説明

発光制御装置

【課題】目視による楽音の認識性を向上させることができる発光制御装置を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、レベル情報取得手段により取得されたレベル情報と、再生開始情報取得手段により取得された再生開始情報とに基づいて、1つの発光体が、音の再生状態を識別可能にするとともに再生音のレベルを報知可能な発光態様で発光されるよう、発光体を発光させる発光手段に対する制御情報が、設定手段によって設定される。よって、ユーザは、1つの発光体の発光態様を見て、再生音のレベルを把握できるだけでなく、音の再生状態(例えば、再生中であるか否かや、音の再生開始タイミング等)も把握できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光制御装置に関し、音の再生状態を区別しつつ再生音のレベルをユーザに認識させ得るように、発光体の発光態様を制御する発光制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部音声をサンプリングするサンプリングモードにおいて、8つのLEDを、サンプリングされた外部音声のレベルを表すレベルインジゲータ(レベルメータ)として動作させる電子楽器が記載されている。このように、従来、入力楽音の振幅又はレベル情報を検出し、その検出結果に応じてLEDの発光を制御することにより、入力楽音のレベルを表示するレベルメータが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−55194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などに記載される従来のレベルメータは、レベルに応じてLEDの発光個数を変化させるものである。そのため、楽音データに基づいて楽音を再生する楽音再生装置や電子楽器に、従来のレベルメータを採用した場合、レベルメータがゼロを示したときに、ユーザは、それが、楽音が停止されていることに因るのか、再生される楽音に含まれる無音部分に因るのかを判別し難い。また、再生を開始又は停止した場合に、そのタイミングにおける楽音のレベルがゼロ(即ち、無音)であったり、小さかったりすると、ユーザは、目視したレベルメータから、楽音の再生開始タイミング又は停止タイミングを識別しにくい。このように、従来のレベルメータは、目視による楽音の認識性が低いという問題があった。
【0005】
なお、LEDのような発光体でなく、グラフィック表示が可能な画面(例えば、LCD)であれば、楽音のレベルだけでなく、楽音が再生中であるか停止中であるか等の、楽音のレベル以外の情報を、それぞれ認識可能に表示できる。しかし、画面を設ける場合には、その分の比較的広いスペースが必要となるので、かかる場合には、装置上におけるレイアウトの制限や、装置の小型化の制限など、別の問題が生じる。
【0006】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、目視による楽音の認識性を向上させることができる発光制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載の発光制御装置によれば、レベル情報取得手段により取得されたレベル情報と、再生開始情報取得手段により取得された再生開始情報とに基づいて、1つの発光体が、音の再生状態を識別可能にするとともに再生音のレベルを報知可能な発光態様で発光されるよう、発光体を発光させる発光手段に対する制御情報が、設定手段によって設定される。よって、ユーザは、1つの発光体の発光態様を見て、再生音のレベルを把握できるだけでなく、音の再生状態(例えば、再生中であるか否かや、音の再生開始タイミング等)も把握できる。従って、目視による楽音の認識性を向上させることができるという効果がある。
【0008】
請求項2記載の発光制御装置によれば、請求項1記載の発光制御装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。所定の場合を除いて、1つの発光体がレベル情報に応じた輝度で発光されるよう、発光手段に対する制御情報が、第1設定手段により設定される。その一方で、前記所定の場合として、音の再生中(再生開始情報が取得されてから、再生終了情報が取得されるまでの間)であり、かつ、レベル情報が示す音のレベルがゼロ又は所定値以下である場合には、前記1つ発光体がレベル情報とは無関係な所定輝度で発光されるよう、発光手段に対する制御情報が、第2設定手段により設定される。つまり、同じ無音であっても、再生されていないことによる無音であれば、第1設定手段による制御情報の設定がされるので、発光体は発光しない(即ち、発光体の輝度がゼロである)。一方で、再生中の無音(又は所定レベル以下の小さい音)であれば、第2設定手段による制御情報の設定がされるので、発光体は所定輝度で発光する。よって、ユーザは、再生音が聞こえない場合であっても(即ち、無音状態であっても)、発光体の発光態様(輝度)を見て、音の再生中であるか否かを容易に把握できるという効果がある。
【0009】
請求項3記載の発光制御装置によれば、請求項2記載の発光制御装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。前記所定の場合として、音の再生中であり、かつ、レベル情報が示す音のレベルがゼロ又は所定値以下である期間が、所定時間を超えた場合には、前記1つの発光体がレベル情報とは無関係な所定輝度で発光されるよう、発光手段に対する制御情報が、第2設定手段により設定される。つまり、音の再生中に、レベル情報が示す音のレベルがゼロ又は所定値以下である期間が所定時間に達するまでは、第1設定手段による制御情報の設定がされるので、発光体は、発光しないか、レベル情報に応じた低輝度で発光される。そして、前記期間が所定時間を超えると、第2設定手段による制御情報の設定がされるので、発光体は所定輝度で発光することになる。よって、再生中に無音(又は所定レベル以下の小さい音)が生じた場合には、できるだけ大きな輝度変化で、発光体の輝度が、ゼロ又は所定レベル以下の低輝度から、所定輝度へと変化するので、ユーザが、再生中の無音であることを明確に把握できるという効果がある。
【0010】
請求項4記載の発光制御装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の発光制御装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。前記所定の場合として、再生開始状態取得手段により再生開始情報が取得された場合(即ち、再生が開始された場合)に、その取得から第2所定時間が経過するまでの期間は、前記1つの発光体が、所定の輝度で発光されるよう、発光手段に対する制御情報が、第3設定手段により設定される。つまり、再生が開始されてから第2所定時間が経過するまでの期間は、第3設定手段による制御情報の設定がされるので、発光体は、所定の輝度で発光する。よって、ユーザは、そのように所定の輝度で発光する発光体を目視することにより、音の再生開始タイミングを明確に把握できるという効果がある。
【0011】
