説明

画素及びこれを用いた有機電界発光表示装置

【課題】駆動トランジスタの閾電圧、第1電源の電圧降下及び有機発光ダイオードの劣化を補償する。
【解決手段】有機発光ダイオードOLEDと、第1電源ELVDDから有機発光ダイオードOLEDに供給される電流量を制御するための第2トランジスタM2と、発光制御線Enに発光制御信号が供給される時にターンオフされる第3トランジスタM3と、走査線に走査信号が供給される時にターンオンされる第1トランジスタM1と、第2トランジスタM2のゲート電極及び第1電極の間に接続される第1キャパシタC1と、第2トランジスタM2の第1電極と第1電源との間に接続される第2キャパシタC2と、有機発光ダイオードOLEDの劣化に対応して第2トランジスタM2のゲート電極の電圧を制御するための補償部144と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画素及びこれを用いた有機電界発光表示装置に関し、特に駆動トランジスタの閾電圧、第1電源の電圧降下及び有機発光ダイオードの劣化を補償できるようにした画素及びこれを用いた有機電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、陰極線管(Cathode
Ray Tube)の短所である重さと体積を減らすことができる各種平板表示装置が開発されている。平板表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device)、電界放出表示装置(Field Emission Display Device)、プラズマ表示パネル(Plasma Display Panel)及び有機電界発光表示装置(Organic Light Emitting
Display Device)などが挙げられる。
【0003】
平板表示装置のうち、有機電界発光表示装置は電子と正孔の再結合によって光を発生する有機発光ダイオードを用いて映像を表示する。このような有機電界発光表示装置は、速い応答速度を有すると同時に低い消費電力で駆動されるという長所がある。
【0004】
図1は、従来の有機電界発光表示装置の画素を示す回路図である。図1を参照すれば、従来の有機電界発光表示装置の画素4は、有機発光ダイオードOLEDと、データ線Dm及び走査線Snに接続されて有機発光ダイオードOLEDを制御するための画素回路2とを備える。
【0005】
有機発光ダイオードOLEDのアノード電極は画素回路2に接続され、カソード電極は第2電源ELVSSに接続される。このような有機発光ダイオードOLEDは、画素回路2から供給される電流に対応して所定輝度の光を生成する。
【0006】
画素回路2は、走査線Snに走査信号が供給される時にデータ線Dmに供給されるデータ信号に対応して有機発光ダイオードOLEDに供給される電流量を制御する。このために、画素回路2は第1電源ELVDDと有機発光ダイオードOLEDとの間に接続された第2トランジスタM2と、第2トランジスタM2、データ線Dm及び走査線Snの間に接続された第1トランジスタM1と、第2トランジスタM2のゲート電極と第1電極との間に接続されたストレージキャパシタCstとを備える。
【0007】
第1トランジスタM1のゲート電極は走査線Snに接続され、第1電極はデータ線Dmに接続される。そして、第1トランジスタM1の第2電極は、ストレージキャパシタCstの一側端子に接続される。ここで、第1電極はソース電極及びドレイン電極のいずれかに設定され、第2電極は第1電極と異なる電極に設定される。例えば、第1電極がソース電極に設定されると、第2電極はドレイン電極に設定される。走査線Sn及びデータ線Dmに接続された第1トランジスタM1は、走査線Snから走査信号が供給される時にターンオンされてデータ線Dmから供給されるデータ信号をストレージキャパシタCstに供給する。このとき、ストレージキャパシタCstは、データ信号に対応する電圧を充電する。
【0008】
第2トランジスタM2のゲート電極はストレージキャパシタCstの一側端子に接続され、第1電極はストレージキャパシタCstの他側端子及び第1電源ELVDDに接続される。そして、第2トランジスタM2の第2電極は、有機発光ダイオードOLEDのアノード電極に接続される。このような第2トランジスタM2は、ストレージキャパシタCstに格納された電圧値に対応して第1電源ELVDDから有機発光ダイオードOLEDを経由して第2電源ELVSSに流れる電流量を制御する。このとき、有機発光ダイオードOLEDは、第2トランジスタM2から供給される電流量に対応する光を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2006−0134405
