画像表示装置
【課題】低消費電力で、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現する画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置200は、光源210と、光源210から照射される光を回折させる回折光学素子220と、回折光学素子220により回折された回折光を変調する光変調素子230とを含む。画像表示装置200は、所与の回折光学素子制御信号に基づいて回折光学素子220の回折特性が制御される。
【解決手段】画像表示装置200は、光源210と、光源210から照射される光を回折させる回折光学素子220と、回折光学素子220により回折された回折光を変調する光変調素子230とを含む。画像表示装置200は、所与の回折光学素子制御信号に基づいて回折光学素子220の回折特性が制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばレーザー等の光源を用いた投写型画像表示装置(プロジェクタ)が知られている。この種の投写型画像表示装置では、例えばRGBの各色成分のレーザー光を画像信号に応じて輝度変調した後に合成して画像を表示させる。近年の投写型画像表示装置には、上記の方式に限らず、より一層の高解像度や高コントラストが要求されており、ますます高画質化が進んでいる。
【0003】
このような、光源を備えて画像表示装置を行う投写型画像表示装置が解決すべき課題の1つに、光学系を構成する光学素子により生じる光漏れや迷光に起因したコントラストの低下がある。このコントラストの低下を抑える技術は、種々提案されており、例えば特許文献1には、可動式の遮蔽板を備え、光源から光変調素子に照射される光量を調整して、暗い画像を表示する際の光量を絞ってコントラストを擬似的に向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−17500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、画面全体の光量を一律に調整するため、暗い画像内に輝点(光源や光沢のある画像)が存在する場合、輝点の輝度を低下させたり、いわゆる黒浮きを発生させたりするという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現する画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、光源と、前記光源から照射される光を回折させる回折光学素子と、前記回折光学素子により回折された回折光を変調する光変調素子とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて前記回折光学素子の回折特性が制御される画像表示装置に関係する。
【0008】
本発明によれば、光源と光変調素子との間に回折光学素子が設けられ、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、光変調させることで画像を表示させることができるため、光源からの光量を画像内の他の部分に利用して、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現することができるようになる。
【0009】
また、本発明によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度の低下を抑えたり、いわゆる黒浮きの発生を抑えたりすることができる。
【0010】
また本発明は、色成分毎に設けられた複数の光源と、前記複数の光源に共用され、該複数の光源から照射される光を回折させる回折光学素子と、前記色成分毎に設けられ、前記回折光学素子により回折された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて前記回折光学素子の回折特性が制御される画像表示装置に関係する。
【0011】
本発明によれば、光源と光変調素子との間に回折光学素子が設けられ、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、光変調させることで画像を表示させることができるため、光源からの光量を画像内の他の部分に利用して、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現することができるようになる。
【0012】
また、本発明によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度の低下を抑えたり、いわゆる黒浮きの発生を抑えたりすることができる。
【0013】
更に本発明によれば、複数の光源に対して回折光学素子を共用するようにしたので、画像表示装置の部品点数を大幅に削減し、画像表示装置の低コスト化、低消費電力化に寄与できるようになる。
【0014】
本発明に係る画像表示装置では、前記複数の光源の各光源からの光の強度が同一になるように制御され、前記複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御されてもよい。
【0015】
本発明によれば、上記の効果に加えて、光源の強度を揃えるように制御するようにしたので、回折光学素子と光変調素子を用いた画像表示の制御を簡素化できるようになる。
【0016】
また本発明は、色成分毎に設けられた複数の光源と、前記色成分毎に設けられ、各回折光学素子が前記複数の光源の各光源から照射される光を回折させる複数の回折光学素子と、前記色成分毎に設けられ、各光変調素子が前記複数の回折光学素子の各回折光学素子により回折された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて各回折光学素子の回折特性が制御される画像表示装置に関係する。
【0017】
本発明によれば、光源と光変調素子との間に回折光学素子が設けられ、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、光変調させることで画像を表示させることができるため、光源からの光量を画像内の他の部分に利用して、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現することができるようになる。
【0018】
また、本発明によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度の低下を抑えたり、いわゆる黒浮きの発生を抑えたりすることができる。
【0019】
更に本発明によれば、光源毎に回折光学素子を設けるようにしたので、色成分毎に光源の強度を制御でき、各色成分の光源の強度を揃えずに済むため、各色成分の光源の強度を揃えて制御する場合に比べて、無駄に光源の強度を上げることがなくなり、低消費電力化が実現できるようになる。
【0020】
本発明に係る画像表示装置では、前記複数の光源の各光源は、色成分毎に光の強度が制御され、前記複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御されてもよい。
【0021】
本発明によれば、きめ細かく回折光学素子、光変調素子及び光源を制御できるようになるので、より一層の画質の劣化の防止や低消費電力化に寄与できるようになる。
【0022】
本発明に係る画像表示装置では、前記回折光学素子制御信号は、入力画像信号に基づいて生成された信号であってもよい。
【0023】
本発明によれば、入力画像信号に応じた画像を表示する際に、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現する画像表示装置を提供できるようになる。
【0024】
本発明に係る画像表示装置では、前記回折光学素子制御信号は、前記入力画像信号に基づいて算出された前記光源からの光の照明分布に対応した回折パターンを用いて生成されてもよい。
【0025】
本発明によれば、回折光学素子の回折パターンを用いて、画像の暗い部分を表現するために本来は絞られる光源からの光を画像内の他の部分の光として利用するための処理を簡素化できるようになる。
【0026】
本発明に係る画像表示装置では、前記光源は、コヒーレント光を発生させてもよい。
【0027】
本発明によれば、回折光学素子の回折現象を利用するため、コヒーレント光を用いることで表示画像の画質を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図。
【図2】本発明に係る第1の実施形態における画像表示装置の構成例のブロック図。
【図3】第1の実施形態における回折光学素子の模式的な平面図。
【図4】図3の回折光学素子のA−A切断線の断面模式図。
【図5】第1の実施形態における回折光学素子の機能の説明図。
【図6】第1の実施形態における画像処理装置の構成例のブロック図。
【図7】図6の画像処理装置の要部の構成例のブロック図。
【図8】第1の実施形態における画像処理装置の処理例のフロー図。
【図9】第1の実施形態における画像処理装置のハードウェア構成例のブロック図。
【図10】第1の実施形態の変形例における画像処理装置の要部の構成例のブロック図。
【図11】第1の実施形態の変形例における画像処理装置の処理例のフロー図。
【図12】本発明の第2の実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図。
【図13】第2の実施形態における画像処理装置の構成例のブロック図。
【図14】第2の実施形態における画像処理装置の処理例のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0030】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置及びこれを制御する画像処理装置は、例えば次のような画像表示システムに適用される。
【0031】
図1に、本発明の第1の実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図を示す。
【0032】
画像表示システム10は、画像信号生成装置20と、画像処理装置100と、画像表示装置200とを含むことができる。画像信号生成装置20は、画像表示装置200に表示させる画像(コンテンツ)に対応した画像信号を生成し、該画像信号を画像処理装置100の入力画像信号として画像処理装置100に対して出力する。画像処理装置100は、画像信号生成装置20からの画像信号を受け、回折光学素子と光変調素子とを含む画像表示装置200を制御する制御信号を該画像信号に基づいて生成する。画像表示装置200は、光源からの光を回折光学素子により回折させた回折光を光変調素子により変調することで得られる画像を表示する。
【0033】
図2に、本発明に係る第1の実施形態における画像表示装置200の構成例のブロック図を示す。
【0034】
画像表示装置200は、光源210と、光源からの光が照射される回折光学素子220と、回折光学素子220により生成された回折光を変調する光変調素子230とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて回折光学素子220の回折特性が制御される。この回折光学素子制御信号は、画像処理装置100において、画像信号生成装置20からの画像信号(入力画像信号)に基づいて生成される。
【0035】
回折光学素子220には、光源210からの光が入射光として照射されており、回折光学素子制御信号に基づいて指定される輝度分布に、光源210からの光を回折させる機能を有する。このような回折光学素子220としては、例えば透過型の液晶パネルを採用したLC(Liquid Crystal)−CGH(Computer Generated Hologram)がある。この液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)をスイッチング素子として、画像処理装置100からの回折光学素子制御信号により指定される回折パターンに、入射光を回折させる。
【0036】
光変調素子230には、回折光学素子220による回折光が照射されており、画像処理装置100からの画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。このような光変調素子230としては、透過型の液晶パネルにより構成されるライトバルブが採用される。液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコンTFTをスイッチング素子として、画像処理装置100からの画像信号に対応して各画素の光の通過率を変調する。
【0037】
第1の実施形態では、回折光学素子220を設け、光源からの光を回折光学素子220により回折させた回折光を変調させるため、光源210としては、エレクトロルミネセンス効果を利用し、コヒーレント性の高い発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)やコヒーレント性を有するレーザー光源等のコヒーレント光源であることが望ましいが、より好ましくは、コヒーレント光源であることが望ましい。以下では、光源210として、レーザー光を発生させるレーザー光源が採用されるものとして説明する。
【0038】
このような画像表示装置200では、より具体的には、光源210は、RGB色空間の色成分毎に設けられた複数の光源210R、210G、210B(R用光源210R、G用光源210G、B用光源210B)を含み、光変調素子230もまた、RGB色空間の色成分毎に設けられた複数の光変調素子230R、230G、230B(R用光変調素子230R、G用光変調素子230G、B用光変調素子230B)を含む。その一方、回折光学素子220には、複数の光源210R、210G、210Bで共用され、該複数の光源210R、210G、210Bからの光が照射される。
【0039】
R用光源210Rは、RGBの3原色のうちR成分の光の波長を有する赤色のレーザー光を発生させる。G用光源210Gは、RGBの3原色のうちG成分の光の波長を有する緑色のレーザー光を発生させる。B用光源210Bは、RGBの3原色のうちB成分の光の波長を有する青色のレーザー光を発生させる。R用光変調素子230Rは、R用光源210Rからの赤色のレーザー光を回折光学素子220により回折させた回折光を変調する。G用光変調素子230Gは、G用光源210Gからの緑色のレーザー光を回折光学素子220により回折させた回折光を変調する。B用光変調素子230Bは、B用光源210Bからの青色のレーザー光を回折光学素子220により回折させた回折光を変調する。このような構成を採用することで、RGBの3原色の光源に対して1つの回折光学素子220を設けるだけで済み、画像表示装置200の低コスト化を実現できる。
【0040】
図2の画像表示装置200は、更に、ミラー240R、240G、240B、ダイクロイックミラー242、244、ミラー246、248、250、リレーレンズ252、254、平行化レンズ256R、256G、256B、ダイクロイックプリズム258、投射レンズ260を含むことができる。
【0041】
ミラー240Rは、R用光源210Rからの赤色のレーザー光を全反射させて、回折光学素子220に該レーザー光を照射するように導く。ミラー240Gは、G用光源210Gからの緑色のレーザー光を全反射させて、回折光学素子220に該レーザー光を照射するように導く。ミラー240Bは、B用光源210Bからの青色のレーザー光を全反射させて、回折光学素子220に該レーザー光を照射するように導く。回折光学素子220は、光源210R、210G、210Bからのレーザー光を、回折光学素子制御信号により指定された輝度分布に回折させる。
【0042】
ここで、第1の実施形態における回折光学素子220について、図3〜図5を用いて説明する。なお、以下では、回折光学素子220としてLC−CGHが採用されたものとして説明する。
【0043】
図3に、第1の実施形態における回折光学素子220の模式的な平面図を示す。
【0044】
図4に、図3の回折光学素子220のA−A切断線の断面模式図を表す。
【0045】
図5に、第1の実施形態における回折光学素子220の機能の説明図を示す。図5では、回折光学素子220の入射光の照射面の各画素の強度、出射光の出射面の各画素の強度を、それぞれ縦軸に示している。
【0046】
回折光学素子220としてのLC−CGHは、表示画像の画素毎に、透過する光の屈折率を変化させることができる。画像処理装置100は、図3のような画素毎に屈折率を指定する回折パターンに基づいて回折光学素子制御信号を生成する。LC−CGHには、画像処理装置100からの回折光学素子制御信号が供給される。LC−CGHは、回折光学素子制御信号に基づいて画素毎に印加電圧が供給され、各画素を透過する光の屈折率が変わるようになっている。
【0047】
回折パターンは、例えば当該画像の画像信号(輝度成分)を所定の演算処理を行うことで生成される。この演算処理としては、例えば公知の反復フーリエ法がある。画像処理装置100は、画像信号の輝度成分に対して反復フーリエ法を行うことで回折パターンを生成し、該回折パターンに対応した回折光学素子制御信号を生成する。
