説明

画像表示装置、画像表示方法、プログラム及び記憶媒体

【課題】画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】画像表示装置10は、サムネイル画像データから特徴量を抽出する特徴量抽出手段11と、サムネイル画像の配置位置を算出する配置位置算出手段12と、予め定めた位置からサムネイル画像の配置位置までの距離を算出する距離算出手段13と、サムネイル画像を回転する画像回転手段14と、サムネイル画像をマップ表示するマップ表示手段15とを備え、画像回転手段14は、マップを表示する画面上の予め定めた基準位置からサムネイル画像を表示する位置までの距離、サムネイル画像の類似度及びサムネイル画像の視認性のいずれかの情報を含む配置情報に基づいて所定角度だけ立体的に仮想回転させるものである構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばドキュメント画像に係るサムネイル画像を表示する画像表示装置、画像表示方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の画像検索は、画像に対して予め対応付けられたテキストデータを指定して、キーワード検索を行うのが通常である。しかし、対応付けられたテキストがない場合や、対応付けられたテキストが不正である場合には、サムネイル画像を一覧表示し、目視によって画像を探すことも一般的である。
【0003】
こうした目視による画像検索を行う場合、検索対象となる画像数が多い場合には、モニタに表示する画像数を例えば30個程度に制限して、ユーザーが縦横のスクロールを繰り返しながら全ての画像を眺める方式が一般的である。この方式は、1画像当たりの表示サイズを大きくとれて視認性がよい一方で、全ての画像を同時には見られず、視覚的に分かりにくいという欠点がある。
【0004】
そこで、サムネイル画像を表示する際、その画像のコンテンツをユーザーに視覚的に分かり易く伝えるために工夫しているものがある(例えば、特許文献1参照)。これは元画像を構成する複数の部分画像の重要度に応じて、重要度の高い部分画像の割合が大きくなるように元画像を縮小した縮小画像を画像検索の結果として表示させるものである。
【0005】
しかし、サムネイル画像が一覧に表示された画面から目的の画像を見つけようとする場合には、個々のサムネイル画像の内容を把握し易いように表示方法を工夫する必要に加え、表示されているサムネイル画像間にどのような関係があるかをユーザーに分かり易く伝える必要がある。
【0006】
このような課題を解決するために、サムネイル画像をただ並べるのではなく、画像データの属性値情報に基づいてサムネイル画像の表示位置を決定し、表示画面内にマップのように配置することで検索効率を向上させる技術が知られている(以後、このような表示を「画像マップ」と呼ぶ)。この表示の利点は、画像間の関係を視覚的に提示可能な点であり、特に性質の似通ったサムネイル画像群を画面上にまとめて配置することで、表示画像データから必要なデータ群を容易に特定可能となる。
【0007】
この種の技術を用いたものとしては、例えば、特許文献2に示された画像表示制御装置がある。この装置は、キーワードの入力を受けると共に、参照画像を選択し、複数の対象画像に付加されたキーワードと入力されたキーワードとに基づいて満足度を算出し、各参照画像に対する対象画像の類似度を算出し、キーワードの満足度と画像の類似度に応じた配置で各対象画像を多次元座標上に表示させるようになっている。
【0008】
ただし、この装置では、画像数が多くなればなるほど1画像当たりの表示サイズは小さくなり、さらに画像数が増えると、各画像が重なり合うという状況が生じるという課題がある。
【0009】
画像が重なり合う状況を回避する方法としては、例えば、特許文献3に示された表示制御装置がある。この装置は、オリジナルオブジェクトを表示装置の画面に対して角度θ1回転させ、該オリジナルオブジェクトに比べて表示面積を小さくしたスキューオブジェクトを生成する。それにより、表示装置にオブジェクトを効率的に表示させ、オブジェクトを容易に判別することができる。
【0010】
ただし、この装置では、重なり合う状況を回避するだけのものであり、サムネイル画像をただ並べただけのものであって、画像間の関係を視覚的に提示できるものではない。
【特許文献1】特開2007−80099号公報
【特許文献2】特開2007−109136号公報
