説明

画像読取装置、及び、読取制御プログラム

【課題】原稿が重送されているか否かをより確実に判断すること。
【解決手段】1以上の原稿からなる原稿群が積載される積載部と、積載部に積載されている原稿を一枚ずつ搬送する搬送部と、搬送部によって搬送されている原稿を読み取って画像データを生成する読取部と、原稿群の特徴ごとに用意され、原稿が重送されているか否かを判断する複数の判断基準の中から、重送の判断に用いる判断基準を選択する選択部(S301〜S311)と、選択部によって選択された判断基準を用いて原稿が重送されているか否かを判断する判断部と、を備える画像読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を一枚ずつ搬送して読み取る画像読取装置において原稿が重送されているか否かを判断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ページ番号が表示されている複数枚の原稿を1枚ずつ読み取って画像データを生成し、生成した画像データから抽出したページ番号が不規則に増加または減少していたらページが欠落していると判断する画像読取装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−81841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿が重なって搬送される重送が発生した場合はページが欠落するので、従来の画像読取装置によればページの欠落を判断することによって原稿が重送されているか否かを判断できる。
しかしながら、原稿には必ずしもページ番号が表記されているとは限らない。このため、従来の技術によると、原稿によっては重送されているか否かを判断できないという問題がある。
本明細書では、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される画像読取装置は、1以上の原稿からなる原稿群が積載される積載部と、前記積載部に積載されている前記原稿を一枚ずつ搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されている前記原稿を読み取って画像データを生成する読取部と、前記原稿群の特徴ごとに用意され、前記原稿が重送されているか否かを判断する複数の判断基準の中から、重送の判断に用いる判断基準を選択する選択部と、前記選択部によって選択された前記判断基準を用いて前記原稿が重送されているか否かを判断する判断部と、を備える。
【0006】
また、前記選択部は、前記原稿群の一部を読み取って生成された前記画像データを解析して当該一部が有している特徴を判断し、当該判断した特徴に基づいて重送を判断する前記判断基準を選択してもよい。
【0007】
また、前記選択部は、前記一部がページ番号を有している場合は、ページ番号が表記されている前記原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していなければ前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択してもよい。
【0008】
また、前記選択部は、前記一部として読み取られた複数の原稿が同じサイズを有している場合は、前記原稿のサイズが変化したら前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択してもよい。
【0009】
また、前記選択部は、前記一部として読み取られた複数の原稿の余白領域のサイズ、及び、前記余白領域以外の領域のサイズの少なくとも一方が同じ場合は、前記原稿の余白領域のサイズ、及び、余白領域以外の領域のサイズの少なくとも一方が変化したら前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択してもよい。
【0010】
また、上記画像読取装置は、特定の情報と前記判断基準とを対応付けて記憶する記憶部を備え、前記選択部は、前記一部の内容に前記特定の情報が含まれている場合は、その情報に対応付けられている前記判断基準を選択してもよい。
【0011】
また、前記特定の情報は予め決められた文字列であり、前記選択部は、前記一部が前記文字列を有している場合は、前記ページ番号が不連続に変化したら前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択してもよい。
【0012】
また、上記画像読取装置は、前記積載部に積載されている前記原稿の枚数が閾値未満であるか否かを判断する枚数判断部と、前記枚数判断部によって前記原稿の枚数が前記閾値未満であると判断された場合に、前記原稿の枚数の入力をユーザから受け付ける枚数受付部と、を備え、前記選択部は、前記枚数受付部によって原稿の枚数の入力が受け付けられた場合は、前記読取部によって読み取った前記原稿の枚数がユーザによって入力された枚数と合致しなければ前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択してもよい。
【0013】
また、上記画像読取装置は、カラーの前記原稿が読み取られる順番、及び、モノクロの前記原稿が読み取られる順番の少なくとも一方の入力をユーザから受け付ける読取順受付部を備え、前記選択部は、前記読取順受付部によってカラーの前記原稿が読み取られる順番、及び、モノクロの前記原稿が読み取られる順番の少なくとも一方の入力が受け付けられた場合は、カラーの画像を表す前記画像データが生成された順番、及び、モノクロの画像を表す前記画像データが生成された順番の少なくとも一方がユーザによって入力された順番と合致しなければ前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択してもよい。
【0014】
また、前記選択部は、ユーザによる前記判断基準の選択を受け付け、ユーザにより選択された前記判断基準を選択してもよい。
【0015】
本明細書によって開示される読取制御プログラムは、1以上の原稿からなる原稿群が積載される積載部と、前記積載部に積載されている前記原稿を一枚ずつ搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されている前記原稿を読み取って画像データを生成する読取部と、を備える画像読取装置と通信可能に接続される情報処理装置に、前記原稿群の特徴ごとに用意され、前記原稿が重送されているか否かを判断する複数の判断基準の中から、重送の判断に用いる判断基準を選択する選択処理と、前記選択処理によって選択された前記判断基準を用いて前記原稿が重送されているか否かを判断する判断処理と、を実行させる。
