説明

画像生成装置

【課題】演算処理を簡単にしながら、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示をシームレスに接合すると共に、俯瞰表示とパース表示の接合領域での急激な幾何学的変化を緩和することで、違和感を与えない滑らかなモニタ画像データを生成することができる画像生成装置を提供すること。
【解決手段】リアカメラ1とは異なる位置に設定した仮想カメラ8と、リアカメラ1により映し出される被写体側に設定した仮想投影面と、を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成する画像生成装置において、仮想立体スクリーン設定手段と仮想立体CCD設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、近景面と遠景面との接合域を曲面により滑らかにつないだ曲面化仮想立体面を設定する手段とし、曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成する手段とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実カメラとは異なる位置に設定した仮想カメラと、実カメラにより映し出される被写体側に設定した仮想投影面と、を用いた視点変換により、カメラ映像データからモニタ画像データを生成する画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転支援装置としては、車両の動きに応じて画面構成及び、視点位置を連続的に変更することにより、ドライバに理解しやすい映像を提供することを目的とし、車両の動きに連動して、複数の撮影装置により撮像された複数のカメラ映像を1つの視点から見た俯瞰映像として表示させる1視点映像と、複数のカメラ映像を分割画面に表示した多視点映像とを切り換えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の画像生成装置としては、数台のカメラで撮影された複数枚の画像について、画像を互いに独立して表示するのではなく、数台のカメラで撮影しているエリアの全体の様子が直感的に分かるように、一枚に合成した画像を表示するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−236493号公報
【特許文献2】特許第3286306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された運転支援装置にあっては、1視点映像の場合、俯瞰映像を表示させるため、近景のみの表示となり、多視点映像の場合、カメラ映像を表示させるため、遠景のみの表示となり、車両の周囲状況を的確に認識するには選択操作を要する、という問題があった。
【0005】
さらに、1視点映像の場合も多視点映像の場合も複数のカメラ映像を用いるものであるため、合成画像や分割画像に連続性が無く、同じ画像の二重写しや画像の抜け部分が生じてしまう、という問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2に記載された画像生成装置にあっては、数台のカメラで撮影しているエリアの全体の様子を一枚に合成した画像にて表示しようとするものであるため、合成画像に連続性を持たせるには、複数のカメラ画像から特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、複数個の特徴点を用いて表示画面の較正を行うキャリブレーション手段と、を設ける必要があり、モニタ画像データを生成するための演算処理が複雑になってしまう。
【0007】
一方、特徴点抽出手段やキャリブレーション手段を用いないと、合成画像に連続性が無くなり、同じ画像の二重写しや画像の抜け部分が生じてしまう、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、演算処理を簡単にしながら、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示をシームレスに接合すると共に、俯瞰表示とパース表示の接合領域での急激な幾何学的変化を緩和することで、違和感を与えない滑らかなモニタ画像データを生成することができる画像生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、実カメラとは異なる位置に設定した仮想カメラと、実カメラにより映し出される被写体側に設定した仮想投影面と、を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成するモニタ画像データ生成手段を備えた画像生成装置において、
前記仮想投影面として、近景用投影面と遠景用投影面を有する仮想立体投影面を設定する仮想立体投影面設定手段と、
前記仮想カメラの仮想撮像面として、近景用撮像面と遠景用撮像面を有する仮想立体撮像面を設定する仮想立体撮像面設定手段と、を設け、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、近景面と遠景面の接合域を曲面により滑らかにつないだ曲面化仮想立体面を設定する手段とし、
前記モニタ画像データ生成手段は、曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
よって、本発明の画像生成装置にあっては、仮想立体投影面と仮想立体撮像面のうち、少なくとも一方を曲面化仮想立体面とし、モニタ画像データ生成手段において、曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データが生成される。
このように、視点変換により実カメラにより取得したカメラ映像データからモニタ画像データを生成するものである。このため、複数のカメラ映像データを用いる従来技術のように、合成画像に連続性を持たせるために特徴点を抽出してキャリブレーションを行う必要が無く、連続性を持つモニタ画像データを得るための演算処理を簡単にすることができる。
さらに、仮想カメラから仮想立体投影面を見たとき、仮想立体撮像面の近景用撮像面に投影される画像は近景を上から眺めた俯瞰画像となる。また、仮想カメラから仮想立体投影面を見たとき、仮想立体撮像面の遠景用撮像面に投影される画像は遠景を眺めたパース画像となる。しかも、仮想立体投影面と仮想立体撮像面のうち、少なくとも一方は近景面と遠景面の接合域を曲面により滑らかにつないだ曲面化仮想立体面に設定されているため、俯瞰表示とパース表示の接合領域での急激な幾何学的変化が緩和される。つまり、曲面化仮想立体面を用いた視点変換により生成されるモニタ画像データは、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示とをシームレスに接合するデータであるばかりでなく、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示を滑らかに繋ぐように表示するデータとなる。
この結果、演算処理を簡単にしながら、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示をシームレスに接合すると共に、俯瞰表示とパース表示の接合領域での急激な幾何学的変化を緩和することで、違和感を与えない滑らかなモニタ画像データを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の画像生成装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1〜実施例6に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両のリアカメラに適用された画像生成装置を示す全体システム図である。図2は実施例1の画像生成装置において仮想立体投影面と仮想立体撮像面を使った視点変換手法の一例を説明する模式図である。
【0013】
実施例1における画像生成装置は、リアカメラ1とは異なる位置に設定した仮想カメラ8と、リアカメラ1により映し出される被写体側に設定した仮想投影面と、を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成する装置であり、図1に示すように、リアカメラ1(実カメラ)と、画像処理コントローラ2と、モニタ3と、調整操作ダイアル4と、を備えている。
【0014】
前記リアカメラ1は、図1に示すように、車両の後部位置に取り付けられ、車両の後方景色を映し出す。このリアカメラ1の実撮像面(リアカメラCCD)に投影される画像によりカメラ映像データを取得する。
【0015】
このリアカメラ1の被写体側(レンズ軸側)には、図1及び図2に示すように、仮想投影面として、仮想的な円筒を近景用スクリーン71(近景用投影面)と遠景用スクリーン72(遠景用投影面)の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線c,dで切り出した一部円筒曲面73と、を有する曲面化仮想立体スクリーン7(曲面化仮想立体投影面)が設定される。そして、前記近景用スクリーン71は、図1に示すように、地面上に設定される。前記遠景用スクリーン72は、近景用スクリーン71のリアカメラ1から遠い側に連接すると共に所定の上向き傾斜角度αを持って設定される。これは、特許請求の範囲の仮想立体投影面設定手段に相当する。
【0016】
また、リアカメラ1より高い位置には、図1及び図2に示すように、リアカメラ1からの水平方向距離a、地面からの垂直方向距離b、により規定される位置に仮想カメラ8が設定される。
【0017】
さらに、前記仮想カメラ8の仮想撮像面として、図1及び図2に示すように、仮想的な円筒を近景用CCD91(近景用撮像面)と遠景用CCD92(遠景用撮像面)の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線c’,d’で切り出した一部円筒曲面93と、を有する曲面化仮想立体CCD9(曲面化仮想立体撮像面)が設定される。そして、前記近景用CCD91は、前記近景用スクリーン71に平行に設定される。前記遠景用CCD92は、前記近景用CCD91のリアカメラ1から近い側に連接すると共に所定の下向き傾斜角度βを持って設定される。なお、図2は曲面化仮想立体CCD9を仮想カメラ8の位置を挟んで前側に移して表示したもので、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9とは相似形の設定とされる。これは、特許請求の範囲の仮想立体撮像面設定手段に相当する。
【0018】
前記画像処理コントローラ2は、図1に示すように、デコーダ間変換部21と、座標変換処理部22と、ROM23と、RAM24と、エンコーダ変換部25と、を有する。
【0019】
前記デコーダ間変換部21は、リアカメラ1に接合されているデコーダと、座標変換処理部22にて想定しているデコーダと、の相違に基づき、両デコーダ間でカメラ入力座標系からデコーダ変換座標系へとデータ座標系を変換する。なお、「デコーダ」とは、一定の規則に基づいて符号化されたデータを復元し、元のデータを取り出すソフトウェアをいう。
【0020】
前記座標変換処理部22は、リアカメラ1により取得した単独のカメラ映像データとして前記デコーダ間変換部21からのデコーダ変換座標系を入力し、前記ROM23に予め記憶設定されているマッピングテーブルを用いる。そして、座標変換にしたがって仮想カメラ8の曲面化仮想立体CCD9上にカメラ映像データの各画素を移し、仮想カメラ8から曲面化仮想立体スクリーン7を見たときに曲面化仮想立体CCD9に投影される画像をモニタ画像とし、このモニタ画像を得るモニタ画像データを生成する(モニタ画像データ生成手段)。
【0021】
前記ROM23は、曲面化仮想立体CCD9上での一つの画素位置を指定し、曲面化仮想立体スクリーン7上で指定した一つの画素位置に対応する第1対応位置を決め、リアカメラ1の撮像面上で第1対応位置に対応する第2対応位置を決めるという順番により、各画素位置の座標変換を行って作成したマッピングテーブルを記憶設定しておくメモリである。
【0022】
このマッピングテーブルの作成時、リアカメラ1により取得した単独のカメラ映像データの各画素位置と、曲面化仮想立体スクリーン7を介した仮想カメラ8の曲面化仮想立体CCD9上の各画素位置と、の間で座標変換される。また、マッピングテーブルの作成時、歪み映像による光軸位置からの画素の距離と無歪み映像による光軸位置からの画素の距離との変換量関係特性を予め定め、各画素の光軸位置からの距離と変換量関係特性とを用い、リアカメラ1により取得した単独のカメラ映像データの各画素位置の座標系歪みを補正変換し、曲面化仮想立体CCD9の座標系としている。なお、マッピングテーブルには、仮想カメラ8の位置(a,b)と、スクリーン傾斜角度αと、撮像面傾斜角度βと、一部円筒曲面73,93の半径R1,R2に応じて、複数のマッピングテーブルが記憶設定されている。そして、細かな位置設定や角度設定や半径設定に対しては、例えば、補間法を用いて対応するようにしている。
