画像読取装置
【課題】画像読取装置の読取り領域内に存在するゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別できるようにすること。
【解決手段】原稿を読取る画像読取装置は、光源15から原稿が読取られる読取位置Gに向けて照射される光の反射光を受光し受光量に応じた画像データを出力する読取手段16と、読取位置Gと読取手段との間に設けられ反射光を透過させる透過部材17と、読取位置Gおよび透過部材を挟んで読取手段と対向する位置に設けられた背面部材20と、透過部材に振動を与える振動手段19と、振動手段により透過部材を振動させた状態でかつ読取位置Gに原稿がない状態で読取手段から出力された画像データD3Gを取得するゴミ検出用画像取得手段311と、画像データD3Gに存在する背面部材の濃度と異なる濃度の領域に基づいて透過部材上または背面部材上に付着しているゴミを検出するゴミ検出手段312とを有する。
【解決手段】原稿を読取る画像読取装置は、光源15から原稿が読取られる読取位置Gに向けて照射される光の反射光を受光し受光量に応じた画像データを出力する読取手段16と、読取位置Gと読取手段との間に設けられ反射光を透過させる透過部材17と、読取位置Gおよび透過部材を挟んで読取手段と対向する位置に設けられた背面部材20と、透過部材に振動を与える振動手段19と、振動手段により透過部材を振動させた状態でかつ読取位置Gに原稿がない状態で読取手段から出力された画像データD3Gを取得するゴミ検出用画像取得手段311と、画像データD3Gに存在する背面部材の濃度と異なる濃度の領域に基づいて透過部材上または背面部材上に付着しているゴミを検出するゴミ検出手段312とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、特に、読取り装置(CCDなどの光学センサ)に対して原稿を移動させることによりその画像を読み取るタイプの画像読取装置において、読取り装置と原稿との間に配置される透過部材上のゴミを検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
読取り装置に対して原稿を移動させることによりその画像を読み取るタイプの画像読取装置では、読取り装置と原稿との間に設けられるガラスや光学フィルタなどの透過部材にゴミなどの異物が付着すると、読取り画像にそのゴミが線状の黒筋となって現れてしまう不具合を引き起こすことがある。
【0003】
この不具合を解消するための技術として、原稿の読取り前に原稿のない状態で読取りを行って読取り領域内のゴミを検出し、ゴミが存在する場合に、読取り装置をゴミのない領域に移動させてから原稿を読み取る、操作者に警告してゴミの除去を促す、清掃ブラシを駆動させてゴミを除去する、またはゴミの位置の画素を補正する、などの技術が開示されている。
【0004】
この際、読取り領域内にあるゴミであっても背面部材上に付着しているゴミは、通常、原稿の読取り時には原稿の読取り面の裏側に隠れるため上記の不具合を引き起こすことはなく、必ずしもその対処をする必要はない。よって、読取り領域内にあるゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別できることが望ましい。
【0005】
この判別を行うための技術として、透過部材をスライド移動させながらゴミの検出を行い、検出したゴミが透過部材の移動に伴って移動していれば透過部材上にあるゴミと判別し、移動していなければ背面部材上にあるゴミと判別する技術が開示されている(特許文献1)。
【0006】
一方、上記の不具合を解消するための他の技術として、原稿の読取り前に透過部材を高周波で振動させてゴミをふるい落とす(特許文献2、特許文献3)、または原稿の読取り時に透過部材を高周波で振動させてゴミの写りを目立たなくする(特許文献4)技術が開示されている。この場合、透過部材の振動周波数が高ければ高いほど(振動周期が短ければ短いほど)、ゴミをふるい落とす効果またはゴミの写りを目立たなくする効果が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−272829
【特許文献2】特開2004−112006
【特許文献3】特開2007−267189
【特許文献4】特開2000−324312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて、特許文献1に記載された画像読取装置では、透過部材を移動させるための機構を搭載する必要があるため、装置のサイズが大きくなる、大幅なコストアップとなるなどの欠点を有している。
【0009】
この点、特許文献2ないし特許文献4に記載された画像読取装置において、ゴミをふるい落とす目的またはゴミの写りを目立たなくする目的で行われる透過部材の振動を、読取り領域内にあるゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別する目的にも利用することができれば、透過部材を移動させるための機構を搭載する必要がないため、装置のサイズやコストアップの問題が低減される。
【0010】
しかしながら、透過部材の振動はその周期が短ければ短いほど、ゴミをふるい落とす効果またはゴミの写りを目立たなくする効果が大きいにもかかわらず、振動周期が読取り装置の読取期間(入射する光量を電荷として蓄積する時間)よりも短くなると、検出されるゴミが実際は振動に伴って移動していても読み取られた画像ではボケた状態となって現れる。そのため、通常の画像処理では振動に伴ったゴミの移動状態を確認することができず、ゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別することができない。
【0011】
本発明は、透過部材の振動によりボケた状態で読み取られたゴミの画像を解析することにより、読取り領域内に存在するゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態に係る装置は、原稿を読取る画像読取装置であって、光源から原稿が読取られる読取位置に向けて照射される光の反射光を受光し受光量に応じた電気信号である画像データを出力する読取手段と、前記読取位置と前記読取手段との間に設けられ前記反射光を透過させる透過部材と、前記読取位置および前記透過部材を挟んで前記読取手段と対向する位置に設けられた背面部材と、前記透過部材に振動を与える振動手段と、前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がない状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する第1のゴミ検出用画像取得手段と、前記第1のゴミ検出用画像取得手段により取得した画像データに存在する前記背面部材の濃度と異なる濃度の領域に基づいて前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミを検出する第1のゴミ検出手段と、を有する。
【0013】
好ましくは、前記第1のゴミ検出用画像取得手段は、前記読取手段の読取期間よりも小さい周期で前記透過部材を振動させた状態で画像データを取得し、前記第1のゴミ検出手段は、前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別する。
【0014】
好ましくは、前記第1のゴミ検出手段は、前記領域における周辺部の濃度の代表値が前記領域における濃度の最大値に対して所定以上低下している場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透過部材を振動させることによって、装置のサイズやコストアップの問題を回避しつつ、画像読取装置の読取り領域内に存在するゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像読取装置の構成の概略を示す図である。
【図2】制御装置の主要な構成を示すブロック図である。
【図3】透過部材の振動周期とCCDラインセンサの読取期間との関係を示す図である。
【図4】画像処理部の主要な機能の構成を示すブロック図である。
【図5】ゴミ検出処理の主要な機能の構成を示すブロック図である。
【図6】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【図7】ゴミ検出処理の全体の流れを示した図である。
【図8】ゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャートである。
【図9】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【図12】ゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャートである。
【図13】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【図17】ゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャートである。
【図18】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【図19】ゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャートである。
【図20】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る画像読取装置1の構成の概略を示す図、図2は図1における制御装置21の主要な構成を示すブロック図、図3は透過部材17の振動周期とCCDラインセンサ16の読取期間との関係を示す図、図4は図2における画像処理部215の主要な機能の構成を示すブロック図である。
【0018】
画像読取装置1は、自動原稿搬送機構(ADF)を備えたシートスルータイプの画像読取装置(スキャナ)であり、ファクシミリまたは電子写真方式により記録媒体上に画像を形成する画像形成装置などに適用されることもある。
【0019】
図1に示すように、画像読取装置1は、操作者が操作しやすい適切な外部位置に設けられた操作パネル11、図示しないローラおよびその駆動源などを備えた自動原稿搬送装置12、読み取られる原稿が積載される給紙トレイ13、読み取られた原稿が排出される排出トレイ14、読取り位置Gに向けて光を照射する位置に設けられた光源15、光源15から照射された光の反射光を受光する位置に設けられたCCDラインセンサ16、読取り位置Gの近傍に設けられたEDH(Electric Document Handler)用の透過部材17、透過部材17の画像読取装置1への取り付け部分に挟み込まれた緩衝部材18、透過部材17に取り付けられた圧電素子19、原稿の搬送路を挟んで透過部材17と対向する位置に設けられた背面部材20、および種々の制御を行う制御装置21などを有する。
【0020】
操作パネル11は、各種スイッチ群およびディスプレイなどで構成され、原稿の読取り開始の指示や各種動作モードの指定を操作者から受け付けたり、動作状態を操作者に知らせたりする。特に本実施形態においては、後述する手段によって、透過部材17上または背面部材20上にゴミが検出された場合に、その旨をディスプレイに表示させる。
【0021】
自動原稿搬送装置12は、制御装置21からの指令に応じて給紙トレイ13に積載された原稿を1枚ずつ搬送経路Rに沿って搬送し、排出トレイ14に排出する。
【0022】
光源15は、原稿が読取り位置Gを通過する間、制御装置21からの指令に応じて原稿に向けて白色光を照射する。照射された光の反射光は、必要に応じてミラーおよびレンズなどを経由してCCDラインセンサ16の受光面に入射する。
【0023】
CCDラインセンサ16は、主走査方向(原稿の搬送方向と直行する方向)の画素列を1ラインとして、R(赤)色成分、G(緑)色成分、B(青)色成分用のラインセンサが副走査方向(原稿の搬送方向)に所定の間隔で配置されたものである。CCDラインセンサ16によって光電変換された電気信号はRGBアナログ画像データとして扱われる。なお、CCDラインセンサは色の識別力のないモノクロタイプであってもよい。また、CMOSなどCCD以外の光学センサを用いてもよい。
【0024】
本実施形態において、CCDラインセンサ16は、1ラインあたり7500画素のRGBアナログ画像データを出力する。この場合、A3サイズの原稿であれば600dpiの解像度が得られる。
【0025】
透過部材17は、反射光を透過させるフィルム状の光学フィルタである。透過部材は、原稿台としての役割または搬送経路としての役割を兼ね備えることもあり、その場合はガラスなどの材料からなるものとする。
【0026】
透過部材17は、緩衝部材18を介して画像読取装置1に取り付けられている。緩衝部材18を介している理由は、後述する圧電素子19により透過部材17に与えられる振動が画像読取装置1の他の部位に伝わらないようにするためである。
【0027】
圧電素子19は、交流電圧を駆動電圧として印加すると伸び縮みを繰り返して振動を発生する振動素子を所定の枚数重ねて棒状にしたものである。振動素子として例えば、圧電セラミックスなどが用いられる。なお、圧電素子を用いずに、モータによりカムを回転させて透過部材17に振動を与える仕組みにしてもよい。
【0028】
図3に示すように、圧電素子19は、主走査方向に振動するよう向きを考慮して、透過部材17の端部に取り付けられる。なお、圧電素子19は透過部材17に直接取り付けずに、透過部材17と一体となっている接続部材に取り付けるようにしてもよい。
【0029】
図3に示すように、圧電素子19が駆動電圧S10を印加されて振動すると、透過部材17にもその振動が伝わって主走査方向に周期TBおよび振幅VBで振動する。透過部材17の振動周期TB、振動振幅VBは、それぞれ駆動電圧S10の周波数f、振幅GVによって調整される。なお、図3における透過部材17の振動幅は実際より誇張して表現してある。
【0030】
本実施形態においては、透過部材17上に付着しているゴミを検出する目的で、原稿の画像読取り前に透過部材17を振動させる。他に、透過部材17上に付着しているゴミをふるい落とす目的または原稿の読取り画像中のゴミの写りを目立たなくする目的で、適宜、透過部材17を振動させることが可能である。
【0031】
背面部材20は、合成樹脂からなる白色の板状のものである。合成樹脂以外の他の材料からなるものであってもよい。背面部材20は、読取り位置Gにおいて、搬送される原稿を押さえるとともに、原稿の画像読取り前に透過部材17上または背面部材20上に付着しているゴミを検出する場合の基準色を提供する。つまり、背面部材20を読み取って得られる濃度データの値は0である。ただし、背面部材は白色以外の基準色であってもよい。すなわち、本実施形態においては、背面部材20を低濃度の白色にして高濃度のゴミを濃度差により検出するものであるが、背面部材を高濃度の基準色にして低濃度のゴミを検出するようにしてもよい。
【0032】
次に、制御装置21について、図2を用いて説明する。
【0033】
図2に示すように、制御装置21は、CPU211、ROM212、RAM213、タイミング信号発生部214、画像処理部215、ラインメモリ216、画像メモリ217、振動駆動部218、および外部IF部219などを有する。制御装置21は、操作パネル11、自動原稿搬送装置12、CCDラインセンサ16、圧電素子19、およびその他の外部機器と接続されており、それらから信号が入力され、またはそれらへ信号を出力する。
【0034】
タイミング信号発生部214、画像処理部215、振動駆動部218、および外部IF部219は、それぞれが専用の回路で実現されていてもよいし、いずれかまたはすべての機能をCPU211に受け持たせるようにしてもよい。
【0035】
ラインメモリ216および画像メモリ217は、物理的に別個のメモリであってもよいし、1つの共用メモリであってもよいし、またはRAM213内の領域を利用してもよい。
【0036】
CPU211は、ROM212に格納されたプログラムおよび入力される種々の情報に基づいて、RAM213をワークエリアとして必要な演算処理を実行し、タイミング信号発生部214、画像処理部215、振動駆動部218、および外部IF部219を制御する。
【0037】
タイミング信号発生部214は、CPU211からの制御信号S11に基づいて、CCDラインセンサ16が画像データを出力するタイミングを計るためのクロック信号CKを発生し、CCDラインセンサ16へ送信する。クロック信号CKの周期TCKは所定の値に調整可能となっている。
【0038】
図3に示すように、CCDラインセンサ16は、クロック周期TCKごとに1ラインの受光素子に蓄積された電荷を電気信号として画像処理部215へ出力する。よって、クロック周期TCKは、およそCCDラインセンサ16の1ラインあたりの読取期間(読取周期)TA(1ライン分の光電変換期間)となる。例えば、タイミング信号発生部214から送信されるクロック周期TCKが200μ秒(周波数5kHz)であれば、CCDラインセンサ16の1ラインあたりの読取期間TAもおよそ200μsである。ただし、読取期間TAは必ずしもクロック周期TCKと一致させる必要はない。つまり、クロック周期TCKはあくまでCCDラインセンサ16の受光素子に電荷を蓄積する基準の時間とし、読取期間TAはそれとは別に設定するようにしてもよい。例えば、電子シャッターなどの機能を用いて、クロック周期TCKのうち任意の読取期間TAの間に蓄積された電荷のみを取り出すようにする。この場合は、クロック周期TCKではなくシャッター時刻(スピード)を調整することにより、読取期間TAを小さくしたり大きくしたりすることが可能となる。
【0039】
画像処理部215は、CPU211からの制御信号S12に基づいて、CCDラインセンサ16から出力されるRGBアナログ画像データD1を入力し、種々の処理を施した後、G色成分の濃度データであるGデジタル画像データD3Gをラインメモリ216に記憶させ、RGB色成分の濃度データであるRGBデジタル画像データD3を画像メモリ217に記憶させる。
【0040】
画像処理部215が行う種々の処理について、図4を用いて説明する。
【0041】
図4に示すように、画像処理部215は、A/D(アナログ/デジタル)変換部215a、シェーディング補正部215b、ライン間補正部215c、解像度変換部215d、ガンマ変換部215eの各機能部から構成されている。
【0042】
A/D変換部215aは、CCDラインセンサ16から出力されるRGBアナログ画像データD1を入力し、256階調の反射率データであるRGBデジタル画像データD2に変換する処理を行う。RGBデジタル画像データD2は、0〜255の範囲の値をとり、0に近いほど黒い画像であり255に近いほど白い画像である。
【0043】
