説明

疎水性マイクロ粒子を利用してコレステロールを減らす方法とその方法により生成された混合物

【課題】コレステロール減らした飼料を提供する。
【解決手段】 本発明のコレステロールを減らした飼料は、複数の合成粒子を有し、前記各合成粒子は、陰イオン性界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤に化学結合したキトサンを有する。本発明のコレステロール減らした飼料を提供する方法は、(a)キトサン粒子を用意するステップと、(b)前記キトサン粒子を、少なくとも1時間、酸に混合して、第1溶液を得るステップと、(c)陰イオン又は非イオンの界面活性剤を有する第2溶液を用意するステップと、(d)前記第1溶液と第2溶液を酸性状態で混合して、前記界面活性剤に化学結合したキトサンを有するキトサン−界面活性剤の合成粒子を得るステップと、(e)前記キトサン−界面活性剤の合成粒子から粉末を生成するステップ
を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性マイクロ粒子を含有する混合物に関する。この疎水性マイクロ粒子は、陰イオン性あるいは非イオン性の界面活性剤(例、レシチン(lecithin))に化学結合された正にチャージされた(正電荷を持つ)ポリマー(例、キトサン(polysaccharide)のような多糖類)を含む。この混合物は、動物(例えば、鳥、鶏あるいはあらゆる種類の哺乳類)のコレステロールを減らすのに有効である。本発明は、この混合物の製造方法と使用方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
コレステロールは、血流と身体組織の細胞膜に見出されるステロール脂質(sterol lipid)である。コレステロールの化学構造式は次のとおりである。
式1

【0003】
コレステロールは、3つの領域からなる。即ち、右端の炭化水素(CH2)のテールと、4個の炭化水素リングを有する中央のリング構造領域と、左端のヒドロキシル基(HO)である。このヒドロキシル基には極性(polar)があり、これによりコレステロールが水に溶ける。リング領域とテール領域は無極性(non-polar)であり、有機溶剤には溶けるが、水には溶けない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7067146号明細書
【特許文献2】米国特許第6814975号明細書
【特許文献3】米国特許出願第20050079204号明細書
【特許文献4】ヨーロッパ特許第1233682号明細書
【特許文献5】米国特許第6323189号明細書
【特許文献6】ヨーロッパ特許第1100344号明細書
【特許文献7】米国特許出願第20050175763号明細書
【特許文献8】米国特許出願第20050100619号明細書
【特許文献9】米国特許第5753264号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Luhman et al, Poultry Science 69:852-855 (1990); Mori, et al., J.
【非特許文献2】J. Nutr. 2000; 130:2753-2759
【非特許文献3】Michel, RC et al. Biopolymers 53:19 - 39, 2000
【非特許文献4】Reed WF et al. Ber Bunzen Phys Chem 100: 685-695, 1996
【非特許文献5】Fredheim GE et al. Biomacromolecules 4:232-239, 2003
【非特許文献6】J. Am. College Nutrition 2002; 21(5): 428-433
【非特許文献7】Lipids. 1976 Dec; 11(12): 830-2
【非特許文献8】Magdassi et al. of the Hebrew University, Jerusalem, Israel (see, for example, G. Nizri and S. Magdassi: Solubilization of hydrophobic molecules in nanoparticles formed by polymer-surfactant interactions, J. Colloid Interface Sci. 291, 169-174 (2005)
【非特許文献9】Paul et al. Journal of Biological Chemistry, pp. 73-82, 1948
【0006】
医療関係者は、コレステロールの摂取を減らすよう推奨している。その理由は、LDL血中コレステロールレベルが高く(高コレステロール血症)なると、心臓や脳に血液を供給する動脈の壁にコレステロールが徐々に堆積する。これによりプラークが形成され動脈を詰まらせる。これはアテローム性動脈硬化症として知られている。このプラーク近傍にできる血塊(血栓)は、心筋の一部に流れる血流を妨げ、心臓発作を引き起こす。この血栓が脳の一部へ流れる血流を遮断すると脳卒中が起きる。高レベルのLDLコレステロール(160mg/dL以上)は、心臓病のリスクを増やすことになる。
【0007】
鶏卵は、非常に高いコレステロール源(大きな鶏卵1個当たり約280mg)である。多くの医療関係者は、高コレステロールの血清濃度を有する人の食事から鶏卵を排除するよう勧告している。従って、高いコレステロールレベルの人にとって、鶏卵は、食事からほとんど排除されている。これは不合理なことである。その理由は、鶏卵は、タンパク質、ビタミン、ミネラルあるいは他の栄養素の源であり、これらの品質、栄養、濃度は高いが、価格は安いからである。
【0008】
鶏卵の栄養価が高いために、家禽の研究者は、コレステロールを余り含まない鶏卵を産む鶏を得ようとしている。かつて試みられた1つのシステムは、異質の有害化学物質を鶏卵を産む鶏に日々与えることでる。鶏に合成ホルモンを注射して、コレステロールレベルを減らすようにもしている。このアプローチは、人間の血中のコレステロールレベルは、ホルモン、カルシウム・イオン、マグネシウム・イオン、ナイアシンの高いドーズ量、他のビタミン類、甲状腺活性物質の使用により、医学的に制御できるという治験に基づくものである。予想されるように、このような鶏の飼育方法は、多くの不都合な症例を引き起こし、副作用もある。
【0009】
薬剤は、全血中のコレステロールを低下させたり、動物のHDL/LDL比率を改善する際には、食料のサプリメントとしての費用対効果が低い。
【0010】
全コレステロールレベルを低減し、HDL/LDLの比率を改善する1つの方法は、動物特に鶏に、ある種の化合物を飼料として与えることである。この化合物は、排便を引き起こす下部小腸により再吸収されるのを阻止するような胆汁塩(bile salts)を封鎖する化合物である。胆汁酸の排便量が増えると、肝臓がより多くの胆汁酸を生成するようになる。その際、コレステロールを、その製造に際し基質(substrate)して用いている。LDL異化作用(catabolism)における結果得られた促進は、血中のコレステロール量を減らす効果があり、HDL/LDL比率を改善する効果がある。
【0011】
キトサン(chitosan)は、唯一の天然派生物で、正電荷を持つ多糖類である。またキトサンは、キチン質の脱アセチル化(deacetylation of chitin)により生成される。このキチン質は、天然のバイオポリマーであり、細胞骨格(cytoskeleton: 細胞質に存在し微小管・微小繊維などからなる格子配列構造;細胞の構造の支持あるいは他の細胞構成成分の輸送装置として働く)と海洋生物(甲殻網、エビ、カニ、真菌等)の堅い殻に見出される。キトサンの化学構造式は次のとおりである。
式2

