説明

異なるユーザの端末をペアリングするプレゼンス管理方法及びシステム

【課題】メンバ管理サーバを別途備える必要無しに、複数の端末について複合されたプレゼンス情報を提供することができるプレゼンス管理方法及びシステムを提供する。
【解決手段】プレゼンスサーバは、2つの端末識別子をペアリングして管理するペアリング管理リストを有する。第1の端末と第2の端末との間で、端末識別子を交換する。次に、第1の端末及び第2の端末はそれぞれ、自側端末識別子及び相手側端末識別子を含むペアリング要求メッセージを、プレゼンスサーバへ送信する。これに対し、プレゼンスサーバが、2つの端末識別子を1つのエントリとして、ペアリング管理リストに登録する。そして、プレゼンスサーバが、第1の端末又は第2の端末に関する購読メッセージを受信した際に、ペアリング管理リストにエントリされた第1の端末及び第2の端末における報告メッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレゼンス情報を管理するプレゼンス管理方法及びシステムに関する。特に、SIMPLE(SIP for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions)を用いたプレゼンスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プレゼンスシステムとは、ユーザ(端末)の状態([オンライン][オフライン][ビジー][不在]等)を、他のユーザ(端末)へ向けて通知するシステムをいう。このようなシステムは、例えばテレビ電話会議システムに用いられる。プレゼンスシステムは、現在では、ユーザの状態だけでなく、端末の処理能力又は位置情報などの情報も、プレゼンス情報として扱うことができる。プレゼンス情報を送受信するプロトコルとして、SIMPLEが標準仕様となっている。SIMPLEは、インスタントメッセージ及びプレゼンスサービスを実現するために、SIPを拡張した技術である。
【0003】
図1は、従来技術におけるプレゼンスシステムのシーケンス図である。
【0004】
図1によれば、プレゼンスサーバ1は、複数のユーザ端末2によって接続される。ここでは、端末A1及び端末A2は、ユーザAによって所有されており、端末B1は、ユーザBによって所有されている。
【0005】
(S101)端末A1は、ユーザの状態によってプレゼンス情報を生成する。端末A1は、プレゼンスサーバ1へ、そのプレゼンス情報を登録するためのPUBLISHメッセージを送信する。
PUBLISHメッセージ(登録、ユーザ識別子[userA]、端末識別子[devA1])
PUBLISHメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、そのプレゼンス情報を登録する。
ユーザ識別子[userA]<->端末識別子[devA1]
【0006】
(S102)端末A2も、S101の端末A1と同様に、プレゼンスサーバ1へ、プレゼンス情報を登録するためのPUBLISHメッセージを送信する。
PUBLISH(登録、ユーザ識別子[userA]、端末識別子[devA2])
ここで、プレゼンスサーバ1は、既に登録しているプレゼンス情報の中で、同一ユーザ識別子のプレゼンス情報を検索する。そして、同一ユーザ識別子のプレゼンス情報を検索した場合、それら2つのプレゼンス情報を、同一ユーザ識別子に対応させて、複合する。
ユーザ識別子[userA]<->端末識別子[devA1]
<->端末識別子[devA2]
【0007】
(S103)端末A2を操作するユーザAは、自らが所有している他の端末である端末A1のプレゼンス情報を、端末A2によって購読したいとする。このとき、端末A2は、プレゼンスサーバ1へ、端末A1のプレゼンス情報の購読を要求するSUBSCRIBEメッセージを送信する。
SUBSCRIBE(ユーザ識別子[userA])
【0008】
(S104)SUBSCRIBEメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、そのプレゼンス情報を報告するNOTIFYメッセージを、端末A2へ返信する。NOTIFYメッセージは、端末A1のプレゼンス情報と、端末A2のプレゼンス情報とを含む。
NOTIFY(報告、端末識別子[devA1]、端末識別子[devA2])
【0009】
S101〜S104のシーケンスにより、端末A2は、端末A1及び端末A2の複合されたプレゼンスを購読することができる。例えば、ユーザAは、端末A2に対する操作中に、その操作を端末A1に引き継ぐこともできる。プレゼンスサーバ1が、端末識別子をユーザ識別子に対応付けて登録することにより、ユーザは、自ら所有する複数の端末を操作することができる。
【0010】
一方、ユーザ識別子が異なる場合、プレゼンスサーバ1は、端末識別子をユーザ識別子に対応付けて登録することができない。例えば、他のユーザによって所有される端末や、特定のユーザに所有させない公共端末は、ユーザ識別子が異なる。即ち、異なるユーザにおける複数の端末のプレゼンス情報は、プレゼンスサーバによって複合することができない。従って、一方のユーザの端末におけるプレゼンス情報は、他方のユーザの端末から購読することができない。
【0011】
これに対して、複数の端末を1つのグループに構成し、そのグループメンバのプレゼンス情報を一括管理する技術がある(例えば非特許文献1参照)。この技術のプレゼンスシステムは、プレゼンスサーバ1及びユーザ端末2以外に、グループメンバを管理するメンバ管理サーバ3を更に有する。
【0012】
(S111)ユーザBに所有される端末B1は、プレゼンスサーバ1へ、そのプレゼンス情報を登録するためのPUBLISHメッセージを送信する。
PUBLISHメッセージ(ユーザ識別子[userB]、端末識別子[devB1])
PUBLISHメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、そのプレゼンス情報を登録する。
ユーザ識別子[userB]<->端末識別子[devB1]
【0013】
(S112)端末A1は、メンバ管理サーバ3へ、端末A1、端末A2及び端末B1をメンバとするメンバ作成メッセージを送信する。
メンバ作成メッセージ([devA1],[devA2],[devB1])
【0014】
(S113)メンバ作成メッセージを受信したメンバ管理サーバ3は、グループ識別子[grp1]を含むメンバリストメッセージを、端末A1へ返信する。
メンバリストメッセージ(グループ識別子[grp1])
【0015】
(S114)端末A1を操作するユーザAは、そのグループ[grp1]におけるプレゼンス情報を購読したいとする。このとき、端末A1は、メンバ管理サーバ3へ、グループ識別子[grp1]を含む、メンバプレゼンス情報の購読を要求するSUBSCRIBEメッセージを送信する。