シェーディング補正部215bは、A/D変換部215aから出力されるRGBデジタル画像データD2を入力し、あらかじめ背面部材20を読み取って取得した基準色画像データに基づいて、各画素の感度のばらつきおよび光量のばらつきなどの、いわゆるスキャナむらを補正する処理を行う。
【0044】
ライン間補正部215cは、シェーディング補正部215bから出力されるRGBデジタル画像データD2を入力し、副走査方向のR−Gライン間およびG−Bライン間の読取り位置の差から生じるずれを補正する処理を行う。
【0045】
解像度変換部215dは、ライン間補正部215cから出力されるRGBデジタル画像データD2を入力し、操作パネル11を介して操作者が指定した倍率または解像度に従って、主走査方向の解像度を電気的に変換する処理を行う。
【0046】
ガンマ変換部215eは、解像度変換部215dから出力されるRGBデジタル画像データD2を入力し、ガンマ変換を行って濃度データであるRGBデジタル画像データD3に変換する処理を行う。RGBデジタル画像データD3は、0〜255の範囲の値をとり、0に近いほど白い画像であり255に近いほど黒い画像である。
【0047】
ラインメモリ216は、画像処理部215から出力される1ライン分のGデジタル画像データD3Gを記憶する。記憶されたGデジタル画像データD3GはCPU211などが実行する処理において適宜読み出される。なお、本実施形態においては、背面部材20を読み取った基準色画像データとゴミ画像データとの間のG色成分の濃度差のみを利用してゴミの検出を行うため、ラインメモリ216にG色成分のGデジタル画像データD3Gのみを記憶させている。RGB色成分の複数の濃度差を利用してゴミの検出を行うのであれば、ラインメモリにRGB色成分の複数のデジタル画像データを記憶させる。その場合、背面部材とゴミとの間の色味の違いをも考慮した、より高精度の検出が可能となる。
【0048】
画像メモリ217は、画像処理部215から出力される所定の容量分のRGBデジタル画像データD3を記憶する。記憶されたRGBデジタル画像データD3はCPU211などが実行する処理において適宜読み出され、プリンタなどの外部機器に出力される。
【0049】
なお、以降において、RGBデジタル画像データD3、Gデジタル画像データD3Gを、それぞれ濃度データD3、濃度データD3Gということがある。
【0050】
振動駆動部218は、CPU211からの制御信号S13に基づいて、圧電素子19に交流電圧を駆動電圧S10として印加する。駆動電圧S10の周波数fおよび振幅GVは、透過部材17を振動させるべき周期TBおよび振幅VBに対応する範囲で調整可能となっている。例えば、周波数fは20kHz程度とする。例えば、振幅GVは、あらかじめ調べておいた、透過部材17を0.254mm(6画素相当)の振幅で振動させるのに最適な値とする。あるいは、振動状態を電圧に変換する別の圧電素子を透過部材17に取り付けて振動振幅VBを計測し、フィードバック制御により最適な振幅GVに自動的に調整させるようにしてもよい。
【0051】
図3に示すように、振動駆動部218から周波数fおよび振幅GVの駆動電圧S10が圧電素子19に印加されると、透過部材17は周期TBおよび振幅VBで振動する。
【0052】
外部IF部219は、外部機器との間で信号またはデータをやり取りするためのインタフェース機能を提供する。
【0053】
図5は、図2におけるCPU211で実現されるゴミ検出処理の主要な機能の構成を示すブロック図である。
【0054】
振動時ゴミ検出部31は、透過部材17を振動させた状態でゴミの検出処理を行う。
【0055】
静止時ゴミ検出部32は、透過部材17を静止(振動を停止)させた状態でゴミの検出処理を行う。
【0056】
ゴミ移動検出部33は、透過部材17の振動によりゴミが移動したか否かの判別処理を行う。
【0057】
原稿画像取得部34は、原稿を画像データとして読み取る処理を行う。
【0058】
ゴミ除去部35は、透過部材17上に存在するゴミをふるい落とす目的で透過部材17を振動させる処理を行う。
【0059】
振動時ゴミ検出部31の処理内容について説明する。ラインデータ取得部311は、振動駆動部218に制御信号S13を送信して透過部材17を所望の周期TBおよび振幅VBで振動させ、タイミング信号発生部214に制御信号S11を送信してCCDラインセンサ16に所望の読取期間TAで背面部材20を読み取らせ、画像処理部215に制御信号S12を送信してラインメモリ216に1ライン分の濃度データD3Gを記憶させる。ラインデータ解析部312は、ラインメモリ216に記憶された1ライン分の濃度データD3Gを解析する。
【0060】
ラインデータ解析部312は、ゴミ付着位置算出部312aにゴミの付着位置DX(主走査方向の画素位置)を算出させる。または、ゴミ付着部材判別部312bにゴミが透過部材17上または背面部材20上のいずれに付着しているかを判別させる。または、ゴミサイズ算出部312cにゴミの大きさDW(主走査方向の幅)を算出させる。
【0061】
図6(a)は、透過部材17の振動周期TBをCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さくなるように設定し、振動振幅VBを3画素相当に設定した場合において、振動時ゴミ検出部31が背面部材20上に付着しているゴミH1および透過部材17上に付着しているゴミH2を読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0062】
ゴミH1は、透過部材17の振動による影響を受けずにそのまま濃度データD3Gに現れる。よって、濃度が0より高い値(この例では100)となる連続する画素幅Wは5画素であり、ゴミH1の大きさとほぼ同じである。
【0063】
一方、ゴミH2は、透過部材17の振動とともに振動し、その振動周期TBがCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも短周期であるため、主走査方向にぶれた状態で濃度データD3Gに現れる。つまり、ゴミH2はボケた状態で読み取られる。よって、ゴミH2の実際の大きさはゴミH1と変わらないにもかかわらず、画素幅Wは11画素となる。また、濃度は画素幅Wの中央の画素位置に向かって上昇し(10、30、50、80、90、100)、濃度変化の形状は山なり形状となる。
【0064】
なお、画素幅Wは、濃度が0より大きい所定の値(ゴミ濃度判別閾値TH)を取る連続する画素幅としてもよい。つまり、ゴミ濃度判別閾値THには0以上の値が設定される。
【0065】
ゴミ付着位置算出部312aは、濃度がゴミ濃度判別閾値THより高い値を取る画素が1つ以上存在すれば、ゴミが透過部材17上または背面部材20上に付着していると判断し、連続する画素幅Wに含まれる任意の画素位置をゴミの付着位置DX(主走査方向の画素位置)とする。任意の画素位置は、端側の画素や中央の画素などである。
【0066】
例えば、図6(a)において、画素幅Wに含まれる中央の画素位置をゴミの付着位置DXとすると、ゴミH1の付着位置DXは4003画素、ゴミH2の付着位置DXは5008画素と算出される。
【0067】
ゴミ付着部材判別部312bは、CCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい周期TBで透過部材17を振動させた状態で読み取られたゴミについては、透過部材17上のゴミと背面部材20上のゴミとの間に生じる濃度データD3Gの現れ方の違いを利用してゴミが付着している部材の判別を行う。
【0068】
具体的には、画素幅Wがゴミ付着部材判別閾値C1よりも大きければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、画素幅Wがゴミ付着部材判別閾値C1よりも小さければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。ゴミ付着部材判別閾値C1は、透過部材17の振動幅(振幅VBの2倍)に相当する画素数またはそれよりも大きい画素数であり、透過部材17の振動振幅VB、および付着する可能性がある標準的なゴミの特性などを考慮して設定される。
【0069】
つまり、この判別方法は、透過部材17上のゴミが主走査方向にぶれた状態で濃度データに現れた場合に、その画素幅Wが本来のゴミの大きさよりも肥大することを利用して、画素幅Wが所定の値以上である場合に、ゴミが透過部材17上に付着していると判別する。
【0070】
例えば、図6(a)において、ゴミ付着部材判別閾値C1を6画素とすると、ゴミH1の画素幅W(=5画素)は6画素よりも小さいので、ゴミH1は背面部材20上のゴミと判別される。一方、ゴミH2の画素幅W(=11画素)は6画素よりも大きいので、ゴミH2は透過部材17上のゴミと判別される。
【0071】
しかしながら、この判別方法では、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができない。例えば、ゴミ付着部材判別閾値C1を6画素とすると、背面部材20上に付着している9画素相当の大きさのゴミH3は透過部材17上のゴミと判別されてしまう。
【0072】
そこで、別の判別方法では、画素幅Wのうちの端側の画素から数えて所定の画素範囲、つまり画素幅Wのエッジ部分を周辺画素W1とし、画素幅Wにおける最大濃度Dmaxと周辺画素W1における代表濃度Dmdとの濃度差を算出する。濃度差がゴミ付着部材判別閾値C2よりも大きれば、画素幅W部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、濃度差がゴミ付着部材判別閾値C2よりも小さければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。周辺画素W1の画素範囲は、透過部材17の振動振幅VBに相当する画素数またはそれよりも大きい画素数とする。代表濃度Dmdは、周辺画素W1における濃度の平均値、中央値、最頻値などの値とする。ゴミ付着部材判別閾値C2は、透過部材17の振動振幅VB、および付着する可能性がある標準的なゴミの特性などを考慮して設定される。
【0073】
つまり、この判別方法は、透過部材17上のゴミが主走査方向にぶれた状態で濃度データに現れた場合に、その周辺画素W1における濃度が相対的に薄くなることを利用して、周辺画素W1における濃度の代表値が画素幅Wにおける最大値に対して所定以上低下している場合に、ゴミが透過部材17上に付着していると判別する。
【0074】
例えば、図6(a)において、周辺画素W1の画素範囲を3画素とし代表濃度Dmdを周辺画素W1における平均濃度としゴミ付着部材判別閾値C2を20とすると、ゴミH2の画素幅Wにおける最大濃度Dmaxと周辺画素W1における代表濃度Dmdとの濃度差70(=100−((10+30+50)/3))は20より大きいので、ゴミH2は透過部材17上のゴミと判別される。一方、ゴミH3の画素幅Wにおける最大濃度Dmaxと周辺画素W1における代表濃度Dmdとの濃度差0(=100−100)は20より小さいのでゴミH3は背面部材20上のゴミと判別される。よって、背面部材20上に付着している9画素相当の大きさのゴミH3が透過部材17上のゴミと誤って判別されてしまうことはない。
【0075】
また、さらに別の判別方法では、周辺画素W1における平均濃度Daveがゴミ付着部材判別閾値C3よりも低ければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、周辺画素W1における平均濃度Daveがゴミ付着部材判別閾値C3よりも高ければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。ゴミ付着部材判別閾値C3は、透過部材17の振動振幅VB、および付着する可能性がある標準的なゴミの特性などを考慮して設定される。
【0076】
つまり、この判別方法は、透過部材17上のゴミが主走査方向にぶれた状態で濃度データに現れた場合に、その周辺画素W1における濃度が薄くなる(背面部材20の濃度0に近づく)ことを利用して、周辺画素W1における濃度の平均値と背面部材20の濃度との濃度差が所定の値以下である場合に、ゴミが透過部材17上に付着していると判別する。
【0077】
例えば、図6(a)において、周辺画素W1の画素範囲を3画素としゴミ付着部材判別閾値C3を80とすると、ゴミH2の周辺画素W1における平均濃度Daveは30(=(10+30+50)/3)で80より低いので、ゴミH2は透過部材17上のゴミと判別される。一方、ゴミH3の周辺画素W1における平均濃度Daveは100で80より高いのでゴミH3は背面部材20上のゴミと判別される。よって、背面部材20上に付着している9画素相当の大きさのゴミH3が透過部材17上のゴミと誤って判別されてしまうことはない。
【0078】
また、さらに別の判別方法では、周辺画素W1における濃度変化(隣り合う画素の濃度差)の最大値Dslpがゴミ付着部材判別閾値C4よりも小さければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、周辺画素W1における濃度変化Dslpがゴミ付着部材判別閾値C4よりも大きければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。ゴミ付着部材判別閾値C4は、透過部材17の振動振幅VB、および付着する可能性がある標準的なゴミの特性などを考慮して設定される。
【0079】
つまり、この判別方法は、透過部材17上のゴミが主走査方向にぶれた状態で濃度データに現れた場合に、その周辺画素W1における濃度がなだらかに変化することを利用して、周辺画素W1における濃度変化の傾きが所定の値以下である場合に、ゴミが透過部材17上に付着していると判別する。
【0080】
例えば、図6(a)において、周辺画素W1の画素範囲を3画素としゴミ付着部材判別閾値C4を70とすると、ゴミH2の周辺画素W1における濃度変化の最大値Dslpは20(=50−30)で70より小さいので、ゴミH2は透過部材17上のゴミと判別される。一方、ゴミH3の周辺画素W1における濃度変化の最大値Dslpは100で70より大きいので、ゴミH3は背面部材20上のゴミと判別される。よって、この場合も、背面部材20上に付着している9画素相当の大きさのゴミH3が透過部材17上のゴミと誤って判別されてしまうことはない。
【0081】
なお、濃度変化は、隣り合う画素の濃度差ではなく、画素幅Wまたは周辺画素W1に含まれるすべての画素または複数の画素の濃度変化としてもよい。
【0082】
ゴミサイズ算出部312cは、CCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい周期TBで透過部材17を振動させた状態で読み取られたゴミについては、ゴミ付着部材判別部312bにより判別されたゴミが付着している部材を考慮してゴミの大きさDW(主走査方向の幅)を算出する。
【0083】
具体的には、ゴミが透過部材17上に付着していると判別された場合には、画素幅W(ゴミの見かけ上の大きさ)から所定の画素数を減じた画素幅をゴミの大きさDWとする。減ずる所定の画素数は、透過部材17の振動幅(振幅VBの2倍)に相当する画素数またはそれよりも大きい画素数とする。一方、ゴミが背面部材20上に付着していると判別された場合には、画素幅Wをそのままゴミの大きさDWとする。
【0084】
例えば、図6(a)において、減ずる所定の画素数を6画素とすると、透過部材17上に付着しているゴミH2の大きさDWは5(=11−6)画素と算出される。一方。背面部材20上に付着しているゴミH1の大きさDWは5画素と算出される。
【0085】
図6(b)は、透過部材17の振動周期TBをCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きくなるように設定し、振動振幅VBを3画素相当に設定した場合において、振動時ゴミ検出部31が背面部材20上に付着しているゴミH1および透過部材17上に付着しているゴミH2を読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。上段の濃度グラフが時刻t1のときの濃度分布であり、下段のグラフが時刻t2のときの濃度分布である。
【0086】
ゴミH1は、透過部材17の振動による影響を受けないため、時刻t1および時刻t2において同じ画素位置に濃度データD3Gとして現れる。一方、ゴミH2は、透過部材17の振動とともに振動し、その振動周期TBがCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも長周期であるため、時刻t1と時刻t2との間で異なる画素位置(主走査方向に移動した位置)に濃度データD3Gとして現れる。
【0087】
ゴミ付着部材判別部312bは、CCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きい周期TBで透過部材17を振動させた状態で読み取られたゴミについては、透過部材17上のゴミと背面部材20上のゴミとの間に生じる、時刻ごとの濃度データD3Gの現れ方の違いを利用してゴミが付着している部材の判別を行う。
【0088】
具体的には、ゴミ付着位置算出部312aが算出した異なる時刻におけるゴミの付着位置DXを比較し、差異があれば、その部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、差異がなければ、その部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。
【0089】
例えば、図6(b)において、ゴミH1の付着位置DX(中央の画素位置)は時刻t1と時刻t2とにおいて4003画素であるので、ゴミH1は背面部材20上のゴミと判別される。一方、ゴミH2の付着位置DX(中央の画素位置)は時刻t1において5008画素であるのに対し、時刻t2において5005画素であり差異が生じているので、ゴミH2は背面部材20上のゴミと判別される。
【0090】
なお、本実施例においては、透過部材17を主走査方向に振動させているが、副走査方向に振動させるようにしてもよい。その場合、透過部材17上のゴミは、CCDラインセンサ16が読み取る時刻(タイミング)によって異なる画素位置に移動して濃度データD3Gに現れるのではなく、ある時刻では現れるが、ある時刻では全く現れなくなる。一方、背面部材20上のゴミは、CCDラインセンサ16が読み取る時刻に関係なく常に濃度データD3Gに現れる。よって、両者の間に生じるこの違いを利用してゴミの付着している部材の判別を行うことが可能である。
【0091】
ゴミサイズ算出部312cは、CCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きい周期TBで透過部材17を振動させた状態で読み取られたゴミについては、画素幅Wをそのままゴミの大きさDWとする。
【0092】
例えば、図6(b)において、時刻t1および時刻t2のいずれにおいてもゴミH1およびゴミH2の大きさDWは5画素と算出される。
