に基づいて、特徴の部分集合のみが利用される。従って、クエリ画像の中心に近い特徴が、周辺部にある特徴に比べて、ターゲット画像上に現れる可能性が高い。この事実により、本発明の実施形態においては、クエリ画像のvisual wordsを画像中心からの距離に従って昇順にランク付けする。そして、最高ランクのクエリ特徴をデータベースとマッチングさせる際に、それらの特徴をより容易かつより早く選択できるようにする。
【0067】
図2は、RST変換画像に対するハフ変換を利用したアウトライア・フィルタリングのフローチャートの例を示す。
【0068】
特徴の最初のフィルタリングとして、Bag of Words(BoW)クエリがクエリ画像に適用されて、画像中心からの距離に基づいて判定及びランク付けされる(200)。ランク付けされたBoWに基づき、データベース202中の画像に対して最初の対応構築201が実行される。幾何検証205に利用される特徴を精選するために、クエリ中心203に最近接する予め設定された個数のマッチングによってハフ変換が実行され、拡大縮小と回転を処理するために、2次元並進空間204で別のハフ変換が行なわれる。クエリ画像と登録画像との間でインライアが導出され、ランク付けされる(206)。
【0069】
フィルタリングプロセス高速化のための2段階ハフ変換
【0070】
全てのMSSでパラメータを評価することは、パラメータ数が増すに連れて多大な時間を要するようになる。さらに、パラメータ数が増加するにつれハフ変換でのインライアの割合も下がってくる。
【0071】
このような問題に対処するために、本発明の実施形態では2段階ハフ変換方式を利用する。これは、先ず粗いハフ変換を行なって、指標付けされた特徴の位置と高密度領域検出アルゴリズムとによって明らかなアウトライアを除外し、次いで、上述の精細なハフ変換を実行してインライアを更に精選して正確なパラメータを評価する。
【0072】
2段階ハフ変換方法の説明
【0073】
図3は、本発明の実施形態による粗いハフ変換による明らかなアウトライアの除外とインライアのクラスタリングのプロセスの例を示す。
【0074】
図3に示すように、粗いハフ変換に用いられるパラメータは、明らかなアウトライアを迅速に特定可能であり、その一方で、見落とすインライアは僅かしかない。評価に使用されるクエリ特徴は、画像中心の近くに位置する。従って、対応する指標付けされた特徴、つまり真の変換を示すと思われる特徴は、まとまってグループを形成する筈である。そこで特徴は、図3(a)に示す高密度領域検出手法に基づいて指標付けされた特徴の位置に従ってグループ化される。しかし、最大得票数の1つの領域を選択するのではなく、本発明の実施形態では、MをMSSの濃度とすると、M個より多い特徴を含むすべての候補領域を先ず検出する(候補領域の例を図3(b)に示す)。その次に、それぞれの候補領域の近傍をチェックして(図3(c)の点線の円に示すように)、他のすべての候補領域から離れている領域を削除する。そして最後に、本発明の実施形態によりインライアのクラスタが取得され、図3(d)に示すように各検出領域内のパラメータがMSSに基づいて計算される。
【0075】
図4は、本発明の実施形態によるRST画像検索に対する2段階ハフ変換の例示的実装を示す。図2で用いられたハフ変換に加えて、追加的な粗いハフ変換400を用いてフィルタリングされたマッチング点のクラスタを得てもよい。考え方としては、図2のハフ変換を、対比的に精細なハフ変換401と見なすことが可能である。
【0076】
アフィン変換またはホモグラフ変換画像への拡張方法
【0077】
本発明の実施形態で、より一般的な変換、例えばアフィン変換またはホモグラフィ変換を含む画像の処理も試みる。
【0078】
上記の方法を利用することにより、本発明の実施形態は大規模なRST画像検索に対して優れた性能を発揮する。しかし、この方式をアフィン/ホモグラフィ変換画像に直接適用すると以下の2つの問題に直面する。
1)6または8個のパラメータに対する計算コストはO(N)の割合で顕著に増加する。ここで、Nは評価に利用する特徴の数であり、Cはモデルを評価するためのMSSの濃度である。
2)パラメータ数の増加と共に、アウトライアの割合が顕著に増大する。従って、全体のパラメータ空間を幾つかの2次元ハフ空間に分割すると、各2次元ハフ空間内のアウトライアが、インライアが形成する高密度領域よりも得票数の高い高密度領域を形成する可能性が非常に大きい。言い換えると、2次元ハフ変換は、インライアよりもアウトライアで構成されたモデルに合う可能性が高い。
【0079】
アフィン変換またはホモグラフ変換画像への拡張方法の説明
