説明

画像記録体、画像形成方法、及び画像形成装置

【課題】
接着層が設けられていない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力の向上された画像記録体、画像形成方法、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体P上に、接着層121B、トナー像T、及び受像層110Bの積層された構成の画像記録体10が形成されることから、記録媒体Pと受像層110Bとの層間における接着力の向上された画像記録体10が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録体、画像形成方法、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式によって、カラー画像を形成する画像形成装置として、次の画像形成装置が知られている。まず、像保持体上に電子写真方式によりトナー像を形成し、そのトナー像を基体表面に受像層が設けられた帯状の中間転写フィルムに転写する。そして、中間転写フィルムの画像が転写された面と記録媒体表面とを重ね合わせた後に加熱及び加圧することにより圧着して積層体を形成し、積層体から中間転写フィルムの基体を剥離することで、記録媒体の画像形成面全体が受像層で被覆された画像を形成する。(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−240669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、接着層が設けられていない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力の向上された画像記録体、画像形成方法、及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は以下の本発明により達成される。
請求項1に係る発明は、記録媒体上に、接着層、トナー像、及び受像層が積層された構成の画像記録体である。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記記録媒体が、エチレングリコール、テレフタル酸、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させてなる変性ポリエステル樹脂から構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像記録体である。
【0007】
請求項3に係る発明は、第1の基体上に受像層が設けられた構成の帯状の第1の部材の該受像層側の面に、像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写工程と、第2の基体上に接着層が設けられた構成の帯状の第2の部材と、前記トナー像の転写された前記第1の部材と、を、該第1の部材の前記トナー像の転写された側の面と、該第2の部材の接着層と、が対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第1の積層体を形成する第1の積層工程と、前記第1の積層体の前記接着層から前記第2の基体を剥離する第1の剥離工程と、前記第1の剥離工程によって前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と、記録媒体と、を該第1の積層体の前記接着層と該記録媒体とが対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第2の積層体を形成する第2の積層工程と、前記第2の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する第2の剥離工程と、を有する画像形成方法である。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記第1の積層工程は、前記第1の部材の前記トナー像の転写された側の面と、前記第2の部材の前記接着層と、が対面するように重ね合わせる第1の重ね合せ工程と、前記第1の重ね合せ工程によって重ね合された前記第1の部材と前記第2の部材とを加熱及び加圧することによって前記第1の積層体を形成する第1の加工工程と、を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法である。
【0009】
請求項5に係る発明は、前記第2の積層工程は、前記第1の剥離工程によって前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と、前記記録媒体と、を該第1の積層体の前記接着層と該記録媒体とが対面するように重ね合わせる第2の重ね合せ工程と、前記第2の重ね合せ工程によって重ね合わされた、前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と前記記録媒体とを加熱及び加圧することによって前記第2の積層体を形成する第2の加工工程と、を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像形成方法である。
【0010】
請求項6に係る発明は、前記転写工程の後で且つ前記第1の積層工程の前に行なわれ、前記転写工程によって前記第1の部材の前記受像層側の面へ転写された前記トナー像に熱を加えることによって、該トナー像を該受像層へ仮定着させる仮定着工程を更に有することを特徴とする請求項3〜請求項5の何れか1項に記載の画像形成方法である。
【0011】
請求項7に係る発明は、前記仮定着工程は、前記トナーのガラス転移温度以上で且つ前記トナーの溶融温度未満の温度の熱を前記トナー像に加えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法である。
【0012】
請求項8に係る発明は、第1の基体上に受像層が設けられた構成の帯状の第1の部材の該受像層側の面に、像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写工程と、前記転写工程によってトナー像を転写された帯状の前記第1の部材と、記録媒体上に接着層が設けられた第3の部材と、を、該第1の部材の該トナー像を形成された側の面と、該第3の部材の該接着層と、が対面するように重ねわせ、加熱及び加圧することによって第3の積層体を形成する第3の積層工程と、前記第3の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する剥離工程と、を有する画像形成方法である。
【0013】
請求項9に係る発明は、前記記録媒体は、エチレングリコール、テレフタル酸、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させてなる変性ポリエステル樹脂から構成されたことを特徴とする請求項3〜請求項8の何れか1項に記載の画像形成方法である。
【0014】
請求項10に係る発明は、像保持体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、第1の基体上に受像層が設けられた構成の帯状の第1の部材の該受像層側の面に、前記像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写装置と、第2の基体上に接着層が設けられた構成の帯状の第2の部材と、前記第1の部材と、を、該第1の部材の前記トナー像の転写された側の面と、該第2の部材の接着層と、が対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第1の積層体を形成する第1の積層装置と、前記第1の積層体の前記接着層から前記第2の基体を剥離する第1の剥離装置と、前記第1の剥離装置によって前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と、記録媒体と、を該第1の積層体の前記接着層と該記録媒体とが対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第2の積層体を形成する第2の積層装置と、前記第2の積層装置によって形成された前記第2の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する第2の剥離装置と、を有する画像形成装置である。
【0015】
請求項11に係る発明は、前記第1の積層装置は、重ね合わせた、第2の基体上に接着層が設けられた構成の第2の部材と前記第1の部材とを、前記接着層のガラス転移温度以上前記接着層の溶融温度未満の熱で加熱し、前記第2の積層装置は、重ね合わせた、前記第1の剥離装置によって前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と記録媒体とを、前記接着層のガラス転移温度以上前記接着層の溶融温度未満の熱で加熱することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置である。
【0016】
