説明

異なる密度の成分を有する粒子状組織グラフトならびにそれを作成および使用する方法

異なる密度を有する粒子から作成される組織グラフト組成物、これらの組成物を作成する方法、および患者の組織再生を促進するためにこれらの組成物を使用する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の組織を修復または再生するための粒子状組織グラフト組成物、それらの作成方法、およびそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
失活した天然組織から作られる組織グラフト組成物は、患者の、損傷、変形、または欠損した組織を修復または再生するために広く使用されてきた。一般に、これらの組成物は、例えば、小腸粘膜下層(SIS)、または膀胱粘膜下層(UBS)、および、例えば、膀胱の上皮基底膜(UBM)などの組織の細胞外マトリックスから作成される。総称して、これらの組成物は細胞外マトリックス、またはECMsと称される。SIS、UBS、およびUBMは、米国特許第6,576,265号、同第6,579,538号、同第5,573,784号、同第5,554,389号、同第4,956,178号、および同第4,902,508号においてさらに説明されており、それぞれ本明細書において参照により援用される。
【0003】
短く説明すると、SISおよびUBSはそれぞれ胃腸組織および膀胱から作成され、それらは組織源の全ての他の層から粘膜下層を剥離して、粘膜下層を保持することによって組織グラフト組成物を形成する。UBMは上皮基底膜を剥離し、必要に応じて膀胱の上皮細胞から深層の1以上を剥離し、かつ少なくとも上皮基底膜を保持して組織グラフト組成物を形成することで作成される。限定されるものではないが、例えば、食道、胃、腸などの胃腸管の皮膚および組織を含むその他の組織も、上皮細胞から上皮基底膜を剥離し、必要に応じて組織源の深層の1以上を剥離することで、上皮基底膜を含むECMを作成するために使用され得る。さらにその他の天然ECMsは、腱膜、腱、靭帯、平滑筋および骨格筋などの結合組織、ならびに治療部位に特異的なECMsから作成され得る。
【0004】
ECMsは、例えば、上皮組織を再生するために使用される。上皮組織の再生には、上皮および上皮組織下部の結合組織要素の再生を必要とする。上皮の再生は、上皮基底膜が存在すると急速に起こる。しかしながら、結合組織要素の再生は上皮組織の再生よりも遅く、損傷した上皮組織の完全な再生を長引かせている。
【0005】
従来技術における周知のUBS、UBM、およびSISなどの各ECMsは、患者の移植部位に吸収される。例えば、膀胱マトリックス(UBM)の単一シートは、局所的創傷に移植されると、例えば1週間以内に吸収され得る。図1A−Cは、患者の組織部位10に移植された従来技術のECM材料12の急速な吸収特性を示している。図1Aは移植の0日目におけるECMシート12を示している。図に示されるように、ECM12は組織部位10全体を塞いでいる。図1Bでは、移植後X日目において、ECM12が組織部位10において部分的に吸収されていることを示しており、それは図1AにおけるECM12の表面積と比較して、ECM12の表面積が減少していることによって示される。図1Cでは、移植後Y日目において、ECM12が残留していないことからECM12が組織部位10に完全に吸収されたことを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,576,265号明細書
【特許文献2】米国特許第6,579,538号明細書
【特許文献3】米国特許第5,573,784号明細書
【特許文献4】米国特許第5,554,389号明細書
【特許文献5】米国特許第4,956,178号明細書
【特許文献6】米国特許第4,902,508号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される発明は、従来技術のECM移植片が急速に吸収された後に、損傷または欠損した上皮組織および下部の結合組織要素の再生および修復に影響を与えることが不可能であるという問題を、特定して解決したものである。従来技術のECMsにおける急速な初期吸収が、再生または修復を必要とする組織部位への初期の再生反応をもたらすのに有効である一方で、本明細書に記載の発明は、再生または修復を必要とする部位において、従来技術のECMsよりも吸収するのに時間を要するECM組成物を提供し、それは組織損傷部位において修復過程に及ぼすECMの影響を延長するため有利である。したがって、本明細書に開示される発明は、急速な初期修復反応をもたらすように素早く吸収される少なくとも1つの成分を有するだけでなく、よりゆっくりと吸収される少なくとも1つの追加の成分を有することで、組織損傷部位での再生過程におけるECM組成物の組み合わせの影響を延長することが可能であるECM組成物に関する。
【0008】
一態様によれば、本発明は組織の修復または再生に有用な生体吸収性粒子組成物、およびこれらの組成物の使用方法に関する。本組成物は異なる速度で吸収される異なる密度の生体吸収性粒子を含むため、単一密度の材料を有する組成物と比較して、修復を果たすために粒子によってもたらされる時間の長さを調節する能力を提供可能である。
【0009】
一態様によれば、本発明は生体吸収性粒子の組織グラフト組成物を包含する。本発明の一実施形態では、生体吸収性粒子状物質の混合物は、患者の組織部位への移植において第1密度および第1吸収速度を有する複数の第1生体吸収性粒子、および患者の組織部位への移植において第2密度および第2吸収速度を有する複数の第2粒子を含む。第2密度は第1密度の少なくとも150%である。第2吸収速度は第1吸収速度の約1〜約10倍の範囲である。複数の第1および第2生体吸収性粒子は、哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する。
【0010】
一実施形態では、複数の第1粒子は第1生体吸収性材料を含み、複数の第2粒子は第2生体吸収性材料を含む。その一方で、他の実施形態では、複数の第1粒子および複数の第2粒子は、同一の生体吸収性材料を含む。第1または第2生体吸収性材料は、例えば、細胞外マトリックス、コラーゲン、生体吸収性ポリマー、またはヒアルロン酸などから選択可能である。粒子は、粉末形状、液体もしくはゲルの媒体にて散布、またはシート形状に圧縮され得る。粒子サイズは1μm〜1000μmの範囲であり得る。さらなる実施形態では、粒子は、1以上の生理活性因子、薬剤、またはDNAベクターを含んでいてもよい。複数の第1粒子および複数の第2粒子は、1:1の比率で存在し得る。第2密度は第1密度の150%〜500%の範囲であり得る。
【0011】
さらに他の実施形態では、組織グラフト組成物は、患者の組織部位への移植において、第1および第2密度よりも高密度の第3密度、および第1および第2吸収速度よりも遅い第3吸収速度を有する複数の第3粒子を含む。
【0012】
他の態様によれば、本発明は異なる密度を有する生体吸収性粒子の混合物を調製する方法を包含する。例えば、一実施形態では、異なる密度を有する生体吸収性粒子状物質の混合物を調製する方法は、第1密度および第1吸収速度を有する生体吸収性材料の第1シートを提供し、かつ該シートを複数の第1粒子に製粉することを含む。第2密度および第2吸収速度を有する生体吸収性材料の第2シートは、複数の第2粒子に製粉される。複数の第1粒子の所定量を複数の第2粒子の所定量と混合し、このとき、複数の第2粒子の密度は複数の第1粒子の密度の少なくとも150%であり、第1吸収速度は第2吸収速度の少なくとも1.5倍である。複数の第1粒子および複数の第2粒子は、哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進することが可能である。
【0013】
本発明の他の実施形態によれば、第1シートを製粉前に圧縮または薄層化することで、第1シートと比べてその密度が増加し得る。別の実施形態では、第1シートを製粉前に凍結乾燥することで、第2シートと比べてその密度が減少し得る。
【0014】
