説明

異物検出装置、異物検出方法、及び、紙葉類処理装置

【課題】 紙葉類に貼付されている光沢物及び蛍光体を簡易な構成で検出することができる異物検出装置、異物検出方法、及び、紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】 異物検出装置1は、蛍光体を励起させ第3波長帯域の蛍光を発生させる第1波長帯域の光と前記第3波長帯域とは異なる第2波長帯域の光とを紙葉類7に対して照射する。前記紙葉類7からの光を受光し、受光した光のうちの少なくとも前記第2波長帯域及び前記第3波長帯域の光を撮像して画像を取得し、取得した画像に基づいて光沢物52及び蛍光体51を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、紙葉類に貼付されている光沢物及び蛍光体を検出する異物検出装置、異物検出方法、及び、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有価証券、または紙幣などの紙葉類を計数及び鑑査し、この鑑査結果に応じて施封処理や裁断処理を行なう機器本体と、この機器本体とUSBもしくはLANなどのケーブルにより接続され、上記機器本体の計数情報を管理する管理端末とからなる紙葉類処理装置が実用化されている。
【0003】
このような紙葉類処理装置では、破損箇所にセロハンテープ、若しくはメンディングテープなどの粘着テープが貼付されている紙葉類を処理する場合がある。この場合、紙葉類処理装置は、粘着テープが貼付された紙葉類が再び流通しないようにする為に、紙葉類を抜き出して裁断する。この為に、紙葉類処理装置は、紙葉類に粘着テープが貼付されているか否かを判定する必要がある。
【0004】
そこで、吸収率の大きい波長の紫外光と、吸収率の小さい波長の紫外光とを粘着テープに対して照射し、照射した各紫外光が粘着テープにより正反射された光を撮像してそれぞれ画像を取得し、取得した各画像の差、または比率により粘着テープを検出する検出装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−303679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した検出装置は、紙葉類上に貼付されているセロハンテープなどの光沢物及びメンディングテープなどの蛍光特性を持つ異物(蛍光体)を検出する場合、光沢物と蛍光体のそれぞれに対して個別に照明装置、光学系、及び撮像素子を配置する必要があり、装置が大きくなってしまうという問題がある。また、照明装置、光学系、及び撮像素子の必要数が増える為、コストが嵩むという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、紙葉類に貼付されている光沢物及び蛍光体を簡易な構成で検出することができる異物検出装置、異物検出方法、及び、紙葉類処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態としての紙葉類処理装置は、紙葉類上に添付されている光沢物及び蛍光体を検出する異物検出装置であって、前記蛍光体を励起させ第3波長帯域の蛍光を発生させる第1波長帯域の光と前記第3波長帯域とは異なる第2波長帯域の光とを紙葉類に対して照射する照明装置と、前記紙葉類からの光を受光する光学系と、前記光学系により受光した光を撮像する少なくとも前記第2波長帯域及び前記第3波長帯域を感度領域として含む撮像手段と、前記撮像手段により取得した画像に基づいて光沢物及び蛍光体を検出する検出手段と、を具備する。
【0008】
また、本発明の一実施形態としての異物検出方法は、紙葉類上に添付されている光沢物及び蛍光体を検出する異物検出装置に用いられる異物検出方法であって、前記蛍光体を励起させ第3波長帯域の蛍光を発生させる第1波長帯域の光と前記第3波長帯域とは異なる第2波長帯域の光とを紙葉類に対して照射し、前記紙葉類からの光を受光し、前記受光した光のうちの少なくとも前記第2波長帯域及び前記第3波長帯域の光をそれぞれ撮像し、前記撮像することにより取得した各画像に基づいて光沢物及び蛍光体を検出する。
【0009】
