説明

留付金具及び外壁構造

【課題】上下及び左右に隣接する各外壁材の接合部を通じて、これら外壁材の裏面側に雨水が浸入することを確実に防止できる留付金具及び外壁構造を提供すること。
【解決手段】芋目地状に配置された複数の外壁材14と、これら外壁材14の角部に設けられ当該外壁材14を建物の下地材に留め付ける留付金具13とを備え、この留付金具13は、上下に隣接する上側外壁材14の下辺に形成された裏実部22を係止する上板係止爪34と、下側外壁材14の上辺に形成された表実部21を係止する下板係止爪35と、表実部21と裏実部22との間に介装されるとともに、上下及び左右に隣接する各外壁材14の接合部28、29に延在する止水部材40とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四方に合いじゃくり加工が施された外壁材を下地材に留め付ける留付金具、及び、この留付金具を用いた外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、四方に合いじゃくり加工が施された外壁材を建物の下地材に配置して形成される外壁構造が知られている。この種の外壁構造では、上下及び左右に隣接する一の外壁材の表実部と他の外壁材の裏実部との間にはメルト(シール材)が打設されており、このメルトを表実部及び裏実部にて狭持することにより、これら外壁材の隙間から雨水が浸入することを防止している。
しかし、上記メルトは、外壁材の幅方向及び高さ方向に亘って設けられるものであり、上下もしくは左右に隣接する外壁材の接合部には、このメルトの欠損部分が生じるため、この欠損部分から雨水が外壁材の裏面側に浸入するといった問題があった。
この問題を解決するために、従来、芋目地状に配置された左右に隣接する外壁材の接合部から浸入した雨水を、再び、外壁材の前方に排出するための通水路を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−81186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のものでは、外壁材の接合部を通じて、一度は外壁材の裏面側に雨水が浸入するため、この雨水が下地材を腐朽させるおそれがあるといった問題がある。さらに、上下に隣接する外壁材の接合部におけるメルトの欠損部分からの雨水の浸入に対しては何ら対策が採られていないため、この欠損部分から雨水が浸入した場合には、この雨水が下地材を腐朽させるおそれがあるといった問題がある。
そこで、本発明の目的は、上下及び左右に隣接する各外壁材の接合部を通じて、これら外壁材の裏面側に雨水が浸入することを確実に防止できる留付金具及び外壁構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、芋目地状に配置された外壁材の角部に設けられ、これら外壁材を建物の下地材に留め付ける留付金具であって、この留付金具は、上下に隣接する上側外壁材の下辺に形成された裏実部を係止する上板係止爪と、下側外壁材の上辺に形成された表実部を係止する下板係止爪と、前記表実部と前記裏実部との間に介装されるとともに、上下及び左右に隣接する各外壁材の接合部に延在する止水部材とを備えることを特徴とする。この構成によれば、止水部材が上下に隣接する外壁材の接合部と、左右に隣接する外壁材に接合部とを一体的に覆うことにより、この接合部を通じて雨水が外壁材の裏面側に浸入することを防止できる。
【0005】
また、本発明は、芋目地状に配置された複数の外壁材と、これら外壁材の角部に設けられ当該外壁材を建物の下地材に留め付ける留付金具とを備え、この留付金具は、上下に隣接する上側外壁材の下辺に形成された裏実部を係止する上板係止爪と、下側外壁材の上辺に形成された表実部を係止する下板係止爪と、前記表実部と前記裏実部との間に介装されるとともに、上下及び左右に隣接する各外壁材の接合部に延在する止水部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、止水部材が上下に隣接する外壁材の接合部と、左右に隣接する外壁材に接合部とを一体的に覆うことにより、この接合部を通じて雨水が外壁材の裏面側に浸入することを防止できる。従って、浸入した雨水によって下地材が腐朽することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる家屋等の建物の外壁構造を示す縦断面図である。
この図に示すように、外壁構造は建物の基礎10の上に配置された土台11の上に設けられており、この土台11に立設された柱もしくは間柱等の下地材12と、この下地材12に固定される留付金具13と、この留付金具13を介して、下地材12に取り付けられる複数枚の外壁材14とを備えて構成されている。本構成では、外壁材14は、留付金具13によって下地材12に保持されているため、この下地材12と外壁材14との間には、この留付金具13の厚みに相当する間隙の通気層15が形成されている。この通気層15は、建物の土台11部分に形成された通気口16及び軒天部分に形成された通気口(不図示)とを通じて屋外空間と連通しており、常時、外気による換気がなされている。
