説明

発光パネルのエイジング検査方法

【課題】多数の発光パネルの光学及び電気特性検査を小スペースで連続して同時にかつ安定して行うことが可能な発光パネルのエイジング検査方法を提供する。
【解決手段】検査パレット12に並べて搭載されたエイジング試験中の発光パネル11の明るさを一定時間毎に光検出器16で測定する発光パネル11のエイジング検査方法であって、光検出器16に積分型ラインカメラを使用し、その走査周期を該積分型ラインカメラで撮像する1ライン内に存在する発光素子の発光周期の整数倍に設定する。そして、積分型ラインカメラで撮像した一定時間毎の発光パネル11の画像から赤発光画素、緑発光画素、及び青発光画素毎の領域を抽出してそれぞれ平均輝度を算出し、該各平均輝度の時間変化の大きさから色度変化を求め発光パネル11の良否判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光パネルのエイジング検査装置及びその方法に係り、更に詳細には複数の発光パネルを搭載した検査パレットを多段に収納して、小スペースで安定的、かつ連続的に全数検査する装置及びその方法に関する。
ここで、発光パネルとは、例えば、有機エレクトロルミネッセンスパネルやプラズマディスプレイパネル(PDP)を指す。
【背景技術】
【0002】
従来、発光パネルを恒温槽内に設けられたステージの上に平面的に並べて発光させ、所定の時間間隔で発光パネルの輝度、色度等を測定器で測定し、輝度、色度等の時間変化を求める発光パネルの光学的エイジング検査を行う検査装置が市販されている。
また、発光パネルを発光可能な状態でカセット内に複数収納し、カセット単位で搬送して恒温槽内に設けられた棚に収納すると共に、カセットを介して各発光パネルに電力を供給して発光パネルを発光させて電気的エイジング検査を行う検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この検査装置では、多量の発光パネルの電気的エイジング検査を小さなスペースで実施できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−241495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光学的エイジング検査を行う市販の検査装置では、発光パネルを平面的に並べるため発光パネルの数に比例して検査装置のサイズが大きくなり、検査装置コストが上昇すると共に、検査装置の設置スペースも増加するという問題が生じる。更に、発光パネルのステージへの装着、排出が人手によって行われるため、エイジング検査における省力化が困難になっていた。
一方、特許文献1に記載された発明の検査装置で光学的エイジング検査も可能にするには、輝度、色度等を測定する測定器が移動するための隙間をカセットの間に確保する必要がある。このため、カセットを収容する棚のサイズが大きくなって、検査装置のサイズも大きくなるという問題が生じ、検査装置のコスト上昇及び設置スペースの増加という問題が発生する。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、多数の発光パネルの光学特性検査及び電気特性検査を小スペースで連続して同時にかつ安定して行うことが可能な発光パネルのエイジング検査装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う請求項1記載の発光パネルのエイジング検査装置は、通電可能な状態にセットされた複数の発光パネルを搭載した検査パレットを順次受け入れ、搬出時まで収納する搬入ステーションと、
前記搬入ステーションと並べて設けられ、該搬入ステーションから搬出された前記検査パレットを多段に収容して該各検査パレットに搭載している前記発光パネルにそれぞれ通電して一定時間のエイジング試験を行いながら所定時間毎に該発光パネルの電気特性検査を行うエイジング試験手段と、
前記エイジング試験手段と並べて設けられ、前記エイジング試験終了後に該エイジング試験手段から取り出された前記検査パレットを順次受け入れ、搬出時まで収納する検査済パレット収納手段と、
前記搬入ステーションから前記検査パレットを引き出し前記エイジング試験手段に搬送して装入し、かつ、該エイジング試験手段に収納されている該検査パレットを設定された時間毎に引き出し前記エイジング試験中の前記各発光パネルの明るさを搭載した光検出器で順次測定する光学特性検査を行ってから再度該エイジング試験手段に装入することを繰り返し、更に、前記エイジング試験が終了すると該エイジング試験手段から該検査パレットを引き出し前記検査済パレット収納手段に搬送して装入することが可能な検査パレット搬送手段と、
前記発光パネル毎に前記電気特性検査及び前記光学特性検査の判定を行うエイジング試験判定手段とを有する。
【0007】
検査前の検査パレットを順次受け入れる搬入ステーションと、検査済の検査パレットを順次受け入れる検査済パレット収納手段を設けることにより、搬入ステーションから検査パレットを順次引き出してエイジング試験手段に装入してエイジング試験を開始し、エイジング試験が終了した検査パレットをエイジング試験手段から順次引き出して搬送し検査済パレット収納手段に装入するまでの全操作を自動で行うことができる。
検査パレットがエイジング試験手段に多段で収容されるので、エイジング試験手段のサイズを大きくしなくても大量の発光パネルを収容することができる。また、光学特性検査は検査パレットをエイジング試験手段から引き出して外で行うので、光検出器が移動するスペースをエイジング試験手段内に設ける必要がなくエイジング試験手段の設置床面積を縮小することができる。
更に、エイジング試験手段内で発光している発光パネルを設定された時間(例えば、1時間)毎に引き出して光学特性検査を繰り返すようにすることで、電気特性検査を行いながら光学特性検査を行うことができる。ここで、電気特性検査とは、発光パネルに通電した際の電圧と電流の時間変化を、一定時間(例えば、1分)毎に測定することをいう。
【0008】
請求項2記載の発光パネルのエイジング検査装置は、請求項1記載の発光パネルのエイジング検査装置において、前記光検出器が積分型ラインカメラである。
積分型ラインカメラには複数段(例えば、N段)の受光素子列が搭載されているので、露光時間Tで発光パネルからの光を検出して前面の受光素子列で発生した初期電荷量は順に後段側の受光素子列に転送されて、最終段の受光素子列から出力される総電荷量は初期電荷量のN倍になる。従って、積分型ラインカメラを用いて露光時間Tで撮像すると、露光時間TをN倍にして撮像したのと同等の明るさの画像を得ることができる。このため、発光パネルの明るさを測定する際の測定時間を短縮することができる。
【0009】
請求項3記載の発光パネルのエイジング検査装置は、請求項1及び2記載の発光パネルのエイジング検査装置において、前記検査済パレット収納手段には、前記エイジング試験判定手段で合格と判定された前記発光パネルのみを搭載した検査パレットを受け入れる合格ステーションと、該エイジング試験判定手段で不合格と判定された前記発光パネルを搭載した検査パレットを受け入れる不合格ステーションを有している。
