説明

発光モジュールとその製造方法及び車両用灯具

【課題】半導体発光素子に給電するための金属ワイヤの機械的、化学的な強度を高めた信頼性の高い発光モジュールを得る。
【解決手段】LED素子23を搭載し、金属ワイヤ3で給電を行う構成の発光モジュールLMであって、金属ワイヤ3を封止する第1樹脂(封止材)4と、第1樹脂の外周の少なくとも一部を囲む第2樹脂(ダム壁)5を備える。第1樹脂4は第2樹脂5に比較して低粘度、低弾性率であり、第1樹脂4で金属ワイヤ3を機械的、化学的に保護し、第2樹脂5は第1樹脂4が周囲に流れ出ることを防止し第1樹脂4による金属ワイヤ3の封止状態を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体発光素子をパッケージングした発光モジュールに関し、特に半導体発光素子の給電部の信頼性を高めた発光モジュールとその製造方法、及び当該発光モジュールを用いた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車では、光源にLED(発光ダイオード)等の半導体発光素子を用いたヘッドランプやその他のランプが提供されている。この種のランプでは、半導体発光素子をランプ内に組み込むに際しては、半導体発光素子を支持部材に一体的に組み立てるとともに外部からの給電を行うための給電部を一体的に組み込んだ発光モジュールを構成し、この発光モジュールをランプ内に光源として組み込んでいる。このような発光モジュールとして、特許文献1では、LED素子を放熱基板上に搭載したLEDユニットを光源台座上に支持させた上で、これらLEDユニットと光源台座をクリップ等により挟持して一体化する構成を採用している。また、放熱基板にはLED素子に電気接続される導電ランド(接点)を設け、一方光源台座には弾性金属からなる導電ブラシ(ばね端子)を設けており、LEDユニットを光源台座上に支持させたときに光源台座の導電ブラシをLEDユニットの導電ランドに弾接させて電気的な接触を行うことで光源台座を介して外部電力をLEDユニットに給電する構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4350617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発光モジュールでは、LEDユニットの導電ランドと光源台座の導電ブラシとの弾接によって給電を行っているため、自動車の走行に伴う衝撃や振動によって接触不良が生じ、両者間での導電性が損なわれるおそれがある。また、導電ブラシの腐食、発錆等の経時変化によって導電ランドに対する導電性が劣化されるおそれがある。導電性の信頼度を高めるためには導電ブラシのサイズを大きくすればよいが、これでは発光モジュールが大型化することになる。そこで、LEDユニットと光源台座とを金属ワイヤを用いたワイヤボンディングにより電気接続することが考えられる。このワイヤボンディングによれば、両者の確実な電気接続が実現でき、しかも金属ワイヤが占めるスペースは少なく済むため発光モジュールの小型化には有効である。しかし、金属ワイヤは極細であるため機械的な強度が低く、外部振動や衝撃によって金属ワイヤが変形してボンディングが破壊され、あるいは断線するおそれがあり、耐衝撃性を改善することはできない。また、外気の湿気や水分が金属ワイヤに付着して発錆し、耐久性が劣化することもある。そのため、自動車用の発光モジュールへの適用は躊躇せざるを得ないものとなっている。
【0005】
本発明の目的は車両用灯具の光源に用いて好適な発光モジュールであって、ワイヤボンディングを採用した発光モジュールにおける導電ワイヤでの電気接続の信頼性を高めた発光モジュールとその製造方法及び当該発光モジュールを用いた車両用灯具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、半導体発光素子を搭載し、当該半導体発光素子に対して金属ワイヤで給電を行う構成の発光モジュールであって、金属ワイヤを封止する第1樹脂と、第1樹脂の外周の少なくとも一部を囲む第2樹脂とを備えることを特徴とする。ここで、第1樹脂は第2樹脂に比較して低粘度、低弾性率である。本発明の発光モジュールは、車両用灯具の光源として構成される。
【0007】