【0080】
高い計算コストに対処するために、本発明の実施形態は、2段階でMSSの数を低減する。a)粗いハフ変換を適用してアウトライアのいくつかを除外し、対応セット全体をいくつかのグループに分割する。b)各グループのMSSの数が予め設定した値を超えると、各対応に基づいてMSSの部分集合を選択することのみによりでMSSを更に低減する。このやり方によって計算コストを大きく低減できる。例えば、ホモグラフィ変換に対する8つのパラメータの評価に50の特徴が与えられたとすると、すべての特徴の組合わせは膨大であって230301個のMSSになってしまう。粗い変換によって特徴を2つのグループに分けて、各グループが25個ずつを含むと仮定すると、MSSの総数は25300に減らすことが可能である。さらに、個別対応関係からMSSの70%しか使わないとすると、MSS数を更に6075に減らすことができる。
【0081】
第2の問題に対処するために、本発明の実施形態はインライアとアウトライアを分離するために2次元ハフ変換のセットをバンドルする。事実として、インライアは、大部分の2次元ハフ空間において一定のグループを形成する。その一方で、アウトライアは、大部分の2次元ハフ空間において密にグループ化する確率がはるかに低い。従ってそれぞれの2次元ハフ空間を“弱い分類器”と見なすことができる。サンプルが検出された高密度領域に入っていれば、それはインライア候補とされ、そうでなければアウトライアとされる。“弱い分類器”がサンプルから十分な数のインライア候補を特定する場合に、それは保存され、そうでない場合には除外される。このプロセスにおいて、インライア/アウトライアの投票数が予め設定した閾値に到達すると、2次元ハフ空間での検索を停止することができる。より厳密でより高速なアウトライアの特定法としては、“弱い分類器”を直列に結合する方法がある。この場合には、1つの“弱い分類器”が対応関係をアウトライアであるとみなすと、それは除外される。
【0082】
第3段階のハフ空間における高精度のアフィン/ホモグラフィ評価
【0083】
インライアを取得した後、図5と図6に示す2つの方法で変換パラメータを正確に評価することが可能である。
【0084】
図5は、本発明の実施形態による、アフィン/ホモグラフィ変換画像検索のために、2次元ハフ変換のセット500をバンドルし、フィルタリングされたハフ空間におけるパラメータの正確な評価をするための例示的実装を示す。正確なアフィン/ホモグラフィ評価はフィルタリングされたハフ空間501で実行される。評価の実行には、インライアの重み付き量子化パラメータの平均を利用するか、またはインライアから評価された実パラメータ値の平均を利用するかのいずれかが行なわれる。
【0085】
図6は、本発明の実施形態による、アフィン/ホモグラフィ変換画像検索のために、2次元ハフ変換のセットをバンドルし、モデルフィルタリング法に基づいてパラメータの正確な評価をするための例示的実装を示す。パラメータの評価は、パラメータを空間ドメインに戻してモデルフィッティング法600で評価することにより実行できる。
【0086】
評価
1.DLT、LMEDS、RANSACと本発明の実施形態による方法との性能比較
【0087】
RST画像検出への適用における本発明の実施形態による方法の性能をテストするために、よく知られた別の3つのフィッティング方法、すなわちDLTとLMEDSとRANSACとの比較を行った。性能は、5つの基準に関して評価した。それらは、マッチング画像がトップ1として検出される割合(トップ1精度)、クエリあたり2000画像のマッチングに要するマッチング時間、真のマッチング画像に対する正検出割合(PP−T)、真のマッチング画像に対する負検出割合(NN−T)、偽マッチング画像に対する負検出割合(NN−F)である。表1は、4つの手法に対するこれら5つの基準での性能を示す。この結果から、RST画像の検出に関しては、本発明の方法が、他の方法に比べて、すべての評価基準において優れた結果が得られることがわかる。
【表1】



【0088】
2.本発明の実施形態に基づく大規模EMM特定と部分複製画像検出
【0089】
大規模なデータベース上での本発明の基本的実施形態の性能を評価するために、2つの実際の適用例である部分複製画像検出とEMM特定とに関して実験を行った。部分複製画像検出に関しては、正確性の評価基準として、トップ10適合率、すなわちトップ10ランクリスト内での正しい画像の平均数を用いた。EMM特定に関しては、評価基準として、トップ3精度、すなわちターゲット画像が検出されてトップ3内にランクされるクエリ画像の割合が用いられた。
【0090】