これによって、合格と判定された発光パネルのみを搭載した検査パレットと、不合格と判定された発光パネルを搭載した検査パレットを選別して保管することができる。
【0010】
請求項4記載の発光パネルのエイジング検査装置は、請求項1〜3記載の発光パネルのエイジング検査装置において、前記検査パレットには前記各発光パネルに電力を供給する出力側電極と、該各出力側電極に接続する入力側電極を有するパレット側コネクターが設けられ、前記エイジング試験手段には装入された前記検査パレットの前記パレット側コネクターと着脱可能な試験手段側コネクターが設けられている。
これによって、検査パレット単位でエイジング試験を行うことができる。
【0011】
請求項5記載の発光パネルのエイジング検査装置は、請求項4記載の発光パネルのエイジング検査装置において、前記試験手段側コネクターは、前記検査パレットが前記エイジング試験手段に装入された際に前記パレット側コネクターと自動的に接続して通電を開始し、前記光学特性検査の際には該検査パレットの移動に伴って該パレット側コネクターと接続した状態で該エイジング試験手段内を進退し、前記エイジング試験が終了して該エイジング試験手段から該検査パレットが引き出される際には通電を停止して該パレット側コネクターと自動的に分離する。
このような構成とすることにより、検査パレットをエイジング試験手段に装入すると直ちにエイジング試験を開始し、エイジング試験を行いながら電気特性検査を行うことができ、更に、各発光パネルを発光させた状態で検査パレットを引き出したり装入したりすることができる。また、エイジング試験が終了して検査パレットを引き出したい場合は、検査パレットのみを引き出すことができる。
【0012】
請求項6記載の発光パネルのエイジング検査装置は、請求項1〜5記載の発光パネルのエイジング検査装置において、前記光検出器の感度の校正を行う校正ステーションが設けられている。
これによって、光検出器の感度を一定にしてエイジング試験を行うことができる。
【0013】
前記目的に沿う請求項7記載の発光パネルのエイジング検査方法は、検査パレットに並べて搭載されたエイジング試験中の発光パネルの明るさを一定時間毎に光検出器で測定する発光パネルのエイジング検査方法であって、
前記光検出器に積分型ラインカメラを使用し、該積分型ラインカメラの走査周期を該積分型ラインカメラで撮像する1ライン内に存在する発光素子の発光周期の整数倍に設定する。
これによって、積分型ラインカメラで得られる測定画像に、発光素子の発光動作に起因した明るさのむらが発生するのを防止でき、発光パネルの発光特性を反映する測定画像を得ることができる。
【0014】
請求項8記載の発光パネルのエイジング検査方法は、請求項7記載の発光パネルのエイジング検査方法において、前記積分型ラインカメラで撮像した一定時間毎の前記発光パネルの画像から赤発光画素、緑発光画素、及び青発光画素毎の領域を抽出してそれぞれ平均輝度を算出し、該各平均輝度の時間変化の大きさから色度変化を求め前記発光パネルの良否判定を行う。
これによって、エイジング試験中の発光パネルの色度(色合い)の変化を定量的に把握することができる。
【0015】
請求項9記載の発光パネルのエイジング検査方法は、請求項7及び8記載の発光パネルのエイジング検査方法において、前記光検出器の感度の校正を一定時間おきに行う。
これによって、エイジング試験中の光検出器の感度を一定に保つことができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜6記載の発光パネルのエイジング検査装置においては、検査パレット単位で発光パネルのエイジング試験を自動的に行うことができるので、検査パレットへの各発光パネルのセット(搭載)、発光パネルを搭載した検査パレットの搬入ステーションへの装入、及び検査済パレット収納手段からの検査パレットの取り出しだけを人手で行えばよいことになる。その結果、大量の発光パネルのエイジング試験を効率的かつ省力化して実施することが可能になる。
また、検査パレットをエイジング試験手段内で多段に収容することで大量の発光パネルを収容してもエイジング試験手段の設置面積の増加を防止し、かつ、光学特性検査をエイジング試験手段から検査パレットを引き出して外で行うことにより光検出器が移動するスペースをエイジング試験手段から除去してエイジング試験手段の面積を検査パレットが収容できる面積まで縮小することができるので、エイジング検査装置のサイズをコンパクトにして製造コストの上昇を抑えると共に、エイジング検査装置の設置スペースを小さくすることが可能になる。
更に、エイジング試験手段内で発光している発光パネルを設定された時間毎に引き出して光学特性検査を繰り返すようにすることで電気特性検査と光学特性検査を同時進行で行うことができ、短時間で効率的に発光パネルのエイジング試験を行うことが可能になる。
【0017】
特に、請求項2記載の発光パネルのエイジング検査装置においては、光検出器が積分型ラインカメラであるので、発光パネルの明るさを測定する際の測定時間を短縮することができ、光学特性検査の時間を短縮することが可能になる。
【0018】
請求項3記載の発光パネルのエイジング検査装置においては、検査済パレット収納手段には、エイジング試験判定手段で合格と判定された発光パネルのみを搭載した検査パレットを受け入れる合格ステーションと、エイジング試験判定手段で不合格と判定された発光パネルを搭載した検査パレットを受け入れる不合格ステーションを有しているので、合格と判定された発光パネルのみを搭載した検査パレットと、不合格と判定された発光パネルを搭載した検査パレットを選別して保管することができ、合格と判定された発光パネルのみを直ちに次工程に搬送することが可能になる。
【0019】
請求項4記載の発光パネルのエイジング検査装置においては、検査パレットには各発光パネルに電力を供給する出力側電極と、各出力側電極に接続する入力側電極を有するパレット側コネクターが設けられ、エイジング試験手段には装入された検査パレットのパレット側コネクターと着脱可能な試験手段側コネクターが設けられているので、検査パレット単位でエイジング試験を行うことができ、大量の発光パネルのエイジング試験を効率的に実施することが可能になる。
【0020】
請求項5記載の発光パネルのエイジング検査装置においては、試験手段側コネクターは、検査パレットがエイジング試験手段に装入された際にパレット側コネクターと自動的に接続して通電を開始し、光学検査の際には検査パレットの移動に伴ってパレット側コネクターと接続した状態でエイジング試験手段内を進退し、エイジング試験が終了してエイジング試験手段から検査パレットが引き出される際には通電を停止してパレット側コネクターと自動的に分離するので、各発光パネルを発光させた状態で検査パレットを引き出したり装入したりすることができ、電気特性検査を行いながら光学特性検査を行うことが可能になる。
【0021】
請求項6記載の発光パネルのエイジング検査装置においては、光検出器の感度の校正を行う校正ステーションが設けられているので、光検出器の感度を一定にしてエイジング試験を行うことができ、安定した計測を行うことが可能になる。
