説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】書籍、雑誌、書類などの綴じられた原稿に対する読取生産性を向上させることができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】シート型スキャナ装置270は、シートスキャナ271が引き出し可能に巻き取られている巻取り部272を有する。シートスキャナ271は、シート状の基材59を有する。基材59の各面には、それぞれ、自発光する発光層60が形成されている。各発光層60には、それぞれ、複数の読取画素61がマトリクス状に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿上の画像を読み取る読取手段を有する画像読取装置およびそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に用いられる画像読取装置としては、一般的に、フラットベッドスキャナがある。このフラットベッドスキャナにより、書籍、雑誌、書類などの綴じられた原稿(以下、ブック型原稿という)を読み取る場合、見開きの中央部が湾曲し、原稿台から離れることがある。このため、ブック型原稿から読み取られた画像は、ブック型原稿の見開き中央部(以下、ブックセンタという)に該当する部分が歪み、曲がり、または暗い画像となることが多い。また、ブック型原稿からは、画像を読み取ることができないこともある。
【0003】
このような問題を解決するために、読取画像の副走査方向への歪みを無くす技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。この技術は、読取部と原稿台上の原稿面との距離を検出し、この検出された距離に基づいて原稿の見開き高さ分布を算出し、この見開き高さ分布に基づいて副走査方向への読取ピッチを原稿走査中に変化させるものである。また、原稿の見開き高さ分布に基づいて見開き方向の沿面距離を算出することにより、原稿サイズを正確に判断する技術がある。
【0004】
また、汎用のフラットベッドスキャナにおいて、ブック型原稿の読取画像における輪郭線の形状に基づいてブック型原稿の各点での原稿台からの高さを算出し、算出された高さに基づいて読取画像を補正する技術がある(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−150534号公報(第13頁、図2)
【特許文献2】特開2000−244729号公報(第16頁、図14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記読取画像の副走査方向への歪みを無くす技術は、読取部の副走査方向への読取ピッチを、その位置での原稿面の高さに応じて原稿走査中に変化させることが必要である。また、読取部が原稿を上方から読み取るために、原稿台と読取部の間には、所定の空間が必要となる。これにより、上記技術を用いる画像読取装置は、フラットベッドスキャナとは異なるシステムまたは構成を有するものとなり、複雑化、かつ大型化することになる。従って、上記技術を用いる画像読取装置を複写機の画像読取装置として用いる場合は、フラットベッドスキャナを用いる場合に比してコストが増し、また装置を設置するための新たなスペースが必要になる。
【0006】
また、ブック型原稿の各点での原稿台からの高さに基づいて読取画像を補正する技術は、フラットベッドスキャナに用いられるものであるので、原稿を読み取る際は、原稿を読取面が下向きになるように原稿台にセットする必要がある。しかしながら、ブック型原稿において、ページをめくる場合は、ページを一度上向きにした後に、所定のページを開き、その読取面を下向きにする必要がある。すなわち、1ページを読み取る度に、ブック型原稿を上下に向け直す必要があるので、読取生産性が著しく低下することになる。
【0007】
さらに、ブックセンタの高さが所定値を超えると、読取部の深度が読取可能深度を超えることになり、ブックセンタ付近の画像を読み取ることができない。その結果、ブックセンタ付近の領域の画像は、黒く塗りつぶされた画像として読み取られることになる。
【0008】
また、ブック原稿の見開き2ページ分は、1ページ分として読み取られるので、ブック型原稿のページ構成に合わせた複写を行うためには、読み取られた1ページを分割する制御が必要となる。
【0009】
本発明の目的は、書籍、雑誌、書類などの綴じられた原稿に対する読取生産性を向上させることができる画像読取装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、原稿上の画像を読み取る読取手段を有する画像読取装置であって、前記読取手段は、自発光可能な発光層および複数の光センサが配置されている受光層が形成されているシート状の基材から構成され、前記読取手段は、原稿に対して進退可能に設置されていることを特徴とする画像読取装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、書籍、雑誌、書類などの綴じられた原稿に対する読取生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施の形態に係る画像読取装置を備える画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【0014】