【特許文献2】大韓民国特許公開第2006−0024869
【特許文献3】大韓民国特許公開第2005−0121379
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の有機電界発光表示装置の画素4は、均一な輝度の映像を表示できないという問題点を有する。これを詳細に説明すれば、画素4のそれぞれに含まれている第2トランジスタM2(駆動トランジスタ)の閾電圧は工程バラツキなどによって画素4毎に異なるように設定される。このように駆動トランジスタの閾電圧が異なるように設定されると、多数の画素4に同一階調に対応するデータ信号を供給しても駆動トランジスタの閾電圧のバラツキによって画素4毎に互いに異なる輝度の光が有機発光ダイオードOLEDで生成される。
【0011】
また、従来は第1電源ELVDDの電圧降下によってパネルに形成される画素4の位置に応じて第1電源ELVDDの電圧が異なるという問題が発生した。このように、画素4の位置に応じて第1電源ELVDDの電圧が異なると、均一な輝度の映像を表示できない。
【0012】
そして、従来の有機電界発光表示装置は、有機発光ダイオードOLEDの劣化に伴う効率の変化によって所望の輝度の映像を表示できないという問題がある。即ち、時間が経過するにつれて有機発光ダイオードOLEDが劣化し、これにより、所望の輝度の映像を表示できない。実際に、有機発光ダイオードOLEDが劣化するほど、低い輝度の光が生成される。
【0013】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、駆動トランジスタの閾電圧、第1電源の電圧降下及び有機発光ダイオードの劣化を補償できるようにした画素及びこれを用いた有機電界発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、画素は、有機発光ダイオードと、第1電源と前記有機発光ダイオードとの間に接続され、前記第1電源から前記有機発光ダイオードに供給される電流量を制御するための第2トランジスタと、前記第2トランジスタの第1電極と前記第1電源との間に接続され、発光制御線に発光制御信号が供給される時にターンオフされる第3トランジスタと、前記第2トランジスタのゲート電極とデータ線との間に接続され、走査線に走査信号が供給される時にターンオンされる第1トランジスタと、前記第2トランジスタのゲート電極及び第1電極の間に接続される第1キャパシタと、前記第2トランジスタの第1電極と前記第1電源との間に接続される第2キャパシタと、前記有機発光ダイオードと前記第2トランジスタのゲート電極との間に接続され、前記有機発光ダイオードの劣化に対応して前記第2トランジスタのゲート電極の電圧を制御するための補償部とを備える。
【0015】
また、前記第2キャパシタは、前記第1キャパシタより大きい容量に設定してもよい。
【0016】
また、前記第2キャパシタの容量は、前記第1キャパシタの容量より2倍〜10倍大きく設定するようにしてもよい。
【0017】
また、前記補償部は、前記第2トランジスタのゲート電極に第1端子が接続される第3キャパシタと、前記第3キャパシタの第2端子と前記有機発光ダイオードのアノード電極との間に接続され、前記走査信号が供給される時にターンオンされる第4トランジスタと、前記第3キャパシタの第2端子と基準電源との間に接続され、前記発光制御信号が供給される時にターンオフされる第5トランジスタとを備えてもよい。
【0018】
また、前記基準電源の電圧は、前記有機発光ダイオードの閾電圧より高い電圧に設定してもよい。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、有機電界発光表示装置は、走査線に走査信号を順次供給し、発光制御線に発光制御信号を順次供給するための走査駆動部と、データ線に初期化電源及びデータ信号を供給するためのデータ駆動部と、前記データ線及び走査線の交差部に位置する画素とを備え、前記画素のそれぞれは、有機発光ダイオードと、第1電源と前記有機発光ダイオードとの間に接続され、前記第1電源から前記有機発光ダイオードに供給される電流量を制御するための第2トランジスタと、前記第2トランジスタの第1電極と前記第1電源との間に接続され、前記発光制御信号が供給される時にターンオフされる第3トランジスタと、前記第2トランジスタのゲート電極とデータ線との間に接続され、前記走査信号が供給される時にターンオンされる第1トランジスタと、前記第2トランジスタのゲート電極及び第1電極の間に接続される第1キャパシタと、前記第2トランジスタの第1電極と前記第1電源との間に接続される第2キャパシタと、前記有機発光ダイオードと前記第2トランジスタのゲート電極との間に接続され、前記有機発光ダイオードの劣化に対応して前記第2トランジスタのゲート電極の電圧を制御するための補償部とを備える。