この構成によれば、通気層15内に外気が流されることにより、例えば夏期における日射によって下地材12、12間に配置される断熱材17が熱せられにくくなるため、冷房効率の向上を図ることができ、ひいては防暑効果を高めることができる。
【0008】
また、下地材12の室外側には防水シート18が配置されるとともに、上記通気口16の下方に水切部材19が配置されている。この水切部材19は、外壁材14の表面を流れ落ちる雨水や、通気層15を通じて排出された雨水または結露水を受けるものであり、留付金具13と重ねて土台11にねじ20で固定されている。この構成では、通気層15に雨水が浸入したり、この通気層15内で結露水が生じた場合であっても、防水シート18によって下地材12及び断熱材17が濡れることが防止されるため、断熱性能の低下や木材の腐朽を防ぐことができる。なお、本構成では、留付金具13は、ねじ20で土台11もしくは下地材12に固定されているが、例えば、釘で固定される構成としても良い。
【0009】
外壁材14は、図2に示すように、いわゆる芋目地状に横張り施工されており、留付金具13は、上下及び左右に隣接する4枚の外壁材14の角部にそれぞれ配置されている。この外壁材14は窯業系の外壁材であって、図3に示すように、四方に合いじゃくり加工が施されている。具体的には、外壁材14の上辺には表実部21が形成され、この外壁材14の下辺には、当該表実部21に嵌合する裏実部22が形成されている。また、外壁材14の一方の側辺(本構成では図3中右側辺)には、横表実部23が形成され、この外壁材14の他方の側辺には、当該横表実部23に嵌合する横裏実部24が形成されている。本構成では、表実部21の表面21A及び横表実部23の表面23Aにはメルト(コーキング部材)25が設けられている。このメルト25は、一の外壁材14に他の外壁材14を嵌め合わせた際に、この他の外壁材14の裏実部22の裏面22Aもしくは横裏実部24の裏面24Aによって押圧されることにより、これら外壁材14間の接合部28、29(図2)からの雨水の浸入を防止するものである。本構成では、メルト25は、表実部21の表面21A及び横表実部23の表面23Aに設けているが、外壁材2の裏実部22の裏面22A及び横裏実部24の裏面24Aに設ける構成としても良い。
【0010】
また、表実部21は、この表実部21の上端部分に係止部21Bを備える。この係止部21Bは、根元から上端に移行するにつれて板厚が薄くなるようにテーパ状に形成されており、後述する留付金具13の下板係止爪35(図4)と嵌合する。これにより、外壁材14の上辺(表実部21)が留付金具13に支持される。また、裏実部22は、この裏実部22の裏面22Aに対向する位置に係止部22Bを備え、この係止部22Bと裏面22Aとの間には切込溝22Cが形成されている。この係止部22Bは、根元から下端に移行するにつれて板厚が薄くなるようにテーパ状に形成されており、これら係止部22B及び切込溝22Cは、後述する留付金具13の上板係止爪34(図4)が嵌合することにより、外壁材14の下辺(裏実部22)が留付金具13に支持される。
【0011】
留付金具13は、例えばステンレス鋼板等の一枚の鋼板からの打ち抜きと折り曲げ加工により形成されている。この留付金具13は、図4に示すように、下地材12への固定部となる平板状の基板部31と、この基板部31の左右の両端をそれぞれ前方に折り曲げて形成した側板部32と、この側板部32の一部の先端を基板部31と略平行となるように折り曲げて形成した支持板部33とを備える。この支持板部33は、当該支持板部33の下端を前方に折り曲げ、更にその先端を斜め上方に折り曲げて形成した上板係止爪34と、当該先端を斜め下方に折り曲げて形成された下板係止爪35とを備える。この下板係止爪35は上板係止爪34の外側に設けられ、これら上板係止爪34及び下板係止爪35は、外壁材14の係止部21B、22Bの形状に合致するように形成されている。本構成では、支持板部33と上板係止爪34とで上側の外壁材14を狭持することにより、この外壁材14を安定的に保持している。
【0012】
また、支持板部33は、下板係止爪35の外側に当該支持板部33の下端から下方に延出する支持片36を備える。この支持片36は、下側の外壁材14の裏面側に延在し、下板係止爪35と協働して当該外壁材14の係止部21Bを狭持するものである。本構成では、支持片36には、前方に突出した凸部36Aが形成されており、この凸部36Aによって、上記係止部21Bをより強固に狭持することができる。
