説明

画像読取装置、画像読取装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 ジャムした両面原稿の搬送路上の位置と、ジャム原稿の上面が表裏いずれの面に対応しているかを示すジャム情報をユーザに通知する。
【解決手段】 原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて搬送させる搬送手段と、搬送される原稿の表面または裏面の画像を所定位置で読み取る読取手段と、各搬送路上を通過する原稿の搬送状態を検知する複数の検知手段と、各検知手段が検知する原稿の搬送状態の変化と、前記読取手段の上を通過する原稿の通過回数とからジャムが発生しているジャム位置および当該ジャム位置に停止したジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面に対応しているかを判断する判断手段と、前記判断手段が判断したジャム原稿のジャム位置とジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面であるかを示す表裏情報を含むジャム情報を表示部に表示する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像読取装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機などの画像形成装置は、原稿読取部で原稿を読み取って画像処理を行い、紙などの記録媒体に印刷したり、接続先の装置に送信したりすることが可能である。このような画像形成装置の原稿読取部には、複数枚ある原稿を重ねてセットすると自動的に1枚ずつ読取部に搬送し、読取を行う画像読取装置がある。
この画像読取装置には搬送した原稿を装置内で反転させて、原稿の両面を自動的に読み取ることを可能にする機能がある。そのため、自動的に搬送、読み取りを行う機能がなく、原稿1ページずつを手動で読み込ませる必要がある場合に比べ、飛躍的に画像読取装置の生産性を向上させている。
【0003】
しかしその一方で、画像読取装置は内部機構により自動で原稿を搬送、反転させるため、例えば原稿が斜めにセットされたり、原稿自体が平らではなく折りなどが入っていたりすると、それが原因で原稿ジャム(紙詰まり)が発生する場合がある。
原稿の両面読み取りを実行している際にこのような原稿ジャムが発生すると、ユーザが原稿を解除した後、その原稿の表裏のいずれから再読み取りを開始すれば良いのかユーザは直ちにはわからない。そのため、ユーザは、原稿を再セットして読み取り再開するのに手間がかかるという課題があった。
これに対して特許文献1は、原稿の読取部で読み取った原稿ページ数をカウントし、原稿のジャムが発生した際には再読み込みを開始するページ数を表示する技術を提案している。この技術によると、両面読み実行中の原稿がジャムを起こした場合でも、原稿ジャム報知と共に再読み込みページを操作部に表示するため、原稿の再セットが容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−134300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数枚ある両面原稿にページ番号が振っておらず、ユーザも原稿の並び順を把握していない場合、両面読み込み時に原稿ジャムが発生したら特許文献1では原稿の再セットが正しくできない可能性がある。
従来の画像読取装置は、最初に原稿の表面を読み取る。次に、読取部内で原稿を反転し、次に原稿の裏面を読み取る。このままだと入力した原稿位置と逆になるので、裏面読み取り後に再度読取部内で原稿を再反転し、原稿の向きを元に戻して排紙する。このように両面読み込み時は、装置内では原稿の反転が2回繰り返されるため、原稿ジャムが発生すると、ユーザは原稿を再読み取りする際に、原稿の表裏面いずれの面から読み取りを再開させればよいかがわからなくなる。
【0006】
さらに原稿の読み取り順序を変えて高速に読み取ることで両面読み取りの性能を向上させる画像読取装置も考案されている。
このような高速側の画像読取装置においては、搬送経路に2枚の原稿を存在可能とし、原稿の読み取り順序を、1枚目の表面、2枚目の表面、1枚目の裏面、2枚面の裏面、という順番で読み取らせる。すなわち、従来の画像読取装置の両面読み込みで原稿反転時に2枚目の原稿の表面を読み込ませることで、読み込み速度を高めている。
しかしながらこのような画像読取装置ではさらに、原稿の並び順が把握できないユーザは、原稿ジャムが発生すると、搬送路上の原稿2枚分の表裏がわからなくなる。この場合、ユーザは、各原稿を再セットする際に、表裏面が判断できずどちらの面を上面として読取を再開させればよいかを即座に理解できない可能性があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、搬送される両面原稿が搬送路上でジャムした場合、ジャムした両面原稿の搬送路上の位置と、ジャム原稿の上面が表裏いずれの面に対応しているかを示すジャム情報をユーザに通知できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて搬送させる搬送手段と、搬送される原稿の表面または裏面の画像を所定位置で読み取る読取手段と、各搬送路上を通過する原稿の搬送状態を検知する複数の検知手段と、各検知手段が検知する原稿の搬送状態の変化と、前記読取手段の上を通過する原稿の通過回数とからジャムが発生しているジャム位置および当該ジャム位置に停止したジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面に対応しているかを判断する判断手段と、前記判断手段が判断したジャム原稿のジャム位置とジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面であるかを示す表裏情報を含むジャム情報を表示部に表示する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ジャムした両面原稿の搬送路上の位置と、ジャム原稿の上面が表裏いずれの面に対応しているかを示すジャム情報をユーザに通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像読取装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】図1に示した画像読取装置の詳細構成を示す断面図である。
【図3】画像読み取り装置の原稿搬送状態を示す断面図である。
【図4】画像読み取り装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】画像読み取り装置の操作部に表示されるジャム情報を示す図である。
【図6】画像読み取り装置の操作部に表示されるジャム情報を示す図である。
【図7】操作部に表示されるユーザインタフェースの一例を示す図である。
【図8】図1に示した画像読取装置の詳細構成を示す断面図である。
【図9】本実施形態を示す画像読み取り装置の原稿搬送状態を示す断面図である。
【図10】画像読み取り装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図11】画像読み取り装置の原稿搬送状態を示す断面図である。
【図12】画像読み取り装置の原稿搬送状態を示す断面図である。