表2は、異なるサイズのデータセット上での部分複製画像検出の性能を示し、表3と表4は、異なるサイズのデータセット上での文書画像と自然画像のEMM特定の性能を示す。表2、3、4の結果から、本発明の基本実施形態は、データベースサイズを増やして行ってもこれらのアプリケーションにおいては一貫して高いトップ10適合率とトップ3精度を達成することがわかる。さらに、時間とメモリのコストはデータセットのサイズに比例して増大するが、200以上の画像を有するデータセットに対しても妥当なものとなっている。
【0091】
【表2】


【表3】


【表4】

【0092】
図7は、本発明の基本的実施形態による例示的フローチャートを示す。
【0093】
クエリ画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化する(700)。後続の変換においては少なくとも2つの特徴を利用する。従って特徴のグループは特徴のセグメントまたはポリゴンで構成される。
【0094】
セグメントまたはポリゴンの変換を実行してクエリ画像に対するインライア特徴を判定する(701)。変換は、ハフ変換であってもよい。
【0095】
クエリ画像のインライア特徴を、対応する登録画像のインライア特徴と比較する(702)。比較は、パラメータ空間またはハフ空間で行なってもよい。
【0096】
図8は、本発明の実施形態による例示的機能図800を示す。
【0097】
クエリ画像801は、カメラなどの装置802で受信され、インライア判定ユニット803に供給され、クエリ画像のインライアが判定される。インライア判定ユニットは、クエリ画像の特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化するグループ化ユニットと、クエリ画像と登録画像との間の特徴のセグメントまたはポリゴンの変換を計算して変換パラメータを取得する変換パラメータ取得ユニットと、変換パラメータにグループ化パターンを適用するパターン化ユニットと、該グループ化パターンを適用することは、ハフ空間における変換パラメータの高密度領域を特定することを含んでもよく、投票方式を使用してクエリ画像に対するインライア特徴を投票する投票ユニットと、を備えてもよい。結果が幾何検証ユニット804に供給され、そこでクエリ画像のインライアと登録画像のインライアとの比較が行なわれる。その結果がディスプレイ805に表示される。
【0098】
図9は、本発明による方法の実施形態を実装することが可能なコンピュータ/サーバシステム900の実施形態を示すブロック図である。システム900は、当業者には周知の命令を実行するように作用するプロセッサ902とメモリ903を含むコンピュータ/サーバプラットフォーム901を含む。本明細書で用いられる「コンピュータ可読媒体」という用語は、プロセッサ902に実行命令を与えることに関与する任意の媒体を指す。さらに、コンピュータプラットフォーム901は、キーボード、マウス、タッチデバイスなどの複数の入力装置904、または音声命令からの入力を受信する。コンピュータプラットフォーム901はさらに、ポータブルハードディスク装置、光学媒体(CDまたはDVD)、ディスク媒体、またはコンピュータが実行命令を読み込むことができるその他の任意の媒体などのリムーバブル記憶装置905に接続されていてもよい。コンピュータプラットフォームはさらに、インターネットに接続されるネットワークリソース906、またはその他のローカルな公共または私的なネットワーク部品に接続されていてもよい。ネットワークリソース906は、ネットワーク907上のリモートロケーションから命令およびデータをコンピュータプラットフォームへ供給してもよい。ネットワークリソース906への接続は、802.11標準やBluetooth(登録商標)ブルートゥースやセルラープロトコル等の無線プロトコル経由で、または、電線やファイバ光学部品などの物理的伝送媒体経由であってもよい。ネットワークリソース906は、コンピュータプラットフォーム901からは隔離した場所にデータ及び実行可能な命令を格納するための記憶装置を含んでいてもよい。コンピュータはディスプレイ908と相互作用して、データやその他の情報をユーザへ出力したり、ユーザからの追加の指示と入力を要求したりする。従ってディスプレイ908は、ユーザと対話するための入力装置904としての作用をさらに有してもよい。
【0099】
