説明

画像読取装置

【課題】所定の搬送経路に沿って搬送されるシートのサイズに関わらず、精度良くシートの端部を検出でき、もって、シートの画像を良く読取可能な画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置1は、スキャナユニット10と、ADFユニット40を有する原稿カバー20により構成される。ADFユニット40は、原稿搬送機構部50と、サイズ検出センサ70と、端部検出センサ75とを有しており、原稿搬送路Rに沿って、原稿載置部25から排紙トレイ35へ原稿を搬送しつつ、当該原稿の画像を読み取る。原稿搬送機構部50を構成する分離ローラ55は、凸部56Aを有する当接部56と、駆動伝達部57Aを有する駆動軸57により構成されている。制御部80は、サイズ検出センサ70の検出結果に基づいて、原稿サイズが小さいほど、当該原稿の搬送速度を低速に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の搬送経路に沿って搬送されるシートの端部を検出可能な端部検出手段を有する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置は、積層状態で載置された原稿を一枚ずつに分離しつつ、所定の搬送経路に沿って搬送し、搬送経路に沿って搬送される過程で、当該原稿の画像を読み取るように構成されている。このような画像読取装置に関する発明として、特許文献1、特許文献2記載の発明が知られている。
【0003】
特許文献1記載の画像読取装置は、積層状態で載置された原稿を、供給駆動部材と分離部材によって一枚ずつに分離し、当該供給駆動部材、分離部材よりも原稿の搬送方向下流側に配設された原稿先端検知センサによって、分離された原稿の端部を検出するように構成されている。そして、当該特許文献1記載の画像読取装置は、原稿先端検知センサにより、原稿の端部を検知したことに基づいて、読取部による当該原稿画像の読取動作を制御する。
【0004】
そして、特許文献2記載の画像読取装置は、積層状態で載置された原稿を一枚ずつに分離して搬送する為の構成として、1周クラッチ機構を有するローラを含んで構成されている。当該ローラは、原稿と接触する円筒状の当接部分と、当該当接部分を所定範囲で空転可能に挿通すると共に、駆動源からの駆動により回転する駆動軸と、1周クラッチ機構により構成されている。即ち、当該ローラは、駆動軸に対する当接部分の位置関係に応じて、当接部分が駆動軸と共に回転する状態と、当接部分が駆動軸の回転とは無関係に空転する状態と、の何れかになるように構成されている。そして、当該ローラは、当接部分が駆動軸と共に回転する状態である場合にはじめて、原稿を一枚ずつに分離しつつ搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−177869号公報
【特許文献2】特開2006−256777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、搬送経路に沿って原稿を所定の搬送方向へ搬送する場合、原稿の搬送速度は、搬送経路内における原稿のジャム等の搬送不良を防止するため、搬送方向下流側ほど速く搬送するように構成されている。
【0007】
ここで、特許文献2記載の画像読取装置においては、積層状態で載置されている原稿を一枚ずつに分離する分離部の構成として、上述したローラを含む構成を採用することによって、連続的に搬送される原稿の間に間隔が形成される。そして、当該間隔は、分離部における原稿の搬送速度と、当該分離部よりも搬送方向下流側における搬送速度(即ち、分離部における搬送速度よりも速い速度)の速度差、及び、当接部が空転しきった状態から駆動軸と共に回転する状態に復帰するまでの期間(以下、復帰期間という)の長さに応じて変化する。
【0008】
そして、当該復帰期間の長さは、分離部よりも搬送方向下流側における搬送速度で搬送され、且つ、上記分離部を構成するローラと接触している状態である期間の長さに対応する。従って、連続的に搬送される原稿の間に形成される間隔の大きさは、搬送方向に沿った方向における原稿の長さに対応し、原稿のサイズが小さい程、当該間隔は小さくなってしまう。
【0009】
このような構成に対して、特許文献1記載の画像読取装置のように、原稿の先端を検出するセンサとして、原稿の端部に接触することにより移動する部材と、当該部材の移動に基づき原稿の端部を検出する検出部からなる端部センサを設けた場合について考察する。上述したように、原稿の間における間隔が原稿の長さに応じて変化するため、原稿サイズが小さい場合、端部センサを構成する上記部材の移動が十分に行われず、原稿の端部を正確に検出し得ない場合が生じ、紙間検知ができない不具合を招いてしまうことがある。このような場合、原稿の端部に基づく読取制御を十分に行うことができず、画像の読取精度の低下を招いてしまう。
【0010】
この点に鑑み、原稿の間に形成される間隔を、原稿のサイズに関係なく、端部センサで原稿の端部を正常に検出可能な程度を確保しようとすると、全てのサイズの原稿の搬送速度を一様に遅くしなければならない。この場合、画像読取装置においては、原稿の読取速度も低下してしまうことになる。
【0011】
