画像欠陥診断システム、画像形成装置、およびプログラム
【課題】画像形成装置にて形成された画像に発生した画像欠陥の検出精度を向上させる。
【解決手段】画像欠陥に関する検査対象画像上での位置座標情報を、検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における位置座標情報に座標変換処理し、角度ずつ座標変換処理された座標系各々での位置座標情報により、座標系各々での画像欠陥の発生状況を検出する。そして、座標系各々での画像欠陥の発生状況に基づき、画像欠陥の位置座標情報に対して施す座標変換処理での座標回転角を設定し、座標回転角だけ回転させた座標系での位置座標情報を用いて画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する。
【解決手段】画像欠陥に関する検査対象画像上での位置座標情報を、検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における位置座標情報に座標変換処理し、角度ずつ座標変換処理された座標系各々での位置座標情報により、座標系各々での画像欠陥の発生状況を検出する。そして、座標系各々での画像欠陥の発生状況に基づき、画像欠陥の位置座標情報に対して施す座標変換処理での座標回転角を設定し、座標回転角だけ回転させた座標系での位置座標情報を用いて画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像欠陥診断システム、画像形成装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複写機、プリンタ等の画像形成装置では、自らが印刷したテストチャート画像等といった検査対象画像を画像読取装置により読み取り、検査対象画像に関する読取画像データに基づいて画像欠陥を診断し、画像欠陥の発生状況に基づいて画像形成装置自身の故障箇所を推定する技術が知られている。
例えば特許文献1には、プリンタにて印刷されたテストチャート画像を画像読取装置で読み取り、読み取ったテストチャート画像に関する画像データをテストチャート画像データと比較し、両者の差異を比較することで印字品質を自己判断して故障等に対応させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002‐283681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置にて形成された画像に発生した画像欠陥の検出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を読み取ることで生成された画像データを取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する画像欠陥検出手段と、前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する座標変換処理手段と、前記座標変換処理手段にて前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段と、前記発生状況検出手段にて検出された前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する設定手段と、前記設定手段にて設定された前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する特徴量抽出手段とを備えたことを特徴とする画像欠陥診断システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システムである。
請求項3に記載の発明は、前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々の重心の位置座標を求め、当該画像欠陥各々の重心に関する前記検査対象画像の主走査方向における位置から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システムである。
請求項4に記載の発明は、前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々を構成する画素の前記検査対象画像での主走査方向位置に関する分散を求め、当該分散から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システムである。
請求項5に記載の発明は、前記設定手段は、前記発生状況検出手段にて検出された前記ばらつき量が予め定めた規定値以下である場合に、前記画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での前記座標回転角を設定することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システムである。
請求項6に記載の発明は、前記特徴量抽出手段は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システムである。
請求項7に記載の発明は、前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥の面積を算出し、当該面積が予め定めた規定値以下である場合に当該画像欠陥を検査対象と判定する判定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システムである。
【0007】
請求項8に記載の発明は、画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を記録材上に形成する画像形成手段と、前記画像形成手段にて形成された前記検査対象画像を読み取り、当該検査対象画像に関する画像データを生成する画像読取手段と、前記画像読取手段にて生成された前記画像データにより前記検査対象画像に発生した画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出し、当該特徴量を用いて自装置の故障原因を診断する画像欠陥診断手段とを有し、前記画像欠陥診断手段は、前記画像読取手段から前記画像データを取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する画像欠陥検出手段と、前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する座標変換処理手段と、前記座標変換処理手段にて前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段と、前記発生状況検出手段にて検出された前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する設定手段と、前記設定手段にて設定された前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する特徴量抽出手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項9に記載の発明は、前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々の重心の位置座標を求め、当該画像欠陥各々の重心に関する前記検査対象画像の主走査方向における位置から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置である。
請求項11に記載の発明は、前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々を構成する画素の前記検査対象画像での主走査方向位置に関する分散を求め、当該分散から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置である。
請求項12に記載の発明は、前記画像欠陥診断手段の前記特徴量抽出手段は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項13に記載の発明は、コンピュータに、画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を読み取ることで生成された画像データを取得する機能と、取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する機能と、前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する機能と、前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する機能と、前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する機能と、前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する機能とを実現させることを特徴とするプログラムである。
【0010】
請求項14に記載の発明は、前記画像欠陥の発生状況を検出する機能は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項13記載のプログラムである。
請求項15に記載の発明は、前記特徴量を抽出する機能は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項13記載のプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成装置にて形成された画像に発生した画像欠陥の特徴量抽出精度を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像の傾き角を抽出することができる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、欠陥領域各々のばらつきの程度をより客観的に検出することができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、欠陥領域各々のばらつきの程度をより客観的に検出することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、検査対象画像が傾いた状態で読み取られたか否かをより客観的に判断することができる。
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像に周期的に発生している画像欠陥に関する特徴量をより正確に抽出することができる。
請求項7の発明によれば、周期的に発生する傾向にある画像欠陥を選択的に抽出することができる。
【0012】
請求項8の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成装置にて形成された画像に発生した画像欠陥の特徴量抽出精度を向上させることができる。
請求項9の発明によれば、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像の傾き角を抽出することができる。
請求項10の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、欠陥領域各々のばらつきの程度をより客観的に検出することができる。
請求項11の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、欠陥領域各々のばらつきの程度をより客観的に検出することができる。
請求項12の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像に周期的に発生している画像欠陥に関する特徴量をより正確に抽出することができる。
【0013】
請求項13の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成装置にて形成された画像に発生した画像欠陥の特徴量抽出精度を向上させることができる。
請求項14の発明によれば、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像の傾き角を抽出することができる。
請求項15の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像に周期的に発生している画像欠陥に関する特徴量をより正確に抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示したブロック図である。
【図2】故障診断部の構成を説明するブロック図である。
【図3】操作表示部にて表示されるサービスの内容に関する表示画面の一例を示す図である。
【図4】操作表示部にて表示される画像欠陥の種別に関する表示画面の一例を示す図である。
【図5】操作表示部にて表示される画像欠陥の詳細な種別に関する表示画面の一例を示す図である。
【図6】画像欠陥診断モデルを構成するベイジアンネットワークの一例を示した図である。
【図7】操作表示部にて表示される診断結果に関する表示画面の一例を示した図である。
【図8】故障診断部の内部構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態1の傾き処理部の構成を説明するブロック図図である。
【図10】回転処理部が行う座標変換処理を説明する図である。
【図11】前処理部にて生成された各座標系の座標回転角と各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきとの対応関係の一例を示した図である。
【図12】規定値の設定方法を説明する図である。
【図13−1】故障診断部が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
【図13−2】故障診断部が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
【図14】実施の形態2の傾き処理部の構成を説明するブロック図である。
【図15】前処理部が求める投影分布波形を説明する図である。
【図16】前処理部にて生成された各座標系の座標回転角と各座標系各々での点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値との対応関係の一例を示した図である。
【図17−1】故障診断部が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
【図17−2】故障診断部が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置の説明>
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示したブロック図である。図1に示す画像形成装置1は、画像形成装置1の動作全体を制御する制御部10、画像上に発生した画像欠陥から画像形成装置1の故障を診断する画像欠陥診断手段の一例としての故障診断部20、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等で構成され、各種のプログラムやデータ等が記憶される外部記憶部30を備えている。
また、画像形成装置1は、画像データ(ビデオデータ)に基づいて記録材(用紙)上に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部40、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行う操作表示部50、原稿から各色成分の反射率を読み取って画像データを生成する画像読取手段の一例としての画像読取部60、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等といった通信手段(ネットワーク)と通信を行う通信部70を備えている。ここで、画像形成部40としては、例えば電子写真方式の画像形成エンジンが用いられる。
さらに、画像形成装置1は、画像形成装置1内の温湿度や、画像形成部40にて搬送される用紙が用紙搬送路を通過する時間、画像形成装置1内にて使用される駆動電流等といった画像形成装置1の内部状態を表す各種情報(以下、「内部状態情報」)を検出する内部状態検出部90を備えている。
【0016】
さらに、画像形成装置1は、外部記憶部30とのデータ転送を高速で行うDMAC(Direct Memory Access Controller)81、画像形成部40とのビデオデータの送受信を制御するビデオインターフェース(I/F)82、操作表示部50とのデータの送受信を制御する操作表示インターフェース(I/F)83、画像読取部60との画像データの送受信を制御するスキャナインターフェース(I/F)84、通信部70とのデータの送受信を制御するネットワークインターフェース(I/F)85、内部状態検出部90とのデータの送受信を制御するセンサインターフェース(I/F)86を備えている。
制御部10、故障診断部20、ビデオI/F82、操作表示I/F83、スキャナI/F84、およびネットワークI/F85、センサI/F86それぞれは、PCI(Peripheral Components Interconnect bus)バス80に接続されている。
また、外部記憶部30は、DMAC81を介してPCIバス80に接続され、PCIバス80に接続された制御部10や各種インターフェース(I/F)との間のデータ転送を高速で行う。
【0017】
なお、故障診断部20は、制御部10や画像形成部40や画像読取部60等と一体的に構成しても、別体に構成してもよい。このような別体構成では、故障診断部20と制御部10や画像形成部40や画像読取部60等とは、例えば、通信部70を介してLAN、WAN、インターネット等といったネットワークにより接続される。それにより、故障診断部20を画像形成装置1の外部に備えた故障診断システムが構築される。ここでのネットワークを構成する通信回線としては、電話回線や衛星通信回線(例えば、デジタル衛星放送における空間伝送路)等を含んでもよい。
【0018】
<故障診断部の説明>
図2は、故障診断部20の構成を説明するブロック図である。
図2に示すように、故障診断部20は、画像読取部60にて生成された画像データを取得する取得手段の一例としての画像データ取得部21、画像データ取得部21にて取得された画像データを記憶する画像データ記憶部22を備えている。また、故障診断部20は、画像上にて画像欠陥が生じている領域(以下、「欠陥領域」)を検出する画像欠陥検出手段の一例としての画像欠陥検出部23、画像の傾きに対応させて画像欠陥の周期性の有無を判定する傾き処理部24、画像上の欠陥領域から画像欠陥の特徴量を抽出する特徴量抽出手段の一例としての特徴量抽出部25を備えている。さらにまた、故障診断部20は、画像上に生じた画像欠陥の種別を判定する欠陥種別判定部26、画像上に生じた画像欠陥の種別に関する情報や欠陥領域から抽出された画像欠陥の特徴量等を用いて画像欠陥を生じさせた故障原因を診断する診断部27を備えている。
【0019】
<故障診断部にて故障診断に使用される画像データの取得の説明>
画像データ取得部21は、ユーザ(例えば、画像形成装置1の使用者や管理者等)が操作表示部50を操作することで選択された検査対象画像(以下、「テストチャート画像」)に関する画像データを取得する。このテストチャート画像は、診断対象とする画像欠陥の発生状態や発生色等の欠陥発生状況に基づいて、ユーザが操作表示部50から選択したものである。
すなわち、制御部10は、例えば画像形成装置1のメインスイッチ(不図示)がオンされると、操作表示I/F83を介して操作表示部50に対し、ユーザに提供するサービス内容の表示を指示する制御信号を送信する。それにより、操作表示部50には、図3(操作表示部50にて表示されるサービスの内容に関する表示画面の一例を示す図)に例示したように、画像形成装置1がユーザに提供するサービスの内容を示す表示画面を表示する。この表示画面には、例えば、複写機能を実行する「コピー」、メールを送信する機能を実行する「メール送信」、画像読取部60にて読み取った画像データをパーソナルコンピュータ(PC)に記憶(保存)させる機能を実行する「PC保存」、さらには、画像欠陥を生じさせた故障原因を診断する機能を実行する「画像診断」を表す画面を表示する。さらには、これらの機能の何れかの選択をユーザに促す指示コメントを表示する。
【0020】
そして、ユーザによる操作表示部50に対する操作入力により、「画像診断」の実行が選択されると、制御部10は、操作表示I/F83を介して操作表示部50に対し、診断対象とする画像欠陥の種別の表示を指示する制御信号を送信する。それにより、操作表示部50には、図4(操作表示部50にて表示される画像欠陥の種別に関する表示画面の一例を示す図)に例示したように、画像欠陥の種別を表示する。表示される画像欠陥の種別としては、例えば、画像上に現れた線状や筋状の汚れ、またはその他の形状の汚れであることを示す「線・筋・汚れ」、すべての色成分または一部の色成分についての画像抜けであることを示す「白抜け・色抜け」、画像濃度や色の不具合であることを示す「濃度・色味不良」、用紙の搬送方向下流側に前の画像の写しが残像のように2重に印刷されたものであることを示す「残像」、用紙上に画像がまったく印刷されないことを示す「何も印刷されない」を表す画面を表示する。さらには、これらの画像欠陥の種別の何れかの選択をユーザに促す指示コメントを表示する。
