説明

画質制御装置、画質制御方法、及び画質制御プログラム

【課題】高品位で高画質な映像を実現する。
【解決手段】入力された映像信号に対する画質制御を行う画質制御装置(10)において、前記映像信号に含まれる画像から得られる輝度情報、色度情報、色彩情報、及び周波数情報のうち、少なくとも1つの要素におけるヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段(14)と、前記映像信号の画質制御の要否を判定するために、前記ヒストグラムと、前記ヒストグラム毎に予め設定された閾値とを比較する閾値比較手段(17)と、比較結果により、前記映像信号の画質制御が必要な場合に、予め設定された複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルから、前記ヒストグラム生成手段により得られるヒストグラムに対応するヒストグラムパターンを抽出し、抽出されたヒストグラムパターンに対応する制御パラメータに基づいて前記映像信号の画質を制御する画質制御手段(18)とを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画質制御装置、画質制御方法、及び画質制御プログラムに係り、特に高品位で高画質な映像を実現するための画質制御装置、画質制御方法、及び画質制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送のデジタル化、ハイビジョン放送の実用化、解像度2K4K(4096×2160画素)といわれる高品位次世代放送等映像技術の高品位、高品質化は、日進月歩で急速な進化を遂げつつある。これに伴い、受信機側でも安価で高品位な映像処理技術が求められている。しかしながら、受信機端末の需要増と相まって価格の低下が急加速化し、こうした高品位、高解像度化の動きに反し、受信機側の改善技術はさほど進化を遂げていないのが実情である。
【0003】
なお、従来では、輝度ヒストグラムのみで画質情報を判定し、画質制御を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−94596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来手法である輝度ヒストグラムのみでの画質情報の判定では、輝度のみの制御に過ぎないため、色等の制御ができず、画質向上ができなかった。
【0006】
つまり、現在採用されている画質改善技術は、入力された映像信号成分の単純な輝度情報のみを分析し唯一コントラスト改善のみを行っていた。したがって、種々の映像情報を的確に把握して再生いるとはいえないのが実情であり、画質改善範囲も限られたものとなっている。これにより、例えば、明るい画面での色再現範囲と暗い画面での色再現範囲は大きく異なるが、それを検出する手段がないため制御ができない状況にある。
【0007】
例えば、モニター等の表示画面で文字情報等を見る場合には、ホワイトバランス(White Balance)の色温度は9300Kがよく、肌色、暖系色を見る場合の色温度は6500Kがよいといったことは、過去から知られていることであるが、こちらも上述と同様に最適な検出手段が存在していない。したがって、適切な制御ができていないのが実情である。
【0008】
また、高周波成分の多い映像情報を見る場合には、直線性(Linearity)の良い諧調特性で見るのが最も見やすいことが知られている。また、低周波数成分の多い映像情報での諧調特性は、コントラストを重視したダイナミック(Dynamic)な映像を好む傾向にあるため、非線形カーブに諧調特性をもっていくと見やすいことも知られている。しかしながら、上述したような過去に得られた豊富でかつ最適な映像再現技術は、全てスタティック(Static)な調整でのみ実現しているのが現状である。
【0009】
つまり、このようなスタティックな映像再現上での調整や設定は、映像内容に連動して制御することが困難であるため、従来では常に一定の補正を行っていた。したがって、暗い場面での高周波成分(例えば、闇夜の黒髪や闇夜のカラス等)が黒レベル以下に埋没して黒つぶれ現象が起こったり、中間輝度部では輝度情報の立ち上がり傾斜と色情報の立ち上がり傾斜誤差(周波数帯域差による立ち上がり傾斜タイミングのずれ等)による画質劣化現象が発生していた。
【0010】
また、シャープネスコントロール(Sharpness Control)に関しても周波数成分に関係なく一律にシャープネスのレベル(プレシュート(Pre−Shoot)量、オーバーシュート(Over−Shoot)量)を設定しているため、低い周波数成分の時には良好な画質が得られても、高い周波数成分の時には逆に原信号とほぼ同じ幅の擬似シュート(Shoot)信号を多く発生させるため、逆に鮮鋭度を失わせる結果になっていた。
【0011】
また、ノイズ低減(Noise Reduction)機能についても、周波数成分に無関係に一律にノイズ低減量を設定しているため、例えばノイズと高周波信号成分が近似している場合には、原信号の高周波成分そのものも同時に失われ、高解像度のディスプレイ装置を使用してもボケてしまうという不具合現象が多発していた。したがって、低い周波数成分の時に有効な画質改善技術でも高い周波数成分の時には、逆に悪さを露呈し画質が低下してしまうというトレードオフ問題が起きていた。
【0012】
したがって、本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、高品位で高画質な映像を実現するための画質制御装置、画質制御方法、及び画質制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0014】
請求項1に記載された発明は、入力された映像信号に対する画質制御を行う画質制御装置において、前記映像信号に含まれる画像から得られる輝度情報、色度情報、色彩情報、及び周波数情報のうち、少なくとも1つの要素におけるヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段(14)と、前記映像信号の画質制御の要否を判定するために、前記ヒストグラム生成手段(14)により得られるヒストグラムと、前記ヒストグラム毎に予め設定された閾値とを比較する閾値比較手段(17)と、前記閾値比較手段(17)により得られる比較結果により、前記映像信号の画質制御が必要な場合に、予め設定された複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルから、前記ヒストグラム生成手段(14)により得られるヒストグラムに対応するヒストグラムパターンを抽出し、抽出されたヒストグラムパターンに対応する制御パラメータに基づいて前記映像信号の画質を制御する画質制御手段(18)とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項1記載の発明によれば、高品位で高画質な映像を実現することができる。
【0016】
請求項2に記載された発明は、前記輝度情報、前記色度情報、前記色彩情報、及び前記周波数情報のそれぞれに対応させて、前記複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルを生成する参照テーブル生成手段(15)を有することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、複数の情報に対応させて複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルを生成することで、映像信号の画質の改善を高精度に行うことができる。
【0018】
請求項3に記載された発明は、前記参照テーブル生成手段(15)は、輝度ヒストグラムパターン及び色彩ヒストグラムパターンを用いてマトリクス化した参照テーブルを生成することを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、統合化した画質制御を行うことができる。したがって、高品位で高画質な映像を実現することができる。
【0020】
請求項4に記載された発明は、前記閾値をユーザに設定させるための表示画面を生成する画面生成手段を有することを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、設定用の画面を生成して表示することで、ユーザは設定条件を間違えることなく、目的とする正確な値を容易に設定することができる。
【0022】