【0093】
静止時ゴミ検出部32の処理内容について説明する。ラインデータ取得部321は、タイミング信号発生部214に制御信号S11を送信してCCDラインセンサ16に所望の読取期間TAで背面部材20を読み取らせ、画像処理部215に制御信号S12を送信してラインメモリ216に1ライン分の濃度データD3Gを記憶させる。ラインデータ解析部322は、ラインメモリ216に記憶された1ライン分の濃度データD3Gを解析する。
【0094】
ラインデータ解析部322は、ゴミ付着位置算出部322aにゴミの付着位置DXを算出させる。または、ゴミサイズ算出部322bにゴミの大きさDWを算出させる。
【0095】
図6(c)は、静止時ゴミ検出部32が背面部材20上に付着しているゴミH1および透過部材17上に付着しているゴミH2を読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0096】
ゴミ付着位置算出部322aは、濃度がゴミ濃度判別閾値THより高い値を取る画素が1つ以上存在すれば、ゴミが透過部材17上または背面部材20上に付着していると判断し、連続する画素幅Wに含まれる任意の画素位置をゴミの付着位置DXとする。任意の画素位置は、端側の画素や中央の画素などである。
【0097】
例えば、図6(c)において、画素幅Wに含まれる中央の画素位置をゴミの付着位置DXとすると、ゴミH1の付着位置DXは4003画素、ゴミH2の付着位置DXは5008画素と算出される。
【0098】
ゴミサイズ算出部322bは、画素幅Wをそのままゴミの大きさDWとする。
【0099】
例えば、図6(c)において、ゴミH1およびゴミH2の大きさDWは5画素と算出される。
【0100】
静止時ゴミ検出部32においては、ゴミの付着の有無を確認することはできるが、透過部材17上または背面部材20上のいずれに付着しているかまでは判別できない。
【0101】
ゴミ移動検出部33の処理内容について説明する。ゴミ移動検出部33は、ゴミ付着位置算出部312aが算出したゴミの付着位置DXとゴミ付着位置算出部322aが算出したゴミの付着位置DXとを比較し、差異があればそのゴミは移動していると判断する。一方、差異がなければ、そのゴミは移動していないと判断する。
【0102】
例えば、図6(a)においてゴミH2の付着位置DX(中央の画素位置)は5008画素であり、図6(c)においてゴミH2の付着位置DX(中央の画素位置)も5008画素であるので、ゴミH2は移動していないと判断される。
【0103】
原稿画像取得部34の処理内容について説明する。原稿画像取得部34は、必要に応じて振動駆動部218に制御信号S13を送信して透過部材17を所望の周期TBおよび振幅VBで振動させ、タイミング信号発生部214に制御信号S11を送信してCCDラインセンサ16に所望の読取期間TAで原稿を読み取らせ、画像処理部215に制御信号S12を送信して画像メモリ217に原稿1枚分の濃度データD3を記憶させる。次に、画像メモリ217から原稿1枚分の濃度データD3を取得する。
【0104】
ゴミ除去部35の処理内容について説明する。ゴミ除去部35は、透過部材17上に存在するゴミをふるい落とす目的で、振動駆動部218に制御信号S13を送信して透過部材17を所望の周期TBおよび振幅VBで振動させる。
【0105】
上記の機能の全部またはいずれかを組み合わせた処理を構築することで、様々なゴミの検出方法を実現し得る。そのうちのいくつかの実施例について説明する。
【0106】
はじめに、振動時ゴミ検出部31のみを用いてゴミの検出を行う単純なケースについて、基本的な処理の流れを説明する。
【0107】
図7は、振動時ゴミ検出部31を用いたゴミ検出処理の全体の流れを示した図である。
【0108】
図7に示すように、操作パネル11などから指令を受けて振動時ゴミ検出部31が起動されると、ラインデータ取得部311により、圧電素子19を介して透過部材17に振動が与えられ(#101)、光源15からの光による背面部材20からの反射光がCCDラインセンサ16において光電変換され、ゴミ検出用画像データD3Gが取得される(#102)。次に、ラインデータ解析部312により、取得された画像データD3Gが解析されてゴミの検出が行われる(#103)。ゴミが検出された場合、操作パネル11を介して検出結果が表示される。また、清掃ブラシが駆動してゴミが除去され、ゴミ除去部35により透過部材17に振動が与えられてゴミが除去され、CCDラインセンサ16がゴミの影響を受けない読取り位置に移動され、原稿画像取得部34により原稿読取り時に透過部材17に振動が与えられ、または原稿画像のうちゴミが存在する位置の画素が補正されるなど、種々の対処を行わせることが可能である。
【0109】
以下に、さらに詳細な処理の流れをも含めた実施例についてフローチャートを用いて説明する。
〔ゴミ検出の実施例1−1〕
実施例1−1では、透過部材17を振動させた状態でゴミの検出を行う。
【0110】
図8はゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャート、図9および図10は図8におけるラインメモリ解析処理(#403)の一例を示すフローチャート、図11(a)は背面部材20上に付着しているAの大きさのゴミを読み取ったときの1ラインの濃度データD3Gの一部を示す図、図11(b)は透過部材17上に付着しているAの大きさのゴミを読み取ったときの1ラインの濃度データD3Gの一部を示す図、図11(c)は背面部材20上に付着しているBの大きさのゴミを読み取ったときの1ラインの濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0111】
なお、図8ないし図10のフローチャートにおける各処理ステップは、振動時ゴミ検出部31および原稿画像取得部34などにより行われる。
【0112】
図8に示すように、はじめに、圧電振動子19を介して透過部材17を振動させる(#401)。この場合の透過部材17を振動させる振動周期TBは、CCDラインセンサ16に背面部材20を読み取らせる読取期間TAよりも小さくなるように設定する。そして、CCDラインセンサ16において読み取られて画像処理部215において画像処理された1ラインの濃度データD3Gをラインメモリ216に取得する(#402)。取得した1ラインの濃度データD3Gを解析し、ゴミの付着有無、付着部材、大きさ、および付着位置などを検出する(#403)。この解析処理の一例については後述する。濃度データD3Gの解析が終了したら、透過部材17の振動を停止させる(#404)。解析結果において透過部材17上または背面部材20上にゴミが1つ以上存在すると判断された場合(#405でYes)、検出されたゴミの数、付着部材(透過部材17または背面部材20)、および大きさの最大値などを操作パネル11に表示させ、操作者へ警告する(#406)。一方、解析結果において透過部材17上または背面部材20上にゴミが1つも存在しないと判断された場合(#405でNo)、自動原稿搬送装置12を介して原稿を搬送させ原稿の画像を読み取る(#407)。
【0113】
図9および図10のフローチャートに登場する変数名について説明する。
【0114】
d(i) :ラインメモリ216に取得した画像のうち主走査方向の画素位置i(0〜7500)の画素の濃度
x(n) :検出したn個目のゴミ画像の主走査方向の画素位置(0〜7500)
w(n) :検出したn個目のゴミ画像の大きさ(主走査方向の画素範囲)
c(n) :検出したn個目のゴミ画像の濃度傾きの最大値
a(n) :検出したn個目のゴミ画像の周辺部の平均濃度
p(n) :検出したn個目のゴミの付着部材(透過部材17または背面部材20)
i、j :主走査方向に配列された7500画素のうちの注目画素の位置を示す一時変数(ワーク変数)であり、ループ処理の回数をカウントするためにも用いられる。
【0115】
n :検出したゴミが何個目のゴミであるかを示す一時変数(ワーク変数)
x :検出したゴミ画像の主走査方向の画素位置を示す一時変数(ワーク変数)
w :検出したゴミ画像の大きさを示す一時変数(ワーク変数)
c :検出したゴミ画像の濃度傾きの最大値を示す一時変数(ワーク変数)
a :検出したゴミ画像の周辺部の濃度合計値を示す一時変数(ワーク変数)
図9および図10のフローチャートに示す処理について説明する。
【0116】
最初に、注目画素の主走査位置i、ゴミの検出個数n、および1個目のゴミの主走査位置x(1)を初期化する(#501)。注目画素を1画素目から7500画素目まで順次ずらしながら繰り返し処理を行うので、iを1で初期化する。これからゴミを検出する状態(いまだゴミが検出されていない状態)なので、nを1、x(1)を0で初期化する。
【0117】
注目画素の濃度d(i)が濃度判別閾値TH(例えば、5)以上であれば(#502でYes)、当該画素はゴミが読み取られた画像(以下、ゴミ画像とする。)の一部の画素(以下、ゴミ画素とする。)であると判断し、注目画素の主走査位置j、ゴミ画像の大きさw、ゴミ画像の周辺部の濃度合計値a、およびゴミ画像の濃度傾きの最大値cを初期化する(#503)。注目画素をゴミ画素が連続する間順次ずらしながら繰り返し処理を行うので、jをi+1で初期化する。これからゴミ画像を調べる状態なので、w、a、およびcをそれぞれ0で初期化する。初期化の後、#504〜#512の後続処理を行う。一方、d(i)がTH未満であれば(#502でNo)、当該画素はゴミ画素でないと判断し、iをインクリメントして注目画素の主走査位置を移動させる(#520)。
【0118】
初期化(#503)の後、注目画素の濃度d(j)が濃度判別閾値TH以上であれば(#504でYes)、当該画素はゴミ画素であると判断し、#514〜#519の後続処理を行う。つまり、#502で不連続の最初のゴミ画素を発見した後、当該画素からゴミ画素が連続する間が1つのゴミ画像であると判断し、#514〜#519の処理を繰り返す。
【0119】
連続するゴミ画素数(#504でYesが成立する回数)をゴミ画像の大きさ(ゴミの見かけ上の大きさ)とするので、ゴミ画像の大きさwをインクリメントして注目画素をゴミ画像の大きさに加える。(#514)。
【0120】
1つのゴミ画像において連続する画素間の濃度差の絶対値を濃度傾きとし、その最大値cを取得するので、現在の注目画素と1つ前の注目画素との濃度差の絶対値を濃度傾きとして取得し、当該濃度傾きがそれまでのゴミ画像の濃度傾きの最大値cを超えれば(#515でYes)、cを当該濃度傾きに更新する(#516)。
【0121】
注目画素までに連続しているゴミ画素数wが所定の画素数W1(例えば、5画素)未満の範囲の画素数であれば(#517でYes)、ゴミ画像の周辺部の濃度合計値aに当該画素の濃度d(j)を加算した値に更新する。
【0122】
注目画素の濃度d(j)が濃度判別閾値TH未満であれば(#504でNo)、当該画素はゴミ画素でないと判断し、#505〜#512の後続処理を行う。つまり、#505〜#512の処理は、1つのゴミ画像のデータ取得(#514〜#519)が終了した後の処理である。
【0123】
n個目のゴミ画像のデータ取得が終了したので、nをインクリメントして次に検出する際のゴミの番号に更新し、n個目のゴミ画像の開始位置iに終了位置jを加算して2で除算した値をx(n)に取得し、n個目のゴミ画像の大きさw、濃度傾きの最大値cを、それぞれw(n)、c(n)に取得する(#505)。
【0124】
n個目のゴミ画像の大きさwが所定の画素数W1(例えば、5画素)を超えれば(#506でYes)、n個目のゴミ画像の周辺部の濃度合計値aをW1で除算した値をn個目のゴミ画像の周辺部の平均濃度a(n)に取得する(#507)。一方、wがW1以下であれば(#506でNo)、aをwで除算した値をa(n)に取得する(#508)。
【0125】
n個目のゴミ画像の大きさwが所定の画素数W2(例えば、6画素)を超えれば(#509でYes)、p(n)に透過部材17を示す定義値を設定するとともに、wを所定の画素数W3(例えば、6画素)で減算した値に更新して実際のゴミの大きさとする(#510)。一方、wがW2以下であれば(#509でNo)、p(n)に背面部材20を示す定義値を設定する(#511)。
【0126】
注目画素の主走査位置iにn個目のゴミ画像が占める画素数分jを加算して注目画素の主走査位置を移動させる(#512)。
【0127】
注目画素の主走査位置iが7500画素に到達するまで(#513でNoの間)、#502以降の処理を繰り返し、iが7500画素に到達すれば(#513でYes)、処理を終了する。
【0128】
実施例1−1を用いてゴミを検出した場合の一例について図11を用いて説明する。
【0129】
図10の#509〜#511において、所定の画素数W2を6画素とすると、図11(a)におけるゴミ画像の大きさw(=5画素)はW2よりも小さいので背面部材20上のゴミと判断され、図11(b)におけるゴミ画像の大きさw(=9画素)はW2よりも大きいので透過部材17上のゴミと判断され、正しい検出結果が得られる。ところが、図11(c)における背面部材20上のゴミ画像の大きさw(=9画素)はW2よりも大きいので、透過部材17上のゴミと誤って判断されてしまう。つまり、実施例1−1では、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができない。
〔ゴミ検出の実施例1−2〕
実施例1−2では、実施例1−1における、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができない問題を解決している。
【0130】
実施例1−2の処理の流れは基本的に実施例1−1と同じである。ただし、#509において、実施例1−1では“w>W2”で判断していた箇所を、“a(n)<A1”に変更する。つまり、n個目のゴミ画像の周辺部(W1の画素範囲)の平均濃度a(n)が所定の濃度A1(例えば、80)未満であれば(#509でYes)、p(n)に透過部材17を示す定義値を設定するとともに、wを所定の画素数W3で減算した値に更新して実際のゴミの大きさとする(#510)。一方、a(n)がA1以上であれば(#509でNo)、p(n)に背面部材を示す定義値を設定する(#511)。
【0131】
実施例1−2を用いてゴミを検出した場合の一例について図11を用いて説明する。
【0132】
図10の#509(変更後)〜#511において、所定の画素数W1を5画素とし所定の濃度A1を80とすると、図11(b)におけるゴミ画像の周辺部の平均濃度a(n)(=60)はA1よりも小さいので透過部材17上のゴミと判断され、図11(c)におけるゴミ画像の周辺部の平均濃度a(n)(=100)はA1よりも大きいので背面部材20上のゴミと判断され、正しい検出結果が得られる。つまり、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができている。
〔ゴミ検出の実施例1−3〕
実施例1−3でも、実施例1−1における、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミの判別ができない問題を解決している。
【0133】
実施例1−3の処理の流れも基本的に実施例1−1と同じである。ただし、#509において、実施例1−1では“w>W2”で判断していた箇所を、“c(n)<C1”に変更する。つまり、n個目のゴミ画像の濃度傾きの最大値c(n)が所定の濃度傾きC1(例えば、70)未満であれば(#509でYes)、p(n)に透過部材17を示す定義値を設定するとともに、wを所定の画素数W3で減算した値に更新して実際のゴミの大きさとする(#510)。一方、c(n)がC1以上であれば(#509でNo)、p(n)に背面部材20を示す定義値を設定する(#511)。
【0134】
実施例1−3を用いてゴミを検出した場合の一例について図11を用いて説明する。
【0135】
図10の#509(変更後)〜#511において、所定の濃度傾きC1を70とすると、図11(b)におけるゴミ画像の濃度傾きの最大値c(n)(=40)はC1よりも小さいので透過部材17上のゴミと判断され、図11(c)におけるゴミ画像の濃度傾きの最大値c(n)(=100)はC1よりも大きいので背面部材20上のゴミと判断され、正しい検出結果が得られる。つまり、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができている。
【0136】
なお、本実施例においては、隣り合う画素の濃度差を濃度変化(濃度傾き)としたが、複数画素の濃度変化の平均値を濃度変化としてもよい。また、本実施例においては、ゴミ画像全体についての濃度変化を求めたが、ゴミ画像の周辺部(W1の画素範囲)に含まれる複数の画素の濃度変化を求めてもよい。
〔ゴミ検出の実施例2−1〕
実施例1−1〜1−3では、ゴミを検出するために透過部材17を振動させることで、透過部材17の読取り領域内にそれまで存在しなかったゴミが読取り領域内に移動してくるおそれがある。その場合、透過部材17を振動させたことがかえってよくない結果をもたらす。実施例2−1は、実施例1−1〜1−3で生じるこの弊害に対処するための改良を施した例である。
【0137】
図12は実施例2−1のゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャート、図13は図12におけるラインメモリ解析処理(#603)の一例を示すフローチャート、図14および図15は図12におけるラインメモリ解析処理(#607)の一例を示すフローチャート、図16(a)は透過部材17の振動を停止させた状態で透過部材17上および背面部材20上に付着しているゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図、図16(b)は透過部材17を振動させた状態で図16(a)と同様のゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0138】
なお、図12ないし図15のフローチャートにおける各処理ステップは、振動時ゴミ検出部31、静止時ゴミ検出部32および原稿画像取得部34などにより行われる。
【0139】
図12に示すように、実施例2−1では、透過部材17の振動を停止させた状態でゴミの検出を行い(#601〜#603)、ゴミが検出された場合にのみ(#604)、透過部材17をCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい振動周期TBで振動させた状態でゴミの検出を行う(#605〜#608)。解析結果に応じて操作者への警告または原稿画像の読取りを行う(#609〜#611)。
【0140】
図13ないし図15のフローチャートについては、それぞれ図9および図10のフローチャートに示す処理から一部のステップを削除したものに相当するので説明を省略する。
【0141】
実施例2−1を用いてゴミを検出した場合の一例について図16を用いて説明する。