【0023】
前記RAM24は、書き換え可能な情報を記憶設定しておくメモリである。
実施例1は、視点変換手法に基づき作成したマッピングテーブルを予めROM23に記憶設定しておき、カメラ映像データをモニタ3に映し出すモニタ画像データとするために座標変換処理を行うようにした例である。しかし、例えば、演算処理速の速いハードウェアを搭載し、リアルタイムで座標変換を行いながらモニタ画像データを生成するようなシステムとした場合、このRAM24に、各画素等の座標変換式を記憶設定しておく。
【0024】
前記エンコーダ変換部25は、前記座標変換処理部22により生成されたモニタ画像データを、例えば、運転者視点対応の左右反転処理を含んで、モニタ3に映し出す画像データに変換する。なお、「エンコーダ」とは、データを一定の規則に基づいて符号化するソフトウェアをいう。
【0025】
前記モニタ3は、車室内のインスツルメントパネル位置等に設定され、画像処理コントローラ2からの画像データに基づいて、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示(地平線上の映像も含む)とが、連続的で滑らかに変化する合成画像を表示する。
【0026】
前記調整操作ダイアル4としては、図1に示すように、仮想カメラ位置調整操作ダイアル41と、角度調整操作ダイアル42と、円筒半径調整操作ダイアル43と、を備えている。
【0027】
前記仮想カメラ位置調整操作ダイアル41は、運転者等による外部からの設定操作により任意の空間位置に仮想カメラ8を設定するための仮想カメラ位置調整操作手段である。この仮想カメラ位置調整操作ダイアル41では、リアカメラ1からの水平方向距離a(例えば、2m)と、地面からの垂直方向距離b(例えば、3m)と、を独立に設定できるようにしている。
【0028】
前記角度調整操作ダイアル42は、運転者等による外部からの設定操作により、遠景用スクリーン72の近景用スクリーン71に対する上向き傾斜角度αと、遠景用CCD92の近景用CCD91に対する下向き傾斜角度βと、を任意に設定(例えば、初期設定角度を45°とし、30°〜90°の角度範囲を調整範囲とする。)するための角度調整操作手段である。実施例1の場合、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9とは相似形の設定であるため、傾斜角度α=傾斜角度βであり、ダイアル操作により両傾斜角度α,βが同期して変化する。
【0029】
前記円筒半径調整操作ダイアル43は、運転者等による外部からの設定操作により、一部円筒曲面73,93の仮想的な円筒の半径R1,R2を任意に設定(例えば、ダイアル43を右方向に回せば半径が徐々に拡大し、左方向に回せば半径が徐々に縮小する。)するための円筒半径調整操作手段である。実施例1の場合、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9とは相似形の設定であるため、ダイアル操作により、円筒の半径R1,R2は相似形を保つように同期して変化する。
【0030】
次に、作用を説明する。
【0031】
実施例1の画像生成装置は、仮想カメラ8と、一部円筒曲面73を有する曲面化仮想立体スクリーン7と、一部円筒曲面93を有する曲面化仮想立体CCD9と、を用いた視点変換手法により、モニタ画像データを生成するものである。
【0032】
実施例1の発明ポイントは、
・仮想撮像面(CCD)を立体化すると共に曲面化する。
・仮想投影面(スクリーン)を立体化すると共に曲面化する。
・曲面化形状(円筒半径)を制御することで見え方を制御する。
ことにある。
以下、実施例1の画像生成装置における作用として、[カメラ映像データからのモニタ映像生成作用]、[円筒半径の調整によるモニタ映像制御作用]、[円筒モデルを用いた視点変換手法]について説明する。
【0033】
[カメラ映像データからのモニタ映像生成作用]
実施例1の画像生成装置にあっては、仮想立体スクリーンと仮想立体CCDのうち、その両方を共に曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9とし、この曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データが生成される。
【0034】
このように、視点変換により1台のリアカメラ1により取得したカメラ映像データからモニタ画像データを生成するものである。このため、複数のカメラ映像データを用いる従来技術のように、合成画像に連続性を持たせるために特徴点を抽出してキャリブレーションを行う必要が無く、連続性を持つモニタ画像データを得るための演算処理を簡単にすることができる。
【0035】
さらに、仮想カメラ8から曲面化仮想立体スクリーン7を見たとき、曲面化仮想立体CCD9の近景用CCD91に投影される画像は近景を上から眺めた俯瞰画像となる。
また、仮想カメラ8から曲面化仮想立体スクリーン7を見たとき、曲面化仮想立体CCD9の遠景用CCD92に投影される画像は遠景を眺めたパース画像となる。
【0036】
しかも、曲面化仮想立体スクリーン7は、近景用スクリーン71と遠景用スクリーン72の平面交線領域を、二平面との接触線上で傾きが一致する一部円筒曲面73により滑らかにつないでいる。また、曲面化仮想立体CCD9は、近景用CCD91と遠景用CCD92の平面交線領域を、二平面との接触線上で傾きが一致する一部円筒曲面93により滑らかにつないでいる。
【0037】
このため、俯瞰表示とパース表示の接合領域での急激な幾何学的変化が緩和される。つまり、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9を用いた視点変換により生成されるモニタ画像データは、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示とをシームレスに接合するデータであるばかりでなく、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示を滑らかに繋ぐように表示するデータとなる。
【0038】
ちなみに、図3は仮想立体スクリーンを近景用スクリーンと遠景用スクリーンの二平面により設定し、仮想立体CCDを近景用CCDと遠景用CCDの二平面により設定した例を示す図である。また、図4はモニタ映像の比較例であり、(a)は実カメラからの映像データをそのまま用いたモニタ映像例を示し、(b)は図3に基づいた視点変換でのモニタ映像例を示し、(c)は実施例1に基づいた視点変換でのモニタ映像例を示す。
【0039】
図4の(a),(b)を比較すると、図4の(a)の場合、全体的に遠近感はあるものの、近景の距離感を認識できない。これに対し、図4の(b)の場合、モニタ映像の下側部分が俯瞰映像で上側部分がパース映像となっていることで、遠近感を損なうことなく、車両に近い近景の距離感を認識できる。
【0040】
図4の(b),(c)を比較すると、図4の(b)の場合、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示がシームレスに接合されているが、その接合部分で幾何形状が急激に変化しているため、違和感を与える。これに対し、図4の(c)の場合、俯瞰表示とパース表示の接合領域での急激な幾何学的変化が緩和され、違和感を与えない滑らかなモニタ画像となっている。
【0041】
[円筒半径の調整によるモニタ映像制御作用]
実施例1の画像生成装置にあっては、運転者等による外部からの設定操作により、一部円筒曲面73,93の仮想的な円筒の半径R1,R2を、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9との相似形を保つように同期して変化させる円筒半径調整操作ダイアル43を設けている。
【0042】
図5は実施例1の画像生成装置において、一部円筒曲面73,93の仮想的な円筒の半径R1,R2を、図4(b)と図4(c)の中間の大きさに設定した場合のモニタ映像例を示す図である。
【0043】
すなわち、図4(b),(c)と図5の比較でも明らかなように、一部円筒曲面73,93の仮想的な円筒の半径R1,R2を制御することで、モニタ映像での見え方を制御することができる。
【0044】
例えば、図4(c)に示すように、一部円筒曲面73,93の仮想的な円筒の半径R1,R2を大きな半径に設定した場合、俯瞰表示とパース表示の接合領域の画像を横方向に圧縮する効果がある(図4(c)の矢印は圧縮方向)。
【0045】
一方、図5に示すように、一部円筒曲面73,93の仮想的な円筒の半径R1,R2を小さな半径に設定した場合、俯瞰表示とパース表示の接合領域の画像を横方向に引っ張る効果がある(図5の矢印は引っ張り方向)。
【0046】
ちなみに、図4(b)に示す場合は、一部円筒曲面73,93の仮想的な円筒の半径R1,R2を極端に小さくした、あるいは、ゼロとしたものであり、俯瞰表示とパース表示の接合領域の画像が最も横方向に引っ張られたものとなっている。
【0047】
このように、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9の円筒の半径R1,R2を制御することで(制御自由度は1)、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像を調整することができる。
【0048】
[円筒モデルを用いた視点変換手法]
実施例1の画像生成装置における相互変換処理の全体像を図6に示す。なお、図6は、カメラ:CC-445(クラリオン製)、デコーダ:PCCAP(I/Oデータ製)、を用いた場合の実施例を示している。
この一連の処理では、ピンホールカメラを前提とした変換処理を、広角カメラの特性に合わせるための歪み補正処理も含まれる。具体的には図6内の矢印で示す6つの変換、すなわち、
・デコーダ間変換、
・y軸変換、
・歪み補正変換、
・ピンホールカメラ変換、
・視点変換、
・エンコーダ変換、
を順番の処理することで対応点計算を行っている。
なお、二平面モデルによる視点変換手法については、本出願人が先に出願した特願2006−260425号の明細書の記載に譲るものとし、ここでは、円筒モデルを用いた視点変換手法について説明する。
【0049】
1.背景および目的
二平面モデルによる視点変換手法において、二平面のつなぎ目をなめらかに処理する目的で、円筒型の仮想スクリーンを用いる手法について説明する。
【0050】
2.円筒型スクリーンの概念
図2が円筒型スクリーンを用いた概念図である。二平面モデルのつなぎ目に円筒の一部を切り出しあてがい、平面のつなぎ目は仮想カメラから見えないようにしている。同時に仮想CCDのつなぎ目もなめらかにしている。実際にはスクリーンあるいはCCDどちらか一方をなめらかにつなぐことで、得られる画像は相当程度滑らかになるため、両方とも曲面化する必要があるかは生成された映像を見て判断をすることになる。なお、実カメラは二平面モデルと同様であり、ここには示していない。
【0051】
数学的に円筒を取り扱う場合に、表現手法が幾つかある。本説明では、基本円筒を回転/移動して設定する手法をとっている。そのイメージを図7に示す。本説明では、x軸を主軸とし、原点に設置された円筒を「基本円筒」と名付ける。この基本円筒を、
1. 原点を中心としてz軸及びy軸回転
2. 平行移動
の2段階処理により図7のように二平面のつなぎ目に合わせる。これら処理を施した円筒を「実円筒」と名付ける。したがって、本説明で扱う円筒の数学的な表記は、
・回転行列
・平行移動ベクトル
が基本となる。これに平面とのつなぎ目(或いは円筒の切り出し)位置として、
・接触角度(始点及び終点)
を付与して、切り出す円筒を定義する。詳細は3.2節で示す。
【0052】
次節では以上の表記の具体的に示していく。なお、円筒と直線の交点を求めるなど幾つか相互作用の計算を示す場合には、基本円筒で計算している場合がほとんどであるが、実円筒と混乱しないように注意する必要がある。もし、基本円筒空間で相互作用の結果を用いる場合には実空間へ相互変換しなければならない。この相互変換は手間のようであるが、実空間で相互作用を計算する手間に比べ、基本円筒空間で処理するほうが、結果的により簡便であると判断した。特に接触角度のように非対称な形状はこのほうが扱いやすい。
【0053】
3.具体的な手順
3.1 基本円筒とターゲット円筒の相互変換
3.1.1 実円筒の主軸
まず、ここでは前節で述べた回転処理及び平行移動処理について論じる。最初に示すのは実円筒の主軸である。なお、本説明では直線表現は、方向ベクトルdを、定点ベクトルPoをとした場合、
【0054】
【数1】

