画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置
【課題】見開き原稿に基づく画像データを記憶する画像ファイルの利便性が向上する画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置を提供すること。
【解決手段】先ず,見開き原稿を読み取る。そして,読み取った見開き原稿の画像データについて,左側のページの領域と右側のページの領域とを区別する。そして,左側のページの領域と右側のページの領域との,それぞれの相互位置を識別する識別情報を,それぞれの領域の画像データに関連付けて記憶するファイルを生成する。そして,ファイルに記憶された画像を表示する際には,識別情報に従って,各ページの領域を識別して,ファイルに記憶された画像を表示する。
【解決手段】先ず,見開き原稿を読み取る。そして,読み取った見開き原稿の画像データについて,左側のページの領域と右側のページの領域とを区別する。そして,左側のページの領域と右側のページの領域との,それぞれの相互位置を識別する識別情報を,それぞれの領域の画像データに関連付けて記憶するファイルを生成する。そして,ファイルに記憶された画像を表示する際には,識別情報に従って,各ページの領域を識別して,ファイルに記憶された画像を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,原稿を読み取る画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置に関する。さらに詳細には,読み取った原稿の画像を表示する画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,タッチパネルを備えた携帯情報端末装置の普及が進んでいる。携帯情報端末装置は電子書籍の閲覧が可能なものもあることから,製本済みの書籍を電子化するニーズがある。そこで,本などの綴じられた原稿を,見開きの状態で読み取る画像読取装置が実用化されている。画像読取装置は,読み取った原稿の画像データを綴じ部で分割し,2ページ分の画像として扱う。
【0003】
見開き状態の原稿(見開き原稿)の画像データを綴じ部で分割する画像読取装置としては,例えば特許文献1に開示されている画像読取装置がある。特許文献1の画像読取装置は,見開き原稿を左右のページごとに分けて1枚ずつ転写紙に複写するモードを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−166939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,従来の画像読取装置には,次のような問題があった。すなわち,見開き原稿の画像データを2ページ分の画像データに分割してしまった結果,分割後の画像データを記憶する個々の画像ファイルについて,元々が見開き原稿であったことや,ページの組み合わせ等が不明となる。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,見開き原稿に基づく画像データを記憶する画像ファイルの利便性が向上する画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像表示システムは,見開き状態の原稿である見開き原稿を読み取る読取部と,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,当該見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,前記ファイルに記憶された前記識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方の画像を表示する表示部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像表示システムは,読み取った見開き原稿の画像データについて,第1領域(一方のページ)と第2領域(他方のページ)とを区別する。そして,第1領域と第2領域との相互関係を識別する識別情報を記憶するファイルを生成する。識別情報は,各領域(各ページ)の相互関係を識別できればよく,例えば,表示優先順位や,配置情報(境界,左右位置等)の情報が該当する。また,ファイルは,2ページ分の画像データ,すなわち見開き原稿の画像データを記憶する画像ファイルであってもよいし,1ページ分の画像データ,すなわちページ単位に分割した後の画像データを記憶する画像ファイルであってもよい。あるいは,画像データへの参照先を記憶する管理ファイルであってもよい。そして,見開き原稿の画像を表示する際には,その識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,第1領域と第2領域との少なくとも一方の画像を表示する。
【0009】
すなわち,本発明の画像表示システムでは,見開き原稿の各領域の相互関係の情報である識別情報をファイルに記憶する。読み取った見開き原稿の画像を表示する際には,そのファイルに記憶した識別情報を利用し,適切な領域を適切な配置で表示する。これにより,例えばページ単位での画像データ(1ページ分の画像データ)を表示する場合には,適切なページ順による表示を実現できる。また,例えば見開き状態での画像データ(2ページ分の画像データ)を表示する場合には,各領域の画像の適切な配置関係や境界位置を再現できる。
【0010】
また,本発明の画像表示システムは,前記ファイルに付加された前記識別情報を,ユーザ入力によって受け付けた変更情報に従って変更する変更部を備えるとよい。すなわち,生成部にて必ずしも最適な位置が識別情報に記憶されるとは限らない。この構成のように,ユーザによって識別情報を調整可能にする方が好ましい。
【0011】
また,上記の画像表示システムの前記変更部は,ある見開き原稿に対して受け付けた前記変更情報を,他の見開き原稿の識別情報の変更に利用するとよい。ある見開き原稿について受け付けた変更情報を,他の見開き原稿の識別情報の変更に利用することで,他の見開き原稿の識別情報の変更に伴うユーザの手間を軽減できる。
【0012】
また,上記の画像表示システムは,前記変更部にて受け付けた変更情報に基づく前記第1領域と前記第2領域との境界が,見開き原稿の画像中の下地と区別される画像領域である実画像領域上に位置するか否かを判断する判断部と,前記判断部にて前記境界が前記実画像領域上に位置すると判断した場合に,前記変更部での前記識別情報の変更を禁止する禁止部とを備えるとよい。実画像領域は,図形や文字等の下地と区別される画像の領域であり,例えば,下地と異なる色であれば実画像と判断できる。境界が実画像領域を跨ぐような変更は誤操作である可能性が高い。そのため,そのような変更を禁止する方が望ましい。
【0013】
また,本発明の画像表示システムの前記生成部は,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記第1領域と前記第2領域とに分割することなく連続した画像データとして記憶するファイルを生成し,さらにそのファイルに前記識別情報を記憶するとよい。見開き状態での画像データを記憶することで,見開き状態の原稿の画像をより適正に再現できる。
【0014】
また,上記の画像表示システムの前記識別情報は,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データにおける前記第1領域と前記第2領域との境界位置を示す情報であるとよい。境界位置を示す情報としては,例えば,境界線の始点と終点の画像データ中の座標が該当する。この構成によれば,見開き状態の画像データの分割が容易になる。
【0015】
また,上記の画像表示システムは,前記識別情報の境界に基づいて,前記第1領域および前記第2領域のそれぞれの中央位置を特定する特定部を備え,前記表示部は,前記第1領域のページと前記第2領域のページとでページごとに表示する際,前記特定部によって特定された中央位置に従って各領域を表示するとよい。この構成によると,領域にかかわらず画像が中央揃えで表示されるため,ユーザにとって見やすい。
【0016】
また,本発明の画像表示システムは,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記区別部にて区別した前記第1領域の画像データと前記第2領域の画像データとに分割する分割部を備え,前記生成部は,前記分割部にて分割した各画像データを記憶するファイルを個別に生成し,さらに各ファイルに前記識別情報を記憶するとよい。この構成によれば,各ファイルは分割後の画像データを記憶しているため,1ページ分の画像データを表示する際,画像データを分割する必要がなく,ページ単位の表示が容易になる。
【0017】
また,本発明の画像表示システムは,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記区別部にて区別した前記第1領域の画像データと前記第2領域の画像データとに分割する分割部を備え,前記生成部は,前記分割部にて分割した各画像データを記憶する画像ファイルを個別に生成し,さらに前記識別情報と前記画像ファイルの情報とを記憶する管理ファイルを生成してもよい。この構成でも,各ファイルは分割後の画像データを記憶しているため,1ページ分の画像データを表示する際,画像データを分割する必要がなく,ページ単位の表示が容易になる。
【0018】
また,本発明は,見開き状態の原稿である見開き原稿を読み取る読取部と,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,当該見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部とを備えることを特徴とする画像読取装置を含んでいる。
【0019】
また,本発明は,見開き状態の原稿である見開き原稿に基づく画像データを取得する取得部と,前記取得部が取得した画像データを,前記見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,前記ファイルに記憶された前記識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方の画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする画像表示装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば,見開き原稿に基づく画像データを記憶する画像ファイルの利便性が向上する画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態にかかるMFPの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示したMFPの画像読取部の内部構成(図1のA−A断面)を示す断面図である。
【図3】図1に示したMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】MFPのブックスキャン処理(第1の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図5】MFPが作成するファイル(第1の形態)の構成を示す図である。
【図6】PCの表示処理(第1の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図7】PCのページ送り処理(第1の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図8】PCの編集処理(第1の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図9】編集モードでの表示例を示す図である。
【図10】MFPのブックスキャン処理(第2の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図11】MFPが作成するファイル(第2の形態)の構成を示す図である。
【図12】PCの表示処理(第2の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図13】MFPのブックスキャン処理(第3の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図14】MFPが作成するファイル(第3の形態)の構成を示す図である。
【図15】PCの表示処理(第3の形態)の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,本発明にかかる画像表示システムを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,スキャン機能,プリント機能,およびファイル出力機能を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral )およびパーソナルコンピュータ(PC)に本発明を適用したものである。
【0023】
[MFPの構成]
本形態のMFP100は,図1に示すように,用紙に画像を印刷する画像形成部1と,原稿の画像を読み取る画像読取部2(読取部の一例)とを備えている。画像形成部1の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
【0024】
また,MFP100は,その前面側に,各種のボタン(例えば,スタートキー,ストップキー,テンキーの各ボタン)によって構成されるボタン群41,液晶ディスプレイからなる表示部42を備えた操作パネル40を備えている。このボタン群41や表示部42により,動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
【0025】
[画像読取部の構成]
続いて,画像読取部2の構成について,図1および図2を参照しつつ説明する。なお,図1は,画像読取部2の外観を示し,図2は,図1のA−A断面であって画像読取部2の内部構成を示している。
【0026】