【0016】
なお、この発明は、画像読取方法、読取制御プログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
上記の画像読取装置、及び、読取制御プログラムによると、原稿の特徴に応じた判断基準を選択することにより、判断基準が固定されてしまっている場合に比べ、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係るイメージスキャナの模式図。
【図2】イメージスキャナの電気的構成を示すブロック図。
【図3】判断基準1を説明するための模式図。
【図4】判断基準2を説明するための模式図。
【図5】判断基準3を説明するための模式図。
【図6】判断基準4を説明するための模式図。
【図7】判断基準4を説明するための別の模式図。
【図8】判断基準6を説明するための模式図。
【図9】原稿読取処理の流れを示すフローチャート。
【図10】間接的な判断による選択処理の流れを示すフローチャート。
【図11】直接的な判断による選択処理の流れを示すフローチャート。
【図12】判断基準指定画面の一例を示す模式図。
【図13】残り原稿読取処理の流れを示すフローチャート。
【図14】実施形態3に係るPCの電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図13によって説明する。
(1)イメージスキャナの構成
図1は、実施形態1に係る画像読取装置としてのイメージスキャナ1の構成を簡略化して示す模式図である。ここでは等倍光学系を用いて原稿を読み取るCIS(Contact Image Sensor)方式のイメージスキャナを例に説明する。
【0020】
イメージスキャナ1の筐体10は概ね箱形に形成されており、上部に第1プラテンガラス11と第2プラテンガラス12とが並設されている。なお、図中では筐体10の一部のみを示している。
原稿カバー13は上述した各プラテンガラスを覆う閉姿勢とそれら各プラテンガラスを開放する開姿勢とに回動可能に筐体10に連結されている。原稿カバー13には、ADF14(Auto Document Feeder)、1以上の原稿からなる原稿群5が積載される積載トレイ15、排紙トレイ16などが設けられている。
【0021】
ADF14は、給紙ローラ17、複数のローラ対18a、18b、18c、これらを駆動するADFモータ34(図2参照)などを備えており、積載トレイ15に積載された原稿群5から原稿を一枚ずつ搬送して第2プラテンガラス12上を通過させる。
【0022】
読取デバイス19は、複数の受光素子が紙面垂直方向(主走査方向)に直線状に配列されたイメージセンサ20、RGB3色の発光ダイオードなどで構成される光源21、原稿で反射された反射光をイメージセンサ20の各受光素子に結像させるロッドレンズアレイ22、これらが搭載されるキャリッジ23などで構成されている。
【0023】
イメージスキャナ1は、第1プラテンガラス11に載置されている原稿を読み取るときはFBモータ32(図2参照)によって読取デバイス19を第1プラテンガラス11に平行な副走査方向(図中のA方向)に搬送し、光源21の色を順に切り替えながら原稿を1ラインずつ読み取る。一方、ADF14によって搬送される原稿を読み取るときは、イメージスキャナ1は読取デバイス19を第2プラテンガラス12の直下に停止させ、光源21の色を順に切り替えながら原稿を1ラインずつ読み取る。
【0024】
原稿厚検出センサ24は、積載トレイ15に積載されている原稿群5の厚みを検出するセンサである。原稿厚検出センサ24としては、例えば下方に向かって突出し、先端が原稿群5の一番上の原稿に上方から当接する突出部と、突出部が突出した長さに応じた検出信号を出力する出力部とを備えるセンサを用いることができる。
積載トレイ15は積載部の一例である。また、ADF14は搬送部の一例である。
【0025】
図2は、イメージスキャナ1の電気的構成を示すブロック図である。イメージスキャナ1は、制御部30、ASIC31、FBモータ32、FBモータ駆動回路33、ADFモータ34、ADFモータ駆動回路35、読取デバイス19、光源制御回路36、AFE(Analog Front End)37、原稿厚検出センサ24、操作部38、通信インタフェース39などを備えて構成されている。
【0026】
制御部30は、ROM30a、CPU30b、RAM30cを備えて構成されている。CPU30bは、ROM30aに記憶されている各種のプログラムを実行することによってイメージスキャナ1の各部を制御する。ROM30aにはCPU30bによって実行される読取制御プログラムや各種のデータなどが記憶されている。RAM30cはCPU30bが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0027】
ASIC31には、FBモータ駆動回路33、ADFモータ駆動回路35、光源制御回路36、AFE37などが接続されている。ASIC31はCPU30bの制御の下でこれらを制御するとともに、AFE37から出力された出力値(画素値)にガンマ補正やシェーディング補正、その他各種の画像処理を施して画素毎にRGB3色の濃度を持つ画像データを生成する。
【0028】
AFE37は、イメージセンサ20から出力されるアナログの出力値をデジタルの出力値に変換する回路である。
操作部38は、複数のボタン、液晶ディスプレイなどの表示装置、表示装置を駆動する駆動回路などで構成されている。
通信インタフェース39は、LAN(LocalAria Network)などの通信ネットワーク、USB(Universal Serial Bus)、パラレル回線などを介してパーソナルコンピュータなどの外部の装置と通信するためのインタフェースである。
【0029】
ROM30aは記憶部の一例である。読取デバイス19及び制御部30は読取部の一例である。制御部30は選択部及び判断部の一例である。原稿厚検出センサ24と制御部30とは枚数判断部の一例である。また、操作部38と制御部30とは枚数受付部及び読取順受付部の一例である。
【0030】
(2)重送の判断基準
前述したようにADF14は積載トレイ15に積載されている原稿を一枚ずつ搬送するものであるが、原稿が重なって搬送される所謂重送が発生することもある。そこで、実施形態1に係る制御部30は、原稿が重送されているか否かを判断するための複数の判断基準であって原稿群の特徴ごとに用意されている判断基準の中から重送の判断に用いる判断基準を選択し、原稿が重送されているか否かをその選択した判断基準を用いて判断する。以下に判断基準の一例を示す。
【0031】
(判断基準1)