【0142】
図13の#705において、図16(a)における2つのゴミ画像の主走査位置x(n)および大きさw(n)が取得される。また、図15の#809〜#811において、図16(b)における左側のゴミは透過部材17上のゴミと判断され、右側のゴミは背面部材20上のゴミと判断される。つまり、ゴミの付着位置および大きさの算出は透過部材17の振動を停止させた状態で行われ、ゴミの付着部材の判別は透過部材17を振動させた状態で行われる。
【0143】
よって、実施例1−1〜1−3での検出結果と較べ、ゴミの付着位置および大きさについて、より正確な検出ができる。また、透過部材17の読取り領域内にゴミが存在しない場合には透過部材17を振動させないため、透過部材17を振動させたことでゴミが読取り領域内に移動してくることはない。
〔ゴミ検出の実施例2−2〕
実施例1−1〜1−3では、ゴミを検出するために透過部材17を振動させることで、透過部材17の読取り領域内にそれまで存在していたゴミが読取り領域外に移動していくおそれがある。その場合、ゴミが読取り領域外に移動していくこと自体は好ましいことであるが、ゴミの検出結果は誤ったものとなる。実施例2−2は、実施例1−1〜1−3で生じるこの弊害に対処するための改良を施した例である。
【0144】
図17は実施例2−2のゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャート、図18(a)は透過部材17を振動させた状態で透過部材17上および背面部材20上に付着しているゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図、図18(b)は透過部材17の振動を停止させた状態で図18(a)と同様のゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0145】
図17におけるラインメモリ解析処理(#903)、ラインメモリ解析処理(#907)の一例は、それぞれ先述の図9、図13のフローチャートに示すとおりである。
【0146】
なお、図17のフローチャートにおける各処理ステップは、振動時ゴミ検出部31、静止時ゴミ検出部32、ゴミ移動判別部33および原稿画像取得部34などにより行われる。
【0147】
図17に示すように、実施例2−2では、透過部材17をCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい振動周期TBで振動させた状態でゴミの検出を行い(#901〜#903)、個別にゴミ画像の付着位置を保持しておく(#904)。次に、透過部材17の振動を停止させた状態でゴミの検出を行い(#905〜#907)、振動させた状態で検出した(例えば、n個目の)ゴミ画像の付着位置と、振動を停止させた状態で検出した対応する(例えば、n個目の)ゴミ画像の付着位置とを比較し(#908)、所定の個数(例えば、1個)以上のゴミの付着位置に差異があれば(#909でNo)、ゴミが振動による影響で移動していると判断し、先の検出結果を無効として#901〜#908までのゴミの検出処理を再度行う。一方、付着位置に差異があるゴミが所定の個数未満であれば(#909でYes)、解析結果に応じて操作者への警告または原稿画像の読取りを行う(#910〜#912)。
【0148】
実施例2−2を用いてゴミを検出した場合の一例について図18を用いて説明する。
【0149】
図17の#908〜#909において、1個以上のゴミの付着位置に差異があればゴミが移動していると判断すると、図18(a)における左側のゴミ画像の主走査位置x1(n)と、図18(b)における左側のゴミの主走査位置x2(n)とが比較され、両者の主走査位置は一致しないので、少なくとも1個以上のゴミの付着位置が振動による影響で移動していると判断され、再度ゴミの検出処理が行われる。
【0150】
よって、ゴミが読取り領域外に移動した場合にはゴミの検出結果は無効とされるため、誤ったゴミの検出結果が取得されることはなく、正確なゴミの付着位置を検出することができる。
〔ゴミ検出の実施例3−1〕
透過部材17をCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい振動周期TBで振動させると、読み取られたゴミは主走査方向にぶれた状態で濃度データD3Gに現れる。よって、既に示した実施例では、ぶれた状態の濃度データD3Gを解析することによりゴミの検出を行っている。しかしながら、本来はゴミが移動している状態を読み取るほうが、より正確なゴミの付着有無、付着部材、大きさ、および付着位置などを検出することができるので好ましい。
【0151】
実施例3−1は、その点を考慮し、透過部材17をCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きい振動周期TBで振動させた状態でゴミの検出を行う例である。
【0152】
図19は実施例3−1のゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャート、図20は透過部材17を振動させた状態で透過部材17上に付着しているゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0153】
なお、図19のフローチャートにおける各処理ステップは、振動時ゴミ検出部31、原稿画像取得部34、およびゴミ除去部35などにより行われる。
【0154】
図19に示すように、実施例3−1では、振動周期TBをCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きいTB2(例えば、1000μs)に設定して透過部材17を振動させる(#1001〜#1002)。振動周期TB2で振動させた状態で1回目のゴミの検出を行い(#1003〜#1004)、個別にゴミ画像の付着位置を保持しておく(#1005)。次に、振動周期TB2で振動させた状態で2回目のゴミの検出を行う(#1006〜#1007)。1回目に検出した(例えば、n個目の)ゴミ画像の付着位置と、2回目に検出した対応する(例えば、n個目の)ゴミ画像の付着位置とを比較し(#1008)、所定の範囲(例えば、1〜2画素)内の差異があれば(#1009でYes)、そのゴミは透過部材17上のゴミと判断し(#1010)、差異がないまたは所定の範囲を超える差異があれば(#1009でNo)、そのゴミは背面部材20上のゴミと判断する(#1011)。ゴミの検出が終了したら、透過部材17を振動させる周期TBをCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さいTB1(例えば、50μs)に戻し(#1012)、解析結果に応じて操作者への警告または原稿画像の読取りを行う(#1013〜#1015)。必要に応じて透過部材17を振動周期TB1で振動させた状態でゴミの除去または原稿画像の読取りを行う。
【0155】
実施例3−1を用いてゴミを検出した場合の一例について図20を用いて説明する。
【0156】
図20に示すように、透過部材17上に付着しているゴミは、CCDラインセンサ16が読み取るタイミングtによって、透過部材17の振動振幅VBの範囲内で主走査位置が移動して濃度データD3Gに現れる。図19の#1004において時刻t1の主走査位置x1(n)が取得され、#1007において時刻t2の主走査位置x2(n)が取得されるとすると、#1008において時刻t1の主走査位置x1(n)と時刻t2の主走査位置x2(n)とが比較され、両者の主走査位置は一致しないので、ゴミは透過部材17上のゴミと判断される。
【0157】
このように、ゴミ検出時は透過部材17の振動周期TBを上げる(周波数を下げる)、ゴミ除去時および原稿画像読取り時は透過部材17の振動周期TBを下げる(周波数を上げる)ことにより、振動に伴うゴミの移動状態を捉えた正確なゴミの検出が可能になるととともに、振動によるゴミの除去効果および原稿画像に現れるゴミを目立たなくする効果も最大に得られる。
【0158】
なお、本実施例においては、濃度データD3Gを取得する回数が2回のみであるが、それ以上の回数分の濃度データD3Gを取得すれば、振動に伴うゴミの移動状態を細かく確認することができ、より精度の高いゴミの検出を行うことができる。
〔ゴミ検出の実施例3−2〕
実施例3−1では、より正確なゴミの検出を行うために、ゴミの検出時とそれ以外において透過部材17の振動周期TBを変化させるが、実施例3−2では、同様の目的のために、CCDラインセンサ16の読取期間(読取周期)TAを変化させる。
【0159】
実施例3−2の処理の流れは基本的に実施例3−1と同じである。ただし、#1001において実施例3−1では“振動周期←TB2”としている箇所を“読取期間←TA2”に、#1012において実施例3−1では“振動周期←TB1”としている箇所を“読取期間←TA1”に変更する。TA1は例えば、透過部材17を振動させる振動周期TBよりも大きい200μsであり、TA2は例えば、透過部材17を振動させる振動周期TBよりも小さい10μsである。つまり、ゴミ検出時は透過部材17を振動させる振動周期TBよりも小さい読取周期TA2で背面部材20の読取りを行い、原稿読取り時は透過部材17を振動させる振動周期TBよりも大きい読取周期TA1で原稿を読取る。このようにすることで、実施例3−1の場合と同様の効果が得られる。
【0160】
なお、CCDラインセンサ16の読取期間TAの切替えは、ライン周期(クロック周期)を変更することにより実現されるものであってもよいし、電子シャッターなどの機能によりライン周期はそのままで読取期間のみ変更されるものであってもよい。
【0161】
また、CCDラインセンサ16の読取期間を短くすると読取画像の画質が低下するが、ゴミ検出のための読取画像には通常の原稿の読取画像に要求されるほどの画質は必要ないので、ゴミ検出時にCCDラインセンサ16の読取期間TAを短くしても、原稿画像読取り時にCCDラインセンサ16の読取期間TAを長くしておけば特段の問題は生じない。
【0162】
上述の実施形態において、画像読取装置1および制御装置21の全体または各部の構成は、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。それらを用いて行われるゴミ検出処理の全体または各部の処理も本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 画像読取装置
15 光源
16 CCDラインセンサ(読取手段)
17 透過部材
19 圧電素子(振動手段)
20 背面部材
311 ラインデータ取得部(第1のゴミ検出用画像取得手段)
312 ラインデータ解析部(第1のゴミ検出手段)
321 ラインデータ取得部(第2のゴミ検出用画像取得手段)
322 ラインデータ解析部(第2のゴミ検出手段)
33 ゴミ移動検出部(ゴミ移動検出手段)
34 原稿画像取得部(原稿画像取得手段)
35 ゴミ除去部(ゴミ除去手段)
G 読取り位置
D1 RGBアナログ画像データ(画像データ)
D3 RGBデジタル画像データ(画像データ)
D3G Gデジタル画像データ(画像データ)
W 画素幅(背面部材の濃度と異なる濃度の領域の大きさ)
W1 周辺画素(背面部材の濃度と異なる濃度の領域の周辺部)
TA 読取期間
TB 振動周期
VB 振動振幅
Dmd 代表濃度(周辺部の濃度の代表値)
Dmax 最大濃度(濃度の最大値)
Dave 平均濃度(周辺部の濃度の平均値)
Dslp 濃度変化の最大値(周辺部の濃度変化の傾き)
DW ゴミの大きさ
DX ゴミの付着位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、特に、読取り装置(CCDなどの光学センサ)に対して原稿を移動させることによりその画像を読み取るタイプの画像読取装置において、読取り装置と原稿との間に配置される透過部材上のゴミを検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
読取り装置に対して原稿を移動させることによりその画像を読み取るタイプの画像読取装置では、読取り装置と原稿との間に設けられるガラスや光学フィルタなどの透過部材にゴミなどの異物が付着すると、読取り画像にそのゴミが線状の黒筋となって現れてしまう不具合を引き起こすことがある。
【0003】
この不具合を解消するための技術として、原稿の読取り前に原稿のない状態で読取りを行って読取り領域内のゴミを検出し、ゴミが存在する場合に、読取り装置をゴミのない領域に移動させてから原稿を読み取る、操作者に警告してゴミの除去を促す、清掃ブラシを駆動させてゴミを除去する、またはゴミの位置の画素を補正する、などの技術が開示されている。
【0004】
この際、読取り領域内にあるゴミであっても背面部材上に付着しているゴミは、通常、原稿の読取り時には原稿の読取り面の裏側に隠れるため上記の不具合を引き起こすことはなく、必ずしもその対処をする必要はない。よって、読取り領域内にあるゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別できることが望ましい。
【0005】
この判別を行うための技術として、透過部材をスライド移動させながらゴミの検出を行い、検出したゴミが透過部材の移動に伴って移動していれば透過部材上にあるゴミと判別し、移動していなければ背面部材上にあるゴミと判別する技術が開示されている(特許文献1)。
【0006】
一方、上記の不具合を解消するための他の技術として、原稿の読取り前に透過部材を高周波で振動させてゴミをふるい落とす(特許文献2、特許文献3)、または原稿の読取り時に透過部材を高周波で振動させてゴミの写りを目立たなくする(特許文献4)技術が開示されている。この場合、透過部材の振動周波数が高ければ高いほど(振動周期が短ければ短いほど)、ゴミをふるい落とす効果またはゴミの写りを目立たなくする効果が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−272829
【特許文献2】特開2004−112006
【特許文献3】特開2007−267189
【特許文献4】特開2000−324312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて、特許文献1に記載された画像読取装置では、透過部材を移動させるための機構を搭載する必要があるため、装置のサイズが大きくなる、大幅なコストアップとなるなどの欠点を有している。
【0009】
この点、特許文献2ないし特許文献4に記載された画像読取装置において、ゴミをふるい落とす目的またはゴミの写りを目立たなくする目的で行われる透過部材の振動を、読取り領域内にあるゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別する目的にも利用することができれば、透過部材を移動させるための機構を搭載する必要がないため、装置のサイズやコストアップの問題が低減される。
【0010】
しかしながら、透過部材の振動はその周期が短ければ短いほど、ゴミをふるい落とす効果またはゴミの写りを目立たなくする効果が大きいにもかかわらず、振動周期が読取り装置の読取期間(入射する光量を電荷として蓄積する時間)よりも短くなると、検出されるゴミが実際は振動に伴って移動していても読み取られた画像ではボケた状態となって現れる。そのため、通常の画像処理では振動に伴ったゴミの移動状態を確認することができず、ゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別することができない。
【0011】
本発明は、透過部材の振動によりボケた状態で読み取られたゴミの画像を解析することにより、読取り領域内に存在するゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態に係る装置は、原稿を読取る画像読取装置であって、光源から原稿が読取られる読取位置に向けて照射される光の反射光を受光し受光量に応じた電気信号である画像データを出力する読取手段と、前記読取位置と前記読取手段との間に設けられ前記反射光を透過させる透過部材と、前記読取位置および前記透過部材を挟んで前記読取手段と対向する位置に設けられた背面部材と、前記透過部材に振動を与える振動手段と、前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がない状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する第1のゴミ検出用画像取得手段と、前記第1のゴミ検出用画像取得手段により取得した画像データに存在する前記背面部材の濃度と異なる濃度の領域に基づいて前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミを検出する第1のゴミ検出手段と、を有する。
【0013】
好ましくは、前記第1のゴミ検出用画像取得手段は、前記読取手段の読取期間よりも小さい周期で前記透過部材を振動させた状態で画像データを取得し、前記第1のゴミ検出手段は、前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別する。
【0014】
好ましくは、前記第1のゴミ検出手段は、前記領域における周辺部の濃度の代表値が前記領域における濃度の最大値に対して所定以上低下している場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透過部材を振動させることによって、装置のサイズやコストアップの問題を回避しつつ、画像読取装置の読取り領域内に存在するゴミが透過部材上または背面部材上のいずれに付着しているのかを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像読取装置の構成の概略を示す図である。
【図2】制御装置の主要な構成を示すブロック図である。
【図3】透過部材の振動周期とCCDラインセンサの読取期間との関係を示す図である。
【図4】画像処理部の主要な機能の構成を示すブロック図である。
【図5】ゴミ検出処理の主要な機能の構成を示すブロック図である。
【図6】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【図7】ゴミ検出処理の全体の流れを示した図である。
【図8】ゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャートである。
【図9】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【図12】ゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャートである。