基板部31の下端には、前方に折り曲げられた底板部37と、この底板部37の先端を基板部31と略平行となるように折り曲げられた前板部38とが形成されており、この前板部38は、一側端(図中右側端)を前方に折り曲げて形成された片39を備える。この片39は、外壁材14、14間に配置され、この外壁材14の側面に当接して当該外壁材14の位置決めを行うものである。更に、この片39は、例えば、地震等が生じた場合に、下地材12とともに外壁材14を揺動させて、これら下地材12と外壁材14との位置ずれを防止するものである。
【0013】
また、留付金具13は、側板部32、32間に配置される止水部材40を備える。本構成では、止水部材40は着脱自在に構成されている。この構成によれば、止水部材を一体的に形成する留付金具13を作成する場合に比べて、作業工程が減少するとともに、作業手順が容易となり、ひいては製作コストの低減を図ることができる。この止水部材40は、図5に示すように、例えばステンレス鋼板等の一枚の鋼板を曲げ形成した止水部材本体41と、この止水部材本体41に貼付されたシール部材42とを備える。止水部材本体41は、上記した留付金具13の板材よりも薄肉の板材で形成されており、水平方向に延出する基部43と、この基部43の先端から斜め上方に折り曲げられた斜面部44と、この斜面部44の先端から下方に延出する前面部45とを備える。また、基部43の側端には、この側端の一部を下方に折り曲げて形成した係止片46が設けられている。この係止片46には、外方に突出した突起47が形成され、この突起47は留付金具13の側板部32に形成された係止孔48に嵌るようになっている。この構成では、係止片46に形成された突起47を、係止孔48に嵌めることにより、ねじ等の締結具を用いることなく、簡単な構成で止水部材40を留付金具13に取り付けることができる。さらに、留付金具13の側板部32に係止孔48を設けるだけで止水部材40を取り付けることができるため、既存の留付金具にも簡単にこの止水部材40を取り付けることができる。
【0014】
シール部材42は、止水部材本体41の斜面部44の上面と、前面部45の表面全域と、この前面部45の裏面の一部(前面部45の下端部分)に貼付されている。このシール部材42は、高い水密性を保持するものであるため独立気泡の合成樹脂発泡体を用いることが望ましい。本構成では、この合成樹脂発泡体として、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)が用いられている。
【0015】
表実部21の表面21Aに設けられたメルト25は、図6に示すように、左右に隣接する外壁材14の接合部28にて分断され、これら外壁材14、14間にはメルト25の欠損部分25Aが生じている。同様に、横表実部23の表面23Aに設けられたメルト25は、上下に隣接する外壁材14の接合部29にて分断され、これら外壁材14、14間にはメルト25の欠損部分25Bが生じている。
本構成では、止水部材40は、これらメルトの欠損部分25A、25Bを一体的に覆うように、上下及び左右の外壁材14の接合部28、29に延在して配置されている。また、この止水部材40は、図7に示すように、表実部21と裏実部22との間に介装されており、この止水部材40のシール部材42が裏実部22の裏面22A、切込溝22C及び係止部22Bの当接するようになっている。
また、止水部材本体41は薄肉の板材にて形成されているため、裏実部22の係止部22Bの形状に合わせて折り曲げることにより、表実部21と裏実部22との間に介装させることができる。この構成によれば、止水部材40を表実部21と裏実部22との間に介装させるために新たに外壁材の実部を設計する必要は無く、既存の外壁材を利用することができる。
【0016】
次に、止水部材40の作用を説明する。
左右に隣接する外壁材14、14の隙間から外壁材14の横表実部23の表面23Aに至った雨水は、上下方向に延びるメルト25に沿って形成される通水路50を伝わって下方に流れ落ちる。この場合であっても、上下に隣接する外壁材14の接合部29の前面に延在する止水部材40が配置されており、この止水部材40のシール部材42が裏実部22の係止部22Bに当接しているため、上記雨水はシール部材42の上面を伝わり、矢印Xで示すように、外壁材14の表面側に排出される。従って、雨水がメルト25の欠損部分25Bにある接合部29を通じて、外壁材14の裏面側に浸入することが防止される。
