説明

異物検出装置

【課題】カメラの台数を最小限に抑えることでコストの増大を抑制しつつ、かつ精度のよい画像を短時間に撮像することができる異物検出装置を提供する。
【解決手段】異物検出装置10は、一升瓶Bを搬送する搬送路Rをコンベアにより形成した搬送手段20と、一升瓶Bを撮像するカメラである撮像手段36と、一升瓶Bを撮像手段36の反対側から照光する照明手段37と、撮像手段36および照明手段37を往復移動させる揺動手段38と、撮像手段38により2回撮像する制御手段と、搬送手段20により搬送される一升瓶Bの上部を押圧して一升瓶Bと共に移動する保持手段40のジョイント部41とを備えている。保持手段40が一升瓶Bを押圧することで、一升瓶Bが搬送路Rと保持手段40との間で固定されるので、安定した状態で一升瓶Bを撮像することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が充填された容器を撮像して容器内に混入した異物を検出する異物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
清酒や焼酎、薬品などの液体を容器に充填したものを製造する際には異物が混入しないように細心の注意が必要である。しかし、万が一、液体内に異物が混入してしまったときには、異物が混入した製品を見つけて取り除く必要がある。この異物が混入した製品を見つけ出す装置として、容器内を撮像して写り込んだ異物を画像処理により検出する異物検出装置が知られている。
【0003】
しかし、容器に傷が付いていると、撮像したときにこの傷が異物のように見えるときがあり、異物との区別が困難な場合がある。このような場合に、被検査物を2回撮像して、撮像した2枚の画像を比較し、異物か傷かを判定するという異物検出に関する技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、気泡除去を行った後の透明容器を、キャップの位置をチャックでつかんだ状態で回転させ、液体の入った部分を、時間的間隔をあけて異物検出センサにより少なくとも2回撮影し、先に撮影された画像の画像情報信号と、後で撮影された画像の画像情報信号を比較して、移動しているものを異物として検知する異物検出方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、側面側異物検知用モノクロカメラおよび底面側異物検知用モノクロカメラをそれぞれ2台ずつ設け、容器内の液体が流動している状態で液体の画像を時間差で撮像して、撮像した第1画像と第2画像とを重ねあわせて、両者の差を検出して異物を検出する容器入り液体の中身検査装置が記載されている。
【0006】
また、撮像された画像から容器の傷を除外するためでなく、異物の検出精度を向上させるために2回撮像するものではあるが、撮像を複数回行うものとして特許文献3に記載されたものが知られている。
この特許文献3には、透明容器を回転させた後に停止させ、そのまま透明容器が搬送ライン上を搬送している間に、カメラと照明とを容器の移動に追尾させながら、複数回の撮影を行い、2つの撮影画像間で差分をとることでストロボ照度の違いを検出して照度補正を行うと共に、回転中の異物を検出する異物検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−98385号公報
【特許文献2】特開2008−2917号公報
【特許文献3】特開2002−318201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の異物検出方法では、透明容器を回転させた状態で時間的間隔をあけて2回撮像しているので、異物検出センサは1台でよいが、透明容器を所定回転速度まで上昇させるためには時間がかかる。また、特許文献2に記載の中身検査装置では、ラインを流れる容器を撮像するため撮像時間は短いがカメラが2台必要であるため、コストが増大する。
更に、特許文献3に記載の異物検出装置では、カメラと照明とが搬送される透明容器に追尾させながら撮影をしているため、撮影回数分のカメラを準備する必要はなく、また透明容器を搬送しながら撮像しているため、撮像前に一旦は停止させているものの、撮像のための検査時間のロスは少ないものと思われるが、被検査物である透明容器を搬送する搬送ラインに何の考慮がなされていない。従って、搬送時の被検査物への振動により上下に微振動したり、被検査物が回転したりするおそれがある。そうなると、容器の傷も移動したように見えるため、傷の検出が困難となるおそれがあるため、精度のよい画像を得ることが異物検出のためには重要である。
【0009】