請求項5記載の発光制御装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の発光制御装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。設定手段は、前記レベル情報と、前記再生開始情報と、再生終了情報取得手段により取得された再生終了情報とに基づいて、前記制御情報を設定する。よって、1つの発光体の発光態様から、音の再生状態として音の再生終了タイミングをユーザに把握させることもできるという効果がある。
【0012】
請求項6記載の発光制御装置によれば、請求項5記載の発光制御装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。前記所定の場合として、再生終了状態取得手段により再生終了情報が取得された場合(即ち、再生が終了された場合)には、前記1つの発光体が、所定の輝度で発光されるよう、発光手段に対する制御情報が、第4設定手段により設定される。よって、ユーザは、そのように所定の輝度で発光する発光体を目視することにより、音の再生終了タイミングを認識させ易くできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子楽器の正面図である。
【図2】(a)は、電子楽器1の電気的構成を示すブロック図であり、(b)は、電子楽器及び発光制御装置の機能を説明するための機能ブロック図である。
【図3】CPUが実行する再生モード処理を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、DSPが実行する楽音再生処理を示すフローチャートであり、(b)は、(a)の楽音再生処理の中で実行されるレベル取得処理を示すフローチャートである。
【図5】CPUが実行する発光制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図5の発光制御処理の中で実行されるレベルメータ輝度算出処理を示すフローチャートである。
【図7】図5の発光制御処理の中で実行される打撃時輝度算出処理を示すフローチャートである。
【図8】1つのLEDの輝度−時間変化の一例を説明するグラフである。
【図9】1つのLEDの輝度−時間変化の一例を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、電子楽器1の正面図である。電子楽器1は、本発明の発光制御装置の一実施形態である発光制御装置100(図2(b)参照)を搭載しており、LED4(4a〜4i)を、再生音のレベル(又は振幅)だけでなく、楽音(音)の再生状態を識別可能な発光態様で発光させるように構成され、それにより、目視による楽音の認識性が高められている。
【0015】
電子楽器1は、筐体2の正面に、9つのパッド3(3a〜3i)と、9つのLED4(4a〜4i)と、操作パネル5とを有する。パッド3(3a〜3i)は、ユーザに打撃させるための打面である。各パッド3a〜3iには、それぞれ、波形データが割り当てられている。電子楽器1は、再生モードにおいて、パッド3を打撃することによって、打撃されたパッド3に割り当てられた波形データに基づく楽音を再生したり停止したりすることができる。なお、以下では、パッド3の打撃は、電子楽器1のモードが再生モードに設定されている場合の打撃であるものとして説明する。
【0016】
LED4(4a〜4i)は、それぞれ、パッド3(3a〜3i)に対応付けられる発光体である。本実施形態では、LED4(4a〜4i)は単色LEDである。パッド3(3a〜3i)が打撃されて楽音が再生された場合には、再生中の楽音(即ち、打撃されたパッド3)に対応するLED4(4a〜4i)が、再生音のレベルや再生状態に応じた輝度で発光される。図1に示すように、LED4a〜4iは、パッド3a〜3iとの対応関係が把握し易いように、それぞれに対応するパッド3a〜3iの右下部に設けられる。操作パネル5は、ユーザインタフェイスとしての表示器や操作子などが設けられたパネルである。
【0017】
図2(a)は、電子楽器1の電気的構成を示すブロック図である。電子楽器1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、フラッシュメモリ14と、2つのインターフェイス(I/F)15,16と、アナログデジタルコンバータ(ADC)17と、音源18と、DSP19と、デジタルアナログコンバータ(DAC)20と、ドライバ21と、センサ22とを有している。なお、本発明の発光制御装置100は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、DSP19とから構成される。
【0018】
各部11〜19は、バスライン23を介して互いに接続される。音源18は、DSP19にも接続される。DSP19は、DAC20に接続される。I/F15には、上述した操作パネル5に設けられている、図示されない表示器や操作子などが接続される。I/F16には、ドライバ21を介して、LED4(4a〜4i)が接続される。ADC17には、パッド3(3a〜3i)にそれぞれ設けられたセンサ22が接続される。
【0019】
CPU11は、ROM12に記憶される固定値やプログラム、RAM13に記憶されているデータなどに従って、電子楽器1の各部を制御する中央制御装置である。CPU11は、クロック信号を計数することにより、時刻を計時するタイマ(図示せず)を内蔵している。
【0020】
CPU11は、楽音の再生が行われていない状態で、センサ22から、パッド3が打撃されたことを示すトリガ信号を検出した場合には、打撃されたパッド3に対応する楽音の再生指示を音源18に出力し、当該楽音を音源18に再生させる。一方で、CPU11は、楽音の再生中に、センサ22からトリガ信号を検出した場合には、打撃されたパッド3に対応する楽音の停止指示を音源18に出力し、音源18に、当該楽音の再生を停止させる。また、CPU11は、LED4(4a〜4i)の発光態様の制御を行う。詳細は後述するが、本実施形態では、CPU11は、再生音のレベルだけでなく、楽音(音)の再生状態も識別可能となるよう、LED4の輝度を制御する。
【0021】
ROM12は、書き替え不能な不揮発性メモリであって、CPU11やDSP19に実行させる制御プログラム12aや、この制御プログラム12aが実行される際にCPU11により参照される固定値データ(図示せず)などが記憶される。なお、図3〜図7のフローチャートに示す各処理は、制御プログラム12aにより実行される。また、ROM12は、打撃時輝度波形メモリ12bと、波形メモリ12cとを有している。
【0022】
打撃時輝度波形メモリ12bは、パッド3が打撃された場合に参照される特定の輝度変化パターン(時間変化に伴う輝度の変化パターン)を記憶する領域である。なお、打撃時輝度波形メモリ12bに予め記憶されている輝度変化パターンの形状は、特に限定されないが、例えば、ピークにおける輝度が比較的高く、短い期間でピークに達する鋭い形状である。なお、輝度変化パターンが参照される期間(即ち、輝度変化パターンに従う輝度の読み出しが、輝度変化パターンの始端から終端まで到るまでの期間)を「参照期間」又は「読み出し期間」と称す。詳細は後述するが、電子楽器1は、パッド3が打撃された場合に、再生された楽音のレベルと、打撃時輝度波形メモリ12bに記憶されている輝度変化パターンとに基づき、LED4の輝度を制御するように構成されており、かかる構成によって、LED4を目視したユーザに、楽音の再生開始又は停止を容易に認識させることができる。
【0023】
波形メモリ12bには、所定数の楽音のデジタル波形データがプリセットデータとして記憶される。波形メモリ12bに記憶されている波形データは、ユーザの所望に応じて、適宜、パッド3(3a〜3i)に割り当てられる。