画像読取部2は,画像の読み取りを行う本体部10と,原稿の自動搬送を行う自動原稿供給装置(ADF:Auto Document Feeder)20とを備えている。ADF20は,本体部10の上方に位置するとともに一辺が本体部10と接続し,本体部10に対して回動自在に設けられている。そのため,画像読取部2は,ADF20によって本体部10の上面を開閉することができる。つまり,ADF20は,本体部10の上面を覆うカバーを兼ねる。
【0027】
本体部10は,その上面に,コンタクトガラス11,12を備えている。さらに,本体部10の内部であってコンタクトガラス11,12の下方には,原稿の画像を読み取るイメージセンサ15が設けられている。イメージセンサ15は,主走査方向(図2の奥行き方向)に光学素子が一列に並んで配置されており,原稿からの反射光を電気信号に変換して出力する。イメージセンサ15としては,例えば,CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)が適用可能である。
【0028】
イメージセンサ15は,スライド軸13に対してスライド自在に支持されている。このスライド軸13は,副走査方向(図2中の左右方向)に延び,両端部が本体部10の筐体に固定されている。そのため,イメージセンサ15は,図2中の左右方向に移動可能に設けられている。
【0029】
ADF20は,読み取り前の原稿を載置する原稿トレイ21と,読み取り後の原稿を載置する排出トレイ22とを備えている。具体的に,原稿トレイ21は,排出トレイ22の上方に配設されている。また,ADF20の内部には,原稿が搬送される経路として,原稿トレイ21と排出トレイ22とを連結する略U字状の搬送路25が設けられている。また,ADF20は,その下面に開口部23が設けられ,その開口部23から原稿押さえ板24が露出するように配置されている。この原稿押さえ板24は,ADF20を閉じた状態でコンタクトガラス12と対向している。
【0030】
ADF20は,原稿トレイ21に載置された原稿を1枚ずつ取り出し,その原稿を本体部10のコンタクトガラス12(以下,「ADFガラス12」とする)に対向する位置に搬送する。具体的には,原稿を原稿押さえ板24とコンタクトガラス12との間を通過させる。その後,その原稿を排出トレイ22上に排出する。
【0031】
また,イメージセンサ15を利用した原稿の読取方式としては,フラットベッド(原稿固定走査)方式と,ADF(原稿移動走査)方式とがある。フラットベッド方式の場合,原稿をコンタクトガラス11(以下,「FBガラス11」とする)上に載置する。その状態で,イメージセンサ15が副走査方向に移動し,その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。一方,ADF方式の場合,複数の原稿を纏めて原稿トレイ21に載置する。そして,イメージセンサ15がADFガラス12に対向する位置に移動し,固定される。その状態で,ADF20によって原稿が原稿押さえ板24の下側であってADFガラス12に対向する位置に搬送され,その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。
【0032】
例えば,書籍等の綴じられた原稿を読み取る際には,ADF20を開放し,原稿を見開きの状態とし,読取面を下向きとしてFBガラス11上にセットする。そして,ADF20を開放したまま,ユーザが原稿を押さえた状態で,イメージセンサ15が副走査方向に移動することで,原稿を読み取る。
【0033】
[MFPの電気的構成]
続いて,MFP100と,MFP100とネットワークを介して接続するPC50とを有するシステム500の電気的構成について,図3を参照しつつ説明する。MFP100は,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34と,ASIC35と,ネットワークインターフェース36とを備えた制御部30を有している。
【0034】
ROM32には,MFP100を制御するための各種制御プログラムや画像処理プログラム,各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像読取部2で読み取った原稿の画像データやネットワークインターフェース36を介して送られてくる画像データを一時的に記憶する記憶領域として,利用される。NVRAM34は,不揮発性を有する記憶手段であって,各種設定や画像データ等を保存する記憶領域として利用される。
【0035】
ASIC35は,画像形成部1,画像読取部2,操作パネル40,ADF20の回動を検知する開閉センサ45等と電気的に接続されている。例えば,ASIC35は,画像読取部2から画像データの信号を取得する。また,画像形成部1へ所望の画像を作成するための信号を出力する。また,ボタン群41に入力される各種ボタンの信号を受け付ける。また,表示部42に表示する内容の信号を出力する。
【0036】
CPU31(区別部,生成部,分割部の一例)は,MFP100における画像読取機能,画像形成機能,さらにはファイル作成機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,ASIC35を介してMFP100の各構成要素を制御する。また,CPU31は,例えば,ROM32から読み出したプログラムに従って,画像読取部2にて読み取った原稿の画像データに加工処理を施す。
【0037】
ネットワークインターフェース36は,ネットワークに接続され,このネットワークインターフェース36を介して他の情報処理装置(例えば,PC50)とのデータ通信が可能になっている。
【0038】
[PCの電気的構成]
PC50は,CPU51と,ROM52と,RAM53と,HDD54と,キーボードやマウス等からなる操作部55と,液晶ディスプレイ等からなる表示部56と,ネットワークインターフェース57と,USBインターフェース58とを有している。
【0039】
PC50のHDD54には,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバや,ワープロ,表計算ソフト等の印刷指示機能を有するアプリケーションプログラム等が組み込まれている。また,MFP100にて原稿を読み取った後に作成される画像ファイルに記憶されている画像を表示するビューワプログラムもHDD54に組み込まれている。
【0040】
CPU51(表示部,変更部,判断部,禁止部,特定部の一例)は,ROM52から読み出した制御プログラムやHDD54から読み出したプログラム等に従って,その演算結果をRAM53またはHDD54に記憶させながら各種の処理を行う。
【0041】
ネットワークインターフェース57やUSBインターフェース58は,外部装置との通信を可能にするインターフェースである。本形態では,ネットワークインターフェース57を介してMFP100とデータの送受信を行う。
【0042】
[ブックスキャンモード]
続いて,MFP100のブックスキャンモードについて説明する。ブックスキャンモードは,本などの綴じられた原稿を,見開きの状態で読み取り,さらに読み取った原稿の画像データを記憶する電子ファイルを作成するモードである。
【0043】
ブックスキャンモードでは,フラットベッド方式によって見開き状態の原稿(見開き原稿)を読み取る。具体的に,MFP100は,ユーザによってブックスキャンモードが選択され,FBガラス11上に見開き原稿がセットされ,ボタン群41中のスタートキーが押下されると,画像読取部2によって見開き原稿を読み取る。
【0044】
見開き原稿の読み取り後,読み取りを継続するか否かをユーザに問い合わせる。読み取りの継続が選択された場合には,ユーザが次のページの見開き原稿をFBガラス11上にセットし,読み取り開始指示を入力するのを待つ。そして,読み取り開始指示が入力されると,新たにセットされた見開き原稿を読み取る。一方,読み取りの終了が選択された場合には,終了が選択されるまでに読み取った画像データを記憶するファイルあるいは画像データへの参照先を記憶するファイルを作成する。
【0045】
PC50には,MFP100で読み取った見開き原稿の画像データを表示するビューワプログラムが組み込まれている。ユーザは,見開き原稿の画像を表示する際,ブックスキャンモードで作成したファイルを指定し,ビューワプログラムからそのファイルに関連付けられている画像データを読み出す。これにより,PC50の表示部56に見開き原稿の画像を表示できる。
【0046】
[第1の形態]
[MFPのブックスキャン処理]
以下,上述のブックスキャンモードでの動作を実現するブックスキャン処理(区別部,生成部の一例)の手順について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。このブックスキャン処理は,ブックスキャンモードが選択された状態で,ボタン群41中のスタートキーが押下されたことを契機に実行される。
【0047】
第1の形態のブックスキャン処理では,先ず,各種の初期設定の取得等の初期処理を行う(S101)。初期設定としては,例えば,読み取り後の画像データについて原稿の綴じ部や枠外の影を消去するか否かの設定がある。初期設定は,ブックスキャン処理を開始する前にユーザによって設定され,NVRAM34等に記憶されたものでもよいし,S101が実行されるタイミングでユーザによって設定されたものでもよい。また,初期処理では,複数の画像ファイルを登録するブックファイルを生成する。なお,ブックファイルは,初期処理の段階では,1つの画像ファイルも登録されていない。
【0048】
次に,FBガラス11上にセットされた原稿を読み取る(S102)。読み取った原稿の画像データは,RAM33に一時的に記憶される。
【0049】
読み取りを完了した後,読み取った見開き原稿の画像データの,左側のページと右側のページとの境界を決定する(S103)。見開き原稿をFBガラス11上にセットする位置は,原稿サイズによってあらかじめ決められている。そのため,MFP100は,原稿サイズに応じて,画像データの副走査方向の中央位置を把握できる。S103では,その中央位置を基準に,左側のページの領域と右側のページの領域とを区別する境界を決定する。あるいは,原稿の画像データを左右2等分する位置を算出し,その位置を境界としてもよい。
【0050】
なお,読み取った原稿の画像データを解析し,左右のページの境界を自動認識してもよい。例えば,見開き原稿を読み取った場合,その見開き原稿の画像データには,その見開き原稿の画像データの中央を縦断する黒色領域(「綴じ部」に相当)が存在する。そこで,MFP100がこの黒色領域を目印画像としてあらかじめROM32等に記憶し,原稿の画像データからこの目印画像を検出する。検出された場合にはその目印画像の位置を特定し,その位置を境界とすることができる。
【0051】
次に,読み取り対象の見開き原稿が左開きか右開きかの開き方向を取得する(S104)。取得方法は,ユーザに問い合わせてもよいし,画像データを解析して自動判別してもよい。自動判別としては,例えば,各ページのページ番号を読み取り,そのページ番号に基づいて開き方向を決定する。また,例えば,文字列(縦書き横書き)や,言語を読み取って,その内容によって開き方向を決定してもよい。また,この他の取得方法としては,ブックスキャン処理を開始する前にユーザによって設定され,NVRAM34等に記憶されたものを読み出してもよい。
【0052】
次に,S102で読み取った原稿の画像データを記憶する画像ファイルを作成し,作成した画像ファイルをS101で作成したブックファイルに登録する(S105)。具体的に,ブックファイル6に登録される画像ファイル60は,図5に示すように,画像領域である画像データ領域61と,非画像領域であるヘッダ領域62とを有する。画像データ領域61には,S102で読み取った原稿の画像データ(左側のページと右側のページとを分割することなく連続した画像として記憶する画像データ)を記憶する。ヘッダ領域62には,画像のサイズ,解像度,カラー等の情報を記憶する。
【0053】
また,S105では,画像ファイル60のヘッダ領域62に,S103で取得した境界の情報およびS104で取得した開き方向の情報を記憶する。境界の情報としては,例えば,境界の始点と終点の画像データ中の座標が適用可能である。また,始点と終点以外に中継点を記憶してもよい。これにより,折れ線の境界を記憶できる。なお,S103で境界を取得できなかった場合,あるいはS104で開き方向を取得できなかった場合には,境界の情報および開き方向の情報をヘッダ領域62に記憶しない。
【0054】
S105によるファイル登録後,次の原稿があるか否かを判断する(S106)。次の原稿の有無は,ユーザに問い合わせて判断する。なお,所定時間内にスタートキーが押下され次の原稿の読み取りが指令された場合に,次のページが有ると判断してもよい。
【0055】
次の原稿が有る場合(S106:YES),すなわち見開き原稿の読み取りを継続する場合には,S102に移行して次の原稿を読み取る。これにより,図5に示したように,S101で作成したブックファイル6には,複数の画像ファイル60が登録される。一方,次の原稿が無い場合には(S106:NO),ブックスキャン処理を終了する。
【0056】
すなわち,第1の形態のブックスキャン処理では,見開き原稿を読み取った画像データを記憶する画像ファイルを作成する。さらに,その画像ファイルのヘッダ領域には,左側のページの領域と右側のページの領域とを区別する境界の情報,および左開きか右開きかの情報が記憶される。
【0057】
[PCの表示処理]
続いて,MFP100にて作成した画像ファイル60の画像を表示する表示処理(表示部,特定部の一例)について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。この表示処理は,画像の表示命令が入力(例えば,ブックファイル名あるいは画像ファイル名をダブルクリック)され,PC50に組み込まれているビューワプログラムが起動されたことを契機に,ビューワプログラムによって実行される。
【0058】
