説明

画像記録装置

【課題】指定された位置で撮影された画像を表示することで、目的の画像の確認時間を短縮できる画像記録装置を提供する。
【解決手段】監視カメラ装置110は、画像を一定周期で採取し(S101)、採取した画像の画像データの符号化を行い、ストリームデータに変換する(S102)。次に、監視カメラ装置110は、ストリームデータに位置情報を付加し(S103)、IPパケット化して画像記録装置140に送信する。画像記録装置140は、ストリームデータを記録する(S106)。クライアントPC130は、指定された位置情報の画像の再生要求を入力すると、画像記録装置140からストリームデータを受信し、ストリームデータに付加されている位置情報が指定された位置情報の範囲以内かを判定する。範囲以内のときに、位置情報が付加されているストリームデータの画像データを復号化し(S104)、画像を表示器131に表示する(S105)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ装置が撮影した映像を記録及び再生する画像記録装置に係り、特に監視カメラ装置が撮影した映像に位置情報(カメラの水平/垂直向き、ズーム位置、フォーカス位置など)を付加して記録し、映像を再生する場合は、特定の位置情報に合った映像のみを再生することのできる画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オペレータが手動で監視カメラ装置の操作を行うときには、オペレータの操作あるいは自動で監視カメラ装置の向きを水平方向に旋回、垂直方向に移動したり、またはレンズのズームやフォーカスの調整などを行って監視エリアの映像を広範囲に撮影している。このように撮影された映像の画像は、ビデオレコーダや画像記録装置のハードディスクなどに、撮影された順にリアルタイムで記録される。
【0003】
従来の監視カメラシステム800の構成と監視カメラシステム800を図8に示した。監視カメラシステム800は、監視カメラ装置810、ネットワーク820、監視装置(以下、クライアントPCという)830、画像記録装置840、及びモニタ850から構成されている。
【0004】
監視カメラ装置810は、カメラ部811と雲台812から構成されている。カメラ部811は、一定周期で採取した画像の画像データを符号化し、符号化した画像データをIPパケット化して、クライアントPC830と画像記録装置840に送信する。カメラ部811が画像を採取する周期は予め決められており、例えば、30fpsであれば1秒間に30枚の画像が採取されるので、画像を採取する周期は約33.3msとなる。画像データを符号化する符号化方式には、例えば、Motion-JPEG(Joint Photographic Experts Group)、MPEG-4(Moving Picture Experts Group-4)、またはH.264などの方式がある。雲台812は、カメラ部811を固定しながら水平方向に360度旋回することができ、またカメラ部811を垂直方向に移動させることができる。ネットワーク820は、インターネットやイントラネット等のIPネットワークであり、複数の監視カメラ装置810、クライアントPC830、及び画像記録装置840を接続して通信が行われる。ネットワーク820の通信プロトコルとしては、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)、RTP(Real-time Transport Protocol)などのプロトコルが使用できる。
【0005】
クライアントPC830は、表示器831、本体832、ポインティングデバイス833、及びキーボード834などから構成されている。クライアントPC830は、監視カメラ装置810から送信された符号化された画像データ、または画像記録装置840に記録されている符号化された画像データを復号して表示器831に表示する。オペレータによる監視カメラ装置810の操作は、クライアントPC830のポインティングデバイス833やキーボード834を使用して行うことができる。また、監視カメラ装置810に対するプリセットポジションの登録は、クライアントPC830のポインティングデバイス833やキーボード834を使用して行うことができる。画像記録装置840は、画像データを記録するハードディスクを備え、監視カメラ装置810から送信された符号化された画像データを受信し、記録する。画像記録装置840にはモニタ850が接続され、画像記録装置840が受信した符号化された画像データを復号し、モニタ850に表示する。
【0006】
自動で監視カメラ装置の操作を行うときには、クライアントPC830から監視カメラ装置810に予めプリセットポジションを登録しておく。監視カメラ装置810は、登録されているプリセットポジションに基づいて雲台812が水平方向に旋回また垂直方向に移動し、カメラ部811がレンズのズーム、フォーカスの調整を行いながら映像を撮影する。そして撮影された映像の画像データは、画像記録装置840に撮影された順に記録される。また、オペレータが監視カメラ装置810が撮影している画像を、クライアントPC830の表示器831に表示させるときには、クライアントPC830から監視カメラ装置810に対して画像送信要求を行う。監視カメラ装置810は、画像送信要求を受信するとクライアントPC830に撮影した画像の符号化された画像データを送信する。クライアントPC830は、符号化された画像データを受信すると画像データを復号し、表示器831に表示する。また、オペレータが画像記録装置840に記録されている画像を、クライアントPC830の表示器831に表示させるときには、クライアントPC830から画像記録装置840に対して画像送信要求を行う。画像記録装置840は、画像送信要求を受信すると記録している符号化された画像データを、クライアントPC830に送信する。クライアントPC830は、符号化された画像データを受信すると画像データを復号し、表示器831に表示する。