【0024】
RAM13は、書き替え可能な揮発性メモリであり、CPU11が制御プログラム12aを実行するにあたり、各種のデータを一時的に記憶するためのテンポラリエリアを有する。RAM13のテンポラリエリアには、打撃タイミングフラグ13aと、再生中フラグ13bと、波形メモリ13cとが設けられている。
【0025】
打撃タイミングフラグ13aは、パッド3(3a〜3i)が打撃されたことを示すフラグであり、パッド3a〜3i毎にそれぞれ設けられる。即ち、各パッド3a〜3iに対応する9つの打撃タイミングフラグ13aが設けられている。パッド3が打撃された場合には、打撃されたパッド3に対応する打撃タイミングフラグ13aがオンに設定され、その後、所定時間が経過するとオフに設定される。本実施形態では、この「所定時間」は、上述した参照期間(輝度変化パターンに従う輝度の読み出しが、輝度変化パターンの始端から終端まで到るまでの期間)である。つまり、打撃タイミングフラグ13aは、輝度変化パターンが参照される間はオンであり、それ以外の期間(即ち、輝度変化パターンが参照されない期間)はオフである。なお、全ての打撃タイミングフラグ13aは、電子楽器1への電源投入に伴い初期化(オフに設定)される。
【0026】
再生中フラグ13bは、楽音の再生中であるか否かを示すフラグであり、パッド3a〜3i毎にそれぞれ設けられる。即ち、各パッド3a〜3iに対応する9つの再生中フラグ13bが設けられている。パッド3が打撃されて楽音の再生が開始される場合には、再生される楽音に対応する再生中フラグ13b(即ち、打撃されたパッド3に対応する再生中フラグ13b)がオンに設定される。その後、パッド3が打撃されて楽音の再生が停止される場合に、再生を停止した楽音に対応する再生中フラグ13b(即ち、打撃されたパッド3に対応する再生中フラグ13b)がオフに設定される。なお、全ての再生中フラグ13bは、電子楽器1への電源投入に伴い初期化(オフに設定)される。
【0027】
波形メモリ13cには、図示されない入力端子を介して入力されサンプリングされた楽音のデジタル波形データが一時的に記憶される。波形メモリ13cは、1又は複数の波形データを記憶することができる。波形メモリ13cに記憶されている波形データは、ユーザの所望に応じて、適宜、パッド3(3a〜3i)に割り当てられる。なお、波形メモリ13cは、電子楽器1への電源投入に伴いクリアされる。
【0028】
フラッシュメモリ14は、書き替え可能な不揮発性メモリであり、楽音のデジタル波形データを保存するための波形メモリ14aを有する。波形メモリ14aは、1又は複数の波形データを記憶することができる。なお、波形メモリ14aに記憶される波形データは、メーカなどによって予め準備されたものであっても、サンプリングによって波形メモリ13cに記憶された波形データのコピーであっても、電子楽器1以外の装置によってサンプリングされた波形データであってもよい。波形メモリ14aに記憶されている波形データは、ユーザの所望に応じて、適宜、パッド3(3a〜3i)に割り当てられる。
【0029】
音源18は、CPU11から、楽音の再生指示を受けた場合に、指示された楽音の波形データ(即ち、打撃されたパッド3に割り当てられた波形データ)を、波形メモリ12c、波形メモリ13c、又は波形メモリ14aのいずれかから読み出し、DSP19へ供給することによって、楽音の再生を開始する。一方で、音源18は、CPU11から、楽音の停止指示を受けた場合に、指示された楽音の波形データ(即ち、打撃されたパッド3に割り当てられた波形データ)の読み出しを停止する。なお、本実施形態では、音源18は、CPU11から停止指示を受けるまで、再生中の楽音の波形データを繰り返し読み出すものとする。
【0030】
DSP19は、音源18から供給されたデジタル波形データを処理するための演算装置である。DSP19は、処理後のデジタル波形データを、DAC20へ供給する。DAC20は、DSP19から入力されたデジタル波形データを、アナログ波形データに変化し、スピーカ41へ出力する。これにより、再生音(再生された楽音)がスピーカ41から放音される。
【0031】
センサ22は、図示されない9つの打撃センサ(例えば、ピエゾ素子)から構成される。これらの9つの打撃センサは、それぞれ、上述した各パッド3a〜3iの裏面に設けられる。センサ22は、ADC17に接続される。パッド3が打撃された場合には、打撃により生じた振動が、打撃されたパッド3の裏面に設けられたセンサ22により検出され、アナログ電気信号(トリガ信号)としてADC17へ出力される。ADC17に入力されたアナログのトリガ信号はデジタル信号に変換され、そのデジタルのトリガ信号がCPU11に供給される。
【0032】
ドライバ21は、LED4(4a〜4i)を発光させるLEDドライバである。ドライバ21は、各LED4a〜4iに接続されるとともに、I/F16に接続される。ドライバ21は、CPU11から、I/F16を介して入力された、発光態様を指示する制御情報に従い、LED4(4a〜4i)を発光させる。ドライバ21は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、各LED4(4a〜4i)の輝度を制御する。よって、CPU11から供給された制御情報がLED4の輝度を指定する情報である場合には、指定された輝度に応じたデューティ比の電力パルスが制御対象とするLED4へ供給される。これにより、各LED4は、供給された電力パルスのデューティ比に応じた輝度、即ち、CPU11により指定された輝度で発光する。
【0033】
図2(b)は、電子楽器1、及び、電子楽器1に搭載される発光制御装置100の機能を説明するための機能ブロック図である。図2(b)に示すように、発光制御装置100は、レベル取得手段55と、開始/停止情報取得手段56と、輝度決定手段57を含む。
【0034】
打撃検出手段54は、パッド3(3a〜3i)への打撃を検出する機能であり、センサ22によって実現される。打撃検出手段54は、打撃を検出すると、打撃が検出されたことを示す情報(例えば、トリガ信号)を、波形読出手段52と開始/停止情報取得手段56とに供給する。
【0035】
波形読出手段52は、CPU11及び音源18などから実現される機能である。波形読出手段52は、打撃検出手段54から、打撃が検出されたことを示す情報を受信すると、波形記憶手段51から波形データを読み出し、読み出した波形データを、楽音発生手段53とレベル取得手段55とに供給する。波形記憶手段51は、波形データを記憶する機能であり、波形メモリ12c,13c,14aによって実現される機能である。
【0036】
楽音発生手段53は、DSP19とDAC20とから実現される機能である。楽音発生手段53は、波形読出手段52から供給されたデジタル波形データを加工し、アナログ波形データに変換し、再生音をスピーカ41から放音させる。
【0037】
レベル取得手段55は、CPU11及びDSP19などから実現される機能であり、発光制御装置100の一部を構成する。レベル取得手段55は、波形読出手段52から供給された波形データから楽音のレベルを取得し、取得したレベルを、輝度決定手段57に供給する。
【0038】
開始/停止情報取得手段56は、CPU11などから実現される機能であり、発光制御装置100の一部を構成する。開始/停止情報取得手段56は、打撃検出手段54から、打撃が検出されたことを示す情報を受信すると、その打撃が、楽音の再生を開始するための打撃であるか、楽音の再生を停止するための打撃であるかを示す開始/停止情報を取得し、取得した再生/停止情報を、輝度決定手段57に供給する。
