説明

画像読取装置

【課題】原稿の読み取り位置の対向部材が、読み取りガラスに非接触で原稿と接触しないような構成のADFにおいて、対向部材に付着したゴミを、容易に清掃する手段がないという課題があった。
【解決手段】原稿を読み取る表面読取センサ208と、原稿が載置されるガラス201と、ガラス201と隙間を有して配置される非接触部材6と、表面読取センサ208の上流側の上流搬送ローラ51と、表面読取センサ208の下流側の下流搬送ローラ52と、を有する光学スキャナユニット202と、原稿の搬送を制御するCPU801と、を有する画像読取装置において、CPU801は、ガラス201と非接触部材6を清掃するクリーニングモードにおいて用紙を搬送する場合は、上流搬送ローラ51と下流搬送ローラ52の間で用紙にループ形成させ、非接触部材6に用紙を接触させながら搬送するよう制御することを特徴とする画像読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置の自動原稿読取部(以下、ADF(Auto Document Feeder)という)による原稿読み取りでは、読み取りガラス上にゴミなどが付着していると、読み取られた画像の副走査方向にスジが発生してしまう。ここで副走査方向とは、原稿の搬送方向と平行な方向をいう。そのため、画像読取のジョブの前後で、副走査方向に所定間隔を有する複数の読み取り位置で、主走査方向にサンプリングを行ってゴミの有無を判断していた。主走査方向とは、副走査方向と直交する方向をいうものとする。そして、ゴミが無いと判断された読み取り位置で原稿画像の読み取りを行うゴミ回避制御が行われていた。このゴミ回避制御における読み取り位置でのサンプリングでは、ガラスに付着しているゴミと、ガラスと対向する対向部材(例えば、ゴミ検知のための白色板)に付着したゴミの判別ができないため、どちらにゴミが付着していてもゴミ有りと検知される。ゴミが有ると、読み取りセンサの移動とサンプリング回数が増加してFCOT(First Copy Out Time)や次ジョブの受付け開始までの時間が増加してしまうため、ガラスと対向部材の両方にゴミが付着していないことが望ましい。
【0003】
また近年は、原稿を反転させることなく1回の原稿の搬送動作で原稿の表裏を読み取る両面同時読みADFがあり、このADFでは原稿の裏面の読み取りユニットがADF内部に組み込まれている。その結果、ガラスや対向部材をユーザが布などで清掃することが容易ではない。そのため、用紙搬送によって原稿の搬送路をクリーニングする技術がいくつか提案されている。例えば、画像の読み取り位置より下流にある搬送ローラのニップ位置を、ガラスの上面の延長線より下方に設置し、原稿のガラスの上面に対する密着力を高めてより効果的にガラスを清掃する提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−243162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、対向部材に用紙を接触することができないので、対向部材をクリーニングすることができず、ガラスのみしか清掃できないという課題がある。
【0006】
本発明は、読み取り位置のガラスと対向部材が非接触で構成される画像読取装置において、対向部材の清掃を容易に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為、本発明は以下の構成を有する。
【0008】
(1)原稿の画像を読み取る画像読取手段と、画像が読み取られる状態の前記原稿が載置されるガラスと、前記ガラスと隙間を有して配置される非接触部材と、前記画像読取手段の上流側に配置された上流搬送ローラと、前記画像読取手段の下流側に配置された下流搬送ローラと、を有する読取部と、前記原稿の搬送を制御する制御手段と、を有する画像読取装置において、前記制御手段は、用紙を搬送することで前記ガラスと前記非接触部材を清掃するクリーニングモードにおいて前記用紙を搬送する場合は、前記上流搬送ローラと前記下流搬送ローラの間で前記用紙にループ形成させ、前記非接触部材に前記用紙を接触させながら搬送するよう制御することを特徴とする画像読取装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、読み取り位置のガラスと対向部材が非接触で構成される画像読取装置において、対向部材の清掃を容易に行う技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の画像読取装置の断面図、ゴミ検知の動作を示す図、ゴミ検知時の主走査方向位置と輝度値の関係を示す図
