説明

画像記録装置

【課題】交換可能で着脱自在な像担持体ユニットを取り外した時に、光走査装置の窓部全域が外部から直視できるような空間が生じさせることで、窓部上の汚れを確認できるとともに、汚れている場合は簡単に清掃する。
【解決手段】ユーザーは、正面カバー12A及び上面カバー12Bを開放し、クリーニング部材66により、空間内へ手をのばし、透明ガラス34の上面を拭き取る。拭き取り作業が装置前面であること、作業空間が大きくとれ手をのばせば容易に透明ガラス34に届くことから、効率よく作業を進められる。すなわち、ドラムカートリッジ38、トナーカートリッジ58の交換、透明ガラス34の清掃等、ほとんどの作業を装置正面から行うことができ、設置したスペースの幅方向、奥側にゆとりがなくても、設置した状態で、かつ通常画像形成指示操作をする正面から作業を行うことができ、メンテナンス作業効率を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式或いは静電印刷法等により電気的潜像又は磁気的潜像を現像してシートに画像形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、現像方式としてロータリ現像方式を用いた画像形成装置が開発されており、画像形成装置の小型化及び低コスト化のために、枠筐体も薄肉モノコック構造によって最低限度の保証可能な強度を維持できる柔構造を用いる方式を採用するようになっている。
【0003】
筐体のモノコック化は反面、画像形成装置の振動を伝達し易く、筐体上部方向が振動が拡大される傾向があった。そうなると、ロータリ現像器を下部に配置し、上部に光走査装置を配置してしまうと、精度的な面や振動面において限界があり、要求される高品質を満足することが困難になるため、ロータリ現像器を上部に、下部に光走査装置を配置するという構成になる。
【0004】
ところが、カラー画像を形成する場合には4色の現像を行う必要があり、感光体に対応したポジションにロータリフレームが回転して規定位置に停止して現像動作を行うが、現像器の現像スリーブ表面の磁力により保持されているトナーや現像器の現像容器の隙間等からわずかにトナーが漏れる虞がある。
【0005】
また、感光体に画像形成する状態では、感光体上での摺擦時にトナー微粒子が磁極の吸引力を超えた付近で開放され、空中に飛散することが知られている。さらに、ロータリ現像装置は、定期的にデベロッパの交換などのために現像器を着脱することがあり、この際に、トナーがボタ落ちする可能性がある。
【0006】
参考として、特許文献1は、光ビーム線の光路に光路被覆手段としての防塵フードを別部材で設け、トナーの飛散やメンテナンスの際のトナーの落下による光走査装置のウインドウ汚れを防止している。
【特許文献1】特開2004−271864
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光走査装置から感光体までを防塵フードで被覆するとなるとスペース的にも制約を受けるとともに、コスト的にも上昇してしまう。また、完全な防塵は不可能であり、光走査装置のウインドウが汚れることになるのでウインドウをクリーニングするクリーニング手段を別体で設けることになりコスト的に上昇してしまう。
【0008】
本発明は上記事実を考慮し、交換可能で着脱自在な像担持体ユニットを取り外した時に、光走査装置の窓部全域が外部から直視できるような空間が生じさせることで、窓部上の汚れを確認できるとともに、汚れている場合は簡単に清掃することができる画像形成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、像担持体を含み、この像担持体から所定の用紙へ画像を転写するための転写手段がユニット化され、装置に対して所定の方向から着脱可能な像担持体ユニットと、
相対的に前記像担持体ユニットが上側となる位置に配設され、画像データに基づく光ビームが出射する窓部が形成されたケーシングを備え、前記光ビームを前記像担持体に対して上向きに照射することで、当該像担持体に静電潜像を形成する光走査装置と、相対的に前記光走査装置が下側となる位置に配設され、前記像担持体上に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像する現像器と、を備えた画像形成装置であって、前記光走査装置の窓部を、前記像担持体ユニットを取り外した際の空間において、前記所定の方向と同一方向から前記窓部の全域にわたって前記画像形成装置の外部から直視でき、かつ清掃作業が可能な位置に配置したことを特徴としている。