【0039】
輝度決定手段57は、CPU11などから実現される機能であり、発光制御装置100の一部を構成する。輝度決定手段57は、レベル取得手段55から供給された楽音のレベルと、再生/停止情報取得手段56から供給された再生/停止情報とに基づいて、発光手段59(LED4)で発光させる際の輝度(以下、この輝度を「出力輝度」と称す)を決定し、決定された出力輝度を指示する制御情報を発光制御手段58に供給する。
【0040】
発光制御手段58は、発光手段59の発光態様を制御情報に基づいて制御する機能であり、ドライバ21から実現される。発光制御手段58は、輝度決定手段57から供給された制御情報に従い、指定された輝度に応じたデューティ比の電力パルスを発光手段59に供給する。発光手段59は、発光機能であり、LED4(4a〜4a)によって実現される。発光手段59は、発光制御手段58から供給された電力パルスにより駆動されて発光する。
【0041】
次に、図3〜図7を参照して、上記構成を有する電子楽器1に搭載される発光制御装置100のCPU11又はDSP19が実行する処理について説明する。まず、図3は、CPU11が実行する再生モード処理を示すフローチャートである。再生モード処理は、電子楽器1が再生モードに設定されている場合に実行される処理である。
【0042】
まず、CPU11は、パッド3(3a〜3i)が打撃されたかを、センサ22からトリガ信号を受信したか否かによって判別する(S301)。このとき、パッド3が打撃されていなければ(S301:No)、CPU11は、処理をS301へ戻す。
【0043】
一方で、CPU11が、センサ22からトリガ信号を受信し、パッド3が打撃されたと判別した場合には(S301:Yes)、CPU11は、打撃強度(トリガ信号の強度)を検出する(S302)。なお、CPU11は、S302において検出した打撃強度を示す情報をDSP19へ出力する。DSP19は、打撃強度を示す情報に応じた再生レベルとなるよう、波形データを処理する。より詳細には、DSP19は、打撃強度が高い程(即ち、パッドが強く打撃された程)、再生レベルを大きくする。つまり、パッド3が強く打撃される程、より大きな再生レベルで楽音が再生される。
【0044】
次に、CPU11は、打撃されたパッド3に対応する打撃タイミングフラグ13aをオンに設定し(S303)、打撃されたパッド3に対応する再生中フラグ13bがオンであるか否かを判別する(S304)。再生中フラグ13bがオフである場合には(S304:No)、打撃されたパッド3に対応する楽音は再生されておらず、パッド3の打撃は、楽音の再生を開始するために行われた打撃である。かかる場合、CPU11は、対象となる再生中フラグ13bをオンに設定する(S305)。次に、CPU11は、打撃されたパッド3に対応する波形データの読み出しを開始するよう、音源18に指示し、楽音の再生を開始させ(S306)、処理をS301に戻す。
【0045】
一方、S304における判別の結果、再生中フラグ13bがオンである場合には(S304:Yes)、打撃されたパッド3に対応する楽音は再生中であり、パッド3の打撃は、楽音の再生を停止するために行われた打撃である。かかる場合、CPU11は、対象となる再生中フラグ13bをオフに設定する(S307)。次に、CPU11は、打撃されたパッド3に対応する波形データの読み出しを停止するよう、音源18に指示し、楽音の再生を停止させ(S308)、処理をS301に戻す。
【0046】
図4(a)は、DSP19が実行する楽音再生処理を示すフローチャートである。楽音再生処理は、楽音の再生中に、所定のサンプリング周期(例えば、44.1kHz)で繰り返し実行される処理である。まず、DSP19は、音源18から供給された波形データから楽音のレベルを取得するレベル取得処理を実行し(S401)、その他の処理を実行し(S402)、本処理を終了する。なお、その他の処理(S402)としては、パッド3の打撃強度を示す情報に応じた再生レベルとするため処理や、設定された効果を付与する処理などが例示される。
【0047】
図4(b)は、図4(a)の楽音再生処理の中で実行されるレベル取得処理(S401)を示すフローチャートである。まず、DSP19は、波形データのレベルを取得する(S421)。次に、DSP19は、maxの値が、S421において取得したレベルより大きいかを判別する(S422)。「max」は、波形データの開始ポイント又はタイマ割込処理である発光制御処理(図5参照)が前回に実行されてから、現在までの期間における波形データの最大レベルを示す値であり、RAM13の所定領域に記憶される。この「max」の値が、後述するレベルメータ輝度変換処理(図6参照)において輝度を設定する際に、「楽音のレベル」として使用される。なお、maxの値は、各パッド3についてそれぞれ記憶される。
【0048】
S421において取得したレベルが、maxの値より大きい場合(S422:Yes)、波形データの開始ポイント又は発光制御処理が前回に実行されてから現在までの期間における波形データの最大レベルは、S421において取得したレベルである。かかる場合、DSP19は、maxの値を、取得したレベルに更新し(S423)、本処理を終了する。一方、取得したレベルが、maxの値以下である場合(S422:No)、前記期間における波形データの最大レベルは、maxの値である。かかる場合、DSP19は、本処理を終了する。
【0049】
図5は、CPU11が実行する発光制御処理を示すフローチャートである。この発光制御処理は、50msec毎に実行されるタイマ割込処理である。図5に示すように、発光制御処理は、S501〜S504の処理によって構成されるが、S501〜S504の処理は、各LED4a〜4iについて実行される。
【0050】
まず、CPU11は、LED4(4a〜4i)毎に、楽音のレベル(maxの値)に応じた輝度を算出するレベルメータ輝度算出処理を実行する(S501)。レベルメータ輝度算出処理(S501)における詳細な処理については、図6を参照して後述する。なお、以下では、レベルメータ輝度算出処理により算出される輝度、即ち、楽音のレベルに応じた輝度を「レベルメータ輝度」と称す。
【0051】
次に、CPU11は、LED4(4a〜4i)毎に、対応するパッド3の打撃に基づく輝度を算出する打撃時輝度算出処理を実行する(S502)。打撃時輝度算出処理(S502)における詳細な処理については、図7を算出して後述する。なお、以下では、打撃時輝度算出処理により算出される輝度、即ち、パッド3の打撃に基づく輝度を「打撃時輝度」と称す。
【0052】
次に、CPU11は、各LED4a〜4iについて、出力輝度決定処理(S503)を実行する。出力輝度決定処理(S503)は、レベルメータ輝度算出処理(S501)において算出したレベルメータ輝度と、打撃時輝度算出処理(S502)において算出した打撃時輝度とから、LED4で発光させる輝度(即ち、出力輝度)を決定する処理である。
【0053】
出力輝度決定処理(S503)は、S503a〜S503fの処理から構成される。具体的に、出力輝度決定処理(S503)において、まず、CPU11は、打撃タイミングフラグ13aがオンであるかを判別する(S503a)。打撃タイミングフラグ13aがオフである場合には(S503a:No)、CPU11は、bright3の値として、bright1の値を設定する(S503b)。
【0054】
