説明

画像表示装置および画像表示方法

【課題】 ズームモード等の表示モードを備えた表示装置において、表示モードの切換えやズームの指定を使用者に判り易く明示し、誤動作の発生を減少させるとともに、操作性の向上を実現する。
【解決手段】 デジタイザペン等により直接、表示装置の表示画面上に触れて指示を行うと共に、
(1)ズームモードの開始および終了時に、表示画面の画質を変える。
(2)ズーム指定操作においても、ズーム指定領域の内側と外側で画質を変える。
(3)拡大終了後に、縮小画面を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示方法に関する。
【0002】
特に、入力画像を拡大表示する機能を備えた表示装置および表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、PC(パーソナルコンピューター)の普及に伴い、PCから出力された画像を表示するためのプレゼンテーション装置として、プロジェクターやPDP等の大型ディスプレイの使用が増加してきた。そして、プレゼンテーションの際に、プレゼンテーション画像に対して、拡大操作を行い、プレゼンテーションの効果を高める方法が用いられている。
【0004】
プロジェクターには、プレゼンテーション機能を補助する機能として、PCから入力された画像を拡大する機能を備えたものがある。
【0005】
又、別の従来例としては、特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2002−140112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のフロントプロジェクタによる拡大機能では、リモコン等で指示することにより、表示画面の中央を中心に拡大をするものが多く、所望の場所を拡大するためには、拡大と表示位置の移動を繰り返す必要があり、満足の得られるものでは無かった。
【0007】
そして、これらのリモコンによる操作では、プレゼンターが直感的に操作することができず不便であった。
【0008】
また、拡大モードに入っているか否かや、表示画面における拡大指定領域が判り難いということや、拡大表示後に全体画面のどの部分を拡大したかが認識できないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明では、ズーム領域を自由に設定でき、ズームモードの開始および終了時に、表示画面の画質を変えることにより、ズーム操作中であることを直感的に認識できる表示装置を提供することを目的としたものである。
【0010】
また、ズーム指定操作においても、ズーム指定領域の内側と外側で画質を変えることにより、ズーム操作中であることや、ズーム指定領域を明確に表示することが可能であるため、操作が判り易い表示装置を提供することを目的としたものである。
【0011】
また、拡大終了後に、縮小画面を表示することにより、全体画面におけるズーム領域の範囲が判り易い表示装置を提供することを目的としたものである。
【0012】
また、本発明は、デジタイザペン等により直接、表示装置の表示画面上に触れて指示を行い、拡大画面の移動操作による操作性を向上し、なおかつ、リモコンやマウス等での操作も可能な表示装置を提供することを目的としたものである。
【0013】
以上により、本発明では、所望の位置の拡大をスムーズにワンタッチでストレス無く行える。また、拡大画像の全体画像に対する位置も判る。また、拡大モードに入ったことや出たことや拡大領域も判り易くなるため、操作性が改善される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ポインティングデバイスを利用して表示画面内の拡大希望領域を指定し、指定した領域を拡大表示する表示装置において、入力画像の一部分を変換して拡大画像を出力する拡大処理手段と、表示装置に表示された画像を指示するポインティング手段と、入力画像の画質を変換する画質変換手段と、前記画質変換手段による画質変換後の画像と画質変換前の画像を切換えて出力する画像切換え手段と、ポインティング手段による入力座標および出力画像の同期信号に応じて切換信号を発生する切換領域発生手段を備え、ズームモード開始時に、画質変換後の画像を表示する工程と、ポインティングデバイスにより拡大指定領域が指定されると、前記拡大指定領域内を画質変換前の画像で表示し、前記拡大指定領域外を画質変換後の画像で表示する工程と、ズームモード終了時に、全体画像に対する前記拡大指定領域の割合に応じて、前記拡大処理手段により拡大処理した画像を画質変換前の画質で拡大して表示する工程とを備えることにより、ズーム領域を自由に設定することが可能となり、ズームモードの開始および終了時に、表示画面の画質を変えることにより、ズーム操作中であることを直感的に認識することが可能となった。