また、本発明の一実施形態としての紙葉類処理装置は、紙葉類上に添付されている光沢物及び蛍光体を検出する異物検出装置を有する紙葉類処理装置であって、前記紙葉類を搬送する搬送手段と、前記蛍光体を励起させ第3波長帯域の蛍光を発生させる第1波長帯域の光と前記第3波長帯域とは異なる第2波長帯域の光とを前記搬送手段により搬送される前記紙葉類に対して照射する照明装置と、前記紙葉類からの光を受光する光学系と、前記光学系により受光した光を撮像する少なくとも前記第2波長帯域及び前記第3波長帯域を感度領域として含む撮像手段と、前記撮像手段により取得した画像に基づいて光沢物及び蛍光体を検出する検出手段と、を具備する。
【発明の効果】
【0010】
この発明の一形態によれば、紙葉類に貼付されている光沢物及び蛍光体を簡易な構成で検出することができる異物検出装置、異物検出方法、及び、紙葉類処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る異物検出装置、異物検出方法、及び、紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る紙葉類処理装置1を概略的に示す図である。図2は、図1に示す紙葉類処理装置1の読み取り位置付近の構成を紙葉類の搬送方向に直行する向きから見た図である。
【0013】
紙葉類処理装置1は、紙葉類上に貼付されているセロハンテープなどの光沢物及びメンディングテープなどの蛍光特性を持つ異物(蛍光体)を検出する異物検出装置を含む。図1に示すように、異物検出装置は、光源2、フィルタF、カメラ3、及び画像処理部4などを含む。紙葉類処理装置1は、この異物検出装置と制御部5とローラ6とを備えている。なお、異物検出装置が制御部5を有するようにしても良い。
【0014】
光源2は、少なくとも、紫外光から赤色光までの帯域を含む広い発光帯域の光を発する光源、若しくは、例えば、キセノンランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプなどのような多様な帯域の光を発する光源である。光源2は、ローラ6により搬送される紙葉類7に対して光を照射する。
【0015】
フィルタFは、図3に示すように、例えば、波長が380nm未満である紫外領域の波長の光(紫外光)及び波長が605nm以上750nm未満である赤色領域の波長の光(赤色光)のみを透過させる透過特性を有するフィルタである。この光源2及びフィルタFにより、紙葉類7に紫外光と赤色光を照射する照明装置が構成されている。
【0016】
即ち、照明装置は、紫外光を紙葉類7に対して照射する紫外光照射手段として機能する。また、照明装置は、赤色光を紙葉類7に対して照射する赤色光照射手段として機能する。
【0017】
カメラ3は、光を受光するための図示しないレンズなどの光学系と、光学系により受光した光を電気信号に変換して画像(信号)を取得することができる撮像手段としての撮像素子とを備えている。このカメラ3は、すくなくとも、青色領域を感度領域として含む撮像素子と、赤色領域を感度領域として含む撮像素子とを備えている。即ち、カメラ3は、435nm以上480nm未満の波長を感度領域とする撮像素子と、605nm以上750nm未満の波長を感度領域とする撮像素子とを備えている。
【0018】
画像処理部4は、カメラ3により取得した画像に対して、例えば二値化処理を施し、セロハンテープ及びメンディングテープなどの粘着テープを検出する。
【0019】
制御部5は、光源2、カメラ3、画像処理部4、及び、ローラ6の動作を総合的に制御する。制御部5は、記憶手段として機能するメモリを備えている。メモリは、例えば、ROM、及びRAMなどにより構成され、ROMは、制御用のプログラム、および制御データなどを予め記憶している。また、RAMは、ワーキングメモリとして機能し、制御部5が処理中のデータなどを一時保管する。また、制御部5は、カメラ3により取得した画像(信号)に基づいて光沢物、及び蛍光体を検出する検出手段として機能する。
【0020】
ローラ6は、紙葉類7を図1に示す矢印aの方向に搬送するための搬送機構である。
【0021】