そこで本発明は、カメラの台数を最小限に抑えることでコストの増大を抑制しつつ、かつ精度のよい画像を短時間に撮像することができる異物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の異物検出装置は、液体が光透過容器に充填された被検査物を搬送する搬送路を形成する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される被検査物を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を前記搬送手段が被検査物を搬送する方向に沿って往復移動させる揺動手段と、前記撮像手段が被検査物の進行と共に移動している間に、被検査物に混入した異物を検出するための画像を少なくとも前記撮像手段により2回撮像する制御手段と、前記搬送手段により搬送される被検査物の上部を押圧して被検査物と共に移動する保持手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
被検査物は搬送手段による搬送路を搬送される。撮像手段は揺動手段により被検査物を搬送する方向に沿って往復移動しているので、制御手段は撮像手段が被検査物の進行と共に移動している間に、被検査物に混入した異物を検出するための画像を少なくとも2回撮像するように指示する。従って、撮像手段は2台以上設ける必要がない。また、撮像手段は、揺動手段により移動しながら、搬送手段により移動している被検査物を撮像するため、撮像のために被検査物を停止させる必要がないため、短時間に撮像することができる。そして、保持手段が被検査物の上部を押圧することで、被検査物の移動が保持手段と搬送路との間で安定するので、搬送されることで発生する微振動を抑えることができる。従って、被検査物が上下に移動したり回転したりすることで画像に含まれる傷が画像の中で移動してしまうことを抑止することができる。
【0012】
前記揺動手段には、被検査物の移動に合わせて移動するときに、前記保持手段に連結する上部連結機構が設けられているのが望ましい。
揺動手段に上部連結機構が設けられていると、揺動手段による撮像手段の移動と、保持手段による被検査物との移動とをより確実に同期させることができるので、撮像した2枚以上の画像を比較する精度を向上させることができる。従って、更に傷の検出精度を高めることができると共に、小さい異物でも検出することが可能である。
【0013】
前記揺動手段には、被検査物の移動に合わせて移動するときに、前記搬送路に連結する下部連結機構が設けられているのが望ましい。
揺動手段に下部連結機構が設けられていると、揺動手段による撮像手段の移動と、搬送手段による被検査物との移動とをより確実に同期させることができるので、撮像した2枚以上の画像を比較する精度を向上させることができる。従って、更に傷の検出精度を高めることができると共に、小さい異物でも検出することが可能である。
【0014】
前記撮像手段は、被検査物の一方から片側を撮像する第1の撮像手段と、被検査物の他方から反対側の片側を撮像する第2の撮像手段とを備えているのが望ましい。
撮像手段として第1の撮像手段と第2の撮像手段が設けられ、被検査物を一方と他方との片側ずつ撮像することで、被写体深度が浅い撮像手段であっても、被検査物に充填された液体全体をカバーすることができる。
【0015】
前記揺動手段は、前記第1の撮像手段を往復移動させる第1の揺動手段と、前記第2の撮像手段を往復移動させる第2の揺動手段とを備え、前記第1の揺動手段と前記第2の揺動手段とは、移動方向が反対方向となるように往復移動するのが望ましい。
第1の撮像手段と第2の撮像手段とのそれぞれを往復移動させる第1の揺動手段および第2の揺動手段が、反対方向に移動することで、往復移動する際に発生する振動が相殺されるので、振動の発生を抑制することができる。
【0016】
前記第1の撮像手段と対となる第1の照明手段と、前記第2の撮像手段と対となる第2の照明手段とが設けられ、前記第1の撮像手段および前記第1の照明手段と、前記第2の撮像手段および前記第2の照明手段とは、被検査物を間に位置させて被検査物の進行方向の並びが交互になるように配置されているのが望ましい。