第1の形態の表示処理では,先ず,指定された画像ファイルを読み込む(S121)。画像ファイルは,前述したブックスキャン処理にて作成した画像ファイルであればよく,その保存先はPC50がアクセス可能な記憶装置であればよい。なお,ブックファイル名が指定された場合には,そのブックファイル名の先頭に登録されている画像ファイルを読み込む。
【0059】
次に,読み込んだ画像ファイルのヘッダ領域に記憶されている情報を取得する(S122)。そして,S122で取得した情報に,境界の情報が含まれるか否かを判断する(S123)。
【0060】
境界の情報が含まれる場合(S123:YES),指定された画像ファイルには境界によって区別される2ページ分の画像が記憶されていると判断できる。そこで,第1ページ目の表示中央位置を算出する(S124)。第1ページ目については,左開きであれば左側のページが第1ページ目となり,右開きであれば右側のページが第1ページ目となる。表示中央位置の算出手順としては,例えば,境界の情報を利用し,画像ファイルに記憶されている画像データを左側のページの領域と右側のページの領域とに区別する。そして,第1ページ目となる領域の中央座標を算出する。そして,算出された中央座標を表示中央位置とする。
【0061】
その後,S124で算出した表示中央位置を,PC50で表示可能な表示領域(例えば,表示部56の表示領域)の中央位置に合わせ,第1ページ目の画像をPC50の表示部56に表示する(S125)。
【0062】
一方,境界の情報が含まれない場合には(S123:NO),画像ファイルに記憶されている画像を1ページ分の画像として扱う。そこで,画像データ領域61に記憶されている画像を,左側のページと右側のページとを区別することなく表示する(S131)。S125ないしS131の後,表示処理を終了する。
【0063】
すなわち,第1の形態の表示処理では,前述したブックスキャン処理で生成した画像ファイルに記憶されている画像を表示する。表示の際には,ヘッダ情報を参照し,左右どちらのページが第1ページ目となるのかを把握した後,その第1ページ目の領域を表示する。つまり,見開き原稿の画像を,第1ページ目の画像から表示することができる。
【0064】
なお,第1の形態の表示処理では,画像を中央位置を表示領域の中央位置に合わせて表示しているが,これに限るものではない。例えば,左側のページでは,画像の左上と表示領域の左上とを合わせ,右側のページでは,画像の右上と表示領域の右上とを合わせるように表示してもよい。また,例えば,左右分割後の画像領域のサイズと表示領域のサイズとを比較し,左右分割後の画像が表示領域全体に表示されるように表示倍率を変更してもよい。
【0065】
また,ブックスキャン処理で生成した画像ファイルは,見開き2ページ分の画像データを記憶している。そのため,ビューワプログラムは,見開き状態での画像データ(2ページ分の画像データ)を表示する見開きモードと,ページ単位での画像データ(1ページ分の画像データ)を表示するページモードとを備え,モードによって表示内容を切り換えてもよい。すなわち,見開きモードでは左側のページと右側のページとを区別することなく表示し,ページモードでは左側のページと右側のページとを区別して表示するようにしてもよい。
【0066】
[PCのページ送り処理]
続いて,現在表示中の画像の,次のページの画像を表示するページ送り表示処理について,図7のフローチャートを参照しつつ説明する。このページ送り処理は,ビューワプログラムによって画像が表示されている状態で,ユーザからページ送り指示が入力されたことを契機に,ビューワプログラムによって実行される。
【0067】
第1の形態のページ送り処理では,先ず,現在表示中の画像ファイルのヘッダ領域に記憶されている情報を取得する(S141)。そして,S141で取得した情報に,境界の情報が含まれるか否かを判断する(S142)。境界の情報が含まれていない場合には(S142:NO),S151に移行する。S151については後述する。
【0068】
境界の情報が含まれている場合には(S142:YES),現在表示中のページが見開き原稿の左側のページか右側のページかを確認する(S143)。その後,画像ファイル中の第1ページ目の画像を表示中か否かを判断する(S144)。なお,左開きであれば,左側のページが第1ページ目となり,右開きであれば,右側のページが第1ページ目となる。
【0069】
第1ページ目の画像を表示中の場合には(S144:YES),第2ページ目の画像を表示する(S145)。すなわち,左開きであれば,右側のページを表示し,右開きであれば,左側のページを表示する。S144の後,ページ送り処理を終了する。
【0070】
一方,第2ページ目の画像を表示中の場合には(S144:NO),あるいは境界の情報が含まれていない場合には(S142:NO),次ページの画像ファイルがあるか否かを判断する(S151)。具体的には,現在表示中の画像ファイルが登録されているブックファイルに,次のページに相当する画像ファイルが登録されているか否かを判断する。
【0071】
次のページの画像ファイルがある場合には(S151:YES),次のページの画像ファイルを読み込み,第1ページ目の画像を表示する(S152)。S152の後,あるいは次のページの画像ファイルがない場合には(S151:NO),ページ送り処理を終了する。
【0072】
すなわち,第1の形態のページ送り処理では,次のページの画像を表示する。表示の際には,ヘッダ情報を参照し,左右どちらのページを表示しているか,さらに第1ページ目を表示しているかを確認した後,次のページの画像を表示する。つまり,第1の形態では,次のページへの切り替えも容易にできる。
【0073】
[PCの編集処理]
続いて,画像ファイルに記憶されている境界の情報を変更する編集処理(変更部,判断部,禁止部の一例)について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。ビューワプログラムは,画像ファイルに記憶されている境界の情報を変更する編集モードを有しており,編集モードで動作している間は,画像ファイルに記憶されている画像全体と,左ページと右ページとの境界とが表示される。この編集処理は,ビューワプログラムが編集モードで起動されたことを契機に,ビューワプログラムによって実行される。
【0074】
第1の形態の編集処理では,先ず,ビューワプログラムの起動時に指定された画像ファイルを読み込む(S161)。さらに,読み込んだ画像ファイルのヘッダ領域に記憶されている情報を取得する。そして,その画像ファイルに境界の情報が含まれるか否かを判断する(S162)。
【0075】
境界の情報が含まれていない場合には(S162:NO),読み込んだ画像ファイルの画像には,編集対象となる境界がない。そのため,エラーメッセージを表示し(S171),編集処理を終了する。
【0076】
境界の情報が含まれている場合には(S162:YES),画像ファイルの画像を表示する(S163)。具体的には,図9に示すように,ビューワプログラムが起動したウィンドウ90内に,画像ファイルに記憶されている画像9を表示し,さらに左側のページの画像9Lと右側のページの画像9Rとの編集後の境界を示す91と,編集前の境界92(すなわち画像ファイルに記憶されている現状の境界)とを表示する。また,編集後の境界91を左側に移動させる矢印ボタン93Lと,編集後の境界を右側に移動させる矢印ボタン93Rとを表示する。ウィンドウ90では,ユーザが矢印ボタン93L(あるいは矢印93R)を押下すると,境界91が左側(あるいは右側)に移動する。また,境界の更新指示を入力する更新ボタン94と,境界の編集を終了する終了ボタン95とを表示する。なお,編集処理の実行直後は,編集後の境界91と編集前の境界92とが同じ位置にあり,境界91,92は重なった状態で表示される。
【0077】
次に,境界を移動する指示が有ったか否かを判断する(S164)。すなわち,矢印ボタン93Lあるいは93Rが押下されたか否かを判断する。境界を移動する指示が有った場合には(S164:YES),新たな境界である境界91をボタンに応じた方向に移動する(S165)。
【0078】
S165の後,あるいは境界を移動する指示がなかった場合には(S164:NO),新たな境界を決定する指示が有ったか否かを判断する(S166)。すなわち,更新ボタン94が押下されたか否かを判断する。
【0079】
新たな境界を決定する指示が有った場合には(S166:YES),境界の変更によって,画像ファイルの実画像領域上に新たな境界91が位置するか否かを判定するかぶり判定を行う(S167)。すなわち,各ページに描かれている実画像(図形や文字)上に境界が配置されると,その実画像が持っている情報が失われるおそれがある。そこで,境界が各ページに描かれている実画像にかぶっているか否かを判断する。具体的には,新たな境界を中心とする数ピクセルの領域に,下地の色または綴じ部の色と異なる部分がある場合には,何らかの画像とかぶっている可能性があり,かぶりがあると判断する。一方,下地の色または綴じ部の色と異なる部分がない場合には,かぶりがないと判断する。
【0080】
かぶりがあると判定された場合には(S167:YES),境界と実画像とが重なっている可能性がある旨のメッセージを表示し(S181),境界を更新するか否かをユーザに問い合わせる(S182)。
【0081】
更新する旨の指示があった場合(S182:YES),あるいはかぶりがないと判定された場合には(S167:NO),変更後の境界の位置情報を取得し,S161で読み込んだ画像ファイルのヘッダ情報に記憶される境界の情報を更新する(S168)。
【0082】
なお,S168では,さらにS161で読み込んだ画像ファイルを記憶するブックファイルの,他の画像ファイルについても境界の変更を反映してもよい。この場合,他の画像ファイルについても境界を今回と同じだけ移動すると,例えば境界と画像にかぶりが生じることもある。そのため,他の画像ファイルについて,境界と画像とのかぶりを判断し,かぶりがある場合にはユーザに更新の是非を問い合わせる。
【0083】
S168による境界の更新後,あるいはかぶり発生時に更新しない旨の指示があった場合(S182:NO),あるいは新たな境界を決定する指示がなかった場合には(S166:NO),編集モードを終了する指示があったか否かを判断する(S169)。編集モードを終了する指示がなかった場合には(S169:NO),S164に戻り,編集モードでの動作を継続する。編集モードを終了する指示があった場合には(S169:YES),編集処理を終了する。
【0084】
すなわち,第1の形態の編集処理では,編集モードの際,左側のページの領域と右側のページの領域との境界であって,編集前の位置(現在の境界の位置)と編集後の位置(新たな境界の位置)とを表示する。さらに,ユーザが指定した新たな境界の位置を画像ファイルのヘッダ領域に反映する。つまり,第1の形態では,ページ領域の変更も容易にできる。
【0085】
なお,第1の形態では,複数の画像ファイル60を記憶する態様としてブックファイル6を利用しているが,これに限るものではない。例えば,オペレーティングシステムが管理するディレクトリを利用してもよい。
【0086】
[第2の形態]
[MFPのブックスキャン処理]
続いて,ブックスキャンモードでの動作を実現する,第2の形態のブックスキャン処理(区別部,生成部,分割部の一例)の手順について,図10のフローチャートを参照しつつ説明する。本形態のブックスキャン処理では,読み取った見開き原稿の画像データをページごとに分割し,分割後の各画像データについて画像ファイルを個々に作成する。この点,読み取った見開き原稿の画像を分割せず,1つの画像ファイルを作成する第1の形態とは異なる。なお,第1の形態と同様の処理については同じ符号を付し,説明を省略する。
【0087】
第2の形態のブックスキャン処理では,先ず,初期処理を行う(S201)。なお,本形態では,第1の形態と異なり,ブックファイルは生成しない。その後,FBガラス11上にセットされた見開き原稿の読み取りを開始する(S102)。
【0088】
次に,見開き原稿の画像データとして,左側のページの画像データと右側のページの画像データとに分割された各画像データを取得する(S203)。例えば,見開き原稿全体を読み取り,第1の形態のように境界を取得し,その境界に従って見開き原稿の画像データを分割することで左側のページの画像データと右側のページの画像データとを取得する。また,原稿の副走査方向の中央位置を把握している場合には,一方のページの読み取りを行って一方のページの画像データを取得し,その後,他方のページの読み取りを行って他方のページの画像データを取得してもよい。すなわち,ページ単位の読み取りを2回行ってもよい。
【0089】
次に,読み取り対象の見開き原稿が左開きか右開きかの開き方向を取得する(S104)。取得方法は,ユーザに問い合わせてもよいし,画像データを解析して自動判別してもよい。
【0090】
各ページの画像データおよび開き方向を取得した後,ページごとの画像ファイルを作成する(S205)。具体的には,図11に示すように,左側のページ用の画像ファイル63Lと,右側のページ用の画像ファイル63Rとを作成する。各画像ファイル63L,63Rには,画像領域である画像データ領域64と,非画像領域であるヘッダ領域65とを有する。画像データ領域64には,S203で取得した分割画像1ページ分の画像情報を記憶する。ヘッダ領域65には,画像のサイズ,解像度,カラー等の情報を記憶する。
【0091】
また,S205では,画像ファイル63L,63Rの各ヘッダ領域65に,分割相手の情報であるペア情報(例えば,画像ファイル63Lであれば画像ファイル63Rのファイル名,画像ファイル63Rであれば画像ファイル63Lのファイル名),および開き方向の情報(例えば,左開きであれば画像ファイル63Lのファイル名,右開きであれば画像ファイル63Rのファイル名)を記憶する。この他,見開き原稿中,左側のページか右側のページかの位置の情報を記憶してもよい。
【0092】
S205の後,ブックスキャン処理を終了する。なお,第1の形態のように,原稿の読み取りの継続を問い合わせ,継続が選択された場合にはS102に戻って原稿の読み取りを継続してもよい。
【0093】
