説明

画像読取装置および画像読取装置を備えた画像形成装置

【課題】ユーザが操作しやすいカバーを備えた画像読取装置および当該画像読取装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、プラテンガラスの上方を覆う開閉可能なカバー32と、カバー32の後端を回動可能に軸支するヒンジ110と、ヒンジ110を上下動可能に保持するガイド120と、ヒンジ110またはガイド120の一方に揺動可能に設けられる位置決めレバー200とを備えている。位置決めレバー200は、ヒンジ110がガイド120内を上方から下方へ向けて移動したときに、ヒンジ110またはガイド120の他方に当接することで揺動する第1アーム210と、第1アーム210がヒンジ110またはガイド120の他方と当接して揺動するのに連動して揺動し、ヒンジ110またはガイド120の他方を押圧することで、ヒンジ110をガイド120に押し付ける第2アーム220とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置と、当該画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原稿の画像を読み取る画像読取装置や、画像読取装置が組み込まれた複写機やファクシミリ装置、複合機等が知られている。画像読取装置は、原稿が載置されるガラス板と、ガラス板の下方に設けられるイメージセンサと、ガラス板の上方を覆うカバーとを備えており、ガラス板上に載置された原稿を、ガラス板とカバーで挟み、イメージセンサによりガラス板を通して原稿の画像を読み取っている。このように構成された画像読取装置では、カバーとガラス板で原稿を挟んでいるので、読取中に原稿がずれるのを防止したり、読み取りの光を遮ったりすることができるようになっている。
【0003】
そして、従来、本などの厚みがある原稿を読み取るために、カバーをガラス板に対して上下動可能に構成し、厚みのある原稿に対しても、原稿を位置ずれしないようにガラス板とカバーで挟むことができる画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、この画像読取装置では、カバーを開閉可能に支持するヒンジ手段と、ヒンジ手段を上下動可能に保持する収容部とを備えている。そして、ヒンジ手段は、収容部の下方に配置されているとき、収容部に設けられている板バネ体と係合している。これにより、ヒンジ手段が収容部内でがたつかないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−28468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した技術のように、ヒンジ手段が板バネ体と係合していると、ヒンジ手段が板バネ体から受ける押圧力が、カバーを上下動するときの抵抗となり、ユーザの操作性が悪かった。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザが操作しやすいカバーを備えた画像読取装置および当該画像読取装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の画像読取装置は、載置された原稿の画像を読み取る読取部と、読取部の上方を覆う開閉可能なカバーと、カバーの一側端を回動可能に軸支する支持体と、支持体を読取部に対して上下動可能に保持するガイドと、位置決め部材と、を備えている。
位置決め部材は、支持体またはガイドの一方に揺動可能に設けられ、支持体をガイドに対して位置決めする部材である。
そして、位置決め部材は、位置決め部材の揺動中心から延出し、支持体がガイド内を上方から下方へ向けて移動したときに、支持体またはガイドの他方に当接することで揺動する第1アームと、前記揺動中心から延出し、第1アームが支持体またはガイドの他方と当接して揺動するのに連動して揺動し、支持体またはガイドの他方を押圧することで、支持体をガイドに押し付ける第2アームと、を有していることを特徴とする。
【0008】
このように構成された画像読取装置によれば、カバーを開閉するときには、第2アームによって支持体がガイドに押し付けられているので、支持体ががたつかず、ユーザがカバーを操作しやすい。そして、支持体がガイドに対して上下動するときには、第2アームによって支持体が押圧されないので、支持体の動作に対して抵抗がなく、ユーザがカバーを操作しやすい。
【0009】
そして、前記した画像読取装置において、位置決め部材は、ガイドに備えられているのが望ましい。
【0010】
このように構成された画像読取装置によれば、位置決め部材を支持体に備える構成に比べて、構成を簡単にすることができる。
【0011】
