説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】エラーが検出時に、不具合発生箇所を推定し、後の不具合復旧作業を効率化できる画像読取装置を提供する。
【解決手段】原稿を読み取るための読取手段と、テストパターンを出力する第1のテストパターン出力手段を有し、前記読取手段により読み取ったアナログ画像信号をサンプリングしてデジタル画像信号に変換して出力する画像変換手段と、画像変換手段から送られてくるデジタル画像信号から異常を判定する異常判定手段と、画像変換手段の入力部及び出力部にテストパターンを出力する第2のテストパターン出力手段と、第2のテストパターン出力手段からテストパターンを出力して異常発生箇所を推定し、推定した異常発生箇所を表示又はロギングしてシステムダウンするエラー推定手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラー検出時に異常箇所の推定を行うことのできる画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13に、画像読取装置の概略図を示す。原稿を光電変換素子で読み取り、画像データをデジタル信号に変換して処理する画像読取装置は、原稿Aを載置するコンタクトガラス1、原稿露光用の光源2、第1反射ミラー3aを有する第1キャリッジ3、第2反射ミラー4a及び第3反射ミラー4bを有する第2キャリッジ4、光電変換素子としてのラインセンサ7(CCD)、CCDに結像するためのレンズユニット6、読み取り光学系等による各種の歪みを補正(シェーディング)するための基準白板8等を備える。光源2による照射光は、第1反射ミラー3aに反射された後、第2反射ミラー4a、第3反射ミラー4bに反射され、レンズユニット6へと導かれ、ラインセンサ7上に結像される。また、原稿走査時の第1キャリッジ及び第2キャリッジは、モータ5の駆動により読み取り面・CCD間距離を一定に保ちながら副走査方向に移動し、ホーミングを行うための、ホームポジションセンサ(HPS)は第一走行体がHPS位置にいるかどうか検出できる位置に配置される。
【0003】
画像を読み取ったCCDからのアナログ画像信号は、A/D変換回路に入力してデジタル信号が得られる。この時、A/Dコンバータの精度を十分に発揮させる為には、アナログ画像信号がA/Dコンバータの上限基準値と下限基準値の間を広く使って変化する様に、ゲインアンプでのゲイン量とオフセット設定部でのオフセット量を調整する必要がある。
【0004】
一般的に、画像読取装置では、ピーク検出されたA/Dコンバータの出力をCPUに取りこんで、目標値と比較して最適なゲイン設定値を算出し、このゲイン設定値によりゲインアンプのゲイン設定を変更する(AGC)構成となっている。ピーク検出には、基準白板を使用する。
【0005】
このような操作は、CCDと、CCDを駆動するためのタイミング発生源であるASIC、A/D変換回路及びゲイン調整機能等を1チップ化したアナログフロントエンド(AFE)を備える構成によって動作が行われる。
【0006】
AFEには、アナログ画像信号をサンプルホールドするために、アナログ画像信号の交流成分を入力で基準電位にクランプする入力クランプ機能、黒レベルを任意のレベルに補正する黒レベル調整機能、テストパターンを出力する機能などが備わっている。A/D変換後のデジタル画像データは、画像処理ICに送られる。画像処理ICは、前述のAGCのほか、主走査方向の出力分布を補正するシェーディング補正、4チャンネル出力イメージセンサ(FL型CCD)の読取信号レベル段差を補正するFL差補正等の機能を備えている。
【0007】
このような画像読取装置において、電源ON後、スキャナがスキャン待機状態となるまでには、図14に示すような動作が行われる。すなわち、電源投入されると(ステップS1401)、異常検知及び初期設定が行われる(ステップS1402)。その際、自動ゲイン調整(AGC)(ステップS1403)を行い、黒レベル確認を行って(ステップS1404)、待機状態へと移行する(ステップS1405)。その後、スキャン開始されると(ステップS1406)、基準白板の読み取りを行った後(ステップS1407)、原稿が読み取られる(ステップS1408)。
【0008】
通常、AGC、黒レベル確認、スキャンスタート後の白板読取り(シェーディングデータ生成)では、画像処理ICに送られてきたデジタル画像データからエラー検出を行っている。AGCでは、白板を狙いの目標値になるように、AFEのゲインを調整するが、調整アルゴリズムが一定の回数以上ループしても、目標値に収束しなかった場合はエラーを検出する。目標値は公差をもっていて、この公差に入らないと調整アルゴリズムは終了しない。
【0009】
黒レベルはAFEの黒レベル調整機能にて、目標値に調整されているが、ノイズ成分を考慮して公差が設定されている。そのため、黒レベル確認では、AFEから送られてきたデジタル画像データのうち、黒レベルの画素を画像処理ICで平均化し、その値が黒レベルの目標値の公差内に入っていなかった場合は、エラーを検出する。
【0010】
白板読取り(シェーディングデータ生成)では、画像処理IC部で検出された白板読取データ(シェーディングデータ)があるレベル以下だった場合にエラーを検出する。例えば、AGC時にはランプが点灯していたが、スキャン時に何らかの異常でランプが点灯しない場合には、デジタル画像信号が低いレベルにしかならないため、エラーが検出される。
