説明

癌を処置、診断または検出するためのAPCDD1阻害剤

本発明は、特に癌の処置方法、癌処置用組成物、および癌を診断および/または検出するための方法および組成物を提供する。特に、本発明は、APCDD1過剰発現に関連した癌を処置、診断および検出するための組成物および方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して腫瘍学分野に関するものである。さらに特定すれば、本発明は、癌の処置方法、癌処置用組成物、および癌を診断および/または検出するための方法および組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌は、米国における死亡原因の第2位に位置する。「癌」の語は、多くの異なるタイプの癌、すなわち乳房、前立腺、肺、結腸、膵臓癌を記載するのに使用されるが、各タイプの癌は、表現型レベルと遺伝子レベルの両方が異なる。癌特有の無秩序な成長は、1個またはそれ以上の遺伝子の発現が突然変異により調節不全に陥ったときに起こり、細胞の成長はもはや制御不能となる。
【0003】
遺伝子は、発癌遺伝子および癌抑制遺伝子の2つのクラスに分類されることが多い。発癌遺伝子は、その通常の機能が特異的条件下でのみ細胞の成長を促進することである遺伝子である。発癌遺伝子が突然変異を獲得し、次いでその制御を失ったとき、それは全ての条件下で成長を促進する。しかしながら、癌が真に確立されたものとなるためには、癌は、癌抑制遺伝子においても突然変異を獲得しなければならないことが見出された。癌抑制遺伝子の通常の機能は、細胞成長を止めることである。癌抑制遺伝子の例には、p53、p16、p21およびAPCがあり、これらは全て、正常に作用しているときには、細胞が制御不能な形で分裂し、成長するのを抑止する。癌抑制遺伝子が突然変異を起こすかまたは失われたとき、細胞の成長に対するその抑制も失われ、細胞を無制限に成長させ得ることになる。
【0004】
APCDD1(B7323、B7323N、DRAPC1およびFP7019としても知られている)は、その発現が癌抑制遺伝子により下方制御されるポリペプチド、大腸腺腫遺伝子(APC)である(Takahashi et al., Cancer Research 62:5651-5656, 2002)。APCDD1は、結腸癌で上方制御されると思われる。結腸癌細胞系におけるAPCDD1の過剰発現は、インビトロで細胞の成長を刺激し、インビボでも腫瘍の成長をある程度増大させることが示された。
【0005】
しかしながら、現在までのところ、癌および他の疾患および障害におけるAPCDD1の役割は、十分に解明されたわけではない。したがって、APCDD1を調節する組成物および方法の同定が要望される。本発明は、これらおよび他の重要な要望に向けられたものである。
【発明の概要】
【0006】
発明の要約
本発明は、癌細胞の検出、癌細胞の表現型を調節する作用物質の同定、および癌細胞治療のための治療標的の同定において有用な方法および組成物を提供する。
【0007】
したがって、本発明は、幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターおよび1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を含む組成物を提供するもので、そのAPCDD1モジュレーターは、単離2本鎖RNA(dsRNA)、配列番号1、5〜21、24および25から成る群から選択される配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドを含む単離オリゴヌクレオチド、APCCD1の細胞外ドメイン(ECD)におけるエピトープと結合する抗体、小分子、模擬物質、可溶性受容体またはデコイである。
【0008】
本発明は、幾つかの態様において、APCCD1の細胞外ドメインにおけるエピトープへ特異的に結合する精製抗体を提供する。本発明は、幾つかの態様において、上記抗体を産生する単離細胞、ハイブリドーマおよびヒト以外のトランスジェニック動物を提供する。
【0009】
本発明は、幾つかの態様において、APCCD1ポリペプチドの1つまたはそれ以上のエピトープへ特異的に結合する精製抗体を提供する。幾つかの態様において、エピトープが、配列番号3、4、22および23から成る群から選択される配列を含む。
【0010】
本発明は、幾つかの態様において、配列番号2のポリペプチドの単離エピトープ担持フラグメント、配列番号3、4、22および23から成る群から選択される1つまたはそれ以上のエピトープを含むフラグメントを提供する。本発明は、幾つかの態様において、上記の単離エピトープ担持フラグメントをコード化するポリヌクレオチドを提供する。本発明は、幾つかの態様において、上記エピトープ担持フラグメントによる対象の免疫化を通して得られるAPCCD1抗体を提供する。
【0011】
本発明は、幾つかの態様において、配列番号1、5〜21、24および25に示された配列の少なくとも19の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチドの第1鎖、および第1鎖と実質的に相補的な配列を含むヌクレオチドの第2鎖から成る単離dsRNA分子を提供するもので、そのdsRNA分子は長さ2534ヌクレオチド未満である。
【0012】
本発明は、幾つかの態様において、配列番号1、5〜21、24および25に示された配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドを含む単離核酸を提供する。
【0013】
本発明は、幾つかの態様において、処置を必要とする患者における癌または癌の症状の処置方法であって、治療有効量のAPCDD1阻害剤を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0014】
本発明は、幾つかの態様において、患者におけるAPCDD1活性を調節する方法であって、APCDD1活性を調節するのに有効な量のAPCDD1阻害剤を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0015】
本発明は、幾つかの態様において、APCDD1治療に感受性がある患者の同定方法であって、(a)患者の試料におけるAPCDD1発現の証拠の存在または欠如を検出するが、この場合、試料におけるAPCDD1発現の証拠の存在はAPCDD1治療についての候補である患者を示すものであり、試料におけるAPCDD1発現の証拠の欠如はAPCDD1治療についての候補ではない患者を示すものとし、(b)患者がAPCDD1治療の候補である場合、治療有効量のAPCDD1阻害剤を患者に投与し、(c)患者がAPCDD1治療の候補ではない場合、伝統的癌治療薬を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明は、幾つかの態様で、対照との比較において少なくとも20%まで細胞の成長を阻害するのに有効な量のAPCDD1阻害剤と癌細胞を接触させることを含む、癌細胞の成長の阻害方法を提供する。
【0017】
本発明は、幾つかの態様において、阻害を必要とする患者における癌細胞表現型の阻害方法であって、治療有効量のAPCDD1阻害剤を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0018】
本発明は、幾つかの態様において、造影剤に結合させたAPCDD1阻害剤を含む組成物を患者に投与し、患者における造影剤の局在性を検出することを含む、患者における腫瘍の検出方法を提供する。
【0019】
本発明は、幾つかの態様において、細胞におけるAPCDD1抗体の発現方法であって、細胞においてAPCDD1抗体をコード化する核酸を発現させることを含む方法を提供するもので、APCDD1抗体は、配列番号3、4、22および23から成る群から選択される配列を含むエピトープへ特異的に結合するものとする。
【0020】
本発明は、幾つかの態様において、対照と比べてAPCDD1を過剰発現することを特徴とする癌についての制癌剤の同定方法であって、APCDD1を発現する細胞を、候補化合物と接触させ、APCDD1活性が調節されているか否かを測定することを含む方法を提供するもので、ここで、APCDD1活性の調節が制癌剤の指標となる。
【0021】
本発明は、幾つかの態様において、対照と比べてAPCDD1を過剰発現することを特徴とする癌についての制癌剤の同定方法であって、APCDD1を発現する細胞を、候補化合物およびAPCDD1リガンドと接触させ、APCDD1の下流マーカーの活性が調節されているか否かを測定することを含む方法を提供するもので、ここで、下流マーカーの調節が制癌剤の指標となる。
【0022】
本発明は、幾つかの態様で、患者の癌試料においてAPCDD1が発現差を示している証拠を検出することを含む、APCDD1阻害剤に対する患者の感受性を測定する方法を提供するもので、ここで、APCDD1が示す発現差の証拠がAPCDD1阻害剤に対する患者の感受性の指標となる。
【0023】
本発明は、幾つかの態様において、試料からのAPCDD1タンパク質の精製方法であって、(a)固体支持体に結合させた本発明抗体を含むアフィニティー・マトリックスを提供し、(b)試料をアフィニティー・マトリックスと接触させて、アフィニティー・マトリックス−APCDD1タンパク質複合体を形成させ、(c)試料の残りからアフィニティー・マトリックス−APCDD1タンパク質複合体を分離し、(d)アフィニティー・マトリックスからAPCDD1タンパク質を放出させることを含む方法を提供する。
【0024】
本発明は、幾つかの態様において、APCDD1を発現する1個またはそれ以上の細胞に細胞傷害剤または診断剤を送達する方法であって、(a)APCDD1抗体またはフラグメントにコンジュゲートした細胞傷害剤または診断剤を提供し、(b)細胞を抗体−薬剤またはフラグメント−薬剤コンジュゲートに曝露することを含む方法を提供する。
【0025】
本発明は、幾つかの態様において、候補APCDD1阻害剤の有効性を測定する方法であって、APCDD1−発現細胞を候補APCDD1阻害剤と接触させ、下流APCDD1マーカーのレベルまたは活性が低減化されているか否かを測定することを含む方法を提供するもので、下流マーカーのレベルまたは活性の減少は、候補APCDD1阻害剤が有効な抗癌剤であることを示すものとする。
【0026】
本発明は、幾つかの態様において、候補APCDD1阻害剤の有効性を測定する方法であって、APCDD1−発現細胞を候補APCDD1阻害剤と接触させ、サイクリンD1活性が増強されているか否かを測定することを含む方法を提供するもので、サイクリンD1活性の増加は、候補APCDD1阻害剤が有効な抗癌剤であることを示すものとする。
【0027】
本発明は、幾つかの態様において、癌がAPCDD1関連癌であるか否かの決定方法であって、癌および対照細胞におけるAPCDD1発現の比較を含む方法を提供するもので、対照細胞よりも癌細胞においてAPCDD1発現が上方制御されている場合は、癌がAPCDD1関連癌であることを示すものとする。
【0028】
本発明は、幾つかの態様において、癌がAPCDD1関連癌であるか否かの決定方法であって、癌試料および対照試料をAPCDD1阻害剤と接触させ、癌試料および対照試料におけるAPCDD1下流マーカーのレベルまたは活性を比較することを含む方法を提供するもので、対照試料よりも癌試料においてAPCDD1下流マーカーのレベルまたは活性が低下している場合は、癌がAPCDD1関連癌であることを示すものとする。
【0029】
本発明は、幾つかの態様において、癌がAPCDD1関連癌であるか否かの決定方法であって、癌試料および対照試料をAPCDD1阻害剤と接触させ、癌試料および対照試料におけるサイクリンD1活性を比較することを含む方法を提供するもので、対照試料よりも癌試料においてサイクリンD1活性が増加している場合は、癌がAPCDD1関連癌であることを示すものとする。
【0030】
本発明は、幾つかの態様において、癌患者の処置方法であって、癌が本発明によるAPCDD1関連癌であるか否かを決定し、患者がAPCDD1関連癌を有する場合には本発明組成物を患者に投与し、患者がAPCDD1関連癌を有しない場合には患者に伝統的癌治療薬を投与することを含む方法を提供する。
【0031】
本発明は、幾つかの態様において、癌患者の処置方法であって、患者からの癌試料におけるAPCDD1発現を、対照試料におけるAPCDD1発現と比較し、(1)APCDD1発現が対照試料よりも癌試料において上方制御されている場合には、本発明組成物で患者を処置するか、または(2)APCDD1発現が対照試料と比較して癌試料で不変であるかまたは下方制御されている場合には二次検定法を実施することを含む方法を提供する。
【0032】
本発明は、幾つかの態様において、APCDD1を発現する細胞における1つまたはそれ以上の活性を調節する方法であって、1つまたはそれ以上の活性を調節するのに有効な量の本発明のAPCDD1モジュレーターと細胞を接触させることを含む方法を提供する。
【0033】
これらおよび本発明の他の態様については、本発明の詳細な記載で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、正常および癌性試料における相対的APCDD1 mRNAレベルを表すグラフである。
【図2】図2は、Affymetrix GeneChip(登録商標)((ヒトゲノムU133プラス2.0アレイ、Affymetrix,Inc.))オリゴヌクレオチドアレイ(Affy)および社内合成されたcDNAマイクロアレイ(EVD)から作製された遺伝子発現データを示す。
【図3】図3は、正常組織におけるAPCDD1 mRNAレベルを表すグラフである。正常組織型をx軸に沿って記載している。
【図4】図4は、ヒト癌細胞系におけるAPCDD1 mRNAレベルを表すグラフである。
【図5】図5は、APCDD1免疫局在性のFACs解析を示す。
【図6】図6は、8種の異なるヒト細胞系から単離されたAPCDD1タンパク質を示す免疫沈降分析を表している。
【図7】図7は、APCDD1タンパク質のグリコシル化状態の免疫沈降分析を示す。
【図8】図8は、siRNA投与後のColo320細胞におけるAPCDD1 mRNAレベルを表すグラフである。y軸は、内部対照RNAであるHPRT mRNAに対するAPCDD1 mRNAの比率である。UT=非トランスフェクション;Eg5=Eg5をターゲッティングするsiRNA(関連性のない遺伝子);陰性対照=いかなる既知遺伝子とも相同性を示さないsiRNA配列。
【図9】図9は、Colo320細胞におけるAPCDD1タンパク質レベルに対するAPCDD1特異的siRNAの効果のFACS分析を示す。「陽性対照」は、Eg5をターゲッティングするEg5 siRNAである。「陰性対照」は、いかなる既知遺伝子とも相同性を示さないsiRNA配列である。y軸は、死細胞数と比例するルミネセンスレベルの測定数である。
【図10】図10は、SW480細胞におけるAPCDD1タンパク質レベルに対するAPCDD1特異的siRNAの効果のFACS分析を示す。
【図11】図11は、LoVo細胞における細胞増殖に対するAPCDD1の過剰発現の効果を表すグラフである。
【図12】図12は、ラット1細胞におけるサイクリンD1発現に対するAPCDD1の過剰発現の効果を示す免疫ブロットを表す。
【図13】図13は、一群の抗APCDD1ポリクローナル抗体の免疫沈降分析を示す。
【図14】図14は、ラット#4抗APCDD1モノクローナル抗体の免疫ブロット(図14A)およびFACS(図14B)分析を示す。
【図15】図15は、APCDD1のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な記載
本願の発明者らは、特に、APCDD1が、肺および結腸癌を含む幾つかの癌で過剰発現されており、正常組織では発現が制限されていることを発見した。驚くべきことに、APCDD1を阻害すると、癌細胞の生存も阻害される。さらに、APCDD1の阻害は、サイクリンD1を含むAPCDD1下流マーカーのレベルを調節することが見出された。したがって、本発明は、特に、癌の処置、診断およびイメージング、特にAPCDD1関連癌の処置、診断およびイメージング、並びにAPCDD1の異所性発現に随伴する他の疾患および障害の処置についての方法および組成物を提供する。これらおよび本発明の他の態様も本願で提供されている。
【0036】
定義
本明細書では全体を通して様々な定義を使用している。ほとんどの語は、当業者がそれらの語について通常解釈しているとおりの意味を有する。本明細書において下記または他の箇所で具体的に定義されている語は、全体として、また当業者が一般的に理解しているとおりのものとして本発明明細書で与えられている意味を有する。
【0037】
本発明を実践する際には、特に断らなければ、当技術分野の範囲内における化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の慣用的方法を用いる。上記技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版(イーストン、ペンシルベニア:Mack Publishing Company, 1990);Methods in Enzymology(S. Colowick and N. Kaplan編、Academic Press, Inc.)およびHandbook of Experimental Immunology、第I〜IV巻(D. M. Weir and C. C. Blackwell編、1986, Blackwell Scientific Publications)およびSambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版, 1989)参照。
【0038】
本発明の明細書で使用している単数表現は、内容的に明確に決められたものでなければ複数の場合も包含する。したがって、例えば、「抗体」を単数表現で示した場合、2つまたはそれ以上の上記抗体の混合物も包含される。
【0039】
本明細書で使用している「約」の語は、値の+/−10%、または+/−5%をいう。
本明細書で使用している「APCDD1」の語は、B7323、B7323N、DRAPC1およびFP7019としても知られており、その発現が癌抑制遺伝子により下方制御される分子、大腸腺腫遺伝子(APC)をいう。APCDD1の典型的ヌクレオチド配列は配列番号1に示されており、APCDD1の典型的アミノ酸配列は配列番号2に示されている。
【0040】
APCDD1ヌクレオチド配列の他の例には、GenBank受入番号BC053324.1(GI:31419785)、NM_15300(GI:30387616)およびAB104887(GI:28866900)があり、それぞれ出典明示で援用する。APCDD1アミノ酸配列の他の例には、GenBank受入番号Q8J025(GI:74728445)およびBAC65165(GI:28866901)があり、それぞれ出典明示で援用する。
【0041】
「ポリペプチド」または「タンパク質」の語は、互換的に使用されるもので、コード化および非コード化アミノ酸、化学的または生化学的修飾または誘導体化アミノ酸、および修飾ペプチドバックボーンを有するポリペプチドを含み得る、あらゆる長さのアミノ酸の重合形態を包含する。この語は、異種アミノ酸配列との融合タンパク質、N−末端メチオニン残基を伴うかまたは伴わない異種および同種先導配列との融合体、免疫学的標識タンパク質などを含む、融合タンパク質を包含し、これに限定されない。
【0042】
「個体」、「対象」、「宿主」および「患者」の語は、互換的に使用されるもので、診断、処置または治療が所望される対象、特にヒトをいう。他の対象には、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマなどが含まれ得る。幾つかの態様において、対象はヒトである。
【0043】
本明細書で使用している「癌」は、原発性または転移癌をいう。「癌細胞」の語は、形質転換されている細胞をいう。これらの細胞は、癌を有する患者から単離され得るか、またはインビトロで形質転換されることにより癌性になる細胞であり得る。癌細胞は、組織または細胞培養系を含む多くのタイプの試料から誘導され得る。幾つかの態様において、癌細胞は、過形成、腫瘍細胞または新生物である。幾つかの態様において、癌細胞を、結腸組織、前立腺組織、肺組織、膀胱組織、腎臓組織、乳房組織、子宮組織、卵巣組織、または膵臓組織から単離する。幾つかの態様において、癌細胞を公的に入手可能な確立された細胞系から採取する。幾つかの態様において、癌細胞を、既存の患者試料または癌細胞を含むライブラリーから単離する。幾つかの態様において、癌細胞を、単離し、次いで異なる宿主において、例えば異種移植片で移植する。幾つかの態様において、癌細胞を、SCIDマウスモデルにおいて移植および使用する。幾つかの態様では、癌は、結腸、前立腺または乳癌である。
【0044】
本明細書で使用している「形質転換(された)」の語は、その子孫により安定した形で受け継がれる細胞の特性における改変をいう。幾つかの態様において、「形質転換(された)」は、正常細胞から癌性細胞、例えば腫瘍を誘発し得る細胞への変化をいう。幾つかの態様では、形質転換細胞は不死化されている。形質転換は、受容体リン酸化の非存在下における受容体の過剰発現、ウイルス感染、発癌遺伝子および/または癌抑制遺伝子の突然変異、および/または細胞の成長および/または不死化特性を変える他の技術を含む、多数の因子により誘発され得る。
【0045】
「癌性表現型」は、一般的に、癌性細胞の特徴である様々な生物学的現象のいずれかをいい、それらの現象は癌のタイプにより異なり得る。癌性表現型は、一般的に例えば細胞成長または増殖での異常(例えば、制御のきかない成長または増殖)、細胞周期の調節、細胞運動性、細胞−細胞相互作用、または転移などにより識別される。
【0046】
本明細書で使用している「転移」の語は、癌の原発部位、例えば原発腫瘍から離れた部位へ拡散した癌を指す。転移部位には、骨、リンパ節、肺、肝臓および脳があり、これに限定されない。
本明細書で使用している「新脈管形成」の語は、患者における血管の発生をいう。
【0047】
本明細書で使用している「臨床的エンドポイント」の語は、癌の指標となる測定可能な事象をいう。臨床的エンドポイントは、初回転移までの時間、後続転移までの時間、転移巣の大きさおよび/または数、腫瘍の大きさおよび/または数、腫瘍の位置、腫瘍の攻撃性、生活の質、疼痛などを含み、これに限定されない。当業者であれば、臨床的エンドポイントを決定および測定することができると考えられる。臨床的エンドポイントの測定方法は、当業者には周知である。
【0048】
本明細書で使用している「試料」の語は、患者からの生物学的材料をいう。本発明により検定される試料は、特定タイプに限定されるものではない。試料には、非限定的な例として、単細胞、多細胞、組織、腫瘍、生物学的流体、生物分子、前述のもののいずれかの上清または抽出物がある。例としては、生検用に採取された組織、切除中に取り出された組織、血液、尿、リンパ組織、リンパ液、脳脊髄液、粘膜および糞便試料がある。使用される試料は、検定方式、検出方法および検定される腫瘍、組織、細胞または抽出物の性質に基づいて変化する。試料の調製方法は当業界ではよく知られており、用いられる方法と適合し得る試料を得るために容易に適応化され得る。
【0049】
本明細書で使用している「生物(学的)分子」の語は、ポリペプチド、核酸、糖類および脂質を含み、これに限定されない。
【0050】
本明細書で使用している「調節する(こと)」の語は、遺伝子、タンパク質、または細胞の内側、外側または表面にある分子の質または量の変化を指す。この変化は、分子の発現またはレベルにおける増加または減少であり得る。また「調節する」の語は、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、サイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1および他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用および新脈管形成を含む生物学的機能/活性の質または量を変えることを含み、これに限定されない。
【0051】
本明細書で使用している「モジュレーター」の語は、癌に随伴する1つまたはそれ以上の生理学的または生化学的事象を調節する組成物をいう。幾つかの態様においては、モジュレーターは、癌に随伴する1つまたはそれ以上の生物活性を阻害する。幾つかの態様において、モジュレーターは、小分子、抗体、模擬物質、デコイまたはオリゴヌクレオチドである。幾つかの態様において、モジュレーターは、リガンド結合を遮断することにより、またはリガンド結合部位について競合することにより作用する。幾つかの態様において、モジュレーターがリガンド結合と独立して作用する。幾つかの態様において、モジュレーターがリガンド結合部位について競合しない。幾つかの態様において、モジュレーターが、癌に関与する遺伝子産物の発現を遮断する。幾つかの態様において、モジュレーターが、癌に関与する2個またはそれ以上の生体分子の物理的相互作用を遮断する。幾つかの態様において、本発明のモジュレーターが、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、サイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1および他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用、および新脈管形成から成る群から選択される1つまたはそれ以上のAPCDD1活性を阻害する。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターがAPCDD1発現を阻害する。
【0052】
「遺伝子産物」は、遺伝子により発現または生成される生体高分子産物である。遺伝子産物は、例えば非スプライスRNA、mRNA、スプライス変異型mRNA、ポリペプチド、翻訳後修飾ポリペプチド、スプライス変異型ポリペプチドなどであり得る。また、鋳型としてRNA遺伝子産物を用いて作製される(すなわちRNAのcDNA)生体高分子産物もこの語に包含される。遺伝子産物は、酵素的に、組換え技法により、化学的に、または遺伝子が本来存する細胞内で製造され得る。幾つかの態様において、遺伝子産物がタンパク質性である場合、それは生物学的活性を呈する。幾つかの態様において、遺伝子産物が核酸である場合、それは、生物学的活性を呈するタンパク質性遺伝子産物に翻訳され得る。ポリペプチドのレベルは、対応するmRNAの翻訳効率および/または安定性に影響する細胞プロセスにより調節され得る。