【図2】実施例1の画像読取装置の制御系のブロック図
【図3】実施例1のクリーニングモード時の用紙搬送の動作を示す図
【図4】実施例1のクリーニングモードの選択画面を示す図
【図5】実施例1のADFが待機状態にあるときのフローチャート
【図6】実施例1のADFがクリーニング状態にあるときのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0012】
[画像読取装置の構成]
図1(a)は、本実施例のADFを含む画像読取装置の一例を示す断面図である。本実施例の画像読取装置500は、画像読取部200、ADF100、及び図示しないコントローラから構成されている。まず、ADF100の動作について説明する。ADF100は、1枚以上の原稿シートで構成される原稿束Sを積載する原稿トレイ30と、原稿の搬送開始前に、原稿束Sが原稿トレイ30より突出して下流へ進出するのを規制する分離ローラ2,分離パッド21と、給紙ローラ1とを有する。給紙ローラ1は、原稿トレイ30に積載された原稿束Sの原稿の上面に落下して回転する。これにより、原稿束Sの最上面の原稿が給紙される。給紙ローラ1によって給紙された原稿は、分離ローラ2と分離パッド21によって1枚に分離される。この分離は周知のリタード分離技術によって実現される。分離ローラ2と分離パッド21によって分離された原稿は、搬送ローラ3によりレジストローラ4へ搬送され、レジストローラ4に突き当たる。これにより、原稿はループ状となり、搬送における原稿の斜行が解消される。レジストローラ4の下流側には、原稿を流し読みガラス201方向へ搬送する給紙パスが配置されている。
【0013】
給紙パスに送られた原稿は、表面読み取り搬送ローラ5、表面読み取り上流ローラ51(上流搬送ローラ)、表面読み取り下流ローラ52(下流搬送ローラ)によって表面流し読み位置に搬送される。この際原稿は、表面読み取り上流ローラ51、表面読み取り下流ローラ52によって十分な圧力がかかった状態で表面流し読みガラス201に載置されている。一方、非接触部材の表面ガラス対向部材6は、搬送される原稿に圧力がかかって搬送トルクを増やすことのないよう、表面流し読みガラス201と所定の隙間を保持して非接触に設置されている。なお、表面ガラス対向部材6はゴミ検知のための白色板である。表面流し読みガラス201と表面ガラス対向部材6の間を通過する原稿の表面は表面LED203a,203bで照射される。その反射光は、複数のミラー204a,204b,204cで屈曲されながら、表面読取センサ208に検知されて原稿の表側の画像が読み取られる。表面読取センサ208は、検知手段であるラインイメージセンサであり、主走査方向の検知を一度に行う。このラインイメージセンサとしては、CMOSイメージセンサやコンタクトイメージセンサ(CIS)が使用される。なお、表面LED203a,203b、ミラー204a,204b,204c、表面読取センサ208は光学スキャナユニット202を構成する。また、表面読み取り上流ローラ51、表面読み取り下流ローラ52、表面流し読みガラス201、表面ガラス対向部材6、光学スキャナユニット202等は、第1の読取部を構成するものとする。
【0014】
表面読み取り下流ローラ52により搬送された原稿は、その後裏面読み取り搬送ローラ7、裏面読み取り上流ローラ53(上流搬送ローラ)、裏面読み取り下流ローラ54(下流搬送ローラ)によって裏面読み取り位置に搬送される。この際原稿は、裏面読み取り上流ローラ53、裏面読み取り下流ローラ54によって十分な圧力がかかった状態で裏面流し読みガラス101に接触している。一方、裏面ガラス対向部材8は、搬送される原稿に圧力がかかって搬送トルクを増やすことのないよう、裏面流し読みガラス101と所定の隙間を保持して非接触に設置されている。この裏面ガラス対向部材8は、上記した表面ガラス対向部材6と同様に白色板である。裏面流し読みガラス101と裏面ガラス対向部材8の間を通過する原稿の裏面は裏面LED103a、103bで照射される。その反射光は、複数のミラー104a,104b,104cで屈曲されながら、裏面読取センサ108によって検知されて原稿の裏側の画像が読み取られる。