【図13】操作部に表示されるユーザインタフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す画像読取装置の構成を説明するブロック図である。本例においては、画像読取装置を備える複写機の例を挙げる。
【0011】
図1において、CPU101はシステムの制御部であり、装置全体を制御する。ROM102はCPU101の制御プログラムを格納する。SRAM103はオペレータが登録した設定値や装置の管理データ等や各種ワーク用バッファ等を格納する。DRAM104はプログラム制御変数等を格納する。読取部105は片面または両面の原稿の画像データを読み取り、バイナリデータに変換する装置であり、これを用いてコピー機能の原稿読み取りを行う。
読取部105では、片面または両面の原稿を自動的に搬送して読み取るための搬送経路と読取素子を備える。さらに、画像読取装置は、原稿を装置内で自動的に反転させ、原稿の表面と裏面を読み取ることができる。記録部106は画像データを、記録紙に出力する装置である。
操作部107は、機器内の情報を表示すると共に、様々な設定や読み取り開始の入力を行う。画像処理部108はコピーで扱う画像データの符号化復号化処理を行う。画像処理部108において、コピー画像の変倍処理も実行される。なお、それぞれの制御部はデータバス109を介して繋がっており、画像データはデータバス109を通じてSRAM103に転送される。
【0012】
本実施形態では、読取部105に原稿を置き、画像読取装置を使用して読み取った画像データをSRAM103に一旦格納し、記録部106より印刷するような複写処理を例として説明する。
【0013】
以上のように構成された複写機では、操作部107を使用してユーザが入力操作することで、コピーの設定を変更して指示できる。コピーの設定には両面読み取りをするという設定があり、両面読み取りを指示した場合は、読取部105の画像読取装置で原稿を自動的に反転させることにより表面、裏面の両方を読み取ることができる。
【0014】
図2は、図1に示した画像読取装置の詳細構成を示す断面図である。本実施形態では、原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて搬送させる搬送手段として、ローラ201から203,206,207〜209を備える。なお、反転するローラについては後述する。
図2において、原稿台200に原稿を置くと、ローラ201、202、203を用いて原稿を搬送し、読取素子(イメージセンサ)204を通過した時点で表面の読み取りを行う。その後、ローラ206を経由し、フラッパ205を下にして、上側の搬送経路を通すようにし、ローラ207を経て一旦反転用のローラ208にて原稿を装置外に退避させる。ここまでで原稿の表面の読み取りプロセスが終了する。なお、読取素子204は、搬送される原稿面の画像を所定位置で読み取る。したがって、読取素子204は、搬送される原稿の表裏面を個別に読み取ることができる。
続いて、反転用のローラ208を逆回転させて原稿をスイッチバックさせ、ローラ207、202、203を経由して読取素子204で裏面の読み取りを行う。そのまま表面の読み取りプロセスと同様に、フラッパ205を下向きにして上側の搬送経路を通すようにし、ローラ206、207を経て再度反転用のローラ208にて原稿を装置外に退避させる。ここまでで原稿の両面読み取りは終了するが、このままの状態で原稿を排紙すると原稿台200に置かれた順番と逆の状態になってしまう。
そのため、原稿を再度反転させるために、再び反転用のローラ208を逆回転させて原稿をスイッチバックし、そのままローラ207、202、203、206を経由して、フラッパ205を今度は上にして下側の搬送経路を通すようにする。この際、読取素子204での原稿読み取りは不要のため行わない。最後に排紙用のローラ209に到達し、原稿は装置外に排紙される。
【0015】
上記のように画像読取装置はメカ機構で構成されるため、原稿が斜めに設置されたり、原稿の端部が折れ曲がっていたりすると、原稿が搬送路に当接して詰まってしまうジャム状態となる場合がある。そのため、原稿の有無を検出する他に、原稿のジャムを検知したり、ジャム位置を検出したりするため、原稿を搬送するための搬送経路上の各所にセンサ210、211,212、213を設けている。
まず、原稿積載状態を検知するセンサ210は原稿台200に原稿がセットされているか否かを検知して、その検知状態を示す情報をCPU101に通知する。
原稿の搬送状態を検知するセンサ211及び排紙状態を検知するセンサ213は、所定の時間内にセンサがONにならない、またはOFFにならない、のいずれかの状態を検知することで原稿のジャム発生を検知する。また、反転搬送する原稿を検知するセンサ212はローラ208が設けられる位置よりも内寄りの位置に設けれ、反転する原稿の搬送状態を監視する。
なお、センサ211、センサ213及びセンサ212は、ジャム発生時の原稿位置を検知するためにも使用される。なお、各搬送路上を通過する原稿の搬送状態を検知する複数の検知手段として、本実施形態では、センサ211、センサ213及びセンサ212を備える例を示す。
【0016】
図3は、本実施形態を示す画像読み取り装置の原稿搬送状態を示す断面図である。本図では、図1に示した読取部105で、2枚の原稿を両面読み取りする動作例を示す。また、S301〜S317はタイミングを示す。本例は、搬送路上に1枚の原稿のみ搬送することで両面原稿を読み取らせ、両面読取終了後、次の原稿を搬送して両面画像を読み取る画像読取装置の例である。
【0017】
図3において、2枚の原稿を重ねて、表面を上にして、画像読取装置に置き、ユーザが操作部107から原稿の両面読み取り開始を指示すると、両面読み取りを開始する。
まず、CPU101は、ローラ201の駆動を制御して1枚目の原稿を搬送路上に搬送する(S301)。1枚目の原稿は表面を下にした状態で読取素子204を通過し、1枚目の表面がスキャンされる(S302)。1枚目の表面の読み取りが終わると、裏面読みするために原稿を反転する。
そのため、CPU101は、ローラ206、207を駆動して、一旦原稿をローラ208方向に送り反転準備に入る(S303、S304)。次に、1枚目の原稿の裏面をスキャンするため、CPU101は、ローラ208,207、202、203の駆動を制御して、反転した原稿を再度読取素子204に向けて送る(S305)。
この時、原稿は裏面が上側になっており、原稿の後端が前に来る向きで搬送されることになる。原稿は搬送経路に沿って送られ、裏面を下にした状態で再度読取素子204を通過し裏面がスキャンされる(S306)。
これで表面、裏面の原稿読み取りが終了するが、この状態のまま原稿を排紙すると、原稿台200に置かれた原稿のページ順番と逆のページ順序の状態で排紙されるため、排紙前に再度原稿の反転を行う。
そのため、CPU101は、ローラ207,208の駆動を制御して、再度原稿を先に送り反転準備に入る(S307)。そして、同様の搬送経路を通り、再反転する(S308)。最後に、CPU101は、ローラ209の駆動を制御して原稿を排紙の搬送経路を通過させ、原稿台200に排紙される(S309)。
【0018】