【特許文献3】特開2005−190108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる画像表示装置、画像表示方法、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像表示装置は、予め定めた配置情報に基づいて画像データに対応するサムネイル画像を一覧表示する画像表示装置であって、前記サムネイル画像上に設けた仮想軸線を基準として前記サムネイル画像を前記配置情報に基づいて予め定めた角度だけ立体的に仮想回転させる画像回転手段と、仮想回転したサムネイル画像を含むマップを前記配置情報に基づいて表示するマップ表示手段とを備えた構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の画像表示装置は、オリジナルのサムネイル画像の表示面積よりも小さい表示面積で配置情報に基づいてサムネイル画像を表示することができる。したがって、本発明の画像表示装置は、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0014】
なお、前記配置情報は、前記マップを表示する画面上の予め定めた基準位置から前記サムネイル画像を表示する位置までの距離、前記サムネイル画像の類似度及び前記サムネイル画像の視認性のいずれかの情報を含むのが好ましい。
【0015】
また、本発明の画像表示装置は、前記画像回転手段が、前記マップの表示対象である複数のサムネイル画像のうち予め定めた基準のサムネイル画像から前記マップ上に表示するサムネイル画像の配置位置までの距離に応じて前記角度を変化させるものである構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の画像表示装置は、基準のサムネイル画像を中心として角度を徐々に変化させることにより、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0017】
さらに、本発明の画像表示装置は、前記複数のサムネイル画像は予め定めた少なくとも1つのグループに分類されたものであって、前記画像回転手段は、前記グループに係るサムネイル画像を前記マップに表示する際の表示領域の重心から前記マップ上に表示するサムネイル画像の配置位置までの距離に応じて前記角度を変化させるものである構成を有している。
【0018】
この構成により、本発明の画像表示装置は、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0019】
さらに、本発明の画像表示装置は、前記画像回転手段は、複数のグループに係るサムネイル画像を前記マップに表示する際に、予め定めたグループに係るサムネイル画像には前記角度を付けないものである構成を有している。
【0020】
この構成により、本発明の画像表示装置は、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0021】
さらに、本発明の画像表示装置は、前記画像回転手段は、少なくとも1つのグループに係るサムネイル画像のうち予め定めたサムネイル画像のみに前記角度を付するものである構成を有している。
【0022】
この構成により、本発明の画像表示装置は、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0023】
さらに、本発明の画像表示装置は、前記画像回転手段は、前記サムネイル画像の視認性に基づき、前記角度を付する対象のサムネイル画像数を変化させるものである構成を有している。
【0024】
この構成により、本発明の画像表示装置は、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0025】
さらに、本発明の画像表示装置は、前記画像回転手段は、前記サムネイル画像の視認性が予め定めた基準未満のグループにおいて前記角度を付するサムネイル画像数を予め定めた閾値よりも多くし、前記視認性が前記基準以上のグループにおいて前記角度を付するサムネイル画像数を前記閾値より少なくするものである構成を有している。
【0026】
この構成により、本発明の画像表示装置は、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0027】
さらに、本発明の画像表示方法は、予め定めた配置情報に基づいて画像データに対応するサムネイル画像を一覧表示する画像表示方法であって、前記サムネイル画像上に設けた仮想軸線を基準として前記サムネイル画像を前記配置情報に基づいて予め定めた角度だけ立体的に仮想回転させるステップと、仮想回転したサムネイル画像のマップを前記配置情報に基づいて表示するステップとを備えた構成を有している。
【0028】
