説明

画像記録体形成装置、画像記録体形成方法、および保持体

【課題】厚みが300μm以上の小判サイズの記録媒体に画像を形成した画像記録体を形成する場合においても、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体を形成することができる画像記録体形成方法を提供する。
【解決手段】表面に画像を有する転写体と、記録媒体を保持する保持体とを、前記転写体の前記画像が設けられた面と前記保持体により保持された前記記録媒体表面とが対面するように重ね合わせる重ね合わせ工程と、重ね合わされた前記転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される一方の処理を行うことにより前記画像を前記転写体表面から前記記録媒体表面に転写する転写工程とを、有することを特徴とする画像記録体形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録体形成装置、画像記録体形成方法、および、保持体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等のようにプラスチックシートに画像を形成したカードは幅広く利用されている。また、近年では、カード用の基材の一部に凹部を設けて、この凹部内にICチップが搭載されたICモジュールが配置された構成等を有する所謂ICカードなども普及し始めている(例えば、特許文献1参照)。
一方、カードの作製に用いる画像形成装置としては、昇華型熱転写方式の装置が知られている(特許文献2参照)。
この装置では、インクドナーフィルムに塗布されたインクを第1の加熱部によって中間転写体に転写してインク像を形成し、この中間転写体に転写されたインク像を第2の加熱部によって受像体に再転写することによって画像を形成する。
【0003】
また、昇華型熱転写方式ではなく、電子写真方式によりプラスチックシート等にカラー画像を形成する画像形成装置も提案されている(特許文献3参照)。
この装置による画像の形成は以下のように実施される。まず、基体表面に画像受像層を設けた画像形成材料転写フィルムを用いて、既存の電子写真方式の画像形成装置によりこの転写フィルム上に画像を一旦形成した後、プラスチックシートなどの画像支持体に積層し、熱・圧力でラミネートし、続いて、画像形成材料転写フィルムを剥離して、画像を画像支持体上に転写させることで、プラスチックシートに電子写真画像が形成される。
【0004】
さらに、予めカード形状に加工された情報カードに電子写真方式で画像を形成する方法も提案されている(特許文献4参照)。この方法では、窓穴を有する担持板と、担持板の一方の側の表面に窓穴を覆うように固着され、窓穴と共に凹陥を形成する保持シートとからなる部材の凹陥部分に情報カードを挿入して接着したものを、電子写真方式の画像記録装置に供給して情報カードに印刷を行う。
なお、この方法では、厚みが0.008〜0.010インチ(203.2〜254μm)程度の情報カードを用いることを想定しており、情報カードを接着して固定する担持板と保持シートとから構成される部材は、従来の画像形成装置を通すことが可能な材料から構成される。
【特許文献1】特開平6−234291号公報
【特許文献2】特開平8−067019号公報
【特許文献3】特開2005−227377号公報
【特許文献4】特開平7−013463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、厚みが300μm以上の小判サイズの記録媒体に画像を形成した画像記録体を形成する場合においても、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体を形成することができる画像記録体形成方法、これを用いた画像記録体形成装置、並びに、画像記録体の形成に際して用いられる保持体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
請求項1に係わる発明は、
表面に画像を有する転写体と、
基体と該基体の少なくとも片面に記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有し、前記保持部材が設けられた面に記録媒体を保持する保持体とを、
前記転写体の前記画像が設けられた面と前記保持体により保持された前記記録媒体表面とが対面するように重ね合わせる重ね合わせ手段と、
重ね合わされた前記転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより前記画像を前記転写体表面から前記記録媒体表面に転写する転写手段とを、少なくとも有することを特徴とする画像記録体形成装置である。
【0007】
請求項2に係わる発明は、
像保持体と、
前記像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
基材と該基材表面に設けられた画像保持層を含む帯状の中間転写体を少なくとも備え、前記トナー像を前記像保持体表面から、前記中間転写体の前記画像保持層側の面に転写する転写手段と、
前記中間転写体の前記トナー像が転写された面と、保持体により保持された記録媒体表面とを重ね合わせて、前記中間転写体と前記記録媒体とを加熱および加圧することにより前記トナー像を定着すると共に、前記中間転写体と前記記録媒体とを接合する接合手段とを、少なくとも有することを特徴とする画像記録体形成装置である。
【0008】
請求項3に係わる発明は、
前記接合手段によって前記中間転写体と前記記録媒体とが接合された接合体を、前記接合体の前記記録媒体側を保持する前記保持体と共に冷却する冷却手段を備え、
前記冷却手段が、互いに対向する面が平面状の一対の部材を少なくとも有し、前記接合体および前記保持体からなる積層体の冷却が前記積層体を前記一対の部材間に挟持した状態で実施されることを特徴とする請求項2に記載の画像記録体形成装置である。
【0009】
請求項4に係わる発明は、
前記転写手段によって前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を、
前記接合手段により前記中間転写体の前記トナー像が転写された面と前記保持体により保持された前記記録媒体表面とを重ね合わせる前に予備加熱して仮定着する仮定着手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像記録体形成装置である。
【0010】
請求項5に係わる発明は、
前記保持体が基体と、該基体の少なくとも片面に前記記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有する保持体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像記録体形成装置である。
【0011】
請求項6に係わる発明は、
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材が、前記基体表面の記録媒体が保持される領域を囲むように連続的に前記基体表面に設けられている請求項5に記載の画像記録体形成装置である。
【0012】
請求項7に係わる発明は、
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の高さが、610μm以上820μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の画像記録体形成装置である。
【0013】
請求項8に係わる発明は、
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の高さが、前記記録媒体の厚み−150μm以上前記記録媒体の厚み+60μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の画像記録体形成装置である。
【0014】
請求項9に係わる発明は、
前記凸部材の高さが、前記記録媒体の厚み−100μm以上前記記録媒体の厚み以下の範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の画像記録体形成装置である。
【0015】
請求項10に係わる発明は、
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の表面に離型層が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像記録体形成装置である。
【0016】
請求項11に係わる発明は、
前記保持体が、前記基体表面の記録媒体が保持される領域内に凸部を有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置である。
【0017】
請求項12に係わる発明は、
前記凸部の高さが、50μm以上75μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置である。
【0018】
請求項13に係わる発明は、
表面に画像を有する転写体と、
基体と該基体の少なくとも片面に記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有し、前記保持部材が設けられた面に記録媒体を保持する保持体とを、
前記転写体の前記画像が設けられた面と前記保持体により保持された前記記録媒体表面とが対面するように重ね合わせる重ね合わせ工程と、
重ね合わされた前記転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより
前記画像を前記転写体表面から前記記録媒体表面に転写する転写工程とを、少なくとも有することを特徴とする画像記録体形成方法である。
【0019】
請求項14に係わる発明は、
像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、
前記トナー像を前記像保持体表面から、基材表面に画像保持層が設けられた帯状の中間転写体の前記画像保持層側の面に転写する転写工程と、
前記中間転写体の前記トナー像が転写された面と保持体により保持された記録媒体表面とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
加熱および加圧することにより前記トナー像を定着する定着工程と、重ね合わされた前記中間転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより接合する接合工程と、前記中間転写体の前記基材と前記画像保持層との界面を剥離する剥離工程と、を少なくとも有することを特徴とする画像記録体形成方法である。
【0020】
請求項15に係わる発明は、
前記記録媒体がいずれか一方の面に凹部を有し、
前記記録媒体が前記凹部を有する面が前記保持体と接するように前記保持体に保持され、
前記保持体が前記基体表面の前記記録媒体を保持する面側で、且つ、前記記録媒体を保持した際に前記凹部と対向する領域内に凸部を有し、
且つ、下式(1)を満たすことを特徴とする請求項13又は14に記載の画像記録体形成方法である。
・式(1) ΔG+50≧ΔH≧ΔG−20
〔式(1)中、ΔGは、前記凹部の深さ(μm)を表し、ΔHは、前記凸部の高さ(μm)を表す。〕
【0021】
請求項16に係わる発明は、
表面に画像を有する転写部材を、前記画像が設けられた面と記録媒体とを対面するように重ね合わせた状態で、加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を実施する画像記録体形成装置に用いられ、
基体と、該基体の少なくとも片面に前記記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有することを特徴とする保持体である。
【0022】
請求項17に係わる発明は、
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材が、前記基体表面の記録媒体が保持される領域を囲むように連続的に前記基体表面に設けられていることを特徴とする請求項16に記載の保持体である。
【0023】
請求項18に係わる発明は、
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の高さが、610μm以上820μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項16記載の保持体である。
【0024】
請求項19に係わる発明は、
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の高さが、前記記録媒体の厚み−150μm以上前記記録媒体の厚み+60μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項16に記載の保持体である。
【0025】
請求項20に係わる発明は、
前記凸部材の高さが、前記記録媒体の厚み−100μm以上前記記録媒体の厚み以下の範囲内であることを特徴とする請求項19に記載の保持体である。
【0026】
請求項21に係わる発明は、
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の表面に離型層が設けられていることを特徴とする請求項16に記載の保持体である。
【0027】
請求項22に係わる発明は、
前記基体表面の記録媒体が保持される領域内に凸部が設けられていることを特徴とする請求項16に記載の保持体である。
【0028】
請求項23に係わる発明は、
前記凸部の高さが、50μm以上75μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項22に記載の保持体である。
【発明の効果】
【0029】
以上に説明したように、
請求項1に記載の発明によれば、厚みが300μm以上の小判サイズの記録媒体に、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体を形成することが可能な画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、厚みが300μm以上の小判サイズの記録媒体に、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体を形成することが可能な画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明において、記録媒体が熱可塑性のプラスチックシートからなり、このプラスチックシートが接合手段による加熱によって容易に熱変形する温度にまで加熱されたとしても、形成される画像記録体の熱変形を抑制できる画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、厚みがある記録媒体を用いても定着不良の発生を防止することができる画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、厚みが300μm以上の小判サイズの記録媒体に画像を形成した画像記録体を形成する場合においても、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体が得られる画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、熱可塑性のプラスチックシートからなる記録媒体を用いて画像記録体を形成しても、画像記録体の平面方向の伸び変形を抑制した画像記録体が得られる画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、厚みが760μmの記録媒体を用いて画像記録体を形成しても、画像記録体の端部周辺欠陥の発生を抑制した画像記録体が得られる画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、画像記録体の端部周辺欠陥の発生を抑制できる画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、画像記録体の端部周辺欠陥の発生をより抑制できる画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、凸部材表面への画像形成材料の付着を防ぐことにより転写体表面又は帯状の中間転写体表面に設けられる画像がトナーやインクなどの固体状または液体状の画像形成材料からなる場合においても、画像記録体の作製を繰り返し行なうことが出来る画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、片面に凹部を有する記録媒体を用いて画像記録体を作製する際に、画像抜けの発生を抑制できる画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、凹部深さが25μm以上70μm以下の範囲内の凹部を有する記録媒体を用いて画像記録体を作製する際に、画像抜けや、画像濃度ムラの発生を抑制できる画像記録体形成装置を提供することができる。
【0030】
請求項13に記載の発明によれば、厚みが300μm以上の小判サイズの記録媒体に画像を形成した画像記録体を形成する場合においても、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体を形成することが可能な画像記録体形成方法を提供することができる。
請求項14に記載の発明によれば、厚みが300μm以上の小判サイズの記録媒体に画像を電子写真方式により形成した画像記録体を形成する場合においても、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体を形成することが可能な画像記録体形成方法を提供することができる。
請求項15に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、凹部を有する記録媒体を用いて画像記録体を作製する際に、画像抜けや、画像濃度ムラの発生を抑制できる画像記録体形成方法を提供することができる。
【0031】
請求項16に記載の発明によれば、画像記録体形成装置により画像記録体を形成する過程において、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体が得られるように、記録媒体を保持する保持体を提供することができる。
請求項17に記載の発明によれば、請求項1〜15のいずれか1つに記載の発明により熱可塑性のプラスチックシートからなる記録媒体を用いて画像記録体を形成しても、画像記録体の平面方向の伸び変形を抑制できる保持体を提供することができる。
請求項18に記載の発明によれば、請求項1〜15のいずれか1つに記載の発明により厚みが760μmの記録媒体を用いて画像記録体を形成しても、画像記録体の端部周辺欠陥の発生を抑制できる保持体を提供することができる。
請求項19に記載の発明によれば、請求項1〜15のいずれか1つに記載の発明により画像記録体を形成しても、画像記録体の端部周辺欠陥の発生を抑制できる保持体を提供することができる。
請求項20に記載の発明によれば、請求項1〜15のいずれか1つに記載の発明により画像記録体を形成しても、画像記録体の端部周辺欠陥の発生をより抑制できる保持体を提供することができる。
請求項21に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、転写体表面又は帯状の中間転写体表面に設けられる画像がトナーやインクなどの固体状または液体状の画像形成材料からなる場合における請求項1〜15に記載の発明のいずれか1つに記載の発明により繰り返し画像記録体を形成しても、凸部材表面への画像形成材料の付着を防ぐことにより画像記録体の作製に繰り返し利用することが可能な保持体を提供することができる。
請求項22に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、請求項1〜15のいずれか1つに記載の発明により片面に凹部を有する記録媒体を用いて画像記録体を作製する際に、画像抜けの発生を抑制できる画像記録体形成装置を提供することができる。
請求項23に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、請求項1〜15のいずれか1つに記載の発明により凹部深さが25μm以上70μm以下の範囲内の凹部を有する記録媒体を用いて画像記録体を作製する際に、画像抜けや、画像濃度ムラの発生を抑制できる画像記録体形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の画像記録体形成方法は、表面に画像を有する転写体と、基体と該基体の少なくとも片面に記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有し、前記保持部材が設けられた面に記録媒体を保持する保持体とを、前記転写体の前記画像が設けられた面と前記保持体により保持された前記記録媒体表面とが対面するように重ね合わせる重ね合わせ工程と、重ね合わされた前記転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより前記画像を前記転写体表面から前記記録媒体表面に転写する転写工程とを、少なくとも有することを特徴とする(以下、当該方法およびこれを利用した発明を「第1の実施形態」と称す場合がある)。
【0033】
なお、第1の実施形態で用いられる記録媒体は、例えば厚みが300μm以上で且つ小判サイズのものである。一方、第1の実施形態においては、少なくとも重ね合わせ工程から転写工程を終えるまでの過程が、機械的手段を利用して実施され、例えば、重ね合わせ工程から転写工程を終えるまでの過程の少なくとも一部の過程において、転写体および記録媒体から選択される少なくとも一方の部材がロールや無端ベルトなどの搬送手段により搬送される。
しかしながら、キャッシュカードや社員証等のプラスチックシートに画像を形成したカードなどの小判サイズの画像記録体は、通常、A3サイズやA4サイズといった大判で定型サイズの転写体に画像を形成した後、この転写体を用いて、転写体と同サイズの記録媒体に画像を転写し、続いて、画像が転写された記録媒体を所定の小判サイズとなるように裁断することにより作製される。
【0034】
上記プロセスによって小判サイズの画像記録体を作製する理由は、生産性を確保するということの他にも、裁断工程が省けるように小判サイズの記録媒体とこれと同サイズの転写体とを用いて画像記録体を作製しようとしても、記録媒体や転写体のサイズが小さすぎて、搬送時に位置ずれが発生するなど機械的なハンドリングが困難になることも挙げられる。
すなわち、機械的なハンドリングが困難になると、記録媒体と転写体とがずれた状態で重ね合わせ工程が実施されたり、重ね合わせ工程から転写工程までの過程や転写工程の実施中に、重ね合わせられた記録媒体と転写体との相対的な位置がずれたりするために、結果的に、画像記録体表面に形成される画像の位置ずれを招きやすくなる。
【0035】
この問題を解決するためには、記録媒体よりも大きく、且つ、位置ずれを起こさない安定した機械的ハンドリングが可能なサイズの部材により記録媒体を保持した状態で、少なくとも重ね合わせ工程から転写工程を終えるまでの全過程を実施できるようにすることが有効である。