すなわち,第2の形態のブックスキャン処理では,見開き原稿の画像データをページごとに分割し,各ページの画像データを記憶する画像ファイルを個々に作成する。さらに,その画像ファイルのヘッダ領域には,分割相手の情報であるペア情報,および第1ページ目に関する情報が記憶される。
【0094】
[PCの表示処理]
続いて,第2の形態のブックスキャン処理によって作成された画像ファイル(図11参照)の画像を表示する表示処理(表示部の一例)について,図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0095】
第2の形態の表示処理では,先ず,指定された画像ファイルを読み込む(S221)。画像ファイルは,前述したブックスキャン処理にて作成した画像ファイルである。なお,指定される画像ファイルは,左側の画像データを記憶する画像ファイル63Lと右側の画像データを記憶する画像ファイル63Rとのどちらでもよい。次に,読み込んだ画像ファイルのヘッダ領域65に記憶されている情報を取得する(S222)。そして,S222で取得した情報に,ペア情報が含まれるか否かを判断する(S223)。
【0096】
ペア情報が含まれる場合には(S223:YES),指定された画像ファイルは見開き原稿の一方のページ分の画像データである分割画像データが記憶されていると判断できる。そこで,指定された画像ファイルが第1ページ目か否かを判断する(S224)。第1ページ目ではない場合には(S224:NO),第1ページ目の分割画像データが記憶されている分割相手の画像ファイルを読み込む(S231)。
【0097】
S231で第1ページ目の画像ファイルを読み込んだ後,あるいは指定した画像ファイルが第1ページ目の場合には(S224:YES),その第1ページ目の画像をPC50の表示部56に表示する(S225)。
【0098】
一方,ペア情報が含まれない場合には(S223:NO),指定された画像ファイルには1ページ分の画像が記憶されていると判断できる。そこで,左側のページと右側のページとを区別することなく,画像データ領域64に記憶されている画像を表示する(S232)。S225ないしS232の後,表示処理を終了する。
【0099】
すなわち,第2の形態の表示処理では,表示の際,画像ファイルのヘッダ情報を参照し,分割相手があること,さらにどちらのページが第1ページ目となるのかを把握した後,その第1ページ目の画像を表示する。第2の形態でも,見開き原稿の画像を,第1ページ目の画像から表示することができる。
【0100】
なお,第2の形態では,複数の画像ファイルを記憶するブックファイルを利用していないが,第1の形態と同様に,ブックスキャン処理で生成した画像ファイル63L,63Rを登録するブックファイルを生成してもよい。
【0101】
[第3の形態]
[MFPのブックスキャン処理]
続いて,ブックスキャンモードでの動作を実現する,第3の形態のブックスキャン処理(区別部,生成部,分割部の一例)の手順について,図13のフローチャートを参照しつつ説明する。本形態のブックスキャン処理では,分割後の各画像データの位置関係を記憶する管理ファイルを作成する。この点,分割後の各画像データの位置関係を各画像ファイルに記憶する第2の形態とは異なる。なお,第1の形態,第2の形態と同様の処理については同じ符号を付し,説明を省略する。
【0102】
第3の形態のブックスキャン処理では,先ず,各種の初期設定の取得等の初期処理を行う(S201)。その後,FBガラス11上にセットされた見開き原稿の読み取りを開始する(S102)。
【0103】
次に,見開き原稿の画像データとして,左側のページの画像データと右側のページの画像データとに分割された各画像データを取得する(S203)。また,読み取り対象の見開き原稿が左開きか右開きかの開き方向を取得する(S104)。
【0104】
各ページの画像データおよび開き方向を取得した後,ページごとの画像ファイルを作成する(S304)。具体的に,図14に示すように,左側のページ用の画像ファイル66Lと,右側のページ用の画像ファイル66Rとを作成する。各画像ファイル66L,66Rには,画像領域である画像データ領域67と,非画像領域であるヘッダ領域68とを有する。第2の形態との違いは,ヘッダ領域68に分割相手の情報であるペア情報および開き方向の情報を記憶しない点にある。
【0105】
その後,各画像ファイル66L,66が分割画像データを記憶する画像ファイルであることを記憶する管理ファイル69を作成する(S305)。具体的に,管理ファイル69には,分割画像データを記憶する画像ファイルの組み合わせを記憶するペア情報(例えば,画像ファイル63L,63Rの各ファイル名),および開き方向の情報(例えば,左開きであれば画像ファイル63Lのファイル名,右開きであれば画像ファイル63Rのファイル名)を記憶する。
【0106】
S305の後,ブックスキャン処理を終了する。なお,第1の形態のように,原稿の読み取りの継続を問い合わせ,継続が選択された場合にはS102に戻って原稿の読み取りを継続してもよい。
【0107】
すなわち,第3の形態のブックスキャン処理では,見開き原稿の画像データをページごとに分割し,各ページの画像データを記憶する画像ファイルを個々に作成する。さらに,管理ファイルを作成し,その管理ファイルに,各ページを記憶する画像ファイルのペア情報,および第1ページ目に関する情報が記憶される。
【0108】
[PCの表示処理]
続いて,第3の形態のブックスキャン処理によって作成された画像ファイル(図14参照)の画像を表示する表示処理(表示部の一例)について,図15のフローチャートを参照しつつ説明する。第3の形態の表示処理では,画像の表示命令として,管理ファイル名が指定されるものとする。
【0109】
第3の形態の表示処理では,先ず,管理ファイルを読み込む(S321)。次に,読み込んだ管理ファイルに記憶されている第1ページ目に関する情報を取得し,第1ページ目の画像ファイルから画像データを読み出す(S322)。
【0110】
S322で第1ページ目の画像ファイルを読み込んだ後,その第1ページ目の画像をPC50の表示部56に表示する(S323)。S323の後,表示処理を終了する。なお,第3の形態では,画像ファイル名が指定された場合には,指定された画像ファイルに記憶されている画像を表示する。
【0111】
すなわち,第3の形態の表示処理では,表示の際,画像ファイルの管理ファイルを参照し,分割画像データを記憶する各画像ファイルについて,さらにどちらの画像ファイルが第1ページ目を記憶しているのかを把握した後,その第1ページ目の画像を表示する。第3の形態でも,見開き原稿の画像を,第1ページ目の画像から表示することができる。
【0112】
なお,第3の形態では,複数の画像ファイルを記憶するブックファイルを利用していないが,第1の形態と同様に,ブックスキャン処理で生成した画像ファイル66L,66Rおよび管理ファイル69を登録するブックファイルを生成してもよい。
【0113】
以上詳細に説明したように実施の形態の画像表示システム500は,見開き原稿の画像の各ページの相互関係の情報(境界,開き方向,ペア情報等)である識別情報を,画像ファイルのヘッダ領域(第1の形態,第2の形態),あるいは画像ファイルの情報を記憶する管理ファイル(第3の形態)に記憶する。そして,画像ファイルに記憶された画像を表示する際,その識別情報を利用することで,例えばページ単位での画像(1ページ分の画像)を表示する場合には,ページ順による表示を実現できる。また,例えば見開き状態での画像(2ページ分の画像)を表示する場合には,各領域の画像の配置関係や境界位置を再現できる。従って,見開き原稿に基づく画像データを記憶する画像ファイルについて,その利便性の向上が期待できる。
【0114】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像読取装置は,MFPに限らず,複写機,スキャナ,FAX等,画像読み取り機能を備えるものであれば適用可能である。また,画像表示装置は,PCに限らず,PDA,携帯電話,デジタルフォトフレーム,電子ペーパ等,画像データを表示する機能を備えるものであれば適用可能である。また,画像読取装置と画像表示装置とが一体の装置(例えばタブレット端末が接続されたスキャナ)であれば,1つの装置で本発明を実施可能である。
【0115】
また,実施の形態では,MFP100で,左側のページと右側のページの区別,および画像ファイルの生成を行っているが,PC50が,左側のページと右側のページの区別,および画像ファイルの生成を行ってもよい。また,左側のページと右側のページの区別,および画像ファイルの生成を,他の装置が行ってもよい。例えば,スキャナと表示装置の他,サーバを有するシステムの場合,スキャナが見開き原稿の読み取りを行い,サーバが左側のページと右側のページの区別および画像ファイルの生成を行い,表示装置にて画像ファイルの表示を行うように構成してもよい。
【0116】
また,実施の形態では,MFP100(画像読取装置)とPC50(画像表示装置)とが接続されているが,接続は必ずしも必要ではない。すなわち,PC50は,MFP100が生成した画像ファイル(あるいは管理ファイル)に記憶されている画像を表示できればよく,例えばMFP100がUSBメモリ等の記憶媒体に画像ファイルを記憶し,PC50でその記憶媒体に記憶されている画像ファイルを読み出す構成であってもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 画像形成部
2 画像読取部
15 イメージセンサ
50 PC
56 表示部
100 MFP
【技術分野】
【0001】
本発明は,原稿を読み取る画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置に関する。さらに詳細には,読み取った原稿の画像を表示する画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,タッチパネルを備えた携帯情報端末装置の普及が進んでいる。携帯情報端末装置は電子書籍の閲覧が可能なものもあることから,製本済みの書籍を電子化するニーズがある。そこで,本などの綴じられた原稿を,見開きの状態で読み取る画像読取装置が実用化されている。画像読取装置は,読み取った原稿の画像データを綴じ部で分割し,2ページ分の画像として扱う。
【0003】
見開き状態の原稿(見開き原稿)の画像データを綴じ部で分割する画像読取装置としては,例えば特許文献1に開示されている画像読取装置がある。特許文献1の画像読取装置は,見開き原稿を左右のページごとに分けて1枚ずつ転写紙に複写するモードを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−166939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,従来の画像読取装置には,次のような問題があった。すなわち,見開き原稿の画像データを2ページ分の画像データに分割してしまった結果,分割後の画像データを記憶する個々の画像ファイルについて,元々が見開き原稿であったことや,ページの組み合わせ等が不明となる。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,見開き原稿に基づく画像データを記憶する画像ファイルの利便性が向上する画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像表示システムは,見開き状態の原稿である見開き原稿を読み取る読取部と,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,当該見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,前記ファイルに記憶された前記識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方の画像を表示する表示部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像表示システムは,読み取った見開き原稿の画像データについて,第1領域(一方のページ)と第2領域(他方のページ)とを区別する。そして,第1領域と第2領域との相互関係を識別する識別情報を記憶するファイルを生成する。識別情報は,各領域(各ページ)の相互関係を識別できればよく,例えば,表示優先順位や,配置情報(境界,左右位置等)の情報が該当する。また,ファイルは,2ページ分の画像データ,すなわち見開き原稿の画像データを記憶する画像ファイルであってもよいし,1ページ分の画像データ,すなわちページ単位に分割した後の画像データを記憶する画像ファイルであってもよい。あるいは,画像データへの参照先を記憶する管理ファイルであってもよい。そして,見開き原稿の画像を表示する際には,その識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,第1領域と第2領域との少なくとも一方の画像を表示する。
【0009】
すなわち,本発明の画像表示システムでは,見開き原稿の各領域の相互関係の情報である識別情報をファイルに記憶する。読み取った見開き原稿の画像を表示する際には,そのファイルに記憶した識別情報を利用し,適切な領域を適切な配置で表示する。これにより,例えばページ単位での画像データ(1ページ分の画像データ)を表示する場合には,適切なページ順による表示を実現できる。また,例えば見開き状態での画像データ(2ページ分の画像データ)を表示する場合には,各領域の画像の適切な配置関係や境界位置を再現できる。
【0010】
また,本発明の画像表示システムは,前記ファイルに付加された前記識別情報を,ユーザ入力によって受け付けた変更情報に従って変更する変更部を備えるとよい。すなわち,生成部にて必ずしも最適な位置が識別情報に記憶されるとは限らない。この構成のように,ユーザによって識別情報を調整可能にする方が好ましい。
【0011】
また,上記の画像表示システムの前記変更部は,ある見開き原稿に対して受け付けた前記変更情報を,他の見開き原稿の識別情報の変更に利用するとよい。ある見開き原稿について受け付けた変更情報を,他の見開き原稿の識別情報の変更に利用することで,他の見開き原稿の識別情報の変更に伴うユーザの手間を軽減できる。