【0020】
また、前記第2キャパシタの容量は、前記第1キャパシタの容量より2倍〜10倍大きく設定してもよい。
【0021】
また、前記走査駆動部は、i(iは自然数)番目の走査線に走査信号が供給される期間の一部の期間である第1期間を除いた残りの期間である第2期間及び第3期間にi番目の発光制御線に発光制御信号を供給してもよい。
【0022】
前記i番目の発光制御線に供給される前記発光制御信号は、前記i番目の走査線に前記走査信号の供給が中断された後に供給が中断されてもよい。
【0023】
前記データ駆動部は、前記第1期間及び第2期間に前記データ線に前記初期化電源を供給し、前記第3期間に前記データ線に前記データ信号を供給してもよい。
【0024】
前記補償部は、前記第2トランジスタのゲート電極に第1端子が接続される第3キャパシタと、前記第3キャパシタの第2端子と前記有機発光ダイオードのアノード電極との間に接続され、前記走査信号が供給される時にターンオンされる第4トランジスタと、前記第3キャパシタの第2端子と基準電源との間に接続され、前記発光制御信号が供給される時にターンオフされる第5トランジスタと、を備えてもよい。
【0025】
前記基準電源の電圧は、前記有機発光ダイオードの閾電圧より高い電圧に設定されてもよい。
【0026】
前記初期化電源の電圧は、前記データ信号の電圧より高い電圧に設定されてもよい。
【0027】
前記初期化電源の電圧は、前記第1電源の電圧より低い電圧に設定されてもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によれば、駆動トランジスタの閾電圧及び第1電圧の電圧降下を補償して均一な輝度の映像を表示できる。また、本発明によれば、画素のそれぞれに含まれる有機発光ダイオードの劣化を補償して所望の輝度の映像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来の画素を示す回路図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す図である。
【図3】本実施形態にかかる走査駆動部及びデータ駆動部から供給される駆動波形を示す波形図である。
【図4】本実施形態にかかる画素を示す回路図である。
【図5】本実施形態にかかる画素の駆動波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
以下、添付の図2〜図5を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。ここで、第1構成要素と第2構成要素が連結されると説明するにあたり、第1構成要素は第2構成要素と直接連結されてもよく、第3構成要素を介して第2構成要素と間接的に連結されてもよい。また、本発明の完全な理解のための必須でない構成要素は明確性を図るために省略する。更に、同一部分には同一符号を付す。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す図である。
図2を参照すれば、本発明の実施形態に係る有機電界発光表示装置は、走査線S1〜Sn及びデータ線D1〜Dmの交差部に位置する画素140を含む画素部130と、走査線S1〜Sn及び発光制御線E1〜Enを駆動するための走査駆動部110と、データ線D1〜Dmを駆動するためのデータ駆動部120と、走査駆動部110及びデータ駆動部120を制御するためのタイミング制御部150とを備える。
【0033】
走査駆動部110は、タイミング制御部150から走査駆動制御信号SCSの供給を受ける。走査駆動制御信号SCSの供給を受けた走査駆動部110は、図3のように、走査線S1〜Snに走査信号を順次供給する。また、走査駆動制御信号SCSの供給を受けた走査駆動部110は、発光制御線E1〜Enに発光制御信号を順次供給する。ここで、i(iは自然数)番目の発光制御線Eiに供給される発光制御信号は、i番目の走査線Siに走査信号の供給が開始された後に供給が開始され、i番目の走査線Siに走査信号の供給が中断された後に供給が中断される。そして、走査信号はローレベル(又はハイレベル)の電圧に設定され、発光制御信号はハイレベル(又はローレベル)の電圧に設定される。
【0034】