本発明の他の実施形態によれば、シートを粉砕、破砕、切断、調合、微粉砕、または剪断することによって粒子に製粉し得る。さらなる実施形態では、第1または第2シートを製粉前に、乾燥、水和、または凍結する。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、生体吸収性材料は、細胞外マトリックス、ヒアルロン酸、または生体吸収性ポリマーを含む。ヒアルロン酸または生体吸収性ポリマーは、化学的に合成または沈殿させることによって、第1密度のシートおよび第2密度のシートを形成し、その後製粉される。
【0016】
さらに他の実施形態によれば、第1シートおよび第2シートは同一の生体吸収性材料を含む。例えば、一実施形態では、第1および第2シートは細胞外マトリックスである。他の実施形態では、第1および第2シートは腱膜である。別の実施形態では、第1シートおよび第2シートは異なる生体吸収性材料を含む。例えば、一実施形態では、第1シートは細胞外マトリックスを含み、第2シートはヒアルロン酸を含む。他の実施形態では、第1または第2シートは、1以上の薬剤、DMAベクター、または成長因子などの生理活性因子をさらに含む。
【0017】
さらに他の実施形態では、第2シートの第2密度は第1密度の150%〜500%である。
【0018】
さらに他の実施形態では、本方法によって調製される第1密度の粒子および第2密度の粒子をシート形状に圧縮する。
【0019】
本発明の他の実施形態では、異なる密度を有する生体吸収性粒子状物質の混合物を調製する方法は、第1密度の生体吸収性材料のシートを提供し、かつ該シートの一部分を圧縮することで、一部分が第1密度の少なくとも150%または150%〜500%と同等の第2密度を含むことを包含する。シートは複数の粒子に製粉される。さらなる実施形態では、生体吸収性材料はECMである。
【0020】
他の態様では、本発明は患者の解剖学的部位における組織の修復および再生を促進する方法を提供する。例えば、一実施形態によれば、修復または再生を必要とする患者の解剖学的部位における組織修復の速度を調節する方法は、第1密度を有する複数の第1生体吸収性粒子および第1密度の少なくとも150%の第2密度を有する複数の第2生体吸収性粒子を含む混合物を、患者の部位に投与することを含む。複数の第2生体吸収性粒子は、複数の第1生体吸収性粒子の吸収よりも遅い速度で患者の組織に吸収されるため、複数の第2粒子の部位における治療効果を延長することが可能である。複数の第1および第2生体吸収性粒子は、哺乳動物患者の解剖学的部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する。さらなる実施形態では、混合物は第3密度を有する複数の第3粒子を含む。
【0021】
さらなる実施形態では、本方法はまた、生体吸収性粒子の混合物を調製する段階を含む。該段階は、(a)患者の部位における修復または再生のために吸収性組成物の最適吸収速度を決定し、(b)患者の部位への移植において、第1密度および段階(a)に基づく第1吸収速度を有するように、複数の第1生体吸収性粒子を選択し、(c)患者の部位への移植において、複数の第1粒子の密度よりも高密度である第2密度を有し、かつ段階(a)および(b)に基づく複数の第1生体吸収性粒子の吸収速度よりも遅い第2吸収速度を有するように、複数の第2生体吸収性粒子を選択することを含む。
【0022】
本方法の一実施形態によれば、生体吸収性粒子は、細胞外マトリックス、コラーゲン、生体吸収性ポリマー、またはヒアルロン酸である。生体吸収性粒子は、粉末形状または液体もしくはゲルの媒体にて患者の部位へ送達され得る。また、生体吸収性粒子は患者の部位へ注入されてもよい。生体吸収性粒子は、1以上の生理活性因子、DNAベクター、または薬剤を含み得る。
【0023】
本方法の他の実施形態では、生体吸収性粒子の混合物は、患者の部位における医療機器の移植の前に、医療機器に混合物を被覆することで患者に投与される。一方で、別の実施形態では、混合物は部位に局所的に投与される。さらなる実施形態では、混合物は骨代替材料の成分として患者に投与される。
【0024】
本方法のさらなる実施形態によれば、修復または再生を必要とする患者の部位は、腱、靭帯、骨、腎臓、肝臓、脾臓、リンパ節、膀胱、尿管、子宮、血管、皮膚、胸、心臓、または体腔である。一実施形態では、患者はヒトである。
【0025】
他の態様によれば、本発明は、患者において第1密度および第1吸収速度を有する細胞外マトリックスの粒子、かつ患者において第2密度および第2吸収速度を有する細胞外マトリックスの粒子を含む、患者に移植するための移植片を含む。前記粒子は圧縮されて立体物体を形成する。第1密度の粒子および第2密度の粒子は、哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する。
【0026】
一実施形態によれば、細胞外マトリックスは、UBS、SIS、またはUBMである。他の実施形態では、第1密度の粒子はUBSであり、第2密度の粒子はUBMである。本移植片の他の実施形態では、第1密度の粒子は第2密度の粒子よりも高密度であり、第1密度の粒子は移植片の中心部を形成し、第2密度の粒子は移植片の外面を形成する。
【0027】
他の態様では、本発明は組織修復を必要とする患者に移植片を移植することを含む。さらなる実施形態では、移植部位は、腱、靭帯、骨、腎臓、肝臓、脾臓、リンパ節、膀胱、尿管、子宮、血管、皮膚、胸、心臓、または体腔であり得る。
【0028】
さらに他の態様では、本発明は細胞外マトリックス粒子の混合物を調製する方法を含み、それは同一密度を有する複数の細胞外マトリックス粒子を調製すること、複数の粒子の第1部分を患者において第1密度および第1吸収速度を有するコーティングで被覆すること、複数の粒子の一部分を患者において第2密度および第2吸収速度を有するコーティングで被覆すること、および複数の粒子の第1部分を複数の粒子の第2部分と混合することを含む。複数の粒子は、哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する。一実施形態では、細胞外マトリックス粒子は、膀胱基底膜(UBM)を含み、第1密度を有する複数の粒子の第1部分におけるコーティングはUBMであり、第2密度を有する複数の粒子の第2部分におけるコーティングは小腸粘膜下層(SIS)である。
【0029】
さらに他の態様では、本発明は細胞外マトリックスの組成物である。本組成物は細胞外マトリックスの第1シート、細胞外マトリックスの第2シート、第1密度を有する複数の第1細胞外マトリックス粒子、および第1密度の少なくとも150%の第2密度を有する複数の第2細胞外マトリックス粒子を含む。複数の第1粒子および複数の第2粒子は、細胞外マトリックスの第1シートおよび第2シートの間に含まれる。複数の第1および第2細胞外マトリックス粒子は、哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する。
【0030】
さらなる実施形態では、本組成物は第1密度、第2密度、または第3密度のいずれかの密度を有する追加の複数の細胞外マトリックス粒子を含む。追加の複数の粒子は、細胞外マトリックスの第1シートまたは第2シートのいずれかの表面と細胞外マトリックスの第3シートの表面との間に位置される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】図1A−Cは、哺乳動物患者の組織におけるUBM、UBS、またはSISなどの従来技術のECMの生体吸収を示している。図1Aは移植0日目におけるECMを示している。
【図1B】図1A−Cは、哺乳動物患者の組織におけるUBM、UBS、またはSISなどの従来技術のECMの生体吸収を示している。図1Bは移植後X日目におけるECMを示しており、ECMは患者の組織に部分的に吸収されている。
【図1C】図1A−Cは、哺乳動物患者の組織におけるUBM、UBS、またはSISなどの従来技術のECMの生体吸収を示している。図1Cは移植後Y日目のECMを示しており、ECMは患者の組織に完全に吸収されている。
【図2A】図2A−Cは、本発明の一実施形態による異なる密度の2種類の粒子から構成される例示的な粒子状組織グラフトの生体吸収を示している。白丸(○)は低密度の粒子を表し、黒丸(●)は高密度の粒子を表している。図2Aは移植0日目における粒子を示している。