【0053】
本明細書で使用している「翻訳効率」は、遺伝コードにより特定される規則に従ってmRNAが解読されて特定ポリペプチドを生じる割合をいう。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターが、APCDD1 mRNAの翻訳効率を低下させ得る。
【0054】
本明細書で使用している「mRNA安定性」は、mRNAを分解するリボヌクレアーゼの作用に対するmRNAの抵抗能力をいう。mRNAの安定性を改変するプロセスまたは作用物質は、そのmRNAを介して合成されるタンパク質の量を改変させ得る。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターは、APCDD1 mRNAの安定性を低下させ得る。
【0055】
本明細書で使用している「APCDD1活性の調節」は、例えば、APCDD1ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと作用物質の相互作用、APCDD1転写および/または翻訳の阻害(例えば、APCDD1遺伝子またはAPCDD1遺伝子発現産物とのアンチセンスまたはsiRNA相互作用を通じて、APCDD1発現を促進する転写因子の調節を通じて)などの結果であり得るAPCDD1活性の増加または減少をいう。例えば、APCDD1活性の調節は、生物活性の増加または生物活性の減少をいう。APCDD1活性の調節はまた、1つまたはそれ以上のAPCDD1表現型を増加または減少させることをいう。APCDD1表現型は、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、およびサイクリン産生におけるAPCDD1依存的変化を含み、これに限定されない。APCDD1活性は、限定ではないが、APCDD1ポリペプチドレベルを評価するか、またはAPCDD1転写レベルを評価することを含む手段により評価され得る。また、APCDD1活性の比較は、特に、APCDD1下流マーカーのレベルを測定するか、細胞増殖を測定するか、細胞成長を測定するか、足場非依存的成長を測定するか、腫瘍原性を測定するか、細胞周期調節を測定するか、癌細胞運動性を測定するか、細胞接着を測定するか、腫瘍形成を測定するか、転移を測定するか、癌細胞残存を測定するか、サイクリン産生を測定するか、癌細胞残存を測定するか、細胞シグナリング活性を測定するか、腫瘍原性を測定するか、転移を測定するか、APCDD1と他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用を測定するか、新脈管形成を測定することにより実施され得る。
【0056】
幾つかの態様において、APCDD1活性の阻害は特に興味深いものである。本明細書で使用している「阻害する」の語は、活性または量の縮小、低減、不活化または下方制御を指す。例えば、本発明明細書において、APCDD1モジュレーターは、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、サイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1と他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用、および新脈管形成のうちの1つまたはそれ以上を阻害し得る。上記活性の阻害は、対照と比較した場合少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%であり得る。当業者であれば、APCDD1調節の測定は可能であると考えられる。典型的検定法の非限定的リストを下記に示す。
【0057】
したがって、本明細書で使用している「APCDD1の阻害」の語は、1つまたはそれ以上のAPCDD1(依存性)生物活性の縮小、低減、不活化または下方制御をいう。「APCDD1生物活性」の阻害は、例えば、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、サイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1と他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用、および新脈管形成の縮小、低減、不活化または下方制御をいう。上記活性の阻害は、対照と比較した場合少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%であり得る。
【0058】
幾つかの態様においては、APCDD1活性を活性化するかまたはその増加をもたらすAPCDD1活性の調節が、特に興味深いものである。APCDD1活性の活性化、上方制御または増加は、対照と比べた場合少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも500%であり得る。例えば、細胞死を200%増加させるAPCDD1モジュレーターは、APCDD1モジュレーターを欠く対照と比べて細胞死の2倍増加をもたらした。
【0059】
本明細書で使用している「癌細胞において示差的に発現される」および「癌細胞において示差的に発現されるものであるポリヌクレオチド」の語は、本明細書では同様に使用されており、癌性ではない同じ細胞型の細胞と比べた場合に癌性細胞において示差的に発現される遺伝子を表すかまたはそれに対応するポリヌクレオチドをいい、例えばmRNAは、少なくとも約25%、少なくとも約50%〜約75%、少なくとも約90%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍または少なくとも約50倍またはそれ以上の率で異なる(例えば、さらに高いかまたは低い)レベルで見出される。例えば、in situハイブリダイゼーションまたは組織中の細胞型をある程度識別し得る別の検定方法を用いているとき、比較は組織で行われ得る。同様に、または別法として、比較は、組織供給源から取り出された細胞間、または原位置にある(in situ)一細胞とその組織供給源から採取された第2の細胞間で行われ得る。幾つかの態様において、その遺伝子が正常細胞よりも癌遺伝子において上方制御されている。
【0060】
癌の少なくとも1つの症状が、軽減、終結、減速または阻止される場合、APCDD1関連癌は「阻害されている」ものとする。本明細書で使用しているところによると、癌の再発または転移が縮小、減速、遅延または阻止されているときも、APCDD1関連癌は「阻害されている」ものとする。
【0061】
本明細書で使用している「癌細胞の成長を阻止する」という表現は、APCDD1モジュレーターの存在下における癌細胞成長の低減化、縮小または排除をいい、この場合細胞はAPCDD1を発現するものとする。幾つかの態様において、細胞は、他の正常細胞および/または他の癌細胞とは異なるAPCDD1についての発現性を示す。この場合、細胞の成長は、APCDD1モジュレーターの非存在下における癌細胞成長に対し、APCDD1モジュレーターにより少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%までの減少を見せ得る。癌細胞成長の比較は、例えば、MTT検定法(例えば、Vybrant(登録商標)MTT細胞増殖アッセイキット(Invitrogen))、BrdU取り込み(例えば、Absolute−S SBIPアッセイ(Invitrogen))、細胞内ATPレベルの測定(例えばATPLite(登録商標)−M,1000アッセイキット(PerkinElmer)またはATP細胞生存能アッセイキット(Bio Vision)を使用)、DiOc18検定法、膜透過性染料(Invitrogen)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ活性検定法(例えば、Vibrant細胞傷害性検定法(Invitrogen))または細胞性LDH活性の測定を用いて実施され得る。
【0062】
本明細書で使用している「サイクリンD1を阻害する」という表現は、APCDD1介在によるサイクリン産生の低減化、縮小または排除をいう。この場合、APCDD1介在によるサイクリン産生は、APCDD1モジュレーターの非存在下におけるAPCDD1介在によるサイクリン産生に対し、阻害性物質により少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%まで低減化され得る。サイクリン産生の比較は、例えば、RT−PCRまたはノーザンブロッティングによりサイクリンmRNAレベルを測定するか、免疫ブロッティング、免疫沈降またはELISAによりサイクリンポリペプチドレベルを測定するか、または例えばサイクリン依存性キナーゼ(CDK)、p21WAF1、p27KIP−1をターゲッティングする抗体を用いたサイクリン調節因子、例えばCDKと複合体を形成するサイクリンのレベルを測定する共免疫沈降検定法を含む機能性検定法を用い、また放射性標識および免疫沈降分析またはFRETに基づく方法、例えばCDK2/サイクリンAアッセイキット(Molecular Devices)により検定され得るCDKによるサイクリンのリン酸化を測定することにより達成され得る。
【0063】
本明細書で使用している「増殖を阻害する」という表現は、APCDD1介在による増殖を低減化、縮小、または排除することをいい、当業者に公知の多数の方法により測定され得る。細胞増殖検定法には、限定するわけではないが、MTT検定法(例えば、Vybrant(登録商標)MTT細胞増殖アッセイキット(Invitrogen))、BrdU取り込み検定法(例えば、Absolute−S SBIPアッセイ(Invitrogen))、細胞内ATPレベルの測定(アッセイの市販バージョンには、ATPLite(登録商標)−M,1000アッセイキット(PerkinElmer)およびATP細胞生存能アッセイキット(Bio Vision)がある)、DiOc18検定法、膜透過性染料(Invitrogen)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ活性検定法(例えば、Vibrant細胞傷害性検定法(Invitrogen))、細胞性LDH活性およびH−チミジン取り込みの測定およびCell Titer Gloアッセイ(Promega)がある。
【0064】
本明細書で使用している「細胞周期を通して進行を阻止する」という表現は、細胞分裂を減速または失速させることをいう。細胞周期の進行は、ブロモデオキシウリジン(BRDU)取り込みにより検定され得る。上記検定法は、新たに合成されたDNAへのBRDUの取り込みによりDNA合成が行われている細胞集団を識別する。次いで、新たに合成されたDNAは、抗BRDU抗体(Hoshino et al., 1986、Int. J. Cancer 38、369;Campana et al., 1988、J.Immunol.Meth. 107、79)または他の手段を用いて検出され得る。細胞増殖はまた、ヒストンH3のリン酸化により有糸分裂が行われている細胞集団を識別するホスホ−ヒストンH3染色により検定され得る。セリン10にあるヒストンH3のリン酸化は、ヒストンH3のセリン10残基のリン酸化形態に特異的な抗体を用いて検出される。(Chadlee, D.N. 1995, J.Biol.Chem 270:20098-105)。細胞増殖はまた、[H]チミジン取り込みを用いて検査され得る(Chen, J., 1996, Oncogene 13:1395-403;Jeoung,J., 1995, J.Biol.Chem. 270:18367-73)。この検定法により、S相DNA合成が定量的に特性確認され得る。この検定法では、DNAを合成している細胞は、新たに合成されたDNAへ[H]チミジンを取り込ませる。次いで、この取り込みは、例えばシンチレーション計数器(例えば、Beckman L S 3800液体シンチレーション計数器)で放射性同位元素を計数することによる標準的技術により測定され得る。別の増殖検定法では、生きている細胞で還元されたとき蛍光を発し、細胞数の間接的測定値を提供する、アラマー・ブルー染料(Alamar Blue、Biosource Internationalから入手可能)を使用する(Voytik-Harbin S L et al., 1998, In Vitro Cell Dev Biol Anim 34:239-46)。さらに別の増殖検定法、MTS検定法は、工業化学物質のインビトロ細胞傷害性評価に基づくもので、可溶性テトラゾリウム塩、MTSを使用する。MTS検定法は、商業的に利用可能であり、Promega CellTiter 96(登録商標)AQueous 非放射性細胞増殖アッセイ(カタログ番号G5421)を含む。細胞増殖はまた、軟寒天でのコロニー形成により検定され得る(Sambrook et al., Molecular Cloning、コールドスプリングハーバー(1989))。細胞増殖はまた、代謝活性細胞の指標としてATPレベルを測定することにより検定され得る。上記検定法は商業的に利用可能であり、Cell Titer-Glo(登録商標)(Promega)を含む。細胞周期増殖はまた、フローサイトメトリーにより検定され得る(Gray J W et al.(1986)Int J Radiat Biol Relat Stud Phys Chem Med 49:237-55)。細胞をヨウ化プロピジウムで染色し、フローサイトメーターで評価することにより、細胞周期の異なる段階にある細胞の蓄積が測定され得る。
【0065】
本明細書で使用している「APCDD1下流マーカー」は、正常または健康な組織における発現と比べて癌組織または癌細胞でのその発現レベルが改変されている遺伝子または活性であるか、またはAPCDD1モジュレーターの存在下で改変された特性である。幾つかの態様において、APCDD1が本発明のAPCDD1モジュレーターにより摂動を加えられたとき、下流マーカーが発現レベルの改変を呈する。APCDD1下流マーカーには、サイクリンD1があり、これに限定されない。
【0066】
本明細書で使用している「上方制御する」の語は、活性または量の増加、活性化または刺激をいう。
本明細書で使用している「N−末端」の語は、タンパク質の最初の10個のアミノ酸をいう。
本明細書で使用している「C−末端」の語は、タンパク質の最後の10個のアミノ酸をいう。
【0067】
本明細書で使用している「ドメイン」の語は、生体分子の既知または推測される機能の一因となる生体分子の構造部分をいう。ドメインは、その領域または部分と同一の広がりをもち得、またその領域の全部または一部に加えて、特定領域とは異なる生体分子の一部分を組み込み得る。
【0068】
本明細書で使用している「細胞外ドメイン」の語は、細胞の外側または外部にある分子の部分をいう。本発明の場合、N−末端細胞外ドメインは、貫膜ドメインの直前にある分子のN−末端に存在する細胞外ドメインをいう。
【0069】
本明細書で使用している「リガンド結合ドメイン」の語は、APCDD1の対応する天然配列の少なくとも1つの定性的結合活性を保持している受容体のいずれかの部分または領域をいう。
【0070】
「領域」の語は、生体分子の一次構造の物理的に連続した部分をいう。タンパク質の場合、一つの領域は、その部分のアミノ酸配列の一つの連続部分により特定される。幾つかの態様において、「領域」が生体分子の機能と関連している。
【0071】
本明細書で使用している「フラグメント」の語は、生体分子の一次構造の物理的に連続した部分をいう。タンパク質の場合、一つの部分は、そのタンパク質のアミノ酸配列の一つの連続部分により特定され、少なくとも3〜5個のアミノ酸、少なくとも8〜10個のアミノ酸、少なくとも11〜15個のアミノ酸、少なくとも17〜24個のアミノ酸、少なくとも25〜30個のアミノ酸、および少なくとも30〜45個のアミノ酸をいう。オリゴヌクレオチドの場合、一つの部分は、そのオリゴヌクレオチドの核酸配列の一つの連続部分により特定され、少なくとも9〜15個のヌクレオチド、少なくとも18〜30個のヌクレオチド、少なくとも33〜45個のヌクレオチド、少なくとも48〜72個のヌクレオチド、少なくとも75〜90個のヌクレオチド、および少なくとも90〜130個のヌクレオチドを指す。幾つかの態様において、生体分子の部分が生物活性を有する。本発明の場合、APCDD1ポリペプチドフラグメントが、配列番号2に示された全APCDD1ポリペプチド配列を構成するわけではない。幾つかの態様において、APCDD1フラグメントが天然APCDD1の1つまたはそれ以上の活性を保持している。
【0072】
本明細書で使用している「APCDD1関連細胞/腫瘍/試料」などの表現は、非癌性および/または非転移性細胞、試料、腫瘍または他の病理に対しAPCDD1の発現量が異なることを特徴とする細胞、試料、腫瘍または他の病理を指す。幾つかの態様において、APCDD1関連細胞、試料、腫瘍または他の病理は、非転移性細胞、試料、腫瘍または他の病理と比べてAPCDD1発現が増大していることを特徴とする。
【0073】
本明細書で使用している「抗体」の語は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、二価/二重特異性抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および相補性決定領域(CDR)移植抗体をいい、これらは標的タンパク質またはそのフラグメントに特異的であるものとし、さらにFab、Fab'、F(ab')2、scFv、Fv、ラクダ抗体または微小抗体(microantibody)を含む抗体フラグメントも包含する。抗体はまた、抗イディオタイプ抗体、すなわち抗体配列の抗原特異的部分に指向されるため、他の抗体の結合部位を認識する抗体、または抗−抗イディオタイプ抗体、すなわちもとの抗体の生産に使用された抗原におけるエピトープを模倣する結合部位をもつ抗体を指し得る。さらに「抗体」の語は、インビボ治療抗体遺伝子導入を含む。
【0074】
本明細書で使用している「モノクローナル抗体」の語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体をいい、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、僅かな量で存在し得る自然に起こる可能な突然変異以外は同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単一抗原部位に指向している。さらに、異なる決定基(エピトープ)に指向された種々の抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原における単一決定基に指向している。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体に汚染されずに合成され得るという点で有利である。修飾語の「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるものとして抗体の特性を示しており、特定方法による抗体の生産を要求するものとしてみなすべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495(1975)により最初に報告されたハイブリドーマ方法により製造され得るか、または組換えDNA方法により製造され得る(例えば、米国特許第4816567号参照)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628(1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597(1991)に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0075】
本明細書におけるモノクローナル抗体は、具体的には重および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同性であり、鎖(複数も可)の残りが、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同性である「キメラ」抗体、並びに所望の生物活性を呈するものである限り上記抗体のフラグメントも包含する(米国特許第4816567号およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855(1984))。本発明において興味の対象であるキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば、尾長猿、無尾猿など)由来の可変ドメイン抗原結合配列およびヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
【0076】
「抗体フラグメント」は、無傷抗体の一部分を含み、幾つかの態様においてその抗原結合または可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab'、F(ab')2およびFvフラグメント、二重特異性抗体、線状抗体(Zapata et al., Protein Eng. 8(10):1057-1062[1995])、単鎖抗体分子および抗体フラグメント(複数も可)から形成される多重特異性抗体がある。
【0077】
「無傷」抗体は、抗原結合可変領域並びに軽鎖定常ドメイン(C)および重鎖定常ドメイン、CH1、CH2およびCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異型であり得る。幾つかの態様において、無傷抗体が1つまたはそれ以上のエフェクター機能を有する。
【0078】
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異型Fc領域)に起因すると考えられる生物活性をいう。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合性、補体依存性細胞傷害活性、Fc受容体結合性、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)の下方制御などがある。
【0079】
「抗体依存性細胞傷害活性」または「ADCC」は、ある種の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)に存在するFc受容体(FcR)へ結合した分泌Igが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞に抗原担持標的細胞と特異的に結合させ、それに続いて細胞毒素で標的細胞を殺させ得る細胞傷害活性の一形態をいう。抗体は細胞傷害性細胞を「武装し」、標的細胞を殺すのに絶対的に必要とされる。ADCCを伝達する一次細胞、NK細胞はFcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch およびKinet、Annu. Rev. Immunol. 9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。興味の対象である分子のADCC活性を評価するため、インビトロADCC検定法、例えば米国特許第5500362号または第5821337号記載の検定法が実施され得る。上記検定法に有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞がある。別法として、またはさらに、興味の対象である分子のADCC活性は、インビボ、例えば動物モデル、例えばClynes et al.(USA)95:652-656(1998)に開示されたもので評価され得る。
【0080】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つまたはそれ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を遂行する白血球である。幾つかの態様において、細胞は少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を遂行する。ADCCを伝達するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球がある。エフェクター細胞は、その天然供給源、例えば本明細書記載の要領で血液またはPBMCから単離され得る。
【0081】
「Fc受容体」または「FcR」の語は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するのに使用される。幾つかの態様では、FcRは天然配列ヒトFcRである。さらに、幾つかの態様では、FcRは、IgG抗体と結合するもの(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子変異型および他のスプライス形態も包含する。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)を含み、これらは主にその細胞質ドメインが異なる類似アミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含む(Daron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234(1997)での検討参照)。FcRについては、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-92(1991);Capel et al., Immunomethods 4:25-34(1994)およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med. 126:330-41(1995)で検討されている。他のFcRは、将来同定されるものも含め、本明細書では「FcR」の語に包含されるものとする。この語はまた、胎児への母体IgGの転移に関与する、新生児受容体FcRnも包含する(Guyer et al., J. Immunol. 117:587(1976)およびKim et al., J. Immunol. 24:249(1994))。