【図13】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】ラインメモリ解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【図17】ゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャートである。
【図18】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【図19】ゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャートである。
【図20】ゴミを読み取ったときの濃度データの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る画像読取装置1の構成の概略を示す図、図2は図1における制御装置21の主要な構成を示すブロック図、図3は透過部材17の振動周期とCCDラインセンサ16の読取期間との関係を示す図、図4は図2における画像処理部215の主要な機能の構成を示すブロック図である。
【0018】
画像読取装置1は、自動原稿搬送機構(ADF)を備えたシートスルータイプの画像読取装置(スキャナ)であり、ファクシミリまたは電子写真方式により記録媒体上に画像を形成する画像形成装置などに適用されることもある。
【0019】
図1に示すように、画像読取装置1は、操作者が操作しやすい適切な外部位置に設けられた操作パネル11、図示しないローラおよびその駆動源などを備えた自動原稿搬送装置12、読み取られる原稿が積載される給紙トレイ13、読み取られた原稿が排出される排出トレイ14、読取り位置Gに向けて光を照射する位置に設けられた光源15、光源15から照射された光の反射光を受光する位置に設けられたCCDラインセンサ16、読取り位置Gの近傍に設けられたEDH(Electric Document Handler)用の透過部材17、透過部材17の画像読取装置1への取り付け部分に挟み込まれた緩衝部材18、透過部材17に取り付けられた圧電素子19、原稿の搬送路を挟んで透過部材17と対向する位置に設けられた背面部材20、および種々の制御を行う制御装置21などを有する。
【0020】
操作パネル11は、各種スイッチ群およびディスプレイなどで構成され、原稿の読取り開始の指示や各種動作モードの指定を操作者から受け付けたり、動作状態を操作者に知らせたりする。特に本実施形態においては、後述する手段によって、透過部材17上または背面部材20上にゴミが検出された場合に、その旨をディスプレイに表示させる。
【0021】
自動原稿搬送装置12は、制御装置21からの指令に応じて給紙トレイ13に積載された原稿を1枚ずつ搬送経路Rに沿って搬送し、排出トレイ14に排出する。
【0022】
光源15は、原稿が読取り位置Gを通過する間、制御装置21からの指令に応じて原稿に向けて白色光を照射する。照射された光の反射光は、必要に応じてミラーおよびレンズなどを経由してCCDラインセンサ16の受光面に入射する。
【0023】
CCDラインセンサ16は、主走査方向(原稿の搬送方向と直行する方向)の画素列を1ラインとして、R(赤)色成分、G(緑)色成分、B(青)色成分用のラインセンサが副走査方向(原稿の搬送方向)に所定の間隔で配置されたものである。CCDラインセンサ16によって光電変換された電気信号はRGBアナログ画像データとして扱われる。なお、CCDラインセンサは色の識別力のないモノクロタイプであってもよい。また、CMOSなどCCD以外の光学センサを用いてもよい。
【0024】
本実施形態において、CCDラインセンサ16は、1ラインあたり7500画素のRGBアナログ画像データを出力する。この場合、A3サイズの原稿であれば600dpiの解像度が得られる。
【0025】
透過部材17は、反射光を透過させるフィルム状の光学フィルタである。透過部材は、原稿台としての役割または搬送経路としての役割を兼ね備えることもあり、その場合はガラスなどの材料からなるものとする。
【0026】
透過部材17は、緩衝部材18を介して画像読取装置1に取り付けられている。緩衝部材18を介している理由は、後述する圧電素子19により透過部材17に与えられる振動が画像読取装置1の他の部位に伝わらないようにするためである。
【0027】
圧電素子19は、交流電圧を駆動電圧として印加すると伸び縮みを繰り返して振動を発生する振動素子を所定の枚数重ねて棒状にしたものである。振動素子として例えば、圧電セラミックスなどが用いられる。なお、圧電素子を用いずに、モータによりカムを回転させて透過部材17に振動を与える仕組みにしてもよい。
【0028】
図3に示すように、圧電素子19は、主走査方向に振動するよう向きを考慮して、透過部材17の端部に取り付けられる。なお、圧電素子19は透過部材17に直接取り付けずに、透過部材17と一体となっている接続部材に取り付けるようにしてもよい。
【0029】
図3に示すように、圧電素子19が駆動電圧S10を印加されて振動すると、透過部材17にもその振動が伝わって主走査方向に周期TBおよび振幅VBで振動する。透過部材17の振動周期TB、振動振幅VBは、それぞれ駆動電圧S10の周波数f、振幅GVによって調整される。なお、図3における透過部材17の振動幅は実際より誇張して表現してある。
【0030】
本実施形態においては、透過部材17上に付着しているゴミを検出する目的で、原稿の画像読取り前に透過部材17を振動させる。他に、透過部材17上に付着しているゴミをふるい落とす目的または原稿の読取り画像中のゴミの写りを目立たなくする目的で、適宜、透過部材17を振動させることが可能である。
【0031】
背面部材20は、合成樹脂からなる白色の板状のものである。合成樹脂以外の他の材料からなるものであってもよい。背面部材20は、読取り位置Gにおいて、搬送される原稿を押さえるとともに、原稿の画像読取り前に透過部材17上または背面部材20上に付着しているゴミを検出する場合の基準色を提供する。つまり、背面部材20を読み取って得られる濃度データの値は0である。ただし、背面部材は白色以外の基準色であってもよい。すなわち、本実施形態においては、背面部材20を低濃度の白色にして高濃度のゴミを濃度差により検出するものであるが、背面部材を高濃度の基準色にして低濃度のゴミを検出するようにしてもよい。
【0032】
次に、制御装置21について、図2を用いて説明する。
【0033】
図2に示すように、制御装置21は、CPU211、ROM212、RAM213、タイミング信号発生部214、画像処理部215、ラインメモリ216、画像メモリ217、振動駆動部218、および外部IF部219などを有する。制御装置21は、操作パネル11、自動原稿搬送装置12、CCDラインセンサ16、圧電素子19、およびその他の外部機器と接続されており、それらから信号が入力され、またはそれらへ信号を出力する。
【0034】
タイミング信号発生部214、画像処理部215、振動駆動部218、および外部IF部219は、それぞれが専用の回路で実現されていてもよいし、いずれかまたはすべての機能をCPU211に受け持たせるようにしてもよい。
【0035】
ラインメモリ216および画像メモリ217は、物理的に別個のメモリであってもよいし、1つの共用メモリであってもよいし、またはRAM213内の領域を利用してもよい。
【0036】
CPU211は、ROM212に格納されたプログラムおよび入力される種々の情報に基づいて、RAM213をワークエリアとして必要な演算処理を実行し、タイミング信号発生部214、画像処理部215、振動駆動部218、および外部IF部219を制御する。
【0037】
タイミング信号発生部214は、CPU211からの制御信号S11に基づいて、CCDラインセンサ16が画像データを出力するタイミングを計るためのクロック信号CKを発生し、CCDラインセンサ16へ送信する。クロック信号CKの周期TCKは所定の値に調整可能となっている。
【0038】
図3に示すように、CCDラインセンサ16は、クロック周期TCKごとに1ラインの受光素子に蓄積された電荷を電気信号として画像処理部215へ出力する。よって、クロック周期TCKは、およそCCDラインセンサ16の1ラインあたりの読取期間(読取周期)TA(1ライン分の光電変換期間)となる。例えば、タイミング信号発生部214から送信されるクロック周期TCKが200μ秒(周波数5kHz)であれば、CCDラインセンサ16の1ラインあたりの読取期間TAもおよそ200μsである。ただし、読取期間TAは必ずしもクロック周期TCKと一致させる必要はない。つまり、クロック周期TCKはあくまでCCDラインセンサ16の受光素子に電荷を蓄積する基準の時間とし、読取期間TAはそれとは別に設定するようにしてもよい。例えば、電子シャッターなどの機能を用いて、クロック周期TCKのうち任意の読取期間TAの間に蓄積された電荷のみを取り出すようにする。この場合は、クロック周期TCKではなくシャッター時刻(スピード)を調整することにより、読取期間TAを小さくしたり大きくしたりすることが可能となる。
【0039】
画像処理部215は、CPU211からの制御信号S12に基づいて、CCDラインセンサ16から出力されるRGBアナログ画像データD1を入力し、種々の処理を施した後、G色成分の濃度データであるGデジタル画像データD3Gをラインメモリ216に記憶させ、RGB色成分の濃度データであるRGBデジタル画像データD3を画像メモリ217に記憶させる。
【0040】
画像処理部215が行う種々の処理について、図4を用いて説明する。
【0041】
図4に示すように、画像処理部215は、A/D(アナログ/デジタル)変換部215a、シェーディング補正部215b、ライン間補正部215c、解像度変換部215d、ガンマ変換部215eの各機能部から構成されている。
【0042】
A/D変換部215aは、CCDラインセンサ16から出力されるRGBアナログ画像データD1を入力し、256階調の反射率データであるRGBデジタル画像データD2に変換する処理を行う。RGBデジタル画像データD2は、0〜255の範囲の値をとり、0に近いほど黒い画像であり255に近いほど白い画像である。
【0043】
シェーディング補正部215bは、A/D変換部215aから出力されるRGBデジタル画像データD2を入力し、あらかじめ背面部材20を読み取って取得した基準色画像データに基づいて、各画素の感度のばらつきおよび光量のばらつきなどの、いわゆるスキャナむらを補正する処理を行う。
【0044】
ライン間補正部215cは、シェーディング補正部215bから出力されるRGBデジタル画像データD2を入力し、副走査方向のR−Gライン間およびG−Bライン間の読取り位置の差から生じるずれを補正する処理を行う。
【0045】
解像度変換部215dは、ライン間補正部215cから出力されるRGBデジタル画像データD2を入力し、操作パネル11を介して操作者が指定した倍率または解像度に従って、主走査方向の解像度を電気的に変換する処理を行う。
【0046】
ガンマ変換部215eは、解像度変換部215dから出力されるRGBデジタル画像データD2を入力し、ガンマ変換を行って濃度データであるRGBデジタル画像データD3に変換する処理を行う。RGBデジタル画像データD3は、0〜255の範囲の値をとり、0に近いほど白い画像であり255に近いほど黒い画像である。
【0047】
ラインメモリ216は、画像処理部215から出力される1ライン分のGデジタル画像データD3Gを記憶する。記憶されたGデジタル画像データD3GはCPU211などが実行する処理において適宜読み出される。なお、本実施形態においては、背面部材20を読み取った基準色画像データとゴミ画像データとの間のG色成分の濃度差のみを利用してゴミの検出を行うため、ラインメモリ216にG色成分のGデジタル画像データD3Gのみを記憶させている。RGB色成分の複数の濃度差を利用してゴミの検出を行うのであれば、ラインメモリにRGB色成分の複数のデジタル画像データを記憶させる。その場合、背面部材とゴミとの間の色味の違いをも考慮した、より高精度の検出が可能となる。
【0048】
画像メモリ217は、画像処理部215から出力される所定の容量分のRGBデジタル画像データD3を記憶する。記憶されたRGBデジタル画像データD3はCPU211などが実行する処理において適宜読み出され、プリンタなどの外部機器に出力される。
【0049】
なお、以降において、RGBデジタル画像データD3、Gデジタル画像データD3Gを、それぞれ濃度データD3、濃度データD3Gということがある。
【0050】
振動駆動部218は、CPU211からの制御信号S13に基づいて、圧電素子19に交流電圧を駆動電圧S10として印加する。駆動電圧S10の周波数fおよび振幅GVは、透過部材17を振動させるべき周期TBおよび振幅VBに対応する範囲で調整可能となっている。例えば、周波数fは20kHz程度とする。例えば、振幅GVは、あらかじめ調べておいた、透過部材17を0.254mm(6画素相当)の振幅で振動させるのに最適な値とする。あるいは、振動状態を電圧に変換する別の圧電素子を透過部材17に取り付けて振動振幅VBを計測し、フィードバック制御により最適な振幅GVに自動的に調整させるようにしてもよい。
【0051】
図3に示すように、振動駆動部218から周波数fおよび振幅GVの駆動電圧S10が圧電素子19に印加されると、透過部材17は周期TBおよび振幅VBで振動する。
【0052】
外部IF部219は、外部機器との間で信号またはデータをやり取りするためのインタフェース機能を提供する。
【0053】
図5は、図2におけるCPU211で実現されるゴミ検出処理の主要な機能の構成を示すブロック図である。
【0054】
振動時ゴミ検出部31は、透過部材17を振動させた状態でゴミの検出処理を行う。
【0055】
静止時ゴミ検出部32は、透過部材17を静止(振動を停止)させた状態でゴミの検出処理を行う。
【0056】
ゴミ移動検出部33は、透過部材17の振動によりゴミが移動したか否かの判別処理を行う。
【0057】
原稿画像取得部34は、原稿を画像データとして読み取る処理を行う。
【0058】
ゴミ除去部35は、透過部材17上に存在するゴミをふるい落とす目的で透過部材17を振動させる処理を行う。
【0059】
振動時ゴミ検出部31の処理内容について説明する。ラインデータ取得部311は、振動駆動部218に制御信号S13を送信して透過部材17を所望の周期TBおよび振幅VBで振動させ、タイミング信号発生部214に制御信号S11を送信してCCDラインセンサ16に所望の読取期間TAで背面部材20を読み取らせ、画像処理部215に制御信号S12を送信してラインメモリ216に1ライン分の濃度データD3Gを記憶させる。ラインデータ解析部312は、ラインメモリ216に記憶された1ライン分の濃度データD3Gを解析する。
【0060】
ラインデータ解析部312は、ゴミ付着位置算出部312aにゴミの付着位置DX(主走査方向の画素位置)を算出させる。または、ゴミ付着部材判別部312bにゴミが透過部材17上または背面部材20上のいずれに付着しているかを判別させる。または、ゴミサイズ算出部312cにゴミの大きさDW(主走査方向の幅)を算出させる。
【0061】
図6(a)は、透過部材17の振動周期TBをCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さくなるように設定し、振動振幅VBを3画素相当に設定した場合において、振動時ゴミ検出部31が背面部材20上に付着しているゴミH1および透過部材17上に付着しているゴミH2を読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0062】
ゴミH1は、透過部材17の振動による影響を受けずにそのまま濃度データD3Gに現れる。よって、濃度が0より高い値(この例では100)となる連続する画素幅Wは5画素であり、ゴミH1の大きさとほぼ同じである。
【0063】
一方、ゴミH2は、透過部材17の振動とともに振動し、その振動周期TBがCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも短周期であるため、主走査方向にぶれた状態で濃度データD3Gに現れる。つまり、ゴミH2はボケた状態で読み取られる。よって、ゴミH2の実際の大きさはゴミH1と変わらないにもかかわらず、画素幅Wは11画素となる。また、濃度は画素幅Wの中央の画素位置に向かって上昇し(10、30、50、80、90、100)、濃度変化の形状は山なり形状となる。
【0064】
なお、画素幅Wは、濃度が0より大きい所定の値(ゴミ濃度判別閾値TH)を取る連続する画素幅としてもよい。つまり、ゴミ濃度判別閾値THには0以上の値が設定される。
【0065】
ゴミ付着位置算出部312aは、濃度がゴミ濃度判別閾値THより高い値を取る画素が1つ以上存在すれば、ゴミが透過部材17上または背面部材20上に付着していると判断し、連続する画素幅Wに含まれる任意の画素位置をゴミの付着位置DX(主走査方向の画素位置)とする。任意の画素位置は、端側の画素や中央の画素などである。
【0066】
例えば、図6(a)において、画素幅Wに含まれる中央の画素位置をゴミの付着位置DXとすると、ゴミH1の付着位置DXは4003画素、ゴミH2の付着位置DXは5008画素と算出される。
【0067】
ゴミ付着部材判別部312bは、CCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい周期TBで透過部材17を振動させた状態で読み取られたゴミについては、透過部材17上のゴミと背面部材20上のゴミとの間に生じる濃度データD3Gの現れ方の違いを利用してゴミが付着している部材の判別を行う。
【0068】
具体的には、画素幅Wがゴミ付着部材判別閾値C1よりも大きければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、画素幅Wがゴミ付着部材判別閾値C1よりも小さければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。ゴミ付着部材判別閾値C1は、透過部材17の振動幅(振幅VBの2倍)に相当する画素数またはそれよりも大きい画素数であり、透過部材17の振動振幅VB、および付着する可能性がある標準的なゴミの特性などを考慮して設定される。
【0069】
つまり、この判別方法は、透過部材17上のゴミが主走査方向にぶれた状態で濃度データに現れた場合に、その画素幅Wが本来のゴミの大きさよりも肥大することを利用して、画素幅Wが所定の値以上である場合に、ゴミが透過部材17上に付着していると判別する。
【0070】
例えば、図6(a)において、ゴミ付着部材判別閾値C1を6画素とすると、ゴミH1の画素幅W(=5画素)は6画素よりも小さいので、ゴミH1は背面部材20上のゴミと判別される。一方、ゴミH2の画素幅W(=11画素)は6画素よりも大きいので、ゴミH2は透過部材17上のゴミと判別される。
【0071】