この構成により、本発明の画像表示方法は、オリジナルのサムネイル画像の表示面積よりも小さい表示面積で配置情報に基づいてサムネイル画像を表示することができる。したがって、本発明の画像表示方法は、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0029】
さらに、本発明のプログラムは、予め定めた配置情報に基づいて画像データに対応するサムネイル画像をコンピュータに一覧表示させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記サムネイル画像上に設けた仮想軸線を基準として前記サムネイル画像を前記配置情報に基づいて予め定めた角度だけ立体的に仮想回転させる画像回転手段と、仮想回転したサムネイル画像のマップを前記配置情報に基づいて表示するマップ表示手段として機能させる構成を有している。
【0030】
この構成により、本発明のプログラムは、コンピュータに、画像間の関係を視覚的に提示させることができ、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0031】
さらに、本発明の記憶媒体は、プログラムを記憶し、前記コンピュータが読み取り可能な構成を有している。
【0032】
この構成により、本発明の記憶媒体は、コンピュータに、画像間の関係を視覚的に提示させることができ、かつ視認性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができるという効果を有する画像表示装置、画像表示方法、プログラム及び記憶媒体を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0035】
(第1の実施形態)
まず、本発明に係る画像表示装置の第1の実施形態における構成について説明する。
【0036】
図1に示すように、本実施形態における画像表示装置10は、サムネイル画像データから特徴量を抽出する特徴量抽出手段11と、サムネイル画像の配置位置を算出する配置位置算出手段12と、予め定めた基準位置からサムネイル画像の配置位置までの距離を算出する距離算出手段13と、サムネイル画像を回転する画像回転手段14と、サムネイル画像をマップ表示するマップ表示手段15とを備えている。
【0037】
図2は、本実施形態における画像表示装置10を実現するためのハードウエア構成を示す図であって、画像表示装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)システム20と、PCシステム20に記憶媒体を介してインストールされるプログラムによって構成される。
【0038】
PCシステム20は、サーバPC30と、クライアントPC21と、ハードディスクドライブ(HDD)22と、データバス23とを有する。サーバPC30は、CPU31、RAM32を有する。ここで、CPU31は、図1に示した各手段を構成する。なお、図示を省略したが、クライアントPC21は画像を表示する表示モニタを有する。
【0039】
図2に示した構成における動作の概要を説明する。クライアントPC21がサーバPC30に所定のサムネイル画像の表示要求を行うと、CPU31は、例えばドキュメント画像データを記憶したHDD22から該当する原画像データを読み出し、経路aを介してRAM32に書き込む。続いて、CPU31は、経路bを介してRAM32上の原画像データに基づき、サムネイル画像データを生成する。このサムネイル画像データは、経路cを介してRAM32に書き込まれ、経路dを介してHDD22に記憶されると共に、クライアントPC21に送信される。以上の処理は、クライアントPC21からの表示要求に応じて該当するサムネイル画像の数だけ行われる。
【0040】
ここで、クライアントPC21が有する表示モニタは1280×1024ドットの解像度を持つものとする。これに対応して、図3に示すように、左上(0、0)〜右下(1279、1023)の表示用の座標系を持つものとする。また、表示モニタ上に配置される各サムネイル画像は、重心座標Gと、表示時の横のサイズw及び縦のサイズhとを有する。点Oは座標(0、0)の定点、点Cは座標(640、512)の定点である。各サムネイル画像の重心座標Gは、例えば点O又は点Cの座標を基準に決定される。
【0041】
図4は、本実施形態における画像表示装置10の画像表示処理のフローチャートを示している。以下、各ステップの処理について説明する。
【0042】
[ステップS11]