とする。
【0055】
平面と円筒の関係を図示したのが図8である。この図8を眺めると、主軸の方向ベクトルdは2平面の線ベクトルに直交しているハズであり、次式で簡単に求められる。
【0056】
【数2】

ここで負符号なのは、座標系が反転しているためである。即ち、
【0057】
【数3】

という関係がある。即ち座標系が反転している効果を符号反転で取り入れることで、外積演算を通常座標系と同じ手順で演算できる。以降で外積表現を使っている場合は、特に何もなければ式2と同様に符号反転を考慮してあり、各成分を計算する場合には、従来の演算手法をそのまま用いるものとする。一方、内積については特に注意は必要ない。
【0058】
さて、定点ベクトルPoは主軸上のどの点でもよいため、何らかの束縛条件を付与しなければ一意に定められない。まずPoが各平面から円筒半径分の距離rにあるとすると、
【0059】
【数4】

という関係がある。これを解くために式3を再構成して、
【0060】
【数5】

として定数項rrと定義すると、
【0061】
【数6】

という、直線を記述する束縛条件が得られる。なお、下付文字は各座標成分を表す。式7では3つの式が得られているが、直線の関係を表しているため独立なのは実質2つだけである。実際に解くときには、dの各成分が全て非ゼロであればどの2つの式を選んでもよい。ここからさらに点を特定したい場合には、先にも述べたように別の束縛条件を導入する必要がある。例えば「原点に最も近い点」という束縛条件を設定すると、ラグランジュの未定乗数法から、
【0062】
【数7】

が得られる。3式あるのは、式7から選ぶ2式の組み合わせの違いであり、いずれも同じ値を与える。以上の手続きにより、実空間で2平面に接する半径rの実円筒の主軸について、その定数を定めることが出来る。
【0063】
3.1.2 基本円筒の回転行列
実円筒の主軸が定まったため、図9に示すような基本円筒の主軸を実円筒の主軸へ変換するための回転行列Rを求めることができる。具体的に実円筒の主軸方向が、
【0064】
【数8】

と得られた場合、基本円筒の主軸ベクトル、
【0065】
【数9】

をdに変換する行列を求めることになる。ここでは、z軸回転Rz(θ)とy軸回転Ry(ψ)の組み合わせにより、
【0066】
【数10】

と分解することにする。このとき回転角度(θ,ψ)は図中にあるように、
θ:dがy軸となす角度
ψ:dzxがx軸となす角度(dzxはdをxz平面に射影したベクトル)
となり、
【0067】
【数11】

で与えられ、回転行列は
【0068】
【数12】

に、式12及び式13を代入することで求められる。
【0069】
3.1.3 円筒の移動ベクトル
主軸の回転が決定できれば、次の問題は、基本円筒の原点を主軸線のどこに移動させるかという問題が残る。3.1.1節では、原点に最も近い位置を代表点Poとした。しかし後での便宜を考えれば、仮想カメラ位置vcに最も近い点を代表点とし、これを基本円筒空間の原点に対応させておくのが便利である。以下で例示するのはその手順である。
主軸上の任意の点pは前出の値と、媒介変数tにより、
【0070】
【数13】

と表される。この点が仮想カメラ位置vcに最も近くなるようにするには、
【0071】
【数14】

を最小化するtを求めればよい。結果は、
【0072】
【数15】

となる。このtを代入することで、vcに最も近い主軸上の一点が求められる。この点を表す位置ベクトルは、そのまま原点からの移動ベクトルToに等しい。
【0073】
3.1.4 基本円筒とターゲット円筒の変換まとめ
これまでに得られた式を用いて、基本円筒とターゲット円筒の変換をまとめると次式のようになる。なお、円筒のスケール、即ち半径はこの変換では変化せず維持されている。
【0074】
【数16】

3.2 二平面のつなぎ目にある円筒(ターゲット円筒)の定数
本節では平面に挟まれた円筒が平面と接している角度を求める(図10)。最初に実円筒の主軸上の任意点から各平面への垂線ベクトルを求めるが、大きさを無視すればこれらは各平面の法線ベクトルに平行で、反対向きになっているハズである。従って、各平面の法線ベクトルを式19或いは式20を利用して変換し、向きを反転させれば基本円筒空間内での方向ベクトルになる。このベクトルが基本円筒の有効領域切り出し条件を与える。具体的には、垂線ベクトルの方向は、
【0075】
【数17】

で与えられる。なおこのベクトルがy軸となす角度をここでは「接触角度」と定義する(図10参照)。この角度は図を眺めれば。-nα’のy、z成分から容易に求められることがわかる。
【0076】
以上で、円筒スクリーン或いは円筒CCDを用いる際の基本的な所量を決定することができる。このとき必要なのは、見てきた通り、
・二平面の法線ベクトルと代表点
・円筒の半径
である。
【0077】
3.3 基本円筒における各種式(基本円筒空間表現の場合)
3.3.1 基本円筒の表現
本説明では、基本円筒は唯一、
【0078】
【数18】

で与えられる。更に図10の様に、y軸方向を角度の基準としz軸の方向に向かって回る方向を正の角度とする。
【0079】
3.3.2 点から円筒への垂線
任意の点(x,y,z)から円筒へ降ろす垂線はyz面に平行な面に含まれ、円筒の表面、
【0080】
【数19】