【0010】
上記発明において、作業者が前記像担持体ユニットを着脱するために立つ方向、並びに作業者が前記窓部を清掃するために立つ方向が、前記画像形成処理のための種々の操作並びに種々の情報を表示する操作表示パネルが向けられた方向と同一であることを特徴としている。
【0011】
また、本発明において、前記空間が、画像形成装置を被覆するケーシングの一部を構成する正面カバーと上面カバーとが、鰐口状に開放したときにできうる空間であることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、像担持体ユニットを取り外した際に、前記窓部全域にわたって前記画像形成装置の外部から直視できる空間が生じるので、窓部の汚れを確認できる。
【0013】
窓部上の汚れを確認し、汚れている場合はユーザが直接クリーニング部材等を把持することで、窓部を容易に清掃することができる。
【0014】
この窓部の清掃、前記像担持体ユニットの着脱は、画像形成処理のための種々の操作、或いは画像形成時の種々の情報を表示する操作表示パネルが設けられた位置であるため、ほとんど全ての作業が同一位置(同一方向)で実行可能であり、作業効率を向上することができる。
【0015】
また、正面カバー及び上面カバーが鰐口状に開放するため、開放時の空間が大きく、作業性がよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した如く本発明では、交換可能で着脱自在な像担持体ユニットを取り外した時に、光走査装置の窓部全域が外部から直視できるような空間が生じさせることで、窓部上の汚れを確認できるとともに、汚れている場合は簡単に清掃することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(画像形成装置の全体構成)
図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10が示されている。
【0018】
図1に示される如く、画像形成装置10はケーシング12によって被覆され略箱状に形成されている。
【0019】
この画像形成装置10は、大きく分類して、上部に画像形成本体部14、下部に用紙装填部16というレイアウト構造となっており、画像形成本体部14の上面は、画像形成処理後に排出される用紙を支持する排出トレイ部18となっている。
【0020】
画像形成装置10の下部に配置された用紙装填部16には、用紙トレイ20が備えられている。
【0021】
この用紙トレイ20は、引き出し構造とされ、装置正面(図1では、右側面)に引き出すことで、用紙18を装填するための空間部20Aを露出させることができる。なお、装置正面の定義は様々であるが、本実施の形態では、操作パネル22を基準とし、この操作パネル22が最も操作し易い側(すなわち、図1の右側面)とする。
【0022】
本実施の形態においては、1段の用紙トレイ20を示しているが、複数段の用紙トレイを重ね、それぞれの用紙トレイに、例えば、B5サイズ、B4サイズ、A4サイズ、A3サイズ等のサイズの異なる用紙24を装填するようにしてもよい。
【0023】
用紙トレイ20を画像形成本体部14の真下に押し戻した状態での用紙排出部近傍には、用紙持ち出しローラ26が配設されている。この用紙持ち出しローラ26の駆動により、用紙トレイ20の空間部20Aに積層されている用紙24が一枚ずつ送り出され、複数の搬送ローラ28によって画像形成本体部14に向けて搬送される。なお、画像形成装置10によって用紙24の両面(表面と裏面)への画像形成が指示された場合に、表面への画像形成が終了した用紙24の表裏を反転させる用紙反転部(図示省略)を設けてもよい。
【0024】
また、画像形成装置10の正面側(図1の右側面)に、用紙24を手差しで挿入する手差しトレイを設けてもよい。
【0025】
上記構成の用紙装填部16の直上部には、画像形成本体部14の一部を構成し、光走査・露光プロセスをそれぞれ司る光走査ユニット30が配設されている。
【0026】
光走査ユニット30は、箱状のケーシング32に被われており、その内部には、光学系部材が収容されている。
【0027】
すなわち、光走査ユニット30は、受信した画像データに基づいて点灯する光源、光源から照射された光を主走査方向へ走査するための回転多面鏡を備え、その光路上には、光軸を偏向するための各種レンズ(fθレンス、シリンドリカルレンズ、コリメータレンズ等)、ミラー(シリンドリカルミラー、反射ミラー等)が配設されている。
【0028】