本発明は、所定の搬送経路に沿って搬送されるシートの端部を検出する端部検出手段を有し、当該シートのサイズに関わらず、精度良くシートの端部を検出でき、もって、精度良くシートの画像を読取可能な画像読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面に係る画像読取装置は、駆動手段と、分離手段と、搬送手段と、読取手段と、を有し、駆動手段の駆動力に基づいて、分離手段によって分離されたシートを、搬送経路に沿って搬送しつつ、読取手段によって当該シートの画像を読み取る。前記分離手段は、分離ローラを有しており、当該分離ローラは、駆動軸と、当接部と、クラッチ機構を有して構成されている。更に、当該画像読取装置は、減速機構部と、端部検出手段と、サイズ検出手段と、制御手段と、を有している。端部検出手段は、作動部材と、検出部と、を有し、前記分離手段に対して、前記搬送経路上におけるシートの搬送方向下流側に位置において、シートの端部と接触することに基づく作動部材の動作によって、前記シートの端部を検出する。そして、当該画像読取装置は、前記サイズ検出手段によって検出された当該シートのサイズが所定サイズよりも大きい場合、所定の第1搬送速度で当該シートを搬送するように、前記駆動手段を介して、前記搬送手段によるシートの搬送速度を制御する。これにより、当該画像読取装置は、シートが所定サイズよりも大きい場合、所定の第1搬送速度で当該シートを搬送する為、端部検出手段でシートの端部を精度よく検出することができ、もって、当該シートの画像読取に適した制御を行い得る。更に、当該画像読取装置は、前記サイズ検出手段によって検出された当該シートのサイズが所定サイズ以下である場合に、前記第1搬送速度よりも低速な第2搬送速度で当該シートを搬送するように、前記駆動手段を介して、前記搬送手段によるシートの搬送速度を制御する。当該画像読取装置によれば、シートが所定サイズ以下である場合、当該シートは、所定の第1搬送速度よりも低速で第2搬送速度で搬送される。つまり、シートが所定サイズ以下である場合に低速で搬送される。これにより、当該画像読取装置によれば、所定サイズ以下のシートであっても、その間に形成される紙間部分において、端部検出手段が端部を検出する為に要する時間を十分確保することができ、端部検出手段でシートの端部を精度よく検出し得る。この結果、当該画像読取装置は、所定サイズ以下のシートであっても、端部検出手段によるシート端部の検出結果を用いて、当該シートの画像読取に適した制御を行い得る。
【0013】
そして、本発明の他の側面に係る画像読取装置において、前記サイズ検出手段は、当該シートが、異なる複数のサイズの何れに該当するかを検出する。そして、前記制御手段は、前記サイズ検出手段によって検出された当該シートのサイズが小さい程、低速に規定された搬送速度で当該シートを搬送するように、前記駆動手段を介して、前記搬送手段による当該シートの搬送速度を制御する。この結果、当該画像読取装置によれば、シートのサイズに応じて、適切な搬送速度で搬送することができ、シートの間に形成される間隔を、シートのサイズに対応し、且つ、端部検出手段によるシートの端部の検出に十分な間隔にし得る。この結果、当該画像読取装置は、シートのサイズの影響を受けることなく、シートの端部を精度よく検出でき、もって、当該シートの画像読取に適した制御を行い得る。
【0014】
又、本発明の他の側面に係る画像読取装置は、解像度設定手段と、搬送速度特定手段と、比較手段と、を有する。当該画像読取装置は、前記比較手段によって、前記サイズ検出手段の検出結果に基づく搬送速度が、前記搬送速度特定手段により特定された搬送速度よりも低速である場合に、前記サイズ検出手段の検出結果に基づく搬送速度で、シートを搬送しつつ、前記読取手段によって画像を読み取り、前記解像度設定手段で設定された解像度で出力する。これにより、当該画像読取装置は、端部検出手段によるシートの端部の検出精度を高く保ちつつ、当該シートの画像の読取結果を、ユーザ所望の解像度で出力し得る。
【0015】
そして、本発明の他の側面に係る画像読取装置において、前記制御手段は、読取制御手段と、解像度変換手段と、出力手段と、を有する。当該画像読取装置は、前記比較手段によって、前記サイズ検出手段の検出結果に基づく搬送速度が、前記搬送速度特定手段により特定された搬送速度よりも低速である場合に、前記サイズ検出手段の検出結果に基づく搬送速度に対応する解像度で、前記シートの画像を読取手段により読み取り、読み取った画像の解像度を、前記解像度設定手段により設定された解像度に変換して出力する。一般に、シートから高解像度で読み取った画像を設定解像度(低解像度)に変換する場合の方が、シートから設定解像度(低解像度)で読み取る場合に比べて、良好な画像を提供することができる。従って、当該画像読取装置は、ユーザ所望の解像度に係るシートの読取結果を、より良好な状態で提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る画像読取装置の外観斜視図である。
【図2】画像読取装置の内部構成を示す断面図である。
【図3】ADFユニットにおける原稿搬送機構部の構成を示す斜視図である。
【図4】ADFユニットにおけるサイズ検出センサ、端部検出センサの配置を示す断面図である。
【図5】ADFユニットにおけるサイズ検出センサの配置を示す上面図である。
【図6】サイズ検出センサ、端部検出センサの構成を示す外観図である。
【図7】原稿の分離・搬送時における分離ローラ及びメインローラの動作を示す説明図である。
【図8】画像読取装置の制御系を示すブロック図である。
【図9】サイズ搬送速度特定テーブルの一例を示す説明図である。
【図10】解像度搬送速度特定テーブルの一例を示す説明図である。
【図11】画像読取装置の読取制御プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像読取装置を、画像読取装置1に具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
尚、以下の説明において、画像読取装置1使用時のユーザの位置を基準にした方向を用いて説明する。即ち、図1における左下側を前側とし、図1における右上側を後側とする。又、画像読取装置1を前側から見たときを左右の基準とし、図1における左上側を左側とし、右下側を右側とする。
【0019】