1枚目の原稿の表面、裏面を読み取り終えると、2枚目の原稿を読み始める(S310)。2枚目の両面読み取りの動作は(S310)〜(S317)に示した通りであるが、1枚目と同じ動作であるため説明は省略する。本実施形態における画像読取装置での両面読み取りは、表面のスキャン、原稿反転、裏面のスキャン、原稿再反転、排紙という順に動作することで実現している。
【0019】
上記の原稿搬送中にジャムが発生した場合に、CPU101は、図2に示したセンサ210〜213によってジャムの検知する処理、及びジャム位置を検知し、ジャム位置に応じて操作部107にジャム情報を表示する処理を以下説明する。なお、表示イメージに対応する画像5−1〜5−8はROM102に格納されている。ユーザは、操作部107に表示される画面を確認して、ジャムした原稿のジャム位置と、ジャムした原稿の面のどちら側が表面であるのか、裏面であるのかの向きを直感的に判断することができる。
【0020】
図4は、本実施形態を示す画像読み取り装置の制御手順を示すフローチャートである。本例は、画像読み取り装置のCPU101が実行するジャム検知とジャム位置に応じたジャム位置イメージを表示する処理例である。なお、各ステップは、CPU101がROM102に記憶される制御プログラムをDRAM104にロードして実行することで実現される。以下、CPU101がセンサ210〜213が検知する原稿の搬送状態の変化と、読取素子204の上を通過する原稿の通過回数とからジャムが発生しているジャム位置および当該ジャム位置に停止したジャム原稿の搬送面を判断する処理を説明する。また、CPU101が上記ステップを実行して、操作部107にジャム情報を表示する制御についても合わせて説明する。
まず、CPU101は、ユーザによって原稿台200に原稿がセットされたら、原稿積載状態を検知するセンサ210がONになることにより原稿の載置状態を検知する(S401)。ここで、ユーザによって操作部107で読み取りの様々な設定が行われ、読み取りスタートのボタンが押下されるのを待つ(S402)。
そして、CPU101が読み取りスタートのボタンが押下されたことを確認したら、原稿搬送および原稿読み取り処理を開始する。なお、読み取り開始後、CPU101は、ユーザが操作部107を用いて設定した読み取りモードが原稿の片面読みであるのか、両面読み取りであるのかのいずれであるかを判断する(S403)。
ここで、片面読み設定がなされているとCPU101が判断した場合は、従来通り片面読みの処理を実行する(S414)。なお、片面読み取りの具体的な処理内容に関しては本発明の要旨から外れるため、ここでは割愛する。
一方、S403で、両面読み取りの設定がなされているとCPU101が判断した場合は、CPU101はDRAM104で管理するパラメータPに"0"を設定する(S404)。そして、CPU101は、ローラ201を駆動して設置された原稿を1枚引き込んで搬送を開始する(S405)。
ここでは、搬送を開始した原稿が読取素子204付近に到達するのを待っている期間であり、CPU101は、センサ211が所定時間内にONになるか否かで原稿のジャムを判断する(S406)。ここで、センサ211が所定時間内にONになったことをCPU101が確認したら、S407で、読取素子204により搬送される原稿の読み取りを開始する(S407)。なお、読み取られる原稿の搬送速度等は、設定される読み取り条件、例えば複写倍率等により等倍時に比べて搬送速度が可変される。
次に、CPU101は、原稿の読み取りが行われる毎にパラメータPをインクリメントする(S408)。尚、このパラメータPの値は、1枚の原稿が1度の両面読み取りでセンサ211を通過した回数を示す。
次に、CPU101は、原稿が読取素子204を通過している最中はセンサ211がONになっているが、所定時間でOFFになるか否かで原稿のジャムを判断する(S409)。センサ211が所定時間でOFFに変化したことをCPU101が検知したら、原稿は読取素子204を通過したと判断し、1ページの読み取りが終了する(S410)。
なお、パラメータPが取り得る値はP=1、2、3の何れかであり、P=1は表面読み取り、P=2は裏面読み取り、P=3は排紙時の原稿反転の際にセンサ211を先端が通過した後の値である。
よってP=1、2の時は再び原稿を反転させて読取素子204へと搬送させ、(S406に戻って再びセンサ211が所定時間内にONになるのを待つ。一方、P=3の時は原稿の排紙を待つ段階である。
そこで、CPU101は、S411でパラメータPの現在の値が「3」であるかどうかを判断する。ここで、パラメータPの現在の値が「3」であると判断した場合、つまり、
原稿の排紙時は、S412において、CPU101は、センサ213の状態から排紙ジャムの有無を判断する。原稿排紙時において、原稿はセンサ213を通過するが、所定時間を経ても排紙用のセンサがONにならない、もしくはONになっても、所定時間が経過してもOFFにならない場合がある。このような状態の場合、CPU101は、原稿について排紙ジャムが発生していると判断する。
一方、S412で、CPU101が原稿について排紙ジャムが発生していないと判断した場合、原稿の積載状態を検知するセンサ210で原稿台200にまだ原稿があるか否かを判断する(S413)。ここで、原稿があるとCPU101が判断した場合はS404に戻りパラメータPをゼロクリアして新しい原稿の搬送を開始する。
一方、S413で、CPU101が原稿台200に原稿がないと判断した場合は、本処理を終了する。
【0021】
以下、S406、S409、S412において、CPU101が原稿ついてジャムが発生していると判断した場合、以降のステップはS415へ進む。
そして、CPU101は、ローラ201等を含む原稿搬送駆動系を全て停止させ、ユーザにジャム発生状態であることを通知するアラーム音を鳴動させる(S415)。なお、本実施形態に示す画像読取装置は、図示しないブザー等の発音装置を備えている。
続いて、CPU101は、操作部107の表示部にジャム表示画面の選択と表示を行う(S416)。なお、S416の詳細例は図5を用いて後述する。
次に、CPU101は、センサ210〜213の出力、あるいは図示しない開閉扉の状態変化等を検出して、ユーザがジャム状態で停止した原稿を解除するジャム解除がなされたか否かを確認する(S417)。
続いて、CPU101がジャム解除後にユーザによって操作部107のOKボタンが押下されたことを確認したら(S418)、ジャム解除が完了されたとみなして、本処理を終了する。本実施形態では、CPU101がS406〜S412を実行することで、具体的にはCPU101がパラメータPの値からジャム位置に停止したジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面に対応しているかを判断する。そして、CPU101が判断したジャム原稿のジャム位置とジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面であるかを示す表裏情報を含むジャム情報を操作部108の表示部に表示することができる。これにより、ユーザは、ジャムした原稿の表面を原稿台上で上面となるように再載置して、原稿の読み取りを正しく再開させることができる。
【0022】
図5、図6は、本実施形態を示す画像読み取り装置の操作部107に表示されるジャム情報の一例を示す図である。本例は、図4のフローチャートのS416において、原稿搬送時の原稿ジャムが発生したジャム位置に対応づけて選択されるジャム情報を示している。ここで、ジャム情報には、原稿がジャムしている位置と、ジャムしている原稿の面の表裏面を示す情報とを含んでいる。
