画像読取装置
【課題】搬送ユニットを開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を発揮できる画像読取装置を提供する。
【解決手段】下カバー30には、搬送手段42に搬送される原稿9を停止位置18にある読取手段25の上方に通過させる開口84が貫設される。開口84の辺84Aを含む線を仮想線K1とし、仮想線K1から下カバー30における揺動軸芯R1方向の他端までの範囲を主領域30Xと規定し、仮想線K1から下カバー30における揺動軸芯R1方向の一端までの範囲を副領域30Yと規定した場合、被取付部材39は、主領域30Xから仮想線K1を跨いで副領域30Yまで延び、主領域30X側に位置する主範囲39Xと副領域30Y側に位置する副範囲39Yとからなり、主範囲39Xで下カバー30に固定され、副範囲39Yで開閉用固定部102に固定される。
【解決手段】下カバー30には、搬送手段42に搬送される原稿9を停止位置18にある読取手段25の上方に通過させる開口84が貫設される。開口84の辺84Aを含む線を仮想線K1とし、仮想線K1から下カバー30における揺動軸芯R1方向の他端までの範囲を主領域30Xと規定し、仮想線K1から下カバー30における揺動軸芯R1方向の一端までの範囲を副領域30Yと規定した場合、被取付部材39は、主領域30Xから仮想線K1を跨いで副領域30Yまで延び、主領域30X側に位置する主範囲39Xと副領域30Y側に位置する副範囲39Yとからなり、主範囲39Xで下カバー30に固定され、副範囲39Yで開閉用固定部102に固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像読取装置が開示されている。この画像読取装置は本体ユニットと搬送ユニットとを備えている。
【0003】
本体ユニットは、原稿が載置される載置面と、載置面の一端側の停止位置から載置面の他端側に向かって移動可能に設けられ、載置面に載置された原稿の画像を読み取り可能な読取手段とを有している。
【0004】
搬送ユニットは、本体ユニットに対して一対のヒンジによって接続され、読取手段の移動方向と平行な揺動軸芯周りに揺動可能に支持されている。両ヒンジは、特許文献1の図1にヒンジ4、4として図示されている。各ヒンジは、本体ユニットに形成された嵌入穴に差し込まれる本体用固定部と、搬送ユニットに固定される開閉用固定部とを有している。これらのヒンジにより、搬送ユニットは、載置面を覆う閉鎖状態から載置面を露出させる開放状態に変位することができる。
【0005】
また、搬送ユニットは、閉鎖状態において載置面と対向する下カバーと、下カバー上に設けられた搬送手段とを有している。下カバーには、閉鎖状態において、停止位置にある読取手段の上方で揺動軸芯と直交する方向に延びる長尺状の開口が貫設されている。開口は、特許文献1の図2にパス3dとして図示されている。そして、搬送手段が停止位置にある読取手段に向けて原稿を搬送すると、原稿は、開口の位置で読取手段の上方を通過することになり、ここで読取手段と対向する原稿の部分の画像が読み取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−197232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、画像読取装置に対しては、搬送ユニットを開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現と、高い耐久性の実現とが求められている。
【0008】
この点、上記従来の画像読取装置においては、利便性向上のため、搬送ユニットを閉鎖状態と開放状態との間の任意の位置で保持できるフリーストップヒンジが少なくとも一つ、採用されることが多い。そして、小型化、薄型化を実現するため、本体ユニット及び搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の一端又は他端にフリーストップヒンジを固定することが考えられる。この場合、フリーストップヒンジが載置面の露出時に搬送ユニットに対してトルクを作用させることから、搬送ユニットの開口に近い一端にフリーストップヒンジの開閉用固定部を固定するとすれば、そのトルクにより、下カバーの開口に近い領域に応力が集中し易くなる。そうすると、搬送ユニットが繰り返し開閉されることにより、下カバーが開口の近傍で疲労破断するおそれがある。その結果、従来の画像読取装置は、高い耐久性を発揮し難くなる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、搬送ユニットを開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を発揮できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像読取装置は、原稿が載置される載置面と、前記載置面の一端側の停止位置から前記載置面の他端側に向かって移動可能に設けられ、前記載置面に載置された前記原稿の画像を読み取り可能な読取手段とを有する本体ユニットと、
前記本体ユニットに対して主ヒンジによって接続され、前記読取手段の移動方向と平行な揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、前記載置面を覆う閉鎖状態から前記載置面を露出させる開放状態に変位可能な搬送ユニットとを備えた画像読取装置であって、
前記主ヒンジは、前記本体ユニットに固定される本体用固定部と、前記搬送ユニットにおける前記揺動軸芯方向の一端に固定される開閉用固定部とを有し、前記載置面の露出時に前記搬送ユニットに対してトルクを作用させるものであり、
前記搬送ユニットは、前記閉鎖状態において前記載置面と対向する下カバーと、前記下カバー上に設けられ、前記停止位置にある前記読取手段に向けて原稿を搬送する搬送手段と、前記下カバーに取り付けられ、剛性を有する被取付部材とを有し、
前記下カバーには、前記閉鎖状態において、前記停止位置にある前記読取手段の上方で前記揺動軸芯と直交する方向に延び、前記搬送手段によって搬送される前記原稿を前記読取手段の上方に通過させる長尺状の開口が貫設され、
前記下カバーの前記開口における前記揺動軸芯と直交する一対の辺のうち前記下カバーの中央側の辺を含む線を仮想線とし、前記仮想線から前記下カバーにおける前記揺動軸芯方向の他端までの範囲を主領域と規定するとともに、前記仮想線から前記下カバーにおける前記揺動軸芯方向の一端までの範囲を副領域と規定した場合、
前記被取付部材は、前記主領域から前記仮想線を跨いで前記副領域まで延び、前記主領域側に位置する主範囲と前記副領域側に位置する副範囲とからなり、前記主範囲で前記下カバーに固定され、前記副範囲で前記開閉用固定部に固定されていることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
本発明の画像読取装置では、主ヒンジは、載置面の露出時に搬送ユニットに対してトルクを作用させる。そして、そのトルクにより、搬送ユニットと開閉用固定部との間に応力が発生する。主ヒンジの具体例としては、フリーストップヒンジ、自動開閉ヒンジ、ストッパ付きヒンジ等が挙げられる。これらのヒンジは、一般的に、開閉用固定部を本体用固定部に対して開く付勢力及び開閉用固定部の本体用固定部に対する変位を制動する制動力の少なくとも一方を発揮するトルク発生機構を有する。このような主ヒンジにより、搬送ユニットを開閉する際の利便性を向上させることができる。
【0012】
また、主ヒンジの開閉用固定部を搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の一端に固定することにより、搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の中央側に空きスペースが形成される。そして、その空きスペースに他の部材を配設し易いので、画像読取装置の小型化、薄型化を実現できる。
【0013】
また、本発明の画像読取装置では、剛性を有する被取付部材は、下カバーの主領域から仮想線を跨いで副領域まで延び、主領域側に位置する主範囲と副領域側に位置する副範囲とからなる。そして、被取付部材は、主範囲で下カバーに固定され、副範囲で開閉用固定部に固定されている。この際、被取付部材は、副範囲で下カバーの副領域に固定されてもよいし、固定されなくてもよい。また、開閉用固定部は、下カバーの副領域に固定されてもよいし、固定されなくてもよい。このため、この画像読取装置は、搬送ユニットと開閉用固定部との間に発生する応力を被取付部材を介して下カバーの主領域に逃がすことができ、上記応力が下カバーの副領域に集中し難くなるので、搬送ユニットが繰り返し開閉されても、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを防止できる。
【0014】
したがって、本発明の画像読取装置は、搬送ユニットを開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を発揮できる。
【0015】
本発明の画像読取装置において、開閉用固定部は、下カバーの副領域に固定され、被取付部材は、副範囲で下カバーの副領域に固定されていることが望ましい(請求項2)。
【0016】
この構成によれば、下カバーの副領域を開閉用固定部の固定に利用できる。このため、請求項1に係る発明のうち、開閉用固定部が下カバーの副領域に固定されず、被取付部材が副範囲で下カバーの副領域に固定されない構成と比較して、搬送ユニットに対して開閉用固定部を確実に固定できる。そして、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力を被取付部材を介して下カバーの主領域に逃がすことができる。このため、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力が下カバーの副領域に集中し難くなるので、搬送ユニットが繰り返し開閉されても、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを防止できる。その結果、この画像読取装置は、搬送ユニットを開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を確実に発揮できる。
【0017】
被取付部材の副範囲と、下カバーの副領域と、開閉用固定部とは、共締めされてもよいし、共締めされなくてもよい。また、被取付部材の副範囲と、開閉用固定部とは、下カバーの副領域を挟んで共締めされてもよいし、下カバーの副領域に対して同じ側で共締めされてもよい。
【0018】
本発明の画像読取装置において、被取付部材の主範囲と下カバーの主領域とは、少なくとも一つの主連結部により連結されていることが望ましい(請求項3)。
【0019】
この構成によれば、主連結部により、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力を主領域に確実に逃がすことができる。このため、この画像読取装置は、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを確実に防止できる。
【0020】
本発明の画像読取装置において、被取付部材の副範囲と下カバーの副領域とは、少なくとも一つの副連結部により連結され、主連結部の数は副連結部の数以上であることが望ましい(請求項4)。
【0021】
被取付部材の副範囲と下カバーの副領域との取り付け強度は、主連結部の数と相関関係がある。また、被取付部材の副範囲と下カバーの副領域との取り付け強度は、副連結部の数と相関関係がある。主連結部の数が副連結部の数以上であれば、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力を主領域に一層確実に逃がすことができる。このため、この画像読取装置は、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを一層確実に防止できる。
【0022】
本発明の画像読取装置において、搬送ユニットは、下カバーに取り付けられ、搬送手段に搬送される原稿を案内するガイド部材を有し、被取付部材の主範囲と下カバーの主領域とはガイド部材を介して固定されていることが望ましい(請求項5)。
【0023】
原稿を案内するガイド部材は、原稿に対応して大きな形状とされ、下カバーに取り付けられるのが一般的である。このため、被取付部材の主範囲がガイド部材を介して下カバーの主領域と固定されることにより、主連結部の場所を主領域内で広く分散できる。その結果、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力を主領域に一層確実に逃がすことができる。このため、この画像読取装置は、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを一層確実に防止できる。
【0024】
本発明の画像読取装置において、被取付部材は、搬送手段を構成する軸体、回転体及び駆動体の少なくとも1つを支持する金属製フレームであることが望ましい(請求項6)。
【0025】
この構成によれば、既存の金属製フレームを被取付部材とすることで、部品点数を削減できる。また、金属製フレームである被取付部材は、同程度の剛性を有する樹脂製の被取付部材と比較して薄くできるので、省スペース化を実現できる。
【0026】
本発明の画像読取装置において、本体ユニットと搬送ユニットとの間には、主ヒンジから離反し、本体ユニットに対して搬送ユニットを揺動可能に支持する副ヒンジが設けられることが望ましい。また、本体ユニットは、読取手段の下方に設けられ、シートに画像を形成する画像形成手段を有することが望ましい。そして、本体ユニットには、主ヒンジと副ヒンジとの間に画像形成手段を整備保守するためのメンテナンス用開口が形成されていることが望ましい(請求項7)。
【0027】
主ヒンジの開閉用固定部が搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の一端に固定される場合、主ヒンジと副ヒンジとの間隔が広くなって、空きスペースが形成される。その空きスペースに、メンテナンス用開口を設けることができ、画像読取装置の小型化、薄型化を確実に実現できる。
【0028】
本発明の画像読取装置において、本体ユニットと搬送ユニットとの間には、主ヒンジから離反し、本体ユニットに対して搬送ユニットを揺動可能に支持する副ヒンジが設けられることが望ましい。また、本体ユニットは、読取手段の下方に設けられ、シートに画像を形成する画像形成手段を有することが望ましい。そして、本体ユニットには、主ヒンジと副ヒンジとの間に外部から画像形成手段にシートを供給するための供給口が形成されていることが望ましい(請求項8)。
【0029】
主ヒンジの開閉用固定部が搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の一端に固定される場合、主ヒンジと副ヒンジとの間隔が広くなって、空きスペースが形成される。その空きスペースに、供給口を設けることができ、画像読取装置の小型化、薄型化を確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の画像読取装置を具体化した実施例の複合機の斜視図である。
【図2】実施例の複合機に係り、本体ユニットの読取手段及び搬送ユニットを説明する概略断面図である。
【図3】実施例の複合機に係り、上カバー及び搬送手段の図示を省略した搬送ユニットの斜視図である。