請求項5に記載された発明は、入力された映像信号に対する画質制御を行う画質制御方法において、前記映像信号に含まれる画像から得られる輝度情報、色度情報、色彩情報、及び周波数情報のうち、少なくとも1つの要素におけるヒストグラムを生成するヒストグラム生成手順(S03)と、前記映像信号の画質制御の要否を判定するために、前記ヒストグラム生成手順(S03)により得られるヒストグラムと、前記ヒストグラム毎に予め設定された閾値とを比較する閾値比較手順(S04)と、前記閾値比較手順(S04)により得られる比較結果により、前記映像信号の画質制御が必要な場合に、予め設定された複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルから、前記ヒストグラム生成手順により得られるヒストグラムに対応するヒストグラムパターンを抽出し、抽出されたヒストグラムパターンに対応する制御パラメータに基づいて前記映像信号の画質を制御する画質制御手順(S06)とを有することを特徴とする。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、高品位で高画質な映像を実現することができる。
【0024】
請求項6に記載された発明は、前記輝度情報、前記色度情報、前記色彩情報、及び前記周波数情報のそれぞれに対応させて、前記複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルを生成する参照テーブル生成手順(S01)を有することを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、複数の情報に対応させて複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルを生成することで、映像信号の画質の改善を高精度に行うことができる。
【0026】
請求項7に記載された発明は、前記参照テーブル生成手順(S01)は、輝度ヒストグラムパターン及び色彩ヒストグラムパターンを用いてマトリクス化した参照テーブルを生成することを特徴とする。
【0027】
請求項7記載の発明によれば、統合化した画質制御を行うことができる。したがって、高品位で高画質な映像を実現することができる。
【0028】
請求項8に記載された発明は、前記閾値をユーザに設定させるための表示画面を生成する画面生成手順を有することを特徴とする。
【0029】
請求項8記載の発明によれば、設定用の画面を生成して表示することで、ユーザは設定条件を間違えることなく、目的とする正確な値を容易に設定することができる。
【0030】
請求項9に記載された発明は、入力された映像信号に対する画質制御をコンピュータに実行させるための画質制御プログラムにおいて、コンピュータを、前記映像信号に含まれる画像から得られる輝度情報、色度情報、色彩情報、及び周波数情報のうち、少なくとも1つの要素におけるヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段(14)、前記映像信号の画質制御の要否を判定するために、前記ヒストグラム生成手段(14)により得られるヒストグラムと、前記ヒストグラム毎に予め設定された閾値とを比較する閾値比較手段(17)、及び、前記閾値比較手段(17)により得られる比較結果により、前記映像信号の画質制御が必要な場合に、予め設定された複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルから、前記ヒストグラム生成手段(14)により得られるヒストグラムに対応するヒストグラムパターンを抽出し、抽出されたヒストグラムパターンに対応する制御パラメータに基づいて前記映像信号の画質を制御する画質制御手段(18)として機能させる。
【0031】
請求項9記載の発明によれば、高品位で高画質な映像を実現することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における画質制御を容易に実現することができる。
【0032】
請求項10に記載された発明は、前記輝度情報、前記色度情報、前記色彩情報、及び前記周波数情報のそれぞれに対応させて、前記複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルを生成する参照テーブル生成手段(15)を有することを特徴とする。
【0033】
請求項10記載の発明によれば、複数の情報に対応させて複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルを生成することで、映像信号の画質の改善を高精度に行うことができる。
【0034】
請求項11に記載された発明は、前記参照テーブル生成手段(15)は、輝度ヒストグラムパターン及び色彩ヒストグラムパターンを用いてマトリクス化した参照テーブルを生成することを特徴とする。
【0035】
請求項11記載の発明によれば、統合化した画質制御を行うことができる。したがって、高品位で高画質な映像を実現することができる。
【0036】
請求項12に記載された発明は、前記閾値をユーザに設定させるための表示画面を生成する画面生成手段(19)を有することを特徴とする。
【0037】
請求項12記載の発明によれば、設定用の画面を生成して表示することで、ユーザは設定条件を間違えることなく、目的とする正確な値を容易に設定することができる。
【0038】
なお、上記参照符号は、あくまでも参考であり、これによって、本願発明が図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、高品位で高画質な映像を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態における画質制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【図2】本実施形態における画質制御が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】ヒストグラム生成の概要を示す図である。
【図4】本実施形態における画質制御の内容を説明するための図である。
【図5】本実施形態の各要素におけるヒストグラムの一例を示す図である。
【図6】本実施形態における閾値比較の一例を示す図である。
【図7】本実施形態において生成されるLUTの一例を示す図である。
【図8】複数のヒストグラムパターンから生成されたLUTの一例を示す図である。
【図9】本実施形態における設定画面の一例を示す図である。
【図10】本実施形態における画質制御処理手順一例を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
<本発明について>
本発明では、従来の輝度ヒストグラムのみでの画質情報の判定による画質制御に対して、輝度の他にも色度、色彩、周波数のヒストグラム化を行い、これらを用いて詳細な情報から画質制御を行うことで、高画質化を実現する。
【0042】
具体的には、例えば入力される映像信号成分から輝度ヒストグラム、色度ヒストグラム、色彩ヒストグラム、及び周波数ヒストグラムの4種類のヒストグラムを生成し、生成されたヒストグラム情報を分析して、任意の閾値(Threshold値)の設定や複数のヒストグラムパターンから制御用の参照テーブル(Look Up Table(LUT))を生成する。なお、本発明において、生成されるヒストグラムは、上述した4種類全てではなくてもよく、例えば従来から用いられた輝度ヒストグラム以外の他のヒストグラムのうち1種類だけでもよく、また上述した4種類のうち少なくとも2種類であってもよい。更には、上述したヒストグラム以外の画質に関するヒストグラムを生成し、そのパターンから制御用の参照テーブルを生成してもよい。
【0043】
また、本発明では、作成された参照テーブル等を用いて、各種画質制御回路(コントラスト(Contrast)、黒レベル(Black Level)、シャープネス(Sharpness)、演色、ノイズ低減、等)を、入力された動画コンテンツ(Contents)の映像情報に応じて動的(Dynamic)に制御する。つまり、本発明では、上述した各種のヒストグラムの検出及び制御を行う画質改善技術を提供する。
【0044】
以下に、上述した特徴を実現するための本発明における画質制御装置、画質制御方法、及び画質制御プログラムを好適に実施した形態について図面等を用いて説明する。
【0045】
<画質制御装置の機能構成例>
図1は、本実施形態における画質制御装置の機能構成の一例を示す図である。図1に示す画質制御装置10は、入力手段11と、出力手段12と、蓄積手段13と、ヒストグラム生成手段14と、参照テーブル生成手段15と、設定手段16と、閾値比較手段17と、画質制御手段18と、画面生成手段19と、送受信手段20と、制御手段21とを有するよう構成されている。
【0046】
