説明

発光パッケージ、発光パッケージアレイおよび発光パッケージの製造方法

【課題】LEDチップなどの発光チップに波長変換層を良好に形成することができる発光パッケージ、発光パッケージアレイおよび発光パッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】発光パッケージは、厚さ方向に配列する主表面20と主表面21とを含む基板と、アノードおよびカソードを含み、主表面20に設けられると共に、第1波長域の光を発光するLEDチップ15とLEDチップ15を覆うように形成され、第1波長域の光によって励起して第2波長域の光を発光する波長変換層17と、波長変換層17を覆うように形成された封止層18と、アノードに接続され、主表面20に設けられた電極12と、カソードに接続され、主表面20に設けられた電極13と、電極12と電極13とは電気的に接続されていない電極14とを備え、電極12の少なくとも一部と電極13の少なくとも一部と電極14の少なくとも一部とLEDチップ15とが封止層18に覆われた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光パッケージ、発光パッケージアレイおよび発光パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、青色LEDチップから出射した青色光と、青色光で励起された蛍光体から発光した発光光の混色により、白色光を得ることができる白色LEDの開発が進んできている。
【0003】
このように、青色光で励起する蛍光体などを含む波長変換層を備えた発光装置としては、特開2011−151268号公報に記載された発光装置などが挙げられる。
【0004】
このような発光装置は、たとえば以下のような工程で製造されている。まず、パッケージ基板の所定の位置に、青色LEDチップをダイボンドしたのち、パッケージ基板に形成されているアノード、カソード電極と青色LEDチップの電極をワイヤボンドする。つぎに、蛍光体を高濃度で透明樹脂に混練した蛍光体樹脂を青色LEDチップに塗布し、波長変換層を形成する。最後に、青色LEDチップおよび波長変換層を透明体で封止することで透明樹脂層を形成する。
【0005】
ここで、蛍光体樹脂の塗布による波長変換層の製造方法としては、前述した透明樹脂内に高濃度の蛍光体を混錬した蛍光体樹脂をLEDチップに塗布する方法のほかに、低濃度の蛍光体樹脂をLEDチップに塗布したのち、蛍光体を自然沈降させることで、波長変換層と透明樹脂層を同時形成する方法がある。
しかしながら、蛍光体濃度が濃すぎると蛍光体樹脂の粘度が大きくなりすぎて、塗布装置のノズルで蛍光体樹脂がつまったり、LEDチップへの塗布の後に蛍光体樹脂がLEDチップ全体に濡れ広がらなかったり、生産が難しくなる。低濃度の場合では、蛍光体を自然沈降させる必要があるため、蛍光体樹脂の粘度を小さくしなければならず、塗布工程のタクトが長かったり、LEDパッケージ1ロットの数が多かったりすると、1ロット分の蛍光体樹脂を使いきるまでの時間が長くなり、その間に塗布装置の蛍光体樹脂用容器内で蛍光体が沈降してしまい、容器内で蛍光体の濃度分布ができてしまう。このような状態で蛍光体樹脂を塗布すると、生産のはじめとおわりのLEDパッケージ間の色むらが大きくなってしまう。
【0006】
また、蛍光体樹脂の塗布以外の波長変換層の製造方法としては、特開2007−134378号公報に記載されたような製造方法がある。
【0007】
まず、IPA(イソプロパノール)などの揮発性溶剤と蛍光体樹脂で満たされた容器の中に、第一電極に接続したLEDチップ搭載済みパッケージと第二電極とを浸す。つぎに、第一電極と第二電極間に電圧を印加することで電極間に電界を発生させる。このとき、蛍光体の電荷と電界に起因する力が蛍光体に働き、蛍光体の電荷に依存して正負どちらかの電極に向かって溶剤内を移動する(この現象は電気泳動と呼ばれている)。ここで、蛍光体が吸い寄せられる方の電極を第一電極としておくことで、蛍光体をLEDチップの周りに集めることができる。最後に、LEDパッケージを溶剤から取り出し、溶剤を揮発させることで波長変換層を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−151268号公報
【特許文献2】特開2007−134378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特開2007−134378号公報のような製造方法では、電気泳動を使ってLEDチップに蛍光体を集める工程と、溶剤を揮発させる工程が必要なため、塗布による製造方法にくらべて工程が多くなる。また、多数のLEDパッケージを浸すためには広い容器が必要であり、このような容器内の蛍光体濃度分布を均一にすることは困難なため、LEDパッケージ毎の色むらが大きくなってしまう傾向がある。
【0010】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、LEDパッケージの波長変換層を良好に形成することができる発光パッケージ、発光パッケージアレイおよび発光パッケージの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る発光パッケージは、厚さ方向に配列する第1主表面と第2主表面とを含む基板と、アノードおよびカソードを含み、第1主表面に設けられると共に、第1波長域の光を発光する発光素子と、発光素子を覆うように形成され、第1波長域の光によって励起して第2波長域の光を発光する波長変換層と、波長変換層を覆うように形成された封止層と、アノードに接続され、第1主表面に設けられた第1電極と、カソードに接続され、第1主表面に設けられた第2電極と、第1電極と第2電極とは電気的に接続されていない第3電極とを備える。
【0012】
上記第1電極の少なくとも一部と第2電極の少なくとも一部と第3電極の少なくとも一部と発光素子とが封止層に覆われる。好ましくは、上記発光素子は、第1電極と第2電極と第3電極との少なくとも1つの電極上に実装される。
【0013】
好ましくは、上記第1電極と第2電極と第3電極とのうち、発光素子が実装されていない電極は、発光素子の周囲を取り囲むように配置される。好ましくは、上記発光素子は、第3電極に実装され、第1電極および第2電極で発光素子の周囲を取り囲むように設けられる。
【0014】
好ましくは、上記第3電極は、発光素子が実装される実装部と、実装部に接続され、第1主表面から第2主表面に達する接続部とを含む。好ましくは、上記発光素子は、第1電極と第2電極とに跨るように実装され、第3電極は、発光素子の周囲を環状に取り囲むように設けられる。好ましくは、上記発光素子は、実装面に設けられた反射部を含む。
【0015】
好ましくは、上記発光素子は、第1電極と第2電極と第3電極との少なくとも1つの電極上に実装され、発光素子が実装された電極は、高反射率金属で形成される。上記高反射率金属の第1波長域の光の反射率は、金の第1波長域の光を反射する反射率よりも高い。好ましくは、上記発光素子は、LEDチップである。
【0016】
好ましくは、上記波長変換層は、発光素子を中心として半球状に形成されており、封止層は、発光素子を中心として半球状に形成される。本発明に係る発光パッケージは、厚さ方向に配列する複数の第1主表面および第2主表面とを含む基板と、アノードおよびカソードを含み、第1主表面に設けられると共に、第1波長域の光を発光する発光素子と、アノードが接続された第1電極と、カソードが接続された第2電極と、第1電極および第2電極に電気的に接続されず、発光素子が実装された第3電極と、第1電極、第2電極および第3電極に電気的に接続されていない第4電極と、発光素子を覆うように形成され、第1波長域の光を吸収して第2波長域の光を発光する波長変換層と、第3電極の少なくとも一部と第4電極の少なくとも一部とを覆うように形成された封止層とを備える。好ましくは、上記第3電極は、発光素子が実装される実装部を含む。本発明に係る発光パッケージアレイは、上記発光パッケージが複数連結される。上記各発光パッケージに設けられた第1電極は、互い接続される。上記発光パッケージに設けられた第2電極は、互い接続される。上記各発光パッケージに設けられた第3電極は、互い接続される。
【0017】
好ましくは、上記第3電極は、発光素子が実装される実装部を含む。上記第1電極同士を接続すると共に、第2電極同士を接続する複数の第1接続配線と、上記実装部同士を接続する複数の第2接続配線とをさらに備える。上記第1接続配線と第2接続配線とは交互に配置される。
【0018】
本発明に係る発光パッケージの製造方法は、上記厚さ方向に配列する第1主表面と第2主表面とを含み、第1主表面に第1電極と第2電極と第3電極とが設けられ基板を準備する工程と、第1主表面に発光素子を実装する工程とを備える。発光パッケージの製造方法は、上記第1電極の少なくとも一部と、第2電極の少なくとも一部と、第3電極の少なくとも一部と、発光素子とを覆うように、透明樹脂に蛍光体を混合した蛍光体樹脂を塗布する工程と、蛍光体樹脂を形成した後に、第1電極と第2電極の少なくとも一方と、第3電極との間に電圧を印加することで形成された電界で蛍光体を電気遊動させる工程とを備える。好ましくは、上記発光素子は、第3電極に実装される。好ましくは、上記発光素子は、第1電極および第2電極に亘って実装される。