【0007】
このような監視カメラシステム800において、事件や災害が発生したときには、オペレータは監視カメラ装置810が撮影した画像または画像記録装置840に記録されている画像を、クライアントPC830の表示器831に表示して確認を行う。しかし、監視カメラ装置810は、オペレータの操作やプリセットポジションに基づいて雲台812が水平方向に旋回また垂直方向に移動し、カメラ部811がズーム、フォーカスの調整を行いながら、1秒間に数十枚の画像を採取している。このため、表示器831に表示される画像が目的の映像以外の映像も再生されるので、目的の画像を確認するのが容易でなかった。また、画像記録装置840に記録されている画像データも同様に目的以外の映像も再生され、更に画像記録装置840に記憶されている順に画像データが再生されるため目的の画像を確認するまでに時間がかかっていた。
【0008】
なお、上記従来の映像配信技術として下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−112167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の映像蓄積配信システムでは、既存のライブ映像を配信する映像発信装置と映像受信装置をともに生かしたまま、映像発信装置からの映像を受信して映像受信装置に配信、または映像記録装置に蓄積された映像を再生して映像受信装置に配信することができる。しかし、映像記録装置に蓄積された映像から目的の画像を取り出すような場合、目的位置の映像確認作業に多くの時間を要していた。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる画像記録装置、監視カメラシステム、及び画像再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像記録装置は、監視カメラ装置が画像を採取したときの位置情報が付加された画像のストリームデータを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記ストリームデータを保存する保存手段と、前記保存手段で保存された前記ストリームデータを送信する送信手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、監視カメラ装置が撮影した画像から、オペレータが要求する同じ位置情報(カメラの水平/垂直向きやズーム位置、フォーカス位置など)で撮影された画像を表示する。このように目的の位置情報に合った画像を表示することで、オペレータが目的の画像を確認するまでの時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視カメラシステムの構成と処理を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るH.264のストリームデータの構成を示すフォーマット図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る監視カメラシステムにおける画像記録装置とクライアントPCの構成と処理を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る監視カメラシステムの機能構成を示す構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像再生位置情報テーブルの構成を示す構成図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るクライアントPCの再生要求処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係るクライアントPCの画像再生処理手順を示すフローチャートである。
【図8】従来の実施例に係る監視カメラシステムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。まず、本発明の監視カメラシステム100の構成と処理について、図1、図2、及び図3を用いて説明する。
【0016】
まず、図1(1)に示す本発明の監視カメラシステム100の構成について説明する。監視カメラシステム100は、図1(1)に示すように監視カメラ装置110、ネットワーク120、監視装置(以下、クライアントPCという)130、画像記録装置140、及びモニタ150から構成されている。
【0017】
