説明

画像表示装置

【課題】時分割表示方式を用いたカラー画像表示において、複数のレーザ光が同時に出力されることを防止する或いは同時に出力されるレーザ光の数を低減することにより、画像を視るユーザの目の負担を軽減する。
【解決手段】画像表示装置1は、緑色、赤色及び青色を出力するレーザ光源装置2〜4と、各レーザ光源装置におけるレーザ光の出力タイミングを制御する出力制御信号を出力するレーザ出力制御部52と、出力制御信号に基づき各レーザ光源装置に対する駆動電流の印加を制御する駆動制御信号を出力する駆動制御部53とを備え、駆動制御部が、出力制御信号に基づき2以上のレーザ光源装置のレーザ光の出力タイミングが時間的に重複すると判定した場合、当該2以上のレーザ光源装置のうち少なくとも1つのレーザ光源装置について駆動制御信号に基づき駆動電流の印加を停止する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として半導体レーザを用いたレーザ光源装置を備えた時分割表示方式の画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置の光源に半導体レーザを用いる技術が注目されている。この半導体レーザは、従来から画像表示装置に多用されてきた水銀ランプに比較して、色再現性がよい点、瞬時点灯が可能である点、長寿命である点、高効率で消費電力を低減することができる点、及び小型化が容易である点など種々の利点を有している。
【0003】
半導体レーザを用いた画像表示装置として、半導体レーザを備えた3つのレーザ光源装置からの赤色、青色および緑色の3色のレーザ光を反射型液晶パネルの表示領域にそれぞれ入射させ、この反射型液晶パネルから出射した各色の画像光を投射レンズによって外部のスクリーン上に投射する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、緑色レーザ光については、これを直接出力する半導体レーザに高出力のものがないため、半導体レーザから励起用レーザ光を出力させ、この励起用レーザ光でレーザ媒体を励起させて赤外レーザ光を出力させ、この赤外レーザ光の波長を波長変換素子で変換して緑色レーザ光を出力するようにした技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−316393号公報
【特許文献2】特開2008−16833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のような画像表示装置では、1つ画素を赤・緑・青(RGB)から構成することにより全ての色を表示させる面分割表示方式や、画素に表示される色(赤・緑・青)高速で切り替える時分割表示方式等により画像表示を行うことが可能である。
【0007】
ところで、時分割表示方式では、緑色レーザ光源装置、赤色レーザ光源装置、及び青色レーザ光源装置からレーザ光が順次出力されるため、複数の色が各画素に同時に表示されることはない。しかしながら、レーザ出力制御の不具合などによって複数のレーザ光が同時に出力されると、スクリーンに表示される画像の輝度が必要以上に高くなり、画像を視るユーザの目に負担がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、時分割表示方式を用いたカラー画像表示において、複数のレーザ光が同時に出力されることを防止する或いは同時に出力されるレーザ光の数を低減することにより、画像を視るユーザの目の負担を軽減することを可能とした画像表示装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像表示装置は、半導体レーザを光源として用いる時分割表示方式の画像表示装置であって、赤外レーザ光の波長を変換して緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光源装置と、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光源装置と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光源装置と、前記各レーザ光源装置におけるレーザ光の出力タイミングを制御する出力制御信号を出力するレーザ出力制御部と、前記出力制御信号に基づき前記各レーザ光源装置に対する駆動電流の印加を制御する駆動制御信号を出力する駆動制御部とを備え、前記駆動制御部は、前記出力制御信号に基づき2以上の前記レーザ光源装置のレーザ光の出力タイミングが時間的に重複すると判定した場合、当該2以上のレーザ光源装置のうち少なくとも1つのレーザ光源装置について前記駆動制御信号に基づき前記駆動電流の印加を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、時分割表示方式を用いたカラー画像表示において、複数のレーザ光が同時に出力されることを防止する或いは同時に出力されるレーザ光の数を低減することにより、画像を視るユーザの目の負担を軽減することが可能となるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る画像表示装置1を内蔵したノート型の情報処理装置101を示す斜視図
