説明

画像音声再生システム、受信装置

【課題】1つの表示画面を用いて複数の映像を出力する際、視聴対象の映像に対応した音声を聴取することができる画像音声再生システムを提供する。
【解決手段】画像音声出力装置の表示画面に表示される複数の画像のうち1つの画像を再生する画像再生部と、画像音声出力装置から出力される、複数の画像にそれぞれ対応した複数の音声信号を受信する音声受信部と、画像音声出力装置から送信される、複数の音声信号が複数の画像のうちどの画像に対応する音声信号であるか表す識別情報を含む同期信号に基づいて、音声受信部によって受信した音声信号から再生対象である音声信号を選択する音声選択部と、音声選択部によって選択された音声信号を再生する音声再生部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像音声再生システム、受信装置処理に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの表示装置を用いて、複数の映像を同時に表示することによって、1つの画面を用いて複数の人が異なる映像を見ることができるシステムが提供されている。例えば、同一の画面上に異なる画像を同時に表示し、それを複数人で個別に見られる表示システムについて提案されている(特許文献1)。この技術においては、音声については、従来技術で対応可能である、とされている。具体的には、表示装置にイヤホーンを接続することで、音声を聞くことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−65580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す表示システムでは、画像(映像)のみを個別に認識することができるが、それぞれの画像に対応した音声を個別に聴取する技術について開示されていない。すなわち、イヤホーンを接続したとしても、1つの音声を複数人で聞くことになり、そうすると画像(映像)と一致しない音声を聴取する場合が発生してしまう。具体的には、例えば、AとBの2つの番組を1つの画面上に表示する場合、2人のユーザのうち、一方のユーザが番組Aを見て、他方のユーザが番組Bを見ることができるが、音声は、1種類すなわち、番組A(あるいは番組B)の音声しか出力されないため、他方の番組を見ているユーザは、自分が見ている番組の音声を聞くことができない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、1つの表示画面を用いて複数の映像を出力する際、視聴対象の映像に対応した音声を聴取することができる画像音声再生システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像音声出力装置と当該画像音声出力装置から出力される画像と音声を再生する受信装置とを有する画像音声再生システムであって、
前記画像音声出力装置は、複数の画像を同時に1つの表示画面に表示する画像表示部と、前記複数の画像にそれぞれ対応した複数の音声信号を出力する音声出力部と、前記複数の音声信号が前記複数の画像のうちどの画像に対応する音声信号であるか表す識別情報を含む同期信号を送信する同期信号送信部と、受信装置は、前記画像表示部に表示される複数の画像のうち1つの画像を再生する画像再生部と、前記音声出力部から出力される音声信号を受信する音声受信部と、前記同期信号送信部から送信される同期信号に基づいて、前記音声受信部によって受信した音声信号から再生対象である音声信号を選択する音声選択部と、前記音声選択部によって選択された音声信号を再生する音声再生部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上述した画像音声再生システムにおいて、前記受信装置は、前記画像表示部に表示される複数の画像から表示対象である1つの画像を選択する画像選択部を有し、前記画像再生部は、前記画像選択部によって選択された画像を再生することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述した画像音声再生システムにおいて、前記受信装置の画像選択部は、前記複数の画像のうち視聴対象の画像を選択する選択指示を外部から入力し、当該選択指示に応じた画像を選択して再生することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述した画像音声再生システムにおいて、前記画像音声出力装置は、前記複数の画像のうち視聴対象の画像を選択する選択指示を外部から入力し、当該選択指示に応じた画像を前記受信装置の画像選択部に選択させる画像選択部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述した画像音声再生システムにおいて、前記受信装置の音声選択部は、前記同