請求項12に係る発明は、像保持体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、第1の基体上に受像層が設けられた帯状の第1の部材の該受像層側の面に、前記像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写装置と、記録媒体上に接着層が設けられた構成の帯状の第3の部材の該接着層側の面と、前記第1の部材の該トナー像が転写された側の面と、が対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第3の積層体を形成する第3の積層装置と、前記第3の積層装置によって形成された前記第3の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する剥離装置と、を備えた画像形成装置である。
【0017】
請求項13に係る発明は、前記転写装置によって前記第1の部材の前記受像層側の面に転写された前記トナー像に熱を加えることによって、該トナー像を該受像層へ仮定着させる仮定着装置を有することを特徴とする請求項11〜請求項12の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【0018】
請求項14に係る発明は、前記仮定着装置は、前記トナー像に、前記トナーのガラス転移温度以上で且つ前記トナーの溶融温度未満の温度の熱を前記トナー像に加えることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置である。
【0019】
請求項15に係る発明は、前記記録媒体は、エチレングリコール、テレフタル酸、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させてなる変性ポリエステル樹脂から構成されたことを特徴とする請求項10〜請求項14の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、接着層が設けられていない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力の向上された画像記録体が提供される、という効果を奏する。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、更に記録媒体と受像層との層間における接着力の向上された画像記録体が提供される、という効果を奏する。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力の向上された画像形成方法が提供される、という効果を奏する。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力の向上された画像形成方法が提供される、という効果を奏する。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力の向上された画像形成方法が提供される、という効果を奏する。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が向上されると共に、画質向上が図れる、という効果を奏する。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が効果的に向上される、という効果を奏する。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が向上されると共に、画質向上が図れる、という効果を奏する。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が効果的に向上される、という効果を奏する。
【0029】
請求項10に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が向上される、という効果を奏する。
【0030】
請求項11に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が効果的に向上される、という効果を奏する。
【0031】
請求項12に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が向上される、という効果を奏する。
【0032】
請求項13に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が効果的に向上されると共に、画質向上が図れる、という効果を奏する。
【0033】
請求項14に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が効果的に向上される、という効果を奏する。
【0034】
請求項15に係る発明によれば、本発明の構成を有さない場合に比べて、記録媒体と受像層との層間における接着力が効果的に向上される、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】画像記録体の一例を示す概略模式図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】中間転写フィルムを示す模式図である。
【図4】中間転写フィルム上にトナー像が転写された状態を示す模式図である。
【図5】接着層フィルムを示す模式図である。
【図6】トナー像の転写された中間転写フィルムと接着層フィルムとの積層体である第1の積層体を示す模式図である。
【図7】図6に示す第1の積層体から第2の基体が剥離された後の状態を示す模式図である。
【図8】図7に示す積層体と記録媒体との積層体としての第2の積層体を示す模式図である。
【図9】画像記録体の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【図11】記録媒体上に接着層の設けられた積層体を示す模式図である。
【図12】図11に示す積層体と、トナー像の転写された中間転写フィルムとの積層阿智としての第3の積層体を示す模式図である。
【図13】画像記録体の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、第1の基体上に受像層が設けられた構成の帯状の第1の部材の該受像層側の面に、像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写工程と、第2の基体上に接着層が設けられた構成の帯状の第2の部材と、前記トナー像の転写された前記第1の部材と、を、該第1の部材の前記トナー像の転写された側の面と、該第2の部材の接着層と、が対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第1の積層体を形成する第1の積層工程と、前記第1の積層体の前記接着層から前記第2の基体を剥離する第1の剥離工程と、前記第1の剥離工程によって前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と、記録媒体と、を該第1の積層体の前記接着層と該記録媒体とが対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第2の積層体を形成する第2の積層工程と、前記第2の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する第2の剥離工程と、を有する画像形成方法である。
【0037】
このため、記録媒体として、比較的低温で軟化するABS樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂フィルム、そして少なくともエチレングリコール、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させたPETGと呼ばれる変性PET樹脂フィルムや、変性PET樹脂フィルムとPETフィルム、アモルファスPET樹脂フィルムあるいはポリカーボネート樹脂フィルムとの一体成形フィルム等を用いた場合であっても、記録媒体と受像層、特に記録媒体と受像層との層間における接着層の向上が図れる。
【0038】
以下、本発明の画像形成方法の一の実施の形態について、工程毎に説明する。
本実施の形態の画像形成方法は、上述のように、転写工程と、第1の積層工程と、第1の剥離工程と、第2の積層工程と、第2の剥離工程と、を少なくとも含むものであり、さらに、像保持体上に付着した各種付着物を除去するクリーニング工程等、公知の電子写真方式の画像形成方法で採用されている工程を更に組み合わせてもよい。
【0039】
なお、以下では、上記第1の基体上に受像層の設けられた構成の第1の部材を“中間転写フィルム”と称して説明する場合がある。
また、以下では、上記第2の基体上に接着層の設けられた構成の第2の部材を、“接着層フィルム”と称して説明する場合がある。
【0040】
−転写工程−
転写工程では、第1の基体上に受像層が設けられた構成の帯状の中間転写フィルム(第1の部材)の該受像層側の面に、像保持体上に形成されたトナー像を転写する。像保持体へのトナー像の転写は、従来の電子写真方式の画像形成方法が用いられる。
また、上記中間転写フィルム上に形成された受像層側の面にトナー像を転写する方法についても、転写対象物として中間転写フィルムを用いる以外は、従来の電子写真方式の画像形成方法で用いられる方法が採用される。なお、中間転写フィルムの詳細構成、接着層フィルムの詳細構成は、後述する。
【0041】
―第1の積層工程―