図2に示すように、光源2は、光源2からの光が入射角θで紙葉類7上のカメラ3の読み取り位置に照射される位置に配置される。カメラ3は、光源2から照射された光が紙葉類7により反射角θで反射された反射光の光軸に配置される。即ち、入射角θと反射角θの角度は等しいので、カメラ3の読み取り位置に光沢物などの鏡面体が存在する場合、カメラ3は、光源2から照射された光が光沢物により正反射された正反射光を受光する。
【0022】
フィルタFは、光源2とカメラ3の読み取り位置との間に設置されている。即ち、光源2から発せられた光の一部がフィルタFにより吸収され、紫外光及び赤色光のみが透過され、透過された紫外光及び赤色光が入射角θでカメラ3の読み取り位置に照射される。即ち、カメラ3の読み取り位置に照射される光は、紫外領域の波長の光及び赤色領域の波長の光のみである。
【0023】
本実施形態では、フィルタFを用いて紫外領域の波長の光及び赤色領域の波長の光のみを照射する構成を実現したが、これに限定されない。例えば、照明装置は、紫外領域の波長の光を発する発光ダイオードと、赤色領域の波長の光を発する発光ダイオードとが組み合わされた構成であっても良い。
【0024】
図4は、蛍光体51が貼付されている紙葉類7を処理する場合の説明図である。
図4(A)に示すように、紙葉類処理装置1は、表面の一部にメンディングテープなどの蛍光体51が貼付されている紙葉類7を処理するとする。
【0025】
即ち、蛍光体51は、X線、紫外線(紫外光)、若しくは可視光などの励起光のエネルギーが蛍光体51を構成する原子の電子を励起させることにより蛍光が発せられる蛍光特性を有している。
【0026】
図4(B)に示すように、紙葉類処理装置1は、蛍光体51の貼付された紙葉類7を矢印aの方向に搬送しつつ、光源2により光を照射する。この際、光源2から発せられた光は、フィルタFにより紫外光及び赤色光のみが透過され、紙葉類7に照射される。
【0027】
紙葉類7に照射された紫外光及び赤色光は、蛍光体51を構成する原子の電子を励起させることにより蛍光を発生させる。ここで、蛍光体51から発せられる蛍光は、励起光より長い波長の光に励起されている。紫外光は、例えば、波長が435nm以上480nm未満である青色光に励起される。また、赤色光は、例えば、波長が750nm以上の紫赤色光に励起される。なお、励起されることにより変わる波長は、蛍光体51の原子構造により異なる。
【0028】
また、紙葉類7に照射された紫外光及び赤色光は、蛍光体51及び紙葉類7の表面で拡散反射及び正反射される。即ち、蛍光体51が貼付されている位置では、拡散反射及び正反射された紫外光及び赤色光と、励起された青色光及び紫赤色光の蛍光とが発せられ、カメラ3の光学系に入射される。また、蛍光体51が貼付されていない位置では、拡散反射及び正反射された紫外光及び赤色光が発せられ、カメラ3の光学系に入射される。
【0029】
カメラ3は、青色領域を感度領域として含む撮像素子と、赤色領域を感度領域として含む撮像素子とにより、光学系に入射した光を撮像する。青色領域を感度領域として含む撮像素子は、光学系に入射した光を撮像することにより、図4(C)に示すような信号を出力する。
【0030】
図4(C)は、縦軸を光強度、横軸を紙葉類7上の撮像位置とした青色領域を感度領域として含む撮像素子の出力信号を示す図である。紙葉類7上で拡散反射及び正反射された光には青色光は含まれていない為、図4(C)に示すように、Lowレベルの信号が検出される。蛍光体51が貼付されている位置では、蛍光の中に青色光が含まれているため、図4(C)に示すように、Highレベルの信号が検出される。
【0031】
紙葉類処理装置1の制御部5は、検出された信号のHighレベルとLowレベルとの中間値に閾値を設ける、若しくは、検出された信号を二値化することにより、蛍光体51を検出することができる。即ち、制御部5は、青色光を撮像することにより取得した画像信号に基づいて蛍光体51を検出することができる蛍光体検出手段として機能する。
【0032】
なお、赤色領域を感度領域として含む撮像素子の出力信号には、蛍光体51が貼付されている、貼付されていないに関わらず、その拡散反射及び正反射された反射光に赤色光が含まれているため、差が検出されない。
【0033】
図5は、光沢物52が貼付されている紙葉類7を処理する場合の説明図である。
図5(A)に示すように、紙葉類処理装置1は、表面の一部にセロハンテープなどのなどの光沢物52が貼付されている紙葉類7を処理するとする。