以上の観点から、本発明者らは、記録媒体を保持する保持体を用いて少なくとも重ね合わせ工程から転写工程を終えるまでの全過程を実施することが有効であると考え、第1の実施形態を見出した。
【0036】
ここで、第1の実施形態および後述する第2の実施形態において、記録媒体としては通常の電子写真方式などの画像形成装置により直接画像を形成することが困難、又は、装置内での搬送すらも困難な厚みを有するものが用いられ、その厚みは例えば300μm以上である。なお、記録媒体の厚みは300μm以上10mm以下の範囲内であることが好ましく、500μm以上5mmの範囲内であることがより好ましい。
また、第1の実施形態で使用される記録媒体は小判サイズのものであるが、当該「小判サイズ」とは、市販の電子写真方式などの画像形成装置に用いられる用紙の規格サイズのうち最も小さいサイズ(はがきサイズ)よりも小さく、この装置により画像が形成できないサイズを意味する。
具体的には 記録媒体の形状が四角形である場合、例えば縦横の長さが各々10mm以上120mm以下の範囲内であり、縦:横のアスペクト比が1:1〜1:12の範囲内にあるものを意味する。なお、縦横の長さは各々30mm以上90mm以下の範囲内がより好ましく、縦と横とのアスペクト比が1:1〜1:3の範囲内にあることがより好ましい。また、実用性の観点からはJIS X−6302で規定されているサイズが好適である。
【0037】
一方、記録媒体の形状が四角形以外の形状、例えば、円形、楕円形、三角形、星型等の場合、最大長が10mm〜120mmの範囲内であり、最大長と最大長方向と直交する方向の長さとのアスペクト比が1:1〜1:12の範囲内にあるものを意味する。なお、最大長は30mm〜90mmの範囲内がより好ましく、最大長と最大長方向と直交する方向の長さとのアスペクト比は1:1〜1:3の範囲内にあることがより好ましい。さらに、記録媒体のいずれか一方の面には凹部が設けられていてもよい。
なお、記録媒体のサイズ以外のその他の構成については後述する。また、以下、特に断りが無い限り、第1の実施形態および後述する第2の実施形態に用いられる記録媒体および保持体の平面方向の形状は四角形であることを前提として説明する。また、第1の実施形態および後述する第2の実施形態に用いられる保持体の詳細については後述する。
【0038】
−画像および画像形成−
第1の実施形態において、画像記録体の作製に用いられる転写体表面に設けられている画像の形成方法は特に限定されず、電子写真法やインクジェット法など公知の画像形成方法が利用できる。
なお、電子写真法により画像を形成する場合、未定着の画像(トナー像)を形成してもよい。この場合は、例えば、転写工程における加熱を利用して定着することができる。
【0039】
−重ね合わせ工程−
重ね合わせ工程は、表面に画像を有する転写体と、記録媒体を保持する保持体とを、転写体の画像が設けられた面と保持体により保持された記録媒体表面とが対面するように重ね合わせることにより行われる。
この重ね合わせは、記録媒体表面の所望の位置に画像が転写できるように転写体と保持体に保持された記録媒体との位置を合わせるようにして実施される。なお、使用する転写体のサイズは特に限定されないが、記録媒体を保持する保持体と同じサイズであることが好ましい。この場合、転写体および保持体の4隅が一致するように重ね合わせた際に、保持体に保持された記録媒体表面の所望の位置に画像が対面するように、転写体表面に画像を形成しておき、重ね合わせ時に転写体および保持体の4隅が一致するように両者を重ね合わせる。
【0040】
また、転写体と記録媒体を保持する保持体とが重ね合わせを終えた後の積層体が、転写工程を終えるまでに、転写体と記録媒体との位置ずれが生じるのを確実に防止するために、転写体表面と記録媒体表面(および/または保持体表面)とを熱溶着や接着剤などによる接着、ホチキス針などによる機械的固定を利用して仮留を実施することも可能である。
【0041】
なお、記録媒体がいずれか一方の面に凹部を有している場合、記録媒体は凹部を有する面が保持体と接するように保持体に保持される。
但し、この場合、記録媒体の凹部が設けられた側の面と反対側の面においては、凹部が裏面側に存在する領域は、凹部が裏面側に存在しない領域と比べて加圧された際に変形しやすくなる。このため、凹部が裏面側に存在する領域周辺では画像記録体に形成される画像に抜けが発生する場合がある。
さらに、画像記録体の画像が、記録媒体と転写体の一部を構成する部材(例えば、後述する画像保持層など)との間に位置するように形成される場合には、凹部が裏面側に存在する領域周辺で記録媒体と転写体の一部を構成する部材との間に気泡が残留する場合がある。
【0042】
それゆえ、記録媒体がいずれか一方の面に凹部を有している場合には、保持体としては、基体表面の記録媒体を保持する面側で、且つ、記録媒体を保持した際に(記録媒体の)凹部と対向する領域内に凸部を有し、且つ、下式(1)を満たすものを用いることが好ましい。
・式(1) ΔG+50≧ΔH≧ΔG−20
式(1)中、ΔGは、(記録媒体の)凹部の深さ(μm)を表し、ΔHは、(保持体の)凸部の高さ(μm)を表す。
【0043】
凸部高さΔHが、記録媒体の凹部深さΔG+50μmを超える場合には、記録媒体が加圧された際に、記録媒体の凹部が設けられた側の面と反対側の面において、凹部が裏面側に存在しない領域よりも凹部が裏面側に存在する領域の方に集中して圧力が加わり易くなる。このため、凹部が裏面側に存在しない領域上の画像よりも、凹部が裏面側に存在する領域上の画像の方が画像濃度が高くなり、画像濃度ムラが生じる場合がある。
一方、凸部高さΔHが、記録媒体の凹部深さΔG−20μm未満の場合は、既述したように画像抜けが発生する場合がある上に、画像記録体の画像が、記録媒体と転写体の一部を構成する部材(例えば、後述する画像保持層など)との間に位置するように形成される場合には気泡が発生する場合もある。
【0044】
なお、凸部高さΔHは、ΔG−10μm以上ΔG+30μm以下の範囲内であることがより好ましく、ΔGμm以上ΔG+10μm以下であることが更に好ましい。
【0045】
−転写工程−
転写工程は、重ね合わされた転写体と記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより画像を転写体表面から記録媒体表面に転写することにより行われる。転写方法としては特に限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法をいずれも好適に採用することができる。例えば、転写体と記録媒体を保持する保持体とを重ね合わせた積層体を、互いに押圧するように対向配置された加熱ロールと加圧ロールとが互いに押圧するように接触して形成される接触部に挿通させることにより、画像と記録媒体とをある程度熱溶融させ熱融着させる通常のラミネート技法や、あるいは、熱プレス技法、また、単に圧着させるだけでもよい。
なお、「画像を転写体表面から記録媒体表面に転写する」とは、画像のみを記録媒体表面に転写する場合のみならず、転写体の一部を構成する部材(例えば、後述する画像保持層など)と共に画像を記録媒体表面に転写する場合も含まれる。
【0046】
−転写体−
第1の実施形態においては、使用される記録媒体の厚みが厚いため、市販の一般的な厚み(80μm〜254μm程度)を有する用紙を利用して画像を形成するように設計された一般的な画像形成装置により画像を形成することができない。このため、記録媒体以外の部材に画像を形成した後、これを記録媒体に転写する目的で転写体が用いられる。
【0047】
第1の実施形態に用いられる転写体は、基体とこの基体の少なくとも片面に設けられた画像保持層とを有するものであり、基体表面に、必要に応じて1層以上の中間層と画像保持層とをこの順に積層した構成であってもよい。また、画像は、画像保持層に形成される。この転写体としては、画像のみを転写するタイプと、転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体とが挙げられる。
すなわち、画像のみを転写するタイプ転写体は、画像保持層が少なくとも離型性材料を含有するものであり、この転写体を用いた転写工程は、画像のみが転写体から記録媒体へと転写することにより行われる。
また、画像保持層に形成される画像は公知の記録方式により形成されたものであれば特に限定されないが、画像保持層表面の離型性に優れることから、画像保持層表面に固体状の画像形成材料を付与する方法により形成された画像であることが好ましく、特に電子写真法により形成された画像であることが好ましい。
【0048】
これに対して、転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体は、画像保持層または画像保持層側に隣接する1以上の層と、基体または基体側に隣接する1以上の層との界面が剥離可能な構成を有する。この転写体を用いた転写工程は、画像保持層または画像保持層側に隣接する1以上の層が転写体から剥離して、画像と共に記録媒体へと転写することにより行われる。
また、画像保持層に形成される画像は公知の記録方式により形成されたものであれば特に限定されない。例えば、画像保持層表面に固体状や液体状の画像形成材料を付与する方法により形成された画像であってもよく、この場合、代表的には、電子写真法やインクジェット記録法により形成された画像が挙げられる。さらに、画像保持層が、熱や光などの外部刺激の付与によって変色または発色する機能を有する場合には、外部刺激の付与により画像保持層表面を変色または発色させることにより形成された画像であってもよく、この場合、代表的には、感光記録法や感熱記録法、感光感熱記録法により形成された画像が挙げられる。
【0049】
なお、上述した2つのタイプの転写体としては、電子写真法によりその表面に画像を形成した後、プラスチックのシートなどの他の部材に当該画像を転写するために用いるものが知られており、第1の実施形態においてもこれら公知の転写体を利用することができる。
【0050】
また、第1の実施形態に用いられる転写体のサイズは特に限定されるものではないが、電子写真法やインクジェット法など、公知の画像形成方法を利用した市販の画像形成装置での画像の形成に利用できるA4やA3などの定型サイズであることが好適である。
また、転写体表面への画像の形成は、保持体に保持された記録媒体表面の画像を設けたい領域に対応するように実施される。この際、転写体と保持体に保持された記録媒体との位置合わせが容易にできるように、記録媒体の輪郭線や、記録媒体の輪郭より一回り外側を示す線、記録媒体の輪郭より一回り外側の枠の4隅を示すマークなどが、記録媒体表面に転写されることになる画像部分と共に転写体表面に形成されていることが望ましい。
【0051】
以下、上記2つのタイプに分けて、第1の実施形態に用いられる好適な転写体について、転写体表面に設けられる画像が一例として電子写真法により形成されたものであることを前提としてより詳細に説明する。
【0052】
−画像のみを転写するタイプの転写体−
このタイプの転写体においては、電子写真法により形成される画像の転写性を良好なものとするために画像保持層の表面抵抗率が、23℃、55%RHにおいて、1.0×10以上3.2×1013Ω以下の範囲であることが好ましく、1.0×10以上1.0×1011Ω以下の範囲であることが好ましい。
【0053】
上記表面抵抗率が1.0×10Ωに満たないと、特に、高温高湿時に画像受像体として使用される転写体の抵抗値が低くなりすぎる。このため、電子写真装置内にて転写体表面へ未定着の画像(トナー像)を転写する際にトナー像が乱れる場合がある。また、表面抵抗率が3.2×1013Ωを超えると、画像受像体として使用される転写体の抵抗値が高くなりすぎ、電子写真装置内にてトナー像を転写体表面に移行できず、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
【0054】
また、同様の理由により画像保持層が基体の片面のみに設けられる場合には、基体の画像保持層が設けられない側の基体表面の23℃、55%RHにおける表面抵抗率は、1.0×10Ω以上1.0×1013Ω以下の範囲であることが好ましく、1.0×10Ω以上1.0×1011Ω以下の範囲であることが好ましい。
【0055】
そして、転写体の23℃、55%RHにおける表裏面の表面抵抗率差は、4桁以内であることが好ましく、3桁以内であることがより好ましい。表裏面の表面抵抗率差が4桁を超えると、トナーの転写不良が起こりやすくなり画像の劣化を引き起こす場合がある。尚、表面抵抗率差が4桁以内とは、それぞれの表面抵抗率を常用対数で表したとき、その常用対数値の差が4以内であることを意味する。
【0056】
尚、表面抵抗率はJIS K 6911における二重リング電極法に準拠した方法で測定し、同時に提示されている計算式に則ることにより求めたものである。より具体的には、(株)アドバンテスト社製 デジタル超高抵抗/微小電流計R8340に円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を接続したものに、23℃、55%RHの環境下で、印加電圧1000Vで60秒後の電流値を基にJIS K 6911に規定されている計算式から求めた。
【0057】
画像保持層の表面抵抗率を1.0×10〜1.0×1013Ωの範囲内に制御するにあたっては、画像保持層中に帯電制御剤を含有させることが好ましい。該帯電制御剤としては、例えば高分子導電剤、界面活性剤や、導電性の金属酸化物粒子等を用いることができる。
【0058】
また、画像保持層には離型性材料が含まれているため、トナーなどの画像形成材料を記録媒体に良好に転写できる。
離型性材料は、転写体において画像形成材料を一旦定着し固定化すると共に、記録媒体と加熱圧着されたときには上記画像形成材料を離型する画像保持層に用いられるものである。したがって、離型性材料としては、電子写真において画像形成材料として一般的に使用されるトナーに対して密着性と、離型性とを有することが望ましい。
【0059】
上述の離型性材料としては、特に制限されないが、シリコーン系ハードコート材料が利用できる。このシリコーン系ハードコート材料には、シラン系組成物を含む縮合物樹脂や、このシラン系組成物を含む縮合物樹脂とコロイダルシリカ分散液との混合物からなる材料が含まれていてもよい。
【0060】
画像保持層には、離型性材料の他に樹脂が含まれていてもよく、例えばポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂が含まれていてもよい。ポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂はトナーの結着樹脂として用いられるものであるため、これと同系統の樹脂を画像保持層に含ませることにより、転写体表面への画像形成材料の定着性を適性に制御することができる。なお、上記ポリエステル樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、例えば、シリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどを用いても良い。
【0061】
さらにまた、基体との接着性を改善したり、ブロッキング性などを改善するために、従来の公知の樹脂を必要に応じて混合して、画像保持層を構成する樹脂材料として用いることもできる。この樹脂材料としては、ポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。
【0062】
電子写真装置内での転写体の搬送をより良好なものとするために、画像保持層にはフィラーが含まれていてもよい。このフィラーの体積平均粒子径としては、0.1μm以上30μm以下であることが好ましいが、画像保持層膜厚を考慮すると、画像保持層膜厚の1.2倍以上が好ましい。大き過ぎるとフィラーが画像保持層から脱離して、転写体表面が摩耗損傷し易くなり、さらに曇り(ヘイズ度)が増大する場合がある
【0063】
フィラーの形状としては、球状粒子が一般的であるが、板状、針状、不定形状であってもよい。また、フィラーを構成する材料としては公知の樹脂材料や、無機材料が利用できる。
【0064】
基体としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムを代表的に用いることができる。この中でも、OHPフィルムとして使用できる光透過性のあるフィルムである、ポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルムなどを用いることが好適できる。また、紙(普通紙、コート紙等)、金属(アルミニウム等)、セラミックス(アルミナ等)も用いることができる。
【0065】
なお、基体の画像保持層が設けられる側の面は、表面粗さ(中心線平均粗さRa)で1μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。表面粗さ(中心線平均粗さRa)が1μmを超える場合には、高い光沢度を得ることができなくなる場合がある。
【0066】
また、画像保持層の厚みは0.1μm以上20μm以下程度であるため、転写体の厚みは基体の厚みによって決定される。このため、基体の厚さは、50μm以上200μm以下の範囲が好ましく、75μm以上150μm以下の範囲がより好ましい。厚さが50μmに満たないと、電子写真装置内で搬送不良を招く場合があり、200μmを超えると電子写真装置内にてトナー像を転写体表面に移行することが困難になり、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
【0067】
−転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体−
このタイプの転写体は、基体の同一面上に、画像保持層を含む少なくとも1層の層が設けられており、これら層の内の少なくとも1層が硬化性樹脂を含有する層であることが特に好ましい。この場合、この硬化性樹脂を含有する層は、基体、又は基体側に隣接する層から、剥離可能な層である。
このように硬化性樹脂を含有する層が、基体又は基体側で隣接する層から剥離することにより、電子写真法で形成された画像を記録媒体上に転写させた場合に、基体又は基体側に隣接する層から、硬化性樹脂を含有する層が剥離し、記録媒体上に転写された画像を覆い、この画像を保護することとなる。
【0068】
この転写体における硬化性樹脂を含有する層と、基体又は硬化性樹脂を含有する層が基体側に接する層との界面での剥離力は、0.098N/cm以上4.90N/cm以下(10gf/cm以上500gf/cm以下)であることが好ましく、0.196N/cm以上3.92N/cm以下(20gf/cm以上400gf/cm以下)であることがより好ましく、0.490N/cm以上2.41N/cm以下(50gf/cm以上250gf/cm以下)であることが更に好ましい。
【0069】
剥離力が0.098N/cm(10gf/cm)未満であると、離型層と硬化性樹脂を含有する層とが剥がれやすくなり、画像定着時に、電子写真装置の定着器に硬化性樹脂を含有する層が転移してしまったり、あるいは画像記録体を作製するときに前記硬化性樹脂を含有する層と、基体又は基体側で隣接する層との界面ですべりを生じ、最終的に画像が乱れて転移されてしまうことがある。一方、剥離力が4.90N/cm(500gf/cm)を超えてしまうと、部分的に硬化性樹脂を含有する層が基体又は基体側で隣接する層の表面に残ることがあるため、これが画像記録体表面の欠陥の発生を招いてしまう場合がある。
ここで、剥離力とは、JIS規格Z0237の粘着力の測定における180度引き剥がし粘着力に準じた測定で行った時の測定値である。
【0070】
また、画像のみを転写するタイプの転写体における画像保持層表面などの電気的特性、基体、画像保持層に用いられるフィラーや各種添加剤については、転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体においても適用することができる。
【0071】
−第一の転写体−
次に、転写体を構成する部材の一部と共に画像を転写するタイプの転写体の各形態について説明する。
転写体の第一の形態(以下、「第一の転写体」という場合がある。)は、基体の画像保持層が設けられている面に、この基体側から離型層、硬化性樹脂層、及び画像保持層が順次設けられている構成を有する。
【0072】
第一の転写体では、硬化性樹脂層が上述した硬化性樹脂を含有する層であり、硬化性樹脂層が基体側に隣接する層である離型層から剥離可能な層である。つまり電子写真法で形成された画像を記録媒体上に転写させた場合に、離型層から硬化性樹脂層が剥離し、硬化性樹脂層および画像保持層が、記録媒体上に転写された画像を覆い、この画像を保護することとなる。
【0073】
第一の転写体は、画像保持層が硬化性樹脂層上に設けられているため、画像保持層上にトナーで画像を形成する場合、トナーが広がらず、解像度が向上する。
【0074】
一方、第一の転写体における画像保持層は、膜厚が2〜25μmであり、熱可塑性樹脂と、画像保持層の膜厚よりも大きい体積平均粒子径を有する粒子と、を含有していることが好ましい。この場合、画像保持層には、この層の厚みより大きい粒子が含まれており、離型層は後述する画像形成材料を記録媒体に良好に転写が可能である上に、電子写真方式での画像定着特性にも優れたものである。
【0075】
離型層には画像のみを転写するタイプの転写体に用いられるものと同様の離型性材料が含まれる。これにより、転写工程において離型層と硬化性樹脂層との界面での剥離性を確保することができる。
【0076】
第一の転写体における硬化性樹脂層は、転写工程を経て得られた画像記録体の片側表面の層を構成し、画像を保護する機能を担うことになる。
この機能を発揮するためには、硬化性樹脂層は傷や薬剤などに強い必要がある。よって既述したシリコーン系ハードコート材料などの光硬化性や熱硬化性の樹脂を含むことが好ましい。これら以外にも、必要に応じて種々の材料が添加できるが、硬化性樹脂層を構成する樹脂全体のうち、シリコーン系ハードコート材料は0.5質量%以上98質量%以下の範囲で含まれることが好ましく、1質量%以上95質量%以下の範囲で含まれることがより好ましい。シリコーン系ハードコート材料の含有量が0.5質量%に満たないと、転写工程において離型層と硬化性樹脂層との界面での剥離が困難となる場合があり、98質量%を超えると、画像の転写や定着状況が悪くなり、画質劣化を引き起こす場合がある。
【0077】
画像保持層には、樹脂が含まれる。樹脂としては例えばポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂が1種以上用いられる。一般的に、ポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂は画像形成材料用として用いられるものであるため、これと同系統の樹脂を画像保持層に含有させることにより、転写体表面への画像形成材料の定着性を適性に制御することができる。なお、ポリエステル樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、例えばシリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどを用いてもよい。
また、画像保持層は、電子写真装置により画像を定着する際に、電子写真装置の定着部材への付着、巻き付きを防止するために、天然ワックスや合成ワックス、あるいは離型性樹脂、反応性シリコーン化合物、変性シリコーンオイルなどの離型剤を含有していてもよい。