【0082】
「補体依存性細胞傷害性」または「CDC」は、補体の存在下における分子の標的溶解能力をいう。補体活性化経路は、コグネイト(同族)抗原と複合体を形成している分子(例えば、抗体)への補体系の第1成分(C1q)の結合により開始される。補体活性化を評価するため、CDC検定法、例えばGazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)記載の方法が実施され得る。
【0083】
本明細書で使用している「エピトープ」の語は、ポリペプチドの抗原決定基をいう。幾つかの態様において、エピトープは、そのエピトープ特有の空間的立体配座に3個またはそれ以上のアミノ酸を含み得る。幾つかの態様では、エピトープは線状または立体配座エピトープである。一般的に、エピトープは、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個および少なくとも12個の上記アミノ酸により構成され、さらに通常は、少なくとも8〜10個の上記アミノ酸により構成される。アミノ酸の空間的立体配座の測定方法は当業界では公知であり、例えばx線結晶学および2次元核磁気共鳴がある。
【0084】
「相補性決定領域」という表現は、天然免疫グロブリン結合部位の自然なFv領域の結合親和性および特異性を全体として特定するアミノ酸配列をいう。例えば、Chothia et al., J. Mol. Biol. 196:901-917(1987);Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services NIH Publication No.91-3242(1991)参照。「定常領域」という表現は、エフェクター機能を付与する抗体分子の部分を指す。本発明では、マウス定常領域をヒト定常領域により置き換える。対象ヒト化抗体の定常領域は、ヒト免疫グロブリンから誘導される。重鎖定常領域は、5つのイソタイプ:アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマまたはミューのいずれかから選択され得る。抗体をヒト化する一方法では、ヒト重および軽鎖配列に対し非ヒト重および軽鎖配列を整列させ、上記アラインメントに基づき非ヒトフレームワークを選択してヒトフレームワークにより置き換え、分子モデリングにより、ヒト化配列の立体配座を推定し、親抗体の立体配座と比較する。このプロセスの後、ヒト化配列モデルの予測的立体配座が親非ヒト抗体の非ヒトCDRの立体配座と密接に近似してくるまで、CDRの構造を乱すCDR領域における残基に繰り返し復帰突然変異が加えられる。上記ヒト化抗体をさらに誘導体化することにより、例えばAshwell受容体を介して取り込みおよびクリアランスが促進され得る。例えば、米国特許第5530101号および第5585089号参照(これらについては出典明示で援用する)。
【0085】
生成するポリペプチドが、標的タンパク質に特異的な少なくとも1つの結合領域を含むものでありさえすれば、広く多様な抗体/免疫グロブリンフレームワークまたはスカホールドが使用され得る。上記フレームワークまたはスカホールドには、5つの主たるイディオタイプのヒト免疫グロブリンまたはそのフラグメント(例えば本明細書の他の箇所で開示したもの)があり、好ましくはヒト化された面を有する他の動物種の免疫グロブリンを含む。単重鎖抗体、例えばラクダ科動物で同定されたものは、これに関して特に興味深い。新たなフレームワーク、スカホールドおよびフラグメントが当業者により発見および開発され続けている。
【0086】
本発明CDRが移植され得る非免疫グロブリンスカホールドを用いることにより、非免疫グロブリンに基づいた抗体が作製され得る。標的に特異的な結合領域を含むものでありさえすれば、既知または今後の非免疫グロブリンフレームワークおよびスカホールドが使用され得る。上記化合物は、本明細書では「標的特異的結合領域を含むポリペプチド」として知られている。既知の非免疫グロブリンフレームワークまたはスカホールドには、限定されるわけではないが、アドネクチン(Adnectin)(フィブロネクチン)(Compound Therapeutics, Inc., ウォールサム、マサチューセッツ)、アンキリン(Molecular Partners AG、チューリッヒ、スイス国)、ドメイン抗体(Domantis, Ltd.(ケンブリッジ、マサチューセッツ)およびAblynx nv(ズウィナルデ、ベルギー国))、リポカリン(アンチカリン(Anticalin))(Pieris Proteolab AG、フライシング、ドイツ国)、小モジュラー免疫医薬(Trubion Pharmaceuticals Inc., シアトル、ワシントン)、マキシボディ(Avidia, Inc.(マウンテンビュー、カリフォルニア))、プロテインA(Affibody AG、スウェーデン)およびアフィリン(ガンマ−クリスタリンまたはユビキチン)(Scil Proteins GmbH、ハレ、ドイツ国)がある。
【0087】
(iii)マキシボディ(Maxybody)/アビマー(Avimer)−Avidia
アビマーは、LRP−1などの天然Aドメイン含有タンパク質から誘導される。これらのドメインは、本来タンパク質−タンパク質相互作用に使用され、ヒトでは250を超えるタンパク質が構造上A−ドメインに基づいている。アビマーは、アミノ酸リンカーを介した連結された多数の異なる「A−ドメイン」モノマー(2〜10個)により構成される。例えば、20040175756、20050053973、20050048512および20060008844に記載された方法を用いて標的抗原に結合し得るアビマーが作製され得る。
【0088】
「アンタゴニスト」の語は、最も広い意味で使用されるものとし、本明細書で開示されている腫瘍細胞抗原の生物活性を部分的または完全に遮断、阻害または中和する分子を包含する。同様に、「アゴニスト」の語も最も広い意味で使用されるものとし、本明細書で開示されている腫瘍細胞抗原の生物活性を模倣する分子を包含する。適切なアゴニストまたはアンタゴニスト分子は、具体的にはアゴニストまたはアンタゴニスト抗体または抗体フラグメント、腫瘍細胞抗原、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小有機分子のフラグメントまたはアミノ酸配列変異型などを包含する。腫瘍細胞抗原のアゴニストまたはアンタゴニストの同定方法は、興味の対象である抗原を発現する腫瘍細胞を候補アゴニストまたはアンタゴニスト分子と接触させ、腫瘍細胞抗原に通常随伴する1つまたはそれ以上の生物活性における検出可能な変化を測定することから成り得る。アンタゴニストはまた、合理的な設計により、またはファージディスプレーにより作製されるペプチドであり得る(例えば、1998年8月13日公開の国際公開98/35036号参照)。一態様では、選択される分子は、「CDR模倣分子(mimic)」または抗体のCDRに基づいて設計された抗体類似体であり得る。上記ペプチドはそれ自体アンタゴニスト的であり得るが、ペプチドは、所望によりペプチドのアンタゴニスト的特性を付加または促進するように細胞傷害剤と融合され得る。
【0089】
本明細書で使用している「オリゴヌクレオチド」の語は、一連の連結されたヌクレオチド残基をいう。オリゴヌクレオチドは、制限は無いが、アンチセンスおよびsiRNAオリゴヌクレオチドを包含する。オリゴヌクレオチドは、DNA配列の一部を含み、少なくとも約10個のヌクレオチドおよび多くて約500個のヌクレオチドを有する。幾つかの態様において、オリゴヌクレオチドは、約10ヌクレオチドから約50ヌクレオチド、約15ヌクレオチドから約30ヌクレオチド、および約20ヌクレオチドから約25ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、化学合成され得、プローブとしても使用され得る。幾つかの態様において、オリゴヌクレオチドは1本鎖形態である。幾つかの態様において、オリゴヌクレオチドは、2本鎖形態である少なくとも一つの部分を含む。幾つかの態様において、オリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。幾つかの態様において、オリゴヌクレオチドはRNA干渉性オリゴヌクレオチド(RNAiオリゴヌクレオチド)である。
【0090】
本明細書で使用している「アンチセンスオリゴヌクレオチド」の語は、APCDD1の転写または翻訳に随伴したポリヌクレオチド配列(例えば、APCDD1ポリヌクレオチドのプロモーター)を含むAPCDD1ポリヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する非修飾または修飾核酸を包含するもので、アンチセンスポリヌクレオチドは、APCDD1ポリヌクレオチド配列とハイブリダイゼーションし得る。特に興味深いのは、インビトロまたはインビボでAPCDD1ポリペプチドコード化ポリヌクレオチドの転写および/または翻訳を阻害し得るアンチセンスポリヌクレオチドである。
【0091】
本明細書で使用している「siRNAオリゴヌクレオチド」、「RNAiオリゴヌクレオチド」、「短鎖干渉性RNA」または「siRNA」は、互換的に使用され、RNA干渉(RNAi)としても知られている、転写後遺伝子サイレンシングを通して機能するオリゴヌクレオチドをいう。これらの語は、RNA干渉(RNAi)することが可能な2本鎖核酸分子をいう(Kreutzer et al., 国際公開第00/44895号;Zernicka-Goetz et al. 国際公開第01/36646号;Fire、国際公開第99/32619号;Mello およびFire、国際公開第01/29058号参照)。siRNA分子は、一般的にはRNA分子であるが、さらに化学修飾ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドを含む。siRNA遺伝子ターゲッティング実験は、細胞への一時的siRNA導入により実施された(リポソームトランスフェクション、電気穿孔または顕微注入などの古典的方法により達成)。siRNAの分子は21〜23−ヌクレオチドRNAであり、普通にRNAiを開始させる長い2本鎖RNA(dsRNA)のリボヌクレアーゼIIIプロセッシング産物と類似した特徴的な2−〜3−ヌクレオチド3'−オーバーハング末端を伴う。
【0092】
本明細書で使用している「デコイ受容体」の語は、APCDD1リガンドと結合し得るポリペプチド、模擬物質または他の高分子の少なくとも一部分を含む受容体をいう。本明細書で使用している「治療有効量」の語は、治療有効量の薬剤を個体に投与したとき、その個体において1つまたはそれ以上の臨床エンドポイント、癌細胞の成長および/生存、または癌細胞の転移の縮小または逆転として観察される薬効をもたらす薬剤の量をいう。治療有効量は、典型的には、有効成分を全く含まない組成物を同様の状況にある個体に投与したときに観察される効果と比較した場合のその効果により決定される。対象にとっての正確な有効量は、対象の大きさおよび健康状態、状態の性質および範囲、および投与用に選択された治療薬または治療薬の組み合わせにより変動する。しかしながら、所定の状況に有効な量は、常用的実験により決定され、臨床医の判断に委ねられるものとする。
【0093】
本明細書で使用している「と組み合わせて」または「と連係的に」の語は、他の治療的摂取法と共に本発明のAPCDD1モジュレーターを投与する場合を指す。
【0094】
本明細書で使用している「感受性の(ある)」の語は、APCDD1治療が許容し得る処置方法である患者、すなわち奏功すると思われる患者を指す。幾つかの態様において、APCDD1治療に感受性のある癌患者は、APCDD1治療に感受性を示さない患者と比べて高レベルのAPCDD1を発現する。幾つかの態様において、APCDD1治療にとって良い候補ではない癌患者には、彼らの癌細胞においてAPCDD1が欠如しているかまたはそのレベルが低い腫瘍試料をもつ癌患者が含まれる。
【0095】
本明細書で使用している「検出する」の語は、活性(例えば、遺伝子発現)または生体分子(例えば、ポリペプチド)の証拠を確立、発見または確認することを意味する。
【0096】
「天然配列」ポリペプチドは、自然界から誘導されるポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有するものである。上記の天然配列ポリペプチドは、自然界から単離され得るかまたは組換えまたは合成手段により生成され得る。すなわち、天然配列ポリペプチドは、天然に存するヒトポリペプチド、マウスポリペプチドまたは他の哺乳類種由来のポリペプチドのアミノ酸配列を有し得る。
【0097】
「アミノ酸配列変異型」の語は、天然配列ポリペプチドとはある程度異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。通常、アミノ酸配列変異型は、天然リガンドの少なくとも1つの受容体結合ドメインまたは天然受容体の少なくとも1つのリガンド結合ドメインまたはその複数リガンド結合ドメインと少なくとも約70%、少なくとも約80%の相同性または少なくとも約90%の相同性を有する。アミノ酸配列変異型は、天然アミノ酸配列のアミノ酸配列内におけるある一定の位置に置換、欠失および/または挿入を有する。
【0098】
本明細書で使用している、「相同性ヌクレオチド配列」または「相同性アミノ酸配列」とう表現またはその変形は、少なくともある特定パーセンテージのヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルでの相同性を特徴とする配列をいい、「配列同一性」と互換的に使用される。相同性ヌクレオチド配列は、タンパク質のイソ型をコードする配列を含む。上記イソ型は、例えばRNAのオルターナティブスプライシングの結果として、同一臓器の異なる組織で発現され得る。別法として、イソ型は異なる遺伝子によりコード化され得る。相同性ヌクレオチド配列は、限定されるわけではないが、哺乳類を含むヒト以外の種のタンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含む。相同性ヌクレオチド配列はまた、限定されるわけではないが、本明細書で示したヌクレオチド配列の天然に存する対立遺伝子変異型および突然変異を含む。相同性アミノ酸配列は、保存アミノ酸置換を含み、ポリペプチドが同じ結合および/活性を有するアミノ酸配列を含む。
【0099】
相同性または同一性パーセントは、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴリズムを使用する(Adv. Appl. Math., 1981, 2, 482-489)、デフォルト設定を用いるGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、UNIXに関するバージョン8、Genetics Computer Group、University Research Park、マディソン、ウィスコンシン)により決定され得る。幾つかの態様では、プローブと標的間の相同性は約70%〜約80%である。幾つかの態様において、核酸は、配列番号1またはその一部分と約85%、約90%、約92%、約94%、約95%、約97%、約98%、約99%および約100%の相同性を示すヌクレオチドを有する。
【0100】
相同性はまた、ポリペプチドレベルでもあり得る。幾つかの態様において、ポリペプチドは、配列番号2またはその一部分と約85%、約90%、約92%、約94%、約95%、約97%、約98%、約99%および約100%の相同性を示す。
【0101】
本明細書で使用している「プローブ」の語は、長さが変わり得る核酸配列をいう。幾つかの態様において、プローブは、少なくとも約10個および多くて約6000個のヌクレオチドを含む。幾つかの態様では、プローブは、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも50個または少なくとも75個の連続したヌクレオチドを含む。プローブは、同一、類似または相補的核酸配列の検出に使用される。長いプローブは、通常天然または組換え供給源から入手され、標的配列に高特異的であり、標的とのハイブリダイゼーションがオリゴマーの場合よりかなり緩慢である。プローブは、1本鎖または2本鎖状であり得、PCR、膜ベースのハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、またはELISA様技術での特異性を有するように設計される。
【0102】
本明細書で使用している「混合する」の語は、1種またはそれ以上の化合物、細胞、分子などを同一領域で一緒に合わせる過程をいう。これは、例えば、試験管、ペトリ皿または1種またはそれ以上の化合物、細胞、または分子を混合させ得る容器で行われ得る。
【0103】
本明細書で使用している「単離された」の語は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、または宿主細胞が、そのポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体が天然に存する環境とは異なる環境にある状態をいう。細胞の単離方法は当業者には周知である。単離されるポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体は、一般的に実質的に精製される。
【0104】
本明細書で使用している「実質的に精製された」の語は、化合物(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたは抗体)が、その自然環境から取り出され、それが自然の状態では随伴している他の成分について少なくとも60%不含有、少なくとも75%不含有および少なくとも90%不含有である状態をいう。
【0105】
本明細書で使用している「結合する」の語は、2種またはそれ以上の生体分子または化合物間の物理的または化学的相互作用をいう。結合は、イオン性、非イオン性、水素結合、ファンデルワールス、疎水性相互作用などを含む。結合は直接的または間接的であり、間接的結合は、別の生体分子または化合物の作用を通じて、またはそれらに起因したものであり得る。直接的結合は、別の分子または化合物の作用を通じて、またはそれに起因して起こるものではなく、代わりに他の実質的化学的中間体が存在しない相互作用をいう。
【0106】
本明細書で使用している「接触させる」とは、一分子を第2の分子の物理的近位へ直接的または間接的に会合させることをいう。分子は、いかなる数の緩衝液、塩類、溶液などの中でも含まれ得る。「接触させる」には、例えば、核酸分子を含むビーカー、マイクロタイタープレート、細胞培養フラスコまたはマイクロアレイなどにポリヌクレオチドを導入することが含まれる。また、「接触させる」には、例えば、ポリペプチドを含むビーカー、マイクロタイタープレート、細胞培養フラスコまたはマイクロアレイなどに抗体を導入することが含まれる。接触は、インビボ、エクスビボまたはインビトロで行われ得る。
【0107】
本明細書で使用している「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」という表現は、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドがその標的配列と、ただしごく少数の他の配列ともハイブリダイゼーションする際の条件を指す。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、異なる環境では違ったものになる。長い配列は、高温でそれらの適正な相補配列と特異的にハイブリダイゼーションする。一般的に、ストリンジェントな条件は、特定されたイオン強度およびpHでの特異的配列についての熱融解温度(T)よりも約5℃低くなるように選択される。Tは、(特定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度で)標的配列と相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列とハイブリダイゼーションする温度である。標的配列は一般に過剰に存在するため、Tではプローブの50%がそれらの相補配列と平衡状態でハイブリダイゼーションする。典型的には、ストリンジェントな条件とは、塩濃度が、pH7.0〜8.3で約1.0M未満のナトリウムイオン、典型的には約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン(または他の塩類)であり、温度が、短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10〜50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃であり、長いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドについては少なくとも約60℃である条件をいう。また、ストリンジェントな条件は、脱塩剤、例えばホルムアミドの添加により達成され得る。
【0108】
本明細書で使用している「緩和なストリンジェンシー条件」の語は、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドがその標的配列と、ただし限られた数の他の配列ともハイブリダイゼーションする際の条件をいう。緩和な条件は、配列依存的であり、異なる環境では違ったものになる。緩和な条件は当業者にはよく知られており、特に、Maniatis et al.(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、第2版(1989年12月))に記載されている。
【0109】
本明細書記載の核酸組成物は、例えば、生物試料(例えば、ヒト細胞の抽出物)中のmRNAまたは上記試料から生成されるcDNAを検出するためのプローブとしてポリペプチドを製造し、ポリヌクレオチドの追加コピーを製造し、リボザイムまたはオリゴヌクレオチド(1本および2本鎖状)を作製するのに使用され、また1本鎖DNAプローブとして、または3本鎖形成オリゴヌクレオチドとして使用され得る。本明細書記載のプローブは、例えば、試料において本明細書で与えられたポリヌクレオチドの存在または欠如を測定するのに使用され得る。ポリペプチドは、癌に随伴するポリペプチドに特異的な抗体を産生するのに使用され得、それらの抗体は、本明細書で詳細に検討している診断方法、予知方法などにおいて有用である。ポリペプチドはまた、本明細書で詳細に検討している、治療的介入に関する標的としても有用である。本発明の抗体はまた、例えば、インビトロおよびインビボ診断および治療方法の両方を含め、本発明のポリペプチドを精製、検出およびターゲッティングするのに使用され得る。例えば、抗体は、生物試料における本発明ポリペプチドのレベルを定性的および定量的に測定するための免疫検定法において有用である。例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版, 1988年)参照。これらおよび他の使用については下記でさらに詳述されている。
【0110】
本明細書で使用している「造影剤」の語は、当業者に周知の技術を用いて検出され得る本発明の抗体、小分子、またはプローブに結合させた組成物をいう。本明細書で使用している「遺伝子発現の証拠」の語は、遺伝子が発現されている場合の測定可能な特徴をいう。
【0111】
「医薬上許容される担体」の語は、治療剤、例えば抗体またはポリペプチド、遺伝子および他の治療剤を投与するための担体をいう。この語は、それ自体、組成物を投与されている個体にとって危険性のある抗体の産生を誘導することがなく、また過度の毒性を伴うことなく投与され得る医薬用担体を包含する。適切な担体は、大きく、代謝が緩慢な高分子、例えばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集体および不活性ウイルス粒子であり得る。上記担体は一般的な当業者には周知のものである。治療組成物中における医薬上許容される担体は、水、食塩水、グリセリンおよびエタノールなどの液体を含み得る。補助物質、例えば湿潤または乳化剤、pH緩衝物質などもまた、上記賦形剤中に存在し得る。
【0112】
本発明の方法および組成物により処置され得る癌の具体的な例には、APCDD1関連癌があり、これに限定されない。本明細書で使用している「APCDD1関連癌」は、非癌性細胞とは異なるAPCDD1の発現性を示す細胞を特徴とする癌を指す。本発明はまた、APCDD1が、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、およびサイクリン産生においてある一定の役割を演じる腫瘍細胞タイプに適用可能である。幾つかの態様において、癌は、結腸、前立腺、乳癌または癌転移である。幾つかの態様において、癌は、直腸または前立腺癌である。幾つかの態様において、上記癌は、対照と比較した場合、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約500%またはそれ以上のAPCDD1の示差的発現を呈する。
【0113】
本発明は、APCDD1過剰発現に随伴する疾患および障害の処置、阻害および管理並びに上記疾患および障害の症状の処置、阻害および管理を実現する方法および組成物を提供する。本発明の幾つかの態様は、制限はないが、癌転移、癌細胞残存、癌細胞増殖、癌細胞成長、細胞周期調節および癌細胞浸潤を含む癌を処置、阻害または管理する組成物を含む方法および組成物に関するものである。
【0114】
さらに本発明は、本発明のAPCDD1モジュレーターと組み合わせて他の有効成分を含む方法を提供する。幾つかの態様において、本方法は、さらに患者に対する1種またはそれ以上の慣用的癌治療薬の投与を含む。幾つかの態様において、本発明方法は、さらに化学療法、放射線療法または手術のうちの1つまたはそれ以上による患者の処置を含む。
【0115】
本発明はまた、現行または標準的癌処置、例えば手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法および生物学的療法に対して部分的または完全に難治性を示すようになってきた癌または他の過剰増殖性細胞障害または疾患を処置、阻害および管理する方法および組成物を提供する。
