発光ダイオードおよびその製造方法
【課題】左右対称な配光分布を得ることができる発光ダイオードおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面を有する第1の基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層12を成長させ、第1の基板の半導体層12側を第2の基板14に貼り合わせ、第1の基板を除去して半導体層12を露出させ、露出した半導体層12上に、長辺が[110]方向または[−1−10]方向に延び、短辺が[−110]方向または[1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスク15を形成し、エッチング用マスク15を用いて半導体層12をウエットエッチングによりパターニングする。
【解決手段】閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面を有する第1の基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層12を成長させ、第1の基板の半導体層12側を第2の基板14に貼り合わせ、第1の基板を除去して半導体層12を露出させ、露出した半導体層12上に、長辺が[110]方向または[−1−10]方向に延び、短辺が[−110]方向または[1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスク15を形成し、エッチング用マスク15を用いて半導体層12をウエットエッチングによりパターニングする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光ダイオードおよびその製造方法に関し、特に、微小な発光ダイオードに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、サイズが数十μm程度の微小な発光ダイオードが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。このような発光ダイオードとして、AlGaInP系半導体などの閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体を用いた発光ダイオードがある。
この発光ダイオードの従来の製造方法の一例を図14A〜Cに示す。この製造方法によれば、図14Aに示すように、まず、主面が(001)面のGaAs基板101上に発光ダイオード構造を形成する半導体層102を成長させる。この半導体層102は閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなる。この半導体層102には、活性層102aのほか、n型クラッド層、p型クラッド層などが含まれる。次に、図14Bに示すように、半導体層102上に長方形の平面形状を有するレジストパターン103を形成する。このレジストパターン103の平面形状を図15に示す。図15に示すように、このレジストパターン103は、長辺が半導体層102の[−110]方向または[1−10]方向に延び、短辺は[110]方向または[−1−10]方向に延びている。次に、このレジストパターン103を用いて半導体層102をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。閃亜鉛鉱型結晶構造を有するこの半導体層102のウエットエッチングにおいては、面方位によってエッチング速度が相違する結果、面方位に即した形状にエッチングされる。具体的には、{111}面のエッチング速度は、{110}面のエッチング速度の約1/100程度である。従って、[−110]方向あるいは[1−10]方向に延びているレジストパターン103の長辺側の半導体層102は、{111}面のエッチング速度に基づきエッチング状態が規定されて断面形状が順メサ形状となり、レジストパターン103の長辺の部分の半導体層102は{111}面(より具体的には、(111)面および(−1−11)面)が生じるようにエッチングされていく。そして、図14Cに示すように、エッチング完了時には、半導体層102の[−110]方向あるいは[1−10]方向に延びる両側面が順メサ面からなる斜面により形成される。このウエットエッチングにより素子分離が行われる。次に、レジストパターン103を除去し、半導体層102の上面にp側電極およびn側電極のうちの一方の電極を形成する。次に、GaAs基板101を除去した後、露出した半導体層102の下面にp側電極およびn側電極のうちの他方の電極を形成する。以上のようにして、図16に示すように、目的とする発光ダイオードが製造される。
【0003】
図16に示すように、半導体層102の断面形状は左右対称であり、両側面102bが半導体層102の主面となす角度はいずれも約54.7°である。この場合、活性層102aから発生する光は、半導体層102の両側面102bで効率的に反射されて半導体層102の下面(光取り出し面)に向かうため、光の取り出し効率の向上を図ることができる。図17にこの発光ダイオードの光放射分布の測定結果を示す。図17より、この場合には光放射分布が左右対称になっていることが分かる。
【0004】
一方、発光ダイオード構造を形成する半導体層を、主面が(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜したGaAs基板上に成長させる方法が知られている。この方法は、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する三元または四元の化合物半導体からなる半導体層102の成長に一般的に用いられている。この方法によれば、まず、図18Aに示すように、(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面を有するGaAs基板201上に発光ダイオード構造を形成する半導体層202を成長させる。半導体層202には、活性層202aのほか、n型クラッド層、p型クラッド層などが含まれる。次に、図18Bに示すように、半導体層202上に長方形の平面形状を有するレジストパターン203を形成する。このレジストパターン203の平面形状は図15に示すものと同一である。次に、図18Cに示すように、このレジストパターン203を用いて半導体層202をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。この後、レジストパターン203を除去し、半導体層102の上面にp側電極およびn側電極のうちの一方の電極を形成する。次に、GaAs基板201を除去した後、露出した半導体層202の下面にp側電極およびn側電極のうちの他方の電極を形成する。以上のようにして、図19に示すように、目的とする発光ダイオードが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/07231号パンフレット
【特許文献2】特開2005−150673号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T.Kobayashi,H.Kojima,R.S.Doel,N.Buchan,W.Heuberger,A.Jakubowicz,and P.Roentgen,Journal of Physics and Chemistry of Solids,Volume 56,Issues 3-4,March-April 1995,Pages 311-317
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の図18A〜Cに示す製造方法では、GaAs基板201の主面のオフ方向は、順メサ面となる(111)面および(−1−11)面と交差するように設定されている。このため、このウエットエッチングを行った半導体層202の断面形状は常に、GaAs基板201の主面のオフ角度を反映して左右非対称になる。例えば、(001)面から[110]方向に15°傾斜したGaAs基板201を用いた場合、図19に示すように、ウエットエッチングを行った半導体層202の一方の側面202bの半導体層202の主面となす角度は40°、他方の側面202bの半導体層202となす角度は28°となる。
【0008】
図20にこの発光ダイオードの光放射分布の測定結果を示す。図20より、この場合には光放射分布が左右非対称になっていることが分かる。これは、活性層202aから発生し、低角(28°)側の側面202bに向かう光が半導体層202の光取り出し面と反対側の面に抜けるため、前面への放射が弱いためである。
【0009】
上述のように、図19に示す従来の発光ダイオードでは、活性層202aからの光は半導体層202の左右非対称な両側面202bで反射されるため、発光ダイオード内部より取り出される光は常に両側面202bの傾斜角度の影響を受けることになる。このため、この発光ダイオードでは左右非対称な配光分布となり、視野角によって光強度が大きく違って見える問題があった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、左右対称な配光分布を得ることができる発光ダイオードおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は、
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面を有する第1の基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層を成長させる工程と、
上記第1の基板の上記半導体層側を第2の基板に貼り合わせる工程と、
上記第1の基板を除去して上記半導体層を露出させる工程と、
上記露出させた上記半導体層上に、長辺が[110]方向または[−1−10]方向に延び、短辺が[−110]方向または[1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスクを形成する工程と、
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングする工程とを有する発光ダイオードの製造方法である。
【0011】
典型的には、上記のエッチング用マスクを用いて半導体層をウエットエッチングによりパターニングした後の半導体層の、エッチング用マスクの短辺に平行な方向の断面形状が逆台形(逆メサ形状)となる。そして、この半導体層のエッチング用マスクの長辺に平行な両側面が(1−11)面および(−111)面からなる。第1の基板の主面の(001)面に対する傾斜角度(オフ角度)αは例えば0<α≦20°である。典型的には、第1の基板を構成する化合物半導体および半導体層を構成する化合物半導体は、III−V族化合物半導体またはII−VI族化合物半導体である。