SUBSCRIBEメッセージ(グループ識別子[grp1])
このSUBSCRIBEメッセージは、メンバ管理サーバ3によって受信される。
【0016】
(S115)メンバ管理サーバ3は、プレゼンスサーバ1へ、ユーザAのプレゼンス情報の購読を要求するSUBSCRIBEメッセージを送信する。
SUBSCRIBE(ユーザ識別子[userA])
SUBSCRIBEメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、そのプレゼンス情報を報告するNOTIFYメッセージを、メンバ管理サーバ3へ返信する。
NOTIFY(端末識別子[devA1]、端末識別子[devA2])
【0017】
次に、メンバ管理サーバ3は、プレゼンスサーバ1へ、ユーザBのプレゼンス情報の購読を要求するSUBSCRIBEメッセージを送信する。
SUBSCRIBE(ユーザ識別子[userB])
SUBSCRIBEメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、そのプレゼンス情報を報告するNOTIFYメッセージを、メンバ管理サーバ3へ返信する。
NOTIFY(端末識別子[devB1])
これにより、メンバ管理サーバ3は、プレゼンスサーバ1から、グループのメンバとなる端末A1、端末A2及び端末B1のプレゼンス情報を受信する。
【0018】
(S116)メンバ管理サーバ3は、端末A1、端末A2及び端末B1のプレゼンス情報を、メンバプレゼンス情報として複合する。そして、メンバ管理サーバ3は、そのメンバプレゼンス情報を報告するNOTIFYメッセージを、端末A1へ返信する。
NOTIFY(端末識別子[devA1]、[devA2]、[devB1])
【0019】
S111〜S116のシーケンスにより、端末A1は、端末A1、端末A2及び端末Bの複合されたメンバプレゼンス情報を購読することができる。例えば、ユーザAは、端末A1に対する操作中に、その操作を端末B1に引き継ぐこともできる。また、端末A2及び端末B1も、同様に、メンバ管理サーバ3へ、メンバプレゼンス情報の購読を要求するSUBSCRIBEメッセージを送信し、メンバプレゼンス情報を取得することができる。尚、グループのメンバの追加、削除及び変更は、メンバリストを変更したメンバ作成メッセージをメンバ管理サーバ3へ送信することによってできる。
【0020】
尚、本願と同一出願人によれば、プレゼンスサーバの負荷を軽減するために、端末とプレゼンスサーバとの間に負荷分散サーバを備えたシステムがある(例えば特許文献1参照)。また、複数の端末をペアリングすることによって、携帯用コンテンツをテレビに転送することができる技術もある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2009−015485号公報
【特許文献2】特開2009−094799号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】「Internet-Draft Membership Event Packagedraft-singh-simple-membership-01.txt、2008年5月14日、[online]、[平成21年6月30日検索]、インターネット<URL:http://tools.ietf.org/id/draft-singh-simple-membership-01.txt>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
非特許文献1に記載された技術によれば、メンバ管理サーバが、異なるユーザによって所有される複数の端末のプレゼンス情報を複合することによって、メンバプレゼンス情報を生成し、グループメンバ内における端末の共有を実現している。
【0024】
しかしながら、メンバ管理サーバが、システム内に別途備えられる必要がある。また、各端末は、常にグループ管理サーバへアクセスし、グループ識別子を取得し、そのグループ識別子を別途管理する必要がある。更に、メンバ管理サーバが、第三者によって運営管理されている場合、グループメンバに、不正な端末が追加される場合もある。秘匿性を要するグループメンバについて、追加、削除及び変更が、メンバ管理サーバの運営者によって監視されることも問題がある。
【0025】
そこで、本発明は、メンバ管理サーバを別途備える必要無しに、複数の端末について複合されたプレゼンス情報を提供することができるプレゼンス管理方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明によれば、プレゼンス情報を管理するプレゼンスサーバと、該プレゼンス情報を登録又は購読する複数の端末とを有するシステムにおけるプレゼンス管理方法において、
端末は各々、端末識別子を有し、
プレゼンスサーバは、2つの端末識別子をペアリングして管理するペアリング管理リストを有し、
第1の端末が、第1の端末識別子を、第2の端末へ送信すると共に、第2の端末が、第2の端末識別子を、第1の端末へ送信することによって、識別子を交換する第1のステップと、
第1の端末が、第1の端末識別子及び第2の端末識別子を含む第1のペアリング要求メッセージを、プレゼンスサーバへ送信すると共に、第2の端末が、第2の端末識別子及び第1の端末識別子を含む第2のペアリング要求メッセージを、プレゼンスサーバへ送信する第2のステップと、
プレゼンスサーバが、第1の端末識別子及び第2の端末識別子を1つのエントリとして、ペアリング管理リストに登録する第3のステップと、
プレゼンスサーバが、第1の端末又は第2の端末に関する購読メッセージを受信した際に、ペアリング管理リストにエントリされた第1の端末及び第2の端末における報告メッセージを送信する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【0027】
本発明のプレゼンス管理方法における他の実施形態によれば、端末は各々、当該端末を所有するユーザのユーザ識別子を更に有し、端末識別子は、ユーザ識別子を対として取り扱われることも好ましい。
【0028】
本発明のプレゼンス管理方法における他の実施形態によれば、
第1の端末はユーザ所有の端末であり、第2の端末は公衆共用の端末であり、
第1のステップについて、第1の端末と第2の端末との間は、短距離無線通信リンクによって接続され、
短距離無線リンクは、非接触型電磁誘導通信、ブルートゥース又は赤外線である
ことも好ましい。
【0029】
本発明のプレゼンス管理方法における他の実施形態によれば、