また、前記した画像読取装置において、ガイドは、一対の側壁を備え、位置決め部材は、支持体を一対の側壁の一方側に押し付けることで、支持体を位置決めしている構成とすることができる
【0012】
そして、前記したガイドが一対の側壁を備える画像読取装置において、一対の側壁の他方には、支持体と対向する面に複数のリブを有し、第2アームは、第1アームが支持体またはガイドと当接していないときには、リブの先端よりも退避している退避位置に位置していることが望ましい。
【0013】
このように構成された画像読取装置によれば、支持体を上下動するときに、支持体を案内するリブが確実に機能することができる。
【0014】
また、前記した複数のリブは、それぞれ上下方向に延びていることが望ましい。
このように構成されることにより、支持体が上下動するときに、リブに引っ掛からないので、支持体をスムーズに動かすことができる。
【0015】
そして、前記した複数のリブを有する画像読取装置は、第2アームを退避位置に向けて付勢するように位置決め部材を付勢する弾性部材をさらに備えているのが望ましい。
【0016】
このように構成された画像読取装置によれば、第2アームを確実に退避位置に退避させることができる。
【0017】
また、前記した画像読取装置において、カバーは、読取部に原稿を搬送する自動原稿搬送装置を備えていてもよい。
【0018】
このように構成された画像読取装置によれば、位置決め部材により支持体がガイドに対して位置決めされることで、読取部に対してカバーの位置決めができるので、自動原稿搬送装置で原稿を搬送して読み取るときに、読取部と自動原稿搬送装置とのずれを抑制することができる。
【0019】
また、前記した目的を達成するための本発明は、前記した画像読取装置を備えていることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガイド内で支持体が最も下に位置するときは、支持体がガイドに押し付けられるので、カバーを開閉させたとしても、がたつくことがない。また、支持体を上下動させるときには、支持体がガイドに押し付けられないのでスムーズに動かすことができ、ユーザが操作しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置を備えたカラー複合機の概略構成を示す断面図である。
【図2】画像読取装置を示す斜視図である。
【図3】画像読取装置の載置トレイを開いた状態を示す斜視図である。
【図4】画像読取装置の後側を示す斜視図である。
【図5】画像読取装置のカバーを開いた状態を示す斜視図である。
【図6】図4のX−X断面図であって、ヒンジが上方に位置する状態を示す図(a)と、ヒンジが下方に位置する状態を示す図(b)である。
【図7】ヒンジ周辺を上方から見た図である。
【図8】第1の変形例に係るヒンジ周辺を示す断面図である。
【図9】第2の変形例に係るヒンジ周辺を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<カラー複合機の全体構成>
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラー複合機1の全体構成を説明した後、本発明の特徴部分である画像読取装置3を詳細に説明することとする。
【0023】
以下の説明において、方向は、カラー複合機使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側(手前側)」、紙面に向かって左側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0024】
図1に示すように、カラー複合機1は、本体ケース2と、本体ケース2の上方に設けられた画像読取装置3とを主に備えている。また、カラー複合機1は、本体ケース2内に、用紙Pを供給する給紙部4と、供給された用紙Pに画像を形成する画像形成部5とを主に備えている。
【0025】
本体ケース2の上部には、本体ケース2内から排出された用紙Pが載置される排紙トレイ22が設けられている。
【0026】
画像読取装置3は、排紙トレイ22の上方に空間Sを介して設けられている。この画像読取装置3は、複写などの際に、セットされた原稿に光を照射して画像を読み取ることで画像データを生成する。なお、画像読取装置3の詳細な構成については後述する。
【0027】
給紙部4は、本体ケース2内の下部に設けられ、本体ケース2に着脱可能に装着される給紙カセット41と、給紙カセット41の後部上方に設けられたピックアップローラ42と、分離ローラ43と、給紙ローラ44,45とを主に備えている。給紙カセット41内の用紙Pは、ピックアップローラ42で送り出され、分離ローラ43で一枚ずつ分離されて給紙ローラ44,45で上方へ送られ、画像形成部5(中間転写ベルト91と2次転写ローラ93の間)に供給される。