さらに、ここに開示した本発明の明細書を考察し、本発明を実施すれば、本発明の他の実装が当業者には明らかとなるであろう。前述の実施態様の様々な態様及び/又は構成要素は、画像識別システムに単独もしくは任意の組み合わせで使用することが可能である。明細書及び実施例は例示としてのみ理解されるべきであり、本発明の真の範囲と精神は添付の特許請求の範囲によって示されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インライア判定ユニットにより、クエリ画像の特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化することと、
前記インライア判定ユニットにより、前記クエリ画像と少なくとも1つの登録画像との間の前記特徴のセグメントまたはポリゴンの変換を計算して変換パラメータを取得することと、
前記インライア判定ユニットにより、前記変換パラメータにグループ化パターンを適用することと、
前記インライア判定ユニットにより、投票方式を使用して前記クエリ画像に対するインライア特徴を投票することと、
幾何検証ユニットにより、前記クエリ画像からのインライア特徴の投票を使用して前記少なくとも1つの登録画像から最適マッチング登録画像を判定することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記変換は、RSTまたはアフィン変換であり、
前記変換パラメータにグループ化パターンを使用することは、ハフ空間における前記変換パラメータの高密度領域を特定することを含み、
前記投票方式を使用することは、前記投票方式により特徴を破棄することをさらに含み、
破棄されなかった特徴をインライア特徴と判定する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クエリ画像と登録画像との間の変換パラメータを取得することは、
前記クエリ画像の変換特徴グループを前記少なくとも1つの登録画像の変換特徴グループと比較することを含み、
前記変換は、RSTまたはアフィン変換であり、
前記変換パラメータは、前記クエリ画像と前記少なくとも1つの登録画像に対するハフ空間におけるインライア特徴を判定するために使用される
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クエリ画像と前記登録画像との間の変換パラメータを取得することは、空間領域において前記クエリ画像のインライア特徴と前記登録画像の変換されたインライア特徴とを比較することにより行われ、
前記変換は、RSTまたはアフィン変換であり、
前記変換パラメータは、ハフ空間における特徴の投票に使用される
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記登録画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化することを更に含む
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ハフ空間における変換パラメータの高密度領域を特定することは、
前記クエリ画像と前記少なくとも1つの登録画像との間の前記セグメントまたはポリゴンの変換パラメータをハフ空間へマッピングすることと、
ハフ空間のグリッド内のセグメントまたはポリゴンの変換パラメータの総数のピークを特定することと、
前記ピークに隣接する所定の閾値を満たすグリッドを特定することと、
前記ピークと前記特定されたグリッドとに基づいて高密度領域を特定することと、
を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
クエリ画像を受信する装置と、
前記クエリ画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化し、登録された各画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化し、セグメントまたはポリゴン変換を行なって前記クエリ画像及び各登録画像に対する変換パラメータを取得し、ハフ空間における変換パラメータの高密度領域からクエリ画像のインライア特徴を選択するインライア判定ユニットと、
前記クエリ画像のインライア特徴と前記各登録画像の対応するインライア特徴とをマッチングする幾何検証ユニットと、
を備えるシステム。
【請求項8】
前記ハフ空間における変換パラメータの高密度領域からクエリ画像のインライア特徴を選択することは、
ハフ空間における変換された特徴の高密度領域を特定し、変換された特徴を投票方式に基づいて破棄することを含み、
前記変換は、RSTまたはアフィン変換またはホモグラフィ変換であり、
破棄されなかった変換された特徴をインライア特徴と判定する