プレゼンスサーバは、ペアリング要求メッセージに含まれる複数の識別子をエントリとして一時的に蓄積するペアリング要求保持リストを更に有し、
第2のステップについて、
プレゼンスサーバが、端末からペアリング要求メッセージを受信した際に、当該メッセージに含まれる識別子を、ペアリング要求保持リストへ登録するステップと、
プレゼンスサーバが、ペアリング要求保持リストに、自側識別子と相手側識別子とが相対するエントリが「登録」されている場合、ペアリング管理リストへ、第1の端末及び第2の端末のペアリングのエントリを登録すると共に、当該ペアリング要求保持リストから当該エントリを削除し、「登録」されていない場合、ペアリング要求メッセージに含まれる識別子を、ペアリング要求保持リストのエントリに新たに登録するステップと
を更に有することも好ましい。
【0030】
本発明のプレゼンス管理方法における他の実施形態によれば、
ペアリング要求メッセージは、プレゼンスサーバのペアリング管理リストへのペアリング登録期間を更に含み、
ペアリング管理リストは、第1のペアリング要求メッセージに含まれるペアリング登録期間と、第2のペアリング要求メッセージに含まれるペアリング登録期間とを比較して短い方の期間が経過したエントリを削除し、
ペアリング要求保持リストは、削除されたエントリにおけるペアリング登録期間が長い方のエントリのみを新たに登録することも好ましい。
【0031】
本発明のプレゼンス管理方法における他の実施形態によれば、
端末は、プレゼンスサーバのペアリング管理リストへの新たなペアリング登録期間を含むペアリング登録期間変更メッセージを、プレゼンスサーバへ送信し、
プレゼンスサーバは、ペアリング登録期間変更メッセージを受信した際に、プレゼンスサーバのペアリング管理リストへのペアリング登録期間を変更することも好ましい。
【0032】
本発明のプレゼンス管理方法における他の実施形態によれば、
ペアリング要求メッセージは、プレゼンスサーバのペアリング要求保持リストへのエントリ保持期間を更に含み、
ペアリング要求保持リストは、エントリ保持期間が経過したエントリを削除することも好ましい。
【0033】
本発明のプレゼンス管理方法における他の実施形態によれば、
SIP(Session Initiation Protocol)/SIMPLE(SIP for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions)を用いたプレゼンスシステムに搭載されており、
ペアリング要求メッセージは、PUBLISHメッセージであり、
購読メッセージは、SUBSCRIBEメッセージであり、
報告メッセージは、NOTIFYメッセージであることも好ましい。
【0034】
本発明によれば、プレゼンス情報を管理するプレゼンスサーバと、該プレゼンス情報を登録又は購読する複数の端末とを有するプレゼンス管理システムにおいて、
端末は、
自ら保持する自側端末識別子を、他の端末へ送信すると共に、該他の端末から相手側端末識別子を受信することによって、識別子を交換する第1の通信手段と、
自側端末識別子及び相手側端末識別子を含むペアリング要求メッセージを、プレゼンスサーバへ送信する第2の通信手段と
を有し、
プレゼンスサーバは、
端末から、ペアリング要求メッセージを受信する通信手段と、
2つの端末識別子をペアリングした1つのエントリとして登録するペアリング管理リストと、
当該端末に関する購読メッセージを受信した際に、ペアリング管理リストにエントリされた複数の端末における報告メッセージを送信するプレゼンス提供手段と
を有することを特徴とする。
【0035】
本発明のプレゼンス管理システムにおける他の実施形態によれば、端末は各々、当該端末を所有するユーザのユーザ識別子を更に有し、端末識別子は、ユーザ識別子を対として取り扱われることも好ましい。
【0036】
本発明のプレゼンス管理システムにおける他の実施形態によれば、端末間は、短距離無線通信リンクによって接続され、短距離無線リンクは、非接触型電磁誘導通信、ブルートゥース又は赤外線であることも好ましい。
【0037】
本発明のプレゼンス管理システムにおける他の実施形態によれば、
プレゼンスサーバは、
端末からペアリング要求メッセージを受信した際に、当該メッセージに含まれる複数の識別子をエントリとして一時的に蓄積するペアリング要求保持リストと、
ペアリング要求保持リストに、自側識別子と相手側識別子とが相対するエントリが「登録」されている場合、ペアリング管理リストへ、第1の端末及び第2の端末のペアリングのエントリを登録すると共に、当該ペアリング要求保持リストから当該エントリを削除し、「登録」されていない場合、ペアリング要求メッセージに含まれる識別子を、ペアリング要求保持リストのエントリに新たに登録するリスト制御手段と
を更に有することも好ましい。
【0038】
本発明のプレゼンス管理システムにおける他の実施形態によれば、
ペアリング要求メッセージは、プレゼンスサーバのペアリング管理リストへのペアリング登録期間を更に含み、
プレゼンスサーバのリスト制御手段は、
ペアリング管理リストに対して、第1のペアリング要求メッセージに含まれるペアリング登録期間と、第2のペアリング要求メッセージに含まれるペアリング登録期間とを比較して短い方の期間が経過したエントリを削除し、
ペアリング要求保持リストに対して、削除されたエントリにおけるペアリング登録期間が長い方のエントリのみを新たに登録することも好ましい。
【0039】
本発明のプレゼンス管理システムにおける他の実施形態によれば、
端末は、プレゼンスサーバのペアリング管理リストへの新たなペアリング登録期間を含むペアリング登録期間変更メッセージを、プレゼンスサーバへ送信し、
プレゼンスサーバのリスト制御手段は、ペアリング登録期間変更メッセージを受信した際に、プレゼンスサーバのペアリング管理リストへのペアリング登録期間を変更する
ことも好ましい。
【0040】
本発明のプレゼンス管理システムにおける他の実施形態によれば、
ペアリング要求メッセージは、プレゼンスサーバのペアリング要求保持リストへのエントリ保持期間を更に含み、
プレゼンスサーバのリスト制御手段は、エントリ保持期間が経過したエントリを削除することも好ましい。
【0041】
本発明のプレゼンス管理システムにおける他の実施形態によれば、
SIP/SIMPLEを用いたプレゼンスシステムに搭載されており、
ペアリング要求メッセージは、PUBLISHメッセージであり、
購読メッセージは、SUBSCRIBEメッセージであり、
報告メッセージは、NOTIFYメッセージであることも好ましい。
【発明の効果】
【0042】
