画像読取装置のドライバおよび画像読取方法
【課題】原稿の搬送速度が設定速度から変化することにより生ずる画像の微小な位置ずれによる読取画像の歪みを防止することを目的とする。また、搬送ローラの劣化等に起因する読取画像の歪みを防止することを目的とする。
【解決手段】小切手5の搬送方向に互いに離れて設置され、小切手5の画像を読み取る第1のイメージセンサ82a及び第2のイメージセンサ82bと、予め設定された設定速度で小切手5を搬送方向へ搬送し2つのイメージセンサ82a,82bを通過させる搬送ローラの駆動モータ46,47と、を備えた小切手処理装置1のドライバ110であって、小切手5が実際に2つのイメージセンサ82a,82bを通過するときの搬送速度を検出し、検出した搬送速度と設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正部111を有することを特徴とする
【解決手段】小切手5の搬送方向に互いに離れて設置され、小切手5の画像を読み取る第1のイメージセンサ82a及び第2のイメージセンサ82bと、予め設定された設定速度で小切手5を搬送方向へ搬送し2つのイメージセンサ82a,82bを通過させる搬送ローラの駆動モータ46,47と、を備えた小切手処理装置1のドライバ110であって、小切手5が実際に2つのイメージセンサ82a,82bを通過するときの搬送速度を検出し、検出した搬送速度と設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正部111を有することを特徴とする
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小切手類などの媒体に係る画像を、媒体を搬送路内で搬送しながら読み取る画像読取装置の動作を制御するドライバおよび画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体を処理するための媒体処理装置として小切手類を処理するための小切手処理装置が知られている。小切手処理装置では、搬送路に沿って読み取りヘッドおよび磁気ヘッドが配置されており、搬送路に沿って搬送される小切手類の画像および磁気インク文字が読み取られ、読み取り結果に応じて小切手類の仕分けが行われるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、画像の読み取りを行うイメージスキャナでは、固定した読み取りヘッドの前を原稿が搬送されるが、原稿の先端が読み取り位置を通過してからある一定長さの部分には読み取り画像に歪みが生じる場合があった。
【0004】
具体的に説明する。原稿が、読み取りヘッドの手前の搬送ローラから奥の搬送ローラまでを移動する際、原稿には以下の2種類の異なる力がかかる。
(1)原稿がヘッドの手前にある搬送ローラに挟持されて、ローラが回転すると前方へ搬送される。原稿には進行方向へ押し出す力がはたらく。この状況は、原稿の先端がヘッドの奥の搬送ローラへ到達するまで継続する。
(2)原稿の先端がヘッドのすぐ奥にあるローラの位置に達し、そのローラが回転すると原稿がさらに前方へ搬送される。読み取りヘッドをはさむ2つのローラ間の原稿には引張り力がかかる。この状況は、原稿の末端が読み取りヘッドを通過するまで継続する。
【0005】
【特許文献1】特開2008−211545号公報(第4頁−第6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図13は、読み取りヘッド83のイメージセンサ83aの前を原稿が通過する様子を説明するための模式図である。図中(a)の状態から(c)に到達するまでの搬送状態では、読み取りヘッド付近で原稿が受ける力は、搬送ローラ52と押えローラ62による押し出す力と、原稿経路での摩擦であり、そのため、原稿が僅かにたわむことがある(図中(b)参照)。このたわみが発生すると、読み取りヘッド付近での原稿速度が一定しないため、読み取り画像に歪みが生じる場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、原稿の搬送速度が設定速度から変化することにより生ずる画像の微小な位置ずれによる読取画像の歪みを防止することを目的とする。また、搬送ローラの劣化等に起因する読取画像の歪みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明は、記録媒体の搬送方向に互いに離れて設置され、前記記録媒体の画像を読み取る複数の読取センサと、予め設定された設定速度で前記記録媒体を前記搬送方向へ搬送し前記複数の読取センサを通過させる搬送部と、を備えた画像読取装置のドライバであって、
前記記録媒体が実際に前記複数の読取センサを通過するときの搬送速度を検出し、前記速度検出部が検出した搬送速度と前記設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正部を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、検出した実際の搬送速度と設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮するため、速度分布が一様となるような補正が行われる。したがって、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR(光学式文字認識)等における認識率が向上し、精度の高い読取判断を行い、判断結果を画像読取装置へ提供することができる。
また、画像の補正に必要な搬送速度と設定速度との差異を、複数の読取センサによる読取画像のずれから容易に求めることができる。従って、歪みのない画像を容易に取得することができ、精度の高い読取判断を行い、判断結果を画像読取装置へ提供することができる。
【0010】
また本発明において、前記画像補正部は、前記読取画像を前記読取センサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記読取センサの副走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、搬送速度が記録媒体の搬送中に部分的に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるよう分割された領域ごとに補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、精度の高い読取判断を行い判断結果を画像読取装置へ提供することができる。さらに、分割された領域ごとに速度分布が一様となるよう補正するため、搬送ローラの経年劣化等に起因する搬送速度のズレを吸収することができる。
【0012】
また本発明において、前記画像補正部は、前記読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記副走査方向および前記主走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、搬送速度が記録媒体の搬送中に部分的に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が2次元的に行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、より精度の高い読取判断を行うことができる。
【0014】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、記録媒体の搬送方向に互いに離れて設置され、前記記録媒体の画像を読み取る複数の読取センサと、予め設定された設定速度で前記記録媒体を前記搬送方向へ搬送し前記複数の読取センサを通過させる搬送部と、を備えた画像読取装置による画像読取方法であって、
前記記録媒体が実際に前記複数の読取センサを通過するときの搬送速度を検出し、検出した搬送速度と前記設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正ステップを含むことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、速度分布が一様となるような補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR(光学式文字認識)等における認識率が向上し、精度の高い読取判断を行うことができる。
【0016】
また本発明の画像読取方法において、前記画像補正ステップは、前記読取画像を前記読取センサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記読取センサの副走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、搬送速度が記録媒体の搬送中に部分的に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、精度の高い読取判断を行うことができる。
【0018】