【0116】
本発明はまた、癌の診断および/または癌進行の予測を目的とする、本発明のAPCDD1モジュレーター、特にAPCDD1抗体を用いた診断および/またはイメージング方法を提供する。幾つかの態様において、本発明方法は、腫瘍および/または転移のイメージングおよび位置確認方法および診断および予知方法を提供する。幾つかの態様において、本発明方法は、APCDD1関連治療の適合性および/または有効性の評価方法を提供する。
【0117】
APCDD1モジュレーター
本発明は、特に癌の処置、診断、検出またはイメージングを目的とするAPCDD1モジュレーターを提供する。APCDD1モジュレーターはまた、癌処置用の医薬の製造に有用である。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターはAPCDD1阻害剤である。
【0118】
幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターは、ヌクレオチド、小分子、模擬物質、デコイ、または抗体である。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターは、単離2本鎖RNA(dsRNA)、配列番号1、幾つかの態様においては配列番号5〜21、24および25から成る群から選択される少なくとも10個の連続ヌクレオチドを含む単離オリゴヌクレオチド、細胞外ドメインから成る群から選択されるAPCDD1の一ドメインにおけるエピトープと結合する抗体、小分子、模擬物質、可溶性受容体またはデコイである。
【0119】
幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターが、対照と比較した場合、少なくとも20%、50%、75%、90%、95%、97%、98%、99%または100%の率でAPCDD1活性を阻害する。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターが、対照と比べた場合、少なくとも25%、50%、75%、90%、95%、97%、98%、99%または100%の率でサイクリンD1発現を阻害する。
【0120】
抗体
幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、Fabフラグメントまたは抗−抗イディオタイプ抗体である。抗体またはFabフラグメントは、例えば酵素、放射性同位元素または発蛍光団により標識され得る。幾つかの態様で、抗体またはFabフラグメントは、APCDD1以外のポリペプチドについて約1×10Ka未満の結合親和力を有する。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターは、少なくとも1×10Kaの親和力でAPCDD1に結合するモノクローナル抗体である。
【0121】
本発明はまた、例えば免疫検定法を用いた競合的結合の測定に関する当業界で公知の方法により測定される、本発明エピトープへの抗体の結合を競合的に阻害する抗体を提供する。幾つかの態様において、抗体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%または少なくとも50%の率でエピトープへの結合を競合的に阻害する。
【0122】
幾つかの態様において、抗体はヒト化抗体である。ヒト化抗体は、例えば(1)ヒトフレームワークおよび定常領域へ非ヒト相補性決定領域(CDR)を移植(当業界では「ヒト化する」として称される過程)するか、または別法として(2)全非ヒト可変ドメインを移植するが、表面残基の置換によりそれらをヒト様表面で「遮蔽する」(当業界では「ベニヤリング」と称される過程)ことを含む様々な方法により達成され得る。本発明では、ヒト化抗体は、「ヒト化」および「ベニヤ化」抗体の両方を含む。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活化されたマウスへ導入することにより作製され得る。攻撃を加えると、ヒト抗体の産生が観察されるが、これは遺伝子転位、組立、および抗体レパートリーを含め、全ての点でヒトに見られるものと密接に類似している。この方法は、例えば米国特許第5545807号、第5545806号、第5569825号、第5625126号、第5633425号、第5661016号、および以下の科学文献:Marks et al., Bio/Technology 10, 779-783(1992);Lonberg et al., Nature 368, 856-859(1994);Morrison, Nature 368, 812-13(1994);Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845-51(1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826(1996);Longberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93(1995);Jones et al., Nature 321:522-525(1986);Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A., 81:6851-6855(1984);Morrison およびOi, Adv. Immunol., 44:65-92(1988);Verhoeyer et al., Science 239:1534-1536(1988);Padlan, Molec. Immun. 28:489-498(1991);Padlan, Molec. Immunol. 31(3):169-217(1994)およびKettleborough, C.A. et al., Protein Eng. 4(7):773-83(1991)に記載されており、それぞれ出典明示で援用する。
【0123】
本発明抗体は、相異なる機構を通して機能し得る。幾つかの態様において、抗体は、抗体依存的細胞傷害性(ADCC)、抗体標的化細胞に対する溶解性攻撃を誘発する。幾つかの態様において、抗体は、例えば抗原結合、アポトーシスの誘導および補体依存的細胞傷害性(CDC)を含む多様な治療機能を有する。幾つかの態様において、抗体は毒素または放射性核種とコンジュゲートされる。
【0124】
幾つかの態様において、本発明抗体は、APCDD1アンタゴニストとして作用し得る。例えば、幾つかの態様において、本発明は、部分的または完全に本発明ポリペプチドとの受容体/リガンド相互作用を破壊する抗体を提供する。幾つかの態様において、本発明抗体は、本明細書で開示されたエピトープまたはその一部分と結合する。幾つかの態様において、抗体の非存在下での活性と比べて少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%または少なくとも50%の率でリガンド活性または受容体活性を調節する抗体が提供される。
【0125】
幾つかの態様において、本発明は中和抗体を提供する。中和抗体は、感染源、例えばウイルスまたは細菌、例えば癌に関連したウイルスまたは細菌(例えば、JCポリオーマウイルス、エプスタイン-バールウイルスまたはヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori))と結合する。幾つかの態様において、中和抗体が、受容体アンタゴニストとして有効に作用し得、すなわちリガンド伝達受容体活性化の生物活性の全部またはサブセットを阻害し得る。幾つかの態様において、抗体が、本明細書で開示している本発明ペプチドの特異的生物活性を含む生物活性についてのアゴニスト、アンタゴニストまたは逆アゴニストとして特定され得る。
【0126】
幾つかの態様において、抗体が、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、サイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1および他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用、および新脈管形成から成る群から選択される1つまたはそれ以上のAPCDD1活性を阻害する。本発明抗体は、単独または他の組成物と組み合わせて使用され得る。さらに、抗体は、N−またはC−末端で異種ポリペプチドと組換え技術により融合され得るかまたはポリペプチドまたは他の組成物に化学的にコンジュゲーション(共有結合的および非共有結合的コンジュゲーションを含む)され得る。例えば、本発明抗体は、検出検定法における標識として有用な分子およびエフェクター分子、例えば異種ポリペプチド、薬剤、放射性核種または毒素と組換え技術により融合またはコンジュゲーションされ得る。例えば、PCT公開WO92/08495号、WO91/14438号、WO89/12624号、米国特許第5314995号および欧州特許第396387号参照。
【0127】
キメラまたはヒト化抗体に加えて、完全ヒト抗体が、ヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスから(例えば、米国特許第6075181号、第6091001号、および第6114598号参照、これらについては全て、出典明示により援用する)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子のファージディスプレーライブラリーから(例えば, McCafferty et al.,Nature, 348:552-554(1990), Clackson et al., Nature, 352:624-628(1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597(1991)参照)誘導され得る。幾つかの態様において、抗体は、scFv−ファージディスプレーライブラリーにより製造および同定され得る。抗体ファージディスプレー技術は、民間供給源、例えばMorphosysから利用可能である。
【0128】
モノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975)Nature 256:495-496の方法またはその修正法を用いて製造され得る。典型的には、マウスを抗原含有溶液により免疫化する。免疫化は、抗原含有溶液を食塩水中、場合によってはアジュバント、例えばフロイント完全アジュバント中で混合または乳化し、混合物またはエマルジョンを非経口的に注射することにより実施され得る。当業界で公知のいずれの免疫化方法を用いても、本発明のモノクローナル抗体が得られる。動物の免疫化後、脾臓(および所望により幾つかの大きなリンパ節)を取り出し、単細胞へ解離する。脾臓細胞は、興味の対象である抗原でコーティングしたプレートまたはウェルに細胞懸濁液を適用することにより、スクリーニングされ得る。抗原に特異的な膜結合免疫グロブリンを発現するB細胞は、プレートに結合するため、洗い流されない。次いで、得られたB細胞、または解離された全脾臓細胞を、骨髄腫細胞と融合させることによりハイブリドーマを形成させ、それらを選択培地で培養する。生じた細胞を系列および限界希釈により平板培養し、興味の対象である抗原と特異的に結合する(そして非関連抗原とは結合しない)抗体の産生について検定する。次いで、選択されたモノクローナル抗体(mAb)分泌性ハイブリドーマを、インビトロ(例えば、組織培養瓶または中空ファイバー反応器中)またはインビボ(マウスの腹水として)で培養する。
【0129】
発現に関するハイブリドーマの使用に代わるものとして、抗体は、米国特許第5545403号、第5545405号および第5998144号に開示されている通り(これらについては出典明示で援用する)、細胞系、例えばCHOまたは骨髄腫細胞系で製造され得る。簡単に述べると、軽鎖および重鎖をそれぞれ発現し得るベクターで細胞系をトランスフェクションする。2種のタンパク質を別々のベクターでトランスフェクションすることにより、キメラ抗体が製造され得る。Immunol. 147:8;Banchereau et al.(1991)Clin. Immunol. Spectrum 3:8, およびBanchereau et al.(1991)Science 251:70(これらについては, 全て出典明示で援用する)。
【0130】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレーライブラリー(Hoogenboom and Winter、J. Mol. Biol., 227:381(1991);Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581(1991))を含む、当業界で公知の技術を用いて製造され得る。Cole et al.およびBoerner et al.の技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の製造に利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, 77頁(1985)およびBoerner et al., J. Immunol., 147(1):86 95(1991))。ヒト化抗体は、例えば、(1)ヒトフレームワークおよび定常領域へ非ヒト相補性決定領域(CDR)を移植(当業界では「ヒト化する」として称される過程)するか、または別法として(2)全非ヒト可変ドメインを移植するが、表面残基の置換によりそれらをヒト様表面で「遮蔽する」(当業界では「ベニヤリング」と称される過程)ことを含む様々な方法により達成され得る。本発明では、ヒト化抗体は、「ヒト化」および「ベニヤ化」抗体の両方を含む。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活化されたマウスへ導入することにより作製され得る。攻撃を加えると、ヒト抗体の産生が観察されるが、これは遺伝子転位、組立、および抗体レパートリーを含め、全ての点でヒトに見られるものと密接に類似している。この方法は、例えば米国特許第5545807号、第5545806号、第5569825号、第5625126号、第5633425号、第5661016号、および以下の科学文献:Marks et al., Bio/Technology 10, 779-783(1992);Lonberg et al., Nature 368, 856-859(1994);Morrison, Nature 368, 812-13(1994);Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845-51(1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826(1996);Longberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93(1995);Jones et al., Nature 321:522-525(1986);Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A., 81:6851-6855(1984);Morrison and Oi, Adv. Immunol., 44:65-92(1988);Verhoeyer et al., Science 239:1534-1536(1988);Padlan, Molec. Immun. 28:489-498(1991);Padlan, Molec. Immunol. 31(3):169-217(1994)およびKettleborough, C.A. et al., Protein Eng. 4(7):773-83(1991)に記載されており、それぞれ出典明示で援用する。完全ヒト化抗体は、Morphosys(Martinsried/Planegg、ドイツ国)などの民間供給源を用いるスクリーニング検定法で同定され得る。
【0131】
ヒト抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むように遺伝子操作されたトランスジェニック動物を用いて製造され得る。例えば、国際公開第98/24893号は、ヒトIg座を有するトランスジェニック動物を開示しており、上記動物は、内在重鎖および軽鎖遺伝子座の不活化故に機能的内在性免疫グロブリンを生産することがない。また国際公開第91/10741号は、免疫原に対して免疫応答を起こし得るトランスジェニック非霊長類哺乳類宿主を開示しており、その場合抗体は、霊長類定常および/または可変領域を有し、内在性免疫グロブリンエンコーディング遺伝子座は置換または不活化されている。国際公開第96/30498号は、Cre/Lox系の使用による哺乳類での免疫グロブリン遺伝子座の修飾、例えば定常または可変領域の全部または一部分の置換による修飾抗体分子の形成について開示している。国際公開第94/02602号は、不活化内在性Ig座および機能的ヒトIg遺伝子座を有する非ヒト哺乳類宿主を開示している。米国特許第5939598号は、内在重鎖を欠き、1つまたはそれ以上の異種間の定常領域を含む外在性免疫グロブリン座を発現するマウスであるトランスジェニックマウスの製造方法を開示している。本発明抗体はまた、米国特許第5766886号で検討されているヒト遺伝子操作技術を用いて製造され得、上記特許については出典明示で援用する。
【0132】
上記トランスジェニック動物を用いると、免疫応答が選択された抗原性分子に対して誘発され得、抗体産生細胞を動物から取り出し、それらを用いることにより、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマが製造され得る。免疫化プロトコル、アジュバントなどは当業界では公知であり、例えば国際公開第96/33735号に記載されているトランスジェニックマウスの免疫化で使用される。モノクローナル抗体は、対応するタンパク質の生物活性または生理学的作用を阻害または中和する能力について試験され得る。
【0133】
本発明抗体は、Fang et al.(2005), Nat. Biotechnol. 23, 584-590で検討されている通りインビボ治療用抗体遺伝子導入を介して対象に投与され得る。例えば、組換えベクターを作製することにより、MAb重鎖および軽鎖エンコーディング配列間に位置するポリペプチドの酵素非従属的共翻訳自己開裂を伝達するペプチドを含む多シストロン性発現カセットを送達させ得る。発現は、両MAb鎖の化学量論量を導く。幾つかの態様において、酵素非従属的共翻訳自己開裂を伝達するペプチドは、口蹄疫由来の2Aペプチドである。
【0134】
抗体のフラグメントは、それらが完全長抗体の所望の親和力を保持しているものでありさえすれば、本発明方法での使用に適している。すなわち、抗APCDD1抗体のフラグメントは、APCDD1への結合能を保持する。上記フラグメントは、対応する完全長抗APCDD1抗体と類似した特性を特徴とし、従って、フラグメントは、ヒト細胞の表面で発現されたヒトAPCDD1抗原と特異的に結合する。
【0135】
幾つかの態様において、抗体が、APCDD1の細胞外ドメインにおける1つまたはそれ以上のエピトープと特異的に結合する。幾つかの態様において、抗体が、1つまたはそれ以上のAPCDD1関連生物活性を調節する。幾つかの態様において、抗体が、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、サイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1および他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用および新脈管形成のうちの1つまたはそれ以上を阻害する。
【0136】
幾つかの態様において、抗体は、細胞外ドメインから成る群から選択されるドメインにおける1つまたはそれ以上のAPCDD1エピトープと特異的に結合するモノクローナル抗体またはFabフラグメントである。
【0137】
幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターは、APCDD1の細胞外ドメイン(ECD)における1つまたはそれ以上のエピトープと特異的に結合するモノクローナル抗体またはFabフラグメントである。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターは、配列番号2の1つまたはそれ以上のエピトープと特異的に結合するモノクローナル抗体またはFabフラグメントである。幾つかの態様において、抗体またはFabフラグメントが、配列番号3、4、22および23から成る群から選択される配列の少なくとも6個の連続アミノ酸を含むエピトープと特異的に結合する。
【0138】
本発明による適切な抗体は、線状または立体配座エピトープ、またはその組み合わせを認識し得る。幾つかの態様において、本発明抗体が、配列番号2の抗原性領域のエピトープと特異的に結合する。幾つかの態様において、抗体が、配列番号2の抗原性領域のエピトープと特異的に結合する場合もあり、上記エピトープは、配列番号3、4、22および23から成る群から選択される配列の少なくとも6個の連続アミノ酸を含むものとする。幾つかの態様において、抗体は、配列番号3、4、22および23から成る群から選択される配列を有するエピトープに特異的である。
【0139】
これらのペプチドは、必ずしも1つのエピトープに対して正確にマッピングし得るわけではないが、免疫原性ではないAPCDD1配列も含み得るものとする。
【0140】
本発明抗体が結合し得る他の潜在的エピトープを予測する方法は、当業者にはよく知られており、限定するわけではないが、Kyte-Doolittle分析(Kyte, J. and Dolittle, R.F., J. Mol. Biol.(1982)157:105-132)、HoppおよびWoods分析(Hopp,T.P. and Woods,K.R., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1981)78:3824-3828;Hopp,T.J. and Woods,K.R., Mol. Immunol.(1983)20:483-489;Hopp,T.J., J. Immunol. Methods(1986)88:1-18)、Jameson-Wolf分析(Jameson,B.A. and Wolf,H., Comput.Appl.Biosci.(1988)4:181-186)およびEmini分析(Emini,E.A., Schlief,W.A., Colonno,R.J. およびWimmer,E., Virology(1985)140:13-20)がある。幾つかの態様において、潜在的エピトープは、理論的細胞外ドメインを測定することにより同定される。TMpred(K.Hofmann and W.Stoffel(1993)TMbase-A database of membrane spanning proteins segments, Biol.Chem. Hoppe-Seyler 374, 166参照)またはTMHMM(A.Krogh, B.Larsson, G.von Heijne およびE.L.L. Sonnhammer, Predicting transmembrane protein topology with a hidden Markov model: Application to complete genomes, Journal of Molecular Biology, 305(3):567-580, 2001年1月)などの解析アルゴリズムが上記予測をするのに使用され得る。他のアルゴリズム、例えばSignalP3.0(Bednsten et al.(2004)J Mol Biol. 2004年7月16日;340(4):783-95)は、シグナルペプチドの存在を予測し、それらのペプチドが完全長タンパク質から開裂される場所を予測するのに使用され得る。細胞の外側におけるタンパク質部分は、抗体相互作用に関する標的としての役割を果たし得る。
【0141】
抗体は、1)それらが閾値レベルの結合活性を呈する場合、および/または、2)それらが既知関連ポリペプチド分子と顕著には交差反応しない場合、「特異的に結合している」と定義される。抗体の結合親和力は、当業者により、例えばScatchard分析(Scatchard, Ann. NY Acad.Sci. 51:660-672, 1949)により容易に測定され得る。幾つかの態様において、本発明抗体が、APCDD1とある程度の相同性を有すると予測される他のタンパク質に対するよりも標的癌関連ポリペプチドについて少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、10倍、10倍、10倍、10倍またはそれを超える率でそれらの標的エピトープまたは模擬デコイと結合する。
【0142】
幾つかの態様において、抗体は、10−4Mまたはそれ未満、10−7Mまたはそれ未満、10−9Mまたはそれ未満の高親和力またはナノモル未満の親和力(0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1nMまたはそれ未満)で結合する。幾つかの態様において、APCDD1についての抗体の結合親和力は、少なくとも1×10Kaである。幾つかの態様において、APCDD1についての抗体の結合親和力が、少なくとも5×10Ka、少なくとも1×10Ka、少なくとも2×10Ka、少なくとも1×10Kaまたはそれより大きい。また本発明抗体は、本発明ポリペプチドへのそれらの結合親和力に関して説明または明記され得る。幾つかの態様において、結合親和力は、5×10−2M未満、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、または10−15Mまたはそれ未満のKを有するものを含む。
【0143】
幾つかの態様において、本発明抗体は、例えば、標準ウエスタン・ブロット分析(Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, 1994)を用いてそれらがAPCDD1ポリペプチドとは結合しても既知関連ポリペプチドとは結合しない場合、既知関連ポリペプチド分子とは結合しない。