なお、裏面LED103a,103b、ミラー104a,104b,104c、裏面読取センサ108は光学スキャナユニット102を構成する。また、裏面読み取り上流ローラ53、裏面読み取り下流ローラ54、裏面流し読みガラス101、裏面ガラス対向部材8、光学スキャナユニット102等は、第2の読取部を構成する。裏面読み取り下流ローラ54により搬送された原稿は、排紙センサ11を通過しながら排紙ローラ12によって排紙トレイ13まで搬送される。以上が原稿の画像を読み取るための搬送モードである。本実施例の画像読取装置は、この搬送モード以外に上記した表面流し読みガラス201、表面ガラス対向部材6等を清掃するためのクリーニングモードを有する。このクリーニングモードについては、後に詳しく述べる。
【0015】
また、原稿トレイ30には、積載された原稿束Sの副走査方向にスライド可能なガイド規制板(図示せず)が設けられているとともに、このガイド規制板に連動して原稿幅を検出する原稿幅検知センサ(図示せず)が設けられている。上記原稿幅検知センサとレジ前センサ15との組み合わせにより、原稿トレイ30上に積載された原稿束Sの原稿サイズの判別が可能となる。また、搬送パス内に設けられた原稿長検知センサ(図示せず)により、搬送中の原稿の先端検知から後端検知までの搬送距離から原稿長を検出することも可能である。また、検知した原稿長と上記原稿幅検知センサとの組み合わせからも、原稿サイズが判別可能である。なお、分離ローラ2の下流側には分離後センサ810が、表面読み取り搬送ローラ5の上流側にはリードセンサ809が設置されている。また、原稿トレイ30には原稿検知センサ14があり、原稿トレイ上の原稿有無の判断に利用される。
【0016】
[ゴミ検知の動作]
図1(b)は、表面読み取りゴミ検知の動作を示す図であり、図1(a)の原稿の表面読み取り部近傍を拡大したものである。ゴミ検知を行うため、まずは光学スキャナユニット202を移動させて読み取りポイントAでサンプリングを行う。サンプリングは、光学スキャナユニット202のラインイメージセンサである表面読取センサ208により主走査方向の一度の検知により行われる。次に光学スキャナユニット202を数mm移動させて読み取りポイントBでサンプリングを行う。同様にして読み取りポイントC,Dでサンプリングを行う。サンプリングの結果を図1(c)に示す。各線は、それぞれの読み取りポイント(A〜D)毎の輝度値である。表面ガラス対向部材6は白色板であるので輝度は高く、ゴミがある領域は輝度が低くなるためゴミの有無を判別できる。なおゴミの有無の判断のために、あらかじめゴミ判断閾値を決定しておくものとする。図1(c)では、読み取りポイントAでの輝度値がゴミ判断閾値以下となっている。全てのサンプリング結果から、ゴミの個数が最も少ない読み取りポイントで読み取りを実施するよう、その読み取りポイントをRAM803(図2)に記憶する。図1(c)の例ではDの読み取りポイントがゴミの個数が最も少ない箇所である。本実施例では、全てのポイントをサンプリングして最も良好な位置を選択する方法を説明したが、読み取りポイント毎のサンプリング結果からゴミの個数を確認し、良好と判断した場合は他の位置のサンプリングは行わない方法もある。なお、上記したサンプリング結果をもとに後述するクリーニングモードを実行するか否かの判断をユーザが行う。
【0017】
[画像読取装置の制御系]
図2は、本実施例の画像読取装置500の制御系のブロック図である。まず、画像読取部200及びADF100は、中央演算処理装置であるCPU801、リードオンリーメモリ(以下、ROM)802、ランダムアクセスメモリ(以下、RAM)803を備えている。なお、CPU801は、所定の時間を計測するためのタイマを内蔵している。ROM802には、制御用プログラムが格納されており、RAM803は、入力データや作業用データの格納に使用する。分離モータ823は給紙ローラ1,分離ローラ2を回転駆動させ、搬送モータ824は搬送ローラ3,レジストローラ4を駆動させる。また、リードモータ826は、表面読み取り搬送ローラ5,表面読み取り上流ローラ51,表面読み取り下流ローラ52,裏面読み取り搬送ローラ7,裏面読み取り上流ローラ53,裏面読み取り下流ローラ54を駆動させる。表面クラッチ60は、表面読み取り下流ローラ52とリードモータ826の駆動の伝達を制御し、裏面クラッチ61は、裏面読み取り下流ローラ54とリードモータ826の駆動の伝達を制御する。