また、本発明は、半導体発光素子を搭載し、当該半導体発光素子に対して金属ワイヤで給電を行う構成の発光モジュールの製造方法であって、金属ワイヤを囲む領域の少なくとも一部に第2樹脂でダム壁を形成する工程と、第2樹脂のダム壁で囲まれる領域又は当該第2樹脂のダム壁の一部を含むダム壁で囲まれる領域に第2樹脂よりも低粘度、低弾性率の第1樹脂を充填して金属ワイヤを封止する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発光モジュールによれば、半導体発光素子に給電するための金属ワイヤを第1樹脂で封止しているので、外力は第1及び第2樹脂により緩衝されて直接金属ワイヤに加わることがなく、金属ワイヤの機械的な強度が高められる。特に、第1樹脂の外周の少なくとも一部を相対的に粘度及び弾性率の高い第2樹脂で囲んでいるので、第1樹脂の形状を保持し、金属ワイヤの封止状態を保持することができる。また、金属ワイヤが外気に露呈されることがなく、腐食や発錆が抑制できモジュールの耐久性等、信頼性が向上する。さらに、第1樹脂は低粘度であるので金属ワイヤを封止する際に金属ワイヤが変形されることはなく、かつ低弾性率であるので金属ワイヤに対する熱応力の影響は殆どない。
【0009】
本発明の発光モジュールの製造方法は、金属ワイヤを囲む領域の少なくとも一部に第2樹脂でダム壁を形成し、その上で第2樹脂のダム壁で囲まれる領域又は当該第2樹脂のダム壁の一部を含むダム壁で囲まれる領域に第2樹脂よりも低粘度、低弾性率の第1樹脂を充填して金属ワイヤを封止しているので、金属ワイヤを低粘度、低弾性率の第1樹脂で確実に封止し、かつその封止状態を保持した発光モジュールが製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の発光モジュールの実施形態の外観斜視図。
【図2】発光モジュールの一部の縦断面図及び参照縦断面図。
【図3】封止材(第1樹脂)及びダム壁(第2樹脂)の製造工程を説明する外観図。
【図4】ダム壁及び封止材の変形例1の平面図。
【図5】ダム壁及び封止材の変形例2の平面図。
【図6】ダム壁及び封止材の変形例3の平面図。
【図7】ダム壁及び封止材の変形例4の平面図。
【図8】発光モジュールを用いた自動車用ヘッドランプの一例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明を自動車用ランプの発光モジュールLMとして構成した外観斜視図、図2(a)はその一部の縦断面図である。この自動車用ランプは、ここでは図8に概略構成を示すように、自動車用ヘッドランプHLとして構成しており、ランプボディ101と前面カバー102とで構成されるランプハウジング100内に疑似リフレクタ(エクステンション)103、点灯制御回路104を内装すると共にランプユニット200を内装している。前記ランプユニット200は、ベース体204上に支持された回転楕円面を基礎としたリフレクタ202と、このリフレクタ202内において前記ベース体204上に支持された光源201と、この光源201から出射されて前記リフレクタ202で反射された光を前方に向けて照射する照射レンズ203とを含んで構成されており、当該光源201として図1に示した発光モジュールLMが用いられている。前記光源201、すなわち発光モジュールLMは給電ケーブル105によって前記点灯制御回路104に接続されており、この点灯制御回路104からの給電によって発光するようになっている。この点灯制御回路104は図示を省略した車載バッテリに接続されている
【0012】
前記光源ユニットLMは、図1及び図2を参照すると、例えば樹脂等の絶縁材料で全体として矩形の厚板状に形成されたベース1を備えており、このベース1の上面の中央領域には後述するように発光素子ユニット2を内装するための長方形をした内装凹部11が形成されている。また、この内装凹部11の長手方向の両端にはベース1の上面を所要の浅い深さで両外側に後退させた溝部12が設けられており、この溝部12の底面領域は給電ランド13として構成されている。この給電ランド13は、例えば前記ベース1を成形する際に銅等の導電性の高い金属からなる導電板13a(図2(a)参照)を一体成形し、ベース1内に埋設した当該導電板13aの一部を前記溝部12の底面に露呈させることによって形成することが可能である。この導電板13aの他部は、図示は省略するが前記ベース1内に設置されたコネクタまたは点灯回路の近傍まで延長された上でこれらコネクタや点灯回路に導線によって接続されており、これらコネクタや点灯回路を介して図8に示した給電ケーブル105によって点灯制御回路104に接続されるようになっている。
【0013】
前記ベース1の内装凹部11には発光素子ユニット2が内装されている。この発光素子ユニット2は、ここではLED(発光ダイオード)ユニットとして構成されており、伝熱性の高い絶縁性の無機材料で矩形板状に形成された放熱基板21と、この放熱基板21の上面の中央領域に搭載されて放熱基板21よりも一回り小さい矩形板状に形成されたサブマウント22と、このサブマウント22上に搭載された半導体発光素子としてのLED素子23を備えている。前記放熱基板21は前記ベース1の内装凹部11の内底面上に配置され、放熱基板21の底面は内装凹部11の内底面に接着剤等によって固定されている。また、放熱基板21の上面には所要のパターンをした導電層からなる電極ランド24が形成されており、この電極ランド24は後述するように前記ベース1の給電ランド13との間でワイヤボンディングによって電気接続される。この電極ランド24は、ここでは長手方向に絶縁分離された2つの電極ランド24a,24bで構成されており、一方は正極ランド24aとして、他方は負極ランド24bとして構成されている。