【0011】
以上のように、画像読取装置では、複数の制御にしたがってデジタル画像信号からエラーを検出している。
【0012】
例えば特許文献1では、セルフチェックテストを行うときに、原稿の搬送動作を行わずとも、読み取り制御手段から読み取り手段にテスト用のFゲート信号を発することができ、原稿を搬送する手間を省き、メンテナンス作業を効率化した発明について記載されている。
【特許文献1】特開2001−320537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図15は、CCDからのアナログ画像信号出力の経路を示す図である。図中の点線は、テストパターン出力経路である。CCDは、入射光量に対応した電圧をアナログ画像信号としてAFEへと出力する。アナログ信号を受け取ったAFEは、A/D変換し、デジタル画像信号を画像処理ICに転送する。また、AFEにテストパターン発生機能がある場合には、AFEから画像処理ICへテストパターンを出力することが可能である。
【0014】
電源投入時に異常が発見された際には、AFEからテストパターン出力され、画像処理ICにて受け取ったテストパターンが正常であるか否かを判断する。このときに正常であると判断されれば、AFEより前の不具合と推測できるが、CCD出力なのか、AFE内部のサンプルホールド部なのか、の切り分けをすることができない。また、テストパターンが異常であった場合も、AFEの異常なのか、AFE以降の画像処理IC部の異常なのかの切り分けをすることができない。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、エラーが検出された際に、不具合箇所を推定することで、後の不具合復旧作業を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明における画像読取装置は、原稿を読み取るための読取手段と、テストパターンを出力する第1のテストパターン出力手段を有し、前記読取手段により読み取ったアナログ画像信号をサンプリングしてデジタル画像信号に変換して出力する画像変換手段と、画像変換手段から送られてくるデジタル画像信号から異常を判定する異常判定手段と、画像変換手段の入力部及び出力部にテストパターンを出力する第2のテストパターン出力手段と、第2のテストパターン出力手段からテストパターンを出力して異常発生箇所を推定し、推定した異常発生箇所を表示又はロギングしてシステムダウンするエラー推定手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
異常判定手段は、シェーディング補正のための基準白板データを読み取り、異常値であるか否かを判定し、エラー推定手段は、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の入力部へテストパターンを出力し、異常判定手段により異常が判定されなければ、第1のテストパターン出力手段からテストパターンを出力し、異常判定手段により異常が判定されなければ、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の出力部へテストパターンを出力して異常個所の推定を行うことを特徴とする。
【0018】
画像変換手段は、シェーディングデータが飽和しないようにゲインを自動調整するゲイン調整手段を有し、ゲイン調整手段によるゲイン調整時にエラー推定手段は、基準白板の目標値の範囲に対して読み取り値が上下して収束しない場合には、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の入力部へテストパターンを出力し、目標値の範囲に収まるようゲイン設定値を1ステップずつ変化させ、異常判定手段により異常が判定されなければ、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の出力部へ基準白板目標値の範囲内のグラデーションテストパターンを出力し、異常個所を推定し、基準白板の目標値の範囲に対して読み取り値が常に小さい場合には、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の入力部へ目標値を超えるレベルの固定値テストパターンを出力し、異常判定手段により異常が判定されなければ、第1のテストパターン出力手段から目標値を超えるレベルの固定値テストパターンを出力し、異常判定手段により異常が判定されなければ、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の出力部へ目標値を超えるレベルの固定値テストパターンを出力して異常個所の推定を行い、基準白板の目標値の範囲に対して読み取り値が常に大きい場合には、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の入力部へ目標値を下回るレベルの固定値テストパターンを出力し、異常判定手段により異常が判定されなければ、第1のテストパターン出力手段から目標値を下回るレベルの固定値テストパターンを出力し、異常判定手段により異常が判定されなければ、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の出力部へ目標値を下回るレベルの固定値テストパターンを出力して異常個所の推定を行うことを特徴とする。