光走査ユニット30のケーシング32の上面かつ最も装置正面(図1の右側面)寄りの端部には、走査光を出力するための窓32Aが設けられている。
【0029】
この窓32Aは、主走査方向(図1の奥行方向)が長手となるスリット形状とされ、当該窓32Aに合わせて透明ガラス板34が所謂はめ殺し状態で取り付けられている。
【0030】
この窓32A(透明ガラス34)の下部に、光学部材の一部である反射ミラー36が備えられており、ケーシング32内で略水平かつ主走査される光ビームが上方向に反射され、透明ガラス34を通過して、この光走査ユニット30よりも上側に位置するドラムカートリッジ38とロータリー現像器50の間へ至るようになっている
ドラムカートリッジ38は、そのケーシング38A内に、像担持体としての感光体ドラム40、この感光体ドラム40の周囲に配設された帯電器42、ベルトにより構成された中間転写体44、クリーニング装置46を備えている。すなわち、ドラムカートリッジ38は、上記構成部品が一体となって、装置の所定位置に着脱可能となっている。
【0031】
また、このドラムカートリッジ38のケーシング38Aには、前記光ビームの光路と隣接する位置に、トナー回収ボックス38Bが設けられている。このトナー回収ボックス38Bは、感光体ドラム30へのトナー転写時に飛散するトナーを回収することが主目的であるが、この主目的以外に、トナー回収ボックス38Bの形状を、前記光ビーム光路の通過空間を可能なかぎり絞る(狭く)構造としており、前記飛散するトナーが光走査装置30の透明ガラス34への落下を軽減する役目を有している。
【0032】
ところで、画像形成装置10のケーシング12は、正面カバー12A(図1の左側面)と、上面カバー12B(排出トレイ18)を備えている。この正面カバー12Aと上面カバー12Bは、それぞれ軸43、45を介して回転して開閉可能な構造となっており、この正面カバー12Aと上面カバー12Bとが開放されることで(図1の鎖線、図2の実線参照)、装置正面に大きな着脱作業空間ができ、ドラムカートリッジ38は、装置正面から着脱が可能となっている(図3(A)参照)。
【0033】
ドラムカートリッジ38は、装填状態でロータリー現像器50と対峙するようになっている。すなわち、ドラムカートリッジ38のケーシング38Aには、前記感光体ドラム40の一部の周面が露出する開口部が設けられている。ドラムカートリッジ38を前記所定位置に装填すると、この開口部から露出した感光体ドラム40の周面の一部が、ロータリー現像器50の各色の現像ロール52の僅かなギャップとなるように位置決めされる。
【0034】
ロータリー現像器50は、略円形の回転体54と、この回転体54においてリブ54Aによって均等に仕切られた4つの領域に対してそれぞれ着脱可能なイエロー、マゼンタ、シアン、黒の4色の現像ユニット56と、で構成され、前記光走査ユニット30の直上に配設されている。各現像ユニット56には、当該各色に対応したトナーが充填されたトナーカートリッジ58が着脱可能に装填されている。
【0035】
ここで、画像形成時において、感光体ドラム40は、図1に示される矢印A方向に定速回転する。このとき帯電体42は、感光体ドラム40を一様にマイナス帯電する。
【0036】
中間転写体44は、複数のローラ44Aに巻き掛けられており、感光体ドラム40が回転することによって図1に示される矢印B方向に一定速度で移動する。
【0037】
矢印A方向に回転する感光体ドラム30は、帯電器42によって一様にマイナス帯電され、光走査ユニット30から射出される光ビームによって露光され、まず第1色目の黒色の潜像が感光体ドラム40の周面に形成される。この潜像は、ロータリー現像器50の黒色の現像器によって黒色トナーで現像される。現像された黒色トナー像は中間転写体44に転写される。感光体ドラム40上に転写されずに残ったトナーは除去され、感光体ドラム40は除電される。
【0038】
そして、感光体ドラム40は再び帯電器42によって一様にマイナス帯電され、第2色目のイエローの画像形成が行われる。このようにして、第3色目のマゼンタ、第4色目のシアンまで計4色のトナー像が中間転写体44に順次転写される(一次転写)。4色のトナー像の中間転写体44への転写が完了した時点で、中間転写体44の表面に最終トナー像が形成される。
【0039】
中間転写体44における最も装置正面(図1の右側面)に突出した位置には、トナー像を用紙24に転写する転写部60が設けられている。用紙24は、前述したように用紙トレイ20から搬送ローラ28によって転写部60まで搬送され、中間転写体44上の画像が用紙24に転写される(二次転写)。
【0040】