データ駆動部120は、タイミング制御部150からデータ駆動制御信号DCS及びデータDataの供給を受ける。データ駆動制御信号DCS及びデータDataの供給を受けたデータ駆動部120は、データ信号DSを生成し、生成されたデータ信号DSをデータ線D1〜Dmに供給する。ここで、データ駆動部120は、走査信号の供給が開始されてから走査信号と発光制御信号とが重なる期間の一部の期間にデータ線D1〜Dmに初期化電源Vintを供給する。そして、データ駆動部120は、走査信号と発光制御信号とが重なる期間の残り期間にデータ信号DSを供給する。初期化電源Vintの電圧はデータ信号DSの電圧より高く、第1電源ELVDDの電圧より低い電圧に設定される。
【0035】
タイミング制御部150は、外部から供給される同期信号に対応してデータ駆動制御信号DCS及び走査駆動制御信号SCSを生成する。タイミング制御部150で生成されたデータ駆動制御信号DCSは、データ駆動部120に供給され、走査駆動制御信号SCSは、走査駆動部110に供給される。そして、タイミング制御部150は、外部から供給されるデータDataをデータ駆動部120に供給する。
【0036】
画素部130は、外部から第1電源ELVDD及び第2電源ELVSSの供給を受けてそれぞれの画素140に供給する。第1電源ELVDD及び第2電源ELVSSの供給を受けた画素140のそれぞれは、データ信号に対応する光を生成する。
【0037】
図4は、図2に示した画素の実施形態を示す図である。図4では説明の便宜上、第nの走査線Sn及び第mのデータ線Dmと接続された画素を示す。
図4を参照すれば、本発明の実施形態に係る画素140は、有機発光ダイオードOLEDと、データ線Dm及び走査線Snに接続されて有機発光ダイオードOLEDに供給される電流量を制御するための画素回路142と、有機発光ダイオードOLEDの劣化を補償するための補償部144とを備える。
【0038】
有機発光ダイオードOLEDのアノード電極は画素回路142に接続され、カソード電極は第2電源ELVSSに接続される。このような有機発光ダイオードOLEDは、画素回路142から供給される電流量に対応して所定輝度の光を生成する。ここで、第2電源ELVSSの電圧は、第1電源ELVSSの電圧より低い電圧に設定される。
【0039】
画素回路142は、走査線Snに走査信号が供給される時にデータ線Dmに供給されるデータ信号に対応して有機発光ダイオードOLEDに供給される電流量を制御する。このために、画素回路142は第1〜第3トランジスタM3、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2を備える。
【0040】
第1トランジスタM1の第1電極はデータ線Dmに接続され、第2電極は第1ノードN1(即ち、第2トランジスタM2のゲート電極)に接続される。そして、第1トランジスタM1のゲート電極は走査線Snに接続される。このような第1トランジスタM1は、走査線Snに走査信号が供給される時にターンオンされてデータ線Dmに供給される初期化電源又はデータ信号を第1ノードN1に供給する。
【0041】
第2トランジスタM2の第1電極は第2ノードN2(即ち、第3トランジスタM3の第2電極)に接続され、第2電極は有機発光ダイオードOLEDのアノード電極に接続される。そして、第2トランジスタM2のゲート電極は、第1ノードN1に接続される。このような第2トランジスタM2は、第1ノードN1に印加される電圧に対応する電流を有機発光ダイオードOLEDに供給する。
【0042】
第3トランジスタM3の第1電極は第1電源ELVDDに接続され、第2電極は第2ノードN2に接続される。そして、第3トランジスタM3のゲート電極は発光制御線Enに接続される。このような第3トランジスタM3は、発光制御線Enに発光制御信号が供給される時にターンオフされ、発光制御信号が供給されない時にターンオンされる。
【0043】
第1キャパシタC1は、第1ノードN1と第2ノードN2との間に接続される。このような第1キャパシタC1は、データ信号及び第2トランジスタM2の閾電圧に対応する電圧を格納する。
【0044】
第2キャパシタC2は、第1電源ELVDDと第2ノードN2との間に位置する。このような第2キャパシタC2は、第2ノードN2の電圧を安定的に維持する。このために、第2キャパシタC2は第1キャパシタC1より大きい容量を有するように形成される。例えば、第2キャパシタC2は第1キャパシタC1より2〜10倍以上の容量を有するように形成される。実験的に、画素140の内部に含まれる第2キャパシタC2は解像度及びパネルの大きさによって異なるが、第1キャパシタC1より2〜10倍以上の容量を有するように設定されることができる。