期信号送信部から送信された同期信号に含まれる音声受信部が受信する複数の音声信号のうち再生対象となる音声信号に対応する識別情報を選択する選択指示を外部から入力し、当該選択指示に応じた識別情報に対応する音声信号を選択し、前記音声再生部に再生させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した画像音声再生システムにおいて、画像音声出力装置と当該画像音声出力装置から出力される画像と音声を再生する受信装置とを有する画像音声再生システムにおける受信装置であって、前記画像音声出力装置の表示画面に表示される複数の画像のうち1つの画像を再生する画像再生部と、前記画像音声出力装置から出力される、前記複数の画像にそれぞれ対応した複数の音声信号を受信する音声受信部と、前記画像音声出力装置から送信される、前記複数の音声信号が前記複数の画像のうちどの画像に対応する音声信号であるか表す識別情報を含む同期信号に基づいて、前記音声受信部によって受信した音声信号から再生対象である音声信号を選択する音声選択部と、前記音声選択部によって選択された音声信号を再生する音声再生部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、この発明によれば、画像音声出力装置から、1つの表示画面に複数の画像を表示し、これら画像に対応する音声をそれぞれ出力する。受信装置は、複数の画像のうち、選択された1つの画像を再生するとともに、複数の音声信号のうち、画像音声出力装置から送信される同期信号をもとに、音声信号を選択して再生する。これにより、1つの表示画面を用いて複数の画像を出力する場合であっても、これらの画像に対応する音声を選択して聞くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態による画像音声再生システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】画像表示装置10の構成を表すブロック図である。
【図3】再生システム20の構成を表すブロック図である。
【図4】画像音声再生システムの動作を説明するタイミングチャートである。
【図5】入力される画像信号の他の例を説明する図である。
【図6】第2の実施形態における再生システム20の構成を説明する図である。
【図7】画像表示装置10に備えられるリモコンの一部を表す図である。
【図8】再生システム20が画像及び音声を選択する手順を表すフローチャートである。
【図9】画像表示装置10の他の実施形態を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態による画像音声再生システムについて図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態による画像音声再生システムの構成を示す概略ブロック図である。
画像音声再生システム1は、画像表示装置10と、画像表示装置10から出力される画像と音声と再生する複数の再生システム20とによって構成される。
画像表示装置10は、1つの表示画面によって複数の画像を表示する画像表示手段103と、画像表示手段103に表示される画像に対応する複数の音声を再生システムへ送信する音声送信手段106と、同期信号送信手段108とを有する。
【0015】
この画像表示装置10は、時分割方式または空間分割方式によって、1つの表示画面に複数の画像を表示する。例えば、3Dテレビの原理を用いることで実現する。
具体的に、時分割方式とは、第1の画像と第2の画像を交互に出力し、再生システム側において、一方の画像(例えば第1の画像)の出力タイミングに従って、一方の画像のみ選択して視聴可能に透過させることで、ユーザに一方の画像を視聴させる。この場合、他の再生システムにおいて、他方の画像のみ選択して視聴させることで、1つの表示画面を用いて複数のユーザが、異なる画像を視聴することができる。
【0016】
空間分割方式とは、表示画面にパターン位相差板を配置し、表示画面を横方向に複数に分割し、例えば、分割された領域のうち、奇数行の領域を用いて第1の画像を表示し、偶数行の領域を用いて第2の画像を表示する。そして、奇数行のみ選択して表示する再生システムと、偶数行のみ選択して表示する再生システムとを用いることで、1つの表示画面を用いて複数のユーザが、異なる画像を視聴することができる。なお、再生システムでは、右目と左目に対応するレンズとして、奇数行のみ透過する偏光レンズを両眼に設けることで、第1の画像が視聴可能であり、偶数行のみ透過する偏光レンズを両眼に設けることで、第2の画像が視聴可能である。
【0017】