【0012】
III−V族化合物半導体またはII−VI族化合物半導体を用いた発光ダイオードの具体例を発光波長帯とともに挙げると下記のとおりである。
1.III−V族化合物半導体
ヘテロ接合 発光波長
・GaInP/AlGaInP 赤色
・GaInP/AlGaP 赤色
・AlGaAs/InGaAs 赤色
・AlGaAs/AlGaP 赤色
・GaInAsP/GaP 赤外
・GaInNP/AlGaP 赤外
・GaAs/AlGaAs 赤外
【0013】
2.II−VI族化合物半導体
・ZnO/ZnMgO 青色
・ZnTe/ZnMgTe 緑色
・ZnCdSe/BeZnTe 黄緑色
・MgSe/BeZnTe 黄緑色
・MgSe/ZnCdSe 黄緑色
【0014】
III−V族化合物半導体の具体例を挙げると、下記のとおりである。
GaP、GaAs、GaSb、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb
【0015】
II−V族化合物半導体の具体例を挙げると、下記のとおりである。
CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe
【0016】
ウエットエッチングに用いるエッチャント(エッチング液)は、半導体層を構成する半導体に応じて適宜選ばれる。特に、半導体層を構成する化合物半導体がリン系化合物半導体である場合、半導体層をウエットエッチングする際のエッチャントとしては好適には5℃より低温に冷却した塩酸を用いる。
【0017】
また、この発明は、
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層の一方向の断面形状が台形であり、上記半導体層の上底側の主面が(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面からなり、上記半導体層の両側面が(1−11)面および(−111)面からなる発光ダイオードである。
この発光ダイオードにおいては、上記の発光ダイオードの製造方法に関連して説明したことが成立する。
【0018】
また、この発明は、
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[−110]方向に傾斜した主面を有する基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層を成長させる工程と、
上記半導体層上に、長辺が[−110]方向または[1−10]方向に延び、短辺が[110]方向または[−1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスクを形成する工程と、
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングする工程とを有する発光ダイオードの製造方法である。
この発光ダイオードの製造方法においては、上記の発光ダイオードの製造方法に関連して説明したことが成立する。
【0019】
また、この発明は、
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層の一方向の断面形状が台形であり、上記半導体層の上底側の主面が(001)面に対して[−110]方向に傾斜した主面からなり、上記半導体層の両側面が(111)面および(−1−11)面からなる発光ダイオードである。
この発光ダイオードにおいては、上記の発光ダイオードの製造方法に関連して説明したことが成立する。
以上の各発明において、発光ダイオードのサイズは特に限定されないが、一般的には最大寸法が50μm以下で、典型的には10μm以上である。
【0020】
上述のように構成されたこの発明によれば、基板の主面の(001)面に対する傾斜方向が、ウエットエッチングにより半導体層に形成される両側面と交差しない。このため、ウエットエッチングにより得られる半導体層の断面形状は左右対称となり、両側面の半導体層の主面となす角度は互いに等しくなる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、半導体層の断面形状が左右対称となり、両側面の半導体層の主面となす角度が互いに等しくなるので、半導体層の内部から取り出される光は半導体層の両側面の傾斜角度の影響を受けない。このため、この発光ダイオードでは左右対称な配光分布を得ることができる。これによって、視野角による発光ダイオードからの光強度の変化を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法においてエッチング用マスクとして用いられるレジストパターンを示す平面図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードを示す断面図である。
【図5】(100)ジャスト基板を用いた従来の発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードの半導体層のエッチング形状を示す略線図ならびに光学顕微鏡写真およびフォトルミネッセンス像を示す図面代用写真である。
【図6】(100)15°オフ基板を用いた従来の発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードの半導体層のエッチング形状を示す略線図ならびに光学顕微鏡写真およびフォトルミネッセンス像を示す図面代用写真である。
【図7】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法において(100)ジャスト基板を用いた場合に製造された発光ダイオードの半導体層のエッチング形状を示す略線図ならびに光学顕微鏡写真およびフォトルミネッセンス像を示す図面代用写真である。
【図8】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードの半導体層のエッチング形状を示す略線図ならびに光学顕微鏡写真およびフォトルミネッセンス像を示す図面代用写真である。
【図9】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法において半導体層をウエットエッチングによりエッチングする際のエッチング形状を説明するための略線図である。
【図10】従来の発光ダイオードの製造方法において半導体層をウエットエッチングによりエッチングする際のエッチング形状を説明するための略線図である。
【図11】この発明の第2の実施の形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第2の実施の形態による発光ダイオードの製造方法においてエッチング用マスクとして用いられるレジストパターンを示す平面図である。
【図13】この発明の第2の実施の形態による発光ダイオードを示す断面図である。
【図14】従来の発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図15】図14に示す従来の発光ダイオードの製造方法においてエッチング用マスクとして用いられるレジストパターンを示す平面図である。
【図16】図14に示す従来の発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードを示す断面図である。
【図17】図16に示す従来の発光ダイオードの光放射分布を示す略線図である。
【図18】他の従来の発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図19】図18に示す従来の発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードを示す断面図である。
【図20】図19に示す従来の発光ダイオードの光放射分布を示す略線図である。
【図21】オフ基板によるエネルギーバンドの変化を示す略線図である。
【図22】オフ基板によるエネルギーバンドの変化を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(発光ダイオードの製造方法および発光ダイオード)
2.第2の実施の形態(発光ダイオードの製造方法および発光ダイオード)
【0024】
〈1.第1の実施の形態〉
[発光ダイオードの製造方法および発光ダイオード]
第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法について説明する。
図1Aに示すように、まず、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面を有する基板(以下「A−オフ基板」という。)11上に閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなる半導体層12を成長させる。A−オフ基板11の主面の(001)面に対する傾斜角度αは必要に応じて選ばれるが、例えば0°<α≦20°である。半導体層12を構成する化合物半導体は、例えば、III−V族化合物半導体としてはAlGaInP系半導体、GaAs系半導体など、II−VI族化合物半導体としてはZnSe系半導体などである。半導体層12は、活性層12aのほか、n型クラッド層、p型クラッド層などを含む。
【0025】
次に、図1Bに示すように、A−オフ基板11の半導体層12側を接着剤13により支持基板14に貼り合わせる。支持基板14としては各種のものを用いることができるが、例えばサファイア基板やシリコン基板などである。
次に、図1Cに示すように、A−オフ基板11を裏面側から研磨やケミカルエッチングなどを行うことにより除去し、半導体層12を露出させる。
【0026】
次に、図2Aに示すように、こうして露出した半導体層12上に長方形の平面形状を有するレジストパターン15をリソグラフィーにより形成する。図3に示すように、このレジストパターン15は、長辺が半導体層12の[110]方向または[−1−10]方向に延び、短辺が[−110]方向または[1−10]方向に延びるように形成する。このレジストパターン15の短辺の長さは、エッチング完了後の半導体層12の頂面の上記の短辺の方向の長さとほぼ等しく、長辺の長さは、エッチング完了後の半導体層12の頂面の上記の長辺の方向の長さよりも長くする。
【0027】