【0012】
キトサンは、小動物(例、特にマウスとラット)の血中コレステロールと胆汁脂質(bile lipid)を吸収できる。これにより、これらの分子の血中レベルを引き下げる(非特許文献2)。多くの研究結果では、キトサンは、悪玉コレステロールLDLのレベルを低下させ、善玉コレステロールHDLを上昇させる独自の機能があり、これにより、HDL/LDL比率を改善する。
【0013】
キトサンは、生体適合性、無毒性、非免疫原性であり、医療、薬剤、化粧品の分野で使用されている。
【0014】
キトサンの可溶形態は、正電荷を持つアミノ基(amino group)を有する。このアミノ基は、陰イオン性混合物とイオン結合し、タンパク質と脂肪酸を含む。さらにキトサンは、疎水性結合(hidrophobic bond)を形成する。
【0015】
キトサンを水溶液の形態で使用するために、結晶構造の分解を行わなければならない。水和した結晶性キトサン(hydrated crystalline chitosan)においては、水分子は、キトサンのシートの間でカラム(columns)を形成し、ポリマー・チェーン(高分子鎖またはポリマー鎖)の間のウォーター・ブリッジ(水の分子間に溶媒化)を形成することにより、この構造体を安定化させる。水素結合は、弱有機酸(week organic acid: 例、酢酸)を用いると、キトサンの分解プロセスの間に、破壊される。
【0016】
高分子電解質粉末(polyelectrolyte powders)の分解メカニズムには、球状粒構造体(spherical grain structure)の形成が関与すると考えられている。純水においては、この分解メカニズムは、粒子周囲にゲル層が急速に形成され、その後、ポリマー・チェーンがゆっくりと溶剤中に解放することが関与している。会合体(aggregate)を離脱するポリマー・チェーンのゆっくりとしたプロセスは、荷電した個々のポリマーと電気的に中性の会合体の間で形成される誘引的電位(attractive potentila)の効果に起因すると説明されている。
【0017】
高分子電解質の分解に要する平衡時間は、多くの場合数時間あるいは数日かかることがある。
【0018】
キトサン溶液を拡散する時間は、12−24時間かかると報告されている(非特許文献3,4)。
【0019】
コレステロールは、胆汁酸の前駆体(precursorof bile acid)である。この前駆体は、ステロイド酸(steroid acid)である。このステロイド酸は、主に哺乳類の胆汁の中に見出され、親水性と疎水性の両面を持つ。キトサンは、胆汁酸を吸収することにより、血中コレステロールを減らし、これにより胆汁酸のさらなる合成に際し、コレステロールの使用を増やし、その結果血中からコレステロールを除去する。
【0020】
キトサンとグルコマンナン(Glucomannan: 商標:英国 Cantassium社製の食欲抑制剤;食物繊維の塊りで、水といっしょに服用すると胃の中で大きく膨張しこんにゃく状になる物質)を含む食物繊維のサプリメントは、ラット(特許文献2)と人間(特許文献6)の血中コレステロールを減らすことが示されている。しかし植物繊維のサプリメントは、人間のコレステロール低下作用を得るためには、大量に必要であり、1日当たり15カプセル(コレステロールとグルコマンナンをそれぞれ1日あたり1.2g)の摂取が必要である。人体研究結果によれば、これでも、全血清コレステロールは、僅か7%下がるだけであり、LDLコレステロールは10%下がるだけである。
【0021】
特許文献1−4は、コレステロールを減らす食べ物を用意するにあたり、キトサンとエリタデニン(eritadenine: コレステロールを下げる物質でシイタケ特有の成分)との同時使用を教示している。
【0022】
特許文献5、6は、体重調整のために、安定したキトサンを含有する液状縣濁液を教示している。
【0023】
特許文献7は、炭水化物の形態での支持材料からなるリン脂質を含有する安定したマトリックス例えば、キトサンを教示している。特許文献8は、コレステロールを低下させるサプリメントを教示する。このサプリメントは、キトサンとリン脂質とを含み、さらにコレステロールの生合成(biosynthesis)を阻止する化合物と、コレステロールの代謝を増加する化合物も教示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
キトサンは、胃の中でコレステロールを減らすことはできない。その理由は、キトサンは、胆汁塩が存在しない(小腸にのみ存在し胃には存在しない)場合には、乳化していない脂質(non-emulsofied fat )を吸収できないからである。さらに、キトサンは、分解して、胃における酸の状態を正に荷電するが、これは官能アミノ基に起因する。高電化ポリマーは、負電荷を持つ物質(例えば、リン脂質)と強く反応する。この負電荷を持つ物質は、胃の中に存在し一部飽和する。その結果、胃を通過した後、負電荷を持つ胆汁酸と相互作用できる正電荷を持つ基を有するキトサンの吸収量は、減る。
【0025】
未飽和キトサンを小腸に分配する量を増やし、動物(鳥類あるいは哺乳類)の血中コレステロールを減らす混合物を得ることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明のコレステロールの低減に有効な混合物は、複数の合成粒子を有する。前記各合成粒子は、陰イオン性界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤に化学結合したキトサンを有する。
【0027】
本発明の一実施例によれば、前記陰イオン性界面活性剤は、リン脂質(hpospholipid)、胆汁塩(bile salt)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(sodium lauryl ether sulfate)、モノグルセリドのクエン酸ステアリル(citric acid esters of monoglyceride)、ナトリウム又はカルシウム又はステアロリル酸ルクチレート(sodium, calcium or acid stearoyl lactylate)、ステアリル・クエン酸(stearyl citrate)、脂肪酸、脂肪酸塩、モノグルセリドのジアセチル酒石酸(diacetyl tartaric acid esters of monoglycerides)、あるいはそれらの化合物から選択される。
【0028】
本発明の一実施例によれば、前記リン脂質は、レシチンを含む。前記非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコール(fatty alcohol)である。
【0029】
本発明の一実施例によれば、本発明のコレステロールの低減に有効な混合物は、複数の疎水性合成粒子を有し、前記各疎水性合成粒子は、陰イオン性界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤に化学結合した陽イオンポリマーを有する。
【0030】
前記陽イオンポリマーは、キトサンを含む。前記陽イオンポリマーは、ポリアミンを含む。前記ポリアミン(polyamine)は、ポリリシン(polylysine)またはポリアクリルアミド(polyacrylamide)を含む。
【0031】
前記陰イオン性界面活性剤は、リン脂質、胆汁塩、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、モノグルセリドのクエン酸ステアリル、ナトリウム又はカルシウム又はステアロリル酸ルクチレート、ステアリル・クエン酸、脂肪酸、脂肪酸塩、モノグルセリドのジアセチル酒石酸、あるいはそれらの化合物から選択される。前記リン脂質は、レシチンを含む。
【0032】
本発明のコレステロールの低減に有効な混合物は、複数のレシチン−キトサンの合成粒子を有し、前記各合成粒子は、前記レシチンに化学結合したキトサンを有する。本発明の一実施例によれば、前記混合物は、乾燥混合物であり、前記乾燥混合物の水分量は、最大10%w/wである。
【0033】
本発明の一実施例によれば、前記乾燥混合物の水分量は、最大20%w/wである。また、前記乾燥混合物の水分量は、最大30%w/wである。前記乾燥混合物の水分量は、アプリケーションに依存する。前記乾燥混合物は、流動性の粉体(flowing powder)の形態で提供される。前記乾燥混合物は、充填性の粉体(packed powder)の形態で提供される。前記乾燥混合物は、顆粒状粒子(granular particles)の混合物として提供される
【0034】
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも10%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる。
【0035】
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも20%の遊離塩素酸ナトリウム(free sodium cholate)を、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる。
【0036】
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも30%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる。
【0037】
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも40%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる。
【0038】
本発明の一実施例によれば、前記合成粒子のキトサンは、分子量が0.5×10−3×10ダルトンの範囲にある。
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子の少なくとも10質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する。
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子の少なくとも30質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する。
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子の少なくとも50質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する。
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子の少なくとも70質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する。
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子の少なくとも90質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する。
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子は0.3ミクロン以下のものは存在せず、前記混合物の合成粒子の少なくとも10数量%は、2ミクロン以下のサイズを有する。
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子は0.3ミクロン以下のものは存在せず、前記混合物の合成粒子の少なくとも50数量%は、2ミクロン以下のサイズを有する。
【0039】
本発明の一実施例によれば、前記混合物の合成粒子は0.3ミクロン以下のものは存在せず、前記混合物の合成粒子の少なくとも90数量%は、2ミクロン以下のサイズを有する。
【0040】
本発明の一実施例によれば、(i)前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも15%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる。(ii)前記混合物の合成粒子の少なくとも30質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11記載の混合物。
【0041】
本発明の一実施例によれば、(i)前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも35%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる。(ii)前記混合物の合成粒子の少なくとも30質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する。
【0042】
本発明の一実施例によれば、前記合成粒子は、レシチン−キトサンの質量比が、0.2:1と5:1の間にある合成粒子を有する。
本発明の一実施例によれば、前記合成粒子は、レシチン−キトサンの質量比が、3:1と4:1の間にある合成粒子を有する。
本発明の一実施例によれば、前記合成粒子のキトサンとレシチンは、イオン相互作用と疎水性相互作用の少なくとも一方により、化学結合されている。
本発明の一実施例によれば、前記合成粒子のキトサンとレシチンは、共有結合されていない。
本発明の一実施例によれば、前記合成粒子のキトサンは、50%から95%の間のアセチル化度(acetylation)を有する。
【0043】
本発明の一実施例によれば、混合物は、(c)肉(牛肉、鶏の肉、これらは、ドッグフード、キャッツフードに適切である)、穀物(小麦、大麦、これらは、鶏の餌、馬の餌に適切である)、植物の種子、トウモロコシ(鶏の餌に適切である)、豆果(大豆、大豆製品、これらは、鶏の餌に適切である)からなるグループから選択された少なくとも1種類の飼料を有する。
【0044】
前記混合物のタンパク質由来の栄養価と炭水化物由来の栄養価の合計は、前記混合物の1g当たり少なくとも2カロリーである。
【0045】
前記混合物内の前記飼料の重量と前記合成粒子の重量と重量比は、少なくとも100:1であり、前記合成粒子は、前記飼料と均一に混合されている。
ことを特徴とする請求項36,37のいずれかに記載の混合物。
【0046】
本発明の一実施例によれば、本発明の飼料混合物の製造方法は、(a)上記の混合物を、肉と穀物と植物の種子とトウモロコシと豆果からなるグループから選択された少なくとも1種類の飼料と混合するステップを有する。
【0047】
混合比は、いかなるものでもよい。例えば、混合物の最大1%、最大0.5%、最大0.3%、最大1%が、合成粒子である。
ここに開示した混合物を動物に当てる方法が開示される。本発明の一実施例によれば、動物は、鳥、豚、牛、馬、猫、羊、犬からなるグループから選択される。
【0048】
本発明の合成粒子の方法は、(a)キトサン粒子を用意するステップと、(b)前記キトサン粒子を、少なくとも1時間、酸に混合して、第1溶液を得るステップと、(c)陰イオン又は非イオンの界面活性剤を有する第2溶液を用意するステップと、(d)前記第1溶液と第2溶液を酸性状態で混合して、前記界面活性剤に化学結合したキトサンを有するキトサン−界面活性剤の合成粒子を得るステップと、(e)前記キトサン−界面活性剤の合成粒子から粉末を生成するステップを有する。
【0049】
本発明の合成粒子の方法は、(a)キトサン粒子を用意するステップと、(b)前記キトサン粒子を、少なくとも1時間、酸に混合して、第1溶液を得るステップと、(c)レシチンを含む第2溶液を用意するステップと、(d)前記第1溶液と第2溶液を酸性状態で混合して、前記レシチンに化学結合したキトサンを有するキトサン−レシチンの合成粒子を得るステップと、(e)前記キトサン−レシチンの合成粒子から粉末を生成するために、乾燥させるステップを有する。
【0050】
本発明の一実施例によれば、(i)前記混合したキトサン粒子は、低分子量のキトサン粒子で、その重量は、0.3×10と1.5×10ダルトンの間の重量を有し、(ii)前記ステップ(b)は、少なくとも1時間行われる。
本発明の一実施例によれば、(i)前記混合したキトサン粒子は、中分子量のキトサン粒子で、その重量は、1.5×10と5×10ダルトンの間の重量を有し、(ii)前記ステップ(b)は、少なくとも2時間行われる。
【0051】
本発明の一実施例によれば、(i)前記混合したキトサン粒子は、高分子量のキトサン粒子で、その重量は、0.5×10と3×10ダルトンの間の重量を有し、(ii)前記ステップ(b)は、少なくとも3時間行われる。
【0052】
本発明の一実施例によれば、前記ステップ(b)は、少なくとも20時間行われる。
本発明の一実施例によれば、前記ステップ(d)は、以下のグループから選択された少なくとも1つのステップを有する:(i)スプレー乾燥ステップ:(ii)凍結乾燥ステップ。
【0053】
前記ステップ(d)は、前記ステップ(d)の前に、第1溶液と第2溶液が十分混合するよう、少なくとも2分間−30分間の期間行い、その間の平均温度は、40℃以下である。
【0054】
本発明の一実施例によれば、前記期間は、最大20分である。
本発明の一実施例によれば、前記平均温度は、30℃以下である。
ことを特徴とする請求項48−49のいずれかに記載の製造法。
【0055】
本発明の一実施例によれば、前記ステップ(d)は、前記ステップ(d)の前に、第1溶液と第2溶液が十分混合するよう、少なくとも2分間−10分間の期間行い、その間の平均温度は、50℃以下である。
【0056】
本発明の一実施例によれば、前記平均温度は、45℃以下である。
本発明の一実施例によれば、前記ステップ(d)は、前記形成された合成粒子の少なくとも10質量%が、0.3ミクロン−2ミクロンの間の大きさを有するような、温度と期間で行われる。
本発明の一実施例によれば、前記ステップ(d)は、前記形成された合成粒子の少なくとも50質量%が、0.3ミクロン−2ミクロンの間の大きさを有するような、温度と期間で行われる。
本発明の一実施例によれば、前記ステップ(d)は、前記形成された合成粒子の少なくとも70質量%が、0.3ミクロン−2ミクロンの間の大きさを有するような、温度と期間で行われる。
本発明の一実施例によれば、前記酸は、乳酸とグルタミン酸からなるグループから選択された有機酸である。
本発明の一実施例によれば、前記第2溶液は、水溶液の形態で用意される。
【0057】
本発明の一実施例によれば、前記第1溶液の前記混合物のキトサンの濃度は、0.25%w/wから1%w/wの間である。
本発明の一実施例によれば、前記第1溶液の前記混合物のキトサンの濃度は、0.1%w/wから2%w/wの間である。
本発明の一実施例によれば、前記第2溶液の前記混合物のレシチンの濃度は、1.25%w/wから5.0%w/wの間である。
本発明の一実施例によれば、前記第2溶液の前記混合物のレシチンの濃度は、0.1%w/wから7.5%w/wの間である。
本発明の一実施例によれば、前記ステップ(b)の酸のpHは、3.5に調整される。
本発明の一実施例によれば、本発明の方法は、(f)前記第1溶液と第2溶液からなる前記混合物のpHを7に調整するステップをさらに有する。
本発明の一実施例によれば、前記ステップ(b)の酸のpHは、3.5に調整される。
本発明の一実施例によれば、本発明の方法は、(g)前記第1溶液と第2溶液の混合物を30分間放置し、その後、粒子を取り除くために濾過するステップ
をさらに有する
本発明の一実施例によれば、前記ステップ(b)の酸のpHは、3.5に調整される。
本発明の一実施例によれば、本発明の方法は、(h)前記取り除いた粒子を酸性媒体中に再縣濁するステップ
をさらに有する。
【0058】
本発明の一実施例によれば、前記キトサンの疎水性を増すことにより、前記キトサンにより人間以外の動物のコレステロールを低減する
本発明の一実施例によれば、前記疎水性は、キトサンを陰イオン性界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤と反応させることにより、増加させる
本発明の一実施例によれば、人間以外の動物の脂肪を低減させる、前記請求項のいずれかに記載の混合物又は方
本発明の一実施例によれば、人間以外の動物の肥満治療を行う、前記請求項のいずれかに記載の混合物又は方法を使用する。
【0059】
特に定義しない限り、本明細書で使用される技術用語と科学用語は、当業者が通常理解する意味を有する。本明細書に開示したものと類似または同一の方法または材料は、本発明の実施およびテストでも使用できる。本明細書において、従来と異なる定義をした場合には、本明細書の定義、用語が優先する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】キトサン−レシチン合成粒子を製造する方法を表すフローチャート。
【図2】キトサン−レシチン合成粒子を製造する方法を表すフローチャート。
【図3】リン酸塩緩衝液内の合成粒子の分散と安定性を表す写真の図。
【図4】リン酸塩緩衝液内の合成粒子の分散と安定性を表す写真の図。
【図5】キトサン−レシチンの合成粒子により、コール酸ナトリウム溶液から遊離コール酸ナトリウムを取り除く状態を表すグラフと表。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、疎水性マイクロ粒子を含有するコレステロールの処理に有効な混合物に関する。この疎水性マイクロ粒子は、陰イオン性あるいは非イオン性の界面活性剤(例、レシチン)に化学結合された陽イオン性ポリマー(例、キトサン)を含む。
【0062】
合成粒子内のキトサンと界面活性剤とは、化学結合されて合成粒子を形成する。この化学結合は、粒子の乾燥の間、陽イオン性ポリマーと陰イオン性界面活性剤との間のイオン性相互作用と、ポリマーの疎水性領域とレシチンの脂質分との間の疎水性相互作用に起因しておきる。陽イオン性ポリマーと非イオン性界面活性剤との間の相互作用は、非イオン性相互作用が関与する。
【0063】
本発明の一実施例において、陽イオン性ポリマーと陰イオンポリマーとは、互いに共有結合していない。
本発明の一実施例において、合成粒子は、レシチンに化学結合しているキトサンを含む。
本発明の合成粒子は、コレステロールの低減に有益である。
【0064】
特に、本発明の合成粒子は、鶏に投与した時(例えば、家禽の飼料に混合して投与した時)には、鶏のコレステロールを減らすのに役立ち、更にこの鶏の産んだ鶏卵内のコレステロールの低減に役立つ。その結果、鶏の卵(以下、鶏卵と称する)は、栄養価も高く値段が安く、肝臓と大動脈のコレステロールのレベルに対し、悪影響を有さない。
【0065】
理論的な議論に縛られる訳ではないが、本発明の一実施例においては、合成粒子は同時に3つの特徴を有する。この実施例において、合成粒子は、(i)胆汁酸を腸内で結合できる疎水性粒子であり、(ii)腸内のpHで、例えば粒子に起因して部分的に安定した縣濁液を形成でき、(iii)胃の中で溶ける。
【0066】
前述したように、胆汁のコレステロールは、胆汁酸の前駆体ある。疎水性粒子を腸内に導入することにより、胆汁酸を腸から押し出すことができる。この疎水性粒子は、腸内である期間縣濁可能である。時間が経つと、合成粒子を摂取した動物のコレステロールを減らすのに役立つと考えられている。かくして前記3つの特性の内の第1の特性は、腸内で胆汁酸と結合/結合するのに有効である。
【0067】
上記の3つの特徴の内の第2の特徴においては、合成粒子は、人間の腸内に入ると、胆汁塩との相互作用が起こる間、この合成粒子は短時間腸内の媒体内で安定した粒子縣濁物として留まる。この合成粒子は、その後、胆汁塩との塊として沈殿する。かくして胆汁塩は、疎水性相互作用を介してポリマー内に捕獲されて、腸を通過する間は、加水分解の作用を受けることはない。
【0068】
合成粒子が縣濁液の中に滞留する時間は、胆汁塩との相互作用が可能な十分な時間でなければならない。少なくとも部分的に安定した溶液を形成することのできない粒子は、腸液内の急激な綿状沈殿(flocculation)を受け、その結果、胆汁塩の結合と捕獲が起こらない。
【0069】
この特性は、例えば、粒子のサイズに起因する。かくして本発明の一実施例においては、粒子は、そのサイズが0.3−3ミクロンのマイクロ粒子である。
【0070】
上記した3つの特徴の内の第3の特徴に関し、本発明の一実施例においては、合成粒子は、胃の中で溶け易く、人間の小腸内に胆汁酸を結合するのに有効な形態で、分配されるなければならない。この実施例においては、合成粒子は安定しており、人間の胃の中の環境内では、反応性ではなく、その結果、可溶性で未飽和の形態で、小腸内に分配される。
【0071】
疎水性の議論
前述したようにキトサンは、正電荷を持つ多糖(多数の糖類を含む炭水化物)ポリマーであり、消化されず、その結果、排便される。
【0072】
レシチンは、乳化剤/洗浄剤(emulsifier/detergent)として特徴づけられ、小腸でのその吸収を阻止する胆汁塩を結合する(非特許文献7)。レシチンは、低価格で、自然のもので、糖脂質、トリグリセリド(triglycerides: グリセリンの3個のヒドロキシル基が脂肪酸と結合したエステル)と負電荷を持つリン脂質の混合物である。本発明の一実施例は、リン脂質内で豊富なレシチンを用いるが、より高い中性脂質の通常のレシチン、または異なる脂質組成のレシチンを用いることもできる。
【0073】
特定の理論にこだわる訳ではないが、本発明者は次のことを仮定した。陰イオン性界面活性剤は、キトサン分子を、疎水性テール領域との相互作用を介して、化学結合する。その結果、腸内のpHで水に溶けない荷電されていないキトサン−界面活性剤の合成粒子の形成が可能である。またキトサンの疎水性は、ある種の動物例えば鶏における胆汁酸への結合力を増加させる。
【0074】
本発明者は、次のように考える。キトサンによる小動物内の胆汁酸の吸収は、正電荷を持つキトサン・ポリマー(これは他の正電荷を持つ血漿タンパクと競合する)と負電荷を持つ胆汁酸との間の非特定のイオン相互作用の結果として、発生する。キトサンの胆汁酸の疎水性面への結合は、遥かに特殊である。
【0075】
本発明者は次のことを仮定した。陰イオン性界面活性剤は、疎水性テール領域との相互作用により、キトサン分子を吸収する。その結果、腸内のpHでは水に溶けない荷電されていないキトサン分子が形成される。またキトサンの疎水性は、ある種の動物例えば鶏における胆汁酸への結合力を増加させる。
【0076】
本発明により、キトサン粒子の疎水性を向上させる方法が得られた。これは、界面活性剤(例、レシチン)と化学結合したキトサンの「合成」粒子を提供することにより、行われる。
【0077】
理論に拘る訳ではないが、本発明の合成粒子は、強力な疎水領域を有し、疎水領域は、胃内の酸性状態で溶けることができ、液体の形態で小腸内に入り、マイクロ粒子が胆汁塩を結合し、その後沈殿する。
【0078】
非特許文献8によれば、ポリ陽イオン性ポリマーを陰イオン性界面活性剤と混合すると、静電気相互作用がナノ粒子の沈殿となる。このような粒子は、疎水性分子を溶融化できるが、これはポリ陽イオン性ポリマー内の疎水性ポケットの形成に起因する。しかし、著者(マグダッシ)は、人間のコレステロールを減らすために、キトサンを含む疎水性マイクロ粒子の使用については示唆も教示もしていない。さらに著者は、ナノ粒子(nanoparticles)についてのみ研究したが、マイクロ(微小)粒子(microparticles)については研究していない。
【0079】
前記著者は、特許文献9において、以下のことを開示している。オイルの正電荷を持つキトサン含有水性乳液を準備し、ここで、水性キトサン溶液を、陰イオン性の乳化剤を含む水中油型乳液(oil-in-water smulsion )に添加して、非可溶性の界面活性剤−キトサン錯体を生成する。この乳化剤はレシチンを含む。この特許文献9の目的は、オイルを安定化することであり、キトサンとレシチンの粒子は形成されておらず、むしろレシチンの安定した乳液を最初に形成し、その後それにキトサンを添加している。マグダッシにより用いられたキトサン対レシチンの比率は、0.5:0.33である。このプロセスはpH6で実行された。特許文献9に記載された乳液のpHが7以上となると、使用されたキトサンとレシチンの比率においては、キトサンの沈殿は、胆汁酸との相互作用が発生する前に、直ちに起きる。
【0080】
意外なことに、正電荷を持つポリマー(例、キトサン)と陰イオン性もしくは非イオン性界面活性剤(例、レシチン)を含む混合物は、合成疎水性マイクロ粒子を提供する。キトサンは、胃の中で正電荷を持つ分子とのイオン相互作用を受けない。その結果、キトサンは、胆汁酸を結合できる状態で、腸内に分配される。
【0081】
本発明の実施例により提供される混合物は、胆汁塩と相互作用ができる粒子を含み、粒子を破壊しレシチンと相互作用する遊離胆汁塩による消化と分解を阻止するために、少なくとも部分的に安定し溶けない縣濁液の形態で、小腸を通過する錯体を形成する。
【0082】
このようなマイクロ粒子を含む混合物は、胆汁酸を結合する際に極めて有効であり、これにより様々な動物のLDLコレステロールレベルを減らすことができる。
【0083】
本発明の一実施例の合成粒子は、胃の酸性状態の中で可溶性であり、人間の小腸の高いpH環境内で縣濁した粒子を形成する。このような粒子は、胆汁塩と相互作用する。この相互作用は、胆汁塩の疎水性の部分との疎水性相互作用であり、その結果、沈殿して可溶性でない塊を形成する。この塊内に胆汁塩が捕獲される。この効果を達成するために、合成粒子は十分に疎水性であり、胆汁塩の疎水性領域との強い疎水性相互作用を提供する。
【0084】
本発明の一実施例においては、合成粒子は、人間の腸内に入ると、胆汁塩との相互作用が起こりながら、この合成粒子は短時間腸の媒体内で安定した粒子縣濁物として留まる。この合成粒子は、その後、胆汁塩との塊として沈殿する。かくして胆汁塩は、疎水性相互作用を介してポリマー内に捕獲されて、腸を通過する間は、加水分解の作用を受けることはない。
【0085】
合成粒子が縣濁液の中に滞留する時間は、胆汁塩との相互作用が可能な十分な時間でなければならない。少なくとも部分的に安定した溶液を形成することのできない粒子は、腸液内の急激な綿状沈殿(flocculation)を受け、その結果、胆汁塩の結合と捕獲は起こらない。
【0086】
かくして本発明の一実施例によれば、本発明の粒子は、腸内の媒体中で少なくとも部分的に安定した縣濁を提供し、十分に強い疎水性を発揮して、胆汁塩の疎水性領域と強く反応して、胆汁塩を有する沈殿物を形成する。
【0087】
本発明者の行った実験によれば、本発明のレシチン対キトサンの粒子による胆汁塩の吸収は、疎水性の程度と粒子のサイズに影響されることが分かった。疎水性の程度は、粒子内のレシチンの濃度とそこで使用されるレシチンの種類で制御される。
【0088】
粒子のサイズとその分布についての議論
本発明者は、ある実施例においては、0.3−2ミクロンの範囲のサイズの粒子を、他の実施例においては、0.3−1.5ミクロンの範囲のサイズの粒子を開示する。これらは、腸内のpHに入った時に少なくとも部分的に安定した縣濁液を形成し、その後、胆汁塩を結合(バインド)する。
【0089】
如何なる混合物においても、合成粒子の粒子サイズは、混合物のあらゆる粒子につて同一ではない。ある所定の混合物は、粒子サイズの特定の分布を有する。
【0090】
本発明の一実施例においては、粒子のある最小の割合は、例えば、0.3−2ミクロンの範囲の粒子サイズを有し、あるいは他の実施例では、0.3−1.5ミクロンの粒子サイズを有する。理論に縛られる訳ではないが、このサイズの範囲は、腸内に導入された時に、粒子が部分的に安定した縣濁を形成できるために、有効である。かくして大きな粒子は、胆汁酸を結合する前に沈殿し、胆汁酸を腸から排除するのに有効でない。小さな粒子は、完全に安定した縣濁を形成するが、「胆汁酸との結合後最終的に沈む」ために有効でない場合があり、また小腸から胆汁酸を駆逐/放出するのにも有効でない。さらにまた小さな粒子は、酵素による消化により曝され易くなる。
【0091】
かくして本発明の一実施例においては、上記のサイズの範囲の粒子は、胆汁塩を除去するのに有効である。それゆえに本発明の一実施例においては、錯体粒子のある最小割合は、重量またはその数で、目標サイズの範囲内にあるサイズを有する。本発明の開示によれば、粒子サイズの数の分布と粒子サイズの質量分布は、サンプルの少なくとも0.1gまたは0.5gまたは1gを含む「マクロ・サンプル(macrosample)」と称する。
【0092】
合成粒子を製造する方法の第1実施例
図1において、同図はキトサン−レシチンの合成粒子を製造する方法を表すフローチャートを示す。ステップS201において、第1溶液を生成する。これは、キトサン1.5%w/wを0.75%HCLに溶かし、1時間以上混合する。
【0093】
本発明の一実施例においては、あとで形成される合成粒子が胃の中で溶けるために、必要な最小混合時間がある。本発明の一実施例においては、「低分子量」のキトサンに対しては、1時間の最小混合時間が必要であり、「中分子量」のキトサンに対しては、2時間の最小混合時間が必要であり、「高分子量」のキトサンに対しては、3時間の最小混合時間が必要である。
【0094】