入力手段11は、使用者等からの映像入力指示やヒストグラム生成指示、閾値比較指示、参照テーブル生成指示、画質制御指示、送受信指示等の画質制御に関する各入力を受け付ける。なお、入力手段11は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0047】
出力手段12は、入力された画質制御される前の映像情報や本実施形態に係る画質制御された映像情報、入力手段11により入力された指示内容、各指示内容に基づいて生成されたヒストグラム、参照テーブル、設定内容、閾値比較情報、画質制御データ、設定表示画面等の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段12は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。
【0048】
蓄積手段13は、入力映像や、後述する輝度情報、色度情報、色彩情報、周波数情報の各ヒストグラム、閾値比較情報、参照テーブル(LUT:Look Up Table)、画質制御情報等の各種情報、本実施形態における画質制御処理を行うための各種設定情報、画質制御処理の実行経過や結果等を蓄積する。また、蓄積手段13は、送受信手段30を介して外部装置等から受信した制御データや閾値比較情報、LUT等の各種データを蓄積することができる。
【0049】
ヒストグラム生成手段14は、入力された映像信号の画質を決定付ける要素として、映像に含まれる画像の各画素単位で得られる輝度情報、色度情報、色彩情報、及び周波数情報のうち、予め設定された少なくとも1つの情報に対してヒストグラムを生成する。なお、ヒストグラム生成手段14における具体的な処理については後述する。
【0050】
参照テーブル生成手段15は、ヒストグラム生成手段14により得られる輝度情報、色度情報、色彩情報、及び周波数情報のうち、予め設定された少なくとも1つのヒストグラムに対応させて、それぞれのヒストグラムに対して、任意にパターン化し、そのヒストグラムパターンに応じた制御パラメータをLUTとして、画質制御処理の前に設定しておく。これにより、後段の画質制御処理を高精度かつ高速に実行することができる。
【0051】
具体的には、参照テーブル生成手段15は、例えば輝度ヒストグラムに対しては、予め設定された複数種類の輝度ヒストグラムパターンによるLUTを生成する。また、参照テーブル生成手段15は、輝度ヒストグラムパターンのLUTと同様に、色度ヒストグラムパターン、色彩ヒストグラムパターン、周波数ヒストグラムパターンに対してもそれぞれ任意に複数種類のヒストグラムパターンによるLUTをそれぞれ生成する。
【0052】
更に、参照テーブル生成手段15は、複数のヒストグラムパターンを組み合わせてマトリックス化したLUTを生成することもできる。なお、参照テーブル生成手段15は、生成したLUTを蓄積手段13に蓄積させ、必要なときに随時読み出したり、変更することができる。
【0053】
上述したようにLUTを生成することで、本実施形態において画質制御を行う際、入力した映像からヒストグラム生成手段14によって生成された輝度ヒストグラムが、LUTにある複数のヒストグラムパターンのうち、どれに該当するかを検出し、検出した内容から入力したヒストグラムが理想的なヒストグラムパターンになるように画質の制御を行うことにより、動的な色画質制御を高速で行うことができる。
【0054】
また、複数のヒストグラムを用いてLUTを生成し、それを利用して画質制御を行うことで、動的に統合的な画質制御を高精度に行うことができる。なお、参照テーブル生成手段15における具体的な処理については後述する。
【0055】
設定手段16は、上述したヒストグラム生成手段14において生成するヒストグラムの種類や条件、参照テーブル生成手段15において生成するLUTの条件、閾値比較手段17における閾値等の本実施形態における画質制御に関する各種条件の設定を行う。また、設定手段16における各種設定は、入力手段11によりユーザ等が行い、閾値等を設定させるための画面等は画面生成手段19により生成される。また、生成した画面等は、出力手段12等に表示される。これにより、ユーザは、出力手段12に表示された設定画面から各種設定を的確に行うことができる。また、設定手段16は、ユーザ等設定された各種条件を蓄積する。なお、設定手段16における各種設定条件等については後述する。
【0056】
閾値比較手段17は、ヒストグラム生成手段14により得られる各種ヒストグラムの結果と、設定手段16等により予め設定された各ヒストグラムに対応する任意の閾値(Threshold)との比較を行い、その比較結果から画質制御が必要な否かを判断する。なお、閾値比較手段17は、ヒストグラム生成手段14により得られる最大で4種類の異なるヒストグラム検出情報から個別に画質制御を開始したり、停止したりするための閾値を予め設定する。なお、閾値の設定は、最適画質の得られる任意の位置に設定することができる。
【0057】
画質制御手段18は、参照テーブル生成手段15により得られるLUTに基づいて、入力される映像に対する画質を改善するよう制御する。具体的には、画質制御手段18は、入力される映像信号から本実施形態における所定のヒストグラムを生成する。なお、所定のヒストグラムとは、輝度ヒストグラム、色度ヒストグラム、色彩ヒストグラム、及び周波数ヒストグラムのうち、少なくとも1つであり、どのヒストグラムを生成するかは、設定手段16により予め設定され、蓄積手段13に蓄積されている。
【0058】
また、画質制御手段18は、その生成されたヒストグラムを参照テーブル生成手段17で生成された各種ヒストグラムパターンのLUTと照合して、対応する1つのヒストグラムパターンを抽出する。更に、画質制御手段18は、映像信号からのヒストグラムが、そのヒストグラムパターンと同じになるように、そのヒストグラムパターンから得られる画質制御パラメータに基づいて、映像信号の画質制御を行う。
【0059】
これにより、画質制御手段18は、LUTを用いて、例えばコントラスト(Contrast)、黒レベル(Black Level)、シャープネス(Sharpness)、演色、ノイズ低減等の画質制御を行い、入力された動画コンテンツ等の映像情報に応じて、動的に制御することができる。
【0060】
画面生成手段19は、上述した設定手段16により本実施形態に係る画質制御処理を実効する上での各種条件を、ユーザ等に設定させるための画面を生成する。また、画面生成手段19は、生成された画面を出力手段12により表示させる。なお、画面生成手段19により生成される画面例については後述する。
【0061】
送受信手段20は、有線又は無線の通信ネットワーク等を介して制御データ、入力される映像情報、ヒストグラム、閾値比較情報、LUT、画質改善された映像情報等の各種データを他の装置に送信したり、他の装置から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0062】
制御手段21は、画質制御装置10における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段21は、入力手段11により入力された使用者等からの入力情報に基づいて、ヒストグラムを生成したり、LUTを生成したり、ユーザ等に各種条件を設定したり、閾値を比較したり、画面を生成したり、データの送受信を行ったり、画質制御を行う等の各種制御を行う。
【0063】
<ハードウェア構成例>
ここで、上述した画質制御装置10における装置構成例について説明する。画質制御装置10は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等を用いることができ、本発明に係る各処理をコンピュータに実行させることができる実行プログラム(画質制御プログラム)をインストールすることにより、本発明における画質制御処理を実現することができる。
【0064】
図2は、本実施形態における画質制御処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。なお、図2は、画質制御装置10の各構成のそれぞれに適用される。図2は、入力装置31と、出力装置32と、ドライブ装置33と、補助記憶装置34と、メモリ装置35と、各種制御を行うCPU(Central Processing Unit)36と、ネットワーク接続装置37とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
【0065】
入力装置31は、ユーザが操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを有しており、ユーザからのプログラムの実行等、各種操作信号を入力する。出力装置32は、本発明における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、CPU36が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。また、出力装置32は、プリンタ等の機能を有していてもよく、その場合には、本実施形態において取得可能な各種情報を紙等の印刷媒体に印刷して、ユーザ等に提供することもできる。