次に、このレジストパターン15をエッチング用マスクとして半導体層12をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。これによって、図2Bに示すように、素子分離が行われる。このウエットエッチングにより、半導体層12は逆メサエッチングされ、半導体層12のレジストパターン15の短辺に平行な断面形状は逆台形状となり、半導体層12の両側面は(1−11)面および(−111)面からなる斜面となる。詳細は後述するが、この場合、この半導体層12の断面形状は左右対称であり、この半導体層12の両側面が半導体層12の主面となす角度も互いに等しくなる。
【0028】
次に、レジストパターン15を除去した後、半導体層12上にp側電極およびn側電極のうちの一方の電極(図示せず)を形成する。
次に、支持基板14の半導体層12側を別の支持基板(図示せず)に接着剤により貼り合わせた後、接着剤13および支持基板14を除去する。
次に、別の支持基板上の半導体層12上にp側電極およびn側電極のうちの他方の電極(図示せず)を形成する。
この後、支持基板および接着剤を除去する。
以上により、図4に示すように、左右対称な断面形状を有し、両側面12bが半導体層12の主面となす角度が互いに等しい発光ダイオードが完成する。この発光ダイオードの半導体層12の上底側の主面は(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面からなり、半導体層12の両側面12bは(1−11)面および(−111)面からなる。この発光ダイオードは、用途に応じて、単体素子として用いてもよいし、他の基板と貼り合わせたり、転写したり、配線接続を行ったりすることができる。
ここで、レジストパターン15をエッチング用マスクとした半導体層12のウエットエッチングにより、半導体層12の断面形状が左右対称となり、この半導体層12の両側面12bが半導体層12の主面となす角度が互いに等しくなる理由について説明する。
【0029】
まず、図14A〜Cに示す従来の発光ダイオードの製造方法では、主面が(001)面からなるGaAs基板101(ジャスト(0°)基板)上に半導体層102を成長させるため、レジストパターン103をエッチング用マスクとしたウエットエッチングにより順メサエッチングが行われ、左右対称な断面形状が得られ、両側面102bが半導体層102の主面となす角度も互いに等しくなる(図5A参照)。エッチング後の半導体層102の外形の一例を図5Bに示す。図5Cはこの半導体層102のフォトルミネッセンス像を示す。図5Cより、左右対称な配光分布が得られていることが分かる。
【0030】
次に、図18A〜Cに示す従来の発光ダイオードの製造方法では、主面が(001)面に対して[110]方向に例えば15°傾斜しているGaAs基板201(15°A−オフ基板)上に半導体層202を成長させるため、レジストパターン203をエッチング用マスクとしたウエットエッチングにより順メサエッチングを行った場合、レジストパターン203の短辺に平行な方向がGaAs基板201の主面の[110]方向への傾斜方向と一致する。このため、レジストパターン203の短辺に平行な方向の半導体層202の断面形状にGaAs基板201の主面のオフ角度が反映される結果、断面形状は左右非対称となり、両側面202bが半導体層202の主面となす角度も互いに異なる(図6A参照)。エッチング後の半導体層202の外形の一例を図6Bに示す。図6Cはこの半導体層202のフォトルミネッセンス像を示す。図6Cより、配光分布は左右非対称になっていることが分かる。
【0031】
次に、主面が(001)面からなるGaAs基板(ジャスト(0°)基板)上に成長させた半導体層12の裏面側から、レジストパターン14をエッチング用マスクとしたウエットエッチングにより逆メサエッチングを行った場合には、左右対称な断面形状が得られ、両側面が半導体層12の主面となす角度も互いに等しくなる(図7A参照)。エッチング後の半導体層12の外形の一例を図7Bに示す。図7Cはこの半導体層12のフォトルミネッセンス像を示す。図7Cより、左右対称な配光分布が得られていることが分かる。
【0032】
次に、この第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法のように、主面が(001)面に対して[110]方向に例えば15°傾斜している基板11(15°A−オフ基板)上に成長させた半導体層12の裏面側から、レジストパターン14をエッチング用マスクとしたウエットエッチングにより逆メサエッチングを行う場合を考える。このように半導体層12の裏面側からウエットエッチングにより逆メサエッチングを行うため、A−オフ基板11の主面の[110]方向への傾斜方向は、図6Aに示す場合に対して90°回転し、逆メサエッチングにより得られる半導体層12の両側面12bと平行になる。すなわち、この場合、レジストパターン15の短辺に平行な方向の半導体層12の断面形状にA−オフ基板11の主面のオフ角度が反映されないため、断面形状は左右対称となり、両側面12bが半導体層12の主面となす角度も互いに等しくなる(図8A参照)。エッチング後の半導体層12の外形の一例を図8Bに示す。図8Cはこの半導体層12のフォトルミネッセンス像を示す。図8Cより、配光分布は左右非対称になっていることが分かる。以上のことは、基板11の主面の(001)面に対する[110]方向の傾斜角度が15°と異なる場合も同様に成立する。
【0033】
次に、半導体層12をウエットエッチングにより逆メサエッチングした場合の形状および表面に現れる結晶面の方位を、A−オフ基板12の主面が(001)面に対して[110]方向に15°傾斜している場合を例にとって図9A〜Cに示す。図9Aに示すレジストパターン15をエッチング用マスクとして用いて半導体層12をウエットエッチングによりエッチングすると、エッチング初期には図9Bに示すようにエッチングされる。具体的には、レジストパターン15の長辺に沿って(1−11)面および(−111)面が現れ、レジストパターン15の短辺に沿って(110)面および(−110)面が現れる。また、レジストパターン15の四隅に対応する部分の半導体層12には、(011)面+(122)面、(−101)面+(−212)面、(0−11)面+(−1−22)面、(101)面+(212)面が現れる。さらにエッチングを進めると、レジストパターン15の四隅に対応する部分の半導体層12のサイドエッチングが進行し、半導体層12は図9Cに示すような形状となる。
【0034】
比較のために、図18A〜Cに示す従来の発光ダイオードの製造方法のように、主面が(001)面に対して[110]方向に例えば15°傾斜しているGaAs基板201上に成長させた半導体層202をウエットエッチングにより順メサエッチングした場合の形状および表面に現れる結晶面の方位を図10A〜Cに示す。
【0035】
〈実施例〉
AlGaInP系発光ダイオードの製造方法について説明する。
A−オフ基板11として、(001)面に対して[110]方向に15°傾斜した主面を有するGaAs基板を用いる。このGaAs基板上に、有機金属化学気相成長(MOCVD)法により、例えば800℃程度の温度でAlGaInP系半導体からなる半導体層12を成長させる。半導体層12は、具体的には、下から順に、n型GaAs層、n型AlGaInPクラッド層、多重量子井戸(MQW)構造を有する活性層、p型AlGaInPクラッド層およびp型GaAs層からなる。活性層は、具体的には、Ga0.5 In0.5 P井戸層と(Al0.5 Ga0.5 )0.5 In0.5 P障壁層とからなるMQW構造を有する。
【0036】
上記のAlGaInP系半導体の成長原料は下記のとおりである。すなわち、Gaの原料としては、例えば、トリメチルガリウム((CH3 )3 Ga、TMG)を用いる。Alの原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム((CH3 )3 Al、TMA)を用いる。Inの原料としては、例えば、トリメチルインジウム((CH3 )3 In、TMI)を用いる。Pの原料としては、例えば、ホスフィン(PH3 )を用いる。ドーパントについては、n型ドーパントとしては例えばセレン化水素(H2 Se)を、p型ドーパントとしては例えばジメチル亜鉛((CH3 )2 Zn、DMZn)を用いる。
【0037】
次に、A−オフ基板11の半導体層12側を接着剤13により支持基板14に貼り合わせる。
次に、A−オフ基板11、すなわちGaAs基板を研磨やアンモニア系のエッチャントを用いたウエットエッチングなどにより除去し、半導体層12を露出させる。
次に、こうして露出した半導体層12上にレジストパターン15をリソグラフィーにより形成する。
【0038】
次に、レジストパターン15をエッチング用マスクとして用いて半導体層12をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。具体的には、n型GaAs層、n型AlGaInPクラッド層、活性層、p型AlGaInPクラッド層およびp型GaAs層をウエットエッチングにより順次エッチングする。この場合、n型GaAs層のエッチングはアンモニア系のエッチャントを用いて行う。n型GaAs層をエッチングした後、半導体層12を流水により洗浄し、乾燥させる。
【0039】
次に、例えば5℃より低温、好適には0℃以下、より好適には−5℃以下、さらに好適には例えば−10℃以下に冷却した塩酸を含むエッチャントを用いて、n型AlGaInPクラッド層、活性層およびp型AlGaInPクラッド層をエッチングする。エッチャントとしては、具体的には、例えば、塩酸を36%含む水溶液を−15℃に冷却したエッチャントを用いる。この塩酸を含むエッチャントはAlGaInP系半導体を無選択にエッチングする。好適には、このエッチングは2回に分けて行う。例えば、1回目のエッチング時間は150秒、2回目のエッチング時間は90秒とする。この場合、1回目の150秒間のエッチングではp型GaAs層まで[001]方向のエッチングが終了した状態となる。この時点ではまだ半導体層12の{111}面からなる両側面にエッチング残りが存在しているため傾斜角度は一定に定まっていない。このため、半導体層12の両側面12bを所望の傾斜角度にするために、追加で90秒間の2回目のエッチングを行う。また、1回目のエッチングの段階で[001]方向のエッチングが終了しているため、{010}面および{221}面の方向へのサイドエッチングが加速する(図9BおよびC参照)。
最後に、リン酸混合溶液(リン酸:過酸化水素:水=6:2:100)をエッチャントに用いてp型GaAs層をエッチングする。エッチング時間は90秒とする。
以上のようにして素子分離を行った後、レジストパターン15を除去する。
【0040】