【0034】
光沢物52の表面は、鏡面体になっている。この為、光沢物52の表面では、図6に示すように、光沢物52に入射された光が入射角と同じ角度で反射される正反射光33が発生する。また、光沢物52は、完全な鏡面体ではない為、図6に示すように、光沢物52に入射された光が入射角とは異なる角度で反射される拡散反射光34も同時に発生する。なお、正反射された光は、拡散反射された光に比べてその光強度が強くなる。
【0035】
なお、紙葉類7の表面でも正反射は発生するが、光沢物52に比べて表面の原子の配列が規則的に揃っていない為、正反射された光と拡散反射された光との差が光沢物52によるものに比べてより小さい。
【0036】
図5(B)に示すように、紙葉類処理装置1は、光沢物52が貼付された紙葉類7を矢印aの方向に搬送しつつ、光源2により光を照射する。この際、光源2から発せられた光は、フィルタFにより紫外光及び赤色光のみが透過され、紙葉類7に照射される。
【0037】
紙葉類7に照射された紫外光及び赤色光は、光沢物52により正反射及び拡散反射される。ここでは、正反射された光の光軸を撮像するようにカメラ3が設置されている。これにより、拡散反射された光の検出信号は、正反射された光の検出信号に比べて極めて小さい為、拡散反射された光を無視することが出来る。
【0038】
即ち、光沢物52が貼付されている位置では、正反射された紫外光及び赤色光が発せられ、カメラ3の光学系に入射される。また、光沢物52が貼付されていない位置では、光沢物52が貼付されている位置からの反射光に比べてより光強度の弱い光が発せられ、カメラ3の光学系に入射される。
【0039】
カメラ3は、青色領域を感度領域として含む撮像素子と、赤色領域を感度領域として含む撮像素子とにより、光学系に入射した光を撮像する。赤色領域を感度領域として含む撮像素子は、光学系に入射した光を撮像することにより、図5(C)に示すような信号を出力する。
【0040】
図5(C)は、縦軸を光強度、横軸を紙葉類7上の撮像位置とした赤色領域を感度領域として含む撮像素子の出力信号を示す図である。紙葉類7上で拡散反射及び正反射された光は、光沢物52上で正反射された光に比べて光強度が弱い為、図5(C)に示すように、Lowレベルの信号として検出される。光沢物52が貼付されている位置では、正反射された光を撮像素子が検出するため、図5(C)に示すように、Highレベルの信号が検出される。
【0041】
紙葉類処理装置1の制御部5は、検出された信号のHighレベルとLowレベルとの中間値に閾値を設ける、若しくは、検出された信号を二値化することにより、光沢物52を検出することができる。即ち、制御部5は、赤色光を撮像することにより取得した画像信号に基づいて光沢物52を検出することができる光沢物検出手段として機能する。
【0042】
なお、青色領域を感度領域として含む撮像素子の出力信号には、光沢物52が貼付されている、貼付されていないに関わらず、その拡散反射及び正反射された反射光に青色光が含まれていないため、信号が検出されない。
【0043】
上記したように、紙葉類処理装置1は、検査対象物に対して紫外光及び赤色光を照射し、蛍光体を励起させることにより発生した青色光の検出信号に基づいて、蛍光体51を検出し、光沢物52により正反射された赤色光の検出信号に基づいて、光沢物52を検出することができる。この結果として、紙葉類に貼付されている光沢物及び蛍光体を簡易な構成で検出することができる異物検出装置、異物検出方法、及び、紙葉類処理装置を提供することができる。
【0044】
カメラ3の撮像素子として青色領域を感度領域として含む撮像素子と、赤色領域を感度領域として含む撮像素子とが用いられているとしたがこれに限定されない。例えば、RGBカラーラインイメージセンサを用いることにより、本発明を実現することが出来る。
【0045】
図7は、RGBカラーラインイメージセンサ35を撮像素子として用いる場合の構成を説明するための説明図である。
【0046】
RGBカラーラインイメージセンサ35は、青色領域を感度領域として含む撮像素子と、赤色領域を感度領域として含む撮像素子と緑色領域を感度領域として含む撮像素子とがそれぞれ一ラインずつ配列されている撮像素子である。