【0012】
また,上記の画像表示システムは,前記変更部にて受け付けた変更情報に基づく前記第1領域と前記第2領域との境界が,見開き原稿の画像中の下地と区別される画像領域である実画像領域上に位置するか否かを判断する判断部と,前記判断部にて前記境界が前記実画像領域上に位置すると判断した場合に,前記変更部での前記識別情報の変更を禁止する禁止部とを備えるとよい。実画像領域は,図形や文字等の下地と区別される画像の領域であり,例えば,下地と異なる色であれば実画像と判断できる。境界が実画像領域を跨ぐような変更は誤操作である可能性が高い。そのため,そのような変更を禁止する方が望ましい。
【0013】
また,本発明の画像表示システムの前記生成部は,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記第1領域と前記第2領域とに分割することなく連続した画像データとして記憶するファイルを生成し,さらにそのファイルに前記識別情報を記憶するとよい。見開き状態での画像データを記憶することで,見開き状態の原稿の画像をより適正に再現できる。
【0014】
また,上記の画像表示システムの前記識別情報は,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データにおける前記第1領域と前記第2領域との境界位置を示す情報であるとよい。境界位置を示す情報としては,例えば,境界線の始点と終点の画像データ中の座標が該当する。この構成によれば,見開き状態の画像データの分割が容易になる。
【0015】
また,上記の画像表示システムは,前記識別情報の境界に基づいて,前記第1領域および前記第2領域のそれぞれの中央位置を特定する特定部を備え,前記表示部は,前記第1領域のページと前記第2領域のページとでページごとに表示する際,前記特定部によって特定された中央位置に従って各領域を表示するとよい。この構成によると,領域にかかわらず画像が中央揃えで表示されるため,ユーザにとって見やすい。
【0016】
また,本発明の画像表示システムは,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記区別部にて区別した前記第1領域の画像データと前記第2領域の画像データとに分割する分割部を備え,前記生成部は,前記分割部にて分割した各画像データを記憶するファイルを個別に生成し,さらに各ファイルに前記識別情報を記憶するとよい。この構成によれば,各ファイルは分割後の画像データを記憶しているため,1ページ分の画像データを表示する際,画像データを分割する必要がなく,ページ単位の表示が容易になる。
【0017】
また,本発明の画像表示システムは,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記区別部にて区別した前記第1領域の画像データと前記第2領域の画像データとに分割する分割部を備え,前記生成部は,前記分割部にて分割した各画像データを記憶する画像ファイルを個別に生成し,さらに前記識別情報と前記画像ファイルの情報とを記憶する管理ファイルを生成してもよい。この構成でも,各ファイルは分割後の画像データを記憶しているため,1ページ分の画像データを表示する際,画像データを分割する必要がなく,ページ単位の表示が容易になる。
【0018】
また,本発明は,見開き状態の原稿である見開き原稿を読み取る読取部と,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,当該見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部とを備えることを特徴とする画像読取装置を含んでいる。
【0019】
また,本発明は,見開き状態の原稿である見開き原稿に基づく画像データを取得する取得部と,前記取得部が取得した画像データを,前記見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,前記ファイルに記憶された前記識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方の画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする画像表示装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば,見開き原稿に基づく画像データを記憶する画像ファイルの利便性が向上する画像表示システム,画像読取装置,および画像表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態にかかるMFPの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示したMFPの画像読取部の内部構成(図1のA−A断面)を示す断面図である。
【図3】図1に示したMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】MFPのブックスキャン処理(第1の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図5】MFPが作成するファイル(第1の形態)の構成を示す図である。
【図6】PCの表示処理(第1の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図7】PCのページ送り処理(第1の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図8】PCの編集処理(第1の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図9】編集モードでの表示例を示す図である。
【図10】MFPのブックスキャン処理(第2の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図11】MFPが作成するファイル(第2の形態)の構成を示す図である。
【図12】PCの表示処理(第2の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図13】MFPのブックスキャン処理(第3の形態)の手順を示すフローチャートである。
【図14】MFPが作成するファイル(第3の形態)の構成を示す図である。
【図15】PCの表示処理(第3の形態)の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,本発明にかかる画像表示システムを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,スキャン機能,プリント機能,およびファイル出力機能を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral )およびパーソナルコンピュータ(PC)に本発明を適用したものである。
【0023】
[MFPの構成]
本形態のMFP100は,図1に示すように,用紙に画像を印刷する画像形成部1と,原稿の画像を読み取る画像読取部2(読取部の一例)とを備えている。画像形成部1の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
【0024】
また,MFP100は,その前面側に,各種のボタン(例えば,スタートキー,ストップキー,テンキーの各ボタン)によって構成されるボタン群41,液晶ディスプレイからなる表示部42を備えた操作パネル40を備えている。このボタン群41や表示部42により,動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
【0025】
[画像読取部の構成]
続いて,画像読取部2の構成について,図1および図2を参照しつつ説明する。なお,図1は,画像読取部2の外観を示し,図2は,図1のA−A断面であって画像読取部2の内部構成を示している。
【0026】
画像読取部2は,画像の読み取りを行う本体部10と,原稿の自動搬送を行う自動原稿供給装置(ADF:Auto Document Feeder)20とを備えている。ADF20は,本体部10の上方に位置するとともに一辺が本体部10と接続し,本体部10に対して回動自在に設けられている。そのため,画像読取部2は,ADF20によって本体部10の上面を開閉することができる。つまり,ADF20は,本体部10の上面を覆うカバーを兼ねる。
【0027】
本体部10は,その上面に,コンタクトガラス11,12を備えている。さらに,本体部10の内部であってコンタクトガラス11,12の下方には,原稿の画像を読み取るイメージセンサ15が設けられている。イメージセンサ15は,主走査方向(図2の奥行き方向)に光学素子が一列に並んで配置されており,原稿からの反射光を電気信号に変換して出力する。イメージセンサ15としては,例えば,CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)が適用可能である。
【0028】
イメージセンサ15は,スライド軸13に対してスライド自在に支持されている。このスライド軸13は,副走査方向(図2中の左右方向)に延び,両端部が本体部10の筐体に固定されている。そのため,イメージセンサ15は,図2中の左右方向に移動可能に設けられている。
【0029】
ADF20は,読み取り前の原稿を載置する原稿トレイ21と,読み取り後の原稿を載置する排出トレイ22とを備えている。具体的に,原稿トレイ21は,排出トレイ22の上方に配設されている。また,ADF20の内部には,原稿が搬送される経路として,原稿トレイ21と排出トレイ22とを連結する略U字状の搬送路25が設けられている。また,ADF20は,その下面に開口部23が設けられ,その開口部23から原稿押さえ板24が露出するように配置されている。この原稿押さえ板24は,ADF20を閉じた状態でコンタクトガラス12と対向している。
【0030】
ADF20は,原稿トレイ21に載置された原稿を1枚ずつ取り出し,その原稿を本体部10のコンタクトガラス12(以下,「ADFガラス12」とする)に対向する位置に搬送する。具体的には,原稿を原稿押さえ板24とコンタクトガラス12との間を通過させる。その後,その原稿を排出トレイ22上に排出する。
【0031】
また,イメージセンサ15を利用した原稿の読取方式としては,フラットベッド(原稿固定走査)方式と,ADF(原稿移動走査)方式とがある。フラットベッド方式の場合,原稿をコンタクトガラス11(以下,「FBガラス11」とする)上に載置する。その状態で,イメージセンサ15が副走査方向に移動し,その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。一方,ADF方式の場合,複数の原稿を纏めて原稿トレイ21に載置する。そして,イメージセンサ15がADFガラス12に対向する位置に移動し,固定される。その状態で,ADF20によって原稿が原稿押さえ板24の下側であってADFガラス12に対向する位置に搬送され,その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。
【0032】
例えば,書籍等の綴じられた原稿を読み取る際には,ADF20を開放し,原稿を見開きの状態とし,読取面を下向きとしてFBガラス11上にセットする。そして,ADF20を開放したまま,ユーザが原稿を押さえた状態で,イメージセンサ15が副走査方向に移動することで,原稿を読み取る。
【0033】
[MFPの電気的構成]
続いて,MFP100と,MFP100とネットワークを介して接続するPC50とを有するシステム500の電気的構成について,図3を参照しつつ説明する。MFP100は,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34と,ASIC35と,ネットワークインターフェース36とを備えた制御部30を有している。
【0034】
ROM32には,MFP100を制御するための各種制御プログラムや画像処理プログラム,各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像読取部2で読み取った原稿の画像データやネットワークインターフェース36を介して送られてくる画像データを一時的に記憶する記憶領域として,利用される。NVRAM34は,不揮発性を有する記憶手段であって,各種設定や画像データ等を保存する記憶領域として利用される。
【0035】
ASIC35は,画像形成部1,画像読取部2,操作パネル40,ADF20の回動を検知する開閉センサ45等と電気的に接続されている。例えば,ASIC35は,画像読取部2から画像データの信号を取得する。また,画像形成部1へ所望の画像を作成するための信号を出力する。また,ボタン群41に入力される各種ボタンの信号を受け付ける。また,表示部42に表示する内容の信号を出力する。
【0036】
CPU31(区別部,生成部,分割部の一例)は,MFP100における画像読取機能,画像形成機能,さらにはファイル作成機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,ASIC35を介してMFP100の各構成要素を制御する。また,CPU31は,例えば,ROM32から読み出したプログラムに従って,画像読取部2にて読み取った原稿の画像データに加工処理を施す。
【0037】
ネットワークインターフェース36は,ネットワークに接続され,このネットワークインターフェース36を介して他の情報処理装置(例えば,PC50)とのデータ通信が可能になっている。
【0038】
[PCの電気的構成]
PC50は,CPU51と,ROM52と,RAM53と,HDD54と,キーボードやマウス等からなる操作部55と,液晶ディスプレイ等からなる表示部56と,ネットワークインターフェース57と,USBインターフェース58とを有している。
【0039】