【0144】
幾つかの態様において、本発明抗体が、APCDD1のオーソログ、ホモログ、パラログまたは変異型、またはその組み合わせおよび部分的組み合わせと結合する。幾つかの態様において、本発明抗体が、APCDD1のオーソログと結合する。幾つかの態様において、本発明抗体が、APCDD1のホモログと結合する。幾つかの態様において、本発明抗体が、APCDD1のパラログと結合する。幾つかの態様において、本発明抗体が、APCDD1の変異型と結合する。態様によって、本発明抗体は、オーソログ、ホモログ、パラログまたは変異型、またはその組み合わせおよび部分的組み合わせとは結合しない。
【0145】
幾つかの態様では、抗体を既知関連ポリペプチドに対してスクリーニングすることにより、APCDD1ポリペプチドと特異的に結合する抗体集団を単離し得る。例えば、ヒトAPCDD1ポリペプチドに特異的な抗体は、適切な緩衝条件下で不溶性マトリックスに付着したAPCDD1関連タンパク質(APCDD1以外)を含むカラムを通過する。上記スクリーニングにより、密接に関連したポリペプチドとは非交差反応性であるポリクローナルおよびモノクローナル抗体が単離され得る(Antibodies:A Laboratory Manual、Harlow and Lane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988;Current Protocols in Immunology、Cooligan et al.(編)、国立衛生研究所、John Wiley & Sons, Inc., 1995)。特異的抗体のスクリーニングおよび単離は、当業界ではよく知られている(Fundamental Immunology, Paul(編), Raven Press, 1993;Getzoff et al., Adv. in Immunol. 43:1-98, 1988;Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Goding,J.W.(編), Academic Press Ltd., 1996;Benjamin et al., Ann.Rev.Immunol. 2:67-101, 1984参照)。上記検定法の代表例には、同時免疫電気泳動法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、放射免疫沈降法、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、ドット・ブロットまたはウエスタン・ブロット検定法、阻害または競合検定法、およびサンドイッチ検定法がある。
【0146】
本発明はまた、標的タンパク質に特異的なSMIPまたは結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である抗体を提供する。これらの構築物は、抗体エフェクター機能を発揮するのに必要な免疫グロブリンドメインに融合された抗原結合ドメインを含む単鎖ポリペプチドである。例えば、国際公開第03/041600号、米国特許公開第20030133939号および米国特許公開第20030118592号参照。
【0147】
幾つかの態様において、本発明抗体は中和抗体である。幾つかの態様において、抗体はターゲッティング抗体である。幾つかの態様において、抗体は標的結合時にインターナリゼーションされる。幾つかの態様において、抗体は、標的結合時にインターナリゼーションされず、その代わり表面に残存する。
【0148】
幾つかの態様において、中和抗体はエフェクター機能を全く有しない。別法として、中和抗体はエフェクター機能を有し得る。
【0149】
本発明抗体は、問題の腫瘍細胞抗原への結合時に急速にインターナリゼーションされる能力、または結合後に細胞表面に残存する能力についてスクリーニングされ得る。幾つかの態様で、例えば幾つかのタイプの免疫コンジュゲートの構築において、インターナリゼーションが毒素部分の放出に必要とされる場合、抗体のインターナリゼーションされる能力が所望され得る。別法として、抗体がADCCまたはCDCを促進するのに使用されている場合、抗体が細胞表面に残存する方が望ましい場合もあり得る。スクリーニング方法は、これらの行動タイプを区別するのに使用され得る。例えば、細胞を、氷上(インターナリゼーションを遮断するため0.1%アジ化ナトリウム含有)または37℃(アジ化ナトリウム不含有)で3時間、約1μg/mLの濃度でヒトIgG1(対照抗体)または本発明抗体の一つとインキュベーションする場合には、腫瘍細胞抗原担持細胞が使用され得る。次いで、細胞を冷染色緩衝液(PBS+1%BSA+0.1%アジ化ナトリウム)で洗浄し、氷上で30分間、ヤギ抗ヒトIgG-FITCで染色する。幾何平均蛍光強度(MFI)をFACS Caliburにより記録する。アジ化ナトリウムの存在下氷上で本発明抗体とインキュベーションされた細胞およびアジ化ナトリウムの非存在下37℃で観察された細胞間において、MFIでの差異が全く観察されない場合、抗体は、インターナリゼーションされずに、細胞表面に結合されたまま残存しているものであることが疑われる。しかしながら、細胞をアジ化ナトリウムの非存在下37℃でインキュベーションしたときに表面染色可能抗体の減少が見出される場合、抗体はインターナリゼーションされ得るものであることが疑われる。
【0150】
抗体コンジュゲート
幾つかの態様によって、本発明抗体はコンジュゲートされる。幾つかの態様において、コンジュゲート抗体は癌治療薬、癌診断または癌性細胞のイメージングに有用である。
【0151】
診断適用の場合、抗体は、典型的には検出可能な部分で標識される。一般的に以下の範疇に分類され得る多様な標識が利用可能である:
(a)放射性核種、例えば下記検討のもの。抗体は、例えば、Current Protocols in Immunology、1および2巻、Coligen et al.編、Wiley-Interscience、New York, N.Y., Pubs.(1991)記載の技術を用いて例えば放射性同位元素で標識され得、放射能はシンチレーション計数法を用いて測定され得る。
(b)蛍光標識、例えば希土類キレート(ユーロピウムキレート)またはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、リスアミン(Rissamine)、フィコエリトリンおよびテキサス・レッドが利用可能である。蛍光標識は、例えば、前出のCurrent Protocols in Immunologyに開示された技術を用いて抗体にコンジュゲートされ得る。蛍光は蛍光光度計を用いて定量され得る。
(c)様々な酵素−基質標識が利用可能であり、米国特許第4275149号は、これらのうちのいくつかを検討している。酵素は、一般的に、様々な技術を用いて測定され得る色素原基質の化学的改変を触媒する。例えば、酵素は、分光測光法で測定され得る基質の変色を触媒し得る。別法として、酵素は、基質の蛍光または化学発光を改変させ得る。蛍光の変化を定量する技術は上述されている。化学発光基質は、化学反応により電子的に励起され、次いで(例えばケミルミノメーターを用いて)測定され得る光線を放出し得るかまたは蛍光受容体にエネルギーを与える。酵素標識の例には、ルシフェラーゼ類(例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌性ルシフェラーゼ;米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、マレートデヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リソザイム、サッカリドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(例えばウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどがある。酵素を抗体にコンジュゲーションする技術は、O'Sullivan et al., Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay、Methods in Enzym.(J.Langone & H.Van Vunakis編)、Academic Press、ニューヨーク、73:147-166(1981)に記載されている。
【0152】
抗体はまた、インビボ診断検定法でも使用され得る。幾つかの態様において、腫瘍が免疫シンチオグラフィーを用いて位置確認され得るように抗体を放射性核種で標識する。便宜上、本発明抗体は、キット、すなわち、診断検定法を遂行するための使用説明書と共に予め定められた量の試薬のパッケージされた組み合わせとして提供され得る。抗体を酵素で標識する場合、キットは、酵素により必要とされる基質および補因子(例えば、検出可能な発色団または発蛍光団を与える基質前駆体)を含み得る。さらに、例えば安定剤、緩衝液(例えば、遮断緩衝液または溶解緩衝液)などの他の添加物も含まれ得る。様々な試薬の相対量は、検定法の感度を実質的に最適化する試薬の溶解状態での濃度を与えるように広い範囲で変化し得る。特に、試薬は、溶解時に適切な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含め、通常凍結乾燥された乾燥粉末として提供され得る。
【0153】
幾つかの態様において、抗体は、1個またはそれ以上のメイタンシン分子(例えば、抗体分子1個につき約1〜約10個のメイタンシン分子)とコンジュゲートされる。メイタンシンは、例えば、May−SS−Meに変換され得、それがMay−SH3に還元され、修飾抗体(Chari et al., Cancer Research 52:127-131(1992))と反応することにより、メイタンシノイド−抗体免疫コンジュゲートを生成し得る。幾つかの態様において、コンジュゲートは、約10〜11MのIC50を有する非常に強力なメイタンシン誘導体DM1(N2'−デアセチル−N2'−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン)(例えば、2002年12月12日公開の国際公開第02/098883号参照)(検討、Payne(2003)Cancer Cell 3:207-212参照)またはDM4(N2'−デアセチル−N2'(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン)(例えば、2004年12月2日公開の国際公開第2004/103272号参照)であり得る。
【0154】
幾つかの態様において、抗体コンジュゲートは、1個またはそれ以上のカリケアマイシン分子とコンジュゲートされた抗腫瘍細胞抗原抗体を含む。カリケアマイシンファミリーの抗生物質は、ピコモル未満の濃度で2本鎖DNAの切断を誘発し得る。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体には、ガンマ1I、アルファ2I、アルファ3I、N−アセチル−ガンマ1I、PSAGおよびシータI1があるが、これらに限定されるわけではない(Hinman et al., Cancer Research 53:3336-3342(1993)およびLode et al., Cancer Research 58:2925-2928(1998))。また、米国特許第5714586号、第5712374号、および第5773001号も参照、これらについては、それぞれ出典明示で援用する。
【0155】
幾つかの態様において、抗体が、多くの癌で過剰生産された酵素によりその活性形態で放出され得るプロドラッグとコンジュゲートされる。例えば、抗体コンジュゲートは、ドキソルビシンのプロドラッグ形態により形成され得、その活性成分はプラスミンによりコンジュゲートから放出される。プラスミンは、多くの癌性組織で過剰生産されることが知られている(Decy et al.(2004)FASEB Journal 18(3):565-567参照)。
【0156】
幾つかの態様において、抗体は、酵素活性毒素およびそのフラグメントにコンジュゲートされる。幾つかの態様において、毒素には、限定するわけではないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)から)、シュードモナス(Pseudomonas)内毒素、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンシンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、リボヌクレアーゼ(RNase)、デオキシリボヌクレアーゼ(Dnase)、ヨウシュヤマゴボウ(pokeweed)抗ウイルスタンパク質、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、ネオマイシンおよびトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日公開の国際公開93/21232号参照。幾つかの態様において、毒素は、低い内在免疫原性および癌性細胞が毒素に耐性を持つようになる機会を減らす作用機構(例えば、細胞傷害性機構対静細胞機構)を有する。
【0157】
幾つかの態様において、本発明抗体および免疫モジュレーター間にコンジュゲートが形成される。例えば、幾つかの態様において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドが使用され得る。これらの分子は、抗原特異的抗体応答を誘発し得る強力な免疫原である(Datta et al.(2003)Ann N.Y. Acad. Sci 1002:105-111参照)。さらなる免疫モジュレーター化合物には、幹細胞成長因子、例えば「S1因子」、リンホトキシン、例えば腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、例えばインターロイキン、コロニー刺激因子(CSF)、例えば顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージ刺激因子(GM−CSF)、インターフェロン(IFN)、例えばインターフェロンアルファ、ベータまたはガンマ、エリスロポイエチンおよびトロンボポイエチンが含まれ得る。
【0158】
幾つかの態様において、放射性コンジュゲート抗体が提供される。幾つかの態様において、上記抗体は、32P、33P、47Sc、59Fe、64Cu、67Cu、75Se、77As、89Sr、90Y、99Mo、105Rh、109Pd、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、161Th、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211Pb、212Pb、213Bi、58Co、67Ga、80mBr、99mTc、103mRh、109Pt、161Ho、189mOs、192Ir、152Dy、211At、212Bi、223Ra、219Rn、215Po、211Bi、225Ac、221Fr、217At、213Bi、255Fmおよびそれらの組み合わせおよび部分的組み合わせを用いて製造され得る。幾つかの態様において、ホウ素、ガドリニウムまたはウラン原子を抗体にコンジュゲートする。ホウ素原子は10Bであり、ガドリニウム原子は157Gdであり、ウラン原子は235Uである。
【0159】
幾つかの態様において、放射性核種コンジュゲートが、20〜10000keVのエネルギーをもつ放射性核種を有する。放射性核種は、1000keV未満のエネルギーをもつオージュエミッター、20〜5000keVのエネルギーをもつPエミッター、または2000〜10000keVのエネルギーをもつアルファもしくは「a」エミッターであり得る。
【0160】
幾つかの局面では、ガンマ−、ベータ−または陽電子放出同位体である放射性核種を含む診断用放射性コンジュゲートが提供される。幾つかの態様において、放射性核種が20〜10000keVのエネルギーを有する。幾つかの態様では、放射性核種は、18F、51Mn、52mMn、52Fe、55Co、62Cu、64Cu、68Ga、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、89Zr、94mTc、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、114mIn、123I、125I、13Liおよび197Hgから成る群から選択される。
【0161】
幾つかの態様において、本発明抗体が、光活性または造影剤である診断剤とコンジュゲートされる。光活性化合物は、クロマジェンまたは染料などの化合物を含み得る。造影剤は、例えば常磁性イオンであり得、上記イオンは、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)およびエルビウム(III)から成る群から選択される金属を含む。また造影剤は、X線技術またはコンピューター断層撮影で使用される放射線不透過性化合物、例えばヨウ素、イリジウム、バリウム、ガリウムおよびタリウム化合物であり得る。放射線不透過化合物は、バリウム、ジアトリゾエート、エチオダイズド油、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン、および塩化タリウムから成る群から選択され得る。幾つかの局面において、診断用免疫コンジュゲートは、本発明抗体とコンジュゲートさせたガス充填リポソームなどの超音波造影剤を含み得る。診断用免疫コンジュゲートは、腫瘍または癌診断および検出の手術中、内視鏡または脈管内方法を含み、これに限定されない様々な手順に使用され得る。
【0162】
幾つかの態様において、抗体コンジュゲートが、様々な二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステル(例えばジメチルアジピミデートHCL)の二官能性誘導体、活性エステル類(例えばスベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えばグルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えばビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート類(例えばトリエン・2,6−ジイソシアネート)およびビス−活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)などを用いて作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al. Science 238:1098(1987)記載の要領で製造され得る。炭素14標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は、抗体へ放射性核種をコンジュゲートするための典型的キレート剤である。国際公開第94/11026号参照。リンカーは、細胞において細胞傷害性薬剤の放出を促す「開裂可能なリンカー」であり得る。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chari et al. Cancer Research 52:127-131(1992))が使用され得る。さらに作用物質は炭水化物部分を通して本発明抗体に連結され得る。
【0163】
幾つかの態様において、本発明抗体および細胞傷害性薬剤を含む融合タンパク質は、例えば組換え技術またはペプチド合成により製造され得る。幾つかの態様において、細胞傷害性薬剤とコンジュゲートされた抗腫瘍抗原抗体を含む上記免疫コンジュゲートを患者に投与する。幾つかの態様において、免疫コンジュゲートおよび/またはそれが結合している腫瘍細胞抗原タンパク質が、細胞によりインターナリゼーションされる場合もあり、その結果、それが結合する癌細胞を殺す際の免疫コンジュゲートの治療効力は高められる。幾つかの態様において、細胞傷害性薬剤が、癌細胞における核酸をターゲッティングまたは干渉する。上記細胞傷害性薬剤の例には、メイタンシノイド、カリケアマイシン、リボヌクレアーゼおよびDNAエンドヌクレアーゼがある。
【0164】
幾つかの態様において、腫瘍プレターゲッティングで用いるため、抗体を「受容体」(例えばストレプトアビジン)にコンジュゲートし、抗体−受容体コンジュゲートを患者に投与し、クリアリング剤を用いて未結合コンジュゲートを循環系から除去し、次いで細胞傷害性薬剤(例えば、放射性核種)にコンジュゲートされた「リガンド」(例えば、アビジン)を投与する。
【0165】
幾つかの態様において、抗体を標的細胞リソソーム(lysozome)内で放出される細胞傷害性分子にコンジュゲートする。例えば、薬剤モノメチルアウリスタチンE(MMAE)は、抗体コンジュゲートのインターナリゼーション後にタンパク質加水分解性リソソーム酵素カテプシンBにより開裂されるバリン−シトルリン結合を介してコンジュゲートされ得る(例えば、2003年4月3日公開の国際公開第03/026577号参照)。幾つかの態様では、MMAEは、開裂可能部分としてヒドラゾン官能基を含む酸に不安定なリンカーを用いて抗体に結合され得る(例えば、2002年11月11日公開の国際公開第02/088172号参照)。
【0166】
抗体依存的酵素プロドラッグ療法(ADEPT)
幾つかの態様において、本発明抗体は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、国際公開第81/01145号参照)を活性抗癌剤に変換させるプロドラッグ活性化酵素に抗体をコンジュゲートすることによりADEPTで使用され得る。例えば、国際公開第88/07378号および米国特許第4975278号参照。
【0167】
幾つかの態様において、ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分が、プロドラッグをそのさらに高い活性の細胞傷害性形態に変換するような形でプロドラッグに作用し得る酵素を含む。
【0168】
ADEPTで有用な酵素には、リン酸含有プロドラッグから遊離薬剤への変換に有用なアルカリ性ホスファターゼ、硫酸含有プロドラッグから遊離薬剤への変換に有用なアリールスルファターゼ、非毒性5−フルオロシトシンから抗癌剤5−フルオロウラシルへの変換に有用なシトシンデアミナーゼ、ペプチド含有プロドラッグから遊離薬剤への変換に有用なプロテアーゼ類、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、ズブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン類(例えばカテプシンBおよびL)、D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグの変換に有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ、グリコシル化プロドラッグから遊離薬剤への変換に有用な炭水化物開裂酵素、例えばβ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ、β−ラクタムで誘導体化された薬剤から遊離薬剤への変換に有用なβ−ラクタマーゼ、およびアミン窒素がフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基によりそれぞれ誘導体化された薬剤から遊離薬剤への変換に有用なペニシリンアミダーゼ、例えばペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼがあるが、これらに限定されるわけではない。幾つかの態様において、当業界で「抗体酵素」としても知られている酵素活性をもつ抗体が、本発明プロドラッグから遊離薬剤への変換に使用され得る(例えば、Massey、Nature 328:457-458(1987)参照)。抗体−抗体酵素コンジュゲートは、腫瘍細胞集団への抗体酵素の送達について本明細書で記載している要領で製造され得る。
【0169】
幾つかの態様において、ADEPT酵素が、当業界で公知の技術、例えば上記で検討したヘテロ二官能性架橋試薬の使用により抗体へ共有結合される。幾つかの態様において、本発明酵素の少なくとも官能活性部分に結合させた本発明抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質は、当業界で公知の組換えDNA技術を用いて構築され得る(例えば、Neuberger et al., Nature, 312:604-608(1984)参照)。
【0170】
幾つかの局面において、細胞傷害的ではなく、細胞増殖抑制的に作用する抗体の同定は、非処理対照培養物と比較しながら処理標的細胞培養物の生存能力を測定することにより達成され得る。生存能力は、当業界で公知の方法、例えばCellTiter-Blue(登録商標)細胞生存能力検定法またはCellTiter-Glo(登録商標)ルミネセンス細胞生存能力検定法(Promega、それぞれカタログ番号G8080およびG5750)を用いて検出され得る。幾つかの態様では、上記手段により測定される細胞死の証拠が存在せず、処理することによって対照培養物と比べて細胞数の減少がもたらされた場合、抗体は潜在的に細胞増殖抑制性であると考えられる。
【0171】