次に、半導体層12の表面にリソグラフィーにより所定の平面形状を有するレジストパターン(図示せず)を形成し、さらに全面に例えばスパッタリング法により例えばPd膜、AuGe膜およびAu膜を順次形成した後、このレジストパターンをその上に形成されたPd膜、AuGe膜およびAu膜とともに除去する(リフトオフ)。これによって、n型GaAs層上にPd/AuGe/Au構造の長方形の平面形状を有するn側電極を形成する。次に、このn側電極以外の部分のn型GaAs層をエッチング除去する。
【0041】
n側電極が形成された半導体層12側を他の支持基板、例えばサファイア基板に貼り合わせた後、接着剤13および支持基板14を除去する。
次に、これにより露出した半導体層12側の表面にリソグラフィーにより所定の平面形状を有するレジストパターン(図示せず)を形成し、さらに基板全面に例えばスパッタリング法により例えばAu膜、Pt膜およびAu膜を順次形成した後、このレジストパターンをその上に形成されたAu膜、Pt膜およびAu膜とともに除去する(リフトオフ)。これによって、p型GaAs層上にAu/Pt/Au構造の長方形の平面形状を有するp側電極を形成する。次に、このp側電極以外の部分のp型GaAs層をエッチング除去する。
以上により、目的とする発光ダイオードが完成する。
【0042】
以上のように、この第1の実施の形態によれば、(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面を有するA−オフ基板11上に半導体層12を成長させ、このA−オフ基板11の半導体層12側を支持基板14に貼り合わせ、A−オフ基板11を裏面側から除去して半導体層12を露出させている。そして、こうして露出した半導体層12上にレジストパターン15を形成した後、このレジストパターン15をエッチング用マスクとして半導体層12をウエットエッチングにより逆メサエッチングしていることにより、半導体層12のレジストパターン15の短辺に平行な方向の断面形状にA−オフ基板11の傾斜角度が反映されない。このため、半導体層12の断面形状は左右対称となり、半導体層12の両側面12bの半導体層12の主面となす角度が互いに等しくなる。この結果、この発光ダイオードの動作時には、半導体層12の左右で、この半導体層12から取り出される光の分布が対称となる。すなわち、この発光ダイオードは配光分布が左右対称となる。この結果、視野角によるこの発光ダイオードの光強度の変化を小さく抑えることができる。
この発光ダイオードは、発光ダイオードディスプレイ、発光ダイオードバックライト、発光ダイオード照明装置などの各種の電子機器に用いて好適なものである。
【0043】
〈2.第2の実施の形態〉
[発光ダイオードの製造方法および発光ダイオード]
第2の実施の形態による発光ダイオードの製造方法について説明する。
第1の実施の形態においては、(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面を有するA−オフ基板11を用いたのに対し、第2の実施の形態においては、(001)面に対して[−110]方向に所定角度傾斜した主面を有する基板(以下「B−オフ基板」という。)21を用いる。このB−オフ基板21は、オフ角度が15°より小さいと、このB−オフ基板21上に成長させる半導体層のエネルギーバンド構造に大きく差が生じ、特性が著しく低下するために一般的には使用されていないが、オフ角度がエネルギーバンド構造が安定する15°以上の場合は使用されることがある(図21および図22参照。非特許文献1参照。)。
【0044】
すなわち、第2の実施の形態においては、図11Aに示すように、まず、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[−110]方向に所定角度傾斜した主面を有するB−オフ基板21上に閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなる半導体層22を成長させる。半導体層22は、活性層22aのほか、n型クラッド層、p型クラッド層などを含む。B−オフ基板21の主面の(001)面に対する傾斜角度βは15°以上の角度の範囲内で必要に応じて選ばれるが、例えば15°≦β≦50°である、
【0045】
次に、図11Bに示すように、半導体層22上に長方形の平面形状を有するレジストパターン23をリソグラフィーにより形成する。図12に示すように、このレジストパターン23は、長辺が半導体層22の[−110]方向または[1−10]方向に延び、短辺が[110]方向または[−1−10]方向に延びるように形成する。このレジストパターン23の短辺の長さは、エッチング完了後の半導体層22の頂面の長さとほぼ等しく、長辺の長さは、エッチング完了後の半導体層22の頂面の長さよりも長くする。
【0046】
次に、このレジストパターン23をエッチング用マスクとして半導体層22をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。これによって、図11Cに示すように、素子分離が行われる。このウエットエッチングにより、半導体層22は順メサエッチングされ、半導体層22のレジストパターン23の短辺に平行な断面形状は台形状となり、半導体層22の両側面は(111)面および(−1−11)面からなる斜面となる。この場合も、第1の実施の形態と同様に、レジストパターン23の短辺に平行な方向の半導体層22の断面形状にB−オフ基板21の主面のオフ角度が反映されないため、断面形状は左右対称となり、両側面が半導体層22の主面となす角度も互いに等しくなる。
【0047】
次に、レジストパターン23を除去した後、半導体層22上にp側電極およびn側電極のうちの一方の電極(図示せず)を形成する。
次に、B−オフ基板21の半導体層22側を接着剤により支持基板に貼り合わせる。
次に、B−オフ基板21を裏面側から研磨やケミカルエッチングなどを行うことにより除去し、半導体層22を露出させる。
次に、こうして露出した半導体層22上にp側電極およびn側電極のうちの他方の電極(図示せず)を形成する。
この後、支持基板および接着剤を除去する。
【0048】
以上により、図13に示すように、左右対称な断面形状を有し、両側面22bが半導体層22の主面となす角度が互いに等しい発光ダイオードが完成する。この発光ダイオードの半導体層22の上底側の主面は(001)面に対して[−110]方向に所定角度傾斜した主面からなり、半導体層22の両側面22bは(111)面および(−111)面からなる。この発光ダイオードは、用途に応じて、単体素子として用いてもよいし、他の基板と貼り合わせたり、転写したり、配線接続を行ったりすることができる。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態ど同様な利点を得ることができる。
【0049】
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
11…A−オフ基板、12…半導体層、12a…活性層、12b…側面、13…接着剤、14…支持基板、15…レジストパターン、21…B−オフ基板、22…半導体層、22a…活性層、22b…側面
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光ダイオードおよびその製造方法に関し、特に、微小な発光ダイオードに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、サイズが数十μm程度の微小な発光ダイオードが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。このような発光ダイオードとして、AlGaInP系半導体などの閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体を用いた発光ダイオードがある。
この発光ダイオードの従来の製造方法の一例を図14A〜Cに示す。この製造方法によれば、図14Aに示すように、まず、主面が(001)面のGaAs基板101上に発光ダイオード構造を形成する半導体層102を成長させる。この半導体層102は閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなる。この半導体層102には、活性層102aのほか、n型クラッド層、p型クラッド層などが含まれる。次に、図14Bに示すように、半導体層102上に長方形の平面形状を有するレジストパターン103を形成する。このレジストパターン103の平面形状を図15に示す。図15に示すように、このレジストパターン103は、長辺が半導体層102の[−110]方向または[1−10]方向に延び、短辺は[110]方向または[−1−10]方向に延びている。次に、このレジストパターン103を用いて半導体層102をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。閃亜鉛鉱型結晶構造を有するこの半導体層102のウエットエッチングにおいては、面方位によってエッチング速度が相違する結果、面方位に即した形状にエッチングされる。具体的には、{111}面のエッチング速度は、{110}面のエッチング速度の約1/100程度である。従って、[−110]方向あるいは[1−10]方向に延びているレジストパターン103の長辺側の半導体層102は、{111}面のエッチング速度に基づきエッチング状態が規定されて断面形状が順メサ形状となり、レジストパターン103の長辺の部分の半導体層102は{111}面(より具体的には、(111)面および(−1−11)面)が生じるようにエッチングされていく。そして、図14Cに示すように、エッチング完了時には、半導体層102の[−110]方向あるいは[1−10]方向に延びる両側面が順メサ面からなる斜面により形成される。このウエットエッチングにより素子分離が行われる。次に、レジストパターン103を除去し、半導体層102の上面にp側電極およびn側電極のうちの一方の電極を形成する。次に、GaAs基板101を除去した後、露出した半導体層102の下面にp側電極およびn側電極のうちの他方の電極を形成する。以上のようにして、図16に示すように、目的とする発光ダイオードが製造される。
【0003】
図16に示すように、半導体層102の断面形状は左右対称であり、両側面102bが半導体層102の主面となす角度はいずれも約54.7°である。この場合、活性層102aから発生する光は、半導体層102の両側面102bで効率的に反射されて半導体層102の下面(光取り出し面)に向かうため、光の取り出し効率の向上を図ることができる。図17にこの発光ダイオードの光放射分布の測定結果を示す。図17より、この場合には光放射分布が左右対称になっていることが分かる。