画像形成装置は、図1に示すように、原稿上の画像情報を読み取る画像読取装置2000、および画像読取装置2000により読み取られた画像情報を用紙上に形成するプリンタ装置1000を備える。
【0015】
画像読取装置2000は、スキャナ装置200と、シート型スキャナ装置270とを有する。また、画像読取装置2000は、必要に応じて、原稿Dを自動的に給送する自動原稿給装置250を装着することが可能である。ここで、シート型スキャナ装置270の詳細については、後述する。
【0016】
スキャナ装置200は、原稿Dが載置されるプラテン202と、プラテン202上に置かれた原稿Dをプラテン202に密着させるための圧板203とを有する。プラテン202上に置かれた原稿Dは、ランプ201により照明され、当該原稿Dからの反射光は、各ミラー202a,202b,202cにより、レンズ204へ導かれる。レンズ204に入射された光は、CCDなどからなるイメージセンサ205上へ光学像として結像される。上記イメージセンサ205は、光学像を電気信号へ変換して出力する。
【0017】
ここで、ランプ201、各ミラー202a,202b,202c,レンズ204、およびイメージセンサ205は、一体にして、上記原稿Dに対して、副走査方向へ移動可能なスキャナを構成する。このスキャナユニットの副走査方向への移動に伴い、イメージセンサ205により、原稿Dに対する読取走査が行われ、原稿Dの読取面の読み取りが行われることになる。
【0018】
上記イメージセンサ205から出力された電気信号は、画像処理部206へ入力される。画像処理部206は、入力された電気信号をデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に対して各種処理を施す。各種処理が施されたデジタル信号は、画像データとして、制御線207を介して、プリンタ装置1000へ出力される。画像処理部206は、制御部208と接続される。制御部208は、画像処理部206を含む画像読取装置2000の各部を制御するとともに、プリンタ装置1000を制御する。
【0019】
画像読取装置2000に自動原稿給送装置250を装着する際には、圧板203が取り外され、自動原稿給送装置250が装着される。自動原稿給送装置250は、スキャナ装置200に対して開閉可能に構成されており、自動原稿給送装置250を開くことによって、スキャナ装置200のプラテン202上に原稿を載置することが可能である。この場合、上述した手順でプラテン202上に載置された原稿の読み取りが行われる。
【0020】
自動原稿給送装置250が装着されると、原稿を搬送しながら当該原稿の読み取りを行う原稿流し読みが可能になる。この原稿流し読みの場合、スキャナ装置200は、所定位置(流し読み位置)に停止される。次いで、自動原稿給送装置250により原稿Dが給紙され、副走査方向へ搬送される。そして、原稿が上記流し読み位置を通過する際に、スキャナ装置200により、原稿Dの主走査方向の読み取りが行われる。これにより、原稿Dの読取面の読み取りが行われることになる。
【0021】
プリンタ装置1000は、画像読取装置2000から入力された画像データに応じてレーザ光を変調し、該変調されたレーザ光を走査しながら出力するレーザユニット111を有する。レーザユニット111から出力されたレーザ光は、ミラー113を介して、感光ドラム112へ照射される。これにより、感光ドラム112上には、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器114から供給されるトナーにより、トナー像として可視像化される。この感光ドラム112上のトナー像は、転写器115により、転写位置112bにおいて、各カセット段1001〜1004のいずれかから給紙された用紙P上に転写される。トナー像が転写された用紙Pは、転写分離器116により、感光ドラム112から分離される。
【0022】
次いで、用紙Pは、搬送ベルト117により、定着器118へ送られる。定着器118は、用紙Pを熱圧し、用紙P上のトナー像を用紙P上へ定着させる。この定着器118を通過した用紙Pは、排紙ローラ119により、装置外部へ排紙される。
【0023】
各カセット段1001〜1004には、それぞれ、収納されている用紙Pを引き出すためのピックアップローラ11,21,31,41が設けられている。カセット段1001から引き出された用紙Pは、給紙ローラ対12,13、搬送ローラ15および搬送ローラ130により、レジストローラ110に向けて送られる。用紙Pは、レジストローラ110により一旦停止された後に、所定のタイミングで転写位置112bへ送り出される。カセット段1002の用紙Pは、給紙ローラ対22,23、搬送ローラ25,15および搬送ローラ130により、レジストローラ110に向けて送られる。カセット段1003の用紙Pは、給紙ローラ対32,33、搬送ローラ35,25,15および搬送ローラ130により、レジストローラ110に向けて送られる。カセット段1004の用紙Pは、給紙ローラ対42,43、搬送ローラ45,35,25,15および搬送ローラ130により、レジストローラ110に向けて送られる。