図3は、判断基準1を説明するための模式図である。判断基準1は、全ての原稿にページ番号が表記されているという原稿群の特徴を想定して用意された重送の判断基準である。なお、「原稿群5が有している特徴」は、「原稿群5の属性」と言い換えることもできる。
図示する例では1枚目の原稿S1と2枚目の原稿S2とが重送されている。そして、2枚目の原稿S2に表記されているページ番号が1枚目の原稿S1によって覆われていることにより、2枚目の原稿S2に表記されているページ番号が読み取られない。この場合、原稿S1〜S3を読み取って生成された画像データからページ番号を取得すると、取得したページ番号は1、3の順となり、ページ番号が不連続に変化する。
そこで、判断基準1では、ページ番号が不連続に変化したら原稿が重送されていると判断する。
なお、ページ番号は必ずしも1から始まらなくてよく、最初に読み取られた原稿に表記されているページ番号から1ずつ増加あるいは減少していればよい。
【0032】
(判断基準2)
図4は、判断基準2を説明するための模式図である。判断基準2は、ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在しているという原稿群の特徴を想定して用意された重送の判断基準である。
図示する例では1枚目の原稿S1と3枚目の原稿S3とにはページ番号が表記されているが、2枚目の原稿S2にはページ番号が表記されていない。この場合、原稿が重送されていなくてもページ番号が連続していないことになるが、1枚目の原稿S1を読み取って生成された画像データから抽出されたページ番号「1」と、1枚目の原稿S1が読み取られた順番である「1」とが対応している。同様に、3枚目の原稿S3を読み取って生成された画像データから抽出されたページ番号「3」と、3枚目の原稿が読み取られた順番である「3」とが対応している。
そこで、判断基準2では、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していればページ番号が連続していなくても原稿が重送されていないと判断し、対応していなければ原稿が重送されていると判断する。
【0033】
なお、ページ番号は必ずしも1から始まらなくてよい。例えば、最初にページ番号が抽出された原稿が1枚目の原稿であり、そのページ番号が34ページであったとすると、次にページ番号が抽出された原稿が8枚目の原稿(+7枚目の原稿)であった場合、その8枚目の原稿から抽出されたページ番号が41(+7ページ)であれば、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していると判断してもよい。
【0034】
(判断基準3)
図5は、判断基準3を説明するための模式図である。判断基準3は、原稿群5に含まれる原稿のサイズが同じであるという原稿群の特徴を想定して用意された重送の判断基準である。
図示する例では2枚目の原稿S2と3枚目の原稿S3とが重送されている。このため、原稿の搬送方向の長さ(以下「原稿のサイズ」という)を検出すると、1枚目の原稿S1は、搬送方向先端から後端までの長さL1が原稿のサイズとして検出されるのに対し、2枚目の原稿S2は、2枚目の原稿S2の搬送方向先端から3枚目の原稿S3の搬送方向後端までの長さL2が原稿のサイズとして検出される。よって1枚目の原稿S1と2枚目の原稿S2とで原稿のサイズが変化する。
そこで、判断基準3では、原稿のサイズが変化したら原稿が重送されていると判断する。なお、原稿のサイズは生成された画像データからピクセル数を取得することによって検出してもよいし、ADF14の搬送経路上に周知の用紙センサ(図示せず)を設けることによって検出してもよい。
【0035】
(判断基準4)
図6は、判断基準4を説明するための模式図である。判断基準4は、原稿の余白領域の搬送方向の長さ(以下「余白領域のサイズ」という)、及び、余白領域以外の画像領域の搬送方向の長さ(以下「画像領域のサイズ」という)の少なくとも一方が原稿間で同じであるという原稿群の特徴を想定して用意された重送の判断基準である。
各原稿はそれぞれ原稿の縁に沿って余白領域Wが設定され、余白領域Wに囲まれた内側の画像領域Gに画像が印刷されている。図示する例では2枚目の原稿S2と3枚目の原稿S3とが重送されていることにより、2枚目の原稿S2の搬送方向後端側の余白領域W2と3枚目の原稿S3の搬送方向先端側の余白領域W3とが一体になってしまっている。この場合、1枚目の原稿S1の搬送方向後端側の余白領域W1の搬送方向のサイズはL3と検出されるのに対し、2枚目の原稿S2の搬送方向後端側の余白領域W2の搬送方向のサイズは、3枚目の原稿S3の搬送方向先端側の余白領域W3を含んだサイズL4として検出される。よって、1枚目の原稿S1と2枚目の原稿S2とで搬送方向後端側の余白領域のサイズが変化する。
【0036】
図7は、判断基準4を説明するための別の模式図である。図示する例では1枚目の原稿S1と2枚目の原稿S2とが重送されていることにより、2枚目の原稿S2の画像領域Gの一部が1枚目の原稿S1によって覆われてしまっている。この場合、画像領域Gの搬送方向のサイズを検出すると、2枚目の原稿S2の画像領域Gのサイズは1枚目の原稿S1によって覆われていない残りの領域分の長さL6として検出されてしまい、1枚目の原稿S1と2枚目の原稿S2とで画像領域Gのサイズが変化する。
【0037】
そこで、判断基準4では、原稿の余白領域のサイズ、及び、画像領域のサイズの少なくとも一方が変化したら原稿が重送されていると判断する。なお、余白領域のサイズ及び画像領域のサイズは、読取デバイス19による原稿の読取結果によって検出される。
【0038】
(判断基準5)
判断基準5では、読取デバイス19によって読み取った原稿の枚数とユーザによって入力された枚数とが異なっていたら原稿が重送されていると判断する。
判断基準5を用いる場合は、イメージスキャナ1は積載トレイ15に積載されている原稿の枚数の入力をユーザから受け付ける。詳しくは後述するが、実施形態1では原稿群5に含まれる原稿の枚数が閾値未満である場合のみユーザから原稿の枚数の入力を受け付ける。これは、原稿の枚数が多いとユーザが枚数を数える負担が大きくなるからである。このため、判断基準5が用いられるのは原稿の枚数が閾値未満の場合のみである。
【0039】
(判断基準6)
図8は、判断基準6を説明するための模式図である。図示する例では5枚の原稿S1〜S5のうちS1、S3、S5がモノクロの原稿であり、S2及びS4がカラーの原稿である。この場合、ユーザは、モノクロの画像データが生成される原稿の順番として1、3、5を指定する、及び/又は、カラーの画像データが生成される原稿の順番として2、4を指定する。
【0040】