まず、ステップS11において、CPU31は、自己組織化マップを作成する。自己組織化マップは、配置されるサムネイル画像が、画像の類似度が高いものほど互いに近傍に配置されるようマッピングするための学習アルゴリズムの一つで、高次元のデータを、構造や分布構造をなるべく壊さない形で低次元に集約する写像を与えるものと言うことができる。ここでは2次元に配置するものとする。
【0043】
学習で用いられる入力ベクトルは、m個のサンプル画像からn次元の特徴量を抽出した結果得られる、m個のベクトルである。この特徴量ベクトルを抽出する抽出手段は、特徴量抽出手段11(図1参照)としてのCPU31である。
【0044】
自己組織化マップの学習は広く知られた手法なので詳細の説明は省略するが、最終的に2次元の格子点にn次元の特徴ベクトルが並び、図5に示すように、ベクトル同士のユークリッド距離の近いものが互いに近傍に配置された構造を持つデータが生成される。この格子点が2次元空間上の座標にあたり、n次元データを2次元座標値に対応させる写像となる。
【0045】
なお、縦、横に直角に交わる二つの軸の交点を格子点としてもよいし、例えば図6に示すような極座標系格子点を用いてもよい。
【0046】
[ステップS12]
次に、ステップS12において、特徴量抽出手段11としてのCPU31は、各サムネイル画像から画像特徴量を抽出する。画像特徴量は、サムネイル画像から彩度、色相、輝度、テクスチャなどの数値が算出され、n次元の数値から成る特徴ベクトルを生成する。
【0047】
[ステップS13]
次に、ステップS13において、配置位置算出手段12としてのCPU31は、ステップS11で作成した自己組織化マップを用いた2次元格子点への写像を行う。具体的には、CPU31は、ステップS12でサムネイル画像から抽出した特徴ベクトルに対して、ステップS11で作成した自己組織化マップ上のベクトルのうち、最もユークリッド距離が近いものを探し、その格子点の座標にサムネイル画像を配置する。
【0048】
上記のステップS12及びステップS13を、配置するサムネイル画像の個数分繰り返す。繰り返すと、サムネイル画像一つ一つに格子点の座標が対応付けられ、類似したサムネイル画像が互いに近傍に配置されるような"サムネイル画像マップ"のための位置データが生成される。
【0049】
そして、例えば図7に示すように、サムネイル画像がいくつかのグループに分けられる。ここでグループとは、サムネイル画像の視覚的な特徴が似たもの同士のグループであったり、サムネイル画像ファイルの作成日が近いもの同士であったり、作成者が同一のものであったり等、目的に応じた様々なものが考えられる。
【0050】
以下、サムネイル画像データを、グループごとにまとまりを形成して配置する方法の一例を紹介する。
【0051】
まず、サムネイル画像データを解析しグループ分類を行う。サムネイル画像を解析しその属性を識別する方法としては、例えば、特開2006−39658号公報に記載されている技術を用いることができる。この技術によれば、サムネイル画像データを、サムネイル画像の大きさに比べて十分小さく予め定められた領域(窓と呼ぶ)で被覆し、各窓からサムネイル画像の小領域を切り出した部分サムネイル画像の集合を作成し、切り出した全ての部分サムネイル画像同士の間にそれらの間の非類似度に相当するような順序関係を定義する。そしてこの順序関係のみに基づいて各部分サムネイル画像を任意の距離空間における点へと写像し、写像された距離空間における点の位置座標ベクトルの直積又はテンソル積をサムネイル画像についての特徴量として用いて、サムネイル画像のグループ分類学習及びグループ識別を行う。また、この他に、SVM(Support Vector Machine)などの学習アルゴリズムや統計処理などを利用して既知グループへの分類を行ってもよい。
【0052】
次に、分類結果を数値化した特徴量と、サムネイル画像データから解析されたサムネイル画像の特徴量とを合成して特徴量ベクトルを構成し、そのベクトルを自己組織化マップなどの次元圧縮処理を介して可視平面上に射影する。このようにして、同じグループに属するサムネイル画像が互いに近傍に配置されるような配置データが得られる。なお、グループ配置を反映した配置方法はこれに限られるものではなく、単純に既知分類グループの位置を決めてそのグループに属するサムネイル画像を互いに近傍に配置してもよい。
【0053】
[ステップS14]
次に、距離算出手段13としてのCPU31は、各グループの表示領域の重心(以下、単に「重心」という。)を求め、重心からサムネイル画像の配置位置までの距離を算出する。CPU31は、この距離算出を、配置するサムネイル画像の個数分繰り返す。なお、距離に代えて、サムネイル画像の類似度を算出するようにしてもよい。
【0054】
[ステップS15]