【0015】
また、本発明によれば、ズーム指定操作においても、ズーム指定領域の内側と外側で画質を変えることにより、ズーム操作中であることや、ズーム指定領域を明確に表示することが可能であるため、操作が判り易い。
【0016】
また、本発明によれば、デジタイザペン等により直接、表示装置の表示画面上に触れて指示を行い、拡大画面の移動操作による操作性を向上し、なおかつ、リモコンやマウス等での操作も可能な表示装置を提供することが可能となった。
【0017】
以上により、本発明では、所望の位置の拡大をスムーズにワンタッチでストレス無く行える。また、拡大画像の全体画像に対する位置も判る。また、拡大モードに入ったことや出たことや拡大領域も判り易くなるため、操作性を改善することが可能となった。
【0018】
また、本発明によれば、ズームモード等の表示モードを備えた表示装置において、表示モードの切換えやズームの指定を使用者に判り易く明示し、誤動作の発生を減少させるとともに、操作性の向上を実現する。
【0019】
また、プレゼン等でも視覚的効果を高めることが可能となった。
【0020】
また、更に、表示画面全体の画質を検出する画質検出手段を備え、画像の画質に応じて画質変換方法を変えることが可能となり、如何なる画質の画像であっても、拡大モードの開始・終了や拡大指定領域の表示が認識し易くなるという効果がある。
【0021】
また、更に、入力画像の全体画像を縮小した画像に変換する縮小処理手段を備え、前記ズームモード終了時に、全体画像に対する指定領域の割合に応じて、前記拡大処理手段により拡大処理した画像を画質変換前の画質で拡大して表示すると共に、前記縮小処理手段により出力される縮小画像を合成して表示する工程とを備えることにより、拡大終了後に、縮小画像と縮小画面内に拡大領域を示す枠を拡大画面と同時に表示するため、全体画面内における拡大領域が認識し易くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ズーム領域を自由に設定することが可能となり、ズームモードの開始および終了時に、表示画面の画質を変えることにより、ズーム操作中であることを直感的に認識することが可能となった。
【0023】
また、本発明によれば、ズーム指定操作においても、ズーム指定領域の内側と外側で画質を変えることにより、ズーム操作中であることや、ズーム指定領域を明確に表示することが可能であるため、操作が判り易い。
【0024】
また、本発明によれば、拡大終了後に、縮小画面を表示することにより、全体画面におけるズーム領域の範囲が判り易い。
【0025】
また、本発明によれば、デジタイザペン等により直接、表示装置の表示画面上に触れて指示を行い、拡大画面の移動操作による操作性を向上し、なおかつ、リモコンやマウス等での操作も可能な表示装置を提供することが可能となった。
【0026】
また、本発明によれば、画像の画質に応じて画質変換方法を変えることにより、如何なる画質の画像であっても、拡大モードの開始・終了や拡大指定領域の表示が認識し易くなるという効果がある。
【0027】
以上により、本発明では、所望の位置の拡大をスムーズにワンタッチでストレス無く行える。また、拡大画像の全体画像に対する位置も判る。また、拡大モードに入ったことや出たことや拡大領域も判り易くなるため、操作性を改善することが可能となった。
【0028】
また、本発明によれば、ズームモード等の表示モードを備えた表示装置において、表示モードの切換えやズームの指定を使用者に判り易く明示し、誤動作の発生を減少させるとともに、操作性の向上を実現する。
【0029】
また、プレゼン等でも視覚的効果を高めることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(実施例1)
本発明では、図2に示す背面投射型表示装置100を開発した。図2は側面から見た図である。投射型表示エンジンD1から投射された画像を反射ミラー201にて反射し、スクリーン6の背面から投射する。スクリーン6の前面には、デジタイザ装置202が取り付けられており、スクリーン6の前面より、デジタイザ用ペン203にて入力した位置座標を表示装置100に入力する。デジタイザ装置としては、光学式のものや感圧式のものや超音波式のもの等、各種のものを用いることができる。
【0031】
符号204はメニュー表示スイッチであり、メニュー表示のON/OFF用のスイッチである。また、符号205はズームモード開始スイッチであり、ズームモードの開始を指示する。
【0032】
投射型表示エンジンD1の実施形態を図3に示す。
【0033】
投射型表示エンジンD1は、光変調素子として、R、G、B各色表示対応の3枚の液晶パネル2R,2G,2Bを用い、これら3枚の液晶パネル2R,2G,2Bはクロスプリズム7に対向する位置に配置した。なお、本実施例においては、液晶パネル2R,2G,2Bとして、TFTを用いて駆動するTN液晶パネルを用いた。また、各液晶パネル2R,2G,2Bを挟み込むように、その両側には偏光板8をそれぞれ配置し、クロスプリズム7の光出射側には投射レンズ9やスクリーン(被投射部材)6を配置した。