第1の積層工程は、第2の基体上に接着層が設けられた構成の帯状の接着層フィルムと、上記転写工程によってトナー像の転写された中間転写フィルムと、を、該中間転写フィルムのトナー像の転写された側の面と、該接着層フィルムの接着層と、が対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第1の積層体を形成する。
【0042】
この第1の積層工程は、中間転写フィルムのトナー像の転写された側の面と、接着層フィルムの接着層と、が対面するように重ね合わせる第1の重ね合せ工程と、第1の重ね合せ工程によって重ね合された中間転写フィルムと接着層フィルムとを加熱及び加圧することによって第1の積層体を形成する第1の加工工程と、の2つの工程に分けて行なっても良い。
【0043】
なお、工程の単純化という観点からは、上記第1の重ね合わせ工程と、上記第1の加工工程と、を同時に行なうことが望ましい。
【0044】
この第1の積層工程(第1の重ね合せ工程、第1の加工工程)を実施するためには、従来公知の電子写真方式の画像形成装置において、記録媒体へのトナー像の定着に用いられる定着装置が利用され、例えば、加熱ロールとこれに圧接するように対向配置された加圧ロールとからなる加熱加圧装置が利用される。この場合、中間転写フィルムと記録媒体とを重ね合わせた状態で、加熱ロールと加圧ロールとの圧接部を挿通させることにより、定着およびラミネート(加工)が実施される。
【0045】
―第1の剥離工程―
第1の剥離工程では、上記第1の積層工程によって形成された第1の積層体における接着層から、第2の基体を剥離する。この剥離方法としては、第2の基体と接着層との界面が剥離されることで、結果的に第2の基体から接着層が剥離されるのであれば、どのような方法を用いても良い。例えば、第1の積層体の第2の基板に対して、他の層(第1の積層体の、第2の基板以外の層)から離れる方向へ引張る力を加えればよい。
【0046】
―第2の積層工程―
第2の積層工程では、上記第1の剥離工程によって第2の基体を剥離された第1の積層体と、記録媒体と、を該第1の積層体における接着層と、該記録媒体とが対面するように重ね合わせて、加熱及び加圧することによって第2の積層体を形成する。
【0047】
この第2の積層工程は、第1の剥離工程によって第2の基体を剥離された第1の積層体と、記録媒体と、を該第1の積層体の接着層と該記録媒体とが対面するように重ね合わせる第2の重ね合せ工程と、第2の重ね合せ工程によって重ね合わされた、第2の基体を剥離された第1の積層体と記録媒体とを加熱及び加圧することによって第2の積層体を形成する第2の加工工程と、の2工程に分けて行なっても良い。
なお、工程の単純化という観点からは、上記第2の重ね合わせ工程と、上記第2の加工工程と、を同時に行なうことが望ましい。
【0048】
この第2の積層工程(第2の重ね合せ工程、第2の加工工程)を実施するためには、従来公知の電子写真方式の画像形成装置において、記録媒体へのトナー像の定着に用いられる定着装置が利用され、例えば、加熱ロールとこれに圧接するように対向配置された加圧ロールとからなる加熱加圧装置が利用される。この場合、第2の基体を剥離された第1の積層体と、記録媒体と、を重ね合わせた状態で、加熱ロールと加圧ロールとの圧接部を挿通させることにより、定着およびラミネート(加工)が実施される。
【0049】
―第2の剥離工程―
第2の剥離工程では、上記第2の積層工程によって形成された第2の積層体の受像層から第1の基体を剥離する。この剥離方法としては、第1の基体と受像層との界面が剥離されることで、結果的に第2の積層体から第1の基体が剥離されるのであれば、どのような方法を用いても良い。例えば、第2の積層体の第1の基板に対して、他の層(第2の積層体の、第1の基板以外の層)から離れる方向へ引張る力を加えればよい。
【0050】
上記工程を得ることによって、図1に示すように、記録媒体P上に、接着層121B、トナー像T、及び受像層110Bが順に積層された画像記録体10が形成される。
このため、記録媒体Pと受像層110Bとの層間における接着力の向上が図れる。
【0051】
なお、上記転写工程の後で、且つ上記第1の積層工程の前に、仮定着工程を行なっても良い。
【0052】
―仮定着工程―
仮定着工程では、転写工程によって中間転写フィルムの受像層側の面へ転写されたトナー像に熱を加えることによって、該トナー像を該受像層へ仮定着させる。
この仮定着工程では、具体的には、該受像層側の面へ転写されたトナー像へ、前記トナーのガラス転移温度以上で且つ前記トナーの溶融温度未満熱であることが、画像が溶融、流動して乱れることなくトナー粒子同士がゆ着するという理由から好ましい。
この仮定着工程におけるトナー像の加熱温度は、受像層を構成する材料の種類や、トナー像を構成する材料の種類等にもよるが、具体的には、60℃以上100℃以下程度が望ましい。
【0053】
この仮定着を行なう方法としては、トナー像を転写された中間転写フィルムの該トナー像側の面、及び該トナー像の転写された側の面に対して裏面側の少なくとも一方に、加熱ロール等の加熱装置を配置する方法が挙げられる。
【0054】
転写工程の後で且つ第1の積層工程の前に、上記仮定着工程が行なわれることによって、第1の積層工程の前に、トナー像を構成するトナー粒子同士やトナー粒子と受像層との融着が生じ、第1の積層工程においてトナー像の乱れが発生することが抑制される。このため、結果的に、画像記録体10における画像(トナー像によって示される画)に乱れが発生することが抑制される。
【0055】
なお、上記説明では、転写工程と、第1の積層工程と、第1の剥離工程と、第2の積層工程と、第2の剥離工程と、を行なうことによって記録媒体に画像を形成する場合を説明したが、記録媒体上に接着層を形成し、該接着層とトナー像の転写された中間転写フィルムとを重ね合わせた後に、該中間転写フィルムから第1の基体を剥離する方法を用いても良い。
【0056】
具体的には、第1の基体上に受像層が設けられた構成の帯状の中間転写フィルム(第1の部材)の該受像層側の面に、像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写工程と、転写工程によってトナー像を転写された中間転写フィルムと、記録媒体上に接着層が設けられた第3の部材(以下“接着層付記録媒体”と称する)と、を、該中間転写フィルムの該トナー像を形成された側の面と、該接着層付記録媒体の該接着層と、が対面するように重ねわせ、加熱及び加圧することによって第3の積層体を形成する第3の積層工程と、第3の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する剥離工程と、を有する画像形成方法とすればよい。
【0057】
―転写工程、第3の積層工程、剥離工程―
この場合には、転写工程としては、上記説明した転写工程を用いればよい。第3の積層工程においては、例えば、上記第1の積層工程で用いた接着層フィルムを用いて、該接着層フィルムと、記録媒体と、を、該接着層フィルムの接着層と記録媒体とが対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって積層体を形成した後に、該積層体から接着層フィルムにおける第2の基体を剥離すればよい。そして、この剥離方法としては、上記第1の剥離方法を用いればよい。これによって第3の積層体が形成される。
【0058】
そして、次の剥離工程では、この第3の積層体から、上記第2の剥離方法を用いて第1の基体を剥離すればよい。
【0059】
このように、記録媒体上に接着層を形成し、該接着層とトナー像の転写された中間転写フィルムとを重ね合わせた後に、該中間転写フィルムから第1の基体を剥離する方法を用いれば、記録媒体と受像層との層間における接着力の向上が図れると共に、更に工程の簡略化が図れる。
【0060】
−中間転写フィルム−
次に、本発明に用いられる帯状の中間転写フィルムについてより詳細に説明する。本発明に用いられる中間転写フィルムは、第1の基体と、この基体の片面に設けられた受像層とを含むものである。
【0061】
受像層の表面には、転写工程において像保持体上に形成されたトナー像が転写される。また、受像層と第1の基体とは離型性を有していることが必要であり、受像層と第1の基体との間に離型性材料を含む離型層を設けてもよく、受像層の第1の基体側の面、あるいは第1の基体の受像層側の面のいずれか一方が、離型性材料で被覆されたものであってもよい。
【0062】
離型性材料としては、シリコーン系ハードコート材料が利用され、具体的には、シラン系組成物を含む縮合物樹脂や、該シラン系組成物を含む縮合物樹脂とコロイダルシリカ分散液との混合物からなる材料が含まれていてもよい。
【0063】
第1の基体としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムが代表的に用いられる。この中でも、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどが好ましく用いられる。
【0064】
なお、第1の基体の受像層が設けられる側の面は、出来る限り平滑であることが望ましく、表面粗さRaで1μm以下であることが望ましく、0.1μm以下であることがより望ましい。表面粗さRaが1μmを超える場合には、高い光沢度を得ることができなくなる場合がある。
【0065】