【0004】
一方、発光ダイオード構造を形成する半導体層を、主面が(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜したGaAs基板上に成長させる方法が知られている。この方法は、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する三元または四元の化合物半導体からなる半導体層102の成長に一般的に用いられている。この方法によれば、まず、図18Aに示すように、(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面を有するGaAs基板201上に発光ダイオード構造を形成する半導体層202を成長させる。半導体層202には、活性層202aのほか、n型クラッド層、p型クラッド層などが含まれる。次に、図18Bに示すように、半導体層202上に長方形の平面形状を有するレジストパターン203を形成する。このレジストパターン203の平面形状は図15に示すものと同一である。次に、図18Cに示すように、このレジストパターン203を用いて半導体層202をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。この後、レジストパターン203を除去し、半導体層102の上面にp側電極およびn側電極のうちの一方の電極を形成する。次に、GaAs基板201を除去した後、露出した半導体層202の下面にp側電極およびn側電極のうちの他方の電極を形成する。以上のようにして、図19に示すように、目的とする発光ダイオードが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/07231号パンフレット
【特許文献2】特開2005−150673号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T.Kobayashi,H.Kojima,R.S.Doel,N.Buchan,W.Heuberger,A.Jakubowicz,and P.Roentgen,Journal of Physics and Chemistry of Solids,Volume 56,Issues 3-4,March-April 1995,Pages 311-317
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の図18A〜Cに示す製造方法では、GaAs基板201の主面のオフ方向は、順メサ面となる(111)面および(−1−11)面と交差するように設定されている。このため、このウエットエッチングを行った半導体層202の断面形状は常に、GaAs基板201の主面のオフ角度を反映して左右非対称になる。例えば、(001)面から[110]方向に15°傾斜したGaAs基板201を用いた場合、図19に示すように、ウエットエッチングを行った半導体層202の一方の側面202bの半導体層202の主面となす角度は40°、他方の側面202bの半導体層202となす角度は28°となる。
【0008】
図20にこの発光ダイオードの光放射分布の測定結果を示す。図20より、この場合には光放射分布が左右非対称になっていることが分かる。これは、活性層202aから発生し、低角(28°)側の側面202bに向かう光が半導体層202の光取り出し面と反対側の面に抜けるため、前面への放射が弱いためである。
【0009】
上述のように、図19に示す従来の発光ダイオードでは、活性層202aからの光は半導体層202の左右非対称な両側面202bで反射されるため、発光ダイオード内部より取り出される光は常に両側面202bの傾斜角度の影響を受けることになる。このため、この発光ダイオードでは左右非対称な配光分布となり、視野角によって光強度が大きく違って見える問題があった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、左右対称な配光分布を得ることができる発光ダイオードおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は、
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面を有する第1の基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層を成長させる工程と、
上記第1の基板の上記半導体層側を第2の基板に貼り合わせる工程と、
上記第1の基板を除去して上記半導体層を露出させる工程と、
上記露出させた上記半導体層上に、長辺が[110]方向または[−1−10]方向に延び、短辺が[−110]方向または[1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスクを形成する工程と、
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングする工程とを有する発光ダイオードの製造方法である。
【0011】
典型的には、上記のエッチング用マスクを用いて半導体層をウエットエッチングによりパターニングした後の半導体層の、エッチング用マスクの短辺に平行な方向の断面形状が逆台形(逆メサ形状)となる。そして、この半導体層のエッチング用マスクの長辺に平行な両側面が(1−11)面および(−111)面からなる。第1の基板の主面の(001)面に対する傾斜角度(オフ角度)αは例えば0<α≦20°である。典型的には、第1の基板を構成する化合物半導体および半導体層を構成する化合物半導体は、III−V族化合物半導体またはII−VI族化合物半導体である。
【0012】
III−V族化合物半導体またはII−VI族化合物半導体を用いた発光ダイオードの具体例を発光波長帯とともに挙げると下記のとおりである。
1.III−V族化合物半導体
ヘテロ接合 発光波長
・GaInP/AlGaInP 赤色
・GaInP/AlGaP 赤色
・AlGaAs/InGaAs 赤色
・AlGaAs/AlGaP 赤色
・GaInAsP/GaP 赤外
・GaInNP/AlGaP 赤外
・GaAs/AlGaAs 赤外
【0013】
2.II−VI族化合物半導体
・ZnO/ZnMgO 青色
・ZnTe/ZnMgTe 緑色
・ZnCdSe/BeZnTe 黄緑色
・MgSe/BeZnTe 黄緑色
・MgSe/ZnCdSe 黄緑色
【0014】
III−V族化合物半導体の具体例を挙げると、下記のとおりである。
GaP、GaAs、GaSb、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb
【0015】
II−V族化合物半導体の具体例を挙げると、下記のとおりである。
CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe
【0016】
ウエットエッチングに用いるエッチャント(エッチング液)は、半導体層を構成する半導体に応じて適宜選ばれる。特に、半導体層を構成する化合物半導体がリン系化合物半導体である場合、半導体層をウエットエッチングする際のエッチャントとしては好適には5℃より低温に冷却した塩酸を用いる。
【0017】
また、この発明は、
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層の一方向の断面形状が台形であり、上記半導体層の上底側の主面が(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面からなり、上記半導体層の両側面が(1−11)面および(−111)面からなる発光ダイオードである。
この発光ダイオードにおいては、上記の発光ダイオードの製造方法に関連して説明したことが成立する。
【0018】
また、この発明は、
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[−110]方向に傾斜した主面を有する基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層を成長させる工程と、
上記半導体層上に、長辺が[−110]方向または[1−10]方向に延び、短辺が[110]方向または[−1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスクを形成する工程と、
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングする工程とを有する発光ダイオードの製造方法である。
この発光ダイオードの製造方法においては、上記の発光ダイオードの製造方法に関連して説明したことが成立する。
【0019】
また、この発明は、
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層の一方向の断面形状が台形であり、上記半導体層の上底側の主面が(001)面に対して[−110]方向に傾斜した主面からなり、上記半導体層の両側面が(111)面および(−1−11)面からなる発光ダイオードである。
この発光ダイオードにおいては、上記の発光ダイオードの製造方法に関連して説明したことが成立する。
以上の各発明において、発光ダイオードのサイズは特に限定されないが、一般的には最大寸法が50μm以下で、典型的には10μm以上である。
【0020】
上述のように構成されたこの発明によれば、基板の主面の(001)面に対する傾斜方向が、ウエットエッチングにより半導体層に形成される両側面と交差しない。このため、ウエットエッチングにより得られる半導体層の断面形状は左右対称となり、両側面の半導体層の主面となす角度は互いに等しくなる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、半導体層の断面形状が左右対称となり、両側面の半導体層の主面となす角度が互いに等しくなるので、半導体層の内部から取り出される光は半導体層の両側面の傾斜角度の影響を受けない。このため、この発光ダイオードでは左右対称な配光分布を得ることができる。これによって、視野角による発光ダイオードからの光強度の変化を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法においてエッチング用マスクとして用いられるレジストパターンを示す平面図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードを示す断面図である。