【0048】
この結果、LC−CGHの画素毎に屈折率が変わり、LC−CGHを透過した出射光に位相差が生じる。このように位相差が生じた出射光が干渉することで、出射光の強度分布が生成される。このため、所望の回折パターンを用意することで、図5に示すように、入射光の強度分布に対して、例えば所定の領域のみ強度を有する等、所定の領域の領域が他の領域に比べて高い強度を有する出射光の強度分布(輝度分布)を得ることができる。
【0049】
この場合、回折光学素子220により入射光を回折させたに過ぎないため、入射光の光量を画像内の他の部分に利用することができるため、光の利用効率を高めることができるようになる。
【0050】
図2に戻って説明を続ける。上記のような機能を有する回折光学素子220による回折光は、ダイクロイックミラー242に照射される。
【0051】
ダイクロイックミラー242は、回折光学素子220による回折光のうち、R成分の色の光を反射して、ミラー246に導くと共に、G成分及びB成分の色の光を透過させる。ミラー246は、ダイクロイックミラー242により反射された光を全反射して平行化レンズ256Rに導く。平行化レンズ256Rは、入射された光を平行光にし、R用光変調素子230Rに出力する。R用光変調素子230Rは、画像処理装置100からの画像信号に基づいて、平行化レンズ256Rからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。
【0052】
ダイクロイックミラー244は、ダイクロイックミラー242を透過した光のうちG成分の光を全反射して平行化レンズ256Gに導くと共に、B成分の色の光を透過させる。平行化レンズ256Gは、入射された光を平行光にし、G用光変調素子230Gに出力する。G用光変調素子230Gは、画像処理装置100からの画像信号に基づいて、平行化レンズ256Gからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。
【0053】
ミラー248は、ダイクロイックミラー244を透過したB成分の光を全反射して、ミラー250に導く。ミラー250は、ミラー248からの光を全反射して、平行化レンズ256Bに導く。平行化レンズ256Bは、入射された光を平行光にし、B用光変調素子230Bに出力する。B用光変調素子230Bは、画像処理装置100からの画像信号に基づいて、平行化レンズ256Bからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。ダイクロイックミラー244を透過したB成分の光の光路長は、他のR成分及びG成分の光の光路長と異なるため、リレーレンズ252、254により、各色成分の光源と光変調素子との間の距離の違いをできるだけ小さくするように補正する。
【0054】
ダイクロイックプリズム258は、光変調素子230R、230G、230Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ260は、出力画像を図示しないスクリーン上に拡大して結像させるレンズである。
【0055】
以上のように、第1の実施形態における画像表示装置200では、光源と光変調素子との間に回折光学素子が設けられる。そのため、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、画像信号により光変調させることで画像を表示させることができ、光源からの光量を画像内の他の部分に利用できるため、光の利用効率を高めることができる。従って、第1の実施形態によれば、画像表示装置200の発熱量を抑えて、部品点数の削減による低コスト化や低消費電力化を図ることができるようになる。
【0056】
また、第1の実施形態によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度の低下を抑えたり、いわゆる黒浮きの発生を抑えたりすることができる。
【0057】
更に、画像表示装置200の表示画像のアスペクト比とコンテンツの画像のアスペクト比との不一致により、画面内の上下部分にいわゆる黒帯部分を設けてコンテンツを表示させる場合があるが、第1の実施形態によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないため、表示する画像によって黒帯部分の輝度が変動してしまうことがない。そのため、本来は一定の輝度で表示すべき部分を画像の変化に応じて輝度が変動する不自然な画像を表示させてしまうという事態を回避できるようになる。
【0058】
更にまた、第1の実施形態によれば、画像の品質を落とすことなく、入力画像信号に応じて光源の出力を最大限に低下させることができ、画質の劣化防止に加えて、画像表示装置の低消費電力化を図ることもできる。
【0059】
次に、上述のように回折光学素子を設けて、絞られた光量を画像内の他の部分に利用させるように制御する、第1の実施形態における画像処理装置100について説明する。
【0060】
図6に、第1の実施形態における画像処理装置100の構成例のブロック図を示す。図6では、画像処理装置100の構成の理解を容易にするために図2の画像表示装置200の要部を合わせて示している。図6において、図1又は図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0061】
画像処理装置100は、図1の画像信号生成装置20によって生成された画像信号を入力画像信号として受け取る。そして、画像処理装置100は、入力画像信号に基づいて、画像表示装置200のR用光変調素子230R、G用光変調素子230G、B用光変調素子230Bを制御する制御信号(画像信号)、画像表示装置200の回折光学素子220を制御する回折光学素子制御信号、画像表示装置200のR用光源210R、G用光源210G、B用光源210Bを制御する制御信号を生成し、画像表示装置200に対して出力する。
【0062】
画像処理装置100は、画像表示装置200の回折光学素子220を制御するための回折光学素子制御部110と、画像表示装置200の光変調素子230(R用光変調素子230R、G用光変調素子230G、B用光変調素子230B)を制御するための光変調素子制御部120とを含む。回折光学素子制御部110は、入力画像信号に基づいて、回折光学素子220の回折特性を制御する回折光学素子制御信号を生成する。光変調素子制御部120は、入力画像信号に基づいて、光変調素子230(R用光変調素子230R、G用光変調素子230G、B用光変調素子230B)の変調特性を制御する。
【0063】
こうすることで、回折光学素子220により、光源からの光を入力画像信号に対応した輝度分布に回折させることができるようになる。そして、この回折させた光を、入力画像信号に基づいて変調することで、画像表示を実現する。これにより、画像の暗い部分を表現するために本来は絞られる光源からの光を、画像内の他の部分の光として利用できるように制御できるようになる。
【0064】
より具体的には、回折光学素子制御部110は、入力画像信号に基づいて回折光学素子220の回折パターンを生成する回折パターン算出部(広義には、回折パターン生成部)112、回折パターンに基づいて回折光学素子220を制御する回折光学素子駆動部114を含み、回折光学素子制御部110は、回折パターンに基づいて回折光学素子220を制御する。回折パターン算出部112は、入力画像信号に対して公知の反復フーリエ法を行うことで回折パターンを生成することができる。
【0065】
これにより、回折光学素子220の回折パターンを用いて、画像の暗い部分を表現するために本来は絞られる光源からの光を画像内の他の部分の光として利用するための処理を簡素化できるようになる。
【0066】
更に具体的には、回折光学素子制御部110は、入力画像信号に基づいて光変調素子に照射する光の理想照明分布(広義には照明分布)を算出する照明分布算出部116を含み、回折パターン算出部112は、この理想照明分布に対応した回折パターンを生成する。即ち、回折パターンは、理想照明分布を実現させるためのパターンである。従って、光変調素子制御部120は、回折パターン算出部112により生成された回折パターンから求められる照明分布に基づいて光変調素子を制御することが望ましい。しかしながら、回折パターンは、後述するように理想照明分布を元に生成されるため、処理の簡素化を目的として、理想照明分布に基づいて光変調素子を制御するようにしてもよい。
【0067】
一方、光変調素子制御部120は、透過率算出部122、光変調素子駆動部124を含む。透過率算出部122は、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bそれぞれの透過率を算出する。透過率算出部122は、入力画像信号の輝度分布と照明分布(理想照明分布又は理想照明分布に対応した回折パターンから求められる実際の照明分布)に基づいて、各光変調素子の透過率を算出する。光変調素子駆動部124は、透過率算出部122で求められた透過率となるように、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bのそれぞれを制御する。
【0068】
更に画像処理装置100は、光源駆動部130を含むことができる。光源駆動部130は、回折光学素子220に照射される光源(R用光源210R、G用光源210G、B用光源210B)からの光の強度を制御する。そして、第1の実施形態では、複数の色成分で1つの回折光学素子220を共用するため、光源駆動部130は、色成分毎に設けられた複数の光源からの光の強度を揃えるように各光源を制御する。
【0069】
画像処理装置100は、更に、ガンマ変換部140、レーザー出力算出部150を含むことができる。
【0070】
ガンマ変換部140は、入力画像信号の信号形式を変換する処理を行う。第1の実施形態では、輝度分布に基づいて、照明分布、透過率及び光源の強度を制御するために、ガンマ変換部140は、例えばRGB形式の入力画像信号を輝度に変換するものとする。ガンマ変換部140のガンマ変換後の画像信号は、光変調素子制御部120、レーザー出力算出部150に出力される。
【0071】
レーザー出力算出部150は、ガンマ変換部140により輝度成分に変換された画像信号に基づいて、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bを構成するレーザー光源の出力を算出する。透過率算出部122は、レーザー出力算出部150により求められた入力画像信号の輝度分布を用いて透過率を求める。また、照明分布算出部116は、レーザー出力算出部150により求められた入力画像信号の輝度分布を用いて、光変調素子に照射される光源からの光の照明分布を算出する。光源駆動部130は、レーザー出力算出部150により求められた入力画像信号の輝度分布に基づいて光源を駆動する。
【0072】
図7に、図6の画像処理装置100の要部の構成例のブロック図を示す。図7において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0073】
図7は、回折パターン算出部112の構成例を表している。回折パターン算出部112は、反復フーリエ演算部180、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)演算部182を含む。反復フーリエ演算部180は、照明分布算出部116により求められた理想照明分布Lideal(x,y)を反復フーリエ演算することで、画素毎に回折パターンH(x,y)を求める。
【0074】
反復フーリエ演算部180により求められた回折パターンH(x,y)は、FFT演算部182及び回折光学素子駆動部114に出力される。
【0075】
FFT演算部182は、反復フーリエ演算部180により求められた回折パターンH(x,y)を用いて、1画面分の回折パターンに対してFFT演算を行うことで、実際の照明分布Lreal(x,y)を求める。実際の照明分布Lreal(x,y)は、透過率算出部122に出力される。透過率算出部122は、実際の照明分布Lreal(x,y)を用いて、光変調素子の透過率を求める。
【0076】
このように、第1の実施形態では、RGBの各色成分で共用される回折光学素子220を設けたため、回折光学素子220に照射される各色成分の光源からの光の強度を一定にし、各色成分の光変調素子で色成分毎に独立に制御するようにしたので、回折光学素子220を色成分毎に設けなくても、画像の暗い部分を表現するために本来は絞られる光源からの光を画像内の他の部分の光として利用する画像表示装置200を制御することができるようになる。
【0077】
次に、図6及び図7の構成を有する画像処理装置100の動作例について説明する。
【0078】
図8に、第1の実施形態における画像処理装置100の処理例のフロー図を示す。
【0079】
まず、画像処理装置100には、画像信号生成装置20によって生成された画像信号が入力画像信号として入力される(ステップS10)。ここでは、入力画像信号がRGB形式の信号であるものとして説明するが、本発明に係る入力画像信号がRGB形式の信号に限定されるものではない。例えば、入力画像信号がRGB形式以外の他の形式の信号である場合、画像処理装置100に入力画像信号が入力された時点で、一旦、RGB形式の信号に変換することで、以下に述べる処理を実現できる。
【0080】
次に、画像処理装置100のガンマ変換部140では、RGB形式の入力画像信号を色成分毎の輝度YR、YG、YBに変換する(ステップS12)。より具体的には、ガンマ変換部140は、次式に従って、画素毎に、各色成分の正規化された輝度YR、YG、YBを求める。
【0081】
【数1】
【0082】
上式において、(x,y)は画像内の画素の座標位置、Rは当該画素のR成分の輝度信号、RmaxはR成分の輝度信号の最大値、γは階調特性を表す定数を示す。なお、γは、画像信号の規格により定められ、R成分、G成分及びB成分で同じ値(通常は1.8〜2.4)となる。このような輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)が、光変調素子制御部120及びレーザー出力算出部150に供給される。
【0083】
続いて、レーザー出力算出部150は、ガンマ変換部140により求められた輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)からR用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの各光源のレーザー出力Pを求める(ステップS14)。より具体的には、レーザー出力算出部150は、次式に従って各光源が同じで、かつ入力画像を表示するために最低限必要な出力となるようにレーザー出力Pを求める。
【0084】
【数2】
【0085】
上式において、Nは入力画像信号の画素数(例えばN=xmax×ymax)、max[]は[]内の最大値を示す。即ち、レーザー出力Pは、各画素についてRGBの中で最も高い輝度の最大値を求め、求めた最大値を画面内で積算して平均した値となる。このため、レーザー出力Pは、0〜1の値となり、回折光学素子制御部110、光変調素子制御部120及び光源駆動部130に出力される。
【0086】
続いて、回折光学素子制御部110の照明分布算出部116において、理想照明分布Lideal(x,y)が求められる(ステップS16)。より具体的には、照明分布算出部116は、次式に従って、画素毎に、レーザー出力P、Ymax(x,y)を用いて、光変調素子に照射する照明分布Lideal(x,y)を求める。
【0087】
【数3】
【0088】
上式により求められた照明分布Lideal(x,y)は、回折パターン算出部112に出力される。
【0089】
回折パターン算出部112は、照明分布Lideal(x,y)から回折パターンH(x,y)を算出する(ステップS18)。より具体的には、回折パターン算出部112は、次式に示すように、照明分布Lideal(x,y)に対して画素毎に反復フーリエ法などの所定の演算処理を行うことで、回折パターンH(x,y)を算出する。
【0090】
【数4】
【0091】
上式では、反復フーリエ法などの所定の演算処理を関数Gで表している。このようにして算出された回折パターンH(x,y)は、回折光学素子駆動部114に出力される。
【0092】
更に、回折パターン算出部112は、ステップS18で求めた回折パターンH(x,y)を用いて、実際の照明分布Lreal(x,y)を求める(ステップS20)。より具体的には、回折パターン算出部112は、次式に示すように、ステップS18で求めた回折パターンH(x,y)を用いて1画面分の回折パターンに対してFFTなどの所定の演算処理を行うことで、実際の照明分布Lreal(x,y)を求める。
【0093】
【数5】
【0094】
上式において、フーリエ変換などの所定の演算処理を1画面の全画素に亘ってFFTを行い、画素毎に実際の照明分布を求める関数をFで表している。こうして求められた実際の照明分布Lreal(x,y)は、透過率算出部122に出力される。