【図2】実施形態に係る画像表示装置1の光学エンジンユニット1Aの概略構成図
【図3】実施形態に係る緑色レーザ光源装置2における緑色レーザ光の状況を示す模式図
【図4】実施形態に係る画像表示装置1の機能ブロック図
【図5】図4の駆動制御部53における信号の入出力の詳細を示す図
【図6】図5の駆動制御部53における出力制御信号入力および駆動制御信号出力の一例を示す図
【図7】図5の駆動制御部53における出力制御信号の入力波形および駆動制御信号の出力波形の一例を示す図
【図8】図6の駆動制御部53における信号の入出力の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、半導体レーザを光源として用いる時分割表示方式の画像表示装置であって、赤外レーザ光の波長を変換して緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光源装置と、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光源装置と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光源装置と、前記各レーザ光源装置におけるレーザ光の出力タイミングを制御する出力制御信号を出力するレーザ出力制御部と、前記出力制御信号に基づき前記各レーザ光源装置に対する駆動電流の印加を制御する駆動制御信号を出力する駆動制御部とを備え、前記駆動制御部は、前記出力制御信号に基づき2以上の前記レーザ光源装置のレーザ光の出力タイミングが時間的に重複すると判定した場合、当該2以上のレーザ光源装置のうち少なくとも1つのレーザ光源装置について前記駆動制御信号に基づき前記駆動電流の印加を停止することを特徴とする。
【0013】
これによると、時分割表示方式を用いたカラー画像表示において、複数のレーザ光が同時に出力されることを防止する或いは同時に出力されるレーザ光の数を低減することにより、画像を視るユーザの目の負担を軽減することが可能となる。
【0014】
また、第2の発明は、前記駆動制御部は、前記2以上のレーザ光源装置のうち最も長い波長を有するレーザ光を出力する1つのレーザ光源装置に対してのみ前記駆動制御信号に基づき前記駆動電流を印加する構成とすることができる。
【0015】
これによると、より長い波長を有するレーザ光を選択的に出力することにより、レーザの出力を停止することなく画像を視るユーザの目の負担を軽減することが可能となる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明に係る画像表示装置1を内蔵したノート型の情報処理装置101を示す斜視図である。情報処理装置101の筐体102には、画像表示装置1が出没自在に格納される収容スペースが、キーボードの裏面側に形成されており、不使用時には画像表示装置1が筐体102内に収容され、使用時には画像表示装置1が筐体102から引き出されて、その光学エンジンユニット1Aを回動自在に支持する制御ユニット1Bに対して光学エンジンユニット1Aを所要の角度に回動させることで、画像表示装置1からのレーザ光をスクリーンに投射させることができる。
【0018】
図2は本発明に係る画像表示装置1の光学エンジンユニット1Aの概略構成図である。この光学エンジンユニット1Aは、所要の画像をスクリーンSに投影表示するものであり、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光源装置2と、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光源装置3と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光源装置4と、映像信号に応じて各レーザ光源装置2〜4からのレーザ光を空間的に変調して像を形成する液晶反射型の空間光変調器5と、各レーザ光源装置2〜4からのレーザ光を反射させて空間光変調器5に照射させるとともに空間光変調器5から出射された変調レーザ光を透過させる偏光ビームスプリッタ6と、各レーザ光源装置2〜4から出射されるレーザ光を偏光ビームスプリッタ6に導くリレー光学系7と、偏光ビームスプリッタ6を透過した変調レーザ光をスクリーンSに投射する投射光学系8とを備えている。
【0019】
画像表示装置1は、いわゆるフィールドシーケンシャル方式(時分割表示方式)でカラー画像を表示するものであり、各レーザ光源装置2〜4から各色のレーザ光が時分割で順次出力され、各色のレーザ光による画像が残像によってカラー画像として認識される。
【0020】
