説明

画像読取装置

【課題】画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を確実に読み取ることができる画像読取装置を提供すること。
【解決手段】画像読取装置1−1は、光源4およびスキャンセンサ6が搭載され、カード100が載置された載置面2に対して移動するキャリッジ3と、スキャンセンサ6が行った載置面2の全領域の走査に基づいて全読取画像データを生成する画像データ生成部134と、全読取画像データからカード100の載置面2における位置を特定する位置特定部135と、キャリッジ3に設けられ、カード100に埋め込まれた電子タグ102の情報を受信する受信コイル9と、受信した信号に基づいて電子タグ102の情報を読み取るタグ読取部137とを備える。タグ読取部137は、特定された載置面2におけるカード100の位置に基づいて、受信コイル9がキャリッジ3によりカード100と対向する位置まで移動した後に、電子タグ102の情報の読み取りを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関し、さらに詳しくは、スキャンセンサにより、画像読取媒体の読取対象面を読み取るイメージスキャナ、複写機、ファクシミリ、文字認識装置などを含む画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置は、スキャンセンサが載置面の全領域を走査し、走査に基づいて載置面の全領域に対応する全読取画像データを生成するものである。ここで、載置面に画像読取媒体が載置されている場合、画像読取媒体の読取対象面に向かって光源から照射された光の反射光がスキャンセンサに受光され、全読取画像データに画像読取面に対応した読取対象面データが含まれることとなる。これにより、画像読取装置は、載置面に載置された画像読取媒体の画像読取面を読み取るものである。また、画像読取装置は、必要に応じて全読取画像データから読取対象面画像データのみを抽出するクロッピングの機能を備えるものである。
【0003】
ところで、近年、市場では、RFID(Radio Frequency Identification)の技術が提案されている。RFIDは、電磁波あるいは電波を用いた近距離の無線通信により、情報をやりとりするものである。例えば、運転免許証に電子タグが埋め込まれている場合、タグリーダが電磁波あるいは電波を用いた近距離の無線通信により電子タグと通信し、電子タグに記録された情報、例えば個人を特定する情報などを読み取ることができる。
【0004】
上記運転免許証に記載されている情報、すなわち画像読取媒体の画像読取面および運転免許証である画像読取媒体に埋め込まれている電子タグの情報を1回の操作で読み取ることが要望されている。ここで、タグリーダは、電子タグの情報を受信する受信コイルが受信した信号に基づいて、画像読取媒体に埋め込まれている電子タグの情報を読み取ることとなる。従って、画像読取装置により画像読取媒体の画像読取面および画像読取媒体に埋め込まれている電子タグの情報を1回の操作で読み取るためには、受信コイルを画像読取媒体に埋め込まれている電子タグに対向して、画像読取装置に設けることとなる。受信コイルを画像読取装置に設ける技術としては、例えば特許文献1に示すように、受信コイルを載置面を囲うように本体筐体に設ける、受信コイルを載置面を囲うようにカバーに設ける、あるいは受信コイルを載置面に対して移動するキャリッジに設けるなどが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−182170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、電子タグには、パッシブタグとアクティブタグとがある。パッシブタグは、タグリーダから送信された電波により動作するタグであり、動作するための電源を内蔵する必要がないが、通信可能距離が短いため、受信コイルとの距離が近くないと受信コイルが信号を受信することができない。一方、アクティブタグは、内蔵された電源により動作するタグであり、通信可能距離が長いため、受信コイルとの距離が長くても受信コイルが信号受信することができる。
【0007】
画像読取媒体の大きさや、画像読取媒体に対する電子タグの位置は、種々考えられる。従って、電子タグの載置面に対する位置は、画像読取媒体の載置面に対する載置位置や、画像読取媒体に対する電子タグの位置に応じて変化し、固定位置とならず任意位置となる。つまり、画像読取媒体に埋め込まれた電子タグがパッシブタグであると、受信コイルを本体筐体に載置面を囲うように設ける、あるいは受信コイルをカバーに載置面を囲うように設けるなどの特許文献1に示す従来技術では、電子タグと受信コイルとの通信距離が変化し、特に載置面に対する電子タグの位置が載置面の中央部に位置すると通信距離が長くなり、受信コイルの受信感度が低下する。これにより、受信コイルが受信した信号の出力が低く、タグリーダが電子タグの情報を読み取ることができない虞があった。
【0008】
また、特許文献1に示す従来技術には、受信コイルを載置面に対して移動するキャリッジに設けることのみが開示されており、画像読取媒体の読取対象面の読み取りと、電子タグの情報の読み取りとの連動した実際の動作が開示されておらず、タグリーダが電子タグの情報を確実に読み取ることができない虞がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電子タグの情報を確実に読み取ることができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明では、載置面に載置された画像読取媒体の読取対象面に向かって光を照射する光源と、少なくとも光源が搭載され、載置面に対して移動するキャリッジと、キャリッジの載置面に対する移動により、載置面の全領域を走査するスキャンセンサと、走査に基づいて全読取画像データを生成する画像データ生成手段と、生成された全読取画像データから前記載置された画像読取媒体の載置面における位置を特定する位置特定手段と、キャリッジに設けられ、画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を受信する受信コイルと、受信コイルが受信した信号に基づいて前記電子タグの情報を読み取るタグ読取手段と、を備え、タグ読取手段は、位置特定手段により特定された載置面における画像読取媒体の位置に基づいて、受信コイルがキャリッジにより画像読取媒体と対向する位置まで移動した後に、電子タグの情報の読み取りを行うことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、キャリッジは、位置特定手段により特定された画像読取媒体の載置面における位置に基づいて、キャリッジに設けられた受信コイルを画像読取媒体と対向する位置まで移動する。