【図4】実施例の複合機に係り、主ヒンジの構成と、本体ユニットに対する搬送ユニットの開閉動作とを説明する模式図である。
【図5】実施例の複合機に係り、画像形成手段、メンテナンス用開口及び供給口を説明する概略断面図である。
【図6】実施例の複合機に係り、下カバー及び主ヒンジの斜視図である。
【図7】実施例の複合機に係り、アッパーシュートの斜視図である。
【図8】実施例の複合機に係り、ロアーシュート及び金属製フレームの斜視図である。
【図9】実施例の複合機に係り、図3の要部拡大斜視図である。
【図10】実施例の複合機に係り、図3の矢視X方向から見た要部拡大斜視図である。
【図11】実施例の複合機に係り、主ヒンジ、下カバーの開口、主領域及び副領域、被取付部材の主範囲及び副範囲、並びに主連結部及び副連結部の相対位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
(実施例)
図1に示すように、実施例の複合機10は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。複合機10は、画像読取処理の他、画像形成処理や通信処理等の複数の処理を実行可能なものである。図1では、複合機10の操作パネル3側を装置の前側と規定し、操作パネル3に向かって左を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、複合機10が備える各構成要素について説明する。
【0033】
<複合機の概略構成>
図1及び図2に示すように、複合機10は、本体ユニット20と、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder。以下、単にADFと呼ぶ。)11とを備えている。ADF11は、本発明の搬送ユニットの一例である。
【0034】
図1に示すように、本体ユニット20の前面側には、操作パネル3が設けられている。操作パネル3は、ユーザが行う画像読取処理や画像形成処理等の実行指令や各種パラメータの設定入力を受け付けたり、複合機10の処理状況等を表示する。
【0035】
図2に示すように、本体ユニット20の上面側には、コンタクトガラス22が設けられている。コンタクトガラス22は、移動読取用ガラス80と、移動読取用ガラス80の左端に隣接する固定読取用ガラス79とに二分割されている。移動読取用ガラス80は、紙や書籍等の各種の原稿に対応する大きさを有する矩形状とされている。固定読取用ガラス79は、前後方向に細長い矩形状とされている。移動読取用ガラス80と固定読取用ガラス79との間には、後述する原稿離反部材81が設けられている。移動読取用ガラス80の上を向く面は、用紙や書籍等の各種の原稿が載置される載置面22Aとされている。
【0036】
本体ユニット20内において、コンタクトガラス22の下方には、後述する読取手段25が設けられている。また、読取手段25の下方には、図5に示して後述する画像形成手段29が設けられている。さらに、本体ユニット20内には、読取手段25、画像形成手段29及びADF11等を制御する図示しない制御部が収容されている。
【0037】
図1及び図2に示すように、ADF11は、載置面22Aを含む本体ユニット20の上面を覆うように配設されている。図2に示すように、ADF11は、原稿としての複数枚のシートが積層された状態で載置される原稿トレイ12と、シートが排出される排出トレイ14とを備えている。原稿トレイ12及び排出トレイ14は、上下方向に二段に配設されている。また、ADF11は、後述するように、原稿トレイ12上のシート9を搬送経路16に沿って搬送し、排出トレイ14へ排出する搬送手段42を備えている。
【0038】
図1に示すように、ADF11の背面側は、本体ユニット20の背面側に対して、主ヒンジ100と副ヒンジ120とにより接続されて、左右方向を向く揺動軸芯R1周りに揺動可能に支持されている。図3に、本体ユニット20を二点鎖線で示すとともに、ADF11から上カバー32及び搬送手段42を取り除いて示すように、主ヒンジ100は、本体ユニット20及びADF11の左方かつ後方に位置する角部、言い換えれば、本体ユニット20及びADF11における揺動軸芯R1方向の左端に設けられている。その一方、副ヒンジ120は、本体ユニット20及びADF11の右方かつ後方に位置する角部、言い換えれば、本体ユニット20及びADF11における揺動軸芯R1方向の右端に設けられている。
【0039】
図3及び図4に示すように、主ヒンジ100は、下方に向けて柱状に突出する本体用固定部101と、本体用固定部101に対して揺動軸芯R1周りに揺動可能に支持されて前方に平板状に延びる開閉用固定部102とを有する。
【0040】
図4に示すように、本体用固定部101は、本体ユニット20の背面側上面から下方に向けて凹設されたガイド穴20Aに対して昇降可能に挿入されている。これにより、主ヒンジ100は、本体ユニット20に対する昇降が許容されている。図3及び図4に示すように、開閉用固定部102は、ADF11における揺動軸芯R1方向の左端に固定されている。開閉用固定部102のADF11に対する固定構造については、後で詳述する。
【0041】
図4に示すように、主ヒンジ100はトルク発生機構109を有するフリーストップヒンジである。フリーストップヒンジは周知の構成であるので説明を簡略するが、トルク発生機構109は、開閉用固定部102を本体用固定部101に対して開く付勢力、及び開閉用固定部102の本体用固定部101に対する変位を制動する制動力を発揮する。
【0042】
図3に示すように、副ヒンジ120は、下方に向けて柱状に突出する本体用固定部121と、本体用固定部121に対して揺動軸芯R1周りに揺動可能に支持されて前方に平板状に延びる開閉用固定部122とを有する。
【0043】
図示は省略するが、本体用固定部121は、主ヒンジ100の本体用固定部101と同様に、本体ユニット20の背面側上面から下方に向けて凹設されたガイド穴に対して昇降可能に挿入されている。これにより、副ヒンジ120は、本体ユニット20に対する昇降が許容されている。図3に示すように、開閉用固定部122は、ADF11における揺動軸芯R1方向の右端に固定されている。
【0044】
図示は省略するが、副ヒンジ120も、主ヒンジ100のトルク発生機構109と同様のトルク発生機構を有するフリーストップヒンジである。図2に示すように、本実施例では、重量が比較的重い搬送手段42がADF11における揺動軸芯R1方向の左端近くに偏在している。このため、その搬送手段42の重量を主ヒンジ100が主体的に支持し、副ヒンジ120が補助的に支持する。なお、副ヒンジ120を通常のヒンジとしてもよい。
【0045】
このような主ヒンジ100と副ヒンジ120とにより、図1に示すように、ADF11は揺動軸芯R1周りに揺動して、載置面22Aを覆う閉鎖状態から載置面22Aを露出させる開放状態に変位することができる。図1に実線で示すADF11の姿勢は、載置面22Aを覆う閉鎖状態を示している。そして、ユーザがADF11の前部を持ち上げると、図1に二点鎖線で示すように、ADF11が揺動軸芯R1周りに揺動し、そのADF11の揺動に応じて、本体ユニット20の載置面22Aが徐々に露出する。本実施例では、ADF11が載置面22Aを露出させる状態を開放状態とする。すなわち、ADF11が図1に二点鎖線で示す姿勢まで揺動した状態だけが開放状態ではなく、ADF11が閉鎖状態から少しでも上方に揺動して載置面22Aを露出させれば、開放状態である。
【0046】
逆に、ユーザが開放状態のADF11の前部を押し下げると、ADF11が揺動軸芯R1周りに逆方向に揺動して、閉鎖状態に戻る。この際、ユーザが載置面22Aに書籍等の厚い原稿を配置して、開放状態のADF11の前部を押し下げると、その原稿の厚みに応じて、主ヒンジ100及び副ヒンジ120が本体ユニット20に対して昇降する。このため、ADF11は、本体ユニット20に対して上下動し、原稿を挟んで載置面22Aと平行な姿勢に変位して、閉鎖状態に戻る。
【0047】
ここで、ユーザがADF11が持ち上げたり、押し下げたりする際、主ヒンジ100のトルク発生機構109及び副ヒンジ120のトルク発生機構は、開閉用固定部102を本体用固定部101に対して開く付勢力を発揮して、ADF11の重量を支持する。このため、ユーザは軽い操作力でADF11を揺動させることができる。また、ユーザがADF11を任意の位置で停止させると、主ヒンジ100のトルク発生機構109及び副ヒンジ120のトルク発生機構は、開閉用固定部102の本体用固定部101に対する変位を制動する制動力を発揮して、ADF11をその位置で保持する。これにより、ユーザはADF11から手を離して、載置面22Aに対して原稿を置いたり取り除いたりする作業を容易に行える。こうして、この複合機10は、載置面22Aの露出時にADF11に対してトルクを作用させる主ヒンジ100及び副ヒンジ120により、ADF11を開閉する際の利便性が向上している。
【0048】
<読取手段>
図2に示すように、読取手段25は、本体ユニット20の内部において、コンタクトガラス22の下方に設けられている。読取手段25としては、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device )等の周知の画像読取センサを採用できるが、本実施例では密着型イメージセンサを採用している。本体ユニット20の筐体の内側面には、左右方向に延在するスライド軸78が固定されている。読取手段25は、スライド軸78にスライド自在に支持されており、待機状態では、移動読取用ガラス80の左端の下方に位置している。そして、読取手段25は、図示しないプーリー・ベルト機構が制御部からの制御信号を受けて駆動されることにより、スライド軸78に沿って左右方向、すなわち、揺動軸芯R1と平行な方向にスライドする。また、後述するADF11の自動原稿搬送動作の際には、読取手段25は、固定読取用ガラス79の下方である停止位置18に移動して停止する。
【0049】
ユーザが載置面22Aに1枚の原稿又は書籍を載置して、それらの載置面22Aと対向する表面の画像を読み取る場合、すなわち、ADF11の自動原稿搬送機能を使用しない場合、読取手段25は、載置面22Aの左端の下方から右端の下方に移動しつつ、上記原稿又は書籍の表面に形成された画像を読み取る。そして、読取手段25が読み取った画像データの出力信号が図示しない制御部に伝達される。制御部は、読取手段25の出力信号に基づいて、原稿画像の画像形成処理用データを作成したり、画像形成手段29を制御して、シートに画像を形成するための各種制御を行う。
【0050】
<搬送手段>
図2に示すように、原稿トレイ12、搬送経路16及び排出トレイ14は、ADF11が備える下カバー30、アッパーシュート34、ロアーシュート36及び上カバー32によって形成されている。
【0051】
図2、図3及び図6に示すように、下カバー30は、ADF11の底面及び側面を構成する樹脂製のトレー形状部材であり、その上面の右側が排出トレイ14とされている。図2、図3及び図7に示すように、アッパーシュート34は、その上面の右側が原稿トレイ12とされ、左方に延びて後述する第1搬送路26の一部を形成する樹脂製の略板状体である。図2及び図8に示すように、ロアーシュート36は、後述する第2搬送路28の一部を構成し、後述する主ローラ64の下方から、後述する排出ローラ72近傍まで延在する樹脂製の略板状体である。図1及び図2に示すように、上カバー32は、アッパーシュート34の左側部分を上方から開閉可能に覆う樹脂製の蓋状体である。アッパーシュート34及びロアーシュート36は、本発明のガイド部材の一例である。
【0052】
図2に示すように、搬送手段42は、下カバー30上の左側に偏在して設けられている。搬送手段42は、以下の構成により、原稿トレイ12に載置される複数枚のシート9を1枚ずつ取り出して搬送経路16に沿って自動的に搬送し、排出トレイ14へ排出する。
【0053】
搬送経路16は、原稿トレイ12から左方向へ延びる第1搬送路26と、第1搬送路26に連続し、円弧状に下方へ向かって湾曲する湾曲搬送路27と、湾曲搬送路27に連続し、排出トレイ14へ向けて右上方向に延びる第2搬送路28とにより構成されている。
【0054】
上カバー32の内側には、複数本の補強リブ191、192が設けられている。各補強リブ191、192は、下方に向かってリブ状に突出して、上カバー32の右側端部から左側端部まで延在して、原稿トレイ12側から搬送されるシートの上面をガイドする。つまり、各補強リブ191、192は、第1搬送路26及び湾曲搬送路27の一部を構成している。
【0055】
下カバー30の左端部、及び上カバー32の各補強リブ191、192の左端部の下方には、後述する主ローラ64が配設されている。下カバー30の左端側内壁面及び上カバー32の各補強リブ191、192の左端部と、主ローラ64の外周面とは、第1搬送路26を搬送され、さらに搬送方向下流側に向けて搬送されるシートをガイドする。つまり、下カバー30の左端側内壁面及び上カバー32の各補強リブ191、192の左端部と、主ローラ64の外周とは、湾曲搬送路27を構成している。
【0056】
下カバー30の左端側内壁面とロアーシュート36とは、湾曲搬送路27を搬送され、排紙トレイ14に向けて搬送されるシートをガイドする。つまり、下カバー30の下側内壁面とロアーシュート36とは、第2搬送路28を構成している。
【0057】
図2及び図6に示すように、ADF11の下カバー30には、長尺状の開口84が設けられている。開口84は、第2搬送路28のうち湾曲搬送路27との境界部付近に位置している。ADF11が閉鎖状態にある場合、開口84は、固定読取用ガラス79及び停止位置18にある読取手段25の上方に位置する。開口84は、前後方向、すなわち、揺動軸芯R1と直交する方向に細長い矩形状とされている。第2搬送路28を搬送されるシートは、この開口84を介して、本体ユニット20の固定読取用ガラス79上を通過する。この際、その通過するシートは、本体ユニット20内で停止位置18にある読取手段25に向けて露出し、シートに形成された画像が読取手段25によって読み取られる。そして、固定読取用ガラス79と移動読取用ガラス80との間に設けられた原稿離反部材81は、固定読取用ガラス79に接しつつ搬送されるシートを固定読取用ガラス79からすくい上げて、第2搬送路28に確実に案内する。
【0058】
図2に示すように、搬送手段42は、アッパーシュート34の上方に設けられ、前後方向に延材する第1回転軸56と、第1回転軸56の中央に固定される分離ローラ54と、分離ローラ54の下方に位置する分離パッド57と、分離ローラ54の前方に位置して、分離ローラ54と同期回転する吸入ローラ52とを有している。
【0059】
図3では第1回転軸56の図示を省略しているが、第1回転軸56の後端は、図3に示す金属製フレーム39に回転可能に支持されている。金属製フレーム39は、図8及び図9に示すように、鋼板のプレス加工により衝立形状とされており、ロアーシュート36の後端に立設された後壁部36Rに隣接して設けられている。金属製フレーム39は、本発明の被取付部材の一例である。
【0060】
第1回転軸56は、電動モータや多数のギヤからなる図示しない駆動源に駆動されて所定の回転方向(図2において時計まわり)に回転する。駆動源は、図3及び図9に示す金属製フレーム39の後面に取り付けられている。
【0061】