【0034】
一方、ランプ(光源)1を囲むように放物型のリフレクタ10を配置し、ランプ1からの出射光が平行光束に変換されるようにした。なお、このリフレクタ10は放物型でなくても、楕円型とし集光光束へ変換するようにしても良い。また、ランプ1には、メタルハライドランプやキセノンランプなどを用いることができる。
【0035】
また、はえの目インテグレータ40,41は、ランプ1から出射された光の光路上に配置し、液晶パネル2R,2G,2Bと共役な関係となるように配置し、光源の不均一性を改善した。
【0036】
そして、はえの目インテグレータ40,41の光出射側には、順に、リレーレンズ11やミラー12を配置した。さらに、2枚のダイクロミラー13,14を配置して、ランプ1からの出射光を3つに分岐させ、リレーレンズ15やミラー16,17,18を配置して各液晶パネル2R,2G,2Bに導くようにした。なお、符号19はフィールドレンズを示す。
【0037】
ところで、上述した液晶パネル2R,2G,2Bには、図1に示すように映像信号入力手段3等を接続した。
【0038】
図1に本発明の画像表示装置100と接続機器を含むブロック図を示す。
【0039】
画像表示装置100において、符号101はPC(パソコン)アナログ入力端子を示し、符号102はPC(パソコン)ディジタル入力端子を示し、符号103はNTSC入力端子を示し、符号3は映像信号処理手段を示す。映像信号処理手段3において、符号104はA/Dコンバータを示し、符号108はDSP部を示し、符号109は解像度変換部を示し、符号110は解像度変換部109で拡大/縮小およびフレームレート変換等の処理を行うために必要なデータ等を保持するメモリを示し、符号120はタイミング発生回路を示し、符号111は画質変換部を示し、符号112は解像度変換部109の出力信号または画質変換部111の出力信号の何れかを選択して出力するセレクタを示し、符号113は縮小変換部を示し、符号114は縮小変換部111で縮小処理に必要なデータを記憶するメモリを示し、符号115はセレクタ112の出力と縮小変換部113の出力の何れかを選択して出力するセレクタを示し、符号116はOSD部を示し、符号117はセレクタ115の出力信号とOSD部116の出力信号の何れかを選択して出力するセレクタを示し、符号118はDAコンバータを示し、符号119は各液晶パネルに印加する信号と電源を供給するドライバ回路を示す。符号2R、2G、2Bは、ドライバ回路119の出力信号を入力し表示を行う液晶表示装置である。
【0040】
符号105は、TMDS回路であり、PC用ディジタル信号入力端子であるDVI端子102より入力された小振幅ディジタル差動シリアル信号をR,G,Bの各パラレルディジタル信号に変換する処理を行う。
【0041】
符号106は、信号処理回路を示し、A/D変換、NTSC信号のデコード、ノイズ低減処理、帯域制限フィルタリングおよび信号レベル調整等の信号処理を行う。
【0042】
符号107は、セレクタであり、A/D変換器104、TMDS回路105、信号処理回路106の何れかの信号を選択してDSP108へ出力する。
【0043】
また、符号123は領域演算部であり、デジタイザ202で指示された座標およびペンアップ、ペンダウン信号をもとに拡大指定領域を算出する。
【0044】
符号121は領域発生部であり、領域演算部123で決定された拡大指定領域をもとに、液晶パネルの駆動と同期して、拡大領域内と拡大領域外を選択するための信号を発生する。
【0045】
またさらに、符号131は、ランプ1に接続されるランプ用の電源であるバラストを示し、符号132はシステム電源、符号133はACインレットを示す。
【0046】
また、符号134は、本表示装置の種々の操作を行うためのリモコン、符号135は、そのリモコンの信号を受信する制御パネルを示す。
【0047】
さらに、符号204はメニュー表示SWを示し、符号137はメニューSW検出部を示し、メニュー表示SW204の動作を検出する。符号205はズームモード開始SWを示し、符号122はズームモード検出部を示し、ズームモード開始SW205の動作を検出する。
【0048】
さらに、符号138はCPUを示し、符号139はROM、符号140はRAMを示す。
【0049】
また、符号141はUSBインターフェース部であり、符号142、符号143および符号144はUSB入出力端子である。符号202はデジタイザであり、符号145はデジタイザ検出部である。
【0050】