再生システム20は、画像再生装置21と音声再生装置22とを有する。画像再生装置21は、例えば、形状がメガネ状であり、再生対象の画像を選択して透過させることで、表示画面に表示された画像のいずれか1つを再生する。この再生方法としては、パッシブ型とアクティブ型とがある。パッシブ型は、表示画面に右方向と左方向の円偏光のいずれかに第1の画像を割り当て、他方に第2の画像を割り当て、交互に表示する。再生システム側において、左右のレンズに同じ円偏光(右方向または左方向)のレンズを設けることで、第1の画像のみを視聴可能にしたり、第2の画像のみを視聴可能にする。
アクティブ型は、表示画面に第1の画像と第2の画像を交互に表示し、再生システム側において、第2の画像が表示されるタイミングのみシャッターを閉にすることで、第1の画像のみ視聴可能にしたり、あるいは、第1の画像が表示されるタイミングのみシャッターを閉にすることで、第2の画像のみ視聴可能にする。このシャッターは、例えば、液晶シャッターが用いられる。
【0018】
再生システム20は、画像再生装置21と音声再生装置22は、その組み合わせが1対1で対応している必要がある。ここでは、NFC(Near Field Communication)や人体通信等の手段を用いることで、自動的にペアリングを行うようにしてもよい。
【0019】
この実施形態においては、一例として、複数のチャンネルを再生するテレビにおいて、第1の画像として、Aチャンネル、第2の画像としてBチャンネルを再生する場合について説明する。例えば、Aチャンネルではスポーツ番組が放送されており、Bチャンネルではニュースが放送されている。
【0020】
次に、上述の画像音声再生システムについて図面を用いてさらに説明する。
図2は、画像表示装置10の構成を表すブロック図である。
画像入力手段101は、例えば、チューナであり、デコードされた映像信号を入力する。ここで入力される映像信号は、2つである。例えば、テレビ番組を受信して表示する場合には、第1のチャンネル(Aチャンネル)と第2のチャンネル(Bチャンネル)、のように、異なるチャンネルの両方の映像信号が入力される。また、画像入力手段101は、ユーザによって選択された2つのチャンネルの映像信号を受信する。例えば、AチャンネルをCチャンネルに切り替えるようにリモコン等によって操作されると、第1のチャンネルではCチャンネルの映像信号を受信し、第2のチャンネルではBチャンネルの映像信号を受信する。
【0021】
画像生成手段102は、画像入力手段101に入力された2つの映像信号を1つの映像信号として生成する。
画像表示手段103は、例えば、液晶パネルであり、画像生成手段102によって生成された映像信号に従って画像を表示する。
音声入力手段104は、例えば、チューナであり、画像入力手段101に入力される2つの映像信号に対応する音声信号を入力する。例えば、第1の音声信号(Aチャンネルの音声信号)と第2の音声信号(Bチャンネルの音声信号)を入力する。音声入力手段104は、画像入力手段101と同様に、ユーザによってチャンネルが変更されると、変更された後のチャンネルの音声信号を入力する。
音声生成手段105は、音声入力手段104が入力した第1及び第2の音声信号を音声送信手段106に出力する。
音声送信手段106は、音声生成手段105から出力される第1および第2の音声信号を無線によって出力する。
【0022】
同期信号生成手段107は、複数の音声信号が前記複数の画像のうちどの画像に対応する音声信号であるか表す識別情報を含む同期信号を生成する。同期信号送信手段108は、同期信号生成手段107によって生成された同期信号を無線によって送信する。
【0023】
図3は、再生システム20の構成を表すブロック図である。
同期信号入力手段201は、同期信号送信手段108から送信される同期信号を受信する。
画像選択手段202は、画像表示手段103に表示される複数の画像から表示対象である1つの画像を選択する。
選択画像表示手段203は、画像表示手段103に表示される複数の画像のうち、画像選択手段202によって選択された1つの画像を表示する。
音声受信手段204は、音声送信手段106から送信される音声信号を受信する。
音声選択手段205は、同期信号入力手段201から入力された同期信号に基づいて、音声受信手段204によって受信した音声信号から再生対象である音声信号を選択する。
この音声選択手段205は、同期信号送手段108から送信された同期信号に含まれる、音声受信手段204が受信する複数の音声信号のうち再生対象となる音声信号に対応する識別情報を選択する選択指示を画像・音声決定手段207から入力し、当該選択指示に応じた識別情報に対応する音声信号を選択し、前記音声再生部によって再生する。
【0024】
音声再生手段206は、音声選択手段205によって選択された音声信号を再生する。
画像・音声決定手段207は、例えば、スイッチ等の入力手段であり、画像表示装置10から出力される複数の画像や音声のうち、視聴対象の画像や音声を選択する選択指示を、外部からユーザによって押下されることで入力し、この選択指示に応じた画像を画像選択手段202に選択させるとともに、音声を音声選択手段205に選択させる。