【0019】
画像変換手段は、黒レベルが正常な値に補正されて否かを確認する黒レベル確認手段を有し、黒レベル確認手段による黒レベル確認時にエラー推定手段は、黒レベルが目標値以上の値となってしまう場合には、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の出力部へ目標値を下回るレベルの固定値テストパターンを出力し、黒レベルが目標値以下の値となってしまう場合には、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の出力部へ目標値を上回るレベルの固定値テストパターンを出力して異常個所の推定を行うことを特徴とする。
【0020】
読取手段は、FL型CCDであって、FL差が基準値以下になるように補正するFL差補正手段を有し、第2のテストパターン出力手段から画像変換手段の入力部へ全出力範囲をカバーする主走査グラデ−ションパターンを出力し、異常判定手段によりFL差が基準値以下と判定されれば、FL差補正手段によってFL差の補正を行うことを特徴とする。
【0021】
また、本発明による画像形成装置は、上記いずれかに記載の画像読取装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、AFEとは異なるテストパターン発生源からテストパターンを出力して異常判定を行うことで、どこに異常があるかを推定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明における実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態における画像読取装置の構成図である。本実施形態では、テストパターン発生源をAFEとは別に備え、AFEの入力部及びAFEの出力部におけるテストパターンの入力を可能とする。図中の点線は、テストパターン出力経路である。
【0025】
本構成により、AFEの入力部、AFE機能、AFEの出力部においてそれぞれにテストパターンを出力することができ、各部からの信号を切り分けて判断することが可能となり、異常発生箇所を判定することが出来る。
【0026】
従来では、エラーが検出された時には、すぐにエラーを画像読取装置の走査部などに表示してシステムダウン状態に移行してしまい、異常部の判別が困難であった。そこで、本実施形態では、エラー検出時にAFEとは別のテストパターン発生源を用いてテストパターンの切り替えを行い、異常部を検出し、エラーを表示、あるいはロギングを行う。
【0027】
図2は、テストパターン入力構成例である。AFEの入力では、1ラインのうちで入力クランプ信号がアサートされている期間を、A/D変換を行う基準電位にクランプする。固定パターンにおけるテストパターンでは、有効画素の電位をクランプされた電位よりも低い電位とする。また、主走査グラデーションパターンにおいては、有効画素の電位をクランプされた電位から段階的に低くなるよう変化させる。
【0028】
図3は、本発明の実施形態における画像読取装置の動作を示すフローチャート図である。スキャナは、待機状態(ステップS301)から読取開始ボタンが押されるとスキャンが開始される(ステップS302)。
【0029】
先ず、シェーディングデータ生成のために基準白板を読み取った後(ステップS303)、原稿を読み取る(ステップS304)。ここで、次の読取動作開始前までに、AFEから画像処理ICへ送られたデータからピーク値を検出し、規定値を超えているか否かの判定をする(ステップS305)。ピーク値が規定値を越えていれば、正しく基準白板を読み取ることが出来たと判断し、待機状態へと移行する(ステップS306)。
【0030】
一方、ピークが閾値未満の場合には、異常があると判断し、AFEの入力部にステップS305の判定に用いた規定値以上の固定テストパターンを入力し(ステップS307)、規定値以上の固定値が画像処理ICで検出されたか判定を行う(ステップS308)。規定値以上の値が検出された場合には、ランプ異常、あるいはCCD異常であると判断し、その旨を表示、又はロギングをしてシステムダウンする(ステップS309)。
【0031】
一方、やはり閾値未満であり、異常値と判断される場合には、AFEの機能を用いて規定値以上の固定テストパターンを入力し(ステップS310)、規定値以上の固定値が画像処理ICで検出されたか判定を行う(ステップS311)。規定値以上の値が検出された場合には、AFE入力に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングをしてシステムダウンする(ステップS312)。
【0032】
一方、さらに閾値未満であり、異常値と判断される場合には、AFEの出力に規定値以上の固定テストパターンを入力し(ステップS313)、規定値以上の固定値が画像処理ICで検出されたか判定を行う(ステップS314)。規定値以上の値が検出された場合には、AFE又はAFEの出力に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングをしてシステムダウンする(ステップS315)。ここでも閾値未満であり、異常値と判断される場合には、画像処理IC部に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う。
【0033】