【0078】
第一の転写体では、画像保持層の膜厚が2μm以上25μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましく、7.5μm以上15μm以下であることが更に好ましい。画像保持層の膜厚が2μm以上25μm以下であると、画像を画像保持層の膜厚方向に埋め込むことで、画質の低下がおこり難くなる上に、画像を保護する効果も得られる。
【0079】
−第二の転写体−
転写体の第二の形態(以下、「第二の転写体」という場合がある。)は、基体の表面に画像保持層が設けられており、画像保持層は、硬化性シリコーン樹脂と、硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂とを含むものである。
第二の転写体では、画像保持層が硬化性樹脂を含有する層であり、画像保持層が基体から剥離可能な層である。これは画像保持層を構成する樹脂が、硬化性シリコーン樹脂と硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂とを含む混合樹脂であるため、基体からの剥離が可能となり、電子写真法で形成された画像を記録媒体上に転写させた場合に、画像保持層が基体から剥離し、記録媒体上に転写された画像を覆い、この画像を保護することとなる。また、硬化性シリコーン樹脂は強靭であるため、画像記録体の耐傷性にも優れる。
【0080】
硬化性シリコーン樹脂としては公知の硬化性シリコーン樹脂が利用できるが、定着時における画像保持層と画像との相溶を促進するために、トナーの結着樹脂として用いられるアクリル樹脂やポリエステル樹脂と相溶性に優れる硬化性シリコーン樹脂を含んでいることが好ましい。また、硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂としては、同様の理由からアクリル樹脂やポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0081】
画像保持層に含まれる前記硬化性シリコーン樹脂について、以下に説明する。
一般に、シリコーン樹脂は、その分子構造により、シリコーンオイルやシリコーンゴム等の材料となる直鎖状構造をとるシリコーン樹脂と、3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂とに分類される。また、離型性、接着性、耐熱性、絶縁性及び化学的安定性等の諸性質は、シリコン原子に結合している分子(有機分子)やその重合度等によって決定される。
【0082】
硬化性シリコーン樹脂は、3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂が好ましい。3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂は、通常、多官能性(3官能性、4官能性)単位から重合され、架橋構造を持つ。
尚、直鎖状構造をとるシリコーン樹脂には、分子量が低く、シリコーンオイルとして、絶縁油、液体カップリング、緩衝油、潤滑油、熱媒、撥水剤、表面処理剤、離型剤、消泡剤等に利用されるものや、加硫剤等を添加後、加熱硬化によって、分子量(シロキサン単位)5000〜10000程度に重合されたシリコーンゴム等がある。
【0083】
硬化性シリコーン樹脂は、その分子量単位によって、有機溶媒に溶解可能で比較的低分子量であるシリコーンワニスと、高重合度のシリコーン樹脂等とに分類される。また、前記硬化性シリコーン樹脂は、生成段階における硬化反応によって、縮合型、付加型、輻射線型(紫外線硬化型、電子線硬化型)等に分類される。また、塗布形態によっては、溶剤型、無溶剤型等に分類される。
【0084】
画像保持層が硬化性シリコーン樹脂を含有することが必要である理由としては、以下の通りである。即ち、先ず、硬化性シリコーン樹脂は、Si−O結合に起因して、表面エネルギーが低いため、本質的に、離型性、非相溶性に優れる。しかし、その硬化条件等を制御することにより、優れた接着性をも発現させることが可能であるため、画像剥離性と、画像定着性とを両立した画像記録体を得ることが可能となるためである。
【0085】
硬化性シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、公知の硬化性シリコーン樹脂の中から選択することができるが、以下の理由により、硬化性アクリル変性シリコーン樹脂(硬化性アクリルシリコーン樹脂)が特に好ましい。
硬化性アクリルシリコーン樹脂は、画像形成材料として通常用いられている、スチレン−アクリル樹脂や、ポリエステル樹脂と化学的親和性が高いアクリル鎖を分子中に含み、離型性を発現させるシリコーン樹脂部分を併せ持つ。したがって、一分子中に、トナーと接着し易い部分と、接着しにくい部分が存在する。また、これらが均質に相溶していることにより、分子オーダーで、画像剥離性及び画像定着性が発現される。
また、硬化性アクリルシリコーン樹脂においては、アクリル鎖とシリコーン鎖との比率、その硬化条件及び後述の硬化性シリコーン化合物及び変性シリコーンオイルの添加量等を制御することにより、画像定着性や画像剥離性を更に自由に制御することが可能である。
【0086】
硬化性シリコーン樹脂としては、熱硬化型シリコーン樹脂も特に好ましく用いることができる。
熱硬化型シリコーン樹脂は、光硬化型として知られている前記アクリルシリコーン樹脂に比べてその表面硬度が低く、その分画像形成材料が受像層に包み込まれる状態となりやすく、画像定着性に優れる傾向がある。
また、前記熱硬化性シリコーン樹脂はアクリルシリコーン樹脂などに比べて離型性が高く、その結果、画像剥離性にも優れる。
また、熱硬化性シリコーン樹脂は、シリコーン成分と非シリコーン成分との混合系の場合、この比率、その硬化条件及び硬化性シリコーン化合物及び変性シリコーンオイルの添加量等を制御することにより、画像定着性や画像剥離性を更に自由に制御することが可能である。
【0087】
アクリルシリコーン樹脂と熱硬化性シリコーン樹脂とを混合しても好ましく用いることができる。前記アクルリシリコーン樹脂と熱硬化性シリコーン樹脂を混合する場合、その混合割合により両者の中間の性能を示すことになり、この比率、その硬化条件及び硬化性シリコーン化合物及び変性シリコーンオイルの添加量等を制御することにより、画像定着性や画像剥離性を更に自由に制御することが可能である。
【0088】
硬化性シリコーン樹脂としては、例えば、縮合型、付加型及び紫外線硬化型に分類すると、以下のものが好適に挙げられる。
【0089】
縮合型の硬化性シリコーン樹脂としては、例えば末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンのなどのポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサン等を配合し、有機スズ触媒等の有機酸金属塩やアミン類等の存在下で加熱縮合して合成した硬化性シリコーン樹脂や、水酸基、アルコキシ基等の反応性の官能性基を末端に持つポリジオルガノシロキサンを反応させて合成した硬化性シリコーン樹脂や、3官能性以上のクロロシラン又はこれらと1、2官能性のクロロシランとの混合物等を加水分解したシラノールを縮合して合成したポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
尚、縮合型は、形態的には、溶液型とエマルジョン型とに分類され、そのいずれも好適に使用することができる。
【0090】
付加型の硬化性シリコーン樹脂としては、例えばビニル基を含有するポリジメチルシロキサンのなどのポリシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリジメチルハイドロジェンシロキサンを配合して、白金触媒の存在下で反応・硬化させて合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。
尚、付加型は、形態的には、溶剤型、エマルジョン型及び無用剤型に分類され、そのいずれも好適に使用することができる。
【0091】
紫外線硬化型の硬化性シリコーン樹脂としては、例えば光カチオン触媒を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂や、ラジカル硬化機構を利用して合成した硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0092】
また、ケイ素原子と結合した水酸基又はアルコキシ基等を有する低分子量ポリシロキサンと、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン又はメラミン樹脂等とを反応させて得られる変性シリコーン樹脂等も好適に挙げられる。これらの硬化性シリコーン樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0093】
画像保持層に用いる硬化性シリコーン樹脂の分子量としては、重量平均分子量で、10,000以上1,000,000以下が好ましい。また、硬化性シリコーン樹脂における全有機基中のフェニル基の割合としては、0.1モル%以上50モル%以下が好ましく、官能性としては、1以上4以下が好ましい。
【0094】
硬化性シリコーン樹脂の画像保持層における含有量としては、30質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。含有量が、30質量%未満の場合には、離型性能が発揮できないことがある。
【0095】
硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂としては、トナーとの相溶性に優れるアクリル樹脂やポリエステル樹脂が好ましく用いられるが、これ以外の熱溶融性樹脂や硬化性樹脂なども用いることができる。
硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂としてのアクリル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が50℃以上120℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上105以下℃の範囲であることがより好ましい。
【0096】
また、画像保持層は、硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂としてのアクリル樹脂やポリエステル樹脂の他に、必要に応じて、他の樹脂を併用することもできる。
【0097】
画像保持層は、画像の定着時、定着部材への付着、巻き付きを防止するためには、定着部材への低付着性材料である天然ワックスや合成ワックス、あるいは離型性樹脂、反応性シリコーン化合物、変性シリコーンオイルなどを含有することが好ましい。
【0098】
−第三の転写体−
転写体の第三の形態(以下、「第三の転写体」という場合がある。)は、基体の画像保持層が設けられている面に、基体側から離型層及び画像保持層が順次設けられており、画像保持層は、硬化性シリコーン樹脂を含有するものである。
第三の転写体は、画像保持層が硬化性樹脂を含有する層であり、画像保持層が基体側に隣接する層である離型層から剥離可能な層である。
【0099】
第三の転写体は、離型層を有するため、電子写真法で形成された画像を記録媒体上に転写させた場合に、離型層から画像保持層が剥離し、この画像保持層が前記記録媒体上に転写された画像を覆い、画像を保護することとなる。また、画像保持層が含有する硬化性シリコーン樹脂は強靭であるため、画像を覆うことにより耐傷性にも優れる。
【0100】
第三の転写体では、画像保持層において、硬化性シリコーン樹脂と、硬化性シリコーン樹脂以外の樹脂とを含む混合樹脂の代わりに、硬化性シリコーン樹脂のみを用い、さらに、基体表面に離型剤層と画像保持層とをこの順に設けた構成とした以外は、第二の転写体と同様の構成であり、好適な態様も同様である。
【0101】
また、第三の転写体において、画像保持層に用いられる硬化性シリコーン樹脂は、第二の転写体において、画像保持層に用いられる硬化性シリコーン樹脂と同様であり、好ましい態様も同様である。 さらに、第三の転写体における離型層は、第一の転写体における離型層と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0102】
−第四の転写体−
転写体の第四の形態(以下、「第四の転写体」という場合がある。)は、基体の少なくとも一方の面に、画像保持層が設けられており、この画像保持層は、光硬化性樹脂を含有し、自己修復性を有するものである。なお、基体表面に、必要に応じて離型層を設け、その表面に画像保持層を設けた構成とすることもできる。
第四の転写体は、画像保持層が前記硬化性樹脂を含有する層であり、この画像保持層が基体又は基体側に隣接する層(離型層)から剥離可能な層である。
【0103】
ここで、「自己修復性を有する画像保持層」とは、以下の性質を有する画像保持層のことをいう。自己修復性を有するとは、23℃、相対湿度55%の雰囲気下で、10cm×10cmのカラーOHPフィルム(カラーOHPフィルムHG)を両面テープで測定台に固定し、この上に10cm×10cmの被測定物を画像保持層側を内側にして重ね合わせ、この上に500gの重りを載せ、被測定物のみを水平に10cm動かす行為を100回繰り返すことにより生じた傷の有無を、スガ試験機(株)製、ヘーズメーター HGM−2を用いてヘイズ測定した値であり、上述の一連の動作の前後のヘイズ値の差が10%以内である場合をいう。
【0104】
ヘイズ値の差が10%以内であると、傷により生じた表面光散乱が目立ち難いため好ましい。ヘイズ値の差は5%以内であることが好ましく、3%以内であることがより好ましい。
【0105】
第四の転写体は、電子写真法で形成された画像を記録媒体上に転写させた場合に、画像保持層が基体又は離型層(離型層を有する場合)から剥離し、記録媒体上に転写された画像を覆い、該画像を保護することとなる。また、画像保持層は自己修復性を有するため、画像を覆うことにより耐傷性にも優れる(傷が目立たない)。
【0106】
第四の転写体における画像保持層は、以下の光硬化性樹脂を含有するため、自己修復性を有する。
この光硬化性樹脂は、光重合性モノマーと光硬化開始剤とを含有する組成物であり、紫外線等の電磁波を照射することにより硬化して、自己修復性を有する硬化物となるものであり。光硬化開始剤は光エネルギーを吸収することによりそれ自身が励起状態となり、光重合性モノマーの重合反応を開始させるラジカルを発生させるものである。
【0107】
光重合性モノマーの反応基としては、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、メルカプト基、アミノ基等が挙げられるが、特に反応性が高いことからアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく用いられる。
【0108】
光重合性モノマーの具体例としては、例えば不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、アルキッドアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリエン・ポリチオール系スピラン、アミノアルキッド、ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、透明性や光硬化時の収縮率が低いことよりウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレートが好ましく用いられる。また、これらのモノマーは2種以上を併用することもできる。
【0109】
ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレートとしては、例えば無黄変ポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。無黄変ポリイソシアネート化合物としては、4,4‘―メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0110】
光硬化開始剤としては、例えばベンゾイルエーテル、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパンー1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタンー1−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、キサントン、2−クロロチオキサントン、ミヒラーケトン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、9,10−フェナントレンキノン、9,10―アントラキノンなどが挙げられる。これらの光硬化開始剤は、2種以上を併用することもできる。
【0111】
光硬化開始剤の添加量は、光重合性モノマーに対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好適であり、0.2質量%以上5質量%以下がより好適である。さらに、光硬化性樹脂に対して光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤を添加してもよい。
【0112】
光硬化性樹脂を硬化させるための光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線レーザ、無電極放電ランプ、電子線、X線などがあるが、硬化反応を起こさせるものであればどれでもよい。
【0113】
第四の転写体は、上述の光硬化性樹脂と共に、この光硬化性樹脂以外の樹脂を併用することも好適である。光硬化性樹脂以外の樹脂としては硬化性シリコーン樹脂が挙げられる。この硬化性シリコーン樹脂は、第二の転写体において、画像保持層に用いられる硬化性シリコーン樹脂と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0114】
第四の転写体における光硬化性樹脂、硬化性シリコーン樹脂以外の成分は、第三の転写体における硬化性シリコーン樹脂以外の成分と同様である。また、第三の転写体における離型層は、第一の転写体における離型層と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0115】
−記録媒体−
本発明に用いられる記録媒体を構成する材料としては特に限定されないが、樹脂のほかに、紙、金属、セラミックなども利用できるが、樹脂が最も好適である。樹脂を用いることによりプラスチックシートを記録媒体として用いた画像記録体を得ることができる。
プラスチックとしては、具体的には、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル、アセテート、三酢酸セルローズ、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンフィルム、ポリイミド、セロハンなどがあり、中でもPETやポリエステルが好ましく用いられる。特に、PETのエチレングリコール成分の半分前後を1,4−シクロへキサンメタノール成分に置き換えた変性PET(PETG)や二軸延伸ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0116】
また、プラスチックは、熱硬化性であってもよいが熱可塑性であることがより好適である。さらに、プラスチックは不透明であることが好ましく、白色に着色されていることがより好ましい。
【0117】
記録媒体を構成する材料が、樹脂や紙である場合には、これに顔料や染料などを添加して着色することもできる。また、本発明に用いられる記録媒体はフィルム状であってもよいが板状であることがより好ましく、市販の電子写真用やインクジェット用の記録紙などと異なり、手で容易に折り曲げることが出来ない程度の剛性を有することが好ましい。
【0118】
なお、ICカードや磁気カードとして利用可能な画像記録体を作製するために、記録媒体には、ICメモリ、アンテナ、外部端子等が予め埋め込まれてもよい。また、記録媒体には磁気ストライプやホログラム等が別途印刷されていてもよい。
【0119】
さらに、記録媒体は、いずれか一方の面に凹部が設けられたものでもよい。ここで凹部の深さ(ΔG)は特に限定されるものではなく、0μmを超え記録媒体の厚み未満の範囲であれば特に限定されない。基体表面に凸部を全く有さない保持体を用いて画像記録体を作製する場合、凹部の深さ(ΔG)が20μm以上となると画像抜け等が発生しやすくなり、50μm以上となると画像抜け等が顕著に発生する傾向にある。
この観点からは、式(1)を満たす凸部を有する保持体を用いて画像記録体を作製するのであれば、凹部の深さ(ΔG)は20μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましいといえる。
なお、凹部の深さ(ΔG)の上限は既述したように記録媒体の厚み未満であればよいが、実用上は400μm以下であることが好ましく、200μm以下であることが好ましい。
【0120】
また、凹部の輪郭線のうち互いに対向する位置にある凹部輪郭線間の最大距離Wは、記録媒体平面方向の最大長さ未満であれば特に限定されるものではないが、基体表面に凸部を全く有さない保持体を用いて画像記録体を作製する場合、凹部輪郭線間の最大距離Wが5mm以上となると画像抜け等が発生しやすくなり、10mm以上となると画像抜け等が顕著に発生してしまうことになる。
この観点からは、式(1)を満たす凸部を有する保持体を用いて画像記録体を作製するのであれば、凹部輪郭線間の最大距離Wは5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましいといえる。
なお、凹部輪郭線間の最大距離Wは既述したように記録媒体平面方向の最大長さ未満であればよいが、実用上は50mm以下であることが好ましく、25mm以下であることが好ましい。
【0121】
また、凹部は、記録媒体の作製に用いられるシート状の部材をエンボス加工等したりすることにより、単なる凹部として形成されたものであってもよいし、当該凹部に、その深さ未満の厚みを有する部材(凹部内配置部材)が配置されたものであってもよい(この場合、ΔGは、凹部内配置部材表面から凹部が設けられていない領域の記録媒体表面までの記録媒体厚み方向の距離を意味する)。なお、凹部内配置部材としては、特に限定されないが、例えば、ICチップ又はこれを搭載したICモジュール等の情報チップや、有機EL表示素子などの薄型の表示素子などが挙げられる。
【0122】
図1は、本発明に用いられる記録媒体の一例を示す模式断面図であり、図中300、302は記録媒体、310は記録媒体表面(画像記録体形成時に保持体と接する側の面)、312は凹部、314は(凹部312の)底面、320は記録媒体表面(画像記録体形成時に画像が形成される側の面)、330は凹部内配置部材、332は凹部内配置部材330の表面(底面314と接触していない側の面)を表す。
ここで、図1(A)に示される記録媒体300は、記録媒体表面310の所定の領域に凹部312が設けられたものである。なお、この場合の凹部深さ(ΔG)は、記録媒体表面310と底面314との距離を意味する。