【0025】
次に、上述した構成の画像音声再生システムの動作について、図4を用いて説明する。
図4は、画像音声再生システムの動作を説明するタイミングチャートである。
画像入力手段101は、AチャンネルとBチャンネルである2つの画像信号を入力する。ここでは、図4(a)、(b)に示すように、AチャンネルとBチャンネルの映像信号に含まれるそれぞれの画像フレームが、同じタイミングで入力される。例えば、AチャンネルとBチャンネルがいずれも120Hzである場合、1/120秒毎に、それぞれ1つのフレームが同じタイミングで入力される。ここでは、Aチャンネルの映像信号の1フレーム(An−2)と、Bチャンネルの映像信号の1フレーム(Bn−2)が同じタイミングで入力された後の画像フレームも同様に、同じタイミングで入力される。
【0026】
画像生成手段102は、画像入力手段101が入力した映像信号を1つの映像信号として生成する。ここでは、Aチャンネルの画像フレームとBチャンネルの画像フレームを交互に配列する。例えば、図4(c)に示すように、1つのAチャンネルの画像フレームと1つのBチャンネルの画像フレームとで1/60秒に収まるように配列する。例えば、Aチャンネルの映像信号のフレーム(An−2)の次にBチャンネルの映像信号の1フレーム(Bn−1)が配置される。以降の映像信号においても、Aチャンネルの映像信号の画像フレームの次にBチャンネルの映像信号の画像フレームが配列される。
これにより、画像表示手段103には、1/120秒毎に、Aチャンネルの画像フレームとBチャンネルの画像フレームとが交互に表示される。言い換えると、Aチャンネルの画像フレームとBチャンネルの画像フレームは、1枚ずつ交互に間引いて画像が生成される。この場合、入力される映像信号に対し、画像の遅れがなく生成することができる。
【0027】
ここで、入力される画像信号の他の例を説明する。図5は、入力される画像信号の他の例を説明する図である。
この図において、(a)、(b)に示すように、AチャンネルとBチャンネルの映像信号に含まれるそれぞれの画像フレームは、同じタイミングで入力される。例えば、AチャンネルとBチャンネルがいずれも60Hzである場合、1/60秒毎に、それぞれ1つのフレームが同じタイミングで入力される。ここでは、Aチャンネルの映像信号の1フレーム(An−1)と、Bチャンネルの映像信号の1フレーム(Bn−1)が同じタイミングで入力された後の画像フレームも同様に、同じタイミングで入力される。
このような映像信号が入力される場合、画像生成手段102は、同じタイミングで受信ンしたAチャンネルの画像フレームとBチャンネルの画像フレームとが入力されると、入力された次の1/120秒の周期において、Aチャンネルの画像フレームの次にBチャンネルの画像フレームを配列する。例えば、図5(c)に示すように、1つのAチャンネルの画像フレームと1つのBチャンネルの画像フレームとで1/60秒に収まるように配列する。例えば、時刻t0において、Aチャンネルの映像信号のフレーム(An−1)とBチャンネルの映像信号のフレーム(Bn−1)とを受信すると、次の1/120秒の周期であるT1において、Aチャンネルの映像信号のフレーム(An−1)の次にBチャンネルの映像信号のフレーム(Bn−1)を配列する。映像信号を受信した次の周期において映像信号の画像フレームを配列する。
【0028】
一方、音声送信手段106は、音声生成手段105から出力される第1および第2の音声信号を無線によって送信する。電波によって出力する場合には、異なる周波数帯域(チャンネル)で第1及び第2の音声を出力するか、同じ周波数帯を用いる場合には、変調を変えて出力する。赤外線によって出力する場合には、変調を変えて第1及び第2の音声を出力する。また、第1および第2の音声信号の送信時間を細かく分割し、あたかもひとつの周波数で複数の通信を行う時分割を用いても良い。
【0029】
同期信号生成手段107は、画像生成手段102によって生成された映像信号に含まれる、第1のチャネルの画像フレームの出力タイミングに応じて第1のチャネルの音声信号を出力させる第1の同期信号を生成するとともに、第2のチャネルの画像フレームの出力タイミングに応じて第2のチャンネルの音声信号を出力させる第2の同期信号を生成する。
同期信号生成手段107から出力される同期信号を図4(d)に示す。
同期信号は、予め設定された基準値があり、この基準値よりも高いレベルの信号と低いレベルの信号とによって、第1及び第2の音声信号に対応する同期タイミングを表す。例えば、基準値より高いレベルを選択している間は、この高いレベルによって表される識別情報に対応する第1のチャンネルに応じた第1の音声信号を出力することを表し、基準値よりも低いレベルを選択している間は、この低いレベルによって表される識別情報に対応する第2のチャンネルに応じた第2の音声信号を出力することを表す。