このCPU138は、上述した映像信号処理手段3や制御パネル135やバラスト131やメニューSW検出部137やズームモード検出部122や領域演算部123やデジタイザ検出部145等に接続されており、液晶パネル2R,2G,2Bやランプ1等の駆動制御や表示画像の拡大・縮小・移動や拡大処理に伴う画質変換等を行うための映像信号処理手段3の制御を行う。
【0051】
本実施例では、メニューSW検出部137、映像信号処理手段3、ズームモード検出部122、領域演算部123、デジタイザ検出部145等はCPU138に接続されるものとして説明したが、CPUに内蔵したり、プログラムにより実行するように構成してもよい。
【0052】
本実施例では、PC用アナログおよびディジタル端子、NTSC入力端子のみ記載されているが、それに限らず、各種のアナログおよびディジタル画像信号の入力端子やディジタルTV用D端子や、メモリカード入力端子等、各種のアナログおよびディジタルの画像信号を入力する端子を設けても良い。
【0053】
また、符号300はPC(パーソナルコンピューター)であり、CPU301、HD(ハードディスク)302、RAM303、ROM304、ビデオメモリ305、グラフィックコントローラ306、USB I/F 308、等からなり、映像出力端子309、USB入力端子310を備えている。
【0054】
符号312はマウスであり、表示装置100のUSB端子143に接続されている。符号313はタブレットであり符号314はタブレット用のペンである。タブレット313はUSB端子144に接続されている。また、USB端子142はPC300のUSB端子310に接続されている。また、符号400はディジタル映像主力端子を備えるPCであり、ディジタルPC入力端子102に接続されている。符号500はNTSC入力端子103に接続されたDVD装置である。
【0055】
以下、本発明の作用について詳細に説明する。
【0056】
入力端子101にはPC300が接続されており、PC300より出力された画像は入力端子101より表示装置100に入力される。入力端子102にはPC400が接続されており、PC400より出力された画像は入力端子102より表示装置100に入力される。また、入力端子103にはDVD装置500が接続されており、DVD装置500より出力されたNTSC画像信号は入力端子103より表示装置100に入力される。
【0057】
入力端子101より入力した画像信号は、A/D変換器104によりサンプリングされディジタル信号に変換される。入力端子102より入力した画像信号はTMDS回路105によりパラレルディジタル信号に変換される。
【0058】
入力端子103より入力した画像信号は、信号処理部106により、A/D変換、NTSC信号のデコード、ノイズ低減処理、帯域制限フィルタリングおよび信号レベル調整等の信号処理を行う。
【0059】
セレクタ部107では、入力端子101、102および103の何れかの信号を選択しDSP108へ出力する。
【0060】
DSP108では、コントラスト、ブライト、ガンマ変換、色変換などの信号処理が行われる。解像度変換部109では、入力画像の解像度を表示デバイスに表示を行うサイズに合せて、拡大・縮小等の処理を行う。画質変換部111では画質の変換を行う。セレクタ112では画質変換部111の出力と解像度変換部109の出力の何れかを選択して出力する。この選択信号は領域発生部121にて、表示パネルを駆動する同期信号を基準として発生される。
【0061】
また、縮小変換部113では、入力画像の縮小画像を作成し、セレクタ115により、縮小画像の表示位置に応じて切換えて表示することにより表示画面内に子画面を合成する。また、OSD部116では、文字や枠等のグラフィックデータを作成し、セレクタ117により、切換えて表示することにより表示画面内に各種のOSDデータを合成表示する。
【0062】
PC300では、HD302に記憶されたプログラムを起動し、グラフィックコントローラ306により出力画像を作成し、出力端子309より出力する。
【0063】
図4は、本発明による拡大表示操作の処理フローである。
【0064】
図5(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、PC300より出力された画像信号を本発明の表示装置100に入力し、拡大操作を行う場合の表示例である。符号601、604、607、609、611は、スクリーン6に表示された全体画面を示している。
【0065】
図5(a)は、拡大モードに入る前の標準モード時の表示例である。601は表示装置に表示された画像全体を示し、符号602のAという文字および符号603のBという文字が表示されている。ここで、ズームモードSW205を押すと、ズームモード検出部122により、ズームモードSW205が押されたことを検出する(S1)。ズームモードになると、セレクタ112を切換えることにより、画面全体を画質変換部111の出力で表示する。画質変換部111は、図6に示すように、入力に対して出力を右に1bitシフトして出力するように構成されており、入力画像の明るさを1/2にするように設計されている。そのため、図5(b)で示すように、図5(a)に比べて、画面全体604の明るさが1/2になった画像が表示される(S2)。このように、表示画面全体の画質が変わることで、表示モードが変わったことが認識し易くなる。