【0014】
前記LED素子23は直列に配置された4つのチップ状LED素子からなり、これらのLED素子23はそれぞれの上面が発光面として構成され、その裏面において前記サブマウント22上に固着されている。このサブマウント22には図には表れないが所要の回路パターンが形成されており、この回路パターンは搭載した各LED素子23の正負の各電極に電気接続されている。また、サブマウント22は前記放熱基板21の上面にマウントされているが、サブマウント22に設けられた回路パターンが前記放熱基板21の正極ランド24aと負極ランド24bに電気接続されている。これにより、各LED素子23はサブマウント22を介して放熱基板21の正極ランド24aと負極ランド24bに電気接続され、これらの電極ランド24を通して所要の電流が印加され、発光するように構成されている。
【0015】
その上で、前記正極ランド24aと負極ランド24bはベース1の長手方向の両側に設けられた前記溝部12の底面の給電ランド13にそれぞれ金(Au)ワイヤ3を用いたワイヤボンディングによって電気接続されている。このワイヤボンディングには、いわゆるボールボンディングが採用されているが、ここでは金ワイヤ3を最初に接続する第1ボンディング1stをベース1の給電ランド13に対して行い、次に接続する第2ボンディング2ndをLEDユニット2の電極ランド24に対して行っている。すなわち、この実施形態では図2(a)から判るように、LEDユニット2の各電極ランド24はベース1の給電ランド13よりも高い位置にあり、金ワイヤ3をワイヤボンディングする際には低い位置にある給電ランド13に対するボンディングを第1ボンディング1stとし、高い位置にある電極ランド24に対するボンディングを第2ボンディング2ndとしている。
【0016】
このようにワイヤボンディングの第1ボンディング1stと第2ボンディング2ndの順序を特定することにより、第1ボンディング1stを行った後に金ワイヤ3を第2ボンディング位置にまで延長する際に金ワイヤ3に生じるワイヤループが上方に湾曲することを抑制し、金ワイヤ3の高さをLED素子23の表面高さよりも低くすることができる。因みに、図2(b)に参照図示するように、第1ボンディング1stを電極ランド24にすると、第1ボンディング1stを行った後に金ワイヤ3を高さの低い給電ランド13に第2ボンディング2ndする際の金ワイヤ3のワイヤループの高さはLED素子23の表面高さよりも高くなってしまう。この実施形態では、前述のようにボンディング順序を特定することにより金ワイヤ3の高さを低くでき、発光モジュールLMの全体の高さ寸法が大きくなることを防止し、薄型の発光モジュールが構成できる。
【0017】
さらに、前記ベース1の内装凹部11と溝部12には前記金ワイヤ3を完全に覆い隠すように低弾性率、低粘度の第1樹脂からなる封止材4が配設されるとともに、この第1樹脂の封止材4の周囲を第1樹脂よりも相対的に高弾性率、高粘度の第2樹脂からなるダム壁5で囲っている。前記第1樹脂は、例えば弾性率が0.01〜2(MPa)で粘度が80(Pas)程度のシリコーンゲルであり、前記第2樹脂は、例えば弾性率が10〜12(GPa)で粘度が100〜200(Pas)程度のエポキシが用いられる。これらの樹脂はいずれも加熱によって硬化するが、前記した粘度は硬化前の値であり、弾性率は硬化後の値である。
【0018】
前記第2樹脂からなるダム壁5は前記金ワイヤ3の周囲を囲むように前記ベース1の内装凹部11から溝部12の領域にわたる無端状(リング状)、ここでは楕円形ないし長円形に形成されている。例えば、図3(a)に外観図を示すように、移動制御可能なノズルN1から第2樹脂を少しずつ吐出させながら金ワイヤ3の周囲に沿ってループを描くように当該ノズルN1を移動させることによって無端状の低い高さの壁を形成し、これを繰り返し行うことにより第2樹脂を順次高さ方向に重畳して所要の高さ寸法のダム壁5を形成することができる。この第2樹脂のダム壁5の高さ寸法は前記LED素子23の発光面の高さよりも高くならない高さ寸法に形成することが肝要であり、ここでは金ワイヤ3の最も高い部位の高さよりも多少低い高さ寸法にしている。
【0019】