また、 図1(B)に示されるように記録媒体302は、記録媒体表面310の所定の領域に凹部312が設けられると共に、この凹部312の底面314上に凹部312の深さ(基板表面310と底面314との距離)よりも厚みの小さい凹部内配置部材330が配置されたものである。なお、この場合の凹部深さ(ΔG)は、記録媒体表面310と底面314との距離を意味する。なお、この場合の正味の凹部深さ(ΔG)は、記録媒体表面310と凹部内配置部材330の表面332との距離を意味する。
【0123】
−画像記録体−
第1の実施形態を利用して形成される画像記録体は、記録媒体と、その表面に形成された画像とを少なくとも含む構成を有するものであり、画像記録体の形成に利用する転写体の種類によっては、転写体を構成する一部の層(画像保持層など)が、画像を覆うように記録媒体に設けられていてもよい。
上述の画像記録体としては、例えば、(1)表面に情報に応じた画像が形成された転写体から、画像が記録媒体に転写された画像シート、画像パネルなどの構成や、(2)記録媒体の少なくともいずれか1箇所に配置された、電気的手段、磁気的手段、光学的手段から選択される少なくとも1つの手段を利用することにより少なくとも情報の読み出しが可能な情報チップと、を少なくとも含む、ICカード、磁気カード、光カード、あるいはこれらが組み合わさったカードなど、所定の情報を納め、外部装置と接触または非接触に交信可能な情報記録媒体等の構成が挙げられる。
【0124】
前記(1)項に示す画像記録体では、画像は、その一部あるいは全体が何らかの識別機能を有する情報を兼ねるもので、画像情報、文字情報等、識別可能な情報として機能する画像を含むものであれば特に限定されない。また情報としての画像の識別は、視覚的に識別できるものであるか否かは特に限定されず、機械的に識別できるものであってもよい。
【0125】
また、前記(2)項に示す画像記録体(情報記録媒体)では、情報チップが何らかの識別機能を有する情報を有しており、電気的手段、磁気的手段、光学的手段から選択される少なくとも1つの手段を利用することにより読み出し可能であれば特に限定されない。この情報チップは、情報の読み出し専用であってもよいが、必要に応じて情報の読み出しと書き込み(「書き換え」も含む)との両方が可能なものを用いてもよい。また、情報チップの具体例としては、例えばICチップ(半導体回路)が挙げられる。
【0126】
なお、画像記録体の情報源として、前記の情報チップを用いる場合に形成される画像は、その一部あるいは全体が何らかの識別機能を有する情報を有するか否かは特に限定されない。
【0127】
一方、画像や情報チップが有する情報は、識別可能なものであれば特に限定されないが可変情報を含むものであってもよい。該可変情報とは、同一の規格や基準で作製される複数の画像記録体において、個々の画像記録体の有する情報が異なることを意味する。
例えば、画像が可変情報を含む場合、可変情報に対応した部分の画像は、画像記録体毎に異なる画像とすることができる。
【0128】
さらに、前記の可変情報は個人情報を含むものであってもよい。この場合、本発明の画像記録体(情報記録媒体)は、キャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明などに適用可能であり、これらの用途に使用される場合、個人情報としては、例えば、顔写真、本人照合用画像情報、氏名、住所、生年月日等挙やこれらの組合せが挙げられる。
【0129】
−画像記録体形成装置−
次に、第1の実施形態の画像形成方法を利用した画像記録体形成装置について説明する。
この場合、第1の実施形態の画像記録体形成装置は、表面に画像を有する転写体と、基体と該基体の少なくとも片面に記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有し、前記保持部材が設けられた面に記録媒体を保持する保持体とを、前記転写体の前記画像が設けられた面と前記保持体により保持された前記記録媒体表面とが対面するように重ね合わせる重ね合わせ手段と、重ね合わされた前記転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより前記画像を前記転写体表面から前記記録媒体表面に転写する転写手段とを、少なくとも有するものであることが特に好ましい。
以下、この画像記録体形成装置について具体例を挙げてより詳細に説明する。
【0130】
図2は、第1の実施形態の画像記録体形成装置の一例を示す概略模式図である。
図2に示す画像記録体形成装置10は、重ね合わせ手段である丁合い装置12と転写手段である転写装置14(転写部)とを有し、丁合い装置12と転写装置14とは、例えば水平方向に互いに隣接するように配置されている。
【0131】
丁合い装置12は、画像を有する転写体20を収納する転写体収納部32と、転写体収納部32の下方に配置され、保持体22を収納する保持体収納部34と、保持体収納部34の転写装置14が配置された側に、保持体収納部34と隣接して配置された丁合い手段36(位置決め部)と、転写体収納部32の転写装置14が配置された側に設けられ、転写体収納部32から丁合い手段36へと画像を有する転写体20を供給する搬送路40と、保持体収納部34の転写装置14が配置された側に設けられ、保持体収納部34から丁合い手段36へと保持体22を供給する搬送路42とを有する。
【0132】
搬送路40、42としては、表面が平滑な板状部材と、その表面を画像を有する転写体20、保持体22を搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転可能な無端ベルトで構成されていてもよい。
これらの搬送路40、42は、画像記録体を形成する際に、丁合い手段36において、保持体22と画像を有する転写体20とが重ね合わせられるように所定のタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、転写体収納部32および保持体収納部34から、画像を有する転写体20および保持体22を丁合い手段36に搬送する。
【0133】
保持体収納部34には、記録媒体が保持された保持体22が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、給紙ロール等が回転し、丁合い手段36に保持体22を1個搬送する。
転写体収納部32には、所定の画像が例えば電子写真方式などを利用して形成された画像を有する転写体20が収納されると共に、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられ、丁合い手段36に保持体22が排出された直後のタイミングで給紙ロール等が回転し、丁合い手段36に画像を有する転写体20を1枚搬送する。
【0134】
丁合い手段36は、搬送路40の画像を有する転写体を排出する側の鉛直方向下方で、且つ、搬送路42の保持体22を排出する部分と同じ高さの位置に設けられている。また、画像を有する転写体20表面の画像が、保持体22に保持された記録媒体表面の所望の位置に対面するように、画像を有する転写体と保持体22との位置を合わせて重ね合わせる位置決め手段が設けられている。
【0135】
位置決め手段の構成としては特に限定されるものではないが、例えば、図3および図4に示される構成が挙げられる。
図3および図4は、図2に示す画像記録体形成装置に利用される位置決め手段の一例を説明するための模式図であり、図3が丁合い手段36を上側から見た場合の平面図を、図4が丁合い手段36の断面図(図3中の記号X1−X2間の断面図)を意味し、図中、61、61a、61b、62は基準壁、63,64は規制部材、70は受け、71は接続部を表す。
【0136】
丁合い手段36は、図中矢印で表される搬送方向(図2中、丁合い手段36に対して転写体収納部32、保持体収納部34が配置された側)に対して、4辺のうち2辺が直交する方形の受け70と、搬送方向下流側の辺に沿って配置された基準壁61と、当該辺と直交する2辺のうちの一方の辺に沿って配置された基準壁62と、受け70表面を矢印A方向(搬送方向と平行な方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材63と、受け70表面を矢印B方向(矢印A方向と直交する方向)に不図示の駆動機構により移動可能に配置された規制部材64と、を含むものである。
【0137】
ここで位置決めは、搬送路40、42を経て受け70表面に、転写体20と保持体22とが重ね合わせられるように積層された積層体P(図中、点線で示される部材)に対して、規制部材63,64を押し当てて、基準壁61,62に突き当てることにより実施する。具体的には積層体Pの直交する2辺のうちの一辺(第1の辺)に対して、規制部材63を押し当て、この状態で規制部材63を記号C(搬送方向下流側)の位置まで移動させて積層体Pの規制部材63に接する辺と対向する辺を基準壁61に突き当てると共に、第1の辺と直交する辺(第2の辺)に対して規制部材64を押し当て、この状態で規制部材64を基準壁62方向に移動させて積層体Pの規制部材64に接する辺と対向する辺を基準壁62に突き当てる。
このように2つの規制部材63、64および2つの基準壁61、62を組み合わせて用いることにより、積層体PのサイズがA4やA3サイズ等、様々であっても精度よく位置決めされた丁合いが可能である。
【0138】
なお、図3に示される基準壁61は、搬送方向に直交する位置に設けられているため、
丁合いが完了し、必要に応じて実施される仮止めが終了した後に、積層体Pの搬送を妨げないように移動可能なことが必要である。
基準壁61にこのような機能を付与するためには、例えば、図4に示すように基準壁61が移動可能であることが好ましい。
例えば、図4(a)に示されるように、基準壁61は、矢印D方向(つまり、上下移動)に可動し、61aで示される箇所に移動することで、積層体Pの搬送方向下流側への搬送が可能となる。
また、図4(b)に示されるように、基準壁61が、受け70の端部に接続部71を介して矢印E方向(つまり、接続部71を中心とした円周方向)に可動可能に接続されている場合は、基準壁61を61bで示される箇所に移動することで、積層体Pの搬送方向下流側への搬送が可能となる。
【0139】
丁合い手段36には、保持体22と画像を有する転写体20とを重ね合わせた積層体を仮止めする仮止め装置が設けられていてもよい。この仮止め装置としては、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されたものが利用でき、この装置を利用すれば加熱された一対の突片により積層体を挟むことで、画像を有する転写体20と、保持体22および/または保持体22により保持された記録媒体とが熱により溶着され、積層体が仮止めされる。
【0140】
ここで転写装置14は、例えば、一対の無端ベルトを用いた構成を有する装置が利用できる。
図中に示す転写装置14は、外周面同士が互いに押圧するように接触して配置された一対の無端ベルト46と、各々の無端ベルト46を張架するように、丁合い装置12側に配置された1対の加熱・加圧ロール48およびこの加熱・加圧ロール48の丁合い装置12が配置された側と反対側に配置された1対の張架ロール50と、1対の張架ロール50の加熱・加圧ロール48が配置された側と反対側に配置された画像記録体排出部56とを有する。
【0141】
なお、転写装置14の構成は図中に示す構成にのみ限定されるものではなく、従来公知の各種ラミネート技法や、熱プレス技法を実施できる構成を有する装置であればいずれも利用できる。
【0142】
次に、図2に示す画像記録体形成装置による画像記録体の形成プロセスを説明する。
まず、丁合い装置12において、保持体22が、保持体収納部34から搬送路42を経て、丁合い手段36へと供給され、丁合い手段36の所定の位置へセットされる。
次いで、画像を有する転写体20が、転写体収納部32から搬送路40を経由して丁合い手段36へと供給される。ここで、搬送路40排出部を出た画像を有する転写体20は、画像が設けられた面が下側を向くように、その自重により丁合い手段36へ供給され、保持体22と重ね合わせられる(重ね合わせ工程)。
この重ね合わせに際しては、画像を有する転写体20表面の画像が、保持体22に保持された記録媒体表面の所望の位置に対面するように、画像を有する転写体と保持体22との位置を合わせて重ね合わせられる。
【0143】
次に、丁合い手段36で重ね合わされた画像を有する転写体20と保持体22とから構成される積層体は、仮止め装置により仮止めが施された後、不図示の搬送手段により転写装置14へ搬送される。
【0144】
次に、転写装置14において、画像を有する転写体20及び保持体22から構成される積層体を、一対の無端ベルト46の外周面同士が接触する接触部を通過させて加熱・加圧処理することにより画像を記録媒体表面に転写する(転写工程)。
接触部を通過した積層体は、画像記録体排出部56に排出される。続いて、この積層体から、転写体部分(転写体全体または画像保持層などの剥離可能な部分を除く転写体の一部)を剥離すると共に、保持体22から取り外すことにより画像が形成された画像記録体を得ることができる。
【0145】
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態とは異なる方法で画像記録体を形成する第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、前記トナー像を前記像保持体表面から、基材表面に画像保持層が設けられた帯状の中間転写体の前記画像保持層側の面に転写する転写工程と、前記中間転写体の前記トナー像が転写された面と保持体により保持された記録媒体表面とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、加熱および加圧することにより前記トナー像を定着する定着工程と、重ね合わされた前記中間転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより接合する接合工程と、前記中間転写体の前記基材と前記画像保持層との界面を剥離する剥離工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
【0146】
第2の実施形態で用いられる記録媒体は、例えば厚みが300μm以上で小判サイズの記録媒体である。一方、第2の実施形態においては、少なくとも重ね合わせ工程から接合工程を終えるまでの全過程が、機械的手段を利用して実施され、例えば、重ね合わせ工程から接合工程を終えるまでの過程の少なくとも一部の過程において、記録媒体がロールや無端ベルトなどの搬送手段により搬送される。
それゆえ、記録媒体そのものを機械的にハンドリングすることが困難であり、記録媒体が転写体に対して位置ずれを起こしやすい。
【0147】
この問題を解決するためには、記録媒体よりも大きく、且つ、位置ずれを起こさない安定した機械的ハンドリングが可能なサイズの部材により記録媒体を保持した状態で、少なくとも重ね合わせ工程から接合工程を終えるまでの全過程を実施できるようにすることが有効である。
以上の観点から、本発明者らは、記録媒体を保持する保持体を用いて少なくとも重ね合わせ工程から接合工程を終えるまでの全過程を実施することが有効であると考え、第2の実施形態を見出した。
これにより、第2の実施形態によれば、小判サイズの記録媒体に画像を形成した画像記録体を形成する場合においても、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体を形成することができる。
【0148】
一方、第2の実施形態で用いられる記録媒体は、既述した通りであるが、記録媒体の種類によってその表面の凹凸の程度は様々である。また、形成する画像も、モノクロ画像を形成する場合とカラー画像を形成する場合とや、画像の形成に用いるトナーの粒径、あるいは、画像を形成する条件(例えば、定着温度等)によって、画像表面の凹凸の程度は様々である。従って、従来の画像形成方法では、使用する記録媒体と、形成する画像との表面の平滑性を常に一致させることは極めて困難である。このため、画像形成面の画像部と、非画像部との光沢度に差が生じることは避けられなかった。
しかしながら、第2の実施形態では、画像形成面全面が、画像保持層により被覆されるため、記録媒体や画像の表面凹凸の程度に関係なく、画像形成面全面の表面凹凸が均一となり、画像部の光沢度と非画像部の光沢度とに差が生じるのを防止することもできる。
【0149】
なお、第2の実施形態の画像形成方法のプロセスは、従来の中間転写ベルト等の中間転写体を利用した電子写真方式の画像形成方法と比べると、中間転写体として、基材とこの基材の片面に設けられた画像保持層とを有する帯状の転写体(中間転写体)を用いる点で大きく異なっている。
この中間転写体は帯状であれば特に限定されないが、アスペクト比(長さ/幅)は5以上であることが好ましく、10以上であることが好ましく、20以上であることが更に好ましい。また、中間転写体の長さとしては、1m以上であることが好ましく、2m以上であることが好ましく、4m以上であることが更に好ましい。
なお、帯状の中間転写体の幅とは、像保持体の回転方向と直交する方向の長さを意味し、通常は、記録媒体を全て覆う幅であれば特に限定されるものではないが、像保持体の幅と同一、あるいは、使用する記録媒体の幅(記録媒体の供給方向と直交する方向の長さ)と同一(または記録媒体の幅+10%の長さ)に設定されることが好ましい。
中間転写体は無端状の筒体であってもよい。この場合の中間転写体の長さは、無端状の筒体1周分の長さを意味する。
【0150】
一方、従来、中間転写体を用いて画像が形成された記録媒体を大量に生産する場合、大判のシート状の中間転写体を用いて、記録媒体上に画像を形成した後に所定のサイズに切断する必要があった。しかし、画像形成後に切断が必要なため、必ずしも高い生産性が得られていなかった。
しかし、第2の実施形態に用いられる記録媒体は、小判サイズの記録媒体であるため、最終製品が記録媒体と同じ小判サイズであれば、画像形成後に記録媒体を切断する必要がないため、高い生産性を得ることもできる。
なお、中間転写体の長さとしては、記録媒体の供給方向の長さの5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることが好ましく、20倍以上であることが更に好ましい。
【0151】
第2の実施形態の画像形成方法では、1種類のトナーを用いた単色の画像のみならず、勿論、2種類以上の異なる色のトナーを用いたカラー画像も形成することができる。カラー画像は、2種類以上の色の異なるトナー像を重ね合わせて積層した後に定着するため単色画像と比べると、画像表面の凹凸がより一層大きくなりやすく、通常であれば、画像部と非画像部との光沢度の差が大きくなり、画像形成面全体の光沢が不均一となりやすい。
しかしながら、第2の実施形態の画像形成方法では、画像部も非画像部も画像保持層に覆われるため、この問題の発生を防止して、画像形成面全面において均一な光沢感を得ることもできる。
【0152】
次に、第2の実施形態の画像形成方法について工程毎に説明する。本発明の画像形成方法は、上述したようにトナー像形成工程、転写工程、重ね合わせ工程、定着工程、接合工程、および、剥離工程を含むものであり、必要に応じてトナー像を中間転写体に転写した後の像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程等、公知の電子写真方式の画像形成方法で採用されている工程を組み合わせることができる。
ここで、トナー像形成工程については、従来の画像形成方法と同様に実施することができ、転写工程についても中間転写体として上述した中間転写体を用いる以外は、従来の画像形成方法と同様に実施することができる。
【0153】
重ね合わせ工程、定着工程および接合工程は、転写工程実施後と剥離工程実施前の過程で実施されるものであり、重ね合わせ工程、定着工程、接合工程の順に実施(プロセスA)したり、定着工程、重ね合わせ工程、接合工程の順に実施(プロセスB)したり、重ね合わせ工程の後に、定着工程および接合工程を同時に実施(プロセスC)したり、あるいは、定着工程の後に、重ね合わせ工程および接合工程を略同時に実施(プロセスD)したりすることができる。しかしながら、工程の単純化という観点からは重ね合わせ工程、定着工程および接合工程を略同時に実施(プロセスE)することが好ましい。なお、プロセスEは、厳密には重ね合わせ工程の直後に定着工程および接合工程が同時に実施される。
また、重ね合わせ工程後に、定着工程が実施されるプロセスA、C、D、Eでは、トナー像の定着時に、定着に用いる加熱ロール等の加熱手段とトナー像とが直接接触しないため、加熱手段側へのトナーのオフセットが発生しないというメリットもある。
【0154】
なお、プロセスEを実施するためには、従来の定着装置と同様の構成を有するものが利用でき、例えば、加熱ロールとこれに圧接するように対向配置された加圧ロールとからなる接合手段が利用できる。この場合、中間転写体と記録媒体とを重ね合わせた状態で、加熱ロールと加圧ロールとの圧接部を挿通させることにより、定着および転写を実施することができる。また、接合工程を定着工程と略同時に実施しない場合には、接合工程は、加熱処理および加圧処理の双方を同時に実施してもよいが、片方のみを実施するだけでもよい。
【0155】
上記3つの工程を終えた後には、記録媒体と中間転写体とが接合された接合体の基材と画像保持層との界面を剥離する剥離工程を実施する。これにより、画像が形成された面全体が画像保持層で被覆された記録媒体(画像記録体)を得ることができる。
なお、剥離工程は画像保持層と基材との界面が剥離できるのであれば特に限定されないが、接合体に対して、接合体の両面または片面に、接合体の厚み方向に対して引っ張る力を加えることにより実施することが好ましい。なお、接合体の片面に対して引っ張る力を加える場合には、もう片方の面は固定されていることが好ましい。
【0156】
一方、第2の実施形態を利用して、プラスチックフィルムから構成される記録媒体を用いて画像記録体としてプラスチックカードを作製する場合、接合体を構成するプラスチックフィルムの耐熱性が低いと、剥離工程を経て得られたプラスチックカードが変形してしまう場合がある。この変形は、定着工程および接合工程を終えた後の接合体が高温に加熱されているため、この高温に加熱された状態の接合体に対して剥離工程を実施しても、プラスチックカード自体が外力が加わっただけで変形しやすいためである。この問題は、塩化ビニールフィルムやPETGフィルム(少なくともエチレングリコール、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合させた変性PET樹脂フィルム)などのガラス転移温度の比較的低い材料からなるプラスチックフィルムを用いる場合や、定着温度がプラスチックフィルムを構成する樹脂材料のガラス転移温度よりも大きい場合に発生しやすい。
【0157】
よって、上述した変形を防止したい場合には、定着工程および接合工程を終えた後に、接合体とこの接合体の記録媒体側の部分を保持する保持体とからなる積層体の両面と対向する面が、平面状の一対の部材間に挟持した状態で冷却する冷却工程を実施し、続いて剥離工程を実施することが好ましい。