「bright1」は、レベルメータ輝度算出処理(S501)において算出されたレベルメータ輝度を示す。一方、「bright3」は、出力輝度、即ち、LED4で発光させる輝度を示す値であり、RAM13の所定領域に記憶される。なお、bright1の値及びbright3の値は、いずれも、各パッド3ついてそれぞれ記憶される。上述した通り、本実施形態では、打撃タイミングフラグ13aがオフである場合は、打撃時輝度波形メモリ12bに記憶されている輝度変化パターンは参照されていない。よって、打撃タイミングフラグ13aがオフである場合(即ち、参照期間外である場合)には、算出されたレベルメータ輝度(bright1)が、出力輝度(bright3)として決定される。
【0055】
S503aにおいて、打撃タイミングフラグ13aがオンである場合には(S503a:Yes)、CPU11は、再生中フラグ13bがオンであるかを判別する(S503c)。S503cにおいて、再生中フラグ13bがオンであれば(S503c:Yes)、打撃タイミングフラグ13aが、楽音の再生を開始させるためにパッド3が打撃されたことによってオンに設定された場合である。かかる場合、CPU11は、count2の値が、所定値Cより大きいかを判別する(S503d)。
【0056】
「count2」は、打撃時輝度波形メモリ12bに記憶されている輝度変化パターンの参照期間(読み出し期間)を計時するためのカウント値であり、RAM13の所定領域に記憶される。なお、count2の値は、各パッド3についてそれぞれ記憶される。詳細は後述するが、count2の値は、打撃時輝度算出処理(S502)の中で更新される。つまり、count2の値は、発光制御処理の実行間隔である50msec毎に更新される。
【0057】
「C」は、count2の更新による計時において、打撃時輝度を優先させる期間(以下、この期間を「優先期間」と称す)の終了タイミングを示すカウント値である。本実施形態では、優先期間を300msecとする。よって、本実施形態では、C=6である。なお、優先期間は、パッド3が打撃されてから、打撃時輝度波形メモリ12bに記憶されている輝度変化パターンの参照期間(読み出し期間)に等しい期間、又は、それより短い期間とされる。従って、本実施形態では、S503dにおいて、CPU11は、count2の値が6より大きいかを判別する。
【0058】
count2の値がC(本実施形態では、6)より大きい、即ち、優先期間外である場合には(S503d:Yes)、CPU11は、bright1の値が、bright2の値より大きいかを判別する(S503e)。
【0059】
「bright2」は、打撃時輝度算出処理(S502)において算出した打撃時輝度を示す値であり、RAM13の所定領域に記憶される。なお、bright2の値は、各パッド3についてそれぞれ記憶される。つまり、S503eにおいて、CPU11は、算出されたレベルメータ輝度(bright1)が、算出された打撃時輝度(bright2)より大きいか否かを判別する。
【0060】
S503eにおいて、bright1の値が、bright2の値より大きい場合には(S503e:Yes)、CPU11は、bright3の値として、bright1の値を設定する(S503b)。一方、bright1の値が、bright2の値以下である場合には(S503e:No)、CPU11は、bright3の値として、bright2の値を設定する(S503f)。よって、再生を開始するためにパッド3が打撃された場合(即ち、楽音の再生中)において、打撃タイミングフラグ13aがオンであり(即ち、参照期間内であり)、かつ、優先期間外である場合には、算出されたレベルメータ輝度(bright1)と、打撃時輝度(bright2)とのうち、高い方の輝度が出力輝度(bright3)として決定される。
【0061】
S503dにおいて、count2の値がC以下である場合、即ち、優先期間内である場合には(S503d:No)、CPU11は、bright3の値として、bright2の値を設定する(S503f)。よって、楽音の再生を開始させるためにパッド3が打撃された場合において、参照期間内であり、かつ、優先期間内である場合には、算出されたレベルメータ輝度(bright1)とは無関係に、打撃時輝度(bright2)が、出力輝度(bright3)として決定される。
【0062】
一方、S503cにおいて、再生中フラグ13bがオフであれば(S503c:No)、打撃タイミングフラグ13aが、再生中の楽音を停止させるためにパッド3が打撃されたことによってオンに設定された場合である。かかる場合、楽音のレベルがゼロになるため、算出されるレベルメータ輝度(bright1)もゼロである。よって、かかる場合、CPU11は、bright3の値として、bright2の値を設定する(S503f)。つまり、再生中の楽音を停止させるためにパッド3が打撃された場合には、輝度変化パターンの参照期間が終了し、打撃タイミングフラグ13aがオフに設定されるまで、打撃時輝度(bright2)が、出力輝度(bright3)として決定される。
【0063】
CPU11がS503b又はS503fの処理を実行すると、出力輝度決定処理(S503)は終了する。出力輝度決定処理(S503)の後、CPU11は、処理対象のLED4(4a〜4i)の輝度が、出力輝度決定処理(S503)において決定した出力輝度(bright3)となるよう、制御情報を設定し(S504)、本処理を終了する。
【0064】
CPU11は、S504において、再生中の楽音に対応するLED4毎に設定された制御情報を、I/F16を介してドライバ21へ出力する。ドライバ21は、入力された制御情報に従い、PWM制御によって制御対象のLED4の輝度を制御する。これにより、各LED4a〜4iは、決定された出力輝度(bright3)で発光又は消灯する。
【0065】
図6は、図5の発光制御処理の中で実行されるレベルメータ輝度算出処理(S501)を示すフローチャートである。まず、CPU11は、levelの値を、maxの値に設定し(S601)、maxの値をゼロに設定する(S602)。「level」は、現在の楽音のレベルを示す値であり、RAM13の所定領域に記憶される。なお、levelの値は、各パッド3についてそれぞれ記憶される。
【0066】
次に、CPU11は、再生中フラグ13bがオンであるかを判別する(S603)。再生中フラグ13bがオン、即ち、楽音の再生中である場合には(S603:Yes)、CPU11は、levelの値がゼロであるかを判別する(S604)。
【0067】
S604において、levelの値がゼロである場合、即ち、再生中であるが楽音のレベルがゼロである場合には(S604:Yes)、CPU11は、countの値が、所定値Aより大きいかを判別する(S605)。
【0068】
「count」は、再生中であるが楽音のレベル(level)がゼロである場合、levelの値を変更しない期間(以下、この期間を「オフセット待機期間」と称す)を計時するためのカウント値である。countの値は、RAM13の所定領域に、各パッド3についてそれぞれ記憶される。countの値は、50msec毎に実行される発光制御処理(より詳細には、レベルメータ輝度算出処理)の中で更新される。
【0069】
「A」は、countの更新による計時において、オフセット待機期間の終了タイミングを示すカウント値である。本実施形態では、再生中であり、かつ、楽音のレベルがゼロである期間が150msecを超えた場合に、levelの値を所定のオフセット値に設定する。即ち、本実施形態において「オフセット待機期間」は150msecである。よって、本実施形態では、A=3である。従って、本実施形態では、S605において、CPU11は、countの値が3より大きいかを判別する。