【0021】
そして、ここでは、ユーザによる操作表示部50に対する操作入力により、例えば「線・筋・汚れ」が選択されたものとする(図4のハッチングされた欄)。そうすると、制御部10は、操作表示I/F83を介して操作表示部50に対し、画像欠陥の種別「線・筋・汚れ」に関するさらに詳細な画像欠陥の種別の表示を指示する制御信号を送信する。それにより、操作表示部50には、図5(操作表示部50にて表示される画像欠陥の詳細な種別に関する表示画面の一例を示す図)に例示したように、「線・筋・汚れ」に関する画像欠陥の詳細な種別を表示する。ここで表示される画像欠陥の詳細な種別として、例えば、画像上における用紙搬送方向に沿って現れた線状や筋状の汚れであることを示す「用紙送り方向に線・筋・汚れ」、画像全体に広がるうっすらとした汚れ(所謂「かぶり」)であることを示す「かぶりが発生」、文字や罫線等の周辺にてトナーが飛び散ったように生じた汚れやかすれであることを示す「文字・罫線の周辺汚れ・かすれ」、画像上の濃度が高い領域にのみ生じた線状や筋状の汚れであることを示す「濃度の濃い部分にのみ線・筋像」、用紙上の一部分または全部が塗りつぶされたものであることを示す「ページの一部または全体が塗りつぶされる」、用紙の白地領域に発生する各色成分(1次色)からなる点(黒点・色点)であることを示す「黒点・色点が発生」を表す表示画面を表示する。さらには、これらの画像欠陥の詳細な種別の何れかの選択をユーザに促す指示コメントを表示する。
【0022】
そして、ここでは、ユーザによる操作表示部50に対する操作入力により、画像欠陥の詳細な種別の一つである「黒点・色点が発生」が選択されるものとする(図5のハッチングされた欄)。この場合には、制御部10は、「黒点・色点が発生」を診断するために用いるテストチャート画像を選択する。そして、制御部10は、ビデオI/F82を介して画像形成部40に対し、選択したテストチャート画像を印刷するように指示する制御信号を送信する。それにより、画像形成部40は、制御部10により印刷指示されたテストチャート画像を印刷する。なお、テストチャート画像を印刷するに際しては、印刷に用いられる色成分(Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒))に関しても、ユーザにより画像欠陥の発生状況に応じて指定されており、例えばK色が指定されることで、K色からなるテストチャート画像が印刷される。
さらに、制御部10は、ユーザに対し、印刷されたテストチャート画像を画像読取部60により読み取る操作を行うように指示する表示を、操作表示I/F83を介して操作表示部50に指示する制御信号を送信する。それにより、操作表示部50は、印刷されたテストチャート画像を画像読取部60により読み取る操作を行うことをユーザに促す指示コメントを表示する。
【0023】
そして、画像読取部60によってテストチャート画像が読み取られると、制御部10は、テストチャート画像の反射率からなる画像データを、画像読取部60から故障診断部20(画像データ取得部21)に転送させる。
このようにして、故障診断部20の画像データ取得部21は、テストチャート画像に関する画像データを取得する。さらに、画像データ取得部21にて取得されたテストチャート画像に関する画像データは、画像データ記憶部22に送られ、記憶される。
【0024】
<画像欠陥検出部の説明>
画像欠陥検出部23は、画像データ記憶部22から、画像欠陥の発生状況に基づいてユーザが選択した検査対象画像(テストチャート画像)に関する画像データを取得する。また、画像欠陥検出部23は、外部記憶部30から、画像形成部40にて形成されたテストチャート画像に画像欠陥が生じているか否かを判定するための、基準となる基準画像データを取得する。この基準画像データは、テストチャート画像を形成する際の基データとなったものである。そして、画像欠陥検出部23は、このテストチャート画像に関する画像データと、外部記憶部30から取得した基準画像データとを比較して、画像欠陥が発生している領域を判定する。そして、画像欠陥検出部23は、画像欠陥と判定された領域に関する画像データと、そのテストチャート画像上での位置座標情報(位置座標データ)とを対応付けた「画像欠陥データ」を抽出し、抽出した画像欠陥データを傾き処理部24に出力する。
なお、画像欠陥検出部23において画像欠陥が発生している領域を判定する際に、テストチャート画像に関する画像データを予め定められた濃度閾値と比較する方法を用いてもよい。
【0025】
<傾き処理部の説明>
一般に、画像形成装置1(画像形成部40)にて用紙上にテストチャート画像を形成する際に、例えば用紙の搬送が不安定となることで、用紙上にテストチャート画像が傾いて形成される場合がある。また、テストチャート画像を画像読取部60により読み取らせる際に、画像読取部60に設けられた画像読取センサ(不図示)がテストチャート画像を読み取る際の読取基準位置と、画像読取部60のプラテンガラス(不図示)上に設置されたテストチャート画像との間に傾きが生じる場合がある。それにより、画像読取部60においてテストチャート画像全体が傾いて読み取られ、テストチャート画像に生じた画像欠陥に関する特徴量、特に、画像欠陥の周期性に関する特徴量を正確に抽出できない場合がある。
そのため、傾き処理部24は、外部記憶部30に記憶された判定条件情報に基づき、画像読取部60にて読み取られたテストチャート画像が傾いているか否かを判定し、傾いていると判定された場合には、その傾きを補正して特徴量抽出部25に出力する。さらには、その傾きを補正して画像欠陥に周期性があるか否かを判定する。そして、周期性があると判定された場合には、画像欠陥の周期性に関する特徴量を抽出し、特徴量抽出部25に出力する。
【0026】
すなわち、傾き処理部24は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データによりテストチャート画像上に生じた画像欠陥の発生状態を判断する。そして、画像欠陥の発生状態から、画像データ記憶部22から取得した画像データが傾いた状態で読み取られたものであるか否かを判定する。そして、傾き処理部24は、テストチャート画像の画像データが予め定めた角度以上に傾いた状態で読み取られた画像データであると判定した場合には、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データに関し、テストチャート画像の傾き角に対応した傾き補正処理を行って特徴量抽出部25に出力する。さらに、傾き処理部24は、テストチャート画像の傾き角に対応させて画像欠陥データに周期性が有るか無いかを判定する。画像欠陥データに周期性が有ると判定した場合には、画像欠陥の周期を算出し、画像欠陥の周期に関する特徴量として特徴量抽出部25に出力する。
【0027】
また、傾き処理部24は、画像欠陥データにより画像欠陥と判定された領域の面積が予め定めた面積よりも小さい場合、または用紙上に印刷されたテストチャート画像全体の傾き角が予め定めた角度よりも小さいと判定した場合には、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に出力する。
なお、傾き処理部24の構成および傾き処理部24にて実行される処理の内容に関しては、後段で詳述する。
【0028】
<特徴量抽出部の説明>
続いて、特徴量抽出部25は、傾き処理部24から取得した画像欠陥データや画像欠陥の周期に関する特徴量に基づき、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する。特徴量抽出部25は、例えば、画像欠陥が生じている領域の形状、大きさ、濃度階調値、輪郭の状態、欠陥の発生方向、位置等といった特徴量や、傾き処理部24から取得した画像欠陥の周期に関する特徴量を抽出する。
例えば、テストチャート画像に黒線が発生する画像欠陥が発生しており、傾き処理部24から取得した画像欠陥データにより、画像欠陥が発生している色成分がK(黒)色である場合には、特徴量抽出部25は、例えば、黒線の線幅、黒線の長さ、黒線のコントラスト、黒線の周期性を特徴量として算出する。
そして、特徴量抽出部25は、算出した特徴量に関する情報を欠陥種別判定部26および診断部27に出力する。
【0029】
<欠陥種別判定部の説明>
欠陥種別判定部26は、特徴量抽出部25から取得した画像欠陥を特徴付ける特徴量に基づいて、画像欠陥の種別に関し類似性のあるもの同士を一群のデータとして分類するクラスタリング処理を行う。クラスタリング処理のアルゴリズムには、K−Means法や各種階層クラスタリング法等の既存のアルゴリズムが用いられる。
クラスタリング処理により分類された画像欠陥の種別としては、例えば、「用紙送り方向(副走査方向)の線・筋」、「かぶり」、「文字・罫線の周辺汚れ・かすれ」、「濃度の濃い部分の線・筋」、「ページの一部または全体の塗りつぶし」、「黒点・色点」等がある。
また、欠陥種別判定部26は、クラスタリング処理を行うことにより分類された画像欠陥の種別に対応させて、外部記憶部30に記憶された判定条件情報に基づき、画像欠陥を推定するために使用する画像欠陥診断モデル(後段参照)を選択する。
そして、欠陥種別判定部26は、クラスタリング処理を行うことにより分類された画像欠陥の種別に関する情報と、選択した画像欠陥診断モデルを特定する情報とを診断部27に出力する。
【0030】
<診断部の説明>
診断部27は、画像欠陥診断モデルを用いて画像欠陥を推定する。すなわち、診断部27は、画像欠陥診断モデルに、特徴量抽出部25にて算出された特徴量、欠陥種別判定部26から取得した画像欠陥の種別に関する情報、操作表示部50から取得したユーザによる操作入力情報(例えば「黒点・色点が発生」)、内部状態検出部90から取得した画像形成装置1の各種内部状態情報、外部記憶部30に記憶された画像形成装置1の使用履歴情報等を入力し、画像欠陥を誘発させた故障原因を推定する。
その際に、診断部27は、欠陥種別判定部26にて選択された画像欠陥の種別に対応した画像欠陥診断モデルを記憶部(例えば、後段図8のNVM204)から読み出す。本実施の形態では、複数の画像欠陥の種別に対応した画像欠陥診断モデルが診断部27内に設けられた記憶部に予め記憶されている。そして、診断部27は、欠陥種別判定部26にて選択された画像欠陥診断モデルをこの記憶部から読み出す。
ここでの「画像欠陥診断モデル」は、例えば、ベイジアンネットワーク(Bayesian Network)で構成されている。ベイジアンネットワークとは、確率理論を使用して問題領域をモデル化するものである。すなわち、因果関係が複雑な問題領域を表すため、相互に関連付けられた複数の問題要因間の因果関係を順次結線したグラフ構造を持つネットワークとして表現し、問題要因間の依存関係を有向グラフにより表したものである。
【0031】
図6は、画像欠陥診断モデルを構成するベイジアンネットワークの一例を示した図である。図6に例示した画像欠陥診断モデルでは、黒線が発生する画像結果に対応するベイジアンネットワークを示したものである。
図6に示すように、ベイジアンネットワークの各ノードは、「原因」→「結果」の関係になるように結線されている。例えば、「感光体傷」と「線幅情報」との関係は、「感光体傷」が元(原因)で細い線が発生(結果)といった「線幅情報」が現れるという関係になる。一方、「プリント枚数履歴情報」と「定着装置」との関係は、「プリント枚数」に基づく状態(プリント枚数が何枚以上)が元(原因)で「定着装置」劣化による黒線発生の可能性が高くなるという関係が成り立つ。各ノードの確率データの初期値は、例えば、過去のデータに基づいて決定する。その後、画像形成装置1における部品の交換頻度や、不具合の発生頻度等、市場トラブルの統計データ等を基にして、定期的に各ノードの確率を更新するようにしてもよい。また、図6中に示した「線幅情報」や「周期性情報」といった画像欠陥の特徴を表すノードは、特徴量抽出部25にて算出された特徴量により状態が決定される。
そして、診断部27は、記憶部(後段のNVM204)から読み出したベイジアンネットワークに基づき、故障原因や故障箇所を推定する。さらには、診断部27は、推定した故障原因や故障箇所を制御部10に通知する。それにより、制御部10は、操作表示部50に故障原因や故障推定箇所を表示し、ユーザに通知する。さらには、通信部70からネットワークを介してPC等の外部装置に通知してもよい。
【0032】
図7は、操作表示部50にて表示される診断結果に関する表示画面の一例を示した図である。図7に示したように、「故障原因・故障推定箇所」が確度(「故障確率」)の高い順に示されるとともに、故障状態を復旧させるための「作業難易度」も示される。作業難易度を示すことにより、例えば確度が近似する故障原因・故障推定箇所が表示された場合に、作業難易度の低い故障原因・故障推定箇所から作業することにより、復旧作業の効率化が図られる。また、図7に示した項目以外にも、「故障原因・故障推定箇所」欄を操作することにより、故障原因・故障推定箇所に対応する復旧作業が記述された処置情報を表示するように構成してもよい。
【0033】
<故障診断部の内部構成の説明>
ここで、図8は、故障診断部20の内部構成を示すブロック図である。図8に示したように、故障診断部20は、故障診断処理を実行するに際して、予め定められた処理プログラムに従ってデジタル演算処理を実行するCPU201、CPU201の作業用メモリ等として用いられるRAM202、CPU201での処理に使用される各種設定値等が格納されるROM203、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる、電池によりバックアップされたフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(NVM)204、PCIバス80を介して故障診断部20に接続される制御部10や外部記憶部30や画像読取部60等の各構成部との信号の入出力を制御するインターフェース(I/F)部205を備えている。
そして、CPU201が、処理プログラムを外部記憶部30から主記憶装置(RAM202)に読み込み、画像データ取得部21、画像欠陥検出部23、傾き処理部24、特徴量抽出部25、欠陥種別判定部26、診断部27の各機能部の機能を実現させる。
【0034】
なお、この処理プログラムに関するその他の提供形態としては、予めROM203に格納された状態にて提供され、RAM202にロードされる形態がある。さらに、EEPROM等の書き換え可能なROM203を備えている場合には、CPU201がセッティングされた後に、プログラムだけがROM203にインストールされ、RAM202にロードされる形態がある。また、インターネット等のネットワークを介して故障診断部20にプログラムが伝送され、故障診断部20のROM203にインストールされ、RAM202にロードされる形態がある。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ等の外部記録媒体からRAM202にロードされる形態がある。
【0035】
[実施の形態1]
<傾き処理部の詳細な説明>
次に、上記した故障診断部20に備えられる傾き処理部24の一実施の形態について説明する。
図9は、本実施の形態の傾き処理部24の構成を説明するブロック図である。
図9に示したように、傾き処理部24は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データが微小な画像欠陥または局所的に発生した画像欠陥(以下、「点状/局所欠陥」)に関するものか否かを判定する判定手段の一例としての第1判定部241、画像欠陥データが点状/局所欠陥に関するものである場合に、点状/局所欠陥が周期的に発生しているかランダムに発生しているかを判定するために使用する、点状/局所欠陥相互の相対的な位置関係を示す情報(以下、「相対位置情報」)を算出する前処理部242を備えている。
また、傾き処理部24は、前処理部242にて算出された点状/局所欠陥相互の相対位置情報を用いて、点状/局所欠陥が周期的に発生しているかランダムに発生しているかを判定する第2判定部243、第2判定部243により点状/局所欠陥が周期的に発生していると判定された場合に、点状/局所欠陥の周期情報を抽出するために画像欠陥データに対して回転処理を行う回転処理部244、回転処理された画像欠陥データから点状/局所欠陥の周期情報を抽出する周期情報抽出部245を備えている。
【0036】
また、傾き処理部24に備えられた前処理部242は、座標変換手段の一例としての回転処理部242Aと、画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段の一例としての重心算出部242Bおよびばらつき算出部242Cとを備えている。
前処理部242の回転処理部242Aは、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標として設定し、画像欠陥データの位置座標情報(位置座標データ)に対して予め定めた角度(例えば、±1°)ずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。
重心算出部242Bは、画像欠陥データを予め定めた角度ずつ座標変換処理を行う毎に、新たな座標系での点状/局所欠陥各々の重心を算出する。
ばらつき算出部242Cは、重心算出部242Bにて算出された点状/局所欠陥各々の重心位置に関するばらつき(Δ)を算出する。
【0037】
<傾き処理部を構成する各部の説明>
第1判定部241は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データから、画像欠陥領域の面積を算出し、予め定められた規定面積値と比較する。そして、画像欠陥領域の面積が第1の規定面積値よりも大きければ、微小な画像欠陥または局所的に発生した画像欠陥(点状/局所欠陥)ではないと判定し、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。
一方、第1判定部241は、画像欠陥領域の面積が第1の規定面積値以下であれば、点状/局所欠陥であると判定し、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データを前処理部242に転送する。
この場合に、第1判定部241は、第1の規定面積値以下である第2の規定面積値を設定しておき、画像欠陥領域の面積が第2の規定面積値以下となる点状/局所欠陥については、対象から除外するように処理してもよい。それにより、例えばノイズによって検出された微細な点状/局所欠陥が除外され、ばらつき算出部242Cにて算出されるばらつき(Δ)の精度が高められる。
【0038】
引き続く前処理部242では、回転処理部242Aは、第1判定部241から転送された画像欠陥データについて、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標として設定する。そして、画像欠陥データの位置座標データ(位置座標情報)に対して、予め定めた規定角度δθ(例えば、δθ=1°)ずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。
ここで、図10は、回転処理部242Aが行う座標変換処理を説明する図である。
図10に示したように、回転処理部242Aは、テストチャート画像上の予め定めた1点(C点)を回転中心座標として設定する。そして、回転中心座標Cを中心として、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の座標系(X−Y座標系)を規定角度δθずつ(規定角度δθステップで)回転させ、新たな座標系(X’−Y’座標系)に変換する。例えば、図10では、規定角度δθずつの座標変換処理のn回目を示している。この場合には、回転角θは、θ=δθ×nとなる。それにより、画像欠陥データの位置座標データを新たなX’−Y’座標系での位置座標データに変換する。なお、ここでのX座標(X’座標)は主走査方向に沿った座標軸であり、Y座標(Y’座標)は副走査方向に沿った座標軸である。
【0039】
前処理部242の重心算出部242Bは、回転処理部242Aにて座標変換処理が行われた画像欠陥データに関し、新たなX’−Y’座標系での位置座標データから点状/局所欠陥の重心に関する位置座標を算出する。