上述した冷却工程を実施することによって、定着工程および接合工程を経た後の高温に加熱された状態の接合体が平坦な形状を保ったまま、外力が加わっても変形し難しい温度まで冷却された後に剥離工程が実施されるため、最終的に得られるプラスチックカードの変形を確実に防止することができる。また、この方法は、特に、記録媒体として塩化ビニールフィルムやPETGフィルムを用いる場合や、定着温度がプラスチックカードを構成する樹脂材料のガラス転移温度よりも大きい場合に有効である。
なお、冷却工程において実施される冷却は、自然冷却であってもよいが、冷却時間が短縮できる強制冷却であることがより好ましい。
【0158】
また、第2の実施形態の画像形成方法では、転写工程を終えた後、定着工程を行う前に、中間転写体表面に転写されたトナー像を予備加熱して、仮定着する仮定着工程を実施することが好ましい。これにより、定着を行う前に、トナー像を構成するトナー粒子同士やトナー粒子と画像保持層との融着が起こり定着工程においてトナー像の乱れが発生するのを抑制することができるため、得られる画像に乱れが生じるのを防止することができる。
仮定着工程を実施する場合には、中間転写体の両面または片面に加熱ロール等の加熱手段を配置し、定着工程でトナー像を定着する際の温度よりも低めの温度(60℃〜80℃程度低めの温度)で加熱を行うことが好ましい。
【0159】
さらに、記録媒体を加熱する予備加熱工程を実施した後に、重ね合わせ工程を実施してもよい。
このように定着工程よりも前あるいは定着工程と同時に実施される重ね合わせ工程の実施前に、記録媒体を加熱することにより、記録媒体を予め定着に適した温度にまで予熱(例えば70℃〜100℃の範囲)しておくことができる。
これにより、定着不良の発生を防止することが容易となる上に、定着工程における定着温度を従来よりも低くすることも可能となる。なお、上述した予備加熱工程の実施は、本発明で用いられる厚みの厚い記録媒体を用いる場合に特に有効である。本発明で用いられる記録媒体は、通常の文書などの印刷に用いる厚みが100μm程度の記録媒体と比べて、その厚みゆえに記録媒体自体の熱容量が大きいため、定着時の短時間の加熱では記録媒体を定着に適した温度にまで加熱するのが困難な上に、プラスチックフィルム等の記録媒体に対して十分な加熱を行った場合には、記録媒体の熱変形を招きやすくなる場合がある。しかしながら、予備加熱工程を実施して、定着前に記録媒体を予熱しておけば、記録媒体の加熱不良に起因する定着不良や記録媒体の熱変形の発生を防止することができる。
なお、上述した観点からは、使用する記録媒体が、プラスチックフィルム等の熱可塑性材料を含む媒体であり、その厚みが500μm以上10mm以下程度の範囲内である場合に予備加熱工程を実施することが特に好ましい。
【0160】
なお、以上に説明した第2の実施態様を利用して画像記録体を形成する際に、いずれか一方の面に凹部を有している記録媒体を用いる場合には、記録媒体は凹部を有する面が保持体と接するように保持体に保持されると共に、保持体としては、基体表面の記録媒体を保持する面側で、且つ、記録媒体を保持した際に(記録媒体の)凹部と対向する領域内に凸部を有し、且つ、既述した下式(1)を満たすものを用いることが好ましい。この場合、画像記録体に、画像濃度ムラや画像抜け、気泡が発生するのを抑制することができる。
【0161】
−中間転写体−
次に、第2の実施形態に用いられる帯状の中間転写体についてより詳細に説明する。本発明に用いられる中間転写体は、基材と、この基材の片面に設けられた画像保持層とを含むものである。
【0162】
画像保持層の表面には、転写工程において像保持体表面に形成されたトナー像が転写される。また、画像保持層と基材とは離型性を有していることが必要である。それゆえ、基材表面に離型性材料を含む離型層と画像保持層とをこの順に積層した構成としたり、画像保持層の基材側の面、あるいは基材の画像保持層側の面のいずれか一方を離型性材料で被覆することにより離型性を付与してもよい。
離型性材料としては、シリコーン系のハードコート材料が利用でき、具体的には、シラン系の組成物を含む縮合物樹脂や、該シラン系の組成物を含む縮合物樹脂とコロイダルシリカ分散液との混合物からなる材料が含まれていてもよい。
【0163】
なお、中間転写体が基材表面に離型層と画像保持層とをこの順に積層した構成である場合には、離型層と画像保持層との剥離力が、9.8mN/cm以上4.9N/cm以下(1gf/cm以上500gf/cm以下)の範囲内であることが好ましく、19.6mN/cm以上0.98N/cm以下(2gf/cm以上100gf/cm以下)の範囲内であることが好ましい。
剥離力が9.8mN/cm(1gf/cm)未満の場合には基材と画像保持層との自発的な剥離が生じてしまう場合がある。また、4.9N/cm(500gf/cm)を超える場合には、記録媒体に対して中間転写体を接合した後に得られた積層体の両面に引き剥がす力を加えた場合に、基材と画像保持層との界面できれいに剥離ができなくなる場合がある。
ここで、離型層と画像保持層との剥離力の測定は中間転写体の画像保持層面に、幅10mmのアクリル型粘着テープ(日東電工社製、ニットーポリエステルテープ31B)を500g/cmの線圧で長さ200mmになるように貼り付け、10mm/secの速度で剥離角度180度での応力を測定し、その値を剥離力とした。
【0164】
また、画像保持層には熱可塑性材料が含まれる。熱可塑性材料としては、特に制限されないが、画像の形成に使用するトナーに含まれる結着樹脂と同系統の樹脂、特にポリエステル樹脂が含まれることが好ましい。ポリエステル樹脂はトナーの結着樹脂として多用されるものであるため、これと同系統の樹脂を画像保持層に含ませることにより、画像保持層への画像形成材料の定着性を良好にすることができる。なお、上記ポリエステル樹脂としては、一般的なポリエステル樹脂の他に、例えばシリコーン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどを用いても良い。
【0165】
基材としては、特に限定されないが、プラスチックフィルムを代表的に用いることができる。この中でも、例えばポリアセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロハン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどを好ましく用いることができる。これらの中でも、コストパフォーマンスの点からは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
一方、基材は定着時に加熱加圧される。これに加えて、プラスチックシート等の比較的厚みが大きいものが多い記録媒体を用いる場合には熱容量が大きいために、定着温度を高めに設定しなければならず、基材が高い温度に加熱される場合もある。この加熱加圧や過剰な加熱条件は、定着時に基材の長手方向に伸びを生じさせ、これに伴い画像の伸びの発生を招いてしまう場合がある。
それゆえ、画像伸びの抑制という観点からは、加熱加圧時の延伸耐性に優れたプラスチックフィルムを用いることが好ましい。このフィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、芳香族ポリアミド(アラミド)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム等を挙げることができる。
なお、基材用のフィルムとしては、必要に応じて上述したフィルムを2種類以上組み合わせて積層した積層フィルムを利用することもできる。
【0166】
基材の画像保持層が設けられる側の面の表面粗さは特に限定されるものではないが、画像形成面全面において高い光沢感を得るためには、中心線平均粗さRaが1μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。中心線平均粗さRaが1μmを超える場合には、高い光沢度を得ることができなくなる場合がある。なお、高い光沢感を得る観点からは基材の中心線平均粗さRaは小さい方が好ましいが実用上は0.05μm以上であることが好ましい。
一方、画像形成面全面をマット仕上がり(低い光沢感)とする場合には、中心線平均粗さRaは20μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましい。中心線平均粗さRaが20μm未満では画像形成面全面をマット仕上がりとすることができなくなる場合がある。なお、マット仕上がりを得る観点からは基材の中心線平均粗さRaは大きい方が好ましいが実用上は50μm以下であることが好ましい。
中心線平均粗さ(Ra)の測定は、(株)アルバック社製:触針式表面形状測定機Dektak3STを用いた。
【0167】
中間転写体における基材の厚さは、搬送不良や画質劣化防止の観点からは10μm以上200μm以下の範囲が好ましく、25μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。厚さが10μmに満たないと、画像記録体形成装置で搬送不良となる場合があり、200μmを超えると転写工程で画質劣化を招く場合がある。
また、接合後の画像形成面に微小な残存空気が発生するのを防止する観点からは、基材の厚みは50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。基材の厚みが50μmを超えると、記録媒体の接合面に存在する凹凸に対して接合時に中間転写体が追従して密着できないため画像形成面に微小な残存空気が発生してしまう場合がある。なお、微小な残存空気の発生を抑制する観点からは基材の厚みは薄ければ薄い方が好ましいが、基材の強度不足に伴う搬送不良等の発生を防止する観点から、実用上は10μm以上であることが好ましく、18μm以上であることがより好ましい。
なお、基材の強度確保や微小な残存空気の抑制に加えて、画像伸びも抑制できるという観点から、厚みが10μm以上50μm以下の範囲の基材として用いるのに好適なプラスチックフィルムとしては、例えば上述した二軸延伸PENフィルム、芳香族ポリアミド(アラミド)フィルム、ポリイミドフィルム、PPSフィルム、PEIフィルムを用いることが好適である。
【0168】
温度23℃・湿度55RH%における中間転写体の少なくとも画像保持層が形成された面の表面抵抗率は、1.0×10Ω以上1.0×1013Ω以下の範囲内であることが好ましく、1.0×10Ω以上1.0×1011Ω以下の範囲内であることがより好ましく、中間転写体の両面で上記範囲を満たすことが更に好ましい。
表面抵抗率が1.0×10Ωに満たないと、特に、高温高湿時に中間転写体の抵抗値が低くなりすぎ、例えば像保持体からの転写トナーが乱れる場合があり、また、表面抵抗率が1.0×1013Ωを超えると、中間転写体の抵抗値が高くなりすぎ、例えば像保持体からのトナーをフィルム表面に移行できず画像欠陥が発生する場合がある。
【0169】
なお、上記表面抵抗率は、23℃、55%RHの環境下で、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、1000Vで60秒後の電流値からJIS K6911に従って求めることができる。
表面抵抗率を1.0×10以上1.0×1013Ω以下の範囲内に制御するにあたっては、画像保持層中に帯電制御剤として高分子導電剤、界面活性剤や導電性の金属酸化物粒子等を添加したり、基体となるフィルム製造時に、界面活性剤、高分子導電剤や導電性の粒子などを樹脂中に添加したり、上記フィルム表面に界面活性剤を塗工したり、金属薄膜を蒸着したり、あるいは接着剤などに界面活性剤などを適量添加したりすることで調整することができる。
【0170】
−トナー/現像剤−
第2の実施形態において、トナー像の形成に用いられる現像剤としては、トナーからなる一成分現像剤、あるいは、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤のいずれを用いてもよく、公知の現像剤が利用できる。
トナーとしては、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナーであれば従来公知のものが制限なく利用できる。なお、結着樹脂としては、公知の結着樹脂が利用できるが、ポリエステル系樹脂が好ましく、その重量平均分子量としては5000〜12000であることが好ましい。
着色剤としては、トナー用として通常用いられている着色剤であれば特に制限はなく、それ自体公知のシアン顔料または染料、マゼンタ顔料または染料、イエロー顔料または染料、ブラック顔料または染料等の中から選択できる。好適には、高光沢が得られる効果を高めるためには、着色剤の顔料とバインダーの界面での乱反射を抑えることが重要であり、特開平4−242752号公報に示された小粒径の顔料を高分散した着色剤との組合せが有効である。
またトナーの粒径は、特に限定されないが高精細な画像を得る観点からは4μm以上、8μm以下が望ましい。
第2の実施形態に用いられるトナーやキャリアは作製したものであってもよいし、市販品であってもよい。
【0171】
−画像記録体−
第2の実施形態を利用して形成される画像記録体は、記録媒体と、その表面に形成された画像と、記録媒体の画像が形成された面全体を被覆するように設けられた層(中間転写体の画像保持層に相当する層)を含む構成を有するものである。
この画像記録体の用途等は、第1の実施形態を利用して得られた画像記録体と同様である。
【0172】
−画像記録体形成装置−
次に、第2の実施形態の画像記録体形成装置について説明する。第2の実施形態の画像記録体形成装置は、第2の実施形態の画像記録体形成方法を利用したものであれば特に限定されないが、具体的には以下の構成を有することが好ましい。
すなわち、第2の実施形態の画像記録体形成装置は、像保持体と、前記像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、基材と該基材表面に設けられた画像保持層を含む帯状の中間転写体を少なくとも備え、前記トナー像を前記像保持体表面から、前記中間転写体の前記画像保持層側の面に転写する転写手段と、前記中間転写体の前記トナー像が転写された面と、保持体により保持された記録媒体表面とを重ね合わせて、前記中間転写体と前記記録媒体とを加熱および加圧することにより前記トナー像を定着すると共に、前記中間転写体と前記記録媒体とを接合する接合手段とを、少なくとも有するものであることが好ましい。
【0173】
なお、当該接合手段は、重ね合わせ工程と、定着工程と、接合工程とを略同時に実施する手段(プロセスEを実施する手段)であるが、各々の工程を別個に実施するために、接合手段の代わりに、例えば、記録媒体と中間転写体とを重ね合わせる重ね合わせ手段や、加熱加圧によりトナー像を定着する定着手段、加熱加圧により記録媒体と中間転写体とを接合する接合手段(重ね合わせ工程および定着工程を実施する機能を有さない手段)を設けることもできる。
ここで、第2の実施形態の画像記録体形成装置は、従来の画像形成装置に用いられているその他の手段、例えば、像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレード等のクリーニング手段などを備えていてもよい。また、転写手段によって中間転写体表面に転写されたトナー像を、接合手段により定着する前に予備加熱して仮定着する仮定着手段を有していることがより好ましい。
さらに、必要に応じて、中間転写体のトナー像が転写された面と重ね合わされる前の記録媒体を予備加熱する予備加熱手段を備えていてもよい。
【0174】
以下に、第2の実施形態の画像記録体形成装置の形態について図面を参照して説明する。
−実施の形態1−
図5は、第2の実施形態の画像記録体形成装置の一例を示す概略構成図であり、図5中、100は画像記録体形成装置、101は筐体、102K、102C、102M、102Yは画像形成部(トナー像形成手段)、103Yは感光体ドラム(像保持体)、104Yは一次帯電器、105YはLEDアレイ、106Yは現像装置、107K、107C、107M、107Yは帯電ロール、108は中間転写体、109は送出しロール、110は加熱ロール、111は巻取りロール、112は加圧ロール、113は加熱源、114は剥離ロール、115,116は張架ロール、117は保持体収納部、200は保持体を表す。
【0175】
この画像記録体形成装置100は、筐体101内に黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナー像を形成する4組の画像形成部102K、102C、102M、102Yが設けられたいわゆるタンデム型の装置であり、張架ロール115および116によって鉛直方向に張架された中間転写体108に沿って、中間転写体108の張架ロール115および116が配置された側の面と反対側の面に、張架ロール115側から張架ロール116側へと画像形成部102K、102C、102M、102Yが一定の間隔を隔てて鉛直方向にこの順に配置されている。
これら4組の画像形成部102K、102C、102M、102Yは、本実施形態においては、形成するトナー像の色が黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)であるほかは、すべて同様の構成を有するものであるが、使用頻度等に応じて特定の色の画像形成部のみ構成を変えてもよい。例えば、使用頻度の多い画像形成部の感光体ドラムの径を大きくしたり、感光体表面材質を高耐久性のものに変えたりし寿命の長いシステムに変更することもできる。
【0176】
また、筐体101内には、帯状の長尺のフィルムである中間転写体108を送り出す送出しロール109と、送出しロール109から送り出された中間転写体108を巻き取る巻取りロール111と、中間転写体108の巻取り方向(矢印B方向)に沿って、中間転写体108を張架するために、送出しロール109側から巻取りロール111側へと張架ロール115、張架ロール116、加熱ロール110、および、剥離ロール114の順に配置された4つのロールとを備えている。
なお、巻取りロール111は、不図示の駆動源に接続されており、中間転写体108を巻取ることが可能である。
中間転写体108は、その一端側が、送出しロール109に巻かれており、画像の形成に際しては、送出しロール109から、中間転写体108が順次送り出される。なお、送出しロール109に巻き取られた状態の中間転写体108は、画像保持層が設けられた側の面が外側面となるように巻き取られる。送出しロール109から送り出された中間転写体108は、画像形成時には巻取りロール111により矢印B方向に逐次巻き取られる。
両端が送り出しロール109および巻取りロール111により巻取られるように固定された中間転写体108は、中間転写体108の基材側の面に接触し、送り出しロール109側から巻取りロール111側へと以下の順に配置された張架ロール115、張架ロール116、加熱ロール110、および、剥離ロール114によって所定のテンションで張架されている。
【0177】
加熱ロール110は、その内部に加熱源113を内蔵すると共に、中間転写体108を挟んで加熱ロール110を押圧するように加圧ロール112が対向配置されており、加熱ロール110と加圧ロール112とにより接合手段を構成している。また、加圧ロール112と中間転写体108とが接触する接触部は、筐体101外に取り付けられた保持体収納部117から不図示の搬送手段により矢印C方向(水平方向)に搬送される記録媒体を保持する保持体200が挿通可能であり、保持体200が当該接触部を通過する際に、保持体200に保持された記録媒体と中間転写体108とが重ね合わせられると略同時に、トナー像の定着および接合が実施される。
【0178】
この加熱ロール110には、加圧ロール112が所定のタイミングで圧接するようにリトラクト可能に構成されていてもよい。例えば、中間転写体108上に各色のトナー像を形成している間は、加圧ロール112を待機位置にリトラクトして、加熱ロール110と加圧ロール112とを互いに離間させておき、中間転写体108上への多色トナー像の形成が完了して記録媒体を保持する保持体200が保持体収納部117から接合手段に供給されるタイミングに合わせて、加圧ロール112を加熱ロール110を押圧する位置に移動させることができる。なお、加圧ロール112は、内部に加熱源を備えるように構成しても良い。なお、接合手段としては、従来の画像形成装置に用いられている加熱ロール定着器を利用することができる。
【0179】
接合手段の保持体200の排出側で、保持体200の搬送路の加熱ロール110側に剥離手段として小径の剥離ロール114が配置されている。また、巻取りロール111は、巻取りロール111と剥離ロール114とによって張架される部分の中間転写体108が、保持体200の搬送方向に対して70°前後の角度を成すように配置されている。
ここで、図5に示す本発明の画像記録体形成装置に用いられる記録媒体としては剛性を有するものが利用されるため、接合手段によって形成された積層体の基材側に引っ張る力が働くと共に、記録媒体自体はその剛性によって、基材側に引っ張られて変形し難いため、画像保持層と基材との界面で剥離が起こる。なお、記録媒体の剛性が弱い場合には、積層体の記録媒体側を吸着したりする等によって基材側に変形しないようにしてもよい。
なお、剥離手段としては積層体の画像保持層と基材との界面に挿入される剥離爪を用いてもよく、上述した剥離ロールと併用してもよい。
【0180】
次に、4つの画像形成部の具体的な構成について、画像形成部102Yを具体例として説明する。画像形成部102Yは、感光体ドラム103Y、一次帯電器104Y、LEDアレイ105Y、および、現像装置106Yから構成される。ここで、感光体ドラム103Yは、中間転写体108の画像保持層が設けられた側の面に接触すると共に、図示しない駆動手段によって矢印A方向に沿って所定の速度で回転駆動される。また、感光体ドラム103Yの周囲には矢印A方向に沿って、一次帯電器104Y、LEDアレイ105Y、現像装置106Y、および、帯電ロール107Yがこの順に配置され、帯電ロール107Yは、中間転写体108を挟んで、感光体ドラム103Yに対向配置される。
感光体ドラム103Yとしては、特に制限はなく公知のものが利用でき、単層構造のものであっても良いし、多層構造で機能分離型のものであっても良い。また、材質としては、セレン、アモルファスシリコン等の無機ものであっても良いし、有機のものであっても良い。
【0181】
現像装置106Yは、カラートナー像を感光体ドラム103Y上に形成するものである。この目的を満たす限り、あらゆる公知の現像装置を用いることができる。例えば、トナーをコロトロン、ブラシ等を用いて電子写真感光体に付着させる機能を有する公知の現像装置が挙げられる。また、現像装置106Yとしては、公知のキャリアと混合、帯電されたトナーを用いてトナー像を感光体ドラム103Y上に形成してもよく、例えば、特開昭63−58374号公報に記載されている公知の装置を使用することができる。また、キャリアを用いない一成分現像剤による現像装置を採用してカラー画像を形成してもよい。
【0182】
また、現像装置106Yで使用されるカラートナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる絶縁性の粒子で、現像装置106Yにおいてはイエローのトナーが用いられ、その他の画像形成部の現像装置にはシアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーが用いられる。これらのカラートナーの組成、平均粒径等については、一般的な公知のトナーの範囲の中から選択される。