【0070】
countの値がA(本実施形態では、3)以下である場合、即ち、オフセット待機期間内である場合には(S605:No)、CPU11は、countの値に1を加算して更新する(S609)。次に、CPU11は、levelの値を、所定の関係式に従って輝度(LED輝度)に変換し(S607)、レベルメータ輝度(bright1)の値として、S607において得られた輝度を設定する(S503e)。よって、再生中であり、かつ、楽音のレベルがゼロである場合(即ち、再生中における無音状態である場合)に、楽音のレベルがゼロである期間がオフセット待機期間に到達しない場合には、levelの値はゼロであるので、レベルメータ輝度(bright1)はゼロに設定される。
【0071】
なお、S607において、levelの値を輝度に変換する場合に用いる関係式としては、例えば、levelの値がゼロの場合における輝度をゼロとし、levelの値が所定値以上である場合における輝度を最大値とし、levelの値がゼロから所定値までの間は、levelの値が大きい程、輝度が大きくなるような関係式であればよい。例えば、levelの値が大きい程、輝度がリニアに大きくなる関係式を採用できる。
【0072】
一方、S605において、countの値がAを超えた場合には(S605:Yes)、CPU11は、levelの値を、所定のオフセット値に設定し(S606)、処理をS607へ移行する。よって、再生中における無音状態の期間がオフセット待機期間を超えた場合には、レベルメータ輝度(bright1)は、前記オフセット値に対応する輝度に設定される。つまり、本実施形態のレベルメータ輝度算出処理(S501)によれば、再生音に、無音状態が含まれる場合には、再生中の無音状態の期間が150msecに到るまでは、対応するLED4は消灯されたままとされるが、再生中の無音状態の期間が150msecを超えると、対応するLED4が所定の輝度で発光される。
【0073】
S604において、levelの値がゼロでない場合には(S604)、CPU11は、countの値をゼロに設定し(S605)、処理をS607へ移行する。よって、再生中であり、かつ、楽音のレベルがゼロでない場合には、levelの値は楽音のレベルに設定されているので、レベルメータ輝度(bright1)は、楽音のレベルに応じた輝度に設定される。
【0074】
S603において、再生中フラグ13bがオフ、即ち、楽音が再生されていない場合には(S603:No)、CPU11は、countの値をゼロに設定し(S605)、処理をS607へ移行する。楽音が再生されていない場合、levelの値はゼロであるので、レベルメータ輝度(bright1)はゼロに設定される。
【0075】
図7は、上述した打撃時輝度算出処理(S502)を示すフローチャートである。まず、CPU11は、打撃タイミングフラグ13aがオンであるかを判別する(S701)。打撃タイミングフラグ13aがオンである場合には(S701:Yes)、CPU11は、count2の値が、所定値Bより大きいかを判別する(S702)。なお、「B」は、count2の更新による計時において、打撃時輝度波形メモリ12bに記憶されている輝度変化パターンの参照期間(読み出し期間)の終了タイミングを示すカウント値である。本実施形態では、輝度変化パターンの参照期間を500msecとする。よって、本実施形態では、B=10である。従って、本実施形態では、S702において、CPU11は、count2の値が10より大きいかを判別する。
【0076】
count2の値がB(本実施形態では、10)以下、即ち、輝度変化パターンの参照期間内である場合には(S702:No)、CPU11は、打撃時輝度波形メモリ12bから、count2の値に対応する輝度を読み出す(S703)。次に、CPU11は、打撃時輝度(bright2)の値として、S703において読み出した輝度を設定する(S704)。よって、輝度変化パターンの参照期間内である場合には、輝度変化パターンにおける、パッド3が打撃されてからの経過時間に応じた輝度が、打撃時輝度(bright2)の値として設定される。次に、count2の値に1を加算して更新し(S705)、本処理を終了する。
【0077】
一方、S702において、count2の値がBより大きい、即ち、輝度変化パターンの参照期間に到達した場合には(S702:Yes)、CPU11は、打撃タイミングフラグ13aをオフに設定し(S706)、打撃時輝度(bright2)の値として、ゼロを設定する(S707)。よって、輝度変化パターンの参照期間に到達した後は、輝度変化パターンは参照されない。次に、CPU11は、count2の値をゼロに設定し(S708)、本処理を終了する。
【0078】
S701において、打撃タイミングフラグ13aがオフである場合には(S701:No)、輝度変化パターンの参照期間ではないので、CPU11は、処理をS707へ移行する。
【0079】
次に、図8及び図9を参照して、発光制御装置100の制御(即ち、図3〜図7に示した各処理)によるLED4の輝度変化について説明する。図8は、1つのLED4の輝度−時間変化の一例を説明するグラフである。
【0080】
まず、図8(a)は、レベルメータ輝度算出処理(S501;図6参照)により算出されるレベルメータ輝度の時間変化の一例を示すグラフである。図8(a)において、グラフの横軸は、時間を示し、縦軸は、レベルメータ輝度(bright1)を示す。
【0081】
楽音の停止中(即ち、再生中フラグがオフである場合)に、ユーザが、時刻tsにおいてパッド3を打撃すると、打撃されたパッド3に割り当てられた波形データに基づく楽音の再生が開始される。楽音の再生が開始されると、レベルメータ輝度(bright1)は、各時刻における再生音(再生された楽音)のレベルに応じた輝度に設定される。
【0082】
楽音の再生中(即ち、再生中フラグがオンである場合)、時刻t1において、楽音のレベルがゼロになると、レベルメータ輝度(bright1)もゼロとなる。その後、時刻t1からオフセット待機期間が経過し、時刻t2に達しても、楽音のレベルがゼロである場合には、楽音のレベルが強制的にオフセット値に設定される。その結果、時刻t2から、楽音のレベルがゼロでなくなる時刻t3までの期間は、レベルメータ輝度(bright1)は、オフセット値に対応する輝度に設定される。
【0083】
時刻t3以降は、レベルメータ輝度(bright1)は、再び、各時刻における再生音(再生された楽音)のレベルに応じた輝度に設定される。そして、ユーザが、時刻teにおいて、パッド3を打撃すると、打撃されたパッド3に割り当てられた波形データに基づく楽音の再生は停止される。これにより、楽音のレベルはゼロになるため、時刻te以降は、次に楽音の再生が開始されるまで、レベルメータ輝度(bright1)はゼロに設定される。
【0084】
図8(b)は、打撃時輝度算出処理(S502;図7参照)により算出される打撃時輝度の時間変化の一例を示すグラフである。図8(b)において、グラフの横軸は、時間を示し、縦軸は、打撃時輝度(bright2)を示す。
【0085】