そして、例えば、図8に示すように3枚目の原稿S3と4枚目の原稿S4とが重送されて4枚目の原稿S4がほとんど読み取られなかったとすると、4番目にカラーの画像データが生成されるはずが、5枚目の原稿S5が4枚目の原稿として読み取られてしまい、4番目の画像データとしてモノクロの画像データが生成される。このため、モノクロの画像データが生成された順番が、ユーザによって指定された順番と合致しなくなる。
【0041】
そこで、判断基準6では、カラーの画像データが生成された順番、及び、モノクロの画像データが生成された順番の少なくとも一方がユーザによって指定された順番と合致しなければ原稿が重送されていると判断する。
【0042】
(3)判断基準の選択
実施形態1に係るイメージスキャナ1は、1枚目の原稿を読み取って生成した画像データ、あるいはそれに加えて2枚目の画像データを読み取って生成した画像データを解析してそれらが有している特徴を判断し、当該判断した特徴に基づいて重送を判断する判断基準を選択する。
1枚目の原稿及び2枚目の原稿は「原稿群の一部」の一例である。なお、何枚の原稿を読み取って特徴を判断するかは適宜に選択可能である。
【0043】
判断基準は、1枚目の原稿や2枚目の原稿を読み取って生成された画像データから直接的に判断された特徴に基づいて選択されてもよいし、間接的に判断された特徴に基づいて選択されてもよい。
直接的な判断による選択とは、例えば原稿群5の一部を読み取って生成された画像データから実際にページ番号を抽出し、ページ番号を抽出できた場合は、判断基準2を選択するものである。これは、原稿群5の一部を読み取って生成された画像データからページ番号を抽出できた場合には原稿群5が「ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在している」という特徴を有していると想定できるからである。同様に、複数の原稿を読み取って原稿のサイズが同じ場合は判断基準3を選択し、複数の原稿を読み取って余白領域のサイズが同じ場合は判断基準4を選択する。
【0044】
なお、ページ番号を抽出できた場合に原稿群5が「ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在している」という特徴を有していると想定するのは、1枚目の原稿と2枚目の原稿とにページ番号が表記されていても残りの原稿全てにページ番号が表記されているとは限らないので、「全ての原稿にページ番号が表記されている」とは結論付けられないからである。
【0045】
間接的な判断による選択とは、画像データを解析して特定の文字列を認識し、認識できた場合はその文字列に対応付けられている判断基準を選択するものである。
例えば、原稿群5の一部を読み取って生成された画像データを解析して「公開特許公報」という文字列を認識できた場合は、判断基準1を選択する。これは、公開特許公報の場合は全ての原稿にページ番号が表記されていることが想定できるからである。この選択では画像データからページ番号を抽出するのではなく「公開特許公報」という文字列を認識するので、原稿群の一部にページ番号が表記されているか否かを間接的に判断しているといえる。「公開特許公報」は「予め決められた文字列」の一例である。
【0046】
また、例えば、画像データを解析して「週刊」という文字列を認識できた場合は、判断基準2を選択する。これは、週刊誌の場合はページ番号が表記されているページと図や写真などが掲載されているようなページ番号が表記されていないページとが混在していることが想定できるからである。
【0047】
また、例えば、画像データを解析して「伝票」という文字列を認識できた場合は、判断基準3を選択する。これは、伝票のような書式が決まった原稿の場合は原稿間で原稿のサイズが同じであることが想定できるからである。
【0048】
なお、上述した特定の文字列と判断基準との組み合わせはあくまで一例である。上述した文字列が含まれているからといって必ずしもその文字列に対応する特徴を有しているとは限らないからである。なお、文字列とその文字列が含まれているときに選択される判断基準とをユーザが設定できるようにしてもよい。
また、特定の文字列ではなく、特定の図形、あるいは特定のフォーマットが認識された場合はその図形あるいはフォーマットに対応付けられている判断基準を選択してもよい。特定の文字列、図形、フォーマットは「特定の情報」の一例である。
【0049】
(4)判断基準選択用のテンプレート原稿
ユーザは、原稿群5の一部が前述した特徴を有しているにもかかわらずその特徴を有していないと誤判断されてしまうことを低減するために、特徴判断用のテンプレート原稿を原稿の一番上に載置してもよい。テンプレート原稿とは、原稿群5の一部が有している特徴をイメージスキャナ1がより精度よく判断できるようにするために、原稿群5の一部が有している特徴をより強調して表したものである。
【0050】
例えば、ページ番号が表記されている原稿群5を読み取らせる場合は、ページ番号が大きな文字で明瞭に表記されているテンプレート原稿を原稿の一番上に載置してもよい。これにより、イメージスキャナ1が画像データからページ番号をより確実に抽出することができ、原稿群5の一部にページ番号が表記されているにもかかわらず表記されていないと誤判断されてしまうことを低減できる。
【0051】
また、例えば公開特許公報を読み取らせる場合は、「公開特許公報」と大きな文字で明瞭に表記されているテンプレート原稿を原稿の一番上に載置してもよい。これにより、原稿群5の一部に「公開特許公報」という文字列が含まれているにもかかわらず含まれていないと誤判断されてしまうことを低減できる。
【0052】
あるいは、原稿間で余白領域のサイズが同じである場合は、余白領域と画像領域とが明瞭に区画されているテンプレート原稿を2枚用いることにより、原稿群5の一部として読み取られた原稿間で余白領域のサイズが同じであるにもかかわらず同じでないと誤判断されてしまうことを低減できる。
テンプレート原稿を載置した場合は、前述した「原稿群の一部」としてテンプレート原稿が読み取られることになる。
【0053】
(5)原稿読取処理
図9は、原稿読取処理の流れを示すフローチャートである。本処理はユーザが操作部38で原稿の読み取りを指示すると開始される。
【0054】
S101では、読取制御プログラムを実行するCPU30b(以下、単に「CPU30b」という)は、イメージスキャナ1の各部を制御して1枚目の原稿を読み取らせる。ユーザが原稿の一番上にテンプレート原稿を載置した場合はテンプレート原稿が1枚目の原稿として読み取られることになる。