そして、タグ読取手段は、画像読取媒体と対向する位置で受信コイルが受信した信号に基づいて電子タグの情報の読み取りを行う。従って、受信コイルは、例えば載置面よりも狭い画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報に基づいた信号を受信する場合、電子タグに接近した状態で電子タグの情報に基づいた信号を受信することができる。これにより、受信コイルの受信感度が低下することを抑制できるので、受信コイルが受信した電子タグの情報に基づいた信号の出力が低くなることを抑制でき、画像読取媒体の載置面における位置に拘わらず、タグ読取手段が電子タグの情報を確実に読み取ることができる。
【0012】
また、本発明では、上記画像読取装置において、受信コイルは、キャリッジの外周面を囲って設けられることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、キャリッジの幅が載置面の幅よりも広いので、受信コイルをキャリッジの外周面を囲って設けることで、載置面における電子タグの載置面の幅方向に対する位置に拘わらず、受信コイルが信号を確実に受信することができる。
【0014】
また、本発明では、載置面に載置された画像読取媒体の読取対象面に向かって光を照射する光源と、載置面を覆うカバーと、少なくとも光源が搭載され、載置面に対して移動するキャリッジと、キャリッジの載置面に対する移動により、載置面の全領域を走査するスキャンセンサと、走査に基づいて全読取画像データを生成する画像データ生成手段と、カバーに設けられ、画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を受信する複数個の受信コイルと、各受信コイルが受信した信号に基づいて電子タグの情報を読み取るタグ読取手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明では、上記画像読取装置において、タグ読取手段は、各受信コイルのすべてが受信した信号のうち、信号の出力が大きい受信コイルが受信した信号に基づいて電子タグの情報を読み取ることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、各受信コイルと画像読取媒体に埋め込まれた電子タグとの通信距離が異なるため、各受信コイルが受信した信号の出力が異なるが、各受信コイルが受信した信号のうち、信号の出力が大きい受信コイルが受信した信号に基づいてタグ読取手段が電子タグの情報の読み取りを行う。従って、タグ読取手段は、例えば載置面よりも狭い画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を読み取る場合でも、電子タグに近接した受信コイルが受信した信号に基づいて電子タグの情報の読み取りを行うことができる。これにより、各受信コイルのうち、受信感度が低い、すなわち受信した信号の出力が低い受信コイルが受信した信号に基づいてタグ読取手段が電子タグの情報の読み取りを行わないので、画像読取媒体の載置面における位置に拘わらず、タグ読取手段が電子タグの情報を確実に読み取ることができる。
【0017】
また、本発明では、上記画像読取装置において、生成された全読取画像データから載置された画像読取媒体の載置面における位置を特定する位置特定手段をさらに備え、タグ読取手段は、位置特定手段により特定された載置面における画像読取媒体の位置に基づいて、各受信コイルのうち画像読取媒体と対向する受信コイルが受信した信号に基づいて電子タグの情報の読み取りを行うことを特徴とする。
【0018】
本発明よれば、タグ読取手段は、位置特定手段により特定された画像読取媒体の載置面における位置に基づいて、各受信コイルのうち画像読取媒体と対向する受信コイルが受信した信号に基づいて電子タグの情報の読み取りを行う。従って、例えば載置面よりも狭い画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を読み取る場合、電子タグに近接した受信コイルが受信した信号に基づいてタグ読取手段が電子タグの情報の読み取りを行う。従って、タグ読取手段は、各受信コイルが受信した信号のうち、信号の出力が大きい受信コイルが受信した信号に基づいて電子タグの情報の読み取りを行うことができる。これにより、各受信コイルのうち、受信感度が低い、すなわち受信した信号の出力が低い受信コイルが受信した信号に基づいてタグ読取手段が電子タグの情報の読み取りを行わないので、画像読取媒体の載置面における位置に拘わらず、タグリーダが電子タグの情報を確実に読み取ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる画像読取装置は、タグ読取手段が電子タグの情報を確実に読み取ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施の形態では、画像読取装置としてイメージスキャナについて説明するが本発明はこれに限定されるものではなく、複写機、ファクシミリ、文字認識装置などの画像読取媒体の読取対象面を読み取るものであればいずれであっても良い。なお、下記の実施の形態では、電子タグが埋め込まれた画像読取媒体として、パッシブタグの電子タグが埋め込まれたカードを用いるが本発明はこれに限定されるものではなく、電子タグが埋め込まれた画像読取媒体であれば、紙などのいずれの媒体であっても良い。
【0021】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1にかかる画像読取装置の全体構成例を示す図である。図2は、実施の形態1にかかる画像読取装置の構成例を示す図である。図1および図2に示すように、実施の形態1にかかる画像読取装置1−1は、載置面2と、キャリッジ3と、光源4と、スキャンセンサ6と、送信コイル7と、送信駆動回路8と、受信コイル9と、受信回路10と、モータ11と、制御装置13とにより構成されている。なお、5は、光源4を駆動する光源駆動回路である。また、12は、モータ11を駆動するモータ駆動回路である。また、14は、載置面2を覆うカバーである。また、15は、画像読取装置1−1と電気的に接続されたパーソナルコンピュータである。パーソナルコンピュータ15には、入力装置151と出力装置152が備えられている。