上記のように、読取動作時にCCDに近いAFE入力部、AFE、AFE出力と段階的に各部にて固定テストパターンを発生させ、それらの判定を行うことでエラーが発生した異常部をより短時間にて特定することが可能となる。
【0034】
次に、自動ゲイン調整(AGC)エラーの種類判定のためのテストパターン制御方法について、図6を用いて詳細に説明する。電源が投入されると(ステップS401)、異常検知と初期設定を行う(ステップS402)。初期設定完了後、AGCを行い(ステップS403)、正常に終了したか否かを判定する(ステップS404)。このとき、AGCが正常に終了していれば、黒レベル確認を実行し(ステップS405)、待機する(ステップS406)。
【0035】
AGCが異常であった場合には、AGCの調整履歴を参照し、ピーク値が目標値範囲を上回り、次のゲイン設定では下回り、を繰り返しているか否かを判定する(ステップS407)。
【0036】
目標値範囲外を上下に繰り返すエラーではない場合には、ピーク値が目標値以下にしかならないエラーであるか否かを判定する(ステップS409)。
【0037】
ピーク値が目標値以下にしかならないエラーではない場合には、ピーク値が目標値以上にしかならないエラーであるか否かを判定する(ステップS411)。
【0038】
上記のいずれにもあてはまらないときは、原因不明のAGCエラーである旨を表示、又はロギングしてシステムダウンする(ステップS413)。
【0039】
ステップS407の判定にて、ピーク値が目標値範囲外を上下していた場合(ステップS408)の動作について図5を用いて詳細に説明する。先ず、AFEの入力部に固定テストパターンを入力する(ステップS501)。画像処理ICで得られるデータが、目標値範囲を上回っているか、下回っているか判定を行う(ステップS502)。
【0040】
このとき、デジタル画像データが、目標値範囲を下回っている場合には、テストパターンの入力値は固定したまま、デジタル画像データが目標値範囲内に入るまでゲインを1ステップずつ上げていき、設定した範囲のゲイン1ステップあたりのデジタル画像データの変化量を算出する(ステップS503)。
【0041】
一方、デジタル画像データが、目標値範囲を上回っている場合、テストパターンの入力値は固定したまま、デジタル画像データが目標値範囲内に入るまでゲインを1ステップずつ下げていき、設定した範囲のゲイン1ステップあたりのデジタル画像データの変化量を算出する(ステップS504)。
【0042】
続いて、ステップS503又はS504により算出したゲイン1ステップあたりのデジタル画像データの変化量が、全ステップで正常であるか否かを判定する(ステップS505)。算出したゲイン1ステップあたりのデジタル画像データの変化量に異常があった場合には、AFEのゲイン特性に異常がある可能性が高いため、AFE、あるいはAFEの出力に異常がある旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS506)。
【0043】
一方、デジタル画像データの変化量が正常であった場合には、目標値範囲のデジタル画像データがAFE以降できちんと流れて検出されるかテストをするため、AFEの出力に主走査グラデーションパターンを入力する(ステップS507)。ここで、画像処理ICで検出されないデジタル値があるか否かを判定する(ステップS508)。
【0044】
入力したグラデーションパターンにおいて、全てのデジタル値が検出された場合は、原因不明のAGCエラーである旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS509)。一方、検出されないデジタル値があった場合には、画像処理IC部に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS510)。
【0045】
次に、ステップS409の判定にて、ピーク値が目標値範囲以下にしかならない場合(ステップS410)の動作について図6を用いて詳細に説明する。先ず、AFEとは別のテストパターン発生源からAFEの入力部に目標値以上の固定テストパターンを入力する(ステップS601)。画像処理ICで得られるデータが、目標値以上であるか否かの判定を行い(ステップS602)、目標値以上の値が検出された場合には、ランプ異常、あるいはCCD異常である旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS603)。
【0046】
一方、目標値以下の値が検出された場合には、AFE自身の機能を用いて、目標値以上の固定テストパターンを入力する(ステップS604)。画像処理ICで得られるデータが、目標値以上であるか否かの判定を行い(ステップS605)、目標値以上の値が検出された場合には、AFE入力に異常がある旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS606)。
【0047】
一方、ここでも目標値以下の値が検出された場合には、AFEとは別のテストパターン発生源からAFEの出力に目標値以上の固定テストパターンを入力する(ステップS607)。画像処理ICで得られるデータが、目標値以上であるか否かの判定を行い(ステップS608)、目標値以上の値が検出された場合には、AFE、あるいはAFEの出力に異常がある旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS609)。いずれの判定においても異常判定であった場合には、画像処理IC部に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS610)。