図4(d)に示す同期信号は、基準値よりも高いレベルと低いレベルを用いて表す場合であるが、図4(h)に示すように、基準値よりも高いレベルである第1のレベルと、この第1のレベルよりも高いレベルである第2のレベルを用いて表すようにしてもよい。なお、基準値よりも低いレベルである第3のレベルと、この第3のレベルよりも低いレベルである第4のレベルを用いて表すようにしてもよい。このように、同期信号は、1つの信号を用いる場合、異なるレベルを用いて各チャンネルを識別できればよい。
【0030】
この場合、再生システム20において、第1の音声信号と第2の音声信号のどちらを再生するかについて、ユーザからの画像・音声決定手段207を介して入力される選択指示に従って再生する。これにより、高いレベルを選択されると、第1のチャンネルに応じた音声を再生し、低いレベルを選択されると、第2のチャンネルに応じた音声を再生する。
【0031】
この選択の仕方としては、画像・音声決定手段207の音声を切り替えるスイッチが押下される毎に、Aチャンネルの音声、Bチャンネル音声をトグル操作によって切り替えることができる。また、画像については、音声を選択する他に、画像・音声決定手段207の画像を切り替えるスイッチが押下される毎に、Aチャンネルの画像、Bチャンネルの画像をトグル操作によって切り替えることができる。
【0032】
ここでは、この同期信号を用いて画像の再生も行われる。すなわち、画像・音声決定手段207によって選択対象が選択されると、その選択されたチャンネルに応じた同期信号に基づいて、画像選択手段202が画像を選択し、シャッターの開閉を行う。例えば、第1の再生システム20では、図4(c)における信号の前半側の画像フレーム(例えば、画像フレーム(An−1)、・・・、(An+3))のタイミングの画像フレームを表示(透過)するようにシャッターが動作することで、Aチャンネルの番組が再生される。これにより、第1の再生システム20を利用しているユーザは、Bチャンネルの画像を見ることなく、Aチャンネルの画像のみを見ることができる。
一方、第2の再生システム20では、図4(c)における信号の後半側の画像フレーム(例えば、画像フレーム(Bn−1)、・・・、(Bn+3)のタイミングの画像フレームを受信するようにシャッターが動作し、第2の同期信号に従って第2の音声を再生する。これにより、第2の再生システム20を利用しているユーザは、Aチャンネルの画像を見ることなく、Bチャンネルの画像のみを見ることができる。
【0033】
この実施形態によれば、複数人のうち、ユーザaは、Aチャンネルの画像を見ながら、Aチャンネルの音声を聞くことができ、別のユーザbは、Bチャンネルの画像を見ながら、Bチャンネルの音声を聞くことができる。そして、ユーザaは、Aチャンネルの画像を見ながら、Bチャンネルの音声のみを聞きたい場合は、音声を切り替えることで、Aチャンネルの画像を見ながら、裏番組であるBチャンネルの音声を聞くこともできる。この場合、ユーザbは、Bチャンネルの画像と音声を視聴している。
【0034】
上述した実施形態において、図4(d)に示すように、2つのチャンネルの同期信号を1つにしたので、1つの周波数帯を用いるようにすることができる。例えば、2つの周波数帯を用いる場合には、一方の周波数帯は正常に通信できたとしても、他方の周波数帯は、他の通信でも用いられるような混雑した周波数帯であったとすると、ノイズが多くなってしまう可能性がある。すなわち、ノイズの影響を受けにくい周波数帯を2つ用意することが難しい場合がある。そこで、予めノイズの影響を受けにくい1つの周波数帯の無線信号によって送信することで、ノイズの影響を受けにくくすることができる。
【0035】
次に、他の実施形態について説明する。上述の実施形態においては、画像表示装置10から、2つのチャンネルの画像と音声を出力し、この出力された画像と音声のうち、どのチャンネルの画像や音声を再生するかについて、再生システム20側で、ユーザの指示に応じて選択する場合について説明したが、この実施形態においては、画像表示装置10側において選択する場合について説明する。
【0036】
図6は、第2の実施形態における再生システム20の構成を説明する図である。
同期信号入力手段251、選択画像表示手段253、音声受信手段254、音声再生手段256は、図3の同期信号入力手段201、選択画像表示手段203、音声受信手段204、音声再生手段206の各部と同様の機能を有している。
画像選択手段252は、同期信号送信手段108から送信される同期信号に従って、画像を選択する。音声選択手段255は、同期信号送信手段108から送信される同期信号に従って、音声を選択する。
【0037】