図2に示すように、吸入ローラ52は、原稿トレイ12に載置された複数枚のシートの表面に当接しつつ回転して、シートに搬送力を付与する。分離ローラ54は、吸入ローラ52により搬送されるシートの表面に当接しつつ回転することにより、シートに搬送力を付与する。この際、分離パッド57の摩擦力により、分離ローラ54と接している最上方の1枚のシートのみを分離して搬送方向下流側に搬送する。こうして、原稿トレイ12に載置された複数枚のシート9が上から順番に1枚ずつ取り出されて、第1搬送路26に沿って下流側に搬送される。
【0062】
また、搬送手段42は、分離ローラ54より左側、すなわち、第1搬送路26の途中において分離ローラ54よりも搬送方向下流側に設けられた第2回転軸66と、第2回転軸66に固定された搬送ローラ61と、搬送ローラ61に対向するピンチローラ65と、湾曲搬送路27に設けられた第3回転軸67と、第3回転軸67に固定された主ローラ64と、主ローラ64に対向するピンチローラ62、63とを有している。
【0063】
図3では第2回転軸66の図示を省略しているが、第2回転軸66の後端も、図3に示す金属製フレーム39に回転可能に支持されており、図示しない駆動源に駆動されて回転する。それに伴って、搬送ローラ61も第2回転軸66と一体回転する。これにより、図2に示すように、分離ローラ54により搬送されるシートは、搬送ローラ61及びピンチローラ65によりニップされて、第1搬送路26から湾曲搬送路27に搬送される。
【0064】
図3では第3回転軸67の図示を省略しているが、第3回転軸67の後端も、図3に示す金属製フレーム39に回転可能に支持されており、図示しない駆動源に駆動されて回転する。それに伴って、主ローラ64も第3回転軸67と一体回転する。これにより、図2に示すように、搬送ローラ61により搬送されるシートは、主ローラ64及びピンチローラ62、63によりニップされて、湾曲搬送路27から第2搬送路28に搬送される。
【0065】
また、搬送手段42は、ロアーシュート36の右側端部、すなわち、第2搬送路28の最下流側に設けられた第4回転軸71と、第4回転軸71に固定された排出ローラ72と、排出ローラ72に対向するピンチローラ74とを有している。
【0066】
図3では第4回転軸71の図示を省略しているが、第4回転軸71の後端も、図3に示す金属製フレーム39に回転可能に支持されており、図示しない駆動源に駆動されて回転する。それに伴って、排出ローラ72も第4回転軸71と一体回転する。これにより、図2に示すように、第2搬送路28に沿って搬送されるシートは、排出ローラ72及びピンチローラ74によりニップされ、排出トレイ14に排出される。
【0067】
固定読取用ガラス79を挟んで、停止位置18に位置する読取手段25と反対側には、白部材82が設けられている。白部材82は、ロアーシュート36の下面にコイルバネを介して装着されており、停止位置18に位置する読取手段25側へ弾性的に付勢されている。第2搬送路28に沿って搬送されるシートは、白部材82により、読取手段25側に押し付けられながら、読取手段25の上方を通過する。
【0068】
<ADFの自動原稿読み取り動作>
図2に示すように、ユーザが1枚又は複数枚のシート9を原稿トレイ12上に載置し、シートの先端を吸入ローラ52の下側に挿入する。そして、ユーザが操作パネル3を操作して、ADF11による自動原稿読み取り処理の開始を入力すると、制御部は、搬送手段42及び読取手段25を制御して自動原稿読み取り処理を開始する。そうすると、読取手段25は、固定読取用ガラス79の下方である停止位置18に移動する。原稿トレイ12上のシートは、搬送手段42により、1枚ずつ取り出されて、搬送経路16に沿って搬送され、湾曲搬送路27を通過する際に表裏反転される。そして、第2搬送路28の途中で、シートの表面に形成された画像が停止位置18にある読取手段25によって読み取られた後、排出トレイ14上に排出される。この一連の動作は、原稿トレイ12上のシートがなくなるまで、自動的に繰り返される。
【0069】
<画像形成手段>
図5に示すように、本体ユニット20の内部において、読取手段25の下方には、画像形成手段29が収容されている。画像形成手段29としては、電子写真式、インクジェット式、その他の周知の構成のものを搭載可能であるので、詳細な説明は簡略する。
【0070】
本体ユニット20の底部には、シート9Aを収容する給紙カセット89が設けられている。給紙カセット89の上方、かつ給紙カセット89に対して前方にずれた位置には、保持トレイ87が設けられている。本体ユニット20の背面側には、下方の給紙カセット78の後端から、斜め上方に延びた後、湾曲して前方に向きを変える湾曲搬送路88Aが設けられている。本体ユニット20の中央には、湾曲搬送路88Aに連続して前方の排紙保持部87まで水平に延びる水平搬送路88Bが設けられている。
【0071】
画像形成手段29は、給紙カセット89内のシート9Aを1枚ずつ湾曲搬送路88Aに沿って送り出す。これにより、シート9Aは、湾曲搬送路88Aにより前方に向きを変え、水平搬送路88Bに到達する。そして、画像形成手段29は、水平搬送路88Bによりシート9Aを前方に搬送し、水平搬送路88Bの途中で、シートの表面に画像を形成した後、保持トレイ87に排出する。
【0072】
本体ユニット20の背面の下方には、メンテナンス用開口99と、メンテナンス用開口99を覆う開閉カバー99Aとが設けられている。開閉カバー99Aは、下端が本体ユニット20の背面に揺動可能に支持されている。開閉カバー99Aを後方に開くことにより、メンテナンス用開口99が開放される。そして、開放されたメンテナンス用開口99を介して、画像形成手段29の紙詰まりや消耗品の交換等を実施できる。
【0073】
本体ユニット20の背面において、メンテナンス用開口99の上方には、供給口98と、供給口98を覆う供給トレイ98Aとが設けられている。供給トレイ98Aは、下端が本体ユニット20の背面に揺動可能に支持されている。本体ユニット20内には、供給口98から下り傾斜状態で前方に延びて水平搬送路88Bに連続する手差し経路88Cが設けられている。供給トレイ98Aを後方に開いて傾斜状態とすることにより、供給口98が開放される。そして、ユーザが供給トレイ98Aにシートを載置して、手差し経路88Cに沿って本体ユニット20内に挿入することにより、水平搬送路88Bにシートを供給することができる。この場合、画像形成手段29は、手差し経路88Cに沿って供給されたシートを水平搬送路88Bにより前方に搬送し、水平搬送路88Bの途中で、シートの表面に画像を形成した後、保持トレイ87に排出する。
【0074】
図1に示すように、ADF11及び本体ユニット20の背面には、上下方向に溝状に延在する凹部20Sが形成されている。ここで、本実施例では、主ヒンジ10が本体ユニット20及びADF11における揺動軸芯R1方向の左端に設けられている一方、副ヒンジ120が本体ユニット20及びADF11における揺動軸芯R1方向の右端に設けられている。このため、主ヒンジ100と副ヒンジ120とに挟まれる凹部20Sの左右方向の間隔Wを拡げることができる。そして、複合機10では、各種サイズのシート9Aに対して幅広とされるメンテナンス用開口99、開閉カバー99A、供給口98及び供給トレイ98Aを凹部20S内に設けることが可能となっており、複合機10の小型化、薄型化を確実に実現できる。
【0075】
<主ヒンジの開閉用固定部のADFに対する固定構造>
次に、主ヒンジ100の開閉用固定部102がADF11における揺動軸芯R1方向の左端にどのように固定されているかについて詳しく説明する。本実施例では、ADF11と開閉用固定部102との間に発生する応力を金属製フレーム39、アッパーシュート34、ロアーシュート36を介して、下カバー30の中央側に逃がすようになっている。このため、下カバー30、金属製フレーム39、アッパーシュート34及びロアーシュート36の相互関係についても詳しく説明する。
【0076】
図6に示すように、平板状に延びる開閉用固定部102には、4個の連結穴102A、102B、102C、102Dが貫設されている。各連結穴102A〜102Dは、前後方向及び左右方向に2列に並んでいる。各連結穴102A〜102Dには、図4に示すように、4本の締結ねじ92が1本ずつ上向きに挿入される。
【0077】
図6に示すように、下カバー30には開口84が形成されている。この開口84において、揺動軸芯R1と直交する一対の辺のうち、下カバー30の中央側の辺を長辺84Aとし、他の辺を長辺84Bとする。また、開口84において揺動軸芯R1と平行な一対の辺のうち、揺動軸芯R1に近い辺を短辺84Cとし、他の辺を短辺84Dとする。そうすると、長辺84A、84B及び短辺84C、84Dはそれぞれ直角に接続されている。このため、下カバー30が何らかの外力を受けた場合に、下カバー30に作用する応力は、矩形状の開口84の4つの角部の近傍に集中し易くなっている。
【0078】
ここで、図6及び図11に示すように、長辺84Aを含む線を仮想線K1とし、短辺84Cを含む線を仮想線K2とする。また、長辺84Aを含む仮想線K1から下カバー30における揺動軸芯R1方向の右端までの範囲を主領域30Xと規定するとともに、仮想線K1から下カバー30における揺動軸芯R1方向の左端までの範囲を副領域30Yと規定する。そうすると、図9及び図11に示すように、金属製フレーム39は、主領域30Xから仮想線K1を跨いで副領域30Yまで延びている。金属製フレーム39において、主領域30X側に位置する範囲を主範囲39Xと規定し、副領域30Y側に位置する範囲を副範囲39Yと規定する。
【0079】
図6に示すように、下カバー30の後端側において、仮想線K1に対して揺動軸芯R1方向の左端側、かつ仮想線K2に対して揺動軸芯R1に近い側には、固定部30Fが形成されている。固定部30Fの上面と下面とは平行な平面とされている。固定部30Fには、上下方向に4個の連結穴30A、30B、30C、30Dが貫設されている。
【0080】
下カバー30の後端側において、固定部30Fより左側(下カバー30の左端縁)には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部30Eが形成されている。固定部30Fに対して仮想線K1を跨いで右側には、固定部30Fより高い平面である台部30Gが形成されている。台部30Gの右端には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部30Hが形成されている。台部30Gより右側には、台部30Gより高い台部30Iが形成されている。台部30Iの中央には、上方に向けて鍵爪状に突出する係合爪部30Jが形成されている。
【0081】
下カバー30の前端側において、左端角部には、上方に向けて鍵爪状に突出する係合爪部30Kが形成されている。係合爪部30Kに対して仮想線K1を跨いで右側には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部30Lが形成されている。係合筒部30Lより右側には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部30Mが形成されている。係合筒部30Mより右側には、上方に向けて鍵爪状に突出する係合爪部30Nが形成されている。
【0082】
図7に示すように、アッパーシュート34の後端側において、左端角部から下方に向けて突出する脚部の底部には、上下方向に連結穴34Eが貫設されている。アッパーシュート34の後端側において、連結穴34Eに対して仮想線K1を跨いで右側には、上下方向に係合角穴34Jが貫設されている。
【0083】
アッパーシュート34の前端側において、左端角部には、前方に突出する係合リブ34Kが形成が形成されている。係合リブ34Kに対して仮想線K1を跨いで右側には、上下方向に連結穴34Mが貫設されている。連結穴34Mより右側前方には、図10に示すように、下方に向けて鍵爪状に突出する係合爪部34Nが形成されている。
【0084】
アッパーシュート34の略中央には、上下方向に連結穴34Tが貫設されている。連結穴34Tの周囲はザグリ加工されている。アッパーシュート34の左端側には、上下方向に2個の連結穴34U、34Vが貫設されている。連結穴34U、34Vは前後方向に並んでいる。連結穴34U、34Vの周囲はザグリ加工されている。連結穴34Tは仮想線K1より右側に位置し、連結穴34U、34Vは仮想線K1より左側に位置する。
【0085】
図8に示すように、ロアーシュート36の後端側において、左端角部からさらに左方に延びるリブには、上下方向に連結穴36Eが貫設されている。連結穴36Eに対して仮想線K1を跨いで右側には、立壁部36Rから後方に向けて円筒状に突出する2個の係合筒部36P、36Qが形成されている。係合筒部36P、36Qは上下方向に並んでいる。係合筒部36P、36Qより右側の角部には、上下方向に連結穴36Hが貫設されている。
【0086】
ロアーシュート36の前端側において、仮想線K1より右側で前方に突出するリブには、上下方向に連結穴36Lが貫設されている。
【0087】
ロアーシュート36の右端側の略中央には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部36Tが形成されている。ロアーシュート36の左端側には、上方に向けて円筒状に突出する2個の係合筒部36U、36Vが形成されている。係合筒部36U、36Vは前後方向に並んでいる。係合筒部36Tは仮想線K1より右側に位置し、係合筒部36U、36Vは仮想線K1より左側に位置する。
【0088】
図8に示すように、金属製フレーム39において、衝立状の本体部39Fは、仮想線K1を跨いで左右方向に延びている。本体部39Fの仮想線K1より右側には、前後方向に2個の連結穴39P、39Qが貫設されている。連結穴39P、39Qは上下方向に並んでいる。
【0089】
本体部39Fの仮想線K1より右側の下端縁には、後方に矩形板状に折り曲げられた基部39Gが形成されている。その一方、本体部39Fの仮想線K1より左側の下端縁には、後方に矩形板状に折り曲げられた共締め部39Hが形成されている。共締め部39Hには、上下方向に4個の連結穴39A、39B、39C、39Dが貫設されている。
【0090】
アッパーシュート34及びロアーシュート36は、以下に説明するようにして、下カバー30に固定される。
【0091】
まず、下カバー30に対して、上方からロアーシュート36を載置する。そして、図9に示すように、締結ねじ92Hをロアーシュート36の連結穴36Hを介して下カバー30の係合筒部30Hにねじ込む。締結ねじ92H、連結穴36H及び係合筒部30Hは、図11に示す主連結部M1である。また、図10に示すように、締結ねじ92Lをロアーシュート36の連結穴36Lを介して下カバー30の係合筒部30Lにねじ込む。締結ねじ92L、連結穴36L及び係合筒部30Lは、図11に示す主連結部M2である。
【0092】
次に、下カバー30及びロアーシュート36に対して、上方からアッパーシュート34を載置する。この際、図9に示すように、アッパーシュート34の係合角穴34Jを下カバー30の係合爪部30Jに係合させる。係合角穴34J及び係合爪部30Jは、図11に示す主連結部M3である。また、図10に示すように、アッパーシュート34の係合爪部34Nに下カバー30の係合爪部30Nに係合させる。係合爪部34N及び係合爪部30Nは、図11に示す主連結部M4である。また、図3に示すように、アッパーシュート34の係合リブ34Kを下カバー30の係合爪部30Kに係合させる。係合爪部34K及び係合爪部30Kは、図11に示す他の連結部N1である。
【0093】