【0183】
画像形成部102Yによるイエロー(Y)色のトナー像の形成は以下のように行われる。まず、感光体ドラム103Yの表面は、帯電ロール等からなる一次帯電器104Yによって所定の電位に帯電された後、入力画像信号に応じたハーフトーン画像(ラスターデータ)に応答してLEDアレイ105Yにより露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム103Y上に形成された静電潜像は、対応する色のトナーを収容した現像手段としての現像装置106Yによって現像され、イエロー(Y)色のトナー像が形成される。このイエロー(Y)色のトナー像は、感光体ドラム103Yと中間転写体108との接触部において、一次転写手段である帯電ロール107Yによって感光体ドラム103Y表面から中間転写体108表面へと転写される。なお、転写が終了した後の感光体ドラム103Yの表面は、必要に応じて、図示しないクリーニング装置によって残留トナー等が除去される
このトナー像の形成は、用いるトナーの色が異なる以外は、画像形成部102K、102C、102Mについても102Yと同様である。
【0184】
こうして、各画像形成部102K、102C、102M、102Yで形成された各色のトナー像は、一次転写手段である帯電ロール107K、107C、107M、107Yによって、黒、シアン、マゼンタ、イエローの順に、順次、中間転写体108上に互いに重ね合わせた状態で、一次転写され、中間転写体108上に多色トナー像が形成される。
【0185】
中間転写体108表面に重ね合わせて転写された4色のトナー像は、矢印B方向に更に搬送され、接合手段へと移動し、接触部にて、トナー像が定着されると共に、保持体200に保持された記録媒体と中間転写体108とが接合される。続いて、接触部を通過した後に、剥離ロール114により積層体の基材と画像保持層との界面が剥離され、画像形成面全面が画像保持層で被覆された記録媒体が、不図示の搬送手段によって筐体101外へと排出される。一方、中間転写体108の基材部分のみが巻取りロール111に巻き取られる。
【0186】
これにより、図5に示す画像記録体形成装置100では、画像の形成に用いる記録媒体の種類によらず、画像形成面全面において均一な光沢感を得ることができる。また、加熱ロール110が、トナー像と直接接触しないために、トナーのオフセットが発生するのを防止することができる。さらに、画像の形成に使用する記録媒体として、最終製品と同サイズに裁断されたものを利用すれば、画像形成後に切断することなく、画像が形成された記録媒体を大量且つ高速に生産することができる。
【0187】
なお、中間転写体108にトナー像を重ね合わせて転写した後に、接合手段によって定着および接合を実施する場合、画像の乱れやレジずれが発生してしまう場合がある。この問題の発生を防止するためには、張架ロール116と加熱ロール110とにより張架された部分の中間転写体108上のトナー像を仮定着する仮定着手段を設けることが好ましい。この仮定着手段としては張架ロール116と加熱ロール110とにより張架された部分の中間転写体108の基材側および/または画像保持層側に、接触あるいは非接触の加熱手段を配置することが好ましく、例えば、中間転写体108の基材側の面に接触するように仮定着用の加熱ロールを配置することができる。
【0188】
次に、第2の実施形態の画像記録体形成装置の他の形態について図面を参照して説明する。
−実施の形態2−
図6は、第2の実施形態の画像記録体形成装置の他の例を示す概略構成図であり、図6中、160は画像記録体形成装置、162は加熱ロール、164は加熱源、166は加圧ロールを表し、その他の符号で示される部材については、図5中に示したものと同様である。
図6に示す画像記録体形成装置160は、図5に示す画像記録体形成装置100に対して、保持体収納部117から加熱ロール110および加圧ロール112から構成される接合手段へと記録媒体を保持する保持体200が搬送される搬送経路上に、予備加熱手段を設けたものである。
この予備加熱手段は、加熱源164を内蔵する加熱ロール162と、この加熱ロール162に対向配置された加圧ロール166とから構成され、画像形成時には記録媒体を保持する保持体200を加熱ロール162と加圧ロール166とが接触する接触部を矢印C方向に通過させることにより、記録媒体の予備加熱を行うことができる。この一対のロールから構成される予備加熱手段としては、例えば、公知の定着機を利用することができる。
【0189】
以上に説明した以外にも第2の実施形態の画像記録体形成装置には、既述した冷却工程を実施することもできるように必要に応じて、接合手段によって中間転写体と記録媒体とが接合された接合体を冷却する冷却手段を備えていてもよい。この場合、記録媒体として熱変形の起こりやすいプラスチックフィルムを用いたり高い定着温度で定着を実施しても、変形の無いプラスチックカードを効率的に生産することができる。
なお、冷却手段は、互いに対向する面が平面状の一対の部材を少なくとも有するものであり、この冷却手段における接合体および保持体からなる積層体の冷却は、積層体を一対の部材間に挟持した状態で実施される。
ここで、当該「一対の部材」とは、積層体冷却時に、積層体に対して直接又は間接的に接触することによって、積層体を構成する接合体の形状を平坦な状態に維持したまま、加熱された積層体から熱を奪うことにより積層体を冷却する機能を有する部材を意味する。一対の部材としては、単なる板状の部材や、ロールにより張架されることによって平面を形成するベルトなどであってもよいが、熱伝導性の高い材料から構成され、また、放熱性の高い構造を有していることが好ましく、例えば、放熱フィンや液冷機構を備えた金属製の部材が利用できる。また、冷却手段には、積層体から伝熱された一対の部材の冷却を促進するために、空冷ファンなどが設けられていてもよい。
【0190】
この冷却手段を備えた画像記録体形成装置としては、接合手段および冷却手段の機能を少なくとも備えた装置を有したものであることが好ましい。ここで、接合手段および冷却手段の機能を少なくとも備えた装置としては、中間転写体の基材が設けられた側の面と接触して、中間転写体を張架する加熱ロールと、無端ベルトと、この無端ベルトを張架し、且つ、中間転写体と無端ベルトとを圧接させて圧接部を形成するように加熱ロールに対向配置された加圧ロールと、加熱ロールの回転方向下流側方向に送り出される中間転写体の画像保持層側の面に対して無端ベルトの外周面が対向するように、加圧ロールと共に無端ベルトを張架するテンションロールと、中間転写体の画像保持層が設けられた側の面と無端ベルトの外周面とが対向する部分に沿って、中間転写体と無端ベルトとを圧接させるように中間転写体の基材が設けられた側の面および無端ベルトの内周面に接触し、且つ、中間転写体の基材が設けられた側の面および無端ベルトの内周面と接触する面が平面状である一対の冷却部材と、を少なくとも備えた構成を有するものが挙げられる。なお、加圧ロールはその内部に加熱源を有し、加熱ロールとしての機能も有するものであってもよい。
【0191】
−実施の形態3−
図7は、第2の実施形態の画像記録体形成装置の他の例を示す概略構成図であり、上述した接合手段および冷却手段の機能を少なくとも備えた装置を有する画像記録体形成装置の例について示したものである。図中、170は画像記録体形成装置、180はテンションロール、182は無端ベルト、184は一対の冷却部材を表し、その他の符号で示される部材は、図5中に示したものと同様である。
図7に示す画像記録体形成装置170は、図5に示す画像記録体形成装置100における接合手段(加熱ロール110、加圧ロール112)から構成される部分を拡張して、冷却手段としての機能も発揮できるように、上述した構成としたものである。なお、テンションロール180は、剥離ロール114と対向するようにも配置されているため、加熱ロール110、加圧ロール112、テンションロール180、無端ベルト182、一対の冷却部材184および剥離ロール114からなる部分が一体的に構成された構造を有し、これら部材から構成される部分は、接合手段および冷却手段の機能に加えて剥離手段の機能も備えている。
【0192】
ここで、一対の冷却部材184の各々は、冷却フィン(図中、記載省略)を設けた金属板から構成され、不図示の圧接手段によって、一対の冷却部材184間に配置された無端ベルト182と中間転写体108とを両側から押圧するように配置されている。また、一対の冷却部材184からの放熱効率を高めるために、冷却部材184に対して送風可能な位置に不図示の空冷ファンが設置されている。なお、加熱ロール110と加圧ロール112とがリトラクト可能である場合には、一対の冷却部材184もこれら一対のロール110、112に同期するようにリトラクト可能に構成されていてもよい。
【0193】
図7に示す画像記録体形成装置170においては、加熱ロール113と加圧ロール112とが互いに押圧するように接触する接触部を通過して形成された積層体が、無端ベルト182により一対の冷却部材184間に搬送される。この際、積層体は、一対の冷却部材184により両面から押圧されるため、積層体を構成する接合体は平坦な形状を保ったまま、積層体の熱が一対の冷却部材184へと直接的および無端ベルト182を介して間接的に奪われて冷却され、その後、テンションロール180と剥離ロール114とが互いに押圧するように接触する接触部へと更に搬送される。
【0194】
(保持体)
次に、本発明の保持体の実施形態について説明する。
保持体は、表面に画像を有する転写部材を、前記画像が設けられた面と記録媒体とを対面するように重ね合わせた状態で、加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を実施する機能を少なくとも有する画像記録体形成装置に用いられ、基体と、該基体の少なくとも片面に記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有することを特徴とする。
ここで、保持体は、表面に画像を有する転写部材を、前記画像が設けられた面と記録媒体とを対面するように重ね合わせた状態で、加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を実施する機能を少なくとも有する画像記録体形成装置であればいずれの画像記録体形成装置にも用いることができ、この装置を利用すれば記録媒体の表面に少なくとも画像が設けられた画像記録体を得ることができる。また、この画像記録体形成装置としては、第1の実施形態や第2の実施形態の画像記録体形成装置に用いることが特に好適である。
なお、第1の実施形態や第2の実施形態以外の画像記録体形成装置としては、例えば、第2の実施形態の画像記録体形成装置において、トナー像形成手段の代わりに、インクジェット記録ヘッドを備えたインク画像形成手段を有し、中間転写体表面にインク画像を形成する装置などが一例として挙げられる。
【0195】
−基体−
ここで、保持体に用いられる基体は、画像記録体形成装置により画像記録体を形成する過程において機械的なハンドリングが容易なサイズおよび形状を有するものであることが好ましく、この観点からは保持体により保持しようとする記録媒体よりも大きいサイズを有するものであれば特に限定されないが、100×148mm〜64×521mmの範囲内の四角形状であることがより好ましく、A3(297×420mm)やA4(210×297mm)などの定型サイズであることが更に好ましい。
【0196】
また、第1および第2の実施形態により画像記録体を形成する過程においては、転写体や中間転写体といった転写部材が、記録媒体表面に強い圧力で押し付けられることになる。この時の押し付け圧力は、通常の電子写真法により感光体などのトナー像を保持する被転写部材から市販の用紙に直接トナー像を静電的な力も併用して転写する際の転写の荷重(10N〜100N程度)よりも大きく、1kN〜10kN程度になる。
【0197】
一方、記録媒体を保持するために、基体に記録媒体に相当するサイズの穴を有し、この穴の片面を25μm〜50μm(0.001〜0.002インチ)程度の厚みの薄いシートで覆うことにより記録媒体を保持する窓穴を有する保持体を用いることも考えられる。
しかし、第1および第2の実施形態により画像記録体を形成する過程において、この保持体の全面に転写部材が押し付けられる場合には、シート部分の剛性に欠けるために、窓穴部分表面と窓穴以外の基体表面で押し付け圧力にムラが生じることになる。これに加えて、保持体を挟んで転写部材と対向する位置に配置され、保持体を支持するロールやベルトなどの支持部材も、ゴムや樹脂など外力が加わった場合に表面が変形しやすい部材が用いられるのが通常であるため、記録媒体が変形したり撓んだりして位置ずれが起こりやすくなるのは避けられない。
【0198】
本発明者らは、これらの点を考慮して、上述した本発明の保持体を見出した。これにより、第1の実施形態や第2の実施形態により画像記録体を形成する過程において、位置ずれを起こすことなく所望の位置に画像が形成された画像記録体を得ることができる。
【0199】
なお、保持体に用いられる基体の厚みは、基体の表面に設けられる保持部材の形状などにも依存するが、75μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。基体の厚みが75μm未満では、保持体の剛性が不足して保持体が変形しやすくなるため、記録媒体が位置ずれを起こしたり、機械的ハンドリングが困難になる場合がある。また、基体の厚みが500μmを超える場合には、記録媒体へ裏面から熱が伝わりにくくなり、画像の転写不良が発生する場合がある。
【0200】
また、いずれか一方の面に凹部を有する記録媒体を用いて画像記録体を作製する場合には、基体表面の記録媒体が保持される領域内には凸部が設けられていることが好ましい。この場合、凸部は、記録媒体が保持体により保持された際に、記録媒体の凹部と対向する領域内に設けられていればよい。
なお、凸部の基体平面方向の輪郭形状は、その輪郭線が、記録媒体の凹部の記録媒体平面方向の輪郭線の内側に収まるのであれば特に限定されない。しかし、凸部の面積が、凹部の面積に対して小さすぎる場合には、画像抜けが発生する場合があり、さらに、画像記録体の画像が、記録媒体と転写体の一部を構成する部材(例えば、後述する画像保持層など)との間に位置するように形成される場合には、凹部が裏面側に存在する領域周辺で記録媒体と転写体の一部を構成する部材との間に気泡が残留する場合もある。
それゆえ、この観点からは、凸部の面積が、凹部の面積の70%以上であることが好ましく、90%以上であることが好ましく、100%に近いほど好ましい。
【0201】
また、凸部の面積が凹部の面積未満である場合、上述と同様の観点から、記録媒体が保持体により保持された状態において、記録媒体の凹部の輪郭線(以下、「凹部輪郭線」と称す)と、この輪郭線に対向する保持体の凸部の輪郭線(以下、「凸部外郭輪郭線」と称す場合がある)との距離S1が、5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることが好ましく、0mmに近いほど好ましい。また、この条件は凹部の輪郭線と凸部外郭輪郭線とが対向する領域全てにおいて満たされていることが最も好ましい。
なお、距離S1は、凸部外郭輪郭線上の一点を基準点とした場合、この基準点から当該基準点における接線と直交する線が凹部輪郭線と交差する点(交差点)までの距離を意味する。
【0202】
更に、記録媒体の凹部の輪郭線のうち互いに対向する位置にある凹部輪郭線間に位置する凸部が、互いに対向する凹部輪郭線と交差する直線に対して、4本以上の輪郭線により交差する形状を有する場合、凹部の輪郭線と対向しない凸部の輪郭線(以下、「凸部内郭輪郭線」と称す場合がある)が2本以上存在することになる。この場合、いずれか2本の凸内郭輪郭線が互いに対向することになる。
この場合も、上述と同様の観点から、互いに対向する凸部内郭輪郭線間の距離S2は、5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることが好ましく、0mmに近いほど好ましい。また、この条件は凸内郭輪郭線が対向するすべての領域において満たされていることが最も好ましい。
なお、距離S2は、凸部内郭輪郭線上の一点を基準点とした場合、原則として、この基準点から当該基準点における接線と直交する線が他の凸部内郭輪郭線と交差する点(交差点)までの距離を意味する。
但し、基準点を中心点として当該基準点から交差点までの距離を半径とする領域内に、凸部内郭輪郭線上において基準点から交差点までの距離よりも更に離れた位置の輪郭線 及び/又は基準点からは連続していない凸部内郭輪郭線(以下、「交差点以遠輪郭線」と称す)が存在し、交差点以遠輪郭線上の任意の点と基準点との間の最短直線距離S3が、基準点と交差点との直線距離よりも短い場合は、この距離S3を距離S2とする。
【0203】
一方、基体表面に設けられる凸部の高さは既述した式(1)を満たすのであれば特に限定されるものではない。しかし、ICカード等の用途に用いられる画像記録体においては、凹部深さΔGの値が一般的に25μm以上70μm以下の範囲内であることや、凸部の形成に市販のプラスチックフィルム用いることが保持体の製造性向上の点からも望ましいことを考慮すれば、凸部の高さは50μm以上75μm以下の範囲内が好ましく、市販の入手容易なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの厚みに相当する50μm又は75μmが最も好ましい。
【0204】
基体を構成する材料としては、上述した厚み範囲内において、画像記録体を形成する過程において記録媒体が位置ずれを起こしたり、機械的ハンドリングが困難とならない程度に保持体の剛性が確保できる材料であれば公知の材料が利用でき、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、無機材料としては、ステンレスや、アルミニウムなどの金属類が挙げられる。また、有機材料としては、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタールなどの樹脂類や、檜などの木材類、また、紙なども挙げられる
【0205】
なお、基体表面に凸部を設ける場合には、凸部は、基体を構成する材料と同様のものが利用できる。但し、凸部を構成する材料と基体本体を構成する材料とは同一であってもよく、異なっていてもよい。しかしながら、凸部の形成の容易さという観点からはPETフィルムであることが好適である。
また、凸部の形成方法は特に限定されず公知の方法が利用できるが、上述したように基体表面にPETフィルム等の凸部に相当する形状と厚みとを有する部材を接着してもよいし、基体そのものをプレス加工して凸部を形成することもできる。
【0206】
なお、保持部材が設けられていない基体の表面には、記録媒体が保持される領域が目視によって容易に把握できるように記録媒体が保持される領域の若干外側を示す線や記録媒体が保持される領域の四隅を示すマークなどが印刷されていることが好ましい。
【0207】
−保持部材−
保持部材には、基体の少なくとも片面に記録媒体を保持する保持部材が設けられる。
保持部材としては、画像記録体を形成する過程において、記録媒体が保持体の基体平面方向に対してずれないように固定し続けることができる機能を有するものであれば特に限定されないが、基体表面に設けられた凸部材であることが特に好ましい。
この凸部材は、基体表面に設けられ、その側面が記録媒体の辺と接触することによって記録媒体を保持する機能を有するものである。よって、凸部材はこの機能が達成できるのであれば、基体平面方向の形状や配置位置は特に限定されないが、基本的には保持しようとする記録媒体の輪郭線に沿うように基体表面に設けられ、記録媒体の4辺のいずれにも接するように配置されることが好ましい。
【0208】
なお、記録媒体を保持体に保持するためには、接着剤を用いて記録媒体を基体表面に接着させることも可能であり、本発明者らは、この点についても鋭意検討した。しかし、画像記録体形成後に、保持体と画像記録体とを引き剥がす作業が必要になる上に、形成される画像記録体や基体が接着剤により汚れてしまう。このため、得られる画像記録体の審美性が低下して使用できなくなる場合がある。また、加えて、接着剤により汚れた基体を繰り返し利用した場合、基体表面が凹凸してくる。この場合、基体表面に対して記録媒体が傾いて保持されることになるため、例えば、熱可塑性のプラスチックシートを記録媒体として用いた場合には、得られる画像記録体の厚み方向に凹凸変形が発生してしまうこともある。このため、基体そのものを保持体として繰り返し利用することは困難である。これらの観点からは、接着剤を用いるよりも基体表面に保持部材を設けることが有効であると考えられる。
【0209】
上述した凸部材は、基体表面の記録媒体が保持される領域を囲むように連続的に基体表面に設けられていてもよい。この場合、記録媒体の位置ずれをより確実に防止できる。これに加えて、記録媒体が熱可塑性のプラスチックシートから構成され、このプラスチックシートが、第1の実施形態における転写工程や、第2の実施形態における定着工程や接合工程における加熱によって記録媒体平面方向に伸びて変形しやすい場合においても、これを抑制できる。それゆえ、画像記録体の平面方向の伸び変形を抑制できる。
【0210】
なお、凸部材は、基体表面の記録媒体が保持される領域を囲むように連続的に基体表面に設けられる場合には、凸部材も保持体の剛性確保に寄与させることができる。よって、保持体全体の剛性を確保する上で、基体の厚みは75μm以上であることがより好ましい。
一方、凸部材が、基体表面の記録媒体が保持される領域を囲むように離散的に設けられる場合には、凸部材を保持体の剛性確保に寄与させることは困難である。よって、保持体全体の剛性を確保する上で、基体の厚みは150μm以上であることがより好ましい。
【0211】
凸部材の高さは、画像記録体を形成する過程において、記録媒体が保持体の基体平面方向に対してずれないように固定し続けることができる機能が確保できるのであれば特に限定されないが、画像記録体の端部周辺欠陥を抑制する観点からは、記録媒体の厚み−150μm以上記録媒体の厚み+60μm以下の範囲内であることが好ましく、記録媒体の厚み−100μm以上記録媒体の厚み以下であることがより好ましく、記録媒体の厚みと同一であることが最も好ましい。
【0212】
凸部材の高さが記録媒体の厚み−150μm未満では、転写体や中間転写体が保持体に保持された記録媒体表面に押し付けられた場合に、記録媒体の端部周辺に加わる押圧力が強くなりすぎ、画像記録体の端部周辺の変形が発生してしまう場合がる。また、画像が、画像記録体の端部周辺にまで形成される場合には端部周辺の変形に伴う当該端部周辺の画像延びが発生してしまう場合がある。
また、凸部材の高さが記録媒体の厚み+60μmを超えると、転写体や中間転写体が保持体に保持された記録媒体表面に押し付けられた場合に、記録媒体の端部周辺には転写体や中間転写体が接触できないため、画像が、画像記録体の端部周辺にまで形成される場合には、画像記録体の端部周辺の画像抜けが発生してしまう場合がある。
なお、キャッシュカードなどのカード類の作製に用いられる記録媒体の厚みは通常760μmであるため、この観点からは凸部材の高さは、上述の範囲内を満たすように、610μm以上820μmとすることが特に好適である。