被検査物の進行方向の並びが交互になるように、第1,2の撮像手段と、第1,2の照明手段を配置する。これは、撮像手段と照明手段とでは、照明手段の方が設置幅が広くなるので、被検査物の進行方向の並びが交互になるように配置することで、照明手段同士を隣接させて並べた場合と比較して、設置幅を短いものとすることができる。従って、異物検査における被検査物の搬送距離を短くすることができるので、検査時間を短縮することができる。また、装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、揺動手段により往復運動しながら撮像手段が被検査物を撮像する間、被検査物が上下に移動したり回転したりすることで画像に含まれる傷が画像の中で移動してしまうことを抑止することができるので、カメラの台数を最小限に抑えることでコストの増大を抑制しつつ、かつ精度のよい画像を短時間に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る異物検出装置を示す正面図である。
【図2】図1に示す異物検出装置の概略側面図である。
【図3】図2に示す異物検出装置の概略平面図である。
【図4】連結機構を示す図である。
【図5】撮像手段および照明手段を説明するための図である。
【図6】側面照明手段を説明するための図である。
【図7】保持手段を示す一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る異物検出装置を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、焼酎が充填された光透過容器である一升瓶を被検査物として、焼酎に混入した異物を検出する異物検出装置を例に説明する。なお、図1から図3においては主要な構成のみを図示している。
【0020】
図1から図3に示すように、異物検出装置10は、一升瓶Bを搬送する搬送路Rを形成する搬送手段20と、搬送手段20により搬送される一升瓶Bを撮像して異物を検出する装置本体30と、装置本体30の上部に設けられた保持手段40と、制御手段(図示せず)とを備えている。
【0021】
搬送手段20は、図示しない脱泡装置により焼酎内の気泡を消失させた一升瓶Bを搬送して、異物検出を行った後に、次の工程へ搬送するコンベアである。本実施の形態では、搬送手段20は直線状に延びるコンベアを使用している。
装置本体30は、テーブル部31と、テーブル部31上に配置された固定フレーム32と、保持手段40を支持する支持フレーム33と、固定フレーム32の内側にレール状のガイド34を介して配置された移動フレーム35とを備えている。
【0022】
テーブル部31は、脚部311と台部312から構成されている。固定フレーム32は、テーブル部31の上面に固定されている。移動フレーム35には、撮像手段36と、照明手段37とが配置されている。また、移動フレーム35にモータ381が配置され、移動フレーム35にモータ381の駆動軸に接続されたボールねじ382が接続されていることで、固定フレーム32に対して移動フレーム35を往復運動させる揺動手段38として機能している。
【0023】
移動フレーム35は、搬送路Rに沿って装置本体30の入口側と出口側とに2つ配置されている。従って、撮像手段36および照明手段37は、図3に示すように、2セットが第1の撮像手段361および第2の撮像手段362と、第1の照明手段37aおよび第2の照明手段37bとして、それぞれの移動フレーム35(第1の移動フレーム351,第2の移動フレーム352)に配置されている。
以下、装置本体30の入口側に配置された第1の移動フレーム351と、第1の移動フレーム351に配置された第1の撮像手段361および第1の照明手段37aとを第1の異物検出手段と称す。また、装置本体30の出口側に配置された第2の移動フレーム352と、第2の移動フレーム352に配置された第2の撮像手段362および第2の照明手段37bとを第2の異物検出手段と称す。
また、それぞれの移動フレーム35には、詳細には後述する一升瓶Bの上部に被さる保持手段40のジョイント部に把持して連結する上部連結機構391と、搬送路Rを把持して連結する下部連結機構392とが設けられている(図2参照)。
【0024】
ここで、上部連結機構391と下部連結機構392とについて、図4に基づいて説明する。なお、上部連結機構391と下部連結機構392とは同じ構造を有しているため、以下、単に連結機構と称することがある。
連結機構は、把持力を発生する2つのソレノイド39aと、ソレノイド39aの軸心が引き込まれることで先端が開閉する一対のL字状のアーム部39bと、アーム部39bの中央部を貫通して支持する支持棒39cと、支持棒39cに設けられ、開放方向に付勢するスプリング39dとを備えている。
【0025】
図2および図3に示すように、撮像手段36は、搬送手段20により搬送される一升瓶Bを撮像して画像データを制御手段へ送信するカメラである。本実施の形態では、一升瓶Bに充填された焼酎を上部から底部まで撮像するために、段積みされた5台のカメラを撮像手段36として使用している。この撮像手段36は、一升瓶B内の半分が撮像できる被写体深度である。