ここで、ジャム位置は、実際のジャム発生時に想定されるおおよそのジャム位置であり、CPU101が判断する各ジャム位置に対応づけて操作部107に表示すべきジャム情報がROM102から選択的に読み出される。
なお、図示した表示イメージは一例であり、原稿の位置及び表裏がより明確にユーザに伝達できればどのようなイメージであっても良い。
図5において、パラメータP=0の時、S406における第1のジャム判断によりジャム検知した場合、ジャム位置501の箇所に原稿が詰まる。よって、CPU101は、表示イメージとして画像5−1をROM102から選択的に読み出して操作部107に表示する制御を実行する。具体的には、CPU101がROM102の特定アドレスに対応づけて記憶されたいずれかの表示イメージを読み出して、操作部107に、例えば図7に示すユーザインタフェースとして表示する。
【0023】
以下、図5に示す各パラメータPの値に基づいて選択すべき表示イメージについて説明する。
パラメータP=1の時、S409における第2のジャム判断またはS406における第1のジャム判断によりジャム検知した場合、ジャム位置502、503、504のいずれかの箇所に原稿が詰まる。
この場合、ジャム検知時のセンサ211及び反転状態を検知するセンサ212の状況で原稿のおおよその位置を判断できる。センサ211がONの場合、CPU101は、原稿を読み取り中のジャムと判断できるため、表示イメージとして画像5−2をROM102から選択的に読み出して操作部107に表示する制御を実行する。
一方、センサ211がOFFの場合は、CPU101は、反転状態を検知するセンサ212の状況でおおよその原稿位置を判断できる。この際、CPU101は、センサ211のONまたはOFFのいずれの場合にも、ユーザに伝達する表示イメージとして画像5−3をROM102から選択的に読み出して操作部107に表示する制御を実行する。
【0024】
また、パラメータP=2の時、S409に示す第2のジャム判断またはS406に示す第1のジャムによりジャム検知した場合、P=1の時の原稿のジャム位置502、503、504と同様に、ジャム位置505、506、507が決定できる。従って、状況に応じた表示イメージも同じものを用意すればよいが、P=1の時と表裏の向きが異なるため、表示イメージとして画像5−4、5−5を用意する。
【0025】
また、図6に示すように、パラメータP=3の時、S409に示す第2のジャム判断またはS412に示す第3のジャム判断によりジャム検知した場合、ジャム位置508、509、510のいずれかの箇所に原稿が詰まる。
この場合、ジャム検知時のセンサ211及び排紙用のセンサ213の状況で原稿のおおよその位置が把握できる。センサ211がONの場合は原稿がセンサ211を通過中であるためジャム位置508に原稿が詰まるので、CPU101は、表示イメージは図6に示す画像5−6をROM102から選択的に読み出して操作部107に表示する制御を実行する。
また、センサ211がOFF且つ排紙状態を検知するセンサ213がOFFであるとCPU101が判断した場合、ジャム情報を操作部107に表示する。具体的には、CPU101は、ジャム位置509に原稿が詰まるため表示イメージは画像5−7をROM102から選択的に読み出して操作部107に表示する制御を実行する。
また、CPU101が、センサ211がOFF且つ排紙状態を検知するセンサ213がONであると判断した場合、ジャム情報を操作部107に表示する。具体的には、ジャム位置510に原稿が詰まるため、CPU101は、表示イメージは画像5−8をROM102から選択的に読み出して操作部107に表示する制御を実行する。
【0026】
CPU101は、上記のようにパラメータPの値とセンサ類の状況に応じて表示イメージを選択し、操作部107にジャム情報(ジャム位置、ジャム時の原稿の表裏状態を含む)を表示する。
なお、図7に示す表示画面例511は、パラメータP=1の時の原稿ジャムが発生した際、CPU101が画像5−3を選択して操作部107に表示したユーザインタフェースに対応する。CPU101が本画面を操作部107に表示することで、ユーザは読取部105で原稿が詰まったことを把握し、ジャムした原稿の大体のジャム位置と、ジャム原稿の表裏を直感的に理解できる。このため、原稿を取り除いた後の原稿のいずれの面を下向きにして原稿台200に再セットすればよいかを容易に判断できる。
【0027】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態の画像読取装置では、原稿反転処理のため両面読み取り時に原稿の読み取りを行えない期間が存在してしまうため、両面読み取り時の効率が低下する場合がある。
これに対して、片面読み取り時には、画像読取装置から次々に原稿が搬送されてくるため、原稿の読み取りは常に連続して行うことができる。これは、読取素子204で原稿をスキャンしている時に、次の読み取り原稿が読取素子204の直前まで事前に搬送できているため、原稿の間隔を詰めてスキャンすることができるのである。
【0028】
しかし、両面読み取り時では表面をスキャンしている場合、次の読取面は同じ原稿の裏面ということになってしまうため、次の読み取り原稿をあらかじめ読取素子204直前まで搬送できない。そのため、読取素子204で表面を読み取ってから、反転し、裏面を読み取り始める期間S303〜S305が大きく開いてしまうため、両面読み取り時の性能は片面読み取り時よりも遅くなってしまう。
【0029】
さらに、上記第1実施形態の例では、原稿の裏面を読み終えた後、原稿を再反転する期間S306〜S308においても、2枚目の原稿の通る搬送パスと同じ経路を使用するため、再反転中は次の原稿を読み込めなくなっている。この部分においても両面読み取り時の性能は片面読み取り時よりも遅くなってしまう。
【0030】
そこで、第1実施形態に示す原稿搬送路を備える画像読み取り装置とは、原稿搬送経路が異なる画像読み取り装置における実施形態を以下説明する。
本実施形態では、読み取り順序を変えて読み取ることにより効率を高める両面読み取りに対応した画像読取装置例を説明する。本例は、搬送路上に2枚の原稿を同時に搬送可能な画像読取装置例である。
図8は、本実施形態を示す画像読み取り装置の原稿搬送経路を説明する断面図である。
図8に示す画像読み取り装置は、2つの原稿搬送経路を備えており、CPU101は原稿搬送時にフラッパ601、602を用いて搬送経路の切り替え制御を行うことで、原稿の搬送経路を切り替える。
【0031】
第1の搬送経路としては、まず原稿台600に原稿を置くと、ローラ610、611、612を用いて原稿を搬送し、読取素子613を通過した時点で原稿の読み取りを行うことになる。その後にローラ614を経由し、CPU101は、フラッパ601を下向きに可動して、上側の経路676を通過させる動作を行い、ローラ615を経由し、一旦上部反転出口603方向に原稿を退避する。
反転後は、原稿はローラ615、611、612をこの順に経由し、読取素子613を通過した時点で裏面の読み取りを行うことになる。
そして、CPU101は、フラッパ601を上向に可動して、原稿をフラッパ602を上向きにして下側の搬送経路を通し、反転用のローラ617を経由して下側の再反転出口605に再度退避する。
最後に、CPU101は反転用のローラ617、排紙用のローラ616を駆動して原稿を反転用のローラ617、排紙用のローラ616を経由し、下部反転出口604から排紙する。