【0019】
好ましくは、発光パッケージの製造方法は、上記第1主表面に撥液膜を形成する工程をさらに備え、上記撥液膜は、第1電極の少なくとも一部と、第2電極の少なくとも一部と、第3電極の少なくとも一部と、第1主表面のうち、発光素子が実装される部分とを露出するように形成される。好ましくは、上記蛍光体樹脂は、蛍光体とシリカと透明樹脂とによって形成される。本発明に係る光パッケージは、厚さ方向に配列する第1主表面と第2主表面とを含み、第1主表面に第1電極と第2電極と第3電極と第4電極が設けられ基板を準備する工程と、発光素子を第4電極に実装する工程と、第1電極と発光素子を接続する工程と、第2電極と発光素子を実装する工程と、第3電極の少なくとも一部と第4電極の少なくとも一部と発光素子とを覆うように、透明樹脂に蛍光体を混合した蛍光体樹脂を形成する工程と、蛍光体樹脂を形成した後に、第3電極および第4電極に電圧を印加することで形成された電界で、蛍光体を電気遊動させる工程とを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る発光パッケージ、発光パッケージアレイおよび発光パッケージの製造方法によれば、発光チップの周囲に良好に波長変換層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係るLEDパッケージ10の断面図である。
【図2】図1に示すLEDパッケージ10を模式的に示す平面図である。
【図3】LEDチップ15の周囲を示す拡大断面図である。
【図4】LEDパッケージ10を示す断面図である。
【図5】LEDチップ15と、波長変換層17と、封止層18とを示す断面図である。
【図6】本実施の形態に係るLEDパッケージ10の製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図7】図6に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線における断面図である。
【図9】図7に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図10】図9に示すX−X線における断面図である。
【図11】図9に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図12】図11に示すXII−XII線における断面図である。
【図13】図11に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図14】図13に示すXIV−XIV線における断面図である。
【図15】図14に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図16】図15に示す製造工程における平面図である。
【図17】実装部14aと、円弧部13aと、蛍光体樹脂62とを模式的に示す模式図である。
【図18】電気遊動が完了した状態を示す平面図である。
【図19】図18に示すXIX−XIX線における断面図である。
【図20】図18および図19に示す製造工程後の工程を示す平面図である。
【図21】図20に示すXXI−XXI線における断面図である。
【図22】本実施の形態2に係るLEDパッケージ10の断面図である。
【図23】図22に示すLEDパッケージ10の平面図である。
【図24】LEDパッケージ10の製造過程を示す平面図である。
【図25】LEDパッケージアレイ50を示す平面図である。
【図26】本実施の形態に係るLEDパッケージ10を示す断面図である。
【図27】図26に示すLEDパッケージ10の平面図である。
【図28】LEDパッケージ10の製造工程の第1工程を示す平面図である。
【図29】図28に示す製造工程後の工程を示す平面図である。
【図30】図29に示す製造工程後の工程を示す平面図である。
【図31】実施の形態2に係るLEDパッケージアレイを示す平面図である。
【図32】本実施の形態3に係るLEDパッケージ10を示す断面図である。
【図33】図32に示すLEDパッケージ10の平面図である。
【図34】本実施の形態4に係るLEDパッケージ10の製造工程の第1工程を示す平面図である。
【図35】図34に示す製造工程後の工程を示す平面図である。
【図36】図35に示す製造工程後の工程を示す平面図である。
【図37】図36に示す製造工程後の工程を示す平面図である。
【図38】図37に示す製造工程後の工程を示す平面図である。
【図39】実施例1を説明する平面図である。
【図40】実施例1を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1から図40を用いて、本実施の形態に係る発光パッケージ、発光パッケージアレイおよび発光パッケージの製造方法について説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係るLEDパッケージ10の断面図である。この図1に示すように、LEDパッケージ10は、主表面20および主表面21を有する基板11と、主表面20上に形成された第1電極12と、主表面20上に形成された第2電極13と、主表面20上に形成された第3電極14と、アノードおよびカソードを含み、第3電極14上に実装されたLEDチップ15とを備える。
【0024】
さらに、LEDパッケージ10は、LEDチップ15のアノードを第1電極12に接続する金ワイヤ16aと、LEDチップ15のカソードを第2電極13に接続する金ワイヤ16bと、LEDチップ15を覆うように形成された波長変換層17と、波長変換層17を覆うように形成された封止層18と、主表面20上であって、封止層18の周囲を取り囲むように形成された撥液膜31とを備える。
【0025】
基板11は、好ましくは、非絶縁材料であって、高反射率を有する材料から形成される。たとえば、アルミナセラミックスなどが採用される。基板11は、板状に形成されており、厚さ方向に配列する主表面20,21を含む。
【0026】
第1電極12と、第2電極13と、第3電極14とは、互いに電気的に独立となるように形成されている。
【0027】
第1電極12は、主表面20から基板11の周面をとおり主表面21に達するように形成されている。第2電極13も、主表面20から基板11の周面をとおり主表面21に達するように形成されている。第2電極13は、主表面20に形成されている。
【0028】
図2は、図1に示すLEDパッケージ10を模式的に示す平面図である。この図2に示すように、基板11は、平面視すると、正方形形状となるように形成されており、基板11の外周縁部は、辺部22〜25を含む。なお、基板11の形状としては、各種形状を採用することができる。
【0029】
第3電極14は、LEDチップ15が実装される実装部14aと、この実装部14aから基板11の外周縁部に向けて引き出された引出部14bとを含む。引出部14bは、辺部22および辺部23に向けて延びるように形成されている。この図2に示す例においては、実装部14aは、円形状に形成されているが、実装部14aの形状としては、正方形形状、長方形形状、楕円形状など各種の形状を採用することができる。すなわち、形成したい波長変換層の形状に合わせて設計されている。
【0030】
第1電極12は、実装部14aの周囲を取り囲むように延びる円弧部12aと、円弧部12aから基板11の外周縁部に向けて引き出された引出部12bとを含む。図2に示す例においては、円弧部12aは、半円状に形成されているが、円弧部12aは、半四角形状、半多角形形状となるように形成されてもよい。
【0031】
引出部12bは、円弧部12aから辺部24に向けて延びるように形成され、図1に示すように、基板11の周面をとおり、主表面21上を延びるように形成されている。
【0032】
第2電極13は、実装部14aの周囲を取り囲むように形成された円弧部13aと、この円弧部13aから基板11の外周縁部に向けて延びるように形成された引出部13bとを含む。引出部13bは、円弧部13aから辺部25に向けて延び、基板11の周面をとおり、主表面21に達するように形成されている。
【0033】
上記のように形成された第1電極12、第2電極13および第3電極14の表面には、金メッキが施されており、表面の腐食の抑制が図られている。
【0034】
図3は、LEDチップ15の周囲を示す拡大断面図である。この図3に示すように、LEDチップ15は、シリコーン樹脂などのダイボンド剤30によって、第3電極14の上面上に実装されている。
【0035】
LEDチップ15は、LED本体26と、LED本体26の実装面に設けられた反射部27と、アノード28と、カソード29とを含む。反射部27は、LED本体26の下面にアルミを蒸着させることで形成されている。
【0036】
LED本体26は、発光層26aを含み、アノード28およびカソード29に所定の電圧が印加されることで発光する。なお、発光層26aからはたとえば、青色光(たとえば、波長域が390nm以上510nm以下の光)を出射する。