で交わる。この点が基本円筒表面上で点(x,y,z)に最も近い点と、その点対称の点である。
【0081】
3.3.3 直線と円筒の交点
基本円筒空間内で直線が下記の式で与えられたとき、
【0082】
【数20】

円筒(式24)との交点を与える媒介変数tは、
【0083】
【数21】

で与えられる。従って、
【0084】
【数22】

のとき直線は基本円筒に接触し、
【0085】
【数23】

のときは直線と円筒は交わらない。また、もしdが単位長さベクトルであれば、|t|はPoから交点までの長さを意味する。
【0086】
3.3.4 直線と円筒の最近接点
直線と円筒が交わらないとき、円筒に最も近い直線上の点は式26において以下の媒介変数tで与えられる。
【0087】
【数24】

3.3.5 円筒表面のuvマップ
円筒表面上の任意の点を指定するためのuvマップについて、以下に2つの手法を示す。なお、標準的なuvマップとして、図11に示すように、x軸方向をu方向、yz平面内での円筒表面に沿った方向をv方向とする。このように設定した場合、u値は基本的にx値と同値と考えてよく、v値の値とyz値との変換が検討対象である。ただし、本来uv空間はxyz空間と独立しており、u値とx値が同値とはいっても、スケールの互換保証はないものとする。例えばuv値は無次元で、xyz値はメートル単位でもよい。
【0088】
3.3.5.1 uv単位長さが指定されている場合
xyz空間でのuv値のスケール(基本長さ)をそれぞれ{uo,voxyzとした場合は、(uv)->(x,y,z)変換は、図11の場合、
【0089】
【数25】

で与えられる。一方、円筒表面上の任意の(x,y,z)値からuv値を求める場合には、式31を逆算して、
【0090】
【数26】

とする。
【0091】
3.3.5.2 上限下限が指定されている場合
二平面のつなぎ目補間のという目的で考えると、あらかじめ各平面で決められたuv値とスムーズにつながるように円筒表面にuvマッピングをしたい(図12参照)。その場合は、
【0092】
【数27】

とすると、v値の基本長さvoは、
【0093】
【数28】

で与えられ、相互変換は、
【0094】
【数29】

となる。この場合voは式35により自動的に定まっている。図12をみれば、円筒表面に沿ったv方向長さ(緑線)は二平面上の長さ(赤線に沿った長さ)に比べて短くなっているのは一目瞭然で、vo値は小さくなると予想され、uvベクトルの縦横比vo/uoは1以下になる。
【0095】
4.実施例
4.1 立体スクリーンモデル
4.1.1 円筒の回転と平行移動
図13において平面1、2を具体的に、
【0096】
【数30】

と定義し、つなぎ目に設置する円筒の半径を、
円筒半径:r
とする。また仮想カメラ位置は、
【0097】
【数31】

とする。このとき仮想スクリーンの円筒部について、式19に関わる諸量は、
【0098】
【数32】

となる。
【0099】
4.1.2 円筒と平面の接触角度
3.2節の論に従い基本円筒空間内で主軸上の点から各平面への垂線ベクトルを求めると、
【0100】
【数33】

となり、y軸となす接触角度はy、z成分から
【0101】
【数34】

である。
【0102】
4.2 立体CCDモデル
4.2.1 立体CCDの設定
ここではCCD形状を図13のようにし、CCD面の定義を、
【0103】
【数35】

とすると、二平面に挟まれた円筒の主軸ベクトルdCCDや回転行列RCCDは立体スクリーンの場合と同じ形式で、
【0104】
【数36】

とできる。
【0105】
一方、立体スクリーンのつなぎ目p2に相当するCCDのつなぎ目位置ベクトルは現段階で未定のため、ここでp2_CCDと定義し、具体的に求める。この位置ベクトルは本来一意に定めることが出来ないが、今回は後の便宜のため、カメラ位置vcから俯角θvc方向で、立体CCD面に正対した点(最近接点)をp2_CCDとする(図13参照)。
これは、別の言い方をすれば、
条件1) vcを通り{CCD1,CCD2}で張られる平面上の点
条件2) 視線ベクトル(p2_CCD-Vc)がxz平面(0,-1,0)となす角度が(π/2)-θvc
ということである。さらに、単平面CCDの概念であった焦点距離は、立体CCDでは、
条件3) 焦点距離fはp2_CCD-Vcの長さ
と定義する。これら各条件を式化すると以下のようになる。
【0106】
【数37】

以上の式から2つのCCD平面の交点p2_CCDを求めると、
【0107】
【数38】

となる。この結果を用いて、次に移動ベクトルTCCDを求める。
【0108】
まず円筒CCDの主軸上のある定点をpCCD、円筒の半径をrCCDとすると、式6の代わりに以下の式をたてることが出来る。
【0109】
【数39】

これを式8と同様に解くと、
【0110】
【数40】

と得られ、移動ベクトルTCCDは、
【0111】
【数41】

となる。これでモデルの詳細が決定できた。
【0112】
なお、以上は立体CCDの設定にある程度自由度を持たせた場合の記述である。標準的な設定では、図14のように立体スクリーンと立体CCDをvcの正面に並べるように設定することが自然な条件と思われる。この場合、これまでに独立して設定してきた諸量に次の依存関係が成立する。
【0113】
【数42】

更に、スケールを合わせてスクリーンとCCDの円筒半径を相似形に設定する場合には、円筒に関して、
【0114】
【数43】

という関係も成立する。また、参考までに図中のp2'を求めると、3.1.3節の結果より、
【0115】
【数44】

となる。
【0116】
4.2.2 円筒CCDと平面の接触角度
4.1.2節と同じように考えて、基本円筒空間内での各CCDの垂線ベクトルは、
【0117】
【数45】

となり、y軸となす接触角度は、
【0118】
【数46】

である。
【0119】
4.2.3 CCD面上のuvマップと座標変換
4.2.3.1 二平面上のuvマップ
二平面モデルを基本とするため、まず図15に示す二平面モデルについて記述する。
仮想カメラCCD面内の点pvcはCCD内部座標を(u,v)として、
【0120】
【数47】

と表現される。ここでベクトルu0は前節で示したdCCDと同じ方向を向いており、
【0121】
【数48】

で与える。ここでpixel_sizeは、無次元のuv値を実空間の長さに変換する係数であり、長さの次元を持ち、3.3.5節での{uo,voxyzに相当する。一方CCDX面のv0方向はCCDX×dCCDで与えられ、
【0122】
【数49】

である。なお、外積に負符号がついているのは式2と同じ理由である。以上で二平面上の(u,v)値が(x,y,z)値に変換される。
【0123】
4.2.3.2 円筒面上のuvマップ
二平面モデルに4.2.1節で論じた円筒CCDを取り入れるには、図16で示すv1とv2の範囲にある(u,v)値についての円筒表面上のuv変換について論じる必要がある。まず、v1及びv2を決定する前段として、二平面モデルを明確にする。図15のOuvは実は図14のp2_CCDに対応した点であることから、
【0124】
【数50】

となる。これを図16のOuvに対応させるために基本円筒空間に射影すると、式19より、
【0125】
【数51】

となり、図16から、
【0126】
【数52】

で与えられることが分かる。一方v2については、図16でOuvとの2点間の距離を求めて、
【0127】
【数53】

となる。結果として式81の逆符号である。従ってあるuv値を与えたときに、この(v1,v2)の範囲内にあれば対応点は円筒表面上に存在することになる。
【0128】
さて、円筒表面上にuv値を割り当てるやり方は全くの自由であるが、ここでは3.3.5.2節で示したように、円筒表面上のv値を等間隔に割り当てるとする。この場合、yz平面内での角度θvとv値の間に、
【0129】
【数54】

という関係を設定できる。これにより基本円筒空間での点puvは式36の代わりに、
【0130】
【数55】

と表現でき、元々の実空間に射影して、
【0131】
【数56】

がuv値に対応する実空間内の点になる。
【0132】
4.3 立体CCDと立体スクリーンの関係
前節でuv値からPvcを求めた。このことは、画面上の任意の点uv値に対応した実空間での視線ベクトルが実空間で、
【0133】
【数57】

として求められることを意味する。これらのベクトルを今度は立体スクリーンに関する式19と式41及び42を用いて、基本円筒空間へ射影し、3章で示した直線と円筒の関係等を用いることで、立体スクリーン上の対応点Pscreenを求めることができる。具体的には、基本円筒空間への射影は、
【0134】
【数58】

として基本空間での直線の定数を求め、3.3.2節に従って交点Pscreenを求めればよい。このとき、
【0135】
【数59】

あるいは、所定の接触角度に収まらない等の場合には、戻って実空間で平面と交点を求めることになる。平面との交点を求める手法は先願の説明にあるため、ここでは割愛する。なお、基本円筒空間で求めた点は、逆変換により実空間へ戻し、実空間でのスクリーン上の点Pscreenを決定する。
【0136】
4.4立体スクリーンと実カメラの関係
Pscreenが求められれば、後は実カメラCCD面上との対応点を求めることになる。これは直線と平面の交点を求める問題であり、前回の説明にあるため詳細を割愛する。なお、直線は、
【0137】
【数60】