また、排紙モータ825は排紙ローラ12を駆動させ、光学モータ822は光学スキャナユニット202を副走査方向に移動させ、ガラスモータ827は裏面流し読みガラス101を移動させる。これらのモータ及びクラッチは、CPU801に接続されている。また、開閉検知センサ211,サイズ検知センサ212,原稿長検知センサ806,原稿検知センサ14,排紙センサ11,リードセンサ809,レジ前センサ15,分離後センサ810もCPU801に接続されている。また、表面LED203,裏面LED103,表面読取センサ208,裏面読取センサ108がCPU801に接続され、表面読取センサ208,裏面読取センサ108で読み取られた画像データは、画像処理部833を介して一旦画像メモリ832に格納される。
【0018】
コントローラ300では、CPU901,ROM902,RAM903を備えており、CPU801とのシリアル通信ラインを介して画像読取制御に関するデータの授受を行う。画像データの伝送は画像処理部833と画像処理部905の間の画像ラインを介して行い、画像読取部200から受信したデータは画像メモリ906に格納される。また、コントローラ300は、操作表示部904を備えており、ユーザとのインターフェース制御は操作表示部904を介してCPU901によって行われる。
【0019】
[クリーニングモード時の用紙の搬送動作]
次に、図3を用いて表面ガラス対向部材6,裏面ガラス対向部材8に付着していたゴミを除去するクリーニングを実行している時の用紙の搬送動作を説明する。なお、クリーニングモードで使用する用紙は白紙等を用い、原稿は用いないものとする。クリーニングの際のゴミが原稿に付着する場合があるからである。CPU801は、分離モータ823を駆動させ、給紙ローラ1を原稿トレイ30に置かれた用紙(図3(a)の点線で図示)に接地させる。CPU801はそのまま分離モータ823を駆動し続け、給紙ローラ1及び分離ローラ2によって用紙を引き込む。CPU801は、さらに搬送モータ824を駆動させ搬送ローラ3及びレジストローラ4により、用紙を搬送する。このとき、CPU801は用紙が搬送ローラ3を通過したタイミングで分離モータ823の駆動を停止させることで、次の用紙を給紙しないように制御する。さらにCPU801はリードモータ826を駆動させることで、表面読み取り搬送ローラ5及び表面読み取り上流ローラ51を回転させて用紙を搬送する。このとき、CPU801は表面クラッチ60をあらかじめオフにし、表面読み取り下流ローラ52は回転しないようにする(図3(b))。CPU801は用紙の先端が表面読み取り下流ローラ52に到達してからループ形成時間経過するまで表面クラッチ60はオフのままにし、表面読み取り上流ローラ51と表面読み取り下流ローラ52の間で用紙にループを形成させる(図3(c))。なおループ形成時間は、表面読み取り上流ローラ51と表面読み取り下流ローラ52の距離、表面ガラス対向部材6と表面流し読みガラス201の距離、表面読み取り上流ローラ51の搬送速度から予め算出された値でありROM802に格納されている。ループ形成時間経過して表面ガラス対向部材6に用紙が十分接する状態になったのちにCPU801は表面クラッチ60をオンし、表面読み取り下流ローラ52よりさらに下流に用紙を搬送させる(図3(d))。なお、用紙の搬送位置は搬送路上のレジ前センサ15,リードセンサ809のレベル変化によって管理される。
【0020】
リードモータ826の駆動により、裏面読み取り搬送ローラ7及び裏面読み取り上流ローラ53は回転しているため、裏面流し読み位置に用紙が搬送される。裏面も表面同様、CPU801は裏面クラッチ61はあらかじめオフにし、裏面読み取り下流ローラ54は回転しないようにしておく。そして、CPU801は用紙の先端が裏面読み取り下流ローラ54に到達してからループ形成時間経過するまで裏面クラッチ61はオフのままにし、裏面読み取り上流ローラ53と裏面読み取り下流ローラ54の間で用紙にループを形成させる(図3(e))。ループ形成時間経過して裏面ガラス対向部材8に用紙が十分接する状態になったのちに裏面クラッチ61をオンさせて、裏面読み取り下流ローラ54よりさらに下流に用紙を搬送させて、用紙を排紙する(図3(f))。以上の動作によって、表面ガラス対向部材6,裏面ガラス対向部材8に用紙を接触させながら搬送させることで、それぞれに付着していたゴミを除去することができる。 