そして、前処理部242のばらつき算出部242Cは、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の重心位置に関し、主走査方向(X’座標)でのばらつきΔ=XMAX’−XMIN’を算出する。ここで、XMAX’は、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の中で、重心位置のX’座標値が最大である点状/局所欠陥の重心のX’座標値である。また、XMIN’は、重心位置のX’座標値が最小である点状/局所欠陥の重心のX’座標値である。
【0040】
このように、前処理部242では、第1判定部241から転送された画像欠陥データについて、回転処理部242Aが予め定めた角度範囲内で規定角度δθずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。そして、重心算出部242Bが、規定角度δθずつ回転させた各座標系(X’−Y’座標系)各々において、点状/局所欠陥の重心位置を算出する。さらには、ばらつき算出部242Cが、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の重心位置について、ばらつき量の一例としての主走査方向(X’座標)でのばらつきΔを算出する。そして、回転処理部242Aが座標変換処理した際の各座標系の座標回転角θ(=δθ×n)と、各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとを対応付けた対応関係(θ,Δ)を生成する。前処理部242は、この対応関係(θ,Δ)により、各座標系(X’−Y’座標系)各々における画像欠陥の発生状況を検出する。
【0041】
次に、第2判定部243は、前処理部242から、画像欠陥データに加えて、座標変換処理された各座標系の座標回転角θと、各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとを対応付けた対応関係(θ,Δ)と、重心算出部242Bにて算出された点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報とを取得する。そして、前処理部242から取得した各座標系での対応関係(θ,Δ)から、点状/局所欠陥のばらつきΔの最小値(以下、「最小ばらつきΔMIN」)と、最小値ΔMINを与える座標系の座標回転角θ(=θMIN)を抽出する。
ここで、図11は、前処理部242にて生成された各座標系の座標回転角θと各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとの対応関係(θ,Δ)の一例を示した図である。第2判定部243は、図11に例示した対応関係を有する各座標系の座標回転角θと各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとから、点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINと、最小ばらつきΔMINを与える座標系の座標回転角θMINとを抽出する。
【0042】
そして、第2判定部243は、抽出した点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINと、ばらつきΔに関する予め定めた規定値Δthとを比較する。その結果、最小ばらつきΔMINが規定値Δth以上である場合には、点状/局所欠陥はランダムに発生していると判定する。その場合には、第2判定部243は、第1判定部241から転送された画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。
一方、第2判定部243は、最小ばらつきΔMINが規定値Δthよりも小さい場合には、点状/局所欠陥は方向性・周期性を持って発生していると判定する。そして、第2判定部243は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINを与える座標回転角θMINに関するデータと、点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報とを回転処理部244に出力する。
ここで、第2判定部243は、座標変換処理における座標回転角を設定する設定手段として機能する。
【0043】
ここで、点状/局所欠陥はランダムに発生しているか、方向性・周期性を持って発生しているかを判定するための規定値Δthは、例えば、次のように設定される。
次の図12は、規定値Δthの設定方法を説明する図である。
まず図12(a)に示したように、周期的な画像欠陥(点状/局所欠陥)が発生した複数のサンプル画像の各々において、点状/局所欠陥の各領域の主走査方向(X座標)の幅(Wi)を計測する。ここで、iは、各サンプル画像に発生した点状/局所欠陥各々に付した番号である。
さらに、計測した点状/局所欠陥各々の幅Wiの平均値(WAVE=ΣWi/n)と、点状/局所欠陥各々の重心位置のX座標値の最大値XMAXと最小値XMINとの差Δとを算出する。この場合に、Wi,Δの単位はmmとし、画像読取部60の読取解像度R(dpi)に応じて画素位置に25.4mm/Rを乗じて算出する。
次に図12(b)に示したように、複数のサンプル画像から得られた(Wave,Δ)に関し、例えば最小二乗法を用いて回帰直線を求める。さらに、回帰直線と各プロット(Wave,Δ)のΔ値との標準偏差σから分散σ2を求め、Δの増加する方向に回帰直線を例えば3σだけ平行移動させる。これは、サンプル画像から得られた点状/局所欠陥各々に関するΔ値が、回帰直線を平行移動させた直線よりも低くなるように設定するためである。また、移動量3σは、点状/局所欠陥各々に関するΔ値をかかる直線よりも低くするのに充分な値だからである。そして、この直線を規定値Δthを求めるための算出式(以下、「規定値算出式」)として設定する。
【0044】
続いて、図12(b)に示した直線(規定値算出式)Δth=f(Wave)を用いて、検査対象画像(テストチャート画像)における規定値Δthを算出する。すなわち、規定値直線Δth=f(Wave)は、具体的に、
Δth=a×Wave+b(a,b:定数)…(1)
と表現できる。それにより、テストチャート画像における画像欠陥領域での主走査方向(X座標)の幅Wiの平均値Waveを算出し、算出した平均値Waveを(1)式に代入することで、Δthを求めることができる。
【0045】
次に、回転処理部244は、第2判定部243から、第1判定部241から転送された画像欠陥データ(前処理部242にて算出された点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報を含む)と、点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINを与える座標回転角θMINに関するデータとを取得する。そして、回転処理部244は、上記した前処理部242の回転処理部242Aと同様に、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標Cとして設定し、画像欠陥データの位置座標データに関し、座標回転角θMINだけ座標系を回転させる座標変換処理する。そして、画像欠陥データの位置座標データを座標回転角θMINだけ回転させた新たな座標系での位置座標データに変換する。
回転処理部244は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、座標回転角θMINだけ回転された座標系での位置座標データに変換された画像欠陥データ(前処理部242にて算出された点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報を含む)とを周期情報抽出部245に出力する。
【0046】
周期情報抽出部245は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データ(点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報を含む)を回転処理部244から取得する。そして、周期情報抽出部245は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、各点状/局所欠陥の重心の副走査方向(Y’座標)の間隔Di(i=1,2,3…)を算出する(上記図10参照)。
周期情報抽出部245は、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diを、予め保持する周期情報と比較する。その結果、予め保持する周期情報の一つと一致した場合には、その周期情報を「画像欠陥の周期に関する特徴量」として保持する。そして、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データとともに、画像欠陥の周期に関する特徴量を特徴量抽出部25に出力する。それにより、特徴量抽出部25は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、周期に関する特徴量以外の他の特徴量をも抽出する。ここでの周期情報抽出部245は、特徴量抽出手段としても機能する。
一方、上記の比較の結果、周期情報の何れとも一致しない場合には、周期情報抽出部245は、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diに関する情報を破棄し、第1判定部241から転送された画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。それにより、特徴量抽出部25は、第1判定部241から転送された画像欠陥データ、すなわち画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データから特徴量を抽出する。
【0047】
ここで、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diと比較する周期情報は、例えば、画像形成部40に備えられる感光体の周長、1次転写ロールの周長、2次転写ロールの周長、定着ロールの周長等に基づく周期に関する情報である。この周期情報は、例えばNVM204等に記憶されている。
【0048】
<故障診断処理の内容の説明>
次に、本実施の形態の故障診断部20が行う故障診断処理の内容を説明する。
図13−1および図13−2は、故障診断部20が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
まず、図13−1に示すように、故障診断部20は、画像データ取得部21にて画像読取部60からテストチャート画像(検査対象画像)に関する画像データを取得し、画像データ記憶部22に記憶する(ステップ101)。
故障診断部20の画像欠陥検出部23は、画像データ記憶部22から画像データを取得し、テストチャート画像に関する画像データと、外部記憶部30から取得した基準画像データとを比較して、画像欠陥が発生している領域(画像欠陥領域)を抽出する(ステップ102)。
【0049】
故障診断部20の傾き処理部24は、画像欠陥と判定された領域(画像欠陥領域)に関する画像データと、そのテストチャート画像上での位置座標情報(位置座標データ)とを対応付けた「画像欠陥データ」から画像欠陥領域の面積を算出し、予め定められた規定面積値と比較する(ステップ103)。そして、画像欠陥領域の面積が規定面積値(例えば、上記した「第1の規定面積値」)よりも大きければ(ステップ103でNo)、微小な画像欠陥または局所的に発生した画像欠陥(点状/局所欠陥)ではないと判定し、故障診断部20の特徴量抽出部25が、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する(ステップ119)。
【0050】
一方、画像欠陥領域の面積が規定面積値(例えば、上記した「第1の規定面積値」)以下であれば(ステップ103でYes)、点状/局所欠陥であると判定する。そして、故障診断部20の傾き処理部24は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データに対する座標変換処理を行う。
まず、傾き処理部24は、回転中心座標Cを中心としてテストチャート画像上の座標系(X−Y座標系)に座標変換処理を施す際の座標回転角θをθ=0°に設定する(ステップ104)。そして、傾き処理部24は、座標回転角θ=0°での各点状/局所欠陥の重心の位置座標(重心位置座標)を算出する(ステップ105)。さらに、傾き処理部24は、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の重心位置について、主走査方向(X座標)におけるばらつきΔ(=XMAX−XMIN)を算出する(ステップ106)。XMAXは、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の中で、重心位置のX座標値が最大である点状/局所欠陥の重心のX座標値であり、XMINは、重心位置のX座標値が最小である点状/局所欠陥の重心のX座標値である。
【0051】
傾き処理部24は、座標変換処理した際の各座標系の座標回転角θ(ここでは、θ=0°)と、各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとを対応付けた対応関係(θ,Δ)を生成し、保存する(ステップ107)。
続いて、傾き処理部24は、座標回転角θを規定角度δθだけ加算し、新たな座標回転角θを設定する(ステップ108)。そして、傾き処理部24は、新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲内か否かを判定する(ステップ109)。
新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲内であれば(ステップ109でYes)、ステップ105に戻り、新たに設定された座標回転角θによりステップ105からステップ108までの処理を実施する。
新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲を超えたものであった場合には(ステップ109でNo)、座標変換処理を終了する。
【0052】
そして図13−2のフローチャートに移り、傾き処理部24の第2判定部243は、各座標系の座標回転角θと、各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとの対応関係(θ,Δ)から、点状/局所欠陥のばらつきΔの最小値(最小ばらつきΔMIN)と、最小値ΔMINを与える座標系の座標回転角θ(=θMIN)を抽出する(ステップ110)。
そして、第2判定部243は、抽出した点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINを、ばらつきΔに関する予め定めた規定値Δthと比較する(ステップ111)。そして、最小ばらつきΔMINが規定値Δthよりも大きい場合には(ステップ111でNo)、点状/局所欠陥はランダムに発生していると判定し、故障診断部20の特徴量抽出部25にて、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量が抽出される(ステップ119)。
一方、第2判定部243は、最小ばらつきΔMINが規定値Δth以下であった場合には(ステップ111でYes)、点状/局所欠陥が方向性・周期性を持って発生していると判定する。
それにより、傾き処理部24の回転処理部244は、点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINを与える座標回転角θMINに関するデータを第2判定部243から取得する(ステップ112)。そして、回転処理部244は、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標Cとして設定し、画像欠陥データのテストチャート画像上での位置座標データに関し、座標回転角θMINだけ座標系を回転させる座標変換処理する(ステップ113)。
【0053】
傾き処理部24の周期情報抽出部245は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、各点状/局所欠陥の重心の副走査方向(Y’座標)の間隔Di(i=1,2,3…)を算出する(ステップ114)。
周期情報抽出部245は、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diを、予め保持する周期情報と比較する(ステップ115)。その結果、周期情報の一つと一致した場合には(ステップ115でYes)、その周期情報を「画像欠陥の周期に関する特徴量」として保持する(ステップ116)。画像欠陥の周期に関する特徴量は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データとともに、特徴量抽出部25に出力される。
特徴量抽出部25は、傾き処理部24から取得した画像欠陥データに基づき、画像欠陥の周期に関する特徴量以外の画像欠陥を特徴付ける他の特徴量を抽出する(ステップ117)。
【0054】
一方、比較した結果、周期情報の何れとも一致しない場合には(ステップ115でNo)、周期情報抽出部245は、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diに関する情報を破棄する(ステップ118)。
そして、特徴量抽出部25は、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する(ステップ119)。
その後、特徴量抽出部25にて抽出された特徴量は、欠陥種別判定部26および診断部27に送られ、画像欠陥を生じさせた故障原因を診断する故障診断処理が実行される(ステップ120)。
【0055】
[実施の形態2]
<傾き処理部の詳細な説明>
次に、上記した故障診断部20に備えられる傾き処理部24の他の実施の形態について説明する。
実施の形態1では、点状/局所欠陥の重心位置のばらつきΔにより、点状/局所欠陥が方向性・周期性を持って発生しているか否かを判定する構成について説明した。本実施の形態では、点状/局所欠陥の主走査方向に沿った座標軸(X座標軸)への投影分布波形についての分散により、点状/局所欠陥が方向性・周期性を持って発生しているか否かを判定する構成について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
【0056】
図14は、本実施の形態の傾き処理部24の構成を説明するブロック図である。
図14に示したように、本実施の形態の傾き処理部24は、前処理部246を座標変換手段の一例としての回転処理部246Aと、画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段の一例としての投影分布波形生成部246Bおよび分散値算出部246Cとにより構成している。
前処理部246の回転処理部246Aは、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標として設定し、画像欠陥データの位置座標情報(位置座標データ)に対して予め定めた角度(例えば、±1°)ずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。
投影分布波形生成部246Bは、画像欠陥データを予め定めた角度ずつ座標変換処理を行う毎に、新たな座標系において、点状/局所欠陥各々のX(X’)座標軸への投影分布波形を求める。具体的には、新たな座標系における点状/局所欠陥各々に関し、点状/局所欠陥を構成する画素のX(X’)座標軸への投影分布波形(X(X’)座標値毎の画素の累積個数)を求める。
分散値算出部246Cは、ばらつき量の一例として、投影分布波形生成部246Bにて求められた点状/局所欠陥各々の投影分布波形(点状/局所欠陥を構成する画素のX(X’)座標値毎の累積個数)に関する分散値(σ2)を算出する。
【0057】
本実施の形態の前処理部246では、第1判定部241から転送された画像欠陥データについて、回転処理部246Aが予め定めた角度範囲内で規定角度δθずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。そして、投影分布波形生成部246Bが、規定角度δθずつ回転させた各座標系(X’−Y’座標系)各々において、点状/局所欠陥各々を構成する画素のX’座標値毎の累積個数(投影分布波形)を求める。さらには、分散値算出部246Cが、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の投影分布波形について、分散値σ2を算出する。そして、回転処理部246Aが座標変換処理した際の各座標系の座標回転角θ(=δθ×n)と、各座標系各々での点状/局所欠陥の分散値σ2とを対応付けた対応関係(θ,σ2)を生成する。前処理部246は、この対応関係(θ,σ2)により、各座標系(X’−Y’座標系)各々における画像欠陥の発生状況を検出する。
【0058】
ここで、図15は、前処理部246が求める投影分布波形を説明する図である。