S102では、CPU30bは1枚目の原稿を読み取って生成された画像データを解析する。この解析では、ページ番号の抽出、原稿のサイズの検出、余白領域のサイズの検出、画像領域のサイズの検出、及び特定の文字列の認識が行われる。特定の文字列は、実施形態1の場合には「公開特許公報」、「週刊」、及び、「伝票」であり、これらの文字列は読取制御プログラムにハードコーディングされている。
【0055】
S103では、CPU30bはS102で「公開特許公報」、「週刊」、又は、「伝票」のいずれかの文字列を認識できたか否かを判定し、認識できた場合はS104に進み、認識できなかった場合はS105に進む。
S104では、CPU30bは原稿群5の一部が有している特徴を間接的に判断して判断基準を選択する「間接的な判断による選択処理」を実行する。
【0056】
S105では、CPU30bは原稿群5の一部が有している特徴を直接的に判断して判断基準を選択する「直接的な判断による選択処理」を実行する。
S106では、CPU30bは積載トレイ15に積載されている残りの原稿を読み取る残り原稿読取処理を実行して原稿読取処理を終了する。
【0057】
(5−1)間接的な判断による選択処理
図10は、間接的な判断による選択処理の流れを示すフローチャートである。
S201では、CPU30bはS102で「公開特許公報」という文字列を認識できたか否かを判定し、認識できた場合はS202に進み、認識できなかった場合はS203に進む。
【0058】
S202では、CPU30bは判断基準1を選択する。先述したように「公開特許公報」という文字列を認識できた場合は原稿群5が「全ての原稿にページ番号が表記されている」という特徴を有していると想定できる。このため、その原稿群の特徴に対して用意された判断基準1が選択される。
S203では、CPU30bはS102で「週刊」という文字列を認識できたか否かを判定し、認識できた場合はS204に進み、認識できなかった場合はS205に進む。
【0059】
S204では、CPU30bは、判断基準2を選択する。先述したように「週刊」という文字列を認識できた場合は原稿群5が「ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在している」という特徴を有していると想定できる。このため、その原稿群の特徴に対して用意された判断基準2が選択される。
S205では、CPU30bは「伝票」が認識されたとして、判断基準3を選択する。先述したように「伝票」という文字列を認識できた場合は原稿群5が「原稿のサイズが互いに同じである」という特徴を有していると想定できる。このため、その原稿群の特徴に対して用意された判断基準3を選択する。
【0060】
(5−2)直接的な判断による選択処理
図11は、直接的な判断による選択処理の流れを示すフローチャートである。
S301では、CPU30bはS102でページ番号を抽出できたか否かを判定し、抽出できた場合はS302に進み、抽出できなかった場合はS303に進む。
【0061】
S302では、CPU30bは、判断基準2を選択する。先述したようにページ番号が抽出できた場合は原稿群5が「ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在している」という特徴を有していると想定できる。このため、その特徴に対して用意された判断基準2が選択される。
S303では、CPU30bはイメージスキャナ1の各部を制御して2枚目の原稿を読み取らせる。ユーザが原稿の一番上にテンプレート原稿を2枚載置した場合は2枚目のテンプレート原稿が2枚目の原稿として読み取られることになる。
【0062】
S304では、CPU30bは2枚目の原稿を読み取って生成された画像データを解析する。この解析では、原稿のサイズの検出、余白領域のサイズの検出、及び、画像領域のサイズの検出が行われる。
S305では、CPU30bはS304で検出した余白領域のサイズがS102で検出した余白領域のサイズと同じであるか否か、及び、S304で検出した画像領域のサイズがS102で検出した画像領域のサイズと同じであるか否かを判定し、少なくとも一方が同じである場合はS306に進み、どちらも同じでない場合はS307に進む。
【0063】
S306では、CPU30aは判断基準4を選択する。先述したように原稿群5の一部として読み取られた原稿間で余白領域のサイズ、及び、画像領域のサイズの少なくとも一方が同じである場合は原稿群5が「原稿の余白領域のサイズ、及び、画像領域のサイズの少なくとも一方が原稿間で同じである」という特徴を有していると想定できる。このため、その特徴に対して用意された判断基準4が選択される。
S307では、CPU30bはS304で検出した原稿のサイズがS102で検出した原稿のサイズと同じであるか否かを判定し、同じである場合はS308に進み、同じでない場合はS309に進む。
S308では、CPU30bは判断基準3を選択する。先述したように原稿群5の一部として読み取られた原稿のサイズが同じである場合は原稿群5が「原稿のサイズが同じである」という特徴を有していると想定できる。このため、その特徴に対して用意された判断基準3が選択される。
【0064】
S309では、CPU30bは積載トレイ15に積載されている原稿の枚数が閾値未満であるか否かを判定する。
具体的には、CPU30bは原稿厚検出センサ24から検出信号を取得し、取得した検出信号によって示される原稿厚から原稿の枚数を判断する。
CPU30bは、原稿の枚数が閾値未満である場合はS310に進み、閾値以上である場合はS311に進む。
なお、閾値が大きすぎると後述するS310でユーザが原稿の枚数を入力する際に原稿の枚数を数える負担が大きくなるので、閾値はユーザの負担とならない範囲で設定することが望ましい。
【0065】
S310では、CPU30bは判断基準5を選択する。そして、CPU30bは、ユーザによる原稿枚数の入力を受け付ける図示しない枚数入力画面を操作部38に表示してユーザに原稿の枚数を入力させる。
【0066】
S311では、CPU30bは以下に説明する判断基準指定画面52を操作部38に表示してユーザに判断基準を指定させ、ユーザによって指定された判断基準を選択する。
【0067】
図12は、判断基準指定画面52の一例を示す模式図である。ユーザは判断基準に対応するチェックボックスをチェックすることにより、その判断基準を指定することができる。図示するようにユーザは複数の判断基準を指定することができる。
また、「指定されたページ番号の画像データがカラーではない」を指定した場合は、ユーザはカラーの画像データが生成される順番を入力し、「指定されたページ番号の画像データがモノクロではない」を指定した場合はモノクロの画像データが生成される順番を入力する。同様に、「指定された枚数と読み取った枚数とが異なる」を指定した場合は、ユーザは原稿の枚数を入力する。