【0024】
プリンタ装置1000には、制御部208からの制御命令に基づいて、プリンタ装置の動作を制御するためのエンジンコントローラ120が搭載されている。
【0025】
次に、上記シート型スキャナ装置270の構成について図2〜図5を参照しながら説明する。図2は図1のシート型スキャナ装置270の主要部構成を示す斜視図である。図3(a)は図2のシートスキャナ271上に設けられている読取画素の配列を模式的に示す平面図、図3(b)は読取画素の回路構成を示す図である。図4は図2のシートスキャナ271の厚さ方向の断面図である。図5はシートスキャナ271と画像処理部との接続構造を模式的に示す斜視図である。
【0026】
上記シート型スキャナ装置270は、図2に示すように、筐体275を有し、筐体275内には、巻取り部272が収納されている。巻取り部272は、回転可能に筐体275に支持され、巻取り部272には、シートスキャナ271が引き出し可能に巻き取られている。シートスキャナ271の一端部は、巻取り部272に結合されている。シートスキャナの他端部には、ハンドル273が設けられており、このハンドル273には、スイッチ274が設けられている。ハンドル273は、シートスキャナ271を引き出すためのものである。スイッチ274は、読み取り開始を指示するためのスイッチである。
【0027】
シートスキャナ271は、図4に示すように、シート状の基材59を有する。基材59は、可撓性を有し、かつ光透過率が非常に小さい部材からなる。この基材59の各面には、それぞれ、自発光する発光層60が形成されている。各発光層60上には、それぞれ、複数の読取画素61が設けられており、各読取画素61と発光層60の間には、それぞれ、遮光膜62が設けられている。各遮光膜62は、発光層60からの光が直接読取画素61に入射することを防止するための膜である。そして、基材59の各面には、それぞれ、発光層60および各読取画素61を保護するための保護層80が設けられている。
【0028】
上記基材59の各面には、読取部として作用する領域が規定されており、この領域に複数の読取画素61が設けられる。上記読取部領域は、シートスキャナ271の端部(ハンドル273側の端部)から長手方向に沿って所定の幅で延びる領域である。この読取部領域のサイズ(長さおよび幅)に応じて、読み取り可能な原稿サイズが決定されることになる。
【0029】
シートスキャナ271の各面の読取部領域における複数の読取画素61は、図3(a)に示すように、マトリクス状に配列されている。ここで、マトリクスの列方向へ並ぶ各読取画素61は、それぞれ、対応するワードライン63と接続され、各ワードライン63は、それぞれ、対応するワードラインセレクタ70を介して列デコードライン67と接続される。また、マトリクスの行方向へ並ぶ各読取画素61は、それぞれ、対応するビットライン64と接続され、各ビットライン64は、それぞれ、対応するビットラインセレクタ71を介して行デコードライン69と接続される。そして、上記列デコードライン67と行デコードライン69のアドレス指定により、所定の読取画素61の電流値が読み出される。
【0030】
各読取画素61は、図3(b)に示すように、光を受光すると、その受光量に応じた電流値を発生する有機フォトダイオード61aと、有機トランジスタ61bとを有する。そして、有機トランジスタ61bをスイッチング動作させることによって、有機フォトダイオード61aに生じた電流値が読み出される。ここで、有機フォトダイオード61aおよび有機トランジスタ61bは、有機半導体である。
【0031】
上記巻取り部272の一方の端部には、図5に示すように、端子277aおよび端子277bが設けられている。端子277aは、上記行デコードライン69と、端子277bは、上記列デコードライン67とそれぞれ接続されている。各端子277a,277bには、それぞれ、対応する端子276a,276bが接続される。各端子276a,276bは、対応する端子277a,277bと摺動可能に接触するバネ接点を構成する。各端子276a,276bは、画像処理部278と接続されている。このような構成により、巻取り部272が回転しても、行デコードライン69および列デコードライン67と画像処理部278との接続が保たれる。
【0032】
次に、画像処理部278について図6を参照しながら説明する。図6は図5の画像処理部278の構成を示すブロック図である。
【0033】
画像処理部278は、図6に示すように、シートスキャナ271から出力される画像信号をデジタル画像信号へ変換するA/D変換器501を有する。A/D変換器501から出力されるデジタル画像信号は、シェーディング補正回路502へ入力される。シェーディング補正回路502は,入力されたデジタル画像信号に対してシェーディング補正を施す。このシェーディング補正された画像信号は、画像処理回路503へ入力される。画像処理回路503は、入力された画像信号に対して所定の画像処理を施し、所定の画像処理が施された画像信号を、画像データとして、I/F回路504を介して、プリンタ装置1000(レーザユニット111)へ送出する。画像処理部278は、制御部208により制御される。