ここでは、画像表示装置10の同期信号生成手段107は、複数ある再生システム20毎に、識別可能な同期信号を生成して同期信号送信手段108から送信する。例えば、第1の再生システム20に割り当てられた周波数帯を用いて第1の第1の再生システム20が受信可能な同期信号を送信し、第2の再生システム20に割り当てられた周波数帯(第1の再生システム20に割り当てられた周波数帯とは異なる周波数帯)を用いて第2の再生システム20が受信可能な同期信号を送信する。赤外線によって出力する場合には、変調を変えて同期信号を送信する。
【0038】
ここで、図4を用いてさらに説明する。図4(c)に示す画像信号に従い、画像が生成されると、画像表示装置10の同期信号生成手段107は、この画像信号に応じて、第1の再生システム20に送信する第1の同期信号(図4(e))と、第2の再生システム20に送信する第2の同期信号(図4(f))とを生成する。第1の同期信号は、Aチャンネルの画像フレーム(An−1)が出力される間、例えば、画像フレーム(An−1)の信号がオンとなっている間、同じタイミングでオンとなっている。第2の同期信号は、Bチャンネルの画像フレーム(Bn−1)が出力される間、例えば、画像フレーム(Bn−1)の信号がオンとなっている間、同じタイミングでオンとなっている。
【0039】
さらに、この第1の同期信号と第2の同期信号は、それぞれ第1の再生システム20と第2の再生システム20に割り当てられた周波数帯を用いて送信されるため、第1の再生システム20では、Aチャンネルの画像と音声が再生され、第2の再生システム20では、Bチャンネルの画像と音声が再生される。ここで、音声信号は、Aチャンネルの音声について第1の再生システム20が受信可能な周波数帯を用いて送信されるため、第1の再生システム20ではAチャンネルに応じた音声が再生され、Bチャンネルの音声について第第2の再生システム20が受信可能な周波数帯を用いて送信されるため、第2の再生システム20ではBチャンネルに応じた音声が再生される。
【0040】
この実施形態においては、画像表示装置10側において、チャンネルを変更することにより、第1の再生システム20や第2の再生システム20によって視聴するチャンネルが変更される。
【0041】
次に、第3の実施形態について説明する。
この実施形態においては、画像表示装置10において、再生対象のチャンネルを変更する場合について説明する。
図7は、画像表示装置10に備えられるリモコンの一部を表す図である。このリモコンには、複数の画像のうち視聴対象の画像を選択する選択指示を外部から入力し、当該選択指示に応じた画像を前記受信装置の画像選択部に選択させる画像選択部が設けられる。
具体的には、第1の再生システム20で視聴しているユーザは、このリモコンで第1の再生システム20を利用していることを表すボタンを押し、視聴したい番組(例えばスポーツ番組)を選択し、操作ボタン(符号a)によってAチャンネルを選択して決定ボタンを押すと、画像表示装置10は、選択されたスポーツ番組をAチャンネルとして割り当てる。そして、このAチャンネルとしてスポーツ番組を画像表示手段103に表示するとともに、スポーツ番組の音声信号をAチャンネルに割り当てて第1の音声信号として音声送信手段106から出力する。ここでは、選択されたAチャンネルが、表示欄(符号b)に「A」として表示される。
【0042】
一方、第2の再生システム20で視聴しているユーザは、このリモコンで第2の再生システム20を利用していることを表すボタンを押し、視聴したい番組(例えばニュース番組)を選択し、操作ボタン(符号a)によってBチャンネルを選択して決定ボタンを押すと、画像表示装置10は、選択されたニュース番組をBチャンネルとして割り当てる。そして、このBチャンネルとしてニュース番組を画像表示手段103に表示するとともに、ニュース番組の音声信号をAチャンネルに割り当てて第2の音声信号として音声送信手段106から出力する。ここでは、選択されたBチャンネルが、表示欄に「B」として表示される。
【0043】
このように、リモコンを用いて番組が選択されると、第1の実施形態の再生システム20を用いた場合、ユーザは、自身が装着する再生システム20の操作ボタンを押すことによって、スポーツ番組かニュース番組を視聴することができる。また、スポーツ番組を見ながら、ニュース番組の音声を聞く、等、画像と音声を別のチャンネルにすることもできる。
また、第2の実施形態の再生システム20を用いた場合、ユーザは、リモコンによって番組を選択することで、自身の再生システム20で番組を視聴することができる。
【0044】
図8は、再生システム20が画像及び音声を選択する手順を表すフローチャートである。
再生システム20は、選択された画像チャンネルがAであるかBであるかを判定する(ステップS101)。画像チャンネルとしてAチャンネルが選択されている場合には(ステップS102)、画像チャンネルと現在選択されている音声チャンネルが同じであるかを判定する(ステップS103)。画像チャンネルと音声チャンネルが同じである場合には、Aチャンネルの画像を再生するとともに、Aチャンネルの音声を再生する(ステップS105)。