【0048】
次に、ステップS411の判定にて、ピーク値が目標値範囲以上にしかならない場合(ステップS412)の動作について図7を用いて詳細に説明する。先ず、AFEとは別のテストパターン発生源からAFEの入力部に目標値以下の固定テストパターンを入力する(ステップS701)。画像処理ICで得られるデータが、目標値以下であるか否かの判定を行い(ステップS702)、目標値以下の値が検出された場合には、ランプ異常、あるいはCCD異常である旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS703)。
【0049】
一方、目標値以上の値が検出された場合には、AFE自身の機能を用いて、目標値以下の固定テストパターンを入力する(ステップS704)。画像処理ICで得られるデータが、目標値以下であるか否かの判定を行い(ステップS705)、目標値以下の値が検出された場合には、AFE入力に異常がある旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS706)。
【0050】
一方、ここでも目標値以下の値が検出された場合には、AFEとは別のテストパターン発生源からAFEの出力に目標値以下の固定テストパターンを入力する(ステップS707)。画像処理ICで得られるデータが、目標値以下であるか否かの判定を行い(ステップS708)、目標値以下の値が検出された場合には、AFE、あるいはAFEの出力に異常がある旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS709)。いずれの判定においても異常判定であった場合には、画像処理IC部に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS710)。
【0051】
上記のように、AGCにおけるエラー検出時にエラーの種類を判定し、種類毎に異なるテストパターンを段階的に各部に発生させ、それらの判定を行うことでエラーが発生した異常部をより短時間にて特定することが可能となる。
【0052】
次に、黒レベルエラーの種類判定のためのテストパターン制御方法について、図8を用いて詳細に説明する。電源が投入されると(ステップS801)、異常検知と初期設定を行う(ステップS802)。初期設定完了後、AGCを行った後(ステップS803)、黒レベル確認を行う(ステップS804)。このとき、黒レベル確認が正常に終了したかどうかを判定する(ステップS805)。黒レベル確認が正常に終了していれば、電源ON時における各種調整及び設定は完了し、待機状態となる(ステップS806)。
【0053】
一方、エラーが検出された場合には、黒レベルエラーが発生したデジタル画像データをチェックし、目標値以上であるか否かを判定する(ステップS807)。
【0054】
チェックしたデジタル画像データの値が目標値以上でなかった場合には、さらに目標値以下であるか否かを判定する(ステップS809)。
【0055】
上記のいずれにもあてはまらないときは、原因不明の黒レベルエラーである旨を表示、又はロギングしてシステムダウンする(ステップS811)。
【0056】
ステップS807の判定において、チェックしたデジタル画像データの値が目標値以上であった場合(ステップS808)の動作について図9を用いて詳細に説明する。先ず、AFEの出力部に目標値以下の固定テストパターンを入力する(ステップS901)。画像処理ICで得られるデータが、目標値以下であるか否かを判定し(ステップS902)、目標値以下の値が検出された場合には、AFE、あるいはAFEの出力に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS903)。一方、目標値以上の値が検出された場合には、画像処理IC部に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS904)。
【0057】
次に、ステップS809の判定において、チェックしたデジタル画像データの値が目標値以下であった場合(ステップS810)の動作について図10を用いて詳細に説明する。先ず、AFEの出力部に目標値以上の固定テストパターンを入力する(ステップS1001)。画像処理ICで得られるデータが、目標値以上であるか否かを判定し(ステップS1002)、目標値以上の値が検出された場合には、AFE、あるいはAFEの出力に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS1003)。一方、目標値以下の値が検出された場合には、画像処理IC部に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS1004)。
【0058】
上記のように黒レベル確認時にエラーが検出された場合に、検出したエラーに応じた固定テストパターンをAFEとは別のテストパターン発生源からAFEの出力へと入力することで、エラー発生源の特定を短時間で行うことが可能である。
【0059】
ところで、FL型CCDは、奇数/偶数画素番目で出力を交互に振り分ける分離読み出しに加えて、光電変換素子列を主走査方向の中央で左右に前半部F(First)と後半部L(Last)とで2分割し、全体で4分割することにより、画素周波数を1/4にして読み取り速度を向上している。