【0066】
次に、デジタイザペン203を用いて、拡大したい領域を指定する。
【0067】
デジタイザ装置202は、図2に示すように、表示装置の表示画面上に取り付けられ、デジタイザペン203で表示画面を触れることにより座標を入力することが可能である。
【0068】
デジタイザペン203がスクリーン6に接触すると、デジタイザ202によりペンダウン信号を発生し、スクリーン6から離れるとペンアップ信号が発生される。また、デジタイザペン202がスクリーン6に接触している間は、10ms毎に表示画面上の位置座標をデジタイザ202により検出する。
【0069】
ここで、デジタイザペン203を図5(c)の点605にて、表示画面に触れ、ペンダウン信号を発生すると(S3)、そこが、拡大指定領域の開始点となる(S4)。続いて、ペンアップ信号が検知されず(S5)、座標の移動が確認された場合は(S11)、その時の入力座標を途中点として領域演算部123により拡大指定領域を演算し、領域発生部121に設定する(S12)。そして、領域発生部121が発生するセレクト信号により画質変換前の信号と画質変換後の信号をセレクタ112により切換えることにより、拡大指定領域内を画質変換前の画像で、拡大指定領域外を画質変換後の画像で表示する(S13)。以上の処理ステップにより、図5(c)の様に、拡大指定開始点605から途中点606まで、デジタイザペン203を表示画面に触れたまま移動すると、拡大指定領域がドラッグされ、ドラッグされた拡大指定領域に合せて、画質変換前の画像と画質変換後の画像を切換えて表示を行うことが可能になる。このように、表示画面全体の画質が変化している中で、拡大領域を指定することにより、拡大される領域が元の画質で表示されるため、全体画像の中で拡大する領域が認識し易くなる。
【0070】
ここで、拡大領域の開始点および終了点等の領域発生部121への設定は、垂直ブランキング中に行うことにより、表示画像に乱れがない高画質な表示が可能となった。
【0071】
次に、図5(d)に示すように、点608にて、デジタイザペン203を表示画面より離すとペンアップ信号が発生したことを検出し(S5)、開始点605より座標が移動している場合は(S6)、点608が拡大指定領域の終了点として設定される(S7)。領域発生部121では、上記操作により、指定領域の開始から終了するまでの間、ペンダウン信号をもとに、矩形領域を発生させ、矩形領域内は、画質変換前の画像信号を表示し、矩形領域外は画質変換後の画像信号を表示するように、セレクタ112へセレクト信号を与える。ペンアップ信号を検出し、拡大希望領域の指定が終了すると(S7)、開始点605および終了点608の座標から、拡大率を算出し(S8)、解像度変換部109へ拡大率の設定を行う(S9)。例えば、UXGAの解像度をもつ表示サイズ(1600,1200)の表示装置において、拡大開始点を(600,400)、拡大終了点を(1400,1000)とすると、拡大指定領域のサイズは(800,600)となるため、拡大指定領域をUXGAの表示画面全体に拡大表示するためには、入力画像の座標(600,400)を拡大画像の左上の基準として2倍に拡大するように解像度変換部109に設定を行う。
【0072】
その結果、図5(e)に示すように、拡大された画像が表示される。この時、セレクタ112により画質変換前の画像信号を選択して表示することにより、拡大画像全体が元の画像の明るさで表示されるため、拡大指定モードが終了したことが認識し易くなる。
【0073】
また、ペンアップ信号を検知した際に、拡大領域開始点から座標が移動してない場合は、拡大モードを終了し、全体画像を画質変換前の画質で表示する(S10)。
【0074】
ここで、ズームモード開始時やズームモード終了時に表示画面全体の画質を切換えるタイミングとしては、垂直ブランキング中に行うことにより、表示画像に乱れがない高画質な表示が可能となった。
【0075】
本実施例では、ズームモード開始スイッチ205は、表示装置100の表示画面外に取り付けられた場合について説明したが、信号処理手段3のOSD回路116により表示画面上にアイコン表示することも可能である。この場合は、表示画面外にスイッチを取り付ける必要が無くコストダウンや実装面積が削減される利点がある。
【0076】
本実施例では、画質変換部は、ビットシフトすることにより明るさを1/2としたが、乗算器等を用いて任意の明るさを得ることも可能であるし、カラーマトリクス変換回路等を用い、色変換処理をおこなうことも可能である。また、数画素毎にサンプリングして解像度を粗く、モザイク状に表示することも可能であり、画質を変換する方法としては各種の方法が可能である。