そして、図9に示すように、締結ねじ92Eをロアーシュート36の連結穴36E及びアッパーシュート34の連結穴34Eを介して下カバー30の係合筒部30Eにねじ込む。締結ねじ92E、連結穴36E、連結穴34E及び係合筒部30Eは、図11に示す他の連結部N2である。また、図3に示すように、締結ねじ92Mをアッパーシュート34の連結穴34Mを介して下カバー30の係合筒部30Mにねじ込む。締結ねじ92M、連結穴34M及び係合筒部30Mは、図11に示す主連結部M5である。また、図3に示すように、締結ねじ92Tをアッパーシュート34の連結穴34Tを介してロアーシュート36の係合筒部36Tにねじ込む。締結ねじ92T、連結穴34T及び係合筒部36Tは、図11に示す主連結部M6である。また、図3に示すように、締結ねじ92U、92Vをアッパーシュート34の連結穴34U、34Vを介してロアーシュート36の係合筒部36U、36Vにねじ込む。締結ねじ92U、92V、連結穴34U、34V及び係合筒部36U、36Vは、図11に示す他の連結部N3、N4である。
【0094】
そして、開閉用固定部102及び金属製フレーム39は、以下に説明するようにして、下カバー30に固定される。
【0095】
まず、図9に示すように、金属製フレーム39の本体部39Fをロアーシュート36の後壁部36Rに沿わせつつ、共締め部39Hを固定部30Fの上面に当接させ、基部39Gを下カバー30の台部30Gに当接させる。
【0096】
次に、締結ねじ92P、92Qを金属製フレーム39の連結穴39P、39Qを介してロアーシュート36の係合筒部36P、36Qにねじ込む。締結ねじ92P、Q、連結穴39P、39Q及び係合筒部36P、36Qは、図11に示す主連結部M7、M8である。
【0097】
また、開閉用固定部102を固定部30Fの下面に当接させて、開閉用固定部102の各連結穴102A〜102Dと、固定部30Fの各連結穴30A〜30Dと、共締め部39Hの各連結穴39A〜39Dとを一致させる。そして、4本の締結ねじ92を下方から各連結穴102A〜102D、各連結穴30A〜30D及び各連結穴39A〜39Dに挿入し、その上端にナット91で締結する。4本の締結ねじ92及びナット91、各連結穴102A〜102D、各連結穴30A〜30D及び各連結穴39A〜39Dは、図11に示す副連結部S1、S2、S3、S4である。
【0098】
こうして、開閉用固定部102と固定部30Fと共締め部39Hとは、図4に示すように共締めされる。この際、図11に示すように、金属製フレーム39は、8個の主連結部M1〜M8により、主範囲39Xで下カバー30に固定され、4個の副連結部S1〜S4により、副範囲39Yで開閉用固定部102に固定される。特に、副連結部S1〜S4は、短辺84Cを含む仮想線K2に対して揺動軸芯R1側に位置していることにより、開口84の揺動軸芯R1に近い2つの角部から離れている。これは、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力がそれら2つの角部に伝わることを極力抑制するためである。
【0099】
<作用効果>
実施例の複合機10では、主ヒンジ100は、フリーストップヒンジであり、開閉用固定部102本体用固定部101に対して開く付勢力及び開閉用固定部102の本体用固定部101に対する変位を制動する制動力を発揮するトルク発生機構109を有する。このような主ヒンジ100により、ADF11を軽く開閉できるととともに、任意の位置で停止できるので、ADF11を開閉する際の利便性を向上させることができる。
【0100】
また、主ヒンジ100の開閉用固定部102をADF11における揺動軸芯R1方向の一端に固定することにより、ADF11における揺動軸芯R1方向の中央側に空きスペースである凹部20Sを形成できる。そして、凹部20Sに他の部材を配設し易いので、複合機10の小型化、薄型化を実現できる。
【0101】
ここで、フリーストップヒンジである主ヒンジ100は、載置面22Aの露出時にADF11に対してトルクを作用させるので、そのトルクにより、ADF11と開閉用固定部102との間に応力が発生する。そして、仮に、金属製フレーム39に共締め部39Hが存在せず、開閉用固定部102を下カバー30の副領域30Yだけに固定するとすれば、ADF11と開閉用固定部102との間に発生する応力は下カバー30の副領域30Y、特に開口84の揺動軸芯R1に近い2つの角部に集中し易くなる。そうすると、ADF11が繰り返し開閉されることにより、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断するおそれがある。
【0102】
この点、実施例の複合機10では、剛性を有する金属製フレーム39は、主連結部M1〜M8により、主範囲39Xで下カバー30に固定され、副連結部S1〜S4により、副範囲39Yで開閉用固定部102に固定されている。
【0103】
このような構成により、この複合機10は、ADF11と開閉用固定部102との間に発生する応力、より具体的には、副連結部S1〜S4周辺に発生する応力を金属製フレーム39を介して下カバー30の主領域30Xに逃がすことができる。このため、その応力が下カバー30の副領域30Yに集中し難くなるので、ADF11が繰り返し開閉されても、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断することを防止できる。
【0104】
したがって、実施例の複合機10は、ADF11を開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を発揮できる。
【0105】
特に、本実施例では、金属製フレーム39の副範囲39Yと開閉用固定部102とは、副連結部S1、S2、S3、S4により、下カバー30の副領域30Yを挟んで共締めされている。この構成により、下カバー30の副領域30Yを開閉用固定部102の固定に利用できる。このため、仮に、金属製フレーム39を副範囲39Yで開閉用固定部102に固定する一方、開閉用固定部102を下カバー30の副領域30Yに固定せず、金属製フレーム39を副範囲39Yで下カバー30の副領域30Yに固定しない構成を採用する場合と比較して、ADF11に対して開閉用固定部102を確実に固定できる。そして、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力を金属製フレーム39を介して下カバー30の主領域30Xに逃がすことができる。この際、上述したように、副連結部S1〜S4が開口84の揺動軸芯R1に近い2つの角部から離れているので、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力がそれら2つの角部に伝わることを極力抑制できる。こうして、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力が下カバー30の副領域30Yに集中し難くなるので、ADF11が繰り返し開閉されても、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断することを防止できる。その結果、この複合機10は、ADF11を開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を確実に発揮できる。
【0106】
また、複合機10において、金属製フレーム39の副範囲39Yと下カバー30の副領域30Yとの取り付け強度は、主連結部M1〜M8の数と相関関係がある。金属製フレーム39の副範囲39Yと下カバー30の副領域30Yとの取り付け強度も、副連結部S1〜S4の数と相関関係がある。本実施例では、主連結部M1〜M8は8個であり、4個の副連結部S1〜S4より数が多いことから、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力を主領域30Xに一層確実に逃がすことができる。このため、この複合機10は、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断することを一層確実に防止できる。
【0107】
さらに、複合機10において、搬送手段42により搬送される原稿9を案内するアッパーシュート34及びロアーシュート36は、原稿9に対応して大きな形状とされ、下カバー30に取り付けられている。このため、金属製フレーム39の主範囲39Xがアッパーシュート34及びロアーシュート36を介してと下カバー30の主領域30Xに固定されることにより、主連結部M1〜M8の場所を主領域30X内で広く分散できる。このため、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力を主領域30Xに一層確実に逃がすことができる。その結果、この複合機10は、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断することを一層確実に防止できる。
【0108】
また、複合機10において、金属製フレーム39は、搬送手段42を構成する第1〜4回転軸56、66、67、71や駆動源を支持する金属製フレームを兼ねているので、部品点数を削減できる。また、金属製フレーム39と同程度の剛性を有する樹脂製の被取付部材を採用する場合と比較して、金属製フレーム39が薄いので、省スペース化を実現できる。
【0109】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0110】
例えば、締結ねじ92E、連結穴36E、連結穴34E及び係合筒部30Eが開閉用固定部102に固定されている場合、アッパーシュート34及びロアーシュート36は本発明の被取付部材となり、締結ねじ92E、連結穴36E、連結穴34E及び係合筒部30Eは副連結部となる。
【0111】
また、主連結部及び副連結部は、実施例で示したねじ固定や、係合爪による係合の他、凹部と凸部との嵌合、ガイド溝に対してレール部材をスライドさせる結合等の一般的な方式を採用できる。
【0112】
本実施例では、金属製フレーム39をアッパーシュート34及びロアーシュート36を介して、間接的に下カバー30に固定することにより、副連結部S1〜S4周辺に発生する応力を金属製フレーム39からアッパーシュート34及びロアーシュート36を介して、下カバー30に広く分散させる例を示している。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、金属製フレーム39を主範囲39Xで下カバー30に直接固定することにより、副連結部S1〜S4周辺に発生する応力を金属製フレーム39から下カバー30に直接分散させる構成とすることもできる。このような構成は、例えば、金属製フレーム39の基部39Gを下カバー30の台部に締結ねじ等により直接固定することにより実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は画像読取装置及び複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0114】
10…画像読取装置(複合機)、20…本体ユニット、22A…載置面
11…搬送ユニット(ADF)、9…原稿(シート)、25…読取手段
18…停止位置、R1…揺動軸芯、29…画像形成手段
100…主ヒンジ、101…本体用固定部、102…開閉用固定部
30…下カバー、42…搬送手段、39…被取付部材(金属製フレーム)
84…開口、84A、84B…開口における揺動軸芯と直交する一対の辺
K1…仮想線、30X…下カバーの主領域、30Y…下カバーの副領域
39X…被取付部材の主範囲、39Y…被取付部材の副範囲
M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8…主連結部
S1、S2、S3、S4…副連結部
34、36…ガイド部材(34…アッパーシュート、36…ロアーシュート)
120…副ヒンジ、99…メンテナンス用開口、98…供給口
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像読取装置が開示されている。この画像読取装置は本体ユニットと搬送ユニットとを備えている。
【0003】
本体ユニットは、原稿が載置される載置面と、載置面の一端側の停止位置から載置面の他端側に向かって移動可能に設けられ、載置面に載置された原稿の画像を読み取り可能な読取手段とを有している。
【0004】
搬送ユニットは、本体ユニットに対して一対のヒンジによって接続され、読取手段の移動方向と平行な揺動軸芯周りに揺動可能に支持されている。両ヒンジは、特許文献1の図1にヒンジ4、4として図示されている。各ヒンジは、本体ユニットに形成された嵌入穴に差し込まれる本体用固定部と、搬送ユニットに固定される開閉用固定部とを有している。これらのヒンジにより、搬送ユニットは、載置面を覆う閉鎖状態から載置面を露出させる開放状態に変位することができる。
【0005】
また、搬送ユニットは、閉鎖状態において載置面と対向する下カバーと、下カバー上に設けられた搬送手段とを有している。下カバーには、閉鎖状態において、停止位置にある読取手段の上方で揺動軸芯と直交する方向に延びる長尺状の開口が貫設されている。開口は、特許文献1の図2にパス3dとして図示されている。そして、搬送手段が停止位置にある読取手段に向けて原稿を搬送すると、原稿は、開口の位置で読取手段の上方を通過することになり、ここで読取手段と対向する原稿の部分の画像が読み取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−197232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、画像読取装置に対しては、搬送ユニットを開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現と、高い耐久性の実現とが求められている。
【0008】
この点、上記従来の画像読取装置においては、利便性向上のため、搬送ユニットを閉鎖状態と開放状態との間の任意の位置で保持できるフリーストップヒンジが少なくとも一つ、採用されることが多い。そして、小型化、薄型化を実現するため、本体ユニット及び搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の一端又は他端にフリーストップヒンジを固定することが考えられる。この場合、フリーストップヒンジが載置面の露出時に搬送ユニットに対してトルクを作用させることから、搬送ユニットの開口に近い一端にフリーストップヒンジの開閉用固定部を固定するとすれば、そのトルクにより、下カバーの開口に近い領域に応力が集中し易くなる。そうすると、搬送ユニットが繰り返し開閉されることにより、下カバーが開口の近傍で疲労破断するおそれがある。その結果、従来の画像読取装置は、高い耐久性を発揮し難くなる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、搬送ユニットを開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を発揮できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像読取装置は、原稿が載置される載置面と、前記載置面の一端側の停止位置から前記載置面の他端側に向かって移動可能に設けられ、前記載置面に載置された前記原稿の画像を読み取り可能な読取手段とを有する本体ユニットと、
前記本体ユニットに対して主ヒンジによって接続され、前記読取手段の移動方向と平行な揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、前記載置面を覆う閉鎖状態から前記載置面を露出させる開放状態に変位可能な搬送ユニットとを備えた画像読取装置であって、