【0045】
ステップS103において、画像チャンネルと音声チャンネルが異なる場合には、音声チャンネルとしてBチャンネルを選択し(ステップS106)、Aチャンネルの画像を再生するとともに、Bチャンネルの音声を再生する(ステップS107)。
【0046】
一方、ステップS101において、画像チャンネルとしてBチャンネルが選択されていると(ステップS108)、画像チャンネルと現在選択されている音声チャンネルが同じであるかを判定する(ステップS109)。画像チャンネルと音声チャンネルが同じである場合には、Bチャンネルの画像を再生するとともに、Bチャンネルの音声を再生する(ステップS111)。
【0047】
ステップS109において、画像チャンネルと音声チャンネルが異なる場合には、音声チャンネルとしてAチャンネルを選択し(ステップS112)、Bチャンネルの画像を再生するとともに、Aチャンネルの音声を再生する(ステップS113)。
【0048】
図9は、図2に示す画像表示装置10の他の実施形態を表すブロック図である。
この図において、図2の各部に対応する部分に同一の符号を付し、その説明を省略する。
選局手段301は、例えばチューナであり、複数ある番組(チャンネル)の中から、ユーザによって指定される番組を選択して受信する。復調手段302は、選局手段301によって受信した信号を復調する。分離手段303は、復調手段によって復調された信号を映像信号と音声信号に分離する。映像復号手段304は、分離手段303によって分離された映像信号を復号して画像生成手段102に出力する。音声復号手段305は、分離手段303から出力された音声信号を復号して音声生成手段105に出力する。
選局手段351、復調手段352、分離手段353は、選局手段301、復調手段302、分離手段303と同様の機能を有する。映像復号手段354は、分離手段353によって分離された映像信号を復号して画像生成手段102に出力する。音声復号手段355は、分離手段353から出力された音声信号を復号して音声生成手段105に出力する。
【0049】
このような構成によれば、複数の番組を受信し、画像を1つの画面で出力するとともに、出力対象の複数の画像に対応した音声を出力することができ、同期信号を用いて、音声を再生することができる。
【0050】
以上説明した実施形態によれば、例えば、以下のような場面に用いることができる。
(1)適用例その1
1台の大型液晶テレビの画面に、例えばスポーツ番組とニュース番組とを同時に表示する。それを、複数人のユーザのそれぞれに、再生システム20を着用してもらうことで、複数のユーザが、スポーツ番組か、ニュース番組かを視聴することができる。ここで、第1の実施形態における再生システム20を用いた場合には、各ユーザが、自身の再生システム20を操作することで、ニュース番組とスポーツ番組とのうち、画像や音声を選択して視聴することができる。
従来であれば、1つの画面においてフルサイズでスポーツ番組を表示し、表示画面の隅に小さくニュース番組を表示することで、1つの画面を用いて複数の番組を視聴するようにしていた(例えば、音声は、フルサイズで表示された番組のものが出力される)。本実施形態によれば、1つの表示画面を用いて、複数の番組をフルサイズで表示することができ、自身が視聴したい番組の音声を聞くことができる。
【0051】
(2)適用例その2
外国語映画等を視聴する場合、例えば、あるユーザは、外国語音声を聞き、字幕無しの画像を見ることで映画を視聴し、他のユーザは、外国語音声を聞き、外国語字幕が表示された画像を見ることで映画を視聴する。そして、他のユーザは、外国語音声を理解しやすい場面では、字幕無しの映像に切り替え、外国語音声を理解しにくい場面では、字幕ありの画像に切り替えることもできる。
また、字幕無しの外国語映画を見る場合、まず日本語吹き替えの音声で視聴してストーリーを理解し、次に、外国語音声で視聴する。あるいは、外国語音声を聞く場合、まず日本語字幕の映像を見てストーリーを理解し、次に、外国語字幕映像を視聴する。また、外国語音声を聞く場合、上級者は、字幕無しの映像をみてストーリーを理解する。初心者は、外国語字幕映像を見る。
これにより、単に映画を視聴するだけでなく、語学の学習にも用いることができる。
【0052】
(3)適用例その3
展示会など、来場客と係員が混在する場所において、来場客に知られないように、業務連絡や作業指示を行うことができる。
例えば、展示会で入場者に説明用のチャンネルのみ視聴可能な再生システム20を配布し、係員には、説明用と場内管理用の両方のチャンルを視聴可能な再生システム20を配布する。画像表示装置10では、展示品の説明用映像と場内管理用との両方の映像を表示する。そして、係員は、必要に応じて、説明用のコンテンツを視聴するか、場内管理用のコンテンツを視聴するかを切り替えることによって、必要なコンテンツを視聴する。