PC50のHDD54には,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバや,ワープロ,表計算ソフト等の印刷指示機能を有するアプリケーションプログラム等が組み込まれている。また,MFP100にて原稿を読み取った後に作成される画像ファイルに記憶されている画像を表示するビューワプログラムもHDD54に組み込まれている。
【0040】
CPU51(表示部,変更部,判断部,禁止部,特定部の一例)は,ROM52から読み出した制御プログラムやHDD54から読み出したプログラム等に従って,その演算結果をRAM53またはHDD54に記憶させながら各種の処理を行う。
【0041】
ネットワークインターフェース57やUSBインターフェース58は,外部装置との通信を可能にするインターフェースである。本形態では,ネットワークインターフェース57を介してMFP100とデータの送受信を行う。
【0042】
[ブックスキャンモード]
続いて,MFP100のブックスキャンモードについて説明する。ブックスキャンモードは,本などの綴じられた原稿を,見開きの状態で読み取り,さらに読み取った原稿の画像データを記憶する電子ファイルを作成するモードである。
【0043】
ブックスキャンモードでは,フラットベッド方式によって見開き状態の原稿(見開き原稿)を読み取る。具体的に,MFP100は,ユーザによってブックスキャンモードが選択され,FBガラス11上に見開き原稿がセットされ,ボタン群41中のスタートキーが押下されると,画像読取部2によって見開き原稿を読み取る。
【0044】
見開き原稿の読み取り後,読み取りを継続するか否かをユーザに問い合わせる。読み取りの継続が選択された場合には,ユーザが次のページの見開き原稿をFBガラス11上にセットし,読み取り開始指示を入力するのを待つ。そして,読み取り開始指示が入力されると,新たにセットされた見開き原稿を読み取る。一方,読み取りの終了が選択された場合には,終了が選択されるまでに読み取った画像データを記憶するファイルあるいは画像データへの参照先を記憶するファイルを作成する。
【0045】
PC50には,MFP100で読み取った見開き原稿の画像データを表示するビューワプログラムが組み込まれている。ユーザは,見開き原稿の画像を表示する際,ブックスキャンモードで作成したファイルを指定し,ビューワプログラムからそのファイルに関連付けられている画像データを読み出す。これにより,PC50の表示部56に見開き原稿の画像を表示できる。
【0046】
[第1の形態]
[MFPのブックスキャン処理]
以下,上述のブックスキャンモードでの動作を実現するブックスキャン処理(区別部,生成部の一例)の手順について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。このブックスキャン処理は,ブックスキャンモードが選択された状態で,ボタン群41中のスタートキーが押下されたことを契機に実行される。
【0047】
第1の形態のブックスキャン処理では,先ず,各種の初期設定の取得等の初期処理を行う(S101)。初期設定としては,例えば,読み取り後の画像データについて原稿の綴じ部や枠外の影を消去するか否かの設定がある。初期設定は,ブックスキャン処理を開始する前にユーザによって設定され,NVRAM34等に記憶されたものでもよいし,S101が実行されるタイミングでユーザによって設定されたものでもよい。また,初期処理では,複数の画像ファイルを登録するブックファイルを生成する。なお,ブックファイルは,初期処理の段階では,1つの画像ファイルも登録されていない。
【0048】
次に,FBガラス11上にセットされた原稿を読み取る(S102)。読み取った原稿の画像データは,RAM33に一時的に記憶される。
【0049】
読み取りを完了した後,読み取った見開き原稿の画像データの,左側のページと右側のページとの境界を決定する(S103)。見開き原稿をFBガラス11上にセットする位置は,原稿サイズによってあらかじめ決められている。そのため,MFP100は,原稿サイズに応じて,画像データの副走査方向の中央位置を把握できる。S103では,その中央位置を基準に,左側のページの領域と右側のページの領域とを区別する境界を決定する。あるいは,原稿の画像データを左右2等分する位置を算出し,その位置を境界としてもよい。
【0050】
なお,読み取った原稿の画像データを解析し,左右のページの境界を自動認識してもよい。例えば,見開き原稿を読み取った場合,その見開き原稿の画像データには,その見開き原稿の画像データの中央を縦断する黒色領域(「綴じ部」に相当)が存在する。そこで,MFP100がこの黒色領域を目印画像としてあらかじめROM32等に記憶し,原稿の画像データからこの目印画像を検出する。検出された場合にはその目印画像の位置を特定し,その位置を境界とすることができる。
【0051】
次に,読み取り対象の見開き原稿が左開きか右開きかの開き方向を取得する(S104)。取得方法は,ユーザに問い合わせてもよいし,画像データを解析して自動判別してもよい。自動判別としては,例えば,各ページのページ番号を読み取り,そのページ番号に基づいて開き方向を決定する。また,例えば,文字列(縦書き横書き)や,言語を読み取って,その内容によって開き方向を決定してもよい。また,この他の取得方法としては,ブックスキャン処理を開始する前にユーザによって設定され,NVRAM34等に記憶されたものを読み出してもよい。
【0052】
次に,S102で読み取った原稿の画像データを記憶する画像ファイルを作成し,作成した画像ファイルをS101で作成したブックファイルに登録する(S105)。具体的に,ブックファイル6に登録される画像ファイル60は,図5に示すように,画像領域である画像データ領域61と,非画像領域であるヘッダ領域62とを有する。画像データ領域61には,S102で読み取った原稿の画像データ(左側のページと右側のページとを分割することなく連続した画像として記憶する画像データ)を記憶する。ヘッダ領域62には,画像のサイズ,解像度,カラー等の情報を記憶する。
【0053】
また,S105では,画像ファイル60のヘッダ領域62に,S103で取得した境界の情報およびS104で取得した開き方向の情報を記憶する。境界の情報としては,例えば,境界の始点と終点の画像データ中の座標が適用可能である。また,始点と終点以外に中継点を記憶してもよい。これにより,折れ線の境界を記憶できる。なお,S103で境界を取得できなかった場合,あるいはS104で開き方向を取得できなかった場合には,境界の情報および開き方向の情報をヘッダ領域62に記憶しない。
【0054】
S105によるファイル登録後,次の原稿があるか否かを判断する(S106)。次の原稿の有無は,ユーザに問い合わせて判断する。なお,所定時間内にスタートキーが押下され次の原稿の読み取りが指令された場合に,次のページが有ると判断してもよい。
【0055】
次の原稿が有る場合(S106:YES),すなわち見開き原稿の読み取りを継続する場合には,S102に移行して次の原稿を読み取る。これにより,図5に示したように,S101で作成したブックファイル6には,複数の画像ファイル60が登録される。一方,次の原稿が無い場合には(S106:NO),ブックスキャン処理を終了する。
【0056】
すなわち,第1の形態のブックスキャン処理では,見開き原稿を読み取った画像データを記憶する画像ファイルを作成する。さらに,その画像ファイルのヘッダ領域には,左側のページの領域と右側のページの領域とを区別する境界の情報,および左開きか右開きかの情報が記憶される。
【0057】
[PCの表示処理]
続いて,MFP100にて作成した画像ファイル60の画像を表示する表示処理(表示部,特定部の一例)について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。この表示処理は,画像の表示命令が入力(例えば,ブックファイル名あるいは画像ファイル名をダブルクリック)され,PC50に組み込まれているビューワプログラムが起動されたことを契機に,ビューワプログラムによって実行される。
【0058】
第1の形態の表示処理では,先ず,指定された画像ファイルを読み込む(S121)。画像ファイルは,前述したブックスキャン処理にて作成した画像ファイルであればよく,その保存先はPC50がアクセス可能な記憶装置であればよい。なお,ブックファイル名が指定された場合には,そのブックファイル名の先頭に登録されている画像ファイルを読み込む。
【0059】
次に,読み込んだ画像ファイルのヘッダ領域に記憶されている情報を取得する(S122)。そして,S122で取得した情報に,境界の情報が含まれるか否かを判断する(S123)。
【0060】
境界の情報が含まれる場合(S123:YES),指定された画像ファイルには境界によって区別される2ページ分の画像が記憶されていると判断できる。そこで,第1ページ目の表示中央位置を算出する(S124)。第1ページ目については,左開きであれば左側のページが第1ページ目となり,右開きであれば右側のページが第1ページ目となる。表示中央位置の算出手順としては,例えば,境界の情報を利用し,画像ファイルに記憶されている画像データを左側のページの領域と右側のページの領域とに区別する。そして,第1ページ目となる領域の中央座標を算出する。そして,算出された中央座標を表示中央位置とする。
【0061】
その後,S124で算出した表示中央位置を,PC50で表示可能な表示領域(例えば,表示部56の表示領域)の中央位置に合わせ,第1ページ目の画像をPC50の表示部56に表示する(S125)。
【0062】
一方,境界の情報が含まれない場合には(S123:NO),画像ファイルに記憶されている画像を1ページ分の画像として扱う。そこで,画像データ領域61に記憶されている画像を,左側のページと右側のページとを区別することなく表示する(S131)。S125ないしS131の後,表示処理を終了する。
【0063】
すなわち,第1の形態の表示処理では,前述したブックスキャン処理で生成した画像ファイルに記憶されている画像を表示する。表示の際には,ヘッダ情報を参照し,左右どちらのページが第1ページ目となるのかを把握した後,その第1ページ目の領域を表示する。つまり,見開き原稿の画像を,第1ページ目の画像から表示することができる。
【0064】
なお,第1の形態の表示処理では,画像を中央位置を表示領域の中央位置に合わせて表示しているが,これに限るものではない。例えば,左側のページでは,画像の左上と表示領域の左上とを合わせ,右側のページでは,画像の右上と表示領域の右上とを合わせるように表示してもよい。また,例えば,左右分割後の画像領域のサイズと表示領域のサイズとを比較し,左右分割後の画像が表示領域全体に表示されるように表示倍率を変更してもよい。
【0065】
また,ブックスキャン処理で生成した画像ファイルは,見開き2ページ分の画像データを記憶している。そのため,ビューワプログラムは,見開き状態での画像データ(2ページ分の画像データ)を表示する見開きモードと,ページ単位での画像データ(1ページ分の画像データ)を表示するページモードとを備え,モードによって表示内容を切り換えてもよい。すなわち,見開きモードでは左側のページと右側のページとを区別することなく表示し,ページモードでは左側のページと右側のページとを区別して表示するようにしてもよい。
【0066】
[PCのページ送り処理]
続いて,現在表示中の画像の,次のページの画像を表示するページ送り表示処理について,図7のフローチャートを参照しつつ説明する。このページ送り処理は,ビューワプログラムによって画像が表示されている状態で,ユーザからページ送り指示が入力されたことを契機に,ビューワプログラムによって実行される。
【0067】
第1の形態のページ送り処理では,先ず,現在表示中の画像ファイルのヘッダ領域に記憶されている情報を取得する(S141)。そして,S141で取得した情報に,境界の情報が含まれるか否かを判断する(S142)。境界の情報が含まれていない場合には(S142:NO),S151に移行する。S151については後述する。
【0068】
境界の情報が含まれている場合には(S142:YES),現在表示中のページが見開き原稿の左側のページか右側のページかを確認する(S143)。その後,画像ファイル中の第1ページ目の画像を表示中か否かを判断する(S144)。なお,左開きであれば,左側のページが第1ページ目となり,右開きであれば,右側のページが第1ページ目となる。
【0069】
第1ページ目の画像を表示中の場合には(S144:YES),第2ページ目の画像を表示する(S145)。すなわち,左開きであれば,右側のページを表示し,右開きであれば,左側のページを表示する。S144の後,ページ送り処理を終了する。
【0070】
一方,第2ページ目の画像を表示中の場合には(S144:NO),あるいは境界の情報が含まれていない場合には(S142:NO),次ページの画像ファイルがあるか否かを判断する(S151)。具体的には,現在表示中の画像ファイルが登録されているブックファイルに,次のページに相当する画像ファイルが登録されているか否かを判断する。
【0071】
次のページの画像ファイルがある場合には(S151:YES),次のページの画像ファイルを読み込み,第1ページ目の画像を表示する(S152)。S152の後,あるいは次のページの画像ファイルがない場合には(S151:NO),ページ送り処理を終了する。
【0072】
すなわち,第1の形態のページ送り処理では,次のページの画像を表示する。表示の際には,ヘッダ情報を参照し,左右どちらのページを表示しているか,さらに第1ページ目を表示しているかを確認した後,次のページの画像を表示する。つまり,第1の形態では,次のページへの切り替えも容易にできる。
【0073】
[PCの編集処理]
続いて,画像ファイルに記憶されている境界の情報を変更する編集処理(変更部,判断部,禁止部の一例)について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。ビューワプログラムは,画像ファイルに記憶されている境界の情報を変更する編集モードを有しており,編集モードで動作している間は,画像ファイルに記憶されている画像全体と,左ページと右ページとの境界とが表示される。この編集処理は,ビューワプログラムが編集モードで起動されたことを契機に,ビューワプログラムによって実行される。