前記第1樹脂からなる封止材4は前記第2樹脂のダム壁5で囲まれた領域に充填されており、この第1樹脂によって金ワイヤ3を完全に埋設した状態に封止する。図3(b)に示すように、第1樹脂の封止材4はノズルN2から吐出させるポッティングの技術で良く、ノズルN2から吐出された封止材4は低粘度であるために吐出時に金属ワイヤ3への外力を低減して金ワイヤ3の変形を防止する。また、封止材4は低粘度であるが第2樹脂のダム壁5によってせき止められて周囲に流れ出ることはない。第1樹脂は自身の表面張力によって中央領域の高さが周辺領域の高さよりも高くなるので、第2樹脂のダム壁5の高さが金ワイヤ3の高さよりも低くても金ワイヤ3を完全に封止することが可能である。また、このようにして金ワイヤ3を封止した場合には第1樹脂はLED素子23の発光面よりも高くならない高さに形成されることになる。特に、金ワイヤ3は前記したように第1ボンディング1stがベース1の給電ランド13に対して行われており、そのワイヤループの高さが抑制されてLED素子23の発光面の高さよりも低くされているので、第1樹脂からなる封止材4の高さを当該発光面の高さよりも確実に低くすることができる。
【0020】
この発光モジュールLMによれば、図8に示した自動車用ヘッドランプHLの光源201として当該ランプ内に配設されたときにはベース1に設けられている給電ランド13は前記したように点灯制御回路104に電気接続された状態となる。そのため、当該給電ランド13に金ワイヤ3で接続されている放熱基板21に設けた電極ランド(正極ランド24aと負極ランド24b)24にまで給電が行われ、さらに当該電極ランド24にサブマウント22を介して接続されている4つのLED素子23はそれぞれ給電されて発光されることになる。
【0021】
このように自動車用ヘッドランプHLに対して発光モジュールLMを配設する際、あるいは当該ヘッドランプHLに配設した後に外部要因によって発光モジュールLMに様々な外力が加えられることがあるが、ベース1の給電ランド13とLEDユニット2の電極ランド24とを金ワイヤ3で電気接続しているので、特許文献1のように導電ブラシで接触させた構成において生じるような接触不良が防止できる。そのため、導電性を確保するために大きなサイズの導電ブラシを使用する必要はなく、発光モジュールLMの小型化が実現できる。また、金ワイヤ3は第1樹脂からなる封止材4によって周囲が覆われた状態で物理的に封止されているので外力が直接的に金ワイヤ3に加えられることはなく、また封止材4によって気密かつ液密に封止されているので外気の湿気や水分が影響することもなく、腐食や発錆が防止でき、信頼性を向上することができる。封止材4に熱が伝達された場合でも、封止材4を構成している第1樹脂は低弾性率であるので封止材4自身が変形し、金ワイヤ3に加えられる熱応力は小さく、金ワイヤ3の変形や、金ワイヤ3の給電ランド13からの剥離が防止される。
【0022】
また、第1樹脂からなる封止材4と第2樹脂からなるダム壁5を形成して金ワイヤ3を封止しても、これらの樹脂はベース1の内装凹部11と溝部12の各内部においてのみ配設されているので発光モジュールLMの外形寸法を拡大することはなく、発光モジュールLMの小型化の障害になることはない。さらに、封止材4は金ワイヤ3を封止する最小限の高さに形成し、ダム壁5は封止材4が周囲に流れ出すことを防止するのに必要な高さに形成しており、いずれもLED素子23の発光面よりも高くない高さ寸法であるので、発光したLED素子23から出射される光のうち、水平方向に出射される光が封止材4やダム壁5によって遮光されることはなく、光の出射角度の大きな発光モジュールLMが実現できる。したがって、種々の配光特性が要求される車両用灯具の光源としての汎用性が高い発光モジュールLMとして構成できる。
【0023】
前記実施形態では第2樹脂のダム壁5を楕円形ないし長円形にして金ワイヤ3の全周囲を囲んでいるが、ダム壁5は封止材4が周囲に流れ出ないようにする機能を有するものであるので、第2樹脂のダム壁5は必ずしも金ワイヤ3の全周囲にわたって形成されなくてもよい。例えば、図4に変形例1の平面図を示すように、サブマウント22の長手方向の端面22aをダム壁の一部として構成し、この端面22aを除く領域に第2樹脂のダム壁5Aを形成し、この端面22aからなるダム壁と第2樹脂のダム壁5Aで金ワイヤ3を囲み、この囲まれた領域に第1樹脂の封止材4を充填するようにしてもよい。
【0024】
あるいは、図5に変形例2の平面図を示すように、サブマウント22の長手方向の端面22aと、ベース1の溝部12に臨んでいるコ字型の内側面12aをそれぞれダム壁の一部として構成し、これら端面22aと内側面12aを除く領域に第2樹脂のダム壁5Bを形成し、端面22a及び内側面12aからなるダム壁と第2樹脂のダム壁5Bによって金ワイヤ3を囲み、この囲まれた領域に第1樹脂の封止材4を充填するようにしてもよい。
【0025】