【0032】
一方、第2の搬送経路としては、まず原稿台600に原稿を置くと、ローラ610、611、612を用いて原稿を搬送し、読取素子613を通過した時点で原稿の読み取りを行うことになる。その後に、CPU101は、ローラ614を駆動して原稿をローラ614を経由させ、フラッパ601を上方向に可動し、かつ、フラッパ602を下方に可動して、下側の経路677を通過させる動作を行う。そして、CPU101はローラ616を駆動して、原稿を排紙用のローラ616を経由させ、下部反転出口604に一旦退避する。
そして、反転後、CPU101は、原稿をローラ615、611、612の順に経由させ、読取素子613を通過した時点で裏面の読み取りを行うことになる。そして今度はフラッパ601を上向きに可動し、かつ、フラッパ602を上向きに可動して下の搬送経路678を通過させる。そして、CPU101は、原稿を反転用のローラ617を経由して下側の再反転出口605に再度退避する。最後に、CPU101は反転用のローラ617、排紙用のローラ616を経由して原稿を下部反転出口604から排紙する。
【0033】
このような第1、第2の搬送経路を備える画像読み取り装置もまた、第1実施形態と同様に上記の画像読取装置もメカ機構で構成されるため、原稿のジャムが発生する場合がある。
よって原稿の有無の検出の他にも、原稿のジャム検知、ジャム位置検出に用いるためのセンサ類を備えている。
まず、原稿積載状態を検知するセンサ618は原稿台600に原稿がセットされているか否かを検知する。ここで、CPU101は、センサ619、反転されて排紙する原稿を検知するセンサ621及びセンサ622が所定の時間内にセンサがONにならない、またはOFFにならないことを検知する。これにより、CPU101は、原稿ジャムが発生したか否かを判断することが可能に構成されている。
また、センサ619、反転されて排紙する原稿を検知するセンサ621、反転する原稿を検知するセンサ620及びセンサ622は、ジャム発生時の原稿位置を検出するために用いられる。
このような第1、第2の搬送経路と、上述した複数のセンサを備える画像読み取り装置における原稿ジャム処理について説明する。
図9は、本実施形態を示す原稿読み取り装置の原稿搬送状態を説明する断面図である。なお、本例は、搬送経路上に2枚の原稿を同時に搬送することが可能に構成されている。以下、本原稿読み取り装置において、2枚の原稿を両面読み取りした時の動作例について詳述する。以下、S701〜S712は原稿の搬送タイミングを示す。
【0034】
まず、2枚の原稿を重ねて表面を上にして原稿読み取り装置の原稿台上に載置して、操作部107からの設定しに従い、両面読み取りを開始すると、CPU101はローラ610を駆動して、まず1枚目の原稿を搬送路に対して搬送する(S701)。1枚目の原稿は表面を下にした状態で読取素子613を通過し、1枚目の表面がスキャンされる(S702)。1枚目の表面の読み取りが終わる。なお、本読み取りを流し読み取りモードという場合がある。
【0035】
次に、CPU101は、原稿の裏面を読み取るために原稿搬送路を用いて原稿を反転する。そのため、一旦原稿を先に送り反転準備に入る。この時、CPU101は、表面が読み取られた原稿を上側の搬送パス(経路676)を通るようにフラッパの位置を制御する。また、この時点で2枚目の原稿の表面を読み取るために、CPU101は、2枚目の原稿の表面を送る動作を開始する(S703)。
このように1枚目の原稿を先に送りつつ、2枚目の原稿の表面を読取部でスキャンする(S704)。
次に、1枚目の原稿の裏面をスキャンするため、反転した最初の原稿を再度読取部に向けて搬送する。さらに同時に、2枚目の原稿も裏面を読むために先に送り反転する。この時2枚目の原稿は下側の搬送経路を通るように制御される。
この時、1枚目の原稿は裏面が上になっており、原稿の後端が前に来る向きで搬送されることになる(S705)。1枚目の原稿は搬送経路に沿って送られ、裏面を下にした状態で再度読取素子613を通過し裏面がスキャンされる。
この時、2枚目の原稿は、経路677を介して先に送られて反転される(S706)。これで1枚目の原稿の表面、裏面の読み取りが終了したので、再反転を行う。1枚目の原稿は読取素子613を通った後、一番下の搬送経路(経路678)を通り再反転する。同時に2枚目の原稿は裏面が上で、原稿の後端が前に来る向きで搬送され裏面読みを開始する(S707)。
1枚目の原稿は再反転の搬送経路内で反転される。同時に2枚目の原稿は読取部で裏面をスキャンされる(S708)。1枚目の原稿は反転後排紙動作に入り、同時に2枚目の原稿はそのまま再反転するための搬送経路(経路678)に入り、反転する(S709)。その後は、1枚目の原稿は画像読取装置から排紙され、2枚目の原稿も反転された後、排紙されることになる(S710)〜(S712)。
【0036】
本実施形態は、第1実施形態の図1の読取部105の画像読取装置が図8、図9で示したような高効率なものに置き換わった際の画像読み取り装置を例示している。
そして、CPU101は、第1実施形態と同様に図7で説明した原稿搬送中にジャムが発生した場合に、図8に示すセンサ類によってジャムの検知、及びジャム位置を検出し、ジャム位置に応じて予め用意したジャム位置イメージを操作部107に表示する。
ただし、第2実施形態では、同時に搬送経路上に2枚の原稿が滞留する。そのため、ページ番号が振っておらず、ユーザも原稿の並び順を把握していない両面原稿を両面読み込みした際にジャムが発生すると、原稿の再セットが正しく行えない可能性が第1実施形態に比べて高くなる。
よって、本実施形態では、CPU101が以下に示す手順に従い、原稿ジャム発生時にユーザに対して原稿のジャム位置、並び順、ジャム原稿の表裏面に関する情報を操作部107を介して表示する制御を行う。
【0037】
図10は、本実施形態を示す画像読み取り装置の制御手順を示すフローチャートである。本例は、画像読み取り装置のCPU101が実行するジャム検知とジャム位置に応じたジャム状態を表示する処理例である。なお、各ステップは、CPU101がROM102に記憶される制御プログラムをDRAM104にロードして実行することで実現される。以下、CPU101がセンサ618、619、620、621、622が検知する原稿の搬送状態の変化と、読取素子613の上を通過する原稿の通過回数とからジャム情報を表示する処理を説明する。
まず、ユーザによって原稿台600に複数毎の両面原稿をセットすると、原稿の積載状態を検知するセンサ618がONになる。これにより、CPU101は両面原稿が原稿台に載置された状態であることを検知する(S801)。ここで、ユーザが操作部107を用いて載置した両面原稿に対する様々な読み取り設定がなされ、読み取りスタートのボタンが押下される(S802)。この読み取り開始後、ローラ610が駆動され、搬送路上を読取素子613方向に搬送されて行く。この際、CPU101は原稿に対してユーザが設定した読み取り条件が片面読みを設定しているのか、両面読み取りを設定しているのかを判断する(S803)。ここで、ユーザが片面読み取りを設定しているとCPU101が判断した場合は、従来通り片面読みの処理を実行して(S815)、本処理を終了する。
なお、片面読み取りの具体的な処理内容に関しては第1実施形態同様、本発明の要旨から外れるため、ここでは割愛する。