リレー光学系7は、各レーザ光源装置2〜4から出射される各色のレーザ光を平行ビームに変換するコリメータレンズ11〜13と、コリメータレンズ11〜13を通過した各色のレーザ光を所要の方向に導く第1および第2のダイクロイックミラー14,15と、ダイクロイックミラー14,15により導かれたレーザ光を拡散させる拡散板16と、拡散板16を通過したレーザ光を収束レーザに変換するフィールドレンズ17とを備えている。
【0021】
投射光学系8からスクリーンSに向けてレーザ光が出射される側を前側とすると、青色レーザ光源装置4から青色レーザ光が後方に向けて出射される。この青色レーザ光の光軸に対して緑色レーザ光の光軸および赤色レーザ光の光軸が互いに直交するように、緑色レーザ光源装置2および赤色レーザ光源装置3から緑色レーザ光および赤色レーザ光が出射され、この青色レーザ光、赤色レーザ光、および緑色レーザ光が、2つのダイクロイックミラー14,15で同一の光路に導かれる。すなわち、青色レーザ光と緑色レーザ光が第1のダイクロイックミラー14で同一の光路に導かれ、青色レーザ光および緑色レーザ光と赤色レーザ光が第2のダイクロイックミラー15で同一の光路に導かれる。
【0022】
第1および第2のダイクロイックミラー14,15は、表面に所定の波長のレーザ光を透過および反射させるための膜が形成されたものであり、第1のダイクロイックミラー14は、青色レーザ光を透過するとともに緑色レーザ光を反射させる。第2のダイクロイックミラー15は、赤色レーザ光を透過するとともに青色レーザ光および緑色レーザ光を反射させる。
【0023】
これらの各光学部材は、筐体21に支持されている。筐体21は、各レーザ光源装置2〜4で発生した熱を放熱する放熱体として機能し、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い材料で形成されている。また、筐体21には、空間光変調器5、偏光ビームスプリッタ6、リレー光学系7、及び投射光学系8等が取り付けられている。
【0024】
緑色レーザ光源装置2は、筐体21の本体部21aから側方に向けて突出した状態で筐体21に形成された取付板22に取り付けられている。この取付板22は、リレー光学系7の収容スペースの前方と側方にそれぞれ位置する前壁部23と側壁部24とが交わる角部から側壁部24に直交する向きに突出することにより、ヒートシンクとしての機能を有する。これにより、緑色レーザ光源装置2の放熱が促進されると共に、その熱が筐体21に伝わりにくくなり、他のレーザ光源装置への熱的な影響を抑制することができる。赤色レーザ光源装置3は、ホルダ25に保持された状態で側壁部24の外面側に取り付けられている。青色レーザ光源装置4は、ホルダ26に保持された状態で前壁部23の外面側に取り付けられている。
【0025】
赤色レーザ光源装置3および青色レーザ光源装置4は、いわゆるCANパッケージで構成され、レーザ光を出力するレーザチップが、ステムに支持された状態で缶状の外装部の中心軸上に光軸が位置するように配置されたものであり、外装部の開口に設けられたガラス窓からレーザ光が出射される。この赤色レーザ光源装置3および青色レーザ光源装置4は、ホルダ25,26に開設された取付孔27,28に圧入するなどしてホルダ25,26に対して固定される。青色レーザ光源装置4および赤色レーザ光源装置3のレーザチップの発熱は、ホルダ25,26を介して筐体21に伝達されて放熱される。各ホルダ25,26は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成されている。
【0026】
緑色レーザ光源装置2は、図2に示すように、励起用レーザ光を出力する半導体レーザ31と、半導体レーザ31から出力された励起用レーザ光を集光する集光レンズであるFAC(Fast-Axis Collimator)レンズ32およびロッドレンズ33と、励起用レーザ光により励起されて基本レーザ光(赤外レーザ光)を出力するレーザ媒体34と、基本レーザ光の波長を変換して半波長レーザ光(緑色レーザ光)を出力する波長変換素子35と、レーザ媒体34とともに共振器を構成する凹面ミラー36と、励起用レーザ光および基本波長レーザ光の漏洩を阻止するガラスカバー37と、各部を支持する基台38と、各部を覆うカバー体39とを備えている。
【0027】
図2において、緑色レーザ光源装置2と筐体21の側壁部24との間には所要の幅(例えば0.5mm以下)の間隙G1が形成される。これにより、緑色レーザ光源装置2の熱が赤色レーザ光源装置3に伝わりにくくなり、赤色レーザ光源装置3の昇温を抑制して、温度特性の悪い赤色レーザ光源装置3を安定的に動作させることができる。また、赤色レーザ光源装置3の所要の光軸調整代(例えば0.3mm程度)を確保するため、緑色レーザ光源装置2と赤色レーザ光源装置3との間に所要の幅(例えば0.3mm以上)の間隙G2が設けられている。
【0028】
図3は、緑色レーザ光源装置2における緑色レーザ光の状況を示す模式図である。半導体レーザ31のレーザチップ41は、波長808nmの励起用レーザ光を出力する。FACレンズ32は、レーザ光のファースト軸(光軸方向に対して直交し且つ図の紙面に沿う方向)の拡がりを低減する。ロッドレンズ33は、レーザ光のスロー軸(図の紙面に対して直交する方向)の拡がりを低減する。