【図2B】図2A−Cは、本発明の一実施形態による異なる密度の2種類の粒子から構成される例示的な粒子状組織グラフトの生体吸収を示している。白丸(○)は低密度の粒子を表し、黒丸(●)は高密度の粒子を表している。図2Bは移植後X日目における粒子を示しており、低密度の粒子は、それらのサイズの減少から明らかなように、患者の組織に部分的に吸収されている。
【図2C】図2A−Cは、本発明の一実施形態による異なる密度の2種類の粒子から構成される例示的な粒子状組織グラフトの生体吸収を示している。白丸(○)は低密度の粒子を表し、黒丸(●)は高密度の粒子を表している。図2Cは移植後Y日目における粒子を示しており、低密度の粒子は患者の組織に完全に吸収されており、高密度の粒子は患者の組織にまだ完全には吸収されていない。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による粒子が2つの異なる密度を有する例示的なECM粒子組成物、および本発明の一実施形態による組成物の例示的な作成方法の段階を示している。ECMの2つのシートが示されており、一方は密度Aを有し、もう一方は密度Bを有している。シートは粉砕され、A粒子およびB粒子の一部は混合される。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による粒子が2つの異なる密度を有する例示的なECM粒子組成物、および本発明の一実施形態による組成物の例示的な作成方法の段階を示している。ECMシートは、シートの一部分が密度Aを有し、かつシートの第2部分が密度Bを有するように処理される。その後、シートは粉砕されて2つの異なる密度の粒子組成物を作成する。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による、粒子が密度A、B、またはCを有する例示的なECM粒子組成物、および本発明の一実施形態による組成物の例示的な作成方法の段階を示している。密度Aを有するECMの第1シートAを、密度Bを有するECMの第2シートBに接着させる。その後、シートを粉砕することで、密度Aを有する粒子、密度Bを有する粒子、および密度Cの複合粒子の組成物を作成する。複合粒子はシートAおよびBの両方の成分を有する。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による例示的なECM粒子組成物を示している。粒子は同一密度の中心粒子を有するが、異なる密度A、B、およびCを有する異なる材料で被覆されている。従って、被覆粒子は異なる密度A、B、およびCを有する。
【図7】図7は、本発明の一実施形態による例示的なECM組成物を示している。密度A、B、およびCを有するECM粒子は、ECMシート25の表面に接着される。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態による例示的なECM組成物を示している。高密度BのECM粒子を共に圧縮することで密度Bの粒子の中心部を形成し、それを低密度Aの粒子で被覆するか、または密度Aの粒子層で層状にすることで、哺乳動物の身体部位形状の構成物を形成する。ここでは腎臓の例を示している。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施形態による例示的なECM組成物を示している。高密度BのECM粒子を共に圧縮することで密度Bの粒子の中心部を形成し、それを低密度Aの粒子で被覆するか、または密度Aの粒子層で層状にすることで、哺乳動物の身体部位形状の構成物を形成する。ここではヒトの鼻の例を示している。
【図9】図9は、本発明の一実施形態による例示的なECM組成物を示している。高密度Bおよび低密度AのECM粒子の混合物を共に圧縮して、哺乳動物の身体部位形状の立体構成物を形成する。ここではヒトの鼻の例を示している。
【図10】図10は、本発明の一実施形態による例示的なECM組成物を示している。高密度Bおよび低密度AのECM粒子の混合物を共に圧縮して、シートを形成している。
【図11】図11は、本発明の一実施形態による例示的な多重薄層ECM組成物を示している。高密度Bおよび低密度AのECM粒子の混合物は、ECMシートの間に挟まれている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
細胞外マトリックス材料(ECMs)は、ヒトなどの哺乳動物における、損傷、変形、傷害、さらには欠損した体組織の修復および再生を促進するために使用されてきた。例えば、SISまたはUBMなどのECMsを治療部位に移植することで、上皮組織と関連する結合組織層を含めて、上皮組織および結合組織の修復および再生を促進することが可能である。修復または再生を必要とする組織部位としては、限定されるものではないが、腱、靭帯、胸、骨、腎臓、肝臓、脾臓、リンパ節、膀胱、尿管、子宮、血管、腸、胃、皮膚、心臓、または体腔が挙げられる。「再生(restore、restored、restoringまたはrestoration)」は、組織の機能および構造が、患者の内因性組織修復機構と組織グラフト組成物との併用によってそれの元の状態にほぼ回復することを意味する。
【0033】
SIS、UBS、およびUBMなどのECMsは、ECMが移植される宿主組織に急速に吸収される。一旦材料が宿主に吸収されると、ECMは移植部位における組織の再生および修復にもはや影響を及ぼさない。ECMsが吸収されるにつれて、それらは成長因子などの生理活性成分および天然のEMCに通常存在するその他の生理活性成分を放出し、ECMの移植部位における組織の再生および修復に影響を及ぼす。一旦ECMが完全に吸収されると、これらの成長因子および生理活性成分は、組織の修復および再生に影響を及ぼすように移植部位においてECMからもはや放出されない。組織を修復する間のECMsに起因するこれらの因子および成分の出現を適度にするために、周知の天然ECMsの急速な吸収時間とは異なる吸収時間を有するECM粒子組成物を本明細書に開示する。
【0034】
一態様では、本発明は粒子が密度の点で異なるECM粒子の組織グラフト組成物に関する。本明細書において使用される「密度」は、粒子の単位体積当たりの質量を指す。本発明の一実施形態によれば、ECMsはそれらの密度を変更するよう操作され、その後、粒子化される。粒子は患者に移植されると、それらの密度に関連した速度で吸収され、低密度の粒子は高密度の粒子よりも速い速度で患者に吸収される。低密度の粒子は高密度の粒子よりも速く吸収されて、成長因子およびその他の生理活性成分を素早く放出するため、組織部位における初期修復反応を調節し得る。それとは対照的に、高密度の粒子はゆっくりと吸収され、成長因子およびその他の生理活性成分をよりゆっくりと放出する。従って、低密度の粒子から放出される成長因子および生理活性成分によって影響を受ける初期修復反応を過ぎてからも、移植部位において修復反応を維持することが可能である。
【0035】
本発明によれば、単に高密度の粒子のみの場合とは対照的に、低密度および高密度の両方の粒子を有することで、低密度の粒子によってもたらされる成長因子およびその他の生理活性成分の放出を可能とするため、低密度粒子の急速な吸収による組織部位での急速な初期修復反応を調節することが可能である。観念的には、このような急速な修復反応は高密度の粒子のみによっては提供不可能である。なぜなら、それらの吸収はより遅いため、組織の修復および再生を促す物質からの生理活性成分の放出もより遅い。
【0036】
従来のECMsは、組織部位が完全に修復する前に、ECMsが組織移植部位において完全に吸収され得る急速な吸収時間を有している。本発明によって調製される密度が増加したECM粒子または様々な密度のECM粒子凝集体は、長期の吸収時間を有するため、従来のECMsを使用する場合と比較して、傷害部位における組織の修復および再生に与える影響を拡張することが可能である。つまり、本発明による組織グラフト組成物は、組織グラフト組成物が組織部位において生体吸収される前に、組織部位を完全またはほぼ完全に修復することを可能とする。本発明によれば、ECM粒子組成物は、患者の特定の組織部位における再生の必要性に合わせて特定の生体吸収特性を提供する。
【0037】