【0037】
アノード28には、金ワイヤ16aが接続されており、アノード28は、第1電極12に接続されている。カソード29には、金ワイヤ16bが接続されており、カソード29は、第2電極13に接続されている。
【0038】
ここで、第1電極12および第2電極13の表面には、金メッキが施されており、金ワイヤ16a,16bと第1電極12および第2電極13とのワイヤボンド性の向上が図られている。
【0039】
図1および図2において、波長変換層17は、LEDチップ15を覆うように第3電極14上に形成されている。なお、図2において、波長変換層17は、ハッチングを施した領域に形成されており、第3電極14の実装部14aおよび引出部14b上に形成されている。
【0040】
ここで、図1に示すように、波長変換層17のうち、実装部14a上に位置する部分は、半球形形状となるように形成されている。
【0041】
なお、図1においては、LEDチップ15は説明のために大きく記載されているが、実際は、波長変換層17の大きさに比べて十分に小さく、LEDチップ15は点光源とみなすことができる。
【0042】
このため、実装部14a上に位置する波長変換層17の外表面の略全面に亘って、LEDチップ15と波長変換層17の外表面との間の距離は略均一となっている。波長変換層17は、蛍光体とシリカと透明樹脂を攪拌混合した蛍光体樹脂を基板上に塗布したのち、蛍光体を電気泳動させ、LEDチップ15の周囲に集めることで形成される。蛍光体は、特に材料等限定されるものではなく、LEDチップ15の発光波長と、蛍光体の励起波長が等しいものが望ましく、また、所定の色度にあったものをもちいればよい。
【0043】
封止層18は、図2に示すように、実装部14aと、LEDチップ15と、円弧部12aと、円弧部13aとを覆うように主表面20上に形成されている。透明樹脂は、特に材料等限定されるものではなく、透過率や屈折率、耐光性が高いといった一般的なLEDパッケージに望まれる特性を満たしておればよい。このような透明樹脂としては、シリコーン樹脂がよく知られている。場合によっては、耐光性が劣るもののコストの面が有利なエポキシ樹脂も用いられる。なお、図1に示す撥液膜31は、必須の構成ではない。
【0044】
上記のように形成されたLEDパッケージ10の動作について説明する。図3において、アノード28およびカソード29に所定の電圧が印加されることで、発光層26aが発光する。
【0045】
発光層26aからは青色光Lが放射状に出射される。青色光Lが波長変換層17内に入射すると、波長変換層17が励起して波長変換層17から発光光L3が出射される。発光光L3は、放射状に出射される。
【0046】
このため、発光光L3の一部は、第3電極14に入射する。ここで、一般的な各蛍光体の発光波長に対する金の反射率は、緑色蛍光体からの光(波長約550nm:波長域が530nm以上690nm以下程度)で80%、赤色蛍光体からの光(約600nm:波長域が460nm以上580nm以下程度)で92%、黄色蛍光体からの光(約580nm:波長域が570nm以上590nm程度)で90%と高い。このため、波長変換層17によって波長変換された後の光であれば、第3電極14などの金めっきにあたっても吸収が小さく輝度低下を抑えることができる。
【0047】
発光層26aから出射された光の一部である青色光L1は、LEDチップ15の実装面に向けて出射している。
【0048】
LEDチップ15の実装面には、反射部27が設けられているため、青色光L1は反射部27で反射される。その結果、良好に波長変換層17内に青色光L1の反射光が入射する。
【0049】
ここで、仮に、反射部27が形成されていない場合には、青色光L1は、第3電極14の表面に入射する。第3電極14の表面には、金メッキが施されている。ここで、青色光L1の波長は、約450nmであり、このときの反射率は40%程度と低い。このため、青色光L1が金めっきにあたることで著しい輝度低下が起こってしまう。
【0050】
本実施の形態1に係るLEDパッケージ10によれば、このような輝度低下を抑制することができる。
【0051】
このように、LEDチップ15の基板実装面にアルミや銀などの高反射部材を取り付けて反射部27が形成されているので、LEDチップ15の基板実装面から出光しようとする青色光が、反射部27で反射され、第3電極14で吸収されることを防ぐことができる。
【0052】
なお、反射部27は、必須の構成ではなく、LEDチップ15を実装する第3電極14が、銀やアルミなどの高反射率金属としてもよい。この場合には、青色光L1は、第3電極14の表面で反射されることになる。
【0053】
図4は、LEDパッケージ10を示す断面図である。この図4に示すように、波長変換層17から出射された発光光L3の一部は、第2電極13に入射する場合がある。
【0054】
この際、金の反射率の緑色光の反射率は、80%程度であり、金の反射率の赤色光(約600nm:波長域が460nm以上580nm以下程度)反射率は、92%である。金の黄色光(約580nm:波長域が570nm以上590nm程度)の反射率は、90%程度である。
【0055】
このため、第2電極13や第1電極12を銀やアルミなどの高反射率金属で形成することで、波長変換層17で変換された発光光L3が第2電極13や第1電極12などに入射したとしても、電極に吸収されることを抑制することができる。
【0056】
図5は、LEDチップ15と、波長変換層17と、封止層18とを示す断面図である。この図5に示すように、LEDチップ15の大きさは、波長変換層17および封止層18と比較して非常に小さく、LEDチップ15を点光源とみなすことができる。
【0057】
LEDチップ15から出射された青色光LLは、波長変換層17内で発光光L3に変換される。
【0058】
ここで、波長変換層17は半球形状に形成されているため、波長変換層17の外表面の略全面に亘って、LEDチップ15と波長変換層17の外表面との間の距離が略等しくなってる。
【0059】
このため、波長変換層17の径を所定以上の大きさとすることで、LEDチップ15からの青色光LLが波長変換層17内で吸収されずに封止層18に入り込むことを抑制することができる。これにより、青色光LLが直接外部に出射されることを抑制することができる。
【0060】
また、青色光LLの主成分は、図5に示すように、波長変換層17の外表面に直角に入射する。このため、波長変換層17と封止層18との界面で青色光LLの主成分が屈折することが抑制されている。
【0061】
さらに、発光光L3の主成分は、封止層18の外表面に垂直に入射する。このため、発光光L3が封止層18の外表面と空気層との界面において屈曲することを抑制することができる。
【0062】
この結果、封止層18から放射される光の輝度分布にばらつきが生じることを抑制することができる。
【0063】
上記のように構成されたLEDパッケージ10の製造方法について説明する。
図6は、本実施の形態に係るLEDパッケージ10の製造方法の第1工程を示す断面図である。この図6において、厚さ方向に配列する2つの主表面を有するマザー基板60を準備する。このマザー基板60は、長方形形状に形成されており、マザー基板60の外周縁部は、互いに対向する2つの長辺部と、互いに対向する2つの短辺部とを含む。そして、他方の長辺部には、間隔をあけてスリットが形成されている。このスリットは、他方の長辺部から一方の長辺部に向けて延びるように形成されている。
【0064】
なお、マザー基板60の主表面には、複数の形成領域61a〜61fが規定されており、各形成領域61a〜61fに、LEDパッケージ10が形成される。
【0065】
図7は、図6に示す製造工程後の工程を示す断面図であり、この図7に示すように、接続部51と、接続部52と、各形成領域61a〜61fに形成された実装部14aと、第1電極12と、第2電極13とを形成する。
【0066】
各実装部14aは、各形成領域61a〜61fの略中央部に形成される。接続部51は、マザー基板60の一方の長辺部に形成された基部43と、この基部43から他方の長辺部に向けて延びるように形成された接続配線40,41,42とを含む。接続配線40と、接続配線41と、接続配線42とは互いに間隔をあけて設けられている。
【0067】
接続配線40は、形成領域61aに形成された実装部14aと、形成領域61dに形成された実装部14aとを接続する。接続配線41は、形成領域61bに形成された実装部14aと、形成領域61eに形成された実装部14aとを接続する。接続配線42は、形成領域61cに形成された実装部14aと、形成領域61fに形成された実装部14aとを接続する。
【0068】
接続部52は、マザー基板60の他方の長辺部に形成された基部48と、この基部48から一方の長辺部に向けて延びるように形成され、互いに間隔をあけて設けられた複数の接続配線44,45,46,47とを含む。
【0069】
接続配線44は、形成領域61aに形成された引出部12bと、形成領域61dに形成された引出部12bとを接続する。なお、接続配線44は、マザー基板60の一方の短辺部に形成されている。