図4は、ADF100のクリーニングモードを選択する画面(図4(a))と、クリーニング搬送の実行可否を選択する画面(図4(b))を示し、これらの画面はCPU901の指示で操作表示部904に表示される。図4(b)の画面は、図4(a)の画面で「はい」のボタンをユーザが選択したときに表示され、ユーザに白紙を複数枚(例えば4〜5枚)置くように通知する。なおCPU901は、既に図1(c)において説明した、A〜Dの読み取りポイントにおける輝度値の検知結果をCPU801から受け取り、その検知結果に基づいてクリーニングモードを選択する図4(a)の画面を、操作表示部904に表示する。検知結果に基づきユーザにクリーニングモードを実行することを提案する。よって、ユーザはクリーニングが必要なことを把握することができ、クリーニングを適切なタイミングで行うことができる。
【0021】
[ADFの待機状態時のフローチャート]
図5は、ADF100が待機状態にあるときの、CPU801の処理のフローチャートである。まず、CPU801はクリーニングモードが選択されているかをCPU901からの通知により確認する(S1001)。クリーニングモードの選択は、既に上記した図4(a)で「はい」のボタンが押された場合に選択される。クリーニングモードが選択されていない場合は、CPU801は通常読取が要求されているかを確認し(S1003)、要求されている場合は、通常読み取り動作を行い(S1004)、終了する。S1001でクリーニングモードが選択されている場合は、CPU801はクリーニングモードを実施し(S1002)、終了する。クリーニングモードが選択されず、通常読み取り要求でない場合は、S1001に戻り待機状態となる。
【0022】
[ADFのクリーニングモード時のフローチャート]
図6は、クリーニングモード時におけるCPU801の処理のフローチャートであり、図5のS1002のクリーニングモードの詳細である。まず、クリーニングモード開始に伴い、CPU801は表面クラッチ60と裏面クラッチ61をオフし、表面読み取り下流ローラ52と裏面読み取り下流ローラ54にリードモータ826の駆動が伝達しないようにする(S1101)。次に、CPU801は分離モータ823,搬送モータ824,リードモータ826,排紙モータ825を駆動させる。分離モータ823が駆動することにより、給紙ローラ1が原稿トレイ30に置かれた用紙に落下し、給紙ローラ1及び分離ローラ2によって用紙が引き込まれる。さらに、CPU801が各モータに連動したレジストローラ4や搬送ローラ5を駆動させることにより用紙の給紙が開始される(S1102)。なお、次の用紙を給紙しないようにするため、CPU801は分離モータ823は所定のタイミングで停止させる。次に、CPU801は給紙された用紙が表面読み取り下流ローラ52まで到達したかを確認し続ける(S1103)。CPU801は用紙が表面読み取り下流ローラ52に到達したことを確認したら、内蔵しているタイマを使ってループ形成時間が経過したか否かの判断を行う(S1104)。CPU801は、ループ形成時間が経過したと判断したら、S1105において表面クラッチ60をオンにして、表面読み取り下流ローラ52を回転させる。これにより、表面読み取り下流ローラ52よりも下流に用紙が搬送されるようになる。
【0023】
次に、CPU801は給紙された用紙が裏面読み取り下流ローラ54まで到達したかを確認し続ける(S1106)。到達を確認したら、CPU801は内蔵しているタイマを使ってループ形成時間が経過したか否かの判断を行う(S1107)。CPU801は、ループ形成時間が経過したと判断したら、CPU801は裏面クラッチ61をオンにして(S1108)、裏面読み取り下流ローラ54を回転させる。これにより、裏面読み取り下流ローラ54よりも下流に用紙が搬送される。次に、CPU801は排紙センサ11を監視して、用紙が排紙トレイ13に排紙されたかを確認し続ける(S1109)。排紙が完了したら、CPU801は原稿検知センサ14のレベルを確認して原稿トレイ30上に用紙が残っているかを確認する(S1110)。次の用紙が存在すれば、CPU801は分離モータ823を再度駆動させて偶数枚目の給紙を行う(S1111)。次の用紙が存在しない場合には、CPU801は全モータを停止させて(S114)、クリーニングモードを終了する。このように、用紙をループを形成して搬送した場合、ガラス101、表面ガラス対向部材6、裏面ガラス対向部材8、ガラス201が清掃される。