【0047】
即ち、光源2から発せられた光は、フィルタFにより紫外光及び赤色光のみが搬送される紙葉類7に照射される。照射された光が紙葉類7上の蛍光体51が貼付されている位置において反射、若しくは励起することにより、赤紫色光及び青色光が発せられる。また、照射された光が紙葉類7上の光沢物52が貼付されている位置において反射することにより、強い赤色光及び紫外光が発せられる。また、照射された光が紙葉類7上の蛍光体51も光沢物52も貼付されていない位置において反射することにより、弱い赤色光及び紫外光が発せられる。
【0048】
反射、若しくは励起することにより発生した光は、それぞれカメラ3の光学系に入射する。光学系に入射した光のうち、青色光は、RGBカラーラインイメージセンサ35のうちの1ラインに並べられた青色領域を感度領域として含む撮像素子により結像される。赤色光は、RGBカラーラインイメージセンサ35のうちの1ラインに並べられた赤色領域を感度領域として含む撮像素子により結像される。紫外光は、RGBカラーラインイメージセンサ35では結像されない。
【0049】
図7に示すように、Red、Green、及びBlueの各色のラインイメージセンサが1列ずつ並べられている場合、入射角と等しい角θで反射される正反射光が撮像素子に入射するため、撮像素子に入射する光のうちの正反射光の比率が拡散反射光に比べて大きくなる。この為、拡散反射光の影響が少なくなる為、光沢物52の正確な検知が可能となる。
【0050】
しかし、実際に紙葉類7を処理する場合、例えば、傾きやしわなどにより紙葉類7の読み取り位置における角度が変動する場合がある。例えば、図5(C)に示すように、本来の正反射光の反射角θからαだけずれた場合、RGBカラーラインイメージセンサ35は拡散反射光のみを撮像することになる。この場合、紙葉類7に光沢物52が貼付されているとしても、正反射光を撮像することが出来ないため、光沢物52を検出することが出来なくなる可能性があるという問題がある。
【0051】
そこで、例えば、カメラ3の撮像素子としてRGBカラーエリアイメージセンサを用いることにより、この問題を解決することが出来る。
【0052】
図8及び9は、他の実施形態に係る紙葉類処理装置1の読み取り位置付近の構成を概略的に示す図である。本実施形態では、RGBカラーエリアイメージセンサ36を撮像素子として用いる。
【0053】
RGBカラーエリアイメージセンサ36は、青色領域を感度領域として含む撮像素子と、赤色領域を感度領域として含む撮像素子と緑色領域を感度領域として含む撮像素子とが2次元的に複数配列されている撮像素子である。この為、RGBカラーラインイメージセンサ35に比べて、撮像することが出来る領域が広くなる。
【0054】
例えば、図8、若しくは図9に示すように、光沢物52が貼付された紙葉類7がαの角度で傾くことにより、入射角θはθ−α、若しくはθ+αとなる。また、反射角も同様にθ−α、若しくはθ+αとなる。この場合、カメラ3の光学系に入射する正反射光は、紙葉類7に傾きがない場合に比べて2αずれる。
【0055】
しかし、RGBカラーエリアイメージセンサ36は、図8に示すように、各色の撮像素子が2次元的に配列されている為、RGBカラーラインイメージセンサ35に比べて大きな受光幅を持っている。即ち、撮像素子にRGBカラーエリアイメージセンサ36を用いる場合、紙葉類処理装置1は、紙葉類7の角度が変動しても、正反射光を撮像することが出来る。この結果として、紙葉類の傾きに因らず、紙葉類に貼付されている光沢物及び蛍光体を、簡易な構成で検出することができる異物検出装置、異物検出方法、及び、紙葉類処理装置を提供することができる。
【0056】
しかし、撮像素子にRGBカラーエリアイメージセンサ36を用いる場合、受光幅が広い為に正反射光の他に拡散反射光も多く受光してしまう。本装置では、正反射光を受光することができれば、光沢物52の検知を行なう事ができるため、拡散反射光はノイズと考えることが出来る。即ち、撮像素子にRGBカラーエリアイメージセンサ36を用いる場合、S(signal)/N(Noise)比がRGBカラーラインイメージセンサ35を用いる場合に比べて悪くなる。
【0057】