幾つかの態様では、インビトロスクリーニング検定法を実施することにより、当業界で公知の検定法を用いてADCCを促す抗体が同定され得る。典型的な一検定法は、インビトロADCC検定法である。クロム51標識標的細胞を調製するため、腫瘍細胞系を組織培養プレートで成長させ、滅菌したPBS中10mMのEDTAを用いて採取する。脱離した細胞を細胞培養培地で2回洗浄する。細胞(5×10)を、時々混合しながら37℃で1時間、200μCiのクロム51(New England Nuclear/DuPont)で標識する。標識細胞を細胞培養培地で3回洗浄し、次いで1×10細胞/mLの濃度となるように再懸濁する。オプソニンに作用させずに細胞を使用するか、またはPBMC検定法では100ng/mLおよび1.25ng/mLまたはNK検定法では20ng/mLおよび1ng/mLでの試験抗体とのインキュベーションにより検定前にオプソニンに作用させる。正常で健康な提供者からヘパリン上で血液を集めることにより末梢血単核細胞を調製し、等量のリン酸緩衝食塩水(PBS)で希釈する。次いで、血液をLYMPHOCYTE SEPARATION MEDIUM(登録商標)(LSM:Organon Teknika)で層状にし、製造業者の使用説明書に従って遠心分離にかける。単核細胞をLSM−血漿境界面から集め、PBSで3回洗浄する。エフェクター細胞を細胞培養培地に1×10細胞/mLの最終濃度となるように懸濁する。LSMを通して精製した後、製造業者の使用説明書に従ってナチュラルキラー(NK)細胞単離キットおよび磁気カラム(Miltenyi Biotech)を用いる負の選択により、NK細胞をPBMCから単離する。単離されたNK細胞を集め、洗浄し、2×10細胞/mLの濃度になるように細胞培養培地に再懸濁する。NK細胞の同一性を、フローサイトメトリー分析により確認する。細胞培養培地中マイクロタイタープレート(100μL最終容量)の列に沿ってエフェクター(PBMCまたはNK)細胞を2倍に系列希釈することにより、様々なエフェクター:標的比を調製する。エフェクター細胞の濃度は、PBMCについては1.0×10/mL〜2.0×10/mLおよびNKについては2.0×10/mL〜3.9×10/mLの範囲である。エフェクター細胞の滴定後、1×10細胞/mLのクロム51標識標的細胞(オプソニン作用を受けているかまたは受けていない)100μLを、プレートの各ウェルに加える。この結果、最初のエフェクター:標的比は、PBMCについては100:1およびNK細胞については20:1となる。検定法は全てデュプリケイトで実施し、各プレートは、自然溶解(エフェクター細胞無し)および全溶解(標的細胞+100μLの1%ドデシル硫酸ナトリウム、1N水酸化ナトリウム)の両方についての対照を含む。プレートを37℃で18時間インキュベーションした後、上清収集システム(Skatron Instrument, Inc.)を用いて細胞培養上清を採取し、Minaxiオート-ガンマ5000シリーズガンマカウンター(Packard)で1分間計数する。次いで、式:細胞傷害性%=(試料cpm−自然溶解)/(全溶解−自然溶解)×100を用いることにより、結果を細胞傷害性パーセントとして表わす。
【0172】
CDCを促す抗体を同定するため、当業界で公知の検定法が当業者により実施され得る。典型的な一検定法は、インビトロCDC検定法である。インビトロのCDC活性は、異なる濃度の試験抗体の非存在下または存在下で腫瘍細胞抗原発現細胞をヒト(またはこれに代わる供給源)補体含有血清とインキュベーションすることにより測定され得る。次いで、ALAMAR BLUE(登録商標)(Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202 163-171(1997))を用いて生細胞を定量することにより、細胞傷害性を測定する。抗体不使用および抗体使用であるが、熱不活化血清の使用および/または問題の腫瘍細胞抗原を発現しない細胞の使用により、対照検定法を実施する。別法として、赤血球を腫瘍抗原または腫瘍抗原由来のペプチドでコーティングし得、次いで赤血球溶解を観察することにより、CDCを検定し得る(例えば、Karjalainen and Mantyjarvi、Acta Pathol Microbiol Scand[C], 1981年10月;89(5):315-9参照)。
【0173】
細胞死を誘導する抗体について選択するため、例えばPI、トリパンブルーまたは7AAD取り込みにより示される膜完全性の喪失が、対照との比較で評価され得る。典型的な一検定法は、腫瘍抗原発現細胞を用いるPI取り込み検定法である。この検定法にしたがって、腫瘍細胞抗原発現細胞を、ダルベッコ改変イーグル培地(D−MEM):10%熱不活化FBS(Hyclone)および2mMのL−グルタミンを補ったハムF−12(50:50)中で培養する。(すなわち、補体および免疫エフェクター細胞の非存在下でこの検定法を実施する)。腫瘍細胞を100×20mmの皿において1皿につき3×10の密度で播種し、一晩結合させる。次いで、培地を除き、新鮮な培地単独または10μg/mLの適切なモノクローナル抗体を含有する培地と置き換える。細胞を3日間インキュベーションする。各処理後、単層をPBSで洗浄し、トリプシン処理により解離させる。次いで、細胞を4℃で5分間1200rpmでの遠心分離にかけ、ペレットを3mLの氷冷Ca2+結合緩衝液(10mMのHepes、pH7.4、140mMのNaCl、2.5mMのCaCl)に再懸濁し、細胞塊を除去するため35mmのストレーナー付きの12×75管(1管につき1mL、1処理群について3管)中へ等分する。次いで、管にPI(10μg/mL)を投入する。FACSCAN(登録商標)フローサイトメーターおよびFACSCONVERT(登録商標)を用いて試料を分析し得る。CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)。PI取り込みにより測定される統計的に有意なレベルの細胞死を誘導する抗体が、細胞死誘導抗体として選択され得る。
【0174】
また、PET造影剤として18F−アネキシンを用いることにより、抗体をアポトーシス活性についてインビボでスクリーニングにかけることが可能である。この手順では、アネキシンVを18Fで放射性標識し、調査中の抗体を投与後試験動物に与える。アポトーシス過程で最も早く起こる事象の一つは、細胞膜内側から外部細胞表面へのホスファチジルセリンのエバージョンであり、その結果アネキシンに接近可能となる。次いで、動物をPETイメージングにかける(Yagle et al., J Nucl Med. 2005年4月;46(4):658-66参照)。また、動物を殺し、個々の臓器または腫瘍を摘出し、標準プロトコルに従ってアポトーシスマーカーについて分析することが可能である。
【0175】
癌の中には遺伝子発現産物の過剰発現を特徴とし得るものもあるが、本願は、さらに腫瘍抗原過剰発現性の癌であるとはみなされない癌の処置方法を提供する。癌における腫瘍抗原発現を測定するためには、様々な診断/予知検定法が利用可能である。場合によっては、遺伝子発現産物過剰発現をIHCにより分析することも可能である。腫瘍生検からのパラフィン埋封組織片を、IHC検定法にかけ、以下に示す腫瘍抗原タンパク質染色強度基準に従って判定を下し得る:
スコア0:染色が全く観察されないか、または膜染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。
スコア1+:微弱/ほとんど知覚できない膜染色が、10%を超える率で腫瘍細胞から検出される。細胞はそれらの膜部分のみが染色される。
スコア2+:弱〜中度の完全膜染色が、10%を超える率で腫瘍細胞から観察される。
スコア3+:中度〜強度の完全膜染色が、10%を超える率で腫瘍細胞から観察される。
【0176】
幾つかの態様において、腫瘍抗原過剰発現評価についてのスコアが0または+1である腫瘍は、腫瘍抗原を過剰発現しないことを特徴とし得、スコアが2+または3+である腫瘍は、腫瘍抗原を過剰発現することを特徴とし得る。
【0177】
別法として、またはさらに、FISH検定法、例えばINFORM(登録商標)(アリゾナのVentana により販売)またはPATHVISION(登録商標)(Vysis、I11)を、ホルマリン固定のパラフィン埋封腫瘍組織で実施することにより、腫瘍における腫瘍抗原過剰発現の範囲(ある場合)が測定され得る。
【0178】
さらに、抗体をポリマーへの共有結合的コンジュゲーションにより化学的に修飾して、例えばそれらの循環半減期を増加させることも可能である。各抗体分子は、1個またはそれ以上(すなわち、1、2、3、4、5またはそれ以上)のポリマー分子に結合され得る。ポリマー分子は、幾つかの態様において、リンカー分子により抗体へ結合される。ポリマーは、一般に合成または天然ポリマー、例えば所望により置換されていてもよい直鎖または分枝鎖状ポリアルケン、ポリアルケニレンまたはポリオキシアルキレンポリマーまたは分枝状または非分枝状多糖類、例えばホモ−またはヘテロ多糖類であり得る。幾つかの態様においては、ポリマーは、ポリオキシエチレンポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは、室温では水溶性であり、一般式:R(O−CH−CH)O−R(式中、Rは、水素、または保護基、例えばアルキルまたはアルカノール基であり得る)を有する。幾つかの態様において、保護基が1〜8個の炭素を有する。幾つかの態様において、保護基はメチルである。記号nは、1〜1000または2〜500の正の整数である。幾つかの態様において、PEGが、100〜40000、2000〜20000、または3000〜12000の平均分子量を有する。幾つかの態様において、PEGが少なくとも1個のヒドロキシ基を有する。幾つかの態様において、ヒドロキシが末端ヒドロキシ基である。幾つかの態様において、このヒドロキシ基が活性化され、阻害剤上の遊離アミノ基と反応する。しかしながら、共有結合的にコンジュゲートされたPEG/本発明抗体を得られるように反応基のタイプおよび量を変え得るものとする。ポリマー、およびペプチドへのそれらの結合方法は、米国特許番号第4766106号、第4179337号、第4495285号および第4609546号に示されており、それぞれ出典明示により援用する。
【0179】
安全性試験
本発明抗体は、安全性および毒物学的特徴について試験され得る。これらのタイプの試験に関する指針は、USDA CBER局により発行された文書、“Points to Consider in the Manufacture and Testing of Monoclonal Antibody Products for Human Use”(認可症番号94D−0259、1997年2月28日)に示されており、これについては出典明示で援用する。一般に、多数のヒト組織試料および/または単離ヒト細胞型を用いた前臨床試験で候補抗体をスクリーニングにかけることにより、非標的組織結合性および交差反応性を評価するべきである。これらのヒト組織試験から満足すべき結果を得た後、一連の組織試料または様々な動物種からの単離細胞をスクリーニングにかけることにより、一般的毒物学試験での使用に適した種が同定され得る。交差反応性動物種が同定されなかった場合、他のタイプのモデルが適切であるとみなされ得る。これらの他のモデルは、ヒト腫瘍細胞をげっ歯動物宿主へ移植する異種移植モデルなどの試験、または毒物学試験用に選択された動物種において対応する腫瘍−細胞抗原を認識する代替モノクローナル抗体の使用を含み得る。これらのタイプの代替モデルから得られたデータは一次近似となり、高等種への移行は慎重に行われるべきであるものとする。
【0180】
候補ネイキッド抗体については、単なる許容性を調べる試験が実施され得る。これらの試験では、用量依存的薬力学効果を観察することにより、候補分子の治療指数が特性確認され得る。広い範囲の用量(例えば0.1mg/kg〜100mg/kg)を使用するべきである。腫瘍細胞抗原数、交差反応性動物標的に関する候補抗体の親和性の差異、および抗体結合後の細胞応答の差異については、治療指数を評価する場合に考慮するべきである。また、候補抗体を人体で試験するとき、熟慮するべき初回用量を導き出す(guild)助けとなるように薬力学的および薬物動態学的試験を適切な動物モデルでも実施するべきである。
【0181】
候補免疫コンジュゲートについては、コンジュゲートの安定性試験をインビボで実施しなければならない。最適な形としては、候補免疫コンジュゲートからの分解産物の結果を測定するため、免疫コンジュゲートの個々の成分についても薬力学および薬物動態学試験を実施するべきである。また、熟慮するべき初回用量を導き出す(guild)助けとなるように、上記と同様に適切な動物モデルにおいて薬力学および薬物動態試験を実施するべきである。薬剤をネイキッド抗体での前処置と組み合わせて与えるとき、安全性試験の設計についてもさらなる熟慮が要求される。ネイキッド抗体単独で安全性試験を実施しなければならず、このタイプの処置計画では免疫コンジュゲートの最終用量が低くなることに留意して免疫コンジュゲートを用いる試験を設計しなければならない。
【0182】
放射性免疫コンジュゲートについては、生体内分布データを測定するために動物組織分布試験を実施するべきである。さらに、投与された放射能の総線量の代謝的分解の計算を、実施されている初期および後期時点の両方で行うべきである。放射性免疫コンジュゲートは、血清または血漿を用いてインビトロでの安定性について試験され得るが、遊離放射性核種、放射性免疫コンジュゲートおよび標識非抗体化合物のパーセンテージを測定する方法を開発するべきである。
【0183】
オリゴヌクレオチド
幾つかの態様では、APCDD1モジュレーターがオリゴヌクレオチドである。幾つかの態様では、APCDD1モジュレーターは、配列番号5〜21から成る群から選択される配列を含むオリゴヌクレオチドである。
【0184】
幾つかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスまたはRNAiオリゴヌクレオチドである。幾つかの態様では、オリゴヌクレオチドは、APCDD1遺伝子または遺伝子発現産物の一つの領域、ドメイン、部分またはセグメントと相補的である。幾つかの態様では、オリゴヌクレオチドは、約5〜約100ヌクレオチド、約10〜約50ヌクレオチド、約12〜約35、および約18〜約25ヌクレオチドを含む。幾つかの態様では、オリゴヌクレオチドは、APCDD1遺伝子または遺伝子発現産物の一つの領域、部分、ドメインまたはセグメントと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%相同性である。幾つかの態様において、APCDD1遺伝子または遺伝子発現産物の少なくとも15、20、25、30、35、40、50または100連続ヌクレオチドにわたって実質的な配列同一性が存在する。幾つかの態様において、APCDD1遺伝子または遺伝子産物の全長にわたって実質的な配列相同性が存在する。幾つかの態様において、オリゴヌクレオチドが中度またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子と結合する。
【0185】
幾つかの態様では、APCDD1モジュレーターは、2本鎖RNA(dsRNA)分子であり、RNAi(RNA干渉)を介して機能する。幾つかの態様では、dsRNAの一鎖は、APCDD1遺伝子の一つの領域、部分、ドメインまたはセグメントと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%相同性である。幾つかの態様において、APCDD1遺伝子の少なくとも15、20、25、30、35、40、50、100、200、300、400、500または1000連続ヌクレオチドにわたって実質的な配列相同性が存在する。幾つかの態様において、APCDD1遺伝子の全長にわたって実質的な配列相同性が存在する。
【0186】
幾つかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で使用する。この配列は、ゲノム配列またはcDNA配列に基づき(またはそこから設計され)得、特定細胞または組織における同一、類似、または相補的DNAまたはRNAの増幅、その存在の確認または検出に使用される。
【0187】
小分子
幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターが小分子である。本明細書で使用している「小分子」の語は、約10キロダルトン未満の分子量を有する有機または無機の非ポリマー化合物をいう。小分子の例には、ペプチド、オリゴヌクレオチド、有機化合物、無機化合物などがある。場合によっては、小分子が、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、約1または約0.5キロダルトン未満の分子量を有することもある。
【0188】
模擬物質
APCDD1モジュレーターは模擬物質である。本明細書で使用している「模擬物質」の語は、ペプチドの活性を模倣する化合物をいうのに使用される。模擬物質は非ペプチドであるが、非ペプチド結合により結合されたアミノ酸を含み得る。1997年6月10日付けの米国特許第5637677号およびその親出願は、模擬物質の製造に関する詳細なガイダンスを含んでおり、それらについては、全て出典明示で援用する。簡単に述べると、APCDD1の三次元構造と特異的に相互作用するペプチドの三次元構造を、ペプチドではない分子により再現する。幾つかの態様において、APCDD1模擬物質は、APCDD1の模擬物質またはAPCDD1のリガンドの模擬物質である。
【0189】
癌の処置/予防方法
本発明は、対象における癌または癌の症状の処置および/または予防方法であって、本発明の1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターの治療有効量を対象に投与することを含む方法を提供する。場合によっては、癌は、APCDD1の過剰発現に関連した癌である。場合によっては、癌は、結腸、前立腺、肺、膀胱、腎臓、胸部、子宮、卵巣または膵臓癌である。場合によっては、癌は、結腸または前立腺癌である。場合によっては、癌は、結腸癌以外の癌である。場合によっては、対象が、癌に罹患しているものとして、または癌に罹患し易い状態であるものとして既に診断されていることもある。場合によっては、対象が、癌に罹患しているものとして、または結腸癌以外の癌に罹患し易い状態であるものとして既に診断されていることもある。
【0190】
癌の症状は当業者には周知であり、胸部のしこり、乳頭変形、胸部嚢腫、胸痛、死、体重減少、虚弱、過度の疲労感、摂食障害、食欲不振、慢性咳、呼吸困難、血を伴う咳、血尿、血便、悪心、嘔吐、肝臓転移、肺転移、骨転移、腹部膨満感、鼓脹、腹水、膣出血、便秘、腹部膨隆、結腸穿孔、急性腹膜炎(感染症、熱、疼痛)、疼痛、吐血、重度発汗、発熱、高血圧、貧血、下痢、黄疸、眩暈、悪寒、筋痙攣、結腸転移、肺転移、膀胱転移、肝臓転移、骨転移、腎臓転移、および膵臓転移、嚥下障害などが含まれ、これに限定されない。
【0191】
調節化合物の治療有効量は、薬剤師などに熟知された手順に従って経験的に決定され得、特に、患者の年齢、病状の重症度、および所望の最終的医薬処方物により変化する。本発明のモジュレーターの投与は、例えば、吸入または坐薬により、または粘膜組織に対し、例えば膣、直腸、尿道、頬側および舌下組織への洗浄により、経口、局所、鼻腔内、腹腔内、非経口、静脈内、リンパ管内、腫瘍内、筋肉内、間隙、動脈内、皮下、眼内、滑液包内、経上皮および経皮的経路により実施され得る。幾つかの態様において、阻害剤が洗浄、経口または動脈内(inter-arterially)経路により投与される。また、他の適切な導入方法は、再充填可能または生物分解性装置および遅延または持続放出ポリマー装置を含み得る。上記で検討したところによると、本発明の治療組成物はまた、他の既知抗癌剤または他の既知抗骨疾患処置プログラムとの併用療法の一部として投与され得る。
【0192】
さらに本発明は、患者においてAPCDD1関連生物活性を調節する方法を提供する。本方法では、1種またはそれ以上のAPCDD1生物活性を調節するのに有効な量のAPCDD1モジュレーターを患者に投与する。APCDD1生物活性を測定するのに適切な検定法は、上記および下記で示されている。
【0193】
本発明はまた、癌細胞成長の阻止を必要とする患者における癌細胞成長の阻止方法であって、1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターの治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。APCDD1関連細胞成長の測定に適切な検定法は、当業者には周知であり、上記および下記で示されている。
【0194】
さらに本発明は、癌の阻止を必要とする患者における癌の阻止方法を提供する。本方法では、患者が本明細書記載のAPCDD1療法についての候補であるか否かを決定し、患者がAPCDD1療法の候補である場合、1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターの治療有効量を患者に投与する。患者がAPCDD1療法の候補ではない場合、慣用的癌治療で患者を処置する。
【0195】
さらに本発明は、癌に罹患していると診断されたかまたは疑われている患者における癌の阻止方法を提供する。本方法では、1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターの治療有効量を患者に投与する。
【0196】
また本発明は、患者における2個またはそれ以上の細胞の相互作用の阻害方法であって、APCDD1モジュレーターの治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。APCDD1関連細胞相互作用を測定するのに適切な検定法は、当業者には公知であり、上記および下記に示されている。
【0197】
また本発明は、患者における癌の1つまたはそれ以上の症状の調節方法であって、1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターの治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0198】
さらに本発明は、細胞成長の阻止を必要とする患者における細胞成長の阻止方法であって、患者にAPCDD1モジュレーターの治療有効量を投与することを含む方法を提供する。細胞成長を測定するのに適切な検定法は、当業者には公知であり、上記および下記に示されている。
【0199】
本発明はまた、癌の発症、癌転移の素因があるかまたは転移を有するため、ぶり返しまたは再発が起こり易い患者の予防的処置方法を提供する。本方法は、例えば、癌または転移性腫瘍の家族歴を有するか、または癌転移についての遺伝的素因を示す危険度の高い個体において特に有用である。場合によっては、腫瘍はAPCDD1関連腫瘍である。さらに、本方法は、APCDD1関連腫瘍を外科的切除により除去したか、または慣用的癌治療で処置された患者がAPCDD1関連腫瘍の再発を起こすのを阻止するのに有用である。
【0200】
また本発明は、癌の進行の阻止および/または癌の退行の誘発方法であって、APCDD1モジュレーターの治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0201】
幾つかの態様において、抗癌治療を必要とする患者を、APCDD1以外の標的に指向した1種またはそれ以上の抗体と連係的にAPCDD1モジュレーターで処置する。幾つかの態様において、APCDD1以外の標的を指向する1種またはそれ以上の抗体が、EGF受容体、VEGF、CDK4、CDK6およびHER−2から成る群から選択される。
【0202】
幾つかの態様において、抗癌処置を必要とする患者を、化学療法および/または放射線療法と連係的にAPCDD1モジュレーターで処置する。例えば、APCDD1モジュレーターの投与後、患者はまた治療有効量の抗癌放射線でも処置され得る。幾つかの態様において、化学療法的処置を、APCDD1モジュレーターと組み合わせて行う。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターを化学療法および放射線療法と組み合わせて投与する。
【0203】
処置方法では、単一または多用量の1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターを患者に投与する。幾つかの態様において、無菌で発熱物質不含有であり、医薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせてAPCDD1モジュレーターを含む注射可能医薬組成物としてAPCDD1モジュレーターを投与する。
【0204】
幾つかの態様において、本発明の治療計画を、限定するわけではないが、手術、放射線療法、ホルモン機能抑制および/または化学療法を含む慣用的な癌の治療計画と共に使用する。本発明のAPCDD1モジュレーターの投与は、慣用的癌治療の前、それと同時またはその後に行われ得る。幾つかの態様において、2種またはそれ以上の異なるAPCDD1モジュレーターを患者に投与する。
【0205】
幾つかの態様において、患者に投与されるAPCDD1モジュレーターの量は、特に細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、およびサイクリン産生のうちの1つまたはそれ以上を阻害するのに有効なものである。
【0206】
下流遺伝子発現の摂動方法
幾つかの態様において、本発明は、1つまたはそれ以上の遺伝子の摂動方法を提供する。幾つかの態様において、本方法では、APCDD1を過剰発現する細胞をAPCDD1モジュレーターと接触させる。幾つかの態様において、患者において治療有効量のAPCDD1モジュレーター投与後に、1つまたはそれ以上の遺伝子の発現にインビボで摂動を与える。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターが、例えばサイクリンD1を含む1つまたはそれ以上の遺伝子の発現を低下させる。
【0207】
併用療法
幾つかの態様において、本発明は、2種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターを含むことにより、癌に対してさらに改善された効力を呈する組成物を提供する。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターがモノクローナル抗体である。2種またはそれ以上のAPCDD1抗体を含む組成物は、癌に罹患しているか、または癌に罹患する素因があるヒトまたは哺乳類に投与され得る。また、1種またはそれ以上の抗体は、別の治療剤、例えば細胞傷害剤、または癌化学療法剤と共に投与され得る。2種またはそれ以上の治療剤の並行投与については、薬剤がそれらの治療効果を発揮している期間に重複がありさえすれば、薬剤を同時にまたは同一経路により投与する必要はない。異なる日数または週数での投与の場合と同様に、同時または逐次投与も考えられる。
【0208】