【0095】
次に、光変調素子制御部120の透過率算出部122は、ステップS12で求めた輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)とステップS20で求めた実際の照明分布Lreal(x,y)から、各色成分の光変調素子の透過率TR(x,y)、TG(x,y)、TB(x,y)を求める(ステップS22)。
【0096】
【数6】
【0097】
上式により求められた透過率TR(x,y)、TG(x,y)、TB(x,y)は、光変調素子駆動部124に出力される。
【0098】
そして、光源駆動部130は、ステップS14で求めたレーザー出力Pに基づいて、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bのそれぞれが同じ強度となるように各光源を駆動する(ステップS24)。
【0099】
更に、回折光学素子駆動部114は、ステップS18で求めた回折パターンH(x,y)に基づいて回折光学素子220を制御する回折光学素子制御信号を生成し、回折光学素子220に対して出力する(ステップS26)。これにより、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの各光源から出力された光は、回折光学素子220を透過する際に回折し、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの各光変調素子上で照明分布Lreal(x,y)を実現する。
【0100】
続いて、光変調素子駆動部124は、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの各光変調素子毎に、ステップS22で求めた透過率となるように各光変調素子を駆動する(ステップS28)。これにより、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bに照射された光が変調され、画像が出力される。
【0101】
その後、次に処理すべき入力画像信号があるとき(ステップS30:Y)、ステップS10に戻り処理を継続する。一方、次に処理すべき入力画像信号がないとき(ステップS30:N)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0102】
なお、第1の実施形態における画像処理装置100の処理は、ゲートアレイや専用回路等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア処理により実現してもよい。
【0103】
図9に、第1の実施形態における画像処理装置100のハードウェア構成例のブロック図を示す。
【0104】
図6の画像処理装置100は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:以下、CPU)300、プログラムメモリ310、インターフェース(Interface:以下、I/F)回路320、フレームメモリ330、光変調素子駆動回路340、回折光学素子駆動回路350、光源駆動回路360を含むことができる。画像処理装置100では、バス370を介して、CPU300が、プログラムメモリ310、I/F回路320、フレームメモリ330、光変調素子駆動回路340、回折光学素子駆動回路350及び光源駆動回路360に電気的に接続される。
【0105】
CPU300は、バス370を介して、プログラムメモリ310、I/F回路320、フレームメモリ330、光変調素子駆動回路340、回折光学素子駆動回路350及び光源駆動回路360の各部を制御する。プログラムメモリ310には、CPU300の制御内容に対応したプログラムが格納されている。I/F回路320には、画像信号生成装置20との間のインターフェース処理を行い、入力端子TM1を介して画像信号生成装置20からの画像信号が入力される。フレームメモリ330には、画像信号が格納され、作業用のメモリとしても機能する。
【0106】
光変調素子駆動回路340は、CPU300による制御内容に従って、出力端子TM2を介して画像信号や制御信号を出力してR用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの駆動制御を行う。回折光学素子駆動回路350は、CPU300による制御内容に従って、出力端子TM3を介して制御信号を出力して回折光学素子220の回折特性を制御する。光源駆動回路360は、CPU300による制御内容に従って、出力端子TM4を介して制御信号を出力してR用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの発光強度を変更する制御を行う。
【0107】
このようにプログラムメモリ310には、予め図8に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU300がプログラムメモリ310に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、第1の実施形態における画像処理装置100の処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0108】
なお、第1の実施形態における画像処理装置100は、図6及び図7に示す構成に限定されるものではない。
【0109】
図10に、第1の実施形態の変形例における画像処理装置100の要部の構成例のブロック図を示す。図10において、図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0110】
第1の実施形態の変形例における画像処理装置100の構成は、図6と同様である。但し、図10に示すように、回折パターン算出部112が、反復フーリエ演算部180のみを有し、実際の照明分布Lrealを算出しない。そして、照明分布算出部116により求められた理想照明分布Lidealをそのまま、透過率算出部122に出力するようになっている。透過率算出部122は、照明分布算出部116により求められた理想照明分布Lidealを用いて光変調素子の透過率を算出する。
【0111】
図11に、第1の実施形態の変形例における画像処理装置100の処理例のフロー図を示す。図11において、図8と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0112】
図11の処理が図8の処理と異なる点は、ステップS16において照明分布算出部116が理想照明分布Lideal(x,y)を求めた後、回折パターン算出部112が回折パターンH(x,y)を求め(ステップS19)、透過率算出部112が、理想照明分布Lideal(x,y)を用いて各光変調素子の透過率を算出する(ステップS23)点である。
【0113】
即ち、ステップS16において求められた理想照明分布Lideal(x,y)は、回折パターン算出部112及び透過率算出部122に出力される。そのため、透過率算出部122は、実際の照明分布Lreal(x,y)に代えて理想照明分布Lideal(x,y)を用いて透過率TR(x,y),TG(x,y),TB(x,y)を算出する。
【0114】
このような第1の実施形態の変形例によれば、回折パターン算出部112が反復フーリエ演算部180で求めた回折パターンH(x,y)に対してフーリエ演算を行って実際の照明分布Lreal(x,y)を求めずに済むため、例えば理想照明分布Lideal(x,y)と実際の照明分布Lreal(x,y)との誤差が小さい場合には、画像処理装置100の処理負荷を大幅に軽減できる。
【0115】
以上説明したように、第1の実施形態又はその変形例によれば、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、画像信号により光変調させることで画像を表示させる場合に、光源からの光量を画像内の他の部分に利用できるように制御できるようになる。そのため、画像表示装置200における光の利用効率を高めることができる。従って、第1の実施形態によれば、画像表示装置200の発熱量を抑えて、部品点数の削減による低コスト化や低消費電力化を図ることができる画像処理装置100を提供できるようになる。
【0116】
また、第1の実施形態又はその変形例によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度が低下や、いわゆる黒浮きの発生を抑えるように制御する画像処理装置100を提供できるようになる。
【0117】
更に、画像表示装置200の表示画像のアスペクト比とコンテンツの画像のアスペクト比との不一致により、画面内の上下部分にいわゆる黒帯部分を設けてコンテンツを表示させる場合に、第1の実施形態又はその変形例によれば、表示する画像によって黒帯部分の輝度が変動してしまうことがないように制御できる画像処理装置100を提供できるようになる。
【0118】
更にまた、第1の実施形態又はその変形例によれば、画像の品質を落とすことなく、入力画像信号に応じて光源の出力を最大限に低下させることができ、画質の劣化防止に加えて、画像表示装置の低消費電力化を図ることもできる画像処理装置100を提供できるようになる。
【0119】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、画像表示装置200において、回折光学素子220が、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bに共用されるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0120】
図12に、本発明の第2の実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図を示す。図12において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0121】
第2の実施形態における画像表示装置200aもまた、図1の画像表示装置200に代えて、図1の画像表示システム10に適用できる。第2の実施形態における画像表示装置200aが第1の実施形態における画像表示装置200と異なる点は、第1の実施形態では回折光学素子が複数の色成分で共用して設けられるのに対し、第2の実施形態では回折光学素子が色成分毎に設けられている点である。
【0122】
即ち、画像表示装置200aは、色成分毎に設けられた複数の光源と、色成分毎に設けられ、各回折光学素子が複数の光源の各光源からの光が照射される複数の回折光学素子と、色成分毎に設けられ、各光変調素子が複数の回折光学素子の各回折光学素子により生成された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて各回折光学素子の回折特性が制御される。図12では、複数の光源として、R用の光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bを備え、複数の回折光学素子として、R用回折光学素子220R、G用回折光学素子220G及びB用回折光学素子220Bを備え、複数の光変調素子として、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bを備える。
【0123】
そして、複数の光源の各光源は、色成分毎に光の強度が制御され、複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御される。
【0124】
図12において、R用回折光学素子220Rには、R用光源210Rからの光が入射光として照射されており、(R用)回折光学素子制御信号に基づいて指定される輝度分布に、R用光源210Rからの光を回折させる機能を有する。G用回折光学素子220Gには、G用光源210Gからの光が入射光として照射されており、(G用)回折光学素子制御信号に基づいて指定される輝度分布に、G用光源210Gからの光を回折させる機能を有する。またB用回折光学素子220Bには、B用光源210Bからの光が入射光として照射されており、(B用)回折光学素子制御信号に基づいて指定される輝度分布に、B用光源210Bからの光を回折させる機能を有する。
【0125】
R用回折光学素子220R、G用回折光学素子220G及びB用回折光学素子220Bとしては、例えば液晶パネルを採用したLC−CGHがある。この液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコンTFTをスイッチング素子として、画像処理装置からの回折光学素子制御信号により指定される回折パターンに、入射光を回折させる。
【0126】
R用光変調素子230Rには、R用回折光学素子220Rによる回折光が照射されており、画像処理装置からの(R用)画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。G用光変調素子230Gには、G用回折光学素子220Gによる回折光が照射されており、画像処理装置からの(G用)画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。B用光変調素子230Bには、B用回折光学素子220Bによる回折光が照射されており、画像処理装置からの(B用)画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。
【0127】
R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bとしては、透過型の液晶パネルにより構成されるライトバルブが採用される。液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコンTFTをスイッチング素子として、画像処理装置からの画像信号に対応して各画素の光の通過率を変調する。
【0128】
第2の実施形態においても、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bとしては、エレクトロルミネセンス効果を利用したLEDやレーザー光源等のコヒーレント光源であることが望ましいが、より好ましくは、コヒーレント光源であることが望ましい。
【0129】
図12において、平行化レンズ256Rは、R用回折光学素子220Rによる回折光を平行光にし、R用光変調素子230Rに出力する。R用光変調素子230Rは、画像処理装置からのR用画像信号に基づいて、平行化レンズ256Rからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。平行化レンズ256Gは、G用回折光学素子220Gによる回折光を平行光にし、G用光変調素子230Gに出力する。G用光変調素子230Gは、画像処理装置からのG用画像信号に基づいて、平行化レンズ256Gからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。平行化レンズ256Bは、B用回折光学素子220Bによる回折光を平行光にし、B用光変調素子230Bに出力する。B用光変調素子230Bは、画像処理装置からのB用画像信号に基づいて、平行化レンズ256Bからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。
【0130】
ダイクロイックプリズム258は、光変調素子230R、230G、230Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ260は、出力画像を図示しないスクリーン上に拡大して結像させるレンズである。
【0131】
図13に、第2の実施形態における画像処理装置の構成例のブロック図を示す。図13では、画像処理装置の構成の理解を容易にするために図12の画像表示装置200aの要部を合わせて示している。図13において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0132】
第2の実施形態における画像処理装置100aもまた、図1の画像処理装置100に代えて、図1の画像表示システム10に適用できる。第2の実施形態における画像処理装置100aが第1の実施形態における画像処理装置100と異なる点は、第1の実施形態では回折光学素子が1つであるため光源の強度を各色成分で揃えるように制御していたのに対し、第2の実施形態では、色成分毎に、光源の強度、回折光学素子の回折特性、光変調素子の変調量を制御できる点である。
【0133】
そのため、レーザー出力算出部150aは、色成分毎に、各光源のレーザー出力PR、PG、PBを求めることができる。また、照明分布算出部116aもまた、色成分毎に、理想照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)を求めることができる。更に回折パターン算出部112aもまた、色成分毎に回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を求めることができる。そして、回折光学素子駆動部114aは、回折パターン算出部112aにより色成分毎に求められた回折パターンを用いて、各色成分毎に設けられた回折光学素子の回折特性を制御する。同様に、透過率算出部122aもまた、色成分毎に求められたレーザー出力を用いて、各色成分毎に透過率を算出する。