監視カメラ装置110は、2台のカメラを備えたカメラ部111と雲台112から構成されている。雲台112については、従来の監視カメラ装置810の雲台812に同じである。カメラ部111は、採取した画像の画像データを符号化方式で符号化するが、本発明では符号化した画像データに、画像を採取したときの雲台112の水平位置、垂直位置、及びカメラ部111のレンズのズーム位置、フォーカス位置の情報(以下、位置情報という)を付加する。水平位置、垂直位置、ズーム位置、及びフォーカス位置については、図5に示す本発明の実施の形態に係る画像再生位置情報テーブル構成の説明で述べる。次に、監視カメラ装置110は、位置情報を付加した符号化された画像データをクライアントPC130と画像記録装置140に送信する。符号化方式については、従来の監視カメラ装置810の符号化方式に同じである。ネットワーク120とその通信プロトコルについては、従来のネットワーク820とその通信プロトコルに同じである。クライアントPC130は、表示器131、本体132、ポインティングデバイス133、及びキーボード134などから構成されている。
【0018】
クライアントPC130については、従来のクライアントPC830と同様に監視カメラ装置110から送信された符号化された画像データ、または画像記録装置140に記録されている符号化された画像データを復号して表示器131に表示する。
【0019】
画像記録装置140は、従来の画像記録装置840と同様に画像データを記録するハードディスクを備え、監視カメラ装置110から符号化された画像データを受信し、記録する。しかし、本発明では画像記録装置140が受信する画像データに、画像を採取したときの位置情報が付加されている。これにより、オペレータが指定した位置情報が付加されている画像データの画像を選択してクライアントPC130に表示することができる。
【0020】
以上の図1(1)に示す監視カメラシステム100の構成における処理の流れを図1(1)に対応して図1(2)に示す。まず、監視カメラ装置110は、ステップS101に示すように映像の画像を一定周期で採取する。次に、監視カメラ装置110は、ステップS102に示すように採取した画像の画像データをMotion-JPEG、MPEG-4、またはH.264などの方式で符号化処理を行う。この符号化処理により画像データは、ネットワーク120で通信を行うことができるデータ(以下、ストリームデータという)に変換される。ストリームデータの構成については、後述する。次に、監視カメラ装置110は、ステップS103に示すようにストリームデータに、位置情報を付加する。そして、監視カメラ装置110は位置情報が付加されたストリームデータをIPパケット化してネットワーク120経由でクライアントPC130と画像記録装置140に送信する。次に、クライアントPC130は、ステップS104に示すようにIPパケット化されたストリームデータを受信すると、ストリームデータから符号化された画像データを取り出し、復号化処理を行う。そして、クライアントPC130は、ステップS105に示すように復号化した画像データの画像を表示器131に表示する。画像記録装置140は、ステップS106に示すようにIPパケット化されたストリームデータを受信すると、ストリームデータをそのまま画像記録装置140のディスクに記録する。また、画像記録装置140は、ストリームデータから符号化された画像データを取り出し、ステップS104に示すように復号化処理を行う。そして、画像記録装置140は、ステップS105に示すように復号化した画像データの画像をモニタ150またはネットワーク120を経由して表示器131に表示する。
【0021】
次に、ネットワークを経由して送受信されるストリームデータについて説明する。図2(1)に符号化方式Motion-JPEGのストリーム210の構成、図2(2)に符号化方式MPEG-4のストリーム220の構成、及び図2(3)に符号化方式H.264のストリーム230の構成を示す。図2(1)に示すようにMotion-JPEGのストリーム210は、マーカ部211、Motion-JPEG映像データ部212から構成されている。マーカ部211のユーザデータが格納されるアプリケーションマーカ領域に、水平位置、垂直位置、ズーム位置、及びフォーカス位置の位置情報が付加される。Motion-JPEG映像データ部212には、Motion-JPEGで符号化された画像のピクチャが付加される。図2(2)に示すようにMPEG-4のストリーム220は、ヘッダ部221、MPEG-4映像データ部222から構成されている。ヘッダ部221のユーザデータが格納されるユーザエリアに、水平位置、垂直位置、ズーム位置、及びフォーカス位置の位置情報が付加される。MPEG-4映像データ部222には、MPEG-4で符号化された画像のフレームが付加される。図2(3)に示すようにH.264のストリーム230は、ヘッダ部231、H.264映像データ部232から構成されている。ヘッダ部231のユーザデータが格納されるSEI(Supplemental Enhancement Information)に、水平位置、垂直位置、ズーム位置、及びフォーカス位置の位置情報が付加される。H.264映像データ部232には、H.264で符号化された画像のフレームが付加される。
【0022】