次に、画像回転手段14としてのCPU31は、例えば全てのグループについて、重心から配置位置までの距離に応じて、仮想回転軸を基準としてサムネイル画像を立体的に仮想回転させ、サムネイル画像に角度を付ける。ここで角度を付けるとは、イメージ的には、例えば表示モニタの表示面に対し、サムネイル画像をある角度で立たせるように回転させることである。その結果、例えばサムネイル画像の下辺を短くしたサムネイル画像が生成されることになる。
【0055】
図8(a)にオリジナルのサムネイル画像41のイメージ、図8(b)に仮想回転して角度を付けたサムネイル画像43のイメージ、図8(c)に角度を付ける前後におけるサムネイル画像41及び43の断面イメージを示す。具体的な方法の一例としては、オリジナルのサムネイル画像41を上辺の横サイズWを保持した状態で、横方向の仮想中心線42を軸とし、表示モニタの表示面に対し立たせる方向に角度θだけ立体的に仮想回転させ、かつ奥行きに応じて下辺を短くし、角度θを付けたサムネイル画像43を生成する。すなわち、角度を付けたサムネイル画像43は、表示モニタの表示面に対し、オリジナルのサムネイル画像41を角度θの奥行きを持たせて斜めに表示されるサムネイル画像であり、横サイズがW1<Wである。
【0056】
角度を付けたサムネイル画像43は、オリジナルのサムネイル画像41に対して、表示面積が小さくなっている。そのため、角度を付ける前後で横サイズが同じであり、単に縦横サイズを縮小した縮小サムネイル画像よりも見易い。さらに、多くのサムネイル画像が表示対象であってサムネイル画像同士が重なり合う場合、角度を付けて表示面積を小さくすることにより、重なりを解消することができる。
【0057】
なお、前述の説明では下辺を上辺よりも短くした生成方法を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、場合によりサムネイル画像の右辺、左辺又は上辺をそれらの対向辺よりも短くするよう生成してもよい。
【0058】
重心から配置位置までの距離に応じた角度の付け方としては、重心から配置位置までの距離=T、予め定めた距離閾値をT1とすると、例えば、T<T1のとき、角度θ1(0°≦θ1≦90°)とし、T1≦Tのとき、角度θ2(0°≦θ2≦90°)となるようにオリジナルのサムネイル画像41を、角度の付けたサムネイル画像43に変換する。θ1とθ2の関係はθ1<θ2であってもよいし、θ2<θ1であってもよい。これは、サムネイル画像の使用用途などにより角度を付けたい部分が変わるためである。
【0059】
具体的には、例えば、θ1<θ2の場合、類似度が高いものほどユーザーにとって重要であるとすると、類似度の低いものほど角度を付けることにより、類似度の高いものを類似度の低いものよりも見易くユーザーに提示することができる。また、θ2<θ1の場合、類似度の高いものほど角度を付けることにより、ユーザーは、類似度の高いものを全体的に見渡すことができ、類似度の低いものを詳しく見ることができる。
【0060】
前述の例では、重心から配置位置までの距離に応じて角度を固定にしているが、例えば、重心から配置位置までの距離に応じて角度を徐々に大きくしたり、徐々に小さくしたりしてもよい。また、予め基準として定めたサムネイル画像からの距離に応じて角度を徐々に大きくしたり、徐々に小さくしたりしてもよい。
【0061】
なお、オリジナルのサムネイル画像41から角度を付けたサムネイル画像43への変換の全体のイメージとしての例を図9に示す。図9(a)は、オリジナルのサムネイル画像41の全体イメージ、図9(b)は、角度を付けたサムネイル画像43の全体イメージを示している。
【0062】
CPU31は、前述のステップS15の処理を、配置するサムネイル画像の個数分繰り返す。その結果、サムネイル画像一つ一つに格子点の座標が対応付けられ、類似したサムネイル画像が互いに近傍に配置され、図9(b)に示すような"サムネイル画像マップ"を生成するための配置位置データが生成される。
【0063】
[ステップS16]
次に、マップ表示手段15としてのCPU31は、ステップS15で生成した配置位置データに基づいて、全てのサムネイル画像を表示モニタにマップ表示する。
【0064】
なお、前述のように、ステップS11における処理は、自己組織化マップを生成する学習プロセスであり、一度サンプルとなるデータを用いて自己組織化マップを生成した後に、実際に配置するサムネイル画像の座標を決定するプロセスにおいては、必要ないものである。また、一度全ステップを行い、サムネイル画像を配置したデータを作成した後、新規にサムネイル画像を追加するときには、新規のサムネイル画像に対してのみステップS12、ステップS13の処理を行い、サムネイル画像の配置位置、サイズを算出すればよい。