本発明のプレゼンス管理方法及びシステムによれば、端末間で端末識別子を交換し、両端末が、互いの端末識別子を含むペアリング要求メッセージをプレゼンスサーバへ送信することによって、メンバ管理サーバを別途備える必要無しに、複数の端末について複合されたプレゼンス情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】従来技術におけるプレゼンスシステムのシーケンス図である。
【図2】本発明におけるプレゼンスシステムのシーケンス図である。
【図3】本発明におけるプレゼンスサーバの機能構成図である。
【図4】本発明におけるユーザ端末の機能構成図である。
【図5】本発明におけるプレゼンスサーバのペアリングの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0045】
図2は、本発明におけるプレゼンスシステムのシーケンス図である。
【0046】
図2によれば、プレゼンスサーバ1は、複数のユーザ端末2から接続される。プレゼンスサーバ1は、SIP/SIMPLEを用いたシステムに搭載されていることが好ましい。
【0047】
端末A1及び端末A2は、図1と同様に、ユーザAによって所有されており、端末B1は、ユーザBによって所有されている。各端末は、端末識別子と、その端末を所有するユーザのユーザ識別子とを保持する。尚、ユーザ端末2は、携帯電話、携帯端末、PDA(Personal Digital Assistant)又はパーソナルコンピュータであってもよい。
【0048】
本発明のシステムは、ユーザ毎に及び端末毎に管理されているプレゼンス情報を、アドホック的にペアリングすることを特徴とする。具体的には、一方のユーザが所有する端末が、他方のユーザによって所有される端末や、特定のユーザに所有させない公共端末を、一定期間だけ連携させて使用することができる。
【0049】
また、本発明のプレゼンスサーバ1は、2つのリストを保持する。
ペアリング要求保持リスト:端末から受信したペアリング要求を1つのエントリと
して、一時的に保持するリスト
ペアリング管理リスト :2つの端末識別子がペアリングされたものを1つのエ
ントリとして、保持するリスト
【0050】
(S201)端末A1は、ユーザAの状態によってプレゼンス情報を生成する。端末A1は、プレゼンスサーバ1へ、そのプレゼンス情報を登録するためのPUBLISHメッセージを送信する。
PUBLISHメッセージ(ユーザ識別子[userA]、端末識別子[devA1])
PUBLISHメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、そのプレゼンス情報を登録する。
ユーザ識別子[userA]<->端末識別子[devA1]
【0051】
(S202)端末A2も、S201と同様に、プレゼンスサーバ1へ、そのプレゼンス情報を登録するためのPUBLISHメッセージを送信する。
PUBLISHメッセージ(ユーザ識別子[userA]、端末識別子[devA2])
PUBLISHメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、そのプレゼンス情報を登録する。
ユーザ識別子[userA]<->端末識別子[devA1]
<->端末識別子[devA2]
【0052】
(S203)端末B1も、S201と同様に、プレゼンスサーバ1へ、そのプレゼンス情報を登録するためのPUBLISHメッセージを送信する。
PUBLISHメッセージ(ユーザ識別子[userB]、端末識別子[devB2])
PUBLISHメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、そのプレゼンス情報を登録する。
ユーザ識別子[userA]<->端末識別子[devA1]
<->端末識別子[devA2]
ユーザ識別子[userB]<->端末識別子[devB1]
【0053】
(S204)ここで、端末A2を所持したユーザAが、端末B1へ接近することを想定する。端末A2は、例えば携帯電話機であって、端末B1は、例えばインターネットカフェに設置されたような公共端末であるとする。また、端末A2及び端末B1は、短距離無線リンクで通信可能な無線インタフェースを備える。
【0054】
ユーザAは、端末A2の無線インタフェースを、端末B1の無線インタフェースに近接される。このとき、互いの無線インタフェースは、相手方の無線インタフェースから出力される電波を検出し、短距離無線リンクを確立する。短距離無線リンクは、例えば、非接触型電磁誘導通信、ブルートゥース又は赤外線であってもよい。
【0055】
端末A2及び端末B1は、確立された短距離無線リンクを介して、瞬間的に、端末識別子を交換する。端末A2が、その端末識別子[devA1]及びユーザ識別子[userA]を、端末A2へ送信すると共に、端末B1が、その端末識別子[devB1]及びユーザ識別子[userB]を、端末A1へ送信する。尚、端末A2と端末Bとの間は、短距離無線リンクを介して接続される場合に限られず、他の無線/有線リンクを介して接続される場合であってもよい。
【0056】
(S205)端末A2は、端末B1から端末識別子[devB1]及びユーザ識別子[userB]を受信した際に、プレゼンスサーバ1へ、第1のペアリング要求であるPUBLISHメッセージを送信する。
【0057】
ペアリング要求のPUBLISHメッセージは、以下の情報を含む。
(1)ペアリング識別子 :ペアリングを一意に識別するための識別子
例えば交換した2つの端末識別子を単に連結した識別子
(2)第1の識別子 :自側のユーザ識別子及び端末識別子
(3)第2の識別子 :相手側のユーザ識別子及び端末識別子
(4)ペアリング要求保持期間:ペアリング要求保持リストへのエントリ保持期間
(5)ペアリング登録期間 :ペアリング管理リストへのペアリング登録期間
【0058】
端末A2からプレゼンスサーバ1へ送信されるPUBLISHメッセージは、以下の情報を含む。
PUBLISHメッセージ(自側ユーザ識別子[userA]、自側端末識別子[devA2]、
相手側ユーザ識別子[userB]、相手側端末識別子[devB1])
【0059】
(S206)端末B1も、S205と同様に、端末A2から端末識別子[devA2]及びユーザ識別子[userA]を受信した際に、プレゼンスサーバ1へ、第2のペアリング要求であるPUBLISHメッセージを送信する。
PUBLISHメッセージ(自側ユーザ識別子[userB]、自側端末識別子[devB1]、
相手側ユーザ識別子[userA]、相手側端末識別子[devA2])
【0060】
(S207)プレゼンスサーバ1は、第1のペアリング要求(PUBLISH)メッセージと、第2のペアリング要求(PUBLISH)メッセージとを受信する。自側端末識別子及び相手側端末識別子が相対するペアリング要求メッセージを受信した場合にのみ、ペアリングを実行する。これにより、接近していない異なるユーザ端末同士が、ペアリングされることはない。即ち、遠隔に位置する不正利用の端末が、ペアリングに参加することができない。