図1に示すように、画像読取装置1は、スキャナユニット10、原稿カバー20を主に備えて構成されている。スキャナユニット10は、スキャナ筐体11と、コンタクトガラス13と、イメージセンサ15とを有しており、フラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)として機能する。スキャナ筐体11は、略直方体状に形成され、スキャナユニット10の外殻を構成しており、イメージセンサ15、スライド軸、駆動モータ等や制御部80(図8参照)等を内部に収容している。
【0020】
そして、コンタクトガラス13は、透明なガラス板やアクリル板等により構成され、スキャナ筐体11上面に配設されている。当該コンタクトガラス13は、所謂「プラテンガラス」であり、スキャナ筐体11の左右方向に沿って長辺が位置するA4サイズよりもやや大きな長方形状に形成されている。コンタクトガラス13上面には、スキャナユニット10における読取対象である原稿(原稿SA、原稿SB、原稿SC)が載置される。
【0021】
イメージセンサ15は、主走査方向(画像読取装置1の前後方向)に所定の読取範囲を有する密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)であり、コンタクトガラス13の下方において、副走査方向(画像読取装置1の左右方向)に水平に延びるスライド軸に沿って往復移動可能に配設されている。当該イメージセンサ15は、駆動モータからの駆動力を受け、周知のベルト駆動機構によりコンタクトガラス13と平行に副走査方向へ往復移動する。
【0022】
続いて、原稿カバー20について、図面を参照しつつ詳細に説明する。原稿カバー20は、スキャナ筐体11の上面における後端縁側に配設されたヒンジ部16(図5参照)により、スキャナユニット10上面(コンタクトガラス13表面)に対して開閉可能に配設されている。原稿カバー20をスキャナユニット10に対して開くと、コンタクトガラス13が露出し、原稿カバー20をスキャナユニット10に対して閉じると、コンタクトガラス13を含むスキャナユニット10の上面全体が覆われる(図2参照)。
【0023】
そして、原稿カバー20をスキャナユニット10に対して閉じることにより、原稿カバー20は、コンタクトガラス13に載置された原稿をコンタクトガラス13に密着させる。これにより、当該画像読取装置1は、イメージセンサ15によって、コンタクトガラス13上に載置された原稿の画像を、良好な品質で読み取り得る。
【0024】
当該原稿カバー20は、原稿載置部25、排紙トレイ35、ADFユニット40を有して構成されている。そして、原稿載置部25及び排紙トレイ35は、原稿カバー20の右側部分において、上下二段に形成されている(図1、図2参照)。図1に示すように、排紙トレイ35の一部は、原稿載置部25によって覆われている。
【0025】
原稿載置部25は、原稿トレイ26及び吸入ガイド部27によって構成されており、ADFユニット40による搬送対象及びスキャナユニット10による読取対象である原稿が載置される。尚、本実施形態においては、原稿載置部25は、少なくとも、原稿SA、原稿SB、原稿SCの3種類の原稿を載置可能に構成されている(図5参照)。ここで、原稿SAは、所謂、A5サイズ(幅:148.5mm、長さ:210mm)の原稿を意味する。そして、原稿SBは、A4サイズ(幅:210mm、長さ:297mm)の原稿を意味し、原稿SCは、B5サイズ(幅:182mm、長さ:257mm)の原稿を意味する。
【0026】
ここで、原稿の幅とは、長方形状の原稿の短辺方向の寸法を示し、原稿の長さとは、当該原稿の長辺方向の寸法を意味する。上記寸法から明らかなように、原稿SBは、原稿SAよりも幅が広く、原稿SCは、原稿SAよりも幅が広く原稿SBよりも幅が狭い。そして、原稿載置部25において、当該原稿は、原稿の長辺が画像読取装置1の左右方向に沿うように載置されるものとする。
【0027】
図1等に示すように、吸入ガイド部27には、一対の原稿ガイド30が、幅方向へスライド移動可能に配設されており、当該原稿ガイド30は、原稿載置部25に載置された原稿の幅方向の位置を規制する。当該吸入ガイド部27において、何れか一方の原稿ガイド30を幅方向にスライド移動すると、他方の原稿ガイド30が連動して相反する方向へスライド移動するように構成されている。これにより、原稿載置部25に原稿が載置された状態で一方の原稿ガイド30をスライド移動すると、一対の原稿ガイド30が原稿の両側縁に当接する。従って、原稿トレイ26に載置された原稿の幅に関わらず、原稿の中心が常に一定位置となる。
【0028】
原稿搬送路Rは、一端に原稿載置部25、他端に排紙トレイ35を接続しており、ADFユニット40内部において、縦断面視において横向き略U字形状に形成されている。原稿搬送路Rは、ADFユニット40本体を構成するリブやガイド板等の部材によって、原稿が通過可能な所定幅の通路として形成されている。原稿は、原稿搬送路Rに沿って原稿載置部25から搬送されることにより、ADFユニット40の左端側で反転され、排紙トレイ35へ排紙される(図2、図3参照)。
【0029】
ADFユニット40(Auto Document Feeder)は、原稿カバー20の左側部分に配設されており、原稿載置部25に載置された原稿を、一枚ずつに分離しつつ、原稿搬送路Rに沿って連続的に搬送する。画像読取装置1は、ADFユニット40によって、原稿を原稿搬送路Rに沿って搬送することで、当該原稿の画像をイメージセンサ15によって読み取り得る。
【0030】
そして、当該ADFユニット40は、原稿搬送機構部50と、原稿搬送モータM(図8参照)と、減速機構部65(図3参照)と、サイズ検出センサ70と、端部検出センサ75を有している。原稿搬送機構部50は、吸入ローラ51と、伝達ギヤ52と、分離ローラ55と、メインローラ60と、第1従動ローラ61と、第2従動ローラ62と、排紙ローラ63と、ピンチローラ64と、及び減速機構部65により構成されている。尚、これら吸入ローラ51〜ピンチローラ64の周面は原稿搬送路Rに露出されている。
【0031】