第1の基体の厚さは、10μm以上200μm以下の範囲が好ましく、25μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。厚さが10μmに満たないと、詳細を後述する画像形成装置で搬送不良となる場合があり、200μmを超えると転写工程で画質劣化を招く場合がある。
【0066】
受像層は、その表面にトナー像が転写されると共に、転写されたトナー像を層状に保持する機能を備えたものである。
この受像層としては、上記機能を有すればよいが、トナー像を受像層内部に埋め込むことが可能である理由から熱可塑性材料を含むものが望ましい。
【0067】
上記熱可塑性材料としては、特に制限されないが、特に制限されないが、画像の形成に使用するトナーに含まれる結着樹脂と同系統の樹脂、特にポリエステル樹脂が含まれることが望ましい。ポリエステル樹脂はトナーの結着樹脂として多用されるものであるため、これと同系統の樹脂を受像層に含ませることにより、受像層への画像形成材料の定着性が良好とされる。なお、上記ポリエステル樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、シリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどを用いても良い。
【0068】
―接着層フィルム(第2の部材)−
接着層フィルムは、第2の基体上に、接着層が積層された構成とされている。
【0069】
この第2の基体としては、特に限定されないが、上記第1の基体と同じ材料を用いればよい。
【0070】
また、第2の基体と接着層とは離型性を有していることが必要であり、接着層と第2の基体との間に離型性材料を含む離型層を設けてもよく、第2の基体の接着層側の面が離型性材料で被覆されたものであってもよい。この離型性材料としては、上記中間転写フィルムの構成で挙げた離型性材料が挙げられる。
【0071】
第2の基体の厚さは、10μm以上200μm以下の範囲が望ましく、25μm以上100μm以下の範囲がより望ましい。
【0072】
接着層は、熱および圧力により接着性を発現するという機能を有すればよいが、例えば、熱溶融性樹脂とを含有して構成される。
【0073】
熱溶融性樹脂としては、スチレン、パラクロロスチレンのポリマー及びコポリマー等のスチレン系樹脂、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルのポリマー及びコポリマー等のビニル系樹脂、エチレン、プロピレンのポリマー及びコポリマー等のオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂等の熱可塑性材料等が挙げられる。
【0074】
接着層の厚みとしては、接着対象の記録媒体の構成材料の特性や、受像層の材料特性にもよるが、1μm以上50μm以下の範囲が望ましく、1μm以上20μm以下の範囲がより望ましい。
【0075】
第2の基体への接着層の形成方法は、接着層を構成する材料として挙げた上記の材料を含む塗工液(溶液又は分散液)を第2の基体上に塗布することによって形成される。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法等の通常使用される方法が採用される。
【0076】
なお、上記画像形成方法において記録媒体上に接着層を積層した後に、トナー像の転写された中間転写フィルムと重ね合わせる形態についても記載したが、この場合には、記録媒体上に、上記接着層を上記方法を用いて形成したものを用いればよい。
【0077】
−記録媒体−
本実施の形態で用いられる記録媒体としては、通常の用紙の他に、プラスチックフィルムや、金属、セラミックなどからなるフィルムなど、画像形成可能なものであれば特に限定されない。中でも、プラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0078】
プラスチックフィルムとしては、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどが好ましく用いられる。
【0079】
また、上記各種プラスチックフィルムの中でも、ポリエステルフィルム、特にエチレングリコール、テレフタル酸を用いたPET(ポリエチレンテレフタレート)のエチレングリコール成分の半分前後を、1,4−シクロヘキサンメタノール成分に置き換えて共重合させたPETGと呼ばれるものが優れ、その他、前記PETGにポリカーボネートを混ぜアロイ化させたもの、さらに二軸延伸しないPETで、A−PETと呼ばれる非晶質系ポリエステル等が好ましく用いられる。
【0080】
なお、前記エチレングリコール、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を少なくとも共重合させた変性ポリエステル樹脂(以下、「PETG樹脂」と略す場合がある)は、軟化点温度が80℃付近であるため、加熱圧着が容易である。
【0081】
ここで、記録媒体としては、上述のようにPETG等のポリエステル系材料である樹脂を用いた(または含む)構成とすることが好適であるが、その他の従来より用いられている記録媒体を用いた場合には、受像層とは系列の異なる材料であることから剥離しやすい事が懸念される。
一方、本実施の形態においては、上記に説明した工程を得ることによって、図1に示すように、記録媒体P上に、接着層121B、トナー像T、及び受像層110Bが順に積層された画像記録体10が形成される。
このため、記録媒体Pとして、ポリエステル系以外の樹脂を含む構成の記録媒体を用いた場合であっても、記録媒体Pと受像層110Bとの層間における接着力が好適となる。
【0082】
なお、記録媒体としては、顔料や染料などを更に添加して着色されたものを用いてもよい。また、記録媒体は、フィルム状、板状であってもよいし、可とう性を有しない程度、又は、記録媒体としての要求に必要な強度を有する程度に厚みを有する形状であってもよい。また、画像記録体をICカードや磁気カード等に適用させる場合、記録媒体には、ICメモリ、アンテナ、外部端子等が埋め込まれる。また、磁気ストライプやホログラム等が別途印刷されたり、必要に応じて文字がエンボス処理されることもある。
【0083】
−トナー、現像剤−
本発明において、トナー像の形成に用いられる現像剤としては、トナーからなる一成分現像剤、あるいは、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤のいずれを用いてもよく、公知の現像剤が利用される。
トナーとしては、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナーであれば従来公知のものが制限なく利用される。なお、結着樹脂としては、公知の結着樹脂が利用されるが、ポリエステル系樹脂が好ましく、その重量平均分子量としては5000以上12000以下であることが望ましい。
【0084】
着色剤としては、トナー用として通常用いられている着色剤であれば特に制限はなく、それ自体公知のシアン顔料または染料、マゼンタ顔料または染料、イエロー顔料または染料、ブラック顔料または染料等の中から選択される。望ましくは、着色剤の顔料とバインダーの界面での乱反射を抑える観点からは、特開平4−242752号公報に示された小粒径の顔料を高分散した着色剤との組合せが有効である。
【0085】
トナーの粒径は、特に限定されないが高精細な画像を得る観点からは4μm以上、8μm以下が望ましい。
【0086】
本実施の形態に用いられるトナーやキャリアは適宜作製したものであってもよいし、市販品であってもよい。
【0087】
−画像形成装置−
次に、本実施の形態の画像形成装置について説明する。
図2に示すように、本実施の形態の画像形成装置100は、筐体101と、該筐体101内に設けられた画像形成部102(画像形成部102K、102C、102M、102Y)、感光体103(103Y、103M、103C、102K)、一次帯電器104(104Y、104M、104C、104K)、LEDアレイ105(105Y、105M、105C、及び105K)、現像装置106(106Y、106M、106C、106K)、転写ロール107(転写ロール107K、107C、107M、107Y)、中間転写フィルム110、送出ロール111、巻取りロール112、仮定着装置160、接着層フィルム121、接着層フィルム送出しロール122、接着層フィルム巻取りロール123、加熱ロール124、加熱ロール131は加熱ロール、加圧ロール125、加圧ロール132、加熱源126、加熱源133、加熱源134、張架ロール115、張架ロール113、張架ロール114、記録媒体供給トレイ141を備えている。
【0088】
画像形成装置100は、筐体101内に、画像形成部102として、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナー像を形成する4組の画像形成部102K、画像形成部102C、画像形成部102M、及び画像形成部102Yの設けられたいわゆるタンデム型の装置であり、張架ロール113および張架ロール114との間に鉛直方向に張架された中間転写フィルム110に沿って、中間転写フィルム110の張架ロール113および張架ロール114が配置された側の面と反対側の面に、張架ロール113側から張架ロール114側へと画像形成部102K、画像形成部102C、画像形成部102M、及び画像形成部102Yが一定の間隔を隔てて鉛直方向にこの順に配置されている。
【0089】