図15に示したように、回転処理部246Aは、テストチャート画像上の予め定めた1点(C点)を回転中心座標として設定する。そして、回転中心座標Cを中心として、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の座標系(X−Y座標系)を規定角度δθずつ(規定角度δθステップで)回転させ、新たな座標系(X’−Y’座標系)に変換する。例えば、図15では、規定角度δθずつの座標変換処理のn回目を示している。この場合には、回転角θは、θ=δθ×nとなる。それにより、画像欠陥データの位置座標データを新たなX’−Y’座標系での位置座標データに変換する。なお、ここでのX座標(X’座標)は主走査方向に沿った座標軸であり、Y座標(Y’座標)は副走査方向に沿った座標軸である。
そして、投影分布波形生成部246Bは、新たな座標系(X’−Y’座標系)において、点状/局所欠陥各々を構成する画素のX’座標値毎の累積個数(投影分布波形)を求める。さらには、分散値算出部246Cが、投影分布波形生成部246Bにて求められた点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2を算出する。
【0059】
次に、本実施の形態の第2判定部243は、前処理部246から、画像欠陥データに加えて、座標変換処理された各座標系の座標回転角θと、各座標系各々での点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2とを対応付けた対応関係(θ,σ2)とを取得する。そして、第2判定部243は、前処理部246から取得した各座標系での対応関係(θ,σ2)から、点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2の最小値(以下、「最小分散値σ2MIN」)と、最小分散値σ2MINを与える座標系の座標回転角θ(=θMIN)を抽出する。
ここで、図16は、前処理部246にて生成された各座標系の座標回転角θと各座標系各々での点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2との対応関係(θ,σ2)の一例を示した図である。第2判定部243は、図16に例示した対応関係を有する各座標系の座標回転角θと各座標系各々での点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2とから、点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINと、最小分散値σ2MINを与える座標系の座標回転角θMINとを抽出する。
【0060】
そして、第2判定部243は、抽出した点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINと、分散値σ2に関する予め定めた規定値σth2とを比較する。その結果、最小分散値σ2MINが規定値σth2以上である場合には、点状/局所欠陥はランダムに発生していると判定する。その場合には、第2判定部243は、第1判定部241から転送された画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。それにより、特徴量抽出部25は、第1判定部241から転送された画像欠陥データ、すなわち画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データから特徴量を抽出する。
【0061】
一方、第2判定部243は、最小分散値σ2MINが規定値σth2よりも小さい場合には、点状/局所欠陥は方向性・周期性を持って発生していると判定する。そして、第2判定部243は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINを与える座標回転角θMINに関するデータとを回転処理部244に出力する。
【0062】
回転処理部244は、第2判定部243から、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINを与える座標回転角θMINに関するデータとを取得する。そして、回転処理部244は、上記した前処理部246の回転処理部242Aと同様に、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標Cとして設定し、画像欠陥データの位置座標データに関し、座標回転角θMINだけ座標系を回転させる座標変換処理を行う。そして、画像欠陥データの位置座標データを座標回転角θMINだけ回転させた新たな座標系での位置座標データに変換する。
回転処理部244は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、座標回転角θMINだけ回転された座標系での位置座標データに変換された画像欠陥データとを周期情報抽出部245に出力する。
【0063】
周期情報抽出部245は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データを回転処理部244から取得する。そして、周期情報抽出部245は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での点状/局所欠陥各々に関する画像欠陥データのY’座標値の平均値を算出する。そして、算出した点状/局所欠陥各々に関するY’座標値の平均値(平均Y’座標値)相互の差分を、予め保持する周期情報と比較する。その結果、予め保持する周期情報の一つと一致した場合には、その周期情報を「画像欠陥の周期に関する特徴量」として保持する。そして、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データとともに、画像欠陥の周期に関する特徴量を特徴量抽出部25に出力する。それにより、特徴量抽出部25は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、周期に関する特徴量以外の他の特徴量をも抽出する。
一方、上記の比較の結果、周期情報の何れとも一致しない場合には、周期情報抽出部245は、第1判定部241から転送された画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。それにより、特徴量抽出部25は、第1判定部241から転送された画像欠陥データ、すなわち画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データから特徴量を抽出する。
【0064】
<故障診断処理の内容の説明>
次に、本実施の形態の故障診断部20が行う故障診断処理の内容を説明する。
図17−1および図17−2は、故障診断部20が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
まず、図17−1に示すように、故障診断部20は、画像データ取得部21にて画像読取部60からテストチャート画像(検査対象画像)に関する画像データを取得し、画像データ記憶部22に記憶する(ステップ201)。
故障診断部20の画像欠陥検出部23は、画像データ記憶部22から画像データを取得し、テストチャート画像に関する画像データと、外部記憶部30から取得した基準画像データとを比較して、画像欠陥が発生している領域(画像欠陥領域)を抽出する(ステップ202)。
【0065】
故障診断部20の傾き処理部24は、画像欠陥と判定された領域(画像欠陥領域)に関する画像データと、そのテストチャート画像上での位置座標情報(位置座標データ)とを対応付けた「画像欠陥データ」から画像欠陥領域の面積を算出し、予め定められた規定面積値と比較する(ステップ203)。そして、画像欠陥領域の面積が規定面積値(例えば、上記した「第1の規定面積値」)よりも大きければ(ステップ203でNo)、微小な画像欠陥または局所的に発生した画像欠陥(点状/局所欠陥)ではないと判定し、故障診断部20の特徴量抽出部25が、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する(ステップ219)。
【0066】
一方、画像欠陥領域の面積が規定面積値(例えば、上記した「第1の規定面積値」)以下であれば(ステップ203でYes)、点状/局所欠陥であると判定する。そして、故障診断部20の傾き処理部24は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データに対する座標変換処理を行う。
まず、傾き処理部24は、回転中心座標Cを中心としてテストチャート画像上の座標系(X−Y座標系)に座標変換処理を施す際の座標回転角θをθ=0°に設定する(ステップ204)。そして、傾き処理部24は、座標回転角θ=0°での点状/局所欠陥のX(X’)座標軸への投影分布波形を求める(ステップ205)。具体的には、座標回転角θ=0°での座標系における点状/局所欠陥に関し、点状/局所欠陥各々を構成する画素のX座標値毎の画素の累積個数を求める。さらに、傾き処理部24は、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥各々の投影分布波形(点状/局所欠陥を構成する画素のX(X’)座標値毎の累積個数)に関する分散値σ2を算出する(ステップ206)。
【0067】
傾き処理部24は、座標変換処理した際の各座標系の座標回転角θ(ここでは、θ=0°)と、各座標系各々での点状/局所欠陥の分散値σ2とを対応付けた対応関係(θ,σ2)を生成し、保存する(ステップ207)。
続いて、傾き処理部24は、座標回転角θを規定角度δθだけ加算し、新たな座標回転角θを設定する(ステップ208)。そして、傾き処理部24は、新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲内か否かを判定する(ステップ209)。
新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲内であれば(ステップ209でYes)、ステップ205に戻り、新たに設定された座標回転角θによりステップ205からステップ208までの処理を実施する。
新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲を超えたものであった場合には(ステップ209でNo)、座標変換処理を終了する。
【0068】
そして図17−2のフローチャートに移り、傾き処理部24の第2判定部243は、各座標系の座標回転角θと、各座標系各々での点状/局所欠陥の分散値σ2との対応関係(θ,σ2)から、点状/局所欠陥の分散値σ2の最小値(最小分散値σ2MIN)と、最小分散値σ2MINを与える座標系の座標回転角θ(=θMIN)を抽出する(ステップ210)。
そして、第2判定部243は、抽出した点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINを、分散値σ2に関する予め定めた規定値σth2と比較する(ステップ211)。そして、最小ばらつきΔMINが規定値Δthよりも大きい場合には(ステップ211でNo)、点状/局所欠陥はランダムに発生していると判定し、故障診断部20の特徴量抽出部25にて、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量が抽出される(ステップ219)。
一方、第2判定部243は、最小分散値σ2MINが規定値σth2以下であった場合には(ステップ211でYes)、点状/局所欠陥が方向性・周期性を持って発生していると判定する。
それにより、傾き処理部24の回転処理部244は、点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINを与える座標回転角θMINに関するデータを第2判定部243から取得する(ステップ212)。そして、回転処理部244は、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標Cとして設定し、画像欠陥データのテストチャート画像上での位置座標データに関し、座標回転角θMINだけ座標系を回転させる座標変換処理する(ステップ213)。
【0069】
傾き処理部24の周期情報抽出部245は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、各点状/局所欠陥の画像欠陥データのY’座標値の平均値(平均Y’座標値)を算出し、算出した点状/局所欠陥各々に関する平均Y’座標値相互の差分を求める(ステップ214)。
周期情報抽出部245は、算出した点状/局所欠陥各々に関する平均Y’座標値相互の差分を、予め保持する周期情報と比較する(ステップ215)。その結果、周期情報の一つと一致した場合には(ステップ215でYes)、その周期情報を「画像欠陥の周期に関する特徴量」として保持する(ステップ216)。画像欠陥の周期に関する特徴量は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データとともに、特徴量抽出部25に出力される。
特徴量抽出部25は、傾き処理部24から取得した画像欠陥データに基づき、画像欠陥の周期に関する特徴量以外の画像欠陥を特徴付ける他の特徴量を抽出する(ステップ217)。
【0070】
一方、比較した結果、周期情報の何れとも一致しない場合には(ステップ215でNo)、周期情報抽出部245は、算出した点状/局所欠陥各々に関する平均Y’座標値相互の差分に関する情報を破棄する(ステップ218)。
そして、特徴量抽出部25は、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する(ステップ219)。
その後、特徴量抽出部25にて抽出された特徴量は、欠陥種別判定部26および診断部27に送られ、画像欠陥を生じさせた故障原因を診断する故障診断処理が実行される(ステップ220)。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1の故障診断部20では、画像読取部60にて読み取られたテストチャート画像が傾いているか否かを判定し、傾いていると判定された場合には、その傾きを補正して特徴量を抽出する。さらには、その傾きを補正して画像欠陥に周期性があるか否かを判定する。そして、周期性があると判定された場合には、画像欠陥の周期性に関する特徴量を抽出する。それにより、画像形成装置1にて形成された画像に発生した画像欠陥の検出精度が向上する。
【符号の説明】
【0072】
1…画像形成装置、10…制御部、20…故障診断部、21…画像データ取得部、22…画像データ記憶部、23…画像欠陥検出部、24…傾き処理部、25…特徴量抽出部、26…欠陥種別判定部、27…診断部、40…画像形成部、50…操作表示部、60…画像読取部、90…内部状態検出部、241…第1判定部、242,246…前処理部、242A,246A…回転処理部、242B…重心算出部、242C…ばらつき算出部、243…第2判定部、244…回転処理部、245…周期情報抽出部、246B…投影分布波形生成部、246C…分散値算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像欠陥診断システム、画像形成装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複写機、プリンタ等の画像形成装置では、自らが印刷したテストチャート画像等といった検査対象画像を画像読取装置により読み取り、検査対象画像に関する読取画像データに基づいて画像欠陥を診断し、画像欠陥の発生状況に基づいて画像形成装置自身の故障箇所を推定する技術が知られている。
例えば特許文献1には、プリンタにて印刷されたテストチャート画像を画像読取装置で読み取り、読み取ったテストチャート画像に関する画像データをテストチャート画像データと比較し、両者の差異を比較することで印字品質を自己判断して故障等に対応させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002‐283681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置にて形成された画像に発生した画像欠陥の検出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を読み取ることで生成された画像データを取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する画像欠陥検出手段と、前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する座標変換処理手段と、前記座標変換処理手段にて前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段と、前記発生状況検出手段にて検出された前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する設定手段と、前記設定手段にて設定された前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する特徴量抽出手段とを備えたことを特徴とする画像欠陥診断システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システムである。
請求項3に記載の発明は、前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々の重心の位置座標を求め、当該画像欠陥各々の重心に関する前記検査対象画像の主走査方向における位置から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システムである。
請求項4に記載の発明は、前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々を構成する画素の前記検査対象画像での主走査方向位置に関する分散を求め、当該分散から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システムである。
請求項5に記載の発明は、前記設定手段は、前記発生状況検出手段にて検出された前記ばらつき量が予め定めた規定値以下である場合に、前記画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での前記座標回転角を設定することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システムである。
請求項6に記載の発明は、前記特徴量抽出手段は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システムである。
請求項7に記載の発明は、前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥の面積を算出し、当該面積が予め定めた規定値以下である場合に当該画像欠陥を検査対象と判定する判定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システムである。
【0007】
請求項8に記載の発明は、画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を記録材上に形成する画像形成手段と、前記画像形成手段にて形成された前記検査対象画像を読み取り、当該検査対象画像に関する画像データを生成する画像読取手段と、前記画像読取手段にて生成された前記画像データにより前記検査対象画像に発生した画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出し、当該特徴量を用いて自装置の故障原因を診断する画像欠陥診断手段とを有し、前記画像欠陥診断手段は、前記画像読取手段から前記画像データを取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する画像欠陥検出手段と、前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する座標変換処理手段と、前記座標変換処理手段にて前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段と、前記発生状況検出手段にて検出された前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する設定手段と、前記設定手段にて設定された前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する特徴量抽出手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項9に記載の発明は、前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々の重心の位置座標を求め、当該画像欠陥各々の重心に関する前記検査対象画像の主走査方向における位置から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置である。