また本発明の画像読取方法において、前記画像補正ステップは、前記読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記副走査方向および前記主走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、搬送速度が記録媒体の搬送中に部分的に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が2次元的に行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、より精度の高い読取判断を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像読取装置のドライバ及び画像読取方法の実施形態について説明する。以下では、画像読取装置の一実施形態として小切手処理装置を例示し、小切手処理装置と通信可能に接続されたホストコンピュータに小切手処理装置の動作を制御するドライバが搭載された実施形態を説明する。
【0021】
(小切手処理装置の全体構成)
図1は、本実施の形態に係る小切手処理装置の外観斜視図である。小切手処理装置1は、装置本体側の本体ケース2と、左右の開閉カバー3、4とを備えている。本体ケース2と開閉カバー3、4の間には、小切手5を搬送するための小切手搬送路6が形成されている。小切手搬送路6は、上から見た場合に略U字状に湾曲して延びている細幅の垂直溝によって規定されている。小切手搬送路6の小切手搬送方向の上流端は、細幅の垂直溝からなる小切手送り出し通路7を介して広幅の垂直溝からなる小切手供給部8に繋がっている。小切手搬送路6の下流端は、左右に分岐している細幅の垂直溝からなる左右の分岐通路9および10を介して、左右の広幅の垂直溝からなる第1および第2小切手排出部11、12に繋がっている。
【0022】
小切手5は、その表面5aの下端部分に、その長辺方向に磁気インク文字列5Aが印刷されている。また、表面5aには、所定の模様の背景に、金額、振出人、番号、サインなどが記載されており、裏面5bには裏書き欄などが設けられている。小切手5は、上下方向を揃え、表面5aがU形状の小切手搬送路6の外側を向くように、小切手供給部8に挿入される。
【0023】
小切手供給部8から小切手送り出し通路7を介して送り出された小切手5は、小切手搬送路6に沿って搬送されながら、その表面5aに印刷されている磁気インク文字列5A、その表面画像および裏面画像が読み取られる。これらの情報が正常に読み取られた小切手5は、「電子決済済み」などの印刷が行われた後に、第1小切手排出部11に振り分けられて、そこに排出される。読み取り不能、読み取り異常などが発生した小切手5については、そのような印刷が行われることなく、第2小切手排出部12に振り分けられて、そこに排出されるようになっている。
【0024】
図2は、開閉カバー3、4を開いて小切手搬送路6を開放した状態の小切手処理装置1を示す外観斜視図であり、図3は、その平面図である。これらの図も参照して説明すると、本体ケース2は、U字状の小切手搬送路6に沿った輪郭形状の垂直な外周側面部分21を備えた中央ケース部分22と、左右の側方ケース部分23、24と、中央ケース部分22および側方ケース部分24の間に配置されている仕切り用ケース部分25とを備えている。中央ケース部分22と側方ケース部分23の間には小切手供給部8が形成されている。中央ケース部分22と他方の側方ケース部分24の間は、仕切り用ケース部分25によって左右に仕切られて、小切手排出部11、12が形成されている。
【0025】
中央ケース部分22における左右の側方ケース部分23、24から突出している部分の外周側面部分は小切手5をガイドするための本体側ガイド面21であり、この本体側ガイド面21は、左右から開閉カバー3、4によって覆われている。開閉カバー3は、側方ケース部分23の側に配置されており、その内側のカバー側ガイド面30が本体側ガイド面21に一定の間隔で対峙しており、これら本体側ガイド面21とカバー側ガイド面30によって規定される上方に開口した垂直溝によって上流側搬送路部分6aが規定されている。
【0026】
同様に、開閉カバー4は側方ケース部分24の側に配置されており、その内側のカバー側ガイド面40が本体側ガイド面21に一定の間隔で対峙しており、これら本体側ガイド面21とカバー側ガイド面40とによって規定される上方に開口した垂直溝によって下流側搬送路部分6bが規定されている。
【0027】
なお、開閉カバー3の先端部3aと開閉カバー4の先端部4aは、本体ケース2の側に配置されている垂直な開閉中心軸26を中心として左右に開閉可能な状態で、当該開閉中心軸26に取り付けられている。
【0028】
次に、開閉カバー3、4はロック機構によってその閉じ位置にロックされている。開閉カバー3のロック機構は、図2、3に示すように、当該開閉カバー3の後端面3bに形成したカバー側係合爪31と、側方ケース部分23における端面23aに進退可能に取り付けた本体側係合爪32とを備えている。本体側係合爪32は、装置本体内部に配置されている不図示のばね部材のばね力によって、端面23aから突出する方向に付勢されている。側方ケース部分23の外側面部分にはロック解除用のスライドボタン33が取り付けられている。他方の開閉カバー4のロック機構も同様に、本体側係合爪35、ケース側係合爪36およびスライドボタン37を備えている。
【0029】
図4(a)は、開閉カバー3を取り外した状態の小切手処理装置1を示す概略斜視図であり、図4(b)は、取り外した開閉カバー3の内側面を示す斜視図である。図2〜4を参照して説明すると、開閉カバー3によって規定されている上流側搬送路部分6aには、その上流側から順に、表面側読み取りヘッド82、裏面側読み取りヘッド83が配置されている。本例では、装置本体側に、裏面側読み取りヘッド83、磁気ヘッド84および印刷機構86が搭載されており、開閉カバー3に表面側読み取りヘッド82が搭載されている。
【0030】
装置本体の側の裏面側読み取りヘッド83には、第1のイメージセンサ部であるイメージセンサ83aと、第2のイメージセンサ部であるイメージセンサ83bが近接した間隔で配置されている。また、イメージセンサ83a、83bの上端縁部分には、扁平な台形状にカバー側ガイド面30に向けて突出している本体側庇58が形成されている。
【0031】
同様に、開閉カバー3の側の表面側読み取りヘッド82には、第1のイメージセンサ部であるイメージセンサ82aと、第2のイメージセンサ部であるイメージセンサ82bが近接した間隔で配置されている。また、イメージセンサ82a、82bの上端縁部分には、本体側ガイド面21に向けて扁平な台形状に突出しているカバー側庇59が形成されている。尚、表面側読み取りヘッド82は、裏面側読み取りヘッド83よりも搬送方向の上流側に隣接した位置に配置されている。
【0032】
(搬送機構)
小切手供給部8には、積層状態で挿入された小切手5を小切手搬送路6に向けて送り出すための繰り出しローラと、小切手5を繰り出しローラに押し付けるための押し付け部材が配置されている(いずれも図示省略)。また、繰り出しローラによって繰り出された小切手5を小切手搬送路6に送り出すための小切手送り出し通路7には、小切手5を1枚ずつに分離して小切手搬送路6に送り出すための分離機構として、分離パッド、分離ローラおよびリタードローラからなる分離ローラ対とが配置されている(いずれも図示省略)。繰り出しローラ、分離ローラおよび押し付け部材は、共通の送り出しモータ46(図5参照)によって駆動されるようになっている。
【0033】
繰り出しローラによって繰り出された小切手5を小切手搬送路6に沿って搬送する搬送機構は、搬送モータ47(図5参照)と、この搬送モータ47の回転軸に取り付けた駆動ローラと、小切手搬送路6に沿って配置されている複数の搬送ローラと、各搬送ローラに押し付けられて連れ回りする複数の押えローラとを備えている(いずれも図示省略)。押えローラの回転は、伝達歯車を介して、排出ローラ(図示省略)まで伝達されるので、小切手5は、搬送路6に沿って第1小切手排出部11または第2小切手排出部12まで適切に搬送される。
【0034】
(制御系)
図5は、小切手読取装置1の制御系を示す概略ブロック図である。小切手読取装置1の制御系は、ROM、RAMを備え、CPUを中心に構成された制御部100を有している。制御部100は通信ケーブル102を介して上位のホストコンピュータ103に接続される。ホストコンピュータ103は表示部103a、キーボード、マウスなどの操作部103bなどの入出力機器を備えており、当該ホストコンピュータ103の側から小切手読取動作の開始指令などが制御部100に入力される。また、ホストコンピュータ103は小切手処理装置1の動作を制御するドライバ110を備えており、ドライバ110を実行することによって画像補正部111が形成される。
【0035】
制御部100は読取動作の開始指令を受け取ると、送り出しモータ46、搬送モータ47を駆動して小切手5を一枚ずつ小切手搬送路6に送り出させ、送り出された小切手5を小切手搬送路6に沿って搬送させる。制御部100には、表面側読み取りヘッド82、裏面側読み取りヘッド83および磁気ヘッド84によって読み取られた小切手5の表面画像情報、裏面画像情報および磁気インク文字情報が入力される。