【図5】(100)ジャスト基板を用いた従来の発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードの半導体層のエッチング形状を示す略線図ならびに光学顕微鏡写真およびフォトルミネッセンス像を示す図面代用写真である。
【図6】(100)15°オフ基板を用いた従来の発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードの半導体層のエッチング形状を示す略線図ならびに光学顕微鏡写真およびフォトルミネッセンス像を示す図面代用写真である。
【図7】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法において(100)ジャスト基板を用いた場合に製造された発光ダイオードの半導体層のエッチング形状を示す略線図ならびに光学顕微鏡写真およびフォトルミネッセンス像を示す図面代用写真である。
【図8】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードの半導体層のエッチング形状を示す略線図ならびに光学顕微鏡写真およびフォトルミネッセンス像を示す図面代用写真である。
【図9】この発明の第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法において半導体層をウエットエッチングによりエッチングする際のエッチング形状を説明するための略線図である。
【図10】従来の発光ダイオードの製造方法において半導体層をウエットエッチングによりエッチングする際のエッチング形状を説明するための略線図である。
【図11】この発明の第2の実施の形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第2の実施の形態による発光ダイオードの製造方法においてエッチング用マスクとして用いられるレジストパターンを示す平面図である。
【図13】この発明の第2の実施の形態による発光ダイオードを示す断面図である。
【図14】従来の発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図15】図14に示す従来の発光ダイオードの製造方法においてエッチング用マスクとして用いられるレジストパターンを示す平面図である。
【図16】図14に示す従来の発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードを示す断面図である。
【図17】図16に示す従来の発光ダイオードの光放射分布を示す略線図である。
【図18】他の従来の発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図19】図18に示す従来の発光ダイオードの製造方法により製造された発光ダイオードを示す断面図である。
【図20】図19に示す従来の発光ダイオードの光放射分布を示す略線図である。
【図21】オフ基板によるエネルギーバンドの変化を示す略線図である。
【図22】オフ基板によるエネルギーバンドの変化を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(発光ダイオードの製造方法および発光ダイオード)
2.第2の実施の形態(発光ダイオードの製造方法および発光ダイオード)
【0024】
〈1.第1の実施の形態〉
[発光ダイオードの製造方法および発光ダイオード]
第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法について説明する。
図1Aに示すように、まず、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面を有する基板(以下「A−オフ基板」という。)11上に閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなる半導体層12を成長させる。A−オフ基板11の主面の(001)面に対する傾斜角度αは必要に応じて選ばれるが、例えば0°<α≦20°である。半導体層12を構成する化合物半導体は、例えば、III−V族化合物半導体としてはAlGaInP系半導体、GaAs系半導体など、II−VI族化合物半導体としてはZnSe系半導体などである。半導体層12は、活性層12aのほか、n型クラッド層、p型クラッド層などを含む。
【0025】
次に、図1Bに示すように、A−オフ基板11の半導体層12側を接着剤13により支持基板14に貼り合わせる。支持基板14としては各種のものを用いることができるが、例えばサファイア基板やシリコン基板などである。
次に、図1Cに示すように、A−オフ基板11を裏面側から研磨やケミカルエッチングなどを行うことにより除去し、半導体層12を露出させる。
【0026】
次に、図2Aに示すように、こうして露出した半導体層12上に長方形の平面形状を有するレジストパターン15をリソグラフィーにより形成する。図3に示すように、このレジストパターン15は、長辺が半導体層12の[110]方向または[−1−10]方向に延び、短辺が[−110]方向または[1−10]方向に延びるように形成する。このレジストパターン15の短辺の長さは、エッチング完了後の半導体層12の頂面の上記の短辺の方向の長さとほぼ等しく、長辺の長さは、エッチング完了後の半導体層12の頂面の上記の長辺の方向の長さよりも長くする。
【0027】
次に、このレジストパターン15をエッチング用マスクとして半導体層12をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。これによって、図2Bに示すように、素子分離が行われる。このウエットエッチングにより、半導体層12は逆メサエッチングされ、半導体層12のレジストパターン15の短辺に平行な断面形状は逆台形状となり、半導体層12の両側面は(1−11)面および(−111)面からなる斜面となる。詳細は後述するが、この場合、この半導体層12の断面形状は左右対称であり、この半導体層12の両側面が半導体層12の主面となす角度も互いに等しくなる。
【0028】
次に、レジストパターン15を除去した後、半導体層12上にp側電極およびn側電極のうちの一方の電極(図示せず)を形成する。
次に、支持基板14の半導体層12側を別の支持基板(図示せず)に接着剤により貼り合わせた後、接着剤13および支持基板14を除去する。
次に、別の支持基板上の半導体層12上にp側電極およびn側電極のうちの他方の電極(図示せず)を形成する。
この後、支持基板および接着剤を除去する。
以上により、図4に示すように、左右対称な断面形状を有し、両側面12bが半導体層12の主面となす角度が互いに等しい発光ダイオードが完成する。この発光ダイオードの半導体層12の上底側の主面は(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面からなり、半導体層12の両側面12bは(1−11)面および(−111)面からなる。この発光ダイオードは、用途に応じて、単体素子として用いてもよいし、他の基板と貼り合わせたり、転写したり、配線接続を行ったりすることができる。
ここで、レジストパターン15をエッチング用マスクとした半導体層12のウエットエッチングにより、半導体層12の断面形状が左右対称となり、この半導体層12の両側面12bが半導体層12の主面となす角度が互いに等しくなる理由について説明する。
【0029】
まず、図14A〜Cに示す従来の発光ダイオードの製造方法では、主面が(001)面からなるGaAs基板101(ジャスト(0°)基板)上に半導体層102を成長させるため、レジストパターン103をエッチング用マスクとしたウエットエッチングにより順メサエッチングが行われ、左右対称な断面形状が得られ、両側面102bが半導体層102の主面となす角度も互いに等しくなる(図5A参照)。エッチング後の半導体層102の外形の一例を図5Bに示す。図5Cはこの半導体層102のフォトルミネッセンス像を示す。図5Cより、左右対称な配光分布が得られていることが分かる。
【0030】
次に、図18A〜Cに示す従来の発光ダイオードの製造方法では、主面が(001)面に対して[110]方向に例えば15°傾斜しているGaAs基板201(15°A−オフ基板)上に半導体層202を成長させるため、レジストパターン203をエッチング用マスクとしたウエットエッチングにより順メサエッチングを行った場合、レジストパターン203の短辺に平行な方向がGaAs基板201の主面の[110]方向への傾斜方向と一致する。このため、レジストパターン203の短辺に平行な方向の半導体層202の断面形状にGaAs基板201の主面のオフ角度が反映される結果、断面形状は左右非対称となり、両側面202bが半導体層202の主面となす角度も互いに異なる(図6A参照)。エッチング後の半導体層202の外形の一例を図6Bに示す。図6Cはこの半導体層202のフォトルミネッセンス像を示す。図6Cより、配光分布は左右非対称になっていることが分かる。
【0031】
次に、主面が(001)面からなるGaAs基板(ジャスト(0°)基板)上に成長させた半導体層12の裏面側から、レジストパターン14をエッチング用マスクとしたウエットエッチングにより逆メサエッチングを行った場合には、左右対称な断面形状が得られ、両側面が半導体層12の主面となす角度も互いに等しくなる(図7A参照)。エッチング後の半導体層12の外形の一例を図7Bに示す。図7Cはこの半導体層12のフォトルミネッセンス像を示す。図7Cより、左右対称な配光分布が得られていることが分かる。
【0032】
次に、この第1の実施の形態による発光ダイオードの製造方法のように、主面が(001)面に対して[110]方向に例えば15°傾斜している基板11(15°A−オフ基板)上に成長させた半導体層12の裏面側から、レジストパターン14をエッチング用マスクとしたウエットエッチングにより逆メサエッチングを行う場合を考える。このように半導体層12の裏面側からウエットエッチングにより逆メサエッチングを行うため、A−オフ基板11の主面の[110]方向への傾斜方向は、図6Aに示す場合に対して90°回転し、逆メサエッチングにより得られる半導体層12の両側面12bと平行になる。すなわち、この場合、レジストパターン15の短辺に平行な方向の半導体層12の断面形状にA−オフ基板11の主面のオフ角度が反映されないため、断面形状は左右対称となり、両側面12bが半導体層12の主面となす角度も互いに等しくなる(図8A参照)。エッチング後の半導体層12の外形の一例を図8Bに示す。図8Cはこの半導体層12のフォトルミネッセンス像を示す。図8Cより、配光分布は左右非対称になっていることが分かる。以上のことは、基板11の主面の(001)面に対する[110]方向の傾斜角度が15°と異なる場合も同様に成立する。