一実施例においては、混合時間は、混合の「強さ」に依存する。例えば、激しい混合では短時間でよく、緩やかな混合では多くの時間が必要である。
一実施例においては、ステップS201の混合は、少なくとも20時間行われる。
ステップS203においては、7.5%w/wのレシチンが水に溶解し、第2溶液を形成する。
【0095】
ステップS205において、溶液を所定の比率で混合する。最終的に形成される合成粒子内のキトサンのレシチンに対する比率は、第1溶液と第2溶液の比率を制御することにより制御される。ステップS205において、合成粒子は溶液で形成される。
【0096】
ステップS207において、合成粒子を含む混合溶液を噴霧乾燥して、粉末形態に変える。合成粒子のサイズは、ステップS205の溶液の温度を制御することにより、かつ噴霧乾燥するステップS207の前に溶液中に粒子が残存する時間を制御することにより制御される。
【0097】
本発明者は、第1溶液と第2溶液を15分間25℃で混合すると、良好な結果が得られることを見出した。所望の0.3−1.5ミクロンの粒子又は所望の0.3−2ミクロンの粒子が、大部分を占める。
【0098】
理論に拘る訳ではなく、キトサンとレシチンを混合することにより生成される粒子のサイズは、混合時間を長くし反応温度を上げることにより、増加することが分かった。大き過ぎる粒子は、pH7では十分安定せず、腸内のpHにおいては、胆汁塩の結合が発生する前に沈殿してしまう。長くかつ高い温度で混合すると、大き過ぎる合成粒子が発生してしまう。
かくして一実施例においては、ステップS205の混合時間は、最大5分で、温度は50℃である。あるいは10分間で40℃である。
【0099】
合成粒子を製造する方法の第2実施例
図2において、ステップS201とS203は、図1の方法と同じである。ステップS205において、溶液を所定の比率で混合する。例えば、レシチン対キトサンの質量比率は、3:1から4:1の間である。この時点で、キトサンとレシチンは、イオン結合している。
【0100】
ステップS301において、pHを7に上げる。これによりキトサンとレシチンの間の第2結合(即ち、疎水性結合)の形成が容易となり、沈殿を容易にする。これは約30分間行われる。
【0101】
ステップS305において、綿状物(flocculate)を遠心分離し、濾過し、ペレットを得る。ステップS205−S305を繰り返して、粒子の濃度を高める(ステップS309)。ステップS313において、ペレットを酸性のpH内で再度縣濁する。ステップS207において、粒子を噴霧乾燥して、粉末形状にする。
【0102】
合成粒子を飼料と混合する方法
合成粒子を栄養価の高い動物用飼料(即ち、タンパク質から得られたカロリーと/または炭水化物から得られたカロリーの高い栄養価密度の飼料)と混合する。一実施例においては、飼料は家禽の飼料である。この飼料は、0.1%と1%(w/w)の間の合成粒子を含む。
【0103】
他の実施例においては、栄養価密度の高い飼料は、家禽用飼料あるいは動物用飼料あるいはその組み合わせである(例えば、若鶏、クランブル、生長植物、産鶏卵鶏、マッシュ(穀粒、ふすま、ひき割りなどを混ぜ、湯で煮て溶かした馬牛その他家畜の飼料)、ペレット、まき餌、幼動物飼料(発育促進のための)である)。一般的に飼料の成分は、アミノ酸、ふすまカルシウム、濃厚飼料(穀物・豆かす・油かすなど)、トウモロコシ、元素(elements)、胚芽、穀物、粗粒砂岩(鳥が消化を助けるために食べる砂その他の粒状物)、ケルプ(コンブ目・ヒバマタ目の漂着性の大型褐藻)、シャープス(ふすまなどを混ぜた粗くひいた資料用穀物)、ミネラル、タンパク質、trace elements(微量元素)、ビタミンで、その内1つもしくはそれ以上の成分を含み、少なくとも100g当たり100キロカロリーを有する。飼料は、合成粒子で栄養価を高め飼養する動物に応じ異なる。
【0104】
他の界面活性剤
本発明の一実施例によれば、陰イオン性又は非イオン性の界面活性剤が使用される。陰イオン性界面活性剤の一例は、リン脂質、胆汁塩、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(sodium lauryl ether sulfate)、クエン酸エステル系モノグリセリド(citric acid esters of monoglycerides)、ナトリウム、カルシウムまたはステアロイル乳酸(acid stearoyl lactylate)、クエン酸ステアリル(stearyl citrate)、脂肪酸または塩、ジアセチル酒石酸エステル・モノグリセリド(diacetyl tartaric acid esters of monoglycerides)、あるいはそれらの組み合わせを含む。非イオン性界面活性剤の一例は、セチル・アルコールとオレイル・アルコールを含む。
【0105】
一実施例によれば、陰イオン性界面活性剤は、リン脂質、レシチン(ホスファチジルコリン(phosphatidylcholine))を含む、これは1、2-ジアシル-スズ-グリセロ-3-ホスファチジルコリンあるいはホスファチジルコリン(PtdCho)で、その化学構成は次式で表される。
式3