【0022】
ここで、画像読取媒体であるカード100は、その大きさが載置面2よりも小さく形成されている。また、カード100は、電子タグ102と、アンテナコイル103(図1および図2の点線)とが埋め込まれている。電子タグ102は、いわゆるICチップであり、例えばカード100を所有する個人を特定する情報が予め記憶されている。アンテナコイル103は、電子タグ102に接続されている。アンテナコイル103は、送信コイル7から送信された電波を受信すると共に、電子タグ102の情報を受信コイル9に送信するものである。
【0023】
載置面2は、カード100などの画像読取媒体を載置する面であり、ガラスなどの透明な材料で形成されている。載置面2は、画像読み取り装置1−1の本体筐体16の上面に固定されている。ここで、カバー14は、載置面2よりも大きく形成されており、図示しないヒンジなどの揺動手段により、本体筐体16と対向した際に載置面2と対向するように、本体筐体16に揺動自在に支持されている。従って、カバー14は、載置面2と対向させる、すなわち閉じることで、載置面2の全領域を覆うこととなる。
【0024】
キャリッジ3は、載置面2に対して移動するものである。キャリッジ3は、本体筐体16の内部に配置されており、載置面2の一方向、実施の形態2では載置面2の長手方向(図1および図2の矢印A方向に)に移動することで、載置面2の全領域と対向できるように、本体筐体16に移動自在に支持されている。キャリッジ3は、長手方向の長さが載置面2のャリッジ3が移動する方向と直交する直交方向の長さよりも長くなるように形成されている。つまり、キャリッジ3の幅は、載置面2の幅よりも広く設定されている。キャリッジ3には、実施の形態1では、光源4およびスキャナセンサ6が搭載されている。従って、光源4およびスキャナセンサ6は、キャリッジ3とともに載置面2に対して移動することができ、載置面2の全領域と対向することができる。
【0025】
光源4は、載置面2に向かって光を照射するものである。つまり、載置面2にカード100が載置されている場合は、載置面2に載置されたカード100の読取対象面101に向かって光を照射することとなる。光源4は、キャリッジ3に搭載され、載置面2にカード100などの画像読取媒体が載置された場合に、載置面2を挟んでカード100などの画像読取媒体と対向する。光源4は、図2に示すように、載置面2の幅方向にライン状に形成されるものであり、キャリッジ3が移動することで、載置面2の全領域に光を照射する。従って、載置面2にカード100が載置されている場合は、カード100の画像読取面101に向かって光を照射する。光源2の駆動は、光源駆動回路5により行われる。光源駆動回路5は、制御装置13と接続されており、制御装置13により制御される。従って、光源4による光の照射制御は、制御装置13により行われる。
【0026】
スキャンセンサ6は、載置面2の全領域を走査するものである。スキャンセンサ6は、キャリッジ3に搭載され、載置面2にカード100などの画像読取媒体が載置された場合に、載置面2を挟んでカード100などの画像読取媒体と対向する。スキャンセンサ6は、例えばCCD撮像素子を載置面2の幅方向にライン状に配列したものであり、キャリッジ3が移動することで、載置面2の全領域を走査する。従って、載置面2にカード100が載置されている場合、スキャナセンサ6には、カード100の画像読取面101で反射した光源2からの光、すなわち反射光が入射されるので、画像読取面101の情報を含む載置面2の全領域に対応した露光ごとの読取画像データが生成される。
【0027】
なお、スキャンセンサ6は、制御装置13と接続されており、制御装置13により、例えば露光周期制御などが行われる。また、スキャンセンサ6は、図示しないCCD撮像素子が撮像した載置面2の全領域における情報をR,G、B各成分のアナログ画信号として出力し、図示しない増幅回路によりこのアナログ画信号の増幅や信号レベルの調整が行われ、図示しないA/D変換器によりアナログ画信号がデジタル画信号に変換され、露光ごとのデジタル画信号が制御装置13に入力される。
【0028】
送信コイル7は、信号および電力としての電波を送信するものである。送信コイル7は、キャリッジ3に設けられている。実施の形態1では、キャリッジ3の外周面にコイルを構成する銅線など電線が複数回巻かれることで、送信コイル7がキャリッジ3の外周面に設けられる。送信コイル7は、載置面2に向かって電波を送信するものである。ここで、載置面2にカード100が載置された場合、カード100に埋め込まれたアンテナ103が送信コイル7が送信した電波を受信し、受信された電波により電子タグ102が動作する。送信コイル7の駆動は、送信駆動回路8により行われる。送信駆動回路8は、制御装置13と接続されており、制御装置13により制御される。従って、送信コイル7による電波の送信制御は、制御装置13により行われる。
【0029】
受信コイル9は、受信コイル9に向かって送信された信号、すなわちカード100の電子タグ102などの画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を受信するものである。受信コイル9は、キャリッジ3に設けられている。実施の形態1では、キャリッジ3の外周面にコイルを構成する銅線など電線が複数回巻かれることで、受信コイル9がキャリッジ3の外周面に設けられる。上述のように、キャリッジ3の幅が載置面2の幅よりも広いので、受信コイル9は、長手方向の長さが載置面2のキャリッジ3が移動する方向と直交する直交方向の長さよりも長くなる。つまり、受信コイル9の幅は、載置面2の幅よりも広く設定されている。従って、受信コイル9を幅が載置面2の幅よりも広いキャリッジ3の外周面を囲って設けるので、載置面2における電子タグ102の載置面2の幅方向に対する位置に拘わらず、アンテナ103により送信された電子タグ102の情報の信号を確実に受信することができる。
【0030】
ここで、載置面2にカード100が載置された場合、送信コイル7により送信された電波により駆動する電子タグ102は、アンテナ103により記憶されている情報に基づいた信号を送信するので、受信コイル9は、電子タグ103が送信した信号を受信することができる。なお、受信コイル9は、受信回路10と接続されている。受信コイル9が受信した信号は、受信回路10においてフィルタ処理や増幅処理などが行われる。受信回路10は、制御装置13と接続されており、フィルタ処理や増幅処理などが行われた受信コイル9が受信した信号が制御装置13に入力される。