【0134】
なお、回折パターン算出部112aは、図7と同様の構成を有し、色成分毎に回折パターン、実際の照明分布を求めることができるようになっている。
【0135】
このような第2の実施形態における画像処理装置100aは、回折光学素子に照射される光源からの光の強度を制御する光源駆動部130aを含み、色成分毎に回折光学素子が設けられている場合に、光源駆動部130aは、色成分毎に独立して光源からの光の強度を制御することができる。
【0136】
図14に、第2の実施形態における画像処理装置100aの処理例のフロー図を示す。
【0137】
まず、画像処理装置100aには、画像信号生成装置20によって生成された画像信号が入力画像信号として入力される(ステップS40)。ここでは、入力画像信号がRGB形式の信号であるものとして説明するが、本発明に係る入力画像信号がRGB形式の信号に限定されるものではない。例えば、入力画像信号がRGB形式以外の他の形式の信号である場合、画像処理装置100aに入力画像信号が入力された時点で、一旦、RGB形式の信号に変換することで、以下に述べる処理を実現できる。
【0138】
次に、画像処理装置100aのガンマ変換部140では、RGB形式の入力画像信号を色成分毎の輝度YR、YG、YBに変換する(ステップS42)。より具体的には、ガンマ変換部140は、画素毎に、各色成分の正規化された輝度YR、YG、YBを求める。この処理は、図8のステップS12と同様である。
【0139】
続いて、レーザー出力算出部150aは、ガンマ変換部140により求められた輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)から、色成分毎に、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの各光源のレーザー出力PR、PG、PBを求める(ステップS44)。より具体的には、レーザー出力算出部150aは、次式に従って、色成分毎に、入力画像を表示するために最低限必要な各光源のレーザー出力PR、PG、PBを求める。
【0140】
【数7】
【0141】
上式において、Nは入力画像信号の画素数(例えばN=xmax×ymax)であり、YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)は、ステップS42で求められた各色成分の輝度である。これらのレーザー出力PR、PG、PBは、回折光学素子制御部110a、光変調素子制御部120及び光源駆動部130に出力される。
【0142】
続いて、回折光学素子制御部110aの照明分布算出部116aにおいて、色成分毎に、理想照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)が求められる(ステップS46)。より具体的には、照明分布算出部116aは、次式に従って、色成分毎に、画素単位でレーザー出力PR、PG、PB、YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)を用いて、光変調素子に照射する照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)を求める。照明分布LRideal(x,y)はR用理想照明分布であり、LGideal(x,y)はG用理想照明分布であり、LBideal(x,y)はB用理想照明分布である。
【0143】
【数8】
【0144】
上式により求められた照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)は、回折パターン算出部112aに出力される。
【0145】
続いて、回折パターン算出部112aは、色成分毎に、照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)から回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を算出する(ステップS48)。より具体的には、回折パターン算出部112aは、次式に示すように、照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)に対して画素毎に反復フーリエ法などの所定の演算処理を行うことで、回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を算出する。回折パターンHR(x,y)はR用回折パターン、HG(x,y)はG用回折パターン、HB(x,y)はB用回折パターンである。
【0146】
【数9】
【0147】
上式では、反復フーリエ法などの所定の演算処理を関数Gで表している。このようにして算出された回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)は、回折光学素子駆動部114aに出力される。
【0148】
その後、回折パターン算出部112aは、ステップS48で求めた回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を用いて、実際の照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)を求める(ステップS50)。より具体的には、回折パターン算出部112aは、次式に示すように、ステップS48で求めた回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を用いて1画面分の回折パターンに対してフーリエ変換などの所定の演算処理を行うことで、実際の照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)を求める。照明分布LRreal(x,y)はR用の実際の照明分布、LGreal(x,y)はG用の実際の照明分布、LBreal(x,y)はB用の実際の照明分布である。
【0149】
【数10】
【0150】
上式において、フーリエ変換などの所定の演算処理を1画面の全画素に亘ってFFTを行い、画素毎に実際の照明分布を求める関数をFで表している。こうして求められた実際の照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)は、透過率算出部122aに出力される。
【0151】
次に、光変調素子制御部120の透過率算出部122aは、ステップS42で求めた輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)とステップS50で求めた実際の照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)から、各色成分の光変調素子の透過率TR(x,y)、TG(x,y)、TB(x,y)を求める(ステップS52)。
【0152】
【数11】
【0153】
上式により求められた透過率TR(x,y)、TG(x,y)、TB(x,y)は、光変調素子駆動部124に出力される。
【0154】
そして、光源駆動部130aは、ステップS44で求めたレーザー出力PR、PG、PBに基づいて、色成分毎に、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの強度を制御して各光源を駆動する(ステップS54)。
【0155】
更に、回折光学素子駆動部114aは、ステップS48で求めた回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)に基づいてR用回折光学素子220R、G用回折光学素子220G及びB用回折光学素子220Bを制御する回折光学素子制御信号を生成し、各回折光学素子に対して出力する(ステップS56)。これにより、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの各光源から出力された光は、R用回折光学素子220R、G用回折光学素子220G、B用回折光学素子220Bを透過する際に回折し、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの各光変調素子上で照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)を実現する。
【0156】
続いて、光変調素子駆動部124は、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの各光変調素子毎に、ステップS52で求めた透過率となるように各光変調素子を駆動する(ステップS58)。これにより、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bに照射された光が変調され、画像が出力される。
【0157】
その後、次に処理すべき入力画像信号があるとき(ステップS60:Y)、ステップS40に戻り処理を継続する。一方、次に処理すべき入力画像信号がないとき(ステップS60:N)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0158】
なお、第2の実施形態における画像処理装置100aの処理は、ゲートアレイや専用回路等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア処理により実現してもよい。この場合、第2の実施形態における画像処理装置100aのハードウェア構成例は、図9と同様である。
【0159】
なお、第2の実施形態においても、処理を簡素化するために、図10の構成を採用し、図11に示す処理を実行するようにしてもよい。
【0160】
以上説明した第2の実施形態では、回折光学素子が色成分毎に設けられている。即ち、光源毎に回折光学素子が設けられるようにしたので、光源の強度を色成分毎に制御できるため、各色成分の光源の強度を揃えずに済む。そのため、第1の実施形態の構成と比較すると構成要素が増加するものの、第1の実施形態に比べて、より一層の低消費電力化が実現できる場合がある。
【0161】
以上、本発明に係る画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及びプログラムを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0162】
(1)上記の各実施形態では、画像表示装置を図2又は図12に示す構成であるものとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、回折光学素子と光変調素子とを備える画像表示装置又は該画像表示装置を制御する画像処理装置、画像処理方法、画像処理装置を制御するためのプログラムに適用できる。
【0163】
(2)上記の各実施形態では、回折光学素子が例えばLC−CGHであるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0164】
(3)上記の各実施形態では、光変調素子が例えば透過型の液晶パネルで構成されたライトバルブであるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光変調素子として、透過型の液晶パネル以外のもの、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Cristal On Silicon)等を採用してもよい。
【0165】
(4)上記の各実施形態では、画像処理装置が図6又は図13に示す構成を有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像処理装置は、図6又は図13の全ブロックを備えるものに限定されるものではなく、図6又は図13の画像処理装置の一部が省略された構成を有していてもよい。例えば、図6又は図13の画像処理装置において、ガンマ変換部140が省略されてもよい。
【0166】
(5)上記の各実施形態では、照明分布を求めてから回折パターンを求めるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0167】
(6)上記の各実施形態では、回折パターンを求める方法として反復フーリエ法を用いるものとして説明したが、本発明は回折パターンを求める演算処理方法に限定されるものではない。
【0168】
(7)上記の各実施形態では、回折光学素子制御信号を入力画像信号に基づいて生成するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回折光学素子制御信号を、画像表示装置が投影するスクリーンの形状に基づいて生成するようにしてもよい。
【0169】
(8)上記の各実施形態において、本発明を、画像の暗い部分を表現するために絞られる光源からの光を、この画像の他の部分に利用できるようにする画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及びプログラムとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明を実現するための処理手順が記述されたプログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0170】
10…画像表示システム、20…画像信号生成装置、100,100a…画像処理装置、110,110a…回折光学素子制御部、112,112a…回折パターン算出部、114,114a…回折光学素子駆動部、116,116a…照明分布算出部、120…光変調素子制御部、122,122a…透過率算出部、124…光変調素子駆動部、130,130a…光源駆動部、140…ガンマ変換部、150,150a…レーザー出力算出部、180…反復フーリエ演算部、182…FFT演算部、200,200a…画像表示装置、210…光源、210R…R用光源、210G…G用光源、210B…B用光源、220…回折光学素子、220R…R用回折光学素子、220G…G用回折光学素子、220B…B用回折光学素子、230…光変調素子、230R…R用光変調素子、230G…G用光変調素子、230B…B用光変調素子、240R,240G,240B,246,248,250…ミラー、242,244…ダイクロイックミラー、252,254…リレーレンズ、256R,256G,256B…平行化レンズ、258…ダイクロイックプリズム、260…投射レンズ、300…CPU、310…プログラムメモリ、320…I/F回路、330…フレームメモリ、340…光変調素子駆動回路、350…回折光学素子駆動回路、360…光源駆動回路、370…バス、TM1…入力端子、TM2、TM3、TM4…出力端子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばレーザー等の光源を用いた投写型画像表示装置(プロジェクタ)が知られている。この種の投写型画像表示装置では、例えばRGBの各色成分のレーザー光を画像信号に応じて輝度変調した後に合成して画像を表示させる。近年の投写型画像表示装置には、上記の方式に限らず、より一層の高解像度や高コントラストが要求されており、ますます高画質化が進んでいる。
【0003】
このような、光源を備えて画像表示装置を行う投写型画像表示装置が解決すべき課題の1つに、光学系を構成する光学素子により生じる光漏れや迷光に起因したコントラストの低下がある。このコントラストの低下を抑える技術は、種々提案されており、例えば特許文献1には、可動式の遮蔽板を備え、光源から光変調素子に照射される光量を調整して、暗い画像を表示する際の光量を絞ってコントラストを擬似的に向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−17500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、画面全体の光量を一律に調整するため、暗い画像内に輝点(光源や光沢のある画像)が存在する場合、輝点の輝度を低下させたり、いわゆる黒浮きを発生させたりするという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現する画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、光源と、前記光源から照射される光を回折させる回折光学素子と、前記回折光学素子により回折された回折光を変調する光変調素子とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて前記回折光学素子の回折特性が制御される画像表示装置に関係する。
【0008】
本発明によれば、光源と光変調素子との間に回折光学素子が設けられ、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、光変調させることで画像を表示させることができるため、光源からの光量を画像内の他の部分に利用して、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現することができるようになる。