なお、黒、シアン、マゼンタ、イエローの全てに共通する部分については、YMCKの記載を省略して説明する場合がある。
【0090】
これら4組の画像形成部102K、画像形成部102C、画像形成部102M、及び画像形成部102Yは、本実施形態においては、形成するトナー像の色が黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)であるほかは、すべて同様の構成を有するものであるが、使用頻度等に応じて特定の色の画像形成部のみ構成を変えてもよい。例えば、使用頻度の多い画像形成部の感光体の径を大きくしたり、感光体表面材質を高耐久性のものに変えたりし寿命の長いシステムに変更してもよい。
【0091】
これらの4組の画像形成部102K、画像形成部102C、画像形成部102M、及び画像形成部102Yの内の、画像形成部102Yを具体例として説明する。画像形成部102Yは、感光体103Y、一次帯電器104Y、LEDアレイ105Y、および、現像装置106Yから構成されている。ここで、感光体103Yは、中間転写フィルム110の受像層110Bが設けられた側の面に当接されるように配置されていると共に、図示しない駆動装置によって矢印A方向に沿って所定の速度で回転駆動される。また、感光体103Yの周囲には矢印A方向に沿って、一次帯電器104Y、LEDアレイ105Y、現像装置106Y、および、転写ロール107Yがこの順に配置され、転写ロール107Yは、中間転写フィルム110を挟んで、感光体103Yに対向配置される。
【0092】
感光体103Yとしては、特に制限はなく公知のものが利用され、単層構造のものであっても良いし、多層構造で機能分離型のものであっても良い。また、材質としては、セレン、アモルファスシリコン等の無機ものであっても良いし、有機のものであっても良い。
【0093】
現像装置106Yは、絶縁性のカラートナー像を感光体103Y上に形成する。この目的を満たす限り、あらゆる公知の現像装置が用いられる。例えば、トナーをコロトロン、ブラシ等を用いて電子写真感光体に付着させる機能を有する公知の現像装置が挙げられる。また、現像装置106Yとしては、公知のキャリアと混合、帯電されたトナーを用いてトナー像を感光体03Y上に形成してもよく、例えば、特開昭63−58374号公報に記載されているような公知の装置を使用してもよい。また、キャリアを用いない一成分現像剤による現像装置を採用してカラー画像を形成してもよい。
【0094】
また、現像装置106Yで使用されるカラートナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる絶縁性の粒子で、現像装置106Yにおいてはイエローのトナーが用いられ、その他の画像形成部の現像装置においては、画像形成部102Cの現像装置106Cではシアントナー、画像形成部102Mの現像装置106Mではマゼンタトナー、画像形成部102Kの現像装置106Kではブラックトナーが用いられる。これらのカラートナーの組成、平均粒径等については、一般的な公知のトナーの範囲の中から適宜選択される。
【0095】
画像形成部102Yによるイエロー(Y)色のトナー像の形成は以下のように行われる。まず、感光体103Yの表面は、帯電ロール等からなる一次帯電器104Yによって所定の電位に一様に帯電された後、入力画像信号に応じたハーフトーン画像(ラスターデータ)に応答してLEDアレイ105Yにより露光され、静電潜像が形成される。感光体103Y上に形成された静電潜像は、対応する色のトナーを収容した現像装置としての現像装置106Yによって現像され、イエロー(Y)色のトナー像が形成される。このイエロー(Y)色のトナー像は、感光体103Yと中間転写フィルム110との当接部において、一次転写装置である転写ロール107Yによって感光体103Y表面から中間転写フィルム110表面へと転写される。なお、転写が終了した後の感光体103Yの表面は、必要に応じて、図示しないクリーニング装置によって残留トナー等が除去される
【0096】
画像形成部102Kは、感光体103K、一次帯電器104K、LEDアレイ105K、および現像装置106Kを含んで構成されており、転写ロール107Kが中間転写フィルム110を挟んで感光体103Kに対向配置されている。
画像形成部102Cは、感光体103C、一次帯電器104C、LEDアレイ105C、および現像装置106Cを含んで構成されており、転写ロール107Cが中間転写フィルム110を挟んで感光体103Cに対向配置されている。
画像形成部102Mは、感光体103M、一次帯電器104M、LEDアレイ105M、および現像装置106Mを含んで構成されており、転写ロール107Mが中間転写フィルム110を挟んで感光体103Mに対向配置されている。
【0097】
なお、これらの画像形成部102K、画像形成部102C、及び画像形成部102Mについては、用いるトナーの色が異なる以外は、画像形成部102Yと同じ構成及び同じ機能を有するため詳細な説明を省略する。
【0098】
また、筐体101内には、帯状の長尺状のフィルムである中間転写フィルム110を送り出す送出しロール111と、送出しロール111から送り出された中間転写フィルム110を巻き取る巻取りロール112と、送出しロール111と巻取りロール112との間の中間転写フィルムを張架する6つのロール(張架ロール113、張架ロール114、加圧ロール125、張架ロール115、加熱ロール131、および、剥離ロール116)を備えている。なお、巻取りロール112は、不図示の駆動源に接続されており、中間転写フィルム110を巻き取る。
【0099】
中間転写フィルム110は、図3に示すように、第1の基体110A上に、受像層110B積層された構成とされており、帯状で且つ長尺状とされている。この第1の基体、受遺像層、及びこれらを積層した中間転写フィルムの詳細構成については上述したため、ここでは説明を省略する。
そして、この中間転写フィルム110は、その一端側を、送出しロール111に巻かれており、画像の形成に際しては、送出しロール111から、中間転写フィルム110が順次送り出される。なお、送出しロール111に巻き取られた状態の中間転写フィルム110は、受像層110Bが設けられた側の面が外側面となるように巻き取られる。送出しロール111から送り出された中間転写フィルム110は、画像形成時には巻取りロール112により矢印B方向に逐次巻き取られる。詳細には、中間転写フィルム110の受像層110Bは記録媒体Pに転写されることから、第1の基体110Aのみが巻取りロール112によって巻き取られる。
【0100】
送出しロール111と巻取りロール112との間の中間転写フィルム110は、送出しロール111側から巻取りロール112側へと以下の順に配置された張架ロール113、張架ロール114、加圧ロール125、張架ロール115、加熱ロール131、および、剥離ロール116によって所定の張力で張架されている。
【0101】
接着層フィルム121は、図5に示すように、第2の基体121A上に接着層121Bが積層された構成とされている。なお、この第2の基体121、接着層121B、及びこれらの積層された構成の接着層フィルム121の詳細構成については、上記で説明したため、ここでは説明を省略する。
【0102】
接着層フィルム121は、その一端側が、送出しロール122に巻かれており、送出しロール122から、接着層フィルム121が順次送り出される。なお、送出しロール122に巻き取られた状態の接着層フィルム121は、接着層121Bが設けられた側の面が、中間転写フィルム110の受像層110B側の面に対面するように配置され、内部に加熱源126を備えた加熱ロール124を経由して、巻取りロール123によって順次巻きと取られる。詳細には、接着層フィルム121の接着層121Bは、後述する加圧ロール125と加熱ロール124との間の領域において、中間転写フィルム110の受像層110B側に転写され、第2の基体121Aのみが巻取りロール123によって巻き取られる。
【0103】
この加熱ロール124は、加圧ロール125との間に中間転写フィルム110を挟むように配置されている。送出しロール122から送り出された接着層フィルム121が、この加熱ロール124と加圧ロール125との間の領域を、経由することによって、中間転写フィルム110と接着層フィルム121とが重ね合されて第1の積層体140(図6参照)が形成された後に、該第1の積層体140から、第2の基体121Aのみが剥離されて巻取りロール123によって巻き取られる。
【0104】
なお、加熱ロール124には、加圧ロール125と所定のタイミングで圧接するリトラクト機能が設けられていてもよい。
【0105】
加熱ロール131は、その内部に加熱源133を内蔵すると共に、中間転写フィルム110を挟んで加熱ロール131を押圧するように加圧ロール132が対向配置されている。この加熱ロール131及び加圧ロール132は、第2の積層装置として機能する。
【0106】
加圧ロール132と中間転写フィルム110との間(ニップ部)は、筐体101外に取り付けられた記録媒体供給トレイ141から不図示の搬送装置により矢印D方向(水平方向)に搬送される所定のサイズに裁断されたシート状の記録媒体Pが挿通される。この記録媒体Pが当該ニップ部を通過する際に、記録媒体Pと中間転写フィルム110とが重ね合わせられ、トナー像の定着およびラミネート(加工)が実施される。
【0107】
この加熱ロール131には、加圧ロール132と所定のタイミングで圧接するようにリトラクト機能が設けられていても良い。