そこで、例えば、RGBカラーラインイメージセンサ35を複数ライン並べることにより、上記した紙葉類7の傾きの問題及びS/N比の問題を解決することが出来る。
【0058】
図10は、さらに他の実施形態に係る紙葉類処理装置1の読み取り位置付近の構成を概略的に示す図である。本実施形態では、走査方向と垂直な方向に複数ライン並べられたRGBカラーラインイメージセンサ35を撮像素子として用いる。
【0059】
図10に示すように、RGBカラーラインイメージセンサ35を複数ライン並べることにより、走査方向と垂直な方向への受光領域が広くなる。この場合、RGBカラーラインイメージセンサ35を並べるライン数は、想定される紙葉類7の傾きに応じて決定する。即ち、RGBカラーラインイメージセンサ35を並べるライン数は、少なくとも、紙葉類7の傾きによる正反射光の反射角の変動を許容することが出来れば、如何なるライン数であってもよい。
【0060】
上記した構成によれば、紙葉類7の傾きを許容する最低限のライン数のRGBカラーラインイメージセンサ35により光沢物の検出を行なう為、RGBカラーエリアイメージセンサ36を用いる場合に比べてS/N比を向上させることが出来る。即ち、本実施形態は、紙葉類7の傾きを許容することが出来、且つ、よりS/N比の良くすることが出来る。この結果として、紙葉類の傾きに因らず、紙葉類に貼付されている光沢物及び蛍光体を、簡易な構成でより高い精度で検出することができる異物検出装置、異物検出方法、及び、紙葉類処理装置を提供することができる。
【0061】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0062】
蛍光体に紫外光と赤色光を照射し、青色光と赤色光を撮像することにより蛍光体及び光沢物を検出する構成としたが、これに限定されない。検出する物質に適合した照明装置、フィルタ、及び撮像素子を用いれば、蛍光体に照射する光の波長及び撮像素子の感度領域は如何なるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態に係る紙葉類処理装置を概略的に示す図。
【図2】図1に示す紙葉類処理装置の読み取り位置付近の構成を紙葉類の搬送方向に直行する向きから見た図。
【図3】図1に示すフィルタの透過特性を説明するためのグラフ。
【図4】蛍光体が貼付されている紙葉類を処理する場合の説明図。
【図5】光沢物が貼付されている紙葉類を処理する場合の説明図。
【図6】正反射及び拡散反射について説明するための説明図。
【図7】RGBカラーラインイメージセンサを撮像素子として用いる場合の紙葉類処理装置の読み取り位置付近の構成を説明するための説明図。
【図8】RGBカラーエリアイメージセンサを撮像素子として用いる場合の紙葉類処理装置の読み取り位置付近の構成を説明するための説明図。
【図9】RGBカラーエリアイメージセンサを撮像素子として用いる場合の紙葉類処理装置の読み取り位置付近の構成を説明するための説明図。
【図10】複数ラインのRGBカラーラインイメージセンサを撮像素子として用いる場合の紙葉類処理装置の読み取り位置付近の構成を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0064】
1…紙葉類処理装置、2…光源、3…カメラ、4…画像処理部、5…制御部、6…ローラ、7…紙葉類、35…RGBカラーラインイメージセンサ、36…RGBカラーエリアイメージセンサ、51…蛍光体、52…光沢物、F…フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類上に添付されている光沢物及び蛍光体を検出する異物検出装置であって、
前記蛍光体を励起させ第3波長帯域の蛍光を発生させる第1波長帯域の光と前記第3波長帯域とは異なる第2波長帯域の光とを含み、且つ、前記第3波長帯域の光を除く光を紙葉類に対して入射角θで照射する照明装置と、
前記照明装置の入射角θに対して正反射方向に設けられ、前記紙葉類からの光を受光する光学系と、
前記光学系により受光した光を撮像する少なくとも前記第2波長帯域及び前記第3波長帯域を感度領域として含む撮像手段と、
前記撮像手段により取得した画像に基づいて光沢物及び蛍光体を検出する検出手段と、