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記クエリ画像と前記登録画像との間のインライア特徴変換を計測することにより、前記クエリ画像と前記各登録画像との間の変換パラメータを取得するパラメータ評価ユニットを更に備え、
前記変換は、RST、アフィン変換、またはホモグラフィ変換であり、
前記変換パラメータは、ハフ空間における対応するインライア特徴の判定に使用される
請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記クエリ画像のインライア特徴と前記登録画像の変換されたインライア特徴とを空間領域で比較することにより、前記クエリ画像と前記各登録画像との間の変換パラメータを取得するパラメータ評価ユニットを更に備え、
前記変換は、RST、アフィン変換、またはホモグラフィ変換であり、
前記変換パラメータは、ハフ空間における対応するインライア特徴の判定に使用される
請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記装置は、カメラである
請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記ハフ空間における変換パラメータの高密度領域を特定することは、
前記クエリ画像と前記各登録画像との間の前記セグメントまたはポリゴン変換をハフ空間へマッピングすることと、
前記ハフ空間のグリッド内の前記クエリ画像と登録画像との間のセグメントまたはポリゴン変換の総数のピークを特定することと、
前記ピークに隣接する所定の閾値を満たすグリッドを特定することと、
前記ピークと前記特定されたグリッドとに基づいて高密度領域を特定することと、
を更に含む
請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
コンピュータに、
クエリ画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化することと、
ハフ空間において前記セグメントまたはポリゴンの変換を算出して、前記クエリ画像のインライア特徴を判定することと、
前記クエリ画像のインライア特徴を使用して最適マッチング登録画像を判定することと、
を含む処理を実行させるプログラム。
【請求項14】
前記クエリ画像のインライア特徴を判定することは、ハフ空間における変換パラメータの高密度領域を特定することと、投票方式に基づいて特徴を破棄することとを含み、
前記変換は、RST、アフィン変換、またはホモグラフィ変換であり、
破棄されなかった特徴をインライア特徴と判定する
請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記処理は、変換されたクエリ画像のインライア特徴を前記各登録画像の変換されたインライア特徴と比較することにより、前記クエリ画像と各登録画像との間の変換パラメータを評価することを更に含み、
前記変換は、RST、アフィン変換、またはホモグラフィ変換であり、
前記変換パラメータは、ハフ空間における対応するインライア特徴の判定に使用される
請求項13に記載のプログラム。
【請求項16】
前記処理は、前記クエリ画像のインライア特徴を空間領域における前記各登録画像の変換されたインライア特徴と比較することにより、前記クエリ画像と各登録画像との間の変換パラメータを評価することを更に含み、
前記変換は、RSTまたはアフィン変換、またはホモグラフィ変換であり、
前記変換パラメータは、ハフ空間における対応するインライア特徴の判定に使用される
請求項13に記載のプログラム。
【請求項17】
前記処理は、各登録画像からの特徴をセグメントまたはポリゴンとしてグループ化することを更に含む
請求項13に記載のプログラム。
【請求項18】
ハフ空間における変換された特徴の高密度領域を特定することは、
前記セグメントまたはポリゴンの変換されたパラメータをハフ空間中にマッピングし、
前記ハフ空間のグリッド内のセグメントまたはポリゴン変換パラメータの総数のピークを特定し、
前記ピークに隣接する所定の閾値を満たすグリッドを特定し、
前記ピークと前記特定されたグリッドとに基づいて高密度領域を特定することを更に含む
請求項14に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−25799(P2013−25799A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149726(P2012−149726)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】