【0022】
請求項7〜9記載の発光パネルのエイジング検査方法においては、発光パネルの発光特性を反映する測定画像を得ることができ、エイジング試験中の発光パネルの光学特性の時間変化を正確に把握することが可能になる。その結果、エイジング試験における発光パネルの合格、不合格の判定精度を確保することができる。
【0023】
特に、請求項8記載の発光パネルのエイジング検査方法においては、積分型ラインカメラで撮像した一定時間毎の発光パネルの画像から赤発光画素、緑発光画素、及び青発光画素毎の領域を抽出してそれぞれ平均輝度を算出し、各平均輝度の時間変化の大きさから色度変化を求め発光パネルの良否判定を行うので、発光パネルの色度(色合い)の変化を定量的に把握することができ、発光パネルの良否判定を安定して行うことが可能になると共に、良否判定を自動で行うことが可能になる。
【0024】
請求項9記載の発光パネルのエイジング検査方法においては、光検出器の感度の校正を一定時間おきに行うので、エイジング試験中の光検出器の感度を一定に保つことができ、エイジング試験における発光パネルの合格、不合格の判定精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態に係る発光パネルのエイジング検査装置の構成を示す説明図である。
【図2】同エイジング検査装置によって検査される発光パネルを搭載した検査パレットの説明図である。
【図3】同エイジング検査装置の搬入ステーションの説明図である。
【図4】同エイジング検査装置のエイジング試験手段の一部省略平面図である。
【図5】同エイジング検査装置のエイジング試験手段の一部省略平面図である。
【図6】同エイジング検査装置のエイジング試験手段の一部省略正面図である。
【図7】同エイジング検査装置の検査パレット搬送手段が検査パレットを載置している状態を示す説明図である。
【図8】同エイジング検査装置の検査パレット搬送手段の投入側パレットガイド、基板、及び短軸ロボットの関係を示す説明図である。
【図9】同エイジング検査装置の検査パレット搬送手段のパレット掛止機構の説明図である。
【図10】同エイジング検査装置の検査パレット搬送手段のパレット掛止機構の説明図である。
【図11】同エイジング検査装置の光検出器及び校正ステーションの説明図である。
【図12】(A)〜(D)はエイジング試験手段に搬入ステーションから搬送してきた検査パレットを装入する際の工程図である。
【図13】(A)〜(D)はエイジング試験手段内でエイジング試験中の検査パレットを保持する際の工程図である。
【図14】(A)〜(D)は光学特性検査を行うためにエイジング試験手段からエイジング試験中の検査パレットを引き出す際の工程図である。
【図15】(A)は積分型ラインカメラで発光パネルの光学特性検査を行う際の説明図、(B)は積分型ラインカメラの動作原理の説明図である。
【図16】積分型ラインカメラで発光パネルを撮像した際に得られる測定画像の説明図である。
【図17】(A)〜(D)はエイジング試験手段内へエイジング試験中の検査パレットを装入する際の工程図である。
【図18】(A)はエイジング試験手段内の保持位置へのエイジング試験中の検査パレットの装入が完了して検査パレットからパレット保持アームを解放した際の説明図、(B)はパレット保持アームが搬送装置内に復帰した際の説明図である。
【図19】(A)〜(C)はエイジング試験が終了した検査パレットを検査済パレット収納手段へ搬送するためにエイジング試験手段から引き出す際の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る発光パネルのエイジング検査装置の構成を示す説明図、図2は同エイジング検査装置によって検査される発光パネルを搭載した検査パレットの説明図、図3は同エイジング検査装置の搬入ステーションの説明図、図4、図5は同エイジング検査装置のエイジング試験手段の一部省略平面図、図6は同エイジング検査装置のエイジング試験手段の一部省略正面図、図7は同エイジング検査装置の検査パレット搬送手段が検査パレットを載置している状態を示す説明図、図8は同エイジング検査装置の検査パレット搬送手段の投入側パレットガイド、基板、及び短軸ロボットの関係を示す説明図、図9、図10は同エイジング検査装置の検査パレット搬送手段のパレット掛止機構の説明図、図11は同エイジング検査装置の光検出器及び校正ステーションの説明図、図12(A)〜(D)はエイジング試験手段に搬入ステーションから搬送してきた検査パレットを装入する際の工程図、図13(A)〜(D)はエイジング試験手段内でエイジング試験中の検査パレットを保持する際の工程図、図14(A)〜(D)は光学特性検査を行うためにエイジング試験手段からエイジング試験中の検査パレットを引き出す際の工程図、図15(A)は積分型ラインカメラで発光パネルの光学特性検査を行う際の説明図、(B)は積分型ラインカメラの動作原理の説明図、図16は積分型ラインカメラで発光パネルを撮像した際に得られる測定画像の説明図、図17(A)〜(D)はエイジング試験手段内へエイジング試験中の検査パレットを装入する際の工程図、図18(A)はエイジング試験手段内の保持位置へのエイジング試験中の検査パレットの装入が完了して検査パレットからパレット保持アームを解放した際の説明図、(B)はパレット保持アームが搬送装置内に復帰した際の説明図、図19(A)〜(C)はエイジング試験が終了した検査パレットを検査済パレット収納手段へ搬送するためにエイジング試験手段から引き出す際の工程図である。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る発光パネルのエイジング検査装置10は、通電可能な状態にセットされた複数の発光パネル(例えば、有機エレクトロルミネッセンス)11を搭載した検査パレット12を順次受け入れ、搬出時まで収納する搬入ステーション13と、搬入ステーション13から搬出された検査パレット12を多段に収容して各検査パレット12に搭載している発光パネル11にそれぞれ通電して電気特性検査を行ないながら一定時間のエイジング試験を行う複数(本実施の形態では3基)のエイジング試験手段14と、エイジング試験終了後に各エイジング試験手段14から取り出された検査パレット12を順次受け入れ、搬出時まで収納する検査済パレット収納手段15を有している。
【0027】
更に、エイジング検査装置10は、搬入ステーション13から検査パレット12を引き出しエイジング試験手段14に搬送して装入し、かつ、エイジング試験手段14に収納されている検査パレット12を設定された時間毎に引き出し各発光パネル11を発光させてその明るさを、搭載した光検出器16(図11参照)で順次測定する光学特性検査を行ってから再度エイジング試験手段14に装入することを繰り返し、更に、エイジング試験が終了するとエイジング試験手段14から検査パレット12を引き出し検査済パレット収納手段15に搬送して装入することが可能な検査パレット搬送手段17と、光検出器16で測定した各発光パネル11の明るさから発光パネル11毎に光学特性検査の判定を行うエイジング試験判定手段18と、光検出器16の感度の校正を行う校正ステーション19を有する。