【0066】
ここで、本発明において、コンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えば、CD−ROM等の記録媒体38等により提供される。プログラムを記録した記録媒体38は、ドライブ装置33にセット可能であり、記録媒体38に含まれる実行プログラムが、記録媒体38からドライブ装置33を介して補助記憶装置34にインストールされる。なお、記録媒体38としては、CD−ROM以外でも、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0067】
また、補助記憶装置34は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本発明における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム、本実施形態において生成又は設定されるヒストグラムやLUT、閾値、処理を実行した経過や結果等の各種データを蓄積し、必要に応じて入出力を行うことができる。
【0068】
メモリ装置35は、CPU36により補助記憶装置34から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、メモリ装置35は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなる。
【0069】
CPU36は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ装置35により読み出され格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して、画質調整等における後述する各処理を実現することができる。なお、CPU36は、プログラムの実行中に必要な制御パラメータや入力される設定情報等の各種情報等を、補助記憶装置34から取得することができ、またプログラムにより実行された結果や上述の各種情報等を補助記憶装置34に蓄積することができる。
【0070】
ネットワーク接続装置37は、通信ネットワーク等と接続することにより、実行プログラムを通信ネットワークに接続されている他の端末等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本発明における実行プログラム自体を他の端末等に提供することができる。また、ネットワーク接続装置37によりネットワーク上に接続された外部装置等から入力される映像信号成分やLUT、閾値等の各種設定情報等を取得することができる。
【0071】
上述したような装置構成により、本発明における画質制御処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における画質制御処理を容易に実現することができる。
【0072】
<ヒストグラム生成>
ここで、上述したヒストグラム生成手段14におけるヒストグラム生成の具体例について説明する。図3は、ヒストグラム生成の概要を示す図である。まず従来では、図3(A)に示すように、入力信号に対して輝度ヒストグラムのみで画質情報を判定し、その判定結果により、例えば「Contrast」、「Bright」、「Sharpness」、「Colors」、「Saturation」、「Color phase」、「N.R(Noise Reduction)」等の画質制御を行っていた。
【0073】
しかしながら、従来の輝度ヒストグラムのみでの判定では、輝度情報のみを用いた制御に過ぎないため色等の制御ができず、画質向上も実現できていなかった。したがって、本実施形態では、図3(B)に示すように、輝度ヒストグラムの他にも、映像を決定する主要素であるヒストグラムを生成し、その生成された1又は複数のヒストグラム値を取り入れて入力信号に対する画質制御を行うことにより、更なる画質向上を実現する。
【0074】
ここで、具体的に説明すると、本実施形態では、図3(B)に示すように、例えば映像を決定する4種類の主要素である輝度、色度、色彩、周波数情報のうち、少なくとも1つの情報を取り入れてヒストグラムを生成する。そして、得られた輝度ヒストグラム、色度ヒストグラム(scalar)、色彩ヒストグラム(vector)、及び周波数ヒストグラムのうち、何れか1つ又は複数の情報から判定を行い、入力信号の画質(「Contrast」、「Bright」、「Sharpness」、「Colors、Saturation」、「Color phase」、「N.R」等)を制御する。
【0075】
これにより、従来の情報判定で用いていた輝度の他にも、色度、色彩、周波数から得られるヒストグラムの情報に基づいて画質制御を行うことができるため、更に最適な高画質にすることができる。
【0076】
ここで、図4は、本実施形態における画質制御の内容を説明するための図である。なお、図4(A)は、縦480×横640ピクセルの画像例を示し、図4(B)は、図4(A)に示す画像の画素毎の暗(黒)から明(白)(最大100%)までの色の明るさ(横軸)に対する度数(縦軸)を示している。
【0077】
また、図4(A)中の点の領域が黒領域を示しており、中央の枠で囲まれた領域内が白領域を示している。なお、本実施形態において、画質制御装置10に入力される映像に含まれる画像は、図4(A)に示すモノクロ画像に限定されず、カラー画像も含まれる。
【0078】
例えば、図4(A)に示すような画像があった場合、画素の1つ1つには明るさがあり、黒い部分又は白い部分にも様々な諧調がある(例えば、明るい黒と暗い黒等)。したがって、本実施形態では、図4(A)に示す画像に含まれる各画素の1つ1つの明るさの情報を取り込み、図4(B)に示すような度数分布を用いたヒストグラム化を行い、その情報値から画像の状態を読み取って、例えばコントラストやブライトネス等の画質の制御を行う。
【0079】
また、本実施形態では、上述した輝度と同様に、色度、色彩、周波数についても1つ1つの画素から画質情報を取り込み、それをヒストグラム化して、得られた情報値から上述した図3(B)に示すような画質を制御する。
【0080】
<ヒストグラム例>
次に、本実施形態におけるヒストグラムの具体例について図等を用いて説明する。上述したように、本実施形態では、入力された映像信号成分を輝度情報、色度情報、色彩情報、周波数情報の4種類の映像成分の個々のヒストグラム頻度やヒストグラムパターンによってコントラスト制御や黒レベル制御、シャープネス制御、色度HSV(Hew、Saturation、Vector)制御、ノイズ制御等の画質制御を行い、高品位で高画質な映像再現を実現する。
【0081】
上述したヒストグラム生成手段14は、映像信号を入力すると、例えば4種類のヒストグラムを検出する検出回路に入力し、第1の輝度ヒストグラム検出、第2の色度ヒストグラム検出、第3の色彩ヒストグラム検出、及び第4の周波数ヒストグラム検出を同時に行って、4種類のヒストグラムデータを抽出する。なお、ヒストグラムの検出は、全て1画面分で入力信号の解像度情報全てと解釈することができる。具体的には、例えば、VGAならば、「640×480=307200」となり、約30万のヒストグラム頻度となる。
【0082】
ここで、図5は、本実施形態の各要素におけるヒストグラムの一例を示す図である。図5(A)に示す輝度ヒストグラムは、横軸に輝度情報を示し、縦軸に出現頻度を示している。また、図5(A)は、例えば出現頻度数が約30万画素の輝度分布を0〜100IREまでの輝度分布として1画面から抽出し、そのヒストグラムを検出したものである。このようにして生成したヒストグラムは、主に輝度やコントラスト機能を制御するために使用される。なお、本実施形態において、輝度情報は、例えばY,U,V信号中のY信号から輝度諧調レベル値の頻度を取得している。
【0083】
また、図5(B)に示す色度ヒストグラムは、横軸に色度情報(Saturation)を示し、縦軸に出現頻度数を示している。また、図5(B)は、例えば出現頻度数が約30万画素の色度分布を色彩0度から360度までの色度分布として1画面から抽出し、そのヒストグラムを検出したものである。このようにして生成したヒストグラムは、主に個別色彩単位での色飽和度等を制御するために使用される。なお、本実施形態において、色度情報は、例えばR,G,B,C,Y,M,Flesh Tone(肌色)等の各色飽和度諧調レベル値の頻度を取得する。その際、R,G,B,C,Y,Mの色相範囲は、例えば基準色相値の約±5°程度の範囲とする。なお、上記範囲は、表示画面の性能やユーザの嗜好の観点等により任意に変更してもよい。