本明細書に開示される発明は、患者の移植部位においてECM組織グラフト構成物を適応させるための必要な空き容量を減少させるという利点を有する。例えば、本発明による組織グラフト構成物の密度を増加させることで、より多くのECM材料がより小さな容積内に入ることが可能となる。さらに、本発明によるECM材料は、密度を増加させることで、より厚い低密度のECM材料と比較して、患者の移植部位において吸収されるのにより長い時間を要する。そのため、患者の移植部位における組織の修復および再生に対して、影響を持続的に及ぼすことが可能である。
【0038】
本発明によれば、組成物の吸収速度は、移植部位においてECMの所定体積が宿主組織に吸収されるのに要する日数に基づいて測定可能である。例えば、本発明の一実施形態による組成物は、吸収されるのに15日を要する100μMの体積で密度Xを有する低密度な粒子と、吸収されるのに45日を要する100μMの体積で密度2Xを有する高密度な粒子を含む。本発明によれば、密度と吸収時間との間の直接の直線関係は必ずしも必要ではない。本実施例によって示すように、第1低密度粒子の2倍の密度の粒子は、吸収されるのに第1低密度粒子の吸収時間よりも2倍を超える長い吸収時間を要し得る。
【0039】
上述したように、当技術分野で周知のECMsは、患者の組織部位に移植されるときに、急速な生体吸収速度を有する。周知のECMsによって実証された急速な生体吸収特性とは対照的に、本発明による組成物は組織グラフト組成物における粒子密度に基づいて、多様な生体吸収時間を有する。例えば、図2A−Cは、本発明による異なる密度の粒子の組織グラフト組成物における多様な生体吸収特性を示している。図2Aは、組織部位において移植された日である0日目における、ECM粒子16(図1A−Cに示すECMよりも高密度)、およびECM粒子14(図1A−Cに示すECMと同程度の密度)を示している。図2Bにおいて示されるように、移植後X日目では、低密度粒子14はそれらのサイズ減少によって示されるように部分的に吸収されている。また、高密度の粒子16はまだ完全に吸収されていない。移植後Y日目までには、図2Cにおいて示されるように、低密度の粒子14は完全に吸収され、一方で、高密度の粒子16はまだ完全に吸収されていない。それにより、高密度の粒子による組織部位10における組織の修復および再生の促進を継続することを可能とする。
【0040】
本発明における一実施形態では、粒子の組織グラフト組成物は、第1密度の粒子および第2の異なる密度の粒子を含む。さらなる実施形態では、組成物は、第3密度の粒子、第3および第4密度の粒子、第3、第4、および第5密度の粒子、または第3、第4、第5、および第6密度の粒子等を含む。例えば、一実施形態では、粒子組成物は2つの密度、他の実施形態では3つの密度、さらに他の実施形態では4つの密度、またさらに他の実施形態では5つの密度、さらに他の実施形態では6つの密度の粒子を有する。本発明の一実施形態によれば、組成物は6を越える異なる密度の粒子を有する。さらに他の実施形態では、粒子は2以上の材料の複合体であり、それは、例えば各ECM種が異なる密度を有する種々のECM種の組み合わせである。
【0041】
本発明の一実施形態では、組成物は第1密度の粒子および第2の異なる密度の粒子を有し、第2密度の粒子は第1密度の粒子よりも高密度である。さらなる実施形態では、第2密度の粒子は、第1密度の粒子の少なくとも約150%の密度(すなわち1.5倍高密度)である。第1密度の粒子の生体吸収速度と第2密度の粒子の生体吸収速度との間の差異が、組成物が完全に吸収される前に組織の修復処理を可能とするのに十分大きくなるよう、密度におけるこの差異の大きさが必要となる。第1密度の約150%よりも低い密度を有する第2密度の粒子は、組成物が完全に吸収される前に組織部位の修復を可能とする、第1密度の粒子の生体吸収特性と顕著に異なる生体吸収特性を有していない。
【0042】
さらなる実施形態では、組成物は第3密度の粒子をさらに有する。第3密度の粒子は第2密度の粒子よりも高密度であり、第2密度の粒子は第1密度の粒子よりも高密度である。特定の実施形態では、第3密度の粒子は第2密度の粒子の少なくとも約150%の密度であり、かつ第2密度の粒子は第1密度の粒子の少なくとも約150%の密度である(すなわち1.5倍高密度)。やはり、第1密度、第2密度、および第3密度の粒子間の生体吸収速度の間の差異が、組成物が完全に吸収される前に組織の修復処理を可能とするのに十分大きくなるよう、密度における差異のこの大きさが必要となる。
【0043】
さらなる実施形態では、第1密度の粒子よりも高密度である第2密度の粒子は、例えば、第1低密度の粒子の吸収速度の約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、または約10倍の吸収速度を有している。
【0044】
さらなる実施形態では、第2密度の粒子は、第1密度の粒子の密度よりも、少なくとも約2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍高密度である。他の実施形態では、第3密度の粒子は、第2密度の粒子よりも、少なくとも約2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または5倍高密度である。
【0045】
好ましくは、第2密度の粒子は、低密度の第1粒子の少なくとも約150%〜500%の密度であり、より好ましくは、低密度の第1粒子の約200%〜400%の密度であり、および最も好ましくは、低密度の第1粒子の約200%〜300%の密度である。
【0046】
本発明の一実施形態による粒子は、細胞外マトリックス粒子(ECM)である。本発明によれば、異なる密度の粒子から成るECMは、限定されるものではないが、粘膜下層、真皮、上皮基底膜、腱膜、腱、靱帯、平滑筋および骨格筋、ならびに治療部位特異的ECMを含む天然組織に由来する。天然組織源は、例えば、ブタ、ウシ、またはヒツジであり得る。天然組織源は、患者の、同種、自家、または異種であり得る。例えば、患者がヒトである場合、天然組織源は他のヒト(同種)、または患者(自家)である。あるいは、患者がヒトである場合、天然組織は非ヒト種(異種)である。
【0047】
本発明によるECM粒子は、約150mg/cm〜約1800mg/cm、より好ましくは約150mg/cm〜約1200mg/cm、および最も好ましくは約150mg/cm〜約600mg/cmの範囲の密度を有する。
【0048】
本発明の他の実施形態では、本発明の粒子は、例えば、コラーゲン、すなわちI、II、III、および/またはIV型コラーゲン、30ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、またはチロシンポリカーボネートなどの生体吸収性ポリマー、および/またはヒアルロン酸から構成されている。本発明によるコラーゲン粒子は、約150mg/cm〜約1800mg/cm、より好ましくは約150mg/cm〜約1200mg/cm、および最も好ましくは約150mg/cm〜約600mg/cmの範囲の密度を有する。本発明による生体吸収性ポリマー粒子は、約150mg/cm〜約1800mg/cm、より好ましくは約150mg/cm〜約1200mg/cm、および最も好ましくは約150mg/cm〜約600mg/cmの範囲の密度を有する。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、成長因子、DNA、またはその他のタンパク質などの生理活性物質は、ポリマーが患者に吸収されるときに放出されるよう生体吸収性ポリマー粒子に加えられる。他の実施形態では、成長因子、DNA、またはその他のタンパク質などの生理活性物質は、ECMが患者に吸収されるときに放出されるよう本発明のECM組成物に加えられる。
【0050】
本発明による一実施形態では、第1密度の全粒子は第1出発物質から作成され、第2密度の全粒子は同じ第1出発物質から作成される。例えば、一実施形態では、第1密度の全粒子は第1密度を有するECM材料から作成され、第2密度の全粒子は同じECM材料の粒子であるが、異なる第2密度を有するように操作される。例えば、第1密度の粒子および第2密度の粒子は、それぞれUBM粒子である。他の実施形態では、第1密度の全粒子は生体吸収性ポリマーであり、第2密度の全粒子は同じ生体吸収性ポリマーである。例えば、第1密度の粒子および第2密度の粒子はポリ(L)乳酸である。
