画像読取装置、画像形成装置、及びプログラム
【課題】光源に応じた色レベルの差異に対して適切な色変換係数群により色空間の変換を行う画像読取装置、画像形成装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】色変換パラメータ記憶部122には、黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせと色変換パラメータとの対応関係表が予め記憶されている。色変換パラメータ設定処理では、黄色の色見本及びシアン色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で画像データ(L*、a*、b*)に色変換処理し、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120が色変換パラメータ設定回路114から、黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得する。色変換パラメータ設定部120は、色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表に基づいて、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせに対応する色変換パラメータを選択する。
【解決手段】色変換パラメータ記憶部122には、黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせと色変換パラメータとの対応関係表が予め記憶されている。色変換パラメータ設定処理では、黄色の色見本及びシアン色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で画像データ(L*、a*、b*)に色変換処理し、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120が色変換パラメータ設定回路114から、黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得する。色変換パラメータ設定部120は、色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表に基づいて、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせに対応する色変換パラメータを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、異なる発光体からの光が合成された光を生成し、被照射体に当該光を照射する光源と、前記光源から照射され前記被照射体から反射された光を読み取り、当該被照射体に関する第1の色空間での画像情報を生成する読取手段と、前記読取手段にて生成された前記被照射体に関する前記第1の色空間の画像情報を、予め設定された色変換係数群を用いて第2の色空間の画像情報に変換する色変換手段と、前記光源の前記光を生成する前記発光体の何れか一つが発生する光の色からなる色見本を前記被照射体とする前記画像情報を前記読取手段から取得し、取得した当該画像情報に応じて前記色変換手段にて使用する前記色変換係数群を決定し、当該色変換係数群を当該色変換手段に設定する色変換係数群設定手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−024135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光源に応じた色レベルの差異に対して適切な色変換係数群により色空間の変換を行う画像読取装置、画像形成装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像読取装置は、光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルが示された第1画像情報を生成する読取手段により生成された第1画像情報を、予め定められた色変換係数群を用いて、前記第1色空間と異なる第2色空間における色レベルが示された第2画像情報に変換する変換手段と、光源に応じた色レベルの差異を補正するための予め定められた複数色の色見本を前記被照射体として前記読取手段で読み取って生成された第1画像情報から前記変換手段により変換された前記複数色の色見本の第2画像情報を取得し、前記複数色の色見本を読み取った際の光源に応じた色レベルの差異により予め定められた、前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルと色変換係数群との対応関係に基づいて、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報に対応する色変換係数群を選択して前記変換手段の予め定められた色変換係数群に代えて設定する設定手段と、を備えた画像読取装置。
【0006】
請求項2に記載の画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記対応関係は、前記複数色同士の第2画像情報の色レベルの組み合わせと色変換係数群との対応関係を示す対応関係表である。
【0007】
請求項3に記載の画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記対応関係は、前記色レベルの差異に応じて前記複数色毎に予め定められた閾値と色変換係数群との対応関係であり、前記設定手段は、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルが前記閾値以上であるか否かの判断結果に基づいて、色変換係数群を選択する。
【0008】
請求項4に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記設定手段は、取得した前記複数色の色見本の第2色情報の色レベルの組み合わせが、前記対応関係により色変換係数群と対応付けられていない場合は、予め定められた処理を行う。
【0009】
請求項5に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記複数色は、黄色及びシアン色であり、前記第2色空間は、L*a*b*色空間であり、前記設定手段は、第2画像情報のうち、黄色の色レベルであるb*値及びシアン色の色レベルであるa*値を取得する。
【0010】
請求項6に記載の画像形成装置は、光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルを示す第1画像情報を生成する読取手段と、前記読取手段で生成された第1画像情報を色変換係数群を用いて第2画像情報に変換する変換手段、及び変換手段が用いる色変換係数群を設定する設定手段を備えた前記請求項1から前記請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置で変換された第2画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、を備えた。
【0011】
請求項7に記載のプログラムは、光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルが示された第1画像情報を生成する読取手段により生成された第1画像情報を、予め定められた色変換係数群を用いて、前記第1色空間と異なる第2色空間における色レベルが示された第2画像情報に変換する変換手段と、光源に応じた色レベルの差異を補正するための予め定められた複数色の色見本を前記被照射体として前記読取手段で読み取って生成された第1画像情報から前記変換手段により変換された前記複数色の色見本の第2画像情報を取得し、前記複数色の色見本を読み取った際の光源に応じた色レベルの差異により予め定められた、前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルと色変換係数群との対応関係に基づいて、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報に対応する色変換係数群を選択して前記変換手段の予め定められた色変換係数群に代えて設定する設定手段と、してコンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項6、及び請求項7に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、光源に応じた色レベルの差異に対して適切な色変換係数群により色空間の変換を行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、適切な色変換係数群を容易に選択することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、色変換係数群の設定処理速度を向上させられる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、不適切な色変換パラメータが設定されるのを抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、より適切な色変換係数群を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例の全体の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像読取装置の一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る照明ユニットの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図4】第1の実施の形態に係る信号処理部の一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図5】第1の実施の形態に係る信号処理部の一例の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施の形態に係る色変換パラメータ設定回路の一例の構成を示すブロック図である。
【図7】第1の実施の形態に係る基本例における、照明ユニットの光源であるLEDの各カテゴリの色レベルのバラツキを説明するための説明図であり、(A)は、黄色のb*値の上限値及び下限値を示しており、(B)は、シアン色のa*値の上限値及び下限値を示している。
【図8】図7に示した黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせと各カテゴリとの対応関係を表した二元表である。
【図9】各カテゴリ毎に7個のLEDの黄色のa*値、b*値及びシアン色のa*値、b*値を示した説明図であり、(A)は、黄色のa*値及びb*値を示しており、(B)は、シアン色のa*値及びb*値を示している。
【図10】図9に示した黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせと各カテゴリとの対応関係を表した二元表である。
【図11】第1の実施の形態に係る色変換パラメータ処理の一例を示したフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態に係る各カテゴリにおける黄色のb*値及びシアン色のa*値の分布と閾値TH1及び閾値TH2との関係を説明するための説明図である。
【図13】第2の実施の形態に係る色変換パラメータ処理の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施の形態]
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0020】
まず、図1を参照して、本実施の形態の画像形成装置の概略について説明する。図1に、本実施の形態の画像形成装置の一例の全体の概略構成を示す。
【0021】
図1に示す本実施の形態の画像形成装置10は、複写機能やプリント機能やファクシミリ機能等を複合的に備えた多機能装置であり、画像読取装置12と、画像形成装置部14と、で構成されている。
【0022】
まず、画像形成装置部14について説明する。本実施の形態の画像形成装置部14は、各色の画像データに基づき画像を形成する画像形成部20と、画像形成装置10全体の動作を制御する制御部40と、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、及びインターネット等のネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)等の外部装置から画像データを受信する通信部44と、を備えている。また、本実施の形態の画像形成装置部14は、公衆回線を通じて画像データの送受信を行うファクシミリ(FAX)部46と、画像読取装置12や通信部40等から転送された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部42と、ユーザからの指示を受け付けたり、画像読取及び画像形成に関する情報をユーザに提示したりするU/I(ユーザインターフェイス)部48と、を備えている。
【0023】
画像形成部20は、例えば電子写真方式により画像を形成する機能部であって、並列的に配置される4つの画像形成ユニット21Y、21M、21C、21K(以下、総称する場合は、画像形成ユニット21という)を備えている。各画像形成ユニット21は、例えば、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム22、感光体ドラム22の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器23、帯電器23によって帯電された感光体ドラム22を画像データに基づいて露光するプリントヘッド24、感光体ドラム22上に形成された静電潜像を現像する現像器25、及び転写後の感光体ドラム22表面を清掃するクリーナ26で構成されている。
【0024】
また、画像形成部20は、各画像形成ユニット21の感光体ドラム22にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写体27、各画像形成ユニット21による各色トナー像を中間転写体27に順次転写(一次転写)させる一次転写ロール28、中間転写体27上に転写されて重ね合わされたトナー像を記録材(記録用紙P)に一括転写(二次転写)させる二次転写ロール29、及び二次転写された画像を記録用紙P上に定着させる定着器30を備えている。
【0025】
画像形成部20の各画像形成ユニット21は、電子写真方式によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット21で形成された各色トナー像は、一次転写ロール28により中間転写体27上に順次静電転写され、各色トナーが重ね合わされた合成トナー像が形成される。中間転写体27上の合成トナー像は、中間転写体27の移動(図1の矢印A方向)に伴って二次転写ロール29が配置された領域に搬送され、用紙収納部31A、321Bから供給(図1の矢印B方向)される記録用紙P上に一括して静電転写される。その後、記録用紙P上に静電転写された合成トナー像は、定着器30によって定着処理を受けて記録用紙P上に定着される。