【0065】
以上のように、本実施形態における画像表示装置10は、サムネイル画像の特徴量に基づいてサムネイル画像に角度を付けることにより、サムネイルの重なりを軽減し、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0066】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では全てのグループを対象としてサムネイル画像に角度を付ける画像表示装置について説明したが、本実施形態における画像表示装置は、画像回転手段14としてのCPU31が、所定グループのサムネイル画像についてのみ角度を付けるものである。したがって、本実施形態における画像表示装置は、第1の実施形態における画像表示装置と同様な構成であるので、構成の説明を省略する。
【0067】
図10は、本実施形態における画像表示装置の画像表示処理のフローチャートである。以下、第1の実施形態と同様なステップには同一の符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる処理について説明する。
【0068】
[ステップS21]
ステップS21において、CPU31は、所定のグループかどうか判定する。所定のグループであればステップS22に進み、所定のグループでなければステップS23に進む。なお、所定のグループは予めユーザーの指定により、決定されるものである。ただし、これに限られるものではなく、サムネイル画像の配置状況などにより決定される等でもよい。
【0069】
[ステップS22]
ステップS22において、CPU31は、所定のグループについて、例えば重心から配置位置までの距離に応じてサムネイル画像を仮想回転し、サムネイル画像に角度を付ける。その後、ステップS23に進む。
【0070】
[ステップS23]
ステップS23において、CPU31は、ステップS15で生成した配置位置データに基づいて、全てのサムネイル画像を表示モニタにマップ表示する。
【0071】
以上のように、本実施形態における画像表示装置は、所定のグループについて、サムネイル画像の特徴量に基づいてサムネイル画像に角度を付けることにより、サムネイルの重なりを軽減し、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0072】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では全てのグループを対象としてサムネイル画像に角度を付ける画像表示装置について説明したが、本実施形態における画像表示装置は、画像回転手段14としてのCPU31が、所定グループのみ、かつ、所定サムネイル画像のみについて角度を付けるものである。したがって、本実施形態における画像表示装置は、第1の実施形態における画像表示装置と同様な構成であるので、構成の説明を省略する。
【0073】
図11は、本実施形態における画像表示装置の画像表示処理のフローチャートである。以下、第1の実施形態と同様なステップには同一の符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる処理について説明する。
【0074】
[ステップS21]
ステップS21において、CPU31は、所定のグループかどうか判定する。所定のグループであればステップS31に進み、所定のグループでなければステップS33に進む。なお、所定のグループは予めユーザーの指定により、決定されるものである。ただし、これに限られるものではなく、サムネイル画像の配置状況などにより決定される等でもよい。
【0075】
[ステップS31]
ステップS31において、CPU31は、所定のサムネイル画像かどうか判定する。所定のサムネイル画像であればステップS32に進み、所定のサムネイル画像でなければステップS33に進む。ここで、所定のサムネイル画像は予めユーザーの指定により、決定されるものである。ただし、これに限られるものではなく、サムネイル画像の配置状況などにより決定される等でもよい。
【0076】
[ステップS32]
ステップS32において、CPU31は、所定のグループかつ所定のサムネイル画像について、例えば重心から配置位置までの距離に応じてサムネイル画像を仮想回転し、サムネイル画像に角度を付ける。その後、ステップS33に進む。
【0077】
[ステップS33]
ステップS33において、CPU31は、ステップS15で生成した配置位置データに基づいて、全てのサムネイル画像を表示モニタにマップ表示する。
【0078】