【0077】
本実施例では、ペンアップ、ペンダウン信号は、表示画面に触れたり離した時に発生すると説明したが、デジタイザペンのペン先を可動式とし、表示画面に触れペン先が押されてペン内部方向に移動すると、ペンダウン信号を発生し、表示画面から離しペン先が元の位置に戻るとペンアップ信号を発生するようにしてもよい。また、ペン先に圧力センサを付ける等の方法もあり、如何なる方法でもよい。
【0078】
また、表示装置100に接続されたマウスを用いて本発明の拡大操作を行う場合には、マウスにて、拡大指定領域の開始点にマウスカーソルを移動し、マウスの左ボタンを押すことによりペンダウン信号を検知し、押した状態で移動するとその期間はペンダウン信号が持続され、拡大指定領域をドラッグして表示することが可能となる。最後に、マウスの左ボタンを解除することにより、ペンアップ信号が作られ、拡大指定領域が確定する。そして、拡大指定領域の大きさにより拡大率が決定され拡大表示が行われる。
【0079】
また、表示装置100に接続されたタブレットでも同様の操作が可能である。
【0080】
以上のように、マウス等のポインティングデバイスを用いても同様の操作が可能となる。
【0081】
本実施例では、背面投射型表示装置の例について示したが、表示装置であれば何れのものでも応用が可能であり、例えば、PDP、LCD、CRT、フロントプロジェクタ等の表示装置でも実施可能である。
【0082】
以上、本発明によれば、ズーム領域を自由に設定することが可能となり、ズームモードの開始および終了時に、表示画面の画質を変えることにより、ズーム操作中であることを直感的に認識することが可能となった。
【0083】
また、本発明によれば、ズーム指定操作においても、ズーム指定領域の内側と外側で画質を変えることにより、ズーム操作中であることや、ズーム指定領域を明確に表示することが可能であるため、操作が判り易い。
【0084】
また、本発明によれば、デジタイザペン等により直接、表示装置の表示画面上に触れて指示を行い、拡大画面の移動操作による操作性を向上し、なおかつ、リモコンやマウス等での操作も可能な表示装置を提供することが可能となった。
【0085】
以上により、本発明では、所望の位置の拡大をスムーズにワンタッチでストレス無く行える。また、拡大画像の全体画像に対する位置も判る。また、拡大モードに入ったことや出たことや拡大領域も判り易くなるため、操作性を改善することが可能となった。
【0086】
また、本発明によれば、ズームモード等の表示モードを備えた表示装置において、表示モードの切換えやズームの指定を使用者に判り易く明示し、誤動作の発生を減少させるとともに、操作性の向上を実現した。
【0087】
また、プレゼン等でも視覚的効果を高めることが可能となった。
【0088】
(実施例2)
図7は第二の実施例におけるズームモード終了時の表示例であり、拡大処理が終了し拡大画面が表示されると、同時に縮小画面および縮小画面内に拡大された画像部分を示す枠の表示を行う例について図1のブロック図を用いて説明する。ズームモード終了時以外の表示は、図5(a)、(b)、(c)、(d)と同じである。
【0089】
縮小画像変換部113では、DSP108より出力された画像を縮小率に応じて、入力画像信号を間引いてメモリ114に書き込むことにより縮小画面を作成する。メモリ114内に記憶された縮小画像をパネル駆動信号に同期して読み出し、セレクタ115により合成することにより、図7に示すように拡大画像の右下に縮小画像が表示される。また、OSD部116により、枠データを作成し、セレクタ117により合成表示する。
【0090】
枠704の表示は、縮小画面の縮小率に応じて、図5(c)の開始点605および終了点608の座標を変換して表示する。
【0091】
図4のフローチャートに従って処理を行い、ステップ9(S9)において、画質変換前の画像で拡大表示を行うと共に、縮小画像変換部113で作成した縮小画像703およびOSD116で作成した拡大領域枠704の表示を行う。
【0092】
また、子画面は、表示画面の正面からみて表示画面の右側下部に表示することが望ましい。
【0093】
本発明によれば、拡大終了後に、縮小画像と縮小画面内に拡大領域を示す枠を拡大画面と同時に表示することにより、全体画面内における拡大領域が認識し易くなる。
【0094】
(実施例3)
実施例1では、拡大モード時に表示画面の明るさを1/2にする例について説明した。しかしながら、画像全体が極端に暗い場合は、明るさを1/2にしても元画像との違いが少なく、拡大モードの開始や拡大指定領域が認識し難い場合がある。本実施例では、その様な画面全体の画像が暗い場合に対応するため、画面全体の明るさを検出するための画質検出部を設け、画質検出部の出力に応じて、画質変換部の変換方法を変えることにより、如何なる画像においても、拡大モードの開始・終了や拡大指定領域が認識し易い表示装置を開発した。