【0070】
接続配線45は、形成領域61aに形成された引出部13bと、形成領域61bに形成された引出部12bと、形成領域61dに形成された引出部13bと、形成領域61eに形成された引出部13bとを接続する。
【0071】
接続配線46は、形成領域61bに形成された引出部13bと、形成領域61cに形成された引出部12bと、形成領域61eに形成された引出部13bと、形成領域61fに形成された引出部12bとを接続する。
【0072】
接続配線47は、マザー基板60の他方の短辺部に形成されている。接続配線47は、形成領域61cに形成された引出部13bと、形成領域61fに形成された引出部13bとを接続する。
【0073】
このように、接続部51の接続配線40,41,42は、櫛の歯状に形成されており、接続配線44,45,46,47も櫛の歯状に形成されている。そして、接続部51の接続配線40,41,42と、接続部52の接続配線44,45,46,47とは、互いに交互となるように形成されている。このように、第1電極12と、第2電極13と、14とを形成した後、ドーナツ形状の撥液膜を形成した。この環状に形成された撥液膜から実装部14aと、円弧部12aと、円弧部13aとが露出している。
【0074】
なお、図8は、図7に示すVIII−VIII線における断面図であり、この図8に示すように、実装部14aが形成領域61aの中央部に形成される。
【0075】
図9は、図7に示す製造工程後の工程を示す断面図であり、図10は、図9に示すX−X線における断面図である。
【0076】
図9および図10に示すように、LEDチップ15を各形成領域61a〜61fに形成された実装部14a上に実装する。
【0077】
具体的には、実装部14aの上面上にダイボンド剤30を塗布して、このダイボンド剤30上にLEDチップ15をのせる。
【0078】
図11は、図9に示す製造工程後の工程を示す断面図であり、図12は、図11に示すXII−XII線における断面図である。
【0079】
この図11および図12に示すように、各形成領域61a〜61fに設けられたLEDチップ15のアノード28と第1電極12とを接続する金ワイヤ16aと、カソード29と第2電極13とを接続する金ワイヤ16bとを形成する。
【0080】
図13は、図11に示す製造工程後の工程を示す断面図であり、図14は、図13に示すXIV−XIV線における断面図である。
【0081】
まず、主表面に形成された撥液剤は環状に形成されており、各形成領域61a〜61fに設けられたLEDチップ15と、実装部14aと、円弧部12aと、円弧部13aとは、撥液剤から露出している。
【0082】
そこで、主表面20のうち、撥液剤から露出した部分に蛍光体樹脂62をインクジェット装置などの塗布装置を用いて塗布する。これにより、各形成領域61a〜61fに設けられたLEDチップ15と、実装部14aと、円弧部12aと、円弧部13aとが蛍光体樹脂62によって覆われる。
【0083】
この際、撥液膜31の蛍光体樹脂62に対する濡れ性は、マザー基板60の蛍光体樹脂62に対する濡れ性よりも小さい。
【0084】
このため、蛍光体樹脂62を塗布した際に、蛍光体樹脂62が撥液膜31の上面上にまでぬれ広がることを抑制することができ、蛍光体樹脂62を均一に形成することができる。
【0085】
さらに、撥液膜31の濡れ性が低いため、塗布された蛍光体樹脂62は半球形状となる。蛍光体樹脂62は、蛍光体と透明樹脂とシリカを攪拌混合した蛍光体とを含む。
【0086】
そして、接続部51に+の電圧を印加して、接続部52に−の電圧を印加する。この際、LEDパッケージごとに電圧を印加する必要がなく、接続部51および接続部52に電圧を印加することで、各形成領域61a〜61fに実装された実装部14aの周囲に電界を形成することができる。
【0087】
そして、図15および図16の二点鎖線に示すように、円弧部12aと実装部14aとの間と、引出部12bと実装部14aとの間とに電界が形成される。
【0088】
ここで、蛍光体樹脂62内に含まれる蛍光体の振る舞いについて、図17を用いて説明する。図17は、実装部14aと、円弧部13aと、蛍光体樹脂62とを模式的に示す模式図である。
【0089】
この図17に示すように、実装部14aに+の電圧を印加し、円弧部13aに−の電圧を印加する。
【0090】
蛍光体樹脂62は、シリコーン樹脂などの透明樹脂と、この透明樹脂内に拡散した複数の蛍光体と、シリカとを含む。
【0091】
ここで、透明樹脂は、特に材料等限定されるものではなく、透過率や屈折率、耐光性が高いといった一般的なLEDパッケージに望まれる特性を満たしておればよい。このような透明樹脂としては、シリコーン樹脂がよく知られている。場合によっては、耐光性が劣るもののコストの面が有利なエポキシ樹脂も用いられる。
【0092】
ただし、透明樹脂中の帯電粒子濃度は電気泳動の移動速度に大きく影響するため、できるだけ大きいものがよい。帯電粒子濃度の指標としてたとえばpH値を考慮してやればよい。ただし、pH値によっては、電気泳動時に蛍光体に働く力の方向変わるので、発生させる電界に応じて、狙いのpH値を決定してやるか、透明樹脂のpH値に合わせて印加電圧の正負を決定することが必要である。
【0093】
蛍光体樹脂62には、前述したように、蛍光体と透明樹脂に加えて、シリカを添加してやることが望ましい。シリカを添加することで、蛍光体樹脂62の粘度が高くなるため、蛍光体樹脂塗布装置内や、基板へ塗布した後の蛍光体樹脂62内で蛍光体の自然沈降を抑えることができる。これにより、時間経過による蛍光体の濃度や分布のばらつきを抑えることができる。しかし、シリカを添加しすぎると粘度が高くなりすぎるため、蛍光体樹脂62の塗布そのものができなくなる。さらに、電界により蛍光体に働く力よりも粘性抵抗が高くなってしまうと電気泳動が起こらなくなるおそれがある。このため、シリカは蛍光体がちょうど自然沈降しない程度の添加量にとどめておくことが望ましい。
【0094】
蛍光体が自然沈降しない程度に蛍光体樹脂62の粘度を調整することにより、蛍光体樹脂62をインクジェット装置で基板に吹き付ける際に、塗布ノズルに蛍光体樹脂62がつまることを抑制することができる。さらに、インクジェット装置の塗布容器内における蛍光体濃度分布を均一な状態に長時間維持することでき、蛍光体樹脂62を塗布する過程において、塗布はじめの蛍光体の濃度と塗布終了時の蛍光体の濃度とにばらつきが生じることを抑制することができる。これにより、作成されるLEDパッケージ10毎の色むらを小さくすることができる。
【0095】
シリコーン樹脂のような透明樹脂中には、正負それぞれの電荷をもった荷電粒子が均一に分散している。このなかに、たとえば正電荷に帯電した蛍光体粒子を混合すると、図17に示したように、透明樹脂中の負電荷をもった荷電粒子が蛍光体に引き寄せられ、蛍光体粒子の周りが負電荷の荷電粒子でコーティングされ、いわゆる電気2重層を形成する。このような状態の蛍光体は負電荷をもったひとつの粒子のように考えることができる。
【0096】
すなわち、図17に示すように正および負電極に挟まれた空間に、蛍光体樹脂62を塗布し、電圧を印加し、電界を発生させると、各荷電粒子に電界による力が発生し、電気泳動が起こる。このとき、電気2重層を形成した蛍光体は負電荷をもつので、結果正極側に向かって移動する。
【0097】
ここで、蛍光体樹脂62内に電界を発生させる方法として、たとえば、第1電極12上にLEDチップ15を実装して、第1電極12と第2電極13との間に電圧を印加する方法が考えられる。当該方法においては、LEDチップ15は、第1電極12および第2電極13に電気的に既に接続されているので、第1電極12および第2電極13の間には、3.5V程度までしか印加することができない。この程度の電位差では、発生する電界の強度は微弱であり、電界により蛍光体に発生する力も小さい。これでは、蛍光体樹脂62の粘度が高いと蛍光体が動かず、低いと重力による影響の方が大きくなり蛍光体が自然沈降するだけとなる。仮に粘度を調整したとしても、電気泳動による蛍光体の移動速度は小さく、タクトが長くなってしまい、生産性が悪い。したがって、本実施の形態に係るLEDパッケージの製造方法のように、電界を発生させるために電圧を印加する電極間は、LEDチップなどの素子や電極パターンによって結線させずに独立させておくことがのぞましい。
【0098】
図18は、電気遊動が完了した状態を示す平面図であり、図19は、図18に示すXIX−XIX線における断面図である。
【0099】
図18に示すように、接続部51の上面上に波長変換層17が形成される。ここで、図15および図16に示すように、円弧部12aおよび円弧部13aは、LEDチップ15および実装部14aの周囲を取り囲むように形成されているため、LEDチップ15の周辺の電界分布が均一となる。LEDチップ15の周辺の電界分布が均一な状態で、蛍光体が電気遊動するため、図19に示すように、蛍光体が均等に実装部14aの周囲に集まり、半球状の波長変換層17が形成される。
【0100】