なお、搬入ステーション13、エイジング試験手段14、検査済パレット収納手段15、校正ステーション19は一列に並べて配置されている。以下これらについて、詳細に説明する。
【0028】
発光パネル11を搭載した検査パレット12は、各発光パネル11を機械的に保持しながら各発光パネル11に電力を供給する出力側電極が設けられている複数の搭載ステージ20が形成された基板21と、基板21に取付け部材22を介して取付けられ検査パレット搬送手段17で搬送される際に掛止箇所になる移動用保持板23を有している。
更に、検査パレット12は、移動用保持板23の前面の中央部に取付けられ各出力側電極に接続する入力側電極を有するパレット側コネクター24と、移動用保持板23の前面の両側に設けられエイジング試験手段14に収容される際に検査パレット12の位置決めを行う位置決めピン25を有している。
このような構成とすることにより、複数の発光パネル11を検査パレット12に搭載して、検査パレット12単位でエイジング試験を行うことができる。
【0029】
搬入ステーション13は、例えば、棚構造となっており、図3に示すように、検査パレット12が装入されるのに十分なスペースを備えた複数のケース27を有し、各ケース27には装入された複数の検査パレット12をそれぞれ幅方向に位置決めして支持する対となる載置台28が複数段設けられている。
このような構成とすることにより、各ケース27の一方側から、発光パネル11を搭載した検査パレット12を順次装入して、複数の検査パレット12を搬入ステーション13内で同時に収納することができる。
【0030】
エイジング試験手段14は、図4、図5に示すように、検査パレット搬送手段17により運ばれて収容される検査パレット12の両側をそれぞれ支持し検査パレット12の移動の案内を行う対となるパレットガイド29、30を上下方向に多段で備えた対となるパレットガイド支持部材31、32を有している。
また、エイジング試験手段14は、収容された検査パレット12毎に、パレット側コネクター24に着脱可能で、接続時にパレット側コネクター24を介して検査パレット12に搭載された各発光パネル11に電力を供給する電力ケーブルの出力側端子を有する試験手段側コネクター33が中央部に取付けられパレットガイド29、30上を進退可能なコネクター保持板34と、試験手段側コネクター33の基側に接続され電力ケーブルを内側に収納して保護しながらコネクター保持板34の進退に伴って移動するケーブルベア35を有している。なお、コネクター保持板34には、中央部の試験手段側コネクター33の両側に対となる貫通孔36、37が設けられ、貫通孔36、37の外側に位置決めピン25が挿通する対となる挿通孔37aが設けられている。
【0031】
更に、エイジング試験手段14は、パレットガイド支持部材31、32の後方に配置され、検査パレット12が未装入の場合には各コネクター保持板34を機械的にロックし、検査パレット12が装入されてパレット側コネクター24が試験手段側コネクター33に接続された場合にコネクター保持板34のロックを解除するロック機構38を両側に多段に備えたコネクター保持ベース39を有している。また、コネクター保持ベース39には、各コネクター保持板34がコネクター保持ベース39にロックされる際に各貫通孔36、37に挿通されて各コネクター保持板34の位置を規制する位置決めピン40、41が設けられている。
そして、図6に示すように、パレットガイド支持部材31、32と、コネクター保持ベース39と、収容した検査パレット12毎に設けられているコネクター保持板34及びケーブルベア35は、例えば、前面が開放された箱型の容器44内に収容されている。更に、容器44には、各ケーブルベア35内に収容された電源ケーブルの入力側端子が接続される電源部45が設けられている。
【0032】
ここで、ロック機構38は、コネクター保持板34の背面の両側に設けられた装入ピン42と、コネクター保持ベース39の両側に設けられ各装入ピン42の先部をロックするロック部43を有しており、ロック部43は、分離している各装入ピン42が押し込まれると各装入ピン42の先部を把持してロックし、把持している各装入ピン42が押し込まれると各装入ピン42のロックを解除する機能を有している。なお、ロック機構38の初期状態は、各装入ピン42がロック部43内に押し込まれてロックされている。
このような構成とすることにより、検査パレット搬送手段17により運ばれて来た検査パレット12がエイジング試験手段14に装入されると、検査パレット12のパレット側コネクター24が試験手段側コネクター33に押し込まれて接続され、各発光パネル11に通電が開始される。また、パレット側コネクター24が試験手段側コネクター33に押し込まれる際に、コネクター保持板34に設けられた各装入ピン42はロック部43内に押し込まれるので、各装入ピン42のロックが解除される。
【0033】
これによって、検査パレット12を試験手段側コネクター33が接続された状態でエイジング試験手段14内のパレットガイド29、30上を進退させることができる。
また、エイジング試験が終了してエイジング試験手段14内に収容されている検査パレット12を引き出す際にコネクター保持ベース39側に一度押し込んでから引き出すようにすると、コネクター保持板34に設けられた各装入ピン42はロック部43内に押し込まれてロックされコネクター保持板34はコネクター保持ベース39に固定される。このため、検査パレット12を引き出すようにすると、パレット側コネクター24と試験手段側コネクター33との接続が解除されて各発光パネル11への通電が停止できると共に、検査パレット12だけをエイジング試験手段14内から外に引き出すことができる。
【0034】
図1に示すように、検査済パレット収納手段15は、エイジング試験判定手段18で合格と判定された発光パネル11のみを搭載した検査パレット12を受け入れる合格ステーション45aと、エイジング試験判定手段18で不合格と判定された発光パネル11を搭載した検査パレット12を受け入れる不合格ステーション45bを有している。なお、合格ステーション45aと、不合格ステーション45bは、例えば、搬入ステーション13と同様の棚構造とすることができる。
このような構成とすることにより、合格と判定された発光パネル11のみを搭載した検査パレット12と、不合格と判定された発光パネル11を搭載した検査パレット12を選別して保管することができ、エイジング試験後の発光パネルの管理が容易になる。
【0035】
検査パレット搬送手段17は、一列に並べて配置された搬入ステーション13、エイジング試験手段14、検査済パレット収納手段15、校正ステーション19と平行に隙間を設けて配設された軌道46と、軌道46上を走行して搬入ステーション13から検査パレット12を引き出しエイジング試験手段14に搬送して装入し、光学特性検査時にエイジング試験手段14から検査パレット12を引き出し検査後にエイジング試験手段14に再装入し、エイジング試験が終了するとエイジング試験手段14から検査パレット12を引き出し検査済パレット収納手段15に搬送して装入する搬送装置47を有している。