【0061】
図2によれば、第1のペアリング要求(PUBLISH)メッセージと、第2のペアリング要求(PUBLISH)メッセージとは、自側端末識別子及び相手側端末識別子が相対する。従って、プレゼンスサーバ1は、両ユーザ端末のプレゼンス情報をペアリングする。具体的には、第1の端末識別子[devA2/userA]と、第2の端末識別子[devB1/userB]とをペアリングする。このペアリングは、ペアリング管理リストの1つのエントリに登録される。
【0062】
(S208)端末A1を操作するユーザAは、自らが操作可能な端末のプレゼンス情報を購読したいとする。このとき、端末A1は、プレゼンスサーバ1へ、購読要求であるSUBSCRIBEメッセージを送信する。
SUBSCRIBE([userA])
【0063】
(S209)プレゼンスサーバ1は、ペアリング管理リストから、SUBSCRIBEメッセージに含まれるユーザ識別子[userA]に関係するエントリを検索する。ペアリング管理リストに登録された複数の端末のプレゼンス情報を、プレゼンスデータベースから取得する。図2によれば、端末A1、端末A2及び端末B1のプレゼンス情報が取得される。プレゼンスサーバ1は、これらプレゼンス情報含むNOTIFYメッセージを、端末A1へ返信する。
【0064】
図3は、本発明におけるプレゼンスサーバの機能構成図である。
【0065】
図3によれば、プレゼンスサーバ1は、通信インタフェース102と、プレゼンス提供部110と、プレゼンスデータベース111と、ペアリング管理リスト122と、ペアリング要求保持リスト121と、ペアリング要求受信部123と、リスト制御部124と、とを有する。通信インタフェース102を除くこれら機能部は、プレゼンスサーバ1に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0066】
通信インタフェース102は、ネットワーク(例えばインターネット)を介して、複数の端末2から接続される。プレゼンス制御メッセージは、通信インタフェース102を介して、端末2との間で送受信される。
【0067】
プレゼンスデータベース111は、ユーザ識別子及び端末識別子毎に対応付けて、プレゼンス情報を蓄積する。
【0068】
プレゼンス提供部110は、プレゼンスデータベース111を用いて既存のプレゼンスサービスを提供し、端末2との間で通信インタフェース102を介して、プレゼンス制御メッセージを送受信する。具体的な制御メッセージとしては、登録(PUBLISH)メッセージ、購読(SUBSCRIBE)メッセージ及び報告(NOTIFY)メッセージである。
【0069】
プレゼンス提供部110は、端末2から、ユーザ識別子を含むSUBSCRIBEメッセージを受信した際に、プレゼンスデータベース111から、ペアリング管理リスト122にエントリされた複数の端末におけるプレゼンス情報を取得する。これらプレゼンス情報を含むNOTIFYメッセージを、通信インタフェース102を介して端末2へ返信する。
【0070】
ペアリング要求保持リスト121は、端末からペアリング要求メッセージを受信した際に、当該メッセージに含まれる複数の識別子をエントリとして一時的に蓄積する。各エントリは、以下の情報要素から構成される。
・ペアリング識別子(2つの端末識別子の連結)
・自側識別子(端末識別子/ユーザ識別子)
・相手側識別子(端末識別子/ユーザ識別子)
・ペアリング登録期間(ペアリング管理リストに登録する期間)
・ペアリング要求保持期間(ペアリング要求保持リストに登録する期間)
【0071】
ペアリング管理リスト122は、2つの端末識別子をペアリングした1つのエントリとして登録する。各エントリは、以下の情報要素から構成される。
・ペアリング識別子(2つの端末識別子の連結)
・自側識別子(端末識別子/ユーザ識別子)
・自側識別子におけるペアリング登録期間
・相手側識別子(端末識別子/ユーザ識別子)
・相手側識別子におけるペアリング登録期間
・ペアリング最小登録期間(2つのペアリング登録期間のうち小さい方の期間)
【0072】
ペアリング要求受信部123は、通信インタフェース部102を介して、端末から、ペアリング要求(PUBLISH)メッセージを受信する。ペアリング要求メッセージに含まれる、自側ユーザ識別子及び自側端末識別子と、相手側ユーザ識別子及び相手側端末識別子との情報は、リスト制御部124へ出力される。
【0073】
リスト制御部124は、ペアリング要求保持リスト123に、自側識別子と相手側識別子とが相対するエントリが「登録」されている場合、ペアリング管理リスト122へ、第1の端末及び第2の端末のペアリングのエントリを登録すると共に、当該ペアリング要求保持リスト121から当該エントリを削除する。「登録」されていない場合、ペアリング要求メッセージに含まれる識別子を、ペアリング要求保持リスト121のエントリに新たに登録する。
【0074】
ここで、各リストの検索には、エントリ毎に付与されたペアリング識別子を用いるものであってもよい。ペアリング識別子は、自側端末識別子と相手側端末識別子とを連結したものである。
【0075】
図4は、本発明におけるユーザ端末の機能構成図である。
【0076】
図4によれば、端末2は、短距離通信インタフェース201と、通信インタフェース202と、プレゼンスクライアント部210と、識別子交換部211と、自側識別子蓄積部212と、相手側識別子蓄積部213と、ペアリング要求送信部214とを有する。短距離通信インタフェース201及び通信インタフェース202を除くこれら機能構成部は、プレゼンスサーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0077】
短距離通信インタフェース201は、例えば、非接触型電磁誘導通信、ブルートゥース又は赤外線のためのインタフェースである。短距離通信インタフェース201は、相手方の無線インタフェースから出力される電波を検出し、短距離無線リンクを確立する。
【0078】
自側識別子蓄積部212は、自側端末識別子及び自側ユーザ識別子を蓄積する。自側識別子蓄積部212は、自側端末識別子を、識別子交換部211へ出力する。
【0079】
識別子交換部211は、短距離通信インタフェース201によって確立された短距離無線リンクを介して、相手側端末との間で、瞬間的に、端末識別子を交換する。自側端末識別子及び自側ユーザ識別子が、相手側端末へ送信される。また、相手側端末から、相手側端末識別子及び相手側ユーザ識別子を受信する。受信された相手側端末識別子及び相手側ユーザ識別子は、相手側識別子蓄積部213へ出力される。
【0080】