その一方で、蛍光体樹脂62内の蛍光体が実装部14aの周囲に集まることで、波長変換層17の周囲には、透明樹脂層63が形成される。蛍光体樹脂62は、半球体状に形成されているため、透明樹脂層63の表面も半球体状に形成される。このように、LEDチップ15を蛍光体樹脂62で覆ったのち、電気泳動により、LEDチップ15の周りに蛍光体を集めることで蛍光体樹脂62と透明樹脂層63を同時形成できるため、工程数が低減されている。さらに、蛍光体を自然沈降させる場合と比べて、電気泳動を用いれば、印加する電圧によって蛍光体の移動速度を大きくすることができるため、波長変換層17を形成する工程時間を短くすることができる。
【0101】
また、塗布ノズルにつまらなくかつ蛍光体が自然沈降しない程度に蛍光体樹脂の粘度を調整することで、塗布容器内での蛍光体濃度分布を均一にした状態で塗布できるので、塗布はじめと終りとのLEDパッケージ毎の色むらを小さくすることができる。
【0102】
ここで、波長変換層17を形成する方法として、下記のような手法が考えられる。まず、揮発性溶剤と蛍光体を混合した溶液で満たされた容器を準備する。そして、第1電極12と、第1電極12に接続されたLEDチップ15と、第2電極13とが形成された基板を溶液に浸す。基板を溶液に浸した状態で、各電極に電圧を掛け、電気泳動により蛍光体をLEDチップ15の周りに集める。このような方法では、多数のLEDパッケージを浸すためには広い容器が必要となる。さらに、容器内の蛍光体濃度分布を均一にすることが困難であるため、蛍光体濃度分布のばらつきにより、LEDパッケージ毎に囲繞する蛍光体の量がばらついてしまう。その一方で、本実施の形態に係るLEDパッケージ10の製造方法では、LEDパッケージ毎に、決まった量の蛍光体樹脂が塗布され、この蛍光体樹脂で閉じられた系で波長変換層を形成する。このため、蛍光体量のばらつきを抑えることができ、結果、LEDパッケージ10毎の色むらを小さくすることができる。
【0103】
図20は、図18および図19に示す製造工程後の工程を示す平面図であり、図21は、図20に示すXXI−XXI線における断面図である。
【0104】
この図20に示すように、マザー基板60をオーブンに投入して、ベークすることで、各形成領域61a〜61fには、波長変換層17の一部およびLEDチップ15を覆うように形成された封止層18が形成される。これにより、形成領域61a〜61fにLEDパッケージ10が形成されたLEDパッケージアレイ50が形成される。
【0105】
このように、LEDパッケージアレイ50は、複数のLEDパッケージ10が連結されたものである。
【0106】
図20に示すように、LEDパッケージアレイ50は、複数の第1電極12と、複数の第2電極13と、複数の第3電極14とを備える。そして、接続配線44〜47によって、第1電極12同士と、第2電極13同士とが接続されると共に、第1電極12と第2電極13とが互いに接続されている。
【0107】
また、接続部51の接続配線40〜42と基部43とによって、各実装部14aが接続されている。
【0108】
そして、図20に示す溝部CLでLEDパッケージアレイ50を切断することで、図1に示す複数のLEDパッケージ10を得ることができる。
【0109】
(実施の形態2)
図22から図25を用いて、本実施の形態2に係るLEDパッケージ10について説明する。なお、図22から図25に示す構成のうち、上記図1から図21に示す構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。
【0110】
図22は、本実施の形態2に係るLEDパッケージ10の断面図である。この図22に示すように、LEDパッケージ10は、基板11と、第1電極12と、第2電極13と、第3電極14と、第3電極14上に実装されたLEDチップ15と、LEDチップ15を覆うように形成された波長変換層17と、波長変換層17を覆うように主表面20に形成された封止層18とを備える。
【0111】
図23は、図22に示すLEDパッケージ10の平面図である。この図23および図22に示すように、第3電極14は、実装部14aと、実装部14aの下面に接続され、主表面20から主表面21に達する接続部14cとを含む。
【0112】
本実施の形態2に係るLEDパッケージ10においては波長変換層17は、実装部14a上に形成され、LEDチップ15を覆うように形成されている。波長変換層17は、略半球状に形成されている。
【0113】
このように形成されたLEDパッケージ10の製造方法について説明する。
図24は、LEDパッケージ10の製造過程を示す平面図である。この図24に示す工程では、第1電極12と、第2電極13と、第3電極14と、接続部52とがマザー基板60の主表面上に形成されており、実装部14aの上面にLEDチップ15が実装されている。接続部52の接続配線44〜46によって、第1電極12および第2電極13が接続されている。なお、本実施の形2においては、上記実施の形態1で説明した接続部51は形成されていない。
【0114】
各形成領域61a〜61fに蛍光体樹脂62を塗布した後、実装部14aに+の電圧を印加して、接続部52に−の電圧を印加する。なお、実装部14aに電圧を印加する際には、マザー基板60の背面に設けられた接続部14cに電圧を印加する。
【0115】
このように、電圧を印加することで、実装部14aと円弧部12aとの間と、実装部14aと円弧部13aとの間とに電界が生じる。
【0116】
これにより、透明樹脂層63内に含まれる蛍光体が電気遊動によって、蛍光体が実装部14aの上面に集まる。これにより、実装部14aの上面に半球状の波長変換層17が形成される。
【0117】
ここで、実装部14aは、円形形状に形成されており、実装部14aに接続される配線などは、マザー基板60の主表面上に形成されていない。さらに、本実施の形態2においても、実装部14aの周囲は、円弧部12aおよび円弧部13aによって囲まれている。このため、蛍光体は、実装部14aの上面に集中し、実装部14aの上面には、略半球形状の波長変換層17が良好に形成される。
【0118】
このように、波長変換層17が形成されたマザー基板60にベークを施す。これにより、図25に示すように、LEDパッケージアレイ50が形成される。そして、このLEDパッケージアレイ50を切断することで、本実施の形態2に係るLEDパッケージ10を製作することができる。
【0119】
なお、上記実施の形態1,2に係るLEDパッケージ10は、フェイスアップ方式であるが、方式としては、フェイスダウン方式であってもよい。
【0120】
(実施の形態3)
図26から図31を用いて、本実施の形態3に係るLEDパッケージ10について説明する。なお、図26から図31に示す構成のうち、上記図1から図25に示す構成と同一または相当する構成についてはその同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0121】
図26は、本実施の形態に係るLEDパッケージ10を示す断面図であり、図27は、図26に示すLEDパッケージ10の平面図である。
【0122】
図26において、LEDパッケージ10は、主表面20および主表面21を含む基板11と、主表面20に形成された第3電極14と、一部が主表面20上に形成された第1電極12および第2電極13とを備える。LEDパッケージ10は、LEDチップ15と、このLEDチップ15を覆うように形成された波長変換層17と、この波長変換層17を覆うように形成された封止層18とを備える。
【0123】
第1電極12は、主表面20に形成された実装部12cと、この実装部12cに接続され、主表面20から主表面21に達する接続部12dと、接続部12dに接続されると共に、主表面21に形成された背面部12eとを含む。
【0124】
第2電極13は、主表面20に形成された実装部13cと、この実装部13cに接続され、主表面20から主表面21に達する接続部13dと、接続部13dに接続されると共に、主表面21に形成された背面部13eとを含む。
【0125】
図27に示すように、実装部12cおよび実装部13cは、いずれも、半円形状に形成されている。実装部12cの外周縁部は、半円状の縁部と、この半円状の縁部の両端部を接続する直線部とを含む。実装部13cの外周縁部は、半円状の縁部と、この半円状の縁部の両端部を接続する直線部とを含む。
【0126】
そして、実装部12cと、実装部13cとは互いに間隔をあけて配置されており、実装部12cの直線部と、実装部13cの直線部とが互いに対向するように、実装部12cと実装部13cとは配置されている。LEDチップ15は、実装部12c上から実装部13c上に跨るように実装されている。
【0127】
図26に示すように、LEDチップ15は、アノード28とカソード29とを含み、アノード28は、実装部12cに電気的に接続されている。カソード29は、実装部13cに電気的に接続されている。
【0128】
第3電極14は、主表面20に形成されている。第3電極14は、実装部12cと、実装部13cと、LEDチップ15の周囲を取り囲むように形成された環状の環状部14dと、環状部14dに接続された、引出部14eおよび引出部14fとを含む。