を具備する異物検出装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記第2波長帯域の光を前記撮像手段により撮像した画像に基づいて光沢物を検出する光沢物検出手段と、
前記第3波長帯域の光を前記撮像手段により撮像した画像に基づいて蛍光体を検出する蛍光体検出手段と、
を具備する請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、少なくとも前記第2波長帯域を感度領域として含むラインイメージセンサと前記第3波長帯域を感度領域として含むラインイメージセンサとを含むカラーラインイメージセンサを具備する請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、その走査方向と垂直な方向に複数ライン並べられた前記カラーラインイメージセンサを具備する請求項3に記載の異物検出装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、少なくとも前記第2波長帯域と前記第3波長帯域とを感度領域として含むカラーエリアイメージセンサを具備する請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項6】
前記照明装置は、
少なくとも前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域を含む帯域の光を発する光源と、
前記光源により発せられた光のうちの前記第1波長帯域の光及び前記第2波長帯域の光のみを透過するフィルタと、
を具備する請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項7】
前記照明装置は、少なくとも前記第1波長帯域の光を発する発光ダイオードと前記第2波長帯域の光を発する発光ダイオードとを光源として有する請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項8】
前記照明装置は、
前記第1波長帯域の光として紫外光を紙葉類に対して照射する紫外光照射手段と、
前記第2波長帯域の光として赤色光を紙葉類に対して照射する赤色光照射手段と、
を具備する請求項1または6または7に記載の異物検出装置。
【請求項9】
紙葉類上に添付されている光沢物及び蛍光体を検出する異物検出装置に用いられる異物検出方法であって、
前記蛍光体を励起させ第3波長帯域の蛍光を発生させる第1波長帯域の光と前記第3波長帯域とは異なる第2波長帯域の光とを含み、且つ、前記第3波長帯域の光を除く光を紙葉類に対して入射角θで照射し、
前記入射角θで前記紙葉類に照射された光の正反射光を受光し、
前記受光した光のうちの少なくとも前記第2波長帯域及び前記第3波長帯域の光をそれぞれ撮像し、
前記撮像することにより取得した各画像に基づいて光沢物及び蛍光体を検出する、
ことを特徴とする異物検出方法。
【請求項10】
紙葉類上に添付されている光沢物及び蛍光体を検出する異物検出装置を有する紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類を搬送する搬送手段と、
前記蛍光体を励起させ第3波長帯域の蛍光を発生させる第1波長帯域の光と前記第3波長帯域とは異なる第2波長帯域の光とを含み、且つ、前記第3波長帯域の光を除く光を前記搬送手段により搬送される前記紙葉類に対して入射角θで照射する照明装置と、
前記照明装置の入射角θに対して正反射方向に設けられ、前記紙葉類からの光を受光する光学系と、
前記光学系により受光した光を撮像する少なくとも前記第2波長帯域及び前記第3波長帯域を感度領域として含む撮像手段と、
前記撮像手段により取得した画像に基づいて光沢物及び蛍光体を検出する検出手段と、
を具備する紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−145183(P2009−145183A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322414(P2007−322414)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】