請求項11に記載の発明は、前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々を構成する画素の前記検査対象画像での主走査方向位置に関する分散を求め、当該分散から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置である。
請求項12に記載の発明は、前記画像欠陥診断手段の前記特徴量抽出手段は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項13に記載の発明は、コンピュータに、画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を読み取ることで生成された画像データを取得する機能と、取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する機能と、前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する機能と、前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する機能と、前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する機能と、前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する機能とを実現させることを特徴とするプログラムである。
【0010】
請求項14に記載の発明は、前記画像欠陥の発生状況を検出する機能は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項13記載のプログラムである。
請求項15に記載の発明は、前記特徴量を抽出する機能は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項13記載のプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成装置にて形成された画像に発生した画像欠陥の特徴量抽出精度を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像の傾き角を抽出することができる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、欠陥領域各々のばらつきの程度をより客観的に検出することができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、欠陥領域各々のばらつきの程度をより客観的に検出することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、検査対象画像が傾いた状態で読み取られたか否かをより客観的に判断することができる。
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像に周期的に発生している画像欠陥に関する特徴量をより正確に抽出することができる。
請求項7の発明によれば、周期的に発生する傾向にある画像欠陥を選択的に抽出することができる。
【0012】
請求項8の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成装置にて形成された画像に発生した画像欠陥の特徴量抽出精度を向上させることができる。
請求項9の発明によれば、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像の傾き角を抽出することができる。
請求項10の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、欠陥領域各々のばらつきの程度をより客観的に検出することができる。
請求項11の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、欠陥領域各々のばらつきの程度をより客観的に検出することができる。
請求項12の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像に周期的に発生している画像欠陥に関する特徴量をより正確に抽出することができる。
【0013】
請求項13の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、画像形成装置にて形成された画像に発生した画像欠陥の特徴量抽出精度を向上させることができる。
請求項14の発明によれば、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像の傾き角を抽出することができる。
請求項15の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、全体が傾いた状態で読み取られた検査対象画像に周期的に発生している画像欠陥に関する特徴量をより正確に抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示したブロック図である。
【図2】故障診断部の構成を説明するブロック図である。
【図3】操作表示部にて表示されるサービスの内容に関する表示画面の一例を示す図である。
【図4】操作表示部にて表示される画像欠陥の種別に関する表示画面の一例を示す図である。
【図5】操作表示部にて表示される画像欠陥の詳細な種別に関する表示画面の一例を示す図である。
【図6】画像欠陥診断モデルを構成するベイジアンネットワークの一例を示した図である。
【図7】操作表示部にて表示される診断結果に関する表示画面の一例を示した図である。
【図8】故障診断部の内部構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態1の傾き処理部の構成を説明するブロック図図である。
【図10】回転処理部が行う座標変換処理を説明する図である。
【図11】前処理部にて生成された各座標系の座標回転角と各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきとの対応関係の一例を示した図である。
【図12】規定値の設定方法を説明する図である。
【図13−1】故障診断部が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
【図13−2】故障診断部が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
【図14】実施の形態2の傾き処理部の構成を説明するブロック図である。
【図15】前処理部が求める投影分布波形を説明する図である。
【図16】前処理部にて生成された各座標系の座標回転角と各座標系各々での点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値との対応関係の一例を示した図である。
【図17−1】故障診断部が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
【図17−2】故障診断部が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置の説明>
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示したブロック図である。図1に示す画像形成装置1は、画像形成装置1の動作全体を制御する制御部10、画像上に発生した画像欠陥から画像形成装置1の故障を診断する画像欠陥診断手段の一例としての故障診断部20、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等で構成され、各種のプログラムやデータ等が記憶される外部記憶部30を備えている。
また、画像形成装置1は、画像データ(ビデオデータ)に基づいて記録材(用紙)上に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部40、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行う操作表示部50、原稿から各色成分の反射率を読み取って画像データを生成する画像読取手段の一例としての画像読取部60、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等といった通信手段(ネットワーク)と通信を行う通信部70を備えている。ここで、画像形成部40としては、例えば電子写真方式の画像形成エンジンが用いられる。
さらに、画像形成装置1は、画像形成装置1内の温湿度や、画像形成部40にて搬送される用紙が用紙搬送路を通過する時間、画像形成装置1内にて使用される駆動電流等といった画像形成装置1の内部状態を表す各種情報(以下、「内部状態情報」)を検出する内部状態検出部90を備えている。
【0016】
さらに、画像形成装置1は、外部記憶部30とのデータ転送を高速で行うDMAC(Direct Memory Access Controller)81、画像形成部40とのビデオデータの送受信を制御するビデオインターフェース(I/F)82、操作表示部50とのデータの送受信を制御する操作表示インターフェース(I/F)83、画像読取部60との画像データの送受信を制御するスキャナインターフェース(I/F)84、通信部70とのデータの送受信を制御するネットワークインターフェース(I/F)85、内部状態検出部90とのデータの送受信を制御するセンサインターフェース(I/F)86を備えている。
制御部10、故障診断部20、ビデオI/F82、操作表示I/F83、スキャナI/F84、およびネットワークI/F85、センサI/F86それぞれは、PCI(Peripheral Components Interconnect bus)バス80に接続されている。
また、外部記憶部30は、DMAC81を介してPCIバス80に接続され、PCIバス80に接続された制御部10や各種インターフェース(I/F)との間のデータ転送を高速で行う。
【0017】
なお、故障診断部20は、制御部10や画像形成部40や画像読取部60等と一体的に構成しても、別体に構成してもよい。このような別体構成では、故障診断部20と制御部10や画像形成部40や画像読取部60等とは、例えば、通信部70を介してLAN、WAN、インターネット等といったネットワークにより接続される。それにより、故障診断部20を画像形成装置1の外部に備えた故障診断システムが構築される。ここでのネットワークを構成する通信回線としては、電話回線や衛星通信回線(例えば、デジタル衛星放送における空間伝送路)等を含んでもよい。
【0018】
<故障診断部の説明>
図2は、故障診断部20の構成を説明するブロック図である。
図2に示すように、故障診断部20は、画像読取部60にて生成された画像データを取得する取得手段の一例としての画像データ取得部21、画像データ取得部21にて取得された画像データを記憶する画像データ記憶部22を備えている。また、故障診断部20は、画像上にて画像欠陥が生じている領域(以下、「欠陥領域」)を検出する画像欠陥検出手段の一例としての画像欠陥検出部23、画像の傾きに対応させて画像欠陥の周期性の有無を判定する傾き処理部24、画像上の欠陥領域から画像欠陥の特徴量を抽出する特徴量抽出手段の一例としての特徴量抽出部25を備えている。さらにまた、故障診断部20は、画像上に生じた画像欠陥の種別を判定する欠陥種別判定部26、画像上に生じた画像欠陥の種別に関する情報や欠陥領域から抽出された画像欠陥の特徴量等を用いて画像欠陥を生じさせた故障原因を診断する診断部27を備えている。
【0019】
<故障診断部にて故障診断に使用される画像データの取得の説明>
画像データ取得部21は、ユーザ(例えば、画像形成装置1の使用者や管理者等)が操作表示部50を操作することで選択された検査対象画像(以下、「テストチャート画像」)に関する画像データを取得する。このテストチャート画像は、診断対象とする画像欠陥の発生状態や発生色等の欠陥発生状況に基づいて、ユーザが操作表示部50から選択したものである。
すなわち、制御部10は、例えば画像形成装置1のメインスイッチ(不図示)がオンされると、操作表示I/F83を介して操作表示部50に対し、ユーザに提供するサービス内容の表示を指示する制御信号を送信する。それにより、操作表示部50には、図3(操作表示部50にて表示されるサービスの内容に関する表示画面の一例を示す図)に例示したように、画像形成装置1がユーザに提供するサービスの内容を示す表示画面を表示する。この表示画面には、例えば、複写機能を実行する「コピー」、メールを送信する機能を実行する「メール送信」、画像読取部60にて読み取った画像データをパーソナルコンピュータ(PC)に記憶(保存)させる機能を実行する「PC保存」、さらには、画像欠陥を生じさせた故障原因を診断する機能を実行する「画像診断」を表す画面を表示する。さらには、これらの機能の何れかの選択をユーザに促す指示コメントを表示する。
【0020】
そして、ユーザによる操作表示部50に対する操作入力により、「画像診断」の実行が選択されると、制御部10は、操作表示I/F83を介して操作表示部50に対し、診断対象とする画像欠陥の種別の表示を指示する制御信号を送信する。それにより、操作表示部50には、図4(操作表示部50にて表示される画像欠陥の種別に関する表示画面の一例を示す図)に例示したように、画像欠陥の種別を表示する。表示される画像欠陥の種別としては、例えば、画像上に現れた線状や筋状の汚れ、またはその他の形状の汚れであることを示す「線・筋・汚れ」、すべての色成分または一部の色成分についての画像抜けであることを示す「白抜け・色抜け」、画像濃度や色の不具合であることを示す「濃度・色味不良」、用紙の搬送方向下流側に前の画像の写しが残像のように2重に印刷されたものであることを示す「残像」、用紙上に画像がまったく印刷されないことを示す「何も印刷されない」を表す画面を表示する。さらには、これらの画像欠陥の種別の何れかの選択をユーザに促す指示コメントを表示する。
【0021】
そして、ここでは、ユーザによる操作表示部50に対する操作入力により、例えば「線・筋・汚れ」が選択されたものとする(図4のハッチングされた欄)。そうすると、制御部10は、操作表示I/F83を介して操作表示部50に対し、画像欠陥の種別「線・筋・汚れ」に関するさらに詳細な画像欠陥の種別の表示を指示する制御信号を送信する。それにより、操作表示部50には、図5(操作表示部50にて表示される画像欠陥の詳細な種別に関する表示画面の一例を示す図)に例示したように、「線・筋・汚れ」に関する画像欠陥の詳細な種別を表示する。ここで表示される画像欠陥の詳細な種別として、例えば、画像上における用紙搬送方向に沿って現れた線状や筋状の汚れであることを示す「用紙送り方向に線・筋・汚れ」、画像全体に広がるうっすらとした汚れ(所謂「かぶり」)であることを示す「かぶりが発生」、文字や罫線等の周辺にてトナーが飛び散ったように生じた汚れやかすれであることを示す「文字・罫線の周辺汚れ・かすれ」、画像上の濃度が高い領域にのみ生じた線状や筋状の汚れであることを示す「濃度の濃い部分にのみ線・筋像」、用紙上の一部分または全部が塗りつぶされたものであることを示す「ページの一部または全体が塗りつぶされる」、用紙の白地領域に発生する各色成分(1次色)からなる点(黒点・色点)であることを示す「黒点・色点が発生」を表す表示画面を表示する。さらには、これらの画像欠陥の詳細な種別の何れかの選択をユーザに促す指示コメントを表示する。
【0022】
そして、ここでは、ユーザによる操作表示部50に対する操作入力により、画像欠陥の詳細な種別の一つである「黒点・色点が発生」が選択されるものとする(図5のハッチングされた欄)。この場合には、制御部10は、「黒点・色点が発生」を診断するために用いるテストチャート画像を選択する。そして、制御部10は、ビデオI/F82を介して画像形成部40に対し、選択したテストチャート画像を印刷するように指示する制御信号を送信する。それにより、画像形成部40は、制御部10により印刷指示されたテストチャート画像を印刷する。なお、テストチャート画像を印刷するに際しては、印刷に用いられる色成分(Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒))に関しても、ユーザにより画像欠陥の発生状況に応じて指定されており、例えばK色が指定されることで、K色からなるテストチャート画像が印刷される。
さらに、制御部10は、ユーザに対し、印刷されたテストチャート画像を画像読取部60により読み取る操作を行うように指示する表示を、操作表示I/F83を介して操作表示部50に指示する制御信号を送信する。それにより、操作表示部50は、印刷されたテストチャート画像を画像読取部60により読み取る操作を行うことをユーザに促す指示コメントを表示する。
【0023】
そして、画像読取部60によってテストチャート画像が読み取られると、制御部10は、テストチャート画像の反射率からなる画像データを、画像読取部60から故障診断部20(画像データ取得部21)に転送させる。
このようにして、故障診断部20の画像データ取得部21は、テストチャート画像に関する画像データを取得する。さらに、画像データ取得部21にて取得されたテストチャート画像に関する画像データは、画像データ記憶部22に送られ、記憶される。
【0024】
<画像欠陥検出部の説明>
画像欠陥検出部23は、画像データ記憶部22から、画像欠陥の発生状況に基づいてユーザが選択した検査対象画像(テストチャート画像)に関する画像データを取得する。また、画像欠陥検出部23は、外部記憶部30から、画像形成部40にて形成されたテストチャート画像に画像欠陥が生じているか否かを判定するための、基準となる基準画像データを取得する。この基準画像データは、テストチャート画像を形成する際の基データとなったものである。そして、画像欠陥検出部23は、このテストチャート画像に関する画像データと、外部記憶部30から取得した基準画像データとを比較して、画像欠陥が発生している領域を判定する。そして、画像欠陥検出部23は、画像欠陥と判定された領域に関する画像データと、そのテストチャート画像上での位置座標情報(位置座標データ)とを対応付けた「画像欠陥データ」を抽出し、抽出した画像欠陥データを傾き処理部24に出力する。
なお、画像欠陥検出部23において画像欠陥が発生している領域を判定する際に、テストチャート画像に関する画像データを予め定められた濃度閾値と比較する方法を用いてもよい。
【0025】
<傾き処理部の説明>
一般に、画像形成装置1(画像形成部40)にて用紙上にテストチャート画像を形成する際に、例えば用紙の搬送が不安定となることで、用紙上にテストチャート画像が傾いて形成される場合がある。また、テストチャート画像を画像読取部60により読み取らせる際に、画像読取部60に設けられた画像読取センサ(不図示)がテストチャート画像を読み取る際の読取基準位置と、画像読取部60のプラテンガラス(不図示)上に設置されたテストチャート画像との間に傾きが生じる場合がある。それにより、画像読取部60においてテストチャート画像全体が傾いて読み取られ、テストチャート画像に生じた画像欠陥に関する特徴量、特に、画像欠陥の周期性に関する特徴量を正確に抽出できない場合がある。
そのため、傾き処理部24は、外部記憶部30に記憶された判定条件情報に基づき、画像読取部60にて読み取られたテストチャート画像が傾いているか否かを判定し、傾いていると判定された場合には、その傾きを補正して特徴量抽出部25に出力する。さらには、その傾きを補正して画像欠陥に周期性があるか否かを判定する。そして、周期性があると判定された場合には、画像欠陥の周期性に関する特徴量を抽出し、特徴量抽出部25に出力する。
【0026】
すなわち、傾き処理部24は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データによりテストチャート画像上に生じた画像欠陥の発生状態を判断する。そして、画像欠陥の発生状態から、画像データ記憶部22から取得した画像データが傾いた状態で読み取られたものであるか否かを判定する。そして、傾き処理部24は、テストチャート画像の画像データが予め定めた角度以上に傾いた状態で読み取られた画像データであると判定した場合には、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データに関し、テストチャート画像の傾き角に対応した傾き補正処理を行って特徴量抽出部25に出力する。さらに、傾き処理部24は、テストチャート画像の傾き角に対応させて画像欠陥データに周期性が有るか無いかを判定する。画像欠陥データに周期性が有ると判定した場合には、画像欠陥の周期を算出し、画像欠陥の周期に関する特徴量として特徴量抽出部25に出力する。
【0027】