【0036】
これらの情報は、ホストコンピュータ103に供給される。ホストコンピュータ103の画像補正部111は、後述する手順により、第1のイメージセンサ82aおよび第2のイメージセンサ82bが同期をとりながら小切手5の読み取りを行う際に生じる双方の読取画像のずれを検知し、当該ずれが、予め設定した所定の速度におけるずれと差異を生じる場合、その差異に基づいて読取画像を伸縮させる画像補正処理を行う。その後、補正がなされた読取画像について文字認識処理などを行い、読み取りが正常に行われたか否かが判断されて、判断結果が制御部100に供給される。制御部100は、判断結果に基づいて印刷機構86および切り替え板96の駆動を制御する。これらの処理は、ホストコンピュータ103でなく、小切手読取装置1の制御部100で行うことも可能である。
【0037】
制御部100による小切手5の搬送制御は、小切手搬送路6に配置されている用紙長検出器91、重送検出器92、ジャム検出器93、印刷検出器94および排出検出器95からの検出信号に基づき行われる。なお、制御部100には、装置ケース2に形成された電源スイッチなどの操作スイッチを含む操作部105が接続されている。
【0038】
(画像読み取り動作)
図6は、画像読み取り処理手順を示す概略フローチャートである。このフローチャートに従って画像読み取り動作を説明する。まず、操作者がホストコンピュータ103の操作部103bから読み取り開始指令を入力すると、送り出しモータ46によって小切手5が小切手搬送路6に送出される(ステップS11)。以下では、表面側読み取りヘッド82の第1のイメージセンサ82aおよび第2のイメージセンサ82bの画像読み取りについて説明するが、裏面側読み取りヘッド83でも同様の画像読み取りが行われ、ホストコンピュータ103へ送信される。
【0039】
搬送により小切手5が表面側読み取りヘッド82の位置に達すると、画像の読み取りが開始される(ステップS12)。第1のイメージセンサ82aと第2のイメージセンサ82bは、僅かな間隔(例えば、0.5インチ)離れて配置されているため、この間隔分だけ読み取りの開始がずれる。
【0040】
制御部100は、第1のイメージセンサ82aおよび第2のイメージセンサ82bによって読み取った読取データを、通信ケーブル102を介して上位のホストコンピュータ103に送信する(ステップS13)。
【0041】
ホストコンピュータ103は読取データを受信すると(ステップS14)、画像補正部111が後述する手順により画像処理を実行し(ステップS15)、補正した読取画像を生成する(ステップS16)。ホストコンピュータ103は、補正した表面画像、裏面画像、および磁気インク文字情報に基づいて、読み取りが正常に行われたか否かを判断する。
【0042】
ホストコンピュータ103が判断結果を送信すると(ステップS17)、これを受信した制御部100は(ステップS18)、読取判断結果に応じた小切手5の印刷や排出の処理を行う(ステップS19)。
【0043】
(画像処理動作)
図7は、小切手読取装置のイメージセンサの配置および小切手の搬送速度の関係を説明するための模式図である。本実施形態では、読み取り頻度が毎秒10回のイメージセンサ82aと82bが0.5インチ間隔で配置されている。双方のセンサから取得される画像は、ほぼ同じ画像であり、いずれも原稿の搬送速度によって伸縮する。また、同時刻にスキャンされたラインの位置を一致させると、イメージセンサの位置の違いが画像上のパターンの並進ずれ(画像ずれ)として現れる。
【0044】
[実施例1]
図8は、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である(以下の説明で、pixはピクセルを表す)。図では、原稿の搬送速度が1.2インチ/秒、1.0インチ/秒、0.8インチ/秒の場合について図示している。例えば、予め設定された小切手の設定速度が1.0インチ/秒(画像のずれ=5pix)であるのに、取得した双方の画像のずれが4pixである場合、実際は搬送速度が速く(1.2インチ/秒)、取得された読取画像は収縮されていると判断される。従って、取得した画像を適切な比率で伸長する補正を行うことにより、歪のない画像を生成することができる。一方、取得した双方の画像のずれが6pixである場合、取得された読取画像は伸長されていると判断されるので、適切な比率で収縮させる補正を行えば、歪のない画像を生成することができる。
【0045】
原稿の送り速度、画像のずれ量、補正に要する伸縮量には対応関係があるため、ずれ量を求めることができれば補正に要する伸縮量が求まる。ずれの量の推定には、相互相関関数やブロックマッチングの手法(SSD:Sum of Square Difference[差の2乗和]やNCC:Normalized Cross- Correlation[正規化相互相関]))を用いることができる。ブロックマッチングの手法を採用する場合は、例えば画像Aの特定の位置が画像Bのどの位置に移動したかを求める。特定の位置の画素を中心としたブロックをテンプレートとして、画像Bのうち画像Aの特定の画素と同じ位置の画素を中心として、ある範囲を調べ、SSDが最も小さい位置の中心画素を対応する画素とすればよい。この処理を画像Aの全ての画素について行う。
【0046】
図9は、画像補正処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、いわゆる相互相関関数を用いる方法を説明する。相互相関関数は、ふたつの信号、配列(ベクトル)の類似性を確認するために使われる。関数の配列の結果がすべて1であれば相関があり、すべてゼロであれば無相関であり、すべて−1であれば負の相関があることがわかる。
ホストコンピュータ103は、取得した2つの画像間の相互相関関数を算出する(ステップS21)。次に、算出した相互相関関数を最大化するパラメータを計算し、画像ずれを推定する(ステップS22)。次に、ステップS22で推定された画像ずれと、理想的な画像ずれと、の比によって画像を伸縮する(ステップS23)。最後に、第2のイメージセンサ82bが取得した画像(画像B)を第1のイメージセンサ82aが取得した画像(画像A)の位置に合致するようにずらし、合成して1つの画像にする(ステップS24)。この補正処理によれば、画像全体に一様な歪みがある場合(例えば、搬送ローラの劣化による読取画像の伸縮)に、それらを補正して歪のない画像を得ることができる。
【0047】
ここで、本実施形態の小切手読取装置1に搭載されている2つのイメージセンサ82a,83aは、位置が異なるため原稿上の同一点を読み取る時刻が異なる。このため2つのイメージセンサ82a,83aのそれぞれが読み取った画像は、必ず位置がずれる。所定量のずれがある状態が理想的な状態であり、上記「理想的な画像ずれ」とは理想的な状態にあるときの画像のずれいう。すなわち、原稿の曲がり、たわみ、滑り等が発生していない場合、さらに言えば、モータの送り速度の斑がなく原稿が完全に等速直線運動で搬送された場合に、第1のイメージセンサ82aが読み取った画像と第2のイメージセンサ83aが読み取った画像との間のずれをいう。
【0048】
例えば、原稿の目標送り速度が1cm/sec、イメージセンサ82aと83aとの取り付け間隔が1cm、サンプリング周期が60Hzであれば、理想的な画像のずれは60pixになる。
【0049】
[実施例2]
図10は、搬送速度が小切手搬送の途中で変化する場合、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。装置の劣化や異常などにより、小切手の搬送速度が途中で時々刻々変化するような場合、読取画像には部分ごとに異なった歪が生じることになる。このような場合、図10(a)に示すように、読取画像をブロックに分割し、実施例1で求めたような画像のずれをブロックごとに検知することにより歪を適切に補正することができる。
【0050】
例えば、図10(b)に示すように、予め設定した設定速度が1.0インチ/秒である場合(画像ずれ=5pix)、最初のブロックは、画像ずれが4pixで搬送速度が早いと判断されるため、当該ブロックの画像を伸長する補正を行えばよいことが判る。また、次のブロックは、画像ずれが5pixで搬送速度に差異がないため、当該ブロックの画像には補正を行わない。更に、次のブロックは、画像ずれが6pixであるため搬送速度が遅いと判断され、当該ブロックの画像を収縮させる補正を行えばよいことが判る。
【0051】
図11は、上記の、画像補正処理の手順を示すフローチャートである。はじめに、ホストコンピュータ103は、取得した2つの画像のうち、第1のイメージセンサ82aが取得した画像(画像A)を短冊状のブロックに分割する(ステップS31)。次に、ブロックごとにブロックマッチングを行って上述の手順で画像のずれ量を求める(ステップS32)。次に、ブロックごとに、ステップS32で求めた画像ずれと、理想的な画像ずれと、の比によって画像を伸縮する(ステップS33)。次に、補正後の各ブロックを繋ぎ合わせて画像を生成する(ステップS34)。