で与えられ、実CCD面との交点を求める問題である。
【0138】
5.まとめ
本説明では、「二平面モデルのつなぎ目をなめらかにする」という課題に対して、二平面のつなぎ目に円筒型スクリーン或いは円筒型CCDを適用して、解決を図った。この説明で論じた内容は、円筒形状を用いて視点変換を行う場合の考え方と、実際に必要と思われる式群の導出である。先の出願にて論じた平面モデルに関わる内容は本説明には含まれていない。
【0139】
次に、効果を説明する。
実施例1の画像生成装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0140】
(1) リアカメラ1とは異なる位置に設定した仮想カメラ8と、リアカメラ1により映し出される被写体側に設定した仮想投影面と、を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成するモニタ画像データ生成手段を備えた画像生成装置において、前記仮想投影面として、近景用スクリーン71と遠景用スクリーン72を有する仮想立体スクリーンを設定する仮想立体スクリーン設定手段と、前記仮想カメラ8の仮想撮像面として、近景用CCD91と遠景用CCD92を有する仮想立体CCDを設定する仮想立体CCD設定手段と、を設け、前記仮想立体スクリーン設定手段と前記仮想立体CCD設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、近景面と遠景面との接合域を曲面により滑らかにつないだ曲面化仮想立体面を設定する手段とし、前記モニタ画像データ生成手段は、曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成するため、演算処理を簡単にしながら、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示をシームレスに接合すると共に、俯瞰表示とパース表示の接合領域での急激な幾何学的変化を緩和することで、違和感を与えない滑らかなモニタ画像データを生成することができる。
【0141】
(2) 前記仮想立体スクリーン設定手段は、仮想的な円筒を近景用スクリーン71と遠景用スクリーン72の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線c,dで切り出した一部円筒曲面73を有する曲面化仮想立体スクリーン7を設定し、前記仮想立体CCD設定手段は、仮想的な円筒を近景用CCD91と遠景用CCD92の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線c’,d’で切り出した一部円筒曲面93を有する曲面化仮想立体CCDを設定し、前記モニタ画像データ生成手段は、相似形による曲面化仮想立体スクリーンと曲面化仮想立体CCDを用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成するため、相似形による一部円筒曲面73,93を用いた簡単な視点変換手法を採用しながら、俯瞰表示とパース表示の接合領域を一定の曲率により滑らかに繋ぐモニタ画像データを生成することができる。
【0142】
(3) 前記仮想立体スクリーン設定手段と前記仮想立体CCD設定手段に、外部からの設定操作により、相似形による曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9の仮想的な円筒の半径R1,R2を調整制御する円筒半径調整操作ダイアル43を設けたため、1制御自由度により、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像による車両後方風景の見え方を制御することができる。
【実施例2】
【0143】
実施例2は、仮想立体スクリーンと仮想立体CCDのうち、仮想立体スクリーンのみを曲面化した例である。
【0144】
まず、構成を説明する。
図17は実施例2の車両のリアカメラに適用された画像生成装置を示す全体システム図である。
【0145】
実施例2における画像生成装置は、リアカメラ1とは異なる位置に設定した仮想カメラ8と、リアカメラ1により映し出される被写体側に設定した仮想投影面と、を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成する装置であり、図17に示すように、リアカメラ1(実カメラ)と、画像処理コントローラ2と、モニタ3と、調整操作ダイアル4と、を備えている。
【0146】
前記リアカメラ1の被写体側(レンズ軸側)には、図17に示すように、仮想投影面として、仮想的な円筒を近景用スクリーン71(近景用投影面)と遠景用スクリーン72(遠景用投影面)の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線c,dで切り出した一部円筒曲面73と、を有する曲面化仮想立体スクリーン7(曲面化仮想立体投影面)が設定される。そして、前記近景用スクリーン71は、図17に示すように、地面上に設定される。前記遠景用スクリーン72は、近景用スクリーン71のリアカメラ1から遠い側に連接すると共に所定の上向き傾斜角度αを持って設定される。
【0147】
前記仮想カメラ8の仮想撮像面として、図17に示すように、前記近景用スクリーン71に平行に設定された近景用CCD91(近景用撮像面)と、該近景用CCD91のリアカメラ1から近い側に連接すると共に所定の下向き傾斜角度βを持って設定され遠景用CCD92(遠景用撮像面)と、を有する仮想立体CCD9’が設定される。すなわち、曲面化仮想立体スクリーン7と仮想立体CCD9’とは非相似形の設定とされる。
【0148】
前記調整操作ダイアル4としては、図17に示すように、仮想カメラ位置調整操作ダイアル41と、角度調整操作ダイアル42と、円筒半径調整操作ダイアル44と、を備えている。
【0149】
前記円筒半径調整操作ダイアル44は、運転者等による外部からの設定操作により、一部円筒曲面73の仮想的な円筒の半径R1を任意に設定するための円筒半径調整操作手段である。実施例2の場合、曲面化仮想立体スクリーン7と仮想立体CCD9’とは非相似形の設定であるため、ダイアル操作によりにより、曲面化仮想立体スクリーン7の円筒半径R1のみが変化する。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0150】
次に、作用を説明する。
【0151】
[円筒半径の調整によるモニタ映像制御作用]
実施例2の画像生成装置にあっては、運転者等による外部からの設定操作により、曲面化仮想立体スクリーン7の一部円筒曲面73の仮想的な円筒の半径R1を変化させる円筒半径調整操作ダイアル44を設けている。
【0152】
図18は実施例2の画像生成装置において一部円筒曲面73の仮想的な円筒の半径R1を所定の値に設定した場合のモニタ映像例を示す図である。
【0153】
すなわち、図4(b)と図18の比較でも明らかなように、曲面化仮想立体スクリーン7の一部円筒曲面73の仮想的な円筒の半径R1のみを制御し、仮想立体スクリーンと仮想立体CCDの相似形を崩すことで、モニタ映像での見え方を制御することができる。
図4(b)に示す場合は、俯瞰表示とパース表示の接合領域に幾何形状が急激に変化するモニタ映像となる。
これに対し、図18に示す場合、曲面化仮想立体スクリーン7の一部円筒曲面73の仮想的な円筒の半径R1を与えると、俯瞰表示とパース表示の接合領域の画像を滑らかに繋ぐことができる。加えて、仮想的な円筒の半径R1を大きくすると、俯瞰表示とパース表示の接合領域の画像を横方向に引っ張る効果がある(図18の矢印は引っ張り方向)。
【0154】
このように、曲面化仮想立体スクリーン7の円筒の半径R1を制御することで(制御自由度は1)、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像を調整することができる。なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0155】
次に、効果を説明する。
実施例2の画像生成装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0156】
(4) 前記仮想立体スクリーン設定手段は、仮想的な円筒を近景用スクリーン71と遠景用スクリーン72の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線c,dで切り出した一部円筒曲面73を有する曲面化仮想立体スクリーン7を設定し、前記仮想立体CCD設定手段は、近景用CCD91と遠景用CCD92の二平面が直線で交わる仮想立体CCD9’を設定し、前記モニタ画像データ生成手段は、曲面化仮想立体スクリーン7と二平面が直線で交わる仮想立体CCD9’を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成するため、曲面化仮想立体スクリーン7側のみで一部円筒曲面73を用いた簡単な視点変換手法を採用しながら、俯瞰表示とパース表示の接合領域を一定の曲率により滑らかに繋ぐモニタ画像データを生成することができる。
【0157】
(5) 前記仮想立体スクリーン設定手段は、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体スクリーンの仮想的な円筒の半径R1を調整制御する円筒半径調整操作ダイアル44を設けたため、1制御自由度により、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像による車両後方風景の見え方を制御することができる。
【実施例3】
【0158】
実施例3は、仮想立体スクリーンと仮想立体CCDのうち、仮想立体CCDのみを曲面化した例である。
【0159】
まず、構成を説明する。
図19は実施例3の車両のリアカメラに適用された画像生成装置を示す全体システム図である。
【0160】
実施例3における画像生成装置は、リアカメラ1とは異なる位置に設定した仮想カメラ8と、リアカメラ1により映し出される被写体側に設定した仮想投影面と、を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成する装置であり、図19に示すように、リアカメラ1(実カメラ)と、画像処理コントローラ2と、モニタ3と、調整操作ダイアル4と、を備えている。
【0161】
前記リアカメラ1の被写体側(レンズ軸側)には、図19に示すように、仮想投影面として、地面上に設定された近景用スクリーン71(近景用投影面)と、該近景用スクリーン71のリアカメラ1から遠い側に連接すると共に所定の上向き傾斜角度αを持って設定され遠景用スクリーン72(遠景用投影面)と、を有する仮想立体スクリーン7’が設定される。
【0162】
前記仮想カメラ8の仮想撮像面として、図19に示すように、仮想的な円筒を近景用CCD91(近景用撮像面)と遠景用CCD92(遠景用撮像面)の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線c’,d’で切り出した一部円筒曲面93と、を有する曲面化仮想立体CCD9(曲面化仮想立体撮像面)が設定される。そして、前記近景用CCD91は、図19に示すように、前記近景用スクリーン71と平行に設定される。前記遠景用CCD92は、近景用CCD91のリアカメラ1から近い側に連接すると共に所定の下向き傾斜角度βを持って設定される。すなわち、仮想立体スクリーン7’と曲面化仮想立体CCD9とは非相似形の設定とされる。