また、傾き処理部24は、画像欠陥データにより画像欠陥と判定された領域の面積が予め定めた面積よりも小さい場合、または用紙上に印刷されたテストチャート画像全体の傾き角が予め定めた角度よりも小さいと判定した場合には、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に出力する。
なお、傾き処理部24の構成および傾き処理部24にて実行される処理の内容に関しては、後段で詳述する。
【0028】
<特徴量抽出部の説明>
続いて、特徴量抽出部25は、傾き処理部24から取得した画像欠陥データや画像欠陥の周期に関する特徴量に基づき、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する。特徴量抽出部25は、例えば、画像欠陥が生じている領域の形状、大きさ、濃度階調値、輪郭の状態、欠陥の発生方向、位置等といった特徴量や、傾き処理部24から取得した画像欠陥の周期に関する特徴量を抽出する。
例えば、テストチャート画像に黒線が発生する画像欠陥が発生しており、傾き処理部24から取得した画像欠陥データにより、画像欠陥が発生している色成分がK(黒)色である場合には、特徴量抽出部25は、例えば、黒線の線幅、黒線の長さ、黒線のコントラスト、黒線の周期性を特徴量として算出する。
そして、特徴量抽出部25は、算出した特徴量に関する情報を欠陥種別判定部26および診断部27に出力する。
【0029】
<欠陥種別判定部の説明>
欠陥種別判定部26は、特徴量抽出部25から取得した画像欠陥を特徴付ける特徴量に基づいて、画像欠陥の種別に関し類似性のあるもの同士を一群のデータとして分類するクラスタリング処理を行う。クラスタリング処理のアルゴリズムには、K−Means法や各種階層クラスタリング法等の既存のアルゴリズムが用いられる。
クラスタリング処理により分類された画像欠陥の種別としては、例えば、「用紙送り方向(副走査方向)の線・筋」、「かぶり」、「文字・罫線の周辺汚れ・かすれ」、「濃度の濃い部分の線・筋」、「ページの一部または全体の塗りつぶし」、「黒点・色点」等がある。
また、欠陥種別判定部26は、クラスタリング処理を行うことにより分類された画像欠陥の種別に対応させて、外部記憶部30に記憶された判定条件情報に基づき、画像欠陥を推定するために使用する画像欠陥診断モデル(後段参照)を選択する。
そして、欠陥種別判定部26は、クラスタリング処理を行うことにより分類された画像欠陥の種別に関する情報と、選択した画像欠陥診断モデルを特定する情報とを診断部27に出力する。
【0030】
<診断部の説明>
診断部27は、画像欠陥診断モデルを用いて画像欠陥を推定する。すなわち、診断部27は、画像欠陥診断モデルに、特徴量抽出部25にて算出された特徴量、欠陥種別判定部26から取得した画像欠陥の種別に関する情報、操作表示部50から取得したユーザによる操作入力情報(例えば「黒点・色点が発生」)、内部状態検出部90から取得した画像形成装置1の各種内部状態情報、外部記憶部30に記憶された画像形成装置1の使用履歴情報等を入力し、画像欠陥を誘発させた故障原因を推定する。
その際に、診断部27は、欠陥種別判定部26にて選択された画像欠陥の種別に対応した画像欠陥診断モデルを記憶部(例えば、後段図8のNVM204)から読み出す。本実施の形態では、複数の画像欠陥の種別に対応した画像欠陥診断モデルが診断部27内に設けられた記憶部に予め記憶されている。そして、診断部27は、欠陥種別判定部26にて選択された画像欠陥診断モデルをこの記憶部から読み出す。
ここでの「画像欠陥診断モデル」は、例えば、ベイジアンネットワーク(Bayesian Network)で構成されている。ベイジアンネットワークとは、確率理論を使用して問題領域をモデル化するものである。すなわち、因果関係が複雑な問題領域を表すため、相互に関連付けられた複数の問題要因間の因果関係を順次結線したグラフ構造を持つネットワークとして表現し、問題要因間の依存関係を有向グラフにより表したものである。
【0031】
図6は、画像欠陥診断モデルを構成するベイジアンネットワークの一例を示した図である。図6に例示した画像欠陥診断モデルでは、黒線が発生する画像結果に対応するベイジアンネットワークを示したものである。
図6に示すように、ベイジアンネットワークの各ノードは、「原因」→「結果」の関係になるように結線されている。例えば、「感光体傷」と「線幅情報」との関係は、「感光体傷」が元(原因)で細い線が発生(結果)といった「線幅情報」が現れるという関係になる。一方、「プリント枚数履歴情報」と「定着装置」との関係は、「プリント枚数」に基づく状態(プリント枚数が何枚以上)が元(原因)で「定着装置」劣化による黒線発生の可能性が高くなるという関係が成り立つ。各ノードの確率データの初期値は、例えば、過去のデータに基づいて決定する。その後、画像形成装置1における部品の交換頻度や、不具合の発生頻度等、市場トラブルの統計データ等を基にして、定期的に各ノードの確率を更新するようにしてもよい。また、図6中に示した「線幅情報」や「周期性情報」といった画像欠陥の特徴を表すノードは、特徴量抽出部25にて算出された特徴量により状態が決定される。
そして、診断部27は、記憶部(後段のNVM204)から読み出したベイジアンネットワークに基づき、故障原因や故障箇所を推定する。さらには、診断部27は、推定した故障原因や故障箇所を制御部10に通知する。それにより、制御部10は、操作表示部50に故障原因や故障推定箇所を表示し、ユーザに通知する。さらには、通信部70からネットワークを介してPC等の外部装置に通知してもよい。
【0032】
図7は、操作表示部50にて表示される診断結果に関する表示画面の一例を示した図である。図7に示したように、「故障原因・故障推定箇所」が確度(「故障確率」)の高い順に示されるとともに、故障状態を復旧させるための「作業難易度」も示される。作業難易度を示すことにより、例えば確度が近似する故障原因・故障推定箇所が表示された場合に、作業難易度の低い故障原因・故障推定箇所から作業することにより、復旧作業の効率化が図られる。また、図7に示した項目以外にも、「故障原因・故障推定箇所」欄を操作することにより、故障原因・故障推定箇所に対応する復旧作業が記述された処置情報を表示するように構成してもよい。
【0033】
<故障診断部の内部構成の説明>
ここで、図8は、故障診断部20の内部構成を示すブロック図である。図8に示したように、故障診断部20は、故障診断処理を実行するに際して、予め定められた処理プログラムに従ってデジタル演算処理を実行するCPU201、CPU201の作業用メモリ等として用いられるRAM202、CPU201での処理に使用される各種設定値等が格納されるROM203、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる、電池によりバックアップされたフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(NVM)204、PCIバス80を介して故障診断部20に接続される制御部10や外部記憶部30や画像読取部60等の各構成部との信号の入出力を制御するインターフェース(I/F)部205を備えている。
そして、CPU201が、処理プログラムを外部記憶部30から主記憶装置(RAM202)に読み込み、画像データ取得部21、画像欠陥検出部23、傾き処理部24、特徴量抽出部25、欠陥種別判定部26、診断部27の各機能部の機能を実現させる。
【0034】
なお、この処理プログラムに関するその他の提供形態としては、予めROM203に格納された状態にて提供され、RAM202にロードされる形態がある。さらに、EEPROM等の書き換え可能なROM203を備えている場合には、CPU201がセッティングされた後に、プログラムだけがROM203にインストールされ、RAM202にロードされる形態がある。また、インターネット等のネットワークを介して故障診断部20にプログラムが伝送され、故障診断部20のROM203にインストールされ、RAM202にロードされる形態がある。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ等の外部記録媒体からRAM202にロードされる形態がある。
【0035】
[実施の形態1]
<傾き処理部の詳細な説明>
次に、上記した故障診断部20に備えられる傾き処理部24の一実施の形態について説明する。
図9は、本実施の形態の傾き処理部24の構成を説明するブロック図である。
図9に示したように、傾き処理部24は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データが微小な画像欠陥または局所的に発生した画像欠陥(以下、「点状/局所欠陥」)に関するものか否かを判定する判定手段の一例としての第1判定部241、画像欠陥データが点状/局所欠陥に関するものである場合に、点状/局所欠陥が周期的に発生しているかランダムに発生しているかを判定するために使用する、点状/局所欠陥相互の相対的な位置関係を示す情報(以下、「相対位置情報」)を算出する前処理部242を備えている。
また、傾き処理部24は、前処理部242にて算出された点状/局所欠陥相互の相対位置情報を用いて、点状/局所欠陥が周期的に発生しているかランダムに発生しているかを判定する第2判定部243、第2判定部243により点状/局所欠陥が周期的に発生していると判定された場合に、点状/局所欠陥の周期情報を抽出するために画像欠陥データに対して回転処理を行う回転処理部244、回転処理された画像欠陥データから点状/局所欠陥の周期情報を抽出する周期情報抽出部245を備えている。
【0036】
また、傾き処理部24に備えられた前処理部242は、座標変換手段の一例としての回転処理部242Aと、画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段の一例としての重心算出部242Bおよびばらつき算出部242Cとを備えている。
前処理部242の回転処理部242Aは、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標として設定し、画像欠陥データの位置座標情報(位置座標データ)に対して予め定めた角度(例えば、±1°)ずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。
重心算出部242Bは、画像欠陥データを予め定めた角度ずつ座標変換処理を行う毎に、新たな座標系での点状/局所欠陥各々の重心を算出する。
ばらつき算出部242Cは、重心算出部242Bにて算出された点状/局所欠陥各々の重心位置に関するばらつき(Δ)を算出する。
【0037】
<傾き処理部を構成する各部の説明>
第1判定部241は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データから、画像欠陥領域の面積を算出し、予め定められた規定面積値と比較する。そして、画像欠陥領域の面積が第1の規定面積値よりも大きければ、微小な画像欠陥または局所的に発生した画像欠陥(点状/局所欠陥)ではないと判定し、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。
一方、第1判定部241は、画像欠陥領域の面積が第1の規定面積値以下であれば、点状/局所欠陥であると判定し、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データを前処理部242に転送する。
この場合に、第1判定部241は、第1の規定面積値以下である第2の規定面積値を設定しておき、画像欠陥領域の面積が第2の規定面積値以下となる点状/局所欠陥については、対象から除外するように処理してもよい。それにより、例えばノイズによって検出された微細な点状/局所欠陥が除外され、ばらつき算出部242Cにて算出されるばらつき(Δ)の精度が高められる。
【0038】
引き続く前処理部242では、回転処理部242Aは、第1判定部241から転送された画像欠陥データについて、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標として設定する。そして、画像欠陥データの位置座標データ(位置座標情報)に対して、予め定めた規定角度δθ(例えば、δθ=1°)ずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。
ここで、図10は、回転処理部242Aが行う座標変換処理を説明する図である。
図10に示したように、回転処理部242Aは、テストチャート画像上の予め定めた1点(C点)を回転中心座標として設定する。そして、回転中心座標Cを中心として、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の座標系(X−Y座標系)を規定角度δθずつ(規定角度δθステップで)回転させ、新たな座標系(X’−Y’座標系)に変換する。例えば、図10では、規定角度δθずつの座標変換処理のn回目を示している。この場合には、回転角θは、θ=δθ×nとなる。それにより、画像欠陥データの位置座標データを新たなX’−Y’座標系での位置座標データに変換する。なお、ここでのX座標(X’座標)は主走査方向に沿った座標軸であり、Y座標(Y’座標)は副走査方向に沿った座標軸である。
【0039】
前処理部242の重心算出部242Bは、回転処理部242Aにて座標変換処理が行われた画像欠陥データに関し、新たなX’−Y’座標系での位置座標データから点状/局所欠陥の重心に関する位置座標を算出する。
そして、前処理部242のばらつき算出部242Cは、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の重心位置に関し、主走査方向(X’座標)でのばらつきΔ=XMAX’−XMIN’を算出する。ここで、XMAX’は、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の中で、重心位置のX’座標値が最大である点状/局所欠陥の重心のX’座標値である。また、XMIN’は、重心位置のX’座標値が最小である点状/局所欠陥の重心のX’座標値である。
【0040】
このように、前処理部242では、第1判定部241から転送された画像欠陥データについて、回転処理部242Aが予め定めた角度範囲内で規定角度δθずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。そして、重心算出部242Bが、規定角度δθずつ回転させた各座標系(X’−Y’座標系)各々において、点状/局所欠陥の重心位置を算出する。さらには、ばらつき算出部242Cが、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の重心位置について、ばらつき量の一例としての主走査方向(X’座標)でのばらつきΔを算出する。そして、回転処理部242Aが座標変換処理した際の各座標系の座標回転角θ(=δθ×n)と、各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとを対応付けた対応関係(θ,Δ)を生成する。前処理部242は、この対応関係(θ,Δ)により、各座標系(X’−Y’座標系)各々における画像欠陥の発生状況を検出する。
【0041】
次に、第2判定部243は、前処理部242から、画像欠陥データに加えて、座標変換処理された各座標系の座標回転角θと、各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとを対応付けた対応関係(θ,Δ)と、重心算出部242Bにて算出された点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報とを取得する。そして、前処理部242から取得した各座標系での対応関係(θ,Δ)から、点状/局所欠陥のばらつきΔの最小値(以下、「最小ばらつきΔMIN」)と、最小値ΔMINを与える座標系の座標回転角θ(=θMIN)を抽出する。
ここで、図11は、前処理部242にて生成された各座標系の座標回転角θと各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとの対応関係(θ,Δ)の一例を示した図である。第2判定部243は、図11に例示した対応関係を有する各座標系の座標回転角θと各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとから、点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINと、最小ばらつきΔMINを与える座標系の座標回転角θMINとを抽出する。
【0042】
そして、第2判定部243は、抽出した点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINと、ばらつきΔに関する予め定めた規定値Δthとを比較する。その結果、最小ばらつきΔMINが規定値Δth以上である場合には、点状/局所欠陥はランダムに発生していると判定する。その場合には、第2判定部243は、第1判定部241から転送された画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。
一方、第2判定部243は、最小ばらつきΔMINが規定値Δthよりも小さい場合には、点状/局所欠陥は方向性・周期性を持って発生していると判定する。そして、第2判定部243は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINを与える座標回転角θMINに関するデータと、点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報とを回転処理部244に出力する。
ここで、第2判定部243は、座標変換処理における座標回転角を設定する設定手段として機能する。
【0043】
ここで、点状/局所欠陥はランダムに発生しているか、方向性・周期性を持って発生しているかを判定するための規定値Δthは、例えば、次のように設定される。
次の図12は、規定値Δthの設定方法を説明する図である。
まず図12(a)に示したように、周期的な画像欠陥(点状/局所欠陥)が発生した複数のサンプル画像の各々において、点状/局所欠陥の各領域の主走査方向(X座標)の幅(Wi)を計測する。ここで、iは、各サンプル画像に発生した点状/局所欠陥各々に付した番号である。
さらに、計測した点状/局所欠陥各々の幅Wiの平均値(WAVE=ΣWi/n)と、点状/局所欠陥各々の重心位置のX座標値の最大値XMAXと最小値XMINとの差Δとを算出する。この場合に、Wi,Δの単位はmmとし、画像読取部60の読取解像度R(dpi)に応じて画素位置に25.4mm/Rを乗じて算出する。
次に図12(b)に示したように、複数のサンプル画像から得られた(Wave,Δ)に関し、例えば最小二乗法を用いて回帰直線を求める。さらに、回帰直線と各プロット(Wave,Δ)のΔ値との標準偏差σから分散σ2を求め、Δの増加する方向に回帰直線を例えば3σだけ平行移動させる。これは、サンプル画像から得られた点状/局所欠陥各々に関するΔ値が、回帰直線を平行移動させた直線よりも低くなるように設定するためである。また、移動量3σは、点状/局所欠陥各々に関するΔ値をかかる直線よりも低くするのに充分な値だからである。そして、この直線を規定値Δthを求めるための算出式(以下、「規定値算出式」)として設定する。
【0044】
続いて、図12(b)に示した直線(規定値算出式)Δth=f(Wave)を用いて、検査対象画像(テストチャート画像)における規定値Δthを算出する。すなわち、規定値直線Δth=f(Wave)は、具体的に、
Δth=a×Wave+b(a,b:定数)…(1)
と表現できる。それにより、テストチャート画像における画像欠陥領域での主走査方向(X座標)の幅Wiの平均値Waveを算出し、算出した平均値Waveを(1)式に代入することで、Δthを求めることができる。
【0045】
次に、回転処理部244は、第2判定部243から、第1判定部241から転送された画像欠陥データ(前処理部242にて算出された点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報を含む)と、点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINを与える座標回転角θMINに関するデータとを取得する。そして、回転処理部244は、上記した前処理部242の回転処理部242Aと同様に、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標Cとして設定し、画像欠陥データの位置座標データに関し、座標回転角θMINだけ座標系を回転させる座標変換処理する。そして、画像欠陥データの位置座標データを座標回転角θMINだけ回転させた新たな座標系での位置座標データに変換する。