【0026】
図5に示すように、照明手段37は、撮像手段36との間に一升瓶Bを位置させて照光する発光ダイオード照明装置である。照明手段37は、背面照明手段371と、側面照明手段372とを備えている。
背面照明手段371は、輪郭形状が長方形状に形成され、発光手段として白色発光ダイオードがマトリクス状に配置されている(図示せず)。この背面照明手段371には白色発光ダイオードの前面に、点光源である白色発光ダイオードからの照射光を酸光させて拡散する拡散板が設けられている。拡散板は、ガラス板の片面を磨りガラスとしたフロスト型のものが使用できる。
【0027】
側面照明手段372は、輪郭形状が縦長の長方形状に形成され、発光手段として発光ダイオードがマトリクス状に配置されている。側面照明手段372は、背面照明手段371の両側に隣接させて、片側に3台ずつ配置されている。この6台の側面照明手段372は、一升瓶Bを中心として一升瓶Bの円弧面に沿って円弧状に配置されている。側面照明手段372は、発光手段である発光ダイオードを露出させた状態で設けられている(図6参照)。本実施の形態では、一升瓶Bとして茶色瓶を使用しているため、側面照明手段372としては透過性が高い赤色発光ダイオードを採用している。
【0028】
図6に示すように、側面照明手段372は、マトリクス状に配置された赤色発光ダイオードが並ぶ横列が、一端(左端)から他端(右端)に向かって下り傾斜で配列されている。この下り傾斜は、一端の赤色発光ダイオード372aの上部が上列の他端の赤色発光ダイオード372bの下部と水平位置が同じか、または高くなるように配列されている。本実施の形態では、一端の赤色発光ダイオード372aの上部と赤色発光ダイオード372bの下部とが、同じ水平位置となるように配置されている(図6においては一点鎖線で示す)。
【0029】
図1および図7に示すように保持手段40は、支持フレーム33の上部に固定されている。保持手段40は、一升瓶Bの上部に被さり押圧するジョイント部41と、駆動歯車42および従動歯車43と、ジョイント部41を駆動歯車42および従動歯車43の間を周回させる一対のチェーン部44とを備えている。
ジョイント部41は、図7に示すように、先端に一升瓶Bの上部を嵌め込むための円筒形の口部411が設けられている。この口部411には、矩形状の板材で形成された縁板部412が設けられている。口部411と板縁部412とは、取付機構413により一対のチェーン44に固定されている。
【0030】
制御手段は、揺動手段38の揺動のタイミングと、保持手段40のジョイント部41の周回タイミングと、上部連結機構391および下部連結機構392の連結タイミングと、撮像手段36の撮像タイミングとの制御と、撮像手段36により撮像された2枚の画像に基づいて傷と気泡と異物とを識別することを行っている。
【0031】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る異物検出装置10の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
一升瓶Bが搬送手段20により上流側から搬送される。そして、保持手段15の上流側に差し掛かったところで、周回するジョイント部41がチェーン44の周回と共に、上側から下側に周り込み一升瓶Bの上部に被さり嵌る。
【0032】
ジョイント部41が被さった状態の一升瓶Bは、搬送路Rに押圧された状態で、搬送手段40により運ばれて装置本体30内へ進入する。
制御手段は、図2に示す上部連結機構391のソレノイド39a(図4参照)に通電することにより、アーム部39bを閉鎖させて、ジョイント部41の縁板部412を挟み込ませる。また、制御手段は、下部連結機構392のソレノイド39a(図4参照)を駆動させることにより、アーム部39bを閉鎖させて搬送路Rを挟み込ませる。
【0033】
図3に示すように、制御手段は、撮像手段36と照明手段37との間に一升瓶Bが位置したタイミングで、モータ381を回転させてボールねじ382を回転させる。そうすることで、モータ部381が固定されている固定フレーム32と移動フレーム33との距離が伸び、移動フレーム33が一升瓶Bと同期して一方向へ移動する。制御手段は、撮像手段36に撮像を指示して2回分の画像を取得する。なお、撮像回数は必要に応じて3回以上としてもよい。
【0034】