【0026】
次に、本実施の形態の画像読取装置12について説明する。図2に、本実施の形態の画像読取装置12の概略構成を示す。本実施の形態の画像読取装置12は、自動原稿送り装置50と、原稿の表面に形成された画像を読み取る画像読取処理部52と、を備えて構成されている。
【0027】
本実施の形態の自動原稿送り装置50は、少なくとも1枚の原稿が置かれる原稿台60と、原稿を搬送する原稿搬送路61と、画像を読み取った後の原稿が排出される排出台62と、を含んで構成されている。
【0028】
原稿搬送路61は、U字状に形成され、原稿搬送路61の周囲には、用紙送出ロール63、送出ロール64、プリ位置合わせロール65、位置合わせロール66、プラテンロール67、アウトロール68、及び排出ロール69が設けられている。用紙送出ロール63は、原稿送り時に下降し、原稿台60に置かれた原稿をピックアップする。送出ロール64は、用紙送出ロール63から送られた原稿のうち最上部にある原稿を内部に供給する。プリ位置合わせロール65は、送出ロール64から送られた原稿を一時停止させ、斜行補正する。位置合わせロール66は、プリ位置合わせロール65から送られた原稿を一時停止させ、読取りタイミングを調整する。プラテンロール67は、原稿搬送路261通る原稿を第2プラテンガラス74に対峙させる。アウトロール68及び排出ロール69は、読み取った原稿を排出台62へ排出する。
【0029】
本実施の形態の画像読取装置12は、原稿台60から自動原稿送り装置50により送られた原稿の表面を流し読みする機能と、第1プラテンガラス70上に置かれた原稿の表面を読み取る機能と、を備えている。
【0030】
本実施の形態の画像読取処理部14は、筐体75内に、CCDイメージセンサ88、信号処理部90、及びスキャナ制御部92等を備えている。
【0031】
筐体75の自動原稿送り装置50に対向する面には、図2に示すように、画像を読み取る原稿が置かれる第1プラテンガラス70、白基準板72、及び自動原稿送り装置50によって搬送中の原稿を読み取るために原稿に光を照射するための開口部となる第2プランテンガラス74が設けられている。
【0032】
また、画像読取装置12は、第2プラテンガラス74の読取位置Mに静止するか、または第1プラテンガラス70の全体に亘って走査(スキャン)しながら画像を読み取るフルレートキャリッジ76、フルレートキャリッジ76から得られた光をCCDイメージセンサ88に導くハーフレートキャリッジ78を筐体75内に備えている。
【0033】
フルレートキャリッジ76は、原稿に光を照射する光源を備えた照明ユニット80、照明ユニット80から出射された光を原稿面に向けて拡散させながら反射する拡散反射部材83、原稿面から得られた反射光をハーフレートキャリッジ78に向けて反射する第1ミラー82を備えている。
【0034】
ハーフレートキャリッジ78は、フルレートキャリッジ76から得られた光をCCDイメージセンサ88へ導く第2ミラー85及び第3ミラー84を備えている。
【0035】
本実施の形態の照明ユニット80は、光源として白色発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode、以下、LEDという)が複数配列されて構成されている。本実施の形態の照明ユニット80の一例の概略構成図を図3に示す。本実施の形態の照明ユニット80は、多層基板87上にLEDチップ(以下、単にLEDという)81が複数、主走査方向に沿って配列されている。なお、本実施の形態では、中間転写体27の搬送方向(図1、矢印A方向)を副走査方向としており、これと交差する方向を主走査方向としている。
【0036】
本実施の形態ではLED81は白色LEDであり、具体的には、青色LEDチップと黄色の蛍光物質を含有させた透明樹脂とが積層されて構成されている。青色LEDチップの放つ青色光によりチップ周囲の黄色蛍光物質を励起させて、黄色の蛍光を発生させる。それにより、補色関係にある青色と黄色とを足し合わせて(合成させて)、白色光を生成する。
【0037】
本実施の形態のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ88は、ハーフレートキャリッジ78から得られた光学像を光学的に縮小する結像レンズ86によって結像された光学像を光電変換してR(赤)、G(緑)、B(青)の各色信号(画像信号)を生成する機能を有している。本実施の形態のCCDイメージセンサ88は、具体的一例として、R、G、Bの各色用の1次元ラインセンサが3列一組で配置された構成としている。
【0038】
また、スキャナ制御部92は、画像読取装置12の動作を制御する機能を有するものであり、本実施の形態の信号処理部90は、CCDイメージセンサ88からの各色の画像信号(R、G、B)を処理して画像データを生成する機能を有している。スキャナ制御部92及び信号処理部90は、信号線によって画像形成装置部14の制御部40及び画像処理部42にそれぞれ接続され、相互に制御信号や読取画像データ等の送受信を行う。
【0039】
本実施の形態の画像読取装置12において第1プラテンガラス70に置かれた原稿を読み取る場合には、画像形成装置部14のU/I部48からのユーザの操作指示に基づき、画像形成装置部14の制御部40がスキャナ制御部92に対して第1プラテンガラス70に載せられた原稿の読取りを指示する。
【0040】
画像形成装置部14の制御部40から第1プラテンガラス70に載せられた原稿の読取り指示を受けたスキャナ制御部92は、フルレートキャリッジ76とハーフレートキャリッジ78とをスキャン方向(図2矢印C方向)に移動させる。さらには、フルレートキャリッジ76の照明ユニット80を発光させ、原稿面を照射する。当該照射により、原稿からの反射光が第1ミラー82、第2ミラー85、及び第3ミラー84を経て結像レンズ86に導かれる。結像レンズ86に導かれた光は、CCDイメージセンサ88の受光面に結像される。CCDイメージセンサ88は、R、G、B各色毎に1ライン分を略同時に処理する。そして、このライン方向の読取りを原稿サイズ全体に亘るスキャンによって実行することで、1ページ分の原稿読み取りを行う。
【0041】
このようにしてCCDイメージセンサ88によって得られた画像信号(R、G、B)は信号処理部90に転送される。
【0042】
一方、画像読取装置12において原稿台60に置かれた原稿を読み取る場合には、画像形成装置部14のU/I部48からのユーザの操作指示に基づき、画像形成装置部14の制御部40がスキャナ制御部92に対して原稿台60に置かれた原稿の読取りを指示する。
【0043】
画像形成装置部14の制御部40から原稿台60に置かれた原稿の読取り指示を受けたスキャナ制御部92は、原稿台60に置かれた原稿を原稿搬送路61に沿って第2プラテンガラス74の読取位置Mに搬送する。このとき、フルレートキャリッジ76とハーフレートキャリッジ78とは、図2に示す実線の位置に停止した状態に設定される。そして、フルレートキャリッジ76の照明ユニット80を発光させ、原稿面を照射する。それにより、プラテンロール67により第2プラテンガラス74に密着された原稿の反射光が、第1ミラー82、第2ミラー85、及び第3ミラー84を経て結像レンズ86に導かれる。結像レンズ86に導かれた光は、CCDイメージセンサ88の受光面に結像される。CCDイメージセンサ88は、R、G、B各色毎に1ライン分を略同時に処理する。そして、原稿全体を第2プラテンガラス74の読取位置Mを通過させることによって、1ページ分の原稿読み取りを行う。
【0044】
このCCDイメージセンサ88によって得られた画像信号(R、G、B)は信号処理部90に転送される。
【0045】
なお、照明ユニット80からCCDイメージセンサ88に至る光路上に配置される各種部材や、信号処理部90を構成する各機能部、さらには必要に応じた他の構成部は、光源である照明ユニット80から照射され被照射体である原稿から反射された光を読み取り、被照射体に関する画像情報を生成する読取手段として機能する。
【0046】
続いて、CCDイメージセンサ88にて生成された各色画像信号(R、G、B)を処理する機能を有する信号処理部90について説明する。
【0047】
まず、信号処理部90のハードウエア構成について説明する。図4は、本実施の形態の信号処理部90の一例の概略構成図である。本実施の形態の信号処理部90は、CPU93、RAM94、ROM95、NVM(Non Volatile Memory:不揮発性メモリ)97、及びI/F部98を備えて構成されている。CPU93、RAM94、ROM95、NVM97、及びI/F(インターフェース)部96は、コントロールバスやデータバス等のバス99を介して互いに情報等の授受されるように接続されている。
【0048】
CPU93は、原稿を読み取って生成した画像信号を処理するに際して、予め定められた処理プログラムに従ってデジタル演算処理を実行する機能を有する。RAM94は、CPU93でプログラム96を実行する際の作業用の領域を確保するものである。ROM95は、CPU93での処理に使用される各種設定値等や詳細を後述する色変換パラメータ設定処理のプログラム96等が格納される。本実施の形態では、当該プログラム96がCPU93により実行されることにより、詳細を後述する色変換パラメータ設定処理が行われる。NVM97は、電源供給が途絶えた場合にもデータを保持される、電池によりバックアップされたフラッシュメモリ等である。また、I/F部98は、信号処理部90に接続される画像形成装置部14の制御部40や画像処理部42等の各構成部との信号の入出力を制御するものである。
【0049】
なお、本実施の形態では、プログラム96は、予め格納されている構成としているがこれに限らず、外部装置(図示省略)からROM95にインストールされるように構成してもよい。また、インターネット等のネットワークを介して信号処理部90にプログラムが伝送され、信号処理部90のROM95にインストールされるように構成してもよい。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ、USB等の外部記録媒体からROM95にインストールされるように構成してもよい。
【0050】
次に、本実施の形態の信号処理部90が有する各回路の構成を説明する。図5は、本実施の形態の信号処理部90の一例のブロック図である。
【0051】
図5に示すように本実施の形態の信号処理部90は、サンプルホールド回路100と、黒レベル調整回路102と、増幅回路104と、A/D(アナログ/デジタル)変換回路106と、シェーディング補正回路108と、を備えている。
【0052】
サンプルホールド回路100は、CCDイメージセンサ88から転送された各色のアナログ画像信号(R、G、B)をサンプリング(標本化)するとともに予め定められた期間ホールド(保持)するサンプリングホールドを行う機能を有するものである。黒レベル調整回路102は、サンプルホールド回路100によりサンプリングホールドされたアナログ画像信号(R、G、B)について、読み取られた原稿(以下、読取原稿という)の黒に対応する出力と画像読取装置12の出力の黒レベルとが一致(略一致も含む)するように調整する機能を有するものである。増幅回路104は、黒レベル調整された後のアナログ画像信号(R、G、B)を増幅する機能を有するものである。A/D変換回路106は、増幅回路104により増幅されたアナログ画像信号(R、G、B)をA/D変換し、デジタルデータである画像データ(R、G、B)に変換する機能を有するものである。シェーディング補正回路108は、A/D変換回路106により変換された画像データ(R、G、B)に対して、照明ユニット80やCCDイメージセンサ88に起因する読取出力のムラを補正するとともに、読取原稿の白レベルと画像読取装置12の出力の白レベルとが一致(略一致も含む)するように調整する、シェーディング補正処理を行う機能を有するものである。
【0053】
また、本実施の形態の信号処理部90は、遅延回路110、変換手段の一例である色変換回路112、設定手段の一例である色変換パラメータ設定回路114、及び信号処理制御回路116を備えている。
【0054】
遅延回路110は、CCDイメージセンサ88を構成するR用、G用、B用の1次元ラインセンサの副走査方向における位置のずれに起因して生じる各画像データ間の読取り時間差を、Rの画像データ(画像データR)を基準に補正する機能を有するものである。
【0055】
色変換回路112は、色変換パラメータ(色変換係数群)を用いて、RGB色空間(第1の色空間:デバイス依存色空間)の画像データ(R、G、B)を輝度色差色空間であるL*a*b*色空間(第2の色空間:デバイス非依存色空間)の画像データ(L*、a*、b*)に変換する色変換処理を行う機能を有するものである。ここで、「色変換パラメータ」とは、例えばRGB色空間の画像データ(R、G、B)をL*a*b*色空間の画像データ(L*、a*、b*)に変換する際に、画像データ(R、G、B)と画像データ(L*、a*、b*)との対応関係を規定するものをいう。
【0056】
本実施の形態の色変換回路112は、具体的一例として、下記の(1)式に一例を示したマトリックス演算を行うことにより色変換処理を行うように構成している。なお、下記の(2)式が本実施の形態の色変換パラメータに対応している。
【0057】
【数1】
色変換回路112にて色変換処理された画像データ(L*、a*、b*)は、画像形成装置部14に備えられた画像処理部60に転送され、出力色空間であるCMYK色空間(デバイス依存色空間)の画像データ(C、M、Y、K)への色変換処理等が行われる。なお、この出力色空間の画像データ(C、M、Y、K)への色変換処理等を行う画像処理部60は、画像読取装置12の内部に設けるように構成してもよい。
【0058】
本実施の形態の色変換パラメータ設定回路114は、照明ユニット80のLED81にて生成された光の色レベルのバラツキ(差異)に応じて、色変換回路112において使用する色変換パラメータを選択し、選択した色変換パラメータを色変換回路112に設定する機能を有するものである。色変換回路112では、色変換パラメータ設定回路114によって設定された色変換パラメータを用いて、画像データ(R、G、B)を画像データ(L*、a*、b*)に変換する。
【0059】
信号処理制御回路116は、画像形成装置部14の制御部40による制御の下で、サンプルホールド回路100、黒レベル調整回路102、増幅回路104、シェーディング補正回路108、遅延回路110、色変換回路112、及び色変換パラメータ設定回路114の動作を制御する機能を有するものである。
【0060】
信号処理部90では、CCDイメージセンサ88から転送された3つのアナログ画像信号(R、G、B)が、サンプルホールド回路100によりサンプリングされた後、黒レベル調整回路102によって黒レベルが調整され、さらに、増幅回路104によって予め定めた信号レベルに増幅される。増幅されたアナログ画像信号(R、G、B)は、A/D変換回路106によりA/D変換され、デジタルデータである画像データ(R、G、B)が生成される。シェーディング補正回路108は、これらの画像データ(R、G、B)に対し、白基準板72を読み取った画像データに基づいてCCDイメージセンサ88を構成する1次元ラインセンサの感度バラツキや光学系の光量分布特性に対応させた補正を施す。
【0061】