【0106】
用語「レシチン」は、化学分野、生化学分野で使用される場合には、市場で使われている場合とは異なる意味を持つ。化学分野においては、レシチンはホスファチジルコリンであり、市場で用いられる場合には、レシチンは、中性脂質(neutral lipid)と極性脂質(polar lipid )の天然混合物を指す。ホスファチジルコリンは、極性の脂質であり、市販のレシチン内に濃度は20−90%ある。市販されているレシチン製品の大部分は、約20%のホスファチジルコリンを含む。
【0107】
ホスファチジルコリンを含むレシチンは、野菜、動物、微生物から生成され、主に野菜から生成される。大豆、ヒマワリ、セイヨウアブラナの種子(菜種)は、市販されているレシチンの主要な植物源である。大豆は最も一般的な物である。食物用のレシチンは、GRAS(Generally Recognized as Safe: 米国食品医薬品局合格証;食品に有害成分が含まれていないことを米国食品医薬局(FDA)が判定を下す)と見なされる。鶏卵の黄身のレシチンは、栄養サプリメントのレシチンの主要源ではない。鶏卵自体は、68%から72%のホスファチジルコリンを含み、大豆は、20%から22%のホスファチジルコリンを含む。
【0108】
植物と動物から得られたホスファチジルコリンの脂肪酸組成(makeups)は異なる。飽和脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸は、大豆レシチンの19〜24%を占め、モノ不飽和脂肪オレイン酸は9〜11%で、リノール酸は56〜60%、アルファリノール酸は6〜9%を資する。鶏卵の黄身のレシチンでは、飽和脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸は、鶏卵のレシチンの41〜46%を占め、オレイン酸は35〜38%、リノール酸は15〜18%、アルファリノール酸は0〜1%とそれぞれ占める。不飽和脂肪酸は、主にグリセリンの第二炭素あるいは中炭素と結合する。
【0109】
レシチンは、他の界面活性剤に対し幾つかの利点がある。例えば、レシチンは、胆汁塩錯体の生来部分であり、安く、かつ胆汁酸で十分認識できる。
【0110】
好ましくは、陰イオン性界面活性剤は、レシチン(ホスファチジルコリン)とリン脂質とを含む。このリン脂質は、鶏卵の黄身または大豆から分離されたリン脂質の画分(phosphatide fraction)の主要成分である。レシチンは、他の界面活性剤に対し幾つかの利点がある。例えば、レシチンは、胆汁塩錯体の不可欠な要素であり、安くかつ胆汁酸で十分認識できる。
【0111】
本発明の実施例において、キトサンに代わる物として、他の正電荷を持つ適宜のポリマーを用いることができる。この正電荷を持つポリマーの一例は、ポリアミン、例えば、ポリリシン(polylysine)とポリアミドアニン(polyamidoanine)である。本発明の実施例によれば、高分子量のキトサンを使用するのが好ましい。その理由は、低分子量のキトサンは、疎水性が低く、それゆえに本発明の混合物では余り有効ではない。高分子量のキトサンの好ましい範囲は、5×10−3×10ダルトンである。
【0112】
合成粒子内のレシチンのキトサンに対する比率は、幾つかのファクターに基づいて変わる。例えば、キトサンの分子量または使用されるレシチンの種類である。本発明の一実施例においては、この比率は、例えば、1:0.2〜5:1の範囲である。リン脂質を多量に含むレシチンを使用する場合には、この範囲は、例えば、0.2:1、0.25:1、0.4:1、0.6:1、1:1、1.2:1、2:1、2.8:1、3:1、4:1、5:1である。より好ましくは、この範囲は、3:1〜4:1の範囲であり、例えば、3:1、3.3:1、3.5:1、3.7:1、4:1である。
【0113】
混合物内のキトサンの濃度は、1%(w/w)以下である。例えば、0.1%、0.2%、0.25%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.3%、1.5%、1.7%、2%、2.5%(w/w)である。
混合物内のレシチンの濃度は、0.1%〜7.5%(w/w)の範囲であり、あるいはその中の範囲である。
【0114】
本発明のさらなる目的、利点あるいは新たな特徴は、本明細書の実施例を参照することにより当業者には明らかである。ただしこの実施例は、本発明の範囲を制限するものではない。さらにまた様々な実施例また本発明の態様は、上記したとおりである。本発明の特許請求の範囲は、以下の実施例で実験的に支持ートされている。
【0115】
本発明のある種の特徴は、ここの実施例に明確に記載されているが、1つの実施例の中で組み合わせとしても示されている。逆に本発明の様々な特徴は、1つの実施例の中にそれぞれ開示されている。
【0116】
材料と製造方法
材料
低分子量のキトサン(100,000g/mol(SK−10)でアセチル化率20%)と、高分子量のキトサン(2.8×10g/mol(SK−100)でアセチル化率9%)を、日本にある甲陽ケミカル株式会社から入手した。
部分的に加水分解したレシチンを、これは濃厚なリン脂質(HL50IP)となるが、ドイツにあるカーギル社(米国の穀物商社大手)から入手した。
【0117】
準備の方法
SK−10キトサン
低分子量SK−10キトサン(1%)を0.5%HCIに入れた溶液と、水にレシチン(10%)を入れた溶液を、25℃で24時間掻き混ぜて、用意した。各溶液のpHは、3.2に調整した。
2つの溶液を、15分間25℃で、レシチン対キトサン比率が1:1、2:1,3:1、4.1となるように混合して、縣濁液を得た。
【0118】
サンプルを取り出してサイズの分布とかくして形成された粒子のゼータ電位(eta potential)を調べた。その結果を表1に示す。
縣濁液は、1時間攪拌し、その後噴霧乾燥機(BUCHI mini spray dryer B-290)に移した。噴霧乾燥機の入口温度は120℃であり、吸引器のレベルは70%で、ポンピングのレベルは25%であった。
【0119】
かくして形成された粉末を最初に塩化水素酸(pH3.0)で再縣濁して、濃度0.25%w/wのキトサンとレシチンの濃度を変えた粒子の縣濁液を形成した。レシチン対キトサンの様々な比率は次のとおりである。
表1
粉末中のレシチン/SK-10キトサンの比率 分散したレシチンの濃度(%重量)
0.6 0.15
1.2 0.3
2.8 0.7
4 1
5 1.25