次に図3に示す監視カメラシステム100における画像記録装置140とクライアントPC130の構成と処理について説明する。図3(1)に示すように画像記録装置140とクライアントPC130は、ネットワーク120を介して接続されている。図3(1)に示す監視カメラシステム100における画像記録装置140とクライアントPC130の構成における処理の流れを図3(1)に対応して図3(2)に示す。図3(2)に示す処理は、画像記録装置140に記録された映像の再生をするとき、画像記録装置140から映像データをネットワーク120を介して取り出し、オペレータが指定した位置情報の範囲以内の画像を選択して表示器131に表示する処理である。
【0023】
まず、画像記録装置140は、クライアントPC130から画像送信要求を受信すると、ステップS111に示すように画像記録装置140のディスクに記録しているストリームデータを取り出す。そして、画像記録装置140は、取り出したストリームデータをIPパケット化して、ネットワーク120を経由してクライアントPC130に送信する。次に、クライアントPC130は、IPパケット化されたストリームデータを受信すると、ステップS112に示すようにストリームデータに付加されている位置情報を取り出し、この位置情報がオペレータが指定した位置情報の範囲以内であるかを判定する。オペレータが指定した位置情報の範囲以内であれば、クライアントPC130は、ステップS113に示すようにストリームデータから符号化された画像データを取り出し、復号化処理を行う。そして、クライアントPC130は、ステップS114に示すように復号化した画像データの画像を表示器131に表示する。
【0024】
次に、監視カメラシステム100の機能構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る監視カメラシステム100の機能構成300を示す構成図である。
【0025】
図4に示すように、監視カメラシステム100の機能構成300は、監視カメラ装置310、ネットワーク320、監視装置(以下、クライアントPCという)330、及び画像記録装置340の機能から構成されている。監視カメラ装置310は、図1の監視カメラ装置110の機能構成である。ネットワーク320は、図1のネットワーク120の機能構成である。クライアントPC330は、図1のクライアントPC130の機能構成である。画像記録装置340は、図1の画像記録装置140の機能構成である。
【0026】
監視カメラ装置310は、ズーム・フォーカスレンズ部311、カメラモジュール部312、通信部313、制御部314、不揮発性メモリ315、水平旋回部316、及び垂直移動部317から構成されている。ズーム・フォーカスレンズ部311、カメラモジュール部312、通信部313、制御部314、及び不揮発性メモリ315は、図1のカメラ部111が備える部位であり、これらの部位はバスなどにより接続されている。水平旋回部316と垂直移動部317は、図1の雲台112が備える部位であり、水平旋回部316と垂直移動部は、制御部314とUSBケーブルまたはRS232Cケーブルなどで接続されている。不揮発性メモリ315には、クライアントPCから受信するプリセットポジション情報を記憶するプリセットポジション情報テーブル315aが設けられている。
【0027】
ズーム・フォーカスレンズ部311は電動で位置を移動できるレンズを備え、制御部314の指令に基づいてレンズの位置を移動させる。カメラモジュール部312は、ズーム・フォーカスレンズ部311からの画像データと、水平旋回部316の水平位置データと垂直移動部317の垂直位置データを制御部314から入力し、図2に示すようなストリームデータとして設定し、通信部313に出力する。通信部313は、クライアントPC330と画像記録装置340との通信を行うためのインターフェースである。通信部313は、カメラモジュール部312からストリームデータを入力し、パケット化を行い、ネットワーク320を経由してクライアントPC330と画像記録装置340に送信する。また、通信部313は、クライアントPC330から送信されるパケット化されたプリセットポジション情報を受信すると、プリセットポジション情報を取り出し制御部314に出力する。
【0028】
制御部314は、監視カメラ装置310全体の制御を行う。制御部314は、通信部313から出力されるプリセットポジション情報を入力すると、不揮発性メモリ315のプリセットポジション情報テーブル315aに記憶する。また、制御部314は、プリセットポジション情報テーブル315aに記憶されているプリセットポジション情報に基づいて、カメラモジュール部312、水平旋回部316、及び垂直移動部316に操作指令を出力する。また、不揮発性メモリ315は、制御部314が実行する処理のプログラムやデータを記憶するメモリでもある。水平旋回部316は、制御部314からの指令により図1に示す雲台112を水平方向に回転駆動させる部位である。垂直移動部317は、制御部314からの指令により雲台112を垂直方向に移動させる部位である。
【0029】
ネットワーク320は、監視カメラ装置310、クライアントPC330、及び画像記録装置340を接続し、相互通信を行うIP通信網である。
【0030】