また、上下に隣接する外壁材14、14の隙間から外壁材14の表実部21の表面21Aに至った雨水は、左右方向に延びるメルト25に沿って、このメルト25の下方に形成された通水路51を流れる。この場合であっても、左右に隣接する外壁材14の接合部28の前面に延在する止水部材40が配置されており、この止水部材40のシール部材42がメルトの欠損部分25Aを覆うように表実部21の表面21Aに当接しているため、上記雨水はシール部材42の上面を伝わり、矢印Yで示すように、外壁材14の表面側に排出される。従って、雨水がメルト25の欠損部分25Aにある接合部28を通じて、外壁材14の裏面側に浸入することが防止される。このように、止水部材40を上下及び左右の外壁材の接合部28、29に配置することにより、上方から流れ落ちる雨水とともに、横走りする雨水を同時に止めることができる。
【0017】
以上説明したように、本実施形態によれば、芋目地状に配置された複数の外壁材14と、これら外壁材14の角部に設けられ当該外壁材14を建物の下地材12に留め付ける留付金具13とを備え、この留付金具13は、上下に隣接する上側外壁材14の下辺に形成された裏実部22を係止する上板係止爪34と、下側外壁材14の上辺に形成された表実部21を係止する下板係止爪35と、表実部21と裏実部22との間に介装されるとともに、上下及び左右に隣接する各外壁材14の接合部28、29に延在する止水部材40とを備えるため、外壁材14を下地材12に留め付けるとともに、止水部材40が接合部28、29を一体的に覆うことにより、この接合部28、29を通じて雨水が外壁材14の裏面側に浸入することが防止される。従って、簡単な構成で上記接合部28、29を通じて雨水の浸入を防止できるため、この雨水の浸入に伴う不具合の発生(例えば、木材の腐朽など)を防止することができる。
【0018】
また、本実施形態によれば、止水部材40は、留付金具13に着脱自在に構成されているため、止水機能を必要としない場合には、この止水部材40を取り外すことにより、無駄な部品をなくすことができ、部品の共通化及び製作コストの低減化を図ることができる。
【0019】
以上、本実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では、留付金具13は下地材12としての柱もしくは間柱に取り付けられる構成について説明したが、これに限るものだはなく、上記柱及び間柱に掛け渡される横銅縁に取り付けられる構成としても良い。
【0020】
また、本実施形態では、留付金具13の側板部32に係止孔48を形成し、この係止孔48に止水部材40の係止片46に形成された突起47を嵌め込むことにより、止水部材40を留付金具13に取り付ける構成としていたが、止水部材の取り付け方法はこれに限るものではない。次に、図8乃至図10を参照して留付金具の変形例を説明する。なお、上記留付金具13及び止水部材40と同一の構成を有するものは、同一の符号を付して説明を省略する。
図8は留付金具の第1変形例を示す。
この留付金具60は、側板部32に止水部材40の係止片46が挿入される受け部61が形成されている。この受け部61は、側板部32に水平方向に2本の切り込み62を設け、この切り込み62、62の間の中央部分63を側板部32の外側から押圧することによって形成している。なお、本構成では、係止片46に突起が形成されていない。この構成によれば、側板部32に形成された受け部61に、止水部材40の係止片46を挿入することによって、簡単に止水部材40を留付金具60に取り付けることができる。
図9は留付金具の第2変形例を示す。
この留付金具70は、基板部31の幅方向に受け部71が形成されている。この受け部71は、基板部31に水平方向に2本の切り込み72を設け、この切り込み72、72の間の中央部分73を基板部31の外側から押圧することによって形成している。また、止水部材74は、止水部材本体75の基部76が留付金具70の厚み相当の長さに設定され、この基部76の先端から下方に延出して、上記受け部71に係止する係止片77を備えて構成されている。この構成によっても、基板部31に形成された受け部71に、止水部材74の係止片77を挿入することによって、簡単に止水部材74を留付金具70に取り付けることができる。
図10は留付金具の第3変形例を示す。
この留付金具80は、側板部32に前方に開口し、水平方向に延びるスリット81備える。一方、止水部材82は、止水部材本体83の基部84に、この基部84の幅方向に延出する波上の凹凸部85が形成されている。この凹凸部85の高さは、スリット81の高さを略同一に設定されている。このため、凹凸部85とスリット81との挿し込み摩擦により、留付金具80に取り付けた止水部材82が簡単に外れないようになっている。この構成によっても、側板部32に形成されたスリット81に、止水部材82の基部84を挿入することによって、簡単に止水部材82を留付金具80に取り付けることができる。
【0021】
また、本実施形態では、芋目地状に配置された外壁材14の角部に留付金具13を配置し、この留付金具13の止水部材40が上下及び左右に隣接する外壁材14の接合部28、29を一体的に覆うことにより、これら接合部28、29を通じて雨水が外壁材14の裏面に浸入することを防止した構成について説明したが、この種の留付金具を、いわゆる馬乗り目地状に配置した外壁材の角部に配置することもできる。この留付金具は、上記した留付金具13と略同一の構成を有するため、説明を省略する。