【0052】
以上の手順を第2のイメージセンサ82bが取得した画像(画像B)についても実行して歪の補正を行い(ステップS35)、最後に、第2のイメージセンサ82bが取得した画像(画像B)を第1のイメージセンサ82aが取得した画像(画像A)の位置に合致するようにずらし、合成して1つの画像にする(ステップS36)。この補正処理によれば、画像の中で歪みが変化するような場合(例えば、ローラの部分的な劣化による読取画像の伸縮)に、それらを補正して歪のない画像を得ることができる。
【0053】
[実施例3]
図12は、搬送速度が小切手搬送の途中で2次元的に変化する場合、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。装置の劣化や異常、小切手のセット不良などにより、小切手の搬送速度が途中で時々刻々2次元的に変化するような場合、読取画像には部分ごとに異なった歪が生じることになる。このような場合、図12(a)に示すように、読取画像を格子状に分割し、実施例1で求めたような画像のずれをブロックごとに、2次元的に検知することにより歪を適切に補正することができる。
【0054】
具体的には、2次元的に算出した各ブロックのずれ量を元に、求めたい位置に最も近い画素の値をそのまま利用する、いわゆるニアレストネイバー法や、求めたい位置の周囲4点の画素の値の重み付の平均値を求める、いわゆるバイリニア法等を用いて補間することで、ブロック間あるいは画素間でのずれ量のベクトルマップが求められる(図12(b))。このずれ量のベクトルマップを元に、まず、左端ブロックの中心点から始めて、ずれ量のベクトルに沿った線を引き(図12(c))、各線上で原稿速度の積分を行い、原稿上での変位を求め、変位が1画素単位に合う位置を算出して当該点を線で結ぶ(図12(d))。この線で囲まれた領域を各ブロックごとに正方形へ変形した後、つなぎ合わせて敷き詰めると、歪みが補正された画像が得られる。各ブロックの補正には、射影変換やアフィン変換等を用いればよい。
【0055】
(その他の実施の形態)
なお、本発明は、小切手や手形、請求書などの小切手類以外のシート状媒体を処理するための画像読取システムにも同様に適用できる。例えば、プリンタ、スキャナなどの画像処理装置に適用することができる。
【0056】
また、本実施形態では2のイメージセンサ82a,82bを搭載した場合を説明したが、センサの数は2つに限られず3つ以上のイメージセンサを搭載してもよい。この場合は、画像の各部分の位置ずれの算出に、multiple baseline stereoで提案されるSSSD:Sum of SSDを利用することや、複数ある取得画像のから隣接する2組ずつ取り出して生成したオプティカルフローの平均値を算出するなどして、より精度の高い推定を行うことができる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る小切手処理装置1は、搬送方向に所定の間隔で近接して設置した、小切手5の画像を読み取るための第1のイメージセンサ82a(または、イメージセンサ83a)および第2のイメージセンサ82b(または、イメージセンサ83b)と、小切手5を予め設定した設定速度で搬送し、第1および第2のイメージセンサ82a,82bを通過させる搬送モータ47などを備えている。また、ホストコンピュータ103は、第1および第2のイメージセンサ82a,82bが同期をとりながら小切手5の読み取りを行う際に生じる双方の読取画像のずれを検知し、当該ずれが、予め設定した設定速度におけるずれと差異を生じる場合、その差異に基づいて読取画像を伸縮させて補正を行う画像補正部111を有する。これにより速度分布が一様となるような補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。
【0058】
また、画像補正部111は、読取画像をイメージセンサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、読取画像をイメージセンサの副走査方向に伸縮させて補正を行う。したがって、搬送速度が小切手の搬送中に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。
【0059】
また、画像補正部111は、読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、読取画像を副走査方向および走査軸方向に伸縮させて補正を行う。したがって、搬送速度が小切手の搬送中に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が2次元的に行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、より精度の高い読取判断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を適用した小切手処理装置の外観斜視図である。
【図2】開閉カバーを開けた状態の小切手処理装置の外観斜視図である。
【図3】開閉カバーを開けた状態の小切手処理装置の平面図である。
【図4】一方の開閉カバーを外した状態の小切手処理装置の斜視図および、外した開閉カバーを示す斜視図である。
【図5】小切手処理装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図6】小切手読取装置の制御部による画像読み取り処理手順を示す概略フローチャートである。
【図7】小切手読取装置のイメージセンサの配置および小切手の搬送速度の関係を説明するための模式図である。
【図8】原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。
【図9】画像補正処理の手順を示すフローチャートである(実施例1)
【図10】搬送速度が小切手搬送の途中で変化する場合、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。
【図11】画像補正処理の手順を示すフローチャートである(実施例2)
【図12】搬送速度が小切手搬送の途中で2次元的に変化する場合、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。
【図13】イメージスキャナの読み取りヘッドの前を原稿が通過する様子を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0061】
1:小切手処理装置、5:小切手、6:小切手搬送路、46:送り出しモータ、47:搬送モータ、82:表面側読み取りヘッド、82a:第1のイメージセンサ、82b:第2のイメージセンサ、83:裏面側イメージセンサ、83a:第1のイメージセンサ、83b:第2のイメージセンサ、100:制御部、103:ホストコンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、小切手類などの媒体に係る画像を、媒体を搬送路内で搬送しながら読み取る画像読取装置の動作を制御するドライバおよび画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体を処理するための媒体処理装置として小切手類を処理するための小切手処理装置が知られている。小切手処理装置では、搬送路に沿って読み取りヘッドおよび磁気ヘッドが配置されており、搬送路に沿って搬送される小切手類の画像および磁気インク文字が読み取られ、読み取り結果に応じて小切手類の仕分けが行われるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、画像の読み取りを行うイメージスキャナでは、固定した読み取りヘッドの前を原稿が搬送されるが、原稿の先端が読み取り位置を通過してからある一定長さの部分には読み取り画像に歪みが生じる場合があった。
【0004】
具体的に説明する。原稿が、読み取りヘッドの手前の搬送ローラから奥の搬送ローラまでを移動する際、原稿には以下の2種類の異なる力がかかる。
(1)原稿がヘッドの手前にある搬送ローラに挟持されて、ローラが回転すると前方へ搬送される。原稿には進行方向へ押し出す力がはたらく。この状況は、原稿の先端がヘッドの奥の搬送ローラへ到達するまで継続する。
(2)原稿の先端がヘッドのすぐ奥にあるローラの位置に達し、そのローラが回転すると原稿がさらに前方へ搬送される。読み取りヘッドをはさむ2つのローラ間の原稿には引張り力がかかる。この状況は、原稿の末端が読み取りヘッドを通過するまで継続する。
【0005】