【0095】
図8は本実施例における画質変換部111の構成を示すブロック図である。
【0096】
解像度変換部109より出力された信号は、セレクタ112および画質変換部111に入力され、セレクタ112では、解像度変換部109と画質変換部111の出力信号の何れかを選択して出力する。
【0097】
画質変換部111は、明るさを1/2にする回路901と明るさを2倍にする回路902とセレクタ904および画質検出部903で構成されている。
【0098】
そして、画質変換部111は、画質検出部903の検出結果に応じて、明るさを1/2にするか、明るさを2倍にするかの何れかをセレクタ904により選択して出力する。
【0099】
図9に本発明の処理フローを示す。
【0100】
画質検出部903では、一フレーム毎に入力画像信号を加算することにより、画面全体の平均の明るさを算出する(S91)。平均の明るさが、明るさ20%以下であれば(S92)、セレクタ904にて明るさ2倍回路902の出力を選択し(S93)、明るさが20%より大きければ(S92)、明るさ1/2回路901の出力を選択して出力する(S94)。
【0101】
図10(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、本実施例において、一画面の明るさの平均が20%以下の画像を入力した場合の表示例を示している。図10(a)は標準モードの表示例、図10(b)はズームモード開始時の表示例、図10(c)はズーム領域指定途中の表示例、図10(d)はズーム領域指定終了時の表示例、図10(e)はズームモード終了時の表示例である。拡大操作のフローは、第一の実施例における図4のフローチャートと同様であるが、画面の明るさの平均が20%以下であるため、画質変換部の出力が2倍の明るさに選択され、ズーム開始時に画面全体が2倍の明るさとなり、ズーム領域の指定時にはズーム領域枠外が2倍の明るさで表示される。また、本実施例において、画面の明るさの平均が20%より大きい画像を入力した場合は、画質変換部の出力が1/2の明るさに選択されるため、第一の実施例の図5の場合と同様の表示となる。
【0102】
ここで、しきい値を明るさ20%としたが、これに限るものではなく、表示装置の入出力ガンマ特性や黒諧調の再現性等により、拡大指定領域の内側と画質変換後の画質で表示される拡大指定領域の外側の違いが判別し易い必要があり、また、明るさを反転した場合、明るすぎてまぶしくなることが無いように、黒側のできるだけ小さい値とすることが望ましい。本実施例では、実験的に10%以上かつ20%以下程度の値がしきい値として適当であることが判った。
【0103】
本実施例では、画面の明るさを検知して、拡大モード時の画像や拡大領域枠外の明るさを変える例について示したが、色や解像度等、画質上の違いが認識できれば本発明に応用することが可能である。
【0104】
本実施例では、画質変換部は、明るさを1/2と2倍で選択する構成としたが、乗算器等を用いて乗算係数を変える構成とし任意の明るさを得ることも可能であるし、カラーマトリクス変換回路等を用い、マトリクスの係数を変えることにより、画質により色が変わるようにすることも可能である。また、数画素毎にサンプリングして解像度を粗く、モザイク状に表示することも可能であり、画質を変換する方法としては各種の方法が可能である。
【0105】
以上、本発明によれば、画像の画質に応じて画質変換方法を変えることにより、如何なる画質の画像であっても、拡大モードの開始・終了や拡大指定領域の表示が認識し易くなるという効果がある。
【0106】
(実施例4)
図11(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は本発明の第四の実施例における表示例であり、図11(b)のズームモード開始時の表示方法が実施例1と異なる。
【0107】
本実施例では、図11(b)に示す様に、ズームモードSW205が押され、ズームモードが開始すると、表示画面中央部に拡大領域範囲を示すものと同様な矩形領域1101が表示される。ここで、矩形領域1101の内側は画質変換前の画像で表示され、矩形領域1101の外側は画質変換後の画像で表示される。
【0108】
図4のフローチャートに従って処理を行い、ステップ2(S2)において、矩形領域1101を領域発生部121により発生し、セレクタ112により解像度変換部109の出力と画質変換部111の出力を切換えることにより、矩形領域1101の内側は画質変換前の画像で表示され、矩形領域1101の外側は画質変換後の画像で表示することができる。ステップ3以降は第一の実施例と同様に図4のフローチャートに従い、拡大領域の指定を行う。
【0109】