【0108】
剥離ロール116は、加熱ロール131と加圧ロール132とが設けられた領域よりも、記録媒体Pの搬送方向下流側(排出側)に設けられている。巻取りロール112は、巻取りロール112と剥離ロール116との間で張架される中間転写フィルム110が、記録媒体Pの搬送方向に対して約90°前後の角度を成すように配置されている。この場合、プラスチックシートのような剛性のある記録媒体Pを用いれば、加熱ロール131と加圧ロール132との間を搬送されることによって形成される第2の積層体144(図8参照)の第1の基体110A側に引っ張られる力が働くと共に、記録媒体P自体はその剛性によって、第1の基体110A側に引っ張られて変形し難いため、受像層110Bと第1の基体110Aとの間で剥離が起こる。なお、記録媒体Pの剛性が弱い場合には、第2積層体144の記録媒体P側を吸着したりする等によって第1の基体110A側に変形しないようにしてもよい。
【0109】
なお、第1の基体110Aの剥離は、第2の積層体144の受像層110Bと、第1の基体110Aとの間に挿入される剥離爪を用いて剥離を行なってもよく、上述した剥離ロールと併用してもよい。
【0110】
また、また、筐体101内の、各色画像形成部102によって、各画像形成部102の各感光体103にトナー像が形成され、感光体103に形成されたトナー像が転写ロール107によって中間転写フィルム110の受像層110Bに転写される領域より、中間転写フィルム110の搬送方向(図2中、矢印B方向)側で、且つ、加熱ロール124より上流側には、仮定着装置160が設けられている。
【0111】
仮定着装置160は、各色画像形成部102によって中間転写フィルム110の受像層110Bに転写されたトナー像に熱を加えることによって、該トナー像を受像層110Bに仮定着させる。
【0112】
仮定着装置160は、受像層110Bに転写されたトナー像に熱を加える構成であればいかなる構成であってもよいが、張架ロール114と加圧ロール125との間に張架された中間転写フィルム110の第1の基体110A側及び受像層110B側に、接触あるいは非接触の加熱装置を配置することが好ましく、例えば、中間転写フィルム110の第1の基体110A側の面に接触するように仮定着用の加熱ロールを配置してもよい。
【0113】
この仮定着装置160を設けることによって、中間転写フィルム110にトナー像を重ね合わせて転写した後に、加熱ロール124及び加圧ロール125や、加熱ロール131及び加圧ロール132によって定着およびラミネートを実施する場合、画像の乱れやレジずれが発生してしまう場合がある。しかし、この仮定着装置160を設けることによって、このような問題の発生が抑制される。
【0114】
なお、この仮定着装置160によって受像層110Bに転写されたトナー像に加えられる温度は、トナーのガラス転移温度以上で且つ、トナーの溶融温度未満の温度であることが望ましい。
仮定着装置160によって、受像層110Bに転写されたトナー像に上記範囲内の温度の熱が加えられることによって、画像が流動して乱れることなくトナーが一体化するという効果が得られる。
【0115】
上述のように構成された画像形成装置100においては、中間転写フィルム110(図3参照)が中間転写フィルム送出ロール111から送り出されて各色画像形成部102の設けられている位置に達すると、各色画像形成部102の感光体103に転写されたトナー像が転写ロール107によって中間転写フィルム110の受像層110Bに転写される(図4参照)。詳細には、各画像形成部102K、102C、102M、102Yで形成された各色のトナー像は、一次転写装置である転写ロール107K、107C、107M、107Yによって、黒、シアン、マゼンタ、イエローの順に、順次、中間転写フィルム110上に互いに重ね合わせた状態で、一次転写され、中間転写フィルム110上に多色トナー像が形成される。
【0116】
そして、このトナー像Tを転写された中間転写フィルム110上のトナー像Tは、仮定着装置160によって熱を加えられることによって、受像層110Bに仮定着される。
【0117】
受像層110Bにトナー像Tを仮定着された中間転写フィルム110には、加圧ロール125と加熱ロール124との対向領域において、接着層フィルム121(図5参照)が重ね合され、且つ加熱及び加圧されて、図6に示すように第1の積層体140が形成される。この重ね合せにおいては、中間転写フィルム110の受像層110Bと、接着層フィルム121の接着層121Bとが対面するように重ね合される。
【0118】
そして、この中間転写フィルム110と接着層フィルム121との積層体である第1の積層体140における第2の基体121Aは、接着層121Bから剥離されて接着層フィルム巻取りロール123によって巻き取られる。
【0119】
第2の基体121Aを剥離された第1の積層体140としての積層体142(図7)は、さらに搬送されて、加熱ロール131と加圧ロール132との対向領域に搬送されると、記録媒体Pと重ね合され、且つ加熱及び加圧されて、図8に示す第2の積層体144が形成される。この重ね合せにおいては、積層体142の接着層121Bと記録媒体Pとが対面するように重ね合される。
【0120】
そして、形成された第2の積層体144における第1の基体110Aは、受像層110Bから剥離されて加圧ロール125によって巻き取られる。
【0121】
この第2の積層体144から第1の基体110Aが剥離されることによって、画像記録体10(図1、図9参照)が作製される。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置100においては、記録媒体P上に、接着層121B、トナー像T、及び受像層110Bの積層された構成の画像記録体10が形成されることから、記録媒体Pと受像層110Bとの層間における接着力の向上された画像記録体10が形成される。
【0123】
なお、上記実施の形態では、画像形成装置100には、仮定着装置160が設けられた場合を説明したが、仮定着装置160が設けられていない構成であってもよい。しかし、仮定着装置160を設けた構成であるほうが、より記録媒体Pと受像層110Bとの層間における接着力が向上される。
【0124】
また、上記実施の形態では、画像形成装置100は、中間転写フィルム110と、接着層フィルム121と、を積層した第1の積層体140を形成した後に、接着層フィルム121の第2の基体121Aを剥離し、接着層121Bと記録媒体Pとが対面するように重ね合わせて第2の積層体144を形成し、さらに第1の基体110Aを剥離することで、画像記録体10を形成する場合を説明したが、結果的に、記録媒体P上に、接着層121B、トナー像T、及び受像層110Bの積層された構成の画像記録体10が形成される構成であればよく、このような形態に限られない。
【0125】
例えば、記録媒体Pに接着層121Bを積層した積層体と、中間転写フィルム110の受像層110Bにトナー像Tを転写した積層体と、を重ね合わせて加熱及び加圧することによって第3の積層体を形成した後に、該第3の積層体における中間転写フィルム10の第1の基体110Aを剥離することによって、画像記録体10を形成してもよい。
【0126】
この場合には、図10に示すように、接着層フィルム送出しロール122、加熱ロール124、加圧ロール125の位置を、加熱ロール124と加圧ロール125の対向領域が、加熱ロール131及び加圧ロール132の対向領域に達する前の記録媒体Pの通過する位置となるように配置して、該位置において記録媒体Pを挟持搬送可能な位置に設けた以外は、画像形成装置100と同一構成の画像形成装置100Aとすればよい。
【0127】
上述のように構成された画像形成装置100においては、中間転写フィルム110(図3参照)が中間転写フィルム送出ロール111から送り出されて各色画像形成部102の設けられている位置に達すると、各色画像形成部102の感光体103に転写されたトナー像が転写ロール107によって中間転写フィルム110の受像層110Bに転写される(図4参照)。
【0128】
そして、このトナー像Tを転写された中間転写フィルム110上のトナー像Tは、仮定着装置160によって熱を加えられることによって、受像層110Bに仮定着される。
【0129】
この受像層110Bにトナー像Tを仮定着された中間転写フィルム110は、加熱ロール131と加圧ロール132との対向領域に搬送される。
【0130】
一方、記録媒体供給トレイ141から搬送された記録媒体Pは、加圧ロール125と加熱ロール124との対向領域において、接着層フィルム121(図5参照)が重ね合され、且つ加熱及び加圧されて積層体が形成される。この重ね合せにおいては、記録媒体Pと、接着層フィルム121の接着層121Bとが対面するように重ね合される。
【0131】
そして、この記録媒体Pと接着層フィルム121との積層体における第2の基体121Aは、接着層121Bから剥離されて接着層フィルム巻取りロール123によって巻き取られる。これによって、記録媒体P上に接着層121Bの積層された積層体150(図11参照)が形成される。
【0132】
この記録媒体P上に接着層121Bの積層された積層体150は、さらに搬送されて、加熱ロール131と加圧ロール132との対向領域に搬送されると、受像層110Bにトナー像Tを仮定着された中間転写フィルム110と、受像層110Bのトナー像Tの形成された側の面と接着層121Bとが対面するように重ね合され、且つ加熱及び加圧されて、図12に示す第3の積層体152が形成される。