【0068】
上述した原稿読取処理、間接的な判断による選択処理、及び、直接的な判断による選択処理は、選択処理の一例である。
【0069】
(5−3)残り原稿読取処理
図13は、残り原稿読取処理の流れを示すフローチャートである。
S401では、CPU30bは積載トレイ15に積載されている原稿の読み取りが完了したか否かを判定し、完了していない場合はS402に進み、完了した場合はS407に進む。
【0070】
S402では、CPU30bはイメージスキャナ1の各部を制御して原稿を1枚読み取らせ、画像データを生成する。
S403では、CPU30bは生成した画像データを解析する。
この解析は選択した判断基準に応じて行われる。例えば、判断基準1や判断基準2を選択した場合はページ番号の抽出が行われ、判断基準3を選択した場合は原稿のサイズの検出が行われる。
【0071】
S404では、CPU30bはS403での解析結果を選択した判断基準に照らして原稿が重送されているか否かを判断し、原稿が重送されていると判断した場合はS405に進み、重送されていないと判断した場合はS401に戻る。S404は判断処理の一例である。
S405では、CPU30bは読み取りを中断するか否かを判断する。
具体的には、ユーザは重送と判断されたときに読み取りを中止するか否かを予め設定しておくことができ、CPU30bは中止するよう設定されていない場合はS406に進み、中止するよう設定されている場合は原稿の読み取りを中止してS408に進む。
【0072】
S406では、CPU30bは重送された原稿を読み取ったときの順番を記憶する。
S407では、CPU30bはS404で一度でも原稿が重送されていると判定されている場合はS408に進み、重送されていると判定されていない場合は本処理を終了して原稿読取処理に戻る。
S408では、CPU30bは原稿の読取を終了して重送された原稿を読み取ったときの順番をユーザに通知する。例えば、2枚目の原稿と3枚目の原稿とが重送された場合、2枚目の原稿と3枚目の原稿とが重送されたことをユーザに通知する。
【0073】
(6)実施形態の効果
例えば、原稿が重送されているか否かを判断する判断基準が、ページ番号が不連続に変化したら原稿が重送されていると判断するという判断基準に固定されているとすると、原稿にページ番号が表記されていない原稿群5の場合には、原稿が重送されているか否かを判断することができない、あるいは、重送されていないにもかかわらず重送であると誤判定されてしまう虞がある。
実施形態1に係るイメージスキャナ1によると、原稿群の特徴ごとに用意され、原稿が重送されているか否かを判断する複数の判断基準の中から、重送の判断に用いる判断基準を選択するので、判断基準が固定されてしまっている場合に比べ、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる。
【0074】
更に、イメージスキャナ1によると、原稿群5の一部を読み取って生成された画像データを解析して当該一部が有している特徴を判断し、その判断した特徴に基づいて重送を判断する判断基準を選択する。このため、例えば原稿群5の特徴をユーザに入力させる場合に比べ、判断基準を選択する際のユーザの負担を軽減できる。
【0075】
更に、イメージスキャナ1によると、原稿群5の一部がページ番号を有している場合は、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していなければ原稿が重送されていると判断する判断基準を選択するので、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる判断基準を選択できる。
【0076】
更に、イメージスキャナ1によると、原稿群5の一部として読み取られた複数の原稿が同じサイズを有している場合は、原稿のサイズが変化したら原稿が重送されていると判断する判断基準を選択するので、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる判断基準を選択できる。
【0077】
更に、イメージスキャナ1によると、原稿群5の一部として読み取られた複数の原稿の余白領域のサイズ、及び、前記余白領域以外の領域のサイズの少なくとも一方が同じ場合は、原稿の余白領域のサイズ、及び、余白領域以外の領域のサイズの少なくとも一方が変化したら原稿が重送されていると判断する判断基準を選択するので、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる判断基準を選択できる。
【0078】
更に、イメージスキャナ1によると、原稿群5の一部の内容に特定の情報が含まれている場合は、その情報に対応付けられている判断基準を選択することにより、原稿群5の特徴に応じた判断基準を選択できる。
【0079】
更に、イメージスキャナ1によると、原稿群5の一部が予め決められた文字列を有している場合は、ページ番号が不連続に変化したら原稿が重送されていると判断する判断基準を選択するので、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる判断基準を選択できる。
【0080】
更に、イメージスキャナ1によると、原稿の枚数の入力が受け付けられた場合は、読み取った原稿の枚数がユーザによって入力された枚数と合致しなければ原稿が重送されていると判断する判断基準を選択するので、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる判断基準を選択できる。
【0081】
更に、イメージスキャナ1によると、カラーの原稿が読み取られる順番、及び、モノクロの原稿が読み取られる順番の少なくとも一方の入力が受け付けられた場合は、カラーの画像を表す画像データが生成された順番、及び、モノクロの画像を表す画像データが生成された順番の少なくとも一方がユーザによって入力された順番と合致しなければ原稿が重送されていると判断する判断基準を選択するので、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる判断基準を選択できる。
【0082】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を説明する。
実施形態1ではイメージスキャナ1が画像データを解析して原稿群5の一部が有している特徴を判断し、その判断した特徴に基づいて重送を判断する判断基準を選択する場合を例に説明したが、実施形態2では判断基準をユーザに指定させ、ユーザによって指定された判断基準を選択する。判断基準の指定は前述した判断基準指定画面52を用いて行うことができる。
【0083】