【0213】
凸部材を構成する材料としては、転写体や中間転写体が保持体に押し付けられた場合に、変形して押し潰されないものであれば特に限定されず、例えば、基体を構成する材料と同様のものを用いることができる。なお、基体を構成する材料と凸部材を構成する材料とは同一であっても異なっていてもよい。
【0214】
一方、保持部材が凸部材から構成される保持体は、使い捨てでもよいが繰り返し利用できることが好ましい。しかし、転写体表面に設けられる画像がトナーやインクなどの固体状または液体状の画像形成材料からなる場合における第1の実施形態や、中間転写体表面に形成される画像がトナーを利用して電子写真法により形成される第2の実施形態により、保持体を繰り返し用いて画像記録体を作製した場合、凸部材表面にトナーなどの画像形成材料が付着して汚染されてしまう場合があり、この汚染は、画像記録体の端部周辺まで画像を設ける場合に特に起こりやすい。それゆえ、凸部材表面が画像形成材料で汚染されると、凸部材表面の画像形成材料が他の部材へ移着し、最終的には画像記録体に形成される画像の画質劣化を招いてしまう場合がある。
例えば、図2、図5〜図7に例示した画像記録体形成装置の保持体収納部に積層して保持体を収納した場合に、凸部材表面の画像形成材料が、隣接する他の保持体の基体側に移着し、更に、当該他の保持体が搬送される際にこの保持体の基体側に接して配置された保持体に保持された記録媒体表面に再移着して記録媒体表面を汚染してしまうことなどが挙げられる。
【0215】
それゆえ、この問題の発生を抑制するために、凸部材の表面には離型層が設けられていることが好ましい。なお、離型層を構成する材料としては例えばポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体,テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体,テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体などのフッ素系樹脂やシリコーンゴムなどが好適に利用できる。
【0216】
なお、凸部材の表面には、記録媒体が保持される領域が目視によって容易に把握できるように記録媒体が保持される領域の若干外側を示す線や記録媒体が保持される領域の四隅を示すマークなどが印刷されていることが好ましい。
【0217】
一方、保持部材としては、上述した凸部材以外にも、両端が基体表面および/または端面に固定されたベルト部材なども用いることができる。このベルト部材は、ベルト部材と基体表面と隙間に記録媒体を挟持することによって、記録媒体が基体平面方向にずれないように保持することができる。なお、この機能を確実に発揮させるためには、例えば保持しようとする記録媒体の対向する2つの角部分が挟持できる位置にベルト部材を基体表面に配置することができる。また、保持体への記録媒体の装着や、保持体からの画像記録体の取り外しを容易にするために、ベルト部材の片端あるいは両端が、基体に対して脱着可能であってもよい。
ベルト部材としては、例えば、樹脂フィルムや、ゴムバンドなどが利用できるが、120℃以上の耐熱性を有する材料から構成されることが好ましい。
一方、ベルト部材を基体に設けた保持体を用いて画像記録体を形成する場合には、画像は、ベルト部材が位置する部分からある程度離れたところに形成することが好ましい。画像抜けの発生を防止するためである。
【0218】
また、保持部材は、1枚の記録媒体のみを保持できるように構成されたものであってもよいが、画像記録体の生産性をより向上させるためには2枚以上の記録媒体を保持できるように構成されていることが好ましい。
【0219】
次に、本発明の保持体の具体例を説明する。図8は本発明の保持体の一例を示す平面図であり、保持体の保持部材が設けられた側の面について示したものである。図中、202が基体、204が凸部材(保持部材)、210、220、230、240が保持体を表し、斜線部は記録媒体が保持される領域を意味する。
ここで、図8(A)に示す保持体210は、基体202と、この基体202の表面に凸部材204が記録媒体が保持される領域を囲むように連続的に設けられたものであり、図8(B)に示す保持体220は、基体202と、この基体202の表面に「L字状」の4つの凸部材204が記録媒体が保持される領域の四隅に接するように設けられたものであり、図8(C)に示す保持体230は、基体202と、この基体202の表面に帯状の4つの凸部材204が記録媒体が保持される領域の4辺に接するように設けられたものである。
また、図8(D)に示す保持体240は、基体202と、この基体202の表面に円形の6つの凸部材204が記録媒体が保持される領域の4辺に接するように設けられており、ここで、記録媒体が保持される領域の2つの長辺に接するように各々2つの凸部材204が配置され、記録媒体が保持される領域の2つの短辺に接するように各々1つの凸部材204が配置されたものである。
【0220】
図9は本発明の保持体の他の例を示す平面図であり、保持体の保持部材が設けられた側の面について示したものである。図中、206がベルト部材(保持部材)、250が保持体を表し、その他の符号や斜線部は、図8中に示したものと同様である。
ここで、図9に示す保持体250は、基体202と、この基体202の表面に4つのベルト部材206が記録媒体が保持される領域の四隅部分を横断するように設けられたものである。
【0221】
なお、図8および図9には1枚の記録媒体が保持できる構成の保持体について示したが、これらの図に例示した保持体が平面方向に2次元的に配置された複数枚の記録媒体が保持できる構成の保持体であってもよい。以下にこの例を図示する。
図10は、本発明の保持体の他の例を示す平面図であり、最大で6枚の記録媒体が保持できる保持体ついて、保持体の保持部材が設けられた側の面について示したものである。
図中、260は保持体を表し、その他の符号や斜線部は、図8中に示したものと同様である。図10に示す長方形状の保持体260は、図8(A)に示す保持体210をひとつの単位とした場合に、短手方向に2単位、長手方向に3単位配列した構成を有するものである。
【0222】
また、図11は、本発明の保持体の断面構成の一例を示す断面図であり、具体的には図8(A)に示す保持体210の符号A−A間における断面構成について示したものである。図中、210Aは保持体、204Aは離型層、204Bは凸部材本体部分を表し、その他の符号は図8中に示したものと同様である。
図10に示される保持体210Aは、基体202表面の両端に、凸部材204が設けられており、この凸部材204は基体202表面に凸部材本体部分204Bと離型層204Aがこの順に積層された構成を有する。
【0223】
図12は本発明の保持体の他の例を示す平面図であり、保持体の保持部材が設けられた側の面について示したものである。図中、210Bは保持体、400で示される点線は凹部輪郭線(凹部を有する記録媒体(図中不図示)が保持体210Bにより保持された場合の凹部輪郭線の位置)、410、420、430、430A、430B、430C、440、440A、440Bは凸部を表し、その他の符号や斜線部は、図8中に示したものと同様である。また、図12(A)は、保持体210B全体の平面図を表し、図12(B)〜図12(E)は基体202表面の凹部輪郭線400内の領域に設けられた凸部の平面形状の一例を示す拡大図である。
【0224】
図12(A)に示す保持体210Bは、斜線部で示される記録媒体が保持される領域内に凸部が設けられる点を除いては、基本的には図8に示す保持体210と同様の構成を有するものである。ここで、凸部は四角形状の凹部輪郭線400内に配置され、その平面形状としては図12(B)〜図12(E)に示すものが一例として挙げられる。
図12(B)に示す凸部410は、凹部輪郭線400と相似の形状・略同一の面積の四角形状を有する場合について示したものである。
また、 図12(C)に示す凸部420は、凹部輪郭線400と相似の形状を有すると共に、凸部420の凸部外郭輪郭線が凹部輪郭線400と平行を成すように配置されている。この場合、凹部輪郭線と凸部外郭輪郭線との距離S1が最大値を示すのは、凹部輪郭線400の角と凸部420の凸部外郭輪郭線の角とが向き合う部分である(図中の両矢印記号Sで示される距離)。この場合、4角すべてにおいて距離Sが5mm以下であることが好ましい。
【0225】
図12(D)は、凸部430が、同一の形状・面積を有する長方形状3つの凸部430A、430B、430Cから構成されている場合について示したものである。ここで、3つの凸部430A、430B、430Cは、凸部430A、430Cが凸部430Bの両側に一定の距離を保って位置すると共に、凸部430A、430Cが凹部輪郭線400の3辺と接し、凸部430Bが凹部輪郭線400の2辺(互いに対向する辺)と接するように凹部輪郭線400内に配置されている。
なお、凸部430Aの輪郭線と凸部430Bの輪郭線とは互いに対向し、これらの輪郭線は凸部内郭輪郭線を構成し、凸部430Bの輪郭線と凸部430Cの輪郭線とは互いに対向し、これらの輪郭線も凸部内郭輪郭線を構成している。ここで、本実施形態においては、凸部430Aと凸部430Bとの凸内郭輪郭線間の距離Sa、および、凸部430Bと凸部430Cとの凸内郭輪郭線間の距離Sbは、凸内郭輪郭線が対向するすべての領域において、一定である。この場合、距離Sa、Sbは既述したように5mm以下が好ましい。
【0226】
図12(E)は、凸部440が、四角い環状形状を有する第1の凸部440Aと、第1の凸部440Aの環内に位置する四角形状の第2の凸部440Bとから構成されている場合について示したものである。
ここで、第1の凸部440Aは、その凸部外郭輪郭線が凹部輪郭線400と平行を成すように配置されている。この場合、凹部輪郭線と凸部外郭輪郭線との距離S1が最大値を示すのは、凹部輪郭線400の角と第1の凸部440Aの凸部外郭輪郭線の角とが向き合う部分である(図中の両矢印記号Scで示される距離)。この場合、4角すべてにおいて距離Scが5mm以下であることが好ましい。
また、第2の凸部440Bは、その凸部外郭輪郭線が第1の凸部440Aの凸部内郭輪郭線と平行を成すように配置されている。この場合、凸部内郭輪郭線間の距離S2が最大値を示すのは、第1の凸部440Aの凸部内郭輪郭線の角と第2の凸部440Bの凸部外郭輪郭線の角とが向き合う部分である(図中の両矢印記号Sdで示される距離)。この場合、4角すべてにおいて距離Sdが5mm以下であることが好ましい。
【実施例】
【0227】
以下に、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例A1)
−画像記録体形成装置−
画像記録体形成装置としては、上述した図2に示す画像記録体形成装置を用いた。以下に詳細な条件を記載する。なお、この装置の丁合い手段36は図3および図4(a)に示す構成を有するものである。
【0228】
−記録媒体−
画像の形成に用いた記録媒体としては、PETG(三菱樹脂社製、ディアフィクスWHI)製で、厚さは760μm、大きさは85.6mm×54mmに予め打抜き加工されたものを用いた。
【0229】
−転写体−
転写体としては、ベース層(基体)と画像保持層とからなる2層構造のものを用いた。 ベース層には、PETフィルムの片面に予め離型処理を施した帯状のフィルム(東レ社製、ルミラーT60、厚み:50μm、幅:100mm、長さ:5m)を用いた。
画像保持層は、有機シラン縮合物、メラミン樹脂、アルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)10質量部と帯電制御剤としてパイオニンB144V(竹本油脂社製)0.2質量部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30質量部に添加して十分撹拌し画像保持層塗工液を、PETフィルムの片面に乾燥後の厚さが1μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。
上記フィルムをA4サイズ(297mm×210mm)に裁断した後、フィルムの画像保持層側の面に富士ゼロックス製DocuColor1256GA(電子写真装置)により、絵柄を、短手方向に等間隔に2つ、長手方向に等間隔に3つ配列するように左右反転印刷で合計6個形成し、表面に画像を有する転写体を作製した。
なお、絵柄は、使用する記録媒体に相当するサイズ(85.6mm×54mm)に形成されたものである。
【0230】
−保持体−
保持体は、個々の記録媒体を保持するために基体表面に設けられる保持部材が、図8(A)に示す配置を有し、この単位が図10に示すように6つ配置されたA4サイズよりも一回り大きいサイズ(297mm×210mm)のものを用いた。
この保持体は、断面構造が図11に示す構造を有するものであり、基体202がPET基材(厚み100μm)、凸部材本体部分204Bが85.65×54.05mmの窓穴が6つ設けられたステンレス板(厚み660μm)、離型層204Aがテフロン(登録商標)製のシート(日東電工社製、ニトフロンテープNo903UL、厚み100μm)からなり、ステンレス板の両面にそれぞれPET基材とテフロン(登録商標)製のシート(日東電工社製、ニトフロンテープNo903UL、厚み100μm)とを接着することにより作製したものである。
なお、保持体の窓穴は、上記の画像を有する転写体を保持体と位置を合わせて重ね合わせた場合に、転写体に形成された個々の絵柄の輪郭線が、個々の窓穴(記録媒体を保持する領域)とに一致するように設けられている。
【0231】
−画像の形成−
画像の形成は、表面に画像を有する転写体を転写体収納部32に、6枚の記録媒体を保持する保持体を保持体収納部34にセットし、転写手段における加熱温度を140℃、転写手段における1対の加熱・加圧ロール48間の荷重を5kN、無端ベルトの送り速度を10mm/sに設定して実施した。
【0232】
(実施例A2)
以下に示す保持体を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像を形成した。
なお、使用した保持体は、個々の記録媒体を保持するために基体表面に設けられる保持部材が、図8(B)に例示する「L字状」の4つのステンレスでできた凸部材204(厚さ660μm)を記録媒体が保持される領域(85.65×54.05mm)の四隅に接するように設けたものを1つの単位として、記録媒体の配置が図13に示されるように、この単位を短手方向に2つ、長手方向に3つ配列させた6枚の記録媒体を保持可能なA4サイズ(297mm×210mm)のものを用いた。
なお、図13中、270は保持体を現し、その他の符号や斜線部は図8中に示したものと同様である。また、図中に示される凸部材204のサイズは、実施例A2において用いた保持体270のサイズを示している。
【0233】
(実施例A3)
以下に示す保持体を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像を形成した。
なお、使用した保持体は、実施例A1で用いた保持体のステンレス板の厚みを520μmに変更したものである。
【0234】
(実施例A4)
以下に示す保持体を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像を形成した。
なお、使用した保持体は、実施例A1で用いた保持体のステンレス板の厚みを490μmに変更したものである。
【0235】
(実施例A5)
以下に示す保持体を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像を形成した。
なお、使用した保持体は、実施例A1で用いた保持体のステンレス板の厚みを700μmに変更したものである。
【0236】
(実施例A6)
以下に示す保持体を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像を形成した。
なお、使用した保持体は、実施例A1で用いた保持体のステンレス板の厚みを740μmに変更したものである。
【0237】
(実施例A7)
以下に示す保持体を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像を形成した。
なお、使用した保持体は、実施例A1で用いた保持体のステンレス板の厚みを760μmに変更し、このステンレス板表面にテフロン(登録商標)製のシート(日東電工社製、ニトフロンテープNo903UL、厚み100μm)を設けなかったものである。
【0238】
(実施例A8)
以下に示す記録媒体、保持体を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像を形成した。
なお、使用した記録媒体は、PETG(三菱樹脂社製,ディアフィクスWHI)製で、厚さは500μm、大きさは85.6mm×54mmに予め打抜き加工されたものを用い、保持体は、実施例A1で用いた保持体のステンレス板の厚みを400μmに変更したものである。
【0239】
(実施例A9)
以下に示す記録媒体、保持体を用いた以外は、実施例A1と同様にして画像を形成した。
なお、使用した記録媒体は、PETG(三菱樹脂社製,ディアフィクスWHI)製で、厚さは800μm、大きさは85.6mm×54mmに予め打抜き加工されたものを用い、保持体は、実施例A1で用いた保持体のステンレス板の厚みを700μmに変更したものである。
【0240】
(比較例A1)
転写体としては、実施例A1で用いた画像を有する転写体を85.6mm×54mmサイズの絵柄が形成された部分の輪郭線に対応するように裁断してサイズが85.6mm×54mmの小判のものを用いた。
続いて、保持体を用いずに、上記の転写体を用いた以外は実施例A1と同様にして画像を形成した。
【0241】
−評価−
以上の各実施例、比較例により得られた画像記録体の画像の位置ずれ、伸び、端部周辺欠陥、および、保持体表面のトナー付着について評価した結果を表1に示す。
【0242】
【表1】

【0243】
なお、表1中に示す画像の位置ずれ、伸び、端部周辺欠陥およびトナー付着の評価方法および評価基準は以下に示す通りである。
−画像の位置ずれ−
画像の位置ずれは、画像記録体の輪郭線と画像の輪郭線との位置ずれ具合を以下の基準で評価した。
A:画像記録体の輪郭線と画像の輪郭線とが一致しており、位置ずれがない。
B:画像記録体の輪郭線と画像の輪郭線とでずれ生じており、画像記録体の周囲に画像が形成されていない余白部分の最大幅が0.5mm未満。
C:画像記録体の輪郭線と画像の輪郭線とでずれ生じており、画像記録体の周囲に画像が形成されていない余白部分の最大幅が0.5mm以上。実用上、問題となるレベル。
【0244】
−伸び−
伸びは、記録媒体の短辺および長辺方向のサイズを基準として得られた画像記録体の短辺および長辺方向の最大伸び量をノギスで測り、以下の基準で評価した。
A:最大伸び量が0.1mm未満
B:最大伸び量が0.1mmを超え0.2mm未満。
C:最大伸び量が0.2mmを超え、実用上、問題となるレベル。
【0245】
−端部周辺欠陥−
端部周辺欠陥は、得られた画像記録体の端部周辺における変形や、画像抜け、画像延びの発生の程度を目視により観察し、以下の基準で評価した。
A:端部周辺において、変形、画像抜けおよび画像延びのいずれも発生せず。
B:端部周辺において、変形、画像抜けおよび画像延びの少なくともいずれかの発生が若干確認されるが、実用上、問題ないレベル。
C:端部周辺において、変形、画像抜けおよび画像延びの少なくともいずれかの発生が一見して確認でき、実用上、問題となるレベル。
【0246】
−トナー付着−
トナー付着は、同一の保持体を用いて、10回繰り返し画像記録体の形成を行った後に、保持体の凸部材表面を目視観察することにより、凸部材表面のトナー付着具合を以下の基準で評価した。
なお、トナー付着の評価に際しては、使用する記録媒体に相当するサイズ(85.6mm×54mm)よりも一回り大きい絵柄(88mm×57mm)が形成された転写体を用いて評価した。
A:凸部材表面に、トナーの付着は観察されない。
B:凸部材表面に、トナーの付着が若干観察される。
C:凸部材表面に、トナーの付着が顕著に観察され、実用上問題となるレベル。
【0247】
(実施例B1)
−画像記録体形成装置−
画像記録体形成装置としては、上述した図5に示す画像記録体形成装置を用い、記録媒体としてはプラスチックシートを用いた。以下に詳細な条件を記載する。
【0248】
−現像剤−
現像剤は、富士ゼロックス(株)製: DocuColor1255用のシアン現像剤、マゼンタ現像剤、イエロー現像剤、ブラック現像剤を用いた。トナーの体積平均粒径は7μmであった。
【0249】
−記録媒体−
画像の形成に用いた記録媒体としては、PETG(三菱樹脂社製、ディアフィクスWHI)で、厚さは760μm、大きさは85.6mm×54mmに予め打抜き加工されたものを用いた。
【0250】
−保持体−
保持体は、保持部材が、図8(A)に例示する配置を有する1枚の記録媒体が保持でき、サイズが100mm×70mmのものを用いた。
この保持体は、断面構造が図11に示す構造を有するものであり、基体202がPET基材(厚み100μm)、凸部材本体部分204Bが85.65×65.05mmの窓穴が1つ設けられたステンレス板(厚み660μm)、離型層204Aがテフロン(登録商標)製のシート(日東電工社製、ニトフロンテープNo903UL、厚み100μm)からなり、ステンレス板の両面にそれぞれPET基材とテフロン(登録商標)製のシートとを接着することにより作製したものである。
【0251】
−カラートナー現像重量と画像信号−
現像するカラートナー重量は、各色とも画像信号Cin=100%部分で0.5mg/cm2とした。スキャナで読んだデータを画像処理装置によって色、階調、鮮鋭度補正を施し、各色のトナーの画像信号を生成した。
【0252】
−中間転写体−
中間転写体108には、ベース層(基材)と画像保持層とからなる2層構造のものを用いた。ベース層には、PETフィルムの片面に予め離型処理を施した帯状のフィルム(パナック社製、PET100SG−2、厚み:50μm、幅:60mm、長さ:5m、離型処理された面の表面粗さRa:0.05μm)用いた。また、画像保持層は、ウレタン変性ポリエステル樹脂を含む塗工液(東洋紡績社製、UR−4122、固形分:30質量%)40質量部を有機溶剤(シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液)30質量部に溶解させた溶液を、PETフィルムの離型処理が施された面に乾燥後の厚さが10μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。
【0253】
−画像の形成−
画像の形成は、保持体200の短手方向が供給方向となるように保持体収納部117にセットし、接合手段の加熱温度を180℃、加熱ロール110と加圧ロール112の間の荷重を1kN、中間転写体108の送り速度を25mm/sに設定して実施した。
画像の形成に際しては、中間転写体と記録媒体とが位置ずれが起こることなく接合できた場合に、得られる画像記録体全面に人物を含めた画像が形成できるように条件を設定した。この際、中間転写体表面に形成される未定着の画像(トナー像)のサイズは、中間転写体の長手方向に平行な辺が85.6mm、中間転写体の幅方向な辺が54mmとなるように設定した。