【0031】
モータ11は、キャリッジ3を載置面2に対して移動させるものである。モータ11は、例えばステッピングモータであり、駆動がモータ駆動回路12により行われる。モータ駆動回路12は、制御装置13と接続されており、制御装置13により制御される。従って、モータ11の駆動制御は、制御装置13により行われる。つまり、モータ11によりキャリッジ3の載置面2に対する移動は、制御装置13により行われる。
【0032】
制御装置13は、画像読取装置1−1を制御するものであり、画像読取媒体の読取対象面、すなわちカード100の読取対象面101を読み取りおよび画像読取媒体に埋め込まれた電子タグ、すなわちカード100に埋め込まれた電子タグ102の情報を読み取りを行うものである。制御装置13は、入出力部131と、処理部132と、記憶部133とで構成されている。制御装置13には、上記パーソナルコンピュータ15が接続されている。ここで、パーソナルコンピュータ15の入力装置151は、入出力部131を介して、画像読取装置1−1によるカード100の読み取りの開始指令や、データの入力を行うものである。なお、入力装置151は、例えばキーボード、マウス、マイク等の入力デバイスである。
【0033】
処理部132は、少なくとも画像データ生成手段である画像データ生成部134と、位置特定手段である位置特定部135と、モータ11に駆動制御を行うモータ制御部136と、タグ読取手段であるタグ読取部137とを有する。また、処理部132は、RAM、ROM等のメモリとCPU(Central Processing Unit)とにより構成されている。画像読取装置1−1によるカード100の読取対象面101の読み取りの際には、処理部132が画像読取プログラムを処理部132の図示しないメモリに読み込んで演算を行う。また、画像読取装置1−1によるカード100に埋め込まれた電子タグ102の情報の際には、処理部132がタグ読取プログラムを処理部132の図示しないメモリに読み込んで演算を行う。なお、処理部132は、記憶部133と接続されており、適宜演算途中の数値を記憶部133に格納し、格納した数値を適宜記憶部133から取り出して演算を行う。
【0034】
また、処理部132が演算することで、生成された全読取画像データや、受信された電子タグ102の情報などは、入出力部51を介してパーソナルコンピュータ15の出力装置152により表示される。つまり、出力装置152は、画像読取装置1−1により読み取られたカード100の読取対象面および電子タグ102の情報を表示することができる。ここで、出力装置152は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等である。また、生成された全読取画像データや、受信された電子タグ102の情報などは、図示しないプリンタに出力することができる。
【0035】
画像データ生成部134は、スキャンセンサ6による載置面2の全領域の走査に基づいて全読取画像データを生成するものである。画像データ生成部134は、上記画像読取面101の情報を含む載置面2の全領域の情報に対応した露光ごとの読取画像データを生成し、生成された露光ごとの読取画像データに基づいて全読取画像データを生成するものである。なお、画像データ生成部134は、位置特定部135により載置面2に対するカード100の位置が特定された場合に、全読取画像データから画像読取面101に対応した読取対象面データを生成しても良い。つまり、全読取画像データをクロッピングして読取画像データを生成しても良い。クロッピングは、画像読取装置1−1に接続されているパーソナルコンピュータ15に生成された全読取画像データを出力し、パーソナルコンピュータ15により行っても良い。
【0036】
位置特定部135は、上記画像データ生成部134により生成された全読取画像データから載置面2に載置されたカード100などの画像読取媒体の載置面2における位置を特定するものである。位置特定部135は、全読取画像データのうち、画像読取面101に対応する読取対象面データのエッジ部を抽出することで、全読取画像データのおける読取対象面データの位置を特定し、カード100の載置面2における位置を特定するものである。なお、全読取画像データから画像読取面101に対応する読取対象面データのエッジ部を抽出する技術は、例えば全読取画像データを構成する画素の階調差に基づいて読取対象面データのエッジ部を抽出するなどのすでに開示された技術を用いる。
【0037】
モータ制御部136は、モータ駆動回路12を介してモータ11の駆動制御を行うものである。モータ制御部136は、入出力部131を介してモータ駆動回路12に接続されており、モータ駆動回路12にモータ駆動制御信号を出力する。従って、モータ駆動回路12は、モータ制御部136が出力したモータ駆動制御信号に基づいてモータ11の駆動を行う。
【0038】
タグ読取部137は、送信コイル7を駆動すると共に、電子タグ102の情報を読み取るものである。タグ読取部137は、入出力部131を介して送信駆動回路8に接続されており、送信駆動回路8に送信コイル駆動制御信号を出力する。送信駆動回路8は、タグ読取部137が出力した送信コイル駆動制御信号に基づいて送信コイル7の駆動を行う。また、タグ読取部137は、入出力部131を介して受信回路10に接続されており、受信回路10から出力された受信コイル9が受信した信号が入力される。タグ読取部137は、入力された受信コイル9が受信した信号に基づいて電子タグ102の情報を読み取る。
【0039】
記憶部133には、本発明にかかる画像読取装置1−1の画像およびタグ読取方法が組み込まれた読取プログラムが格納されている。ここで、記憶部133は、ハードディスク装置等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ等のストレージ手段、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。また、記憶部133は、処理部132内に設けられていても良いし、他の装置(例えば、データベースサーバ)内に設けられていても良い。また、パーソナルコンピュータ15から、画像読取装置1−1に有線、無線のいずれかの方法でアクセスすることができる構成であっても良い。
【0040】