【0060】
このようなFL型CCDを備える画像読取装置では、FLでデータに差が無いかFL差を検出し、その差が規定値以上であれば、FL差補正を実行するのが一般的である。しかしながら、FL差補正はCCDに起因するF側とL側のリニアリティ差を補正する制御であるから、CCD以外のデバイスの故障等がFL差として検出された場合には、正しく補正することができない。
【0061】
そこで、本発明の実施形態における画像読取装置では、FL差検出においてFL差が検出された場合に、FL補正機能を使用する前に、テストパターン切り替え動作を行って、CCD起因のFL差であると判断された場合にのみ、FL差補正を行い、それ以外の場合にはどこに不具合があるのかを推定する。
【0062】
図11は、本発明の実施形態におけるFL差補正の制御を示すフローチャート図である。FL差の検出を行い(ステップS1101)、FL差が予め決められた基準値以下であるか否かの判定をする(ステップS1102)。このとき検出したFL差が基準値以下であれば、正常であると判断し、FL差補正は行わない(ステップS1103)。
【0063】
一方、FL差が基準値以上であった場合には、AFEとは別のテストパターン発生源からF側L側両方のAFEの入力部へ主走査グラデーションテストパターンを入力し(ステップS1104)、画像処理ICで得られるFL差が、基準値以下であるか否かを判定する(ステップS1105)。このときにFL差が基準値以下であれば、CCDによるFL差であると推測されるため、FL差補正を行う(ステップS1106)。
【0064】
一方、まだFL差が基準値以上ある場合には、AFE自身の機能を用いて主走査グラデーションテストパターンを出力し(ステップS1107)、画像処理ICで得られるFL差が、基準値以下であるか否かを判定する(ステップS1108)。このときにFL差が基準値以下であれば、AFEの入力に異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS1109)。
【0065】
一方、それでもFL差が基準値以上ある場合には、AFEとは別のテストパターン発生源からAFEの出力部へ主走査グラデーションテストパターンを入力し(ステップS1110)、画像処理ICで得られるFL差が、基準値以下であるか否かを判定する(ステップS1111)。このときにFL差が基準値以下であれば、AFE、あるいはAFEの出力異常があると判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う(ステップS1112)。上記いずれの判定においてもFL差があった場合には、画像処理IC部に異常があったと判断し、その旨を表示、又はロギングしてシステムダウンを行う。
【0066】
上記のようにFL差が検出された場合に、FL差発生源を特定することが可能であり、CCDに起因しているか否かによってFL差補正の実行可否を制御することができる。
【0067】
次に、本発明の実施形態における画像形成装置のコピー動作について、図12を用いて詳細に説明する。コピー動作スタート後(ステップS1201)、エラー検知(基準白板ピーク値エラー)がされたか否かを判定する(ステップS1202)。ここで、エラーが検知された場合には、即座に画像形成部の動作を停止し(ステップS1203)、図5において説明した同様の動作を行い、不具合箇所の推定を行う(ステップS1204)。推定した不具合を表示、又はロギングし、画像読取装置部をシステムダウンする(ステップS1205)。
【0068】
一方、エラーが検出されなかった場合には、画像形成部を通常動作させ(ステップS1206)、一連のコピー動作完了後、待機状態へと移行する(ステップS1207)。
【0069】
本実施形態によれば、画像形成装置のエラー発生時において、エラー発生源となる異常部を短時間にて容易に特定することが可能である。
【0070】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置のブロック図である。
【図2】テストパターン構成例である。
【図3】基準白板読取時におけるフローチャート図である。
【図4】自動ゲイン調整時におけるフローチャート図である。
【図5】自動ゲイン調整エラー時におけるフローチャート図である。
【図6】自動ゲイン調整エラー時におけるフローチャート図である。
【図7】自動ゲイン調整エラー時におけるフローチャート図である。
【図8】黒レベル確認時におけるフローチャート図である。
【図9】黒レベル確認エラー時におけるフローチャート図である。
【図10】黒レベル確認エラー時におけるフローチャート図である。
【図11】FL差検出時におけるフローチャート図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置のフローチャート図である。
【図13】画像読取装置の構成図である。
【図14】画像読取装置のフローチャート図である。
【図15】画像読取装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 コンタクトガラス
2 光源
3 第1キャリッジ
4 第2キャリッジ
5 モータ
6 レンズ
7 ラインセンサ
8 基準白板
9 画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取るための読取手段と、