しかしながら、この判別方法では、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができない。例えば、ゴミ付着部材判別閾値C1を6画素とすると、背面部材20上に付着している9画素相当の大きさのゴミH3は透過部材17上のゴミと判別されてしまう。
【0072】
そこで、別の判別方法では、画素幅Wのうちの端側の画素から数えて所定の画素範囲、つまり画素幅Wのエッジ部分を周辺画素W1とし、画素幅Wにおける最大濃度Dmaxと周辺画素W1における代表濃度Dmdとの濃度差を算出する。濃度差がゴミ付着部材判別閾値C2よりも大きれば、画素幅W部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、濃度差がゴミ付着部材判別閾値C2よりも小さければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。周辺画素W1の画素範囲は、透過部材17の振動振幅VBに相当する画素数またはそれよりも大きい画素数とする。代表濃度Dmdは、周辺画素W1における濃度の平均値、中央値、最頻値などの値とする。ゴミ付着部材判別閾値C2は、透過部材17の振動振幅VB、および付着する可能性がある標準的なゴミの特性などを考慮して設定される。
【0073】
つまり、この判別方法は、透過部材17上のゴミが主走査方向にぶれた状態で濃度データに現れた場合に、その周辺画素W1における濃度が相対的に薄くなることを利用して、周辺画素W1における濃度の代表値が画素幅Wにおける最大値に対して所定以上低下している場合に、ゴミが透過部材17上に付着していると判別する。
【0074】
例えば、図6(a)において、周辺画素W1の画素範囲を3画素とし代表濃度Dmdを周辺画素W1における平均濃度としゴミ付着部材判別閾値C2を20とすると、ゴミH2の画素幅Wにおける最大濃度Dmaxと周辺画素W1における代表濃度Dmdとの濃度差70(=100−((10+30+50)/3))は20より大きいので、ゴミH2は透過部材17上のゴミと判別される。一方、ゴミH3の画素幅Wにおける最大濃度Dmaxと周辺画素W1における代表濃度Dmdとの濃度差0(=100−100)は20より小さいのでゴミH3は背面部材20上のゴミと判別される。よって、背面部材20上に付着している9画素相当の大きさのゴミH3が透過部材17上のゴミと誤って判別されてしまうことはない。
【0075】
また、さらに別の判別方法では、周辺画素W1における平均濃度Daveがゴミ付着部材判別閾値C3よりも低ければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、周辺画素W1における平均濃度Daveがゴミ付着部材判別閾値C3よりも高ければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。ゴミ付着部材判別閾値C3は、透過部材17の振動振幅VB、および付着する可能性がある標準的なゴミの特性などを考慮して設定される。
【0076】
つまり、この判別方法は、透過部材17上のゴミが主走査方向にぶれた状態で濃度データに現れた場合に、その周辺画素W1における濃度が薄くなる(背面部材20の濃度0に近づく)ことを利用して、周辺画素W1における濃度の平均値と背面部材20の濃度との濃度差が所定の値以下である場合に、ゴミが透過部材17上に付着していると判別する。
【0077】
例えば、図6(a)において、周辺画素W1の画素範囲を3画素としゴミ付着部材判別閾値C3を80とすると、ゴミH2の周辺画素W1における平均濃度Daveは30(=(10+30+50)/3)で80より低いので、ゴミH2は透過部材17上のゴミと判別される。一方、ゴミH3の周辺画素W1における平均濃度Daveは100で80より高いのでゴミH3は背面部材20上のゴミと判別される。よって、背面部材20上に付着している9画素相当の大きさのゴミH3が透過部材17上のゴミと誤って判別されてしまうことはない。
【0078】
また、さらに別の判別方法では、周辺画素W1における濃度変化(隣り合う画素の濃度差)の最大値Dslpがゴミ付着部材判別閾値C4よりも小さければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、周辺画素W1における濃度変化Dslpがゴミ付着部材判別閾値C4よりも大きければ、画素幅W部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。ゴミ付着部材判別閾値C4は、透過部材17の振動振幅VB、および付着する可能性がある標準的なゴミの特性などを考慮して設定される。
【0079】
つまり、この判別方法は、透過部材17上のゴミが主走査方向にぶれた状態で濃度データに現れた場合に、その周辺画素W1における濃度がなだらかに変化することを利用して、周辺画素W1における濃度変化の傾きが所定の値以下である場合に、ゴミが透過部材17上に付着していると判別する。
【0080】
例えば、図6(a)において、周辺画素W1の画素範囲を3画素としゴミ付着部材判別閾値C4を70とすると、ゴミH2の周辺画素W1における濃度変化の最大値Dslpは20(=50−30)で70より小さいので、ゴミH2は透過部材17上のゴミと判別される。一方、ゴミH3の周辺画素W1における濃度変化の最大値Dslpは100で70より大きいので、ゴミH3は背面部材20上のゴミと判別される。よって、この場合も、背面部材20上に付着している9画素相当の大きさのゴミH3が透過部材17上のゴミと誤って判別されてしまうことはない。
【0081】
なお、濃度変化は、隣り合う画素の濃度差ではなく、画素幅Wまたは周辺画素W1に含まれるすべての画素または複数の画素の濃度変化としてもよい。
【0082】
ゴミサイズ算出部312cは、CCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい周期TBで透過部材17を振動させた状態で読み取られたゴミについては、ゴミ付着部材判別部312bにより判別されたゴミが付着している部材を考慮してゴミの大きさDW(主走査方向の幅)を算出する。
【0083】
具体的には、ゴミが透過部材17上に付着していると判別された場合には、画素幅W(ゴミの見かけ上の大きさ)から所定の画素数を減じた画素幅をゴミの大きさDWとする。減ずる所定の画素数は、透過部材17の振動幅(振幅VBの2倍)に相当する画素数またはそれよりも大きい画素数とする。一方、ゴミが背面部材20上に付着していると判別された場合には、画素幅Wをそのままゴミの大きさDWとする。
【0084】
例えば、図6(a)において、減ずる所定の画素数を6画素とすると、透過部材17上に付着しているゴミH2の大きさDWは5(=11−6)画素と算出される。一方。背面部材20上に付着しているゴミH1の大きさDWは5画素と算出される。
【0085】
図6(b)は、透過部材17の振動周期TBをCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きくなるように設定し、振動振幅VBを3画素相当に設定した場合において、振動時ゴミ検出部31が背面部材20上に付着しているゴミH1および透過部材17上に付着しているゴミH2を読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。上段の濃度グラフが時刻t1のときの濃度分布であり、下段のグラフが時刻t2のときの濃度分布である。
【0086】
ゴミH1は、透過部材17の振動による影響を受けないため、時刻t1および時刻t2において同じ画素位置に濃度データD3Gとして現れる。一方、ゴミH2は、透過部材17の振動とともに振動し、その振動周期TBがCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも長周期であるため、時刻t1と時刻t2との間で異なる画素位置(主走査方向に移動した位置)に濃度データD3Gとして現れる。
【0087】
ゴミ付着部材判別部312bは、CCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きい周期TBで透過部材17を振動させた状態で読み取られたゴミについては、透過部材17上のゴミと背面部材20上のゴミとの間に生じる、時刻ごとの濃度データD3Gの現れ方の違いを利用してゴミが付着している部材の判別を行う。
【0088】
具体的には、ゴミ付着位置算出部312aが算出した異なる時刻におけるゴミの付着位置DXを比較し、差異があれば、その部分の濃度データD3Gは透過部材17上のゴミが現れたデータと判別する。一方、差異がなければ、その部分の濃度データD3Gは背面部材20上のゴミが現れたデータと判別する。
【0089】
例えば、図6(b)において、ゴミH1の付着位置DX(中央の画素位置)は時刻t1と時刻t2とにおいて4003画素であるので、ゴミH1は背面部材20上のゴミと判別される。一方、ゴミH2の付着位置DX(中央の画素位置)は時刻t1において5008画素であるのに対し、時刻t2において5005画素であり差異が生じているので、ゴミH2は背面部材20上のゴミと判別される。
【0090】
なお、本実施例においては、透過部材17を主走査方向に振動させているが、副走査方向に振動させるようにしてもよい。その場合、透過部材17上のゴミは、CCDラインセンサ16が読み取る時刻(タイミング)によって異なる画素位置に移動して濃度データD3Gに現れるのではなく、ある時刻では現れるが、ある時刻では全く現れなくなる。一方、背面部材20上のゴミは、CCDラインセンサ16が読み取る時刻に関係なく常に濃度データD3Gに現れる。よって、両者の間に生じるこの違いを利用してゴミの付着している部材の判別を行うことが可能である。
【0091】
ゴミサイズ算出部312cは、CCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きい周期TBで透過部材17を振動させた状態で読み取られたゴミについては、画素幅Wをそのままゴミの大きさDWとする。
【0092】
例えば、図6(b)において、時刻t1および時刻t2のいずれにおいてもゴミH1およびゴミH2の大きさDWは5画素と算出される。
【0093】
静止時ゴミ検出部32の処理内容について説明する。ラインデータ取得部321は、タイミング信号発生部214に制御信号S11を送信してCCDラインセンサ16に所望の読取期間TAで背面部材20を読み取らせ、画像処理部215に制御信号S12を送信してラインメモリ216に1ライン分の濃度データD3Gを記憶させる。ラインデータ解析部322は、ラインメモリ216に記憶された1ライン分の濃度データD3Gを解析する。
【0094】
ラインデータ解析部322は、ゴミ付着位置算出部322aにゴミの付着位置DXを算出させる。または、ゴミサイズ算出部322bにゴミの大きさDWを算出させる。
【0095】
図6(c)は、静止時ゴミ検出部32が背面部材20上に付着しているゴミH1および透過部材17上に付着しているゴミH2を読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0096】
ゴミ付着位置算出部322aは、濃度がゴミ濃度判別閾値THより高い値を取る画素が1つ以上存在すれば、ゴミが透過部材17上または背面部材20上に付着していると判断し、連続する画素幅Wに含まれる任意の画素位置をゴミの付着位置DXとする。任意の画素位置は、端側の画素や中央の画素などである。
【0097】
例えば、図6(c)において、画素幅Wに含まれる中央の画素位置をゴミの付着位置DXとすると、ゴミH1の付着位置DXは4003画素、ゴミH2の付着位置DXは5008画素と算出される。
【0098】
ゴミサイズ算出部322bは、画素幅Wをそのままゴミの大きさDWとする。
【0099】
例えば、図6(c)において、ゴミH1およびゴミH2の大きさDWは5画素と算出される。
【0100】
静止時ゴミ検出部32においては、ゴミの付着の有無を確認することはできるが、透過部材17上または背面部材20上のいずれに付着しているかまでは判別できない。
【0101】
ゴミ移動検出部33の処理内容について説明する。ゴミ移動検出部33は、ゴミ付着位置算出部312aが算出したゴミの付着位置DXとゴミ付着位置算出部322aが算出したゴミの付着位置DXとを比較し、差異があればそのゴミは移動していると判断する。一方、差異がなければ、そのゴミは移動していないと判断する。
【0102】
例えば、図6(a)においてゴミH2の付着位置DX(中央の画素位置)は5008画素であり、図6(c)においてゴミH2の付着位置DX(中央の画素位置)も5008画素であるので、ゴミH2は移動していないと判断される。
【0103】
原稿画像取得部34の処理内容について説明する。原稿画像取得部34は、必要に応じて振動駆動部218に制御信号S13を送信して透過部材17を所望の周期TBおよび振幅VBで振動させ、タイミング信号発生部214に制御信号S11を送信してCCDラインセンサ16に所望の読取期間TAで原稿を読み取らせ、画像処理部215に制御信号S12を送信して画像メモリ217に原稿1枚分の濃度データD3を記憶させる。次に、画像メモリ217から原稿1枚分の濃度データD3を取得する。
【0104】
ゴミ除去部35の処理内容について説明する。ゴミ除去部35は、透過部材17上に存在するゴミをふるい落とす目的で、振動駆動部218に制御信号S13を送信して透過部材17を所望の周期TBおよび振幅VBで振動させる。
【0105】
上記の機能の全部またはいずれかを組み合わせた処理を構築することで、様々なゴミの検出方法を実現し得る。そのうちのいくつかの実施例について説明する。
【0106】
はじめに、振動時ゴミ検出部31のみを用いてゴミの検出を行う単純なケースについて、基本的な処理の流れを説明する。
【0107】
図7は、振動時ゴミ検出部31を用いたゴミ検出処理の全体の流れを示した図である。
【0108】
図7に示すように、操作パネル11などから指令を受けて振動時ゴミ検出部31が起動されると、ラインデータ取得部311により、圧電素子19を介して透過部材17に振動が与えられ(#101)、光源15からの光による背面部材20からの反射光がCCDラインセンサ16において光電変換され、ゴミ検出用画像データD3Gが取得される(#102)。次に、ラインデータ解析部312により、取得された画像データD3Gが解析されてゴミの検出が行われる(#103)。ゴミが検出された場合、操作パネル11を介して検出結果が表示される。また、清掃ブラシが駆動してゴミが除去され、ゴミ除去部35により透過部材17に振動が与えられてゴミが除去され、CCDラインセンサ16がゴミの影響を受けない読取り位置に移動され、原稿画像取得部34により原稿読取り時に透過部材17に振動が与えられ、または原稿画像のうちゴミが存在する位置の画素が補正されるなど、種々の対処を行わせることが可能である。
【0109】
以下に、さらに詳細な処理の流れをも含めた実施例についてフローチャートを用いて説明する。
〔ゴミ検出の実施例1−1〕
実施例1−1では、透過部材17を振動させた状態でゴミの検出を行う。
【0110】
図8はゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャート、図9および図10は図8におけるラインメモリ解析処理(#403)の一例を示すフローチャート、図11(a)は背面部材20上に付着しているAの大きさのゴミを読み取ったときの1ラインの濃度データD3Gの一部を示す図、図11(b)は透過部材17上に付着しているAの大きさのゴミを読み取ったときの1ラインの濃度データD3Gの一部を示す図、図11(c)は背面部材20上に付着しているBの大きさのゴミを読み取ったときの1ラインの濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0111】
なお、図8ないし図10のフローチャートにおける各処理ステップは、振動時ゴミ検出部31および原稿画像取得部34などにより行われる。
【0112】
図8に示すように、はじめに、圧電振動子19を介して透過部材17を振動させる(#401)。この場合の透過部材17を振動させる振動周期TBは、CCDラインセンサ16に背面部材20を読み取らせる読取期間TAよりも小さくなるように設定する。そして、CCDラインセンサ16において読み取られて画像処理部215において画像処理された1ラインの濃度データD3Gをラインメモリ216に取得する(#402)。取得した1ラインの濃度データD3Gを解析し、ゴミの付着有無、付着部材、大きさ、および付着位置などを検出する(#403)。この解析処理の一例については後述する。濃度データD3Gの解析が終了したら、透過部材17の振動を停止させる(#404)。解析結果において透過部材17上または背面部材20上にゴミが1つ以上存在すると判断された場合(#405でYes)、検出されたゴミの数、付着部材(透過部材17または背面部材20)、および大きさの最大値などを操作パネル11に表示させ、操作者へ警告する(#406)。一方、解析結果において透過部材17上または背面部材20上にゴミが1つも存在しないと判断された場合(#405でNo)、自動原稿搬送装置12を介して原稿を搬送させ原稿の画像を読み取る(#407)。
【0113】
図9および図10のフローチャートに登場する変数名について説明する。
【0114】
d(i) :ラインメモリ216に取得した画像のうち主走査方向の画素位置i(0〜7500)の画素の濃度
x(n) :検出したn個目のゴミ画像の主走査方向の画素位置(0〜7500)
w(n) :検出したn個目のゴミ画像の大きさ(主走査方向の画素範囲)
c(n) :検出したn個目のゴミ画像の濃度傾きの最大値
a(n) :検出したn個目のゴミ画像の周辺部の平均濃度
p(n) :検出したn個目のゴミの付着部材(透過部材17または背面部材20)
i、j :主走査方向に配列された7500画素のうちの注目画素の位置を示す一時変数(ワーク変数)であり、ループ処理の回数をカウントするためにも用いられる。
【0115】
n :検出したゴミが何個目のゴミであるかを示す一時変数(ワーク変数)
x :検出したゴミ画像の主走査方向の画素位置を示す一時変数(ワーク変数)
w :検出したゴミ画像の大きさを示す一時変数(ワーク変数)
c :検出したゴミ画像の濃度傾きの最大値を示す一時変数(ワーク変数)
a :検出したゴミ画像の周辺部の濃度合計値を示す一時変数(ワーク変数)
図9および図10のフローチャートに示す処理について説明する。
【0116】
最初に、注目画素の主走査位置i、ゴミの検出個数n、および1個目のゴミの主走査位置x(1)を初期化する(#501)。注目画素を1画素目から7500画素目まで順次ずらしながら繰り返し処理を行うので、iを1で初期化する。これからゴミを検出する状態(いまだゴミが検出されていない状態)なので、nを1、x(1)を0で初期化する。
【0117】