また、上記読取プログラムは、必ずしも単一的に構成されるものに限られず、パーソナルコンピュータ15にすでに記憶されているプログラム、例えばOS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものであっても良い。また、図1に示す処理部132の機能を実現するための読取プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶して、記録媒体に記録された読取プログラムをパーソナルコンピュータ15に読み込ませ、実行することにより本発明にかかる画像読取装置1−1による画像読取媒体であるカード100の読取対象面102の読み取りおよび電子タグ102の情報の読み取りを実行しても良い。なお、ここでいう「パーソナルコンピュータ」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
【0041】
次に、実施の形態1にかかる画像読取装置1−1の動作について説明する。図3は、実施の形態1にかかる画像読取装置の動作フローである。まず、制御装置13の処理部132は、走査の開始指令を受けたか否かを判断する(ステップST101)。ここでは、処理部132は、載置面2に載置されたカード100の読取対象面102の読み取りの開始指令、すなわちスキャンセンサ6による載置面2の全領域の走査の開始指令を受けたか否かを判断する。例えば、ユーザーが入力装置151により、画像読取装置1−1に読み取りの開始を指示したか否かを判断する。
【0042】
次に、処理部132は、走査の開始指令を受けていると判断すると、光源2、スキャンセンサ6を駆動する。また、モータ制御部136は、モータ11の駆動制御を行う(ステップST102)。ここでは、処理部132は、光源4を光源駆動回路5により駆動し、光源4から載置面2に向けて光を照射させる。また、処理部132は、スキャンセンサ6を所定の露光周期で駆動する。また、モータ制御部136は、モータ駆動回路12にモータ駆動制御信号を出力し、モータ11の駆動を行い、キャリッジ3を載置面2に対して移動させる。つまり、光を載置面2に照射している光源4および所定の露光周期で駆動しているスキャンセンサ6は、キャリッジ3とともに載置面2に対して移動する。これにより、スキャンセンサ6が載置面2の全領域を走査する。なお、キャリッジ3は、スキャンセンサ6による載置面2の全領域の走査の開始前に載置面2の長手方向における両端部のうち、いずれか一方の端部に位置し、走査の開始とともに、一方の端部から他方の端部へ向かって移動し、走査の終了時に他方の端部に位置することとなる。
【0043】
次に、制御装置13の画像データ生成部134は、露光ごとの読取画像データを生成する(ステップST103)。ここでは、スキャンセンサ6は、露光ごとにスキャンセンサ6により撮像されたカード100の読取対象面102の情報を含む載置面2の全領域の情報をR,G、B各成分のアナログ画信号から図示しない増幅回路およびA/D変換器を介してデジタル画信号に変換し、制御装置134に出力する。画像データ生成部134は、まずデジタル画信号に基づいて、露光ごとの読取画像データを生成する。ここで、画像データ生成部134により露光ごとに生成された読取画像データは、露光ごとの読取対象面102に対応した読取対象面データを含むものである。
【0044】
次に、画像データ生成部134は、上記露光ごとに生成された読取画像データから全読取画像データを生成する(ステップST104)。生成された全読取画像データは、読取対象面に対応した読取対象面データを含んだものとなる。
【0045】
次に、位置特定部135は、画像読取媒体であるカード100の載置面2における位置を特定する(ステップST105)。ここでは、位置特定部135は、上記画像データ生成部134により生成された全読取画像データから画像読取面101に対応する読取対象面データのエッジ部を抽出することで、生成された全読取画像データのおける読取対象面データの位置を特定する。これにより、位置特定部135は、カード100の載置面2における位置を特定する。
【0046】
次に、モータ制御部136は、位置特定部135により特定された画像読取媒体であるカードの載置面2に対する位置に基づいてキャリッジ3を移動する(ステップST106)。ここでは、モータ制御部136は、位置特定部135により特定された画像読取媒体であるカードの載置面2に対する位置に基づいてキャリッジ3がカード100と対向する位置まで移動するように、モータ制御信号をモータ駆動回路12に出力する。従って、キャリッジ3は、モータ駆動回路12がモータ制御信号に基づいてモータ11を駆動することで、カード100と対向する位置まで移動する。スキャンセンサ6による載置面2の全領域の走査の終了時にキャリッジ3が載置面2の長手方向における両端部のうち、いずれか他方の端部に位置している場合、キャリッジ3は、モータ11の駆動により他方の端部から一方の端部へ向かって移動することとなる。これにより、受信コイル9は、位置特定部135により特定された画像読取媒体であるカード100の載置面2に対する位置に基づいてキャリッジ3によりカード100と対向する位置まで移動する。
【0047】
次に、タグ読取部137は、送信コイル7を駆動する(ステップST107)。ここでは、タグ読取部137は、受信コイル9がキャリッジ3によりカード100と対向する位置まで移動した後、すなわち送信コイル7がキャリッジ3によりカード100と対向する位置まで移動した後に、送信コイル駆動信号を送信駆動回路8に出力する。従って、送信駆動回路8が送信コイル制御信号に基づいて送信コイル7を駆動することで、送信コイル7が電波を送信する。このとき、送信コイル7が送信した電波をカード100のアンテナ103が受信することで、電子タグ102が動作し、アンテナ103から記憶されている情報に基づいた信号を送信する。
【0048】
次に、受信コイル9は、電子タグ102がアンテナ103により送信した電子タグ102の情報に基づいた信号を受信する(ステップST108)。
【0049】
次に、タグ読取部137は、電子タグ102の情報を読み取る(ステップST109)。ここでは、タグ読取部137は、受信コイル9が受信し、受信回路10においてフィルタ処理や増幅処理などが行われた信号に基づいて電子タグ102の情報を読み取る。
【0050】