以上のように、本実施形態における画像表示装置は、所定グループかつ所定サムネイル画像について、サムネイル画像の特徴量に基づいてサムネイル画像に角度を付けることにより、サムネイルの重なりを軽減し、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【0079】
(第4の実施形態)
第1の実施形態では全てのグループを対象としてサムネイル画像に角度を付ける画像表示装置について説明したが、本実施形態における画像表示装置は、画像回転手段14としてのCPU31が、視認性により角度を付けるサムネイル数を決定し、決定したサムネイルにのみ角度を付けるものである。したがって、本実施形態における画像表示装置は、第1の実施形態における画像表示装置と同様な構成であるので、構成の説明を省略する。
【0080】
図12は、本実施形態における画像表示装置の画像表示処理のフローチャートである。以下、第1の実施形態と同様なステップには同一の符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる処理について説明する。
【0081】
[ステップS41]
ステップS41において、CPU31は、視認性の良し悪しに基づいて角度を付けるサムネイル画像の個数(以下「サムネイル数」という。)を決定する。視認性の良し悪しは、例えば、表示されているサムネイル数によって決まるものである。他には、サムネイル画像の特徴(形状等の複雑さ)、サムネイルの配置状況等によって決まるものでもよい。
【0082】
本実施形態では、表示されるサムネイル数によって視認性の良し悪しが決まる場合について説明する。サムネイル数が多い場合、表示されるサムネイル画像が互いに重なり合う可能性が高く、見難く、視認性が悪い。そのため、サムネイル数を判定するために予め定めた閾値をS1とすると、S1<サムネイル数Sの場合、視認性が悪いと判断し、ステップS42に進む。それ以外の場合、ステップS43に進む。ここでの視認性の良し悪しを決定する判定は、グループごとの判定でもよいし、全グループをまとめて判定してもよい。また、所定のグループのみを判定対象とする等してもよい。
【0083】
[ステップS42]
ステップS42において、CPU31は、例えば重心から配置位置までの距離に応じてサムネイル画像を仮想回転し、サムネイル画像に角度を付ける。その後、ステップS43に進む。
【0084】
[ステップS43]
ステップS43において、CPU31は、ステップS15で生成した配置位置データに基づいて、全てのサムネイル画像を表示モニタにマップ表示する。
【0085】
以上のように、本実施形態における画像表示装置は、視認性に基づいてサムネイル画像に角度を付けることにより、サムネイルの重なりを軽減し、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明に係る画像表示装置、画像表示方法、プログラム及び記憶媒体は、画像間の関係を視覚的に提示でき、かつ視認性の向上を図ることができるという効果を有し、ドキュメント画像等に係るサムネイル画像を表示する画像表示装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施形態における画像表示装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態における画像表示装置のハードウエア構成図
【図3】本発明の第1の実施形態における画像表示装置の表示モニタの座標系を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態における画像表示装置の画像表示処理のフローチャート
【図5】本発明の第1の実施形態における画像表示装置において、自己組織化マップ作成ステップにおいて生成されるデータの構造例を示す図
【図6】本発明の第1の実施形態における画像表示装置において、極座標系格子点を用いる場合の説明図
【図7】本発明の第1の実施形態における画像表示装置において、3つのグループに分けられたサムネイル画像を示す図
【図8】本発明の第1の実施形態における画像表示装置において、サムネイル画像に角度を付ける処理の説明図
【図9】本発明の第1の実施形態における画像表示装置において、オリジナルのサムネイル画像から角度を付けたサムネイル画像への変換の全体のイメージ図
【図10】本発明の第2の実施形態における画像表示装置の画像表示処理のフローチャート
【図11】本発明の第3の実施形態における画像表示装置の画像表示処理のフローチャート
【図12】本発明の第4の実施形態における画像表示装置の画像表示処理のフローチャート
【符号の説明】
【0088】
10 画像表示装置
11 特徴量抽出手段