吸入ローラ51は、原稿載置部25の搬送方向下流側において原稿搬送路Rを搬送される原稿の上面に沿う位置に回転自在に軸支されており、原稿搬送モータMの駆動により、原稿載置部25に載置された原稿を搬送方向下流側へ搬送する。
【0032】
伝達ギヤ52は、吸入ローラ51及び分離ローラ55の双方に当接した状態で回転可能に配設されており、分離ローラ55に伝達された原稿搬送モータMの駆動力を、吸入ローラ51に伝達する(図3参照)。従って、吸入ローラ51は、伝達ギヤ52を介して伝達された原稿搬送モータMの駆動力によって、回転駆動する。
【0033】
分離ローラ55は、吸入ローラ51よりも搬送方向下流側において、原稿搬送路Rを搬送される原稿の上面に沿う位置に回転自在に軸支されており、当接部56と、駆動軸57とにより構成される(図3参照)。当該分離ローラ55の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。そして、分離ローラ55は、所定の条件の下、原稿搬送モータMの駆動に伴って回転し、分離パッド58と協働することで、一枚の原稿のみを分離して搬送方向下流側へ搬送する。
【0034】
分離パッド58は、所定の可撓性及び摩擦係数を有する材料で構成された薄板状の部材であり、吸入ローラ51よりも搬送方向下流側において、原稿搬送路Rを介して、分離ローラ55と対向する位置に配設されている。そして、当該分離パッド58は、分離ローラ55に対向する原稿の下面に接触するように配設されており、当該原稿に摩擦力を付与することによって、分離ローラ55と協働して、原稿を一枚ずつに分離する。
【0035】
メインローラ60は、原稿搬送路Rにおいて、分離ローラ55よりも搬送方向下流側(最も左側)で回転自在に軸支されており、原稿搬送モータMからの駆動力によって回転駆動される。当該メインローラ60の周面は、原稿搬送路Rにおける側面視略U字状の湾曲部分を構成する。
【0036】
第1従動ローラ61は、メインローラ60の上側において、原稿搬送路Rを介して対向する位置に回転可能に軸支されており、メインローラ60の回転に伴って従動する。又、第2従動ローラ62は、メインローラ60の下側において、原稿搬送路Rを介して対向する位置に回転可能に軸支されており、メインローラ60の回転に伴って従動する。
【0037】
排紙ローラ63は、原稿搬送路Rの最下流位置に回転可能に軸支されており、吸入ローラ51、分離ローラ55、及びメインローラ60と同様に、原稿搬送モータMからの駆動力によって回転駆動される。又、ピンチローラ64は、排紙ローラ63の周面下側と対向する位置に回転自在に軸支されており、排紙ローラ63の回転に伴って従動する。
【0038】
図3に示すように、減速機構部65は、メインローラ60の回転軸の一端に配設されたギヤと、分離ローラ55の駆動軸57の一端に配設されたギヤを含む複数のギヤにより構成されており、原稿搬送モータMの駆動力を、メインローラ60及び分離ローラ55に伝達する。そして、当該減速機構部65は、メインローラ60に対して伝達された駆動力を、当該ギヤ列のギヤ比等により所定の減速比で減速して、分離ローラ55の駆動軸57に伝達する。
【0039】
続いて、本実施形態に係る分離ローラ55の構成について、図3を参照しつつ詳細に説明する。図3に示すように、分離ローラ55は、当接部56と、駆動軸57により構成されている。当接部56は、原稿搬送路R上を搬送される原稿の表面と接触する周面を有する円筒状の部材であり、駆動軸57に対して回転可能に挿通されている。又、当該当接部56は、凸部56Aを、その側面部における所定位置に有しており、凸部56Aは、側面部から軸方向に突出している。
【0040】
駆動軸57は、減速機構部65の一部を構成するギヤを、その一端部に有しており、原稿搬送モータMの駆動力に基づいて、メインローラ60よりも低速で回転駆動する。又、駆動軸57は、その軸芯に対して直交するように形成された駆動伝達部57Aを有している。当該駆動伝達部57Aは、上述した当接部56の凸部56Aと接触可能に構成されており、当接部56の凸部56Aと接触した状態である場合に、駆動軸57の駆動力を当接部56に伝達し、当接部56を駆動軸57と共に回転させる。即ち、本実施形態においては、駆動軸57に対して回転可能に配設された当接部56の凸部56Aと、当該駆動軸57の駆動伝達部57Aによって、本発明におけるクラッチ機構が構成される。
【0041】
次に、ADFユニット40におけるサイズ検出センサ70、端部検出センサ75について、図4〜図6を参照しつつ詳細に説明する。尚、図6においては、遮蔽部材70Aを、第1遮蔽部材71A〜第3遮蔽部材73Aの総称として示し、検出部70Bを、第1検出部71B〜第3検出部73Bの総称と示す。
【0042】
サイズ検出センサ70は、原稿載置部25に載置された原稿の有無及び原稿のサイズを検出するセンサであり、第1センサ71と、第2センサ72と、第3センサ73を有している。
【0043】
第1センサ71は、吸入ガイド部27に載置された原稿SA(A5サイズ)よりも幅方向の内側(図5では下側)において、吸入ローラ51よりも搬送方向下流側の吸入ガイド部27に配設されており、第1遮蔽部材71Aと、第1検出部71Bにより構成される。第1遮蔽部材71Aは、吸入ガイド部27に対して鉛直方向に回動可能に軸支されており、その一端が原稿搬送路R上に突出する状態で保持されている。又、第1遮蔽部材71Aの他端は、吸入ガイド部27の下方に位置し、第1検出部71Bに対して、進入又は退出するように設けられている。
【0044】