【0074】
第1の形態の編集処理では,先ず,ビューワプログラムの起動時に指定された画像ファイルを読み込む(S161)。さらに,読み込んだ画像ファイルのヘッダ領域に記憶されている情報を取得する。そして,その画像ファイルに境界の情報が含まれるか否かを判断する(S162)。
【0075】
境界の情報が含まれていない場合には(S162:NO),読み込んだ画像ファイルの画像には,編集対象となる境界がない。そのため,エラーメッセージを表示し(S171),編集処理を終了する。
【0076】
境界の情報が含まれている場合には(S162:YES),画像ファイルの画像を表示する(S163)。具体的には,図9に示すように,ビューワプログラムが起動したウィンドウ90内に,画像ファイルに記憶されている画像9を表示し,さらに左側のページの画像9Lと右側のページの画像9Rとの編集後の境界を示す91と,編集前の境界92(すなわち画像ファイルに記憶されている現状の境界)とを表示する。また,編集後の境界91を左側に移動させる矢印ボタン93Lと,編集後の境界を右側に移動させる矢印ボタン93Rとを表示する。ウィンドウ90では,ユーザが矢印ボタン93L(あるいは矢印93R)を押下すると,境界91が左側(あるいは右側)に移動する。また,境界の更新指示を入力する更新ボタン94と,境界の編集を終了する終了ボタン95とを表示する。なお,編集処理の実行直後は,編集後の境界91と編集前の境界92とが同じ位置にあり,境界91,92は重なった状態で表示される。
【0077】
次に,境界を移動する指示が有ったか否かを判断する(S164)。すなわち,矢印ボタン93Lあるいは93Rが押下されたか否かを判断する。境界を移動する指示が有った場合には(S164:YES),新たな境界である境界91をボタンに応じた方向に移動する(S165)。
【0078】
S165の後,あるいは境界を移動する指示がなかった場合には(S164:NO),新たな境界を決定する指示が有ったか否かを判断する(S166)。すなわち,更新ボタン94が押下されたか否かを判断する。
【0079】
新たな境界を決定する指示が有った場合には(S166:YES),境界の変更によって,画像ファイルの実画像領域上に新たな境界91が位置するか否かを判定するかぶり判定を行う(S167)。すなわち,各ページに描かれている実画像(図形や文字)上に境界が配置されると,その実画像が持っている情報が失われるおそれがある。そこで,境界が各ページに描かれている実画像にかぶっているか否かを判断する。具体的には,新たな境界を中心とする数ピクセルの領域に,下地の色または綴じ部の色と異なる部分がある場合には,何らかの画像とかぶっている可能性があり,かぶりがあると判断する。一方,下地の色または綴じ部の色と異なる部分がない場合には,かぶりがないと判断する。
【0080】
かぶりがあると判定された場合には(S167:YES),境界と実画像とが重なっている可能性がある旨のメッセージを表示し(S181),境界を更新するか否かをユーザに問い合わせる(S182)。
【0081】
更新する旨の指示があった場合(S182:YES),あるいはかぶりがないと判定された場合には(S167:NO),変更後の境界の位置情報を取得し,S161で読み込んだ画像ファイルのヘッダ情報に記憶される境界の情報を更新する(S168)。
【0082】
なお,S168では,さらにS161で読み込んだ画像ファイルを記憶するブックファイルの,他の画像ファイルについても境界の変更を反映してもよい。この場合,他の画像ファイルについても境界を今回と同じだけ移動すると,例えば境界と画像にかぶりが生じることもある。そのため,他の画像ファイルについて,境界と画像とのかぶりを判断し,かぶりがある場合にはユーザに更新の是非を問い合わせる。
【0083】
S168による境界の更新後,あるいはかぶり発生時に更新しない旨の指示があった場合(S182:NO),あるいは新たな境界を決定する指示がなかった場合には(S166:NO),編集モードを終了する指示があったか否かを判断する(S169)。編集モードを終了する指示がなかった場合には(S169:NO),S164に戻り,編集モードでの動作を継続する。編集モードを終了する指示があった場合には(S169:YES),編集処理を終了する。
【0084】
すなわち,第1の形態の編集処理では,編集モードの際,左側のページの領域と右側のページの領域との境界であって,編集前の位置(現在の境界の位置)と編集後の位置(新たな境界の位置)とを表示する。さらに,ユーザが指定した新たな境界の位置を画像ファイルのヘッダ領域に反映する。つまり,第1の形態では,ページ領域の変更も容易にできる。
【0085】
なお,第1の形態では,複数の画像ファイル60を記憶する態様としてブックファイル6を利用しているが,これに限るものではない。例えば,オペレーティングシステムが管理するディレクトリを利用してもよい。
【0086】
[第2の形態]
[MFPのブックスキャン処理]
続いて,ブックスキャンモードでの動作を実現する,第2の形態のブックスキャン処理(区別部,生成部,分割部の一例)の手順について,図10のフローチャートを参照しつつ説明する。本形態のブックスキャン処理では,読み取った見開き原稿の画像データをページごとに分割し,分割後の各画像データについて画像ファイルを個々に作成する。この点,読み取った見開き原稿の画像を分割せず,1つの画像ファイルを作成する第1の形態とは異なる。なお,第1の形態と同様の処理については同じ符号を付し,説明を省略する。
【0087】
第2の形態のブックスキャン処理では,先ず,初期処理を行う(S201)。なお,本形態では,第1の形態と異なり,ブックファイルは生成しない。その後,FBガラス11上にセットされた見開き原稿の読み取りを開始する(S102)。
【0088】
次に,見開き原稿の画像データとして,左側のページの画像データと右側のページの画像データとに分割された各画像データを取得する(S203)。例えば,見開き原稿全体を読み取り,第1の形態のように境界を取得し,その境界に従って見開き原稿の画像データを分割することで左側のページの画像データと右側のページの画像データとを取得する。また,原稿の副走査方向の中央位置を把握している場合には,一方のページの読み取りを行って一方のページの画像データを取得し,その後,他方のページの読み取りを行って他方のページの画像データを取得してもよい。すなわち,ページ単位の読み取りを2回行ってもよい。
【0089】
次に,読み取り対象の見開き原稿が左開きか右開きかの開き方向を取得する(S104)。取得方法は,ユーザに問い合わせてもよいし,画像データを解析して自動判別してもよい。
【0090】
各ページの画像データおよび開き方向を取得した後,ページごとの画像ファイルを作成する(S205)。具体的には,図11に示すように,左側のページ用の画像ファイル63Lと,右側のページ用の画像ファイル63Rとを作成する。各画像ファイル63L,63Rには,画像領域である画像データ領域64と,非画像領域であるヘッダ領域65とを有する。画像データ領域64には,S203で取得した分割画像1ページ分の画像情報を記憶する。ヘッダ領域65には,画像のサイズ,解像度,カラー等の情報を記憶する。
【0091】
また,S205では,画像ファイル63L,63Rの各ヘッダ領域65に,分割相手の情報であるペア情報(例えば,画像ファイル63Lであれば画像ファイル63Rのファイル名,画像ファイル63Rであれば画像ファイル63Lのファイル名),および開き方向の情報(例えば,左開きであれば画像ファイル63Lのファイル名,右開きであれば画像ファイル63Rのファイル名)を記憶する。この他,見開き原稿中,左側のページか右側のページかの位置の情報を記憶してもよい。
【0092】
S205の後,ブックスキャン処理を終了する。なお,第1の形態のように,原稿の読み取りの継続を問い合わせ,継続が選択された場合にはS102に戻って原稿の読み取りを継続してもよい。
【0093】
すなわち,第2の形態のブックスキャン処理では,見開き原稿の画像データをページごとに分割し,各ページの画像データを記憶する画像ファイルを個々に作成する。さらに,その画像ファイルのヘッダ領域には,分割相手の情報であるペア情報,および第1ページ目に関する情報が記憶される。
【0094】
[PCの表示処理]
続いて,第2の形態のブックスキャン処理によって作成された画像ファイル(図11参照)の画像を表示する表示処理(表示部の一例)について,図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0095】
第2の形態の表示処理では,先ず,指定された画像ファイルを読み込む(S221)。画像ファイルは,前述したブックスキャン処理にて作成した画像ファイルである。なお,指定される画像ファイルは,左側の画像データを記憶する画像ファイル63Lと右側の画像データを記憶する画像ファイル63Rとのどちらでもよい。次に,読み込んだ画像ファイルのヘッダ領域65に記憶されている情報を取得する(S222)。そして,S222で取得した情報に,ペア情報が含まれるか否かを判断する(S223)。
【0096】
ペア情報が含まれる場合には(S223:YES),指定された画像ファイルは見開き原稿の一方のページ分の画像データである分割画像データが記憶されていると判断できる。そこで,指定された画像ファイルが第1ページ目か否かを判断する(S224)。第1ページ目ではない場合には(S224:NO),第1ページ目の分割画像データが記憶されている分割相手の画像ファイルを読み込む(S231)。
【0097】
S231で第1ページ目の画像ファイルを読み込んだ後,あるいは指定した画像ファイルが第1ページ目の場合には(S224:YES),その第1ページ目の画像をPC50の表示部56に表示する(S225)。
【0098】
一方,ペア情報が含まれない場合には(S223:NO),指定された画像ファイルには1ページ分の画像が記憶されていると判断できる。そこで,左側のページと右側のページとを区別することなく,画像データ領域64に記憶されている画像を表示する(S232)。S225ないしS232の後,表示処理を終了する。
【0099】
すなわち,第2の形態の表示処理では,表示の際,画像ファイルのヘッダ情報を参照し,分割相手があること,さらにどちらのページが第1ページ目となるのかを把握した後,その第1ページ目の画像を表示する。第2の形態でも,見開き原稿の画像を,第1ページ目の画像から表示することができる。
【0100】
なお,第2の形態では,複数の画像ファイルを記憶するブックファイルを利用していないが,第1の形態と同様に,ブックスキャン処理で生成した画像ファイル63L,63Rを登録するブックファイルを生成してもよい。
【0101】
[第3の形態]
[MFPのブックスキャン処理]
続いて,ブックスキャンモードでの動作を実現する,第3の形態のブックスキャン処理(区別部,生成部,分割部の一例)の手順について,図13のフローチャートを参照しつつ説明する。本形態のブックスキャン処理では,分割後の各画像データの位置関係を記憶する管理ファイルを作成する。この点,分割後の各画像データの位置関係を各画像ファイルに記憶する第2の形態とは異なる。なお,第1の形態,第2の形態と同様の処理については同じ符号を付し,説明を省略する。
【0102】
第3の形態のブックスキャン処理では,先ず,各種の初期設定の取得等の初期処理を行う(S201)。その後,FBガラス11上にセットされた見開き原稿の読み取りを開始する(S102)。
【0103】
次に,見開き原稿の画像データとして,左側のページの画像データと右側のページの画像データとに分割された各画像データを取得する(S203)。また,読み取り対象の見開き原稿が左開きか右開きかの開き方向を取得する(S104)。
【0104】
各ページの画像データおよび開き方向を取得した後,ページごとの画像ファイルを作成する(S304)。具体的に,図14に示すように,左側のページ用の画像ファイル66Lと,右側のページ用の画像ファイル66Rとを作成する。各画像ファイル66L,66Rには,画像領域である画像データ領域67と,非画像領域であるヘッダ領域68とを有する。第2の形態との違いは,ヘッダ領域68に分割相手の情報であるペア情報および開き方向の情報を記憶しない点にある。
【0105】
その後,各画像ファイル66L,66が分割画像データを記憶する画像ファイルであることを記憶する管理ファイル69を作成する(S305)。具体的に,管理ファイル69には,分割画像データを記憶する画像ファイルの組み合わせを記憶するペア情報(例えば,画像ファイル63L,63Rの各ファイル名),および開き方向の情報(例えば,左開きであれば画像ファイル63Lのファイル名,右開きであれば画像ファイル63Rのファイル名)を記憶する。
【0106】
S305の後,ブックスキャン処理を終了する。なお,第1の形態のように,原稿の読み取りの継続を問い合わせ,継続が選択された場合にはS102に戻って原稿の読み取りを継続してもよい。
【0107】
すなわち,第3の形態のブックスキャン処理では,見開き原稿の画像データをページごとに分割し,各ページの画像データを記憶する画像ファイルを個々に作成する。さらに,管理ファイルを作成し,その管理ファイルに,各ページを記憶する画像ファイルのペア情報,および第1ページ目に関する情報が記憶される。
【0108】
[PCの表示処理]
続いて,第3の形態のブックスキャン処理によって作成された画像ファイル(図14参照)の画像を表示する表示処理(表示部の一例)について,図15のフローチャートを参照しつつ説明する。第3の形態の表示処理では,画像の表示命令として,管理ファイル名が指定されるものとする。
【0109】
第3の形態の表示処理では,先ず,管理ファイルを読み込む(S321)。次に,読み込んだ管理ファイルに記憶されている第1ページ目に関する情報を取得し,第1ページ目の画像ファイルから画像データを読み出す(S322)。
【0110】
S322で第1ページ目の画像ファイルを読み込んだ後,その第1ページ目の画像をPC50の表示部56に表示する(S323)。S323の後,表示処理を終了する。なお,第3の形態では,画像ファイル名が指定された場合には,指定された画像ファイルに記憶されている画像を表示する。