前記主ヒンジは、前記本体ユニットに固定される本体用固定部と、前記搬送ユニットにおける前記揺動軸芯方向の一端に固定される開閉用固定部とを有し、前記載置面の露出時に前記搬送ユニットに対してトルクを作用させるものであり、
前記搬送ユニットは、前記閉鎖状態において前記載置面と対向する下カバーと、前記下カバー上に設けられ、前記停止位置にある前記読取手段に向けて原稿を搬送する搬送手段と、前記下カバーに取り付けられ、剛性を有する被取付部材とを有し、
前記下カバーには、前記閉鎖状態において、前記停止位置にある前記読取手段の上方で前記揺動軸芯と直交する方向に延び、前記搬送手段によって搬送される前記原稿を前記読取手段の上方に通過させる長尺状の開口が貫設され、
前記下カバーの前記開口における前記揺動軸芯と直交する一対の辺のうち前記下カバーの中央側の辺を含む線を仮想線とし、前記仮想線から前記下カバーにおける前記揺動軸芯方向の他端までの範囲を主領域と規定するとともに、前記仮想線から前記下カバーにおける前記揺動軸芯方向の一端までの範囲を副領域と規定した場合、
前記被取付部材は、前記主領域から前記仮想線を跨いで前記副領域まで延び、前記主領域側に位置する主範囲と前記副領域側に位置する副範囲とからなり、前記主範囲で前記下カバーに固定され、前記副範囲で前記開閉用固定部に固定されていることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
本発明の画像読取装置では、主ヒンジは、載置面の露出時に搬送ユニットに対してトルクを作用させる。そして、そのトルクにより、搬送ユニットと開閉用固定部との間に応力が発生する。主ヒンジの具体例としては、フリーストップヒンジ、自動開閉ヒンジ、ストッパ付きヒンジ等が挙げられる。これらのヒンジは、一般的に、開閉用固定部を本体用固定部に対して開く付勢力及び開閉用固定部の本体用固定部に対する変位を制動する制動力の少なくとも一方を発揮するトルク発生機構を有する。このような主ヒンジにより、搬送ユニットを開閉する際の利便性を向上させることができる。
【0012】
また、主ヒンジの開閉用固定部を搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の一端に固定することにより、搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の中央側に空きスペースが形成される。そして、その空きスペースに他の部材を配設し易いので、画像読取装置の小型化、薄型化を実現できる。
【0013】
また、本発明の画像読取装置では、剛性を有する被取付部材は、下カバーの主領域から仮想線を跨いで副領域まで延び、主領域側に位置する主範囲と副領域側に位置する副範囲とからなる。そして、被取付部材は、主範囲で下カバーに固定され、副範囲で開閉用固定部に固定されている。この際、被取付部材は、副範囲で下カバーの副領域に固定されてもよいし、固定されなくてもよい。また、開閉用固定部は、下カバーの副領域に固定されてもよいし、固定されなくてもよい。このため、この画像読取装置は、搬送ユニットと開閉用固定部との間に発生する応力を被取付部材を介して下カバーの主領域に逃がすことができ、上記応力が下カバーの副領域に集中し難くなるので、搬送ユニットが繰り返し開閉されても、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを防止できる。
【0014】
したがって、本発明の画像読取装置は、搬送ユニットを開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を発揮できる。
【0015】
本発明の画像読取装置において、開閉用固定部は、下カバーの副領域に固定され、被取付部材は、副範囲で下カバーの副領域に固定されていることが望ましい(請求項2)。
【0016】
この構成によれば、下カバーの副領域を開閉用固定部の固定に利用できる。このため、請求項1に係る発明のうち、開閉用固定部が下カバーの副領域に固定されず、被取付部材が副範囲で下カバーの副領域に固定されない構成と比較して、搬送ユニットに対して開閉用固定部を確実に固定できる。そして、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力を被取付部材を介して下カバーの主領域に逃がすことができる。このため、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力が下カバーの副領域に集中し難くなるので、搬送ユニットが繰り返し開閉されても、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを防止できる。その結果、この画像読取装置は、搬送ユニットを開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を確実に発揮できる。
【0017】
被取付部材の副範囲と、下カバーの副領域と、開閉用固定部とは、共締めされてもよいし、共締めされなくてもよい。また、被取付部材の副範囲と、開閉用固定部とは、下カバーの副領域を挟んで共締めされてもよいし、下カバーの副領域に対して同じ側で共締めされてもよい。
【0018】
本発明の画像読取装置において、被取付部材の主範囲と下カバーの主領域とは、少なくとも一つの主連結部により連結されていることが望ましい(請求項3)。
【0019】
この構成によれば、主連結部により、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力を主領域に確実に逃がすことができる。このため、この画像読取装置は、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを確実に防止できる。
【0020】
本発明の画像読取装置において、被取付部材の副範囲と下カバーの副領域とは、少なくとも一つの副連結部により連結され、主連結部の数は副連結部の数以上であることが望ましい(請求項4)。
【0021】
被取付部材の副範囲と下カバーの副領域との取り付け強度は、主連結部の数と相関関係がある。また、被取付部材の副範囲と下カバーの副領域との取り付け強度は、副連結部の数と相関関係がある。主連結部の数が副連結部の数以上であれば、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力を主領域に一層確実に逃がすことができる。このため、この画像読取装置は、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを一層確実に防止できる。
【0022】
本発明の画像読取装置において、搬送ユニットは、下カバーに取り付けられ、搬送手段に搬送される原稿を案内するガイド部材を有し、被取付部材の主範囲と下カバーの主領域とはガイド部材を介して固定されていることが望ましい(請求項5)。
【0023】
原稿を案内するガイド部材は、原稿に対応して大きな形状とされ、下カバーに取り付けられるのが一般的である。このため、被取付部材の主範囲がガイド部材を介して下カバーの主領域と固定されることにより、主連結部の場所を主領域内で広く分散できる。その結果、下カバーの副領域と開閉用固定部との間に発生する応力を主領域に一層確実に逃がすことができる。このため、この画像読取装置は、下カバーが開口の近傍で疲労破断することを一層確実に防止できる。
【0024】
本発明の画像読取装置において、被取付部材は、搬送手段を構成する軸体、回転体及び駆動体の少なくとも1つを支持する金属製フレームであることが望ましい(請求項6)。
【0025】
この構成によれば、既存の金属製フレームを被取付部材とすることで、部品点数を削減できる。また、金属製フレームである被取付部材は、同程度の剛性を有する樹脂製の被取付部材と比較して薄くできるので、省スペース化を実現できる。
【0026】
本発明の画像読取装置において、本体ユニットと搬送ユニットとの間には、主ヒンジから離反し、本体ユニットに対して搬送ユニットを揺動可能に支持する副ヒンジが設けられることが望ましい。また、本体ユニットは、読取手段の下方に設けられ、シートに画像を形成する画像形成手段を有することが望ましい。そして、本体ユニットには、主ヒンジと副ヒンジとの間に画像形成手段を整備保守するためのメンテナンス用開口が形成されていることが望ましい(請求項7)。
【0027】
主ヒンジの開閉用固定部が搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の一端に固定される場合、主ヒンジと副ヒンジとの間隔が広くなって、空きスペースが形成される。その空きスペースに、メンテナンス用開口を設けることができ、画像読取装置の小型化、薄型化を確実に実現できる。
【0028】
本発明の画像読取装置において、本体ユニットと搬送ユニットとの間には、主ヒンジから離反し、本体ユニットに対して搬送ユニットを揺動可能に支持する副ヒンジが設けられることが望ましい。また、本体ユニットは、読取手段の下方に設けられ、シートに画像を形成する画像形成手段を有することが望ましい。そして、本体ユニットには、主ヒンジと副ヒンジとの間に外部から画像形成手段にシートを供給するための供給口が形成されていることが望ましい(請求項8)。
【0029】
主ヒンジの開閉用固定部が搬送ユニットにおける揺動軸芯方向の一端に固定される場合、主ヒンジと副ヒンジとの間隔が広くなって、空きスペースが形成される。その空きスペースに、供給口を設けることができ、画像読取装置の小型化、薄型化を確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の画像読取装置を具体化した実施例の複合機の斜視図である。
【図2】実施例の複合機に係り、本体ユニットの読取手段及び搬送ユニットを説明する概略断面図である。
【図3】実施例の複合機に係り、上カバー及び搬送手段の図示を省略した搬送ユニットの斜視図である。
【図4】実施例の複合機に係り、主ヒンジの構成と、本体ユニットに対する搬送ユニットの開閉動作とを説明する模式図である。
【図5】実施例の複合機に係り、画像形成手段、メンテナンス用開口及び供給口を説明する概略断面図である。
【図6】実施例の複合機に係り、下カバー及び主ヒンジの斜視図である。
【図7】実施例の複合機に係り、アッパーシュートの斜視図である。
【図8】実施例の複合機に係り、ロアーシュート及び金属製フレームの斜視図である。
【図9】実施例の複合機に係り、図3の要部拡大斜視図である。
【図10】実施例の複合機に係り、図3の矢視X方向から見た要部拡大斜視図である。
【図11】実施例の複合機に係り、主ヒンジ、下カバーの開口、主領域及び副領域、被取付部材の主範囲及び副範囲、並びに主連結部及び副連結部の相対位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
(実施例)
図1に示すように、実施例の複合機10は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。複合機10は、画像読取処理の他、画像形成処理や通信処理等の複数の処理を実行可能なものである。図1では、複合機10の操作パネル3側を装置の前側と規定し、操作パネル3に向かって左を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、複合機10が備える各構成要素について説明する。
【0033】
<複合機の概略構成>
図1及び図2に示すように、複合機10は、本体ユニット20と、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder。以下、単にADFと呼ぶ。)11とを備えている。ADF11は、本発明の搬送ユニットの一例である。
【0034】
図1に示すように、本体ユニット20の前面側には、操作パネル3が設けられている。操作パネル3は、ユーザが行う画像読取処理や画像形成処理等の実行指令や各種パラメータの設定入力を受け付けたり、複合機10の処理状況等を表示する。
【0035】
図2に示すように、本体ユニット20の上面側には、コンタクトガラス22が設けられている。コンタクトガラス22は、移動読取用ガラス80と、移動読取用ガラス80の左端に隣接する固定読取用ガラス79とに二分割されている。移動読取用ガラス80は、紙や書籍等の各種の原稿に対応する大きさを有する矩形状とされている。固定読取用ガラス79は、前後方向に細長い矩形状とされている。移動読取用ガラス80と固定読取用ガラス79との間には、後述する原稿離反部材81が設けられている。移動読取用ガラス80の上を向く面は、用紙や書籍等の各種の原稿が載置される載置面22Aとされている。
【0036】
本体ユニット20内において、コンタクトガラス22の下方には、後述する読取手段25が設けられている。また、読取手段25の下方には、図5に示して後述する画像形成手段29が設けられている。さらに、本体ユニット20内には、読取手段25、画像形成手段29及びADF11等を制御する図示しない制御部が収容されている。
【0037】
図1及び図2に示すように、ADF11は、載置面22Aを含む本体ユニット20の上面を覆うように配設されている。図2に示すように、ADF11は、原稿としての複数枚のシートが積層された状態で載置される原稿トレイ12と、シートが排出される排出トレイ14とを備えている。原稿トレイ12及び排出トレイ14は、上下方向に二段に配設されている。また、ADF11は、後述するように、原稿トレイ12上のシート9を搬送経路16に沿って搬送し、排出トレイ14へ排出する搬送手段42を備えている。
【0038】
図1に示すように、ADF11の背面側は、本体ユニット20の背面側に対して、主ヒンジ100と副ヒンジ120とにより接続されて、左右方向を向く揺動軸芯R1周りに揺動可能に支持されている。図3に、本体ユニット20を二点鎖線で示すとともに、ADF11から上カバー32及び搬送手段42を取り除いて示すように、主ヒンジ100は、本体ユニット20及びADF11の左方かつ後方に位置する角部、言い換えれば、本体ユニット20及びADF11における揺動軸芯R1方向の左端に設けられている。その一方、副ヒンジ120は、本体ユニット20及びADF11の右方かつ後方に位置する角部、言い換えれば、本体ユニット20及びADF11における揺動軸芯R1方向の右端に設けられている。
【0039】
図3及び図4に示すように、主ヒンジ100は、下方に向けて柱状に突出する本体用固定部101と、本体用固定部101に対して揺動軸芯R1周りに揺動可能に支持されて前方に平板状に延びる開閉用固定部102とを有する。
【0040】
図4に示すように、本体用固定部101は、本体ユニット20の背面側上面から下方に向けて凹設されたガイド穴20Aに対して昇降可能に挿入されている。これにより、主ヒンジ100は、本体ユニット20に対する昇降が許容されている。図3及び図4に示すように、開閉用固定部102は、ADF11における揺動軸芯R1方向の左端に固定されている。開閉用固定部102のADF11に対する固定構造については、後で詳述する。
【0041】
図4に示すように、主ヒンジ100はトルク発生機構109を有するフリーストップヒンジである。フリーストップヒンジは周知の構成であるので説明を簡略するが、トルク発生機構109は、開閉用固定部102を本体用固定部101に対して開く付勢力、及び開閉用固定部102の本体用固定部101に対する変位を制動する制動力を発揮する。