回転処理部244は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、座標回転角θMINだけ回転された座標系での位置座標データに変換された画像欠陥データ(前処理部242にて算出された点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報を含む)とを周期情報抽出部245に出力する。
【0046】
周期情報抽出部245は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データ(点状/局所欠陥の重心位置に関する位置座標情報を含む)を回転処理部244から取得する。そして、周期情報抽出部245は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、各点状/局所欠陥の重心の副走査方向(Y’座標)の間隔Di(i=1,2,3…)を算出する(上記図10参照)。
周期情報抽出部245は、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diを、予め保持する周期情報と比較する。その結果、予め保持する周期情報の一つと一致した場合には、その周期情報を「画像欠陥の周期に関する特徴量」として保持する。そして、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データとともに、画像欠陥の周期に関する特徴量を特徴量抽出部25に出力する。それにより、特徴量抽出部25は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、周期に関する特徴量以外の他の特徴量をも抽出する。ここでの周期情報抽出部245は、特徴量抽出手段としても機能する。
一方、上記の比較の結果、周期情報の何れとも一致しない場合には、周期情報抽出部245は、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diに関する情報を破棄し、第1判定部241から転送された画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。それにより、特徴量抽出部25は、第1判定部241から転送された画像欠陥データ、すなわち画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データから特徴量を抽出する。
【0047】
ここで、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diと比較する周期情報は、例えば、画像形成部40に備えられる感光体の周長、1次転写ロールの周長、2次転写ロールの周長、定着ロールの周長等に基づく周期に関する情報である。この周期情報は、例えばNVM204等に記憶されている。
【0048】
<故障診断処理の内容の説明>
次に、本実施の形態の故障診断部20が行う故障診断処理の内容を説明する。
図13−1および図13−2は、故障診断部20が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
まず、図13−1に示すように、故障診断部20は、画像データ取得部21にて画像読取部60からテストチャート画像(検査対象画像)に関する画像データを取得し、画像データ記憶部22に記憶する(ステップ101)。
故障診断部20の画像欠陥検出部23は、画像データ記憶部22から画像データを取得し、テストチャート画像に関する画像データと、外部記憶部30から取得した基準画像データとを比較して、画像欠陥が発生している領域(画像欠陥領域)を抽出する(ステップ102)。
【0049】
故障診断部20の傾き処理部24は、画像欠陥と判定された領域(画像欠陥領域)に関する画像データと、そのテストチャート画像上での位置座標情報(位置座標データ)とを対応付けた「画像欠陥データ」から画像欠陥領域の面積を算出し、予め定められた規定面積値と比較する(ステップ103)。そして、画像欠陥領域の面積が規定面積値(例えば、上記した「第1の規定面積値」)よりも大きければ(ステップ103でNo)、微小な画像欠陥または局所的に発生した画像欠陥(点状/局所欠陥)ではないと判定し、故障診断部20の特徴量抽出部25が、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する(ステップ119)。
【0050】
一方、画像欠陥領域の面積が規定面積値(例えば、上記した「第1の規定面積値」)以下であれば(ステップ103でYes)、点状/局所欠陥であると判定する。そして、故障診断部20の傾き処理部24は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データに対する座標変換処理を行う。
まず、傾き処理部24は、回転中心座標Cを中心としてテストチャート画像上の座標系(X−Y座標系)に座標変換処理を施す際の座標回転角θをθ=0°に設定する(ステップ104)。そして、傾き処理部24は、座標回転角θ=0°での各点状/局所欠陥の重心の位置座標(重心位置座標)を算出する(ステップ105)。さらに、傾き処理部24は、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の重心位置について、主走査方向(X座標)におけるばらつきΔ(=XMAX−XMIN)を算出する(ステップ106)。XMAXは、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の中で、重心位置のX座標値が最大である点状/局所欠陥の重心のX座標値であり、XMINは、重心位置のX座標値が最小である点状/局所欠陥の重心のX座標値である。
【0051】
傾き処理部24は、座標変換処理した際の各座標系の座標回転角θ(ここでは、θ=0°)と、各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとを対応付けた対応関係(θ,Δ)を生成し、保存する(ステップ107)。
続いて、傾き処理部24は、座標回転角θを規定角度δθだけ加算し、新たな座標回転角θを設定する(ステップ108)。そして、傾き処理部24は、新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲内か否かを判定する(ステップ109)。
新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲内であれば(ステップ109でYes)、ステップ105に戻り、新たに設定された座標回転角θによりステップ105からステップ108までの処理を実施する。
新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲を超えたものであった場合には(ステップ109でNo)、座標変換処理を終了する。
【0052】
そして図13−2のフローチャートに移り、傾き処理部24の第2判定部243は、各座標系の座標回転角θと、各座標系各々での点状/局所欠陥のばらつきΔとの対応関係(θ,Δ)から、点状/局所欠陥のばらつきΔの最小値(最小ばらつきΔMIN)と、最小値ΔMINを与える座標系の座標回転角θ(=θMIN)を抽出する(ステップ110)。
そして、第2判定部243は、抽出した点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINを、ばらつきΔに関する予め定めた規定値Δthと比較する(ステップ111)。そして、最小ばらつきΔMINが規定値Δthよりも大きい場合には(ステップ111でNo)、点状/局所欠陥はランダムに発生していると判定し、故障診断部20の特徴量抽出部25にて、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量が抽出される(ステップ119)。
一方、第2判定部243は、最小ばらつきΔMINが規定値Δth以下であった場合には(ステップ111でYes)、点状/局所欠陥が方向性・周期性を持って発生していると判定する。
それにより、傾き処理部24の回転処理部244は、点状/局所欠陥の最小ばらつきΔMINを与える座標回転角θMINに関するデータを第2判定部243から取得する(ステップ112)。そして、回転処理部244は、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標Cとして設定し、画像欠陥データのテストチャート画像上での位置座標データに関し、座標回転角θMINだけ座標系を回転させる座標変換処理する(ステップ113)。
【0053】
傾き処理部24の周期情報抽出部245は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、各点状/局所欠陥の重心の副走査方向(Y’座標)の間隔Di(i=1,2,3…)を算出する(ステップ114)。
周期情報抽出部245は、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diを、予め保持する周期情報と比較する(ステップ115)。その結果、周期情報の一つと一致した場合には(ステップ115でYes)、その周期情報を「画像欠陥の周期に関する特徴量」として保持する(ステップ116)。画像欠陥の周期に関する特徴量は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データとともに、特徴量抽出部25に出力される。
特徴量抽出部25は、傾き処理部24から取得した画像欠陥データに基づき、画像欠陥の周期に関する特徴量以外の画像欠陥を特徴付ける他の特徴量を抽出する(ステップ117)。
【0054】
一方、比較した結果、周期情報の何れとも一致しない場合には(ステップ115でNo)、周期情報抽出部245は、算出した副走査方向(Y’座標)の間隔Diに関する情報を破棄する(ステップ118)。
そして、特徴量抽出部25は、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する(ステップ119)。
その後、特徴量抽出部25にて抽出された特徴量は、欠陥種別判定部26および診断部27に送られ、画像欠陥を生じさせた故障原因を診断する故障診断処理が実行される(ステップ120)。
【0055】
[実施の形態2]
<傾き処理部の詳細な説明>
次に、上記した故障診断部20に備えられる傾き処理部24の他の実施の形態について説明する。
実施の形態1では、点状/局所欠陥の重心位置のばらつきΔにより、点状/局所欠陥が方向性・周期性を持って発生しているか否かを判定する構成について説明した。本実施の形態では、点状/局所欠陥の主走査方向に沿った座標軸(X座標軸)への投影分布波形についての分散により、点状/局所欠陥が方向性・周期性を持って発生しているか否かを判定する構成について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
【0056】
図14は、本実施の形態の傾き処理部24の構成を説明するブロック図である。
図14に示したように、本実施の形態の傾き処理部24は、前処理部246を座標変換手段の一例としての回転処理部246Aと、画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段の一例としての投影分布波形生成部246Bおよび分散値算出部246Cとにより構成している。
前処理部246の回転処理部246Aは、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標として設定し、画像欠陥データの位置座標情報(位置座標データ)に対して予め定めた角度(例えば、±1°)ずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。
投影分布波形生成部246Bは、画像欠陥データを予め定めた角度ずつ座標変換処理を行う毎に、新たな座標系において、点状/局所欠陥各々のX(X’)座標軸への投影分布波形を求める。具体的には、新たな座標系における点状/局所欠陥各々に関し、点状/局所欠陥を構成する画素のX(X’)座標軸への投影分布波形(X(X’)座標値毎の画素の累積個数)を求める。
分散値算出部246Cは、ばらつき量の一例として、投影分布波形生成部246Bにて求められた点状/局所欠陥各々の投影分布波形(点状/局所欠陥を構成する画素のX(X’)座標値毎の累積個数)に関する分散値(σ2)を算出する。
【0057】
本実施の形態の前処理部246では、第1判定部241から転送された画像欠陥データについて、回転処理部246Aが予め定めた角度範囲内で規定角度δθずつ座標系を回転させる座標変換処理を行う。そして、投影分布波形生成部246Bが、規定角度δθずつ回転させた各座標系(X’−Y’座標系)各々において、点状/局所欠陥各々を構成する画素のX’座標値毎の累積個数(投影分布波形)を求める。さらには、分散値算出部246Cが、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥の投影分布波形について、分散値σ2を算出する。そして、回転処理部246Aが座標変換処理した際の各座標系の座標回転角θ(=δθ×n)と、各座標系各々での点状/局所欠陥の分散値σ2とを対応付けた対応関係(θ,σ2)を生成する。前処理部246は、この対応関係(θ,σ2)により、各座標系(X’−Y’座標系)各々における画像欠陥の発生状況を検出する。
【0058】
ここで、図15は、前処理部246が求める投影分布波形を説明する図である。
図15に示したように、回転処理部246Aは、テストチャート画像上の予め定めた1点(C点)を回転中心座標として設定する。そして、回転中心座標Cを中心として、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の座標系(X−Y座標系)を規定角度δθずつ(規定角度δθステップで)回転させ、新たな座標系(X’−Y’座標系)に変換する。例えば、図15では、規定角度δθずつの座標変換処理のn回目を示している。この場合には、回転角θは、θ=δθ×nとなる。それにより、画像欠陥データの位置座標データを新たなX’−Y’座標系での位置座標データに変換する。なお、ここでのX座標(X’座標)は主走査方向に沿った座標軸であり、Y座標(Y’座標)は副走査方向に沿った座標軸である。
そして、投影分布波形生成部246Bは、新たな座標系(X’−Y’座標系)において、点状/局所欠陥各々を構成する画素のX’座標値毎の累積個数(投影分布波形)を求める。さらには、分散値算出部246Cが、投影分布波形生成部246Bにて求められた点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2を算出する。
【0059】
次に、本実施の形態の第2判定部243は、前処理部246から、画像欠陥データに加えて、座標変換処理された各座標系の座標回転角θと、各座標系各々での点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2とを対応付けた対応関係(θ,σ2)とを取得する。そして、第2判定部243は、前処理部246から取得した各座標系での対応関係(θ,σ2)から、点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2の最小値(以下、「最小分散値σ2MIN」)と、最小分散値σ2MINを与える座標系の座標回転角θ(=θMIN)を抽出する。
ここで、図16は、前処理部246にて生成された各座標系の座標回転角θと各座標系各々での点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2との対応関係(θ,σ2)の一例を示した図である。第2判定部243は、図16に例示した対応関係を有する各座標系の座標回転角θと各座標系各々での点状/局所欠陥の投影分布波形に関する分散値σ2とから、点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINと、最小分散値σ2MINを与える座標系の座標回転角θMINとを抽出する。
【0060】
そして、第2判定部243は、抽出した点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINと、分散値σ2に関する予め定めた規定値σth2とを比較する。その結果、最小分散値σ2MINが規定値σth2以上である場合には、点状/局所欠陥はランダムに発生していると判定する。その場合には、第2判定部243は、第1判定部241から転送された画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。それにより、特徴量抽出部25は、第1判定部241から転送された画像欠陥データ、すなわち画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データから特徴量を抽出する。
【0061】
一方、第2判定部243は、最小分散値σ2MINが規定値σth2よりも小さい場合には、点状/局所欠陥は方向性・周期性を持って発生していると判定する。そして、第2判定部243は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINを与える座標回転角θMINに関するデータとを回転処理部244に出力する。
【0062】
回転処理部244は、第2判定部243から、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINを与える座標回転角θMINに関するデータとを取得する。そして、回転処理部244は、上記した前処理部246の回転処理部242Aと同様に、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標Cとして設定し、画像欠陥データの位置座標データに関し、座標回転角θMINだけ座標系を回転させる座標変換処理を行う。そして、画像欠陥データの位置座標データを座標回転角θMINだけ回転させた新たな座標系での位置座標データに変換する。
回転処理部244は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、座標回転角θMINだけ回転された座標系での位置座標データに変換された画像欠陥データとを周期情報抽出部245に出力する。
【0063】
周期情報抽出部245は、第1判定部241から転送された画像欠陥データと、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データを回転処理部244から取得する。そして、周期情報抽出部245は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での点状/局所欠陥各々に関する画像欠陥データのY’座標値の平均値を算出する。そして、算出した点状/局所欠陥各々に関するY’座標値の平均値(平均Y’座標値)相互の差分を、予め保持する周期情報と比較する。その結果、予め保持する周期情報の一つと一致した場合には、その周期情報を「画像欠陥の周期に関する特徴量」として保持する。そして、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データとともに、画像欠陥の周期に関する特徴量を特徴量抽出部25に出力する。それにより、特徴量抽出部25は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、周期に関する特徴量以外の他の特徴量をも抽出する。
一方、上記の比較の結果、周期情報の何れとも一致しない場合には、周期情報抽出部245は、第1判定部241から転送された画像欠陥データをそのまま特徴量抽出部25に転送する。それにより、特徴量抽出部25は、第1判定部241から転送された画像欠陥データ、すなわち画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データから特徴量を抽出する。
【0064】
<故障診断処理の内容の説明>
次に、本実施の形態の故障診断部20が行う故障診断処理の内容を説明する。
図17−1および図17−2は、故障診断部20が行う故障診断処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
まず、図17−1に示すように、故障診断部20は、画像データ取得部21にて画像読取部60からテストチャート画像(検査対象画像)に関する画像データを取得し、画像データ記憶部22に記憶する(ステップ201)。
故障診断部20の画像欠陥検出部23は、画像データ記憶部22から画像データを取得し、テストチャート画像に関する画像データと、外部記憶部30から取得した基準画像データとを比較して、画像欠陥が発生している領域(画像欠陥領域)を抽出する(ステップ202)。
【0065】
故障診断部20の傾き処理部24は、画像欠陥と判定された領域(画像欠陥領域)に関する画像データと、そのテストチャート画像上での位置座標情報(位置座標データ)とを対応付けた「画像欠陥データ」から画像欠陥領域の面積を算出し、予め定められた規定面積値と比較する(ステップ203)。そして、画像欠陥領域の面積が規定面積値(例えば、上記した「第1の規定面積値」)よりも大きければ(ステップ203でNo)、微小な画像欠陥または局所的に発生した画像欠陥(点状/局所欠陥)ではないと判定し、故障診断部20の特徴量抽出部25が、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する(ステップ219)。