【特許文献1】特開2008−211545号公報(第4頁−第6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図13は、読み取りヘッド83のイメージセンサ83aの前を原稿が通過する様子を説明するための模式図である。図中(a)の状態から(c)に到達するまでの搬送状態では、読み取りヘッド付近で原稿が受ける力は、搬送ローラ52と押えローラ62による押し出す力と、原稿経路での摩擦であり、そのため、原稿が僅かにたわむことがある(図中(b)参照)。このたわみが発生すると、読み取りヘッド付近での原稿速度が一定しないため、読み取り画像に歪みが生じる場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、原稿の搬送速度が設定速度から変化することにより生ずる画像の微小な位置ずれによる読取画像の歪みを防止することを目的とする。また、搬送ローラの劣化等に起因する読取画像の歪みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明は、記録媒体の搬送方向に互いに離れて設置され、前記記録媒体の画像を読み取る複数の読取センサと、予め設定された設定速度で前記記録媒体を前記搬送方向へ搬送し前記複数の読取センサを通過させる搬送部と、を備えた画像読取装置のドライバであって、
前記記録媒体が実際に前記複数の読取センサを通過するときの搬送速度を検出し、前記速度検出部が検出した搬送速度と前記設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正部を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、検出した実際の搬送速度と設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮するため、速度分布が一様となるような補正が行われる。したがって、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR(光学式文字認識)等における認識率が向上し、精度の高い読取判断を行い、判断結果を画像読取装置へ提供することができる。
また、画像の補正に必要な搬送速度と設定速度との差異を、複数の読取センサによる読取画像のずれから容易に求めることができる。従って、歪みのない画像を容易に取得することができ、精度の高い読取判断を行い、判断結果を画像読取装置へ提供することができる。
【0010】
また本発明において、前記画像補正部は、前記読取画像を前記読取センサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記読取センサの副走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、搬送速度が記録媒体の搬送中に部分的に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるよう分割された領域ごとに補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、精度の高い読取判断を行い判断結果を画像読取装置へ提供することができる。さらに、分割された領域ごとに速度分布が一様となるよう補正するため、搬送ローラの経年劣化等に起因する搬送速度のズレを吸収することができる。
【0012】
また本発明において、前記画像補正部は、前記読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記副走査方向および前記主走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、搬送速度が記録媒体の搬送中に部分的に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が2次元的に行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、より精度の高い読取判断を行うことができる。
【0014】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、記録媒体の搬送方向に互いに離れて設置され、前記記録媒体の画像を読み取る複数の読取センサと、予め設定された設定速度で前記記録媒体を前記搬送方向へ搬送し前記複数の読取センサを通過させる搬送部と、を備えた画像読取装置による画像読取方法であって、
前記記録媒体が実際に前記複数の読取センサを通過するときの搬送速度を検出し、検出した搬送速度と前記設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正ステップを含むことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、速度分布が一様となるような補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR(光学式文字認識)等における認識率が向上し、精度の高い読取判断を行うことができる。
【0016】
また本発明の画像読取方法において、前記画像補正ステップは、前記読取画像を前記読取センサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記読取センサの副走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、搬送速度が記録媒体の搬送中に部分的に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、精度の高い読取判断を行うことができる。
【0018】
また本発明の画像読取方法において、前記画像補正ステップは、前記読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記副走査方向および前記主走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、搬送速度が記録媒体の搬送中に部分的に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が2次元的に行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、より精度の高い読取判断を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像読取装置のドライバ及び画像読取方法の実施形態について説明する。以下では、画像読取装置の一実施形態として小切手処理装置を例示し、小切手処理装置と通信可能に接続されたホストコンピュータに小切手処理装置の動作を制御するドライバが搭載された実施形態を説明する。
【0021】
(小切手処理装置の全体構成)
図1は、本実施の形態に係る小切手処理装置の外観斜視図である。小切手処理装置1は、装置本体側の本体ケース2と、左右の開閉カバー3、4とを備えている。本体ケース2と開閉カバー3、4の間には、小切手5を搬送するための小切手搬送路6が形成されている。小切手搬送路6は、上から見た場合に略U字状に湾曲して延びている細幅の垂直溝によって規定されている。小切手搬送路6の小切手搬送方向の上流端は、細幅の垂直溝からなる小切手送り出し通路7を介して広幅の垂直溝からなる小切手供給部8に繋がっている。小切手搬送路6の下流端は、左右に分岐している細幅の垂直溝からなる左右の分岐通路9および10を介して、左右の広幅の垂直溝からなる第1および第2小切手排出部11、12に繋がっている。
【0022】
小切手5は、その表面5aの下端部分に、その長辺方向に磁気インク文字列5Aが印刷されている。また、表面5aには、所定の模様の背景に、金額、振出人、番号、サインなどが記載されており、裏面5bには裏書き欄などが設けられている。小切手5は、上下方向を揃え、表面5aがU形状の小切手搬送路6の外側を向くように、小切手供給部8に挿入される。
【0023】
小切手供給部8から小切手送り出し通路7を介して送り出された小切手5は、小切手搬送路6に沿って搬送されながら、その表面5aに印刷されている磁気インク文字列5A、その表面画像および裏面画像が読み取られる。これらの情報が正常に読み取られた小切手5は、「電子決済済み」などの印刷が行われた後に、第1小切手排出部11に振り分けられて、そこに排出される。読み取り不能、読み取り異常などが発生した小切手5については、そのような印刷が行われることなく、第2小切手排出部12に振り分けられて、そこに排出されるようになっている。
【0024】
図2は、開閉カバー3、4を開いて小切手搬送路6を開放した状態の小切手処理装置1を示す外観斜視図であり、図3は、その平面図である。これらの図も参照して説明すると、本体ケース2は、U字状の小切手搬送路6に沿った輪郭形状の垂直な外周側面部分21を備えた中央ケース部分22と、左右の側方ケース部分23、24と、中央ケース部分22および側方ケース部分24の間に配置されている仕切り用ケース部分25とを備えている。中央ケース部分22と側方ケース部分23の間には小切手供給部8が形成されている。中央ケース部分22と他方の側方ケース部分24の間は、仕切り用ケース部分25によって左右に仕切られて、小切手排出部11、12が形成されている。
【0025】