【0042】
図3に示すように、副ヒンジ120は、下方に向けて柱状に突出する本体用固定部121と、本体用固定部121に対して揺動軸芯R1周りに揺動可能に支持されて前方に平板状に延びる開閉用固定部122とを有する。
【0043】
図示は省略するが、本体用固定部121は、主ヒンジ100の本体用固定部101と同様に、本体ユニット20の背面側上面から下方に向けて凹設されたガイド穴に対して昇降可能に挿入されている。これにより、副ヒンジ120は、本体ユニット20に対する昇降が許容されている。図3に示すように、開閉用固定部122は、ADF11における揺動軸芯R1方向の右端に固定されている。
【0044】
図示は省略するが、副ヒンジ120も、主ヒンジ100のトルク発生機構109と同様のトルク発生機構を有するフリーストップヒンジである。図2に示すように、本実施例では、重量が比較的重い搬送手段42がADF11における揺動軸芯R1方向の左端近くに偏在している。このため、その搬送手段42の重量を主ヒンジ100が主体的に支持し、副ヒンジ120が補助的に支持する。なお、副ヒンジ120を通常のヒンジとしてもよい。
【0045】
このような主ヒンジ100と副ヒンジ120とにより、図1に示すように、ADF11は揺動軸芯R1周りに揺動して、載置面22Aを覆う閉鎖状態から載置面22Aを露出させる開放状態に変位することができる。図1に実線で示すADF11の姿勢は、載置面22Aを覆う閉鎖状態を示している。そして、ユーザがADF11の前部を持ち上げると、図1に二点鎖線で示すように、ADF11が揺動軸芯R1周りに揺動し、そのADF11の揺動に応じて、本体ユニット20の載置面22Aが徐々に露出する。本実施例では、ADF11が載置面22Aを露出させる状態を開放状態とする。すなわち、ADF11が図1に二点鎖線で示す姿勢まで揺動した状態だけが開放状態ではなく、ADF11が閉鎖状態から少しでも上方に揺動して載置面22Aを露出させれば、開放状態である。
【0046】
逆に、ユーザが開放状態のADF11の前部を押し下げると、ADF11が揺動軸芯R1周りに逆方向に揺動して、閉鎖状態に戻る。この際、ユーザが載置面22Aに書籍等の厚い原稿を配置して、開放状態のADF11の前部を押し下げると、その原稿の厚みに応じて、主ヒンジ100及び副ヒンジ120が本体ユニット20に対して昇降する。このため、ADF11は、本体ユニット20に対して上下動し、原稿を挟んで載置面22Aと平行な姿勢に変位して、閉鎖状態に戻る。
【0047】
ここで、ユーザがADF11が持ち上げたり、押し下げたりする際、主ヒンジ100のトルク発生機構109及び副ヒンジ120のトルク発生機構は、開閉用固定部102を本体用固定部101に対して開く付勢力を発揮して、ADF11の重量を支持する。このため、ユーザは軽い操作力でADF11を揺動させることができる。また、ユーザがADF11を任意の位置で停止させると、主ヒンジ100のトルク発生機構109及び副ヒンジ120のトルク発生機構は、開閉用固定部102の本体用固定部101に対する変位を制動する制動力を発揮して、ADF11をその位置で保持する。これにより、ユーザはADF11から手を離して、載置面22Aに対して原稿を置いたり取り除いたりする作業を容易に行える。こうして、この複合機10は、載置面22Aの露出時にADF11に対してトルクを作用させる主ヒンジ100及び副ヒンジ120により、ADF11を開閉する際の利便性が向上している。
【0048】
<読取手段>
図2に示すように、読取手段25は、本体ユニット20の内部において、コンタクトガラス22の下方に設けられている。読取手段25としては、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device )等の周知の画像読取センサを採用できるが、本実施例では密着型イメージセンサを採用している。本体ユニット20の筐体の内側面には、左右方向に延在するスライド軸78が固定されている。読取手段25は、スライド軸78にスライド自在に支持されており、待機状態では、移動読取用ガラス80の左端の下方に位置している。そして、読取手段25は、図示しないプーリー・ベルト機構が制御部からの制御信号を受けて駆動されることにより、スライド軸78に沿って左右方向、すなわち、揺動軸芯R1と平行な方向にスライドする。また、後述するADF11の自動原稿搬送動作の際には、読取手段25は、固定読取用ガラス79の下方である停止位置18に移動して停止する。
【0049】
ユーザが載置面22Aに1枚の原稿又は書籍を載置して、それらの載置面22Aと対向する表面の画像を読み取る場合、すなわち、ADF11の自動原稿搬送機能を使用しない場合、読取手段25は、載置面22Aの左端の下方から右端の下方に移動しつつ、上記原稿又は書籍の表面に形成された画像を読み取る。そして、読取手段25が読み取った画像データの出力信号が図示しない制御部に伝達される。制御部は、読取手段25の出力信号に基づいて、原稿画像の画像形成処理用データを作成したり、画像形成手段29を制御して、シートに画像を形成するための各種制御を行う。
【0050】
<搬送手段>
図2に示すように、原稿トレイ12、搬送経路16及び排出トレイ14は、ADF11が備える下カバー30、アッパーシュート34、ロアーシュート36及び上カバー32によって形成されている。
【0051】
図2、図3及び図6に示すように、下カバー30は、ADF11の底面及び側面を構成する樹脂製のトレー形状部材であり、その上面の右側が排出トレイ14とされている。図2、図3及び図7に示すように、アッパーシュート34は、その上面の右側が原稿トレイ12とされ、左方に延びて後述する第1搬送路26の一部を形成する樹脂製の略板状体である。図2及び図8に示すように、ロアーシュート36は、後述する第2搬送路28の一部を構成し、後述する主ローラ64の下方から、後述する排出ローラ72近傍まで延在する樹脂製の略板状体である。図1及び図2に示すように、上カバー32は、アッパーシュート34の左側部分を上方から開閉可能に覆う樹脂製の蓋状体である。アッパーシュート34及びロアーシュート36は、本発明のガイド部材の一例である。
【0052】
図2に示すように、搬送手段42は、下カバー30上の左側に偏在して設けられている。搬送手段42は、以下の構成により、原稿トレイ12に載置される複数枚のシート9を1枚ずつ取り出して搬送経路16に沿って自動的に搬送し、排出トレイ14へ排出する。
【0053】
搬送経路16は、原稿トレイ12から左方向へ延びる第1搬送路26と、第1搬送路26に連続し、円弧状に下方へ向かって湾曲する湾曲搬送路27と、湾曲搬送路27に連続し、排出トレイ14へ向けて右上方向に延びる第2搬送路28とにより構成されている。
【0054】
上カバー32の内側には、複数本の補強リブ191、192が設けられている。各補強リブ191、192は、下方に向かってリブ状に突出して、上カバー32の右側端部から左側端部まで延在して、原稿トレイ12側から搬送されるシートの上面をガイドする。つまり、各補強リブ191、192は、第1搬送路26及び湾曲搬送路27の一部を構成している。
【0055】
下カバー30の左端部、及び上カバー32の各補強リブ191、192の左端部の下方には、後述する主ローラ64が配設されている。下カバー30の左端側内壁面及び上カバー32の各補強リブ191、192の左端部と、主ローラ64の外周面とは、第1搬送路26を搬送され、さらに搬送方向下流側に向けて搬送されるシートをガイドする。つまり、下カバー30の左端側内壁面及び上カバー32の各補強リブ191、192の左端部と、主ローラ64の外周とは、湾曲搬送路27を構成している。
【0056】
下カバー30の左端側内壁面とロアーシュート36とは、湾曲搬送路27を搬送され、排紙トレイ14に向けて搬送されるシートをガイドする。つまり、下カバー30の下側内壁面とロアーシュート36とは、第2搬送路28を構成している。
【0057】
図2及び図6に示すように、ADF11の下カバー30には、長尺状の開口84が設けられている。開口84は、第2搬送路28のうち湾曲搬送路27との境界部付近に位置している。ADF11が閉鎖状態にある場合、開口84は、固定読取用ガラス79及び停止位置18にある読取手段25の上方に位置する。開口84は、前後方向、すなわち、揺動軸芯R1と直交する方向に細長い矩形状とされている。第2搬送路28を搬送されるシートは、この開口84を介して、本体ユニット20の固定読取用ガラス79上を通過する。この際、その通過するシートは、本体ユニット20内で停止位置18にある読取手段25に向けて露出し、シートに形成された画像が読取手段25によって読み取られる。そして、固定読取用ガラス79と移動読取用ガラス80との間に設けられた原稿離反部材81は、固定読取用ガラス79に接しつつ搬送されるシートを固定読取用ガラス79からすくい上げて、第2搬送路28に確実に案内する。
【0058】
図2に示すように、搬送手段42は、アッパーシュート34の上方に設けられ、前後方向に延材する第1回転軸56と、第1回転軸56の中央に固定される分離ローラ54と、分離ローラ54の下方に位置する分離パッド57と、分離ローラ54の前方に位置して、分離ローラ54と同期回転する吸入ローラ52とを有している。
【0059】
図3では第1回転軸56の図示を省略しているが、第1回転軸56の後端は、図3に示す金属製フレーム39に回転可能に支持されている。金属製フレーム39は、図8及び図9に示すように、鋼板のプレス加工により衝立形状とされており、ロアーシュート36の後端に立設された後壁部36Rに隣接して設けられている。金属製フレーム39は、本発明の被取付部材の一例である。
【0060】
第1回転軸56は、電動モータや多数のギヤからなる図示しない駆動源に駆動されて所定の回転方向(図2において時計まわり)に回転する。駆動源は、図3及び図9に示す金属製フレーム39の後面に取り付けられている。
【0061】
図2に示すように、吸入ローラ52は、原稿トレイ12に載置された複数枚のシートの表面に当接しつつ回転して、シートに搬送力を付与する。分離ローラ54は、吸入ローラ52により搬送されるシートの表面に当接しつつ回転することにより、シートに搬送力を付与する。この際、分離パッド57の摩擦力により、分離ローラ54と接している最上方の1枚のシートのみを分離して搬送方向下流側に搬送する。こうして、原稿トレイ12に載置された複数枚のシート9が上から順番に1枚ずつ取り出されて、第1搬送路26に沿って下流側に搬送される。
【0062】
また、搬送手段42は、分離ローラ54より左側、すなわち、第1搬送路26の途中において分離ローラ54よりも搬送方向下流側に設けられた第2回転軸66と、第2回転軸66に固定された搬送ローラ61と、搬送ローラ61に対向するピンチローラ65と、湾曲搬送路27に設けられた第3回転軸67と、第3回転軸67に固定された主ローラ64と、主ローラ64に対向するピンチローラ62、63とを有している。
【0063】
図3では第2回転軸66の図示を省略しているが、第2回転軸66の後端も、図3に示す金属製フレーム39に回転可能に支持されており、図示しない駆動源に駆動されて回転する。それに伴って、搬送ローラ61も第2回転軸66と一体回転する。これにより、図2に示すように、分離ローラ54により搬送されるシートは、搬送ローラ61及びピンチローラ65によりニップされて、第1搬送路26から湾曲搬送路27に搬送される。
【0064】
図3では第3回転軸67の図示を省略しているが、第3回転軸67の後端も、図3に示す金属製フレーム39に回転可能に支持されており、図示しない駆動源に駆動されて回転する。それに伴って、主ローラ64も第3回転軸67と一体回転する。これにより、図2に示すように、搬送ローラ61により搬送されるシートは、主ローラ64及びピンチローラ62、63によりニップされて、湾曲搬送路27から第2搬送路28に搬送される。
【0065】
また、搬送手段42は、ロアーシュート36の右側端部、すなわち、第2搬送路28の最下流側に設けられた第4回転軸71と、第4回転軸71に固定された排出ローラ72と、排出ローラ72に対向するピンチローラ74とを有している。
【0066】
図3では第4回転軸71の図示を省略しているが、第4回転軸71の後端も、図3に示す金属製フレーム39に回転可能に支持されており、図示しない駆動源に駆動されて回転する。それに伴って、排出ローラ72も第4回転軸71と一体回転する。これにより、図2に示すように、第2搬送路28に沿って搬送されるシートは、排出ローラ72及びピンチローラ74によりニップされ、排出トレイ14に排出される。
【0067】
固定読取用ガラス79を挟んで、停止位置18に位置する読取手段25と反対側には、白部材82が設けられている。白部材82は、ロアーシュート36の下面にコイルバネを介して装着されており、停止位置18に位置する読取手段25側へ弾性的に付勢されている。第2搬送路28に沿って搬送されるシートは、白部材82により、読取手段25側に押し付けられながら、読取手段25の上方を通過する。
【0068】
<ADFの自動原稿読み取り動作>
図2に示すように、ユーザが1枚又は複数枚のシート9を原稿トレイ12上に載置し、シートの先端を吸入ローラ52の下側に挿入する。そして、ユーザが操作パネル3を操作して、ADF11による自動原稿読み取り処理の開始を入力すると、制御部は、搬送手段42及び読取手段25を制御して自動原稿読み取り処理を開始する。そうすると、読取手段25は、固定読取用ガラス79の下方である停止位置18に移動する。原稿トレイ12上のシートは、搬送手段42により、1枚ずつ取り出されて、搬送経路16に沿って搬送され、湾曲搬送路27を通過する際に表裏反転される。そして、第2搬送路28の途中で、シートの表面に形成された画像が停止位置18にある読取手段25によって読み取られた後、排出トレイ14上に排出される。この一連の動作は、原稿トレイ12上のシートがなくなるまで、自動的に繰り返される。
【0069】
<画像形成手段>
図5に示すように、本体ユニット20の内部において、読取手段25の下方には、画像形成手段29が収容されている。画像形成手段29としては、電子写真式、インクジェット式、その他の周知の構成のものを搭載可能であるので、詳細な説明は簡略する。
【0070】
本体ユニット20の底部には、シート9Aを収容する給紙カセット89が設けられている。給紙カセット89の上方、かつ給紙カセット89に対して前方にずれた位置には、保持トレイ87が設けられている。本体ユニット20の背面側には、下方の給紙カセット78の後端から、斜め上方に延びた後、湾曲して前方に向きを変える湾曲搬送路88Aが設けられている。本体ユニット20の中央には、湾曲搬送路88Aに連続して前方の排紙保持部87まで水平に延びる水平搬送路88Bが設けられている。
【0071】
画像形成手段29は、給紙カセット89内のシート9Aを1枚ずつ湾曲搬送路88Aに沿って送り出す。これにより、シート9Aは、湾曲搬送路88Aにより前方に向きを変え、水平搬送路88Bに到達する。そして、画像形成手段29は、水平搬送路88Bによりシート9Aを前方に搬送し、水平搬送路88Bの途中で、シートの表面に画像を形成した後、保持トレイ87に排出する。
【0072】
本体ユニット20の背面の下方には、メンテナンス用開口99と、メンテナンス用開口99を覆う開閉カバー99Aとが設けられている。開閉カバー99Aは、下端が本体ユニット20の背面に揺動可能に支持されている。開閉カバー99Aを後方に開くことにより、メンテナンス用開口99が開放される。そして、開放されたメンテナンス用開口99を介して、画像形成手段29の紙詰まりや消耗品の交換等を実施できる。