画像データ(R、G、B)は、遅延回路110により副走査方向における位置ずれが補正された後、色変換回路112によって、L*a*b*色空間の画像データ(L*、a*、b*)に変換される。その際に、色変換パラメータ設定回路114は、照明ユニット80を構成するLED81の色レベルのバラツキに応じて色変換パラメータを選択し、選択した色変換パラメータを色変換回路112に設定する。その後、色変換回路112によって色変換処理された画像データ(L*、a*、b*)は、画像形成装置部14に備えられた画像処理部60に転送される。
【0062】
次に、信号処理部90に備えられた本実施の形態の色変換パラメータ設定回路114について詳細に説明する。図6に、本実施の形態の色変換パラメータ設定回路114の一例のブロック図を示す。
【0063】
本実施の形態の色変換パラメータ設定回路114は、色変換パラメータ設定部120及び色変換パラメータ記憶部122を備えている。
【0064】
本実施の形態の色変換パラメータ記憶部122は、照明ユニット80のLED81の色レベルと色変換パラメータとの対応関係(詳細後述)等を予め記憶する機能を有するものであり、例えば、HDD等により構成されている。
【0065】
本実施の形態の色変換パラメータ設定部120は、色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112が標準色変換パラメータを用いて色変換処理した画像データ(L*、a*、b*)を取得し、取得した画像データの色レベル(ここでは、L*値、a*値、b*値をいう)に基づいて、色変換パラメータ記憶部122に記憶されている色変換パラメータから色変換パラメータを選択し、選択した色変換パラメータを色変換回路112に設定する機能を有している。なお、色変換回路112(信号処理部90)は、このように色変換パラメータ設定部120により色変換パラメータが設定されることにより、読取原稿に関する画像データを取得した場合には、照明ユニット80のLED81の色レベルのバラツキに応じて設定された色変換パラメータを用いて色変換処理を行う。
【0066】
具体的には本実施の形態の色変換パラメータ設定部120は、黄色(Y)の色見本を読み取った画像データの色レベルであるb*値及びシアン色(C)の色見本を読み取った画像データの色レベルであるa*値を、色変換回路112から取得する。なお、本実施の形態において黄色の色見本は、(R、G、B)=(255、255、0)で表される純粋な黄色、またはこれに近似した色であることが好ましい。また、シアン色の色見本は、(R、G、B)=(0、255、255)で表される純粋なシアン色、またはこれに近似した色であることが好ましい。
【0067】
ここで、照明ユニット80におけるLED81の色レベルのバラツキ、及びバラツキに応じた色変換パラメータの設定について説明する。ここでは、3種類(LED A、LED B、LED Cの3つのカテゴリ)のLED81の間での色レベルのバラツキを例に挙げて具体的に説明する。LED A、LED B、及びLED Cの3つのカテゴリは、例えば、製造ロットや製造日等が異なるものであり、それぞれのカテゴリに属するLED81が複数存在している。このように、カテゴリにより製造ロットや製造日等が異なる場合、例えば、LED81を構成する黄色蛍光物質の特性や添加量や分散状態等にバラツキが発生し、当該バラツキに起因して、発光する光の色レベルが変動し、カテゴリ間でバラツキが発生することがある。
【0068】
(基本例)
【0069】
各カテゴリに属するLED81を用いて、黄色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で変換したL*a*b*色空間の画像データのb*値(以下、黄色のb*値という)の上限値及び下限値を図7(A)に示す。また、シアン色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で変換したL*a*b*色空間の画像データのa*値(以下、シアン色のa値という)の上限値及び下限値を図7(B)に示す。
【0070】
カテゴリLED Aでは、黄色のb*値は221以上、240未満であり、シアン色のa*値は51以上、70未満である。カテゴリLED Bでは、黄色のb*値は201以上、220未満であり、シアン色のa*値は51以上、70未満である。カテゴリLED Cでは、黄色のb*値は201以上、220未満であり、シアン色のa*値は31以上、50未満である。
【0071】
黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせと各カテゴリとの対応関係を二元表に表したものを図8に示す。なお、本実施の形態では、黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせのうち、対応するカテゴリが存在しない組み合わせについては、エラー(図8、「Error」参照)としている。
【0072】
図7及び図8に示した基本例では、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120は、色変換回路112から黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得することにより、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせから一義的にLED81のカテゴリが定まる。本実施の形態では、各カテゴリの特性に応じた色変換パラメータが予め定められており、各カテゴリと色変換パラメータとの対応関係が色変換パラメータ記憶部122に記憶されている。本実施の形態では、カテゴリが定まると、当該カテゴリに応じた色変換パラメータが選択される。
【0073】
なお、1つの色レベルを用いた場合では、照明ユニット80のLED81のカテゴリが当該色レベルからは定められない場合がある。例えば、黄色のb*値のみを用いた場合では、カテゴリLED BとカテゴリLED Cとは区別できない。また、シアン色のa*値のみを用いた場合では、カテゴリLED AとカテゴリLED Bとは区別できない。
【0074】
一方、本基本例では、2つの色レベル(黄色のb*値及びシアン色のa*値)を用いており、当該2つの色レベルの組み合わせとLED81のカテゴリ(色変換パラメータ)との対応関係が予め定められているため、黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得することにより、一義的に色変換パラメータが選択される。
【0075】
(複雑例)
【0076】
次に、各カテゴリ間での色レベルのバラツキが基本例よりも複雑な場合について説明する。各カテゴリ毎に、サンプルとして7個のLED81の黄色のa*値、b*値及びシアン色のa*値、b*値を図9に示す。図9(A)は、黄色のa*値及びb*値を示しており、(B)は、シアン色のa*値及びb*値を示している。なお、図9では、(a*、b*)=(128、128)を無彩色として、0〜255の値により色レベルを示している。
【0077】
図9(A)、(B)に示すように、カテゴリLED Bに属する一群のLED81とカテゴリLED Cに属する一群のLED81とでは、分布が一部重複している。ここで、各カテゴリに属する個々のLED81について見てみると、黄色(図9(A))における、カテゴリLED BのサンプルB7と、カテゴリLED CのサンプルC1とは、特性(a*値、b*値)が近いが、シアン色(図9(B))におけるサンプルC1はカテゴリLED Bの一群(以下、B群という)とは離れたところにあり、特にa*値の差異が顕著に見られる。また、シアン色(図9(B))におけるサンプルC7はB群と重なっているが、黄色においてはB群からは離れたところにあり、特にb*値の差異が顕著に見られる。このように、これら各LED81の分布の傾向(黄色での重複しているサンプルはシアン色においては重複していないことや、a*値とb*値とに相関関係があること)を鑑みて2色の色見本からそれぞれ1座標軸ずつ抽出した値による二元表を構成することで、上述のように、重複のある色分布であってもLED81の色特性がカテゴリ分けされるため、最適なパラメータが選択される。本複雑例に最適な二元表の例を図10に示す。図10では、上述したように、色レベルの差が顕著に表れる、黄色のb*値とシアン色のa*値とを用いている。
【0078】
図10に示すように、黄色のb*値及びシアン色のa*値の各色レベルを複数に分割することにより、このように色分布の一部が重複する複雑例であっても、上述の基本例と同様に、黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせから一義的にLED81のカテゴリが定まる。本実施の形態では、上述の基本例と同様に、カテゴリが定まると、当該カテゴリに応じた色変換パラメータが選択される。
【0079】
次に、本実施の形態の画像読取装置12における色変換パラメータの設定処理について説明する。図11に、本実施の形態の色変換パラメータ設定処理の一例のフローチャートを示す。当該色変換パラメータ設定処理は、U/I部48によりユーザからの指示を受け付けた場合等に実行される。なお、この際ユーザは、黄色及びシアン色の色見本が記載された原稿(以下、色見本という)を原稿台60または第1プラテンガラス70上に置き、当該色見本の読取りを指示する。
【0080】
色見本の読取りが指示されるとステップS100では、フルレートキャリッジ76を色見本を読み取る位置に移動させ、静止させた後、照明ユニット80を制御して光源であるLED81を発光させる。
【0081】
次のステップS102では、黄色の色見本及びシアン色の色見本の反射光を読み取るよう指示する。LED81から発光された光は、色見本の黄色の色見本及びシアン色の色見本で反射し、反射光がCCDイメージセンサ88に導かれる。CCDイメージセンサ88にて得られた黄色の色見本及びシアン色の色見本を読み取った画像信号(R、G、B)は、信号処理部90に転送される。
【0082】
次のステップS104では、RGB色空間の画像データ(R、G、B)を標準色変換パラメータを用いてL*a*b*色空間の画像データ(L*、a*、b*)に変換するよう色変換回路112に指示する。信号処理部90では、転送された画像信号(R、G、B)に対して上述の各処理を順次施し、画像データ(R、G、B)の色変換処理を色変換回路112で行う。この際、色変換回路112では、予め設定されている標準色変換パラメータを用いて色変換処理を行う。本実施の形態で「標準色変換パラメータ」とは、予め初期値として設定されている色変換パラメータであり、目標色レベル(色レベルの目標値)からなるLEDである場合81を光源として使用して生成した色変換パラメータである。すなわち、LED81の色レベルが目標色レベルである場合に、標準色変換パラメータを用いることにより、目標とする画像データ(R、G、B)から画像データ(L*、a*、b*)への色変換処理が実行される。
【0083】
次のステップS106では、色変換回路112から黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得するように色変換パラメータ設定回路114に指示する。色変換回路112で変換された黄色の色見本及びシアン色の色見本の画像データ(L*、a*、b*)のうち、黄色のb*値及びシアン色のa*値が色変換パラメータ設定回路114に取得される。
【0084】
次のステップS108では、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値に基づいて、色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表から色変換パラメータを選択するよう色変換パラメータ設定回路114に指示する。色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120では、取得した黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせに対応する色変換パラメータを色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表(例えば、図8及び図10)に基づいて選択する。本実施の形態では、上述したように、まず、黄色のb*値およびシアン色のa*値の組み合わせに対応するカテゴリが色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表から決定され、決定されたカテゴリに対応付けられている色変換パラメータが選択される。なお、本実施の形態では、照明ユニット80は光源であるLED81を複数備えている(図3参照)が、照明ユニット80が備える全てのLED81に対して一つの色変換パラメータが選択される。
【0085】
次のステップS110では、エラーが選択されたか否かを判断する。本実施の形態では、上述したように、黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせた適切ではない場合、エラー(図8及び図10のError参照)が選択される。エラーではなく、色変換パラメータが選択された場合は、否定されてステップS112へ進み、選択した色変換パラメータを色変換回路112に設定した後、本処理を終了する。これにより、照明ユニット80のLED81の色レベルに応じた色変換パラメータが色変換回路112に設定された状態となる。この後、原稿の読取りを行う場合は、色変換回路112は、設定された色変換パラメータを用いて色変換処理を行うため、適切な色変換がなされる。
【0086】
一方、エラーが選択された場合は、肯定されてステップS114へ進み、予め定められたエラー処理を行った後、本処理を終了する。本実施の形態では、このようにエラーが選択された場合は、ユーザに対して、その旨を報知する。また例えば、色見本が、原稿の読取り位置に正しく置かれているか等の確認を促す旨の報知を行う。当該報知により、ユーザは、例えば、再度、色見本を原稿台60または第1プラテンガラス70上に置き直し、読取りをU/I部48により指示する。なお、再度色見本の読取りが指示された場合は、上述の本処理が繰り返される。
【0087】
また、本実施の形態では、エラーが選択された場合は、色変換回路112には、標準色変換パラメータが設定された状態のままとする。このように本実施の形態では、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせがエラーとなった場合は、ユーザに対してその旨を報知すると共に、色変換回路112に標準色変換パラメータが設定された状態とするため、不適切な色変換パラメータが色変換回路112に設定されるのを抑制する。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10の画像読取装置12では、信号処理部90が色変換パラメータ設定回路114を備えており、色変換パラメータ設定回路114は、色変換パラメータ設定部120及び色変換パラメータ記憶部122を含んで構成されている。色変換パラメータ記憶部122には、黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせと色変換パラメータ(カテゴリ)との対応関係表が予め記憶されている。色変換パラメータ設定処理では、黄色の色見本及びシアン色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で画像データ(L*、a*、b*)に色変換処理し、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120が色変換パラメータ設定回路114から、黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得する。色変換パラメータ設定部120は、色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表に基づいて、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせに対応する色変換パラメータを選択する。