ここで、撮像手段36と照明手段37とについて、図5に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書においては、撮像手段36側に向いた被検査物の一方の片側面をおもて面、その反対側を裏面と称する。本実施の形態では、被検査物を一升瓶Bとしているため、一升瓶Bを上方から見たときに撮像手段36に向いた半円部分がおもて面であり、残りの半円部分が裏面である。また、撮像範囲とは、撮像手段36により撮像される画像として写り込む範囲をいう。
【0035】
撮像手段36は、撮像される画像の幅が一升瓶Bの幅に合うように、撮像手段36から一升瓶Bまでの距離やレンズなどが調整されている。一升瓶Bは、焼酎が充填されているので、一升瓶Bが透けて見える撮像範囲S1は、レンズ効果により一升瓶Bから離れるに従って徐々に幅の狭い範囲となる。
【0036】
背面照明手段371は、一升瓶Bの裏面側に配置されていることで、一升瓶Bの裏側面を照光しているため、背面照明手段371からの光は画像の背景光となる。背面照明手段371には、発光手段である白色発光ダイオードの前面に拡散板が設けられているため、画像に白色発光ダイオードの形状が写り込んでしまうことを防止することができる。
【0037】
側面照明手段372は、一升瓶Bにおける撮像面P1(おもて面)とは反対側となる一升瓶Bの背面側(裏面)、つまり裏側の半円部分が照光面P2となる。従って、撮像手段36が撮像する撮像面P1であるおもて側の半円部分と照光面と範囲が重ならない。従って、側面照明手段372からの照射光が一升瓶Bの表面に反射して撮像手段36のレンズに入射することで、撮像手段36が撮像した画像に光が写り込んでしまうことを防止することができる。
【0038】
側面照明手段372は、3台ずつ間を空けて並べたときの隙間を一升瓶Bから離れるに従って徐々に狭くなる撮像範囲S1の幅に合わせて離間させているため、画像に側面照明手段372が写り込んでしまうことを防止することができる。
また、側面照明手段372を一升瓶Bの円弧面に沿って配置していることで、側面照明手段372から直進する光の出射方向が一升瓶Bの円周面(円弧面)の法線方向と一致するので、側面照明手段372からの光は一升瓶Bの円周面に全反射しにくく、側面照明手段372からの透過光量を増やすことができる。従って、側面照明手段372は、被検査物へ効率よく照光することができる。
【0039】
また、側面照明手段372は、赤色発光ダイオードが露出していることにより、赤色発光ダイオードからの光が、直接、照射光として出射されるので、拡散板などに邪魔されることなく強い光を透過光として一升瓶Bに照光することができる。
また、側面照明手段372の発光手段として赤色発光ダイオードを使用しているため、茶色瓶で形成された一升瓶Bであっても、透過光量を増やすことができるので、焼酎内に混入した異物を浮き上がらせることができる。
【0040】
更に、側面照明手段372は、図6に示すように、マトリクス状に配置された赤色発光ダイオードが並ぶ横列が、一端(左端)から他端(右端)に向かって下り傾斜で配列され、一端の赤色発光ダイオード372aの上部が上列の他端の赤色発光ダイオード372bの下部と水平位置が同じに配置されていることにより、上列の横列L1と次列の横列L2との間の水平位置には一端から他端の間のいずれかの赤色発光ダイオードが位置することになるため、境目無く被検査物の照光面を照光することができる。
【0041】
このようにして照明手段37により照光された一升瓶Bを撮像手段36により撮像することで、異物や一升瓶Bの傷、焼酎内の気泡が、背面照明手段371からの照射光により黒っぽい陰影となり、側面照明手段372からの照射光により白っぽい反射物となって画像に撮像される。
【0042】
撮像手段36から画像が制御手段に取り込まれ、制御手段にて2枚の画像の比較がされる。制御手段では、2枚の画像の比較により移動しないものは一升瓶Bの傷、移動するものは異物または気泡、更に異物と気泡とを選別することで、一升瓶B内に異物が混入しているか否かの判定を行う。
【0043】
このように、移動フレーム33が一升瓶Bと同期して一方向へ移動しながら、撮像手段36に撮像を指示して2回分の画像を取得することで、撮像手段36を上下方向には段積みしているが、水平方向には2台以上設ける必要がないので、コストの増大を抑制することができる。また、撮像手段36は、揺動手段38により移動しながら、搬送手段20により移動している一升瓶Bを撮像するため、撮像のために一升瓶Bを停止させる必要がないため、短時間に撮像することができる。
【0044】