【0034】
ここで、シェーディング補正回路502によるシェーディング補正に用いられるシェーディングデータは、シートスキャナ271により、予め準備された基準部材を読み取ることによって得られるデータである。このシェーディングデータの取得方法としては、例えば、シートスキャナ271の上下の各面のそれぞれに対してそれぞれの面を覆うことが可能なサイズの基準部材を密着させて、基準部材の読み取りを行う方法がある。この方法の場合、シートスキャナ271における基準部材が密着された面271の発光層60が自発光し、発光層60から発生された光が読取画素61間を経て基準部材を照明する。そして、照明された基準部材からの反射光が、各読取画素61により受光され、各読取画素61は、受光量に応じた電流値を発生する。各読取画素61に発生した電流値を読み出すことによって、シェーディングデータが取得される。
【0035】
次に、ブック型原稿を読み取る際の手順について図7〜図9を参照しながら説明する。図7〜図9はブック型原稿を読み取る際のシートスキャナ271とブック型原稿に対する操作状態を模式的に示す図である。ここでは、自動原稿給送装置250は装着されておらず、圧板203は取り外されていないものとする。
【0036】
本実施の形態においては、シート型スキャナ装置270による読取モードとして、両面読取モード、片面読取モードのいずれかを設定することが可能である。両面読取モードは、シートスキャナ271の各面にそれぞれ原稿を密着させて読み取るモードである。また、片面読取モードは、シートスキャナ271の1つの面に原稿を密着させて読み取るモードである。上記読取モードの設定は、操作部(図示せず)からの操作に応じて行われる。
【0037】
ブック型原稿Bの所望のページを読み取る際には、図7に示すように、まず、ユーザには、読み取り対象のページB1,B2が開かれたブック型原稿Bを、当該ページB1,B2が上向きになるようにしてプラテン202上に置く。この際、圧板203は、開けられている。また、シート型スキャナ装置270において、シートスキャナ271は巻取り部272に巻き取られて収納されている状態にある。
【0038】
次いで、ユーザは、ハンドル273を持ってシートスキャナ271を引き出す。そして図8に示すように、シートスキャナ271は、その先端271aがブック型原稿BのページB1とページB2の境界に到達するまで、引き出される。ここで、ページB1はシートスキャナ271の下面271bで覆われる。
【0039】
次いで、ブック型原稿Bは、ページB2がシートスキャナ271の上面271cに被されるように閉じられる。これにより、図9に示すように、シートスキャナ271の読取領域の一部がブック型原稿BのページB1とページB2との間に挟まれた状態になる。この状態においては、シートスキャナ271は、可撓性を有するので、シートスキャナ271の各面271b,271cは、対向するページB1,B2と密着された状態になる。そして、この状態で、ハンドル273に設けられたスイッチ274が押下され、読取開始が指示される。ここでは、両面読取モードが設定されているとする。この場合、シートスキャナ271のブック型原稿Bに挟まれた読取部領域により、ページB1の画像情報とページB2の画像情報が読み取られる。
【0040】
シートスキャナ271のブック型原稿Bに挟まれた下面271bの読取領域においては、その発光層60が自発光し、発光層60から発生された光が読取画素61間を経てページB1を照明する。そして、照明されたページB1からの反射光が、各読取画素61により受光され、各読取画素61は、受光量に応じた電流値を発生する。各読取画素61に発生した電流値は、画像信号として読み出されて画像処理部278へ入力される。
【0041】
また、同様に、上面271cの発光層60から発生された光が読取画素61間を経てページB2を照明する。そして、照明されたページB2からの反射光が、各読取画素61により受光され、各読取画素61は、受光量に応じた電流値を発生する。各読取画素61に発生した電流値は、画像信号として読み出されて画像処理部278へ入力される。
【0042】
このようにして、シートスキャナ271により、ブック型原稿Bの見開きのページB1とページB2がそれぞれ1ページとして読み取られる。
【0043】
これに対し、両面読取モードに代えて片面読取モードが設定されている場合、ブック型原稿BのページB1またはページB2のいずれかが読み取られることになる。
【0044】
次ページを読み取るときには、シートスキャナ271が一旦ブック型原稿Bから引き出され、次ページが開かれる。そして、次ページとそれに続くページとの間にシートスキャナ271を挟み込むようにすれば、次ページとそれに続くページとの読み取りが可能になる。
【0045】
このような操作を繰り返すことによって、ブック型原稿の各ページを連続的に読み取ることができる。
【0046】