【0028】
画像形成部5は、露光ユニット6と、感光体ユニット7と、現像器ユニット8と、ベルトユニット9と、定着ユニット10とから主に構成されている。
【0029】
露光ユニット6は、給紙部4の上方に配置され、図示はしないが、公知のレーザ発光部、ポリゴンミラー、複数のレンズ、複数の反射鏡などを備えている。露光ユニット6では、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に対応させてレーザ発光部からのレーザ光が、ポリゴンミラーや反射鏡で反射されたり、レンズを通過したりした後に出射され、感光体ユニット7の感光体ドラム71の表面上に高速走査にて照射される。
【0030】
感光体ユニット7は、露光ユニット6の上方(現像器ユニット8とベルトユニット9との間)に配置され、前後方向に並列配置された4つの感光体ドラム71と、各感光体ドラム71に対応して設けられた帯電器72とを主に備えている。
【0031】
現像器ユニット8は、露光ユニット6と感光体ユニット7との間に配置され、各感光体ドラム71に対応して設けられた4つの現像器81を主に備えている。
【0032】
各現像器81は、感光体ドラム71に対向して配置された現像ローラ81Aと、現像ローラ81Aにトナーを供給する供給ローラ81Bと、トナーが収容されるトナー収容部81Cと、トナー収容部81C内に配置されたアジテータ81Dとを主に備えている。各現像器81では、トナー収容部81C内のトナーが、回転駆動するアジテータ81Dによって供給ローラ81Bに供給され、さらに供給ローラ81Bから現像ローラ81Aに供給されて、現像ローラ81A上に担持される。
【0033】
ベルトユニット9は、感光体ユニット7の上方に配置され、中間転写ベルト91、4つの1次転写ローラ92、2次転写ローラ93、駆動ローラ94、従動ローラ95、クリーニング部96などを主に備えている。
【0034】
中間転写ベルト91は、無端状のベルトであり、前後に離間して平行に配置された駆動ローラ94と従動ローラ95との間に張設されている。この中間転写ベルト91の外周面の下部には各感光体ドラム71が対向して接し、外周面の後部には2次転写ローラ93が対向して接している。
【0035】
各1次転写ローラ92は、中間転写ベルト91の内周面に接し、各感光体ドラム71との間で中間転写ベルト91を挟持するように各感光体ドラム71と対向して配置されている。2次転写ローラ93は、中間転写ベルト91を挟持するように駆動ローラ94と対向して配置されている。1次転写ローラ92および2次転写ローラ93には転写時に転写バイアスが印加される。
【0036】
クリーニング部96は、中間転写ベルト91の前寄り上方に配置され、中間転写ベルト91上に残留したトナーを除去して貯留するように構成されている。
【0037】
定着ユニット10は、2次転写ローラ93および駆動ローラ94の上方に配置され、公知の構成を有する加熱ローラ11と、加熱ローラ11と対向配置されて加熱ローラ11を押圧する加圧ローラ12とを主に備えている。
【0038】
以上のように構成される画像形成部5では、まず、各感光体ドラム71の表面が、各帯電器72により一様に帯電された後、露光ユニット6から照射されるレーザ光により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光体ドラム71上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0039】
次いで、現像ローラ81Aと感光体ドラム71とが対向して接触するときに、現像ローラ81A上に担持されたトナーが、感光体ドラム71上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム71上でトナーが選択的に担持されて静電潜像が可視像化され、トナー像が形成される。
【0040】
各感光体ドラム71上に形成されたトナー像は、転写バイアスが印加された各1次転写ローラ92の作用により中間転写ベルト91上に順次重ね合わせて転写される。中間転写ベルト91上に転写された各色のトナー像は、画像形成部5に供給された用紙Pが中間転写ベルト91と2次転写ローラ93の間を通過するときに、転写バイアスが印加された2次転写ローラ93の作用により用紙P上に転写される。
【0041】
トナー像が転写された用紙Pは、定着ユニット10に搬送され、加熱ローラ11と加圧ローラ12との間を通過することでトナー像が熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、排紙ローラ23によって本体ケース2内から空間Sに排出され、排紙トレイ22上に蓄積される。