第1検出部71Bは、フォトインタラプタにより構成されており、第1遮蔽部材71Aの他端の下方に配設されている。当該第1検出部71Bは、光を出射する発光部と、当該発光部から出射された光を受光する受光部が所定の間隔を隔てて対向配置されている。第1遮蔽部材71Aの一端に外力が加えられていない状態では、発光部と受光部との間の光路は、第1遮蔽部材71Aの他端によって遮蔽されている(図6(a)参照)。このため、発光部から出射された光が受光部に受光されず、第1センサ71は、OFF信号を出力する。原稿が第1遮蔽部材71Aに当接し、当該第1遮蔽部材71Aが回動すると、第1遮蔽部材71Aの他端は、上方に移動して第1検出部71Bの光路を遮蔽する位置から離脱する(図6(b)参照)。これにより、発光部から出射した光が受光部により受光されるため、第1センサ71は、ON信号を出力する。
【0045】
第2センサ72は、吸入ガイド部27に載置された原稿SC(B5サイズ)の外側であって、且つ、原稿SB(A4サイズ)の内側において、第1センサ71よりも搬送方向上流側に配設されており、第2遮蔽部材72Aと、第2検出部72Bにより構成される。尚、第2センサ72は、その配設位置を除き、その構成は第1センサ71と同様である。第2センサ72は、原稿載置部25に載置された原稿との接触に基づく第2遮蔽部材72Aの回動に基づいて、ON信号、OFF信号を出力する。
【0046】
第3センサ73は、吸入ガイド部27に載置された原稿SA(A5サイズ)よりも幅方向の外側であって、且つ、原稿SC(B5サイズ)よりも幅方向の内側であって、且つ、搬送方向において、第2センサ72と同列(第1センサ71よりも搬送方向上流側)に配設されており、第3遮蔽部材73Aと、第3検出部73Bにより構成される。尚、第3センサ73は、その配設位置を除き、その構成は第1センサ71と同様である。第3センサ73は、原稿載置部25に載置された原稿との接触に基づく第3遮蔽部材73Aの回動に基づいて、ON信号、OFF信号を出力する。画像読取装置1は、この第1センサ71〜第3センサ73から出力されるON信号、OFF信号のパターンによって、吸入ガイド部27に載置された原稿のサイズを判別している。
【0047】
そして、端部検出センサ75は、メインローラ60の下部において、原稿搬送路R上を搬送される原稿(原稿SA、原稿SB、原稿SC)の端部を検出するセンサであり、端部接触部材75Aと、端部検出部75Bにより構成される(図6参照)。端部接触部材75Aは、メインローラ60下方に位置する原稿搬送路Rに対して、鉛直方向に回動可能に軸支されており、その一端が原稿搬送路R上に突出する状態で保持されている。端部接触部材75Aの他端は、端部接触部材75Aの回動に伴って、端部検出部75Bに対して進入又は退出するように設けられている。
【0048】
端部検出部75Bは、第1検出部71B〜第3検出部73Bと同様に、フォトインタラプタにより構成されており、端部接触部材75Aの他端の下方に配設されている。当該端部検出部75Bは、光を出射する発光部と、当該発光部から出射された光を受光する受光部が所定の間隔を隔てて対向配置されている。端部接触部材75Aの一端に外力が加えられていない状態では、発光部と受光部との間の光路は、端部接触部材75Aの他端によって遮蔽されている(図6(a)参照)。このため、発光部から出射された光が受光部に受光されず、端部検出センサ75は、OFF信号を出力する。原稿が端部接触部材75Aの一端に当接し、当該端部接触部材75Aが回動すると、端部接触部材75Aの他端は、上方に移動して端部検出部75Bの光路を遮蔽する位置から離脱する(図6(b)参照)。これにより、発光部から出射した光が受光部により受光されるため、端部検出センサ75は、ON信号を出力する。
【0049】
原稿の分離・搬送時における分離ローラ及びメインローラの動作について、図7を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、当該画像読取装置1においては、原稿搬送モータMの駆動力は、減速機構部65を介して、メインローラ60の駆動軸及び分離ローラ55の駆動軸57に伝達される。従って、駆動軸57の回転速度(以下、駆動軸回転速度Vs)は、メインローラ60の回転速度(メインローラ回転速度Vf)よりも低速になる。
【0050】
図7(a)に基づいて、原稿載置部25に載置された原稿を一枚ずつに分離して搬送する際の動作について説明する。先ず、原稿搬送モータMの駆動を開始すると、メインローラ60は、メインローラ回転速度Vfで回転すると共に、分離ローラ55の駆動軸57は、駆動軸回転速度Vsで回転する。上述したように、分離ローラ55の当接部56は、駆動軸57に対して回転可能に挿通されているが、当接部56の凸部56Aと、駆動軸57の駆動伝達部57Aとが接触している場合は、当該当接部56は、駆動軸57の回転に伴って、駆動軸回転速度Vsで回転する。この時、分離ローラ55の当接部56が駆動軸回転速度Vsで回転するため、原稿載置部25の原稿は、分離パッド58との協働により、一枚ずつに分離されつつ、駆動軸回転速度Vsに基づく搬送速度で搬送される。
【0051】
次に、図7(b)に示すように、一枚ずつに分離された原稿は、原稿搬送路Rに沿って搬送され、メインローラ60と第1従動ローラ61の間に到達する。この時、原稿は、搬送方向下流側において、メインローラ60と接触しつつ、且つ、搬送方向上流側で分離ローラ55と接触した状態となる。メインローラ回転速度Vfで回転するメインローラ60との接触により、原稿は、メインローラ回転速度Vfに基づく搬送速度で、原稿搬送路Rに沿って搬送される。
【0052】
ここで、分離ローラ55において、当接部56は、駆動軸57に回転自在に挿通されている。従って、当接部56は、メインローラ回転速度Vfで搬送される原稿との接触により、メインローラ回転速度Vfで空転する。この時、駆動軸57は、駆動軸回転速度Vsで回転している為、当接部56の凸部56Aは、メインローラ回転速度Vfと駆動軸回転速度Vsの速度差に従って、駆動軸57の駆動伝達部57Aから離間していく。
尚、当該凸部56Aと駆動伝達部57Aの間の距離は、「原稿が、搬送方向下流側において、メインローラ60と接触しつつ、且つ、搬送方向上流側で分離ローラ55と接触した状態である期間」の長さに比例して増大する。