【0045】
補償部144は、有機発光ダイオードOLEDの劣化が補償され得るように第1ノードN1の電圧を制御する。このために、補償部144は第4トランジスタM4、第5トランジスタM5及び第3キャパシタC3を備える。
【0046】
第4トランジスタM4の第2電極は有機発光ダイオードOLEDのアノード電極に接続され、第1電極は第3ノードN3に接続される。そして、第4トランジスタM4のゲート電極は、走査線Snに接続される。このような第4トランジスタM4は、走査線Snに走査信号が供給される時にターンオンされて第3ノードN3に有機発光ダイオードOLEDに印加される電圧を供給する。
【0047】
第5トランジスタM5の第1電極は基準電源Vsusに接続され、第2電極は第3ノードN3に接続される。そして、第5トランジスタM5のゲート電極は、発光制御線Enに接続される。このような第5トランジスタM5は、発光制御線Enに発光制御信号が供給される時にターンオフされ、発光制御信号が供給されない時にターンオンされる。
【0048】
第3キャパシタC3の第1端子は第1ノードN1に接続され、第2端子は第3ノードN3に接続される。このような第3キャパシタC3は、第3ノードN3の電圧変化量を第1ノードN1に伝達する。
【0049】
図5は、図4に示した画素の駆動波形を示す図である。
図4及び図5を参照して画素140の動作過程を詳細に説明する。まず走査線Snに走査信号が供給され、第1トランジスタM1及び第4トランジスタM4がターンオンされる。そして、走査線Snに走査信号が供給される期間のうち第1期間T1にデータ線Dmに初期化電源Vintが供給される。
【0050】
第1トランジスタM1がターンオンされると、データ線Dmに供給される初期化電源Vintが第1トランジスタM1を経由して第1ノードN1に供給される。第1期間T1に第3トランジスタM3がターンオン状態を維持するため、第2ノードN2は第1電源ELVDDの電圧を維持する。ここで、初期化電源Vintの電圧は、第1電源ELVDDの電圧より低い電圧に設定されるため、第2トランジスタM2はターンオンされる。
第4トランジスタM4がターンオンされると、有機発光ダイオードOLEDに印加される電圧が第3ノードN3に供給される。
【0051】
走査線Snに走査信号が供給される期間のうち第2期間T2に発光制御線Enに発光制御信号が供給される。発光制御線Enに発光制御信号が供給されると、第3トランジスタM3及び第5トランジスタM5がターンオフされる。
【0052】
第3トランジスタM3がターンオフされると、初期状態で第2トランジスタM2がターンオン状態を維持する。そして、第2ノードN2と第1ノードN1の電圧差が自分の閾電圧に設定されるとき、第2トランジスタM2がターンオフされる。即ち、第2期間T2に第1キャパシタC1には第2トランジスタM2の閾電圧に対応する電圧が充電される。
【0053】
第5トランジスタM5がターンオフされると、第3ノードN3と基準電源Vsusが電気的に遮断される。この場合、第3ノードN3には有機発光ダイオードOLEDに印加される電圧が安定的に供給される。
【0054】
走査線Snに走査信号が供給される期間のうち第3期間T3にデータ線Dmにデータ信号DSが供給される。第3期間T3にデータ線Dmに供給されたデータ信号DSは、第1トランジスタM1を経由して第1ノードN1に供給される。データ信号DSが第1ノードN1に供給されると、第1ノードN1の電圧は初期化電源Vintからデータ信号DSの電圧に下降する。このとき、第2ノードN2は第2期間T2に印加された電圧を維持する。すると、第1キャパシタC1には第2トランジスタM2の閾電圧及びデータ信号DSに対応する電圧が充電される。
【0055】
詳細に説明すれば、第2キャパシタC2は第1キャパシタC1より大きい容量に設定される。従って、第1ノードN1の電圧が変わっても第2ノードN2の電圧は、第2期間T2に印加された電圧を維持する。
【0056】
一方、第3期間T3に有機発光ダイオードOLEDの閾電圧が第3ノードN3に供給される。有機発光ダイオードOLEDの閾電圧は、有機発光ダイオードOLEDが劣化するほど上昇する。
【0057】
その後、走査信号の供給が中断されて第1トランジスタM1及び第4トランジスタM4がターンオフされる。第1トランジスタM1がターンオフされると、第1ノードN1がフローティング状態に設定される。第4トランジスタM4がターンオフされると、有機発光ダイオードOLEDと第3ノードN3が電気的に遮断される。
【0058】