【0051】
他の実施形態では、第1密度の全粒子は第1材料から作成され、第2密度の全粒子は第2材料から作成される。例えば、第1密度の全粒子は第1ECM材料から作成され、第2密度の全粒子は第2ECM材料から作成される。例えば、一実施形態では、第1密度の粒子はUBMから作成され、その一方で、第2密度の粒子はSISから作成される。他の実施形態では、第1密度の全粒子はECM材料から作成され、その一方で、第2密度の全粒子は生体吸収性ポリマーから作成される。他の実施形態では、第1材料はUBMであり、その一方で、第2材料は腱膜である。他の実施形態では、第1材料はUBMであり、その一方で第2材料は肝臓基底膜(LBM)である。さらに他の実施形態では、第1材料はUBMであり、その一方で、第2材料はヒアルロン酸である。またさらなる実施形態では、第1材料はUBMであり、その一方で、第2材料は乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)である。
【0052】
本発明の一実施形態による粒子は、約0.1μM〜約2000μMの範囲である。より好ましくは、粒子のサイズ範囲は、約1μM〜約2000μM、さらにより好ましくは約1μM〜約1000μM、および最も好ましくは約50μM〜約750μMの幅、例えば直径である。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、患者の組織部位への注入について、異なる密度の粒子の混合物は粉末形状で維持され、一方で、他の実施形態では、粒子の混合物はゲルまたは液体の担体中で維持される。適した担体の例としては、限定されるものではないが、ヒアルロン酸、ゼラチン、レシチン、コラーゲンゲル、および生理食塩水が挙げられる。
【0054】
さらなる実施形態では、本発明による粒子は、成長因子および/またはその他の生物活性分子を含む。例えば、ECMなどの粒子は、ECMが患者に生体吸収されるにつれて移植部位において放出される生物活性分子を本来含んでいる。あるいは、生物活性分子は粒子組成物に加えられて粒子と共に移植部位に送達され得る。さらに他の実施形態では、本発明による粒子は生物活性分子で被覆される。さらに他の実施形態では、生体吸収性ポリマー粒子を生物活性分子の存在下で合成して粒子を形成することで、生物活性分子が生体吸収性ポリマー粒子内に包含される。
【0055】
生物活性分子の例としては、限定されるものではないが、例えば、上皮成長因子、TGF−α、TGF−β、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、血管内皮増殖因子、インスリン様増殖因子、ケラチノサイト成長因子、骨形態形成タンパク質など、また、薬剤、およびDNAベクターが挙げられる。
【0056】
本発明によれば、粒子は時間依存的様式で生物活性分子を放出する。例えば、低密度の粒子が高密度の粒子よりも急速に患者の組織に生体吸収されることを考慮すると、成長因子などの生物活性分子は、それらの高密度の粒子からの放出と比較すると、移植後に低密度の粒子から比較的早く放出される。高密度の粒子はよりゆっくりと生体吸収されるため、低密度の粒子よりも長時間にわたって組織部位において生物活性分子を放出する。従って、低密度の粒子のみが存在する場合よりも、組織部位を特定の生物活性分子により長時間暴露させることが可能である。
【0057】
他の態様によれば、本発明は、第1種の粒子が第1密度を有し、第2種の粒子が第2密度を有する、粒子混合物を作成する方法に関する。
【0058】
本発明の粒子混合物の作成方法における実施形態によれば、ECMシートを粉砕して異なる密度の粒子混合物を作成する。例えば、図3に示すように、A粒子14がB粒子16よりも低密度であるA粒子14およびB粒子16の混合物24は、異なる密度の2つのECMシート20、22から作成されている。Aシート20は粉砕されてA粒子を形成し、それは、例えば、ブレンダー、ハンマーミル、ナイフミル、遠心ミル、ダイスおよび押圧システム、またはローラークラッシャーなどの粒子を形成する、適した装置を用いて、Aシート20を切断、分断、微粉砕、摩砕、または破砕することで行われる。Bシート22は粉砕されてB粒子16を形成し、それは、例えば、粒子16を形成する、適した装置を用いてBシート22を、切断、分断、圧砕、微粉砕、摩砕、または破砕することで行われる。A粒子14およびB粒子16は上述したように、サイズ範囲および密度範囲を有する。
【0059】
その後、混合物を形成するためにA粒子14の所定数を測定し、15を所定数のB粒子16と混合することで、A粒子14およびB粒子16の複合混合物24を形成する。A粒子14のB粒子16に対する濃度は、患者の組織部位における混合物の特定の所望吸収特性に基づいて予め定められる。例えば、関節などの修復に長時間を要する組織部位に関しては、高密度のB粒子16の数と比較してより少ない低密度のA粒子14が選択されるため、組織部位におけるECMの持続性吸収をもたらすことが可能である。A粒子14とB粒子16との比率(A:B)は、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、2:3、3:4、2:1、3:1、3:2、4:3、または4:1から選択可能であり、これは治療される特定組織部位、および組織部位を治療するための粒子の所望の吸収特性に依存する。
【0060】
本発明のさらなる実施形態によれば、粒子混合物は3種類の粒子を含み、各種の密度は異なる。例えば、混合物は、低密度粒子、中間密度粒子、およびより高密度粒子を含む。例えば、本発明によれば、第3密度(C)のシートを粉砕することで第3密度Cの粒子を形成し、それはAシート20およびBシート22から形成される粒子の密度よりも高い。第3密度の粒子の所定数を測定し、A粒子14およびB粒子16の混合物に加える。第3密度の粒子は、例えば、1:1:1、1:1:2、1:1:3、1:1:4、1:2:1、1:2:2、1:2:3、1:2:4、1:3:1、1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:4:1、1:4:2、1:4:3、1:4:4、2:1:1、2:1:2、2:1:3、2:1:4、2:2:1、2:2:3、2:3:1、2:3:2、2:3:3、2:3:4、2:4:1、2:4:3、3:1:1、3:1:2、3:1:3、3:1:4、3:2:1、3:2:2、3:2:3、3:2:4、3:3:1、3:3:2、3:3:4、3:4:1、3:4:2、3:4:3、または3:4:4の(A:B:C)の比率から選択可能であり、これは治療する特定組織部位、および組織部位を治療するための粒子の所定の吸収特性に依存する。
【0061】
例えば、一実施形態では、本発明の組成物は2部の低密度粒子と1部の高密度粒子(2:1)を有し、創傷治療、すなわち皮膚および皮膚付属器の治療のために使用される。創傷に投与するとき、低密度粒子のより高い濃度は生理活性成分の急速な流入をもたらすため、低密度の粒子が生体吸収されるにつれて再生および修復の過程を活性化可能である。続いて高密度の粒子が徐々に吸収されるにつれて、移植部位において徐々に生理活性成分がより長期にわたって放出される。さらに、特定の生理活性成分は、組織部位の再生および修復の段階に向けて生理活性成分の放出を調整するように、低密度または高密度の粒子に加えることが可能である。
【0062】
他の実施形態では、本発明の組成物は、1部の低密度な粒子と4部の高密度な粒子(1:4)、または1部の最も低密度な粒子、2部のより低密度な粒子、および2部の最も高密度な粒子(1:2:2)を有し、腱または靭帯の修復のために使用される。腱または靭帯の再生および修復には、通常、より血管性およびより細胞性の身体部位よりも長時間を要する。従って、1:4または1:2:2の密度特性組成物は、従来のECMsと比較して、腱および靭帯の再生または修復のための組成物の長期の吸収特性をもたらす。
【0063】
さらに他の実施形態では、本発明の組成物は2部の低密度な粒子と3部の高密度な粒子(2:3)を有しており、急速な早期組織再生反応を促進するために瘢痕形成術または形成外科の応用に使用される一方で、長期にわたる肥厚性瘢痕形成の防止に役立つよう部位における持続的な生理活性成分の放出も有し得る。