【0029】
レーザ媒体34は、いわゆる固体レーザ結晶であり、ロッドレンズ33を通過した波長808nmの励起用レーザ光により励起されて波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)を出力する。このレーザ媒体34は、Y(イットリウム)VO(バナデート)からなる無機光学活性物質(結晶)にNd(ネオジウム)をドーピングしたものであり、より具体的には、母材であるYVOのYを、蛍光を発する元素であるNd+3に置換してドーピングしたものである。
【0030】
レーザ媒体34におけるロッドレンズ33に対向する側には、波長808nmの励起用レーザ光に対する反射防止と、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜42が形成されている。レーザ媒体34における波長変換素子35に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜43が形成されている。
【0031】
波長変換素子35は、いわゆるSHG(Second Harmonics Generation)素子であり、レーザ媒体34から出力される波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)の波長を変換して波長532nmの半波長レーザ光(緑色レーザ光)を生成する。この波長変換素子35は、強誘電体結晶に、分極が反転した領域とそのままの領域を交互に形成した、周期的な分極反転構造を備えたものであり、分極反転周期方向(分極反転領域の配列方向)に基本波長レーザ光を入射させる。なお、強誘電体結晶には、例えばLN(ニオブ酸リチウム)にMgOを添加したものが用いられる。
【0032】
波長変換素子35におけるレーザ媒体34に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する反射防止と、波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜44が形成されている。波長変換素子35における凹面ミラー36に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜45が形成されている。
【0033】
凹面ミラー36は、波長変換素子35に対向する側に凹面を有し、この凹面には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する高反射と、波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜46が形成されている。これにより、レーザ媒体34の膜42と凹面ミラー36の膜46との間で、波長1064nmの基本波長レーザ光が共振して増幅される。
【0034】
波長変換素子35では、レーザ媒体34から入射した波長1064nmの基本波長レーザ光の一部が波長532nmの半波長レーザ光に変換され、変換されずに波長変換素子35を通過した波長1064nmの基本波長レーザ光は、凹面ミラー36で反射されて波長変換素子35に再度入射し、波長532nmの半波長レーザ光に変換される。この波長532nmの半波長レーザ光は、波長変換素子35の膜44で反射されて波長変換素子35から出射される。
【0035】
ここで、レーザ媒体34から波長変換素子35に入射して波長変換素子35で波長変化されて波長変換素子35から出射されるレーザ光のビームB1と、凹面ミラー36で一旦反射されて波長変換素子35に入射して膜44で反射されて波長変換素子35から出射されるレーザ光のビームB2とが干渉を起すと、出力が低下する。そこで、波長変換素子35を光軸方向に対して傾斜させて、屈折作用によりレーザ光のビームB1、B2が互いに干渉しないようにしており、これにより出力低下を避けることができる。
【0036】
なお、図2に示したガラスカバー37には、波長808nmの励起用レーザ光および波長1064nmの基本波長レーザ光が外部に漏洩することを防止するため、これらのレーザ光を透過させない膜が形成されている。
【0037】
なお、前記の例では、緑色レーザ光源装置2のレーザチップ41、レーザ媒体34、および波長変換素子35がそれぞれ、波長808nmの励起用レーザ光、波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)、および波長532nmの半波長レーザ光(緑色レーザ光)を出力するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。最終的に緑色レーザ光源装置2から出力されるレーザ光が緑色と認識できるものであればよく、例えばピーク波長が500nm〜560nmの範囲となる波長領域のレーザ光を出力するようにするとよい。
【0038】