【0120】
0.25gをかくして得られた粉末のそれぞれから取り出し、20mlのHCI(pH3.0)内で30分再縣濁して、人間の胃の状態を模擬した。この溶液を、その後、NaOHと30mlのリン酸塩緩衝液で中性化した。このリン酸塩緩衝液は、(単位nM:ミリモルで)108NaCl、4.7KCl、1.8NaHPO、15NaHCO、1.2MgSO、1.25CaClを含む。かくして溶液のpHを6.8にし、人間の小腸の状態を模擬した。
粒子の分散と安定性を、リン酸塩緩衝液内で3時間経過後に、デジタルカメラで記録した。その結果を図3に示す。
【0121】
SK−100キトサン
低分子量SK−100キトサン(1%)を0.5%HCIに入れた溶液と、水にレシチン(10%)を入れた溶液を、SK−10キトサンの場合と同様に用意した。
かくして形成された粉末を最初に塩化水素酸(pH3.0)で再縣濁して、濃度0.25%w/wのキトサンとレシチンの濃度を変えた粒子の縣濁液を形成した。レシチン対キトサンの様々な比率は、次のとおりである。
表2
粉末中のレシチン/SK-100キトサンの比率 分散したレシチンの濃度(%重量)
1.25 0.3
2 0.5
2.8 0.7
4 1
5 1.25