注目画素の濃度d(i)が濃度判別閾値TH(例えば、5)以上であれば(#502でYes)、当該画素はゴミが読み取られた画像(以下、ゴミ画像とする。)の一部の画素(以下、ゴミ画素とする。)であると判断し、注目画素の主走査位置j、ゴミ画像の大きさw、ゴミ画像の周辺部の濃度合計値a、およびゴミ画像の濃度傾きの最大値cを初期化する(#503)。注目画素をゴミ画素が連続する間順次ずらしながら繰り返し処理を行うので、jをi+1で初期化する。これからゴミ画像を調べる状態なので、w、a、およびcをそれぞれ0で初期化する。初期化の後、#504〜#512の後続処理を行う。一方、d(i)がTH未満であれば(#502でNo)、当該画素はゴミ画素でないと判断し、iをインクリメントして注目画素の主走査位置を移動させる(#520)。
【0118】
初期化(#503)の後、注目画素の濃度d(j)が濃度判別閾値TH以上であれば(#504でYes)、当該画素はゴミ画素であると判断し、#514〜#519の後続処理を行う。つまり、#502で不連続の最初のゴミ画素を発見した後、当該画素からゴミ画素が連続する間が1つのゴミ画像であると判断し、#514〜#519の処理を繰り返す。
【0119】
連続するゴミ画素数(#504でYesが成立する回数)をゴミ画像の大きさ(ゴミの見かけ上の大きさ)とするので、ゴミ画像の大きさwをインクリメントして注目画素をゴミ画像の大きさに加える。(#514)。
【0120】
1つのゴミ画像において連続する画素間の濃度差の絶対値を濃度傾きとし、その最大値cを取得するので、現在の注目画素と1つ前の注目画素との濃度差の絶対値を濃度傾きとして取得し、当該濃度傾きがそれまでのゴミ画像の濃度傾きの最大値cを超えれば(#515でYes)、cを当該濃度傾きに更新する(#516)。
【0121】
注目画素までに連続しているゴミ画素数wが所定の画素数W1(例えば、5画素)未満の範囲の画素数であれば(#517でYes)、ゴミ画像の周辺部の濃度合計値aに当該画素の濃度d(j)を加算した値に更新する。
【0122】
注目画素の濃度d(j)が濃度判別閾値TH未満であれば(#504でNo)、当該画素はゴミ画素でないと判断し、#505〜#512の後続処理を行う。つまり、#505〜#512の処理は、1つのゴミ画像のデータ取得(#514〜#519)が終了した後の処理である。
【0123】
n個目のゴミ画像のデータ取得が終了したので、nをインクリメントして次に検出する際のゴミの番号に更新し、n個目のゴミ画像の開始位置iに終了位置jを加算して2で除算した値をx(n)に取得し、n個目のゴミ画像の大きさw、濃度傾きの最大値cを、それぞれw(n)、c(n)に取得する(#505)。
【0124】
n個目のゴミ画像の大きさwが所定の画素数W1(例えば、5画素)を超えれば(#506でYes)、n個目のゴミ画像の周辺部の濃度合計値aをW1で除算した値をn個目のゴミ画像の周辺部の平均濃度a(n)に取得する(#507)。一方、wがW1以下であれば(#506でNo)、aをwで除算した値をa(n)に取得する(#508)。
【0125】
n個目のゴミ画像の大きさwが所定の画素数W2(例えば、6画素)を超えれば(#509でYes)、p(n)に透過部材17を示す定義値を設定するとともに、wを所定の画素数W3(例えば、6画素)で減算した値に更新して実際のゴミの大きさとする(#510)。一方、wがW2以下であれば(#509でNo)、p(n)に背面部材20を示す定義値を設定する(#511)。
【0126】
注目画素の主走査位置iにn個目のゴミ画像が占める画素数分jを加算して注目画素の主走査位置を移動させる(#512)。
【0127】
注目画素の主走査位置iが7500画素に到達するまで(#513でNoの間)、#502以降の処理を繰り返し、iが7500画素に到達すれば(#513でYes)、処理を終了する。
【0128】
実施例1−1を用いてゴミを検出した場合の一例について図11を用いて説明する。
【0129】
図10の#509〜#511において、所定の画素数W2を6画素とすると、図11(a)におけるゴミ画像の大きさw(=5画素)はW2よりも小さいので背面部材20上のゴミと判断され、図11(b)におけるゴミ画像の大きさw(=9画素)はW2よりも大きいので透過部材17上のゴミと判断され、正しい検出結果が得られる。ところが、図11(c)における背面部材20上のゴミ画像の大きさw(=9画素)はW2よりも大きいので、透過部材17上のゴミと誤って判断されてしまう。つまり、実施例1−1では、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができない。
〔ゴミ検出の実施例1−2〕
実施例1−2では、実施例1−1における、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができない問題を解決している。
【0130】
実施例1−2の処理の流れは基本的に実施例1−1と同じである。ただし、#509において、実施例1−1では“w>W2”で判断していた箇所を、“a(n)<A1”に変更する。つまり、n個目のゴミ画像の周辺部(W1の画素範囲)の平均濃度a(n)が所定の濃度A1(例えば、80)未満であれば(#509でYes)、p(n)に透過部材17を示す定義値を設定するとともに、wを所定の画素数W3で減算した値に更新して実際のゴミの大きさとする(#510)。一方、a(n)がA1以上であれば(#509でNo)、p(n)に背面部材を示す定義値を設定する(#511)。
【0131】
実施例1−2を用いてゴミを検出した場合の一例について図11を用いて説明する。
【0132】
図10の#509(変更後)〜#511において、所定の画素数W1を5画素とし所定の濃度A1を80とすると、図11(b)におけるゴミ画像の周辺部の平均濃度a(n)(=60)はA1よりも小さいので透過部材17上のゴミと判断され、図11(c)におけるゴミ画像の周辺部の平均濃度a(n)(=100)はA1よりも大きいので背面部材20上のゴミと判断され、正しい検出結果が得られる。つまり、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができている。
〔ゴミ検出の実施例1−3〕
実施例1−3でも、実施例1−1における、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミの判別ができない問題を解決している。
【0133】
実施例1−3の処理の流れも基本的に実施例1−1と同じである。ただし、#509において、実施例1−1では“w>W2”で判断していた箇所を、“c(n)<C1”に変更する。つまり、n個目のゴミ画像の濃度傾きの最大値c(n)が所定の濃度傾きC1(例えば、70)未満であれば(#509でYes)、p(n)に透過部材17を示す定義値を設定するとともに、wを所定の画素数W3で減算した値に更新して実際のゴミの大きさとする(#510)。一方、c(n)がC1以上であれば(#509でNo)、p(n)に背面部材20を示す定義値を設定する(#511)。
【0134】
実施例1−3を用いてゴミを検出した場合の一例について図11を用いて説明する。
【0135】
図10の#509(変更後)〜#511において、所定の濃度傾きC1を70とすると、図11(b)におけるゴミ画像の濃度傾きの最大値c(n)(=40)はC1よりも小さいので透過部材17上のゴミと判断され、図11(c)におけるゴミ画像の濃度傾きの最大値c(n)(=100)はC1よりも大きいので背面部材20上のゴミと判断され、正しい検出結果が得られる。つまり、背面部材20上に付着している大きなゴミと透過部材17上に付着している小さなゴミとの判別ができている。
【0136】
なお、本実施例においては、隣り合う画素の濃度差を濃度変化(濃度傾き)としたが、複数画素の濃度変化の平均値を濃度変化としてもよい。また、本実施例においては、ゴミ画像全体についての濃度変化を求めたが、ゴミ画像の周辺部(W1の画素範囲)に含まれる複数の画素の濃度変化を求めてもよい。
〔ゴミ検出の実施例2−1〕
実施例1−1〜1−3では、ゴミを検出するために透過部材17を振動させることで、透過部材17の読取り領域内にそれまで存在しなかったゴミが読取り領域内に移動してくるおそれがある。その場合、透過部材17を振動させたことがかえってよくない結果をもたらす。実施例2−1は、実施例1−1〜1−3で生じるこの弊害に対処するための改良を施した例である。
【0137】
図12は実施例2−1のゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャート、図13は図12におけるラインメモリ解析処理(#603)の一例を示すフローチャート、図14および図15は図12におけるラインメモリ解析処理(#607)の一例を示すフローチャート、図16(a)は透過部材17の振動を停止させた状態で透過部材17上および背面部材20上に付着しているゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図、図16(b)は透過部材17を振動させた状態で図16(a)と同様のゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0138】
なお、図12ないし図15のフローチャートにおける各処理ステップは、振動時ゴミ検出部31、静止時ゴミ検出部32および原稿画像取得部34などにより行われる。
【0139】
図12に示すように、実施例2−1では、透過部材17の振動を停止させた状態でゴミの検出を行い(#601〜#603)、ゴミが検出された場合にのみ(#604)、透過部材17をCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい振動周期TBで振動させた状態でゴミの検出を行う(#605〜#608)。解析結果に応じて操作者への警告または原稿画像の読取りを行う(#609〜#611)。
【0140】
図13ないし図15のフローチャートについては、それぞれ図9および図10のフローチャートに示す処理から一部のステップを削除したものに相当するので説明を省略する。
【0141】
実施例2−1を用いてゴミを検出した場合の一例について図16を用いて説明する。
【0142】
図13の#705において、図16(a)における2つのゴミ画像の主走査位置x(n)および大きさw(n)が取得される。また、図15の#809〜#811において、図16(b)における左側のゴミは透過部材17上のゴミと判断され、右側のゴミは背面部材20上のゴミと判断される。つまり、ゴミの付着位置および大きさの算出は透過部材17の振動を停止させた状態で行われ、ゴミの付着部材の判別は透過部材17を振動させた状態で行われる。
【0143】
よって、実施例1−1〜1−3での検出結果と較べ、ゴミの付着位置および大きさについて、より正確な検出ができる。また、透過部材17の読取り領域内にゴミが存在しない場合には透過部材17を振動させないため、透過部材17を振動させたことでゴミが読取り領域内に移動してくることはない。
〔ゴミ検出の実施例2−2〕
実施例1−1〜1−3では、ゴミを検出するために透過部材17を振動させることで、透過部材17の読取り領域内にそれまで存在していたゴミが読取り領域外に移動していくおそれがある。その場合、ゴミが読取り領域外に移動していくこと自体は好ましいことであるが、ゴミの検出結果は誤ったものとなる。実施例2−2は、実施例1−1〜1−3で生じるこの弊害に対処するための改良を施した例である。
【0144】
図17は実施例2−2のゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャート、図18(a)は透過部材17を振動させた状態で透過部材17上および背面部材20上に付着しているゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図、図18(b)は透過部材17の振動を停止させた状態で図18(a)と同様のゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0145】
図17におけるラインメモリ解析処理(#903)、ラインメモリ解析処理(#907)の一例は、それぞれ先述の図9、図13のフローチャートに示すとおりである。
【0146】
なお、図17のフローチャートにおける各処理ステップは、振動時ゴミ検出部31、静止時ゴミ検出部32、ゴミ移動判別部33および原稿画像取得部34などにより行われる。
【0147】
図17に示すように、実施例2−2では、透過部材17をCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい振動周期TBで振動させた状態でゴミの検出を行い(#901〜#903)、個別にゴミ画像の付着位置を保持しておく(#904)。次に、透過部材17の振動を停止させた状態でゴミの検出を行い(#905〜#907)、振動させた状態で検出した(例えば、n個目の)ゴミ画像の付着位置と、振動を停止させた状態で検出した対応する(例えば、n個目の)ゴミ画像の付着位置とを比較し(#908)、所定の個数(例えば、1個)以上のゴミの付着位置に差異があれば(#909でNo)、ゴミが振動による影響で移動していると判断し、先の検出結果を無効として#901〜#908までのゴミの検出処理を再度行う。一方、付着位置に差異があるゴミが所定の個数未満であれば(#909でYes)、解析結果に応じて操作者への警告または原稿画像の読取りを行う(#910〜#912)。
【0148】
実施例2−2を用いてゴミを検出した場合の一例について図18を用いて説明する。
【0149】
図17の#908〜#909において、1個以上のゴミの付着位置に差異があればゴミが移動していると判断すると、図18(a)における左側のゴミ画像の主走査位置x1(n)と、図18(b)における左側のゴミの主走査位置x2(n)とが比較され、両者の主走査位置は一致しないので、少なくとも1個以上のゴミの付着位置が振動による影響で移動していると判断され、再度ゴミの検出処理が行われる。
【0150】
よって、ゴミが読取り領域外に移動した場合にはゴミの検出結果は無効とされるため、誤ったゴミの検出結果が取得されることはなく、正確なゴミの付着位置を検出することができる。
〔ゴミ検出の実施例3−1〕
透過部材17をCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さい振動周期TBで振動させると、読み取られたゴミは主走査方向にぶれた状態で濃度データD3Gに現れる。よって、既に示した実施例では、ぶれた状態の濃度データD3Gを解析することによりゴミの検出を行っている。しかしながら、本来はゴミが移動している状態を読み取るほうが、より正確なゴミの付着有無、付着部材、大きさ、および付着位置などを検出することができるので好ましい。
【0151】
実施例3−1は、その点を考慮し、透過部材17をCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きい振動周期TBで振動させた状態でゴミの検出を行う例である。
【0152】
図19は実施例3−1のゴミ検出処理の全体制御を示すフローチャート、図20は透過部材17を振動させた状態で透過部材17上に付着しているゴミを読み取ったときの1ライン分の濃度データD3Gの一部を示す図である。
【0153】
なお、図19のフローチャートにおける各処理ステップは、振動時ゴミ検出部31、原稿画像取得部34、およびゴミ除去部35などにより行われる。
【0154】
図19に示すように、実施例3−1では、振動周期TBをCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも大きいTB2(例えば、1000μs)に設定して透過部材17を振動させる(#1001〜#1002)。振動周期TB2で振動させた状態で1回目のゴミの検出を行い(#1003〜#1004)、個別にゴミ画像の付着位置を保持しておく(#1005)。次に、振動周期TB2で振動させた状態で2回目のゴミの検出を行う(#1006〜#1007)。1回目に検出した(例えば、n個目の)ゴミ画像の付着位置と、2回目に検出した対応する(例えば、n個目の)ゴミ画像の付着位置とを比較し(#1008)、所定の範囲(例えば、1〜2画素)内の差異があれば(#1009でYes)、そのゴミは透過部材17上のゴミと判断し(#1010)、差異がないまたは所定の範囲を超える差異があれば(#1009でNo)、そのゴミは背面部材20上のゴミと判断する(#1011)。ゴミの検出が終了したら、透過部材17を振動させる周期TBをCCDラインセンサ16の読取期間TAよりも小さいTB1(例えば、50μs)に戻し(#1012)、解析結果に応じて操作者への警告または原稿画像の読取りを行う(#1013〜#1015)。必要に応じて透過部材17を振動周期TB1で振動させた状態でゴミの除去または原稿画像の読取りを行う。
【0155】
実施例3−1を用いてゴミを検出した場合の一例について図20を用いて説明する。
【0156】
図20に示すように、透過部材17上に付着しているゴミは、CCDラインセンサ16が読み取るタイミングtによって、透過部材17の振動振幅VBの範囲内で主走査位置が移動して濃度データD3Gに現れる。図19の#1004において時刻t1の主走査位置x1(n)が取得され、#1007において時刻t2の主走査位置x2(n)が取得されるとすると、#1008において時刻t1の主走査位置x1(n)と時刻t2の主走査位置x2(n)とが比較され、両者の主走査位置は一致しないので、ゴミは透過部材17上のゴミと判断される。
【0157】
このように、ゴミ検出時は透過部材17の振動周期TBを上げる(周波数を下げる)、ゴミ除去時および原稿画像読取り時は透過部材17の振動周期TBを下げる(周波数を上げる)ことにより、振動に伴うゴミの移動状態を捉えた正確なゴミの検出が可能になるととともに、振動によるゴミの除去効果および原稿画像に現れるゴミを目立たなくする効果も最大に得られる。
【0158】
なお、本実施例においては、濃度データD3Gを取得する回数が2回のみであるが、それ以上の回数分の濃度データD3Gを取得すれば、振動に伴うゴミの移動状態を細かく確認することができ、より精度の高いゴミの検出を行うことができる。
〔ゴミ検出の実施例3−2〕
実施例3−1では、より正確なゴミの検出を行うために、ゴミの検出時とそれ以外において透過部材17の振動周期TBを変化させるが、実施例3−2では、同様の目的のために、CCDラインセンサ16の読取期間(読取周期)TAを変化させる。
【0159】
実施例3−2の処理の流れは基本的に実施例3−1と同じである。ただし、#1001において実施例3−1では“振動周期←TB2”としている箇所を“読取期間←TA2”に、#1012において実施例3−1では“振動周期←TB1”としている箇所を“読取期間←TA1”に変更する。TA1は例えば、透過部材17を振動させる振動周期TBよりも大きい200μsであり、TA2は例えば、透過部材17を振動させる振動周期TBよりも小さい10μsである。つまり、ゴミ検出時は透過部材17を振動させる振動周期TBよりも小さい読取周期TA2で背面部材20の読取りを行い、原稿読取り時は透過部材17を振動させる振動周期TBよりも大きい読取周期TA1で原稿を読取る。このようにすることで、実施例3−1の場合と同様の効果が得られる。