【0133】
そして、形成された第3の積層体152における第1の基体110Aは、受像層110Bから剥離されて加圧ロール125によって巻き取られる。
この第3の積層体152から第1の基体110Aが剥離されることによって、図13に示すように、画像記録体10が形成される。
【実施例】
【0134】
以下に、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。なお、下記実施例及び比較例における「部」は、「質量部」を意味する。
【0135】
(実施例1)
−画像形成装置−
画像形成装置としては、上述した図1に示す画像形成装置を用い、記録媒体としてはプラスチックシートを用いた。以下に詳細な条件を記載する。
【0136】
−現像剤−
現像剤は、富士ゼロックス(株)製: DocuPrint C3540用のシアン現像剤、マゼンタ現像剤、イエロー現像剤、ブラック現像剤を用いた。トナーの平均粒径は7μmであった。
【0137】
−記録媒体−
カラー画像の形成に用いた記録媒体としては、白色塩化ビニル製シート(三菱樹脂社製、ビニホイルC―4636)で、厚さは760μm、大きさはカードサイズ(85.6mm×54mm)に予め打ち抜き加工されたものを用いた。
【0138】
−カラートナー現像質量と画像信号−
現像するカラートナー質量は、各色とも画像信号Cin=100%部分で0.5mg/cmとした。スキャナで読んだデータを画像処理装置によって色、階調、シャープネス補正を施し、各色のトナーの画像信号を生成した。
【0139】
−中間転写フィルム−
中間転写フィルムには、ベース層(第1の基体)と受像層とからなる2層構造のものを用いた。ベース層には、PETフィルムの片面に予め離型処理を施した帯状のフィルム(パナック社製、PET100SG−2、厚み:50μm、幅:320mm、長さ:10m、離型処理された面の表面粗さRa:0.05μm)用いた。また、受像層は ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン200)20部と、架橋型アクリル粒子(綜研化学社製、MX−500、体積平均粒径5μm)1部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.6部と、をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90にて混合した液80部に添加して十分攪拌した画像受像層塗工液を、PETフィルムの離型処理が施された面に乾燥後の厚さが10μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。
【0140】
−接着層フィルム−
接着層フィルム121には、ベース層(第2の基体)と離型層と接着層とからなる3層構造のものを用いた。ベース層には、PETフィルム(東レ社製、ルミラー100T60、厚み:50μm)、幅:320mm、長さ:10m)を用いた。離型層は、ベース層に、有機シラン縮合物、メラミン樹脂、アルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)20部を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30部に添加して十分撹拌し離型層塗工液を乾燥後の厚さが1μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。また、接着層は、ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロン220、ガラス転移温度Tg:53℃)20部と、架橋型アクリル粒子(綜研化学社製、MX−2000、体積平均粒径20μm)0.2部と、帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)0.2部と、をシクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液80部に添加して十分攪拌した接着層塗工液をPETフィルムの片面に予め離型処理を施した帯状のフィルム(パナック社製、PET100SG−2、厚み:50μm、幅:320mm、長さ:10m、離型処理された面の表面粗さRa:0.05μm)のPETフィルムの離型層を塗布した面に乾燥後の厚さが20μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。
【0141】
−画像の形成−
画像の形成は、白色塩化ビニル製シートの長手方向が供給方向となるように記録媒体供給トレイ141にセットし、第1の積層工程(中間転写フィルムと接着層フィルムとの重ね合わせ、加熱、及び加圧)における、加熱条件を130℃、第2の積層工程(接着層の転写された中間転写フィルムと記録媒体との重ね合せ、加熱及び加圧)における加熱条件を90℃、中間転写フィルム110および接着層フィルム121の送り速度を25mm/sに設定して実施した。
また、仮定着工程として、トナー像の転写された中間転写フィルムへの仮定着条件は、
加熱条件を110℃とした。
なお、画像は、白色塩化ビニル製シートの中央部に人物の画像を形成し周囲約1cmは余白(非画像部)とした。
【0142】
(実施例2)
−記録媒体−
カラー画像の形成に用いた記録媒体としては、白色PETGシート(三菱樹脂社製、ディアフィクスWHI)で、厚さは760μm、大きさはカードサイズ(85.6mm×54mm)に予め打ち抜き加工されたものを用いた。
それ以外は、実施例1と同じ構成とした。
【0143】
(実施例3)
−記録媒体−
カラー画像の形成に用いた記録媒体としては、白色PETGシート(三菱樹脂社製、ディアフィクスWHI)で、厚さは760μm、大きさはカードサイズ(85.6mm×54mm)に予め打ち抜き加工されたものを用いた。
【0144】
−中間転写フィルム−
中間転写フィルムの受像層は、ウレタン変性アクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、8UA−318:(ウレタンの種類:ポリエステル系)、ウレタン/アクリル比=3/7、アクリル部Tg:82℃、固形分40質量%)20部と帯電制御剤(日本油脂社製、エレガン264WAX)1部とを、メチルエチルケトン80部に添加して十分撹拌した画像受像層塗工液を、PETフィルムの離型処理が施された面に乾燥後の厚さが10μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。
【0145】
−接着層フィルム−
接着層フィルム121には、ベース層(第2の基体)と離型層と接着層とからなる3層構造のものを用いた。ベース層には、PETフィルム(東レ社製、ルミラー100T60、厚み:50μm)、幅:320mm、長さ:10m)を用いた。離型層は、ベース層に、有機シラン縮合物、メラミン樹脂、アルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)20部を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30部に添加して十分撹拌した離型層塗工液を乾燥後の厚さが1μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。また、接着層は、ウレタン変性アクリル樹脂を含む塗工液(大成ファインケミカル社製、8UA−301:(ウレタンの種類:ポリエステル系)、ウレタン/アクリル比=4/6、アクリル部Tg:60℃、固形分:29質量%)820部をメチルエチルケトン80部に添加して十分撹拌した接着層塗工液を、PETフィルムの離型層を塗布した面に乾燥後の厚さが20μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。
【0146】
(比較例1)
上記実施例1で、接着層フィルムをセットしなかった以外は、全く同じ画像形成装置で記録媒体に画像を形成した。
【0147】
(比較例2)
上記実施例2で、接着層フィルムをセットしなかった以外は、全く同じ画像形成装置で記録媒体に画像を形成した。
【0148】
(評価)
−定着度の評価−
実施例1〜3および比較例1〜2で得られた画像が形成された記録媒体について、密着度を以下の方法で評価した。
【0149】
記録媒体の表面にトナー像を貫通して素地面に達する長さ約40mmのX状の切り傷をカッターナイフでつける。その上に長さ約50mmのテープ(住友スリーエム社製、スコッチメンディングテープ)を貼り付け、消しゴムで擦ってテープを表面に完全に貼り付ける。2分後、テープの一端を持って記録媒体に垂直に瞬間的に引き剥がす。テープを引き剥がした際のXカット部の剥れの状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価を行った。
【0150】
―評価基準―
○:はがれが全くない
△:Xカットの交点近傍にやや剥れがある
×:カット部より大きく剥れる
【0151】
その結果、実施例1〜3では、画像の剥れがなく、トナー像が記録媒体に対して強固に接着していたが、比較例1では受像層のみの部分(非画像部)、画像部ともに大きく剥れが発生した、また比較例2では受像層のみの部分(非画像部)でやや剥れがないものの、画像部では大きく剥れが発生していた。評価結果を表1に示した。