【0122】
サンプルを取り出してサイズの分布とかくして形成された粒子のゼータ電位を調べた。その結果を表1に示す。
0.25gをかくして得られた粉末のそれぞれから取り出し、HCIに再縣濁して、燐酸バッファ液内でpHを6.8に調整した。これは、SK−10キトサンの場合と同様である。
粒子の分散と安定性を、リン酸塩緩衝液内で、5分経過後(図4A)、30分経過後(図4B)、3時間経過後(図4C)に、デジタルカメラで記録した。
【0123】
キトサン−レシチン粒子と胆汁酸との間の相互作用の試験管内モデル
胆汁酸と本発明のキトサン−レシチン粒子の間の相互作用を検証するために、試験管モデルを用意した。これは次の仮定に基づく。可溶性で遊離の胆汁酸派生物であるコール酸ナトリウム(sodium cholate)が粒子により結合され、その結果、上澄み中のコール酸ナトリウムの量が減少する。この方法で上澄み中に残った遊離胆汁酸を測定した。これは様々な比率のレシチン粒子とキトサン粒子をコール酸ナトリウムで混合し、遠心分離し濾過処理した後、溶液中に残存した可溶の未結合のコール酸塩(cholate)から結合されたコール酸塩を取り除いた後に行った。
【0124】
リン酸塩緩衝液内のコール酸塩の比色定量分析(colorimetric analysis: 化学物質の色の強度を計測することによってその物質の濃度を決定する方法)を行った。これは非特許文献9に開示されている。この方法を簡単に述べると、コール酸塩を含む酢酸溶液をフルフラール(furfural: アルデヒド基を有する無色・油状の液体;主に合成樹脂・合成繊維の製造、潤滑油精製の際の溶剤に用いる)と硫酸で処理した時、現れる色(発色)基づく。吸収性とコール酸ナトリウム(sodium cholate)の濃度との間の関係を最初に検証する。これにより比色定量分析が、コール酸塩の濃度を測定するのに適宜の方法であることが確認された。その結果を図5に示す。
【0125】
0.25%w/wの高分子量のキトサン(SK−100)と、0.5%w/wのコール酸ナトリウムをレシチンの量を変えて用意した。レシチンとキトサンの比率は以下のとおりである:
表2
粉末中のレシチンとキトサンの比率 分散した状態のレシチンの濃度(%重量)
1.25 0.3
2 0.5
2.8 0.7
4 1
5 1.25
【0126】
粒子を上記した方法で準備し、HCL内で30分間縣濁した。その後、この粒子をpH6.8のリン酸塩緩衝液内に移し、コール酸ナトリウムで30分間混合することによりテスト溶液を準備した。その後、粒子を遠心分離し濾過して、上澄み液内の粒子と遊離コール酸塩とを分離した。その後、比色定量分析を行った。リン酸塩緩衝液内のキトサン−レシチン粒子からなる制御物は、コール酸ナトリウムを持ちいずに、腸内媒体においてある種の吸収があった。比色定量分析の結果を表2に示す。
【0127】
家畜を飼養するためのレシチン−キトサン粒子の準備
動物の実験用に使用するために十分な量の粒子を製造するために、1時間当たり16リットルの噴霧乾燥機を使用した。この噴霧乾燥機を使用したことにより、0.5gから1kgの粒子が1日に製造できた。キトサンの溶液(1%)を乳酸内で溶かし、24時間25℃で攪拌した。水中のレシチン(10%)を、25℃で24時間攪拌することにより確保した。この溶液のpHは3.3に調整された。
この2つの溶液(レシチン:キトサンの比率は、1:1〜4:1)を45℃で5分間混合した。その後、噴霧乾燥機に移した。レシチン:キトサンの比率が、1:1、2:1、3:1のサンプルを50%のマルトデキストリン(maltodextrin:麦芽糖を含んだデキストリン;食品添加物)で混合して、乾燥サンプルを得た。3.5:1と4:1のサンプルを80%のマルトデキストリンで乾燥させた。
【0128】
鶏用飼料
表1:鶏の飼料組成
計算上の解析 鶏の食餌
タンパク質(%) 17.0
カルシウム(%) 3.80
リン(%) 0.53
塩(%) 0.30
熱量(Kcal/100g) 275
【0129】
飼料の混合物
飼料混合物1:ベース飼料のみ
飼料混合物2:0.25%のドーズ量で混合したキトサン粉末で混合したベース飼料
飼料混合物3:0.4%のドーズ量で混合したキトサン粉末で混合したベース飼料
飼料混合物4:(i)0.1%のドーズ量で混合したキトサン粉末と(ii)0.1%のドーズ量で混合したレシチン粉末で混合したベース飼料
飼料混合物5:(i)0.125%のドーズ量で混合したキトサン粉末と(ii)0.2%のドーズ量で混合したレシチン粉末で混合したベース飼料
飼料混合物6:(i)0.125のドーズ量で混合したキトサン粉末と(ii)0.3%のドーズ量で混合したレシチン粉末で混合したベース飼料
飼料混合物7:0.25%のドーズ量で、レシチン:キトサン比率が2:1のキトサン−レシチン粉末で混合したベース飼料
飼料混合物8:0.25%のドーズ量で、レシチン:キトサン比率が3:1のキトサン−レシチン粉末で混合したベース飼料
飼料混合物9:0.25%のドーズ量で、レシチン:キトサン比率が3.5:1のキトサン−レシチン粉末で混合したベース飼料
飼料混合物10:0.25%のドーズ量で、レシチン:キトサン比率が4:1のキトサン−レシチン粉末で混合したベース飼料
飼料混合物11:0.4%のドーズ量で、レシチン:キトサン比率が4:1のキトサン−レシチン粉末で混合したベース飼料
飼料は、粗く砕いた飼料であり、全ての混合物に対して同一でNRC−94の要件を満たしている。
飼料混合物7、8、9は、50%のマルトデキストリン(malto-dextrin)で薄めた。
飼料混合物10、11は、80%のマルトデキストリンで薄めた。
【0130】
動物実験方法:
110羽の鶏を、10羽の鶏からなる11のグループに分けた。全ての鶏の年齢は、74週である。
最初の6つのグループは、対照群(control group: 同一実験で実験要件を加えないグループ)であり、キトサン−レシチン合成粒子のキトサン−レシチン粉末(即ちレシチンに化学結合したキトサンで)を給餌していない。残りの5つのグループには、キトサン−レシチン合成粒子のキトサン−レシチン粉末を給餌した。
試験群1には飼料混合物1を給餌し、試験群2には飼料混合物2を給餌した。以下同様である。即ちN番目の試験群には、N番目の飼料混合物を給餌した。ここではNは、1と11の間の正整数である。
鶏には1日当たり120gの飼料を45日間与えた。実験の間、鶏の生理機能と鶏卵の品質をモニターした。
【0131】
鶏における測定
鶏の測定は、以下を測定することにより評価した:
体重:鶏を実験の開始時と終了時に個々に体重を量った。飼料の消費をバタリーケージ(battery cage:鶏などを飼育するためのかご)当たり計算した。1日当たりの死亡数を記録した(生死を記録した)。鶏卵の産出高(雛−1日当たりの産出量)を毎日記録した。飼料の効率と鶏卵の重量を毎週測定した(その日に産出した鶏卵を収集した後に行った)。
【0132】
鶏卵の品質の測定
鶏卵の殻の品質−%灰分(ash)を決定した。これは鶏卵の殻の厚さを表す。
鶏卵の殻の品質は以下の方法でテストした。鶏卵の重量を個別に測定し、鶏卵を割り、殻を洗って、室温で鶏卵の重みを決定するため乾燥させて、膜の無い状態で鶏卵の殻の重さを測定した。全ての鶏卵は、ひびの入った鶏卵とチェックした鶏卵とを分けるよう取り扱った。
以下の基準を用いて鶏卵の殻の品質を決定した。
化学的解析:(認証されたAOAC方法に従って)
湿度(%)、全コレステロール、黄身のコレステロール、脂肪酸プロファイルMUFA、PUFA SAT、LDL、HDL
【0133】
実験結果
粒子サイズとゼータ電位を、様々なレシチン−キトサンの比率(SK−10キトサン)で測定した。
形成された粒子サイズとゼータ電位を、様々なレシチン:キトサンの比率のものを以下の表に示す。

サンプル番号 1 2 3 4 5
レシチン濃度(%) 0.05 0.07 0.1 0.3 0.7
レシチン/キトサン比(w/w)0.2 0.25 0.4 1.2 2.8
サイズ(ミクロン) 1.2 1.8 1.95 1.25 0.95
ゼータ電位(mV) +43 +42 +42 +39 +33

ゼータ電位は、粒子のチャージ(電荷)を表す。上記表1に示すように、ゼータ電位は、レシチン:キトサンの比率が増加すると減少する。
【0134】
様々なレシチン:キトサンの比率(SK−100キトサン)の粒子サイズ
以下の表は、レシチンの様々な濃度に対する粒子の大きさを示す。実験においてキトサンの濃度は0.25%である。レシチン:キトサンの比率は、それぞれ1.2:1、2:1、2.8:1、4:1である。
同表に示すように粒子のサイズは、時間と共にかつレシチン:キトサンの比率が増加すると共に増加する。

表:
レシチン濃度(%) 15分後の粒子サイズ(nm) 1時間後の粒子サイズ(nm)
0.3 518 381
0.3 27 379
0.5 526 1030
0.5 771 1010
0.7 574 861
0.7 25.2 773
1 938 1270
1 905 1460
1.25 1170 1180
1.25 1240 785