実施形態2では、ユーザは原稿の読み取りを指示する前に判断基準を指定する。そして、実施形態2では、ユーザが原稿の読み取りを指示すると、実施形態1の残り原稿読取処理が直接呼び出される。この残り原稿読取処理において、CPU38aは、S404において、S403での解析結果をユーザが指定した判断基準に照らして原稿が重送されているか否かを判断する。
以上説明した実施形態2に係るイメージスキャナ1によると、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる判断基準をユーザが指定できる。
【0084】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図14によって説明する。
実施形態1及び実施形態2では判断基準の選択や原稿が重送されているか否かの判断をイメージスキャナ1によって行う場合を例に説明したが、実施形態3ではイメージスキャナ1に接続されているパーソナルコンピュータ2によって実行する。以下、パーソナルコンピュータをPCと略す。
【0085】
図14は、PC2の電気的構成を示すブロック図である。PC2は、CPU71、ROM72、RAM73、表示部74、操作部75、記憶部76、通信インタフェース78などを備えて構成されている。
CPU71は、ROM72や記憶部76に記憶されている各種のプログラムを実行することによってPC2の各部を制御する。ROM72にはCPU71が実行するための各種のプログラムやデータなどが記憶されている。RAM73はCPU71が各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0086】
表示部74は、液晶ディスプレイなどの表示装置、表示装置を駆動する駆動回路を備えて構成されている。
操作部75は、マウスやキーボードなどで構成されている。
記憶部76は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体を用いて各種のプログラムやデータを記憶する装置である。記憶部76には、オペレーティングシステム(OS)80、アプリケーションプログラム(アプリケーション)81、読取制御プログラムとしてのスキャナドライバ82などが記憶されている。
【0087】
通信インタフェース78は、LAN(LocalAria Network)などの通信ネットワーク、USB(Universal Serial Bus)、パラレル回線などを介してイメージスキャナ1と通信するためのインタフェースである。
【0088】
PC2は、スキャナドライバ82を実行することにより、イメージスキャナ1に原稿の読み取りを指示し、イメージスキャナ1が原稿を読み取って生成した画像データをイメージスキャナ1から取得するPCスキャンを実行することができる。
実施形態1においてイメージスキャナ1のCPU30bによって実行されていた原稿読取処理、間接的な判断による選択処理、直接的な判断による選択処理、及び、残り原稿読取処理は、実施形態3ではスキャナドライバ82を実行するCPU71によって実行される。実施形態3はその他の点において実施形態1と実質的に同一であるので詳細な説明は省略する。
以上説明した実施形態3に係るスキャナドライバ82によると、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる。
【0089】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0090】
(1)上記実施形態1では前述した各処理がCPU30bによって実行される場合を例に説明したが、これらの処理は複数のCPUあるいはASICによって実行されてもよい。
【0091】
(2)上記実施形態1では原稿群5の一部が有している特徴を順に判断し、最初に原稿群5の一部が有していると判断された特徴に基づいて重送を判断する判断基準を選択する場合を例に説明したが、全ての特徴について判断し、原稿群5の一部が有していると判断される特徴に対応する全ての判断基準を選択してもよい。
例えば、原稿群5の一部が「全ての原稿にページ番号が表記されている」という特徴、及び、「原稿のサイズが互いに同じである」という特徴の両方を有していると判断される場合は、判断基準1及び判断基準3の両方を選択し、いずれか一方の判断基準によって原稿が重送されていると判断された場合は原稿が重送されていると判断してもよい。
【0092】
(3)上記実施形態1では原稿群5の一部が有している特徴を特定の順で判断しているが、特徴を判断する順は適宜に選択可能であり、実施形態1に示した順に限定されるものではない。
【0093】
(4)上記実施形態1では原稿群5の一部の原稿に基づいて原稿群5全体の特徴を推定する場合を例に説明したが、原稿群5の特徴をユーザが入力するようにしてもよい。
例えば、ユーザは、読み取らせようとしている原稿に全てページ番号が表記されている場合はイメージスキャナ1の操作部38を操作して「全ての原稿にページ番号が表記されている」という項目をチェックし、イメージスキャナ1は、当該項目がチェックされている場合は判断基準1を選択するようにしてもよい。
【0094】
(5)上記実施形態1では原稿群5の一部の原稿に基づいて原稿群5全体の特徴を推定し、その特徴に基づいて重送を判断する判断基準を選択する場合を例に説明し、一方、上記実施形態2では判断基準をユーザに指定させ、ユーザによって指定された判断基準を選択する場合を例に説明したが、どちらの方法によって判断基準を選択するかをユーザが選択できるようにしてもよい。
【0095】
(6)上記実施形態では画像読取装置としてイメージスキャナ1を例に説明したが、画像読取装置は原稿を読み取って生成した画像データを印刷する複写機であってもよいし、原稿を読み取って生成した画像データをファクシミリ送信するファクシミリ装置であってもよいし、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを有する複合機であってもよい。
【0096】
(7)上記実施形態では読み取った原稿の一部の特徴(ページ番号、特定の文字列、画像領域G及び余白領域Wのサイズ等)に対応する判断基準が読取制御プログラム中にハードコーディングされている場合を例に説明したが、読み取った原稿の一部の特徴及びそれに対応する判断基準をROM30aに記憶させておき、ROM30aを参照することによって読み取った原稿の一部の特徴に対応する判断基準を選択するようにしてもよい。