【0042】
<画像読取装置の構成>
次に、画像読取装置3の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、画像読取装置3は、フラットベッドスキャナ3Aと自動原稿搬送装置3Bを主に有している。
【0043】
フラットベッドスキャナ3Aは、原稿台31と、カバー32と、支持体の一例としてのヒンジ110(図4参照)と、ガイド120(図4参照)と、位置決め部材の一例としての位置決めレバー200(図6(a)参照)と、弾性部材の一例としてのねじりコイルばね230(図6(a)参照)を主に備えて構成されている。
【0044】
原稿台31は、読み取る原稿が載置される台であり、図5に示すように、読取部の一例としての第1プラテンガラス311および第2プラテンガラス312と、図示しないイメージセンサとを主に有している。
【0045】
第1プラテンガラス311は、原稿が載置される面積の大きいガラス板であり、原稿台31の上面に設けられている。第2プラテンガラス312は、自動原稿搬送装置3Bによって搬送される原稿が接触するガラス板である。第2プラテンガラス312は、左右の幅が小さく形成されており、第1プラテンガラス311の左側に設けられている。
【0046】
イメージセンサは、原稿台31の内部において、第1プラテンガラス311および第2プラテンガラス312の下面に沿って左右に移動可能に設けられている。このイメージセンサは、第1プラテンガラス311および第2プラテンガラス312を通して、原稿の画像を読み取るように構成されている。
【0047】
カバー32は、第1プラテンガラス311と第2プラテンガラス312の上方を覆うように(図2参照)、ヒンジ110を介して原稿台31に対して開閉可能および上下動可能に設けられている。カバー32は、原稿台31と対向する下面に、押圧板321を有している。押圧板321は、第1プラテンガラス311上に載置された原稿を第1プラテンガラス311に向けて押圧する部材であり、画像読取中に原稿がずれてしまうのを防止している。
【0048】
そして、カバー32は、図2に示すように、左側に、自動原稿搬送装置3Bを備えている。自動原稿搬送装置3Bは、載置トレイ331と、排出トレイ332と、原稿搬送部333とを主に備えている。
【0049】
載置トレイ331は、図2,3に示すように、原稿搬送部333の右側上部に回動可能に設けられている。この載置トレイ331は、図3に示すような開いた状態において、上面に原稿が載置できるようになっている。
【0050】
排出トレイ332は、カバー32の上面に形成されており、読み取りが終了した原稿が載置されるようになっている。
【0051】
原稿搬送部333は、内部に図示しない搬送経路が形成されており、原稿を載置トレイ331から排出トレイ332に搬送するようになっている。そして、原稿搬送部333は、原稿が、載置トレイ331から排出トレイ332に搬送される途中で、第2プラテンガラス312の上面に接触するように構成されている。
【0052】
図6(a)に示すように、ヒンジ110は、ヒンジ部111と、ヒンジ部111の下方に設けられる支持部112とを有している。ヒンジ部111は、カバー32の後端(一側端)を回動可能に支持している。支持部112は、ヒンジ部111の下端から下側へ延びており、ブロック状に形成されている。また、支持部112の上端には、前後に向かって突出するフランジ部113が形成されている。
【0053】
ガイド120は、図4に示すように、原稿台31の後端の左右2箇所に設けられており、後述するヒンジ110を上下動可能に保持するように構成されている。
【0054】
具体的に、ガイド120は、図6(a)に示すように、上下方向に延び、前後方向で対向する一対の側壁の一例としての前壁121と後壁122を有したボックス状に形成されている。
【0055】
前壁(一対の側壁の他方)121は、2本(複数)のリブ123と(図7も参照)、アーム収容部124を有している。
【0056】
リブ123は、前壁121の後側の面から後方へ向かって突出しており、上下に延びて形成されている。リブ123は、リブ123の先端123Aと後壁122の間隔が、後述するヒンジ110の支持部112の前後の幅よりやや大きめになるように設定されている。これにより、ヒンジ110は、リブ123に案内されて、ガイド120内をスムーズに上下動できるようになっている。
【0057】
アーム収容部124は、位置決めレバー200を収容する空間であり、2本のリブ123の間において前壁121が前方へ凹むことで形成されている。
【0058】