撮像手段36が2枚分の画像を撮像する撮像期間において、ジョイント部41が一升瓶Bの上部に被さり、一升瓶Bを搬送路Rに押圧しているので、一升瓶Bが搬送路Rの振動により微動することが防止できるので、一升瓶Bが上下に移動したり、回転したりすることを防止することができる。従って、一升瓶Bの傷が画像の中で移動してしまうことが抑止できるので、一升瓶Bの傷を異物として誤認することが防止できる。
【0045】
また、揺動手段38に上部連結機構391が設けられているので、揺動手段38による撮像手段36の移動と、保持手段40による一升瓶Bとの移動とをより確実に同期させることができる。更に、揺動手段38に下部連結機構392が設けられているので、揺動手段38による撮像手段36の移動と、搬送手段20による一升瓶Bとの移動とをより確実に同期させることができる。従って、撮像した2枚の画像を比較する精度を向上させることができ、小さい異物でも検出することが可能である。
【0046】
一升瓶Bは、装置本体30の入口側の移動フレーム35(第1の移動フレーム351)を通過すると、搬送手段20に搬送されて、装置本体30の出口側の移動フレーム35(第1の移動フレーム351)に進行する。一升瓶Bが第1の移動フレーム351を進行するときに、一升瓶Bの一方側が撮像されたので、第2の移動フレーム352を進行するときに、一升瓶Bの他方側が撮像される。そうすることで、撮像手段36が一升瓶Bの直径の半分の被写体深度であっても、一升瓶Bに充填された焼酎の全部を撮像することができる。
【0047】
本実施の形態では、装置本体30の入口側に設けられた第1の撮像手段361および第1の照明手段37aと、出口側に設けられた第2の撮像手段362および第2の照明手段37bとは、一升瓶Bを間に位置させて一升瓶Bの進行方向の並びが交互になるように配置されている。
【0048】
撮像手段36と照明手段37とでは、側面照射手段372の占有幅が広いことから、撮像手段36より照明手段37の方が設置幅として広くなる。従って、一升瓶Bの進行方向の並びを同じとすると、照明手段37同士(第1の照明手段37aと第2の照明手段37b)を隣り合わせに設置することになるため、移動フレーム35を大きくしたり、移動フレーム35同士の間隔を広げたりする必要があり、装置本体30が大型化してしまう。
【0049】
本実施の形態では、撮像手段36および照明装置37との並びを交互になるように配置している。つまり、搬送路Rの一方の片側に第1の撮像手段361と第2の照明手段37bとが隣合わせとなるように配置され、搬送路Rを挟んで他方の片側に第1の照明手段37aと第2の撮像手段371とが隣合わせとなるように配置されているので、照明手段37同士を隣接させて並べた場合と比較して、設置幅を短いものとすることができる。従って、装置本体30を小型化することができ、異物検査における一升瓶Bの搬送距離を短くすることができるので、検査時間を短縮することができる。
【0050】
第1の移動フレーム351と第2の移動フレーム352とは、移動方向が反対方向となるように往復移動している。第1の移動フレーム351が一升瓶Bと共に、往路移動(撮像移動)しているときには、第2の移動フレーム352は復路移動(復帰移動)している。反対に、第1の移動フレーム351が復路移動(復帰移動)しているときには、第2の移動フレーム352は往路移動(撮像移動)している。
【0051】
このように第1の移動フレーム351と第2の移動フレーム352とが往復移動することで、往復移動する際に発生する振動が相殺されるので、振動の発生を抑制することができる。従って、精度の高い画像が撮像できる。
【0052】
本実施の形態では、高速に撮像処理を行うため、往路移動の速度を一升瓶Bの移動に合わせてゆっくりと、また復路移動を次の一升瓶Bの元へ往路移動の速度より高速に復帰させることで、一往復に要する時間の短縮を図り、大量の被検査物の検査を短時間に行っている。従って、第1の移動フレーム351と第2の移動フレーム352とが往復移動するうちの一部が同方向となるが、大部分を反対方向の移動とすることで振動発生を軽減している。振動発生を軽減することができるので、より鮮明な画像を撮像することができる。なお、往路移動と復路移動とが同じ速度である場合には、完全に移動方向を反対方向とするのが望ましい。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。本実施の形態では、焼酎が充填された一升瓶Bを例に説明したが、例えば、清酒や薬品などの液体が光透過容器に充填されたものであれば、本発明を適用することが可能である。
また、ジョイント部41は一升瓶Bの上部に被さるように形成されているが、一升瓶Bが振動したり回転したりすることが防止できればよいので、ジョイント部41を搬送手段20に一升瓶Bを上方から押圧する平板としてもよい。