以上のように、実施の形態1にかかる画像読取装置1−1では、受信コイル9が位置特定部135により特定されたカード100の載置面2における位置に基づいてキャリッジ3とともにカード100と対向する位置まで移動した後、受信コイル9が受信した信号に基づいてタグ読取部137が電子タグ102の情報の読み取りを行う。従って、受信コイル9は、載置面2よりも狭いカード100に埋め込まれた電子タグ102の情報に基づいた信号を受信する場合、電子タグ102に接近した状態で電子タグ102の情報に基づいた信号を受信することができる。これにより、載置面2に対する電子タグ102の位置に応じて受信コイル9の受信感度が低下することを抑制できるので、受信コイル9が受信した電子タグ102の情報に基づいた信号の出力が低くなることを抑制でき、カード100の載置面2における位置に拘わらずタグ読取部137が電子タグ102の情報を確実に読み取ることができる。また、カバー14を開いた状態でも、電子タグの情報を読み取ることができるので、読み取りにおけるユーザーの操作を低減できる。
【0051】
なお、上記実施の形態1にかかる画像読取装置1−1では、受信コイル9をキャリッジ3により画像読取媒体であるカード100と対向する位置まで移動させるが、受信コイル9が画像読取媒体であるカード100と対向する位置までキャリッジ3により移動した後に、受信コイル9が信号を受信している状態で、受信した信号の出力が最大となるように、キャリッジ3により受信コイル9をさらに微笑距離移動させも良い。
【0052】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2にかかる画像読取装置1−2について説明する。図4は、実施の形態2にかかる画像読取装置の全体構成例を示す図である。図5は、実施の形態2にかかる画像読取装置の構成例を示す図である。図4、図5に示す実施の形態2にかかる画像読取装置1−2が図1、図2に示す実施の形態1にかかる画像読取装置1−1と異なる点は、送信コイル17および受信コイル18がキャリッジ3ではなくカバー14に複数個設けられている点である。ここで、実施の形態2にかかる画像読取装置1−1の基本的構成は、実施の形態1にかかる画像読取装置1−1の基本的構成とほぼ同一であるため、同一箇所の説明は省略あるいは簡略化する。図4、図5に示すように、実施の形態2にかかる画像読取装置1−2は、載置面2と、キャリッジ3と、光源4と、スキャンセンサ6と、モータ11と、制御装置13と、送信コイル17と、送信駆動回路18と、受信コイル19と、受信回路20とにより構成されている。
【0053】
送信コイル17は、電力としての電波を送信するものである。送信コイル17は、カバー14に複数個設けられている。実施の形態2では、コイルを構成する銅線など電線が複数回巻かれることで、送信コイル17がカバー14に平面的に9個設けられている。各送信コイル17は、すべての送信コイル17で載置面2の全領域を覆うように形成されている。従って、載置面2に載置されたカード100に埋め込まれた電子タグ102は、カバー14が閉じられることで、いずれかの送信コイル17と対向することとなる。また、各送信コイル17は、載置面2に向かって電波を送信するものである。各送信コイル17は、送信駆動回路18に接続されている。各送信コイル17の駆動は、送信駆動回路18により行われる。送信駆動回路18は、各送信コイル17を全てあるいはそれぞれ駆動することができる。送信駆動回路18は、制御装置13と接続されており、制御装置13により制御される。従って、各送信コイル7による電波の送信制御は、制御装置13により行われる。
【0054】
受信コイル19は、カード100の電子タグ102などの画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を受信するものである。受信コイル19は、カバー14に複数個設けられている。実施の形態2では、コイルを構成する銅線など電線が複数回巻かれることで、受信コイル19がカバー14に平面的に9個設けられている。ここで、各受信コイル19は、各送信コイル17とそれぞれ重なりあってカバー14に設けられている。つまり、各受信コイル19は、カバー14が閉じられた状態で、載置面2、受信コイル19、送信コイル17の順番に積層されるように、カバー14に設けられている。各受信コイル19は、すべての受信コイル19で載置面2の全領域を覆うように形成されている。従って、載置面2に載置されたカード100に埋め込まれた電子タグ102は、カバー14が閉じられることで、いずれかの受信コイル19と対向することとなる。また、各受信コイル19は、各受信コイル9に向かって送信された信号を受信するものである。各受信コイル19は、受信回路20に接続されている。各受信コイル1が受信した信号は、受信回路20においてフィルタ処理や増幅処理などが行われる。受信回路20は、制御装置13と接続されており、フィルタ処理や増幅処理などが行われた各受信コイル9が受信した信号が制御装置13に入力される。
【0055】
次に、実施の形態2にかかる画像読取装置1−2の動作について説明する。図6は、実施の形態2にかかる画像読取装置の動作フローである。なお、実施の形態2にかかる画像読取装置の動作において、実施の形態1にかかる画像読取装置1−1の動作と同一部分は、省略あるいは簡略化して説明する。
【0056】
まず、制御装置13の処理部132は、走査の開始指令を受けたか否かを判断する(ステップST201)。
【0057】
次に、処理部132は、走査の開始指令を受けていると判断すると、光源2、スキャンセンサ6を駆動する。また、モータ制御部136は、モータ11の駆動制御を行う(ステップST202)。
【0058】
次に、制御装置13の画像データ生成部134は、露光ごとの読取画像データを生成する(ステップST203)。
【0059】
次に、画像データ生成部134は、上記露光ごとに生成された読取画像データから全読取画像データを生成する(ステップST204)。
【0060】
次に、位置特定部135は、画像読取媒体であるカード100の載置面2における位置を特定する(ステップST205)。ここでは、位置特定部135は、上記画像データ生成部134により生成された全読取画像データから画像読取面101に対応する読取対象面データのエッジ部を抽出することで、生成された全読取画像データのおける読取対象面データの位置を特定する。
【0061】