クライアントPC330は、通信部331、制御部332、表示部333、操作部334、及び不揮発性メモリ335から構成され、これらの部位はバスなどにより接続されている。制御部332には、再生要求処理部332aと画像再生処理部332bが設けられている。また、不揮発性メモリ335には、画像再生位置情報テーブル335aが設けられている。通信部331は、監視カメラ装置310と画像記録装置340との通信を行うためのインターフェースである。通信部331は、制御部332から出力されるプリセットポジションデータのパケット化を行い、監視カメラ装置310に送信する。また、通信部331は、監視カメラ装置310と画像記録装置340から送信されるIPパケット化されたストリームデータを受信すると、ストリームデータを制御部332に出力する。制御部332は、クライアントPC330全体の制御を行う。制御部332は、操作部334から出力されるプリセットポジション情報を入力し、通信部331に出力する。また、制御部332は、通信部331からストリームデータを入力する。また、制御部332は、オペレータの指示によりストリームデータから該当する画像データのフレームを取り出し、表示部333に出力する。再生要求処理部332aは、オペレータが指定した画像の位置情報を登録する処理を行う。また、画像再生処理部332bは、ネットワーク320を介して伝送されてきた画像記録装置340からのストリームデータから、指定された位置情報が付与されている画像を取り出して再生する。
【0031】
不揮発性メモリ335は、制御部332が実行する処理のプログラムやデータを記憶するメモリである。不揮発性メモリ335には、オペレータが指定した画像の位置情報が記憶される画像再生位置情報テーブル335aを備えている。画像再生位置情報テーブル335aの構成については、後述する。表示部333は、制御部332から出力される画像データのフレームを入力すると図1の表示器131に出力する。操作部334は、ユーザが図1のポインティングデバイス133またはキーボード134から行った操作を入力する。操作部334は、オペレータが設定するプリセットポジション情報を入力し、制御部332に出力する。
【0032】
画像記録装置340は、通信部341、制御部342、表示部343、及びストリームデータ保存エリア344から構成され、これらの部位はバスなどにより接続されている。ストリームデータ保存エリア344には、監視カメラ装置310から受信したストリームデータが保存される。通信部341は、監視カメラ装置310やクライアントPC330との通信を行うためのインターフェースである。通信部341は、監視カメラ装置310から送信されるIPパケット化されたストリームデータを受信すると、ストリームデータをストリームデータ保存エリア344に保存する。また、通信部341は、制御部342からの指令によりストリームデータ保存エリア344に保存されているストリームデータをパケット化し、クライアントPC330に送信する。制御部342は、画像記録装置340全体の制御を行う。制御部342は、ストリームデータを通信部341から入力し、表示部343に出力する。また、制御部342は、クライアントPC330からの要求を受信すると、通信部341にストリームデータ保存エリア344に記録された画像データをストリームデータにしてクライアントPC330に送信する指令を出力する。表示部343は、制御部342から出力される画像データを図1のモニタ150に出力する。
【0033】
次に、クライアントPC330の不揮発性メモリ335に記憶されている画像再生位置情報テーブル335aの構成について説明する。図5に、画像再生位置情報テーブル335aの構成を示す。画像再生位置情報テーブル335aは、オペレータが指定した画像のストリームデータに付加されている「水平位置」、「垂直位置」、「ズーム位置」、及び「フォーカス位置」の位置情報が設定されるテーブルである。画像再生位置情報テーブル335aの「インデックスNo」は、位置情報を識別するためのユニークな番号で、n個の位置情報が画像再生位置情報テーブル335aに設定されているときは、1からnまでの番号が順番に位置情報に対応して付けられる。水平位置とは、監視カメラ装置110の雲台112を基準位置から水平方向に回転させた角度である。例えば、符号化方式がMotion-JPEGであれば、「水平位置」には図2(1)に示すマーカ部211のアプリケーションマーカ位置に付加されている「水平位置」が設定される。垂直位置とは、監視カメラ装置110の雲台112を基準位置から垂直方向に移動させた距離である。例えば、符号化方式がMotion-JPEGであれば、「垂直位置」には図2(1)に示すマーカ部211のアプリケーションマーカ位置に付加されている「垂直位置」が設定される。ズーム位置とは、監視カメラ装置110のカメラ部111が備えるレンズの基準位置に対するズーム調整位置である。例えば、符号化方式がMotion-JPEGであれば、「ズーム位置」には図2(1)に示すマーカ部211のアプリケーションマーカ位置に付加されている「ズーム位置」が設定される。フォーカス位置とは、監視カメラ装置110のカメラ部112が備えるレンズの基準位置に対する焦点調整位置である。例えば、符号化方式がMotion-JPEGであれば、「フォーカス位置」には図2(1)に示すマーカ部211のアプリケーションマーカ位置に付加されている「フォーカス位置」が設定される。図5に示す画像再生位置情報テーブル335aのインデックスNoが「1」においては、雲台112の「水平位置」がh、「垂直位置」がv、またカメラ部111のレンズの「ズーム位置」がz、「フォーカス位置」がfであることを示す。
【0034】