また、搬送装置47は、検査パレット12を保持して装入及び引き出しを行う投入機構部48と、投入機構部48を載置してエイジング試験手段14に設けられたパレットガイド29、30の高さ位置に合わせて投入機構部48の高さ位置を調整する上下移動部49と、上下移動部49を載置して軌道46上を走行する走行部50を有している。ここで、上下移動部49には、例えば、ボールネジを用いた上下移動機構、走行部50には、例えば、駆動車輪を用いた走行機構を適用することができるので、投入機構部48について説明する。
【0036】
図7〜図10に示すように、投入機構部48は、検査パレット12の両側が載置されて移動する投入側パレットガイド51、52が両側に設けられた基板53を有している。また、投入機構部48は、投入側パレットガイド51、52に載置された検査パレット12をエイジング試験手段14内に装入する際に、検査パレット12の移動用保持板23の両端部を掛止し、エイジング試験手段14内に装入された検査パレット12を引き出す際にコネクター保持板34の両端部を掛止する1対のパレット保持アーム54、55を備えたパレット掛止機構56と、基板53の中央部に設けられパレット掛止機構56を載置してエイジング試験手段14に対して進退させる短軸ロボット57を有している。
ここで、パレット掛止機構56は、パレット保持アーム54、55の基部側を支持する軸受58が取付けられたアーム支持部材59と、アーム支持部材59を載置する掛止機構本体60と掛止機構本体60に取付けられ、各パレット保持アーム54、55の基部と接続するロータリーアクチュエータ61、62を有している。更に、各パレット保持アーム54、55の先側には、切り欠き溝63が形成された掛止部64、65が設けられている。
【0037】
パレット掛止機構56を上記のような構成とすることにより、図9に示すように、ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて各パレット保持アーム54、55の先部に設けられた掛止部64、65を回動させて各切り欠き溝63を上方に向けて配置させることができる。
また、図10に示すように、ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて各パレット保持アーム54、55の先部に設けられた掛止部64、65を回動させて各切り欠き溝63が対向するように配置させることができる。なお、軌道46上で搬送装置47が待機している場合、図9に示すように、各パレット保持アーム54、55の先部に設けられた掛止部64、65は各切り欠き溝63を上方に向けた状態になっている。
【0038】
これによって、例えば、掛止部64、65の各切り欠き溝63を上方に向けて配置させて投入側パレットガイド51、52に検査パレット12が載置されている状態で、短軸ロボット57を駆動させてパレット掛止機構56を基板53上で進退させ、移動用保持板23の両端に対して各掛止部64、65の切り欠き溝63が対向するようにできる。
そして、ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて掛止部64、65をそれぞれ回動させて各切り欠き溝63同士が対向するようにすると、図7に示すように、各切り欠き溝63内に移動用保持板23の両端部を収納することができる。その結果、短軸ロボット57を駆動させてパレット掛止機構56を基板53上で進退させると、検査パレット12を投入側パレットガイド51、52上で移動させることができる。
【0039】
光検出器16は積分型ラインカメラであって、図11に示すように、投入機構部48のアーム支持部材59の上面に取付け部材66を介して取付けられている。ここで、取付け部材66は、検査パレット12に搭載された発光パネル11を1つずつ上方から積分型ラインカメラで撮像できるように、例えば、取付けアーム67で保持した光検出器16を検査パレット12の長さ方向にそって一定速度で移動させることが可能な第1の駆動部68と、アーム支持部材59に載置され第1の駆動部68を保持する保持アーム69を検査パレット12の幅方向にそって一定速度で移動させることが可能な第2の駆動部70を有している。
光検出器16の感度の校正を行う校正ステーション19は、校正時に基準光を発光する基準光源71と、基準光源71の輝度を測定する輝度計72と、基準光源71及び輝度計72を収容し外乱光の影響を除去する校正容器73を有している。また、校正容器73には、取付け部材66に保持された光検出器16を装入する装入口74が設けられている。
【0040】
エイジング試験判定手段18は、各発光パネル11の光学特性検査を行って測定した発光パネル11の明るさから輝度及び色度を求めて、予め設定された基準値と比較して発光パネル11の光学特性検査の判定を行う機能を有している。更に、エイジング試験判定手段18は、各発光パネル11の通電特性(電流と、電圧の時間変化)を求めて、予め設定された基準値と比較して発光パネル11の電気特性検査の判定を行う機能、光検出器16の校正を行う機能、エイジング試験判定手段18の判定結果に応じて検査済の検査パレット12を振り分け合格ステーション45aあるいは不合格ステーション45bに搬送する機能、及び各検査パレット12についてのエイジング試験の管理をする機能を有している。ここで、エイジング試験判定手段18は、上記の各機能を実現するプログラムを、例えば、コンピュータに搭載させることにより構成することができる。
更に、エイジング検査装置10には、軌道46を囲む安全柵75と、安全柵75内に出入りする扉76が設けられている。
【0041】
次に、本発明の一実施の形態に係る発光パネルのエイジング検査装置及びその方法について説明する。
先ず、搬送装置47に対してエイジング試験判定手段18から、エイジング試験を行う検査パレット12が収容されている搬入ステーション13内での場所が入力される。そこで、搬送装置47は入力情報に従って、軌道46上を走行し検査パレット12を収容している搬入ステーション13の前で停止する。そして、引き出そうとする検査パレット12を載置している載置台28と、基板53に設けられた投入側パレットガイド51、52の高さ位置が一致するように上下移動部49を駆動させる。
【0042】
次いで、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55を搬入ステーション13内に装入し、検査パレット12の移動用保持板23の両端に対して各掛止部64、65の切り欠き溝63が対向する位置で停止させる。
続いて、ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて掛止部64、65をそれぞれ回動させて各切り欠き溝63内に移動用保持板23の両端部を収納する。そして、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55を搬入ステーション13内から引き出すと、移動用保持板23はパレット保持アーム54、55の掛止部64、65で掛止されているので、検査パレット12はパレット保持アーム54、55の移動と共に載置台28上を移動して投入側パレットガイド51、52上に進入する。