【0111】
すなわち,第3の形態の表示処理では,表示の際,画像ファイルの管理ファイルを参照し,分割画像データを記憶する各画像ファイルについて,さらにどちらの画像ファイルが第1ページ目を記憶しているのかを把握した後,その第1ページ目の画像を表示する。第3の形態でも,見開き原稿の画像を,第1ページ目の画像から表示することができる。
【0112】
なお,第3の形態では,複数の画像ファイルを記憶するブックファイルを利用していないが,第1の形態と同様に,ブックスキャン処理で生成した画像ファイル66L,66Rおよび管理ファイル69を登録するブックファイルを生成してもよい。
【0113】
以上詳細に説明したように実施の形態の画像表示システム500は,見開き原稿の画像の各ページの相互関係の情報(境界,開き方向,ペア情報等)である識別情報を,画像ファイルのヘッダ領域(第1の形態,第2の形態),あるいは画像ファイルの情報を記憶する管理ファイル(第3の形態)に記憶する。そして,画像ファイルに記憶された画像を表示する際,その識別情報を利用することで,例えばページ単位での画像(1ページ分の画像)を表示する場合には,ページ順による表示を実現できる。また,例えば見開き状態での画像(2ページ分の画像)を表示する場合には,各領域の画像の配置関係や境界位置を再現できる。従って,見開き原稿に基づく画像データを記憶する画像ファイルについて,その利便性の向上が期待できる。
【0114】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像読取装置は,MFPに限らず,複写機,スキャナ,FAX等,画像読み取り機能を備えるものであれば適用可能である。また,画像表示装置は,PCに限らず,PDA,携帯電話,デジタルフォトフレーム,電子ペーパ等,画像データを表示する機能を備えるものであれば適用可能である。また,画像読取装置と画像表示装置とが一体の装置(例えばタブレット端末が接続されたスキャナ)であれば,1つの装置で本発明を実施可能である。
【0115】
また,実施の形態では,MFP100で,左側のページと右側のページの区別,および画像ファイルの生成を行っているが,PC50が,左側のページと右側のページの区別,および画像ファイルの生成を行ってもよい。また,左側のページと右側のページの区別,および画像ファイルの生成を,他の装置が行ってもよい。例えば,スキャナと表示装置の他,サーバを有するシステムの場合,スキャナが見開き原稿の読み取りを行い,サーバが左側のページと右側のページの区別および画像ファイルの生成を行い,表示装置にて画像ファイルの表示を行うように構成してもよい。
【0116】
また,実施の形態では,MFP100(画像読取装置)とPC50(画像表示装置)とが接続されているが,接続は必ずしも必要ではない。すなわち,PC50は,MFP100が生成した画像ファイル(あるいは管理ファイル)に記憶されている画像を表示できればよく,例えばMFP100がUSBメモリ等の記憶媒体に画像ファイルを記憶し,PC50でその記憶媒体に記憶されている画像ファイルを読み出す構成であってもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 画像形成部
2 画像読取部
15 イメージセンサ
50 PC
56 表示部
100 MFP
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見開き状態の原稿である見開き原稿を読み取る読取部と,
前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,当該見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,
前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,
前記ファイルに記憶された前記識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方の画像を表示する表示部と,
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像表示システムにおいて,
前記ファイルに付加された前記識別情報を,ユーザ入力によって受け付けた変更情報に従って変更する変更部を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載する画像表示システムにおいて,
前記変更部は,ある見開き原稿に対して受け付けた前記変更情報を,他の見開き原稿の識別情報の変更に利用することを特徴とする画像表示システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載する画像表示システムにおいて,
前記変更部にて受け付けた変更情報に基づく前記第1領域と前記第2領域との境界が,見開き原稿の画像中の下地と区別される画像領域である実画像領域上に位置するか否かを判断する判断部と,
前記判断部にて前記境界が前記実画像領域上に位置すると判断した場合に,前記変更部での前記識別情報の変更を禁止する禁止部と,
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像表示システムにおいて,
前記生成部は,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記第1領域と前記第2領域とに分割することなく連続した画像データとして記憶するファイルを生成し,さらにそのファイルに前記識別情報を記憶することを特徴とする画像表示システム。
【請求項6】
請求項5に記載する画像表示システムにおいて,
前記識別情報は,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データにおける前記第1領域と前記第2領域との境界位置を示す情報であることを特徴とする画像表示システム。
【請求項7】
請求項6に記載する画像表示システムにおいて,
前記識別情報の境界に基づいて,前記第1領域および前記第2領域のそれぞれの中央位置を特定する特定部を備え,
前記表示部は,前記第1領域のページと前記第2領域のページとでページごとに表示する際,前記特定部によって特定された中央位置に従って各領域を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項8】
請求項1に記載する画像表示システムにおいて,
前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記区別部にて区別した前記第1領域の画像データと前記第2領域の画像データとに分割する分割部を備え,
前記生成部は,前記分割部にて分割した各画像データを記憶するファイルを個別に生成し,さらに各ファイルに前記識別情報を記憶することを特徴とする画像表示システム。
【請求項9】
請求項1に記載する画像表示システムにおいて,
前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記区別部にて区別した前記第1領域の画像データと前記第2領域の画像データとに分割する分割部を備え,
前記生成部は,前記分割部にて分割した各画像データを記憶する画像ファイルを個別に生成し,さらに前記識別情報と前記画像ファイルの情報とを記憶する管理ファイルを生成することを特徴とする画像表示システム。
【請求項10】
見開き状態の原稿である見開き原稿を読み取る読取部と,
前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,当該見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,
前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
見開き状態の原稿である見開き原稿に基づく画像データを取得する取得部と,
前記取得部が取得した画像データを,前記見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,
前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,
前記ファイルに記憶された前記識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方の画像を表示する表示部と,
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
見開き状態の原稿である見開き原稿を読み取る読取部と,
前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,当該見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,
前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,
前記ファイルに記憶された前記識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方の画像を表示する表示部と,
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像表示システムにおいて,
前記ファイルに付加された前記識別情報を,ユーザ入力によって受け付けた変更情報に従って変更する変更部を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載する画像表示システムにおいて,
前記変更部は,ある見開き原稿に対して受け付けた前記変更情報を,他の見開き原稿の識別情報の変更に利用することを特徴とする画像表示システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載する画像表示システムにおいて,
前記変更部にて受け付けた変更情報に基づく前記第1領域と前記第2領域との境界が,見開き原稿の画像中の下地と区別される画像領域である実画像領域上に位置するか否かを判断する判断部と,
前記判断部にて前記境界が前記実画像領域上に位置すると判断した場合に,前記変更部での前記識別情報の変更を禁止する禁止部と,
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像表示システムにおいて,
前記生成部は,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記第1領域と前記第2領域とに分割することなく連続した画像データとして記憶するファイルを生成し,さらにそのファイルに前記識別情報を記憶することを特徴とする画像表示システム。
【請求項6】
請求項5に記載する画像表示システムにおいて,
前記識別情報は,前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データにおける前記第1領域と前記第2領域との境界位置を示す情報であることを特徴とする画像表示システム。
【請求項7】
請求項6に記載する画像表示システムにおいて,
前記識別情報の境界に基づいて,前記第1領域および前記第2領域のそれぞれの中央位置を特定する特定部を備え,
前記表示部は,前記第1領域のページと前記第2領域のページとでページごとに表示する際,前記特定部によって特定された中央位置に従って各領域を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項8】
請求項1に記載する画像表示システムにおいて,
前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記区別部にて区別した前記第1領域の画像データと前記第2領域の画像データとに分割する分割部を備え,
前記生成部は,前記分割部にて分割した各画像データを記憶するファイルを個別に生成し,さらに各ファイルに前記識別情報を記憶することを特徴とする画像表示システム。
【請求項9】
請求項1に記載する画像表示システムにおいて,
前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,前記区別部にて区別した前記第1領域の画像データと前記第2領域の画像データとに分割する分割部を備え,
前記生成部は,前記分割部にて分割した各画像データを記憶する画像ファイルを個別に生成し,さらに前記識別情報と前記画像ファイルの情報とを記憶する管理ファイルを生成することを特徴とする画像表示システム。
【請求項10】
見開き状態の原稿である見開き原稿を読み取る読取部と,
前記読取部で読み取った見開き原稿の画像データを,当該見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,
前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
見開き状態の原稿である見開き原稿に基づく画像データを取得する取得部と,
前記取得部が取得した画像データを,前記見開き原稿の綴じ部の一方の側のページの領域である第1領域のデータと,他方の側のページの領域である第2領域のデータとに区別する区別部と,
前記区別部にて区別した前記第1領域と前記第2領域との相互関係を識別する情報である識別情報を記憶するファイルを生成する生成部と,
前記ファイルに記憶された前記識別情報に従って,一方の側と他方の側とを識別して,前記第1領域と前記第2領域との少なくとも一方の画像を表示する表示部と,
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−160821(P2012−160821A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17795(P2011−17795)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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