相手側識別子蓄積部213は、相手側端末識別子及び相手側ユーザ識別子を蓄積する。
【0081】
通信インタフェース202は、プレゼンスサーバ1と通信するためのネットワークに接続する。端末2が携帯電話機である場合、通信インタフェース202は、携帯電話通信用のものである。また、端末2が固定端末である場合、通信インタフェース202は、アクセスネットワーク用のものである。
【0082】
プレゼンスクライアント部210は、プレゼンスサーバ1に対するクライアントとして機能する。プレゼンスクライアント部210は、通信インタフェース202を介して、プレゼンス制御メッセージを送受信する。具体的な制御メッセージとしては、登録(PUBLISH)メッセージ、購読(SUBSCRIBE)メッセージ及び報告(NOTIFY)メッセージである。
【0083】
ペアリング要求送信部214は、識別子交換部211によって識別子の交換が成功した際に、通信インタフェース202を介して、プレゼンスサーバ1へ、ペアリング要求(PUBLISH)メッセージを送信する。
【0084】
また、ペアリング要求送信部214は、プレゼンスサーバ1へ既に登録したエントリに対して、新たなエントリ登録期間を含むペアリング登録期間変更メッセージを更に送信することもできる。これにより、自側識別子を含むエントリが、ペアリング管理リストに登録される期間を変更することができる。
【0085】
更に、エントリ登録期間経過前にペアリングを解消したい場合、ペアリング要求送信部214は、プレゼンスサーバ1へ、エントリ登録期間を0に設定したペアリング登録期間変更メッセージを送信してもよい。これにより、自側識別子を含むエントリが、ペアリング管理リストから削除される。
【0086】
即ち、エントリ登録期間の変更や、ペアリング解除も、一方の端末からのペアリング登録期間変更メッセージによって実行できる。
【0087】
更に、ペアリング要求送信部214は、ペアリング要求メッセージに、プレゼンスサーバのペアリング要求保持リストへのエントリ保持期間を更に含むものであってもよい。そのエントリ保持期間の間、そのペアリング要求メッセージのペアリング識別子と同一のペアリング要求メッセージを待つこととなる。
【0088】
図5は、本発明におけるプレゼンスサーバのペアリングの説明図である。
【0089】
図5によれば、プレゼンスサーバ1が図2のシーケンスに応じて受信するプレゼンス制御メッセージに応じて、プレゼンスデータベースと、ペアリング要求保持リストと、ペアリング管理リストとのエントリの変化が表されている。
【0090】
(S201)プレゼンスサーバ1は、端末A1から、PUBLISHメッセージを受信した際に、プレゼンスデータベースに、そのプレゼンス情報を登録する。
ユーザ識別子[userA]<->端末識別子[devA1]
【0091】
(S202)プレゼンスサーバ1は、端末A2から、PUBLISHメッセージを受信した際に、プレゼンスデータベースに、そのプレゼンス情報を登録する。ここで、プレゼンスサーバ1には、既に、同一ユーザ識別子のプレゼンス情報が登録されている。そこで、プレゼンスサーバ1は、同一ユーザ識別子に対応させて、プレゼンス管理リストに、それら2つのプレゼンス情報を複合して登録する。
ユーザ識別子[userA]<->端末識別子[devA1]
<->端末識別子[devA2]
【0092】
(S203)プレゼンスサーバ1は、端末B1から、PUBLISHメッセージを受信した際に、プレゼンスデータベースに、そのプレゼンス情報を登録する。
ユーザ識別子[userA]<->端末識別子[devA1]
<->端末識別子[devA2]
ユーザ識別子[userB]<->端末識別子[devB1]
【0093】
(S205)プレゼンスサーバ1は、端末A2から、端末Bとのペアリング要求のPUBLISHメッセージを受信する。
PUBLISHメッセージ(ペアリング、
自側ユーザ識別子[userA]、自側端末識別子[devA2]、
相手側ユーザ識別子[userB]、相手側端末識別子[devB1]、
ペアリング要求保持期間[30]、ペアリング登録期間[600])
【0094】
ペアリング要求のPUBLISHメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、ペアリング要求保持リストに、そのペアリング要求を登録する。ペアリング要求保持リストには、ペアリング識別子[A2pairB1]と、第1の識別子[devA2/userA]と、第2の識別子[devB1/userB]と、ペアリング要求保持期間[30]と、ペアリング登録期間[600]とが、登録される。ペアリング要求保持期間及びペアリング登録期間は、PUBLISHメッセージの受信時刻からの時間が計時される。
【0095】
ペアリング要求保持リストは、ペアリング要求保持期間が経過するまで、そのエントリを保持する。ペアリング要求保持期間が経過した場合、そのエントリは、ペアリング要求保持リストから削除される。ペアリング要求保持期間の設定は、ペアリング要求保持リストのオーバーフローを防止すると共に、エントリ数を減らすことによって検索時間を短縮する。
【0096】
(S206)次に、プレゼンスサーバ1は、端末Aから、端末A2とのペアリング要求のPUBLISHメッセージを受信する。
PUBLISHメッセージ(ペアリング、
自側ユーザ識別子[userB]、自側端末識別子[devB1]、
相手側ユーザ識別子[userA]、相手側端末識別子[devA2])、
ペアリング要求保持期間[40]、ペアリング登録期間[300])
【0097】
ペアリング要求のPUBLISHメッセージを受信したプレゼンスサーバ1は、ペアリング要求保持リストに、そのペアリング要求を登録する。ペアリング要求保持リストには、ペアリング識別子[A2pairB1]と、第1の識別子[devB1/userB]と、第2の識別子[devA2/userA]と、ペアリング要求保持期間[40]と、ペアリング登録期間[300]とが、登録される。
【0098】
ここで、プレゼンスサーバ1は、ペアリング要求保持リストから、同一のペアリング識別子のエントリを検索する。図5によれば、同一のペアリング識別子のエントリが存在することとなる。これら2つのエントリによれば、自側識別子及び相手側識別子が相対関係となる。そこで、プレゼンスサーバ1は、ペアリング要求保持リストから、これら2つのエントリを削除し、ペアリング管理リスト122へ、第1の端末及び第2の端末のペアリングのエントリを登録する。
【0099】
ペアリング管理リストに登録されるこのエントリによれば、2つのペアリング要求のペアリング登録期間を比較し、小さい方のペアリング登録期間を、ペアリング最小登録期間とする。このペアリング最小登録期間が経過した際に、このエントリは、ペアリング管理リストから削除される。このようなリストの制御は、前述したリスト制御部124によって実行される。これによって、必要以上の時間、ペアリングされた相手側端末に使用されることを防止することができる。