転写部60の配設位置よりも用紙24の搬送方向下流側(装置上方向)には、定着装置62が配設されている。定着装置62では、トナー像が転写された用紙24に定着処理を施すことによって所定の画像が用紙24上に形成される。このように画像が形成された用紙24は、最終的に装置上面の排出トレイ18へ排出される。
【0041】
ここで、前記ロータリー現像器50におけるトナーカートリッジ58の着脱作業は、着脱したいトナーカートリッジ58が装填されている現像ユニット56を装置正面に配置し、前記上面カバー12Bの開放状態で実行可能となっている。言い換えれば、このトナーカートリッジ58も、前記ドラムカートリッジ38と同様、装置正面から作業となる。
【0042】
(光走査ユニット汚れ低減、並びに透明ガラス清掃に関する構造)
図1及び図2に示される如く、ロータリー現像器50の下部には、トナー受けフレーム64が配設されている。このトナー受けフレーム64は、下に凸とされた円弧形皿状でロータリー現像器50の各現像ユニット56から漏出する可能性のあるトナーを受け止めたり、感光体ドラム40へのトナー供給時に飛び散るトナーを受け取ることで、光走査ユニット30にトナーが至らないようにガードする役目を有している。なお、装置内の塵埃の光走査ユニット30への付着も防止している。
【0043】
ところが、前述した光走査ユニット30の窓部32A(透明ガラス34)の上方空間は、光ビームの光路となっているため、このトナー受けフレーム64を配置することはできない。このため、特に感光体ドラム40への転写時に飛散するトナーがトナー受けフレーム64と装填状態のドラムカートリッジ38との隙間から落下し、透明ガラス34の上面に付着する可能性がある。
【0044】
この場合、本実施の形態の構成では、トナーカートリッジ38に設けたトナー回収ボックス38Bの形状により光ビームの光路空間をできる限り絞る(狭くする)構造としているため、透明ガラス34へのトナー付着が軽減されるようになっている。
【0045】
また、光走査ユニット38の窓部32Aを装置正面側に最も近い端部に配置することで、前記正面カバー12A及び上面カバー12Bを開放し、かつ、ドラムカートリッジ38を取り外したときにできる空間(前述では、トナーカートリッジ38の着脱作業空間)から透明ガラス34を直接見ることができる構造としている。
【0046】
このため、ユーザーは、適切なクリーニング部材66(例えば、図3(B)に示す指定のクリーニング用スポンジや不織布等)を把持して、当該空間内へ手をのばすことで、容易に透明ガラス34の上面に直接手が届き、拭き取り作業を行うことができる。
【0047】
(光ビームの漏れ防止構造)
図1及び図4に示される如く、ロータリー現像器50の図1の左側、すなわち装置裏面側には、インターフェースボックス67が配設されている。このインターフェースボックス67は、その箱体内に増設メモリ設置部やユーザー設定スイッチが配設されている。これらは、全て装置裏面側に向けられており、図4に示される如く、インターフェース用カバー68を取り外すことで、作業が可能となっている。
【0048】
一方、装置裏面側におけるインターフェース用カバー68の下部は、光走査ユニット着脱用カバー70が設けられている。すなわち、光走査ユニット30は、その寿命、故障、メンテナンス等の際、ユーザーではなく、サービスマンが着脱するものであるため、装置裏面側での作業で十分である。
【0049】
サービスマンは、光走査ユニット30の着脱する際、まず、前記インターフェース用カバー68を取り外した後、光走査ユニット着脱用カバー70を取り外すことで、光走査ユニット30を装置裏面側に引き出すことができる。引き出し後は、所定の作業を実行し、再度光走査ユニット30を装填して、光走査ユニット着脱用カバー70及びインターフェース用カバー68を取り付けることになる。
【0050】
上記光走査ユニット30の引き出し、取り付けの際の摺動(スライド)動作を円滑にするため、光走査ユニット30の受入れスペースの内寸法は、光走査ユニット30の外形寸法よりも大きくなっている。特に上下方向の隙間は、光走査ユニット30を取り付け摺動動作が終了したとき、若干下方へ下げて位置決めピン等によって位置決めする必要があり、比較的大きな隙間が設けられている。
【0051】
このとき、前記インターフェース用裏面カバー68及び光走査ユニット着脱用カバー70が確実に取り付けられていれば、上記隙間があっても光ビームが外部に漏れることはない。しかし、ユーザーが、メモリー増設や設定スイッチ操作の作業を行う場合、インターフェース用カバー68を取り外す必要がある。この場合、インターフェースの接続作業中も他のインターフェースからの画像データの入力があることを考慮して、装置電源はオン状態を維持するため、前記隙間から光ビームが見える状態になる。