【0163】
前記調整操作ダイアル4としては、図19に示すように、仮想カメラ位置調整操作ダイアル41と、角度調整操作ダイアル42と、円筒半径調整操作ダイアル45と、を備えている。
【0164】
前記円筒半径調整操作ダイアル45は、運転者等による外部からの設定操作により、一部円筒曲面93の仮想的な円筒の半径R2を任意に設定するための円筒半径調整操作手段である。実施例3の場合、仮想立体スクリーン7’と曲面化仮想立体CCD9とは非相似形の設定であるため、ダイアル操作によりにより、曲面化仮想立体CCD9の円筒半径R2のみが変化する。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0165】
次に、作用を説明する。
【0166】
[円筒半径の調整によるモニタ映像制御作用]
実施例3の画像生成装置にあっては、運転者等による外部からの設定操作により、曲面化仮想立体CCD9の一部円筒曲面93の仮想的な円筒の半径R2を変化させる円筒半径調整操作ダイアル45を設けている。
【0167】
図20は実施例3の画像生成装置において一部円筒曲面93の仮想的な円筒の半径R2を所定の値に設定した場合のモニタ映像例を示す図である。
【0168】
すなわち、図4(b)と図20の比較でも明らかなように、曲面化仮想立体CCD9の一部円筒曲面93の仮想的な円筒の半径R2のみを制御し、仮想立体スクリーンと仮想立体CCDの相似形を崩すことで、モニタ映像での見え方を制御することができる。
図4(b)に示す場合は、俯瞰表示とパース表示の接合領域に幾何形状が急激に変化するモニタ映像となる。
これに対し、図20に示す場合、曲面化仮想立体CCD9の一部円筒曲面93の仮想的な円筒の半径R2を与えると、俯瞰表示とパース表示の接合領域の画像を滑らかに繋ぐことができる。加えて、仮想的な円筒の半径R2を大きくすると、俯瞰表示とパース表示の接合領域の画像を横方向に圧縮する効果がある(図20の矢印は圧縮方向)。
【0169】
このように、曲面化仮想立体CCD9の円筒の半径R2を制御することで(制御自由度は1)、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像を調整することができる。なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0170】
次に、効果を説明する。
実施例3の画像生成装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0171】
(6) 前記仮想立体スクリーン設定手段は、近景用スクリーン71と遠景用スクリーン72の二平面が直線で交わる仮想立体スクリーン7’を設定し、前記仮想立体CCD設定手段は、仮想的な円筒を近景用CCD91と遠景用CCD92の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線c’,d’で切り出した一部円筒曲面93を有する曲面化仮想立体CCD9を設定し、前記モニタ画像データ生成手段は、二平面が直線で交わる仮想立体スクリーン7’と曲面化仮想立体CCD9を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成するため、曲面化仮想立体CCD9側のみで一部円筒曲面93を用いた簡単な視点変換手法を採用しながら、俯瞰表示とパース表示の接合領域を一定の曲率により滑らかに繋ぐモニタ画像データを生成することができる。
【0172】
(7) 前記仮想立体CCD設定手段は、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体CCD9の仮想的な円筒の半径R2を調整制御する円筒半径調整操作ダイアル45を設けたため、1制御自由度により、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像による車両後方風景の見え方を制御することができる。特に、仮想的な円筒の半径R2を大きくすると、俯瞰表示とパース表示の接合領域の画像を横方向に圧縮するという効果があるため、最適な見え方制御を、円筒半径調整操作ダイアル45を一方向に操作することで容易に行える。
【実施例4】
【0173】
実施例1〜3では円筒を二平面が交わる平面交線領域に接触させて曲面化したのに対し、実施例4は、楕円筒を二平面が交わる平面交線領域に接触させる例である。
【0174】
構成的には、図1(スクリーン/CCD曲面化)、図18(スクリーン曲面化)、図20(CCD曲面化)において、一部円筒曲面73,93を、円筒を二平面が交わる平面交線領域に接触させて形成したのに対し、楕円筒を二平面が交わる平面交線領域に接触させて形成した点でのみ異なる。
【0175】
そして、図示していないが、実施例1,2,3の円筒半径調整操作ダイアル43,44,45に代え、曲面化仮想立体面の仮想的な楕円筒の短軸長さ/長軸長さ/回転角度を調整制御する楕円筒調整操作ダイアル(楕円筒調整操作手段)を設けている。
【0176】
次に、作用を説明する。
【0177】
[楕円筒調整によるモニタ映像制御作用]
実施例4の画像生成装置にあっては、運転者等による外部からの設定操作により、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、一部楕円筒曲面の仮想的な楕円筒の短軸長さ/長軸長さ/回転角度を調整制御する楕円筒調整操作ダイアルを設けている。
【0178】
図21は実施例4の画像生成装置における二平面が交わる平面交線領域に楕円筒を接触させた一例を示す図である。図22は実施例1〜実施例3の画像生成装置における二平面が交わる平面交線領域に円筒を接触させた一例を示す図である。
【0179】
すなわち、実施例1,2,3の場合、一部円筒曲面73,93を、円筒を二平面が交わる平面交線領域に接触させて形成しているため、図22に示すように、平面1と平面2との接触線の相対位置関係は、一意に決まる。この接触線の相対位置関係を制御できるのが円筒半径のみであり、制御自由度は1(円筒半径)となる。
【0180】
これに対し、楕円筒を用いた場合には、楕円筒の扁平率及び回転によって、接触線位置を自在に制御し、その間を滑らかに接続できるという利点がある。
つまり、平面1或いは平面2の歪み領域(曲面相当領域)のうち、どちらか一方の領域だけを減らしたい場合には、楕円筒モデルにより対応することができる。例えば、平面2の歪み領域を減らす場合には、図21のように、楕円筒を回転させて、平面1,2の公差位置から接触線までの距離を、平面1接触距離<平面2接触距離という関係になるように設定する。
【0181】
この楕円筒を用いる場合、図1(スクリーン/CCD曲面化)、図18(スクリーン曲面化)、図20(CCD曲面化)においては、制御自由度は3(短軸長さ/長軸長さ/回転角度)となる。しかし、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9の一部楕円筒曲面を、それぞれ独立に設定する例によるシステムの場合(実施例2と実施例3の組み合わせ実施例)、制御自由度は6となる。
【0182】
次に、効果を説明する。
実施例4の画像生成装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0183】
(8) 前記仮想立体スクリーン設定手段と前記仮想立体CCD設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、仮想的な楕円筒を近景用面と遠景用面の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線で切り出した一部楕円筒曲面を有する曲面化仮想立体面を設定し、前記モニタ画像データ生成手段は、一部楕円筒曲面を有する曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成するため、一部楕円筒曲面を用いることで、二平面に対する歪み領域を均等に設定することも大小に設定することも可能としながら、俯瞰表示とパース表示の接合領域を曲面により滑らかに繋ぐモニタ画像データを生成することができる。
【0184】
(9) 前記仮想立体スクリーン設定手段と前記仮想立体CCD設定手段のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体面の仮想的な楕円筒の短軸長さ/長軸長さ/回転角度を調整制御する楕円筒調整操作ダイアルを設けたため、接線位置の設定を自在とする3制御自由度により、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像による車両後方風景の見え方を制御することができる。特に、図21に示すように、平面1の歪み領域を増やし平面2の歪み領域を減らす制御により、俯瞰表示側の歪みを緩やかに減少させ、パース表示に繋ぐことができ、最も違和感を抑えた自然な感じのモニタ映像を得ることが可能である。
【実施例5】
【0185】
実施例1〜4では円筒や楕円筒を二平面が交わる平面交線領域に接触させて曲面化したのに対し、実施例5は、自由曲線曲面を二平面が交わる平面交線領域に接触させる例である。
【0186】
構成的には、図1(スクリーン/CCD曲面化)、図18(スクリーン曲面化)、図20(CCD曲面化)において、一部円筒曲面73,93を、円筒を二平面が交わる平面交線領域に接触させて形成したのに対し、自由曲線(パラメトリック3次曲線)によりつないだ自由曲線曲面を二平面が交わる平面交線領域に接触させて形成した点でのみ異なる。
【0187】
そして、図示していないが、実施例1,2,3の円筒半径調整操作ダイアル43,44,45に代え、曲面化仮想立体面の2次元平面内で自由曲線の両端の座標値/傾き/曲率を調整制御する自由曲線調整操作ダイアル(楕円筒調整操作手段)を設けている。
【0188】
ここで、「パラメトリック3次曲線」とは、ソフトウェアに使われている変曲点がひとつだけ表現できる自由曲線であり、現在、最もよく使われている自由曲線につぎの四つがある。
・エルミート(Hermite)曲線
・ベジェ(Bezier)曲線
・B-スプライン(B-spline)曲線
・カットマル-ロム(Catmul-Rom)曲線
これらは、一般にパラメトリック3次曲線(Parametric Cubic Curve)と呼ばれる。
【0189】
次に、作用を説明する。
【0190】
[自由曲線の調整によるモニタ映像制御作用]
実施例5の画像生成装置にあっては、運転者等による外部からの設定操作により、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、曲面化仮想立体面の2次元平面内で自由曲線の両端の座標値/傾き/曲率を調整制御する自由曲線調整操作ダイアルを設けている。
【0191】
図23は実施例5の画像生成装置における二平面が交わる平面交線領域にエルミート曲線を滑らかに接続させた一例を示す図である。図24は実施例5の画像生成装置における二平面が交わる平面交線領域にエルミート曲線を、有角を持たせて接続させた一例を示す図である。
【0192】
基本的に自由曲線の与え方は無限であるが、よく知られる曲線の与え方として、比較的重度が高いのは、パラメトリック3次曲線の一つであるエルミート曲線である。