【0129】
なお、この図27では、波長変換層17は、省略されているが、波長変換層17はLEDチップ15を中心として半球体状に形成されている。
【0130】
このように形成されたLEDパッケージ10の製造方法について説明する。図28は、LEDパッケージ10の製造工程の第1工程を示す平面図である。この図28に示すように、マザー基板60を準備する。マザー基板60の各形成領域61a〜61fには、各々貫通孔70と貫通孔71とが形成されている。
【0131】
貫通孔70および貫通孔71は、いずれも、マザー基板60の一方の主表面から他方の主表面に達するように形成されている。
【0132】
図29は、図28に示す製造工程後の工程を示す平面図である。この図29において、まず、マザー基板60にスパッタリングを施して、金属膜をマザー基板60の表面上に形成する。その後、溶液にマザー基板60を溶液につけて、金属膜を成長させて、図28に示す貫通孔70,71を金属膜で埋める。
【0133】
その後、金属膜にフォトリソグラフを施して、各形成領域61a〜61fに第1電極12と、第2電極13と、第3電極14とを形成する。この際、各形成領域61a〜61fに形成された第3電極14を接続する接続部72も形成される。
【0134】
接続部72は、マザー基板60の一方の長辺部に形成された基部73と、この基部73から他方の長辺部に向けて延びる複数の接続配線74〜77とを含む。
【0135】
図30は、図29に示す製造工程後の工程を示す平面図である。この図30において、LEDチップ15を実装部12cおよび実装部13c上に実装して、LEDチップ15を実装部12cと実装部13cとに電気的に接続する。
【0136】
そして、第1電極12および第2電極13に+の電圧を印加し、接続部72に−の電圧を印加する。
【0137】
これにより、実装部12cおよび実装部13cと、環状部14dとの間に電界が形成される。ここで、環状部14dは、実装部12cおよび実装部13cの周囲を取り囲むように形成されているため、実装部12cおよび実装部13cと、環状部14dとの間に形成される電界の強度部分は、略均一となる。
【0138】
このため、LEDチップ15の周囲に蛍光体樹脂62内の蛍光体が均等に集まる。これにより、波長変換層17が半球体状に形成される。これに伴い、図31に示すように、波長変換層17を覆う透明樹脂層63が形成される。
【0139】
そして、波長変換層17などが形成されたマザー基板60をベークすることで、透明樹脂層63が封止層18となり、LEDパッケージアレイ50が形成される。本実施の形態3に係るLEDパッケージアレイ50も、複数のLEDパッケージ10が連結された状態となっている。
【0140】
このLEDパッケージアレイ50を分割することで、複数のLEDパッケージ10を作成することができる。
【0141】
(実施の形態4)
図32から図38を用いて、本実施の形態4に係るLEDパッケージ10およびLEDパッケージアレイ50と、LEDパッケージ10の製造方法について説明する。なお、図32から図38に示す構成のうち、上記図1から図31に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0142】
図32は、本実施の形態3に係るLEDパッケージ10を示す断面図である。図33は、図32に示すLEDパッケージ10の平面図である。
【0143】
図32および図33に示すように、LEDパッケージ10は、主表面20および主表面21を含む基板11と、基板11の表面に形成された第1電極12と、基板11の表面上に形成された第2電極13と、基板11の主表面20に形成された第3電極14と、基板11の主表面20に形成された第4電極82と、主表面20に形成された第5電極83とを備える。
【0144】
LEDパッケージ10は、第3電極14の上面上に実装されたLEDチップ15と、このLEDチップ15を覆うように形成された波長変換層17と、この波長変換層17を覆うように形成された封止層18とを備える。
【0145】
第1電極12と、第2電極13と、第3電極14と、第4電極82と、第5電極83とは、いずれも、電気的に接続されていない。第1電極12と、LEDチップ15のアノードは、金ワイヤ16aによって接続されており、第2電極13とLEDチップ15のカソードとは、金ワイヤ16bによって接続されている。
【0146】
第3電極14は、LEDチップ15が実装される実装部14aと、この実装部14aに接続された引出部14bとを含む。実装部14aは、円形状に形成されており、引出部14bは、基板11の一方の辺部22から辺部23に亘って形成されている。
【0147】
第4電極82は、第3電極14と隣り合うように配置されており、第4電極82は、実装部14aの周囲を取り囲むように形成された円弧状の円弧部84と、円弧部84に接続された引出部85とを含む。
【0148】
第5電極83は、第3電極14に対して第4電極82と反対側に配置されている。第5電極83は、実装部14aの周囲を取り囲むように形成された円弧部87と、この円弧部87に接続された引出部86とを含む。ここで、第4電極82の円弧部84と、第5電極83の円弧部87とによって、実装部14aの周囲の略全周が取り囲まれるように形成されている。
【0149】
第1電極12は、第4電極82に対して第3電極14と反対側に配置されており、第2電極13は、第5電極83に対して第3電極14と反対側に配置されている。封止層18は、LEDチップ15と、実装部14aと、円弧部84と、円弧部87とを覆うと共に、引出部14bの少なくとも一部と、引出部85の少なくとも一部とを覆うように形成されている。
【0150】
波長変換層17は、第3電極14の上面のうち、封止層18によって覆われた部分に形成されている。波長変換層17のうち、実装部14a上に形成された部分は、略半球状に形成されている。
【0151】
このように、本実施の形態4に係るLEDパッケージ10においても、波長変換層17のうち、LEDチップ15を覆う部分が半球状に形成されているため、上記実施の形態1に係るLEDパッケージ10と同様の効果を得ることができる。
【0152】
上記のように形成されたLEDパッケージ10の製造方法について説明する。
図34は、本実施の形態4に係るLEDパッケージ10の製造工程の第1工程を示す平面図である。この図34に示すように、複数の穴部90および穴部91が形成されたマザー基板60を準備する。
【0153】
図35は、図34に示す製造工程後の工程を示す平面図である。この図35において、マザー基板60の表面にスパッタリングによって、金属膜を形成する。その後、スパッタリングが施されたマザー基板60を溶液につけて、金属膜を成長させる。これにより、図34に示す穴部90および穴部91が金属膜によって埋められる。
【0154】
その後、このマザー基板60にエッチングを施して、マザー基板60の主表面上に92第1電極12と、第2電極13と、第3電極14と、第4電極82と、第5電極83と、接続部92と、接続部93とを形成する。
【0155】
なお、マザー基板60の主表面は、複数の形成領域61a、形成領域61b、形成領域61dおよび形成領域61eを含み、各形成領域に、第1電極12と、第2電極13と、第3電極14と、第4電極82と、第5電極83とが形成される。
【0156】
ここで、形成領域61aに形成された第3電極14と、第4電極82と、第5電極83とは、形成領域61bに形成された第3電極14と、第4電極82と、第5電極83とにそれぞれ接続されている。
【0157】
また、形成領域61bに形成された第3電極14と第4電極82と第5電極83とは、形成領域61eに形成された第3電極14と第4電極82と第5電極83とにそれぞれ接続されている。そして、各形成領域に形成された第3電極14は、接続部92に接続されており、引出部85および引出部86は、接続部93に接続されている。
【0158】
なお、形成領域61aに形成された第2電極13と、形成領域61bに形成された第1電極12とが接続されており、形成領域61dに形成された第2電極13と、形成領域61eに形成された第1電極12とが一体的に接続されている。
【0159】
図36は、図35に示す製造工程後の工程を示す平面図である。この図36に示すように、LEDチップ15を、各形成領域に形成された実装部14a上にLEDチップ15を実装する。
【0160】
その後、LEDチップ15に金ワイヤ16aおよび金ワイヤ16bを接続する。そして、LEDチップ15のアノードと第1電極12とを接続し、LEDチップ15のカソードと第2電極13とを接続する。
【0161】
図37は、図36に示す製造工程後の製造工程を示す平面図である。この図37に示すように、実装部14aと、円弧部84と、円弧部87とを覆うように、蛍光体樹脂62を塗布する。
【0162】
この際、引出部14bの少なくとも一部と、引出部85の少なくとも一部と、引出部86の少なくとも一部とは、蛍光体樹脂62によって覆われる。なお、蛍光体樹脂62を塗布する前に、マザー基板60の主表面上に撥液膜を形成してもよい。具体的には、マザー基板60の主表面上に撥液膜を形成して、この撥液膜にパターニングを施す。