走査信号の供給が中断された後に発光制御信号の供給が中断される。発光制御信号の供給が中断されると、第3トランジスタM3及び第5トランジスタM5がターンオンされる。第3トランジスタM3がターンオンされると、第2ノードN2に第1電源ELVDDの電圧が供給される。このとき、フローティング状態に設定された第1ノードN1の電圧も第2ノードN2の電圧上昇分に対応して上昇する。即ち、第1キャパシタC1に充電された電圧は、第3トランジスタM3がターンオンされても以前期間に充電された電圧を維持する。
【0059】
そして、第2ノードN2に第1電源ELVDDの電圧が供給されるとき、第1ノードN1がフローティング状態に設定されるため、画素140の設置位置に対応して発生する第1電源ELVDDの電圧降下を補償できる。即ち、第2ノードN2の電圧上昇分に対応して第1ノードN1の電圧が上昇するため、第1電源ELVDDの電圧降下と関係なく所望の輝度の映像を表示できる。
【0060】
第5トランジスタM5がターンオンされると、第3ノードN3の電圧が有機発光ダイオードOLEDの閾電圧から基準電源Vsusに上昇する。このために、基準電源Vsusの電圧は有機発光ダイオードOLEDの閾電圧より高い電圧に設定される。第3ノードN3の電圧が上昇すれば、フローティング状態に設定された第1ノードN1の電圧も上昇する。その後、第2トランジスタM2は、第1ノードN1に印加される電圧に対応する電流を有機発光ダイオードOLEDに供給しながら、所定輝度の光を生成する。
【0061】
一方、有機発光ダイオードOLEDは時間が経過するにつれて劣化する。ここで、有機発光ダイオードOLEDが劣化するほど、有機発光ダイオードOLEDの閾電圧が上昇する。即ち、第2トランジスタM2から電流が供給されるとき、有機発光ダイオードOLEDに印加される電圧は有機発光ダイオードOLEDが劣化するほど上昇する。
【0062】
従って、有機発光ダイオードOLEDが劣化するほど、第3ノードN3の電圧上昇幅が低くなる。即ち、有機発光ダイオードOLEDが劣化するほど、第3ノードN3に供給される有機発光ダイオードOLEDの電圧が上昇し、これにより、第3ノードN3の電圧上昇幅は有機発光ダイオードOLEDが劣化しなかった時より低く設定される。
【0063】
第3ノードN3の電圧上昇幅が低く設定されると、第1ノードN1の電圧上昇幅も低くなる。すると、同じデータ信号に対応して第2トランジスタM2から有機発光ダイオードOLEDに供給される電流量が増加する。即ち、本発明では有機発光ダイオードOLEDが劣化するほど、第2トランジスタM2から有機発光ダイオードOLEDに供給される電流量が増加する。これにより、有機発光ダイオードOLEDの劣化による輝度の低下を補償できる。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0065】
110 走査駆動部
120 データ駆動部
130 画素部
140 画素
150 タイミング制御部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオードと、
第1電源と前記有機発光ダイオードとの間に接続され、前記第1電源から前記有機発光ダイオードに供給される電流量を制御するための第2トランジスタと、
前記第2トランジスタの第1電極と前記第1電源との間に接続され、発光制御線に発光制御信号が供給される時にターンオフされる第3トランジスタと、
前記第2トランジスタのゲート電極とデータ線との間に接続され、走査線に走査信号が供給される時にターンオンされる第1トランジスタと、
前記第2トランジスタのゲート電極及び第1電極の間に接続される第1キャパシタと、
前記第2トランジスタの第1電極と前記第1電源との間に接続される第2キャパシタと、
前記有機発光ダイオードと前記第2トランジスタのゲート電極との間に接続され、前記有機発光ダイオードの劣化に対応して前記第2トランジスタのゲート電極の電圧を制御するための補償部と、
を備えることを特徴とする、画素。
【請求項2】
前記第2キャパシタは、前記第1キャパシタより大きい容量に設定されることを特徴とする、請求項1に記載の画素。
【請求項3】
前記第2キャパシタの容量は、前記第1キャパシタの容量より2倍〜10倍大きく設定されることを特徴とする、請求項2に記載の画素。
【請求項4】
前記補償部は、
前記第2トランジスタのゲート電極に第1端子が接続される第3キャパシタと、
前記第3キャパシタの第2端子と前記有機発光ダイオードのアノード電極との間に接続され、前記走査信号が供給される時にターンオンされる第4トランジスタと、
前記第3キャパシタの第2端子と基準電源との間に接続され、前記発光制御信号が供給される時にターンオフされる第5トランジスタと、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の画素。