この構成では、留付金具は、左右に隣接する外壁材の接合部の上端部及び下端部に配置されることになる。この場合、馬乗り目地状に配置された外壁材では、左右に隣接する外壁材の接合部が上下方向に連続しない。このため、上記接合部の下端部に配置される留付金具は、上記留付金具13と異なり、左右の外壁材間に介装される片39を備えない構成となる。なお、上記接合部の上端部に配置される留付金具は留付金具13と同一のものを配置しても良い。
【0022】
この構成によれば、以下の作用効果を奏する。
上下に隣接する外壁材の隙間から当該外壁材の表実部の表面に至った雨水は、左右方向に延びるメルトに沿って、このメルトの下方に形成された通水路を流れる。この場合であっても、左右に隣接する外壁材の接合部の上端部に配置される留付金具は、この接合部の前面に延在する止水部材を備え、この止水部材のシール部材が上記メルトの欠損部分を覆うように表実部の表面に当接するようになっている。このため、雨水はシール部材の上面を伝わり外壁材の表面側に排出される。従って、雨水が左右に延びるメルトの欠損部分を通じて、外壁材の裏面側に浸入することが防止される。
一方、左右に隣接する外壁材の隙間から当該外壁材の横表実部の表面に至った雨水は、上下方向に延びるメルトに沿って形成される通水路を伝わって下方に流れ落ちる。この場合であっても、左右に隣接する外壁材の接合部の下端部に配置される留付金具は、この接合部の前面に延在する止水部材を備え、この止水部材のシール部材が上記メルトの欠損部分を覆っている。このため、雨水はシール部材の上面を伝わり外壁材の表面側に排出される。従って、雨水が上下に延びるメルトの欠損部分を通じて、外壁材の裏面側に浸入することが防止される。
このように、左右に隣接する外壁材の接合部の上端部及び下端部に配置された留付金具のシール部材が、それぞれ上下もしくは左右に延びるメルトの欠損部分を覆うことにより、これら欠損部分を通じて雨水が外壁材の裏面側に浸入することが防止され、この雨水の浸入に伴う不具合の発生(例えば、木材の腐朽など)を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態にかかる建物の外壁構造を示す縦断面図である。
【図2】この外壁構造の正面図である。
【図3】外壁材の外観斜視図である。
【図4】留付金具の外観斜視図である。
【図5】止水部材を外した状態を示す留付金具の分解斜視図である。
【図6】外壁構造を示す斜視図である。
【図7】外壁構造の部分縦断面図である。
【図8】留付金具の変形例を示す外観斜視図である。
【図9】留付金具の変形例を示す外観斜視図である。
【図10】留付金具の変形例を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
12 下地材
13、60、70、80 留付金具
14 外壁材
21 表実部
21B 係止部
22 裏実部
22B 係止部
25 メルト
28、29 接合部
34 下板係止爪
35 上板係止爪
40、74、82 止水部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芋目地状に配置された外壁材の角部に設けられ、これら外壁材を建物の下地材に留め付ける留付金具であって、この留付金具は、上下に隣接する上側外壁材の下辺に形成された裏実部を係止する上板係止爪と、下側外壁材の上辺に形成された表実部を係止する下板係止爪と、前記表実部と前記裏実部との間に介装されるとともに、上下及び左右に隣接する各外壁材の接合部に延在する止水部材とを備えることを特徴とする留付金具。
【請求項2】
芋目地状に配置された複数の外壁材と、これら外壁材の角部に設けられ当該外壁材を建物の下地材に留め付ける留付金具とを備え、この留付金具は、上下に隣接する上側外壁材の下辺に形成された裏実部を係止する上板係止爪と、下側外壁材の上辺に形成された表実部を係止する下板係止爪と、前記表実部と前記裏実部との間に介装されるとともに、上下及び左右に隣接する各外壁材の接合部に延在する止水部材とを備えることを特徴とする外壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−321510(P2007−321510A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155278(P2006−155278)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(305003542)旭トステム外装株式会社 (38)
【Fターム(参考)】