次に、本発明の実施の形態に係わるクライアントPC330における再生要求処理について説明する。図6は、再生要求処理手順を示すフローチャートである。オペレータが画像記録装置340に保存されているストリームデータの再生要求の操作を行うと、操作部334から制御部332に再生要求通知が出力される。制御部332は、再生要求通知を入力すると再生要求処理部332aを起動する。この起動により、再生要求処理部332aは再生要求処理を開始する。
【0035】
まずステップS401において、再生要求処理部332aは、画像記録装置140に対して、ストリームデータ保存エリア344に保存されているストリームデータの送信要求を行う。画像記録装置140は、この送信要求によりストリームデータ保存エリア344から1つの画像のストリームデータを取り出し、クライアントPC330に送信する。クライアントPC330は、画像記録装置140からストリームデータを受信する。
【0036】
次にステップS402において、再生要求処理部332aは、画像記録装置140から受信したストリームデータのフレームの復号を行う。
【0037】
次にステップS403において、再生要求処理部332aは、復号したストリームデータから画像データのフレームを取り出し表示部333に出力すると、表示器131に画像が表示される。オペレータは、表示器131に表示される画像を確認する。オペレータが表示された画像の位置情報に決定するときは、決定の操作を行い、決定しないときは次の画像を受信する操作を行う。
【0038】
次にステップS404において、再生要求処理部332aは、決定の操作が行われたかを判定する。決定の操作が行われた(ステップS404のYes)のときは、再生要求処理部332aは、表示した画像のストリームデータの位置情報を記憶するステップS405に進む。また、決定の操作が行われずに次の画像を受信する操作が行われた(ステップS404のNo)のときは、再生要求処理部332aは、画像記録装置140に対して、ストリームデータ保存エリア344に保存されている次のストリームデータを受信するステップS401に戻る。
【0039】
次にステップS405において、クライアントPC330は、決定した画像のストリームデータに付加されている「水平位置」、「垂直位置」、「ズーム位置」、及び「フォーカス位置」を取り出し、不揮発性メモリ335の画像再生位置情報テーブル335aに記憶する。例えば、取り出した「水平位置」がh、「垂直位置」がv、「ズーム位置」がz、「フォーカス位置」がfであり、既に2つの位置情報が設定されているときには、図5に示す画像再生位置情報テーブル335aのインテックスNo(3)に対応する「水平位置」にh、「垂直位置」にv、「ズーム位置」にz、「フォーカス位置」にfが記憶される。
【0040】
次にステップS406において、再生要求処理部332aは、終了の操作が行われたかを判定する。終了の操作が行われた(ステップS406のYes)のときは、再生要求処理部332aは、再生要求処理を終了する。また、終了の操作が行われていない(ステップS406のNo)のときは、再生要求処理部332aは、画像記録装置140に対して、ストリームデータ保存エリア344に保存されている次のストリームデータを受信するステップS401に戻る。
【0041】
以上の処理により、再生要求処理部332aは、表示された画像からオペレータが指定した画像の位置情報を登録することができる。
【0042】
次に、本発明の実施の形態に係わるクライアントPC330における画像再生処理について説明する。図7は、画像再生処理手順を示すフローチャートである。オペレータが画像再生の操作を行うと、操作部334から制御部332に画像再生通知が出力される。制御部332は、画像再生通知を入力すると画像再生処理部332bを起動する。この起動により、画像再生処理部332bは画像再生処理を開始する。
【0043】
まずステップS501において、画像再生処理部332bは、画像記録装置140に対して、ストリームデータ保存エリア344に保存されているストリームデータの送信要求を行う。画像記録装置140は、この送信要求によりストリームデータ保存エリア344から1つの画像のストリームデータを取り出し、クライアントPC330に送信する。クライアントPC330は、画像記録装置140からストリームデータを受信する。
【0044】
次にステップS502において、画像再生処理部332bは、画像記録装置140から受信したストリームデータから「水平位置」、「垂直位置」、「ズーム位置」、及び「フォーカス位置」の位置情報を取り出す。そして、取り出した「水平位置」、「垂直位置」、「ズーム位置」、及び「フォーカス位置」の位置情報が画像再生位置情報テーブル335aに設定されている指定された位置情報の範囲以内であるかを判定する。位置情報の範囲以内とは、例えば、許容範囲を5%とし、指定された「水平位置」がhであれば、h×(0.95)以上であり、且つh×(1.05)以下の範囲に含まれれば、範囲以内とする。「垂直位置」、「ズーム位置」、「フォーカス位置」についても同様に判定する。また、画像再生位置情報テーブル335aに複数の位置情報が設定されているときは、全ての指定された位置情報について、範囲以内であるかを判定し、一つでも指定された位置情報の範囲以内と判定されれば、範囲以内とする。ストリームデータの位置情報が指定された位置情報の範囲以内(ステップS502のYes)のときは、画像再生処理部332bは、ストリームデータのフレームを復号するステップS503に進む。また、ストリームデータの位置情報が指定された位置情報の範囲以内でない(ステップS502のNo)のときは、画像再生処理部332bは、画像記録装置140に対して、ストリームデータ保存エリア344に保存されている次のストリームデータを受信するステップS501に戻る。