【0053】
続いて、図7(c)に示すように、原稿が更に搬送方向下流側に搬送されると、当該原稿は、搬送方向上流側において、分離ローラ55から離間する。この時、凸部56Aと駆動伝達部57Aも離間しているため、当該原稿の接触により空転していた当接部56の回転は停止し、駆動軸57のみが駆動軸回転速度Vsで回転する状態となる。原稿載置部25に載置された原稿の分離は、当接部56の回転が必要となるので、この状態で新たな原稿が分離・搬送されることはない。一方、分離ローラ55から離間した原稿は、メインローラ60の回転により、メインローラ回転速度Vfに基づく搬送速度で、原稿搬送路Rに沿って搬送される。
【0054】
図7(d)に示すように、原稿の後端が離れることにより当接部56の回転が停止した状態で、駆動軸57が駆動軸回転速度Vsで回転することにより、駆動軸57の駆動伝達部57Aは、再び当接部56の凸部56Aに接触する。これにより、当接部56は、駆動軸回転速度Vsで回転する駆動軸57と共に回転し、原稿載置部25に載置された原稿を、新たに一枚ずつに分離しつつ、駆動軸回転速度Vsで搬送する。この時、先に搬送されていた原稿は、メインローラ60により、メインローラ回転速度Vfで搬送されていく。つまり、凸部56Aと駆動伝達部57Aが離間し、再び接触するまでの期間によって、原稿と原稿の間に間隙が形成される。
【0055】
そして、当該原稿と原稿の間に形成された間隙の存在により、端部接触部材75Aが十分に回動することになるので、端部検出部75Bにおける光路を確実に遮断・開放することができる。即ち、当該画像読取装置1によれば、端部検出センサ75は、原稿と原稿の間に形成された間隙により、各原稿の端部を確実に検出し得る。
【0056】
次に、画像読取装置1の制御系について、図8を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、画像読取装置1は、制御部80を有しており、当該制御部80は、CPU81、ROM82、及びRAM83によって構成される。CPU81は、所謂、中央演算処理装置であり、ROM82に格納されている読取制御プログラム(図11等参照)を実行することにより、画像読取装置1を構成する各機構を制御する。
【0057】
ROM82は、不揮発性の記憶装置であり、画像読取装置1の制御を行う上で必要な制御プログラムやデータテーブル等を格納している。具体的には、ROM82は、後述する読取制御プログラム(図11参照)等の制御プログラムや、サイズ搬送速度特定テーブル(図9参照)、解像度搬送速度特定テーブル(図10参照)等のデータテーブルを格納している。RAM83は、CPU81による制御プログラムに基づく演算結果等を一時的に格納する記憶装置である。
【0058】
制御部80には、スキャナユニット10、ADFユニット40が接続されている。従って、当該制御部80は、読取制御プログラム(図11参照)等に基づいて、イメージセンサ15による画像の読取制御や、ADFユニット40による原稿の搬送に関する制御を行う。
【0059】
又、制御部80には、サイズ検出センサ70(第1センサ71、第2センサ72、第3センサ73)と、端部検出センサ75が接続されている。従って、制御部80は、サイズ検出センサ70(第1センサ71、第2センサ72、第3センサ73)からの検出信号に基づいて、原稿載置部25における原稿の有無及び、原稿載置部25に載置された原稿のサイズを検出し得る。又、当該制御部80は、端部検出センサ75からの検出信号に基づいて、原稿搬送路R上の所定位置を通過する原稿の端部を検出し得る。更に、制御部80は、操作パネル85と接続されており、当該操作パネル85を構成する入力キー(図示せず)によって、ユーザの指示が制御部80に入力される。
【0060】
続いて、当該画像読取装置1における読取制御プログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。当該読取制御プログラムは、CPU81により実行される。図11に示すように、CPU81は、先ず、解像度設定を行うか否かを判断する(S1)。ここで、「解像度設定」とは、スキャナユニット10による原稿の読取結果を出力する際の解像度の設定を意味する。解像度設定を行う場合(S1:YES)、CPU81は、S2に処理を移行する。解像度設定を行わない場合(S1:NO)、CPU81は、S3に処理を移行する。
【0061】
S2においては、CPU81は、出力解像度設定処理を実行する。出力解像度設定処理(S2)においては、CPU81は、操作パネル85上の入力キーを用いたユーザの操作に基づいて、ユーザ所望の出力解像度を設定する。本実施形態においては、「100dpi」「200dpi」「400dpi」から所望の出力解像度を選択することにより、CPU81は、出力解像度を設定する。出力解像度を設定した後、CPU81は、S1に処理を戻す。
【0062】
S3に移行すると、CPU81は、原稿載置部25に原稿が載置されているか否かを判断する。具体的には、CPU81は、サイズ検出センサ70からの検出信号(少なくとも、第1センサ71からのON信号があるか否か)に基づいて、S3の判断を行う。原稿載置部25に原稿がある場合(S3:YES)、CPU81は、S4に処理を移行する。一方、原稿載置部25に原稿がない場合(S3:NO)、CPU81は、原稿が載置されるまで処理を待機する。
【0063】
S4では、CPU81は、サイズ検出センサ70(第1センサ71、第2センサ72、第3センサ73)からの検出信号に基づいて、原稿サイズ検出処理を実行する。当該原稿サイズ検出処理(S4)では、CPU81は、第1センサ71のみからON信号が出力されている場合に当該原稿が原稿SA(A5サイズ)であると検出する。第1センサ71、第3センサ73からON信号が出力されている場合、CPU81は、当該原稿が原稿SB(B5サイズ)であると検出する。第1センサ71〜第3センサ73からON信号が出力されている場合、CPU81は、当該原稿が原稿SC(A4サイズ)であると検出する。原稿サイズ検出処理(S4)を終了した後、CPU81は、S5に処理を移行する。