12 配置位置算出手段
13 距離算出手段
14 画像回転手段
15 マップ表示手段
20 PCシステム
21 クライアントPC
22 HDD
23 データバス
30 サーバPC
31 CPU
32 RAM
41 オリジナルのサムネイル画像
42 仮想中心線
43 角度を付けたサムネイル画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた配置情報に基づいて画像データに対応するサムネイル画像を一覧表示する画像表示装置であって、
前記サムネイル画像上に設けた仮想軸線を基準として前記サムネイル画像を前記配置情報に基づいて予め定めた角度だけ立体的に仮想回転させる画像回転手段と、仮想回転したサムネイル画像を含むマップを前記配置情報に基づいて表示するマップ表示手段とを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記配置情報は、前記マップを表示する画面上の予め定めた基準位置から前記サムネイル画像を表示する位置までの距離、前記サムネイル画像の類似度及び前記サムネイル画像の視認性のいずれかの情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画像回転手段は、前記マップの表示対象である複数のサムネイル画像のうち予め定めた基準のサムネイル画像から前記マップ上に表示するサムネイル画像の配置位置までの距離に応じて前記角度を変化させるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記サムネイル画像は予め定めた少なくとも1つのグループに分類されたものであって、
前記画像回転手段は、前記グループに係るサムネイル画像を前記マップに表示する際の表示領域の重心から前記マップ上に表示するサムネイル画像の配置位置までの距離に応じて前記角度を変化させるものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記画像回転手段は、複数のグループに係るサムネイル画像を前記マップに表示する際に、予め定めたグループに係るサムネイル画像には前記角度を付けないものであることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記画像回転手段は、少なくとも1つのグループに係るサムネイル画像のうち予め定めたサムネイル画像のみに前記角度を付するものであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記画像回転手段は、前記サムネイル画像の視認性に基づき、前記角度を付する対象のサムネイル画像数を変化させるものであることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像回転手段は、前記サムネイル画像の視認性が予め定めた基準未満のグループにおいて前記角度を付するサムネイル画像数を予め定めた閾値よりも多くし、前記視認性が前記基準以上のグループにおいて前記角度を付するサムネイル画像数を前記閾値より少なくするものであることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
予め定めた配置情報に基づいて画像データに対応するサムネイル画像を一覧表示する画像表示方法であって、
前記サムネイル画像上に設けた仮想軸線を基準として前記サムネイル画像を前記配置情報に基づいて予め定めた角度だけ立体的に仮想回転させるステップと、仮想回転したサムネイル画像のマップを前記配置情報に基づいて表示するステップとを備えたことを特徴とする画像表示方法。
【請求項10】
予め定めた配置情報に基づいて画像データに対応するサムネイル画像をコンピュータに一覧表示させるプログラムであって、
前記コンピュータを、前記サムネイル画像上に設けた仮想軸線を基準として前記サムネイル画像を前記配置情報に基づいて予め定めた角度だけ立体的に仮想回転させる画像回転手段と、仮想回転したサムネイル画像のマップを前記配置情報に基づいて表示するマップ表示手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記憶し、前記コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−21766(P2010−21766A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180071(P2008−180071)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】