図4は実施形態に係る画像表示装置1の機能ブロック図である。制御ユニット1Bには、装置各部を統括的に制御する画像表示制御部51が設けられており、この画像表示制御部51は、外部入力から映像信号が入力されると、その映像信号の輝度情報等に基づき空間光変調器5の動作を制御すると共に、各色のレーザ光源装置2〜4の出力を制御するための画像表示信号をレーザ出力制御部52に対して送出する。レーザ出力制御部52は、画像表示制御部51から入力される画像表示信号に基づき、レーザ光の出力レベルや出力タイミングを制御するための出力制御信号と、レーザ光の出力の可否を指示する出力許可信号とを駆動制御部53に対して送出する。
【0039】
駆動制御部53は、外部電源から受電した交流電力を画像表示装置1で利用可能な直流電力に変換する電源部54に接続されいる。駆動制御部53は、レーザ出力制御部52から入力される出力制御信号および出力許可信号に基づき、各レーザ光源装置2〜4に対する駆動電流の印加を制御するための駆動制御信号を出力する。なお、上記各制御部51〜53は、CPUやROM、RAM、入出力回路、各種プログラム等から構成することができる。
【0040】
図5は図4の駆動制御部53における信号の入出力の詳細を示す図である。駆動制御部53には、レーザ出力制御部52からの出力制御信号として、緑色レーザ光源装置2に対するLD_GON、青色レーザ光源装置2に対するLD_BON、及び赤色レーザ光源装置2に対するLD_RONが入力され、また、出力許可信号としてLD_ONが入力される。また、駆動制御部53は、それらLD_GON、LD_BON、LD_RON、及びLD_ONに基づき、各レーザ光源装置2〜4に対して駆動制御信号Ig、Ir、及びIbをそれぞれ出力する。
【0041】
図6は図5の駆動制御部53における出力制御信号入力および駆動制御信号出力の一例を示す図であり、図7は図5の駆動制御部53における出力制御信号の入力波形および駆動制御信号の出力波形の一例を示す図である。図6では、複数のケース(No.1〜9)について、同じタイミングで入力される各出力制御信号の状態(ハイレベル(H)またはローレベル(L))と、これに基づき同じタイミングで出力される各駆動制御信号の状態(ハイレベル(H)またはローレベル(L))が示されている。各レーザ光源装置の駆動電流は、ハイレベル(H)の信号に応じて印加される。
【0042】
図6のケース1に示すように、LD_ON信号がローレベル(L)の場合には、駆動制御部53には各出力制御信号は入力されず、駆動制御部53は、レーザ光の出力が許可されないと判定して、ローレベル(L)の駆動制御信号(Ig,Ir,及びIb)を出力する。このとき、各レーザ光源装置には、駆動電流は印加されない。
【0043】
一方、ケース2〜5に示すように、ハイレベル(H)のLD_ON信号の入力によりレーザ光の出力が許可さた場合には、レーザ出力制御部52からハイレベル(H)またはローレベル(L)の各出力制御信号(LD_GON、LD_BON、及びLD_RON)が駆動制御部53に入力されると、駆動制御部53はそれら各出力制御信号に同期した同様のハイレベル(H)またはローレベル(L)の駆動制御信号(Ig、Ib、Ir)を対応するレーザ光源装置に対して出力する。
【0044】
より詳細には、図7中の出力制御信号の入力波形に示されるように、各レーザ光源装置についてのハイレベルのパルスHi1〜Hi3の入力タイミング(横軸)が互いに異なる(時間的に重複しない)場合には、図7中の駆動制御信号の出力波形に示すように、ハイレベルのパルスHi1〜Hi3に同期した同様にハイレベルのパルスHo1〜Ho3が出力される。これにより、これらハイレベルのパルスHo1〜Ho3の各パルス幅に応じて駆動電流が各レーザ光源装置に対して印加され、各色のレーザ光が時分割で順次出力される。
【0045】
このように、通常は、各出力制御信号においてレーザ光の出力タイミングを示すハイレベルのパルスは、時間的に重複して駆動制御部53に入力されることはない。しかしながら、それらは、レーザ出力制御部52の不具合(例えば、熱暴走)や故障などによって時間的に重複して入力される場合があり得る。そこで、駆動制御部53では、図6のケース6〜9に示すように、レーザ出力制御部52から2以上のハイレベルのパルスが時間的に重複して入力された場合には、2以上のレーザ光源装置のレーザ光の出力タイミングが時間的に重複(同時または少なくとも一部が重複)すると判定し、全ての駆動制御信号Ig、Ib、Irをローレベルとして出力する。
【0046】
より詳細には、図7中の入力波形に示すように、緑色レーザ光源装置に関するハイレベルのパルスHi4に対して、異なるタイミングで出力されるはずの青色レーザ光源装置に関するハイレベルのパルスHi5の入力タイミングがずれてパルスHi5’となることにより、それらの入力タイミングが時間T1からT2において重複する場合があり得る。この場合、図7中の出力波形に示すように、ハイレベルHo4およびHo5は、本来はパルスHi4およびパルスHi5と同期するはずの時間T1からT2においてローレベルとなる。これにより、時間T1からT2において、複数のレーザ光(ここでは、緑色レーザ光および青色レーザ光)が同時に出力されることが防止され、画像を視るユーザの目の負担を軽減することができる。