【0033】
次に、半導体層12をウエットエッチングにより逆メサエッチングした場合の形状および表面に現れる結晶面の方位を、A−オフ基板12の主面が(001)面に対して[110]方向に15°傾斜している場合を例にとって図9A〜Cに示す。図9Aに示すレジストパターン15をエッチング用マスクとして用いて半導体層12をウエットエッチングによりエッチングすると、エッチング初期には図9Bに示すようにエッチングされる。具体的には、レジストパターン15の長辺に沿って(1−11)面および(−111)面が現れ、レジストパターン15の短辺に沿って(110)面および(−110)面が現れる。また、レジストパターン15の四隅に対応する部分の半導体層12には、(011)面+(122)面、(−101)面+(−212)面、(0−11)面+(−1−22)面、(101)面+(212)面が現れる。さらにエッチングを進めると、レジストパターン15の四隅に対応する部分の半導体層12のサイドエッチングが進行し、半導体層12は図9Cに示すような形状となる。
【0034】
比較のために、図18A〜Cに示す従来の発光ダイオードの製造方法のように、主面が(001)面に対して[110]方向に例えば15°傾斜しているGaAs基板201上に成長させた半導体層202をウエットエッチングにより順メサエッチングした場合の形状および表面に現れる結晶面の方位を図10A〜Cに示す。
【0035】
〈実施例〉
AlGaInP系発光ダイオードの製造方法について説明する。
A−オフ基板11として、(001)面に対して[110]方向に15°傾斜した主面を有するGaAs基板を用いる。このGaAs基板上に、有機金属化学気相成長(MOCVD)法により、例えば800℃程度の温度でAlGaInP系半導体からなる半導体層12を成長させる。半導体層12は、具体的には、下から順に、n型GaAs層、n型AlGaInPクラッド層、多重量子井戸(MQW)構造を有する活性層、p型AlGaInPクラッド層およびp型GaAs層からなる。活性層は、具体的には、Ga0.5 In0.5 P井戸層と(Al0.5 Ga0.5 )0.5 In0.5 P障壁層とからなるMQW構造を有する。
【0036】
上記のAlGaInP系半導体の成長原料は下記のとおりである。すなわち、Gaの原料としては、例えば、トリメチルガリウム((CH3 )3 Ga、TMG)を用いる。Alの原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム((CH3 )3 Al、TMA)を用いる。Inの原料としては、例えば、トリメチルインジウム((CH3 )3 In、TMI)を用いる。Pの原料としては、例えば、ホスフィン(PH3 )を用いる。ドーパントについては、n型ドーパントとしては例えばセレン化水素(H2 Se)を、p型ドーパントとしては例えばジメチル亜鉛((CH3 )2 Zn、DMZn)を用いる。
【0037】
次に、A−オフ基板11の半導体層12側を接着剤13により支持基板14に貼り合わせる。
次に、A−オフ基板11、すなわちGaAs基板を研磨やアンモニア系のエッチャントを用いたウエットエッチングなどにより除去し、半導体層12を露出させる。
次に、こうして露出した半導体層12上にレジストパターン15をリソグラフィーにより形成する。
【0038】
次に、レジストパターン15をエッチング用マスクとして用いて半導体層12をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。具体的には、n型GaAs層、n型AlGaInPクラッド層、活性層、p型AlGaInPクラッド層およびp型GaAs層をウエットエッチングにより順次エッチングする。この場合、n型GaAs層のエッチングはアンモニア系のエッチャントを用いて行う。n型GaAs層をエッチングした後、半導体層12を流水により洗浄し、乾燥させる。
【0039】
次に、例えば5℃より低温、好適には0℃以下、より好適には−5℃以下、さらに好適には例えば−10℃以下に冷却した塩酸を含むエッチャントを用いて、n型AlGaInPクラッド層、活性層およびp型AlGaInPクラッド層をエッチングする。エッチャントとしては、具体的には、例えば、塩酸を36%含む水溶液を−15℃に冷却したエッチャントを用いる。この塩酸を含むエッチャントはAlGaInP系半導体を無選択にエッチングする。好適には、このエッチングは2回に分けて行う。例えば、1回目のエッチング時間は150秒、2回目のエッチング時間は90秒とする。この場合、1回目の150秒間のエッチングではp型GaAs層まで[001]方向のエッチングが終了した状態となる。この時点ではまだ半導体層12の{111}面からなる両側面にエッチング残りが存在しているため傾斜角度は一定に定まっていない。このため、半導体層12の両側面12bを所望の傾斜角度にするために、追加で90秒間の2回目のエッチングを行う。また、1回目のエッチングの段階で[001]方向のエッチングが終了しているため、{010}面および{221}面の方向へのサイドエッチングが加速する(図9BおよびC参照)。
最後に、リン酸混合溶液(リン酸:過酸化水素:水=6:2:100)をエッチャントに用いてp型GaAs層をエッチングする。エッチング時間は90秒とする。
以上のようにして素子分離を行った後、レジストパターン15を除去する。
【0040】
次に、半導体層12の表面にリソグラフィーにより所定の平面形状を有するレジストパターン(図示せず)を形成し、さらに全面に例えばスパッタリング法により例えばPd膜、AuGe膜およびAu膜を順次形成した後、このレジストパターンをその上に形成されたPd膜、AuGe膜およびAu膜とともに除去する(リフトオフ)。これによって、n型GaAs層上にPd/AuGe/Au構造の長方形の平面形状を有するn側電極を形成する。次に、このn側電極以外の部分のn型GaAs層をエッチング除去する。
【0041】
n側電極が形成された半導体層12側を他の支持基板、例えばサファイア基板に貼り合わせた後、接着剤13および支持基板14を除去する。
次に、これにより露出した半導体層12側の表面にリソグラフィーにより所定の平面形状を有するレジストパターン(図示せず)を形成し、さらに基板全面に例えばスパッタリング法により例えばAu膜、Pt膜およびAu膜を順次形成した後、このレジストパターンをその上に形成されたAu膜、Pt膜およびAu膜とともに除去する(リフトオフ)。これによって、p型GaAs層上にAu/Pt/Au構造の長方形の平面形状を有するp側電極を形成する。次に、このp側電極以外の部分のp型GaAs層をエッチング除去する。
以上により、目的とする発光ダイオードが完成する。
【0042】
以上のように、この第1の実施の形態によれば、(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面を有するA−オフ基板11上に半導体層12を成長させ、このA−オフ基板11の半導体層12側を支持基板14に貼り合わせ、A−オフ基板11を裏面側から除去して半導体層12を露出させている。そして、こうして露出した半導体層12上にレジストパターン15を形成した後、このレジストパターン15をエッチング用マスクとして半導体層12をウエットエッチングにより逆メサエッチングしていることにより、半導体層12のレジストパターン15の短辺に平行な方向の断面形状にA−オフ基板11の傾斜角度が反映されない。このため、半導体層12の断面形状は左右対称となり、半導体層12の両側面12bの半導体層12の主面となす角度が互いに等しくなる。この結果、この発光ダイオードの動作時には、半導体層12の左右で、この半導体層12から取り出される光の分布が対称となる。すなわち、この発光ダイオードは配光分布が左右対称となる。この結果、視野角によるこの発光ダイオードの光強度の変化を小さく抑えることができる。
この発光ダイオードは、発光ダイオードディスプレイ、発光ダイオードバックライト、発光ダイオード照明装置などの各種の電子機器に用いて好適なものである。
【0043】
〈2.第2の実施の形態〉
[発光ダイオードの製造方法および発光ダイオード]
第2の実施の形態による発光ダイオードの製造方法について説明する。
第1の実施の形態においては、(001)面に対して[110]方向に所定角度傾斜した主面を有するA−オフ基板11を用いたのに対し、第2の実施の形態においては、(001)面に対して[−110]方向に所定角度傾斜した主面を有する基板(以下「B−オフ基板」という。)21を用いる。このB−オフ基板21は、オフ角度が15°より小さいと、このB−オフ基板21上に成長させる半導体層のエネルギーバンド構造に大きく差が生じ、特性が著しく低下するために一般的には使用されていないが、オフ角度がエネルギーバンド構造が安定する15°以上の場合は使用されることがある(図21および図22参照。非特許文献1参照。)。
【0044】
すなわち、第2の実施の形態においては、図11Aに示すように、まず、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[−110]方向に所定角度傾斜した主面を有するB−オフ基板21上に閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなる半導体層22を成長させる。半導体層22は、活性層22aのほか、n型クラッド層、p型クラッド層などを含む。B−オフ基板21の主面の(001)面に対する傾斜角度βは15°以上の角度の範囲内で必要に応じて選ばれるが、例えば15°≦β≦50°である、
【0045】
次に、図11Bに示すように、半導体層22上に長方形の平面形状を有するレジストパターン23をリソグラフィーにより形成する。図12に示すように、このレジストパターン23は、長辺が半導体層22の[−110]方向または[1−10]方向に延び、短辺が[110]方向または[−1−10]方向に延びるように形成する。このレジストパターン23の短辺の長さは、エッチング完了後の半導体層22の頂面の長さとほぼ等しく、長辺の長さは、エッチング完了後の半導体層22の頂面の長さよりも長くする。
【0046】
次に、このレジストパターン23をエッチング用マスクとして半導体層22をウエットエッチングによりエッチングし、パターニングする。これによって、図11Cに示すように、素子分離が行われる。このウエットエッチングにより、半導体層22は順メサエッチングされ、半導体層22のレジストパターン23の短辺に平行な断面形状は台形状となり、半導体層22の両側面は(111)面および(−1−11)面からなる斜面となる。この場合も、第1の実施の形態と同様に、レジストパターン23の短辺に平行な方向の半導体層22の断面形状にB−オフ基板21の主面のオフ角度が反映されないため、断面形状は左右対称となり、両側面が半導体層22の主面となす角度も互いに等しくなる。