【0163】
これにより、マザー基板60のうち、蛍光体樹脂62が塗布される領域が撥液膜から露出する。このような撥液膜を形成した後に、蛍光体樹脂62を塗布するようにしてもよい。
【0164】
図38は、図37に示す製造工程後の工程を示す平面図である。この図38において、第3電極14に+の電圧を印加し、第4電極82および第5電極83に−の電圧を印加する。この際、第3電極14と、第4電極82および第5電極83とは、LEDチップ15と電気的に接続されていない。このため、第4電極82および第5電極83に電圧を印加したとしても、LEDチップ15に電圧が印加されない。
【0165】
したがって、第4電極82および第5電極83に大きな電圧を印加したとしても、LEDチップ15が損傷するおそれを抑制することができる。このため、第4電極82および第5電極83に大きな電圧を印加することで、短時間で蛍光体樹脂62内の蛍光体をLEDチップ15の周囲に形成することができる。
【0166】
この際、LEDチップ15は、実装部14a上に実装されており、円弧部84および円弧部87は、LEDチップ15aの周囲を取り囲むように形成されている。特に、本実施の形態4に係る例においては、円弧部84および円弧部87は、いずれも、実装部14aを中心として円弧状に形成されている。
【0167】
このため、実装部14aと円弧部84との間と、実装部14aと円弧部87との間とに形成される電界強度は、略均一に分布する。このため、蛍光体樹脂62内に含まれる蛍光体が実装部14aの上面に均等に形成される。これに伴い、LEDチップ15を覆うように半球状の波長変換層17が形成される。この際、波長変換層17は、実装部14aの上面のみならず、引出部14bの上面上にも形成される。
【0168】
また、蛍光体樹脂62内の蛍光体が実装部14a上などに集まることで、透明樹脂層63が波長変換層17を覆うように形成される。
【0169】
そして、透明樹脂層63が形成されたマザー基板60をオーブンで加熱することで、透明樹脂層63がベークされて、封止層18が形成される。
【0170】
これにより、各形成領域にLEDパッケージ10が形成されたLEDパッケージアレイ50を得ることができる。
【0171】
なお、このLEDパッケージアレイ50は、接続部93と、接続部92とを含み、接続部93には、第4電極82および第5電極83が接続され、接続部92には、第3電極14が接続されている。
【0172】
そして、第4電極82と、第5電極83とは、櫛歯状に形成されており、第3電極14も櫛歯状に形成されている。第4電極82および第5電極83の間に第3電極14が挿入されており、第4電極82と第3電極14と第5電極83とは交互に配置されている。
【0173】
このように、透明樹脂層63が形成されたマザー基板60を、各形成領域ごとに分割することで、本実施の形態4に係るLEDパッケージ10を得ることができる。
【0174】
なお、上記実施の形態1〜4の例においては、電極上にLEDチップ15を実装して、当該電極に電圧を印加することで、LEDチップ15を覆うように波長変換層17を形成しているが、波長変換層17を形成する際にLEDチップ15が当該電極上に配置されていることは必須ではない。
【0175】
たとえば、蛍光体を電気遊動させるために用いる電極と隣り合うようにLEDチップ15を配置するようにしてもよい。この場合においても、電気遊動によって蛍光体が電極の周囲に集まる。この際、蛍光体がLEDチップ15を覆うように集まることで、LEDチップ15を覆うように波長変換層17が形成される。
【0176】
すなわち、本発明においては、蛍光体を集めるための電極を準備して、当該電極に電圧を印加することで、波長変換層を形成するようにしている。
【実施例1】
【0177】
図39および図40を用いて、本発明の実施例1について説明する。図39に示すように、配線シート80に銅配線81(銅箔厚さ35um、配線ピッチ1.5mm、配線幅0.55mm)の櫛歯パターンを作成する。その後、パターン上に蛍光体樹脂を塗布し、ガラス板で挟みこんだのち、図40に示すように、銅配線81が交互に正極と負極となるように1000Vの電圧を印加したところ、正極側に蛍光体が集まった。この結果から、本検証実験で用いた蛍光体粒子は負電荷が帯電していると確認できる。
【実施例2】
【0178】
図6などを用いて、実施例2に係るLEDパッケージ10の製造方法について説明する。図6に示すように、マザー基板60は平板状に成型したアルミナセラミックを準備する。さらに、基板成型時に図6に示した一点鎖線の位置に溝を形成しておくことで、後工程での分断が容易に行えるようにしておいた。
【0179】
ここで、アルミナセラミックの厚みは1mmで、溝は1パッケージあたり角5mmとなるように形成した。
【0180】
次に、図7に示すように、第1電極12と、第2電極13と、第3電極14などをAu厚膜印刷により電極パターンを形成した。Au厚膜は35umとした。また、LEDパッケージの電極パターンは、第1電極12の円弧部12aと、第2電極13の円弧部13aとが内径3mm、幅25um、基板中央を中心とした円弧状となるように形成した。さらに、第3電極14の実装部14aが直径2mm、基板中央を中心とした円形状となるように形成した。さらに、第1電極12と第2電極13とがそれぞれが結線され、結線部がLEDパッケージアレイ上端部に来るようにし、第3電極14それぞれが結線され、結線部がLEDパッケージアレイ下端部に来るようにしている。
【0181】
内径が4mm、幅が0.1mmのドーナツ形状の撥液膜を形成した。この環状に形成された撥液膜から実装部14aと、円弧部12aと、円弧部13aとが露出している。
【0182】
次に、φ2mmで形成した実装部14a上に、シリコーン樹脂のダイボンド剤を塗布し、図9に示すように、LEDチップ15をダイボンドした(step1)。ここで、使用したLEDチップ15は発光波長450nm、サイズは縦:1mm、横:1mm、高さ0.1mmであり、基板実装面には厚み100nmのアルミを蒸着することで反射面を形成している。
【0183】
次に、図11に示すように、直径25umの金ワイヤを用いて、第1電極12および第2電極13と、LEDチップのアノード、カソード電極とにそれぞれワイヤボンドを行い、電気的に接続した(Step2)。
【0184】
次に図13に示すように、蛍光体と透明樹脂とシリカを攪拌混合した蛍光体樹脂62を形成領域61a〜61fの中心に、蛍光体樹脂62が直径4mm、高さ2mmの半球になるように塗布した。ここで蛍光体はYAG蛍光体を用いており、濃度は3%とした。また、透明樹脂にはシリコーン樹脂を用いた。さらに、透明樹脂中の蛍光体が自然沈降しないようにシリカを濃度2%添加することで粘度を調整した。ここで、透明樹脂は、直径4mmの円領域よりも外に出ようとしても、基板に塗布した溌液剤によってはじかれるため、良好な半球状になる(Step3)。
【0185】
次に、図18に示すように、第1電極12および第2電極13が正極、第3電極14が負極になるように電圧を印加することで、蛍光体を電気泳動させ、第3電極14に集めることで、LEDチップ15の周りに均一な厚みで波長変換層17を形成した(Step4)。ここで、印加電圧は1000V、印加時間は5分とした。また、電圧の印加点はLEDパッケージアレイ上端部と下端部に形成した各電極の結線部の2点である。本実施例では、LEDチップ15の外周にそって厚み0.5mmの波長変換層17が形成できた。
【0186】
次に、図20に示すように、LEDパッケージアレイをオーブンに投入し、透明樹脂層63を加熱硬化した。ここで、オーブンは温度150度、加熱時間5時間とした。
前記のように、製造したLEDパッケージアレイ50を基板上の溝CLにそって分断することで個片化し、LEDパッケージ10とした。
【0187】
これらのLEDパッケージ10の色度ばらつきを測定した結果、CIE表色系の色度Xで±2/1000、色度Yで±5/1000と良好な結果が得られた。
【比較例】
【0188】
以下では、本発明の比較例を詳細に説明する。
実施例2との相違点として、Step3では、シリカを添加せずに、蛍光体と透明樹脂のみを攪拌混合した蛍光体樹脂62をLEDパッケージ中心に、蛍光体樹脂62が直径4mm、高さ2mmの半球になるように塗布した。
【0189】
次のStep4では、第1電極12、第2電極13、および第3電極14間には電圧をかけずに、蛍光体が自然沈降するまで放置することで、波長変換層17を形成した。ここで放置時間は2時間とした。本比較例では基板表面とLEDチップ15外周にそって厚み0.2mmの波長変換層17が形成できた。
【0190】
Step5では、LEDパッケージアレイをオーブンに投入し、透明樹脂層63を加熱硬化した。ここで、オーブンは温度150度、加熱時間5時間とした。
【0191】
前記のように、製造したLEDパッケージアレイ50を基板上の溝CLにそって分断することで個片化し、LEDパッケージ10とした。
【0192】