【0009】
また、本発明によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度の低下を抑えたり、いわゆる黒浮きの発生を抑えたりすることができる。
【0010】
また本発明は、色成分毎に設けられた複数の光源と、前記複数の光源に共用され、該複数の光源から照射される光を回折させる回折光学素子と、前記色成分毎に設けられ、前記回折光学素子により回折された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて前記回折光学素子の回折特性が制御される画像表示装置に関係する。
【0011】
本発明によれば、光源と光変調素子との間に回折光学素子が設けられ、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、光変調させることで画像を表示させることができるため、光源からの光量を画像内の他の部分に利用して、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現することができるようになる。
【0012】
また、本発明によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度の低下を抑えたり、いわゆる黒浮きの発生を抑えたりすることができる。
【0013】
更に本発明によれば、複数の光源に対して回折光学素子を共用するようにしたので、画像表示装置の部品点数を大幅に削減し、画像表示装置の低コスト化、低消費電力化に寄与できるようになる。
【0014】
本発明に係る画像表示装置では、前記複数の光源の各光源からの光の強度が同一になるように制御され、前記複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御されてもよい。
【0015】
本発明によれば、上記の効果に加えて、光源の強度を揃えるように制御するようにしたので、回折光学素子と光変調素子を用いた画像表示の制御を簡素化できるようになる。
【0016】
また本発明は、色成分毎に設けられた複数の光源と、前記色成分毎に設けられ、各回折光学素子が前記複数の光源の各光源から照射される光を回折させる複数の回折光学素子と、前記色成分毎に設けられ、各光変調素子が前記複数の回折光学素子の各回折光学素子により回折された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて各回折光学素子の回折特性が制御される画像表示装置に関係する。
【0017】
本発明によれば、光源と光変調素子との間に回折光学素子が設けられ、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、光変調させることで画像を表示させることができるため、光源からの光量を画像内の他の部分に利用して、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現することができるようになる。
【0018】
また、本発明によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度の低下を抑えたり、いわゆる黒浮きの発生を抑えたりすることができる。
【0019】
更に本発明によれば、光源毎に回折光学素子を設けるようにしたので、色成分毎に光源の強度を制御でき、各色成分の光源の強度を揃えずに済むため、各色成分の光源の強度を揃えて制御する場合に比べて、無駄に光源の強度を上げることがなくなり、低消費電力化が実現できるようになる。
【0020】
本発明に係る画像表示装置では、前記複数の光源の各光源は、色成分毎に光の強度が制御され、前記複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御されてもよい。
【0021】
本発明によれば、きめ細かく回折光学素子、光変調素子及び光源を制御できるようになるので、より一層の画質の劣化の防止や低消費電力化に寄与できるようになる。
【0022】
本発明に係る画像表示装置では、前記回折光学素子制御信号は、入力画像信号に基づいて生成された信号であってもよい。
【0023】
本発明によれば、入力画像信号に応じた画像を表示する際に、輝点を高輝度で表示すると共に暗い画像を低輝度で表示することで高いコントラストを実現する画像表示装置を提供できるようになる。
【0024】
本発明に係る画像表示装置では、前記回折光学素子制御信号は、前記入力画像信号に基づいて算出された前記光源からの光の照明分布に対応した回折パターンを用いて生成されてもよい。
【0025】
本発明によれば、回折光学素子の回折パターンを用いて、画像の暗い部分を表現するために本来は絞られる光源からの光を画像内の他の部分の光として利用するための処理を簡素化できるようになる。
【0026】
本発明に係る画像表示装置では、前記光源は、コヒーレント光を発生させてもよい。
【0027】
本発明によれば、回折光学素子の回折現象を利用するため、コヒーレント光を用いることで表示画像の画質を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図。
【図2】本発明に係る第1の実施形態における画像表示装置の構成例のブロック図。
【図3】第1の実施形態における回折光学素子の模式的な平面図。
【図4】図3の回折光学素子のA−A切断線の断面模式図。
【図5】第1の実施形態における回折光学素子の機能の説明図。
【図6】第1の実施形態における画像処理装置の構成例のブロック図。
【図7】図6の画像処理装置の要部の構成例のブロック図。
【図8】第1の実施形態における画像処理装置の処理例のフロー図。
【図9】第1の実施形態における画像処理装置のハードウェア構成例のブロック図。
【図10】第1の実施形態の変形例における画像処理装置の要部の構成例のブロック図。
【図11】第1の実施形態の変形例における画像処理装置の処理例のフロー図。
【図12】本発明の第2の実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図。
【図13】第2の実施形態における画像処理装置の構成例のブロック図。
【図14】第2の実施形態における画像処理装置の処理例のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0030】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置及びこれを制御する画像処理装置は、例えば次のような画像表示システムに適用される。
【0031】
図1に、本発明の第1の実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図を示す。
【0032】
画像表示システム10は、画像信号生成装置20と、画像処理装置100と、画像表示装置200とを含むことができる。画像信号生成装置20は、画像表示装置200に表示させる画像(コンテンツ)に対応した画像信号を生成し、該画像信号を画像処理装置100の入力画像信号として画像処理装置100に対して出力する。画像処理装置100は、画像信号生成装置20からの画像信号を受け、回折光学素子と光変調素子とを含む画像表示装置200を制御する制御信号を該画像信号に基づいて生成する。画像表示装置200は、光源からの光を回折光学素子により回折させた回折光を光変調素子により変調することで得られる画像を表示する。
【0033】
図2に、本発明に係る第1の実施形態における画像表示装置200の構成例のブロック図を示す。
【0034】
画像表示装置200は、光源210と、光源からの光が照射される回折光学素子220と、回折光学素子220により生成された回折光を変調する光変調素子230とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて回折光学素子220の回折特性が制御される。この回折光学素子制御信号は、画像処理装置100において、画像信号生成装置20からの画像信号(入力画像信号)に基づいて生成される。
【0035】
回折光学素子220には、光源210からの光が入射光として照射されており、回折光学素子制御信号に基づいて指定される輝度分布に、光源210からの光を回折させる機能を有する。このような回折光学素子220としては、例えば透過型の液晶パネルを採用したLC(Liquid Crystal)−CGH(Computer Generated Hologram)がある。この液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)をスイッチング素子として、画像処理装置100からの回折光学素子制御信号により指定される回折パターンに、入射光を回折させる。
【0036】
光変調素子230には、回折光学素子220による回折光が照射されており、画像処理装置100からの画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。このような光変調素子230としては、透過型の液晶パネルにより構成されるライトバルブが採用される。液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコンTFTをスイッチング素子として、画像処理装置100からの画像信号に対応して各画素の光の通過率を変調する。
【0037】
第1の実施形態では、回折光学素子220を設け、光源からの光を回折光学素子220により回折させた回折光を変調させるため、光源210としては、エレクトロルミネセンス効果を利用し、コヒーレント性の高い発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)やコヒーレント性を有するレーザー光源等のコヒーレント光源であることが望ましいが、より好ましくは、コヒーレント光源であることが望ましい。以下では、光源210として、レーザー光を発生させるレーザー光源が採用されるものとして説明する。
【0038】
このような画像表示装置200では、より具体的には、光源210は、RGB色空間の色成分毎に設けられた複数の光源210R、210G、210B(R用光源210R、G用光源210G、B用光源210B)を含み、光変調素子230もまた、RGB色空間の色成分毎に設けられた複数の光変調素子230R、230G、230B(R用光変調素子230R、G用光変調素子230G、B用光変調素子230B)を含む。その一方、回折光学素子220には、複数の光源210R、210G、210Bで共用され、該複数の光源210R、210G、210Bからの光が照射される。
【0039】
R用光源210Rは、RGBの3原色のうちR成分の光の波長を有する赤色のレーザー光を発生させる。G用光源210Gは、RGBの3原色のうちG成分の光の波長を有する緑色のレーザー光を発生させる。B用光源210Bは、RGBの3原色のうちB成分の光の波長を有する青色のレーザー光を発生させる。R用光変調素子230Rは、R用光源210Rからの赤色のレーザー光を回折光学素子220により回折させた回折光を変調する。G用光変調素子230Gは、G用光源210Gからの緑色のレーザー光を回折光学素子220により回折させた回折光を変調する。B用光変調素子230Bは、B用光源210Bからの青色のレーザー光を回折光学素子220により回折させた回折光を変調する。このような構成を採用することで、RGBの3原色の光源に対して1つの回折光学素子220を設けるだけで済み、画像表示装置200の低コスト化を実現できる。
【0040】
図2の画像表示装置200は、更に、ミラー240R、240G、240B、ダイクロイックミラー242、244、ミラー246、248、250、リレーレンズ252、254、平行化レンズ256R、256G、256B、ダイクロイックプリズム258、投射レンズ260を含むことができる。
【0041】
ミラー240Rは、R用光源210Rからの赤色のレーザー光を全反射させて、回折光学素子220に該レーザー光を照射するように導く。ミラー240Gは、G用光源210Gからの緑色のレーザー光を全反射させて、回折光学素子220に該レーザー光を照射するように導く。ミラー240Bは、B用光源210Bからの青色のレーザー光を全反射させて、回折光学素子220に該レーザー光を照射するように導く。回折光学素子220は、光源210R、210G、210Bからのレーザー光を、回折光学素子制御信号により指定された輝度分布に回折させる。
【0042】
ここで、第1の実施形態における回折光学素子220について、図3〜図5を用いて説明する。なお、以下では、回折光学素子220としてLC−CGHが採用されたものとして説明する。
【0043】
図3に、第1の実施形態における回折光学素子220の模式的な平面図を示す。
【0044】
図4に、図3の回折光学素子220のA−A切断線の断面模式図を表す。
【0045】
図5に、第1の実施形態における回折光学素子220の機能の説明図を示す。図5では、回折光学素子220の入射光の照射面の各画素の強度、出射光の出射面の各画素の強度を、それぞれ縦軸に示している。
【0046】
回折光学素子220としてのLC−CGHは、表示画像の画素毎に、透過する光の屈折率を変化させることができる。画像処理装置100は、図3のような画素毎に屈折率を指定する回折パターンに基づいて回折光学素子制御信号を生成する。LC−CGHには、画像処理装置100からの回折光学素子制御信号が供給される。LC−CGHは、回折光学素子制御信号に基づいて画素毎に印加電圧が供給され、各画素を透過する光の屈折率が変わるようになっている。
【0047】
回折パターンは、例えば当該画像の画像信号(輝度成分)を所定の演算処理を行うことで生成される。この演算処理としては、例えば公知の反復フーリエ法がある。画像処理装置100は、画像信号の輝度成分に対して反復フーリエ法を行うことで回折パターンを生成し、該回折パターンに対応した回折光学素子制御信号を生成する。
【0048】
この結果、LC−CGHの画素毎に屈折率が変わり、LC−CGHを透過した出射光に位相差が生じる。このように位相差が生じた出射光が干渉することで、出射光の強度分布が生成される。このため、所望の回折パターンを用意することで、図5に示すように、入射光の強度分布に対して、例えば所定の領域のみ強度を有する等、所定の領域の領域が他の領域に比べて高い強度を有する出射光の強度分布(輝度分布)を得ることができる。
【0049】
この場合、回折光学素子220により入射光を回折させたに過ぎないため、入射光の光量を画像内の他の部分に利用することができるため、光の利用効率を高めることができるようになる。
【0050】
図2に戻って説明を続ける。上記のような機能を有する回折光学素子220による回折光は、ダイクロイックミラー242に照射される。
【0051】
ダイクロイックミラー242は、回折光学素子220による回折光のうち、R成分の色の光を反射して、ミラー246に導くと共に、G成分及びB成分の色の光を透過させる。ミラー246は、ダイクロイックミラー242により反射された光を全反射して平行化レンズ256Rに導く。平行化レンズ256Rは、入射された光を平行光にし、R用光変調素子230Rに出力する。R用光変調素子230Rは、画像処理装置100からの画像信号に基づいて、平行化レンズ256Rからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。
【0052】
ダイクロイックミラー244は、ダイクロイックミラー242を透過した光のうちG成分の光を全反射して平行化レンズ256Gに導くと共に、B成分の色の光を透過させる。平行化レンズ256Gは、入射された光を平行光にし、G用光変調素子230Gに出力する。G用光変調素子230Gは、画像処理装置100からの画像信号に基づいて、平行化レンズ256Gからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。
【0053】
ミラー248は、ダイクロイックミラー244を透過したB成分の光を全反射して、ミラー250に導く。ミラー250は、ミラー248からの光を全反射して、平行化レンズ256Bに導く。平行化レンズ256Bは、入射された光を平行光にし、B用光変調素子230Bに出力する。B用光変調素子230Bは、画像処理装置100からの画像信号に基づいて、平行化レンズ256Bからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。ダイクロイックミラー244を透過したB成分の光の光路長は、他のR成分及びG成分の光の光路長と異なるため、リレーレンズ252、254により、各色成分の光源と光変調素子との間の距離の違いをできるだけ小さくするように補正する。
【0054】
ダイクロイックプリズム258は、光変調素子230R、230G、230Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ260は、出力画像を図示しないスクリーン上に拡大して結像させるレンズである。
【0055】