中央ケース部分22における左右の側方ケース部分23、24から突出している部分の外周側面部分は小切手5をガイドするための本体側ガイド面21であり、この本体側ガイド面21は、左右から開閉カバー3、4によって覆われている。開閉カバー3は、側方ケース部分23の側に配置されており、その内側のカバー側ガイド面30が本体側ガイド面21に一定の間隔で対峙しており、これら本体側ガイド面21とカバー側ガイド面30によって規定される上方に開口した垂直溝によって上流側搬送路部分6aが規定されている。
【0026】
同様に、開閉カバー4は側方ケース部分24の側に配置されており、その内側のカバー側ガイド面40が本体側ガイド面21に一定の間隔で対峙しており、これら本体側ガイド面21とカバー側ガイド面40とによって規定される上方に開口した垂直溝によって下流側搬送路部分6bが規定されている。
【0027】
なお、開閉カバー3の先端部3aと開閉カバー4の先端部4aは、本体ケース2の側に配置されている垂直な開閉中心軸26を中心として左右に開閉可能な状態で、当該開閉中心軸26に取り付けられている。
【0028】
次に、開閉カバー3、4はロック機構によってその閉じ位置にロックされている。開閉カバー3のロック機構は、図2、3に示すように、当該開閉カバー3の後端面3bに形成したカバー側係合爪31と、側方ケース部分23における端面23aに進退可能に取り付けた本体側係合爪32とを備えている。本体側係合爪32は、装置本体内部に配置されている不図示のばね部材のばね力によって、端面23aから突出する方向に付勢されている。側方ケース部分23の外側面部分にはロック解除用のスライドボタン33が取り付けられている。他方の開閉カバー4のロック機構も同様に、本体側係合爪35、ケース側係合爪36およびスライドボタン37を備えている。
【0029】
図4(a)は、開閉カバー3を取り外した状態の小切手処理装置1を示す概略斜視図であり、図4(b)は、取り外した開閉カバー3の内側面を示す斜視図である。図2〜4を参照して説明すると、開閉カバー3によって規定されている上流側搬送路部分6aには、その上流側から順に、表面側読み取りヘッド82、裏面側読み取りヘッド83が配置されている。本例では、装置本体側に、裏面側読み取りヘッド83、磁気ヘッド84および印刷機構86が搭載されており、開閉カバー3に表面側読み取りヘッド82が搭載されている。
【0030】
装置本体の側の裏面側読み取りヘッド83には、第1のイメージセンサ部であるイメージセンサ83aと、第2のイメージセンサ部であるイメージセンサ83bが近接した間隔で配置されている。また、イメージセンサ83a、83bの上端縁部分には、扁平な台形状にカバー側ガイド面30に向けて突出している本体側庇58が形成されている。
【0031】
同様に、開閉カバー3の側の表面側読み取りヘッド82には、第1のイメージセンサ部であるイメージセンサ82aと、第2のイメージセンサ部であるイメージセンサ82bが近接した間隔で配置されている。また、イメージセンサ82a、82bの上端縁部分には、本体側ガイド面21に向けて扁平な台形状に突出しているカバー側庇59が形成されている。尚、表面側読み取りヘッド82は、裏面側読み取りヘッド83よりも搬送方向の上流側に隣接した位置に配置されている。
【0032】
(搬送機構)
小切手供給部8には、積層状態で挿入された小切手5を小切手搬送路6に向けて送り出すための繰り出しローラと、小切手5を繰り出しローラに押し付けるための押し付け部材が配置されている(いずれも図示省略)。また、繰り出しローラによって繰り出された小切手5を小切手搬送路6に送り出すための小切手送り出し通路7には、小切手5を1枚ずつに分離して小切手搬送路6に送り出すための分離機構として、分離パッド、分離ローラおよびリタードローラからなる分離ローラ対とが配置されている(いずれも図示省略)。繰り出しローラ、分離ローラおよび押し付け部材は、共通の送り出しモータ46(図5参照)によって駆動されるようになっている。
【0033】
繰り出しローラによって繰り出された小切手5を小切手搬送路6に沿って搬送する搬送機構は、搬送モータ47(図5参照)と、この搬送モータ47の回転軸に取り付けた駆動ローラと、小切手搬送路6に沿って配置されている複数の搬送ローラと、各搬送ローラに押し付けられて連れ回りする複数の押えローラとを備えている(いずれも図示省略)。押えローラの回転は、伝達歯車を介して、排出ローラ(図示省略)まで伝達されるので、小切手5は、搬送路6に沿って第1小切手排出部11または第2小切手排出部12まで適切に搬送される。
【0034】
(制御系)
図5は、小切手読取装置1の制御系を示す概略ブロック図である。小切手読取装置1の制御系は、ROM、RAMを備え、CPUを中心に構成された制御部100を有している。制御部100は通信ケーブル102を介して上位のホストコンピュータ103に接続される。ホストコンピュータ103は表示部103a、キーボード、マウスなどの操作部103bなどの入出力機器を備えており、当該ホストコンピュータ103の側から小切手読取動作の開始指令などが制御部100に入力される。また、ホストコンピュータ103は小切手処理装置1の動作を制御するドライバ110を備えており、ドライバ110を実行することによって画像補正部111が形成される。
【0035】
制御部100は読取動作の開始指令を受け取ると、送り出しモータ46、搬送モータ47を駆動して小切手5を一枚ずつ小切手搬送路6に送り出させ、送り出された小切手5を小切手搬送路6に沿って搬送させる。制御部100には、表面側読み取りヘッド82、裏面側読み取りヘッド83および磁気ヘッド84によって読み取られた小切手5の表面画像情報、裏面画像情報および磁気インク文字情報が入力される。
【0036】
これらの情報は、ホストコンピュータ103に供給される。ホストコンピュータ103の画像補正部111は、後述する手順により、第1のイメージセンサ82aおよび第2のイメージセンサ82bが同期をとりながら小切手5の読み取りを行う際に生じる双方の読取画像のずれを検知し、当該ずれが、予め設定した所定の速度におけるずれと差異を生じる場合、その差異に基づいて読取画像を伸縮させる画像補正処理を行う。その後、補正がなされた読取画像について文字認識処理などを行い、読み取りが正常に行われたか否かが判断されて、判断結果が制御部100に供給される。制御部100は、判断結果に基づいて印刷機構86および切り替え板96の駆動を制御する。これらの処理は、ホストコンピュータ103でなく、小切手読取装置1の制御部100で行うことも可能である。
【0037】
制御部100による小切手5の搬送制御は、小切手搬送路6に配置されている用紙長検出器91、重送検出器92、ジャム検出器93、印刷検出器94および排出検出器95からの検出信号に基づき行われる。なお、制御部100には、装置ケース2に形成された電源スイッチなどの操作スイッチを含む操作部105が接続されている。
【0038】
(画像読み取り動作)
図6は、画像読み取り処理手順を示す概略フローチャートである。このフローチャートに従って画像読み取り動作を説明する。まず、操作者がホストコンピュータ103の操作部103bから読み取り開始指令を入力すると、送り出しモータ46によって小切手5が小切手搬送路6に送出される(ステップS11)。以下では、表面側読み取りヘッド82の第1のイメージセンサ82aおよび第2のイメージセンサ82bの画像読み取りについて説明するが、裏面側読み取りヘッド83でも同様の画像読み取りが行われ、ホストコンピュータ103へ送信される。
【0039】
搬送により小切手5が表面側読み取りヘッド82の位置に達すると、画像の読み取りが開始される(ステップS12)。第1のイメージセンサ82aと第2のイメージセンサ82bは、僅かな間隔(例えば、0.5インチ)離れて配置されているため、この間隔分だけ読み取りの開始がずれる。
【0040】
制御部100は、第1のイメージセンサ82aおよび第2のイメージセンサ82bによって読み取った読取データを、通信ケーブル102を介して上位のホストコンピュータ103に送信する(ステップS13)。
【0041】
ホストコンピュータ103は読取データを受信すると(ステップS14)、画像補正部111が後述する手順により画像処理を実行し(ステップS15)、補正した読取画像を生成する(ステップS16)。ホストコンピュータ103は、補正した表面画像、裏面画像、および磁気インク文字情報に基づいて、読み取りが正常に行われたか否かを判断する。
【0042】
ホストコンピュータ103が判断結果を送信すると(ステップS17)、これを受信した制御部100は(ステップS18)、読取判断結果に応じた小切手5の印刷や排出の処理を行う(ステップS19)。
【0043】
(画像処理動作)
図7は、小切手読取装置のイメージセンサの配置および小切手の搬送速度の関係を説明するための模式図である。本実施形態では、読み取り頻度が毎秒10回のイメージセンサ82aと82bが0.5インチ間隔で配置されている。双方のセンサから取得される画像は、ほぼ同じ画像であり、いずれも原稿の搬送速度によって伸縮する。また、同時刻にスキャンされたラインの位置を一致させると、イメージセンサの位置の違いが画像上のパターンの並進ずれ(画像ずれ)として現れる。