また、上記ページB1とページB2を1ページとして読み取ることができる。この場合、シート型スキャナ装置270の読取モードが片面に切り替られる。そして、シートスキャナ271が、ページB1とページB2を覆う位置まで引き出される。これにより、シートスキャナ271の下面271cは、ページB1とページB2に被せられた状態になる。この際、シートスキャナ271は可撓性を有するので、シートスキャナ271の下面271cをページB1とページB2に密着させることができる。また、ブックセンタ付近の箇所に対しても、シートスキャナ271の下面271cを密着させることがされる。そして、スイッチ274が押下される。これにより、シートスキャナ271の下面271cの各読取画素61により、ページB1とページB2が1ページとして読み取られる。
【0047】
このように、シートスキャナ271の下面271cをページB1とページB2に密着させることができるので、ページB1とページB2上の画像を確実にかつ正確に読み取ることができる。また、シートスキャナ271の下面271cをブックセンタ付近の箇所に対しても密着させることができるので、ブックセンタ付近の画像を確実にかつ正確に読み取ることができる。
【0048】
また、ページB1,B2間にシートスキャナ271を挟み込む場合、例えばブック型原稿Bを閉じた状態からページB1とページB2との間を僅かに開き、これによりページB1とページB2間に形成された隙間に、シートスキャナ271を挿入するようにしてもよい。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、簡単な操作で、ブック型原稿の所望のページを読み取ることができ、ブック型原稿に対する読取生産性を向上させることができる。
【0050】
また、シート型スキャナ装置270は、シートスキャナ271を巻き取って収納することができるので、シート型スキャナ装置270を設置する際のスペースが大きくなることはなく、画像読取装置Aが大型化することはない。
【0051】
また、本実施の形態においては、両面に発光層と読取画素が設けられているシートスキャナが用いられ、ブック型原稿に対して両面読取モードを実現している。これに代えて、一方の面のみに発光層と読取画素が設けられているシートスキャナを用いて、片面読取モードのみを実行可能な画像読取装置を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置を備える画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】図1のシート型スキャナ装置270の主要部構成を示す斜視図である。
【図3】(a)は図2のシートスキャナ271上に設けられている読取画素の配列を模式的に示す平面図、(b)は読取画素の回路構成を示す図である。
【図4】図2のシートスキャナ271の厚さ方向の断面図である。
【図5】シートスキャナ271と画像処理部との接続構造を模式的に示す斜視図である。
【図6】図5の画像処理部278の構成を示すブロック図である。
【図7】ブック型原稿を読み取る際のシートスキャナ271とブック型原稿に対する操作状態を模式的に示す図である。
【図8】ブック型原稿を読み取る際のシートスキャナ271とブック型原稿に対する操作状態を模式的に示す図である。
【図9】ブック型原稿を読み取る際のシートスキャナ271とブック型原稿に対する操作状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0053】
59 シート基材
60 発光層
61 読取画素
270 シート型スキャナ装置
271 シートスキャナ
272 巻取り部
1000 プリンタ装置
2000 画像読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿上の画像を読み取る読取手段を有する画像読取装置であって、
前記読取手段は、自発光可能な発光層および複数の光センサが配置されている受光層が形成されているシート状の基材から構成され、
前記読取手段は、原稿に対して進退可能に設置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取手段は、両面に、自発光可能な発光層および複数の光センサが配置されている受光層が形成されているシート状の基材から構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記読取手段の前記基材には、自発光可能な発光層および複数の光センサがマトリクス状に配置されている受光層が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取手段の前記基材は、可撓性を有する部材からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記読取手段を引き出し可能に巻き取る巻取り手段を備えることを特徴とする請求項4記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−180846(P2007−180846A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376415(P2005−376415)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】