以上のように、第1の実施形態における画像表示装置200では、光源と光変調素子との間に回折光学素子が設けられる。そのため、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、画像信号により光変調させることで画像を表示させることができ、光源からの光量を画像内の他の部分に利用できるため、光の利用効率を高めることができる。従って、第1の実施形態によれば、画像表示装置200の発熱量を抑えて、部品点数の削減による低コスト化や低消費電力化を図ることができるようになる。
【0056】
また、第1の実施形態によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度の低下を抑えたり、いわゆる黒浮きの発生を抑えたりすることができる。
【0057】
更に、画像表示装置200の表示画像のアスペクト比とコンテンツの画像のアスペクト比との不一致により、画面内の上下部分にいわゆる黒帯部分を設けてコンテンツを表示させる場合があるが、第1の実施形態によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないため、表示する画像によって黒帯部分の輝度が変動してしまうことがない。そのため、本来は一定の輝度で表示すべき部分を画像の変化に応じて輝度が変動する不自然な画像を表示させてしまうという事態を回避できるようになる。
【0058】
更にまた、第1の実施形態によれば、画像の品質を落とすことなく、入力画像信号に応じて光源の出力を最大限に低下させることができ、画質の劣化防止に加えて、画像表示装置の低消費電力化を図ることもできる。
【0059】
次に、上述のように回折光学素子を設けて、絞られた光量を画像内の他の部分に利用させるように制御する、第1の実施形態における画像処理装置100について説明する。
【0060】
図6に、第1の実施形態における画像処理装置100の構成例のブロック図を示す。図6では、画像処理装置100の構成の理解を容易にするために図2の画像表示装置200の要部を合わせて示している。図6において、図1又は図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0061】
画像処理装置100は、図1の画像信号生成装置20によって生成された画像信号を入力画像信号として受け取る。そして、画像処理装置100は、入力画像信号に基づいて、画像表示装置200のR用光変調素子230R、G用光変調素子230G、B用光変調素子230Bを制御する制御信号(画像信号)、画像表示装置200の回折光学素子220を制御する回折光学素子制御信号、画像表示装置200のR用光源210R、G用光源210G、B用光源210Bを制御する制御信号を生成し、画像表示装置200に対して出力する。
【0062】
画像処理装置100は、画像表示装置200の回折光学素子220を制御するための回折光学素子制御部110と、画像表示装置200の光変調素子230(R用光変調素子230R、G用光変調素子230G、B用光変調素子230B)を制御するための光変調素子制御部120とを含む。回折光学素子制御部110は、入力画像信号に基づいて、回折光学素子220の回折特性を制御する回折光学素子制御信号を生成する。光変調素子制御部120は、入力画像信号に基づいて、光変調素子230(R用光変調素子230R、G用光変調素子230G、B用光変調素子230B)の変調特性を制御する。
【0063】
こうすることで、回折光学素子220により、光源からの光を入力画像信号に対応した輝度分布に回折させることができるようになる。そして、この回折させた光を、入力画像信号に基づいて変調することで、画像表示を実現する。これにより、画像の暗い部分を表現するために本来は絞られる光源からの光を、画像内の他の部分の光として利用できるように制御できるようになる。
【0064】
より具体的には、回折光学素子制御部110は、入力画像信号に基づいて回折光学素子220の回折パターンを生成する回折パターン算出部(広義には、回折パターン生成部)112、回折パターンに基づいて回折光学素子220を制御する回折光学素子駆動部114を含み、回折光学素子制御部110は、回折パターンに基づいて回折光学素子220を制御する。回折パターン算出部112は、入力画像信号に対して公知の反復フーリエ法を行うことで回折パターンを生成することができる。
【0065】
これにより、回折光学素子220の回折パターンを用いて、画像の暗い部分を表現するために本来は絞られる光源からの光を画像内の他の部分の光として利用するための処理を簡素化できるようになる。
【0066】
更に具体的には、回折光学素子制御部110は、入力画像信号に基づいて光変調素子に照射する光の理想照明分布(広義には照明分布)を算出する照明分布算出部116を含み、回折パターン算出部112は、この理想照明分布に対応した回折パターンを生成する。即ち、回折パターンは、理想照明分布を実現させるためのパターンである。従って、光変調素子制御部120は、回折パターン算出部112により生成された回折パターンから求められる照明分布に基づいて光変調素子を制御することが望ましい。しかしながら、回折パターンは、後述するように理想照明分布を元に生成されるため、処理の簡素化を目的として、理想照明分布に基づいて光変調素子を制御するようにしてもよい。
【0067】
一方、光変調素子制御部120は、透過率算出部122、光変調素子駆動部124を含む。透過率算出部122は、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bそれぞれの透過率を算出する。透過率算出部122は、入力画像信号の輝度分布と照明分布(理想照明分布又は理想照明分布に対応した回折パターンから求められる実際の照明分布)に基づいて、各光変調素子の透過率を算出する。光変調素子駆動部124は、透過率算出部122で求められた透過率となるように、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bのそれぞれを制御する。
【0068】
更に画像処理装置100は、光源駆動部130を含むことができる。光源駆動部130は、回折光学素子220に照射される光源(R用光源210R、G用光源210G、B用光源210B)からの光の強度を制御する。そして、第1の実施形態では、複数の色成分で1つの回折光学素子220を共用するため、光源駆動部130は、色成分毎に設けられた複数の光源からの光の強度を揃えるように各光源を制御する。
【0069】
画像処理装置100は、更に、ガンマ変換部140、レーザー出力算出部150を含むことができる。
【0070】
ガンマ変換部140は、入力画像信号の信号形式を変換する処理を行う。第1の実施形態では、輝度分布に基づいて、照明分布、透過率及び光源の強度を制御するために、ガンマ変換部140は、例えばRGB形式の入力画像信号を輝度に変換するものとする。ガンマ変換部140のガンマ変換後の画像信号は、光変調素子制御部120、レーザー出力算出部150に出力される。
【0071】
レーザー出力算出部150は、ガンマ変換部140により輝度成分に変換された画像信号に基づいて、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bを構成するレーザー光源の出力を算出する。透過率算出部122は、レーザー出力算出部150により求められた入力画像信号の輝度分布を用いて透過率を求める。また、照明分布算出部116は、レーザー出力算出部150により求められた入力画像信号の輝度分布を用いて、光変調素子に照射される光源からの光の照明分布を算出する。光源駆動部130は、レーザー出力算出部150により求められた入力画像信号の輝度分布に基づいて光源を駆動する。
【0072】
図7に、図6の画像処理装置100の要部の構成例のブロック図を示す。図7において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0073】
図7は、回折パターン算出部112の構成例を表している。回折パターン算出部112は、反復フーリエ演算部180、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)演算部182を含む。反復フーリエ演算部180は、照明分布算出部116により求められた理想照明分布Lideal(x,y)を反復フーリエ演算することで、画素毎に回折パターンH(x,y)を求める。
【0074】
反復フーリエ演算部180により求められた回折パターンH(x,y)は、FFT演算部182及び回折光学素子駆動部114に出力される。
【0075】
FFT演算部182は、反復フーリエ演算部180により求められた回折パターンH(x,y)を用いて、1画面分の回折パターンに対してFFT演算を行うことで、実際の照明分布Lreal(x,y)を求める。実際の照明分布Lreal(x,y)は、透過率算出部122に出力される。透過率算出部122は、実際の照明分布Lreal(x,y)を用いて、光変調素子の透過率を求める。
【0076】
このように、第1の実施形態では、RGBの各色成分で共用される回折光学素子220を設けたため、回折光学素子220に照射される各色成分の光源からの光の強度を一定にし、各色成分の光変調素子で色成分毎に独立に制御するようにしたので、回折光学素子220を色成分毎に設けなくても、画像の暗い部分を表現するために本来は絞られる光源からの光を画像内の他の部分の光として利用する画像表示装置200を制御することができるようになる。
【0077】
次に、図6及び図7の構成を有する画像処理装置100の動作例について説明する。
【0078】
図8に、第1の実施形態における画像処理装置100の処理例のフロー図を示す。
【0079】
まず、画像処理装置100には、画像信号生成装置20によって生成された画像信号が入力画像信号として入力される(ステップS10)。ここでは、入力画像信号がRGB形式の信号であるものとして説明するが、本発明に係る入力画像信号がRGB形式の信号に限定されるものではない。例えば、入力画像信号がRGB形式以外の他の形式の信号である場合、画像処理装置100に入力画像信号が入力された時点で、一旦、RGB形式の信号に変換することで、以下に述べる処理を実現できる。
【0080】
次に、画像処理装置100のガンマ変換部140では、RGB形式の入力画像信号を色成分毎の輝度YR、YG、YBに変換する(ステップS12)。より具体的には、ガンマ変換部140は、次式に従って、画素毎に、各色成分の正規化された輝度YR、YG、YBを求める。
【0081】
【数1】
【0082】
上式において、(x,y)は画像内の画素の座標位置、Rは当該画素のR成分の輝度信号、RmaxはR成分の輝度信号の最大値、γは階調特性を表す定数を示す。なお、γは、画像信号の規格により定められ、R成分、G成分及びB成分で同じ値(通常は1.8〜2.4)となる。このような輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)が、光変調素子制御部120及びレーザー出力算出部150に供給される。
【0083】
続いて、レーザー出力算出部150は、ガンマ変換部140により求められた輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)からR用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの各光源のレーザー出力Pを求める(ステップS14)。より具体的には、レーザー出力算出部150は、次式に従って各光源が同じで、かつ入力画像を表示するために最低限必要な出力となるようにレーザー出力Pを求める。
【0084】
【数2】
【0085】
上式において、Nは入力画像信号の画素数(例えばN=xmax×ymax)、max[]は[]内の最大値を示す。即ち、レーザー出力Pは、各画素についてRGBの中で最も高い輝度の最大値を求め、求めた最大値を画面内で積算して平均した値となる。このため、レーザー出力Pは、0〜1の値となり、回折光学素子制御部110、光変調素子制御部120及び光源駆動部130に出力される。
【0086】
続いて、回折光学素子制御部110の照明分布算出部116において、理想照明分布Lideal(x,y)が求められる(ステップS16)。より具体的には、照明分布算出部116は、次式に従って、画素毎に、レーザー出力P、Ymax(x,y)を用いて、光変調素子に照射する照明分布Lideal(x,y)を求める。
【0087】
【数3】
【0088】
上式により求められた照明分布Lideal(x,y)は、回折パターン算出部112に出力される。
【0089】
回折パターン算出部112は、照明分布Lideal(x,y)から回折パターンH(x,y)を算出する(ステップS18)。より具体的には、回折パターン算出部112は、次式に示すように、照明分布Lideal(x,y)に対して画素毎に反復フーリエ法などの所定の演算処理を行うことで、回折パターンH(x,y)を算出する。
【0090】
【数4】
【0091】
上式では、反復フーリエ法などの所定の演算処理を関数Gで表している。このようにして算出された回折パターンH(x,y)は、回折光学素子駆動部114に出力される。
【0092】
更に、回折パターン算出部112は、ステップS18で求めた回折パターンH(x,y)を用いて、実際の照明分布Lreal(x,y)を求める(ステップS20)。より具体的には、回折パターン算出部112は、次式に示すように、ステップS18で求めた回折パターンH(x,y)を用いて1画面分の回折パターンに対してFFTなどの所定の演算処理を行うことで、実際の照明分布Lreal(x,y)を求める。
【0093】
【数5】
【0094】
上式において、フーリエ変換などの所定の演算処理を1画面の全画素に亘ってFFTを行い、画素毎に実際の照明分布を求める関数をFで表している。こうして求められた実際の照明分布Lreal(x,y)は、透過率算出部122に出力される。
【0095】
次に、光変調素子制御部120の透過率算出部122は、ステップS12で求めた輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)とステップS20で求めた実際の照明分布Lreal(x,y)から、各色成分の光変調素子の透過率TR(x,y)、TG(x,y)、TB(x,y)を求める(ステップS22)。
【0096】
【数6】
【0097】
上式により求められた透過率TR(x,y)、TG(x,y)、TB(x,y)は、光変調素子駆動部124に出力される。
【0098】
そして、光源駆動部130は、ステップS14で求めたレーザー出力Pに基づいて、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bのそれぞれが同じ強度となるように各光源を駆動する(ステップS24)。
【0099】
更に、回折光学素子駆動部114は、ステップS18で求めた回折パターンH(x,y)に基づいて回折光学素子220を制御する回折光学素子制御信号を生成し、回折光学素子220に対して出力する(ステップS26)。これにより、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの各光源から出力された光は、回折光学素子220を透過する際に回折し、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの各光変調素子上で照明分布Lreal(x,y)を実現する。
【0100】
続いて、光変調素子駆動部124は、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの各光変調素子毎に、ステップS22で求めた透過率となるように各光変調素子を駆動する(ステップS28)。これにより、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bに照射された光が変調され、画像が出力される。
【0101】
その後、次に処理すべき入力画像信号があるとき(ステップS30:Y)、ステップS10に戻り処理を継続する。一方、次に処理すべき入力画像信号がないとき(ステップS30:N)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0102】
なお、第1の実施形態における画像処理装置100の処理は、ゲートアレイや専用回路等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア処理により実現してもよい。
【0103】
図9に、第1の実施形態における画像処理装置100のハードウェア構成例のブロック図を示す。
【0104】
図6の画像処理装置100は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:以下、CPU)300、プログラムメモリ310、インターフェース(Interface:以下、I/F)回路320、フレームメモリ330、光変調素子駆動回路340、回折光学素子駆動回路350、光源駆動回路360を含むことができる。画像処理装置100では、バス370を介して、CPU300が、プログラムメモリ310、I/F回路320、フレームメモリ330、光変調素子駆動回路340、回折光学素子駆動回路350及び光源駆動回路360に電気的に接続される。