楽音の停止中に、ユーザが、時刻tsにおいてパッド3を打撃すると、打撃時輝度波形メモリ12bに記憶されている輝度変化パターンに従う輝度の読み出しが開始される。その後は、輝度変化パターンに従って刻々と輝度が読み出され、参照期間が終了するまで(即ち、時刻t4に到るまで)、各時刻において読み出された輝度が、打撃時輝度(bright2)として設定される。参照期間の終了時刻である時刻t4以降は、次にパッド3が打撃されるまで、打撃時輝度(bright2)はゼロに設定される。
【0086】
その後、楽音の再生中に、ユーザが、時刻teにおいてパッド3を打撃すると、時刻tsにおいてパッド3を打撃した場合と同様に、打撃時輝度波形メモリ12bに記憶されている輝度変化パターンに従う輝度の読み出しが開始される。その後は、輝度変化パターンに従って刻々と輝度が読み出され、参照期間が終了するまで(即ち、時刻t5に到るまで)、各時刻において読み出された輝度が、打撃時輝度(bright2)として設定される。参照期間の終了時刻である時刻t5以降は、次にパッド3が打撃されるまで、打撃時輝度(bright2)はゼロに設定される。
【0087】
図8(c)は、出力輝度決定処理(S503;図5参照)により決定される出力輝度の時間変化の一例を示すグラフである。図8(c)において、グラフの横軸は、時間を示し、縦軸は、出力輝度(bright3)を示す。
【0088】
上述した通り、出力輝度(bright3)は、各時刻におけるレベルメータ輝度(bright1)と、打撃時輝度(bright2)とから決定される。楽音の停止中に、ユーザが、時刻tsにおいてパッド3を打撃すると、時刻tsから優先期間が経過するまでの間、出力輝度(bright3)は、優先的に打撃時輝度(bright2)に決定される。なお、図8に示す例では、優先期間中における、レベルメータ輝度(bright1)と、打撃時輝度(bright2)との大小関係は、bright2>bright1である。
【0089】
優先期間の終了後、参照期間が終了するまで(即ち、時刻t4に達するまで)の期間では、出力輝度(bright3)は、各時刻におけるレベルメータ輝度(bright1)と、打撃時輝度(bright2)とのうち、高い方の輝度に決定される。
【0090】
時刻t4から、時刻teまでの期間は、打撃時輝度(bright2)は参照されないので、出力輝度(bright3)は、各時刻におけるレベルメータ輝度(bright1)に決定される。よって、再生音の中に、時刻t1から時刻t3まで無音状態が存在する場合、無音状態の開始時刻(時刻t1)から、オフセット待機期間の終了時刻(時刻t2)に到るまでは、出力輝度(bright3)は、レベルメータ輝度(bright1)であるゼロに決定される。上述した通り、時刻t2においてオフセット待機期間が終了した後、時刻t3に到るまで、レベルメータ輝度(bright1)は、オフセット値に対応する輝度に設定される。よって、時刻t2から時刻t3までの間、出力輝度(bright3)は、オフセット値に対応する輝度とされる。
【0091】
ユーザが、時刻teにおいてパッド3を打撃した場合、時刻teから、参照期間が終了するまで(即ち、時刻t5に達するまで)の期間、出力輝度(bright3)は、各時刻における打撃時輝度(bright2)に決定される。
【0092】
図9は、1つのLED4の輝度−時間変化の一例を説明するグラフである。図9において、グラフの横軸は、時間を示し、縦軸は、出力輝度(bright3)を示す。図9のグラフにおける実線は、出力輝度(bright3)の時間変化を表す。なお、点線は、出力輝度を決定するために用いたレベルメータ輝度(bright1)の時間変化である。一点鎖線は、出力輝度を決定するために用いた打撃時輝度(bright2)の時間変化を示す。これらの輝度(bright1,bright2)には、実線で示した出力輝度(bright3)と重なる部分も存在する。
【0093】
図9に示す例では、再生開始付近における楽音のレベルが大きく、そのために再生開始付近におけるレベルメータ輝度(bright1)も高い値が算出される。このように、再生開始付近におけるレベルメータ輝度(bright1)が大きくなるような楽音(波形データ)に対し、出力輝度(bright3)を、レベルメータ輝度(bright1)と、打撃時輝度(bright2)とのうち、高い方の輝度に決定したとすれば、ユーザは、LED4の輝度変化を目視した場合に、その経度変化が、短い時間で比較的高いピーク輝度に達する打撃時輝度(bright2)の輝度変化であると認識することが難く、楽音の再生の開始タイミングを把握し難い。
【0094】
しかし、上述した通り、本実施形態の発光制御装置100によれば、優先期間(即ち、時刻tsから時刻t6に到るまでの期間)では、出力輝度(bright3)は、レベルメータ輝度(bright1)とは無関係に、打撃時輝度(bright2)に決定される。本実施形態の発光制御装置100によれば、かかる制御がされるので、ユーザは、LED4の輝度変化を目視した場合に、その経度変化が、打撃時輝度(bright2)の輝度変化であると容易に認識することができ、それにより、楽音の再生の開始タイミングを明確に把握することができる。
【0095】
以上説明した通り、本実施形態によれば、楽音のレベルから算出されたレベルメータ輝度と、パッド3が打撃された場合に算出される打撃時輝度と、打撃タイミングフラグ13a及び再生中フラグ13bの状態とに基づいて、打撃されたパッド3に対応する1つのLED4の輝度が、楽音(音)の再生状態を識別可能にするとともに再生音のレベルを報知可能な発光態様で発光されるよう設定される。かかる制御により、LED4の目視による楽音の認識性を高めることができる。
【0096】
例えば、図8(c)に示すように、再生音に無音状態が含まれる場合には、その無音状態がオフセット待機期間(本実施形態では、150msec)に達するまでは、実際の楽音のレベル(無音なのでゼロ)に従う輝度が、出力輝度として決定され、前記無音状態がオフセット待機期間を超えると、所定のオフセットに対応する輝度が、出力輝度として決定される。これにより、楽音の再生中に、無音状態が生じた場合には、LED4は、再生中の無音状態が所定期間(オフセット待機期間)に達するまでは発光せず(消灯され)、当該期間を超えると、無音であるにもかかわらず所定の輝度で発光されることになる。
【0097】
よって、ユーザは、楽音が無音であっても、LED4が発光していれば、楽音の再生中であることを把握できる。また、LED4は、発光していない状態(即ち、輝度がゼロ)から、オフセット値に対応する輝度へと変化する。ユーザは、この輝度変化があることによって、楽音の再生中の無音状態であることを、明確に把握できる。
【0098】
また、図9に示すように、ユーザが、パッド3を打撃することによって、楽音の再生を指示した場合には、楽音の再生が開始されてから、所定の優先期間の間は、レベルメータ輝度とは無関係に、打撃時輝度が、優先的に(強制的に)出力輝度として決定される。よって、ユーザは、LED4の輝度変化が、打撃時輝度(bright2)の輝度変化であると容易に認識することができるので、楽音の再生の開始タイミングを明確に把握することができる。
【0099】
また、ユーザが、パッド3を打撃することによって、楽音の再生停止を指示した場合には、打撃時輝度が、出力輝度として決定されるので、ユーザは、LED4の輝度変化が、打撃時輝度(bright2)の輝度変化であると容易に認識することができるので、再生されていた楽音の停止タイミング(再生終了タイミング)を明確に把握することができる。
【0100】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0101】