【0044】
[実施例1]
図8は、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である(以下の説明で、pixはピクセルを表す)。図では、原稿の搬送速度が1.2インチ/秒、1.0インチ/秒、0.8インチ/秒の場合について図示している。例えば、予め設定された小切手の設定速度が1.0インチ/秒(画像のずれ=5pix)であるのに、取得した双方の画像のずれが4pixである場合、実際は搬送速度が速く(1.2インチ/秒)、取得された読取画像は収縮されていると判断される。従って、取得した画像を適切な比率で伸長する補正を行うことにより、歪のない画像を生成することができる。一方、取得した双方の画像のずれが6pixである場合、取得された読取画像は伸長されていると判断されるので、適切な比率で収縮させる補正を行えば、歪のない画像を生成することができる。
【0045】
原稿の送り速度、画像のずれ量、補正に要する伸縮量には対応関係があるため、ずれ量を求めることができれば補正に要する伸縮量が求まる。ずれの量の推定には、相互相関関数やブロックマッチングの手法(SSD:Sum of Square Difference[差の2乗和]やNCC:Normalized Cross- Correlation[正規化相互相関]))を用いることができる。ブロックマッチングの手法を採用する場合は、例えば画像Aの特定の位置が画像Bのどの位置に移動したかを求める。特定の位置の画素を中心としたブロックをテンプレートとして、画像Bのうち画像Aの特定の画素と同じ位置の画素を中心として、ある範囲を調べ、SSDが最も小さい位置の中心画素を対応する画素とすればよい。この処理を画像Aの全ての画素について行う。
【0046】
図9は、画像補正処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、いわゆる相互相関関数を用いる方法を説明する。相互相関関数は、ふたつの信号、配列(ベクトル)の類似性を確認するために使われる。関数の配列の結果がすべて1であれば相関があり、すべてゼロであれば無相関であり、すべて−1であれば負の相関があることがわかる。
ホストコンピュータ103は、取得した2つの画像間の相互相関関数を算出する(ステップS21)。次に、算出した相互相関関数を最大化するパラメータを計算し、画像ずれを推定する(ステップS22)。次に、ステップS22で推定された画像ずれと、理想的な画像ずれと、の比によって画像を伸縮する(ステップS23)。最後に、第2のイメージセンサ82bが取得した画像(画像B)を第1のイメージセンサ82aが取得した画像(画像A)の位置に合致するようにずらし、合成して1つの画像にする(ステップS24)。この補正処理によれば、画像全体に一様な歪みがある場合(例えば、搬送ローラの劣化による読取画像の伸縮)に、それらを補正して歪のない画像を得ることができる。
【0047】
ここで、本実施形態の小切手読取装置1に搭載されている2つのイメージセンサ82a,83aは、位置が異なるため原稿上の同一点を読み取る時刻が異なる。このため2つのイメージセンサ82a,83aのそれぞれが読み取った画像は、必ず位置がずれる。所定量のずれがある状態が理想的な状態であり、上記「理想的な画像ずれ」とは理想的な状態にあるときの画像のずれいう。すなわち、原稿の曲がり、たわみ、滑り等が発生していない場合、さらに言えば、モータの送り速度の斑がなく原稿が完全に等速直線運動で搬送された場合に、第1のイメージセンサ82aが読み取った画像と第2のイメージセンサ83aが読み取った画像との間のずれをいう。
【0048】
例えば、原稿の目標送り速度が1cm/sec、イメージセンサ82aと83aとの取り付け間隔が1cm、サンプリング周期が60Hzであれば、理想的な画像のずれは60pixになる。
【0049】
[実施例2]
図10は、搬送速度が小切手搬送の途中で変化する場合、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。装置の劣化や異常などにより、小切手の搬送速度が途中で時々刻々変化するような場合、読取画像には部分ごとに異なった歪が生じることになる。このような場合、図10(a)に示すように、読取画像をブロックに分割し、実施例1で求めたような画像のずれをブロックごとに検知することにより歪を適切に補正することができる。
【0050】
例えば、図10(b)に示すように、予め設定した設定速度が1.0インチ/秒である場合(画像ずれ=5pix)、最初のブロックは、画像ずれが4pixで搬送速度が早いと判断されるため、当該ブロックの画像を伸長する補正を行えばよいことが判る。また、次のブロックは、画像ずれが5pixで搬送速度に差異がないため、当該ブロックの画像には補正を行わない。更に、次のブロックは、画像ずれが6pixであるため搬送速度が遅いと判断され、当該ブロックの画像を収縮させる補正を行えばよいことが判る。
【0051】
図11は、上記の、画像補正処理の手順を示すフローチャートである。はじめに、ホストコンピュータ103は、取得した2つの画像のうち、第1のイメージセンサ82aが取得した画像(画像A)を短冊状のブロックに分割する(ステップS31)。次に、ブロックごとにブロックマッチングを行って上述の手順で画像のずれ量を求める(ステップS32)。次に、ブロックごとに、ステップS32で求めた画像ずれと、理想的な画像ずれと、の比によって画像を伸縮する(ステップS33)。次に、補正後の各ブロックを繋ぎ合わせて画像を生成する(ステップS34)。
【0052】
以上の手順を第2のイメージセンサ82bが取得した画像(画像B)についても実行して歪の補正を行い(ステップS35)、最後に、第2のイメージセンサ82bが取得した画像(画像B)を第1のイメージセンサ82aが取得した画像(画像A)の位置に合致するようにずらし、合成して1つの画像にする(ステップS36)。この補正処理によれば、画像の中で歪みが変化するような場合(例えば、ローラの部分的な劣化による読取画像の伸縮)に、それらを補正して歪のない画像を得ることができる。
【0053】
[実施例3]
図12は、搬送速度が小切手搬送の途中で2次元的に変化する場合、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。装置の劣化や異常、小切手のセット不良などにより、小切手の搬送速度が途中で時々刻々2次元的に変化するような場合、読取画像には部分ごとに異なった歪が生じることになる。このような場合、図12(a)に示すように、読取画像を格子状に分割し、実施例1で求めたような画像のずれをブロックごとに、2次元的に検知することにより歪を適切に補正することができる。
【0054】
具体的には、2次元的に算出した各ブロックのずれ量を元に、求めたい位置に最も近い画素の値をそのまま利用する、いわゆるニアレストネイバー法や、求めたい位置の周囲4点の画素の値の重み付の平均値を求める、いわゆるバイリニア法等を用いて補間することで、ブロック間あるいは画素間でのずれ量のベクトルマップが求められる(図12(b))。このずれ量のベクトルマップを元に、まず、左端ブロックの中心点から始めて、ずれ量のベクトルに沿った線を引き(図12(c))、各線上で原稿速度の積分を行い、原稿上での変位を求め、変位が1画素単位に合う位置を算出して当該点を線で結ぶ(図12(d))。この線で囲まれた領域を各ブロックごとに正方形へ変形した後、つなぎ合わせて敷き詰めると、歪みが補正された画像が得られる。各ブロックの補正には、射影変換やアフィン変換等を用いればよい。
【0055】
(その他の実施の形態)
なお、本発明は、小切手や手形、請求書などの小切手類以外のシート状媒体を処理するための画像読取システムにも同様に適用できる。例えば、プリンタ、スキャナなどの画像処理装置に適用することができる。
【0056】
また、本実施形態では2のイメージセンサ82a,82bを搭載した場合を説明したが、センサの数は2つに限られず3つ以上のイメージセンサを搭載してもよい。この場合は、画像の各部分の位置ずれの算出に、multiple baseline stereoで提案されるSSSD:Sum of SSDを利用することや、複数ある取得画像のから隣接する2組ずつ取り出して生成したオプティカルフローの平均値を算出するなどして、より精度の高い推定を行うことができる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る小切手処理装置1は、搬送方向に所定の間隔で近接して設置した、小切手5の画像を読み取るための第1のイメージセンサ82a(または、イメージセンサ83a)および第2のイメージセンサ82b(または、イメージセンサ83b)と、小切手5を予め設定した設定速度で搬送し、第1および第2のイメージセンサ82a,82bを通過させる搬送モータ47などを備えている。また、ホストコンピュータ103は、第1および第2のイメージセンサ82a,82bが同期をとりながら小切手5の読み取りを行う際に生じる双方の読取画像のずれを検知し、当該ずれが、予め設定した設定速度におけるずれと差異を生じる場合、その差異に基づいて読取画像を伸縮させて補正を行う画像補正部111を有する。これにより速度分布が一様となるような補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。