【0105】
CPU300は、バス370を介して、プログラムメモリ310、I/F回路320、フレームメモリ330、光変調素子駆動回路340、回折光学素子駆動回路350及び光源駆動回路360の各部を制御する。プログラムメモリ310には、CPU300の制御内容に対応したプログラムが格納されている。I/F回路320には、画像信号生成装置20との間のインターフェース処理を行い、入力端子TM1を介して画像信号生成装置20からの画像信号が入力される。フレームメモリ330には、画像信号が格納され、作業用のメモリとしても機能する。
【0106】
光変調素子駆動回路340は、CPU300による制御内容に従って、出力端子TM2を介して画像信号や制御信号を出力してR用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの駆動制御を行う。回折光学素子駆動回路350は、CPU300による制御内容に従って、出力端子TM3を介して制御信号を出力して回折光学素子220の回折特性を制御する。光源駆動回路360は、CPU300による制御内容に従って、出力端子TM4を介して制御信号を出力してR用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの発光強度を変更する制御を行う。
【0107】
このようにプログラムメモリ310には、予め図8に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU300がプログラムメモリ310に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、第1の実施形態における画像処理装置100の処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0108】
なお、第1の実施形態における画像処理装置100は、図6及び図7に示す構成に限定されるものではない。
【0109】
図10に、第1の実施形態の変形例における画像処理装置100の要部の構成例のブロック図を示す。図10において、図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0110】
第1の実施形態の変形例における画像処理装置100の構成は、図6と同様である。但し、図10に示すように、回折パターン算出部112が、反復フーリエ演算部180のみを有し、実際の照明分布Lrealを算出しない。そして、照明分布算出部116により求められた理想照明分布Lidealをそのまま、透過率算出部122に出力するようになっている。透過率算出部122は、照明分布算出部116により求められた理想照明分布Lidealを用いて光変調素子の透過率を算出する。
【0111】
図11に、第1の実施形態の変形例における画像処理装置100の処理例のフロー図を示す。図11において、図8と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0112】
図11の処理が図8の処理と異なる点は、ステップS16において照明分布算出部116が理想照明分布Lideal(x,y)を求めた後、回折パターン算出部112が回折パターンH(x,y)を求め(ステップS19)、透過率算出部112が、理想照明分布Lideal(x,y)を用いて各光変調素子の透過率を算出する(ステップS23)点である。
【0113】
即ち、ステップS16において求められた理想照明分布Lideal(x,y)は、回折パターン算出部112及び透過率算出部122に出力される。そのため、透過率算出部122は、実際の照明分布Lreal(x,y)に代えて理想照明分布Lideal(x,y)を用いて透過率TR(x,y),TG(x,y),TB(x,y)を算出する。
【0114】
このような第1の実施形態の変形例によれば、回折パターン算出部112が反復フーリエ演算部180で求めた回折パターンH(x,y)に対してフーリエ演算を行って実際の照明分布Lreal(x,y)を求めずに済むため、例えば理想照明分布Lideal(x,y)と実際の照明分布Lreal(x,y)との誤差が小さい場合には、画像処理装置100の処理負荷を大幅に軽減できる。
【0115】
以上説明したように、第1の実施形態又はその変形例によれば、光源からの光を所望の輝度分布に回折させた回折光を、画像信号により光変調させることで画像を表示させる場合に、光源からの光量を画像内の他の部分に利用できるように制御できるようになる。そのため、画像表示装置200における光の利用効率を高めることができる。従って、第1の実施形態によれば、画像表示装置200の発熱量を抑えて、部品点数の削減による低コスト化や低消費電力化を図ることができる画像処理装置100を提供できるようになる。
【0116】
また、第1の実施形態又はその変形例によれば、画面全体の光量を一律に調整することがないので、例えば画像内に輝点(光源や光沢部分)が存在する場合でも、輝点の輝度が低下や、いわゆる黒浮きの発生を抑えるように制御する画像処理装置100を提供できるようになる。
【0117】
更に、画像表示装置200の表示画像のアスペクト比とコンテンツの画像のアスペクト比との不一致により、画面内の上下部分にいわゆる黒帯部分を設けてコンテンツを表示させる場合に、第1の実施形態又はその変形例によれば、表示する画像によって黒帯部分の輝度が変動してしまうことがないように制御できる画像処理装置100を提供できるようになる。
【0118】
更にまた、第1の実施形態又はその変形例によれば、画像の品質を落とすことなく、入力画像信号に応じて光源の出力を最大限に低下させることができ、画質の劣化防止に加えて、画像表示装置の低消費電力化を図ることもできる画像処理装置100を提供できるようになる。
【0119】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、画像表示装置200において、回折光学素子220が、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bに共用されるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0120】
図12に、本発明の第2の実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図を示す。図12において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0121】
第2の実施形態における画像表示装置200aもまた、図1の画像表示装置200に代えて、図1の画像表示システム10に適用できる。第2の実施形態における画像表示装置200aが第1の実施形態における画像表示装置200と異なる点は、第1の実施形態では回折光学素子が複数の色成分で共用して設けられるのに対し、第2の実施形態では回折光学素子が色成分毎に設けられている点である。
【0122】
即ち、画像表示装置200aは、色成分毎に設けられた複数の光源と、色成分毎に設けられ、各回折光学素子が複数の光源の各光源からの光が照射される複数の回折光学素子と、色成分毎に設けられ、各光変調素子が複数の回折光学素子の各回折光学素子により生成された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、所与の回折光学素子制御信号に基づいて各回折光学素子の回折特性が制御される。図12では、複数の光源として、R用の光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bを備え、複数の回折光学素子として、R用回折光学素子220R、G用回折光学素子220G及びB用回折光学素子220Bを備え、複数の光変調素子として、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bを備える。
【0123】
そして、複数の光源の各光源は、色成分毎に光の強度が制御され、複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御される。
【0124】
図12において、R用回折光学素子220Rには、R用光源210Rからの光が入射光として照射されており、(R用)回折光学素子制御信号に基づいて指定される輝度分布に、R用光源210Rからの光を回折させる機能を有する。G用回折光学素子220Gには、G用光源210Gからの光が入射光として照射されており、(G用)回折光学素子制御信号に基づいて指定される輝度分布に、G用光源210Gからの光を回折させる機能を有する。またB用回折光学素子220Bには、B用光源210Bからの光が入射光として照射されており、(B用)回折光学素子制御信号に基づいて指定される輝度分布に、B用光源210Bからの光を回折させる機能を有する。
【0125】
R用回折光学素子220R、G用回折光学素子220G及びB用回折光学素子220Bとしては、例えば液晶パネルを採用したLC−CGHがある。この液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコンTFTをスイッチング素子として、画像処理装置からの回折光学素子制御信号により指定される回折パターンに、入射光を回折させる。
【0126】
R用光変調素子230Rには、R用回折光学素子220Rによる回折光が照射されており、画像処理装置からの(R用)画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。G用光変調素子230Gには、G用回折光学素子220Gによる回折光が照射されており、画像処理装置からの(G用)画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。B用光変調素子230Bには、B用回折光学素子220Bによる回折光が照射されており、画像処理装置からの(B用)画像信号に基づいて、画素毎に光の通過率(透過率、変調率)を変調する。
【0127】
R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bとしては、透過型の液晶パネルにより構成されるライトバルブが採用される。液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコンTFTをスイッチング素子として、画像処理装置からの画像信号に対応して各画素の光の通過率を変調する。
【0128】
第2の実施形態においても、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bとしては、エレクトロルミネセンス効果を利用したLEDやレーザー光源等のコヒーレント光源であることが望ましいが、より好ましくは、コヒーレント光源であることが望ましい。
【0129】
図12において、平行化レンズ256Rは、R用回折光学素子220Rによる回折光を平行光にし、R用光変調素子230Rに出力する。R用光変調素子230Rは、画像処理装置からのR用画像信号に基づいて、平行化レンズ256Rからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。平行化レンズ256Gは、G用回折光学素子220Gによる回折光を平行光にし、G用光変調素子230Gに出力する。G用光変調素子230Gは、画像処理装置からのG用画像信号に基づいて、平行化レンズ256Gからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。平行化レンズ256Bは、B用回折光学素子220Bによる回折光を平行光にし、B用光変調素子230Bに出力する。B用光変調素子230Bは、画像処理装置からのB用画像信号に基づいて、平行化レンズ256Bからの平行光を光変調して、ダイクロイックプリズム258に出力する。
【0130】
ダイクロイックプリズム258は、光変調素子230R、230G、230Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ260は、出力画像を図示しないスクリーン上に拡大して結像させるレンズである。
【0131】
図13に、第2の実施形態における画像処理装置の構成例のブロック図を示す。図13では、画像処理装置の構成の理解を容易にするために図12の画像表示装置200aの要部を合わせて示している。図13において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0132】
第2の実施形態における画像処理装置100aもまた、図1の画像処理装置100に代えて、図1の画像表示システム10に適用できる。第2の実施形態における画像処理装置100aが第1の実施形態における画像処理装置100と異なる点は、第1の実施形態では回折光学素子が1つであるため光源の強度を各色成分で揃えるように制御していたのに対し、第2の実施形態では、色成分毎に、光源の強度、回折光学素子の回折特性、光変調素子の変調量を制御できる点である。
【0133】
そのため、レーザー出力算出部150aは、色成分毎に、各光源のレーザー出力PR、PG、PBを求めることができる。また、照明分布算出部116aもまた、色成分毎に、理想照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)を求めることができる。更に回折パターン算出部112aもまた、色成分毎に回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を求めることができる。そして、回折光学素子駆動部114aは、回折パターン算出部112aにより色成分毎に求められた回折パターンを用いて、各色成分毎に設けられた回折光学素子の回折特性を制御する。同様に、透過率算出部122aもまた、色成分毎に求められたレーザー出力を用いて、各色成分毎に透過率を算出する。
【0134】
なお、回折パターン算出部112aは、図7と同様の構成を有し、色成分毎に回折パターン、実際の照明分布を求めることができるようになっている。
【0135】
このような第2の実施形態における画像処理装置100aは、回折光学素子に照射される光源からの光の強度を制御する光源駆動部130aを含み、色成分毎に回折光学素子が設けられている場合に、光源駆動部130aは、色成分毎に独立して光源からの光の強度を制御することができる。
【0136】
図14に、第2の実施形態における画像処理装置100aの処理例のフロー図を示す。
【0137】
まず、画像処理装置100aには、画像信号生成装置20によって生成された画像信号が入力画像信号として入力される(ステップS40)。ここでは、入力画像信号がRGB形式の信号であるものとして説明するが、本発明に係る入力画像信号がRGB形式の信号に限定されるものではない。例えば、入力画像信号がRGB形式以外の他の形式の信号である場合、画像処理装置100aに入力画像信号が入力された時点で、一旦、RGB形式の信号に変換することで、以下に述べる処理を実現できる。
【0138】
次に、画像処理装置100aのガンマ変換部140では、RGB形式の入力画像信号を色成分毎の輝度YR、YG、YBに変換する(ステップS42)。より具体的には、ガンマ変換部140は、画素毎に、各色成分の正規化された輝度YR、YG、YBを求める。この処理は、図8のステップS12と同様である。
【0139】
続いて、レーザー出力算出部150aは、ガンマ変換部140により求められた輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)から、色成分毎に、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの各光源のレーザー出力PR、PG、PBを求める(ステップS44)。より具体的には、レーザー出力算出部150aは、次式に従って、色成分毎に、入力画像を表示するために最低限必要な各光源のレーザー出力PR、PG、PBを求める。
【0140】
【数7】
【0141】
上式において、Nは入力画像信号の画素数(例えばN=xmax×ymax)であり、YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)は、ステップS42で求められた各色成分の輝度である。これらのレーザー出力PR、PG、PBは、回折光学素子制御部110a、光変調素子制御部120及び光源駆動部130に出力される。
【0142】
続いて、回折光学素子制御部110aの照明分布算出部116aにおいて、色成分毎に、理想照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)が求められる(ステップS46)。より具体的には、照明分布算出部116aは、次式に従って、色成分毎に、画素単位でレーザー出力PR、PG、PB、YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)を用いて、光変調素子に照射する照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)を求める。照明分布LRideal(x,y)はR用理想照明分布であり、LGideal(x,y)はG用理想照明分布であり、LBideal(x,y)はB用理想照明分布である。