さらには、図6に変形例3の平面図を示すように、サブマウント22の前記端面22aとベース1の内装凹部11の内側面11aと溝部12に臨む内側面12aをそれぞれダム壁の一部として構成し、これら端面22aと内側面11a,12aの存在しない領域にのみ第2樹脂のダム壁5Cを形成して金ワイヤ3を囲み、この囲まれた領域に第1樹脂の封止材4を充填するようにしてもよい。
【0026】
この場合、図7に変形例4の平面図を示すように、サブマウント22の前記端面22aはダム壁として利用せず、ベース1の内装凹部11の内側面11aと溝部12に臨む内側面12aのみをそれぞれダム壁の一部として構成し、これら内側面に対向する位置において内装凹部11の全幅にわたって第2樹脂のダム壁5Dを形成して金ワイヤ3を囲み、この囲まれた領域に第1樹脂の封止材4を充填するようにしてもよい。
【0027】
ここで、第2樹脂によるダム壁5(5A〜5D)の形成に際しては、図3(a)に示したようなノズルN1を移動させる方法の他に、図示は省略するがベース1の上面側に内枠と外枠からなる型枠を載置し、この型枠内に第2樹脂を注入してダム壁5を形成する方法を採用することもできる。このような型枠を利用する場合には、ダム壁5が完全に硬化する前に内枠のみを取り外し、外枠を残してダム壁5の形状を保持したまま第1樹脂の充填を行って封止材4で金ワイヤ3を封止するようにしてもよい。この場合には、ダム壁5が硬化するまで封止材4を充填することを待つ必要がなく、封止材4とダム壁5の硬化を同時に待つだけでよいので製造時間の短縮に有効となる。
【0028】
なお、実施形態では金ワイヤ3をボールボンディングによって電極ランド24と給電ランド13に接続しているが、超音波を利用したウェッジボンディングを利用してもよい。特に、ウェッジボンディングは金ワイヤ3を上方に持ち上げる高さを低くできるので、金ワイヤ3に生じるワイヤループの高さをより低いものとし、封止材4及びダム壁5の高さ寸法をより小さくして発光モジュールの薄型化を図る上で有効である。
【0029】
実施形態では半導体発光素子としてLED素子を用いた発光モジュールとして構成しているが、半導体発光素子はレーザダイオードやその他の発光素子であってもよい。また、実施形態では半導体発光素子をサブマウントに搭載しているが、このサブマウントを省略し、例えば放熱基板の表面に直接半導体発光素子を搭載するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は半導体発光素子を搭載し、ワイヤボンディングによって当該半導体発光素子に対する給電を行うようにした発光モジュールに採用することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
LM 発光モジュール
1 ベース
2 LEDユニット
3 金ワイヤ
4 封止材(第1樹脂)
5,5A〜5D ダム壁(第2樹脂)
11 内装凹部
12 溝部
13 給電ランド
21 放熱基板
22 サブマウント
23 LED素子
24(24a,24b) 電極ランド
N1,N2 ノズル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子を搭載し、当該半導体発光素子に対して金属ワイヤで給電を行う構成の発光モジュールであって、前記金属ワイヤを封止する第1樹脂と、前記第1樹脂の外周の少なくとも一部を囲む第2樹脂とを備えることを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
前記第1樹脂は前記第2樹脂に比較して低粘度、低弾性率であることを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光モジュールで構成される光源を含むことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
半導体発光素子を搭載し、当該半導体発光素子に対して金属ワイヤで給電を行う構成の発光モジュールの製造方法であって、前記金属ワイヤを囲む領域の少なくとも一部に第2樹脂でダム壁を形成する工程と、前記第2樹脂のダム壁で囲まれる領域又は当該第2樹脂のダム壁を一部に含むダム壁で囲まれる領域に前記第2樹脂よりも低粘度、低弾性率の第1樹脂を充填して前記金属ワイヤを封止する工程を含むことを特徴とする発光モジュールの製造方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105929(P2013−105929A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249386(P2011−249386)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】