【0089】
このように本実施の形態では、対応関係表に基づいて、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせに対応する色変換パラメータを選択するため、光源であるLED81のカテゴリに応じた色レベルの差異に対して適切な色変換パラメータが選択され、色変換回路112に設定される。
【0090】
従って、色変換回路112では、照明ユニット80のLED81のカテゴリに応じた色レベルの差異に対して適切な色変換パラメータにより色空間の変換が行われるようになる。その結果、画像読取装置12同士における、色変換された画像データ(L*、a*、b*)の色のバラツキが抑えられ、色変換回路112(画像読取装置12)における色変換精度が向上される。
【0091】
[第2の実施の形態]
【0092】
本実施の形態では、第1の実施の形態と色変換パラメータ設定処理及び当該色変換パラメータ設定処理に伴って色変換パラメータ記憶部122に記憶されているものが異なるためここでは、異なる構成、処理、及び動作について詳細に説明し、第1の実施の形態と略同様の構成及び動作については同一符号を付す等し、詳細な説明を省略する。本実施の形態の画像形成装置10、画像読取装置12、及び画像形成装置部14の構成は略同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0093】
まず、本実施の形態の照明ユニット80におけるLED81の色レベルのバラツキと色変換パラメータとの対応関係について説明する。ここでも第1の実施の形態と同様に、3種類(LED A、LED B、LED Cの3つのカテゴリ)のLED81の間での色レベルのバラツキを例に挙げて具体的に説明する。図12に、本実施の形態の各カテゴリにおける黄色のb*値及びシアン色のa*値の分布を示す。
【0094】
黄色のb*値における分布を見てみると、カテゴリLED A及びカテゴリLED Bは、閾値TH1以上であり、カテゴリLED Cは、閾値TH1未満である。これより、色変換回路112から取得した黄色のb*値が閾値TH1未満である場合は、LED81のカテゴリがカテゴリLED Cに定まる。従って、黄色のb*値が閾値TH1未満であるという条件(条件1)により、一義的にカテゴリLED Cが定まる。
【0095】
一方、シアン色のa*値における分布を見てみると、カテゴリLED Aは閾値TH2未満であり、カテゴリLED B及びカテゴリLED Cは、閾値TH2以上である。これより、色変換回路112から取得したシアン色のa*値が閾値TH2未満である場合は、LED81のカテゴリがカテゴリLED Aに定まる。従って、シアン色のa*値が閾値TH2未満であるという条件(条件2)により、一義的にカテゴリLED AまたはカテゴリLED Bが定まる。
【0096】
そこで、本実施の形態では、カテゴリ分けを行うための閾値(閾値TH1、TH2)とカテゴリ(色変換パラメータ)との対応関係を、第1の実施の形態の色レベル(黄色のb*値及びシアン色のa*値)の組み合わせと色変換パラメータとの対応関係表に換えて色変換パラメータ記憶部122に予め記憶させておくように構成している。
【0097】
次に、本実施の形態の画像読取装置12の信号処理部90における色変換パラメータ設定処理について説明する。図13には、本実施の形態の信号処理部90において実行される色変換パラメータ設定処理の一例のフローチャートを示す。
【0098】
なお、本実施の形態の色変換パラメータ設定処理(図13)のステップS200〜ステップS204は、第1の実施の形態の色変換パラメータ設定処理(図11)のステップS100〜ステップS104にそれぞれ対応している。すなわち、第1の実施の形態と同様に、色見本の読取りを指示されると、照明ユニット80の光源であるLED81を発光させ、黄色及びシアン色の色見本の反射光を読み取った画像データ(R、G、B)を画像データ(L*、a*、b*)に色変換処理させる。
【0099】
次のステップS206では、黄色のb*値が閾値TH1以上であるか否か判断する。すなわち、条件1による判断を行う。まず、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120では、色変換回路112から黄色のb*値を取得し、取得した黄色のb*値が、閾値TH1以上あるか否か判断する。取得した黄色のb*値が閾値TH1未満である場合は、否定されてステップS208へ進む。
【0100】
上述したように、黄色のb*値が閾値TH1未満である場合は、カテゴリLED Cであると定まるため、ステップS208では、カテゴリLED Cと決定し、カテゴリLED Cに対応付けられている色変換パラメータ(第3色変換パラメータ)を選択した後、本処理を終了する。
【0101】
一方、黄色のb*値が閾値TH1以上である場合は、肯定されてステップS210へ進む。ステップS210では、シアン色のa*値が閾値TH2以上であるか否か判断する。すなわち、条件2による判断を行う。本実施の形態では、次に、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120は、色変換回路112からシアン色のa*値を取得し、取得したシアン色のa*値が、閾値TH2以上あるか否か判断する。取得したシアン色のa*値が閾値TH2未満である場合は、否定されてステップS212へ進む。
【0102】
上述したように、シアン色のa*値が閾値TH2未満である場合は、カテゴリLED Aであると定まるため、ステップS212では、カテゴリLED Aと決定し、カテゴリLED Aに対応付けられている色変換パラメータ(第1色変換パラメータ)を選択した後、本処理を終了する。
【0103】
一方、取得したシアン色のa*値が閾値TH2以上である場合は、肯定されてステップS214へ進む。上述したように、シアン色のa*値が閾値TH2以上である場合は、カテゴリLED Bであると定まるため、ステップS214では、カテゴリLED Bと決定し、カテゴリLED Bに対応付けられている色変換パラメータ(第2色変換パラメータ)を選択した後、本処理を終了する。
【0104】
以上説明したように、本実施の形態の画像読取装置12における色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ記憶部122には、黄色のb*値における閾値TH1と色変換パラメータ(カテゴリ)との対応関係、及びシアン色のa*値における閾値TH2と色変換パラメータ(カテゴリ)との対応関係が予め記憶されている。色変換パラメータ設定処理では、黄色の色見本及びシアン色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で画像データ(L*、a*、b*)に色変換処理する。色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120は、黄色のb*値を取得し、閾値TH1以上であるか否かを判断し、閾値TH1未満の場合は、カテゴリLED Cと判断して対応する第3色変換パラメータを選択して、色変換回路112に設定する。また、黄色のb*値が閾値TH1以上の場合は、シアン色のa*値を取得して、閾値TH2以上であるか否かを判断する。閾値TH2未満の場合は、カテゴリLED Bと判断して対応する第2色変換パラメータを選択して色変換回路112に設定する。一方、閾値TH2以上の場合は、カテゴリLED Aと判断して対応する第1色変換パラメータを選択して色変換回路112に設定する。
【0105】
このように本実施の形態では、黄色のb*値及びシアン色のa*値毎に設けられた閾値(閾値TH1、TH2)以上であるか否かを判断することにより、色変換パラメータを選択するため、光源であるLED81のカテゴリに応じた色レベルの差異に対して適切な色変換パラメータが選択され、色変換回路112に設定される。
【0106】
従って、色変換回路112では、照明ユニット80のLED81のカテゴリに応じた色レベルの差異に対して適切な色変換パラメータにより色空間の変換が行われるようになる。その結果、画像読取装置12同士における、色変換された画像データ(L*、a*、b*)の色のバラツキが抑えられ、色変換回路112(画像読取装置12)における色変換精度が向上される。
【0107】
なお、本実施の形態では、取得した黄色のb*値が閾値TH1未満である場は、カテゴリLED C(第3色変換パラメータ)を選択するように構成しているが、これに限らず、この場合にさらに、シアン色のa*値を取得し、閾値TH2以上であればカテゴリLED C(第3色変換パラメータ)を選択し、閾値TH2未満であればエラー(第1の実施の形態参照)としてもよい。なお、本実施の形態のように、条件1によりカテゴリが決定される場合は、条件2(シアン色のa*値が閾値TH2未満かの判断)を行わないようにすることにより、色変換パラメータ設定処理の処理速度が向上する。
【0108】
なお、上記各実施の形態では、色変換回路112が、マトリックス演算を行うことにより色変換処理を行うように構成されており、色変換パラメータが上記の式(2)である場合について説明したがこれに限らず、色変換回路112をその他の色変換処理を行うものとして構成してもよい。例えば、色変換係パラメータの一例として、(R、G、B)から(L*、a*、b*)へ色変換する多次元(3次元)ルックアップテーブル(DLUT(Direct Look−Up Table))を用いて色変換処理を行うようにしてもよい。この場合、DLUTが色変換パラメータに対応する。
【0109】
また、上記各実施の形態では、黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせと、色変換パラメータ(カテゴリ)と、が対応付けられている場合について説明したがこれに限らない。例えば、色については、黄色及びシアン色以外であってもよいし、色レベルについては、b*値及びa*値以外でもよい。照明ユニット80に備えられるLED81のカテゴリに応じた色分布特性(図9、図12参照)を得ておき、当該色分布特性に応じて、カテゴリ同士の差異が顕著に表れる色レベル(軸)を用いるようにすればよい。また、3つ以上の色レベルを組み合わせるようにしてもよい。
【0110】
また、上記各実施の形態では、色変換回路112が色空間RGBを色空間L*a*b*に変換する色変換処理を行うものとして構成したがこれに限らず、色空間RGBをデバイスに非依存の色空間に変換する色変換処理を行うものであれば、特に限定されない。
【0111】
また、上記各実施の形態では、色見本を読み取って色変換パラメータ設定処理を行う場合について説明したがこれに限らず、色見本に替わり、画像形成装置10内に色見本と同色の基準板(例えば、黄色の基準板及びシアン色の基準板)を設けておき、当該基準板からの反射光を読み取るように構成してもよい。
【0112】
また、上記各実施の形態では、照明ユニット80のLED81に対して1つの色変換パラメータを設定していたがこれに限らず、照明ユニット80に複数備えられたLED81の個々の色レベルの差異に応じて色変換パラメータを設定するようにしてもよいし、LED81の複数個ずついくつかの組に分け(例えば、制御に応じて区分する)、各組毎に色変換パラメータを設定するようにしてもよい。
【0113】
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明した、画像形成装置10や画像読取装置12、画像形成装置部14等の構成、動作、色変換パラメータ設定処理等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0114】
10 画像形成装置
12 画像読取装置
14 画像形成装置部
90 信号処理部
112 色変換回路
120 色変換パラメータ設定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、異なる発光体からの光が合成された光を生成し、被照射体に当該光を照射する光源と、前記光源から照射され前記被照射体から反射された光を読み取り、当該被照射体に関する第1の色空間での画像情報を生成する読取手段と、前記読取手段にて生成された前記被照射体に関する前記第1の色空間の画像情報を、予め設定された色変換係数群を用いて第2の色空間の画像情報に変換する色変換手段と、前記光源の前記光を生成する前記発光体の何れか一つが発生する光の色からなる色見本を前記被照射体とする前記画像情報を前記読取手段から取得し、取得した当該画像情報に応じて前記色変換手段にて使用する前記色変換係数群を決定し、当該色変換係数群を当該色変換手段に設定する色変換係数群設定手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−024135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光源に応じた色レベルの差異に対して適切な色変換係数群により色空間の変換を行う画像読取装置、画像形成装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像読取装置は、光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルが示された第1画像情報を生成する読取手段により生成された第1画像情報を、予め定められた色変換係数群を用いて、前記第1色空間と異なる第2色空間における色レベルが示された第2画像情報に変換する変換手段と、光源に応じた色レベルの差異を補正するための予め定められた複数色の色見本を前記被照射体として前記読取手段で読み取って生成された第1画像情報から前記変換手段により変換された前記複数色の色見本の第2画像情報を取得し、前記複数色の色見本を読み取った際の光源に応じた色レベルの差異により予め定められた、前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルと色変換係数群との対応関係に基づいて、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報に対応する色変換係数群を選択して前記変換手段の予め定められた色変換係数群に代えて設定する設定手段と、を備えた画像読取装置。
【0006】
請求項2に記載の画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記対応関係は、前記複数色同士の第2画像情報の色レベルの組み合わせと色変換係数群との対応関係を示す対応関係表である。
【0007】