偶数枚目の給紙時は、既に表面クラッチ60と裏面クラッチ61がオンになっているため、用紙のループが形成されることなく搬送される。このようにループが形成されることなく用紙が搬送されると、ガラス101とガラス201が清掃される。次に、CPU801は排紙センサ11を監視して、用紙が排紙トレイ13に排紙されたかを確認し続ける(S1112)。排紙が完了したら、CPU801は原稿検知センサ14のレベルを確認して原稿トレイ30上に用紙があるか否かを確認する(S1113)。次の用紙がある場合は、CPU801はS1101からの処理を繰り返す。次の用紙がない場合は、CPU801は分離モータ823、搬送モータ824、排紙モータ825、リードモータ826の全モータを停止させて終了する(S1114)。なお、上記のフローチャートでは複数枚の用紙の搬送をする場合について述べたが、これは複数枚の用紙を搬送することによってガラス101、表面ガラス対向部材6等の清掃のみならず表面読み取り上流ローラ51等のローラの清掃も行うためである。
【0024】
本実施例によれば、読み取り位置のガラスと対向部材が非接触で構成される画像読取装置において、ガラスと対向部材の両方の清掃を容易に行う技術を提供できる。
【符号の説明】
【0025】
5 表面読み取り搬送ローラ
6 表面ガラス対向部材
7 裏面読み取り搬送ローラ
8 裏面ガラス対向部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取手段と、
画像が読み取られる状態の前記原稿が載置されるガラスと、
前記ガラスと隙間を有して配置される非接触部材と、
前記画像読取手段の上流側に配置された上流搬送ローラと、
前記画像読取手段の下流側に配置された下流搬送ローラと、を有する読取部と、
前記原稿の搬送を制御する制御手段と、を有する画像読取装置において、
前記制御手段は、
用紙を搬送することで前記ガラスと前記非接触部材を清掃するクリーニングモードにおいて前記用紙を搬送する場合は、前記上流搬送ローラと前記下流搬送ローラの間で前記用紙にループ形成させ、前記非接触部材に前記用紙を接触させながら搬送するよう制御することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取部である第1の読取部と、前記読取部である第2の読取部と、を備え、
前記第1の読取部は、前記原稿の表側の画像を前記画像読取手段により読み取り、前記第2の読取部は、前記第1の読取部の前記下流搬送ローラから搬送された原稿の裏側の画像を前記第2の読取部の前記画像読取手段により読み取ることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記クリーニングモードにおいて複数の用紙を搬送する場合は、前記上流搬送ローラと前記下流搬送ローラの間で前記用紙にループ形成させ、前記非接触部材に前記用紙を接触させながら搬送する搬送動作と、前記上流搬送ローラと前記下流搬送ローラの間で前記用紙にループ形成せず、前記ガラスに接触させながら搬送する搬送動作と、を組み合わせて制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記上流搬送ローラと前記下流搬送ローラの間で前記用紙にループ形成させる場合には、前記上流搬送ローラを回転させて前記用紙を搬送した後、前記下流搬送ローラを停止させ、
前記上流搬送ローラと前記下流搬送ローラの間で前記用紙にループ形成させない場合には、前記上流搬送ローラを回転させて前記用紙を搬送した後、前記下流搬送ローラを回転させることを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記ガラスまたは前記非接触部材に付着したゴミを検知する検知手段を有し、
前記制御手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記クリーニングモードを実施するか否かを判断することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−165246(P2012−165246A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24985(P2011−24985)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】