【0064】
さらに他の実施形態では、本発明の組成物は1部の低密度な粒子と2部の高密度な粒子(1:2)を有し、軟組織増大に関与した応用に使用される。さらなる実施形態では、本発明の組成物は、1部の低密度な粒子と3部の高密度な粒子(1:3)を有し、眼科的な応用に使用される。
【0065】
本発明によれば、ECMシート20、22は粉砕前にそれらの密度を変更するよう処理可能である。ECMシートの密度は、例えば、機械的に材料を圧縮、材料を脱水、材料を真空化、材料を架橋結合、または材料を凍結乾燥させることによって増加可能である。ECMシートの密度は、例えば、水和、真空化での細孔構造の拡大、機械的に材料を拡大、または水中で材料を凍結させることによって減少可能である。
【0066】
第1密度Aを有する粒子および第2密度Bを有する粒子の混合物の作成方法における他の実施形態では、密度Aおよび密度Bの領域を有するECMシートからの粒子状物質を、ECMシートから取り出して混合する。例えば、図4に示すように、シート30を部分的に圧縮することで、第1低密度の領域A31および第2高密度の領域B32を有するシート30を形成可能である。その後、シート30を製粉して、低密度Aを有する領域A31からの粒子33および高密度Bを有する領域B32からの粒子34を生成する。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、圧縮されていないかまたは弱く圧縮されている部分と比べて圧縮されているシート30の一部分は、患者の任意の組織部位における粒子の所定の生体吸収特性に基づいて決定する。従って、例えば、A:B(低密度:高密度)が1:1の比率である粒子によって所望の生体吸収特性を達成しようとする場合、シートの半分を所望の密度に圧縮した後に、シートはAおよびBの密度の粒子混合物に粉砕される。一実施形態では、シート30の大きさをシート30の一部分を圧縮する前に選択し、そして全シート30を圧縮後に粉砕する。あるいは、他の実施形態では、全シート30からシート30の一部を切り取った後にシート30の一部分を圧縮し、切り取った部分を粉砕する。
【0068】
さらなる実施形態では、シート30の一部分を粉砕することで第3密度Cを得る。その後、シート30を製粉して、密度A、密度B、および第3密度Cを有する粒子混合物を生成する。第3密度はAよりも高密度またはAおよびBよりも高密度であり得る。
【0069】
異なる密度を有する粒子混合物の調製方法における他の実施形態を図5に示す。一実施形態によれば、第1密度AのECMシート40を第2密度BのECMシート41と結合させることで複合シート45を形成する。その後、複合シート45を粉砕して異なる密度を有する粒子混合物46を作成する。例えば、複合シート45を粉砕すると、混合物はシートAから生じる低密度のA粒子42、シートBから生じる高密度のB粒子43、およびAシート40およびBシート41の接合領域47から形成される中間密度のC粒子44を含む。
【0070】
異なる密度を有する粒子混合物の調製方法におけるさらなる実施形態を図6に示す。本実施形態によれば、粒子65は中心部61およびコーティング62を有する。中心部61は密度Xを有し、様々な密度を有するあらゆる種々のコーティング63、64、66で被覆され得る。例えば、いくつかの粒子65は、第1密度を有する第1材料66で被覆された中心部61を有しており、密度Aを有する粒子を生成する。その一方で、その他の粒子65は第2密度63を有する第2材料で被覆された中心部61を有しており、密度Bを有する粒子を生成する。また一方で、さらにその他の粒子65は第3密度64を有する第3材料で被覆された中心部61を有しており、第3密度Cを有する粒子を生成する。中心部61の被覆は、例えば、溶液からコーティングを粒子に沈着させることによって、ロールコータによって、または造粒機によって実施可能である。被覆のための材料は、例えば、ECM、UBMゲル、もしくはSISゲルなどのECMから作成されるゲル、PLGA、ヒアルロン酸、またはコラーゲンなどを含み得る。粒子65の中心部61は、本明細書に記載されるように、例えばECMsである。
【0071】
本発明の他の態様では、異なる密度の粉砕粒子混合物は、患者に移植するための合成または天然の創傷修復マトリックスなどのデバイスに被覆される。例えば、図7に示されるように、A低密度粒子52およびB高密度粒子53の混合物をECMシート50塗布する。粒子52、53は、例えば、圧縮または接着剤の使用によりシートに接着する。従って、シート50を患者の組織部位に移植すると、粒子52、53は患者の組織部位に接触するためのより多くの表面を提供する。一実施形態では、A粒子52およびB粒子53はECMシート50よりも高密度であるため、シート50が完全に吸収された後、組織は粒子52および53の存在下で修復し続ける。残存した粒子52、53によって、組成物の粒子52、53が完全に吸収される前の組織の修復を可能とする。
【0072】
さらなる実施形態では、合成または天然の創傷修復マトリックスなどのデバイスに被覆される異なる密度の粉砕粒子混合物は、癒着防止材用として患者に移植される。例えば、図7に示されるように、シート形状50のマトリックスは、例えば、片面が本発明による異なる密度の粒子52、53で被覆されて患者に移植される。移植部位において形成されるあらゆる癒着はマトリックスの粒子面に付着し、粒子52、53が吸収されるにつれて、癒着はもはやマトリックスに付着したままにはならないが、粒子には付着し、その後癒着は吸収される。別の実施形態では、本発明による異なる密度の粒子は、第1高密度の第1マトリックスシートと低密度の第2マトリックスシートとの間に挟まれて、移植片を形成する。移植片は、高密度のマトリックスシートが修復を必要とする組織に面して移植され、低密度のシートが患者の体内で外側を向くように、患者の部位に移植される。癒着が低密度のシートに面して外側に形成されると、低密度のシートは吸収され、移植片の高密度部分からのあらゆる癒着を非付着性にし、その後、続いて癒着はマトリックスの低密度シートと共に患者に吸収される。
【0073】
一実施形態では、粒子52、53の混合物をシート50の片面に接着させる。一方で、他の実施形態では、粒子52、53の混合物をシート50の全面に接着させる。例えば、シート50は患者に60日以内に生体吸収され、低密度A粒子は7日で生体吸収され、高密度B粒子は30日以内に患者に生体吸収される。
【0074】
さらなる実施形態では、本発明による粉砕粒子混合物を、患者の組織部位における機器の移植の前に外科用医療機器に被覆する。例えば、低密度のA粒子および高密度のB粒子の混合物を、限定されるものではないが、ステント、心臓用オクルーダ(cardiac occluder)、縫合材料、またはメッシュなどの医療移植片に被覆する。粒子は、例えば、化学結合、ペプチドリンカー、シアノアクリレートもしくはフィブリン接着剤などの生体吸収性接着剤によって、または粒子の機器上における凍結乾燥、もしくは粒子の機器への圧着など、力学的手段によって機器に接着される。一旦機器が患者の組織部位に移植されると、低密度のA粒子はすばやく吸収され、患者の組織部位において初期再生反応をもたらす。その一方で、高密度のB粒子は、組織部位が完全に修復されるまで完全に生体吸収されない。例えば、低密度のA粒子は、例えば7日以内に患者に生体吸収され、一方で、高密度のB粒子は、例えば30日以内に患者に生体吸収される。
【0075】
他の態様では、本発明は、患者の組織部位における移植のために異なる密度部分を有する移植片を形成する、異なる密度の粒子凝集体を含む。本発明によれば、図8Aおよび8Bに示すように、高密度粒子Bを圧縮することで、例えばヒトなどの哺乳動物の身体部位または身体部位の一部分を複製する形状を形成し、移植片70、72の中心部71a、bを形成する。その後、低密度の粒子Aを、B粒子の中心部71a、b周りで圧縮するか、または被覆することで、移植片71、72の周辺層を形成する。図8Aに示すように、AおよびB粒子は卵形移植片70を形成することで、例えば腎臓または肝臓における交換または修復に使用される。図8Bに示すように、周辺Aおよび中心部B粒子はほぼ三角形状の移植片72を形成することで、例えば鼻における交換または修復に使用される。