【0073】
本体ユニット20の背面において、メンテナンス用開口99の上方には、供給口98と、供給口98を覆う供給トレイ98Aとが設けられている。供給トレイ98Aは、下端が本体ユニット20の背面に揺動可能に支持されている。本体ユニット20内には、供給口98から下り傾斜状態で前方に延びて水平搬送路88Bに連続する手差し経路88Cが設けられている。供給トレイ98Aを後方に開いて傾斜状態とすることにより、供給口98が開放される。そして、ユーザが供給トレイ98Aにシートを載置して、手差し経路88Cに沿って本体ユニット20内に挿入することにより、水平搬送路88Bにシートを供給することができる。この場合、画像形成手段29は、手差し経路88Cに沿って供給されたシートを水平搬送路88Bにより前方に搬送し、水平搬送路88Bの途中で、シートの表面に画像を形成した後、保持トレイ87に排出する。
【0074】
図1に示すように、ADF11及び本体ユニット20の背面には、上下方向に溝状に延在する凹部20Sが形成されている。ここで、本実施例では、主ヒンジ10が本体ユニット20及びADF11における揺動軸芯R1方向の左端に設けられている一方、副ヒンジ120が本体ユニット20及びADF11における揺動軸芯R1方向の右端に設けられている。このため、主ヒンジ100と副ヒンジ120とに挟まれる凹部20Sの左右方向の間隔Wを拡げることができる。そして、複合機10では、各種サイズのシート9Aに対して幅広とされるメンテナンス用開口99、開閉カバー99A、供給口98及び供給トレイ98Aを凹部20S内に設けることが可能となっており、複合機10の小型化、薄型化を確実に実現できる。
【0075】
<主ヒンジの開閉用固定部のADFに対する固定構造>
次に、主ヒンジ100の開閉用固定部102がADF11における揺動軸芯R1方向の左端にどのように固定されているかについて詳しく説明する。本実施例では、ADF11と開閉用固定部102との間に発生する応力を金属製フレーム39、アッパーシュート34、ロアーシュート36を介して、下カバー30の中央側に逃がすようになっている。このため、下カバー30、金属製フレーム39、アッパーシュート34及びロアーシュート36の相互関係についても詳しく説明する。
【0076】
図6に示すように、平板状に延びる開閉用固定部102には、4個の連結穴102A、102B、102C、102Dが貫設されている。各連結穴102A〜102Dは、前後方向及び左右方向に2列に並んでいる。各連結穴102A〜102Dには、図4に示すように、4本の締結ねじ92が1本ずつ上向きに挿入される。
【0077】
図6に示すように、下カバー30には開口84が形成されている。この開口84において、揺動軸芯R1と直交する一対の辺のうち、下カバー30の中央側の辺を長辺84Aとし、他の辺を長辺84Bとする。また、開口84において揺動軸芯R1と平行な一対の辺のうち、揺動軸芯R1に近い辺を短辺84Cとし、他の辺を短辺84Dとする。そうすると、長辺84A、84B及び短辺84C、84Dはそれぞれ直角に接続されている。このため、下カバー30が何らかの外力を受けた場合に、下カバー30に作用する応力は、矩形状の開口84の4つの角部の近傍に集中し易くなっている。
【0078】
ここで、図6及び図11に示すように、長辺84Aを含む線を仮想線K1とし、短辺84Cを含む線を仮想線K2とする。また、長辺84Aを含む仮想線K1から下カバー30における揺動軸芯R1方向の右端までの範囲を主領域30Xと規定するとともに、仮想線K1から下カバー30における揺動軸芯R1方向の左端までの範囲を副領域30Yと規定する。そうすると、図9及び図11に示すように、金属製フレーム39は、主領域30Xから仮想線K1を跨いで副領域30Yまで延びている。金属製フレーム39において、主領域30X側に位置する範囲を主範囲39Xと規定し、副領域30Y側に位置する範囲を副範囲39Yと規定する。
【0079】
図6に示すように、下カバー30の後端側において、仮想線K1に対して揺動軸芯R1方向の左端側、かつ仮想線K2に対して揺動軸芯R1に近い側には、固定部30Fが形成されている。固定部30Fの上面と下面とは平行な平面とされている。固定部30Fには、上下方向に4個の連結穴30A、30B、30C、30Dが貫設されている。
【0080】
下カバー30の後端側において、固定部30Fより左側(下カバー30の左端縁)には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部30Eが形成されている。固定部30Fに対して仮想線K1を跨いで右側には、固定部30Fより高い平面である台部30Gが形成されている。台部30Gの右端には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部30Hが形成されている。台部30Gより右側には、台部30Gより高い台部30Iが形成されている。台部30Iの中央には、上方に向けて鍵爪状に突出する係合爪部30Jが形成されている。
【0081】
下カバー30の前端側において、左端角部には、上方に向けて鍵爪状に突出する係合爪部30Kが形成されている。係合爪部30Kに対して仮想線K1を跨いで右側には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部30Lが形成されている。係合筒部30Lより右側には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部30Mが形成されている。係合筒部30Mより右側には、上方に向けて鍵爪状に突出する係合爪部30Nが形成されている。
【0082】
図7に示すように、アッパーシュート34の後端側において、左端角部から下方に向けて突出する脚部の底部には、上下方向に連結穴34Eが貫設されている。アッパーシュート34の後端側において、連結穴34Eに対して仮想線K1を跨いで右側には、上下方向に係合角穴34Jが貫設されている。
【0083】
アッパーシュート34の前端側において、左端角部には、前方に突出する係合リブ34Kが形成が形成されている。係合リブ34Kに対して仮想線K1を跨いで右側には、上下方向に連結穴34Mが貫設されている。連結穴34Mより右側前方には、図10に示すように、下方に向けて鍵爪状に突出する係合爪部34Nが形成されている。
【0084】
アッパーシュート34の略中央には、上下方向に連結穴34Tが貫設されている。連結穴34Tの周囲はザグリ加工されている。アッパーシュート34の左端側には、上下方向に2個の連結穴34U、34Vが貫設されている。連結穴34U、34Vは前後方向に並んでいる。連結穴34U、34Vの周囲はザグリ加工されている。連結穴34Tは仮想線K1より右側に位置し、連結穴34U、34Vは仮想線K1より左側に位置する。
【0085】
図8に示すように、ロアーシュート36の後端側において、左端角部からさらに左方に延びるリブには、上下方向に連結穴36Eが貫設されている。連結穴36Eに対して仮想線K1を跨いで右側には、立壁部36Rから後方に向けて円筒状に突出する2個の係合筒部36P、36Qが形成されている。係合筒部36P、36Qは上下方向に並んでいる。係合筒部36P、36Qより右側の角部には、上下方向に連結穴36Hが貫設されている。
【0086】
ロアーシュート36の前端側において、仮想線K1より右側で前方に突出するリブには、上下方向に連結穴36Lが貫設されている。
【0087】
ロアーシュート36の右端側の略中央には、上方に向けて円筒状に突出する係合筒部36Tが形成されている。ロアーシュート36の左端側には、上方に向けて円筒状に突出する2個の係合筒部36U、36Vが形成されている。係合筒部36U、36Vは前後方向に並んでいる。係合筒部36Tは仮想線K1より右側に位置し、係合筒部36U、36Vは仮想線K1より左側に位置する。
【0088】
図8に示すように、金属製フレーム39において、衝立状の本体部39Fは、仮想線K1を跨いで左右方向に延びている。本体部39Fの仮想線K1より右側には、前後方向に2個の連結穴39P、39Qが貫設されている。連結穴39P、39Qは上下方向に並んでいる。
【0089】
本体部39Fの仮想線K1より右側の下端縁には、後方に矩形板状に折り曲げられた基部39Gが形成されている。その一方、本体部39Fの仮想線K1より左側の下端縁には、後方に矩形板状に折り曲げられた共締め部39Hが形成されている。共締め部39Hには、上下方向に4個の連結穴39A、39B、39C、39Dが貫設されている。
【0090】
アッパーシュート34及びロアーシュート36は、以下に説明するようにして、下カバー30に固定される。
【0091】
まず、下カバー30に対して、上方からロアーシュート36を載置する。そして、図9に示すように、締結ねじ92Hをロアーシュート36の連結穴36Hを介して下カバー30の係合筒部30Hにねじ込む。締結ねじ92H、連結穴36H及び係合筒部30Hは、図11に示す主連結部M1である。また、図10に示すように、締結ねじ92Lをロアーシュート36の連結穴36Lを介して下カバー30の係合筒部30Lにねじ込む。締結ねじ92L、連結穴36L及び係合筒部30Lは、図11に示す主連結部M2である。
【0092】
次に、下カバー30及びロアーシュート36に対して、上方からアッパーシュート34を載置する。この際、図9に示すように、アッパーシュート34の係合角穴34Jを下カバー30の係合爪部30Jに係合させる。係合角穴34J及び係合爪部30Jは、図11に示す主連結部M3である。また、図10に示すように、アッパーシュート34の係合爪部34Nに下カバー30の係合爪部30Nに係合させる。係合爪部34N及び係合爪部30Nは、図11に示す主連結部M4である。また、図3に示すように、アッパーシュート34の係合リブ34Kを下カバー30の係合爪部30Kに係合させる。係合爪部34K及び係合爪部30Kは、図11に示す他の連結部N1である。
【0093】
そして、図9に示すように、締結ねじ92Eをロアーシュート36の連結穴36E及びアッパーシュート34の連結穴34Eを介して下カバー30の係合筒部30Eにねじ込む。締結ねじ92E、連結穴36E、連結穴34E及び係合筒部30Eは、図11に示す他の連結部N2である。また、図3に示すように、締結ねじ92Mをアッパーシュート34の連結穴34Mを介して下カバー30の係合筒部30Mにねじ込む。締結ねじ92M、連結穴34M及び係合筒部30Mは、図11に示す主連結部M5である。また、図3に示すように、締結ねじ92Tをアッパーシュート34の連結穴34Tを介してロアーシュート36の係合筒部36Tにねじ込む。締結ねじ92T、連結穴34T及び係合筒部36Tは、図11に示す主連結部M6である。また、図3に示すように、締結ねじ92U、92Vをアッパーシュート34の連結穴34U、34Vを介してロアーシュート36の係合筒部36U、36Vにねじ込む。締結ねじ92U、92V、連結穴34U、34V及び係合筒部36U、36Vは、図11に示す他の連結部N3、N4である。
【0094】
そして、開閉用固定部102及び金属製フレーム39は、以下に説明するようにして、下カバー30に固定される。
【0095】
まず、図9に示すように、金属製フレーム39の本体部39Fをロアーシュート36の後壁部36Rに沿わせつつ、共締め部39Hを固定部30Fの上面に当接させ、基部39Gを下カバー30の台部30Gに当接させる。
【0096】
次に、締結ねじ92P、92Qを金属製フレーム39の連結穴39P、39Qを介してロアーシュート36の係合筒部36P、36Qにねじ込む。締結ねじ92P、Q、連結穴39P、39Q及び係合筒部36P、36Qは、図11に示す主連結部M7、M8である。
【0097】
また、開閉用固定部102を固定部30Fの下面に当接させて、開閉用固定部102の各連結穴102A〜102Dと、固定部30Fの各連結穴30A〜30Dと、共締め部39Hの各連結穴39A〜39Dとを一致させる。そして、4本の締結ねじ92を下方から各連結穴102A〜102D、各連結穴30A〜30D及び各連結穴39A〜39Dに挿入し、その上端にナット91で締結する。4本の締結ねじ92及びナット91、各連結穴102A〜102D、各連結穴30A〜30D及び各連結穴39A〜39Dは、図11に示す副連結部S1、S2、S3、S4である。
【0098】
こうして、開閉用固定部102と固定部30Fと共締め部39Hとは、図4に示すように共締めされる。この際、図11に示すように、金属製フレーム39は、8個の主連結部M1〜M8により、主範囲39Xで下カバー30に固定され、4個の副連結部S1〜S4により、副範囲39Yで開閉用固定部102に固定される。特に、副連結部S1〜S4は、短辺84Cを含む仮想線K2に対して揺動軸芯R1側に位置していることにより、開口84の揺動軸芯R1に近い2つの角部から離れている。これは、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力がそれら2つの角部に伝わることを極力抑制するためである。
【0099】
<作用効果>
実施例の複合機10では、主ヒンジ100は、フリーストップヒンジであり、開閉用固定部102本体用固定部101に対して開く付勢力及び開閉用固定部102の本体用固定部101に対する変位を制動する制動力を発揮するトルク発生機構109を有する。このような主ヒンジ100により、ADF11を軽く開閉できるととともに、任意の位置で停止できるので、ADF11を開閉する際の利便性を向上させることができる。
【0100】
また、主ヒンジ100の開閉用固定部102をADF11における揺動軸芯R1方向の一端に固定することにより、ADF11における揺動軸芯R1方向の中央側に空きスペースである凹部20Sを形成できる。そして、凹部20Sに他の部材を配設し易いので、複合機10の小型化、薄型化を実現できる。
【0101】
ここで、フリーストップヒンジである主ヒンジ100は、載置面22Aの露出時にADF11に対してトルクを作用させるので、そのトルクにより、ADF11と開閉用固定部102との間に応力が発生する。そして、仮に、金属製フレーム39に共締め部39Hが存在せず、開閉用固定部102を下カバー30の副領域30Yだけに固定するとすれば、ADF11と開閉用固定部102との間に発生する応力は下カバー30の副領域30Y、特に開口84の揺動軸芯R1に近い2つの角部に集中し易くなる。そうすると、ADF11が繰り返し開閉されることにより、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断するおそれがある。
【0102】
この点、実施例の複合機10では、剛性を有する金属製フレーム39は、主連結部M1〜M8により、主範囲39Xで下カバー30に固定され、副連結部S1〜S4により、副範囲39Yで開閉用固定部102に固定されている。
【0103】
このような構成により、この複合機10は、ADF11と開閉用固定部102との間に発生する応力、より具体的には、副連結部S1〜S4周辺に発生する応力を金属製フレーム39を介して下カバー30の主領域30Xに逃がすことができる。このため、その応力が下カバー30の副領域30Yに集中し難くなるので、ADF11が繰り返し開閉されても、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断することを防止できる。
【0104】
したがって、実施例の複合機10は、ADF11を開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を発揮できる。
【0105】