これらのLEDパッケージ10の色度ばらつきを測定した結果、CIE表色系の色度Xで±4/1000、色度Yで±15/1000と実施例1に比べて色度ばらつきがおおきかった。さらに、平均の色度を比較すると、実施例1に比べて比較例1のほうが色度Yで20/1000程度低くなっており、青みがかっていた。これは、比較例では、基板表面にも波長変換層が形成されている分、LEDチップまわりに形成された波長変換層が、実施例よりも薄いことに起因しており、比較例で実施例2と同様の色度にしようとすると、蛍光体樹脂中の蛍光体濃度を上げる必要がある。しかし、蛍光体濃度を上げると蛍光体樹脂の粘度があがり、Step4での自然沈降の時間が長くなってしまい、生産性がわるい。当然、蛍光体濃度をあげるには蛍光体の使用量を増やさなければならず、LEDパッケージのコストアップの要因になってしまう。
【0193】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0194】
11 基板、12 第1電極、12a,13a 円弧部、12b,13b,14b,14e,14f 引出部、12c,13c,14a 実装部、12d,13d,14c,51,52,72 接続部、12e,13e 背面部、13 第2電極、14 第3電極、14d 環状部、15 LEDチップ、16a,16b 金ワイヤ、17 波長変換層、18 封止層、20,21 主表面、22〜25 辺部、26 本体、26a 発光層、27 反射部、28 アノード、29 カソード、30 ダイボンド剤、31 撥液膜、35um 厚さ、40,41,42,44,45,46,47,74〜77 接続配線、43,48,73 基部、50 パッケージアレイ、60 マザー基板、61a〜61f 形成領域、62 蛍光体樹脂、63 透明樹脂層、70,71 貫通孔、80 配線シート、81 銅配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に配列する第1主表面と第2主表面とを含む基板と、
アノードおよびカソードを含み、前記第1主表面に設けられると共に、第1波長域の光を発光する発光素子と
前記発光素子を覆うように形成され、前記第1波長域の光によって励起して第2波長域の光を発光する波長変換層と、
前記波長変換層を覆うように形成された封止層と、
前記アノードに接続され、前記第1主表面に設けられた第1電極と、
前記カソードに接続され、前記第1主表面に設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とは電気的に接続されていない第3電極と、
を備え、
前記第1電極の少なくとも一部と前記第2電極の少なくとも一部と前記第3電極の少なくとも一部と前記発光素子とが前記封止層に覆われた、発光パッケージ。
【請求項2】
前記発光素子は、前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極との少なくとも1つの電極上に実装された、請求項1に記載の発光パッケージ。
【請求項3】
前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極とのうち、前記発光素子が実装されていない電極は、前記発光素子の周囲を取り囲むように配置された、請求項2に記載の発光パッケージ。
【請求項4】
前記発光素子は、前記第3電極に実装され、
前記第1電極および前記第2電極で前記発光素子の周囲を取り囲むように設けられた、請求項3に記載の発光パッケージ。
【請求項5】
前記第3電極は、前記発光素子が実装される実装部と、前記実装部に接続され、前記第1主表面から第2主表面に達する接続部とを含む、請求項4に記載の発光パッケージ。
【請求項6】
前記発光素子は、前記第1電極と前記第2電極とに跨るように実装され、
前記第3電極は、前記発光素子の周囲を環状に取り囲むように設けられた、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発光パッケージ。
【請求項7】
前記発光素子は、実装面に設けられた反射部を含む、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発光パッケージ。
【請求項8】
前記発光素子は、前記第1電極と前記第2電極と前記第3電極との少なくとも1つの電極上に実装され、
前記発光素子が実装された電極は、高反射率金属で形成され、
前記高反射率金属の前記第1波長域の光の反射率は、金の前記第1波長域の光を反射する反射率よりも高い、請求項1から請求項7のいずれかに記載の発光パッケージ。
【請求項9】
前記発光素子は、LEDチップである、請求項1から請求項8のいずれかに記載の発光パッケージ。
【請求項10】
前記波長変換層は、前記発光素子を中心として半球状に形成されており、前記封止層は、前記発光素子を中心として半球状に形成された、請求項1から請求項9のいずれかに記載の発光パッケージ。
【請求項11】
厚さ方向に配列する複数の第1主表面および第2主表面とを含む基板と、
アノードおよびカソードを含み、前記第1主表面に設けられると共に、第1波長域の光を発光する発光素子と、
前記アノードが接続された第1電極と、
前記カソードが接続された第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極に電気的に接続されず、前記発光素子が実装された第3電極と、
前記第1電極、第2電極および第3電極に電気的に接続されていない第4電極と、
前記発光素子を覆うように形成され、前記第1波長域の光を吸収して第2波長域の光を発光する波長変換層と、
前記第3電極の少なくとも一部と前記第4電極の少なくとも一部とを覆うように形成された封止層と、
を備えた、発光パッケージ。
【請求項12】
前記第3電極は、前記発光素子が実装される実装部を含む、請求項11に記載の発光パッケージ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の発光パッケージが複数連結された発光パッケージアレイであって、
各発光パッケージに設けられた第1電極は、互い接続され、
各発光パッケージに設けられた第2電極は、互い接続され、
各発光パッケージに設けられた第3電極は、互い接続された、発光パッケージアレイ。
【請求項14】
前記第3電極は、前記発光素子が実装される実装部を含み、
前記第1電極同士を接続すると共に、前記第2電極同士を接続する複数の第1接続配線と、
前記実装部同士を接続する複数の第2接続配線と、
をさらに備え、
前記第1接続配線と前記第2接続配線とは交互に配置された、請求項13に記載の発光パッケージアレイ。
【請求項15】
厚さ方向に配列する第1主表面と第2主表面とを含み、前記第1主表面に第1電極と第2電極と第3電極とが設けられ基板を準備する工程と、
前記第1主表面に発光素子を実装する工程と、
前記第1電極の少なくとも一部と、前記第2電極の少なくとも一部と、前記第3電極の少なくとも一部と、前記発光素子とを覆うように、透明樹脂に蛍光体を混合した蛍光体樹脂を塗布する工程と、
前記蛍光体樹脂を形成した後に、前記第1電極と前記第2電極の少なくとも一方と、前記第3電極との間に電圧を印加することで形成された電界で前記蛍光体を電気遊動させる工程と、
を備えた、発光パッケージの製造方法。
【請求項16】
前記発光素子は、前記第3電極に実装される、請求項15に記載の発光パッケージの製造方法。
【請求項17】
前記発光素子は、前記第1電極および前記第2電極に亘って実装される、請求項15に記載の発光パッケージの製造方法。
【請求項18】
前記第1主表面に撥液膜を形成する工程をさらに備え、
前記撥液膜は、前記第1電極の少なくとも一部と、前記第2電極の少なくとも一部と、前記第3電極の少なくとも一部と、前記第1主表面のうち、前記発光素子が実装される部分とを露出するように形成される、請求項15から請求項17のいずれかに記載の発光パッケージの製造方法。
【請求項19】
前記蛍光体樹脂は、前記蛍光体とシリカと透明樹脂とによって形成された、請求項15から請求項18のいずれかに記載の発光パッケージの製造方法。
【請求項20】
厚さ方向に配列する第1主表面と第2主表面とを含み、前記第1主表面に第1電極と第2電極と第3電極と第4電極が設けられ基板を準備する工程と、
発光素子を前記第4電極に実装する工程と、
前記第1電極と前記発光素子を接続する工程と、
前記第2電極と前記発光素子を実装する工程と、
前記第3電極の少なくとも一部と前記第4電極の少なくとも一部と前記発光素子とを覆うように、透明樹脂に蛍光体を混合した蛍光体樹脂を形成する工程と、
前記蛍光体樹脂を形成した後に、前記第3電極および前記第4電極に電圧を印加することで形成された電界で、前記蛍光体を電気遊動させる工程と、
を備えた、発光パッケージの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2013−110353(P2013−110353A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256121(P2011−256121)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】