この場合、図23及び図24に示すように、2次元平面内で自由曲線の両端の座標値/傾き/曲率を与え、その間を3次曲線で補間する。
【0193】
図23に示すように、境界線が平面上に固定され、傾きが平面と一致している場合は、制御自由度は4である。従って、この自由曲線を用いて実施例1〜4と同様に、曲面を与えてやれば自由度はより向上することになる。
【0194】
さらに、図24に示すように、境界線が平面上に固定され、傾きが平面と有角を持って接続される場合は、制御自由度は6である。従って、この自由曲線を用いて実施例1〜4と同様に、曲面を与えてやれば自由度は、図23の例より向上することになる。
【0195】
図23の自由曲線曲面を用いる場合、図1(スクリーン/CCD曲面化)、図18(スクリーン曲面化)、図20(CCD曲面化)においては、制御自由度は4(平面1との座標値/平面2との座標値/傾き/曲率)となる。図24の自由曲線曲面を用いる場合、平面1との交差角度値/平面2との交差角度値が加わって制御自由度は6となる。しかし、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9の自由曲線曲面を、それぞれ独立に設定する例によるシステムの場合(実施例2と実施例3の組み合わせ実施例)、図23の自由曲線曲面を用いると制御自由度は8、図24の自由曲線曲面を用いると制御自由度は12となる。
【0196】
次に、効果を説明する。
実施例5の画像生成装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0197】
(10) 前記仮想立体スクリーン設定手段と前記仮想立体CCD設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、近景用面と遠景用面の二平面が交わる平面交線領域を自由曲線によりつないだ自由曲線曲面を有する曲面化仮想立体面を設定し、前記モニタ画像データ生成手段は、自由曲線曲面を有する曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成するため、自由曲線曲面を用いることで、高い自由度により曲面化を達成しながら、俯瞰表示とパース表示の接合領域を曲面により滑らかに繋ぐモニタ画像データを生成することができる。
【0198】
(11) 前記自由曲線は、二平面との境界線が平面上に固定され、傾きが平面と一致しているパラメトリック3次曲線であり、前記仮想立体スクリーン設定手段と前記仮想立体CCD設定手段のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体面の2次元平面内で自由曲線の両端の座標値/傾き/曲率を調整制御する自由曲線調整操作ダイアルを設けたため、4制御自由度により、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像による車両後方風景の見え方を制御することができる。
【0199】
(12) 前記自由曲線は、二平面との境界線が平面上に固定され、二平面とは有角を持って接合されているパラメトリック3次曲線であり、前記仮想立体スクリーン設定手段と前記仮想立体CCD設定手段のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体面の2次元平面内で自由曲線の両端の交差角度値/両端の座標値/傾き/曲率を調整制御する自由曲線調整操作ダイアルを設けたため、6制御自由度により、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像による車両後方風景の見え方を制御することができる。
【実施例6】
【0200】
実施例5は、自由曲線曲面を二平面が交わる平面交線領域に接触させる例であるのに対し、実施例6は、曲面化を拡張して平面を無くした自由曲面を用いた例である。
【0201】
構成的には、図1(スクリーン/CCD曲面化)、図18(スクリーン曲面化)、図20(CCD曲面化)において、一部円筒曲面73,93を、円筒を二平面が交わる平面交線領域に接触させて形成したのに対し、平面と曲面の境界を取り外し、曲面を拡張することで、近景用面と遠景用面を基準として全体を滑らかに接合した自由曲面によりスクリーン曲面化やCCD曲面化を達成した点でのみ異なる。
【0202】
そして、図示していないが、実施例1〜実施例5と同様に、曲面化仮想立体面の自由曲面の3次元曲面形状を調整制御する自由曲面調整操作レバー(自由曲面調整操作手段)を設けている。
【0203】
次に、作用を説明する。
【0204】
[自由曲面の形状調整によるモニタ映像制御作用]
実施例6の画像生成装置にあっては、運転者等による外部からの設定操作により、曲面化仮想立体スクリーン7と曲面化仮想立体CCD9のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、曲面化仮想立体面の自由曲面の3次元曲面形状を調整制御する自由曲面調整操作ダイアルを設けている。
【0205】
図25は実施例6の画像生成装置における曲面化仮想立体スクリーンと曲面化仮想立体CCDを共に自由曲面とした一例を示す図である。
【0206】
基本的に自由曲面の与え方は無限であるため、図25に示すように、曲面化仮想立体スクリーンと曲面化仮想立体CCDを共に自由曲面とした場合、制御自由度も無限となり、レバー操作により設定した任意の自由曲面を用い、所望するモニタ映像となるように映像変形をすることができる。
【0207】
次に、効果を説明する。
実施例6の画像生成装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0208】
(13) 前記仮想立体スクリーン設定手段と前記仮想立体CCD設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、近景用面と遠景用面を基準として全体を滑らかに接合した自由曲面を有する曲面化仮想立体面を設定し、前記モニタ画像データ生成手段は、自由曲面を有する曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、リアカメラ1のカメラ映像データからモニタ3に映し出すモニタ画像データを生成するため、自由曲面を用いることで、俯瞰表示領域からパース表示領域までの全体領域を曲面により滑らかに繋ぐモニタ画像データを生成することができる。
【0209】
(14) 前記仮想立体スクリーン設定手段と前記仮想立体CCD設定手段のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、外部からの設定操作により、自由曲面の3次元形状を調整制御する自由曲面調整操作レバーを設けたため、高制御自由度により、使用者あるいは設計者の要求に合わせて適時、モニタ映像による車両後方風景の見え方を制御することができる。
【0210】
以上、本発明の画像生成装置を実施例1〜実施例6に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0211】
実施例1〜6では、リアカメラを1台のみ設置し、1台のリアカメラにより取得した単独のカメラ映像データの各画素位置を座標変換してモニタ画像データを生成する例を示した。しかし、車載カメラの台数を1台に限定するものではなく、1台の実カメラと1台または複数台の補助カメラを設置しても良い。例えば、俯瞰映像において、実カメラであるリアカメラCCDから見て死角領域(両端部分)の映像が失われることがあるが、この場合、他の車載カメラ(補助カメラ)からの映像を利用し、死角領域の映像を補完するようにしても良い。
【0212】
実施例2では、曲面化仮想立体スクリーン7の円筒の半径R1のみを制御する例を示し、実施例3では、曲面化仮想立体CCD9の円筒の半径R2のみを制御する例を示した。しかし、実施例2,3の組み合わせ実施例(非相似型スクリーン/CCDによる制御)とすることもできる。この場合、曲面化仮想立体スクリーン7の円筒の半径R1と、曲面化仮想立体CCD9の円筒の半径R2が独立に制御されることで、システムの制御自由度は2となり、図18と図20の中間的な画像を自在に得ることができるというように、実施例2,3より詳細な制御ができる。
【0213】
実施例1〜6では、モニタ表示画像として、近景の俯瞰表示画像と遠景のパース表示画像とがシームレスに接合された画像とする例を示したが、例えば、近景の俯瞰表示画像と遠景のパース表示画像との間に仕切り線を設定したモニタ表示画像としても良い。すなわち、本発明は、近景の俯瞰表示と遠景のパース表示をシームレスに、かつ、滑らかに接合するモニタ画像データを生成するものであり、モニタ画像データに基づいて作成されるモニタ表示画像についてまで接合という条件を規定するものではない。例えば、視認性やデザイン性等を考慮して予め作成された仕切り線や枠組み等を施すベース画像に、生成したモニタ画像データに基づく俯瞰画像とパース画像を組み込み、両画像の合成画像をモニタへの表示画像とするようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0214】
実施例1〜6では、車両に搭載されるリアカメラへの適用例を示したが、車両に搭載されるサイドカメラやフロントカメラへも適用できるし、また、車両以外に、店舗等に設置される監視カメラへも適用でき、監視カメラへ適用した場合には、カメラの設置台数やモニタの設置台数を大幅に減らすことができるというメリットを持つ。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】実施例1の車両のリアカメラに適用された画像生成装置を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の画像生成装置において仮想立体投影面と仮想立体撮像面を使った視点変換手法の一例を説明する模式図である。
【図3】仮想立体スクリーンを近景用スクリーンと遠景用スクリーンの二平面により設定し、仮想立体CCDを近景用CCDと遠景用CCDの二平面により設定した例を示す図である。
【図4】モニタ映像の比較例であり、(a)は実カメラからの映像データをそのまま用いたモニタ映像例を示し、(b)は図3に基づいた視点変換でのモニタ映像例を示し、(c)は実施例1に基づいた視点変換でのモニタ映像例を示す。
【図5】実施例1の画像生成装置において一部円筒曲面73,93の仮想的な円筒の半径R1,R2を図4(b)と図4(c)の中間の大きさに設定した場合のモニタ映像例を示す図である。
【図6】実施例1の画像生成装置における各種座標変換の相互作用を示す図である。
【図7】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明において円筒設定の手順を示す図である。
【図8】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明において平面と実円筒及びその主軸を示す図である。
【図9】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明においてターゲット円筒主軸の回転行列を示す図である。
【図10】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明において円筒と平面の接触角度の定義を示す図である。