【0045】
次にステップS503において、画像再生処理部332bは、画像記録装置140から受信したストリームデータのフレームの復号を行う。
【0046】
次にステップS504において、画像再生処理部332bは、復号したストリームデータから画像データのフレームを取り出し表示部333に出力すると、表示器131に画像が表示される。
【0047】
次にステップS505において、画像再生処理部332bは、再生終了の操作が行われたかを判定する。再生終了の操作が行われた(ステップS505のYes)のときは、画像再生処理部332bは、画像再生処理を終了する。また、再生終了の操作が行われていない(ステップS505のNo)のときは、画像再生処理部332bは、画像記録装置140に対して、ストリームデータ保存エリア344に保存されている次のストリームデータを受信するステップS501に戻る。
【0048】
以上の処理により、画像再生処理部332bは、画像記録装置340が保存しているストリームデータから指定された位置情報が付与されている画像を再生することができる。
【0049】
なお、実施の形態では、監視カメラシステム100に各々1台の監視カメラ装置110、クライアントPC130、及び画像記録装置140を備える構成について説明したが、各々複数台備える構成とすることも可能である。また、監視カメラ装置110の垂直位置については、監視カメラ装置110の雲台112を基準位置から垂直方向に移動させた距離としたが、カメラ部111を基準位置から仰角方向に回転させた角度とすることも可能である。また、画像記録装置140は、ハードディスク、SDメモリカード、フラッシュメモリ、DVD−Rなどに直接記録するデジタルデコーダとすることも可能である。
【0050】
また、実施の形態では、画像記録装置140に記録されている画像について、指定された位置情報の範囲内の画像のみをクライアントPC130に表示するようにしているが、監視カメラ装置110から受信する画像についても、指定された位置情報の範囲内の画像のみをクライアントPC130に表示することも可能である。また、画像記録装置140に接続されているモニタ150についても、画像記録装置140にクライアントPC130と同様の構成を備えることにより指定された位置情報の範囲内の画像のみをモニタ150に表示することも可能である。更に、画像再生位置情報テーブル335aについては、複数の位置情報が設定できるが1つの位置情報を設定することも可能である。この場合は、監視カメラ装置110の位置があたかも固定されているように、画像を再生することができる。
【0051】
また、実施の形態では、ストリームデータの位置情報を取り出した後に、ストリームデータの復号化処理を行う形態について説明したが、Iフレームなどの基準映像とPフレームなどの差分データとする符号化方式の場合は、差分データ中に該当する位置情報が含まれていても目的の位置情報として認識できないため、復号化処理を行った後に位置情報を取り出す必要がある。
【0052】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、オペレータの操作や監視カメラ装置のプリセットポジションに基づいて監視カメラ装置が撮影した画像から、オペレータが要求する同じポジションで撮影された画像を表示することができる。このように目的の画像を容易に表示することで、オペレータが目的の画像を確認するまでの時間を短縮させることができる。
【0053】
以上、具体的な実施の形態により本発明を説明したが、上記実施の形態は本発明の例示であり、この実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【0054】
以上の実施態様の特徴をまとめると次のようになる。
(1)本発明の画像記録装置は、監視カメラ装置が画像を採取したときの位置情報が付加された画像のストリームデータを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記ストリームデータを保存する保存手段と、前記保存手段で保存された前記ストリームデータを送信する送信手段と、を備えることを特徴としている。
(2)(1)の画像記録装置は、前記受信手段で受信した前記ストリームデータの画像のうち特定範囲の前記位置情報が付加された画像を選択して表示する表示手段を備えたことを特徴としている。
(3)本発明の監視カメラシステムは、監視カメラ装置、監視装置、及び画像記録装置が接続されている監視カメラシステムであって、前記監視カメラ装置が画像を採取したときの位置情報が付加された画像のストリームデータを送信する監視カメラ装置送信手段と、前記監視カメラ装置から前記ストリームデータを受信する画像記録装置受信手段と、前記画像記録装置受信手段で受信した前記ストリームデータを保存する画像記録装置保存手段と、前記画像記録装置保存手段で保存された前記ストリームデータを送信する画像記録装置送信手段と、前記画像記録装置から前記ストリームデータを受信する監視装置受信手段と、前記ストリームデータの画像を表示する監視装置表示手段とを備え、前記ストリームデータに付加された前記位置情報が、指定された位置情報の範囲以内のときに前記監視装置表示手段に前記ストリームデータの画像を表示することを特徴としている。