【0084】
また、図5(C)に示す色彩ヒストグラムは、出現頻度数が約30万画素の色彩分布を、色彩0度から360度までの任意の色相間隔で分類し、色彩情報の出現頻度をヒストグラムとして検出したものである。このようにして生成したヒストグラムは、例えばフレッシュトーン(Flesh Tone)等の色彩諧調等を制御するために使用される。なお、本実施形態において、色彩情報は、例えば最小1°単位で頻度取得が可能であるが、この範囲は任意に変更することができる。
【0085】
また、図5(D)に示す周波数ヒストグラムは、横軸に周波数情報を示し、縦軸に出現頻度を示している。また、図5(D)は、例えば出現頻度数が約30万画素の周波数成分分布を低周波から高周波の全帯域まで任意の周波数間隔で分類し、その出現頻度をヒストグラムとして検出したものである。このようにして生成したヒストグラムは、例えばシャープネスやノイズ等を制御するために使用される。
【0086】
<閾値比較>
次に、上述した閾値比較手段17における閾値比較例について図等を用いて説明する。図6は、本実施形態における閾値比較の一例を示す図である。なお、図6(A)は、図5(A)に示す輝度ヒストグラムに対する閾値の設定例を示し、図6(B)は、図5(C)に示す色彩ヒストグラムにおける閾値比較の一例を示している。なお、各閾値は、上述した設定手段16により設定される。
【0087】
つまり、設定手段16は、閾値として、図6(A)に示す直線a〜c、図6(B)に示す直線d又は色彩間隔280〜310度といった各ヒストグラムにおける閾値を設定し、各ヒストグラムが閾値の範囲に属するか否かを基準として、それぞれのヒストグラムを用いた画質制御の要否を判断する。
【0088】
例えば図6(A)の場合には、輝度ヒストグラムの閾値比較において、ヒストグラム輝度の閾値a以下の場合や閾値b以上である場合、度数が閾値c以上の場合には、画質制御を行うといった制御を行う。また、例えば図6(B)の場合には、色彩間隔280〜310度の範囲内で、閾値dを以上の場合には、画質制御を行うといった制御を行う。
【0089】
なお、図5(A),(B)に示す例の他にも、上述した4種類のヒストグラムデータに対しては、個別に制御開始の基準点である閾値(Threshold)を設定することができる。本実施形態では、この閾値を基準として各ヒストグラムと比較し、その比較結果に基づいて画質制御手段18による画質制御を行う。
【0090】
なお、本実施形態において、図6(A)、(B)に示す例以外のヒストグラム(色度、周波数)に対する閾値設定の例としては、例えば、色度については、基準としてR,G,B,C,Y,Mg等の領域で、中心から約±30°程度の範囲で閾値の設定を推奨し、各色毎にプライオリティを付けて重み付けを行うことができる。また、周波数については、信号成分の情報解像度と表示画面の解像度とによって閾値設定が異なる。例えば、低解像度品位の場合には、周波数閾値が約1〜3MHz付近を推奨し、高解像度品位の場合には、周波数閾値が約3〜5MHz付近を推奨する。
【0091】
<画質制御について>
本実施形態では、閾値比較手段17において、画質制御が必要であると判断された場合、参照テーブル生成手段15により生成された複数のLUTのうち、少なくとも1つを用いて画質制御を高速に実行することができる。
【0092】
ここで、上述した画質制御手段18が具備する画像を制御するための機能としては、例えば、コントラストエンハンス(Contrast Enhancer)機能、カラーエンハンス(Color Enhance)機能、シャープネス(Sharpness)機能、ノイズ削減(Noise Reducer)機能等がある。
【0093】
例えば、コントラストエンハンス機能としては、一般的に知られているゲイン曲線(Gain Curve)の非線形制御であるγ補正曲線と同様の機能で映像の平均輝度を中心にS字曲線を描くことが一般的である。
【0094】
更に、黒レベルを補正するBlack Stretch機能、白レベルを補正するWhite Peak Suppressor、文字情報をきれいにするBlue Stretch機能、例えば空に浮かぶ雲等を美しくするWhite Stretch機能、黒のPedestal情報をオフセット(Off−set)させるBlack level Shift機能(Auto Pedestal機能)等も含まれる。
【0095】
また、カラーエンハンス機能として、個別色相単位で飽和度を変える色飽和度(Saturation)制御機能、個別色相単位で色相諧調を変える色彩制御機能、輝度(Luminance)と色(Color)の立ち上がり、立ち下がりタイミング(Timing)を補正するY−C Delay調整機能、輝度と色との飽和度比率を制御するトラッキング(Tracking)機能等がある。
【0096】
また、シャープネス機能としては、パルス状の立ち上がり、立ち下がりを明瞭化するためのEdge Enhancerとして、プレシュート(Pre−Shoot)/オーバーシュート(Over−Shoot)の量と幅を制御する機能等がある。
【0097】
更に、Noise Reducer機能としては、高周波ノイズを削減するN.R機能があり、特に低周波成分が多い時に大きく動作させる。高周波成分が多い時にN.Rをかけると解像度が落ちる。
【0098】
以上ようなの画質機能を上述した4種類のヒストグラムの制御ポイントである閾値(Threshold)を個別に設定し、更に参照テーブル(LUT)を利用することにより、その設定画質の最適化を迅速に行うことができる。また、本実施形態では、4種類のヒストグラムのうち、複数を組み合わせたマルチヒストグラムを用いてLUTを生成しておき、それを利用して画質制御を効率的に行うこともできる。
【0099】
なお、本実施形態における画質制御の具体例としては、例えば、輝度の高い情報が多い場合には、黒の方にシフトさせ全体の諧調を見やすくする。輝度の低い情報が多い場合には、白の方にシフトさせ全体の諧調を見やすくさせる。中間輝度の情報が多い場合には、黒と白の方へ引き伸ばし全体の諧調を見やすくする。
【0100】
また、赤色系統の色情報が多い場合には、色温度を下げ、赤系統の色飽和度を強調する。青系統の色情報が多い場合には、色温度を上げ、青系統の色飽和度を強調する。緑系統の色情報が多い場合には、色温度を固定(基準値)し、緑色系統の色飽和度を強調させる。また、特徴付けしたい色情報に関しても、好みの色温度や色飽和度に設定することができる。
【0101】
更に、低い周波数成分が多い場合には、ノイズキャンセラーを大きくかけてSN比(Signal Noise Ratio)をよくする。また、高い周波数成分が多い場合は、ノイズキャンセラーをあまりかけず高解像度化を実現させる。なお、本実施形態における画質制御の具体例は上述した内容に限定されるものではなく、予め設定された他の画質制御を行うこともできる。
【0102】
<本実施形態におけるLUTの生成について>
次に、本実施形態におけるLUTの生成について説明する。LUTの生成は、上述した設定手段16における各種設定条件等に基づいて、参照テーブル生成手段15で行われる。
【0103】
本実施形態におけるLUTは、1又は複数のヒストグラムデータに基づいて、その特性をパターン化してLUTを生成する。
【0104】
なお、ヒストグラムを用いて画質制御を行う場合には、複雑化してしまう制御体系を簡単化する必要がある。そこで、本実施形態では、任意のLUTのパターンを設定し、入力された信号から得られるヒストグラムに対して最も近似したパターンを選択することで画質制御を行う。
【0105】
ここで、上述した内容を実現するためのLUT例(2例)について、以下に説明する。なお、2例のうち1つは、輝度、コントラストを中心として制御する輝度系ヒストグラムパターンをLUTとして示したものであり、もう1つは、色度、色彩を中心とした色度系ヒストグラムパターンをLUTとして示したものである。本実施形態におけるLUTでは、入力される映像から生成されるヒストグラムデータを、事前に作成されたヒストグラムパターン(LUT)と照合して、常に最良な画質が得られるように制御パラメータを設定する。
【0106】
図7は、本実施形態において生成されるLUTの一例を示す図である。なお、図7(A)は、輝度ヒストグラム(Liminance Histogram)に対するLUTの一例を示し、図7(B)は、カラーヒストグラム(Color Histogram)に対するLUTの一例を示している。なお、図7(A),(B)に示すLUTは、出力手段12により表示してユーザに確認させることもできる。
【0107】