【0076】
移植片70、72は、例えば、再生または修復を必要とする患者の部位に移植される。移植時に、低密度を有する周辺A粒子は、患者の組織部位において即時の修復および再生の反応をもたらす。周辺A粒子が急速に生体吸収された後、高密度の中心部71a、bのB粒子は、周辺A粒子のみの場合よりも、長期にわたって患者の組織部位において修復および再生の反応をもたらし続ける。中心部71a、bのB粒子は、組織部位が修復されるまで、通常患者に完全に吸収されない。例えば、低密度の周辺Aの粒子は、例えば14日以内患者に生体吸収され、一方で高密度の中心部Bの粒子は、例えば60日以内に患者に生体吸収される。
【0077】
さらなる実施形態では、図9に示すように、移植片74は低密度Aの粒子76と高密度Bの粒子78との混合物を圧縮することで形成可能である。低密度粒子76は速い速度で吸収され、それにより移植片中でチャネルを形成して体組織に空間をもたらすことで、移植片中で成長可能である。一方で、高密度粒子はよりゆっくりと吸収され、組織の再生および修復が起こるにつれて構成物の構造的支持をもたらし、かつ、高密度粒子が吸収されるにつれて徐々に生理活性成分を放出する。移植片74は、腎臓、脾臓、鼻、耳、肝臓、骨、またはその他の体器官などの任意の数の立体形状に圧縮可能である。
【0078】
本発明の他の実施形態では、様々な密度の圧縮粒子の立体形状を、天然の生物組織の密度を模倣して作成する。例えば、一実施形態では、構成物は、例えばシートの片面を高密度の粒子状物質で作成し、より高密度の粒子状物質をもう片面に配置する。このような構成物は骨と軟骨との接合面において使用可能であり、高密度部分を骨の欠損部に挿入し、一方で低密度部分を軟骨の欠損部に配置する。よりゆっくりと吸収されればされるほど、よりゆっくりと高密度の粒子が骨の生成速度に従って再構築し、その結果、骨と一致する高密度の組織を再生する。その一方で、低密度部分はより早く再構築し、軟骨と一致する低密度の組織を作成する。また、本発明は、例えば、脊椎円板または筋腱接合部の天然密度変化を模倣するよう設計された、異なる密度領域を有する圧縮粒子の立体構成物も検討する。
【0079】
さらなる実施形態では、図10に示すように、シート80は、低密度Aの粒子81と高密度Bの粒子82との混合物を圧縮することで形成される。シート80は、例えば、粒子を水和させ、機械力または減圧を適用して粒子を共に圧縮することで形成し、ケーキまたはウエハース状の構成物を形成することが可能である。シートをサイズ調整するために切断し、および/または移植部位に適合するように曲げるかまたは包むことで、シート80は、例えば皮膚などの局所的な創傷を治療するためだけでなく、ヘルニア、腸、腸管、血管、心臓、またはその他のあらゆる臓器など、その他の身体部分を治療するためにも使用可能である。その異なる密度粒子を有するシート80は、低密度の粒子が生体吸収された結果、移植時に分解し得、移植部位における組織の再生および修復のためのより大きな表面積をもたらす。シート形状82は移植部位への塗布が容易であるという利点を有するだけでなく、1つの密度の材料のみで作成されたシートとは対照的に、粒子81、82が異なる速度で吸収されるにつれて移植部位における持続的な再生反応をもたらす能力も有する。
【0080】
さらなる実施形態では、図11に示すように、異なる密度の粒子混合物91、すなわち第1密度のA粒子92および第2密度のB粒子93を、ECMシート94の間に挟む。例えば、第1密度Aの粒子92および第2密度Bの粒子93の粉末形状混合物をUBMまたはSISのシート94の間に挟むことで、疎性の粒子91およびシート94の多重薄層構成物95を形成可能である。シート94および粒子92、93の混合物91における任意の数の交互層が、本発明によって構成可能である。例えば、一実施形態では、第1シート94Aを粒子混合物91で覆い、粒子混合物91を第2シート94Bで覆い、第2シート94Bを粒子混合物91で覆い、かつ第3シート94Cを付加することで、シート−粒子−シート−粒子−シートの多重薄層構成物95を形成することが可能である。多重薄層構成物シート95は、患者の部位に移植されると、部位における組織再生のための微細構造をもたらす。一方で、様々な速度に分かれる粒子92、93は、移植部位において再生を補助するために生理活性因子を継続して供給する。
【0081】
さらなる実施形態では、低密度Aの粒子および高密度Bの粒子は、例えば、β型リン酸三カルシウム(βTCP)、ヒドロキシアパタイト、牛焼成骨(sintered bovine bone)、豚焼成骨(sintered porcine bone)、脱塩同種移植骨、または石灰化した同種移植骨などの、骨代替材料と組み合わせ可能である。別の実施形態では、骨粒子および本発明の異なる密度のECM粒子は、接着剤、結合剤、またはあらゆるその他の添加剤を用いずに混合可能である。粒子は骨代替材料に被覆および/または注入される。骨代替材料が患者の組織部位に移植されると、骨代替材料は欠損を安定化するために強固な構造をもたらし、一方で、低密度な粒子は部位における急速な組織修復を促進する。高密度な粒子が低密度な粒子よりも低速で生体吸収されるため、長期間の間、高密度な粒子は移植部位における組織修復を維持する。高密度粒子は組織部位が修復するまで、通常は完全に生体吸収されない。
【0082】
本発明の他の実施形態によれば、低密度Aの粒子および高密度Bの粒子を有する粒子混合物は、粉末形状で提供される。粉末は1〜1000μmの粒子を有する。粉末は、例えば、皮膚の傷口、擦傷、切開、または刺傷などの患者の組織部位に局所的に散布可能であり、または組織部位が手術の間に露出しているときに、粉末形状を組織部位に散布することが可能である。他の実施形態では、異なる密度の粒子は、例えば、喘息治療において投与するために使用されるような吸入器を使用して、吸入により投与される。
【0083】
別の実施形態では、低密度Aの粒子および高密度Bの粒子の混合物は、液体、ゲル、またはペーストの媒体中で維持される。液体またはゲルは患者の組織部位に注射器を用いて注入される。あるいは、液体またはゲルはチューブ内で保持され、チューブを圧搾して組織部位に塗布する。さらなる実施形態では、粉末、液体、ゲルまたはペーストの組成物は、第3密度の粒子を含む。
【0084】
他の態様では、本発明は、修復または再生を必要とする、患者の組織部位において組織再生速度を調節する方法を包含する。本方法は患者の部位へ少なくとも2種の粒子を含む混合物を投与することを必要とし、それぞれの種類は異なる密度を有しており、1種の粒子は他の種の粒子よりも高密度である。異なる密度の粒子は、それらの個々の生体吸収特性に基づいて混合物を形成するよう選択される。すなわち、高密度の粒子は、それらが低密度の粒子よりも組織部位において吸収されるのに時間をより要するために選択され、低密度の粒子は、それらが組織部位において速く吸収され得るために選択される。本発明によれば、特に医師は、修復または再生される特定の組織部位に応じた特定の生体吸収速度を有する粒子を得るように混合物を選択する。混合物は、例えば、組織部位への注入によって局所的に患者に投与されるか、または組織部位へ外科的に送達され得る。
【0085】
本発明による組成物を用いて治療可能な組織部位としては、限定されるものではないが、頭頸部の構造、滑膜を含む関節、関節包、唇、関節内の靱帯および軟骨、椎間板、骨盤底、腱、骨、靭帯、腎臓、脾臓、肝臓、筋組織、膀胱、尿管、子宮、腸、膵臓、血管、皮膚および皮膚付属器、心臓内構造を含む心臓、鼻、耳、胸、または体腔が挙げられる。
【実施例】
【0086】
1.慢性皮膚潰瘍の組織再生
ECM粒子の混合物を、50〜1000μmの大きさで約0.05g/cmの密度を有する60mgのUBM粒子、および50〜500μmの大きさで約0.25g/cmの密度を有する20mgのUBM粒子を、重量に基づき3:1の粒子割合で用いて作成する。混合物を慢性皮膚潰瘍に局所的に投与する。10日以内に、0.05g/cmの粒子が吸収され、組織再生が創傷部位において観察される。30日以内に、0.25g/cmの粒子が吸収され、創傷部位の組織が完全に再生する。
【0087】
2.腎臓の組織再生