【0052】
そこで、本実施の形態では、光走査ユニット30の上面に、遮光部材72を取り付けている。
【0053】
遮光部材72は、光走査ユニット30の幅方向(主走査方向)に亘る長尺の矩形状であり、その基部は、光走査ユニット30のケーシング32の上面に固着されている。
【0054】
遮光部材72は、その主目的が遮光性であり、例えば、黒色等の遮光性の高い色が好ましい。また、遮光部材72は、弾性力を有している。すなわち、遮光部材72の高さ寸法は、前記光走査ユニット30の上面の隙間寸法よりも大きい。このため、光走査ユニット30を装填する際(図5(A)参照)、装置裏面の開口の上端と遮光部材72とが干渉することになるが、遮光部材72自身が弾性変形することで(図5(B)参照)、装填動作に支障をきたすことはない。
【0055】
また、光走査ユニット30の装填完了位置において、遮光部材72と対向するトナー受けフレーム64には、上に凸とされた凹陥部64Aが形成されている。この凹陥部64Aに遮光部材72が対向することで、弾性変形状態の遮光部材72の変形が解除され、通常の形状に戻ることになる(図5(C)参照)。このときの遮光部材72とトナー受けフレーム64とにより、光走査ユニット30の上側の隙間は、所謂ラビリンス(迷路)構造によって遮られ、インターフェース用カバー68を取り外した状態でも、光ビームの光路が、装置裏面側から見えなくなる。

さらに、本実施の形態の画像形成装置10においては、強制的に装置内部の熱を排除するファンを搭載せず、ケーシング12に、自然対流によって熱を排除するためのスリット孔74(図4参照)を多く設けている。遮光部材72は、このスリット孔74からの光ビームの漏出も防止するようになっている。
【0056】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0057】
(画像形成処理の流れ)
画像形成装置では、インターフェースボックス67を介して画像データの入力され、画像形成が指示されると、光走査ユニット30の駆動制御を開始する。これにより、感光体ドラム40が帯電器42によって一様に帯電され、例えば、ビデオコントロールユニットによって生成された画像データが、光量制御装置で所定の光量に制御された後、光源を駆動して、用紙24に形成するべき画像に対応して光ビームを照射する。これにより、感光体ドラム40上に静電潜像が形成される。
【0058】
感光体ドラム40上に形成された静電潜像は、ロータリー現像器50の現像ユニット56によって現像される。現像されたトナー像は中間転写体44に転写される。感光体ドラム40上に転写されずに残ったトナーは除去される。
【0059】
カラー画像の場合、上記工程を4回(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)繰り返し、各色のトナー像が中間転写体44に順次重ねて転写する(一次転写)。
【0060】
一方、転写部60には、用紙24が、用紙トレイ20から搬送ローラ28によって搬送され、中間転写体44上の画像が用紙24に転写される(二次転写)。
【0061】
次いで、定着装置62では、トナー像が転写された用紙24に定着処理を施し、排出トレイ18へ排出する。
【0062】
ここで、本実施の形態に係る光走査ユニット30は、画像形成本体部14の下部(装置の下方)に配置されている。そのメリットは、駆動手段等メカニカルな装置振動に対してその影響を受け難く、また強度的、精度的に安定した場所である。この結果、上記振動等に起因する画質の低下を必要最小限に抑えることができる。
【0063】
また、画像形成装置10内において、熱の発生源、すなわち、定着器140や排紙トレイ142から遠く離れており、当該熱の影響を受けない。このため、高精度や温度安定性を必要とする光学パーツ、例えば、光源(レーザ素子)やレンズ群等を配置し、温度が上昇してその線膨張率や自己発熱によって光学的精度が低下してしまうということが防止でできる。
【0064】
(透明ガラス清掃作業の高効率化)
上記のように光走査ユニット30を下部にしたことにより、画質向上という大きなメリットが発揮されるが、その反面、光ビームが下から上に向かって照射されることになる。すなわち、光走査ユニット30における光ビームが出力される窓32Aが天井面に存在することになる。この結果、感光体ドラム40へトナーが転写される際に飛散するトナーが自重で落下すると、この窓32Aに取り付けた透明ガラス34が汚れる可能性がある。