図7(A)では、代表的な12パターンの輝度ヒストグラムパターンの一例を示しており、その12パターンは、「STD G」,「Wide&Brord G」,「Narrrow G」,「Wide M」,「Narrow M」,「Split Peak」,「White G」,「White Peak」,「White Kink(跳ね返り)」,「Black G」,「Black Peak」,「Black Kink」等を設定することができるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0108】
また、上述の輝度ヒストグラムパターンでの制御については、例えば以下に示す条件を用いる。
(1)暗い部分(図7(A)に示す「A1」)と中間輝度(図7(A)に示す「A2」)と明るい部分(図7(A)に示す「A3」)との3つのエリアで判定する。
(2)暗い部分は、「Black Stretch」やS字曲線で補正する。
(3)中間部はAPL(Average Picture Level:平均輝度レベル)連動型でのS字曲線補正を行う。
(4)明るい部分は、低APLではピーク輝度を保持し、高APLではS字曲線とWPS(White Peak Suppressor)補正を行う。
【0109】
上述した各種条件を画質制御パラメータとして複数のヒストグラムパターンのそれぞれに対応させて設定しておき、このパラメータを基本として入力される映像信号に対する画質制御を行う。具体的には、輝度ヒストグラムのパターンを12パターンのヒストグラムパターンを設定し、LUTを生成して画質制御することで、入力される映像信号に対して動的な輝度及びコントラスト制御を高精度かつ高速で行うことができる。
【0110】
なお、従来では、輝度情報の用いた画質制御が存在するが、本実施形態に示すように、入力される映像信号から輝度ヒストグラムを生成し(例えば、図7(A)に示す点線ヒストグラム)、上述したヒストグラムパターン(例えば、図7(A)に示す実線ヒストグラム)と照合して、対応するヒストグラムパターンを抽出し、その実線ヒストグラムの誤差がなくなるように画質制御パラメータを生成して、そのパラメータを用いて画質制御を行うという手法は行われていない。また、本実施形態では、この手法を輝度だけでなく、上述した色度、色彩、周波数についても同様に行うことで、より高精度かつ高速に画質制御を行うことができる。
【0111】
また、図7(B)では、代表的な10パターンの色度、色彩ヒストグラムパターンの一例を示しており、その10パターンは、「STD R(Red)」,「STD G(Green)」,「STD B(Blue)」,「STD M(Magenta)」,「STD Y(Yellow)」,「STD C(Cyan)」,「Cool Tone」,「GCC(Green Color Control)」,「Warm Tone」,「Flesh Tone」等を設定することができるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0112】
また、図7(B)の例では、代表的な10パターンの色度、色彩ヒストグラムパターンでの制御については、例えば以下に示す条件を用いる。
(1)Warm、Green、Coolの3つの代表的な色彩エリア(±30度)で判定する。
(2)Warmが支配的な時は、ホワイトバランス(White Balance)6500付近でフレッシュトーン(Flesh Tone)諧調補正を行う。
(3)Greenが支配的な時は、ホワイトバランス9300付近でグリーントーン(Green Tone)諧調補正を行う。
(4)Coolが支配的な時は、ホワイトバランス12000付近でブルートーン(Blue Tone)諧調補正を行う。
【0113】
上述した各種条件を画質制御パラメータとして複数のヒストグラムパターンのそれぞれに対応させて設定しておき、このパラメータを基本として入力される映像信号に対する画質制御を行う。具体的には、色彩ヒストグラムのパターンを10パターンのヒストグラムパターンを設定し、LUTを生成して画質制御することで、入力される映像信号に対して動的な色画質制御を高精度かつ高速で行うことができる。
【0114】
また、本実施形態では、LUTからすでに設定されている任意の制御パラメータを対応するパターンに併せて引き出すことで画質制御を行うことができる。
【0115】
但し、ここで注意する点は、ホワイトバランス6500時の白補正(きれいな白が得られない)、ホワイトバランス9300、12000時の赤色補正(きれいな赤が得られない)が重要なポイントとなることである。この場合の白補正には、ブルーストレッチ(Blue Stretch)補正、ホワイトストレッチ(White Stretch)補正が有効であり、赤色補正には、フレッシュトーン補正が有効となる。なお、以上の操作を予め設けられた蓄積手段13等に蓄積しておけば、即座に手順通り行うことで最適でかつ有効な高画質設定が行うことができる。
【0116】
つまり、本実施形態では、例えば、入力される映像信号に含まれる画像に対して、上述したLUTのうち、どのヒストグラムの波形に該当するかを分析し、上述した輝度ヒストグラムの12パターン及び色彩ヒストグラムの10パターンからそれぞれ1つのパターンを選択し、各パターンの組み合わせ毎に設定された画質制御内容を適用してその画質を調整する。なお、上述したLUTは一例であり、他のLUTを生成して対応することもできる。また、各LUTにおけるパターンの数は、上述した数に限定されるものではなく、目的とする画質精度や解像度、装置の処理性能等に応じて任意に設定することができる。
【0117】
更に、本実施形態では、複数のヒストグラムパターンを組み合わせて1つのLUTを生成し、その生成したLUTを利用して画質制御を行うことができる。以下にその内容について説明する。次に、図8は、複数のヒストグラムパターンから生成されたLUTの一例を示す図である。図8に示すLUT例は、縦軸に輝度ヒストグラムパターン(計12パターン)を示し、横軸に色度ヒストグラムパターン(計9パターン)を示している。
【0118】
図8に示すように、入力される映像情報から輝度情報と色度情報のそれぞれのヒストグラムを取得し、その内容を図7(A),(B)に示すヒストグラムパターンと照合し、得られたそれぞれのパターンを図8に示すLUTに当てはめることで、予め設定されるA〜Fの制御パラメータのうち、該当するヒストグラムパターンの制御パラメータを抽出し、その内容に基づいて画質制御を行うことができる。
【0119】
但し、ここで注意する点は、例えばホワイトバランス6500時の白補正(きれいな白が得られない)、ホワイトバランス9300、12000時の赤色補正(きれいな赤が得られない)が重要なポイントとなる。この場合、白補正には、ブルーストレッチ(Blue Stretch)補正、ホワイトストレッチ(White Stretch)補正が有効であり、赤色補正には、フレッシュトーン補正が有効である。このような処理も、図8に示すようなLUT方式によりそれぞれ制御パラメータを対応付けておくことにより、即座に制御が可能となる。
【0120】
つまり、図8に示す輝度ヒストグラムと色彩ヒストグラムのパターンを組み合わせてマトリックス化し、そのLUTを用いて画質制御を行うことにより、動的に統合化画質制御を行うことができる。なお、以上の操作を蓄積手段13等に蓄積しておけば、即座に手順通り行うことで最適でかつ有効な高画質設定が行うことができる。
【0121】
なお、上述した本実施形態におけるLUTの生成については、上述した4種類(輝度、色度、色彩、周波数)の各ヒストグラムパターンのうち複数を組み合わせたLUTを生成することで、より最適でかつ有効な高画質設定が実現できる。
【0122】
ここで、上述の組み合わせの例としては、例えば輝度が高い場合に色飽和度を強調させ、輝度が低い場合に色飽和度を押さえる。また、同様に輝度が高い場合にNoise Reductionを弱くかけ、輝度が低い場合にNoise Reductionを大きくかける。また、高い周波数成分が多い場合に色飽和度を基準より小さくし、低い周波数成分が多い場合に色飽和度を基準より大きくする。更に、RGBの色原色成分が多い場合に色飽和度を強調させ、CYMの色成分が多い場合に色飽和度を低下させる。
【0123】
なお、上述した本実施形態における組み合わせの例は上述した内容に限定されるものではなく、予め設定された他の組み合わせで画質制御を行うこともできる。
【0124】
<画面生成手段において生成される設定画面例>
次に、上述の画質制御を行うために画面生成手段において生成される設定画面例について説明する。
【0125】
図9は、本実施形態における設定画面の一例を示す図である。なお、図9(A)は、輝度ヒストグラムによる輝度補正LUTの動的制御の各種条件を設定する画面例を示し、図9(B)は、色度ヒストグラムによる色度補正LUTの動的制御の各種条件を設定する画面例を示し、図9(C)は、色彩ヒストグラムによる色彩補正LUTの動的制御の各種条件を設定する画面例を示している。