【0143】
【数8】
【0144】
上式により求められた照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)は、回折パターン算出部112aに出力される。
【0145】
続いて、回折パターン算出部112aは、色成分毎に、照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)から回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を算出する(ステップS48)。より具体的には、回折パターン算出部112aは、次式に示すように、照明分布LRideal(x,y)、LGideal(x,y)、LBideal(x,y)に対して画素毎に反復フーリエ法などの所定の演算処理を行うことで、回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を算出する。回折パターンHR(x,y)はR用回折パターン、HG(x,y)はG用回折パターン、HB(x,y)はB用回折パターンである。
【0146】
【数9】
【0147】
上式では、反復フーリエ法などの所定の演算処理を関数Gで表している。このようにして算出された回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)は、回折光学素子駆動部114aに出力される。
【0148】
その後、回折パターン算出部112aは、ステップS48で求めた回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を用いて、実際の照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)を求める(ステップS50)。より具体的には、回折パターン算出部112aは、次式に示すように、ステップS48で求めた回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)を用いて1画面分の回折パターンに対してフーリエ変換などの所定の演算処理を行うことで、実際の照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)を求める。照明分布LRreal(x,y)はR用の実際の照明分布、LGreal(x,y)はG用の実際の照明分布、LBreal(x,y)はB用の実際の照明分布である。
【0149】
【数10】
【0150】
上式において、フーリエ変換などの所定の演算処理を1画面の全画素に亘ってFFTを行い、画素毎に実際の照明分布を求める関数をFで表している。こうして求められた実際の照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)は、透過率算出部122aに出力される。
【0151】
次に、光変調素子制御部120の透過率算出部122aは、ステップS42で求めた輝度YR(x,y)、YG(x,y)、YB(x,y)とステップS50で求めた実際の照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)から、各色成分の光変調素子の透過率TR(x,y)、TG(x,y)、TB(x,y)を求める(ステップS52)。
【0152】
【数11】
【0153】
上式により求められた透過率TR(x,y)、TG(x,y)、TB(x,y)は、光変調素子駆動部124に出力される。
【0154】
そして、光源駆動部130aは、ステップS44で求めたレーザー出力PR、PG、PBに基づいて、色成分毎に、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの強度を制御して各光源を駆動する(ステップS54)。
【0155】
更に、回折光学素子駆動部114aは、ステップS48で求めた回折パターンHR(x,y)、HG(x,y)、HB(x,y)に基づいてR用回折光学素子220R、G用回折光学素子220G及びB用回折光学素子220Bを制御する回折光学素子制御信号を生成し、各回折光学素子に対して出力する(ステップS56)。これにより、R用光源210R、G用光源210G及びB用光源210Bの各光源から出力された光は、R用回折光学素子220R、G用回折光学素子220G、B用回折光学素子220Bを透過する際に回折し、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの各光変調素子上で照明分布LRreal(x,y)、LGreal(x,y)、LBreal(x,y)を実現する。
【0156】
続いて、光変調素子駆動部124は、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bの各光変調素子毎に、ステップS52で求めた透過率となるように各光変調素子を駆動する(ステップS58)。これにより、R用光変調素子230R、G用光変調素子230G及びB用光変調素子230Bに照射された光が変調され、画像が出力される。
【0157】
その後、次に処理すべき入力画像信号があるとき(ステップS60:Y)、ステップS40に戻り処理を継続する。一方、次に処理すべき入力画像信号がないとき(ステップS60:N)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0158】
なお、第2の実施形態における画像処理装置100aの処理は、ゲートアレイや専用回路等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア処理により実現してもよい。この場合、第2の実施形態における画像処理装置100aのハードウェア構成例は、図9と同様である。
【0159】
なお、第2の実施形態においても、処理を簡素化するために、図10の構成を採用し、図11に示す処理を実行するようにしてもよい。
【0160】
以上説明した第2の実施形態では、回折光学素子が色成分毎に設けられている。即ち、光源毎に回折光学素子が設けられるようにしたので、光源の強度を色成分毎に制御できるため、各色成分の光源の強度を揃えずに済む。そのため、第1の実施形態の構成と比較すると構成要素が増加するものの、第1の実施形態に比べて、より一層の低消費電力化が実現できる場合がある。
【0161】
以上、本発明に係る画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及びプログラムを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0162】
(1)上記の各実施形態では、画像表示装置を図2又は図12に示す構成であるものとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、回折光学素子と光変調素子とを備える画像表示装置又は該画像表示装置を制御する画像処理装置、画像処理方法、画像処理装置を制御するためのプログラムに適用できる。
【0163】
(2)上記の各実施形態では、回折光学素子が例えばLC−CGHであるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0164】
(3)上記の各実施形態では、光変調素子が例えば透過型の液晶パネルで構成されたライトバルブであるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光変調素子として、透過型の液晶パネル以外のもの、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Cristal On Silicon)等を採用してもよい。
【0165】
(4)上記の各実施形態では、画像処理装置が図6又は図13に示す構成を有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像処理装置は、図6又は図13の全ブロックを備えるものに限定されるものではなく、図6又は図13の画像処理装置の一部が省略された構成を有していてもよい。例えば、図6又は図13の画像処理装置において、ガンマ変換部140が省略されてもよい。
【0166】
(5)上記の各実施形態では、照明分布を求めてから回折パターンを求めるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0167】
(6)上記の各実施形態では、回折パターンを求める方法として反復フーリエ法を用いるものとして説明したが、本発明は回折パターンを求める演算処理方法に限定されるものではない。
【0168】
(7)上記の各実施形態では、回折光学素子制御信号を入力画像信号に基づいて生成するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回折光学素子制御信号を、画像表示装置が投影するスクリーンの形状に基づいて生成するようにしてもよい。
【0169】
(8)上記の各実施形態において、本発明を、画像の暗い部分を表現するために絞られる光源からの光を、この画像の他の部分に利用できるようにする画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法及びプログラムとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明を実現するための処理手順が記述されたプログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0170】
10…画像表示システム、20…画像信号生成装置、100,100a…画像処理装置、110,110a…回折光学素子制御部、112,112a…回折パターン算出部、114,114a…回折光学素子駆動部、116,116a…照明分布算出部、120…光変調素子制御部、122,122a…透過率算出部、124…光変調素子駆動部、130,130a…光源駆動部、140…ガンマ変換部、150,150a…レーザー出力算出部、180…反復フーリエ演算部、182…FFT演算部、200,200a…画像表示装置、210…光源、210R…R用光源、210G…G用光源、210B…B用光源、220…回折光学素子、220R…R用回折光学素子、220G…G用回折光学素子、220B…B用回折光学素子、230…光変調素子、230R…R用光変調素子、230G…G用光変調素子、230B…B用光変調素子、240R,240G,240B,246,248,250…ミラー、242,244…ダイクロイックミラー、252,254…リレーレンズ、256R,256G,256B…平行化レンズ、258…ダイクロイックプリズム、260…投射レンズ、300…CPU、310…プログラムメモリ、320…I/F回路、330…フレームメモリ、340…光変調素子駆動回路、350…回折光学素子駆動回路、360…光源駆動回路、370…バス、TM1…入力端子、TM2、TM3、TM4…出力端子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から照射される光を回折させる回折光学素子と、
前記回折光学素子により回折された回折光を変調する光変調素子とを含み、
所与の回折光学素子制御信号に基づいて前記回折光学素子の回折特性が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
色成分毎に設けられた複数の光源と、
前記複数の光源に共用され、該複数の光源から照射される光を回折させる回折光学素子と、
前記色成分毎に設けられ、前記回折光学素子により回折された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、
所与の回折光学素子制御信号に基づいて前記回折光学素子の回折特性が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記複数の光源の各光源からの光の強度が同一になるように制御され、
前記複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
色成分毎に設けられた複数の光源と、
前記色成分毎に設けられ、各回折光学素子が前記複数の光源の各光源から照射される光を回折させる複数の回折光学素子と、
前記色成分毎に設けられ、各光変調素子が前記複数の回折光学素子の各回折光学素子により回折された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、
所与の回折光学素子制御信号に基づいて各回折光学素子の回折特性が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記複数の光源の各光源は、色成分毎に光の強度が制御され、
前記複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記回折光学素子制御信号は、
入力画像信号に基づいて生成された信号であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記回折光学素子制御信号は、
前記入力画像信号に基づいて算出された前記光源からの光の照明分布に対応した回折パターンを用いて生成されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記光源は、
コヒーレント光を発生させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
光源と、
前記光源から照射される光を回折させる回折光学素子と、
前記回折光学素子により回折された回折光を変調する光変調素子とを含み、
所与の回折光学素子制御信号に基づいて前記回折光学素子の回折特性が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
色成分毎に設けられた複数の光源と、
前記複数の光源に共用され、該複数の光源から照射される光を回折させる回折光学素子と、
前記色成分毎に設けられ、前記回折光学素子により回折された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、
所与の回折光学素子制御信号に基づいて前記回折光学素子の回折特性が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記複数の光源の各光源からの光の強度が同一になるように制御され、
前記複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
色成分毎に設けられた複数の光源と、
前記色成分毎に設けられ、各回折光学素子が前記複数の光源の各光源から照射される光を回折させる複数の回折光学素子と、
前記色成分毎に設けられ、各光変調素子が前記複数の回折光学素子の各回折光学素子により回折された回折光を変調する複数の光変調素子とを含み、
所与の回折光学素子制御信号に基づいて各回折光学素子の回折特性が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記複数の光源の各光源は、色成分毎に光の強度が制御され、
前記複数の光変調素子は、色成分毎に変調量が制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記回折光学素子制御信号は、
入力画像信号に基づいて生成された信号であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記回折光学素子制御信号は、
前記入力画像信号に基づいて算出された前記光源からの光の照明分布に対応した回折パターンを用いて生成されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記光源は、
コヒーレント光を発生させることを特徴とする画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図5】
【公開番号】特開2012−181531(P2012−181531A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88202(P2012−88202)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2007−276065(P2007−276065)の分割
【原出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2007−276065(P2007−276065)の分割
【原出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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