一方、S803で、両面読み取りの設定がなされているとCPU101が判断した場合、CPU101は、パラメータPに"0"を設定する(S804)。次に、CPU101は、ローラ610の駆動を開始して、設置された原稿を原稿台600から搬送路上に1枚引き込んで原稿の搬送を開始する(S805)。
このようにして原稿を1枚引き込んだ後、S816で、CPU101は、原稿台600に原稿の有無をセンサ618により検知し、次の原稿があるかどうかを判断する。ここで、次の原稿がないとCPU101が判断した場合は、1枚原稿のみか、もしくは奇数枚原稿の最後の1枚の処理であると認識し、CPU101は、読取素子613を用いて1枚滞留の両面読み取り処理を行い(S817)、本処理を終了する。
本実施形態では、2枚滞留時のジャム表示の説明が主体のため、1枚滞留の処理に関する詳細な記述は割愛する。
ただ2枚滞留可能な画像読取装置における1枚滞留の処理は、搬送系が異なるが、基本的にセンサによりジャム検知、ジャム位置検出を行い、ジャム表示をすることは変わらない。
一方、S816において、CPU101が次の原稿があると判断した場合、原稿の搬送が読取素子613付近に到達するのを待つ。そして、CPU101は、センサ619が所定時間内にONになるか否かで原稿のジャムを判断する(S806)。ここで、CPU101がセンサ619が所定時間内にONになっていると判断した場合、CPU101は、読取素子613により原稿の読み取りを開始する(S807)。そして、CPU101は、原稿の読み取りが行われる毎にパラメータPをインクリメントする(S808)。
なお、このパラメータPの値は原稿がセンサ619を通過した回数を示し、装置内には2枚の原稿が滞留するため、P=0〜4の値をとる。
次に、原稿が読取素子613を通過している最中はセンサ619がONになっているが、所定時間でOFFになるか否かで読取素子613の配置位置において原稿のジャム(第2のジャム)が発生しているかどうかを判断する(S809)。
ここで、センサ619が所定時間でOFFになっているとCPU101が判断した場合は、原稿は読取素子613を正常に通過したと判断して、1ページの読み取りが終了する(S810)。
上述したように、この段階でパラメータPが取り得る値はP=1、2、3、4の何れかである。P=1は1枚目原稿の表面、P=2は2枚目原稿の表面、P=3は1枚目原稿の裏面、P=4は2枚目原稿の裏面の読み取りの際に、読取素子613の直前に配置されているセンサ619を原稿の先端が通過した後の値である。
そこで、S811で、CPU101は、現在のパラメータPの値が4であるかどうかを判断する。なお、パラメータP=1、2、3の時は再び1枚目または2枚目の原稿を読取素子613へと搬送させる必要がある。そこで、S811で、パラメータP=4でないとCPU101が判断した場合は、S806に戻って再びセンサ619が所定時間内にONになるのを待つ。
一方、S811で、CPU101がパラメータPの値がP=4であると判断した場合、この場合は、2枚目の原稿読み取り開始〜排紙の段階である。
そこで、原稿の排紙時は、一旦反転状態を検知するセンサ622の前に停滞して原稿を再反転出口605から装置外へ送り出し、搬送経路を切り替えて反転排紙状態を検知するセンサ622の前を通過して下部反転出口604から排紙させる。
この時、CPU101は、所定時間を経てもセンサ622がONしない、あるいは一端ON状態を検知した後、所定時間が経過する間に、センサ622がOFF状態となっているかどうかを判断する(S812)。つまり、CPU101は、S812で、原稿がS622の配置位置で原稿ジャム(第3の原稿ジャム)が発生しているかどうかを判断することができる。ここで、CPU101が第3の原稿ジャムが発生していると判断した場合は、S818以降の処理を実行する。
一方、S812で第3のジャムが発生していないとCPU101が判断した場合、CPU101は第4の原稿ジャムが発生しているかどうかを判断する(S813)。具体的には、所定時間を経てもセンサ621がOFFしていないと判断した場合、CPU101は、第4の原稿ジャムが発生していると判断することができる。
ここで、第4の原稿ジャムが発生しているとCPU101が判断した場合は、S818以降の処理を実行する。
一方、S813で、第4の原稿ジャムが発生していないとCPU101が判断した場合は、CPU101は2枚の原稿が正常に排紙されたと判断する。次に、CPU101はセンサ618で原稿台600にまだ原稿が残っているかどうかを判断する(S814)。
ここで、CPU101が原稿台600に原稿がまだ残っていると判断した場合、S804に戻り、CPU101は、パラメータPをゼロクリアして新しい原稿の搬送を開始する。
一方、S814で、原稿が原稿台600に残っていないとCPU101が判断した場合、本処理を終了する。
【0038】
上記のS806、S809、S812、S813において、原稿ジャムが発生しているとCPU101が判断した場合、処理はS818に移る。
そして、CPU101は、搬送系を全て停止させてユーザにジャムを報知するアラーム音を鳴動させる(S818)。続いて、CPU101は、操作部107にジャム情報を表示するための表示イメージをROM102から選択的に読み出して、ジャム表示画面として表示する(S819)。なお、表示画面構成例については、図9において後述する。
そして、CPU101は、ユーザが操作部107に表示されたジャム画面を確認して、ジャム状態の原稿を解除したかどうかを各センサの状態を監視して判断する(S820)。なお、画像読み取り装置の構造上、何らかの開閉扉を開いてジャム状態の原稿を解除する構造となっている場合には、当該開閉扉の開閉状態を検知するボタンスイッチ等のオン/オフ状態も合わせて監視する。
続いて、CPU101は、ジャム状態の原稿を搬送路上から解除した後に、ユーザによって操作部107のOKボタンが押下されたか否かを判断する(S821)。ここで、ユーザによってOKボタンが押下されたとCPU101が判断した場合は、搬送路上でジャム状態となっていた原稿が解除されたと判断して、本読み取り処理を終了する。本実施形態では、CPU101がS804〜S814を実行することで、具体的にはCPU101がパラメータPの値からジャム位置に停止したジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面に対応しているかを判断する。そして、CPU101が判断したジャム原稿のジャム位置とジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面であるかを示す表裏情報と、原稿の順序を示す情報とを含むジャム情報を操作部108の表示部に表示することができる。これにより、ユーザは、ジャムした原稿の表面を原稿台上で上面となるように再載置して、原稿の読み取りを正しく再開させることができる。
【0039】
図11,図12は、本実施形態を示す画像読み取り装置における原稿ジャム位置と表示すべき表示イメージとの対応を示す図である。ここで、各表示イメージ9−1〜9−13は、第1実施形態と同様に、ROM102上にあらかじめ記憶されている。なお、図11,図12において、(1)、(2)は搬送された原稿の順序を示す情報である。また、原稿の順序を示す情報は、上記表記例に限定されることはなく、他の表示態様、例えばカラーディスプレイを備える場合には、(1)に対応する原稿を赤色と数字で表記したり、(2)に対応する原稿を緑色と数字で表記したりしてもよい。また、原稿の再設定状態をアニメーション表示する等動画により表示する態様であってもよい。