請求項3に記載の画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記対応関係は、前記色レベルの差異に応じて前記複数色毎に予め定められた閾値と色変換係数群との対応関係であり、前記設定手段は、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルが前記閾値以上であるか否かの判断結果に基づいて、色変換係数群を選択する。
【0008】
請求項4に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記設定手段は、取得した前記複数色の色見本の第2色情報の色レベルの組み合わせが、前記対応関係により色変換係数群と対応付けられていない場合は、予め定められた処理を行う。
【0009】
請求項5に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記複数色は、黄色及びシアン色であり、前記第2色空間は、L*a*b*色空間であり、前記設定手段は、第2画像情報のうち、黄色の色レベルであるb*値及びシアン色の色レベルであるa*値を取得する。
【0010】
請求項6に記載の画像形成装置は、光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルを示す第1画像情報を生成する読取手段と、前記読取手段で生成された第1画像情報を色変換係数群を用いて第2画像情報に変換する変換手段、及び変換手段が用いる色変換係数群を設定する設定手段を備えた前記請求項1から前記請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置で変換された第2画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、を備えた。
【0011】
請求項7に記載のプログラムは、光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルが示された第1画像情報を生成する読取手段により生成された第1画像情報を、予め定められた色変換係数群を用いて、前記第1色空間と異なる第2色空間における色レベルが示された第2画像情報に変換する変換手段と、光源に応じた色レベルの差異を補正するための予め定められた複数色の色見本を前記被照射体として前記読取手段で読み取って生成された第1画像情報から前記変換手段により変換された前記複数色の色見本の第2画像情報を取得し、前記複数色の色見本を読み取った際の光源に応じた色レベルの差異により予め定められた、前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルと色変換係数群との対応関係に基づいて、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報に対応する色変換係数群を選択して前記変換手段の予め定められた色変換係数群に代えて設定する設定手段と、してコンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項6、及び請求項7に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、光源に応じた色レベルの差異に対して適切な色変換係数群により色空間の変換を行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、適切な色変換係数群を容易に選択することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、色変換係数群の設定処理速度を向上させられる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、不適切な色変換パラメータが設定されるのを抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、より適切な色変換係数群を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例の全体の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像読取装置の一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る照明ユニットの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図4】第1の実施の形態に係る信号処理部の一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図5】第1の実施の形態に係る信号処理部の一例の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施の形態に係る色変換パラメータ設定回路の一例の構成を示すブロック図である。
【図7】第1の実施の形態に係る基本例における、照明ユニットの光源であるLEDの各カテゴリの色レベルのバラツキを説明するための説明図であり、(A)は、黄色のb*値の上限値及び下限値を示しており、(B)は、シアン色のa*値の上限値及び下限値を示している。
【図8】図7に示した黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせと各カテゴリとの対応関係を表した二元表である。
【図9】各カテゴリ毎に7個のLEDの黄色のa*値、b*値及びシアン色のa*値、b*値を示した説明図であり、(A)は、黄色のa*値及びb*値を示しており、(B)は、シアン色のa*値及びb*値を示している。
【図10】図9に示した黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせと各カテゴリとの対応関係を表した二元表である。
【図11】第1の実施の形態に係る色変換パラメータ処理の一例を示したフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態に係る各カテゴリにおける黄色のb*値及びシアン色のa*値の分布と閾値TH1及び閾値TH2との関係を説明するための説明図である。
【図13】第2の実施の形態に係る色変換パラメータ処理の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施の形態]
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0020】
まず、図1を参照して、本実施の形態の画像形成装置の概略について説明する。図1に、本実施の形態の画像形成装置の一例の全体の概略構成を示す。
【0021】
図1に示す本実施の形態の画像形成装置10は、複写機能やプリント機能やファクシミリ機能等を複合的に備えた多機能装置であり、画像読取装置12と、画像形成装置部14と、で構成されている。
【0022】
まず、画像形成装置部14について説明する。本実施の形態の画像形成装置部14は、各色の画像データに基づき画像を形成する画像形成部20と、画像形成装置10全体の動作を制御する制御部40と、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、及びインターネット等のネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)等の外部装置から画像データを受信する通信部44と、を備えている。また、本実施の形態の画像形成装置部14は、公衆回線を通じて画像データの送受信を行うファクシミリ(FAX)部46と、画像読取装置12や通信部40等から転送された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部42と、ユーザからの指示を受け付けたり、画像読取及び画像形成に関する情報をユーザに提示したりするU/I(ユーザインターフェイス)部48と、を備えている。
【0023】
画像形成部20は、例えば電子写真方式により画像を形成する機能部であって、並列的に配置される4つの画像形成ユニット21Y、21M、21C、21K(以下、総称する場合は、画像形成ユニット21という)を備えている。各画像形成ユニット21は、例えば、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム22、感光体ドラム22の表面を予め定められた電位で帯電する帯電器23、帯電器23によって帯電された感光体ドラム22を画像データに基づいて露光するプリントヘッド24、感光体ドラム22上に形成された静電潜像を現像する現像器25、及び転写後の感光体ドラム22表面を清掃するクリーナ26で構成されている。
【0024】
また、画像形成部20は、各画像形成ユニット21の感光体ドラム22にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写体27、各画像形成ユニット21による各色トナー像を中間転写体27に順次転写(一次転写)させる一次転写ロール28、中間転写体27上に転写されて重ね合わされたトナー像を記録材(記録用紙P)に一括転写(二次転写)させる二次転写ロール29、及び二次転写された画像を記録用紙P上に定着させる定着器30を備えている。
【0025】
画像形成部20の各画像形成ユニット21は、電子写真方式によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット21で形成された各色トナー像は、一次転写ロール28により中間転写体27上に順次静電転写され、各色トナーが重ね合わされた合成トナー像が形成される。中間転写体27上の合成トナー像は、中間転写体27の移動(図1の矢印A方向)に伴って二次転写ロール29が配置された領域に搬送され、用紙収納部31A、321Bから供給(図1の矢印B方向)される記録用紙P上に一括して静電転写される。その後、記録用紙P上に静電転写された合成トナー像は、定着器30によって定着処理を受けて記録用紙P上に定着される。
【0026】
次に、本実施の形態の画像読取装置12について説明する。図2に、本実施の形態の画像読取装置12の概略構成を示す。本実施の形態の画像読取装置12は、自動原稿送り装置50と、原稿の表面に形成された画像を読み取る画像読取処理部52と、を備えて構成されている。
【0027】
本実施の形態の自動原稿送り装置50は、少なくとも1枚の原稿が置かれる原稿台60と、原稿を搬送する原稿搬送路61と、画像を読み取った後の原稿が排出される排出台62と、を含んで構成されている。
【0028】
原稿搬送路61は、U字状に形成され、原稿搬送路61の周囲には、用紙送出ロール63、送出ロール64、プリ位置合わせロール65、位置合わせロール66、プラテンロール67、アウトロール68、及び排出ロール69が設けられている。用紙送出ロール63は、原稿送り時に下降し、原稿台60に置かれた原稿をピックアップする。送出ロール64は、用紙送出ロール63から送られた原稿のうち最上部にある原稿を内部に供給する。プリ位置合わせロール65は、送出ロール64から送られた原稿を一時停止させ、斜行補正する。位置合わせロール66は、プリ位置合わせロール65から送られた原稿を一時停止させ、読取りタイミングを調整する。プラテンロール67は、原稿搬送路261通る原稿を第2プラテンガラス74に対峙させる。アウトロール68及び排出ロール69は、読み取った原稿を排出台62へ排出する。
【0029】
本実施の形態の画像読取装置12は、原稿台60から自動原稿送り装置50により送られた原稿の表面を流し読みする機能と、第1プラテンガラス70上に置かれた原稿の表面を読み取る機能と、を備えている。
【0030】
本実施の形態の画像読取処理部14は、筐体75内に、CCDイメージセンサ88、信号処理部90、及びスキャナ制御部92等を備えている。
【0031】
筐体75の自動原稿送り装置50に対向する面には、図2に示すように、画像を読み取る原稿が置かれる第1プラテンガラス70、白基準板72、及び自動原稿送り装置50によって搬送中の原稿を読み取るために原稿に光を照射するための開口部となる第2プランテンガラス74が設けられている。
【0032】
また、画像読取装置12は、第2プラテンガラス74の読取位置Mに静止するか、または第1プラテンガラス70の全体に亘って走査(スキャン)しながら画像を読み取るフルレートキャリッジ76、フルレートキャリッジ76から得られた光をCCDイメージセンサ88に導くハーフレートキャリッジ78を筐体75内に備えている。
【0033】
フルレートキャリッジ76は、原稿に光を照射する光源を備えた照明ユニット80、照明ユニット80から出射された光を原稿面に向けて拡散させながら反射する拡散反射部材83、原稿面から得られた反射光をハーフレートキャリッジ78に向けて反射する第1ミラー82を備えている。
【0034】
ハーフレートキャリッジ78は、フルレートキャリッジ76から得られた光をCCDイメージセンサ88へ導く第2ミラー85及び第3ミラー84を備えている。
【0035】
本実施の形態の照明ユニット80は、光源として白色発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode、以下、LEDという)が複数配列されて構成されている。本実施の形態の照明ユニット80の一例の概略構成図を図3に示す。本実施の形態の照明ユニット80は、多層基板87上にLEDチップ(以下、単にLEDという)81が複数、主走査方向に沿って配列されている。なお、本実施の形態では、中間転写体27の搬送方向(図1、矢印A方向)を副走査方向としており、これと交差する方向を主走査方向としている。
【0036】
本実施の形態ではLED81は白色LEDであり、具体的には、青色LEDチップと黄色の蛍光物質を含有させた透明樹脂とが積層されて構成されている。青色LEDチップの放つ青色光によりチップ周囲の黄色蛍光物質を励起させて、黄色の蛍光を発生させる。それにより、補色関係にある青色と黄色とを足し合わせて(合成させて)、白色光を生成する。
【0037】
本実施の形態のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ88は、ハーフレートキャリッジ78から得られた光学像を光学的に縮小する結像レンズ86によって結像された光学像を光電変換してR(赤)、G(緑)、B(青)の各色信号(画像信号)を生成する機能を有している。本実施の形態のCCDイメージセンサ88は、具体的一例として、R、G、Bの各色用の1次元ラインセンサが3列一組で配置された構成としている。
【0038】
また、スキャナ制御部92は、画像読取装置12の動作を制御する機能を有するものであり、本実施の形態の信号処理部90は、CCDイメージセンサ88からの各色の画像信号(R、G、B)を処理して画像データを生成する機能を有している。スキャナ制御部92及び信号処理部90は、信号線によって画像形成装置部14の制御部40及び画像処理部42にそれぞれ接続され、相互に制御信号や読取画像データ等の送受信を行う。
【0039】
本実施の形態の画像読取装置12において第1プラテンガラス70に置かれた原稿を読み取る場合には、画像形成装置部14のU/I部48からのユーザの操作指示に基づき、画像形成装置部14の制御部40がスキャナ制御部92に対して第1プラテンガラス70に載せられた原稿の読取りを指示する。