【図11】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明において基本円筒表面のuvマップを示す図である。
【図12】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明においてv1及びv2があらかじめ決まっている場合を示す図である。
【図13】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明において全体配置の例を示す図である。
【図14】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明において標準的なCCD設定例を示す図である。
【図15】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明において2平面モデルの場合を示す図である。
【図16】円筒モデルを用いた視点変換手法の説明において基本円筒空間内でのCCDのuvマッピング例を示す図である。
【図17】実施例2の車両のリアカメラに適用された画像生成装置を示す全体システム図である。
【図18】実施例2の画像生成装置において一部円筒曲面73の仮想的な円筒の半径R1を所定の値に設定した場合のモニタ映像例を示す図である。
【図19】実施例3の車両のリアカメラに適用された画像生成装置を示す全体システム図である。
【図20】実施例3の画像生成装置において一部円筒曲面93の仮想的な円筒の半径R2を所定の値に設定した場合のモニタ映像例を示す図である。
【図21】実施例4の画像生成装置における二平面が交わる平面交線領域に楕円筒を接触させた一例を示す図である。
【図22】実施例1〜実施例3の画像生成装置における二平面が交わる平面交線領域に円筒を接触させた一例を示す図である。
【図23】実施例5の画像生成装置における二平面が交わる平面交線領域にエルミート曲線を滑らかに接続させた一例を示す図である。
【図24】実施例5の画像生成装置における二平面が交わる平面交線領域にエルミート曲線を、有角を持たせて接続させた一例を示す図である。
【図25】実施例6の画像生成装置における曲面化仮想立体スクリーンと曲面化仮想立体CCDを共に自由曲面とした一例を示す図である。
【符号の説明】
【0216】
1 リアカメラ(実カメラ)
2 画像処理コントローラ
21 デコーダ間変換部
22 座標変換処理部
23 ROM
24 RAM
25 エンコーダ変換部
3 モニタ
4 調整操作ダイアル
41 仮想カメラ位置調整操作ダイアル
42 角度調整操作ダイアル
43,44,45 円筒半径調整操作ダイアル
7 曲面化仮想立体スクリーン
7’ 仮想立体スクリーン
71 近景用スクリーン
72 遠景用スクリーン
73 一部円筒曲面
8 仮想カメラ
9 曲面化仮想立体CCD
9’ 仮想立体CCD
91 近景用撮像面
92 遠景用撮像面
93 一部円筒曲面
a,b 仮想カメラ8の位置
c,d,c’,d’ 接触線
α スクリーン傾斜角度
β CCD傾斜角度
R1,R2 仮想的な円筒の半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実カメラとは異なる位置に設定した仮想カメラと、実カメラにより映し出される被写体側に設定した仮想投影面と、を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成するモニタ画像データ生成手段を備えた画像生成装置において、
前記仮想投影面として、近景用投影面と遠景用投影面を有する仮想立体投影面を設定する仮想立体投影面設定手段と、
前記仮想カメラの仮想撮像面として、近景用撮像面と遠景用撮像面を有する仮想立体撮像面を設定する仮想立体撮像面設定手段と、を設け、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、近景面と遠景面との接合域を曲面により滑らかにつないだ曲面化仮想立体面を設定する手段とし、
前記モニタ画像データ生成手段は、曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成することを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段は、仮想的な円筒を近景用投影面と遠景用投影面の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線で切り出した一部円筒曲面を有する曲面化仮想立体投影面を設定し、
前記仮想立体撮像面設定手段は、仮想的な円筒を近景用撮像面と遠景用撮像面の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線で切り出した一部円筒曲面を有する曲面化仮想立体撮像面を設定し、
前記モニタ画像データ生成手段は、相似形による曲面化仮想立体投影面と曲面化仮想立体撮像面を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成することを特徴とする画像生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段に、外部からの設定操作により、相似形による曲面化仮想立体投影面と曲面化仮想立体撮像面の仮想的な円筒の半径を調整制御する円筒半径調整操作手段を設けたことを特徴とする画像生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段は、仮想的な円筒を近景用投影面と遠景用投影面の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線で切り出した一部円筒曲面を有する曲面化仮想立体投影面を設定し、
前記仮想立体撮像面設定手段は、近景用撮像面と遠景用撮像面の二平面が直線で交わる仮想立体撮像面を設定し、
前記モニタ画像データ生成手段は、曲面化仮想立体投影面と二平面が直線で交わる仮想立体撮像面を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成することを特徴とする画像生成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段は、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体投影面の仮想的な円筒の半径を調整制御する円筒半径調整操作手段を設けたことを特徴とする画像生成装置。
【請求項6】
請求項1に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段は、近景用投影面と遠景用投影面の二平面が直線で交わる仮想立体投影面を設定し、
前記仮想立体撮像面設定手段は、仮想的な円筒を近景用撮像面と遠景用撮像面の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線で切り出した一部円筒曲面を有する曲面化仮想立体撮像面を設定し、
前記モニタ画像データ生成手段は、二平面が直線で交わる仮想立体投影面と曲面化仮想立体撮像面を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成することを特徴とする画像生成装置。
【請求項7】
請求項6に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体撮像面設定手段は、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体撮像面の仮想的な円筒の半径を調整制御する円筒半径調整操作手段を設けたことを特徴とする画像生成装置。
【請求項8】
請求項1に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、仮想的な楕円筒を近景用面と遠景用面の二平面が交わる平面交線領域に接触させ、二平面と接触する接触線で切り出した一部楕円筒曲面を有する曲面化仮想立体面を設定し、
前記モニタ画像データ生成手段は、一部楕円筒曲面を有する曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成することを特徴とする画像生成装置。
【請求項9】
請求項8に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体面の仮想的な楕円筒の短軸長さ/長軸長さ/回転角度を調整制御する楕円筒調整操作手段を設けたことを特徴とする画像生成装置。
【請求項10】
請求項1に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、近景用面と遠景用面の二平面が交わる平面交線領域を自由曲線によりつないだ自由曲線曲面を有する曲面化仮想立体面を設定し、
前記モニタ画像データ生成手段は、自由曲線曲面を有する曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成することを特徴とする画像生成装置。
【請求項11】
請求項10に記載された画像生成装置において、
前記自由曲線は、二平面との境界線が平面上に固定され、傾きが平面と一致しているパラメトリック3次曲線であり、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体面の2次元平面内で自由曲線の両端の座標値/傾き/曲率を調整制御する自由曲線調整操作手段を設けたことを特徴とする画像生成装置。
【請求項12】
請求項10に記載された画像生成装置において、
前記自由曲線は、二平面との境界線が平面上に固定され、二平面とは有角を持って接合されているパラメトリック3次曲線であり、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、外部からの設定操作により、曲面化仮想立体面の2次元平面内で自由曲線の両端の交差角度値/両端の座標値/傾き/曲率を調整制御する自由曲線調整操作手段を設けたことを特徴とする画像生成装置。
【請求項13】
請求項1に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段のうち、少なくとも一方の設定手段は、近景用面と遠景用面を基準として全体を滑らかに接合した自由曲面を有する曲面化仮想立体面を設定し、
前記モニタ画像データ生成手段は、自由曲面を有する曲面化仮想立体面を用いた視点変換により、実カメラのカメラ映像データからモニタに映し出すモニタ画像データを生成することを特徴とする画像生成装置。
【請求項14】
請求項13に記載された画像生成装置において、
前記仮想立体投影面設定手段と前記仮想立体撮像面設定手段のうち、曲面化仮想立体面を設定する手段に、外部からの設定操作により、自由曲面の3次元形状を調整制御する自由曲面調整操作手段を設けたことを特徴とする画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−141643(P2008−141643A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327935(P2006−327935)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501348139)株式会社 エイチ・シー・エックス (86)
【Fターム(参考)】