【0064】
S5に移行すると、CPU81は、サイズ搬送速度特定処理を実行する。サイズ搬送速度特定処理(S5)においては、CPU81は、原稿サイズ検出処理(S4)で検出された原稿サイズと、サイズ搬送速度特定テーブル(図9参照)に基づいて、当該原稿における搬送速度(例えば、メインローラ回転速度Vfの数値)を特定する。尚、サイズ搬送速度特定処理(S5)において、原稿サイズに基づいて特定された原稿の搬送速度を「サイズ搬送速度」という。特定された「サイズ搬送速度」をRAM83に格納した後、CPU81は、S6に処理を移行する。
【0065】
図9に示すように、サイズ搬送速度特定テーブルは、原稿サイズ(A5サイズ、B5サイズ、A4サイズ)に対して、夫々のサイズに適した原稿の搬送速度を対応付けて構成されている。具体的には、サイズ搬送速度特定テーブルにおいて、原稿SA(A5サイズ)に対しては、所定の第1原稿搬送速度が対応付けられており、原稿SB(B5サイズ)に対しては、前記第1原稿搬送速度よりも速い第2原稿搬送速度が対応付けられている。更に、原稿SC(A4サイズ)に対しては、前記第1原稿搬送速度、第2原稿搬送速度よりも速い第3原稿搬送速度が対応付けられている。
【0066】
即ち、当該サイズ搬送速度特定テーブルによれば、原稿サイズが小さい程、原稿の搬送速度が低速に設定される。原稿サイズが小さい場合に搬送速度を低速度に設定することで、サイズの小さい原稿同士の間の間隙(紙間部分)が短くても、紙間部分が端部検出センサ75付近を通過する速度も低速になる。これにより、端部検出センサ75が原稿の端部を検出する為に要する時間を十分に確保することができ、端部検出センサ75による原稿端部の検出精度を高めることができる。
【0067】
S6においては、CPU81は、解像度搬送速度特定処理を実行する。解像度搬送速度特定処理(S6)では、CPU81は、出力解像度設定処理(S2)で設定された出力解像度と、解像度搬送速度特定テーブル(図10参照)に基づいて、当該原稿における搬送速度(例えば、メインローラ回転速度Vfの数値)を特定する。尚、解像度搬送速度特定処理(S6)において、出力解像度に基づいて特定された原稿の搬送速度を「解像度搬送速度」という。特定された「解像度搬送速度」をRAM83に格納した後、CPU81は、S7に処理を移行する。
【0068】
図10に示すように、解像度搬送速度特定テーブルは、出力解像度(100dpi、200dpi、400dpi)に対して、夫々の出力解像度に適した原稿の搬送速度を対応付けて構成されている。具体的には、解像度搬送速度特定テーブルにおいて、出力解像度「100dpi」に対しては、最も高速な第3原稿搬送速度が対応付けられており、出力解像度「200dpi」に対しては、前記第3原稿搬送速度よりも遅い第2原稿搬送速度が対応付けられている。更に、出力解像度「400dpi」に対しては、前記第3原稿搬送速度、第2原稿搬送速度よりも遅い第1原稿搬送速度が対応付けられている。
【0069】
S7では、CPU81は、搬送速度設定処理を実行する。搬送速度設定処理(S7)では、CPU81は、サイズ搬送速度特定処理(S5)で特定されたサイズ搬送速度と、解像度搬送速度特定処理(S6)で特定された解像度搬送速度を比較して、当該原稿の読取時における搬送速度を設定する。具体的には、CPU81は、サイズ搬送速度と、解像度搬送速度を比較した結果、遅い方の搬送速度を、当該原稿の読取時における搬送速度に設定する。搬送速度設定処理(S7)の終了後、CPU81は、S8に処理を移行する。
【0070】
S8に移行すると、CPU81は、画像読取実行処理を実行する。具体的には、CPU81は、搬送速度設定処理(S7)で設定された搬送速度で原稿を搬送しつつ、搬送速度設定処理(S7)で設定された搬送速度と、解像度搬送速度テーブル(図10参照)に基づいて特定される解像度で、当該原稿の画像をイメージセンサ15により読み取る。原稿の読取結果をRAM83に格納した後、CPU81は、S9に処理を移行する。
【0071】
S9においては、CPU81は、読取データ出力処理を実行する。具体的には、CPU81は、ROM82に格納されている解像度変換プログラムに基づいて、画像読取実行処理(S8)で読み取った読取結果を、出力解像度設定処理(S2)で設定された出力解像度に変換して出力する。読取データ出力処理(S9)の終了後、CPU81は、読取制御プログラムを終了する。尚、サイズ搬送速度特定処理(S5)で特定されたサイズ搬送速度と、解像度搬送速度特定処理(S6)で特定された解像度搬送速度とが同じであれば、その共通する搬送速度に設定され、その場合の読取結果は、ユーザが指定した解像度に一致している為、S9において出力解像度に変換する処理は省略される。
【0072】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本実施形態においては、スキャナ機能を有する画像読取装置1を例として挙げていたが、この態様に限定するものではない。例えば、コピー機能やプリンタ機能等を併せ持つ複合機(Multi Function Device)として実現することも可能である。
【0073】
又、本実施形態に係る画像読取装置1においては、メインローラ60に付与された原稿搬送モータMの駆動力は、減速機構部65により所定の減速比に従って減速されて、分離ローラ55の駆動軸57に伝達されるように構成されているが、この態様に限定されるものではない。例えば、減速機構部65を配設せずに、分離ローラ55の駆動軸57に対して専用の駆動モータを接続するように構成してもよい。この場合、原稿搬送モータMによる原稿の搬送速度(即ち、メインローラ60の回転速度)を変化させた場合、所定の減速比を維持しつつ、当該専用の駆動モータによる原稿の搬送速度を変化させることが望ましい。