【0040】
画像形成装置部14の制御部40から第1プラテンガラス70に載せられた原稿の読取り指示を受けたスキャナ制御部92は、フルレートキャリッジ76とハーフレートキャリッジ78とをスキャン方向(図2矢印C方向)に移動させる。さらには、フルレートキャリッジ76の照明ユニット80を発光させ、原稿面を照射する。当該照射により、原稿からの反射光が第1ミラー82、第2ミラー85、及び第3ミラー84を経て結像レンズ86に導かれる。結像レンズ86に導かれた光は、CCDイメージセンサ88の受光面に結像される。CCDイメージセンサ88は、R、G、B各色毎に1ライン分を略同時に処理する。そして、このライン方向の読取りを原稿サイズ全体に亘るスキャンによって実行することで、1ページ分の原稿読み取りを行う。
【0041】
このようにしてCCDイメージセンサ88によって得られた画像信号(R、G、B)は信号処理部90に転送される。
【0042】
一方、画像読取装置12において原稿台60に置かれた原稿を読み取る場合には、画像形成装置部14のU/I部48からのユーザの操作指示に基づき、画像形成装置部14の制御部40がスキャナ制御部92に対して原稿台60に置かれた原稿の読取りを指示する。
【0043】
画像形成装置部14の制御部40から原稿台60に置かれた原稿の読取り指示を受けたスキャナ制御部92は、原稿台60に置かれた原稿を原稿搬送路61に沿って第2プラテンガラス74の読取位置Mに搬送する。このとき、フルレートキャリッジ76とハーフレートキャリッジ78とは、図2に示す実線の位置に停止した状態に設定される。そして、フルレートキャリッジ76の照明ユニット80を発光させ、原稿面を照射する。それにより、プラテンロール67により第2プラテンガラス74に密着された原稿の反射光が、第1ミラー82、第2ミラー85、及び第3ミラー84を経て結像レンズ86に導かれる。結像レンズ86に導かれた光は、CCDイメージセンサ88の受光面に結像される。CCDイメージセンサ88は、R、G、B各色毎に1ライン分を略同時に処理する。そして、原稿全体を第2プラテンガラス74の読取位置Mを通過させることによって、1ページ分の原稿読み取りを行う。
【0044】
このCCDイメージセンサ88によって得られた画像信号(R、G、B)は信号処理部90に転送される。
【0045】
なお、照明ユニット80からCCDイメージセンサ88に至る光路上に配置される各種部材や、信号処理部90を構成する各機能部、さらには必要に応じた他の構成部は、光源である照明ユニット80から照射され被照射体である原稿から反射された光を読み取り、被照射体に関する画像情報を生成する読取手段として機能する。
【0046】
続いて、CCDイメージセンサ88にて生成された各色画像信号(R、G、B)を処理する機能を有する信号処理部90について説明する。
【0047】
まず、信号処理部90のハードウエア構成について説明する。図4は、本実施の形態の信号処理部90の一例の概略構成図である。本実施の形態の信号処理部90は、CPU93、RAM94、ROM95、NVM(Non Volatile Memory:不揮発性メモリ)97、及びI/F部98を備えて構成されている。CPU93、RAM94、ROM95、NVM97、及びI/F(インターフェース)部96は、コントロールバスやデータバス等のバス99を介して互いに情報等の授受されるように接続されている。
【0048】
CPU93は、原稿を読み取って生成した画像信号を処理するに際して、予め定められた処理プログラムに従ってデジタル演算処理を実行する機能を有する。RAM94は、CPU93でプログラム96を実行する際の作業用の領域を確保するものである。ROM95は、CPU93での処理に使用される各種設定値等や詳細を後述する色変換パラメータ設定処理のプログラム96等が格納される。本実施の形態では、当該プログラム96がCPU93により実行されることにより、詳細を後述する色変換パラメータ設定処理が行われる。NVM97は、電源供給が途絶えた場合にもデータを保持される、電池によりバックアップされたフラッシュメモリ等である。また、I/F部98は、信号処理部90に接続される画像形成装置部14の制御部40や画像処理部42等の各構成部との信号の入出力を制御するものである。
【0049】
なお、本実施の形態では、プログラム96は、予め格納されている構成としているがこれに限らず、外部装置(図示省略)からROM95にインストールされるように構成してもよい。また、インターネット等のネットワークを介して信号処理部90にプログラムが伝送され、信号処理部90のROM95にインストールされるように構成してもよい。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ、USB等の外部記録媒体からROM95にインストールされるように構成してもよい。
【0050】
次に、本実施の形態の信号処理部90が有する各回路の構成を説明する。図5は、本実施の形態の信号処理部90の一例のブロック図である。
【0051】
図5に示すように本実施の形態の信号処理部90は、サンプルホールド回路100と、黒レベル調整回路102と、増幅回路104と、A/D(アナログ/デジタル)変換回路106と、シェーディング補正回路108と、を備えている。
【0052】
サンプルホールド回路100は、CCDイメージセンサ88から転送された各色のアナログ画像信号(R、G、B)をサンプリング(標本化)するとともに予め定められた期間ホールド(保持)するサンプリングホールドを行う機能を有するものである。黒レベル調整回路102は、サンプルホールド回路100によりサンプリングホールドされたアナログ画像信号(R、G、B)について、読み取られた原稿(以下、読取原稿という)の黒に対応する出力と画像読取装置12の出力の黒レベルとが一致(略一致も含む)するように調整する機能を有するものである。増幅回路104は、黒レベル調整された後のアナログ画像信号(R、G、B)を増幅する機能を有するものである。A/D変換回路106は、増幅回路104により増幅されたアナログ画像信号(R、G、B)をA/D変換し、デジタルデータである画像データ(R、G、B)に変換する機能を有するものである。シェーディング補正回路108は、A/D変換回路106により変換された画像データ(R、G、B)に対して、照明ユニット80やCCDイメージセンサ88に起因する読取出力のムラを補正するとともに、読取原稿の白レベルと画像読取装置12の出力の白レベルとが一致(略一致も含む)するように調整する、シェーディング補正処理を行う機能を有するものである。
【0053】
また、本実施の形態の信号処理部90は、遅延回路110、変換手段の一例である色変換回路112、設定手段の一例である色変換パラメータ設定回路114、及び信号処理制御回路116を備えている。
【0054】
遅延回路110は、CCDイメージセンサ88を構成するR用、G用、B用の1次元ラインセンサの副走査方向における位置のずれに起因して生じる各画像データ間の読取り時間差を、Rの画像データ(画像データR)を基準に補正する機能を有するものである。
【0055】
色変換回路112は、色変換パラメータ(色変換係数群)を用いて、RGB色空間(第1の色空間:デバイス依存色空間)の画像データ(R、G、B)を輝度色差色空間であるL*a*b*色空間(第2の色空間:デバイス非依存色空間)の画像データ(L*、a*、b*)に変換する色変換処理を行う機能を有するものである。ここで、「色変換パラメータ」とは、例えばRGB色空間の画像データ(R、G、B)をL*a*b*色空間の画像データ(L*、a*、b*)に変換する際に、画像データ(R、G、B)と画像データ(L*、a*、b*)との対応関係を規定するものをいう。
【0056】
本実施の形態の色変換回路112は、具体的一例として、下記の(1)式に一例を示したマトリックス演算を行うことにより色変換処理を行うように構成している。なお、下記の(2)式が本実施の形態の色変換パラメータに対応している。
【0057】
【数1】
色変換回路112にて色変換処理された画像データ(L*、a*、b*)は、画像形成装置部14に備えられた画像処理部60に転送され、出力色空間であるCMYK色空間(デバイス依存色空間)の画像データ(C、M、Y、K)への色変換処理等が行われる。なお、この出力色空間の画像データ(C、M、Y、K)への色変換処理等を行う画像処理部60は、画像読取装置12の内部に設けるように構成してもよい。
【0058】
本実施の形態の色変換パラメータ設定回路114は、照明ユニット80のLED81にて生成された光の色レベルのバラツキ(差異)に応じて、色変換回路112において使用する色変換パラメータを選択し、選択した色変換パラメータを色変換回路112に設定する機能を有するものである。色変換回路112では、色変換パラメータ設定回路114によって設定された色変換パラメータを用いて、画像データ(R、G、B)を画像データ(L*、a*、b*)に変換する。
【0059】
信号処理制御回路116は、画像形成装置部14の制御部40による制御の下で、サンプルホールド回路100、黒レベル調整回路102、増幅回路104、シェーディング補正回路108、遅延回路110、色変換回路112、及び色変換パラメータ設定回路114の動作を制御する機能を有するものである。
【0060】
信号処理部90では、CCDイメージセンサ88から転送された3つのアナログ画像信号(R、G、B)が、サンプルホールド回路100によりサンプリングされた後、黒レベル調整回路102によって黒レベルが調整され、さらに、増幅回路104によって予め定めた信号レベルに増幅される。増幅されたアナログ画像信号(R、G、B)は、A/D変換回路106によりA/D変換され、デジタルデータである画像データ(R、G、B)が生成される。シェーディング補正回路108は、これらの画像データ(R、G、B)に対し、白基準板72を読み取った画像データに基づいてCCDイメージセンサ88を構成する1次元ラインセンサの感度バラツキや光学系の光量分布特性に対応させた補正を施す。
【0061】
画像データ(R、G、B)は、遅延回路110により副走査方向における位置ずれが補正された後、色変換回路112によって、L*a*b*色空間の画像データ(L*、a*、b*)に変換される。その際に、色変換パラメータ設定回路114は、照明ユニット80を構成するLED81の色レベルのバラツキに応じて色変換パラメータを選択し、選択した色変換パラメータを色変換回路112に設定する。その後、色変換回路112によって色変換処理された画像データ(L*、a*、b*)は、画像形成装置部14に備えられた画像処理部60に転送される。
【0062】
次に、信号処理部90に備えられた本実施の形態の色変換パラメータ設定回路114について詳細に説明する。図6に、本実施の形態の色変換パラメータ設定回路114の一例のブロック図を示す。
【0063】
本実施の形態の色変換パラメータ設定回路114は、色変換パラメータ設定部120及び色変換パラメータ記憶部122を備えている。
【0064】
本実施の形態の色変換パラメータ記憶部122は、照明ユニット80のLED81の色レベルと色変換パラメータとの対応関係(詳細後述)等を予め記憶する機能を有するものであり、例えば、HDD等により構成されている。
【0065】
本実施の形態の色変換パラメータ設定部120は、色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112が標準色変換パラメータを用いて色変換処理した画像データ(L*、a*、b*)を取得し、取得した画像データの色レベル(ここでは、L*値、a*値、b*値をいう)に基づいて、色変換パラメータ記憶部122に記憶されている色変換パラメータから色変換パラメータを選択し、選択した色変換パラメータを色変換回路112に設定する機能を有している。なお、色変換回路112(信号処理部90)は、このように色変換パラメータ設定部120により色変換パラメータが設定されることにより、読取原稿に関する画像データを取得した場合には、照明ユニット80のLED81の色レベルのバラツキに応じて設定された色変換パラメータを用いて色変換処理を行う。
【0066】
具体的には本実施の形態の色変換パラメータ設定部120は、黄色(Y)の色見本を読み取った画像データの色レベルであるb*値及びシアン色(C)の色見本を読み取った画像データの色レベルであるa*値を、色変換回路112から取得する。なお、本実施の形態において黄色の色見本は、(R、G、B)=(255、255、0)で表される純粋な黄色、またはこれに近似した色であることが好ましい。また、シアン色の色見本は、(R、G、B)=(0、255、255)で表される純粋なシアン色、またはこれに近似した色であることが好ましい。
【0067】
ここで、照明ユニット80におけるLED81の色レベルのバラツキ、及びバラツキに応じた色変換パラメータの設定について説明する。ここでは、3種類(LED A、LED B、LED Cの3つのカテゴリ)のLED81の間での色レベルのバラツキを例に挙げて具体的に説明する。LED A、LED B、及びLED Cの3つのカテゴリは、例えば、製造ロットや製造日等が異なるものであり、それぞれのカテゴリに属するLED81が複数存在している。このように、カテゴリにより製造ロットや製造日等が異なる場合、例えば、LED81を構成する黄色蛍光物質の特性や添加量や分散状態等にバラツキが発生し、当該バラツキに起因して、発光する光の色レベルが変動し、カテゴリ間でバラツキが発生することがある。
【0068】
(基本例)
【0069】
各カテゴリに属するLED81を用いて、黄色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で変換したL*a*b*色空間の画像データのb*値(以下、黄色のb*値という)の上限値及び下限値を図7(A)に示す。また、シアン色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で変換したL*a*b*色空間の画像データのa*値(以下、シアン色のa値という)の上限値及び下限値を図7(B)に示す。
【0070】
カテゴリLED Aでは、黄色のb*値は221以上、240未満であり、シアン色のa*値は51以上、70未満である。カテゴリLED Bでは、黄色のb*値は201以上、220未満であり、シアン色のa*値は51以上、70未満である。カテゴリLED Cでは、黄色のb*値は201以上、220未満であり、シアン色のa*値は31以上、50未満である。
【0071】
黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせと各カテゴリとの対応関係を二元表に表したものを図8に示す。なお、本実施の形態では、黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせのうち、対応するカテゴリが存在しない組み合わせについては、エラー(図8、「Error」参照)としている。
【0072】
図7及び図8に示した基本例では、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120は、色変換回路112から黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得することにより、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせから一義的にLED81のカテゴリが定まる。本実施の形態では、各カテゴリの特性に応じた色変換パラメータが予め定められており、各カテゴリと色変換パラメータとの対応関係が色変換パラメータ記憶部122に記憶されている。本実施の形態では、カテゴリが定まると、当該カテゴリに応じた色変換パラメータが選択される。