【0065】
そこで、本実施の形態では、光ビームの光路をドラムカートリッジ38に設けたトナー回収ボックス38Bの形状を工夫することで、可能なかぎり絞り込み(狭くして)、トナーの落下を軽減するようにした。なお、この場合、ドラムカートリッジ38側に対して光ビームの光路を挟んで反対側(ロータリ現像器50側)に、板状の防塵フードを設置して、当該光ビームの光路空間をさらに絞り込むようにしてもよい。防塵フードは単体でもよいし、トナー受けフレーム64と一体的に形成するようにしてもよい。
【0066】
ところで、光ビームの光路空間を絞り込んだとしても、光ビームを感光体ドラム40に到達させるための空間が絶対必要であり、トナーの落下を皆無とすることはできず、従来よりも長い時間が経過すれば、少なからず画質に影響する程度のトナーが透明ガラス34に付着する可能性がある。この場合、透明ガラス34を清掃する必要がある。
【0067】
この場合、光走査ユニット38の窓部32Aを装置正面側に最も近い端部に配置しており、正面カバー12A及び上面カバー12Bを開放し、かつ、ドラムカートリッジ38を取り外したときにできる空間から透明ガラス34を直接見ることができる。
【0068】
従って、ユーザーは、図2及び図3(A)に示される如く、正面カバー12A及び上面カバー12Bを開放し、図3(B)に示される如く、クリーニング部材66により、空間内へ手をのばし、透明ガラス34の上面を拭き取る。このような拭き取り作業は、装置前面であること、作業空間が大きくとれ手をのばせば容易に透明ガラス34に届くことから、効率よく作業を進めることができる。
【0069】
すなわち、本実施の形態における画像形成装置10では、ドラムカートリッジ38の交換、トナーカートリッジ58の交換、透明ガラス34の清掃等、ユーザーが実行するほとんどの作業を装置正面から行うことができるため、設置したスペースの幅方向、奥側にゆとりがなくても、設置した状態で、かつ通常画像形成指示操作をする正面から作業を行うことができ、全体としてメンテナンス作業効率を向上することができる。
【0070】
(光ビームの漏れ防止)
インターフェースボックス67には、メモリ増設配置部やユーザー設定スイッチが配設されているため、ユーザーは、環境状況により、設定状態を変更する場合がある。この場合、図4に示される如く、インターフェース用カバー68を取り外すことで、作業が可能である。
【0071】
ここで、インターフェースボックス67の下部には、光走査ユニット30が配設されている。この光走査ユニット30の受入れスペースの内寸法は、引き出し、取り付けの際の摺動(スライド)動作を円滑にするため、光走査ユニット30の外形寸法よりも大きくなっている。特に上下方向の隙間は、光走査ユニット30を取り付け摺動動作が終了したとき、若干下方へ下げて位置決めピン等によって位置決めする必要があり、比較的大きな隙間が設けられている。
【0072】
このとき、ユーザーが、前述のような設定作業を行うため、インターフェース用カバー68を取り外すと、光ビームの光路空間が見える状態となる(インターフェースの接続作業中は、他のインターフェースからの画像データの入力があるため、装置電源はオン状態が維持される。)。
【0073】
そこで、本実施の形態では、光走査ユニット30の上面に、遮光部材72を取り付けている。この遮光部材72は、光走査ユニット30の装填状態では、その先端部がトナー受けフレーム64に設けられた凹陥部64Aに収容されているため、上記光走査ユニット30の上面に存在する隙間を装置裏面側から覗くと、所謂ラビリンス(迷路)構造となるため、直接光ビームの光路空間が見えなくなり、光ビームの漏れを防止することができる。
【0074】
なお、遮光部材72の高さは、前記光走査ユニット30の上面に存在する隙間よりも大きいが、弾性力を持たせているため、光走査ユニット30の着脱の際に弾性変形するため、着脱動作に支障をきたすことはない。
【0075】
光走査ユニット30を装填する場合は、図5(A)の状態から装置裏面の開口に押し込むと、図5(B)に示される如く、遮光部材72とが干渉する。しかし、このとき、遮光部材72自身が弾性変形することで、円滑に挿入される(図5(C)参照)。
【0076】
さらに、本実施の形態の画像形成装置10においては、強制的に装置内部の熱を排除するファンを搭載せず、ケーシング12に、自然対流によって熱を排除するためのスリット孔74(図4参照)を多く設けているため、漏光の可能性が高い。このような、スリット孔74が多用されている画像形成装置10において、遮光部材72は、非常に有効な遮光手段ということができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、遮光部材として、黒色のゴムを適用したが、スポンジ、発泡充填剤等、他の弾性力を有した素材であり、当該素材自体の不透過性が十分確保されれば限定されるものではない。