図11は、表示イメージは、実際の原稿ジャム発生時に想定されるおおよそのジャム位置と、その際に操作部107に表示するジャム発生の表示イメージの対応例を示している。上記第1実施形態においても説明したが、各表示イメージは一例であり、原稿の位置及び表裏がより明確にユーザに伝達できればどのようなイメージであっても良い。
パラメータP=0の時、CPU101は、S806に対応する第1の原稿ジャム判断によりジャム検知した場合、ジャム位置901の箇所に原稿が詰まっている状態であると判断できる。よって、CPU101は、ROM102から表示イメージとして画像9−1を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
【0040】
また、パラメータP=1の時、S809における第2の原稿ジャム判断またはS806における第1の原稿ジャム判断によりジャム検知した場合、ジャム位置を以下のように特定する。具体的には、CPU101は搬送路上であってジャム位置902、903、904のいずれかの箇所に原稿が詰まった状態で停止していると判断できる。この場合、CPU101はジャム検知時のセンサ619及びセンサ620の状態から原稿のおおよその位置が判断することができる。
この状態でセンサ619がONである場合、CPU101は原稿を読み取っている状態でジャムが発生したと判断できる。よって、CPU101は、ROM102から表示イメージとして、画像9−2を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
また、センサ619がOFF且つセンサ620もOFFの場合は、CPU101は、ROM102から表示イメージとして、画像9−3を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
また、センサ619がOFF且つセンサ620がONの場合は、2枚目の原稿が装置内に搬送されてきた状態であり、CPU101は、ROM102から表示イメージとして、画像9−4を選択的に読み出す。そして、CPU101は、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107にジャム情報を表示する制御を実行する。
なお、本実施形態において、装置内に原稿が2枚滞留した場合の表示イメージは、今までの大体の原稿の位置と表裏の情報に加えて、先に装置に搬送された原稿と後に搬送された原稿を区別できるよう、番号を振ってある。これにより、ユーザは原稿ジャム時に、原稿の並び順まで把握することができ、原稿再セットに非常に有用になる。
【0041】
また、パラメータP=2の時、S809における第2の原稿ジャム判断またはS806における第1の原稿ジャム判断によりジャム検知したとCPU101が判断した場合、ジャム位置905、906に原稿が詰った状態で停止している状態であると判断できる。この場合、CPU101は、ジャム検知時のセンサ619の状況のみでおおよその原稿のジャム位置を特定することができる。
例えばセンサ619がONの場合は2枚目の原稿の表面読み取り中、1枚目の原稿が上部反転出口603に退避する時のジャムとCPU101は判断できる。このため、CPU101はROM102から表示イメージとして、画像9−5を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
また、センサ619がOFFの場合は1枚目の原稿がセンサ619に向けて搬送中、2枚目の原稿が下部反転出口604に向けて搬送中のジャムとCPU101は判断できる。このため、CPU101はROM102から表示イメージとして、画像9−6を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
【0042】
また、パラメータP=3の時、S809の第2の原稿ジャム判断またはS806の第1の原稿ジャム判断により原稿ジャムを検知した場合、ジャム位置907、908の箇所に、原稿が詰った状態で停止している状態であるとCPU101は判断できる。この場合もP=2の時と同様に、CPU101は、ジャム検知時のセンサ619のみの状況で原稿のおおよそのジャム位置を特定することができる。
また、センサ619がONの場合は1枚目の原稿の裏面読み取り中、2枚目の原稿は下部反転出口604に退避する時のジャムとCPU101は判断できる。このため、CPU101はROM102から表示イメージとして、画像9−7を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
さらに、センサ619がOFFの場合は1枚目の原稿は再反転出口605に向けて搬送中、2枚目の原稿はセンサ619に向けて搬送中の時の原稿ジャムとCPU101は判断できる。このため、CPU101はROM102から表示イメージとして、画像9−8を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
【0043】
また、パラメータP=4の時、S809における第2の原稿ジャム判断、S812の第3の原稿ジャム判断、S813の第4の原稿ジャム判断により原稿ジャムをCPU101が検知した場合、ジャム位置909〜913の箇所に原稿が詰った状態である。この場合、CPU101は、センサ619、センサ622、センサ621の状況で大体の原稿の位置を特定することができる。
この場合、CPU101は、センサ619がONの場合、2枚目原稿の裏面の読み取り中、且つ1枚目原稿が下部反転出口604から排紙されようとする時のジャムと判断できる。このため、CPU101はROM102から表示イメージとして、画像9−9を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
また、センサ619がONまたはOFF、且つセンサ622がOFF、反転排紙用のセンサ621がONの場合、CPU101は、1枚目原稿が排紙直前で、2枚目原稿はセンサ619とセンサ622の間にあると判断できる。このため、CPU101はROM102から表示イメージとして、画像9−10を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
また、センサ619、センサ622、センサ621いずれもOFFである場合、CPU101は、1枚目原稿は排紙された状態で、2枚目原稿はセンサ619とセンサ622の間にあると判断できる。このため、CPU101はROM102から表示イメージとして、画像9−11を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
さらに、センサ619がOFFでセンサ622がONの場合、CPU101はセンサ621にかかわらず2枚目原稿は反転〜排紙の位置にいると判断できる。このため、CPU101はROM102から表示イメージとして、画像9−12を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
また、センサ619、センサ622が共にOFFでセンサ621がONの場合、2枚目原稿は排紙直前にあるとCPU101は判断できる。このため、CPU101はROM102から表示イメージとして、画像9−13を選択的に読み出し、図13に示すユーザインタフェースとして操作部107に表示する制御を実行する。