【0135】
様々なレシチン:キトサンの比率における粒子の分散と安定性
図3は、レシチン:キトサンの比率が1:1、2:1、3:1、4:1、5:1のにおけるリン酸塩緩衝液内で3時間後のSK−10の粒子の分散を示す。
図4A−4Cは、リン酸塩緩衝液内で5分後、30分後、3時間後のSK−100の粒子の分散を表す。図4A−4Cに示すように、粒子は1:1のレシチン:キトサン比率の時に安定し、少なくとも3時間以上時間が経過しても沈殿しなかった。この粒子の平均サイズは、300−400nmである。レシチン:キトサンの比率が増加すると、粒子サイズは、数百nmから1または2ミクロンとなり、粒子は、溶液中で安定性を失い沈殿し始めた。
【0136】
粒子の沈殿は、レシチン:キトサンの比率の増加に比例して増加する。これは粒子の疎水性部分が増加する結果である。しかし粒子の急速沈殿は、粒子が胆汁酸と相互作用するのに十分な時間を与えることがなく、それゆえに3:1から4:1の混合比率が、好ましい。
【0137】
キトサン−レシチン粒子と胆汁酸との間の相互作用の試験管内モデル
胆汁酸と本発明のキトサン−レシチン粒子の間の相互作用を検証するために、試験管モデルを用意した。これは次の仮定に基づく。可溶性で遊離の胆汁酸派生物であるコール酸ナトリウム(sodium cholate)が粒子により結合され、その結果、上澄み中のコール酸ナトリウムの量が減少する。この方法で上澄み中に残った遊離胆汁酸を測定した。これは様々な比率のレシチン粒子とキトサン粒子をコール酸ナトリウムで混合し、遠心分離し濾過処理した後、溶液中に残存した可溶の未結合のコール酸塩(cholate)から結合されたコール酸塩を取り除いた後に行った。
【0138】
リン酸塩緩衝液内のコール酸塩の比色定量分析を行った。これは非特許文献9に開示されている。この方法を簡単に述べると、コール酸塩を含む酢酸溶液をフルフラール(furfural: アルデヒド基を有する無色・油状の液体;主に合成樹脂・合成繊維の製造、潤滑油精製の際の溶剤に用いる)と硫酸で処理した時、現れる色(発色)基づく。吸収性とコール酸ナトリウム(sodium cholate)の濃度との間の関係を最初に検証する。これにより比色定量分析が、コール酸塩の濃度を測定するのに適宜の方法であることが確認された。その結果を図5に示す。
【0139】
図5に示すように、溶液中のコール酸ナトリウムの濃度(mg/ml)と比色定量分析による吸収との間には、線形な関係が見出された。この方法がコール酸塩の濃度の測定に適切な方法であることを示す。
テスト溶液の比色定量分析の結果を以下の表に示す。
表:
レシチン(%) 0.3 0.5 0.7 1 1.25
制御 0.1549 0.1956 0.2235 0.3547 0.2786
処理 0.3182 0.6141 0.6398 0.4024 0.4316
処理-制御 0.1633 0.4185 0.4163 0.0477 0.153

【0140】
表に示すように、レシチンの量が増加すると、キトサン:レシチン粒子によるコール酸塩の結合が増加する。その結果、上澄みにコール酸塩が少なくなる。粒子中にレシチンの量が増加すると、粒子の疎水性特徴が増し、これにより、コール酸ナトリウムの疎水性サイトに対する粒子の親和性が改善する。
【0141】
上記の表の実験結果から、レシチン:キトサンの比率が2:1と3:1における溶液中に残留するコール酸塩の量(mg)を計算した。これは、0.4185のODは0.74mgのコール酸ナトリウムに等しいことに基づいて行った。この量の40%がレシチン:キトサンの比率1:1の溶液で残り、12%が比率4:1の溶液で残り、37%が比率5:1の溶液で残る。以下同様に、60%、88%、63%のコール酸塩が、それぞれレシチン:キトサンの比率1:1、4:1、5:1の溶液で吸収される。
【0142】
レシチン:キトサンの比率が1:1の粒子に対しては、サイズの影響は疎水性の影響よりも遥かに大きい。その理由は、直径0.4μmのナノ粒子は、大きな表面積を有するので、これらはより溶け易くなるが、より高い比率で形成された粒子よりも疎水性は低くなる。これらの粒子は、約60%のコール酸ナトリウムを吸収した。一方で、このナノ粒子により吸収された胆汁塩は、加水分解を受けずに腸内を通過できず、その結果、粒子から急速に分離されて腸内に残る。それゆえに本発明の混合物に対し、マイクロ粒子(microparticle)を用いるのが好ましい。
【0143】
結論としては、胆汁塩の吸収度合いを測定する生体外実験は、粒子により捕獲されその後に人体から便として排出される胆汁塩の量の定量化には不十分である。試験管内動物の研究において、糞を通して排出される胆汁塩の量を正確に定量化する必要がある。
【0144】
鶏の実験に対する予測結果
鶏の最適な飼料を微調整した後、予測される結果は、鶏卵のLDL容量を最大30%減らすことができる。
【0145】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
以上の説明において、用語「A又はB」は、「Aのみ」「Bのみ」ならず、AとBの両方を含むと解釈できる。用語「Aを有する」はA以外のものを排除する意はない。
【符号の説明】
【0146】
S201:キトサン(1.5%)を0.75%HCI内で溶解し、これを1時間以上混合 して第1溶液を得る。
S203:レシチン7.5%を水中で溶解して第2溶液を得る。
S205:第1溶液と第2溶液を所定の比率(例、キトサン:レシチンが0.2:1から 5:1の間の比率)でpH3.5で混合する。
S207:噴霧乾燥して粉末形態にする。
S301:pHを7に上げる。
S305:遠心分離または綿状沈殿物を濾過する。
S307:必要に応じステップS205−S305を繰り返す。
S309:濃縮する。
S313:酸性pH内で濃縮物を再縣濁する。
図5: 溶液中の遊離コール酸ナトリウムの標準カーブ;横軸(コール酸ナトリウム)

レシチン/キトサンの比(W.W)レシチン濃度(%)溶液中の遊離コール酸ナトリウム
1:1 0.3 0.1633
2:1 0.5 0.4185
3:1 0.7 0.4163
4:1 1 0.0477
5:1 1.25 0.153