【0053】
また、図1における画像表示装置10、再生システム20の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより画像・音声の再生を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0054】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0055】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 画像音声再生システム
10 画像表示装置
20 再生システム
21 画像再生装置
22 音声再生装置
101 画像入力手段
102 画像生成手段
103 画像表示手段
104 音声入力手段
105 音声生成手段
106 音声送信手段
107 同期信号生成手段
108 同期信号送信手段
201、251 同期信号入力手段
202、252 画像選択手段
203、253 選択画像表示手段
204、254 音声受信手段
205、255 音声選択手段
206、256 音声再生手段
207 画像・音声決定手段
301、351 選局手段
302、352 復調手段
303、353 分離手段
304、354 映像復号手段
305、354 音声復号手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像音声出力装置と当該画像音声出力装置から出力される画像と音声を再生する受信装置とを有する画像音声再生システムであって、
前記画像音声出力装置は、
複数の画像を同時に1つの表示画面に表示する画像表示部と、
前記複数の画像にそれぞれ対応した複数の音声信号を出力する音声出力部と、
前記複数の音声信号が前記複数の画像のうちどの画像に対応する音声信号であるか表す識別情報を含む同期信号を送信する同期信号送信部と、
受信装置は、
前記画像表示部に表示される複数の画像のうち1つの画像を再生する画像再生部と、
前記音声出力部から出力される音声信号を受信する音声受信部と、
前記同期信号送信部から送信される同期信号に基づいて、前記音声受信部によって受信した音声信号から再生対象である音声信号を選択する音声選択部と、
前記音声選択部によって選択された音声信号を再生する音声再生部と、
を有することを特徴とする画像音声再生システム。
【請求項2】
前記受信装置は、
前記画像表示部に表示される複数の画像から表示対象である1つの画像を選択する画像選択部を有し、
前記画像再生部は、前記画像選択部によって選択された画像を再生する
ことを特徴とする請求項1記載に画像音声再生システム。
【請求項3】
前記受信装置の画像選択部は、
前記複数の画像のうち視聴対象の画像を選択する選択指示を外部から入力し、当該選択指示に応じた画像を選択して再生する
ことを特徴とする請求項2記載の画像音声再生システム。
【請求項4】
前記画像音声出力装置は、
前記複数の画像のうち視聴対象の画像を選択する選択指示を外部から入力し、当該選択指示に応じた画像を前記受信装置の画像選択部に選択させる画像選択部
を有することを特徴とする請求項2記載の画像音声再生システム。
【請求項5】
前記受信装置の音声選択部は、
前記同期信号送信部から送信された同期信号に含まれる音声受信部が受信する複数の音声信号のうち再生対象となる音声信号に対応する識別情報を選択する選択指示を外部から入力し、当該選択指示に応じた識別情報に対応する音声信号を選択し、前記音声再生部に再生させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の画像音声再生システム。
【請求項6】
画像音声出力装置と当該画像音声出力装置から出力される画像と音声を再生する受信装置とを有する画像音声再生システムにおける受信装置であって、
前記画像音声出力装置の表示画面に表示される複数の画像のうち1つの画像を再生する画像再生部と、
前記画像音声出力装置から出力される、前記複数の画像にそれぞれ対応した複数の音声信号を受信する音声受信部と、
前記画像音声出力装置から送信される、前記複数の音声信号が前記複数の画像のうちどの画像に対応する音声信号であるか表す識別情報を含む同期信号に基づいて、前記音声受信部によって受信した音声信号から再生対象である音声信号を選択する音声選択部と、
前記音声選択部によって選択された音声信号を再生する音声再生部と、
を有することを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−191507(P2012−191507A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54449(P2011−54449)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】