次に、タグ読取部137は、位置特定部135により特定された画像読取媒体であるカード100の載置面2に対する位置に基づいて、各送信コイル17のうち画像読取媒体であるカード100と対向する近接送信コイル17を駆動する(ステップST206)。ここでは、タグ読取部137は、各送信コイル17のうちカード100と対向する近接送信コイル17のみを駆動することができる送信コイル駆動信号を送信駆動回路18に出力する。従って、送信駆動回路18が送信コイル制御信号に基づいて近接送信コイル17を駆動するので、カード100と対向する送信コイル17のみが電波を送信する。これにより、各送信コイル17をすべて駆動して、カード100に埋め込まれた電子タグ102を動作させる場合と比較して、消費電力を抑制することができる。なお、近接送信コイル17が送信した電波をカード100のアンテナ103が受信することで、電子タグ102が動作し、アンテナ103から記憶されている情報に基づいた信号を送信する。
【0062】
次に、各受信コイル19は、電子タグ102がアンテナ103により送信した電子タグ102の情報に基づいた信号を受信する(ステップST207)。ここで、各受信コイル19により受信された信号の出力は、電子タグ102が情報の信号を送信するアンテナ103との通信距離の増加に伴い低下する。従って、カード100と対向する、特に電子タグ102の情報を送信するアンテナ103に対向する受信コイル19により受信された信号が最も出力が大きくなる。
【0063】
次に、タグ読取部137は、各受信コイル19のうち画像読取媒体であるカード100と対向する受信コイル19が受信した信号に基づいて電子タグ102の情報を読み取る(ステップST208)。ここでは、タグ読取部137は、各受信コイル19により受信され、受信回路20においてフィルタ処理や増幅処理などが行われた信号のうち、位置特定部135により特定された画像読取媒体であるカード100の載置面2に対する位置に基づいて、カード100と対向する送信コイル19により受信され、受信回路20においてフィルタ処理や増幅処理などが行われた信号に基づいて電子タグ102の情報を読み取る。
【0064】
以上のように、実施の形態2にかかる画像読取装置1−2では、各受信コイル19のうち、位置特定部135により特定されたカード100の載置面2における位置に基づいてカード100と対向する受信コイル19が受信した信号に基づいてタグ読取部137が電子タグ102の情報の読み取りを行う。つまり、受信コイル19は、載置面2よりも狭いカード100に埋め込まれた電子タグ102の情報に基づいた信号を受信する場合、電子タグ102に近接したカード100と対向する受信コイル19が電子タグ102の情報に基づいた信号を受信した信号に基づいてタグ読取部137が電子タグ102の情報の読み取りを行うことができる。従って、タグ読取部137は、各受信コイル19が受信した信号のうち、信号の出力が大きいカード100と対向する受信コイル19が受信した信号に基づいて電子タグの情報の読み取りを行うことができる。これにより、タグ読取部137は、載置面2に対する電子タグ102の位置に応じて各受信コイル19の受信感度が低い、すなわち受信した信号の出力が低い受信コイル19が受信した信号に基づいて電子タグ102の情報の読み取りを行わないので、カード100の載置面2における位置に拘わらずタグ読取部137が電子タグ102の情報を確実に読み取ることができる。
【0065】
なお、上記実施の形態2にかかる画像読取装置1−2では、タグ読取部137の電子タグ102の情報の読み取りをカード100の載置面2における位置に基づいてカード100と対向する受信コイル19が受信した信号に基づいて行うが、本発明はこれに限定されるものはない。例えば、各受信コイル19が受信した信号から出力が大きい信号を選択して、選択した出力が大きい信号に基づいてタグ読取部137の電子タグ102の情報の読み取りを行っても良い。ここで、図7は、実施の形態2にかかる画像読取装置の他の動作フローである。ここで、実施の形態2にかかる画像読取装置の他の動作において、実施の形態2にかかる画像読取装置1−2の動作と同一部分は、省略あるいは簡略化して説明する。
【0066】
まず、制御装置13の処理部132は、走査の開始指令を受けたか否かを判断する(ステップST301)。
【0067】
次に、処理部132は、走査の開始指令を受けていると判断すると、光源2、スキャンセンサ6を駆動する。また、モータ制御部136は、モータ11の駆動制御を行う。また、タグ読取部137は、各送信コイル17をすべて駆動する(ステップST302)。ここでは、タグ読取部137は、各送信コイル17のすべてを駆動することができる送信コイル駆動信号を送信駆動回路18に出力する。従って、送信駆動回路18が送信コイル制御信号に基づいてすべての送信コイル17を駆動するので、すべて送信コイル17が電波を送信する。
【0068】
次に、制御装置13の画像データ生成部134は、露光ごとの読取画像データを生成する(ステップST303)。
【0069】
次に、各受信コイル19は、電子タグ102がアンテナ103により送信した電子タグ102の情報に基づいた信号を受信する(ステップST304)。つまり、電子タグ102がアンテナ103により送信した電子タグ102の情報に基づいた信号をすべての受信コイル19が受信し、受信回路20によりフィルタ処理や増幅処理などが行われた各受信コイル19に対応する信号が制御装置13に入力される。
【0070】
次に、画像データ生成部134は、上記露光ごとに生成された読取画像データから全読取画像データを生成する(ステップST305)。
【0071】
次に、タグ読取部137は、入力された受信コイル19に対応する信号のうち出力が最大の信号を選択する(ステップST306)。上述のように、各受信コイル19により受信された信号の出力は、電子タグ102が情報の信号を送信するアンテナ103との通信距離の増加に伴い低下する。つまり、各受信コイル19により受信された信号の出力は、載置面2に対するカード100の位置、特に電子タグ102の情報を送信するアンテナ103の位置に応じて異なるが、カード100と対向する、特にアンテナ103と対向する受信コイル19により受信された信号が最も出力が大きくなる。従って、タグ読取部137は、入力された受信コイル19に対応する信号の出力に基づいてカード100と対向する受信コイル19を選択する。
【0072】
次に、タグ読取部137は、各受信コイル19のうち選択された信号の出力が最大の受信コイル19が受信した信号に基づいて電子タグ102の情報を読み取る(ステップST307)。ここでは、タグ読取部137は、各受信コイル19により受信され、受信回路20においてフィルタ処理や増幅処理などが行われた信号のうち、信号の出力に基づいて選択されたカード100と対向する送信コイル19により受信され、受信回路20においてフィルタ処理や増幅処理などが行われた信号に基づいて電子タグ102の情報を読み取る。