また、上記実施形態では「公開特許公報」などの文字列が読取制御プログラムにハードコーディングされている場合を例に説明したが、文字列とそれに対応する判断基準とを対応付けた対応付けテーブルをROM30aに記憶させておき、S102においてそのテーブルに記憶されている文字列を認識し、その文字列を認識できた場合はその文字列に対応付けられてテーブルに記憶されている判断基準を選択してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1・・・イメージスキャナ、2・・・パーソナルコンピュータ、5・・・原稿群、15・・・積載トレイ、19・・・読取デバイス、24・・・原稿厚検出センサ、30・・・制御部、38・・・操作部、82・・・スキャナドライバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の原稿からなる原稿群が積載される積載部と、
前記積載部に積載されている前記原稿を一枚ずつ搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されている前記原稿を読み取って画像データを生成する読取部と、
前記原稿群の特徴ごとに用意され、前記原稿が重送されているか否かを判断する複数の判断基準の中から、重送の判断に用いる判断基準を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された前記判断基準を用いて前記原稿が重送されているか否かを判断する判断部と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記選択部は、前記原稿群の一部を読み取って生成された前記画像データを解析して当該一部が有している特徴を判断し、当該判断した特徴に基づいて重送を判断する前記判断基準を選択する、画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記選択部は、前記一部がページ番号を有している場合は、ページ番号が表記されている前記原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していなければ前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択する、画像読取装置。
【請求項4】
請求項2乃至請求項3に記載の画像読取装置であって、
前記選択部は、前記一部として読み取られた複数の原稿が同じサイズを有している場合は、前記原稿のサイズが変化したら前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択する、画像読取装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記選択部は、前記一部として読み取られた複数の原稿の余白領域のサイズ、及び、前記余白領域以外の領域のサイズの少なくとも一方が同じ場合は、前記原稿の余白領域のサイズ、及び、余白領域以外の領域のサイズの少なくとも一方が変化したら前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択する、画像読取装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
特定の情報と前記判断基準とを対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記選択部は、前記一部の内容に前記特定の情報が含まれている場合は、その情報に対応付けられている前記判断基準を選択する、画像読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読取装置であって、
前記特定の情報は予め決められた文字列であり、
前記選択部は、前記一部が前記文字列を有している場合は、前記ページ番号が不連続に変化したら前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択する、画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記積載部に積載されている前記原稿の枚数が閾値未満であるか否かを判断する枚数判断部と、
前記枚数判断部によって前記原稿の枚数が前記閾値未満であると判断された場合に、前記原稿の枚数の入力をユーザから受け付ける枚数受付部と、
を備え、
前記選択部は、前記枚数受付部によって原稿の枚数の入力が受け付けられた場合は、前記読取部によって読み取った前記原稿の枚数がユーザによって入力された枚数と合致しなければ前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択する、画像読取装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
カラーの前記原稿が読み取られる順番、及び、モノクロの前記原稿が読み取られる順番の少なくとも一方の入力をユーザから受け付ける読取順受付部を備え、
前記選択部は、前記読取順受付部によってカラーの前記原稿が読み取られる順番、及び、モノクロの前記原稿が読み取られる順番の少なくとも一方の入力が受け付けられた場合は、カラーの画像を表す前記画像データが生成された順番、及び、モノクロの画像を表す前記画像データが生成された順番の少なくとも一方がユーザによって入力された順番と合致しなければ前記原稿が重送されていると判断する前記判断基準を選択する、画像読取装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記選択部は、ユーザによる前記判断基準の選択を受け付け、ユーザにより選択された前記判断基準を選択する、画像読取装置。
【請求項11】
1以上の原稿からなる原稿群が積載される積載部と、
前記積載部に積載されている前記原稿を一枚ずつ搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されている前記原稿を読み取って画像データを生成する読取部と、
を備える画像読取装置と通信可能に接続される情報処理装置に、
前記原稿群の特徴ごとに用意され、前記原稿が重送されているか否かを判断する複数の判断基準の中から、重送の判断に用いる判断基準を選択する選択処理と、
前記選択処理によって選択された前記判断基準を用いて前記原稿が重送されているか否かを判断する判断処理と、
を実行させる読取制御プログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−31090(P2013−31090A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167013(P2011−167013)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】