特に、本実施例では、金属製フレーム39の副範囲39Yと開閉用固定部102とは、副連結部S1、S2、S3、S4により、下カバー30の副領域30Yを挟んで共締めされている。この構成により、下カバー30の副領域30Yを開閉用固定部102の固定に利用できる。このため、仮に、金属製フレーム39を副範囲39Yで開閉用固定部102に固定する一方、開閉用固定部102を下カバー30の副領域30Yに固定せず、金属製フレーム39を副範囲39Yで下カバー30の副領域30Yに固定しない構成を採用する場合と比較して、ADF11に対して開閉用固定部102を確実に固定できる。そして、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力を金属製フレーム39を介して下カバー30の主領域30Xに逃がすことができる。この際、上述したように、副連結部S1〜S4が開口84の揺動軸芯R1に近い2つの角部から離れているので、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力がそれら2つの角部に伝わることを極力抑制できる。こうして、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力が下カバー30の副領域30Yに集中し難くなるので、ADF11が繰り返し開閉されても、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断することを防止できる。その結果、この複合機10は、ADF11を開閉する際の利便性向上と、小型化、薄型化の実現とを図りながら、高い耐久性を確実に発揮できる。
【0106】
また、複合機10において、金属製フレーム39の副範囲39Yと下カバー30の副領域30Yとの取り付け強度は、主連結部M1〜M8の数と相関関係がある。金属製フレーム39の副範囲39Yと下カバー30の副領域30Yとの取り付け強度も、副連結部S1〜S4の数と相関関係がある。本実施例では、主連結部M1〜M8は8個であり、4個の副連結部S1〜S4より数が多いことから、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力を主領域30Xに一層確実に逃がすことができる。このため、この複合機10は、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断することを一層確実に防止できる。
【0107】
さらに、複合機10において、搬送手段42により搬送される原稿9を案内するアッパーシュート34及びロアーシュート36は、原稿9に対応して大きな形状とされ、下カバー30に取り付けられている。このため、金属製フレーム39の主範囲39Xがアッパーシュート34及びロアーシュート36を介してと下カバー30の主領域30Xに固定されることにより、主連結部M1〜M8の場所を主領域30X内で広く分散できる。このため、下カバー30の副領域30Yと開閉用固定部102との間に発生する応力を主領域30Xに一層確実に逃がすことができる。その結果、この複合機10は、下カバー30が開口84の近傍で疲労破断することを一層確実に防止できる。
【0108】
また、複合機10において、金属製フレーム39は、搬送手段42を構成する第1〜4回転軸56、66、67、71や駆動源を支持する金属製フレームを兼ねているので、部品点数を削減できる。また、金属製フレーム39と同程度の剛性を有する樹脂製の被取付部材を採用する場合と比較して、金属製フレーム39が薄いので、省スペース化を実現できる。
【0109】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0110】
例えば、締結ねじ92E、連結穴36E、連結穴34E及び係合筒部30Eが開閉用固定部102に固定されている場合、アッパーシュート34及びロアーシュート36は本発明の被取付部材となり、締結ねじ92E、連結穴36E、連結穴34E及び係合筒部30Eは副連結部となる。
【0111】
また、主連結部及び副連結部は、実施例で示したねじ固定や、係合爪による係合の他、凹部と凸部との嵌合、ガイド溝に対してレール部材をスライドさせる結合等の一般的な方式を採用できる。
【0112】
本実施例では、金属製フレーム39をアッパーシュート34及びロアーシュート36を介して、間接的に下カバー30に固定することにより、副連結部S1〜S4周辺に発生する応力を金属製フレーム39からアッパーシュート34及びロアーシュート36を介して、下カバー30に広く分散させる例を示している。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、金属製フレーム39を主範囲39Xで下カバー30に直接固定することにより、副連結部S1〜S4周辺に発生する応力を金属製フレーム39から下カバー30に直接分散させる構成とすることもできる。このような構成は、例えば、金属製フレーム39の基部39Gを下カバー30の台部に締結ねじ等により直接固定することにより実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は画像読取装置及び複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0114】
10…画像読取装置(複合機)、20…本体ユニット、22A…載置面
11…搬送ユニット(ADF)、9…原稿(シート)、25…読取手段
18…停止位置、R1…揺動軸芯、29…画像形成手段
100…主ヒンジ、101…本体用固定部、102…開閉用固定部
30…下カバー、42…搬送手段、39…被取付部材(金属製フレーム)
84…開口、84A、84B…開口における揺動軸芯と直交する一対の辺
K1…仮想線、30X…下カバーの主領域、30Y…下カバーの副領域
39X…被取付部材の主範囲、39Y…被取付部材の副範囲
M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8…主連結部
S1、S2、S3、S4…副連結部
34、36…ガイド部材(34…アッパーシュート、36…ロアーシュート)
120…副ヒンジ、99…メンテナンス用開口、98…供給口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される載置面と、前記載置面の一端側の停止位置から前記載置面の他端側に向かって移動可能に設けられ、前記載置面に載置された前記原稿の画像を読み取り可能な読取手段とを有する本体ユニットと、
前記本体ユニットに対して主ヒンジによって接続され、前記読取手段の移動方向と平行な揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、前記載置面を覆う閉鎖状態から前記載置面を露出させる開放状態に変位可能な搬送ユニットとを備えた画像読取装置であって、
前記主ヒンジは、前記本体ユニットに固定される本体用固定部と、前記搬送ユニットにおける前記揺動軸芯方向の一端に固定される開閉用固定部とを有し、前記載置面の露出時に前記搬送ユニットに対してトルクを作用させるものであり、
前記搬送ユニットは、前記閉鎖状態において前記載置面と対向する下カバーと、前記下カバー上に設けられ、前記停止位置にある前記読取手段に向けて原稿を搬送する搬送手段と、前記下カバーに取り付けられ、剛性を有する被取付部材とを有し、
前記下カバーには、前記閉鎖状態において、前記停止位置にある前記読取手段の上方で前記揺動軸芯と直交する方向に延び、前記搬送手段によって搬送される前記原稿を前記読取手段の上方に通過させる長尺状の開口が貫設され、
前記下カバーの前記開口における前記揺動軸芯と直交する一対の辺のうち前記下カバーの中央側の辺を含む線を仮想線とし、前記仮想線から前記下カバーにおける前記揺動軸芯方向の他端までの範囲を主領域と規定するとともに、前記仮想線から前記下カバーにおける前記揺動軸芯方向の一端までの範囲を副領域と規定した場合、
前記被取付部材は、前記主領域から前記仮想線を跨いで前記副領域まで延び、前記主領域側に位置する主範囲と前記副領域側に位置する副範囲とからなり、前記主範囲で前記下カバーに固定され、前記副範囲で前記開閉用固定部に固定されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記開閉用固定部は、前記下カバーの前記副領域に固定され、
前記被取付部材は、前記副範囲で前記下カバーの前記副領域に固定されている請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記被取付部材の前記主範囲と前記下カバーの前記主領域とは、少なくとも一つの主連結部により連結されている請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記被取付部材の前記副範囲と前記下カバーの前記副領域とは、少なくとも一つの副連結部により連結され、
前記主連結部の数は前記副連結部の数以上である請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記搬送ユニットは、前記下カバーに取り付けられ、前記搬送手段に搬送される前記原稿を案内するガイド部材を有し、
前記被取付部材の前記主範囲と前記下カバーの前記主領域とは前記ガイド部材を介して固定されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記被取付部材は、前記搬送手段を構成する軸体、回転体及び駆動体の少なくとも1つを支持する金属製フレームである請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記本体ユニットと前記搬送ユニットとの間には、前記主ヒンジから離反し、前記本体ユニットに対して前記搬送ユニットを揺動可能に支持する副ヒンジが設けられ、
前記本体ユニットは、前記読取手段の下方に設けられ、シートに画像を形成する画像形成手段を有し、
前記本体ユニットには、前記主ヒンジと前記副ヒンジとの間に前記画像形成手段を整備保守するためのメンテナンス用開口が形成されている請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記本体ユニットと前記搬送ユニットとの間には、前記主ヒンジから離反し、前記本体ユニットに対して前記搬送ユニットを揺動可能に支持する副ヒンジが設けられ、
前記本体ユニットは、前記読取手段の下方に設けられ、シートに画像を形成する画像形成手段を有し、
前記本体ユニットには、前記主ヒンジと前記副ヒンジとの間に外部から前記画像形成手段にシートを供給するための供給口が形成されている請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項1】
原稿が載置される載置面と、前記載置面の一端側の停止位置から前記載置面の他端側に向かって移動可能に設けられ、前記載置面に載置された前記原稿の画像を読み取り可能な読取手段とを有する本体ユニットと、
前記本体ユニットに対して主ヒンジによって接続され、前記読取手段の移動方向と平行な揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、前記載置面を覆う閉鎖状態から前記載置面を露出させる開放状態に変位可能な搬送ユニットとを備えた画像読取装置であって、
前記主ヒンジは、前記本体ユニットに固定される本体用固定部と、前記搬送ユニットにおける前記揺動軸芯方向の一端に固定される開閉用固定部とを有し、前記載置面の露出時に前記搬送ユニットに対してトルクを作用させるものであり、
前記搬送ユニットは、前記閉鎖状態において前記載置面と対向する下カバーと、前記下カバー上に設けられ、前記停止位置にある前記読取手段に向けて原稿を搬送する搬送手段と、前記下カバーに取り付けられ、剛性を有する被取付部材とを有し、
前記下カバーには、前記閉鎖状態において、前記停止位置にある前記読取手段の上方で前記揺動軸芯と直交する方向に延び、前記搬送手段によって搬送される前記原稿を前記読取手段の上方に通過させる長尺状の開口が貫設され、
前記下カバーの前記開口における前記揺動軸芯と直交する一対の辺のうち前記下カバーの中央側の辺を含む線を仮想線とし、前記仮想線から前記下カバーにおける前記揺動軸芯方向の他端までの範囲を主領域と規定するとともに、前記仮想線から前記下カバーにおける前記揺動軸芯方向の一端までの範囲を副領域と規定した場合、
前記被取付部材は、前記主領域から前記仮想線を跨いで前記副領域まで延び、前記主領域側に位置する主範囲と前記副領域側に位置する副範囲とからなり、前記主範囲で前記下カバーに固定され、前記副範囲で前記開閉用固定部に固定されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記開閉用固定部は、前記下カバーの前記副領域に固定され、
前記被取付部材は、前記副範囲で前記下カバーの前記副領域に固定されている請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記被取付部材の前記主範囲と前記下カバーの前記主領域とは、少なくとも一つの主連結部により連結されている請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記被取付部材の前記副範囲と前記下カバーの前記副領域とは、少なくとも一つの副連結部により連結され、
前記主連結部の数は前記副連結部の数以上である請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記搬送ユニットは、前記下カバーに取り付けられ、前記搬送手段に搬送される前記原稿を案内するガイド部材を有し、
前記被取付部材の前記主範囲と前記下カバーの前記主領域とは前記ガイド部材を介して固定されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記被取付部材は、前記搬送手段を構成する軸体、回転体及び駆動体の少なくとも1つを支持する金属製フレームである請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記本体ユニットと前記搬送ユニットとの間には、前記主ヒンジから離反し、前記本体ユニットに対して前記搬送ユニットを揺動可能に支持する副ヒンジが設けられ、
前記本体ユニットは、前記読取手段の下方に設けられ、シートに画像を形成する画像形成手段を有し、
前記本体ユニットには、前記主ヒンジと前記副ヒンジとの間に前記画像形成手段を整備保守するためのメンテナンス用開口が形成されている請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記本体ユニットと前記搬送ユニットとの間には、前記主ヒンジから離反し、前記本体ユニットに対して前記搬送ユニットを揺動可能に支持する副ヒンジが設けられ、
前記本体ユニットは、前記読取手段の下方に設けられ、シートに画像を形成する画像形成手段を有し、
前記本体ユニットには、前記主ヒンジと前記副ヒンジとの間に外部から前記画像形成手段にシートを供給するための供給口が形成されている請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−49940(P2012−49940A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191715(P2010−191715)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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