【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステロールの低減に有効な混合物において、
前記混合物は、複数の合成粒子を有し、
前記各合成粒子は、陰イオン性界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤に化学結合したキトサンを有する
ことを特徴とする混合物。
【請求項2】
前記陰イオン性界面活性剤は、リン脂質、胆汁塩、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、モノグルセリドのクエン酸ステアリル、ナトリウム又はカルシウム又はステアロリル酸ルクチレート、ステアリル・クエン酸、脂肪酸、脂肪酸塩、モノグルセリドのジアセチル酒石酸、あるいはそれらの化合物から選択される
ことを特徴とする請求項1記載の混合物。
【請求項3】
前記リン脂質は、レシチンを含む
ことを特徴とする請求項2記載の混合物。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコールである
ことを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の混合物。
【請求項5】
コレステロールの低減に有効な混合物において、
前記混合物は、複数の疎水性合成粒子を有し、
前記各疎水性合成粒子は、陰イオン性界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤に化学結合した陽イオンポリマーを有する
ことを特徴とするコレステロールの低減に使用される混合物。
【請求項6】
前記陽イオンポリマーは、キトサンを含む
ことを特徴とする請求項5記載の混合物。
【請求項7】
前記陽イオンポリマーは、ポリアミンを含む
ことを特徴とする請求項5又は6記載の混合物。
【請求項8】
前記ポリアミンは、ポリリシンまたはポリアクリルアミドを含む
ことを特徴とする請求項5−7のいずれかに記載の混合物。
【請求項9】
前記陰イオン性界面活性剤は、リン脂質、胆汁塩、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、モノグルセリドのクエン酸ステアリル、ナトリウム又はカルシウム又はステアロリル酸ルクチレート、ステアリル・クエン酸、脂肪酸、脂肪酸塩、モノグルセリドのジアセチル酒石酸、あるいはそれらの化合物から選択される
ことを特徴とする請求項5−8のいずれかに記載の混合物。
【請求項10】
前記リン脂質は、レシチンを含む
ことを特徴とする請求項9記載の混合物。
【請求項11】
コレステロールの低減に有効な混合物において、
前記混合物は、複数のレシチン−キトサンの合成粒子を有し、
前記各合成粒子は、前記レシチンに化学結合したキトサンを有する
ことを特徴とするコレステロールの低減に使用される混合物。
【請求項12】
前記混合物は、乾燥混合物であり、
前記乾燥混合物の水分量は、最大10%w/wである
ことを特徴とする請求項11記載の混合物。
【請求項13】
前記乾燥混合物は、流動性の粉体(flowing powder)の形態で提供される
ことを特徴とする請求項12記載の混合物。
【請求項14】
前記乾燥混合物は、充填性の粉体(packed powder)の形態で提供される
ことを特徴とする請求項12記載の混合物。
【請求項15】
前記乾燥混合物は、顆粒状粒子(granular particles)の混合物として提供される
ことを特徴とする請求項12記載の混合物。
【請求項16】
前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも10%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる
ことを特徴とする請求項11−15のいずれかに記載の混合物。
【請求項17】
前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも20%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる
ことを特徴とする請求項11−15のいずれかに記載の混合物。
【請求項18】
前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも30%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる
ことを特徴とする請求項11−15のいずれかに記載の混合物。
【請求項19】
前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも40%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる
ことを特徴とする請求項11−15のいずれかに記載の混合物。
【請求項20】
前記合成粒子のキトサンは、分子量が0.5×10−3×10ダルトンの範囲にある
ことを特徴とする請求項11−19のいずれかに記載の混合物。
【請求項21】
前記混合物の合成粒子の少なくとも10質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11−20のいずれかに記載の混合物。
【請求項22】
前記混合物の合成粒子の少なくとも30質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11−20のいずれかに1記載の混合物。
【請求項23】
前記混合物の合成粒子の少なくとも50質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11−20のいずれかに記載の混合物。
【請求項24】
前記混合物の合成粒子の少なくとも70質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11−20のいずれかに記載の混合物。
【請求項25】
前記混合物の合成粒子の少なくとも90質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11−20のいずれかに記載の混合物。
【請求項26】
前記混合物の合成粒子は0.3ミクロン以下のものは存在せず、
前記混合物の合成粒子の少なくとも10数量%は、2ミクロン以下のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11−20のいずれかに記載の混合物。
【請求項27】
前記混合物の合成粒子は0.3ミクロン以下のものは存在せず、
前記混合物の合成粒子の少なくとも50数量%は、2ミクロン以下のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11−20のいずれかに記載の混合物。
【請求項28】
前記混合物の合成粒子は0.3ミクロン以下のものは存在せず、
前記混合物の合成粒子の少なくとも90数量%は、2ミクロン以下のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11−20のいずれかに記載の混合物。
【請求項29】
(i)前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも15%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる
(ii)前記混合物の合成粒子の少なくとも30質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11記載の混合物。
【請求項30】
(i)前記混合物の合成粒子は、前記混合物の2.5gの合成粒子を、塩素酸ナトリウム濃度が0.5%w/wを有する1リットルの塩素酸ナトリウム溶液で混合すると、少なくとも35%の遊離塩素酸ナトリウムを、前記塩素酸ナトリウム溶液から30分以内に取り除くことができる
(ii)前記混合物の合成粒子の少なくとも30質量%は、0.3ミクロン−2ミクロンの間のサイズを有する
ことを特徴とする請求項11記載の混合物。
【請求項31】
前記合成粒子は、レシチン−キトサンの質量比が、0.2:1と5:1の間にある合成粒子を有する
ことを特徴とする請求項11−30のいずれかに記載の混合物。
【請求項32】
前記合成粒子は、レシチン−キトサンの質量比が、3:1と4:1の間にある合成粒子を有する
ことを特徴とする請求項11−30のいずれかに記載の混合物。
【請求項33】
前記合成粒子のキトサンとレシチンは、イオン相互作用と疎水性相互作用の少なくとも一方により、化学結合されている
ことを特徴とする請求項11−32のいずれかに記載の混合物。
【請求項34】
前記合成粒子のキトサンとレシチンは、共有結合されていない
ことを特徴とする請求項11−32のいずれかに記載の混合物。
【請求項35】
前記合成粒子のキトサンは、50%から95%の間のアセチル化度を有する
ことを特徴とする請求項11−34のいずれかに記載の混合物。
【請求項36】
(c)肉、穀物、植物の種子、トウモロコシ、豆果からなるグループから選択された少なくとも1種類の飼料、
を有する
ことを特徴とする請求項1−35のいずれかに記載の混合物。
【請求項37】
前記混合物のタンパク質由来の栄養価と炭水化物由来の栄養価の合計は、前記混合物の1g当たり少なくとも2カロリーである
ことを特徴とする請求項36記載の混合物。
【請求項38】
前記混合物内の前記飼料の重量と前記合成粒子の重量と重量比は、少なくとも100:1であり、
前記合成粒子は、前記飼料と均一に混合されている
ことを特徴とする請求項36,37のいずれかに記載の混合物。
【請求項39】
(a)請求項1−35のいずれかに記載の混合物を、肉と穀物と植物の種子とトウモロコシと豆果からなるグループから選択された少なくとも1種類の飼料と混合するステップ
を有する
ことを特徴とする飼料混合物の製造方法。
【請求項40】
請求項36記載の混合物を、鳥、豚、牛、馬、猫、羊、犬からなるグループから選択された動物に与えるステップ
を有する
ことを特徴とする動物に飼料を与える製造方法。
【請求項41】
(a)キトサン粒子を用意するステップと、
(b)前記キトサン粒子を、少なくとも1時間、酸に混合して、第1溶液を得るステップと、
(c)陰イオン又は非イオンの界面活性剤を有する第2溶液を用意するステップと、
(d)前記第1溶液と第2溶液を酸性状態で混合して、前記界面活性剤に化学結合したキトサンを有するキトサン−界面活性剤の合成粒子を得るステップと、
(e)前記キトサン−界面活性剤の合成粒子から粉末を生成するステップ
を有する
ことを特徴とする合成粒子の方法。
【請求項42】
(a)キトサン粒子を用意するステップと、
(b)前記キトサン粒子を、少なくとも1時間、酸に混合して、第1溶液を得るステップと、
(c)レシチンを含む第2溶液を用意するステップと、
(d)前記第1溶液と第2溶液を酸性状態で混合して、前記レシチンに化学結合したキトサンを有するキトサン−レシチンの合成粒子を得るステップと、
(e)前記キトサン−レシチンの合成粒子から粉末を生成するために、乾燥させるステップ
を有する
ことを特徴とする合成粒子の製造方法。
【請求項43】
(i)前記混合したキトサン粒子は、低分子量のキトサン粒子で、その重量は、0.3×10と1.5×10ダルトンの間の重量を有し、
(ii)前記ステップ(b)は、少なくとも1時間行われる
ことを特徴とする請求項41又は42記載の製造法。
【請求項44】
(i)前記混合したキトサン粒子は、中分子量のキトサン粒子で、その重量は、1.5×10と5×10ダルトンの間の重量を有し、
(ii)前記ステップ(b)は、少なくとも2時間行われる
ことを特徴とする請求項41又は42記載の製造法。
【請求項45】
(i)前記混合したキトサン粒子は、高分子量のキトサン粒子で、その重量は、0.5×10と3×10ダルトンの間の重量を有し、
(ii)前記ステップ(b)は、少なくとも3時間行われる
ことを特徴とする請求項41又は42記載の製造法。
【請求項46】
前記ステップ(b)は、少なくとも20時間行われる
ことを特徴とする請求項41又は42記載の製造法。
【請求項47】
前記ステップ(d)は、以下のグループから選択された少なくとも1つのステップを有する:
(i)スプレー乾燥ステップ
(ii)凍結乾燥ステップ
ことを特徴とする請求項41−46のいずれかに記載の製造法。
【請求項48】
前記ステップ(d)は、前記ステップ(d)の前に、第1溶液と第2溶液が十分混合するよう、少なくとも2分間−30分間の期間行い、その間の平均温度は、40℃以下である
ことを特徴とする請求項41−47のいずれかに記載の製造法。
【請求項49】
前記期間は、最大20分である
ことを特徴とする請求項48記載の製造法。
【請求項50】
前記平均温度は、30℃以下である
ことを特徴とする請求項48−49のいずれかに記載の製造法。
【請求項51】
前記ステップ(d)は、前記ステップ(d)の前に、第1溶液と第2溶液が十分混合するよう、少なくとも2分間−10分間の期間行い、その間の平均温度は、50℃以下である
ことを特徴とする請求項41−47のいずれかに記載の製造法。
【請求項52】
前記平均温度は、45℃以下である
ことを特徴とする請求項51記載の製造法。
【請求項53】
前記ステップ(d)は、前記形成された合成粒子の少なくとも10質量%が、0.3ミクロン−2ミクロンの間の大きさを有するような、温度と期間で行われる
ことを特徴とする請求項41−52のいずれかに記載の製造法。
【請求項54】
前記ステップ(d)は、前記形成された合成粒子の少なくとも50質量%が、0.3ミクロン−2ミクロンの間の大きさを有するような、温度と期間で行われる
ことを特徴とする請求項41−52のいずれかに記載の製造法。
【請求項55】
前記ステップ(d)は、前記形成された合成粒子の少なくとも70質量%が、0.3ミクロン−2ミクロンの間の大きさを有するような、温度と期間で行われる
ことを特徴とする請求項41−52のいずれかに記載の製造法。
【請求項56】
前記酸は、乳酸とグルタミン酸からなるグループから選択された有機酸である
ことを特徴とする請求項41−55のいずれかに記載の製造法。
【請求項57】
前記第2溶液は、水溶液の形態で用意される
ことを特徴とする請求項41−56のいずれかに1記載の製造法。
【請求項58】
前記第1溶液の前記混合物のキトサンの濃度は、0.25%w/wから1%w/wの間である
ことを特徴とする請求項41−57のいずれかに1記載の製造法。
【請求項59】
前記第1溶液の前記混合物のキトサンの濃度は、0.1%w/wから2%w/wの間である
ことを特徴とする請求項41−57のいずれかに1記載の製造法。
【請求項60】
前記第2溶液の前記混合物のレシチンの濃度は、1.25%w/wから5.0%w/wの間である
ことを特徴とする請求項41−59のいずれかに1記載の製造法。
【請求項61】
前記第2溶液の前記混合物のレシチンの濃度は、0.1%w/wから7.5%w/wの間である
ことを特徴とする請求項41−59のいずれかに1記載の製造法。
【請求項62】
前記ステップ(b)の酸のpHは、3.5に調整される
ことを特徴とする請求項41−61のいずれかに1記載の製造法。
【請求項63】
(f)前記第1溶液と第2溶液からなる前記混合物のpHを7に調整するステップ
をさらに有する
ことを特徴とする請求項41−62のいずれかに記載の製造法。
【請求項64】
(g)前記第1溶液と第2溶液の混合物を30分間放置し、その後、粒子を取り除くために濾過するステップ
をさらに有する
ことを特徴とする請求項41−62のいずれかに記載の製造法。
【請求項65】
(h)前記取り除いた粒子を酸性媒体中に再縣濁するステップ
をさらに有する
ことを特徴とする請求項64記載の製造法。
【請求項66】
前記キトサンの疎水性を増すことにより、前記キトサンにより人間以外の動物のコレステロールを低減する
ことを特徴とする人間以外の動物のコレステロールを減らす方法。
【請求項67】
前記疎水性は、キトサンを陰イオン性界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤と反応させることにより、増加させる
ことを特徴とする請求項66記載の製造法。
【請求項68】
人間以外の動物の脂肪を低減させる、前記請求項のいずれかに記載の混合物又は方法を使用することを特徴とする混合物の使用方法。
【請求項69】
人間以外の動物の肥満治療を行う、前記請求項のいずれかに記載の混合物又は方法を使用する
ことを特徴とする混合物の使用方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−511403(P2010−511403A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539872(P2009−539872)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/IL2007/001513
【国際公開番号】WO2008/068763
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509155117)ベンーバー テクノロジー 2006 エル テー デー. (1)
【Fターム(参考)】