テストパターンを出力する第1のテストパターン出力手段を有し、前記読取手段により読み取ったアナログ画像信号をサンプリングしてデジタル画像信号に変換して出力する画像変換手段と、
前記画像変換手段から送られてくるデジタル画像信号から異常を判定する異常判定手段と、
前記画像変換手段の入力部及び出力部にテストパターンを出力する第2のテストパターン出力手段と、
前記第2のテストパターン出力手段からテストパターンを出力して異常発生箇所を推定し、推定した異常発生箇所を表示又はロギングしてシステムダウンするエラー推定手段とを備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記異常判定手段は、シェーディング補正のための基準白板データを読み取り、異常値であるか否かを判定し、
前記エラー推定手段は、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の入力部へテストパターンを出力し、前記異常判定手段により異常が判定されなければ、前記第1のテストパターン出力手段からテストパターンを出力し、前記異常判定手段により異常が判定されなければ、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の出力部へテストパターンを出力して異常個所の推定を行うことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像変換手段は、シェーディングデータが飽和しないようにゲインを自動調整するゲイン調整手段を有し、
前記ゲイン調整手段によるゲイン調整時に前記エラー推定手段は、基準白板の目標値の範囲に対して読み取り値が上下して収束しない場合には、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の入力部へテストパターンを出力し、目標値の範囲に収まるようゲイン設定値を1ステップずつ変化させ、前記異常判定手段により異常が判定されなければ、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の出力部へ基準白板目標値の範囲内のグラデーションテストパターンを出力し、異常個所を推定し、
基準白板の目標値の範囲に対して読み取り値が常に小さい場合には、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の入力部へ目標値を超えるレベルの固定値テストパターンを出力し、前記異常判定手段により異常が判定されなければ、前記第1のテストパターン出力手段から目標値を超えるレベルの固定値テストパターンを出力し、前記異常判定手段により異常が判定されなければ、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の出力部へ目標値を超えるレベルの固定値テストパターンを出力して異常個所の推定を行い、
基準白板の目標値の範囲に対して読み取り値が常に大きい場合には、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の入力部へ目標値を下回るレベルの固定値テストパターンを出力し、前記異常判定手段により異常が判定されなければ、前記第1のテストパターン出力手段から目標値を下回るレベルの固定値テストパターンを出力し、前記異常判定手段により異常が判定されなければ、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の出力部へ目標値を下回るレベルの固定値テストパターンを出力して異常個所の推定を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像変換手段は、黒レベルが正常な値に補正されて否かを確認する黒レベル確認手段を有し、
前記黒レベル確認手段による黒レベル確認時に前記エラー推定手段は、黒レベルが目標値以上の値となってしまう場合には、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の出力部へ目標値を下回るレベルの固定値テストパターンを出力し、
黒レベルが目標値以下の値となってしまう場合には、前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の出力部へ目標値を上回るレベルの固定値テストパターンを出力して異常個所の推定を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記読取手段は、FL型CCDであって、
FL差が基準値以下になるように補正するFL差補正手段を有し、
前記第2のテストパターン出力手段から前記画像変換手段の入力部へ全出力範囲をカバーする主走査グラデ−ションパターンを出力し、前記異常判定手段によりFL差が基準値以下と判定されれば、前記FL差補正手段によってFL差の補正を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−284155(P2009−284155A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133176(P2008−133176)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】