【0152】
【表1】

【符号の説明】
【0153】
100 画像形成装置
100A 画像形成装置
102 画像形成部
103 感光体
106 現像装置
107 転写ロール
110A 第1の基体
110B 受像層
110 中間転写フィルム
160 仮定着装置
121A 第2の基体
121B 接着層
121 接着層フィルム
124 加熱ロール
125 加圧ロール
131 加熱ロール
132 加圧ロール
140 第1の積層体
144 第2の積層体
152 第3の積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に、接着層、トナー像、及び受像層が積層された構成の画像記録体。
【請求項2】
前記記録媒体が、エチレングリコール、テレフタル酸、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させてなる変性ポリエステル樹脂から構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像記録体。
【請求項3】
第1の基体上に受像層が設けられた構成の帯状の第1の部材の該受像層側の面に、像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写工程と、
第2の基体上に接着層が設けられた構成の帯状の第2の部材と、前記トナー像の転写された前記第1の部材と、を、該第1の部材の前記トナー像の転写された側の面と、該第2の部材の接着層と、が対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第1の積層体を形成する第1の積層工程と、
前記第1の積層体の前記接着層から前記第2の基体を剥離する第1の剥離工程と、
前記第1の剥離工程によって前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と、記録媒体と、を該第1の積層体の前記接着層と該記録媒体とが対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第2の積層体を形成する第2の積層工程と、
前記第2の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する第2の剥離工程と、
を有する画像形成方法。
【請求項4】
前記第1の積層工程は、
前記第1の部材の前記トナー像の転写された側の面と、前記第2の部材の前記接着層と、が対面するように重ね合わせる第1の重ね合せ工程と、
前記第1の重ね合せ工程によって重ね合された前記第1の部材と前記第2の部材とを加熱及び加圧することによって前記第1の積層体を形成する第1の加工工程と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記第2の積層工程は、
前記第1の剥離工程によって前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と、前記記録媒体と、を該第1の積層体の前記接着層と該記録媒体とが対面するように重ね合わせる第2の重ね合せ工程と、
前記第2の重ね合せ工程によって重ね合わされた、前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と前記記録媒体とを加熱及び加圧することによって前記第2の積層体を形成する第2の加工工程と、
を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記転写工程の後で且つ前記第1の積層工程の前に行なわれ、前記転写工程によって前記第1の部材の前記受像層側の面へ転写された前記トナー像に熱を加えることによって、該トナー像を該受像層へ仮定着させる仮定着工程を更に有することを特徴とする請求項3〜請求項5の何れか1項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記仮定着工程は、前記トナーのガラス転移温度以上で且つ前記トナーの溶融温度未満の温度の熱を前記トナー像に加えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
第1の基体上に受像層が設けられた構成の帯状の第1の部材の該受像層側の面に、像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写工程と、
前記転写工程によってトナー像を転写された帯状の前記第1の部材と、記録媒体上に接着層が設けられた第3の部材と、を、該第1の部材の該トナー像を形成された側の面と、該第3の部材の該接着層と、が対面するように重ねわせ、加熱及び加圧することによって第3の積層体を形成する第3の積層工程と、
前記第3の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する剥離工程と、
を有する画像形成方法。
【請求項9】
前記記録媒体は、エチレングリコール、テレフタル酸、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させてなる変性ポリエステル樹脂から構成されたことを特徴とする請求項3〜請求項8の何れか1項に記載の画像形成方法。
【請求項10】
像保持体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
第1の基体上に受像層が設けられた構成の帯状の第1の部材の該受像層側の面に、前記像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写装置と、
第2の基体上に接着層が設けられた構成の帯状の第2の部材と、前記第1の部材と、を、該第1の部材の前記トナー像の転写された側の面と、該第2の部材の接着層と、が対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第1の積層体を形成する第1の積層装置と、
前記第1の積層体の前記接着層から前記第2の基体を剥離する第1の剥離装置と、
前記第1の剥離装置によって前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と、記録媒体と、を該第1の積層体の前記接着層と該記録媒体とが対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第2の積層体を形成する第2の積層装置と、
前記第2の積層装置によって形成された前記第2の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する第2の剥離装置と、
を有する画像形成装置。
【請求項11】
前記第1の積層装置は、重ね合わせた、第2の基体上に接着層が設けられた構成の第2の部材と前記第1の部材とを、前記接着層のガラス転移温度以上前記受像層の溶融温度未満の熱で加熱し、
前記第2の積層装置は、重ね合わせた、前記第1の剥離装置によって前記第2の基体を剥離された前記第1の積層体と記録媒体とを、前記接着層のガラス転移温度以上前記受像層の溶融温度未満の熱で加熱することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
像保持体上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、
第1の基体上に受像層が設けられた帯状の第1の部材の該受像層側の面に、前記像保持体上に形成されたトナー像を転写する転写装置と、
記録媒体上に接着層が設けられた構成の帯状の第3の部材の該接着層側の面と、前記第1の部材の該トナー像が転写された側の面と、が対面するように重ね合わせ、加熱及び加圧することによって第3の積層体を形成する第3の積層装置と、
前記第3の積層装置によって形成された前記第3の積層体の前記受像層から前記第1の基体を剥離する剥離装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項13】
前記転写装置によって前記第1の部材の前記受像層側の面に転写された前記トナー像に熱を加えることによって、該トナー像を該受像層へ仮定着させる仮定着装置を有することを特徴とする請求項11〜請求項12の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記仮定着装置は、前記トナー像に、前記トナーのガラス転移温度以上で且つ前記トナーのガラス溶融温度未満の温度の熱を前記トナー像に加えることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記記録媒体は、エチレングリコール、テレフタル酸、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させてなる変性ポリエステル樹脂から構成されたことを特徴とする請求項10〜請求項14の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−185945(P2010−185945A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28546(P2009−28546)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】