このように構成されたガイド120に対し、ヒンジ110は、支持部112がガイド120の前壁121と後壁122に挟まれるようにして保持されている。ヒンジ110は、ガイド120内で上下動可能となっており、図6(b)に示すように、フランジ部113がガイド120の上端縁に係合することで、下方への移動が規制されるようになっている。
【0059】
位置決めレバー200は、図6(a)に示すように、ヒンジ110をガイド120に対して位置決めする部材である。位置決めレバー200は、第1アーム210と第2アーム220を有した側面視略L字状に形成されている。そして、位置決めレバー200は、ガイド120のアーム収容部124に揺動可能に支持されている。
【0060】
第1アーム210は、位置決めレバー200の揺動軸(揺動中心)201から後方に向けて延びるように形成されている。この第1アーム210の先端は、リブ123の先端123Aよりも後方まで延び、ヒンジ110の下に配置されている。そして、第1アーム210の先端には、ヒンジ110に向けて突出する第1当接部211が形成されている。
【0061】
第2アーム220は、位置決めレバー200の揺動軸201から上方へ向けて延びるように形成されている。第2アーム220は、先端に、後方へ向けて突出する第2当接部221を有している。第2当接部221は、第1アーム210がヒンジ110の支持部112の下面と当接していないときには、ガイド120のリブ123の先端123Aよりも前壁121側に退避した退避位置に位置している。これにより、ヒンジ110がガイド120内を上下動する際に、ヒンジ110が第1アーム210に当接していないときには、第2アーム220がヒンジ110に当接しないようになっている。
【0062】
ねじりコイルばね230は、弾性部材の一例であり、位置決めレバー200の揺動軸201に支持されている。このねじりコイルばね230は、位置決めレバー200を図示反時計回りに付勢することで、第1アーム210を上方へ向けて付勢し、第2アームを前方へ向けて付勢している。つまり、ねじりコイルばね230は、第2アーム220を退避位置に向けて付勢するように位置決めレバー200を付勢している。
【0063】
次に、以上のように構成された本発明の画像読取装置3の作用および効果について説明する。
薄い原稿を第1プラテンガラス311上に載置して画像を読み取ろうとする場合、ユーザは、カバー32を上に開き、原稿を第1プラテンガラス311上に載置した後、カバー32を閉じる。このとき、原稿が薄いため、ヒンジ110は、図6(b)に示すように、ガイド120内の下側に位置したままである。このように、ヒンジ110がガイド120内の下側に位置しているとき、第1アーム210は、ヒンジ110によって下方へ押され、第2アーム220の第2当接部221は、リブ123の先端123Aよりも後方へ突出していて、ヒンジ110の支持部112をガイド120の後壁(一対の側壁の一方)122に押し付けている。これにより、ユーザの操作中にヒンジ110ががたつかないので、ユーザがカバー32をスムーズに操作することができる。
【0064】
そして、本などの厚みのある原稿を第1プラテンガラス311上に載置して、カバー32を閉じると、カバー32とともにヒンジ110が上方へ移動する。このとき、ヒンジ110がガイド120内を下側から上側に向かって移動するのに伴い、ヒンジ110の支持部112が第1アーム210から離れるので、ねじりコイルばね230の付勢力により、位置決めレバー200が図示反時計回りに揺動する。これにより、第2アーム220がヒンジ110の支持部112から離れる。そのため、ヒンジ110の上下動に際して抵抗がなく、ユーザがカバー32をスムーズに操作することができる。
【0065】
また、本実施形態においては、ねじりコイルばね230の付勢力により、第1アーム210がヒンジ110を押し上げるので、軽い力でヒンジ110を上方へ移動させることができる。
【0066】
図6(a)に示すように、ヒンジ110がガイド120内の上側に位置しているとき、位置決めレバー200の第2アーム220は、退避位置に位置しているので、ヒンジ110がガイド120内を上側から下側に向かって移動するのを、第2アーム220が邪魔することがない。
【0067】
そして、厚みのある原稿を第1プラテンガラス311上からはずし、カバー32を閉じるとき、ヒンジ110は、ガイド120内を上側から下側に向かって移動する。
【0068】
このとき、第2アーム220は退避位置に位置しているので、ヒンジ110の上下動を案内するリブ123が確実に機能することができる。
【0069】