【請求項5】
前記基準電源の電圧は、前記有機発光ダイオードの閾電圧より高い電圧に設定されることを特徴とする、請求項4に記載の画素。
【請求項6】
走査線に走査信号を順次供給し、発光制御線に発光制御信号を順次供給するための走査駆動部と、
データ線に初期化電源及びデータ信号を供給するためのデータ駆動部と、
前記データ線及び走査線の交差部に位置する画素と
を備え、
前記画素のそれぞれは、
有機発光ダイオードと、
第1電源と前記有機発光ダイオードとの間に接続され、前記第1電源から前記有機発光ダイオードに供給される電流量を制御するための第2トランジスタと、
前記第2トランジスタの第1電極と前記第1電源との間に接続され、前記発光制御信号が供給される時にターンオフされる第3トランジスタと、
前記第2トランジスタのゲート電極とデータ線との間に接続され、前記走査信号が供給される時にターンオンされる第1トランジスタと、
前記第2トランジスタのゲート電極及び第1電極の間に接続される第1キャパシタと、
前記第2トランジスタの第1電極と前記第1電源との間に接続される第2キャパシタと、
前記有機発光ダイオードと前記第2トランジスタのゲート電極との間に接続され、前記有機発光ダイオードの劣化に対応して前記第2トランジスタのゲート電極の電圧を制御するための補償部と、
を備えることを特徴とする、有機電界発光表示装置。
【請求項7】
前記第2キャパシタは、前記第1キャパシタより大きい容量に設定されることを特徴とする、請求項6に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項8】
前記第2キャパシタの容量は、前記第1キャパシタの容量より2倍〜10倍大きく設定されることを特徴とする、請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記走査駆動部は、i(iは自然数)番目の走査線に走査信号が供給される期間の一部の期間である第1期間を除いた残りの期間である第2期間及び第3期間にi番目の発光制御線に発光制御信号を供給することを特徴とする、請求項6に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項10】
前記i番目の発光制御線に供給される前記発光制御信号は、前記i番目の走査線に前記走査信号の供給が中断された後に供給が中断されることを特徴とする、請求項9に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項11】
前記データ駆動部は、前記第1期間及び第2期間に前記データ線に前記初期化電源を供給し、前記第3期間に前記データ線に前記データ信号を供給することを特徴とする、請求項9に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項12】
前記補償部は、
前記第2トランジスタのゲート電極に第1端子が接続される第3キャパシタと、
前記第3キャパシタの第2端子と前記有機発光ダイオードのアノード電極との間に接続され、前記走査信号が供給される時にターンオンされる第4トランジスタと、
前記第3キャパシタの第2端子と基準電源との間に接続され、前記発光制御信号が供給される時にターンオフされる第5トランジスタと、
を備えることを特徴とする、請求項6に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項13】
前記基準電源の電圧は、前記有機発光ダイオードの閾電圧より高い電圧に設定されることを特徴とする、請求項12に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項14】
前記初期化電源の電圧は、前記データ信号の電圧より高い電圧に設定されることを特徴とする、請求項6に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項15】
前記初期化電源の電圧は、前記第1電源の電圧より低い電圧に設定されることを特徴とする、請求項14に記載の有機電界発光表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−301004(P2009−301004A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6132(P2009−6132)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】