幾つかの態様において、本発明方法では、異なる抗体の組み合わせまたは「カクテル」の投与が考えられる。上記抗体カクテルは、それらが異なるエフェクター機構を利用する抗体を含むか、または直接細胞傷害性抗体と免疫エフェクター機能性に頼る抗体とを組み合わせているものであれば、ある種の利点を有し得る。併用された上記抗体は、相乗的治療効果を呈し得る。有用な抗体は、EGF受容体をターゲッティングする抗体、例えばセツキシマブ(エルビツクス(Erbitux、登録商標))、EGFRをターゲッティングする抗体、例えばパニツムマブ(ベクチビクス(Vectibix、登録商標))、VEGFをターゲッティングする抗体、例えばベバシズマブ(アバスチン(Avastin、登録商標))およびHer−2をターゲッティングする抗体、例えばトラスツジマブ(ハーセプチン(Herceptin、登録商標))を含み得る。
【0209】
細胞傷害剤とは、細胞の機能を阻害または阻止および/または細胞の破壊を誘発する物質をいう。この語は、放射性同位元素(例えば、131I、125I、90Yおよび186Re)、化学療法剤、および毒素、例えば細菌、真菌、植物または動物起源の酵素活性毒素または合成毒素、またはそのフラグメントを包含するものとする。非細胞傷害剤は、細胞の機能を阻害または阻止せず、そして/または細胞の破壊を誘発しない物質をいう。非細胞傷害剤は、活性化されることにより細胞傷害性になり得る作用物質を含み得る。非細胞傷害剤は、ビーズ、リポソーム、マトリックスまたは粒子を含み得る(例えば、米国特許公開第2003/0028071号および第2003/0032995号参照、これらについては、出典明示で援用する)。上記作用物質は、本発明による抗体とコンジュゲート、カップリング、結合またはそれに随伴され得る。
【0210】
幾つかの態様において、慣用的抗癌医薬を本発明組成物と共に投与する。慣用的抗癌医薬には、
a)癌化学療法剤
b)追加薬剤
c)プロドラッグ
がある。
【0211】
癌化学療法剤には、限定されるわけではないが、アルキル化剤、例えばカルボプラチンおよびシスプラチン、窒素マスタードアルキル化剤、ニトロソウレアアルキル化剤、例えばカルムスチン(BCNU)、代謝拮抗物質、例えばメトトレキセート、葉酸、プリン類似体代謝拮抗物質、メルカプトプリン、ピリミジン類似体代謝拮抗物質、例えばフルオロウラシル(5−FU)およびゲムシタビン(ゲムザール(Gemzar、登録商標))、ホルモン性抗新生物薬、例えばゴセレリン、ロイプロリドおよびタモキシフェン、天然抗新生物薬、例えばアルデスロイキン、インターロイキン−2、ドセタキセル、エトポシド(VP−16)、インターフェロンアルファ、パクリタキセル(タキソール(Taxol、登録商標))、およびトレチノイン(ATRA)、抗生物質天然抗新生物薬、例えばブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ダウノマイシンおよびミトマイシンCを含むミトマイシン類、およびビンカアルカロイド天然抗新生物薬、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ヒドロキシ尿素、アセグラトン、アドリアマイシン、イフォスファミド、エノシタビン、エピチオスタノール、アクラルビシン、アンシタビン、ニムスチン、塩酸プロカルバジン、カルボコン、カルボプラチン、カルモフール、クロモマイシンA3、抗腫瘍多糖類、抗腫瘍血小板因子、シクロホスファミド(サイトキシン(Cytoxin、登録商標))、シゾフィラン、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ダカルバジン、チオイノシン、チオテパ、テガフール、ドラスタチン類、ドラスタチン類似体、例えばアウリスタチン、CPT−11(イリノテカン)、ミトザントロン、ビノレルビン、テニポシド、アミノプテリン、カルミノマイシン、エスペラマイシン類(例えば、米国特許第4675187号参照)、ネオカルジノスタチン、OK−432、ブレオマイシン、フルツロン、ブロクスウリジン、ブスルファン、ホンバン、ペプロマイシン、ベスタチン(ウベニメクス(Ubenimex、登録商標))、インターフェロン−β、メピチオスタン、ミトブロニトール、メルファラン、ラミニンペプチド類、レンチナン、カワラタケ(Coriolus versicolor)抽出物、テガフール/ウラシル、エストラムスチン(エストロゲン/メクロレタミン)がある。
【0212】
癌患者に対する治療として使用され得る追加薬剤には、EPO、G−CSF、ガンシクロビル、抗生物質、ロイプロリド、メペリジン、ジドブジン(AZT)、突然変異体および類似体を含むインターロイキン1〜18、インターフェロンまたはサイトカイン類、例えばインターフェロンα、βおよびγ、ホルモン類、例えば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)および類似体および、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、成長因子、例えばトランスフォーミング因子−β(TGF−β)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、神経発育因子(NGF)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子相同因子(FGFHF)、肝細胞増殖因子(HGF)およびインスリン増殖因子(IGF)、腫瘍壊死因子−αおよびβ(TNF−αおよびβ)、浸潤阻害因子−2(IIF−2)、骨形成タンパク質1〜7(BMP1〜7)、ソマトスタチン、サイモシンα−1、γ−グロブリン、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、補体因子、抗血管増殖因子、抗原性物質およびプロドラッグがある。
【0213】
プロドラッグは、親薬剤と比べて腫瘍細胞に対する細胞傷害性が低いかまたは非細胞傷害性であり、酵素的に活性化または活性形態またはさらに高活性の親形態に変換され得る医薬活性物質の前駆体または誘導体をいう。例えば、Wilman、“Prodrugs in Cancer Chemotherapy”Biochemical Society Transactions、14, 375-382頁, 615th Meeting Belfast(1986)およびStella et al., “Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery”, Directed Drug Delivery, Borchardt et al.(編), 247-267頁, Humana Press(1985)参照。プロドラッグには、限定されるわけではないが、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、b−ラクタム含有プロドラッグ、所望により置換されていてもよいフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは所望により置換されていてもよいフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグがあり、これらはさらに高活性の細胞傷害性遊離薬剤に変換され得る。本明細書で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化され得る細胞傷害性薬剤の例には、上記の化学療法剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0214】
臨床的局面
幾つかの態様において、本発明の方法および組成物は、結腸、前立腺または胸部の癌および癌転移に特に有用である。
【0215】
医薬組成物
また本発明は、1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターおよび医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。幾つかの態様において、医薬組成物は、注射可能物質として、液体溶液または懸濁液として製造され、注射前に液体賦形剤に溶解または懸濁させるのに適切な固体形態としても製造され得る。リポソームは、医薬上許容される担体の定義の範囲内に含まれる。医薬上許容される塩類もまた医薬組成物中に存在し得、例えば無機酸塩類、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩など、および有機酸の塩類、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などがある。医薬上許容される賦形剤についての徹底的な検討は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(1995, Alfonso Gennaro, Lippincott, Williams & Wilkins)に記載されている。
【0216】
APCDD1の検出方法
本発明はまた、APCDD1の検出方法を提供する。場合によっては、APCDD1が患者または患者試料に存在することもある。幾つかの態様において、本方法では、1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターを含む組成物を患者に投与し、患者における造影剤の場所を検出する。場合によっては、患者試料が癌細胞を含むこともある。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターを造影剤に結合するか、または検出可能な形で標識する。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターは、造影剤にコンジュゲートされたAPCDD1抗体であり、それを患者に投与することにより、1つまたはそれ以上の腫瘍を検出するかまたはAPCDD1療法に対する患者の感受性を測定する。標識抗体は、細胞における高密度の受容体に結合することにより、腫瘍細胞で蓄積する。標準的イメージング技術を用いることにより、腫瘍部位が検出され得る。
【0217】
また本発明は、APCDD1を発現または過剰発現する細胞または腫瘍のイメージング/検出方法であって、APCDD1モジュレーターを含む組成物を試料と接触させ、試料中におけるAPCDD1モジュレーターの存在を検出することを含む方法を提供する。幾つかの態様では、試料は患者試料である。場合によっては、患者試料が癌細胞を含むこともある。幾つかの態様において、APCDD1モジュレーターを造影剤に結合するか、または検出可能な形で標識する。
【0218】
また本発明は、患者、細胞または試料中に存在するAPCDD1の量の定量方法を提供する。本方法では、抗体、プローブ、または小分子のうちの1つまたはそれ以上を患者に投与し、試料中に存在するAPCDD1の量を検出する。幾つかの態様において、抗体、プローブまたは小分子を、造影剤と結合させるかまたは検出可能な形で標識する。上記情報は、例えば、腫瘍がAPCDD1と関連しているか否か、従って特定の処置を使用するべきなのか、または回避するべきなのかを示す。幾つかの態様において、当業者に周知の標準的技術を用いることにより、腫瘍細胞を含むと考えられる試料を入手し、標識抗体、プローブ、オリゴヌクレオチドおよび小分子と接触させる。未結合の標識抗体、プローブ、オリゴヌクレオチドまたは小分子があればそれらを除去した後、細胞に結合した標識抗体、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたは模擬物質の量、または未結合として除去された抗体、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたは模擬物質の量を測定する。情報は、存在するAPCDD1の量に直接関連している。
【0219】
イメージングは、当業者によく知られた手順を用いて実施され得る。イメージングは、例えばラジオシンチグラフィ、核磁気共鳴イメージング(MRI)またはコンピューター断層撮影(CTスキャン)により実施され得る。造影剤に関して最も一般的に使用される放射性標識には、放射性ヨウ素およびインジウムがある。CTスキャンによるイメージングは、鉄キレートなどの重金属を使用し得る。MRI走査は、ガドリニウムまたはマンガンのキレートを使用し得る。さらに、酸素、窒素、鉄、炭素またはガリウムの陽電子エミッターを用いる陽電子放出断層撮影法(PET)も可能であり得る。
【0220】
幾つかの態様では、APCDD1モジュレーターはAPCDD1抗体である。態様に中には、モジュレーターを造影剤と結合させるか、または検出可能な形で標識するものもある。幾つかの態様において、造影剤は、18F、43K、52Fe、57Co、67Cu、67Ga、77Br、87MSr、86Y、90Y、99MTc、111In、123I、125I、127Cs、129Cs、131I、132I、197Hg、203Pbまたは206Biである。
【0221】
検出方法は、当業者には公知である。例えば、ポリヌクレオチドの検出方法には、PCR、ノーザンブロッティング、サザーンブロッティング、RNA保護およびDNAハイブリダイゼーション(in situ ハイブリダイゼーションを含む)があるが、これらに限定されるわけではない。ポリペプチドの検出方法には、ウエスタンブロッティング、ELISA、酵素活性検定法、スロットブロッティング、ペプチド質量フィンガープリンティング、電気泳動、免疫化学および免疫組織化学法があるが、これらに限定されるわけではない。検出方法の他の例には、限定されるわけではないが、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光免疫検定法、蛍光免疫検定法、時間分解蛍光免疫測定法(TR−FIA)、2色蛍光顕微鏡、または免疫クロマトグラフィー測定法(ICA)があり、全て当業者には公知のものである。態様の中には、PCR方法を用いてポリヌクレオチド発現を検出し、ELISA技術を用いてポリペプチド生成を検出するものもある。
【0222】
細胞への細胞傷害剤または診断剤の送達方法
また本発明は、APCDD1を発現する1つまたはそれ以上の細胞への細胞傷害剤または診断剤の送達方法を提供する。幾つかの態様において、これらの方法では、細胞傷害剤または診断剤とコンジュゲートしたAPCDD1モジュレーターと細胞を接触させる。
【0223】
癌患者の予後を測定する方法
また本発明は、APCDD1関連癌が存在する患者の予後の測定方法を提供する。幾つかの態様において、本方法では、患者または患者試料におけるAPCDD1の示差的発現の証拠の存在または欠如を検出する。幾つかの態様において、対照試料に対し患者または試料におけるAPCDD1の示差的発現の証拠の存在が、癌予後の指標となる。対照試料は、正常な健康個体の集団(例えば、癌に罹患していないことが判明している人の集団)、他の癌患者集団からの試料、または同一ではあるが、患者が癌に罹患していないことが判明した時点での患者からの試料で見出されるAPCDD1の平均レベルであり得る。場合によっては、リファレンス・チャートを用いることにより、試料におけるAPCDD1の特定レベルが高いか、または正常であるか否かを判定することも可能である。例えば、リファレンス・チャートは、癌に罹患していない個体の臨床試料から見出される正常範囲のAPCDD1レベルを含み得る。このリファレンス・チャートを用いることにより、試料中で測定されたAPCDD1のレベルが、高レベルまたは正常レベルであるものとして分類され得る。患者のAPCDD1レベルおよび当業界で公知の他の臨床指数で大きな患者群を比較することにより、特定APCDD1レベルを示す患者の生存機会に関する統計的決定が下され得る。
【0224】
APCDD1療法に対する感受性の測定方法
本発明はまた、APCDD1治療に対する患者の感受性の測定方法を提供する。本方法では、患者または患者試料におけるAPCDD1の示差的発現の証拠の存在または欠如を検出する。幾つかの態様において、患者または試料におけるAPCDD1の示差的発現の証拠の存在がAPCDD1治療に対して感受性がある患者の指標となる。幾つかの態様において、患者または患者試料におけるAPCDD1の示差的発現の証拠の欠如が、APCDD1治療についての候補ではない患者の指標となる。幾つかの態様において、APCDD1発現が、対照試料との比較で癌試料において未変化であるか、または下方制御されている場合、二次検定法が実施され得る。二次検定法の例には、限定されるわけではないが、APCDD1下流マーカー、例えばサイクリン産生、特にサイクリンD1産生のモニタリング、またはサイクリン活性、または細胞周期調節のモニタリングがある。
【0225】
幾つかの態様において、本方法では、まずAPCDD1治療に感受性を示す患者を同定する場合があり、治療を必要とする患者に造影剤に結合させたAPCDD1モジュレーターを含む組成物を投与し、患者における遺伝子または遺伝子産物の証拠の存在または欠如を検出する。態様によって、さらに本方法では、患者がAPCDD1治療についての候補である場合、1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターを患者に投与し、患者がAPCDD1治療についての候補ではない場合、慣用的癌処置法で患者を処置することもある。
【0226】
幾つかの方法において、患者が癌に罹患しているかまたは癌にかかり易い状態であるものとして同定されたとき、1種またはそれ以上のAPCDD1モジュレーターを単独または他の抗癌医薬と組み合わせて患者に投与する。
【0227】
癌の進行の評価方法
また本発明は、患者における癌の進行の評価方法であって、第1時点での生物試料におけるAPCDD1の発現産物のレベルを、第2時点での同発現産物のレベルと比較することを含む方法を提供する。第1時点に対する第2時点での発現産物のレベルの変化は、癌の進行状態を示すものである。
【0228】
スクリーニング方法
本発明はまた、抗癌剤についてのスクリーニング方法を提供する。本方法では、APCDD1を発現する細胞を候補化合物と接触させ、APCDD1関連生物活性が調節されているかどうかを判定する。幾つかの態様において、特に細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、およびサイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1と他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用、および新脈管形成のうちの1つまたはそれ以上の阻害が抗癌剤を示す。幾つかの態様において、本発明方法により同定された抗癌剤を、治療および/または診断方法においてそれを必要とする患者に投与する。
【0229】
幾つかの態様において、本発明は、例えば、下流マーカーの活性またはレベルを調節する能力について推定的モジュレーターをスクリーニングすることによる、抗癌剤、特に抗転移癌剤に関するスクリーニング方法を提供する。幾つかの態様において、サイクリンD1のレベルを下げる候補薬剤が抗癌剤として同定される。
【0230】
幾つかの態様において、本発明は、APCDD1モジュレーターを同定する方法を提供する。幾つかの態様において、本方法では、候補化合物の存在および非存在下でAPCDD1を発現する1つまたはそれ以上の細胞を含む試料におけるAPCDD1のリン酸化を比較する。幾つかの態様において、候補化合物の非存在下での試料におけるAPCDD1のリン酸化と比べて候補化合物の存在下での試料におけるAPCDD1のリン酸化が調節されていれば、候補化合物がAPCDD1モジュレーターであることを示す。
【0231】
幾つかの態様において、免疫沈降抗体を用いることにより、APCDD1を試料から単離する。幾つかの態様において、免疫沈降抗体は、本発明の抗APCDD1抗体である。
【0232】
APCDD1の調節の検出方法
幾つかの態様において、本発明は、細胞におけるAPCDD1活性の調節の検出方法を提供する。幾つかの態様において、本方法では、APCDD1を発現する細胞を含む試料を、APCDD1活性を調節するのに十分な時間APCDD1阻害剤と接触させ、本発明のAPCDD1抗体でAPCDD1を免疫沈降させ、試料におけるAPCDD1のレベルを、APCDD1阻害剤で処置されなかった対照試料におけるレベルと比較する。幾つかの態様において、対照と比較した場合の試料の細胞におけるAPCDD1のレベルの改変が、APCDD1活性の調節の指標となる。
【0233】
幾つかの態様において、本発明は、APCDD1を過剰発現する細胞を含む試料におけるAPCDD1活性の調節の検出方法を提供する。幾つかの態様において、本方法では、APCDD1活性を調節するのに十分な時間細胞でAPCDD1を過剰発現させ、本発明のAPCDD1抗体でAPCDD1を免疫沈降させ、試料におけるAPCDD1のレベルを、APCDD1阻害剤で処置されなかった対照試料におけるレベルと比較する。
【0234】
APCDD1の精製方法
幾つかの態様において、本発明は、APCDD1を含む試料からのAPCDD1タンパク質の精製方法を提供する。本方法では、固体支持体に結合させた本発明APCDD1抗体を含むアフィニティー・マトリックスを提供し、試料をアフィニティー・マトリックスと接触させることにより、アフィニティーマトリックス−APCDD1タンパク質複合体を形成させ、試料の残りからアフィニティーマトリックス−APCDD1タンパク質複合体を分離し、アフィニティー・マトリックスからAPCDD1タンパク質を放出させる。
【0235】
キット
幾つかの態様において、本発明は、APCDD1の示差的発現と相関関係を示す遺伝子または遺伝子産物をイメージングおよび/または検出するためのキットを提供する。本発明のキットは、検出可能な抗体、小分子、オリゴヌクレオチド、デコイ、模擬物質またはプローブ並びに本発明方法遂行のための使用説明書を含む。所望により、キットはまた、以下のうちの1つまたはそれ以上を含み得る:対照(陽性および/または陰性)、対照用容器、陽性および/または陰性結果の代表例の写真または描写。
【0236】
本明細書に記載している特許、特許出願、受入番号および出版物については、それぞれ出典明示により援用する。
【0237】
本発明の様々な修正は、本明細書記載のものに加えて、上記内容を考慮すれば当業者には容易に理解できるものである。上記修正も、下記態様の範囲内に含まれるものとする。説明を目的としているのであって、本発明の範囲を制限するものではない以下の実施例においてさらに本発明を立証する。
【実施例】
【0238】
実施例1:APCDD1発現は、幾つかの癌組織で上方制御される。
APCDD1発現を、一連の正常および癌性人体組織において分析した。組織型は、心臓、肝臓、副腎、脳、前立腺、腎臓、胸部、結腸、肺および膵臓を含んでいた。正常組織および他の癌性組織の両方に対し高レベルのAPCDD1発現が結腸癌において観察された(図1)。
【0239】
一次および転移性結腸癌標本からの試料においてAPCDD1発現をさらに分析した(図2)。mRNAを、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)で得た一次または転移性結腸癌組織から単離し、mRNAを、各組織試料内の癌細胞に近接した各正常組織または正常細胞のプールと比較した。試料を、Affymetrix(登録商標)GeneChips(登録商標)(Affymetrix, Inc., サンタクララ、カリフォルニア)(“Affy”)でのオリゴヌクレオチドアレイ解析または癌性組織から作製されたcDNAライブラリーを用いて内部で生成されたアレイ(EVD)により試験した。各アレイで解析された患者試料の数、次いで癌および正常試料間における発現の相対的差異を示す。例えば、「>=2X」、「>=3X」、「>=5X」は、それぞれ2、3および5倍の上方制御を示し、「<=2x」は2倍の下方制御を示す。両セットの遺伝子アレイの解析結果は、APCDD1が結腸癌で上方制御されることを示していた。
【0240】
さらに大規模の一連の27正常ヒト組織型(図3)および39ヒト細胞系(図4)におけるAPCDD1 mRNAレベルを、半定量的RT−PCR(GeneAmp(登録商標)、Applied Biosystems、フォスターシティー、カリフォルニア)により解析した。フォワードプライマーは、GTCGAGGAGCTCTTCCTTGGTGACATT(配列番号24)であり、リバースプライマーは、TGGTGCTCGTCTGACCGATAGATGAT(配列番号25)であった。試験した正常組織の中で、胎児脳、皮膚、頸部および前立腺は、最高の相対的発現性を示した。細胞系の中では、正常ヒト前立腺上皮細胞系(PrEC)、前立腺癌細胞系(PCA2b)、並びにLS174T、SW480、SW620およびLovoを含む若干のヒト結腸癌細胞系が、最高の相対的発現レベルを示した。
【0241】
実施例2:人体組織および細胞系におけるAPCDD1タンパク質の免疫局在分析
人体組織(胎盤)および細胞系(SW620、Colo320、AGS、HCT116、HT29、PREC、PCA2b、PC3、293TおよびAPCDD1で形質転換した293T)における免疫組織化学法によりAPCDD1タンパク質発現を分析した。斑状細胞質染色が、APCDD1発現性細胞型で観察された。0〜3の範囲に及ぶ強度の尺度に従って、染色状態を記録した。この実験の結果を表1および2に要約する。APCDD1のECDに対して産生したウサギポリクローナル抗体を用いて、IHC実験を実施した。APCDD1タンパク質は、非トランスフェクション細胞ではなく、APCDD1発現性構築物によりトランスフェクションされた293T細胞から検出された。この結果は、APCDD1抗体がAPCDD1タンパク質を特異的に認識することを示唆している。染色結果はまた、APCDD1が、結腸癌(SW620およびHCT116)、前立腺癌(PC3およびPCA2b)細胞系およびPREC正常上皮前立腺細胞系で発現されることを示していた。
【表1】

【0242】
【表2】

【0243】