なお、パレット保持アーム54、55が搬入ステーション13内から完全に引き出された状態では、図7に示すように、検査パレット12はパレット保持アーム54、55の掛止部64、65で掛止されて投入側パレットガイド51、52に載置された状態になっている。
【0043】
検査パレット12が搬送装置47に載置されると、エイジング試験判定手段18から検査パレット12を受け入れるエイジング試験手段14の指定とそこでの収納場所が入力される。そこで、搬送装置47は入力情報に従って軌道46上を走行し、図12(A)に示すように、検査パレット12を収容するエイジング試験手段14の前で停止する。
そして、収納しようとする位置に対応して設けられたパレットガイド29、30と、基板53に設けられた投入側パレットガイド51、52の高さ位置が一致するように上下移動部49を駆動させる。
【0044】
次いで、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55のエイジング試験手段14内への装入を開始する。ここで、検査パレット12の移動用保持板23の両端部がそれぞれ掛止部64、65の切り欠き溝63に収容されているので、パレット保持アーム54、55がエイジング試験手段14内に装入されるにつれて検査パレット12もエイジング試験手段14内に向かって移動し、パレットガイド29、30上に進入する。更に、パレット保持アーム54、55がエイジング試験手段14内に装入されると、各位置決めピン25がコネクター保持板34に設けられた挿通孔37aに装入する。
これによって、パレットガイド29、30上を進入する検査パレット12の位置が規制されて、検査パレット12の移動用保持板23の中央部に設けられたパレット側コネクター24はコネクター保持板34の中央に設けられた試験手段側コネクター33と接続を開始する。
【0045】
そして、更に、検査パレット12がエイジング試験手段14内に装入されると、図12(B)に示すように、パレット側コネクター24と試験手段側コネクター33との接続が完了すると共に、コネクター保持ベース39に保持されているコネクター保持板34がコネクター保持ベース側に押圧される。
これによって、コネクター保持板34に設けられた各装入ピン42がロック部43内に押し込まれて各装入ピン42のロックが解除される。更に、パレット側コネクター24と試験手段側コネクター33との接続が完了したことに伴って、各発光パネル11は通電状態になって、各発光パネル毎に電気特性検査(電流及び電圧の測定)が開始される。
【0046】
パレット側コネクター24と試験手段側コネクター33との接続が完了すると、各ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて、図12(C)に示すように、移動用保持板23の両端部を掛止している各掛止部64、65を回動させて各切り欠き溝63を上方に向けて配置させて、移動用保持板23の両端部の掛止を解放する。
次いで、短軸ロボット57を駆動させて、パレット保持アーム54、55を更にエイジング試験手段14内に装入し、図12(D)に示すように、パレット保持アーム54、55の先部に設けられた掛止部64、65の切り欠き溝63がコネクター保持板34の両端と対向する位置で停止させる。続いて、ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて掛止部64、65をそれぞれ回動させて、図13(A)に示すように、各切り欠き溝63内にコネクター保持板34の両端部を収納する。
【0047】
そして、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55をエイジング試験手段14内から徐々に引き出すと、コネクター保持板34はパレット保持アーム54、55の掛止部64、65で掛止されているので、コネクター保持板34を介して検査パレット12をパレットガイド29、30上で移動させることができ、図13(B)に示すように、検査パレット12をエイジング試験手段14内での保持位置にセットすることができる。
エイジング試験手段14内で検査パレット12を保持位置にセットすることが完了すると、各ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて、図13(C)に示すように、コネクター保持板34の両端部を掛止している各掛止部64、65を回動させて各切り欠き溝63を上方に向けて配置させて、コネクター保持板34の両端部の掛止を解除する。そして、図13(D)に示すように、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55をエイジング試験手段14内から引き出す。これによって、搬送装置47は軌道46上で待機状態となる。
【0048】
検査パレット12がエイジング試験手段14内に収納されて設定された時間が経過すると、搬送装置47に対してエイジング試験判定手段18から光学特性検査を行う指令が出力される。搬送装置47は、光学特性検査を実施する検査パレット12が収容されているエイジング試験手段14の場所の情報に基づいて軌道46上を走行し、検査パレット12を収容しているエイジング試験手段14の前で停止する。
そして、図14(A)に示すように、引き出そうとする検査パレット12を載置しているパレットガイド29、30と、基板53に設けられた投入側パレットガイド51、52の高さ位置が一致するように上下移動部49を駆動させる。
【0049】
次いで、短軸ロボット57を駆動させて、パレット保持アーム54、55をエイジング試験手段14内に装入し、図14(B)に示すように、パレット保持アーム54、55の先部に設けられた掛止部64、65の切り欠き溝63がコネクター保持板34の両端と対向する位置で停止させる。
続いて、ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて掛止部64、65をそれぞれ回動させて、図14(C)に示すように、各切り欠き溝63内にコネクター保持板34の両端部を収納する。
【0050】
そして、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55をエイジング試験手段14内から徐々に引き出すと、コネクター保持板34はパレット保持アーム54、55の掛止部64、65で掛止されているので、コネクター保持板34を介して検査パレット12をパレットガイド29、30上で移動させ、投入側パレットガイド51、52上に進入させることができる。
そこで、パレット保持アーム54、55をエイジング試験手段14内から完全に引き出すと、図14(D)に示すように、検査パレット12はパレット保持アーム54、55の掛止部64、65で掛止されて投入側パレットガイド51、52に載置された状態になる。
【0051】
検査パレット12が投入側パレットガイド51、52に載置された状態になると、エイジング試験判定手段18から第1及び第2の駆動部68、70に駆動指令が出力される。第1及び第2の駆動部68、70では、図15(A)に示すように、光検出器16を投入側パレットガイド51、52に載置された検査パレット12の上方に配置させ、発光パネル11の列に沿って光検出器16を移動させて発光している各発光パネル11の明るさを順に測定する。