【0044】
本実施形態によれば、CPU101は上記のようにパラメータPの値とセンサ類の状況に応じた表示イメージを選択的に読み出し、操作部107に図13に示すユーザインタフェースを用いてジャム情報を表示する制御を実行することができる。
図13に示す表示画面例914は、例えばパラメータP=2の時の原稿ジャムが発生した際、ROM102から選択的に対応する画像9−6を読み出して、操作部107に表示例である。この画面を操作部107に表示することで、ユーザは読取部105で原稿が詰まったことを確認し、原稿の大体のジャム位置と原稿の並び順、さらに原稿の読み取り面が表裏いずれの面であるかを直感的に理解できる。
したがって、搬送経路上でいずれの原稿がジャム状態で停止した場合でも、ユーザは操作部107に表示される図13に示す画面表示を確認して、原稿を取り除くことが可能となる。さらに、取り除いた原稿について、いずれの原稿についても、表面が下面となるように原稿を原稿台に誤りなく再セットすることができる。
本実施形態によれば、画像読取装置で原稿を両面読み込み時に原稿のジャムが発生した際、装置内に紙詰まった原稿の位置、表裏の向き、そして装置内に複数枚の原稿がある場合には原稿の読み込み順番がわかるように表示することができる。これにより、ページ番号が記載されてなく且つ並び順をユーザが把握できていない両面原稿であっても、ユーザは直感的に原稿の並び順を理解できるため、原稿の再セットが容易に行える。
【0045】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。なお、上記ステップにおける各ステップの順序を変更したり、他のステップを組み入れて本処理を実行するように構成することを本実施形態の技術的範囲に含まれる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0046】
101 CPU
107 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて搬送させる搬送手段と、
搬送される原稿の表面または裏面の画像を所定位置で読み取る読取手段と、
各搬送路上を通過する原稿の搬送状態を検知する複数の検知手段と、
各検知手段が検知する原稿の搬送状態の変化と、前記読取手段の上を通過する原稿の通過回数とからジャムが発生しているジャム位置および当該ジャム位置に停止したジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面に対応しているかを判断する判断手段と、
前記判断手段が判断したジャム原稿のジャム位置とジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面であるかを示す表裏情報を含むジャム情報を表示部に表示する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて複数枚の原稿を搬送させる搬送手段と、
搬送される原稿の表面または裏面の画像を所定位置で読み取る読取手段と、
各搬送路上を通過する原稿の搬送状態を検知する複数の検知手段と、
各検知手段が検知する原稿の搬送状態の変化と、前記読取手段の上を通過する原稿の通過回数とからジャムが発生している複数のジャム位置および当該ジャム位置に停止した複数のジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面に対応しているかを判断する判断手段と、
前記判断手段が判断した複数のジャム原稿のジャム位置と複数のジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面であるかを示す表裏情報と、原稿の順序を示す情報とを含むジャム情報を表示部に表示する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記ジャム情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記判断手段が判断するジャム原稿のジャム位置とジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面であるかを示す表裏情報を含むジャム情報を前記記憶手段から読み出して前記表示部に表示することを特徴とする請求項1または2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、複数の搬送経路を用いて前記原稿の読取面を反転して、前記読取手段の位置を通過させて前記読取手段に原稿の両面画像を読み取らせることを特徴とする請求項1または2記載の画像読取装置。
【請求項5】
原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて搬送させる搬送手段と、搬送される原稿の表面または裏面の画像を所定位置で読み取る読取手段と、各搬送路上を通過する原稿の搬送状態を検知する複数の検知手段と、を備える画像読取装置の制御方法であって、
各検知手段が検知する原稿の搬送状態の変化と、前記読取手段の上を通過する原稿の通過回数とからジャムが発生しているジャム位置および当該ジャム位置に停止したジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面に対応しているかを判断する判断工程と、
前記判断工程が判断したジャム原稿のジャム位置とジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面であるかを示す表裏情報を含むジャム情報を表示部に表示する制御工程と、
を備えることを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項6】
原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて複数枚の原稿を搬送させる搬送手段と、搬送される原稿の表面または裏面の画像を所定位置で読み取る読取手段と、各搬送路上を通過する原稿の搬送状態を検知する複数の検知手段とを備える画像読取装置の制御方法であって、
各検知手段が検知する原稿の搬送状態の変化と、前記読取手段の上を通過する原稿の通過回数とからジャムが発生している複数のジャム位置および当該ジャム位置に停止した複数のジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面に対応しているかを判断する判断工程と、
前記判断工程が判断した複数のジャム原稿のジャム位置と複数のジャム原稿の上面が原稿の表裏いずれの面であるかを示す表裏情報と、原稿の順序を示す情報とを含むジャム情報を表示部に表示する制御工程と、
を備えることを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の画像読取装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−222447(P2012−222447A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83688(P2011−83688)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】