【0074】
そして、本実施形態に係る画像読取装置1において、サイズ搬送速度及び解像度搬送速度は、第1原稿搬送速度、第2原稿搬送速度、第3原稿搬送速度で共通しているが、この態様に限定されるものではない。サイズ搬送速度、解像度搬送速度を夫々独立の搬送速度として定義してもよい。又、サイズ搬送速度特定テーブルにおいては、原稿サイズが大きいほど、速い搬送速度が対応付けられていれば、具体的な数値は適宜設定し得る。更に、解像度搬送速度特定テーブルにおいても、高い出力解像度ほど、遅い搬送速度が対応付けられていれば、具体的な数値は適宜設定し得る。
又、本実施形態では、画像読取装置1について説明したが、画像読取装置1の下方に画像形成部に備えた複合機(例えば、コピー機)として、本発明の画像読取装置を適用することも可能である。この場合、制御部80は、複合機の画像形成部側に収容されていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 画像読取装置
10 スキャナユニット
15 イメージセンサ
20 原稿カバー
40 ADFユニット
50 原稿搬送機構部
55 分離ローラ
56 当接部
56A 凸部
57 駆動軸
57A 駆動伝達部
65 減速機構部
70 サイズ検出センサ
71 第1センサ
72 第2センサ
73 第3センサ
75 端部検出センサ
80 制御部
M 原稿搬送モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段と、
積層されたシートを一枚ずつ分離しつつ所定の搬送経路に沿って搬送する分離手段と、
前記駆動手段の駆動力に基づいて、前記分離手段によって分離されたシートを、前記搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路に沿って搬送されるシートの画像を読み取る読取手段と、
を有する画像読取装置であって、
前記搬送手段に対して付与された駆動力を、所定の減速比で減速して伝達する減速機構部と、
前記分離手段は、
前記減速機構部を介して伝達された駆動力によって回転駆動する駆動軸と、前記駆動軸に対して所定範囲内で空転可能に配設され、前記積層されたシートに当接する当接部と、前記駆動軸に対する前記当接部の位置関係に基づいて、前記駆動軸に付与された駆動力を、前記当接部に対して供給又は切断するクラッチ機構と、を有する分離ローラを備え、
前記分離手段に対して、前記搬送経路上におけるシートの搬送方向下流側に位置し、前記搬送経路に沿って搬送されるシートの端部と接触することで動作する作動部材と、前記作動部材の動作に基づいて、前記シートの端部を検出する検出部と、を有する端部検出手段と、
前記シートのサイズを検出するサイズ検出手段と、
前記サイズ検出手段によって検出された当該シートのサイズが所定サイズよりも大きい場合、所定の第1搬送速度で当該シートを搬送するように、前記駆動手段を介して、前記搬送手段によるシートの搬送速度を制御し、
前記サイズ検出手段によって検出された当該シートのサイズが所定サイズ以下である場合に、前記第1搬送速度よりも低速な第2搬送速度で当該シートを搬送するように、前記駆動手段を介して、前記搬送手段によるシートの搬送速度を制御する制御手段と、を有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像読取装置であって、
前記サイズ検出手段は、
当該シートが、異なる複数のサイズの何れに該当するかを検出し、
前記制御手段は、
前記サイズ検出手段によって検出された当該シートのサイズが小さい程、低速に規定された搬送速度で当該シートを搬送するように、前記駆動手段を介して、前記搬送手段による当該シートの搬送速度を制御する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の画像読取装置であって、
前記読取手段によって、前記シートから読み取られた画像の解像度を、ユーザ所望の解像度に設定可能な解像度設定手段と、
前記解像度設定手段により設定された解像度に基づいて、当該解像度に対応するシートの搬送速度を特定する搬送速度特定手段と、
前記サイズ検出手段の検出結果に基づく搬送速度と、前記搬送速度特定手段により特定された搬送速度とを比較する比較手段と、
前記制御手段は、
前記比較手段によって、前記サイズ検出手段の検出結果に基づく搬送速度が、前記搬送速度特定手段により特定された搬送速度よりも低速である場合に、前記サイズ検出手段の検出結果に基づく搬送速度で、シートを搬送しつつ、前記読取手段によって画像を読み取り、前記解像度設定手段で設定された解像度で出力する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像読取装置であって、
前記制御手段は、
前記比較手段によって、前記サイズ検出手段の検出結果に基づく搬送速度が、前記搬送速度特定手段により特定された搬送速度よりも低速である場合に、前記サイズ検出手段の検出結果に基づく搬送速度に対応する解像度で、前記シートの画像を読取手段により読み取るように制御する読取制御手段と、
前記読取制御手段による制御に従って読み取られた画像の解像度を、前記解像度設定手段により設定された解像度に変換する解像度変換手段と、
前記解像度変換手段によって、前記解像度設定手段で設定された解像度に変換された画像を出力する出力手段と、を有する
ことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−14391(P2013−14391A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146447(P2011−146447)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】