また、免疫組織化学的にAPCDD1を分析した。分析した細胞型は、293TおよびAPCDD1で形質転換された293T、SW620、HCT116、PREC、PCA2b、PC3であった。組織片を脱パラフィン処理し、Ventana Discovery器(Ventana Medical Systems, Inc., トゥーソン、アリゾナ)で抗原回復を行った。標準的細胞前処置を実施し、次いで細胞を60分間一次抗体とインキュベーションした。ウサギ抗ヒトAPCDD1抗体(Chiron、エマリービル、カリフォルニア)およびウサギIgGプレブリード(Prebleed)対照(Chiron、エマリービル、カリフォルニア)を、10μg/mlのVentana Universal Secondary Reagent(二次試薬)(Ventana Medical Systems, Inc.)で使用し、次いで Ventana DAB Map Kit(マップ・キット)(Ventana Medical Systems, Inc.)を検出用に使用した。Ventanaヘマトキシリンおよびブルーイング試薬(Ventana Medical Systems, Inc.)を対比染色用に使用し、切片を等級化アルコールで脱水し、キシレンで澄明にし、合成封入剤を用いてカバースリップで覆った。IHC分析は、APCDD1が、APCDD1で形質転換された293T細胞、および非形質転換細胞系、SW620、PREC、PCA2bから検出され得ることを示していた。細胞膜におけるAPCDD1タンパク質の局在性を、FACS分析により確認した(図5)。
【0244】
実施例3:ヒト癌細胞系におけるAPCDD1タンパク質発現
ヒト癌細胞系におけるAPCDD1タンパク質発現を、APCDD1で形質転換された293T細胞、Colo205、Colo320dm、HT29、LnCaP、PC3、PCA2bおよびSW620を含む一連のヒト癌細胞系で観測した。タンパク質ライゼートを細胞ペレットから調製し、ライゼートを抗APCDD1抗体による免疫沈降にかけた。免疫沈降により捕えられたタンパク質をアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、次いで免疫ブロッティング分析にかけた。
【0245】
約64kDのポリペプチドが、APCDD1で形質転換された293T細胞、Colo205、Colo320dm、HT29、LnCaP、PC3およびSW620からのライゼートで検出された(図6)。293/APCDD1抽出物はまた、約58kDのポリペプチドを含んでいた。APCDD1免疫沈降産物の相対レベルは、細胞系間で変動し、最高レベルは、APCDD1で形質転換された293T細胞、Colo320dmおよびSW620細胞で観察された。
【0246】
64kDポリペプチドは、予測された58.7kD APCDD1遺伝子産物より僅かに大きいため、ポリペプチドのグリコシル化状態を酵素加水分解により評価した。APCDD1で形質転換された293細胞からの抽出物を酵素処理することにより、64kDの化学種は排除され、免疫沈降産物の塊は約54〜58kDのより急速に移動しているダブレットへシフトされ(図7)、APCDD1タンパク質がグリコシル化されていることを示唆している。対応するシフトは、Colo320dm細胞からの抽出物においては観察されなかった。
【0247】
実施例4:機能性検定法
細胞増殖におけるAPCDD1の役割を、1)APCDD1発現を低下させる効果および2)APCDD1を過剰発現する効果を調べる一連の実験で評価した。siRNA方法により、APCDD1発現は低下した。一連のsiRNAを、Colo320細胞(APCDD1を発現する結腸癌細胞系)においてAPCDD1 mRNAレベルを減少させる能力について試験した。これらの試験で使用したsiRNAの配列を表3に示す。
【0248】
siRNA解析を次の要領で実施した。細胞を96ウェル皿において1日後に約80〜95%の密集成長をもたらす密度で播種した。オリゴヌクレオチドを、OptiMEM(登録商標)(Invitrogen、カールスバッド、カリフォルニア)中で2μMに希釈した。次いで、オリゴヌクレオチド−OptiMEM(登録商標)を、検定法で使用する特定細胞型用に最適化しておいた送達賦形剤に加えた。次いで、細胞培養プレートにおけるsiRNAオリゴヌクレオチドの最終濃度が50nMとなるように、オリゴ/送達賦形剤混合物を血清と共に培地でさらに希釈した。細胞を、細胞型によって約4時間〜一晩の期間オリゴヌクレオチド/送達賦形剤混合物中37℃でインキュベーションした。次いで、トランスフェクション混合物を新鮮な培地により置き換え、細胞を48または72時間培養した。トランスフェクション細胞をトリプシン処理により採取し、APCDD1 mRNAレベルを実施例1記載の要領でRT−PCRにより測定した。
【0249】
図8に示されている通り、試験した4つのAPCDD1 siRNAは全て、APCDD1 mRNAレベルを低下させた。非特異的対照siRNAのEg5および陰性(−)の場合、APCDD1 mRNAに対する同様の効果は観察されなかった。また、APCDD1 siRNAによるAPCDD1 mRNAの低下の結果、APCDD1タンパク質発現も低下した。APCDD1 siRNAでトランスフェクションしておいたColo320(図9)およびSW480細胞(図10)の両方のFACS解析は、APCDD1細胞表面染色の特異的な低下を示していた。
【0250】
次いで、Colo320、SW620、PC3およびA549細胞を含む一連の細胞系を用いて、APCDD1 siRNAを、細胞増殖に対するそれらの効果について評価した。siRNAトランスフェクションを上記要領で実施し、市販のキット(ToxiLight(登録商標)、Cambrex Corporation、イースト・ラザフォード、ニュージャージー)を用いて細胞増殖を測定した。細胞増殖におけるAPCDD1 siRNA依存的減少が試験した全細胞系について示されたが、減少の規模は使用される特定siRNAおよび考慮中の細胞型の両方によって異なるため、これらの試験の結果は確定的ではなかった。
【0251】
さらに、細胞増殖に対するAPCDD1の効果を、APCDD1遺伝子産物が過剰発現されている実験で評価した。pCMVIIベクターに挿入しておいたAPCDD1でLovo細胞をトランスフェクションした。対照細胞をpCMVIIでトランスフェクションした。トランスフェクション後4および6日目に細胞数を測定した。両時点で(図11)、APCDD1トランスフェクション試料における相対細胞数は、対照細胞の場合より著しく高かった(4日目には約20%高く、6日目には約80%高い)。
【0252】
別の実験では、Rat−1細胞をAPCDD1発現プラスミドでトランスフェクションした。トランスフェクション細胞を、軟寒天でのコロニー形成により測定される足場非依存的成長を促すそれらの能力について評価した。まず非組織培養処理プレートをPoly-HEMAでコーティングして、細胞がプレートに結合するのを阻止することにより、軟寒天検定法を実施した。トリプシンを使用し、培地中で2回洗浄することにより、非トランスフェクション細胞を採取した。血球計を用いて細胞を計数し、培地中1mlにつき104細胞となるように再懸濁した。50μlアリコートを、polyHEMAコーティング96ウェルプレートに入れ、トランスフェクションした。
【0253】
トランスフェクションの翌日、細胞をトリプシン処理し、再懸濁し、計数した。細胞を約500細胞/100μl/ウェルに希釈し、深型ウェルブロック(最大容量=1ml/ウェル、トリプリケイト、標準配置に従う)に移した。細胞を2種のプレート:検定用のCorning #7007Ultra Low Adherent U−プレート、および平板効率チェック用のCorning #3799で平板培養した。Seaplaque GTGアガロース3%を、電子レンジで約1分間加熱することにより溶かした。完全に融解したとき、約10mlを予め温めておいた50mlのポリプロピレン管(Falcon#35−2070)に注入し、60℃のヒートブロックで少なくとも10分間インキュベーションした。約18.6mlの完全培地を50mlのポリプロピレン管に加え、水浴中約37℃でインキュベーションした。Multimek(登録商標)ピペッターを用いて、アガロースを96ウェルプレート中の細胞に分配した。約18.6mlの温培地を10mlのアガロース中に注ぎ、静かに倒置することにより十分に混合した。プレートを約4℃で20〜30分間インキュベーションすることにより、アガロースを迅速に固化させた。アガロースを固化させた後、100μlの完全培地を細胞全体に加えた。0日目平板効率を測定するため、約25μl/ウェルのAlamar Blueを加え、37℃で一晩インキュベーションした。次いで、プレートを18〜24時間後にTECAN プレートリーダーにおいて530ex/590emで読み取った。検定プレートを7日間37℃でインキュベーションした後、Alamar Blue(25μl/ウェル)で顕色させた。
【0254】
Rat−1/APCDD1クローンの発現レベルを免疫ブロッティングにより評価した。試験した5クローンのうち5つとも軟寒天においてコロニーを形成しなかった。
【0255】
細胞周期の鍵を握る調節因子である、サイクリンD1の発現を、RAT−1/APCDD1形質転換体で評価した。図12に示すとおり、免疫ブロッティング実験は、サイクリンD1レベルが、pCMVIIベクター単独で形質転換された対照細胞系と比べると、2種の独立したRat−1/APCDD1安定細胞系(APCDD1#18およびAPCDD1#49)において高められていることを示した。
【0256】
実施例5:配列
様々なAPCDD1配列を添付の配列リスト(これについては、出典明示で援用する)に示す。配列番号1は、APCDD1 mRNA配列(GenBank 受入番号NM_153000);(CDS354..1898)を表す。
配列番号2はAPCDD−1のアミノ酸配列を表す(GenBank受入番号NM_153000)。
配列番号3は、APCDD1の細胞外ドメイン(ECD)のアミノ酸配列を表す。
配列番号4は、APCDD1のシグナルペプチド配列を表す。
【0257】
実施例6:APCDD1抗体
これらの実験で使用した抗APCDD1抗体の特徴を表3に要約する。
【表3】

【0258】
ポリクローナル抗APCDD1抗体の活性および特異性を、3種の方法で確認した:1)APCDD1で形質転換された293T細胞からの抽出物に対する免疫ブロッティング、2)APCDD1発現性細胞系、すなわちSW620、SW480、Colo320およびPC2bの免疫結合性およびFACS分析、および293T/APCDD1形質転換細胞抽出物の免疫沈降法。抗体に関する確認データを表3に要約する。
【表4】

【0259】
ポリクローナル抗体に関する免疫沈降データを図13に示す。Qiagen Penta His 抗体、BSA不含有(カタログ番号#34660)を用い、実施例3記載の方法に従って免疫沈降を実施した。ラット#4モノクローナル抗体に関する免疫ブロッティングおよびFACSデータを図14Aおよび14Bに示す。
【0260】
実施例7:APCDD1 siRNA
実施例4で使用したsiRNAの配列を表5に示す。
【表5】

【0261】
実施例8:APCDD1エピトープ
実施例2および3で使用する抗体により認識されるAPCDD1のペプチドエピトープを表6に示す。
【表6】

【0262】
以上、本発明についてその態様により説明を行ったが、当業者であれば、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加え得ること、および均等内容物により置き換え得ることは容易に理解できるはずである。さらに、特定の状況、材料、複合物、過程、その一工程または複数工程を本発明の目的、精神および範囲に適合させるように、多くの修正も加えられ得る。上記の修正も全て、本発明の範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を必要とする患者における癌または癌の症状の処置方法であって、APCCD1モジュレーターおよび1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を含む組成物の治療有効量を患者に投与することを含む方法。
【請求項2】
患者におけるAPCDD1活性の調節方法であって、1種またはそれ以上の医薬上許容される担体と共に、APCDD1活性を調節するのに有効な量のAPCCD1モジュレーターを患者に投与することを含む方法。
【請求項3】
APCDD1を発現する癌細胞の成長を阻害する方法であって、対照と比べて少なくとも20%の率で細胞の成長を阻害するのに有効なAPCCD1モジュレーターおよび1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を含むある一定量の組成物と癌細胞を接触させることを含む方法。
【請求項4】
阻害を必要とする患者における癌細胞表現型の阻害方法であって、APCDD1モジュレーターおよび1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を含む組成物の治療有効量を患者に投与することを含む方法。
【請求項5】
APCDD1を発現する細胞における1つまたはそれ以上の活性の調節方法であって、1つまたはそれ以上の活性を調節するのに有効なAPCDD1モジュレーター、および1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を含むある一定量の組成物と細胞を接触させることを含む方法。
【請求項6】
APCCD1モジュレーターが、
(a)APCCD1の細胞外ドメイン(ECD)におけるエピトープと結合する抗体、
(b)配列番号1、5〜21、24および25に示された配列またはその相補配列の少なくとも19の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチドの第1鎖、および第1鎖と実質的に相補的な配列を含むヌクレオチドの第2鎖から成る単離2本鎖RNA(dsRNA)であって、長さが2534ヌクレオチド未満であるdsRNA分子、
(c)配列番号1、5〜21、24および25から成る群から選択される配列またはその相補配列の少なくとも10連続ヌクレオチドを含む単離核酸分子、
(d)小分子、
(e)模擬物質、
(f)可溶性受容体、および
(g)デコイ
から成る群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
APCCD1モジュレーターが対照と比べて少なくとも20%の率でAPCDD1活性を阻害する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
癌細胞表現型が、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、サイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1と他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用、および新脈管形成のうちの1つまたはそれ以上である、請求項4記載の方法。
【請求項9】
APCDD1活性が、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、サイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1と他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用、および新脈管形成から成る群から選択される、請求項7記載の方法。
【請求項10】
APCDD1モジュレーターが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、1本鎖抗体、またはFabフラグメントである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
抗体またはFabフラグメントが、配列番号3を含む配列またはそのフラグメントにおける1つまたはそれ以上のエピトープと特異的に結合する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
抗体またはFabフラグメントが、配列番号22または配列番号23を含むエピトープと特異的に結合する、請求項10記載の方法。
【請求項13】
抗体が標識されている、請求項10記載の方法。
【請求項14】
標識が、酵素、放射性同位元素、毒素または発蛍光団である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
癌が、結腸癌、乳癌または前立腺癌である、請求項1、3または4のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
さらに患者を化学療法、放射線療法、ホルモン機能抑制、手術または免疫療法の1つまたはそれ以上で処置することを含む、請求項1、2または4のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
癌の症状が、慢性咳、呼吸困難、体重減少、過度の疲労感、疼痛、血を伴う咳、血尿、食欲不振、重度発汗、発熱、高血圧、貧血、下痢、便秘、血便、黄疸、眩暈、虚弱、悪寒、筋痙攣、深静脈血栓、腹部膨満感、鼓腫、月経不順、結腸転移、肺転移、膀胱転移、腎臓転移、胸部転移、子宮転移、卵巣転移および膵臓転移から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
患者が、結腸、前立腺または乳癌に罹患しているかまたは罹患し易い状態である、請求項1、2または4のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
患者における癌性細胞の検出方法であって、造影剤に結合させたAPCCD1モジュレーターおよび1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を含む組成物を患者に投与し、患者における造影剤の局在性を検出することを含む方法。
【請求項20】
APCDD1療法に感受性を示す患者の同定方法であって、
(a)上記患者からの試料におけるAPCDD1発現の証拠の存在または欠如を検出するが、ただし、上記試料におけるAPCDD1発現の証拠の存在は、APCDD1療法についての候補である患者を示すものであり、上記試料におけるAPCDD1発現の証拠の欠如は、APCDD1療法についての候補ではない患者を示すものとし、
(b)患者がAPCDD1療法についての候補である場合、治療有効量のAPCCD1モジュレーターおよび1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を患者に投与し、
(c)患者がAPCDD1療法についての候補ではない場合、伝統的癌治療薬を患者に投与する
ことを含む方法。
【請求項21】
APCCD1モジュレーターが、
(a)APCCD1の細胞外ドメイン(ECD)におけるエピトープと結合する抗体、
(b)配列番号1、5〜21、24および25に示された配列またはその相補配列の少なくとも19の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチドの第1鎖、および第1鎖と実質的に相補的な配列を含むヌクレオチドの第2鎖から成る単離2本鎖RNA(dsRNA)であって、長さが2534ヌクレオチド未満であるdsRNA分子、
(c)配列番号1、5〜21、24および25から成る群から選択される配列またはその相補配列の少なくとも10連続ヌクレオチドを含む単離核酸分子、
(d)小分子、
(e)模擬物質、
(f)可溶性受容体、および
(g)デコイ
から成る群から選択される、請求項19または請求項20記載の方法。
【請求項22】
組成物が造影剤とコンジュゲートされたAPCDD1抗体を含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
造影剤が、18F、43K、52Fe、57Co、67Cu、67Ga、77Br、87MSr、86Y、90Y、99MTc、111In、123I、125I、127Cs、129Cs、131I、132I、197Hg、203Pbまたは206Biである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
患者が、結腸、前立腺または乳癌のうちの1つまたはそれ以上に罹患しているかまたは罹患し易い状態である、請求項19または請求項20記載の方法。
【請求項25】
細胞においてAPCDD1抗体を発現させる方法であって、上記APCDD1抗体は、配列番号22および23から成る群から選択される配列またはそのフラグメントを含むエピトープと特異的に結合するものであり、上記細胞においてAPCDD1抗体をコード化する核酸を発現させることを含む方法。
【請求項26】
癌阻害剤の同定方法であって、上記癌は対照との比較においてAPCDD1の過剰発現を特徴とするものであり、APCDD1を発現する細胞を候補化合物と接触させ、APCDD1活性が調節されているか否かを測定することを含む方法であり、APCDD1活性の調節が癌阻害剤であることの指標となる方法。
【請求項27】
癌阻害剤の同定方法であって、上記癌は対照との比較においてAPCDD1の過剰発現を特徴とするものであり、APCDD1を発現する細胞を候補化合物およびAPCDD1リガンドと接触させ、APCDD1の下流マーカーの活性が調節されているか否かを測定することを含む方法であり、下流マーカーの調節が癌阻害剤であることの指標となる方法。
【請求項28】
候補化合物が、非癌細胞ではなく、癌細胞においてAPCDD1活性を調節する、請求項26または請求項27記載の方法。
【請求項29】
下流マーカーがサイクリンD1である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
候補化合物が対照と比べて少なくとも20%の率でアポトーシスを増加させる、請求項26または請求項27記載の方法。
【請求項31】
APCCD1モジュレーターが、
(a)APCCD1の細胞外ドメイン(ECD)におけるエピトープと結合する抗体、
(b)配列番号1、5〜21、24および25に示された配列またはその相補配列の少なくとも19の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチドの第1鎖、および第1鎖と実質的に相補的な配列を含むヌクレオチドの第2鎖から成る単離2本鎖RNA(dsRNA)であって、長さが2534ヌクレオチド未満であるdsRNA分子、
(c)配列番号1、5〜21、24および25から成る群から選択される配列またはその相補配列の少なくとも10連続ヌクレオチドを含む単離核酸分子、
(d)小分子、
(e)模擬物質、
(f)可溶性受容体、および
(g)デコイ
から成る群から選択される、APCCD1モジュレーターおよび1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を含む組成物。
【請求項32】
組成物が、細胞増殖、細胞成長、足場非依存的成長、腫瘍原性、細胞周期調節、癌細胞運動性、細胞接着、腫瘍形成、転移、癌細胞残存、サイクリン産生、癌細胞残存、細胞シグナリング活性、腫瘍原性、転移、APCDD1と他の細胞膜タンパク質間の相互作用を含む細胞対細胞相互作用、および新脈管形成から成る群から選択される少なくとも1つのAPCCD1活性を阻害する、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
APCCD1モジュレーターがサイクリンD1発現を阻害する、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
APCCD1モジュレーターが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、1本鎖抗体、またはFabフラグメントである、請求項31記載の組成物。
【請求項35】
抗体またはFabフラグメントが、配列番号3を含む配列またはそのフラグメントにおける1つまたはそれ以上のエピトープと特異的に結合する、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
抗体またはFabフラグメントが、配列番号22または配列番号23を含むエピトープと特異的に結合する、請求項34記載の組成物。
【請求項37】
APCCD1の細胞外ドメインにおけるエピトープと特異的に結合する精製抗体。
【請求項38】
配列番号3を含む配列における1つまたはそれ以上のエピトープと特異的に結合する精製抗体。
【請求項39】
抗体が、配列番号22および23から成る群から選択される1つまたはそれ以上のエピトープと特異的に結合する、請求項37または請求項38記載の精製抗体。
【請求項40】
抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、1本鎖抗体、またはFabフラグメントである、請求項37または請求項38記載の精製抗体。
【請求項41】
抗体がADCCおよび/またはCDC活性を有する、請求項37または請求項38記載の精製抗体。
【請求項42】
請求項37または請求項38記載の精製抗体を産生する単離宿主細胞。
【請求項43】
昆虫、哺乳類または酵母細胞である、請求項42記載の単離宿主細胞。
【請求項44】
請求項37または請求項38記載の精製抗体を産生するハイブリドーマ。
【請求項45】
請求項37または請求項38記載の精製抗体を産生するヒト以外のトランスジェニック動物。
【請求項46】
動物が、マウス、ラットまたはブタである、請求項45記載のヒト以外のトランスジェニック動物。
【請求項47】
配列番号22および23から成る群から選択される1つまたはそれ以上のエピトープを含むフラグメントである、配列番号2のポリペプチドの単離エピトープ担持フラグメント。
【請求項48】
配列番号2の約6〜約20連続アミノ酸を含む、請求項47記載のエピトープ担持フラグメント。
【請求項49】
請求項47記載の単離エピトープ担持フラグメントをコード化するポリヌクレオチド。
【請求項50】
請求項47記載のエピトープ担持フラグメントで対象を免疫化することにより得られる精製APCDD1抗体。
【請求項51】
APCCD1モジュレーターが対照と比べて少なくとも20%の率でAPCDD1発現を阻害する、請求項31記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−521180(P2010−521180A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553809(P2009−553809)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/057026
【国際公開番号】WO2008/112988
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】