【0126】
なお、これらの画面は、上述した出力手段12等に表示され、ユーザ等により設定手段16を用いて各種条件が設定される。
【0127】
図9(A)に示す設定画面40−1において、オリジナルヒストグラム(「Original Histogram」)表示領域41には、入力された映像に含まれるもとの画像の輝度ヒストグラムがグラフ表示される。
【0128】
ここで、本実施形態では、設定手段16における動作仕様として、オリジナルヒストグラム表示領域41における輝度ヒストグラムの横軸(輝度)を5領域に分割し、左からそれぞれ“Dark”,”Low”,”Middle”,”High”,”Bright”と定義することができる。なお、上述の5領域は、本発明においては特に制限されるものではなく、例えば“Low”,”Middle”,”High”の3領域としてもよい。この場合、分割した各領域の位置(範囲)、閾値等を重ねて表示することができる(例えば、図9(A)に示す分割領域42−1(“Low”)〜42−3(”High”))。
【0129】
なお、輝度が閾値を超えている領域は、例えば赤色で表示する等、他の領域とは異なる強調表示を行うことで、閾値を超えている領域を視覚的に区別して明確にすることができる。上述した本表示のヒストグラムに基づいて輝度補正LUTの動的制御を行うことができる。
【0130】
また、分割領域の設定は、分割設定領域43において、ユーザが入力手段11等により条件の入力を行う。なお、分割設定領域43において、”Normal”とは、そのような分割領域がない(ON/OFF設定をチェックしていない)ことを示す。
【0131】
分割された各領域に対する領域幅及び閾値は、設定画面40−1に含まれる「Brightness Position」設定領域44と「Threshold(閾値)」設定領域45とを用いて設定する。また、「Brightness Position」設定領域44では、5領域の幅(実際には領域の左端)を設定する。なお、Darkの左端は、0(固定)となる。
【0132】
また、「Threshold(閾値)」設定領域45は、各分割された領域に対する閾値を設定する。ここで、閾値の単位は、画面内全画素数mに対する「%」である。例えば、閾値をthとした場合、その領域にm×th/100個以上の画素数があった場合は閾値を超えたと判断する。
【0133】
また、各領域と領域の組み合わせに対して、それぞれ輝度補正LUTを割り当てることができる。また、分割領域間においてLUTを切り替える条件は、その領域内の輝度が閾値を超えた場合或いは領域間を組み合わせる場合等である。
【0134】
また、上述した各分割領域において、優先度を設けておいてもよく、例えば、DarkとBrightの優先度は、その他のLow,Middle,Highより高くすることができる。つまり、Dark領域とBright領域とが閾値を超えていれば、Low,Middle,Highの領域での状態に関係なく、条件はDark、Bright或いはその組み合わせ(Dark+Bright)の何れかとなる。
【0135】
また、図9(A)におけるScale(スケール)の設定については、ヒストグラムのグラフの縦軸上端に相当する値を、スライダ46或いはエディットボックス47で任意に変更することができる。これにより、表示される時のヒストグラムの高さを変更することができる。また、図9(A)において、「Range of Scale」は、Scale用のスライダの可変範囲の最大値を編集することができる。
【0136】
更に、「Condition Counting Setting」領域48において、「Sampling Period」は、動的制御する周期(ヒストグラムを読み込み、条件をチェックする周期)をmsecで設定する。また、「Times of the Condition」は、指定された回数分、Thresholdを超えた条件が続けば輝度補正LUTを切り替える。
【0137】
なお、上述した設定画面40−1を用いて設定された内容は、「Save」ボタン49を選択(例えば、マウス等の入力手段11でボタンをクリック)することで、蓄積手段13等に保存しておくことができ、必要に応じて読み出すこともできる。
【0138】
また、図9(B),(C)についても上述したのと同様に設定することができる。なお、図9(B),(C)に示す設定画面40−2,40−3では、「Dynamic Color Enhancer」として、色度、色彩ヒストグラムによる輝度補正LUTの動的制御の各種条件を設定する。
【0139】
ここで、上述した領域の分割行う場合には、ヒストグラムの横軸(色彩0度から360度)は、例えばRed,Green,Blue,Cyan,Magenta,Yellow,Skinの位置を中心に7領域に分割することができる(Magenta,”Red”,”Skin”,”Yellow”,Green”,”Cyan”,”Blue”)。但し、輝度ヒストグラムとは異なり各領域間に隙間がある状態で定義することができる。なお、分割領域数は、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば図9(B),(C)の各設定画面40−2,40−3におけるオリジナルヒストグラム表示領域41に示すように5つの分割領域(Area1〜Area5)であってもよい。
【0140】
また、各領域の幅及び閾値は、オリジナルヒストグラム表示領域41上で幅や中心位置を調整することができる。なお、閾値レベルの単位は全画素に対する「%」である。また、各領域に対して色補正LUTと色基本設定とを定義し、閾値比較手段17による閾値比較処理において、設定した閾値レベルを超えた領域があれば、その領域に定義されたLUTにて画質制御を行う。
【0141】
なお、本実施形態では、閾値比較手段17において上述した設定条件に基づく閾値比較を行う場合、「Condition Counting Setting」領域48における「Sampling Period」で指定した周期で、入力された映像信号から生成されたヒストグラムを取得し、閾値条件をチェックする。また、「Times of the Condition」で指定した回数分、超えた条件が続けば設定を切り替える。つまり、ここを”1”に指定した場合は閾値を超えた場合、直ちに設定を切り替えることができる。
【0142】
なお、上述した設定画面40−1〜40−3において設定される内容としては、これに限定されるものではない。また、画像生成手段19は、また他の設定画面として、例えば周波数ヒストグラムを用いた画質制御を行うための各種条件を設定するための設定画面を生成して、出力手段12によりユーザ等に表示することができる。
【0143】
このように、画面生成手段19により設定用の画面を生成して表示することで、ユーザは設定条件を間違えることなく、目的とする正確な値を容易に設定することができる。
【0144】
<画質制御処理手順>
次に、本実施形態に一例として上述した画質制御処理手順の具体例について、フローチャートを用いて説明する。図10は、本実施形態における画質制御処理手順一例を示す概略フローチャートである。なお、図10の処理では、予め閾値等の各種情報は、設定されているものとする。
【0145】
図10において、本実施形態における画質制御処理では、まず上述したように本実施形態における画質改善用の参照テーブル(LUT)を生成する(S01)。なお、S01の処理も画質制御処理の前に事前に実行されていてもよい。その場合には、生成された各LUTは蓄積手段13等に蓄積され、画質制御処理が実行されるときに読み出される。
【0146】
次に、カメラ等の撮像手段により撮影され表示端末の画面に表示された映像信号を取得し(S02)、取得された映像信号に含まれる画像データに対して、上述した輝度情報、色度情報、色彩情報、周波数情報のうち、少なくとも1つのヒストグラムを生成する(S03)。
【0147】
次に、生成したヒストグラムと予め設定された閾値との比較を行い(S04)、その比較結果から、その画像が画質制御対象の画像か否かを判断する(S05)。ここで、入力された画像が画質制御対象の画像である場合(S05において、YES)、S03の処理により得られたヒストグラムを、S02で生成されている画質改善用のLUTに対応させて、そのヒストグラムパターンに対応された制御パラメータを用いて入力される画像に対して画質制御を行う(S06)。S06の処理が終了後、又はS05の処理により画質制御対象の画像でない場合(S05において、NO)、その映像を出力する(S07)。
【0148】
なお、図10に示す処理が、映像信号が入力されている間は、予め設定されたタイミング又は所定の間隔或いは随時行われる。
【0149】
したがって、上述した画質制御処理により、高品位で高画質な映像を実現することができる。また、上述した処理をコンピュータを用いて実行する場合には、その実行プログラム(画質制御プログラム)を、プログラムをインストールすることにより、コンピュータ等で本発明における画質制御を容易に実現することができる。