(4)(3)の監視カメラシステムの前記指定された位置情報は、前記監視装置表示手段に表示された画像から指定された画像の前記ストリームデータに付加されている位置情報であることを特徴としている。
(5)(3)または(4)の監視カメラシステムは、前記監視装置に前記指定された位置情報を記憶する位置情報記憶手段を備えることを特徴としている。
(6)(3)から(5)のいずれかの監視カメラシステムは、前記画像記録装置受信手段で受信した前記ストリームデータの画像を表示する画像記録装置表示手段を備えたことを特徴としている。
(7)(3)から(6)のいずれかの監視カメラシステムの前記位置情報は、水平位置、垂直位置、ズーム位置、及びフォーカス位置であることを特徴としている。
(8)(7)の監視カメラシステムの前記監視カメラ装置は、雲台を備え、前記水平位置と前記垂直位置は、前記雲台から入力することを特徴としている。
(9)本発明の画像記録装置の画像表示方法は、監視カメラ装置、監視装置、及び画像記録装置が接続されている監視カメラシステムであって、前記監視カメラ装置が画像を採取したときの位置情報が付加された画像のストリームデータを送信する監視カメラ装置送信工程と、前記監視カメラ装置から前記ストリームデータを受信する画像記録装置受信工程と、前記画像記録装置受信工程で受信した前記ストリームデータを保存する画像記録装置保存工程と、前記画像記録装置保存工程で保存された前記ストリームデータを送信する画像記録装置送信工程と、前記画像記録装置から前記ストリームデータを受信する監視装置受信工程と、前記ストリームデータの画像を表示する監視装置表示工程とを備え、前記ストリームデータに付加された前記位置情報が、指定された位置情報の範囲以内のときに前記監視装置表示工程に前記ストリームデータの画像を表示することを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、画像記録装置に好適であるが、画像記録装置に限られるものではなく、画像を記憶できる装置一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
100・・・・・監視カメラシステム
110・・・・・監視カメラ装置
111・・・・・カメラ部
112・・・・・雲台
120・・・・・ネットワーク
130・・・・・クライアントPC(監視装置)
131・・・・・表示器
132・・・・・本体
133・・・・・ポインティングデバイス
134・・・・・キーボード
140・・・・・画像記録装置
150・・・・・モニタ
210・・・・・Motion-JPEGストリーム
211・・・・・マーカ部
212・・・・・Motion-JPEG映像データ部
220・・・・・MPEG-4ストリーム
221・・・・・ヘッダ部
222・・・・・MPEG-4映像データ部
230・・・・・H.264ストリーム
231・・・・・ヘッダ部
232・・・・・H.264映像データ部
300・・・・・監視カメラシステムの機能構成
310・・・・・監視カメラ装置
311・・・・・ズーム・フォーカスレンズ部
312・・・・・カメラモジュール部
313・・・・・通信部
314・・・・・制御部
315・・・・・不揮発性メモリ
315a・・・・プリセットポジション情報テーブル
316・・・・・水平旋回部
317・・・・・垂直移動部
320・・・・・ネットワーク
330・・・・・クライアントPC(監視装置)
331・・・・・通信部
332・・・・・制御部
332a・・・・再生要求処理部
332b・・・・画像再生処理部
333・・・・・表示部
334・・・・・操作部
335・・・・・不揮発性メモリ
335a・・・・画像再生位置情報テーブル
340・・・・・画像記録装置
341・・・・・通信部
342・・・・・制御部
343・・・・・表示部
344・・・・・ストリームデータ保存エリア
800・・・・・監視カメラシステム
810・・・・・監視カメラ装置
811・・・・・カメラ部
812・・・・・雲台
820・・・・・ネットワーク
830・・・・・クライアントPC(監視装置)
831・・・・・表示器
832・・・・・本体
833・・・・・ポインティングデバイス
834・・・・・キーボード
840・・・・・画像記録装置
850・・・・・モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラ装置が画像を採取したときの位置情報が付加された画像のストリームデータを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記ストリームデータを保存する保存手段と、
前記保存手段で保存された前記ストリームデータを送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−244338(P2011−244338A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116521(P2010−116521)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】