【0254】
(実施例B2)
図7に示す画像記録体形成装置を用いて接合手段の加熱温度を180℃、加熱ロール110と加圧ロール112の間の荷重を1kN、中間転写体108の送り速度を25mm/sに設定し、これ以外は実施例B1と同様にして画像記録体を形成した。
【0255】
なお、評価に用いた装置は、実施例B1で用いた図5に示す構成の装置に対して、テンションロール180、無端ベルト182および一対の冷却部材184等から構成される冷却手段を付加した構成を有するものである。
ここで、無端ベルト182は、ポリイミド基材の外周面にシリコンゴム層を設けた厚み0.3mm、幅60mmのベルトであり、一対の冷却部材184は、一方の面が平面で、他方の面が放熱フィンを備えた厚み5mm、幅80mm、長さ40mmのアルミニウム製の金属板である。また、金属板の放熱フィンが設けられた側の面には、直径40mmのプロペラを備えた小型の冷却ファンが2個並べて配置されている。
【0256】
(実施例B3)
実施例B1で用いた画像記録体形成装置の代わりに、図6に示すように予備加熱手段を設けた以外は実施例B1で用いた装置と同様の構成を有する画像記録体形成装置を用い、予備加熱手段の加熱温度を90℃に設定した以外は実施例B1と同様にして画像記録体を形成した。
【0257】
(比較例B1)
保持体を用いなかった以外は実施例B1と同様にして画像記録体を形成した。
【0258】
−評価−
以上の各実施例、比較例により得られた画像記録体の画像の位置ずれ、伸び、端部周辺欠陥、保持体表面のトナー付着、画像記録体に形成された画像乱れおよび変形について評価した結果を表2に示す。
【0259】
【表2】

【0260】
なお、表2中に示す画像の位置ずれ、伸び、端部周辺欠陥およびトナー付着の評価方法および評価基準は表1に示すものと同様であり、画像乱れおよび変形は以下に示す通りである。
−画像乱れ−
画像乱れは、得られた画像記録体の画像を目視観察し、以下の基準で評価した。
A:画像全面に渡って全く乱れが観察されない。
B:一部の文字や写真ににじみが観察される部分があるが、実用上は問題ないレベル。
C:一部あるいは全部の画像に画像流れが発生しており、文字のつぶれや写真のぼけが観察され、実用上問題となるレベル。
【0261】
−変形−
画像記録体の熱による変形については、画像記録体を連続して形成し、機内の温度が定常状態となった以降に得られた画像記録体10枚を、定盤の上に置き、以下の基準で画像記録体の変形の有無や変形度合いを目視観察により評価した。
A:全ての画像記録体と定盤との間には全く隙間が観察されない。
B:一部の画像記録体と定盤との間に隙間が観察される場合があった。但し、画像記録体の表面はあらゆる部分で定盤から1.5mm未満で、実用上は問題ないレベル。
C:一部あるいは全部の画像記録体と定盤との間に隙間が観察された。また、画像記録体の表面が定盤から1.5mmを超える変形が認められ、実用上問題となるレベル。
【0262】
(実施例C1)
−画像記録体形成装置−
画像記録体形成装置としては、上述した図2に示す画像記録体形成装置を用いた。以下に詳細な条件を記載する。なお、この装置の丁合い手段36は図3および図4(a)に示す構成を有するものである。
【0263】
−記録媒体−
画像の形成に用いた記録媒体としては、厚さは760μmのPETG(三菱樹脂社製、ディアフィクスWHI)フィルムをヒートプレス加工して、片面に凹部深さ(ΔG)が50μm、縦横13mm×12mmのサイズの凹部を設けた後、凹部が含まれるように85.6mm×54mmに予め打抜き加工されたものを用いた。
【0264】
−転写体−
転写体としては、ベース層(基体)と画像保持層とからなる2層構造のものを用いた。 ベース層には、PETフィルムの片面に予め離型処理を施した帯状のフィルム(東レ社製、ルミラーT60、厚み:50μm、幅:100mm、長さ:5m)を用いた。
画像保持層は、有機シラン縮合物、メラミン樹脂、アルキド樹脂を含むシリコーンハードコート剤(GE東芝シリコーン社製、SHC900、固形分30質量%)10質量部と帯電制御剤としてパイオニンB144V(竹本油脂社製)0.2質量部とを、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンとを質量比で10:90で混合した液30質量部に添加して十分撹拌した画像保持層塗工液を、PETフィルムの片面に乾燥後の厚さが1μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布することにより形成した。
上記フィルムをA4サイズ(297mm×210mm)に裁断した後、フィルムの画像保持層側の面に富士ゼロックス製DocuColor1256GA(電子写真装置)により、絵柄を、短手方向に等間隔に2つ、長手方向に等間隔に3つ配列するように左右反転印刷で合計6個形成し、表面に画像を有する転写体を作製した。
なお、絵柄は、使用する記録媒体に相当するサイズ(85.6mm×54mm)に形成されたものである。
【0265】
−保持体−
保持体は、個々の記録媒体を保持するために基体表面に設けられる保持部材が、図8(A)に示す配置を有し、この単位が図10に示すように6つ配置されたA4サイズ(297mm×210mm)のものを用いた。但し、保持体の個々の記録媒体が保持される領域内には、記録媒体の凹部が形成された面と保持体の基体表面とを対面させた状態で記録媒体を保持した際に、凹部輪郭線内の領域に図12(B)に示すような凸部(凸部高さΔH=50μm、縦横12.4mm×11.4mm、ステンレス製)が設けられている。
この保持体は、図14に示す断面構造を有するものであり、基体202表面に凸部400を設けた点を除けば図11に示す断面構造と同様である。
【0266】
ここで、図14中に示す各部材の材料・寸法は、実施例C1においては、基体202がステンレス板(厚み100μm)、凸部材本体部分204Bが85.65×54.05mmの窓穴が6つ設けられたステンレス板(厚み660μm)、記録媒体が保持された際にその凹部に対応する位置に設けられた凸部400が13mm×12mmのステンレス板(厚み50μm)、離型層204Aがテフロン(登録商標)シート(厚み100μm)からなる。実施例C1で用いた保持体は、基体となるステンレス板の片面に凸部材本体部分および凸部となるステンレス板をそれぞれ接着して固定した後、凸部材本体部分の表面に離型層となるテフロン(登録商標)シートを接着することにより作製したものである。
なお、保持体の窓穴は、上記の画像を有する転写体を保持体と位置を合わせて重ね合わせた場合に、転写体に形成された個々の絵柄の輪郭線が、個々の窓穴(記録媒体を保持する領域)とに一致するように設けられている。また、記録媒体を保持する領域内に設けられた凸部は、窓穴に記録媒体を挿入した際に記録媒体の凹部と一致するように設けられている。
【0267】
−画像の形成−
画像の形成は、表面に画像を有する転写体を転写体収納部32に、6枚の記録媒体を保持する保持体を保持体収納部34にセットし、転写手段における加熱温度を140℃、押圧力を5kN、無端ベルトの送り速度を10mm/sに設定して実施した。
【0268】
(実施例C2)
実施例C1で用いた保持体の凸部の作製に利用したステンレス板の厚みを変えることによって、凸部高さΔHを100μmとした以外は、実施例C1で用いたものと同様の保持体を準備した。そして、この保持体を用いた以外は、実施例C1と同様にして画像の形成テストを実施した。
【0269】
(実施例C3)
実施例C1で用いた保持体の凸部の作製に利用したステンレス板の厚みを変えることによって、凸部高さΔHを120μmとした以外は、実施例C1で用いたものと同様の保持体を準備した。そして、この保持体を用いた以外は、実施例C1と同様にして画像の形成テストを実施した。
【0270】
(実施例C4)
実施例C1で用いた保持体の凸部の作製に利用したステンレス板の厚みを変えることによって、凸部高さΔHを30μmとした以外は、実施例C1で用いたものと同様の保持体を準備した。そして、この保持体を用いた以外は、実施例C1と同様にして画像の形成テストを実施した。
【0271】
(実施例C5)
実施例C1で用いた保持体の凸部の作製に利用したステンレス板の厚みを変えることによって、凸部高さΔHを20μmとした以外は、実施例C1で用いたものと同様の保持体を準備した。そして、この保持体を用いた以外は、実施例C1と同様にして画像の形成テストを実施した。
【0272】
(実施例C6)
実施例C1で用いた保持体において凸部を設けなかった(凸部高さΔHを0μmとした)以外は、実施例C1で用いたものと同様の保持体を準備した。そして、この保持体を用いた以外は、実施例C1と同様にして画像の形成テストを実施した。
【0273】
−評価−
以上の各実施例、比較例により得られた画像記録体の画像について、記録媒体の凹部に対応する領域内外周辺における画像抜け、画像保持層と記録媒体との界面の気泡、および、画像濃度ムラについて評価した結果を表3に示す。
なお、表3には示さないが、実施例C1〜C6について、実施例A1と同様に画像の位置ずれ、伸び、端部周辺欠陥、トナー付着を評価したところ、実施例A1と同様の結果を得た。
【0274】
【表3】

【0275】
なお、表3中に示す画像抜け、画像保持層と記録媒体との界面の気泡、および、画像濃度ムラの評価方法および評価基準は以下に示す通りである。
−画像抜け−
画像記録体の画像を目視により観察し、記録媒体の凹部に対応する領域内外周辺における画像抜けの有無や程度を以下の基準により観察した。
A:画像抜けは全く観察されず。
B:記録媒体の凹部に対応する領域内の画像が、記録媒体の凹部に対応する領域外の画像よりも全体的に画像濃度が薄く、若干の画像抜けが見られるが実用上、問題ないレベル。C:記録媒体の凹部に対応する領域内の画像が、顕著に抜けており実用上、問題となるレベル。
【0276】
−画像保持層と記録媒体との界面の気泡−
画像記録体の画像を目視および光学顕微鏡により観察し、記録媒体の凹部に対応する領域内外周辺における画像保持層と記録媒体との界面の気泡の有無や程度を以下の基準により観察した。
A:目視観察および光学顕微鏡観察のいずれにおいても界面に気泡は全く観察されず。
B:光学顕微鏡観察では気泡が観察されたが、目視観察する限りでは界面に気泡の存在は認められず実用上、問題ないレベル。
C:目視観察にて顕著な気泡が観察され実用上、問題となるレベル。
【0277】
−画像濃度ムラ−
画像記録体の画像を目視により観察し、記録媒体の凹部に対応する領域内外周辺の画像濃度差の有無やその程度を評価した。
A:記録媒体の凹部に対応する領域内外周辺で、画像濃度には差が見られない。
B:記録媒体の凹部に対応する領域の境界線近傍で画像濃度の差が若干見られるが、実用上、問題ないレベル。
C:記録媒体の凹部に対応する領域の境界線近傍で顕著な画像濃度差が確認され、実用上、問題となるレベル。
【図面の簡単な説明】
【0278】
【図1】本発明に用いられる記録媒体の一例を示す模式断面図である。
【図2】第1の実施形態の画像記録体形成装置の一例を示す概略模式図である。
【図3】図2に示す画像記録体形成装置に利用される位置決め手段の一例を説明するための模式図である。
【図4】図2に示す画像記録体形成装置に利用される位置決め手段の一例を説明するための模式図である。
【図5】第2の実施形態の画像記録体形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図6】第2の実施形態の画像記録体形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【図7】第2の実施形態の画像記録体形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【図8】保持体の一例を示す平面図である。
【図9】保持体の他の例を示す平面図である。
【図10】保持体の他の例を示す平面図である。
【図11】保持体の断面構成の一例を示す断面図である。
【図12】保持体の他の例を示す平面図である。
【図13】保持体の他の例を示す平面図である。
【図14】保持体の断面構成の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0279】
10 画像記録体形成装置
12 装置
14 転写装置
20 転写体
22 保持体
32 転写体収納部
34 保持体収納部
36 丁合い手段
40 搬送路
42 搬送路
46 無端ベルト
48 加熱・加圧ロール
50 張架ロール
56 画像記録体排出部
61、61a、61b、62 基準壁
63,64 規制部材
70 受け
71 接続部
100 画像記録体形成装置
101 筐体
102K、102C、102M、102Y 画像形成部
103Y 感光体ドラム
104Y 一次帯電器
105Y LEDアレイ
106Y 現像装置
107K、107C、107M、107Y 帯電ロール
108 中間転写体
109 送出しロール
110 加熱ロール
111 巻取りロール
112 加圧ロール
113 加熱源
114 剥離ロール
115、116 張架ロール
117 保持体収納部
160 画像記録体形成装置
162 加熱ロール
164 加熱源
166 加圧ロール
170 画像記録体形成装置
180 テンションロール
182 無端ベルト
184 冷却部材
200 保持体
202 基体
204 凸部材
204A 離型層
204B 凸部材本体部分
206 ベルト部材
210、210A、210B、210C 保持体
220、230、240、250、260、270 保持体
300、302 記録媒体
310 記録媒体表面(画像記録体形成時に保持体と接する側の面)
312 凹部
314 底面
320 記録媒体表面(画像記録体形成時に画像が形成される側の面)
330 凹部内配置部材
332 凹部内配置部材330の表面(底面314と接触していない側の面)
400 凹部輪郭線
410、420、430、430A、430B、430C 凸部
440、440A、440B 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に画像を有する転写体と、
基体と該基体の少なくとも片面に記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有し、前記保持部材が設けられた面に記録媒体を保持する保持体とを、
前記転写体の前記画像が設けられた面と前記保持体により保持された前記記録媒体表面とが対面するように重ね合わせる重ね合わせ手段と、
重ね合わされた前記転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより前記画像を前記転写体表面から前記記録媒体表面に転写する転写手段とを、少なくとも有することを特徴とする画像記録体形成装置。
【請求項2】
像保持体と、
前記像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
基材と該基材表面に設けられた画像保持層を含む帯状の中間転写体を少なくとも備え、前記トナー像を前記像保持体表面から、前記中間転写体の前記画像保持層側の面に転写する転写手段と、
前記中間転写体の前記トナー像が転写された面と、保持体により保持された記録媒体表面とを重ね合わせて、前記中間転写体と前記記録媒体とを加熱および加圧することにより前記トナー像を定着すると共に、前記中間転写体と前記記録媒体とを接合する接合手段とを、少なくとも有することを特徴とする画像記録体形成装置。
【請求項3】
前記接合手段によって前記中間転写体と前記記録媒体とが接合された接合体を、前記接合体の前記記録媒体側を保持する前記保持体と共に冷却する冷却手段を備え、
前記冷却手段が、互いに対向する面が平面状の一対の部材を少なくとも有し、前記接合体および前記保持体からなる積層体の冷却が前記積層体を前記一対の部材間に挟持した状態で実施されることを特徴とする請求項2に記載の画像記録体形成装置。
【請求項4】
前記転写手段によって前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を、
前記接合手段により前記中間転写体の前記トナー像が転写された面と前記保持体により保持された前記記録媒体表面とを重ね合わせる前に予備加熱して仮定着する仮定着手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像記録体形成装置。
【請求項5】
前記保持体が基体と、該基体の少なくとも片面に前記記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有する保持体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像記録体形成装置。
【請求項6】
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材が、前記基体表面の記録媒体が保持される領域を囲むように連続的に前記基体表面に設けられている請求項5に記載の画像記録体形成装置。
【請求項7】
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の高さが、610μm以上820μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の画像記録体形成装置。
【請求項8】
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の高さが、前記記録媒体の厚み−150μm以上前記記録媒体の厚み+60μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の画像記録体形成装置。
【請求項9】
前記凸部材の高さが、前記記録媒体の厚み−100μm以上前記記録媒体の厚み以下の範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の画像記録体形成装置。
【請求項10】
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の表面に離型層が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像記録体形成装置。
【請求項11】
前記保持体が、前記基体表面の記録媒体が保持される領域内に凸部を有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記凸部の高さが、50μm以上75μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
表面に画像を有する転写体と、
基体と該基体の少なくとも片面に記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有し、前記保持部材が設けられた面に記録媒体を保持する保持体とを、
前記転写体の前記画像が設けられた面と前記保持体により保持された前記記録媒体表面とが対面するように重ね合わせる重ね合わせ工程と、
重ね合わされた前記転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより
前記画像を前記転写体表面から前記記録媒体表面に転写する転写工程とを、少なくとも有することを特徴とする画像記録体形成方法。
【請求項14】
像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、
前記トナー像を前記像保持体表面から、基材表面に画像保持層が設けられた帯状の中間転写体の前記画像保持層側の面に転写する転写工程と、
前記中間転写体の前記トナー像が転写された面と保持体により保持された記録媒体表面とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
加熱および加圧することにより前記トナー像を定着する定着工程と、重ね合わされた前記中間転写体と前記記録媒体とに加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を行うことにより接合する接合工程と、前記中間転写体の前記基材と前記画像保持層との界面を剥離する剥離工程と、を少なくとも有することを特徴とする画像記録体形成方法。
【請求項15】
前記記録媒体がいずれか一方の面に凹部を有し、
前記記録媒体が前記凹部を有する面が前記保持体と接するように前記保持体に保持され、
前記保持体が前記基体表面の前記記録媒体を保持する面側で、且つ、前記記録媒体を保持した際に前記凹部と対向する領域内に凸部を有し、
且つ、下式(1)を満たすことを特徴とする請求項13又は14に記載の画像記録体形成方法。
・式(1) ΔG+50≧ΔH≧ΔG−20
〔式(1)中、ΔGは、前記凹部の深さ(μm)を表し、ΔHは、前記凸部の高さ(μm)を表す。〕
【請求項16】
表面に画像を有する転写部材を、前記画像が設けられた面と記録媒体とを対面するように重ね合わせた状態で、加熱処理および加圧処理から選択される少なくとも一方の処理を実施する画像記録体形成装置に用いられ、
基体と、該基体の少なくとも片面に前記記録媒体を保持する保持部材とを少なくとも有することを特徴とする保持体。
【請求項17】
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材が、前記基体表面の記録媒体が保持される領域を囲むように連続的に前記基体表面に設けられていることを特徴とする請求項16に記載の保持体。
【請求項18】
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の高さが、610μm以上820μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項16記載の保持体。
【請求項19】
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の高さが、前記記録媒体の厚み−150μm以上前記記録媒体の厚み+60μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項16に記載の保持体。
【請求項20】
前記凸部材の高さが、前記記録媒体の厚み−100μm以上前記記録媒体の厚み以下の範囲内であることを特徴とする請求項19に記載の保持体。
【請求項21】
前記保持部材が、前記基体表面に設けられ、その側面が前記記録媒体の辺と接触することによって前記記録媒体を保持する凸部材であり、
前記凸部材の表面に離型層が設けられていることを特徴とする請求項16に記載の保持体。
【請求項22】
前記基体表面の記録媒体が保持される領域内に凸部が設けられていることを特徴とする請求項16に記載の保持体。
【請求項23】
前記凸部の高さが、50μm以上75μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項22に記載の保持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−83671(P2008−83671A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89425(P2007−89425)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】