そして、ヒンジ110が、ガイド120内を上側から下側へ移動していくと、図6(b)に示すように、ヒンジ110の下面が位置決めレバー200の第1当接部211に当接する。この当接により、第1アーム210は、下方へ向けて揺動する。そして、第1アーム210と第2アーム220は、位置決めレバー200として一体に形成されているので、第1アーム210の揺動に連動して第2アーム220が後方へ向けて揺動する。ヒンジ110がさらに下がると、図7に示すように、第2アーム220の第2当接部221は、リブ123の先端123Aよりも後方へ突出して、ヒンジ110の支持部112を後方に向けて押圧する。これにより、ヒンジ110の支持部112がガイド120の後壁122に押し付けられ、ヒンジ110がガイド120に対して位置決めされる。
【0070】
このようにして、位置決めレバー200によってヒンジ110がガイド120に対して位置決めされることで、ヒンジ110に支持されているカバー32が原稿台31に対して位置決めされる。これにより、カバー32に設けられている自動原稿搬送装置3Bで原稿を搬送して画像を読み取る際に、第2プラテンガラス312と自動原稿搬送装置3Bとのずれを低減することができる。
【0071】
そして、前述したようなヒンジ110がガイド120内を上下動する構成において、コイルばね230は、第2アーム220を退避位置に向けて付勢するように位置決めレバー200を付勢しているので、ヒンジ110がガイド120内を上下動しているときに、第2アーム220を確実に退避位置に退避させておくことができる。
【0072】
また、前壁121に形成されているリブ123は、上下に延びて形成されているので、ヒンジ110を上下動させたときに、支持部112がリブ123に引っ掛からないので、ヒンジ110をスムーズに動かすことができる。
【0073】
そして、位置決めレバー200は、ガイド120に備えられているので、位置決めレバー200をヒンジ110が備える構成に比べて、構成が簡単になっている。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0075】
前記実施形態では、位置決めレバー200は、ガイド120に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、位置決めレバーは、ヒンジ110に設けられていてもよい。
【0076】
具体的に、このような形態の一例を説明すると、図8に示すように、位置決めレバー240は、棒状の部材であり、ヒンジ110の支持部112の下部に揺動可能に支持されている。
【0077】
位置決めレバー240は、揺動中心241から後斜め下へ延びる第1アーム242と、揺動中心241から前斜め上へ延びる第2アーム243を有している。この位置決めレバー240は、自重により、常に第1アーム242の先端を下に、第2アーム243の先端を上に向けた姿勢になる重量配分とされている。
【0078】
また、位置決めレバー240は、ヒンジ110に設けられているストッパ115が第1アーム242に当接することで、ガイド120の前壁121側に傾いた状態(二点鎖線参照)で保持されている。
【0079】
そして、第1アーム242は、ヒンジ110がガイド120内を上側から下側へ移動したときに、先端がガイド120の底と当接する程度の長さを有している。第2アーム243は、前方へ揺動したときに、前壁121に当接する程度の長さを有している。
【0080】
このように構成された位置決めレバー240は、ヒンジ110がガイド120内を上方から下方へ移動したときに、第1アーム242がガイド120の底に当接して上方へ向けて揺動する。そして、第1アーム242の揺動に連動して、第2アーム243が前方へ向かって揺動し、先端がガイド120の前壁121を押圧する。これにより、ヒンジ110が後方へ移動してガイド120の後壁122に押し付けられて、ヒンジ110がガイド120に対して位置決めされる。
【0081】
そして、位置決めレバー240は、ヒンジ110がガイド120内を下側から上側へ移動すると、自重によって揺動し、第2アーム243がガイド120から離間する。
【0082】
前記実施形態では、ガイド120が前壁121と後壁122を有したボックス状に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ガイド120は、円筒状に形成されていてもよい。
【0083】
また、前記実施形態では、位置決めレバー200は、第2アーム220が支持部112を押圧することで、ヒンジ110をガイド120の後壁122へ押し付けるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、位置決めレバー200は、第2アームが支持部112を押圧することで、ヒンジ110をガイド120の前壁121、または、円筒状のガイドの内壁の一部に押し付けるように構成されていてもよい。
【0084】