本発明によれば、ズームモード開始時に、拡大領域範囲を示すものと同様な矩形領域を表示し、矩形領域の内側は画質変換前の画像で表示され、矩形領域の外側は画質変換後の画像で表示されるため、ズームモードを開始したことが、より認識し易くなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第一の実施例による画像表示装置のブロック図
【図2】第一の実施例による背面投射型表示装置
【図3】第一の実施例による投射型表示エンジン
【図4】第一の実施例のフローチャート
【図5】第一の実施例の表示画像例
【図6】第一の実施例による画質変換部の説明図
【図7】第二の実施例の表示画像例
【図8】第三の実施例による画質変換部の説明図
【図9】第三の実施例のフローチャート
【図10】第三の実施例の表示画像例
【図11】第四の実施例の表示画像例
【符号の説明】
【0111】
100 画像表示装置
300 PC
400 PC
500 DVD
3 入力信号処理部
118 D/A
119 パネルドライバ
2 LCDパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインティングデバイスを利用して表示画面内の拡大希望領域を指定し、指定した領域を拡大表示する表示装置において、
入力画像の一部分を変換して拡大画像を出力する拡大処理手段と、
表示装置に表示された画像を指示するポインティング手段と、
入力画像の画質を変換する画質変換手段と、
前記画質変換手段による画質変換後の画像と画質変換前の画像を切換えて出力する画像切換え手段と、
ポインティング手段による入力座標および出力画像の同期信号に応じて切換信号を発生する切換領域発生手段を備え、
ズームモード開始時に、画質変換後の画像を表示する工程と、
ポインティングデバイスにより拡大指定領域が指定されると、前記拡大指定領域内を画質変換前の画像で表示し、前記拡大指定領域外を画質変換後の画像で表示する工程と、
ズームモード終了時に、全体画像に対する前記拡大指定領域の割合に応じて、前記拡大処理手段により拡大処理した画像を画質変換前の画質で拡大して表示する工程とを
備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
更に、表示画面全体の画質を検出する画質検出手段を備え、前記画質検出手段の出力に応じて、前記拡大指定領域外の画質を変えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
更に、入力画像の全体画像を縮小した画像に変換する縮小処理手段を備え、
前記ズームモード終了時に、全体画像に対する指定領域の割合に応じて、前記拡大処理手段により拡大処理した画像を画質変換前の画質で拡大して表示すると共に、前記縮小処理手段により出力される縮小画像を合成して表示する工程とを
備えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
ポインティングデバイスを利用して表示画面内の拡大希望領域を指定し、指定した領域を拡大表示する表示装置の画像表示方法において、
入力画像の一部分を変換して拡大画像を出力する工程と、
表示装置に表示された画像を指示する工程と、
入力画像の画質を変換する工程と、
前記画質変換手段による画質変換後の画像と画質変換前の画像を切換えて出力する工程と、
ポインティング手段による入力座標および出力画像の同期信号に応じて切換信号を発生する工程を備え、
ズームモード開始時に、画質変換後の画像を表示する工程と、
ポインティングデバイスにより拡大指定領域が指定されると、前記拡大指定領域内を画質変換前の画像で表示し、前記拡大指定領域外を画質変換後の画像で表示する工程と、
ズームモード終了時に、全体画像に対する前記拡大指定領域の割合に応じて、前記拡大処理手段により拡大処理した画像を画質変換前の画質で拡大して表示する工程とを
備えることを特徴とする画像表示方法。
【請求項5】
更に、表示画面全体の画質を検出する工程を備え、前記画質検出手段の出力に応じて、前記拡大指定領域外の画質を変えることを特徴とする請求項4に記載の画像表示方法。
【請求項6】
更に、入力画像の全体画像を縮小した画像に変換する工程を備え、
前記ズームモード終了時に、全体画像に対する指定領域の割合に応じて、前記拡大処理工程により拡大処理した画像を画質変換前の画質で拡大して表示すると共に、前記縮小処理手段により出力される縮小画像を合成して表示する工程とを
備えることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−202107(P2006−202107A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14068(P2005−14068)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】