【0100】
このとき、ペアリング管理リストから削除されたエントリについて、ペアリング登録期間が長い方の識別子は、再度、ペアリング要求保持リストに登録される。ペアリング要求保持リストに新たに登録されたエントリは、そのペアリング登録期間の間に、同一のペアリング識別子のペアリング要求メッセージを受信することによって、ペアリング管理リストに再び登録される。尚、登録期間は、ペアリング要求メッセージの受信時刻からの経過時間を意味する。
【0101】
以上、詳細に説明したように、本発明のプレゼンス管理方法及びシステムによれば、端末間で端末識別子を交換し、両端末が、互いの端末識別子を含むペアリング要求メッセージをプレゼンスサーバへ送信することによって、メンバ管理サーバを別途備える必要無しに、複数の端末について複合されたプレゼンス情報を提供することができる。
【0102】
特に、短距離無線通信リンクで端末識別子を交換することによって、端末をアドホック的にペアリングすることができ、ユーザの確認シーケンスを必要としない。即ち、第三者によって、不正に端末がペアリングされる恐れがない。
【0103】
最後に、本発明におけるサービス形態について説明する。
【0104】
本発明のプレゼンス管理方法及びシステムは、ユーザが所有する端末から、ユーザが所有しない端末(例えば公共端末や他人の端末)を一時的にペアリングすることができる。これによって、ユーザは、その場所及び時刻に応じて最適の端末を、自らの端末として利用することができる。
【0105】
例えば、外出中に携帯電話機を用いて通話しているユーザが、通話の継続を、公共端末又は家庭用テレビを用いてテレビ電話へ移行することもできる。公共端末は、例えば、漫画喫茶、空港及びジムといった多くの場所に設置されている。これによって、通話経路も、携帯電話網から固定電話網に切り替えられ、携帯電話網のトラフィックも削減される。勿論、逆に、公共端末又は家庭用テレビから、携帯電話機へ、コンテツの視聴を移行することもできる。
【0106】
また、携帯電話機を用いてビデオ・オン・デマンド(VOD(Video On Demand))のコンテンツを視聴しているユーザが、視聴の継続を、公共端末や家庭用テレビへ移行することもできる。携帯端末は、小型ディスプレイを備えているために、映像サービスの視聴に適さないが、公共端末や家庭用テレビは、大型ディスプレイを備えているために、映像サービスの視聴に適する。
【0107】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均
等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0108】
1 プレゼンスサーバ
102 通信インタフェース
110 プレゼンス提供部
111 プレゼンスデータベース
121 ペアリング要求保持リスト
122 ペアリング管理リスト
123 ペアリング要求受信部
124 リスト制御部
2 ユーザ端末
201 短距離通信インタフェース
202 通信インタフェース
210 プレゼンスクライアント部
211 識別子交換部
212 自側識別子蓄積部
213 相手側識別子蓄積部
214 ペアリング要求送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレゼンス情報を管理するプレゼンスサーバと、該プレゼンス情報を登録又は購読する複数の端末とを有するシステムにおけるプレゼンス管理方法において、
前記端末は各々、端末識別子を有し、
前記プレゼンスサーバは、2つの端末識別子をペアリングして管理するペアリング管理リストを有し、
第1の端末が、第1の端末識別子を、第2の端末へ送信すると共に、第2の端末が、第2の端末識別子を、第1の端末へ送信することによって、識別子を交換する第1のステップと、
第1の端末が、第1の端末識別子及び第2の端末識別子を含む第1のペアリング要求メッセージを、前記プレゼンスサーバへ送信すると共に、第2の端末が、第2の端末識別子及び第1の端末識別子を含む第2のペアリング要求メッセージを、前記プレゼンスサーバへ送信する第2のステップと、
前記プレゼンスサーバが、第1の端末識別子及び第2の端末識別子を1つのエントリとして、前記ペアリング管理リストに登録する第3のステップと、
前記プレゼンスサーバが、第1の端末又は第2の端末に関する購読メッセージを受信した際に、前記ペアリング管理リストにエントリされた第1の端末及び第2の端末における報告メッセージを送信する第4のステップと
を有することを特徴とするプレゼンス管理方法。
【請求項2】
前記端末は各々、当該端末を所有するユーザのユーザ識別子を更に有し、
前記端末識別子は、前記ユーザ識別子を対として取り扱われる
ことを特徴とする請求項1に記載のプレゼンス管理方法。
【請求項3】
第1の端末はユーザ所有の端末であり、第2の端末は公衆共用の端末であり、
第1のステップについて、第1の端末と第2の端末との間は、短距離無線通信リンクによって接続され、
前記短距離無線リンクは、非接触型電磁誘導通信、ブルートゥース又は赤外線である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプレゼンス管理方法。
【請求項4】
前記プレゼンスサーバは、前記ペアリング要求メッセージに含まれる複数の識別子をエントリとして一時的に蓄積するペアリング要求保持リストを更に有し、
第2のステップについて、
前記プレゼンスサーバが、前記端末から前記ペアリング要求メッセージを受信した際に、当該メッセージに含まれる識別子を、前記ペアリング要求保持リストへ登録するステップと、
前記プレゼンスサーバが、前記ペアリング要求保持リストに、自側識別子と相手側識別子とが相対するエントリが「登録」されている場合、前記ペアリング管理リストへ、第1の端末及び第2の端末のペアリングのエントリを登録すると共に、当該ペアリング要求保持リストから当該エントリを削除し、「登録」されていない場合、前記ペアリング要求メッセージに含まれる識別子を、前記ペアリング要求保持リストのエントリに新たに登録するステップと
を更に有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプレゼンス管理方法。
【請求項5】
前記ペアリング要求メッセージは、前記プレゼンスサーバの前記ペアリング管理リストへのペアリング登録期間を更に含み、
前記ペアリング管理リストは、第1のペアリング要求メッセージに含まれる前記ペアリング登録期間と、第2のペアリング要求メッセージに含まれる前記ペアリング登録期間とを比較して短い方の期間が経過したエントリを削除し、