そして、前記実施形態では、位置決めレバー200は、前壁121に形成された前壁121よりも凹んだ位置にあるアーム収容部124において支持されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、位置決めアーム250は、前壁121と後壁122の間で支持されていてもよい。この位置決めアーム250は、前壁121よりも後方でガイド120に支持されている揺動軸251と、揺動軸251から後斜め下方へ延出する第1アーム252と、揺動軸251から後斜め上方へ延出する第2アーム253とを有し、側面視略L字状に形成されている。
【0085】
より詳細に、第2アーム253は、第1アーム252にヒンジ110が当接していない状態において、第1アーム252よりも前壁121側に位置しており、上下動するヒンジ110と接触しないようになっている(二点鎖線参照)。そして、ヒンジ110がガイド120内を上側から下側へ移動したときに、第1アーム252がヒンジ110と当接して下方へ向けて揺動すると、第2アーム253が後方へ向けて揺動し、ヒンジ110をガイド120の後壁122へ押し付けるようになっている。
【0086】
前記実施形態では、画像形成装置として、カラー複合機1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複写機などであってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 カラー複合機
3 画像読取装置
3A フラットベッドスキャナ
3B 自動原稿搬送装置
31 原稿台
32 カバー
110 ヒンジ
120 ガイド
121 前壁
122 後壁
123 リブ
200 位置決めレバー
201 揺動軸
210 第1アーム
220 第2アーム
311 第1プラテンガラス
312 第2プラテンガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置された原稿の画像を読み取る読取部と、
前記読取部の上方を覆う開閉可能なカバーと、
前記カバーの一側端を回動可能に軸支する支持体と、
前記支持体を前記読取部に対して上下動可能に保持するガイドと、
前記支持体または前記ガイドの一方に揺動可能に設けられ、前記支持体を前記ガイドに対して位置決めする位置決め部材と、を備え、
前記位置決め部材は、
前記位置決め部材の揺動中心から延出し、前記支持体が前記ガイド内を上方から下方へ向けて移動したときに、前記支持体または前記ガイドの他方に当接することで揺動する第1アームと、
前記揺動中心から延出し、前記第1アームが前記支持体または前記ガイドの他方と当接して揺動するのに連動して揺動し、前記支持体または前記ガイドの他方を押圧することで、前記支持体を前記ガイドに押し付ける第2アームと、を有していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記ガイドに備えられていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記ガイドは、一対の側壁を備え、
前記位置決め部材は、前記支持体を前記一対の側壁の一方側に押し付けることで、前記支持体を位置決めしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記一対の側壁の他方には、前記支持体と対向する面に複数のリブを有し、
前記第2アームは、前記第1アームが前記支持体または前記ガイドと当接していないときには、前記リブの先端よりも退避している退避位置に位置していることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記複数のリブは、それぞれ上下方向に延びていることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第2アームを前記退避位置に向けて付勢するように前記位置決め部材を付勢する弾性部材をさらに備えていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記カバーは、前記読取部に原稿を搬送する自動原稿搬送装置を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像読取装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−48392(P2013−48392A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186583(P2011−186583)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】