【0150】
上述したように、本発明によれば、映像信号を各種のヒストグラム検出を用いて映像情報に連動して動的に画質制御することで、最適で高品位な画質を安価で容易に実現できる。
【0151】
具体的には、例えば映像信号成分の画質を制御する場合に、輝度ヒストグラム情報、色度ヒストグラム情報、色彩ヒストグラム情報、周波数ヒストグラム情報の4種類のヒストグラム情報のうち少なくとも1つを検出し、そのヒストグラムから映像信号成分の独立した4種類のヒストグラム頻度情報分析や、例えば輝度と色情報との2つのヒストグラムパターン分析等によって、後段に配置しているコントラスト制御、黒レベル制御、シャープネス制御、色度HSV(Hew、Saturation、Vector)制御、ノイズ制御等の画質機能を制御し、高品位で安定した高画質な映像再現を実現することができる。
【0152】
また、本実施形態によれば、例えば映像関連機器全般に使用される安価で高品位でかつ定量的な画質評価、正確な分析、正確な調整を可能とした画質制御を行うことができる。
【0153】
なお、上述した画質制御機能は、代表的なものであり本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば近年話題となっているLCDバックライトのインパルス制御機能に輝度、コントラスト、色等の制御を行うこともできる。本発明によれば、最適な検出と最適な制御を可能ならしめ高品位で高画質な映像再現を実現し、高画質映像処理技術を提供することができる。
【0154】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0155】
10 画質制御装置
11 入力手段
12 出力手段
13 蓄積手段
14 ヒストグラム生成手段
15 参照テーブル生成手段
16 設定手段
17 閾値比較手段
18 画質制御手段
19 画面生成手段
20 送受信手段
21 制御手段
31 入力装置
32 出力装置
33 ドライブ装置
34 補助記憶装置
35 メモリ装置
36 CPU
37 ネットワーク接続装置
38 記録媒体
40 設定画面
41 オリジナルヒストグラム表示領域
42 分割領域
43 分割設定領域
44 「Brightness Position」設定領域
45 「Threshold(閾値)」設定領域
46 スライダ
47 エディットボックス
48 「Condition Counting Setting」領域
49 「Save」ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像信号に対する画質制御を行う画質制御装置において、
前記映像信号に含まれる画像から得られる輝度情報、色度情報、色彩情報、及び周波数情報のうち、少なくとも1つの要素におけるヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段と、
前記映像信号の画質制御の要否を判定するために、前記ヒストグラム生成手段により得られるヒストグラムと、前記ヒストグラム毎に予め設定された閾値とを比較する閾値比較手段と、
前記閾値比較手段により得られる比較結果により、前記映像信号の画質制御が必要な場合に、予め設定された複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルから、前記ヒストグラム生成手段により得られるヒストグラムに対応するヒストグラムパターンを抽出し、抽出されたヒストグラムパターンに対応する制御パラメータに基づいて前記映像信号の画質を制御する画質制御手段とを有することを特徴とする画質制御装置。
【請求項2】
前記輝度情報、前記色度情報、前記色彩情報、及び前記周波数情報のそれぞれに対応させて、前記複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルを生成する参照テーブル生成手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画質制御装置。
【請求項3】
前記参照テーブル生成手段は、
輝度ヒストグラムパターン及び色彩ヒストグラムパターンを用いてマトリクス化した参照テーブルを生成することを特徴とする請求項2に記載の画質制御装置。
【請求項4】
前記閾値をユーザに設定させるための表示画面を生成する画面生成手段を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画質制御装置。
【請求項5】
入力された映像信号に対する画質制御を行う画質制御方法において、
前記映像信号に含まれる画像から得られる輝度情報、色度情報、色彩情報、及び周波数情報のうち、少なくとも1つの要素におけるヒストグラムを生成するヒストグラム生成手順と、
前記映像信号の画質制御の要否を判定するために、前記ヒストグラム生成手順により得られるヒストグラムと、前記ヒストグラム毎に予め設定された閾値とを比較する閾値比較手順と、
前記閾値比較手順により得られる比較結果により、前記映像信号の画質制御が必要な場合に、予め設定された複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルから、前記ヒストグラム生成手順により得られるヒストグラムに対応するヒストグラムパターンを抽出し、抽出されたヒストグラムパターンに対応する制御パラメータに基づいて前記映像信号の画質を制御する画質制御手順とを有することを特徴とする画質制御方法。
【請求項6】
前記輝度情報、前記色度情報、前記色彩情報、及び前記周波数情報のそれぞれに対応させて、前記複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルを生成する参照テーブル生成手順を有することを特徴とする請求項5に記載の画質制御方法。
【請求項7】
前記参照テーブル生成手順は、
輝度ヒストグラムパターン及び色彩ヒストグラムパターンを用いてマトリクス化した参照テーブルを生成することを特徴とする請求項6に記載の画質制御方法。
【請求項8】
前記閾値をユーザに設定させるための表示画面を生成する画面生成手順を有することを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の画質制御方法。
【請求項9】
入力された映像信号に対する画質制御をコンピュータに実行させるための画質制御プログラムにおいて、
コンピュータを、
前記映像信号に含まれる画像から得られる輝度情報、色度情報、色彩情報、及び周波数情報のうち、少なくとも1つの要素におけるヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段、
前記映像信号の画質制御の要否を判定するために、前記ヒストグラム生成手段により得られるヒストグラムと、前記ヒストグラム毎に予め設定された閾値とを比較する閾値比較手段、及び、
前記閾値比較手段により得られる比較結果により、前記映像信号の画質制御が必要な場合に、予め設定された複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルから、前記ヒストグラム生成手段により得られるヒストグラムに対応するヒストグラムパターンを抽出し、抽出されたヒストグラムパターンに対応する制御パラメータに基づいて前記映像信号の画質を制御する画質制御手段として機能させるための画質制御プログラム。
【請求項10】
前記輝度情報、前記色度情報、前記色彩情報、及び前記周波数情報のそれぞれに対応させて、前記複数のヒストグラムパターンを有する参照テーブルを生成する参照テーブル生成手段を有することを特徴とする請求項9に記載の画質制御プログラム。
【請求項11】
前記参照テーブル生成手段は、
輝度ヒストグラムパターン及び色彩ヒストグラムパターンを用いてマトリクス化した参照テーブルを生成することを特徴とする請求項10に記載の画質制御プログラム。
【請求項12】
前記閾値をユーザに設定させるための表示画面を生成する画面生成手段を有することを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載の画質制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−151653(P2011−151653A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12053(P2010−12053)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【出願人】(508260108)有限会社ATRC (18)
【Fターム(参考)】