前記ペアリング要求保持リストは、削除されたエントリにおける前記ペアリング登録期間が長い方のエントリのみを新たに登録する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のプレゼンス管理方法。
【請求項6】
前記端末は、前記プレゼンスサーバの前記ペアリング管理リストへの新たなペアリング登録期間を含むペアリング登録期間変更メッセージを、前記プレゼンスサーバへ送信し、
前記プレゼンスサーバは、前記ペアリング登録期間変更メッセージを受信した際に、前記プレゼンスサーバの前記ペアリング管理リストへのペアリング登録期間を変更する
ことを特徴とする請求項5に記載のプレゼンス管理方法。
【請求項7】
前記ペアリング要求メッセージは、前記プレゼンスサーバの前記ペアリング要求保持リストへのエントリ保持期間を更に含み、
前記ペアリング要求保持リストは、前記エントリ保持期間が経過したエントリを削除することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のプレゼンス管理方法。
【請求項8】
SIP(Session Initiation Protocol)/SIMPLE(SIP for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions)を用いたプレゼンスシステムに搭載されており、
前記ペアリング要求メッセージは、PUBLISHメッセージであり、
前記購読メッセージは、SUBSCRIBEメッセージであり、
前記報告メッセージは、NOTIFYメッセージである
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のプレゼンス管理方法。
【請求項9】
プレゼンス情報を管理するプレゼンスサーバと、該プレゼンス情報を登録又は購読する複数の端末とを有するプレゼンス管理システムにおいて、
前記端末は、
自ら保持する自側端末識別子を、他の端末へ送信すると共に、該他の端末から相手側端末識別子を受信することによって、識別子を交換する第1の通信手段と、
自側端末識別子及び相手側端末識別子を含むペアリング要求メッセージを、前記プレゼンスサーバへ送信する第2の通信手段と
を有し、
前記プレゼンスサーバは、
前記端末から、前記ペアリング要求メッセージを受信する通信手段と、
2つの端末識別子をペアリングした1つのエントリとして登録するペアリング管理リストと、
当該端末に関する購読メッセージを受信した際に、前記ペアリング管理リストにエントリされた複数の端末における報告メッセージを送信するプレゼンス提供手段と
を有することを特徴とするプレゼンス管理システム。
【請求項10】
前記端末は各々、当該端末を所有するユーザのユーザ識別子を更に有し、
前記端末識別子は、前記ユーザ識別子を対として取り扱われる
ことを特徴とする請求項9に記載のプレゼンス管理システム。
【請求項11】
端末間は、短距離無線通信リンクによって接続され、
前記短距離無線リンクは、非接触型電磁誘導通信、ブルートゥース又は赤外線である
ことを特徴とする請求項9又は10に記載のプレゼンス管理システム。
【請求項12】
前記プレゼンスサーバは、
前記端末から前記ペアリング要求メッセージを受信した際に、当該メッセージに含まれる複数の識別子をエントリとして一時的に蓄積するペアリング要求保持リストと、
前記ペアリング要求保持リストに、自側識別子と相手側識別子とが相対するエントリが「登録」されている場合、前記ペアリング管理リストへ、第1の端末及び第2の端末のペアリングのエントリを登録すると共に、当該ペアリング要求保持リストから当該エントリを削除し、「登録」されていない場合、前記ペアリング要求メッセージに含まれる識別子を、前記ペアリング要求保持リストのエントリに新たに登録するリスト制御手段と
を更に有することを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載のプレゼンス管理システム。
【請求項13】
前記ペアリング要求メッセージは、前記プレゼンスサーバの前記ペアリング管理リストへのペアリング登録期間を更に含み、
前記プレゼンスサーバの前記リスト制御手段は、
前記ペアリング管理リストに対して、第1のペアリング要求メッセージに含まれる前記ペアリング登録期間と、第2のペアリング要求メッセージに含まれる前記ペアリング登録期間とを比較して短い方の期間が経過したエントリを削除し、
前記ペアリング要求保持リストに対して、削除されたエントリにおける前記ペアリング登録期間が長い方のエントリのみを新たに登録する
ことを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載のプレゼンス管理システム。
【請求項14】
前記端末は、前記プレゼンスサーバの前記ペアリング管理リストへの新たなペアリング登録期間を含むペアリング登録期間変更メッセージを、前記プレゼンスサーバへ送信し、
前記プレゼンスサーバの前記リスト制御手段は、前記ペアリング登録期間変更メッセージを受信した際に、前記プレゼンスサーバの前記ペアリング管理リストへのペアリング登録期間を変更する
ことを特徴とする請求項13に記載のプレゼンス管理システム。
【請求項15】
前記ペアリング要求メッセージは、前記プレゼンスサーバの前記ペアリング要求保持リストへのエントリ保持期間を更に含み、
前記プレゼンスサーバの前記リスト制御手段は、前記エントリ保持期間が経過したエントリを削除する
ことを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載のプレゼンス管理システム。
【請求項16】
SIP(Session Initiation Protocol)/SIMPLE(SIP for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions)を用いたプレゼンスシステムに搭載されており、
前記ペアリング要求メッセージは、PUBLISHメッセージであり、
前記購読メッセージは、SUBSCRIBEメッセージであり、
前記報告メッセージは、NOTIFYメッセージである
ことを特徴とする請求項9から15のいずれか1項に記載のプレゼンス管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−15296(P2011−15296A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159097(P2009−159097)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】