【0160】
なお、CCDラインセンサ16の読取期間TAの切替えは、ライン周期(クロック周期)を変更することにより実現されるものであってもよいし、電子シャッターなどの機能によりライン周期はそのままで読取期間のみ変更されるものであってもよい。
【0161】
また、CCDラインセンサ16の読取期間を短くすると読取画像の画質が低下するが、ゴミ検出のための読取画像には通常の原稿の読取画像に要求されるほどの画質は必要ないので、ゴミ検出時にCCDラインセンサ16の読取期間TAを短くしても、原稿画像読取り時にCCDラインセンサ16の読取期間TAを長くしておけば特段の問題は生じない。
【0162】
上述の実施形態において、画像読取装置1および制御装置21の全体または各部の構成は、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。それらを用いて行われるゴミ検出処理の全体または各部の処理も本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 画像読取装置
15 光源
16 CCDラインセンサ(読取手段)
17 透過部材
19 圧電素子(振動手段)
20 背面部材
311 ラインデータ取得部(第1のゴミ検出用画像取得手段)
312 ラインデータ解析部(第1のゴミ検出手段)
321 ラインデータ取得部(第2のゴミ検出用画像取得手段)
322 ラインデータ解析部(第2のゴミ検出手段)
33 ゴミ移動検出部(ゴミ移動検出手段)
34 原稿画像取得部(原稿画像取得手段)
35 ゴミ除去部(ゴミ除去手段)
G 読取り位置
D1 RGBアナログ画像データ(画像データ)
D3 RGBデジタル画像データ(画像データ)
D3G Gデジタル画像データ(画像データ)
W 画素幅(背面部材の濃度と異なる濃度の領域の大きさ)
W1 周辺画素(背面部材の濃度と異なる濃度の領域の周辺部)
TA 読取期間
TB 振動周期
VB 振動振幅
Dmd 代表濃度(周辺部の濃度の代表値)
Dmax 最大濃度(濃度の最大値)
Dave 平均濃度(周辺部の濃度の平均値)
Dslp 濃度変化の最大値(周辺部の濃度変化の傾き)
DW ゴミの大きさ
DX ゴミの付着位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読取る画像読取装置であって、
光源から原稿が読取られる読取位置に向けて照射される光の反射光を受光し受光量に応じた電気信号である画像データを出力する読取手段と、
前記読取位置と前記読取手段との間に設けられ前記反射光を透過させる透過部材と、
前記読取位置および前記透過部材を挟んで前記読取手段と対向する位置に設けられた背面部材と、
前記透過部材に振動を与える振動手段と、
前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がない状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する第1のゴミ検出用画像取得手段と、
前記第1のゴミ検出用画像取得手段により取得した画像データに存在する前記背面部材の濃度と異なる濃度の領域に基づいて前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミを検出する第1のゴミ検出手段と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1のゴミ検出用画像取得手段は、
前記読取手段の読取期間よりも小さい周期で前記透過部材を振動させた状態で画像データを取得し、
前記第1のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別する、
請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域における周辺部の濃度の代表値が前記領域における濃度の最大値に対して所定以上低下している場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する、
請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域の大きさが所定の値以上である場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する、
請求項2記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記所定の値は、
前記透過部材に与えられた振動の振動幅である、
請求項4記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域における周辺部の濃度の平均値と前記背面部材の濃度との濃度差が所定の値以下である場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する、
請求項2記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域における周辺部の濃度変化の傾きが所定の値以下である場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する、
請求項2記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記周辺部の幅は、
前記透過部材に与えられた振動の振幅である、
請求項6または7記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域の大きさから所定の値を減じた大きさを前記透過部材上に付着しているゴミの大きさとして算出する、
請求項3ないし7のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記所定の値は、
前記透過部材に与えられた振動の振動幅である、
請求項9記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記振動手段により前記透過部材を振動させない状態でかつ前記読取位置に原稿がない状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する第2のゴミ検出用画像取得手段と、
前記第2のゴミ検出用画像取得手段により取得した画像データに存在する前記背面部材の濃度と異なる濃度の領域に基づいて前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミを検出する第2のゴミ検出手段と、
をさらに有する請求項1記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別し、
前記第2のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上にゴミが付着しているか否かを判別するものであり、
前記第2のゴミ検出手段によりゴミが付着していると判別された場合にのみ、
前記第1のゴミ検出手段により前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別する、段階的ゴミ検出手段をさらに有する、
請求項11記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかおよびその付着位置を判別し、
前記第2のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のゴミの付着位置を判別するものであり、
前記第1のゴミ検出手段により判別されたゴミの付着位置と前記第2のゴミ検出手段により判別されたゴミの付着位置とを比較し、両者の付着位置が一致すれば前記第1のゴミ検出手段の判別結果を有効とし、両者の付着位置が一致しなければ前記第1のゴミ検出手段の判別結果を無効と判定するゴミ移動検出手段をさらに有する、
請求項11記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記ゴミ移動検出手段が前記第1のゴミ検出手段の判別結果を無効と判定した場合に、
前記第1のゴミ検出手段により再び前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミを検出する、再度ゴミ検出手段をさらに有する、
請求項13記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別し、
前記第2のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミの大きさを算出する、
請求項11記載の画像読取装置。
【請求項16】
前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がある状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する原稿画像取得手段と、
前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がない状態で前記透過部材上に付着しているゴミを除去するゴミ除去手段と、
をさらに有し、
前記原稿画像取得手段は、
前記読取手段の読取期間よりも小さい周期で前記透過部材を振動させた状態で画像データを取得し、
前記ゴミ除去手段は、
前記振動手段の読取期間よりも小さい周期で前記透過部材を振動させた状態でゴミを除去し、
前記第1のゴミ検出用画像取得手段は、
前記振動手段の読取期間よりも大きい周期で前記透過部材を振動させた状態で画像データを取得する、
請求項1記載の画像読取装置。
【請求項17】
前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がある状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する原稿画像取得手段をさらに有し、
前記原稿画像取得手段は、
前記透過部材に与えられた振動の周期よりも小さい読取期間で読取られた画像データを取得し、
前記第1のゴミ検出用画像取得手段は、
前記透過部材に与えられた振動の周期よりも大きい読取期間で読取られた画像データを取得する、
請求項1記載の画像読取装置。
【請求項1】
原稿を読取る画像読取装置であって、
光源から原稿が読取られる読取位置に向けて照射される光の反射光を受光し受光量に応じた電気信号である画像データを出力する読取手段と、
前記読取位置と前記読取手段との間に設けられ前記反射光を透過させる透過部材と、
前記読取位置および前記透過部材を挟んで前記読取手段と対向する位置に設けられた背面部材と、
前記透過部材に振動を与える振動手段と、
前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がない状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する第1のゴミ検出用画像取得手段と、
前記第1のゴミ検出用画像取得手段により取得した画像データに存在する前記背面部材の濃度と異なる濃度の領域に基づいて前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミを検出する第1のゴミ検出手段と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1のゴミ検出用画像取得手段は、
前記読取手段の読取期間よりも小さい周期で前記透過部材を振動させた状態で画像データを取得し、
前記第1のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別する、
請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域における周辺部の濃度の代表値が前記領域における濃度の最大値に対して所定以上低下している場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する、
請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域の大きさが所定の値以上である場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する、
請求項2記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記所定の値は、
前記透過部材に与えられた振動の振動幅である、
請求項4記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域における周辺部の濃度の平均値と前記背面部材の濃度との濃度差が所定の値以下である場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する、
請求項2記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域における周辺部の濃度変化の傾きが所定の値以下である場合に、ゴミが前記透過部材上に付着していると判別する、
請求項2記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記周辺部の幅は、
前記透過部材に与えられた振動の振幅である、
請求項6または7記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記領域の大きさから所定の値を減じた大きさを前記透過部材上に付着しているゴミの大きさとして算出する、
請求項3ないし7のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記所定の値は、
前記透過部材に与えられた振動の振動幅である、
請求項9記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記振動手段により前記透過部材を振動させない状態でかつ前記読取位置に原稿がない状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する第2のゴミ検出用画像取得手段と、
前記第2のゴミ検出用画像取得手段により取得した画像データに存在する前記背面部材の濃度と異なる濃度の領域に基づいて前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミを検出する第2のゴミ検出手段と、
をさらに有する請求項1記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別し、
前記第2のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上にゴミが付着しているか否かを判別するものであり、
前記第2のゴミ検出手段によりゴミが付着していると判別された場合にのみ、
前記第1のゴミ検出手段により前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別する、段階的ゴミ検出手段をさらに有する、
請求項11記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかおよびその付着位置を判別し、
前記第2のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のゴミの付着位置を判別するものであり、
前記第1のゴミ検出手段により判別されたゴミの付着位置と前記第2のゴミ検出手段により判別されたゴミの付着位置とを比較し、両者の付着位置が一致すれば前記第1のゴミ検出手段の判別結果を有効とし、両者の付着位置が一致しなければ前記第1のゴミ検出手段の判別結果を無効と判定するゴミ移動検出手段をさらに有する、
請求項11記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記ゴミ移動検出手段が前記第1のゴミ検出手段の判別結果を無効と判定した場合に、
前記第1のゴミ検出手段により再び前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミを検出する、再度ゴミ検出手段をさらに有する、
請求項13記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記第1のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上のいずれにゴミが付着しているかを判別し、
前記第2のゴミ検出手段は、
前記透過部材上または前記背面部材上に付着しているゴミの大きさを算出する、
請求項11記載の画像読取装置。
【請求項16】
前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がある状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する原稿画像取得手段と、
前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がない状態で前記透過部材上に付着しているゴミを除去するゴミ除去手段と、
をさらに有し、
前記原稿画像取得手段は、
前記読取手段の読取期間よりも小さい周期で前記透過部材を振動させた状態で画像データを取得し、
前記ゴミ除去手段は、
前記振動手段の読取期間よりも小さい周期で前記透過部材を振動させた状態でゴミを除去し、
前記第1のゴミ検出用画像取得手段は、
前記振動手段の読取期間よりも大きい周期で前記透過部材を振動させた状態で画像データを取得する、
請求項1記載の画像読取装置。
【請求項17】
前記振動手段により前記透過部材を振動させた状態でかつ前記読取位置に原稿がある状態で前記読取手段から出力された画像データを取得する原稿画像取得手段をさらに有し、
前記原稿画像取得手段は、
前記透過部材に与えられた振動の周期よりも小さい読取期間で読取られた画像データを取得し、
前記第1のゴミ検出用画像取得手段は、
前記透過部材に与えられた振動の周期よりも大きい読取期間で読取られた画像データを取得する、
請求項1記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−187080(P2010−187080A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28443(P2009−28443)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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