【0058】
また、画像補正部111は、読取画像をイメージセンサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、読取画像をイメージセンサの副走査方向に伸縮させて補正を行う。したがって、搬送速度が小切手の搬送中に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が行われるので、歪みのない画像を取得することができる。
【0059】
また、画像補正部111は、読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、読取画像を副走査方向および走査軸方向に伸縮させて補正を行う。したがって、搬送速度が小切手の搬送中に変化するような場合であっても、速度分布が一様となるような補正が2次元的に行われるので、歪みのない画像を取得することができる。これにより、OCR等における認識率が向上し、より精度の高い読取判断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を適用した小切手処理装置の外観斜視図である。
【図2】開閉カバーを開けた状態の小切手処理装置の外観斜視図である。
【図3】開閉カバーを開けた状態の小切手処理装置の平面図である。
【図4】一方の開閉カバーを外した状態の小切手処理装置の斜視図および、外した開閉カバーを示す斜視図である。
【図5】小切手処理装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図6】小切手読取装置の制御部による画像読み取り処理手順を示す概略フローチャートである。
【図7】小切手読取装置のイメージセンサの配置および小切手の搬送速度の関係を説明するための模式図である。
【図8】原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。
【図9】画像補正処理の手順を示すフローチャートである(実施例1)
【図10】搬送速度が小切手搬送の途中で変化する場合、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。
【図11】画像補正処理の手順を示すフローチャートである(実施例2)
【図12】搬送速度が小切手搬送の途中で2次元的に変化する場合、原稿の搬送速度に応じて画像ずれが変化する様子を模式的に示す図である。
【図13】イメージスキャナの読み取りヘッドの前を原稿が通過する様子を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0061】
1:小切手処理装置、5:小切手、6:小切手搬送路、46:送り出しモータ、47:搬送モータ、82:表面側読み取りヘッド、82a:第1のイメージセンサ、82b:第2のイメージセンサ、83:裏面側イメージセンサ、83a:第1のイメージセンサ、83b:第2のイメージセンサ、100:制御部、103:ホストコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送方向に互いに離れて設置され、前記記録媒体の画像を読み取る複数の読取センサと、予め設定された設定速度で前記記録媒体を前記搬送方向へ搬送し前記複数の読取センサを通過させる搬送部と、を備えた画像読取装置のドライバであって、
前記記録媒体が実際に前記複数の読取センサを通過するときの搬送速度を検出し、検出した搬送速度と前記設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正部を有することを特徴とする画像読取装置のドライバ。
【請求項2】
前記画像補正部は、前記読取画像を前記読取センサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記読取センサの副走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置のドライバ。
【請求項3】
前記画像補正部は、前記読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記副走査方向および前記主走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置のドライバ。
【請求項4】
記録媒体の搬送方向に互いに離れて設置され、前記記録媒体の画像を読み取る複数の読取センサと、予め設定された設定速度で前記記録媒体を前記搬送方向へ搬送し前記複数の読取センサを通過させる搬送部と、を備えた画像読取装置による画像読取方法であって、
前記記録媒体が実際に前記複数の読取センサを通過するときの搬送速度を検出し、検出した搬送速度と前記設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正ステップを含むことを特徴とする画像読取装置による画像読取方法。
【請求項5】
前記画像補正ステップは、前記読取画像を前記読取センサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記読取センサの副走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置による画像読取方法。
【請求項6】
前記画像補正ステップは、前記読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記副走査方向および前記主走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置による画像読取方法。
【請求項1】
記録媒体の搬送方向に互いに離れて設置され、前記記録媒体の画像を読み取る複数の読取センサと、予め設定された設定速度で前記記録媒体を前記搬送方向へ搬送し前記複数の読取センサを通過させる搬送部と、を備えた画像読取装置のドライバであって、
前記記録媒体が実際に前記複数の読取センサを通過するときの搬送速度を検出し、検出した搬送速度と前記設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正部を有することを特徴とする画像読取装置のドライバ。
【請求項2】
前記画像補正部は、前記読取画像を前記読取センサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記読取センサの副走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置のドライバ。
【請求項3】
前記画像補正部は、前記読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記副走査方向および前記主走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置のドライバ。
【請求項4】
記録媒体の搬送方向に互いに離れて設置され、前記記録媒体の画像を読み取る複数の読取センサと、予め設定された設定速度で前記記録媒体を前記搬送方向へ搬送し前記複数の読取センサを通過させる搬送部と、を備えた画像読取装置による画像読取方法であって、
前記記録媒体が実際に前記複数の読取センサを通過するときの搬送速度を検出し、検出した搬送速度と前記設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する画像補正ステップを含むことを特徴とする画像読取装置による画像読取方法。
【請求項5】
前記画像補正ステップは、前記読取画像を前記読取センサの主走査方向と平行な線で短冊状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記読取センサの副走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置による画像読取方法。
【請求項6】
前記画像補正ステップは、前記読取画像を格子状に分割し、分割された領域ごとに、前記読取画像を前記副走査方向および前記主走査方向に伸縮させて補正を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置による画像読取方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−135964(P2010−135964A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308252(P2008−308252)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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