【0047】
なお、上記駆動制御部53では、レーザ出力制御部52から2以上のハイレベルの出力制御信号が時間的に重複して入力された場合に、全てのレーザ光源装置に対してローレベルの駆動制御信号を出力する(すなわち、全てのレーザ光源装置に対する駆動電流の印加を停止する)ものとしたが、必ずしもこれに限らず、次に示すように、少なくとも1つのレーザ光源装置に対して駆動電流の印加を停止するようにしてもよい。
【0048】
図8は図6の駆動制御部53における信号の入出力の変形例を示す図である。図8中のケース1〜4に示すように、駆動制御部53に対して2以上のハイレベル(H)の出力制御信号が同じタイミングでレーザ出力制御部から入力されると、駆動制御部53は、2以上のレーザ光源装置のレーザ光の出力タイミングが時間的に重複すると判定する。そして、駆動制御部53は、それらハイレベル(H)の出力制御信号に対応するレーザ光源装置のうち最も長い波長を有するレーザ光を出力する1つのレーザ光源装置に対してのみ駆動電流を印加するように駆動制御信号を出力する。
【0049】
この場合、ケース1〜3に示すように、最も長い波長を有する赤色レーザ光が他のレーザ光よりも優先して出力されることとなり、赤色レーザ光の出力がない場合には、ケース4に示すように、次に長い波長を有する緑色レーザ光が青色レーザ光よりも優先される。これにより、レーザの出力を停止することなく画像を視るユーザの目の負担を軽減することが可能となる。また、ハイレベルのパルスの入力タイミングが連続して生じた場合には、ユーザの目の負担の小さいレーザ光によってユーザに異常を知らせることができるという利点もある。
【0050】
本発明について特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。なお、上記実施形態に示した本発明に係る画像表示装置の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る画像表示装置は、時分割表示方式を用いたカラー画像表示において、複数のレーザ光が同時に出力されることを防止する或いは同時に出力されるレーザ光の数を低減することにより、画像を視るユーザの目の負担を軽減することを可能とし、光源として半導体レーザを用いたレーザ光源装置を備えた時分割表示方式の画像表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 画像表示装置
1A 光学エンジンユニット
1B 制御ユニット
2 緑色レーザ光源装置
3 赤色レーザ光源装置
4 青色レーザ光源装置
5 空間光変調器
14 第1のダイクロイックミラー
15 第2のダイクロイックミラー
21 筐体
52 レーザ出力制御部
53 駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザを光源として用いる時分割表示方式の画像表示装置であって、
赤外レーザ光の波長を変換して緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光源装置と、
赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光源装置と、
青色レーザ光を出力する青色レーザ光源装置と、
前記各レーザ光源装置におけるレーザ光の出力タイミングを制御する出力制御信号を出力するレーザ出力制御部と、
前記出力制御信号に基づき前記各レーザ光源装置に対する駆動電流の印加を制御する駆動制御信号を出力する駆動制御部と
を備え、
前記駆動制御部は、前記出力制御信号に基づき2以上の前記レーザ光源装置のレーザ光の出力タイミングが時間的に重複すると判定した場合、当該2以上のレーザ光源装置のうち少なくとも1つのレーザ光源装置について前記駆動制御信号に基づき前記駆動電流の印加を停止することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、前記2以上のレーザ光源装置のうち最も長い波長を有するレーザ光を出力する1つのレーザ光源装置に対してのみ前記駆動制御信号に基づき前記駆動電流を印加することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−58641(P2012−58641A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204033(P2010−204033)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【特許番号】特許第4691613号(P4691613)
【特許公報発行日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】