【0073】
なお、1つの色レベルを用いた場合では、照明ユニット80のLED81のカテゴリが当該色レベルからは定められない場合がある。例えば、黄色のb*値のみを用いた場合では、カテゴリLED BとカテゴリLED Cとは区別できない。また、シアン色のa*値のみを用いた場合では、カテゴリLED AとカテゴリLED Bとは区別できない。
【0074】
一方、本基本例では、2つの色レベル(黄色のb*値及びシアン色のa*値)を用いており、当該2つの色レベルの組み合わせとLED81のカテゴリ(色変換パラメータ)との対応関係が予め定められているため、黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得することにより、一義的に色変換パラメータが選択される。
【0075】
(複雑例)
【0076】
次に、各カテゴリ間での色レベルのバラツキが基本例よりも複雑な場合について説明する。各カテゴリ毎に、サンプルとして7個のLED81の黄色のa*値、b*値及びシアン色のa*値、b*値を図9に示す。図9(A)は、黄色のa*値及びb*値を示しており、(B)は、シアン色のa*値及びb*値を示している。なお、図9では、(a*、b*)=(128、128)を無彩色として、0〜255の値により色レベルを示している。
【0077】
図9(A)、(B)に示すように、カテゴリLED Bに属する一群のLED81とカテゴリLED Cに属する一群のLED81とでは、分布が一部重複している。ここで、各カテゴリに属する個々のLED81について見てみると、黄色(図9(A))における、カテゴリLED BのサンプルB7と、カテゴリLED CのサンプルC1とは、特性(a*値、b*値)が近いが、シアン色(図9(B))におけるサンプルC1はカテゴリLED Bの一群(以下、B群という)とは離れたところにあり、特にa*値の差異が顕著に見られる。また、シアン色(図9(B))におけるサンプルC7はB群と重なっているが、黄色においてはB群からは離れたところにあり、特にb*値の差異が顕著に見られる。このように、これら各LED81の分布の傾向(黄色での重複しているサンプルはシアン色においては重複していないことや、a*値とb*値とに相関関係があること)を鑑みて2色の色見本からそれぞれ1座標軸ずつ抽出した値による二元表を構成することで、上述のように、重複のある色分布であってもLED81の色特性がカテゴリ分けされるため、最適なパラメータが選択される。本複雑例に最適な二元表の例を図10に示す。図10では、上述したように、色レベルの差が顕著に表れる、黄色のb*値とシアン色のa*値とを用いている。
【0078】
図10に示すように、黄色のb*値及びシアン色のa*値の各色レベルを複数に分割することにより、このように色分布の一部が重複する複雑例であっても、上述の基本例と同様に、黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせから一義的にLED81のカテゴリが定まる。本実施の形態では、上述の基本例と同様に、カテゴリが定まると、当該カテゴリに応じた色変換パラメータが選択される。
【0079】
次に、本実施の形態の画像読取装置12における色変換パラメータの設定処理について説明する。図11に、本実施の形態の色変換パラメータ設定処理の一例のフローチャートを示す。当該色変換パラメータ設定処理は、U/I部48によりユーザからの指示を受け付けた場合等に実行される。なお、この際ユーザは、黄色及びシアン色の色見本が記載された原稿(以下、色見本という)を原稿台60または第1プラテンガラス70上に置き、当該色見本の読取りを指示する。
【0080】
色見本の読取りが指示されるとステップS100では、フルレートキャリッジ76を色見本を読み取る位置に移動させ、静止させた後、照明ユニット80を制御して光源であるLED81を発光させる。
【0081】
次のステップS102では、黄色の色見本及びシアン色の色見本の反射光を読み取るよう指示する。LED81から発光された光は、色見本の黄色の色見本及びシアン色の色見本で反射し、反射光がCCDイメージセンサ88に導かれる。CCDイメージセンサ88にて得られた黄色の色見本及びシアン色の色見本を読み取った画像信号(R、G、B)は、信号処理部90に転送される。
【0082】
次のステップS104では、RGB色空間の画像データ(R、G、B)を標準色変換パラメータを用いてL*a*b*色空間の画像データ(L*、a*、b*)に変換するよう色変換回路112に指示する。信号処理部90では、転送された画像信号(R、G、B)に対して上述の各処理を順次施し、画像データ(R、G、B)の色変換処理を色変換回路112で行う。この際、色変換回路112では、予め設定されている標準色変換パラメータを用いて色変換処理を行う。本実施の形態で「標準色変換パラメータ」とは、予め初期値として設定されている色変換パラメータであり、目標色レベル(色レベルの目標値)からなるLEDである場合81を光源として使用して生成した色変換パラメータである。すなわち、LED81の色レベルが目標色レベルである場合に、標準色変換パラメータを用いることにより、目標とする画像データ(R、G、B)から画像データ(L*、a*、b*)への色変換処理が実行される。
【0083】
次のステップS106では、色変換回路112から黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得するように色変換パラメータ設定回路114に指示する。色変換回路112で変換された黄色の色見本及びシアン色の色見本の画像データ(L*、a*、b*)のうち、黄色のb*値及びシアン色のa*値が色変換パラメータ設定回路114に取得される。
【0084】
次のステップS108では、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値に基づいて、色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表から色変換パラメータを選択するよう色変換パラメータ設定回路114に指示する。色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120では、取得した黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせに対応する色変換パラメータを色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表(例えば、図8及び図10)に基づいて選択する。本実施の形態では、上述したように、まず、黄色のb*値およびシアン色のa*値の組み合わせに対応するカテゴリが色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表から決定され、決定されたカテゴリに対応付けられている色変換パラメータが選択される。なお、本実施の形態では、照明ユニット80は光源であるLED81を複数備えている(図3参照)が、照明ユニット80が備える全てのLED81に対して一つの色変換パラメータが選択される。
【0085】
次のステップS110では、エラーが選択されたか否かを判断する。本実施の形態では、上述したように、黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせた適切ではない場合、エラー(図8及び図10のError参照)が選択される。エラーではなく、色変換パラメータが選択された場合は、否定されてステップS112へ進み、選択した色変換パラメータを色変換回路112に設定した後、本処理を終了する。これにより、照明ユニット80のLED81の色レベルに応じた色変換パラメータが色変換回路112に設定された状態となる。この後、原稿の読取りを行う場合は、色変換回路112は、設定された色変換パラメータを用いて色変換処理を行うため、適切な色変換がなされる。
【0086】
一方、エラーが選択された場合は、肯定されてステップS114へ進み、予め定められたエラー処理を行った後、本処理を終了する。本実施の形態では、このようにエラーが選択された場合は、ユーザに対して、その旨を報知する。また例えば、色見本が、原稿の読取り位置に正しく置かれているか等の確認を促す旨の報知を行う。当該報知により、ユーザは、例えば、再度、色見本を原稿台60または第1プラテンガラス70上に置き直し、読取りをU/I部48により指示する。なお、再度色見本の読取りが指示された場合は、上述の本処理が繰り返される。
【0087】
また、本実施の形態では、エラーが選択された場合は、色変換回路112には、標準色変換パラメータが設定された状態のままとする。このように本実施の形態では、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせがエラーとなった場合は、ユーザに対してその旨を報知すると共に、色変換回路112に標準色変換パラメータが設定された状態とするため、不適切な色変換パラメータが色変換回路112に設定されるのを抑制する。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10の画像読取装置12では、信号処理部90が色変換パラメータ設定回路114を備えており、色変換パラメータ設定回路114は、色変換パラメータ設定部120及び色変換パラメータ記憶部122を含んで構成されている。色変換パラメータ記憶部122には、黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせと色変換パラメータ(カテゴリ)との対応関係表が予め記憶されている。色変換パラメータ設定処理では、黄色の色見本及びシアン色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で画像データ(L*、a*、b*)に色変換処理し、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120が色変換パラメータ設定回路114から、黄色のb*値及びシアン色のa*値を取得する。色変換パラメータ設定部120は、色変換パラメータ記憶部122に記憶されている対応関係表に基づいて、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせに対応する色変換パラメータを選択する。
【0089】
このように本実施の形態では、対応関係表に基づいて、取得した黄色のb*値及びシアン色のa*値の組み合わせに対応する色変換パラメータを選択するため、光源であるLED81のカテゴリに応じた色レベルの差異に対して適切な色変換パラメータが選択され、色変換回路112に設定される。
【0090】
従って、色変換回路112では、照明ユニット80のLED81のカテゴリに応じた色レベルの差異に対して適切な色変換パラメータにより色空間の変換が行われるようになる。その結果、画像読取装置12同士における、色変換された画像データ(L*、a*、b*)の色のバラツキが抑えられ、色変換回路112(画像読取装置12)における色変換精度が向上される。
【0091】
[第2の実施の形態]
【0092】
本実施の形態では、第1の実施の形態と色変換パラメータ設定処理及び当該色変換パラメータ設定処理に伴って色変換パラメータ記憶部122に記憶されているものが異なるためここでは、異なる構成、処理、及び動作について詳細に説明し、第1の実施の形態と略同様の構成及び動作については同一符号を付す等し、詳細な説明を省略する。本実施の形態の画像形成装置10、画像読取装置12、及び画像形成装置部14の構成は略同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0093】
まず、本実施の形態の照明ユニット80におけるLED81の色レベルのバラツキと色変換パラメータとの対応関係について説明する。ここでも第1の実施の形態と同様に、3種類(LED A、LED B、LED Cの3つのカテゴリ)のLED81の間での色レベルのバラツキを例に挙げて具体的に説明する。図12に、本実施の形態の各カテゴリにおける黄色のb*値及びシアン色のa*値の分布を示す。
【0094】
黄色のb*値における分布を見てみると、カテゴリLED A及びカテゴリLED Bは、閾値TH1以上であり、カテゴリLED Cは、閾値TH1未満である。これより、色変換回路112から取得した黄色のb*値が閾値TH1未満である場合は、LED81のカテゴリがカテゴリLED Cに定まる。従って、黄色のb*値が閾値TH1未満であるという条件(条件1)により、一義的にカテゴリLED Cが定まる。
【0095】
一方、シアン色のa*値における分布を見てみると、カテゴリLED Aは閾値TH2未満であり、カテゴリLED B及びカテゴリLED Cは、閾値TH2以上である。これより、色変換回路112から取得したシアン色のa*値が閾値TH2未満である場合は、LED81のカテゴリがカテゴリLED Aに定まる。従って、シアン色のa*値が閾値TH2未満であるという条件(条件2)により、一義的にカテゴリLED AまたはカテゴリLED Bが定まる。
【0096】
そこで、本実施の形態では、カテゴリ分けを行うための閾値(閾値TH1、TH2)とカテゴリ(色変換パラメータ)との対応関係を、第1の実施の形態の色レベル(黄色のb*値及びシアン色のa*値)の組み合わせと色変換パラメータとの対応関係表に換えて色変換パラメータ記憶部122に予め記憶させておくように構成している。
【0097】
次に、本実施の形態の画像読取装置12の信号処理部90における色変換パラメータ設定処理について説明する。図13には、本実施の形態の信号処理部90において実行される色変換パラメータ設定処理の一例のフローチャートを示す。
【0098】
なお、本実施の形態の色変換パラメータ設定処理(図13)のステップS200〜ステップS204は、第1の実施の形態の色変換パラメータ設定処理(図11)のステップS100〜ステップS104にそれぞれ対応している。すなわち、第1の実施の形態と同様に、色見本の読取りを指示されると、照明ユニット80の光源であるLED81を発光させ、黄色及びシアン色の色見本の反射光を読み取った画像データ(R、G、B)を画像データ(L*、a*、b*)に色変換処理させる。
【0099】
次のステップS206では、黄色のb*値が閾値TH1以上であるか否か判断する。すなわち、条件1による判断を行う。まず、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120では、色変換回路112から黄色のb*値を取得し、取得した黄色のb*値が、閾値TH1以上あるか否か判断する。取得した黄色のb*値が閾値TH1未満である場合は、否定されてステップS208へ進む。
【0100】
上述したように、黄色のb*値が閾値TH1未満である場合は、カテゴリLED Cであると定まるため、ステップS208では、カテゴリLED Cと決定し、カテゴリLED Cに対応付けられている色変換パラメータ(第3色変換パラメータ)を選択した後、本処理を終了する。
【0101】