ここで、光検出器16として積分型ラインカメラを使用し、積分型ラインカメラの走査周期を積分型ラインカメラで撮像する1つのライン77内に存在する発光素子78の発光周期の整数倍に設定する。このように設定することによって、積分型ラインカメラで1つのライン77を測定しているときに、ライン77内に存在する発光素子78を必ず発光させることができ、測定された画像に点灯むらが生じないようにすることができる。
【0052】
また、図15(B)に示すように、積分型ラインカメラには複数段(例えば、N段)の受光素子列79が搭載されているので、最前列の受光素子列79が露光時間Tで発光パネル11内の1つのライン77からの光を検出した際に発生した初期電荷量qは順に後段側の受光素子列79に転送されて、最終段の受光素子列79から出力される総電荷量(すなわち、出力信号)は初期電荷量qのN倍になる。このことは、露光時間TをN倍にして発光パネルの光を検出するのと同等の効果となる。
従って、積分型ラインカメラでは通常のラインカメラよりも走査周期を速くすることができ、例えば、光学特性検査の際に積分型ラインカメラの移動速度を速くすることができる。
【0053】
なお、積分型ラインカメラが移動する場合、積分型ラインカメラの最前列の受光素子列79は発光パネル11内の各ライン77を順に撮像していくので、1つのライン77を最前列の受光素子列79が撮像してそのとき発生した電荷が後段の受光素子列79に転送されてから次のライン77の撮像を開始する必要がある。
このため、積分型ラインカメラが移動速度を受光素子列79間で電荷が転送される電荷転送速度と一致させる必要がある。具体的には、使用する積分型ラインカメラにおいて電荷転送速度が判明しているので、積分型ラインカメラのレンズ機構80と積分型ラインカメラの移動速度の調整を行う。
【0054】
積分型ラインカメラから出力された信号はエイジング試験判定手段18に入力される。
エイジング試験判定手段18では、図16に示すように、発光パネル11毎に赤発光画素、緑発光画素、及び青発光画素毎の発光領域81を抽出した測定画像82を構成し、各発光領域81内に計測領域83を形成する。
次いで、計測領域83内の平均強度を算出し、輝度に換算した後この値を平均輝度として採用する。そして、赤発光画素、緑発光画素、及び青発光画素毎の平均輝度の時間変化の大きさから色度変化を求め、その変化挙動を予め設定しておいた変化挙動と比較することにより、測定している発光パネル11に対しての良否判定を行う。
このように計測領域83内に存在する赤、緑、及び青の各発光画素を色度変化の最小単位にしているので、精度の高い判定を行うことができる。
【0055】
なお、発光パネル11のエイジング試験中に、一定時間おきに搬送装置47に対してエイジング試験判定手段18から光検出器16の感度の校正を行う指令が出力される。
光検出器16の感度校正の指令を受け取った搬送装置47は、軌道46上を走行し校正ステーション19の前で停止する。そして、取付け部材66の第1及び第2の駆動部68、70を操作して校正容器73内に装入口74から光検出器16を装入し基準光源71の上方で停止させる。
次いで、基準光源71を発光させて光検出器16で明るさを測定し、エイジング試験判定手段18において輝度を算出する。このとき、基準光源71の上方に配置されている光検出器16で明るさを測定し、エイジング試験判定手段18において輝度の値を算出する。そして、光検出器16で測定して得られた輝度の値と、輝度計72で測定された輝度の値とが一致するように、光検出器16の出力を調整する。調整が終了すると、第1及び第2の駆動部68、70を操作して光検出器16を受光容器73の装入口74から外に引き出し、搬送装置47上で待機させる。
これによって、光検出器16の感度を一定にしてエイジング試験を行うことができるようになる。
【0056】
投入側パレットガイド51、52に載置された検査パレット12に搭載された全発光パネル11の光学特性検査が終了すると、搬送装置47に対してエイジング試験判定手段18から検査パレット12をエイジング試験手段14内に装入する指令が出力される。
搬送装置47では、各ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて、図17(A)に示すように、コネクター保持板34の両端部を掛止している各掛止部64、65を回動させて各切り欠き溝63を上方に向けて配置させて、コネクター保持板34の両端部の掛止を解除する。
そして、図17(B)に示すように、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55を徐々に後退させ、パレット保持アーム54、55の先部に設けられた掛止部64、65の切り欠き溝63が移動用保持板23の両端と対向する位置で停止させる。
【0057】
続いて、ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて掛止部64、65をそれぞれ回動させて、図17(C)に示すように、各切り欠き溝63内に移動用保持板23の両端部を収納する。そして、短軸ロボット57を操作しパレット保持アーム54、55を介して、図17(D)に示すように、検査パレット12をエイジング試験手段14内の保持位置まで装入する。
次いで、図18(A)に示すように、各ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて、移動用保持板23の両端部を掛止している各掛止部64、65を回動させて各切り欠き溝63を上方に向けて配置させて移動用保持板23の両端部の掛止を解除し、図18(B)に示すように、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55をエイジング試験手段14内から引き出す。これによって、搬送装置47は軌道46上で待機状態となる。
そして、図14(A)〜図18(B)までの一連の動作を各検査パレット12に対して設定された時間毎に繰り返し光学特性検査を行っていく。
【0058】
ここで、検査パレット12に対して一定時間のエイジング試験が終了した場合、図14(A)〜(D)の操作で検査パレット12をエイジング試験手段14から引き出して投入側パレットガイド51、52に載置し光学特性検査を行った後、図19(A)に示すように、各ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させてコネクター保持板34の両端部を掛止している各掛止部64、65を回動させて各切り欠き溝63を上方に向けて配置させて、コネクター保持板34の両端部の掛止を解除する。
次いで、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55を徐々に後退させ、パレット保持アーム54、55の先部に設けられた掛止部64、65の切り欠き溝63が移動用保持板23の両端と対向する位置で停止させ、ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて掛止部64、65をそれぞれ回動させて、各切り欠き溝63内に移動用保持板23の両端部を収納する。そして、短軸ロボット57を操作しパレット保持アーム54、55を介して、検査パレット12をエイジング試験手段14内に装入していく。