【0047】
次に、レジストパターン23を除去した後、半導体層22上にp側電極およびn側電極のうちの一方の電極(図示せず)を形成する。
次に、B−オフ基板21の半導体層22側を接着剤により支持基板に貼り合わせる。
次に、B−オフ基板21を裏面側から研磨やケミカルエッチングなどを行うことにより除去し、半導体層22を露出させる。
次に、こうして露出した半導体層22上にp側電極およびn側電極のうちの他方の電極(図示せず)を形成する。
この後、支持基板および接着剤を除去する。
【0048】
以上により、図13に示すように、左右対称な断面形状を有し、両側面22bが半導体層22の主面となす角度が互いに等しい発光ダイオードが完成する。この発光ダイオードの半導体層22の上底側の主面は(001)面に対して[−110]方向に所定角度傾斜した主面からなり、半導体層22の両側面22bは(111)面および(−111)面からなる。この発光ダイオードは、用途に応じて、単体素子として用いてもよいし、他の基板と貼り合わせたり、転写したり、配線接続を行ったりすることができる。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態ど同様な利点を得ることができる。
【0049】
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
11…A−オフ基板、12…半導体層、12a…活性層、12b…側面、13…接着剤、14…支持基板、15…レジストパターン、21…B−オフ基板、22…半導体層、22a…活性層、22b…側面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面を有する第1の基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層を成長させる工程と、
上記第1の基板の上記半導体層側を第2の基板に貼り合わせる工程と、
上記第1の基板を除去して上記半導体層を露出させる工程と、
上記露出させた上記半導体層上に、長辺が[110]方向または[−1−10]方向に延び、短辺が[−110]方向または[1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスクを形成する工程と、
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングする工程とを有する発光ダイオードの製造方法。
【請求項2】
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングした後の上記半導体層の上記エッチング用マスクの短辺に平行な方向の断面形状が逆台形であり、上記半導体層の上記エッチング用マスクの長辺に平行な両側面が(1−11)面および(−111)面からなる請求項1記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項3】
上記第1の基板を構成する上記化合物半導体および上記半導体層を構成する上記化合物半導体はIII−V族化合物半導体またはII−VI族化合物半導体である請求項2記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項4】
上記半導体層を構成する上記化合物半導体はAlGaInP系半導体、GaAs系半導体またはZnSe系半導体である請求項3記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項5】
上記半導体層を構成する上記化合物半導体はリン系化合物半導体であり、上記半導体層をウエットエッチングする際のエッチャントとして5℃より低温に冷却した塩酸を用いる請求項1記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項6】
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層の一方向の断面形状が台形であり、上記半導体層の上底側の主面が(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面からなり、上記半導体層の両側面が(1−11)面および(−111)面からなる発光ダイオード。
【請求項7】
上記半導体層を構成する上記化合物半導体はIII−V族化合物半導体またはII−VI族化合物半導体である請求項6記載の発光ダイオード。
【請求項8】
上記半導体層を構成する上記化合物半導体はAlGaInP系半導体、GaAs系半導体またはZnSe系半導体である請求項7記載の発光ダイオード。
【請求項9】
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[−110]方向に傾斜した主面を有する基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層を成長させる工程と、
上記半導体層上に、長辺が[−110]方向または[1−10]方向に延び、短辺が[110]方向または[−1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスクを形成する工程と、
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングする工程とを有する発光ダイオードの製造方法。
【請求項10】
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層の一方向の断面形状が台形であり、上記半導体層の上底側の主面が(001)面に対して[−110]方向に傾斜した主面からなり、上記半導体層の両側面が(111)面および(−1−11)面からなる発光ダイオード。
【請求項1】
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面を有する第1の基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層を成長させる工程と、
上記第1の基板の上記半導体層側を第2の基板に貼り合わせる工程と、
上記第1の基板を除去して上記半導体層を露出させる工程と、
上記露出させた上記半導体層上に、長辺が[110]方向または[−1−10]方向に延び、短辺が[−110]方向または[1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスクを形成する工程と、
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングする工程とを有する発光ダイオードの製造方法。
【請求項2】
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングした後の上記半導体層の上記エッチング用マスクの短辺に平行な方向の断面形状が逆台形であり、上記半導体層の上記エッチング用マスクの長辺に平行な両側面が(1−11)面および(−111)面からなる請求項1記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項3】
上記第1の基板を構成する上記化合物半導体および上記半導体層を構成する上記化合物半導体はIII−V族化合物半導体またはII−VI族化合物半導体である請求項2記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項4】
上記半導体層を構成する上記化合物半導体はAlGaInP系半導体、GaAs系半導体またはZnSe系半導体である請求項3記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項5】
上記半導体層を構成する上記化合物半導体はリン系化合物半導体であり、上記半導体層をウエットエッチングする際のエッチャントとして5℃より低温に冷却した塩酸を用いる請求項1記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項6】
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層の一方向の断面形状が台形であり、上記半導体層の上底側の主面が(001)面に対して[110]方向に傾斜した主面からなり、上記半導体層の両側面が(1−11)面および(−111)面からなる発光ダイオード。
【請求項7】
上記半導体層を構成する上記化合物半導体はIII−V族化合物半導体またはII−VI族化合物半導体である請求項6記載の発光ダイオード。
【請求項8】
上記半導体層を構成する上記化合物半導体はAlGaInP系半導体、GaAs系半導体またはZnSe系半導体である請求項7記載の発光ダイオード。
【請求項9】
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、(001)面に対して[−110]方向に傾斜した主面を有する基板上に、閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層を成長させる工程と、
上記半導体層上に、長辺が[−110]方向または[1−10]方向に延び、短辺が[110]方向または[−1−10]方向に延びる長方形の平面形状を有するエッチング用マスクを形成する工程と、
上記エッチング用マスクを用いて上記半導体層をウエットエッチングによりパターニングする工程とを有する発光ダイオードの製造方法。
【請求項10】
閃亜鉛鉱型結晶構造を有する化合物半導体からなり、発光ダイオード構造を形成する半導体層の一方向の断面形状が台形であり、上記半導体層の上底側の主面が(001)面に対して[−110]方向に傾斜した主面からなり、上記半導体層の両側面が(111)面および(−1−11)面からなる発光ダイオード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−278274(P2010−278274A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129766(P2009−129766)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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