一方、黄色のb*値が閾値TH1以上である場合は、肯定されてステップS210へ進む。ステップS210では、シアン色のa*値が閾値TH2以上であるか否か判断する。すなわち、条件2による判断を行う。本実施の形態では、次に、色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120は、色変換回路112からシアン色のa*値を取得し、取得したシアン色のa*値が、閾値TH2以上あるか否か判断する。取得したシアン色のa*値が閾値TH2未満である場合は、否定されてステップS212へ進む。
【0102】
上述したように、シアン色のa*値が閾値TH2未満である場合は、カテゴリLED Aであると定まるため、ステップS212では、カテゴリLED Aと決定し、カテゴリLED Aに対応付けられている色変換パラメータ(第1色変換パラメータ)を選択した後、本処理を終了する。
【0103】
一方、取得したシアン色のa*値が閾値TH2以上である場合は、肯定されてステップS214へ進む。上述したように、シアン色のa*値が閾値TH2以上である場合は、カテゴリLED Bであると定まるため、ステップS214では、カテゴリLED Bと決定し、カテゴリLED Bに対応付けられている色変換パラメータ(第2色変換パラメータ)を選択した後、本処理を終了する。
【0104】
以上説明したように、本実施の形態の画像読取装置12における色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ記憶部122には、黄色のb*値における閾値TH1と色変換パラメータ(カテゴリ)との対応関係、及びシアン色のa*値における閾値TH2と色変換パラメータ(カテゴリ)との対応関係が予め記憶されている。色変換パラメータ設定処理では、黄色の色見本及びシアン色の色見本を読み取った画像データ(R、G、B)を色変換回路112で画像データ(L*、a*、b*)に色変換処理する。色変換パラメータ設定回路114の色変換パラメータ設定部120は、黄色のb*値を取得し、閾値TH1以上であるか否かを判断し、閾値TH1未満の場合は、カテゴリLED Cと判断して対応する第3色変換パラメータを選択して、色変換回路112に設定する。また、黄色のb*値が閾値TH1以上の場合は、シアン色のa*値を取得して、閾値TH2以上であるか否かを判断する。閾値TH2未満の場合は、カテゴリLED Bと判断して対応する第2色変換パラメータを選択して色変換回路112に設定する。一方、閾値TH2以上の場合は、カテゴリLED Aと判断して対応する第1色変換パラメータを選択して色変換回路112に設定する。
【0105】
このように本実施の形態では、黄色のb*値及びシアン色のa*値毎に設けられた閾値(閾値TH1、TH2)以上であるか否かを判断することにより、色変換パラメータを選択するため、光源であるLED81のカテゴリに応じた色レベルの差異に対して適切な色変換パラメータが選択され、色変換回路112に設定される。
【0106】
従って、色変換回路112では、照明ユニット80のLED81のカテゴリに応じた色レベルの差異に対して適切な色変換パラメータにより色空間の変換が行われるようになる。その結果、画像読取装置12同士における、色変換された画像データ(L*、a*、b*)の色のバラツキが抑えられ、色変換回路112(画像読取装置12)における色変換精度が向上される。
【0107】
なお、本実施の形態では、取得した黄色のb*値が閾値TH1未満である場は、カテゴリLED C(第3色変換パラメータ)を選択するように構成しているが、これに限らず、この場合にさらに、シアン色のa*値を取得し、閾値TH2以上であればカテゴリLED C(第3色変換パラメータ)を選択し、閾値TH2未満であればエラー(第1の実施の形態参照)としてもよい。なお、本実施の形態のように、条件1によりカテゴリが決定される場合は、条件2(シアン色のa*値が閾値TH2未満かの判断)を行わないようにすることにより、色変換パラメータ設定処理の処理速度が向上する。
【0108】
なお、上記各実施の形態では、色変換回路112が、マトリックス演算を行うことにより色変換処理を行うように構成されており、色変換パラメータが上記の式(2)である場合について説明したがこれに限らず、色変換回路112をその他の色変換処理を行うものとして構成してもよい。例えば、色変換係パラメータの一例として、(R、G、B)から(L*、a*、b*)へ色変換する多次元(3次元)ルックアップテーブル(DLUT(Direct Look−Up Table))を用いて色変換処理を行うようにしてもよい。この場合、DLUTが色変換パラメータに対応する。
【0109】
また、上記各実施の形態では、黄色のb*値とシアン色のa*値との組み合わせと、色変換パラメータ(カテゴリ)と、が対応付けられている場合について説明したがこれに限らない。例えば、色については、黄色及びシアン色以外であってもよいし、色レベルについては、b*値及びa*値以外でもよい。照明ユニット80に備えられるLED81のカテゴリに応じた色分布特性(図9、図12参照)を得ておき、当該色分布特性に応じて、カテゴリ同士の差異が顕著に表れる色レベル(軸)を用いるようにすればよい。また、3つ以上の色レベルを組み合わせるようにしてもよい。
【0110】
また、上記各実施の形態では、色変換回路112が色空間RGBを色空間L*a*b*に変換する色変換処理を行うものとして構成したがこれに限らず、色空間RGBをデバイスに非依存の色空間に変換する色変換処理を行うものであれば、特に限定されない。
【0111】
また、上記各実施の形態では、色見本を読み取って色変換パラメータ設定処理を行う場合について説明したがこれに限らず、色見本に替わり、画像形成装置10内に色見本と同色の基準板(例えば、黄色の基準板及びシアン色の基準板)を設けておき、当該基準板からの反射光を読み取るように構成してもよい。
【0112】
また、上記各実施の形態では、照明ユニット80のLED81に対して1つの色変換パラメータを設定していたがこれに限らず、照明ユニット80に複数備えられたLED81の個々の色レベルの差異に応じて色変換パラメータを設定するようにしてもよいし、LED81の複数個ずついくつかの組に分け(例えば、制御に応じて区分する)、各組毎に色変換パラメータを設定するようにしてもよい。
【0113】
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明した、画像形成装置10や画像読取装置12、画像形成装置部14等の構成、動作、色変換パラメータ設定処理等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0114】
10 画像形成装置
12 画像読取装置
14 画像形成装置部
90 信号処理部
112 色変換回路
120 色変換パラメータ設定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルが示された第1画像情報を生成する読取手段により生成された第1画像情報を、予め定められた色変換係数群を用いて、前記第1色空間と異なる第2色空間における色レベルが示された第2画像情報に変換する変換手段と、
光源に応じた色レベルの差異を補正するための予め定められた複数色の色見本を前記被照射体として前記読取手段で読み取って生成された第1画像情報から前記変換手段により変換された前記複数色の色見本の第2画像情報を取得し、前記複数色の色見本を読み取った際の光源に応じた色レベルの差異により予め定められた、前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルと色変換係数群との対応関係に基づいて、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報に対応する色変換係数群を選択して前記変換手段の予め定められた色変換係数群に代えて設定する設定手段と、
を備えた画像読取装置。
【請求項2】
前記対応関係は、前記複数色同士の第2画像情報の色レベルの組み合わせと色変換係数群との対応関係を示す対応関係表である、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記対応関係は、前記色レベルの差異に応じて前記複数色毎に予め定められた閾値と色変換係数群との対応関係であり、前記設定手段は、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルが前記閾値以上であるか否かの判断結果に基づいて、色変換係数群を選択する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記設定手段は、取得した前記複数色の色見本の第2色情報の色レベルの組み合わせが、前記対応関係により色変換係数群と対応付けられていない場合は、予め定められた処理を行う、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記複数色は、黄色及びシアン色であり、前記第2色空間は、L*a*b*色空間であり、前記設定手段は、第2画像情報のうち、黄色の色レベルであるb*値及びシアン色の色レベルであるa*値を取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルを示す第1画像情報を生成する読取手段と、
前記読取手段で生成された第1画像情報を色変換係数群を用いて第2画像情報に変換する変換手段、及び変換手段が用いる色変換係数群を設定する設定手段を備えた前記請求項1から前記請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で変換された第2画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルが示された第1画像情報を生成する読取手段により生成された第1画像情報を、予め定められた色変換係数群を用いて、前記第1色空間と異なる第2色空間における色レベルが示された第2画像情報に変換する変換手段と、
光源に応じた色レベルの差異を補正するための予め定められた複数色の色見本を前記被照射体として前記読取手段で読み取って生成された第1画像情報から前記変換手段により変換された前記複数色の色見本の第2画像情報を取得し、前記複数色の色見本を読み取った際の光源に応じた色レベルの差異により予め定められた、前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルと色変換係数群との対応関係に基づいて、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報に対応する色変換係数群を選択して前記変換手段の予め定められた色変換係数群に代えて設定する設定手段と、
してコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項1】
光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルが示された第1画像情報を生成する読取手段により生成された第1画像情報を、予め定められた色変換係数群を用いて、前記第1色空間と異なる第2色空間における色レベルが示された第2画像情報に変換する変換手段と、
光源に応じた色レベルの差異を補正するための予め定められた複数色の色見本を前記被照射体として前記読取手段で読み取って生成された第1画像情報から前記変換手段により変換された前記複数色の色見本の第2画像情報を取得し、前記複数色の色見本を読み取った際の光源に応じた色レベルの差異により予め定められた、前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルと色変換係数群との対応関係に基づいて、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報に対応する色変換係数群を選択して前記変換手段の予め定められた色変換係数群に代えて設定する設定手段と、
を備えた画像読取装置。
【請求項2】
前記対応関係は、前記複数色同士の第2画像情報の色レベルの組み合わせと色変換係数群との対応関係を示す対応関係表である、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記対応関係は、前記色レベルの差異に応じて前記複数色毎に予め定められた閾値と色変換係数群との対応関係であり、前記設定手段は、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルが前記閾値以上であるか否かの判断結果に基づいて、色変換係数群を選択する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記設定手段は、取得した前記複数色の色見本の第2色情報の色レベルの組み合わせが、前記対応関係により色変換係数群と対応付けられていない場合は、予め定められた処理を行う、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記複数色は、黄色及びシアン色であり、前記第2色空間は、L*a*b*色空間であり、前記設定手段は、第2画像情報のうち、黄色の色レベルであるb*値及びシアン色の色レベルであるa*値を取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルを示す第1画像情報を生成する読取手段と、
前記読取手段で生成された第1画像情報を色変換係数群を用いて第2画像情報に変換する変換手段、及び変換手段が用いる色変換係数群を設定する設定手段を備えた前記請求項1から前記請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で変換された第2画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
光源から被照射体に照射された光の反射光を読み取って第1色空間における色レベルが示された第1画像情報を生成する読取手段により生成された第1画像情報を、予め定められた色変換係数群を用いて、前記第1色空間と異なる第2色空間における色レベルが示された第2画像情報に変換する変換手段と、
光源に応じた色レベルの差異を補正するための予め定められた複数色の色見本を前記被照射体として前記読取手段で読み取って生成された第1画像情報から前記変換手段により変換された前記複数色の色見本の第2画像情報を取得し、前記複数色の色見本を読み取った際の光源に応じた色レベルの差異により予め定められた、前記複数色の色見本の第2画像情報の色レベルと色変換係数群との対応関係に基づいて、取得した前記複数色の色見本の第2画像情報に対応する色変換係数群を選択して前記変換手段の予め定められた色変換係数群に代えて設定する設定手段と、
してコンピュータを機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−70173(P2013−70173A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206263(P2011−206263)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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