【0066】
一方、画像欠陥領域の面積が規定面積値(例えば、上記した「第1の規定面積値」)以下であれば(ステップ203でYes)、点状/局所欠陥であると判定する。そして、故障診断部20の傾き処理部24は、画像欠陥検出部23から取得した画像欠陥データに対する座標変換処理を行う。
まず、傾き処理部24は、回転中心座標Cを中心としてテストチャート画像上の座標系(X−Y座標系)に座標変換処理を施す際の座標回転角θをθ=0°に設定する(ステップ204)。そして、傾き処理部24は、座標回転角θ=0°での点状/局所欠陥のX(X’)座標軸への投影分布波形を求める(ステップ205)。具体的には、座標回転角θ=0°での座標系における点状/局所欠陥に関し、点状/局所欠陥各々を構成する画素のX座標値毎の画素の累積個数を求める。さらに、傾き処理部24は、テストチャート画像上に存在する点状/局所欠陥各々の投影分布波形(点状/局所欠陥を構成する画素のX(X’)座標値毎の累積個数)に関する分散値σ2を算出する(ステップ206)。
【0067】
傾き処理部24は、座標変換処理した際の各座標系の座標回転角θ(ここでは、θ=0°)と、各座標系各々での点状/局所欠陥の分散値σ2とを対応付けた対応関係(θ,σ2)を生成し、保存する(ステップ207)。
続いて、傾き処理部24は、座標回転角θを規定角度δθだけ加算し、新たな座標回転角θを設定する(ステップ208)。そして、傾き処理部24は、新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲内か否かを判定する(ステップ209)。
新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲内であれば(ステップ209でYes)、ステップ205に戻り、新たに設定された座標回転角θによりステップ205からステップ208までの処理を実施する。
新たに設定された座標回転角θが予め定めた角度範囲を超えたものであった場合には(ステップ209でNo)、座標変換処理を終了する。
【0068】
そして図17−2のフローチャートに移り、傾き処理部24の第2判定部243は、各座標系の座標回転角θと、各座標系各々での点状/局所欠陥の分散値σ2との対応関係(θ,σ2)から、点状/局所欠陥の分散値σ2の最小値(最小分散値σ2MIN)と、最小分散値σ2MINを与える座標系の座標回転角θ(=θMIN)を抽出する(ステップ210)。
そして、第2判定部243は、抽出した点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINを、分散値σ2に関する予め定めた規定値σth2と比較する(ステップ211)。そして、最小ばらつきΔMINが規定値Δthよりも大きい場合には(ステップ211でNo)、点状/局所欠陥はランダムに発生していると判定し、故障診断部20の特徴量抽出部25にて、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量が抽出される(ステップ219)。
一方、第2判定部243は、最小分散値σ2MINが規定値σth2以下であった場合には(ステップ211でYes)、点状/局所欠陥が方向性・周期性を持って発生していると判定する。
それにより、傾き処理部24の回転処理部244は、点状/局所欠陥の最小分散値σ2MINを与える座標回転角θMINに関するデータを第2判定部243から取得する(ステップ212)。そして、回転処理部244は、画像欠陥データが抽出されたテストチャート画像上の1点を回転中心座標Cとして設定し、画像欠陥データのテストチャート画像上での位置座標データに関し、座標回転角θMINだけ座標系を回転させる座標変換処理する(ステップ213)。
【0069】
傾き処理部24の周期情報抽出部245は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データから、各点状/局所欠陥の画像欠陥データのY’座標値の平均値(平均Y’座標値)を算出し、算出した点状/局所欠陥各々に関する平均Y’座標値相互の差分を求める(ステップ214)。
周期情報抽出部245は、算出した点状/局所欠陥各々に関する平均Y’座標値相互の差分を、予め保持する周期情報と比較する(ステップ215)。その結果、周期情報の一つと一致した場合には(ステップ215でYes)、その周期情報を「画像欠陥の周期に関する特徴量」として保持する(ステップ216)。画像欠陥の周期に関する特徴量は、座標回転角θMINだけ回転された座標系での画像欠陥データとともに、特徴量抽出部25に出力される。
特徴量抽出部25は、傾き処理部24から取得した画像欠陥データに基づき、画像欠陥の周期に関する特徴量以外の画像欠陥を特徴付ける他の特徴量を抽出する(ステップ217)。
【0070】
一方、比較した結果、周期情報の何れとも一致しない場合には(ステップ215でNo)、周期情報抽出部245は、算出した点状/局所欠陥各々に関する平均Y’座標値相互の差分に関する情報を破棄する(ステップ218)。
そして、特徴量抽出部25は、画像読取部60にて読み取った(画像欠陥検出部23から取得した)テストチャート画像(検査対象画像)の画像欠陥データにより、画像欠陥を特徴付ける種々の特徴量を抽出する(ステップ219)。
その後、特徴量抽出部25にて抽出された特徴量は、欠陥種別判定部26および診断部27に送られ、画像欠陥を生じさせた故障原因を診断する故障診断処理が実行される(ステップ220)。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1の故障診断部20では、画像読取部60にて読み取られたテストチャート画像が傾いているか否かを判定し、傾いていると判定された場合には、その傾きを補正して特徴量を抽出する。さらには、その傾きを補正して画像欠陥に周期性があるか否かを判定する。そして、周期性があると判定された場合には、画像欠陥の周期性に関する特徴量を抽出する。それにより、画像形成装置1にて形成された画像に発生した画像欠陥の検出精度が向上する。
【符号の説明】
【0072】
1…画像形成装置、10…制御部、20…故障診断部、21…画像データ取得部、22…画像データ記憶部、23…画像欠陥検出部、24…傾き処理部、25…特徴量抽出部、26…欠陥種別判定部、27…診断部、40…画像形成部、50…操作表示部、60…画像読取部、90…内部状態検出部、241…第1判定部、242,246…前処理部、242A,246A…回転処理部、242B…重心算出部、242C…ばらつき算出部、243…第2判定部、244…回転処理部、245…周期情報抽出部、246B…投影分布波形生成部、246C…分散値算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を読み取ることで生成された画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する画像欠陥検出手段と、
前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する座標変換処理手段と、
前記座標変換処理手段にて前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段と、
前記発生状況検出手段にて検出された前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する設定手段と、
前記設定手段にて設定された前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する特徴量抽出手段と
を備えたことを特徴とする画像欠陥診断システム。
【請求項2】
前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システム。
【請求項3】
前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々の重心の位置座標を求め、当該画像欠陥各々の重心に関する前記検査対象画像の主走査方向における位置から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システム。
【請求項4】
前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々を構成する画素の前記検査対象画像での主走査方向位置に関する分散を求め、当該分散から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システム。
【請求項5】
前記設定手段は、前記発生状況検出手段にて検出された前記ばらつき量が予め定めた規定値以下である場合に、前記画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での前記座標回転角を設定することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システム。
【請求項6】
前記特徴量抽出手段は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システム。
【請求項7】
前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥の面積を算出し、当該面積が予め定めた規定値以下である場合に当該画像欠陥を検査対象と判定する判定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システム。
【請求項8】
画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を記録材上に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段にて形成された前記検査対象画像を読み取り、当該検査対象画像に関する画像データを生成する画像読取手段と、
前記画像読取手段にて生成された前記画像データにより前記検査対象画像に発生した画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出し、当該特徴量を用いて自装置の故障原因を診断する画像欠陥診断手段とを有し、
前記画像欠陥診断手段は、
前記画像読取手段から前記画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する画像欠陥検出手段と、
前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する座標変換処理手段と、
前記座標変換処理手段にて前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段と、
前記発生状況検出手段にて検出された前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する設定手段と、
前記設定手段にて設定された前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する特徴量抽出手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々の重心の位置座標を求め、当該画像欠陥各々の重心に関する前記検査対象画像の主走査方向における位置から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々を構成する画素の前記検査対象画像での主走査方向位置に関する分散を求め、当該分散から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像欠陥診断手段の前記特徴量抽出手段は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項13】
コンピュータに、
画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を読み取ることで生成された画像データを取得する機能と、
取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する機能と、
前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する機能と、
前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する機能と、
前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する機能と、
前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記画像欠陥の発生状況を検出する機能は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項13記載のプログラム。
【請求項15】
前記特徴量を抽出する機能は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項13記載のプログラム。
【請求項1】
画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を読み取ることで生成された画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する画像欠陥検出手段と、
前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する座標変換処理手段と、
前記座標変換処理手段にて前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段と、
前記発生状況検出手段にて検出された前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する設定手段と、
前記設定手段にて設定された前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する特徴量抽出手段と
を備えたことを特徴とする画像欠陥診断システム。
【請求項2】
前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システム。
【請求項3】
前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々の重心の位置座標を求め、当該画像欠陥各々の重心に関する前記検査対象画像の主走査方向における位置から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システム。
【請求項4】
前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々を構成する画素の前記検査対象画像での主走査方向位置に関する分散を求め、当該分散から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システム。
【請求項5】
前記設定手段は、前記発生状況検出手段にて検出された前記ばらつき量が予め定めた規定値以下である場合に、前記画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での前記座標回転角を設定することを特徴とする請求項2記載の画像欠陥診断システム。
【請求項6】
前記特徴量抽出手段は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システム。
【請求項7】
前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥の面積を算出し、当該面積が予め定めた規定値以下である場合に当該画像欠陥を検査対象と判定する判定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の画像欠陥診断システム。
【請求項8】
画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を記録材上に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段にて形成された前記検査対象画像を読み取り、当該検査対象画像に関する画像データを生成する画像読取手段と、
前記画像読取手段にて生成された前記画像データにより前記検査対象画像に発生した画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出し、当該特徴量を用いて自装置の故障原因を診断する画像欠陥診断手段とを有し、
前記画像欠陥診断手段は、
前記画像読取手段から前記画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する画像欠陥検出手段と、
前記画像欠陥検出手段にて検出された前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する座標変換処理手段と、
前記座標変換処理手段にて前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する発生状況検出手段と、
前記発生状況検出手段にて検出された前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する設定手段と、
前記設定手段にて設定された前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する特徴量抽出手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々の重心の位置座標を求め、当該画像欠陥各々の重心に関する前記検査対象画像の主走査方向における位置から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像欠陥診断手段の前記発生状況検出手段は、前記座標系各々での前記画像欠陥各々を構成する画素の前記検査対象画像での主走査方向位置に関する分散を求め、当該分散から当該座標系各々での前記ばらつき量を算出することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像欠陥診断手段の前記特徴量抽出手段は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項13】
コンピュータに、
画像欠陥に関する検査対象とする検査対象画像を読み取ることで生成された画像データを取得する機能と、
取得された前記画像データから、前記検査対象画像に発生した画像欠陥を検出する機能と、
前記画像欠陥に関する前記検査対象画像上での位置座標情報を、当該検査対象画像上の予め定められた座標点を回転中心座標として予め定められた角度ずつ回転させた座標系における当該位置座標情報に座標変換処理する機能と、
前記角度ずつ座標変換処理された前記座標系各々での前記位置座標情報により、当該座標系各々での前記画像欠陥の発生状況を検出する機能と、
前記座標系各々での前記画像欠陥の発生状況に基づき、当該画像欠陥の前記位置座標情報に対して施す前記座標変換処理での座標回転角を設定する機能と、
前記座標回転角だけ回転させた座標系での前記位置座標情報を用いて前記画像欠陥を特徴付ける特徴量を抽出する機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記画像欠陥の発生状況を検出する機能は、前記座標系各々での前記画像欠陥に関して前記検査対象画像の主走査方向における位置のばらつき量を算出し、算出された当該ばらつき量に応じて当該画像欠陥の発生状況を検出することを特徴とする請求項13記載のプログラム。
【請求項15】
前記特徴量を抽出する機能は、前記画像欠陥が前記検査対象画像での副走査方向に沿って一定の間隔毎に位置する周期性に関する前記特徴量を抽出することを特徴とする請求項13記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13−1】
【図13−2】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13−1】
【図13−2】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【公開番号】特開2011−29794(P2011−29794A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171656(P2009−171656)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]