ECM粒子の混合物を、腫瘍が切除された腎臓部位へ移植するために調製する。ECM粒子の混合物を、500〜1000μmの大きさで約0.10g/cmの密度を有する200mgのUBM粒子、および50〜500μmの大きさで約0.35g/cmの密度を有する1000mgのUBM粒子を、重量に基づき1:5の粒子割合で用いて作成する。混合物を患者に注射器を用いて外科的に移植する。20日以内に、0.10g/cmの粒子が吸収され、磁気共鳴画像法によって組織再生が創傷部位において観察される。60日以内に、0.35g/cmの粒子が吸収され、磁気共鳴画像法で観察されるように、創傷部位の組織は完全に再生する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体吸収性粒子状物質の組成物であって、患者の部位への移植において第1密度および第1吸収速度を有する複数の第1生体吸収性粒子、および患者の部位への移植において第2密度および第2吸収速度を有する複数の第2粒子を含み、前記第2密度は前記第1密度の少なくとも150%であり、前記第2吸収速度は前記第1吸収速度の約1〜約10倍の範囲であり、前記複数の第1および第2の生体吸収性粒子は、哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する組成物。
【請求項2】
請求項1の混合物であって、前記複数の第1生体吸収性粒子は第1生体吸収性材料を含み、前記複数の第2粒子は第2生体吸収性材料を含む混合物。
【請求項3】
請求項2の混合物であって、前記第1または第2の生体吸収性材料は、細胞外マトリックス、コラーゲン、吸収性ポリマー、またはヒアルロン酸から成る群より選択される混合物。
【請求項4】
請求項1の混合物であって、前記第2密度は前記第1密度の150%〜500%である混合物。
【請求項5】
異なる密度を有する生体吸収性粒子状物質の混合物を調製する方法であって、
(a)第1密度および第1吸収速度を有する生体吸収性材料の第1シートを提供し、および前記シートを複数の第1粒子に製粉し、
(b)第2密度および第2吸収速度を有する生体吸収性材料の第2シートを提供し、および前記シートの複数の第2粒子に製粉し、
(c)前記複数の第1粒子の所定量を提供し、および該所定量を前記複数の第2粒子の所定量と混合することを含み、
前記複数の第2粒子の密度は前記複数の第1粒子の密度の少なくとも150%であり、前記第1吸収速度は前記第2吸収速度の少なくとも1.5倍であり、
前記複数の第1生体吸収性粒子および前記複数の第2生体吸収性粒子は、哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する方法。
【請求項6】
請求項5の方法であって、製粉前に前記第2シートを圧縮または薄層化することで、その密度を前記第1シートと比較して増加させることをさらに含む方法。
【請求項7】
請求項5の方法であって、製粉前に前記第1シートを凍結乾燥することで、その密度を前記第2シートと比較して減少させることをさらに含む方法。
【請求項8】
請求項5の方法であって、前記第1シートおよび前記第2シートは細胞外マトリックスを含む方法。
【請求項9】
請求項5の方法であって、前記第2密度は前記第1密度の150%〜500%である方法。
【請求項10】
異なる密度を有する生体吸収性粒子状物質の混合物を調製する方法であって、
第1密度の生体吸収性材料シートを提供し、前記シートの一部分を圧縮することで、該一部分が前記第1密度の少なくとも150%である第2密度を含み、かつ、
前記シートを複数の粒子に製粉すること含み、
前記生体吸収性材料シートは、哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する方法。
【請求項11】
修復または再生を必要とする患者の解剖学的部位における組織修復の速度を調節する方法であって、該方法は、
第1密度を有する複数の第1生体吸収性粒子、および前記第1密度の少なくとも150%の第2密度を有する複数の第2生体吸収性粒子を含む混合物を、患者の部位へ投与することを含み、
前記複数の第2生体吸収性粒子は、前記複数の第1生体吸収性粒子の吸収速度よりもゆっくりと患者の組織に吸収されるため、前記部位における前記複数の第2粒子の治療効果を延長可能であり、前記複数の第1および第2生体吸収性粒子は、哺乳動物患者の前記解剖学的部位において移植されると、組織の再生および修復を促進する方法。
【請求項12】
請求項11の方法であって、前記生体吸収性粒子の混合物を調製する段階をさらに含み、前記調製は、
(a)前記患者の部位における修復または再生のための吸収性組成物の最適吸収速度を決定する段階、
(b)前記患者の部位への移植において、第1密度および段階(a)に基づく前記最適吸収速度を有するように、前記複数の第1生体吸収粒子を選択する段階、および
(c)前記患者の部位への移植において、前記複数の第1粒子の密度よりも高密度である第2密度を有し、かつ段階(a)および(b)に基づく前記複数の第1生体吸収性粒子の吸収速度よりも遅い吸収速度を有するように、前記複数の第2生体吸収性粒子を選択する段階を含む方法。
【請求項13】
請求項11の方法であって、前記生体吸収性粒子は液体またはゲルの媒体にて前記患者の部位に送達される方法。
【請求項14】
請求項11の方法であって、前記生体吸収性粒子は前記患者の部位に注入される方法。
【請求項15】
請求項11の方法であって、前記混合物は前記部位に局所的に投与される方法。
【請求項16】
第1密度の細胞外マトリックス粒子および第2密度の細胞外マトリックス粒子を含む、人間の患者に移植するための移植片であって、前記粒子は圧縮されて立体物体を形成し、第1密度の前記粒子および第2密度の前記粒子は、前記人間の患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する移植片。
【請求項17】
請求項16の移植片であって、前記細胞外マトリックスは、UBS、SIS、またはUBMである移植片。
【請求項18】
請求項16の移植片であって、前記第1密度の粒子は前記第2密度の粒子よりも高密度であり、前記第1密度の粒子は前記移植片の中心部を形成し、前記第2密度の粒子は前記移植片の外面を形成する移植片。
【請求項19】
細胞外マトリックス粒子の混合物を調製する方法であって、
同一密度を有する複数の細胞外マトリックス粒子を調製し、
前記複数の粒子の第1部分を第1密度を有するコーティングで被覆し、
前記複数の粒子の第2部分を第2密度を有するコーティングで被覆し、
前記粒子の第1部分を前記粒子の第2部分と混合することで、前記粒子の混合物を形成することを含み、
前記複数の粒子は哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する方法。
【請求項20】
細胞外マトリックス組成物であって、
細胞外マトリックスの第1シート、
細胞外マトリックスの第2シート、および
第1密度を有する複数の第1細胞外マトリックス粒子および前記第1密度の少なくとも150%の第2密度を有する複数の第2細胞外マトリックス粒子を含み、
前記複数の第1粒子および前記複数の第2粒子は前記細胞外マトリックスの第1シートと第2シートとの間に含まれて、前記複数の第1および第2細胞外マトリックス粒子は哺乳動物患者の組織部位に移植されると、組織の再生および修復を促進する組成物。

【図8A】
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【図8B】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−500065(P2013−500065A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521747(P2012−521747)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/042701
【国際公開番号】WO2011/011484
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512015851)アセル,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】