【0059】
検査パレット12がエイジング試験手段14内に装入されると、図19(B)に示すように、検査パレット12と接続しているコネクター保持板34に設けられている装入ピン42がコネクター保持ベース39に設けられた各ロック部43内に押し込まれ各装入ピン42はロック部43にロックされる。このため、コネクター保持板34がコネクター保持ベース39に固定された状態になる。
続いて、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55をエイジング試験手段14内から引き出すと、移動用保持板23の両端部はパレット保持アーム54、55の掛止部64、65で掛止されているので、検査パレット12をパレットガイド29、30上で移動させ、投入側パレットガイド51、52上に進入させることができる。
そして、パレット保持アーム54、55をエイジング試験手段14内から完全に引き出すと、図19(C)に示すように、検査パレット12はパレット保持アーム54、55の掛止部64、65で掛止されて投入側パレットガイド51、52に載置された状態になる。
【0060】
エイジング試験が終了した検査パレット12が搬送装置47に載置されると、搬送装置47は軌道46上を検査済パレット収納手段15に向かって移動する。ここで、検査パレット12にはエイジング試験判定手段18で合格と判定された発光パネル11のみが搭載されている場合はその検査パレット12を合格ステーション45aまで搬送して停止する。
そして、検査パレット12を収納しようとする載置台と、基板53に設けられた投入側パレットガイド51、52の高さ位置が一致するように上下移動部49を駆動させ、次いで、短軸ロボット57を駆動させて検査パレット12を掛止しているパレット保持アーム54、55を合格ステーション45a内に装入して検査パレット12を合格ステーション45a内に収納させる。
【0061】
次いで、ロータリーアクチュエータ61、62を駆動させて掛止部64、65をそれぞれ回動させて移動用保持板23の両端部の掛止を解除した後、短軸ロボット57を駆動させてパレット保持アーム54、55を合格ステーション45a内から引き出す。これによって、検査パレット12を合格ステーション45a内に収容することが完了する。
また、検査パレット12にはエイジング試験判定手段18で不合格と判定された発光パネル11が搭載されている場合はその検査パレット12を不合格ステーション45bまで搬送して停止する。そして、合格ステーション45aに検査パレット12を装入したのと同様の手順で不合格の発光パネル11が搭載された検査パレット12を不合格ステーション45bに収容する。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の発光パネルのエイジング検査装置及びその方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、エイジング試験手段を3基としたが、エイジング試験手段の基数を2以下又は4以上にすることもできる。また、大量の発光パネルのエイジング試験を行う場合、検査済パレット収納手段の両側に複数のエイジング試験手段、更にその外側に校正ステーション及び搬入ステーションを配置すると共に軌道を平行に配設し、2基の搬送装置を走行させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10:エイジング検査装置、11:発光パネル、12:検査パレット、13:搬入ステーション、14:エイジング試験手段、15:検査済パレット収納手段、16:光検出器、17:検査パレット搬送手段、18:エイジング試験判定手段、19:校正ステーション、20:搭載ステージ、21:基板、22:取付け部材、23:移動用保持板、24:パレット側コネクター、25:位置決めピン、27:ケース、28:載置台、29、30:パレットガイド、31、32:パレットガイド支持部材、33:試験手段側コネクター、34:コネクター保持板、35:ケーブルベア、36、37:貫通孔、37a:挿通孔、38:ロック機構、39:コネクター保持ベース、40、41:位置決めピン、42:装入ピン、43:ロック部、44:容器、45:電源部、45a:合格ステーション、45b:不合格ステーション、46:軌道、47:搬送装置、48:投入機構部、49:上下移動部、50:走行部、51、52:投入側パレットガイド、53:基板、54、55:パレット保持アーム、56:パレット掛止機構、57:短軸ロボット、58:軸受、59:アーム支持部材、60:掛止機構本体、61、62:ロータリーアクチュエータ、63:切り欠き溝、64、65:掛止部、66:取付け部材、67:取付けアーム、68:第1の駆動部、69:保持アーム、70:第2の駆動部、71:基準光源、72:輝度計、73:校正容器、74:装入口、75:安全柵、76:扉、77:ライン、78:発光素子、79:受光素子列、80:レンズ機構、81:発光領域、82:測定画像、83:計測領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査パレットに並べて搭載されたエイジング試験中の発光パネルの明るさを一定時間毎に光検出器で測定する発光パネルのエイジング検査方法であって、
前記光検出器に積分型ラインカメラを使用し、該積分型ラインカメラの走査周期を該積分型ラインカメラで撮像する1ライン内に存在する発光素子の発光周期の整数倍に設定することを特徴とする発光パネルのエイジング検査方法。
【請求項2】
請求項1記載の発光パネルのエイジング検査方法において、前記積分型ラインカメラで撮像した一定時間毎の前記発光パネルの画像から赤発光画素、緑発光画素、及び青発光画素毎の領域を抽出してそれぞれ平均輝度を算出し、該各平均輝度の時間変化の大きさから色度変化を求め前記発光パネルの良否判定を行うことを特徴とする発光パネルのエイジング検査方法。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の発光パネルのエイジング検査方法において、前記光検出器の感度の校正を一定時間おきに行うことをを特徴とする発光パネルのエイジング検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−265095(P2009−265095A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95180(P2009−95180)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【分割の表示】特願2004−56583(P2004−56583)の分割
【原出願日】平成16年3月1日(2004.3.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000233697)株式会社日鉄エレックス (51)
【Fターム(参考)】