また、本実施の形態では、水平断面が円形の一升瓶Bを例に説明したが、側面照明手段が撮像手段による撮像範囲外となる位置に配置され、かつ照光面が前記撮像手段からの撮像面P1とは反対側の被検査物の背面側となるように配置されていれば、被検査物の水平断面が三角形以上の多角形状でも、異形状でも、本発明を適用することができる。
更に、本実施の形態では、上部連結機構391および下部連結機構392をソレノイド39aを駆動源として採用しているが、モータの回転によりボールねじを回転させてアーム部の開放と閉鎖とを行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、液体が容器に充填された被検査物に混入された異物を、容器に付いた傷を識別しながら検査する異物検出装置に好適である。
【符号の説明】
【0055】
10 異物検出装置
20 搬送手段
30 装置本体
31 テーブル部
311 脚部
312 台部
32 固定フレーム
33 支持フレーム
34 ガイド
35 移動フレーム
351 第1の移動フレーム
352 第2の移動フレーム
36 撮像手段
361 第1の撮像手段
362 第2の撮像手段
37 照明手段
37a 第1の照明手段
37b 第2の照明手段
371 背面照明手段
372 側面照明手段
372a 一端の赤色発光ダイオード
372b 他端の赤色発光ダイオード
38 揺動手段
381 モータ
382 ボールねじ
391 上部連結機構
392 下部連結機構
39a ソレノイド
39b アーム部
39c 支持棒
39d スプリング
40 保持手段
41 ジョイント部
411 口部
412 縁板部
413 取付機構
42 駆動歯車
43 従動歯車
44 チェーン
50 制御手段
S1 撮像範囲
P1 撮像面
P2 照光面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が光透過容器に充填された被検査物を搬送する搬送路を形成する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される被検査物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段を前記搬送手段が被検査物を搬送する方向に沿って往復移動させる揺動手段と、
前記撮像手段が被検査物の進行と共に移動している間に、被検査物に混入した異物を検出するための画像を少なくとも前記撮像手段により2回撮像する制御手段と、
前記搬送手段により搬送される被検査物の上部を押圧して被検査物と共に移動する保持手段とを備えたことを特徴とする異物検出装置。
【請求項2】
前記揺動手段には、被検査物の移動に合わせて移動するときに、前記保持手段に連結する上部連結機構が設けられている請求項1記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記揺動手段には、被検査物の移動に合わせて移動するときに、前記搬送路に連結する下部連結機構が設けられている請求項2記載の異物検出装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、被検査物の一方から片側を撮像する第1の撮像手段と、被検査物の他方から反対側の片側を撮像する第2の撮像手段とを備えている請求項1から3のいずれかの項に記載の異物検出装置。
【請求項5】
前記揺動手段は、前記第1の撮像手段を往復移動させる第1の揺動手段と、前記第2の撮像手段を往復移動させる第2の揺動手段とを備え、
前記第1の揺動手段と前記第2の揺動手段とは、移動方向が反対方向となるように往復移動する請求項4記載の異物検出装置。
【請求項6】
前記第1の撮像手段と対となる第1の照明手段と、前記第2の撮像手段と対となる第2の照明手段とが設けられ、
前記第1の撮像手段および前記第1の照明手段と、前記第2の撮像手段および前記第2の照明手段とは、被検査物を間に位置させて被検査物の進行方向の並びが交互になるように配置されている請求項4または5記載の異物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−137396(P2012−137396A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290356(P2010−290356)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(507251295)アロン電機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】