【0073】
以上のように、タグ読取部137は、各受信コイル19が載置面2よりも狭いカード100に埋め込まれた電子タグ102の情報に基づいた信号を受信する場合でも、電子タグ102、特に電子タグ102の情報を送信するアンテナ103に近接した受信コイル19が受信した信号に基づいて電子タグ102の情報の読み取りを行うことができる。これにより、タグ読取部137は、載置面2に対する電子タグ102の位置に応じて各受信コイル19の受信感度が低い、すなわち受信した信号の出力が低い受信コイル19が受信した信号に基づいて電子タグ102の情報の読み取りを行わないので、カード100の載置面2における位置に拘わらずタグ読取部137が電子タグ102の情報を確実に読み取ることができる。
【0074】
なお、上記実施の形態1,2では、受信コイル9,19が電子タグ102の情報に基づいた信号を受信し、送信コイル7,17が信号および電力としての電波を送信するが本発明はこれに限定されるものではない。電子タグ102の情報に基づいた信号の受信および信号および電力としての電波の送信を時間ごとに繰り返すことで、1つのコイルで行っても良い。つまり、1つコイルに時分割することで受信コイルとしての機能および送信コイルとして機能を持たせても良い。従って、電子回路の大型化を抑制でき、画像読取装置の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる画像読取装置は、スキャンセンサにより、画像読取媒体の読取対象面を読み取る画像読取装置に有用であり、特に、画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を確実に読み取るのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施の形態1にかかる画像読取装置の全体構成例を示す図である。
【図2】実施の形態1にかかる画像読取装置の構成例を示す図である。
【図3】実施の形態1にかかる画像読取装置の動作フローである。
【図4】実施の形態2にかかる画像読取装置の全体構成例を示す図である。
【図5】実施の形態2にかかる画像読取装置の構成例を示す図である。
【図6】実施の形態2にかかる画像読取装置の動作フローである。
【図7】実施の形態2にかかる画像読取装置の他の動作フローである。
【符号の説明】
【0077】
1−1,1−2 画像読取装置
2 載置面
3 キャリッジ
4 光源
5 光源駆動回路
6 スキャンセンサ
7 送信コイル
8 送信駆動回路
9 受信コイル
10 受信回路
11 モータ
12 モータ駆動回路
13 制御装置
131 入出力部
132 処理部
133 記憶部
134 画像データ生成部(画像データ生成手段)
135 位置特定部(位置特定手段)
136 モータ制御部
137 タグ読取部(タグ読取手段)
14 カバー
15 パーソナルコンピュータ
151 入力装置
152 出力装置
16 本体筐体
17 送信コイル
18 送信駆動回路
19 受信コイル
20 受信回路
100 カード(画像読取媒体)
101 読取対象面
102 電子タグ
103 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置された画像読取媒体の読取対象面に向かって光を照射する光源と、
少なくとも前記光源が搭載され、前記載置面に対して移動するキャリッジと、
前記キャリッジの前記載置面に対する移動により、当該載置面の全領域を走査するスキャンセンサと、
前記走査に基づいて全読取画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記生成された全読取画像データから前記載置された画像読取媒体の前記載置面における位置を特定する位置特定手段と、
前記キャリッジに設けられ、前記画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を受信する受信コイルと、
前記受信コイルが受信した信号に基づいて前記電子タグの情報を読み取るタグ読取手段と、
を備え、
前記タグ読取手段は、前記位置特定手段により特定された前記載置面における画像読取媒体の位置に基づいて、前記受信コイルが前記キャリッジにより前記画像読取媒体と対向する位置まで移動した後に、前記電子タグの情報の読み取りを行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記コイルは、前記キャリッジの外周面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
載置面に載置された画像読取媒体の読取対象面に向かって光を照射する光源と、
前記載置面を覆うカバーと、
少なくとも前記光源が搭載され、前記載置面に対して移動するキャリッジと、
前記キャリッジの前記載置面に対する移動により、当該載置面の全領域を走査するスキャンセンサと、
前記走査に基づいて全読取画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記カバーに設けられ、前記画像読取媒体に埋め込まれた電子タグの情報を受信する複数個の受信コイルと、
前記各受信コイルが受信した信号に基づいて前記電子タグの情報を読み取るタグ読取手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
前記タグ読取手段は、前記各受信コイルのすべてが受信した信号のうち、前記信号の出力が大きい前記受信コイルが受信した信号に基づいて前記電子タグの情報を読み取ることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記生成された全読取画像データから前記載置された画像読取媒体の前記載置面における位置を特定する位置特定手段をさらに備え、
前記タグ読取手段は、前記位置特定手段により特定された前記載置面における画像読取媒体の位置に基づいて、前記各受信コイルのうち前記画像読取媒体と対向する受信コイルが受信した信号に基づいて前記電子タグの情報の読み取りを行うことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−227933(P2008−227933A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63587(P2007−63587)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】