【0078】
また、弾性力と遮光性を兼ね備える必要はなく、固形の遮光部材を、別部材の弾性体(付勢手段)で支持する、例えば、板ばねの下端部を光走査ユニット30の上面に取り付け、上端部に遮光部材を取り付けるような構成であってもよい。
【0079】
さらに、光走査ユニット30の装填動作に連動させ、遮光部材を出没させる構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略側面図(正面カバー、上面カバー閉止状態)である。
【図2】本実施の形態に係る画像形成装置の概略側面図(正面カバー、上面カバー開放状態)である。
【図3】本実施の形態に係る画像形成装置の正面カバー及び上面カバーを開放した状態の斜視図であり、(A)はドラムカートリッジ着脱作業状態、(B)は光走査ユニットの透明ガラス清掃状態を示す。
【図4】本実施の形態に係る画像形成装置の裏面側を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態に係る画像形成装置の光走査ユニットの着脱状態の流れを示す側面図である。
【符号の説明】
【0081】
10 画像形成装置
12 ケーシング
12A 正面カバー
12B 上面カバー
14 画像形成本体部
16 用紙装填部
18 排出トレイ部
20 用紙トレイ
20A 空間部
22 操作パネル
24 用紙
26 用紙持ち出しローラ
28 搬送ローラ
30 光走査ユニット(光走査装置)
32 ケーシング
32A 窓(窓部)
34 透明ガラス板(窓部)
36 反射ミラー
38 ドラムカートリッジ
38A ケーシング
38B トナー回収ボックス
40 感光体ドラム(像担持体)
42 帯電器
44 中間転写体
43、45 軸
46 クリーニング装置
50 ロータリー現像器(現像器)
52 現像ロール
54 回転体
54A リブ
56 現像ユニット
58 トナーカートリッジ
60 転写部
62 定着装置
64 トナー受けフレーム(トレイ)
64A 凹陥部
66 クリーニング部材
67 インターフェースボックス
68 インターフェース用カバー
70 光走査ユニット着脱用カバー
72 遮光部材
74 スリット孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を含み、この像担持体から所定の用紙へ画像を転写するための転写手段がユニット化され、装置に対して所定の方向から着脱可能な像担持体ユニットと、
相対的に前記像担持体ユニットが上側となる位置に配設され、画像データに基づく光ビームが出射する窓部が形成されたケーシングを備え、前記光ビームを前記像担持体に対して上向きに照射することで、当該像担持体に静電潜像を形成する光走査装置と、相対的に前記光走査装置が下側となる位置に配設され、前記像担持体上に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像する現像器と、を備えた画像形成装置であって、
前記光走査装置の窓部を、前記像担持体ユニットを取り外した際の空間において、前記所定の方向と同一方向から前記窓部の全域にわたって前記画像形成装置の外部から直視でき、かつ清掃作業が可能な位置に配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
作業者が前記像担持体ユニットを着脱するために立つ方向、並びに作業者が前記窓部を清掃するために立つ方向が、前記画像形成処理のための種々の操作並びに種々の情報を表示する操作表示パネルが向けられた方向と同一であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記空間が、画像形成装置を被覆するケーシングの一部を構成する正面カバーと上面カバーとが、鰐口状に開放したときにできうる空間であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−322511(P2007−322511A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150008(P2006−150008)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】