例えば、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0102】
また、上記実施形態では、再生音に無音状態が含まれる場合には、その無音状態がオフセット待機期間に達するまでは、実際の楽音のレベルに従う輝度を、出力輝度として決定し、前記無音状態がオフセット待機期間を超えると、所定のオフセットに対応する輝度を、出力輝度として決定する構成とした。これに換えて、オフセット待機期間を設けることなく、再生中に楽音のレベルがゼロになった場合には、所定のオフセットに対応する輝度を、出力輝度として決定する構成としてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、レベルメータ輝度算出処理のS604において、levelの値がゼロである場合に、S605の処理へ処理が移行する構成としたが、levelの値がゼロに近い所定値以下である場合に、S605の処理へ処理が移行する構成としてもよい。即ち、楽音の再生中における無音状態と判別される楽音のレベルの閾値は、ゼロに限定されず、ゼロに近い所定値であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、パッド3の打撃強さ(操作強度)に応じて楽音の再生レベルが変更される構成としたが、打撃強さにかかわらず、所定のベロシティで楽音を生成する構成としてもよい。打撃強さに応じて再生レベルを変更しない場合には、打撃強さを検出しなくてもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、パッド3の打撃強さ(操作強度)とは無関係に、打撃時輝度を設定する構成としたが、打撃時輝度に、パッド3の打撃強さを反映させる構成としてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、波形データに基づく楽音のレベルをパッド3の打撃強さに応じた再生レベルに変更する前に、LED4の輝度を決定する構成としたが、パッド3の打撃強さが反映された再生レベルを用いて、LED4の輝度を決定する構成としてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、楽音のレベルを、所定期間(本実施形態では、発光制御処理の実行間隔である50msecの期間)における波高の最大値としたが、当該所定期間における波高の平均値を楽音のレベルとしてもよい。あるいは、当該期間における波高の積分値を楽音のレベルとしてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、楽音の再生又は停止を指示する操作子として、パッド3を例示した。楽音の再生又は停止を指示する操作子としては、パッド3に限らず、操作タイミングを検出可能なものであれば、種々の操作子を採用できる。例えば、鍵盤であったり、押しボタンであったり、レバースイッチなどの操作子であってもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、パッド3への打撃を検出し、打撃が検出される毎に、楽音の再生の開始と再生停止とを切り換える構成とした。これに換えて、操作子が操作され続ける間は楽音が再生され続ける構成としてもよい。例えば、楽音の再生又は停止を指示する操作子が鍵盤である場合には、鍵盤が押鍵されている間、楽音が再生され続け、鍵盤が離鍵された場合に、楽音の再生が停止される構成であってもよい。かかる場合には、鍵盤が押鍵されたタイミングを、楽音の再生タイミングとし、鍵盤が離鍵されたタイミングを、楽音の停止タイミングとする。
【0110】
また、楽音の再生又は停止を指示する操作子として鍵盤を採用した場合には、押鍵の強さが強い(又は押鍵速度が速い)程、再生の開始タイミングを示す輝度(打撃時輝度に相当する輝度)のピークを高くするようにしてもよい。一方、離鍵速度が速い程、再生の開始タイミングを示す輝度のピークを高くするようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、パッド3(操作子)が楽音の停止中に打撃されると楽音の再生が開始され、パッド3が楽音の再生中に打撃されると楽音の再生が停止する構成としたが、パッド3の操作(打撃)に依ることなく、楽音の再生が停止される構成としてもよい。つまり、楽音の再生開始はパッド3を打撃することによって指示し、再生される波形データの終了ポイントに到達したタイミングを、停止タイミングとし、楽音の再生を停止する構成としてもよい。波形データの終了ポイントは、波形メモリ12c,13c,14aに記憶されている(録音されている)波形データの長さから得ることができる。
【0112】
なお、再生される楽音の停止を、操作子への操作でなく、波形タイミングの終了ポイントに到達したタイミングとする構成を採用する場合には、楽音の再生を停止する場合に、打撃時輝度を算出しない構成としてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、発光制御装置100が、パッド3とともに電子楽器1に搭載される構成としたが、パッド3と別体の装置として構成されてもよい。例えば、ユーザが打撃するためのパッドが、発光制御装置100及びLED4が搭載された装置とは別体であり、パッドが打撃されるとトリガ信号が、発光制御装置100に入力されるものであってもよい。また、発光制御装置100と、ドライバ21やLED4とが別体であってもよい。
【0114】
また、発光制御装置100が、楽音を再生する部分(音源やDSPなど)と別体の装置として構成されていてもよい。かかる場合には、楽音を再生する部分から、発光再生装置100に楽音のレベルが入力されるように構成すればよい。上記実施形態では、発光制御装置100が、DSP19を含む構成としたが、発光制御装置100が、楽音を再生する部分と別体とした場合には、DSP19を含まない構成となる。
【0115】
また、上記実施形態では、再生音のレベルだけでなく、楽音(音)の再生状態が識別可能となるように、LED4の輝度を制御するものであった。制御対象は、輝度に限定されるものではなく、他の発光態様(LEDの発光色や、LEDの点滅周期など)であってもよい。例えば、LED4を多色LEDとし、楽音の再生中に無音状態におけるLED4の発光色を、楽音のレベルが0より大きい場合と異なる発光色となるよう制御してもよい。さらに、楽音の再生又は停止を、再生音のレベルとは異なるLED4の発光色で発光させることによって表すようにしてもよい。あるいは、再生音のレベルをLED4の輝度変化で表し、楽音の再生中における無音状態をLED4の点滅(点滅周期)によって表してもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、S607において、levelの値を輝度に変換する場合に、levelの値と輝度とがリニアな関係にある関係式を用い、演算によって変換する構成とした。関係式としては、levelの値と輝度とがノンリニアな関係にある関係式を用いてもよい。なお、levelの値と輝度とがノンリニアな関係であっても、目視した場合に、リニアに感じられるような変化であることが好ましい。
【0117】
また、上記実施形態では、S607において、levelの値を演算によって輝度に変換する構成としたが、levelの値と輝度とが予め対応付けられたテーブルを設け、そのテーブルを参照して、levelの値を輝度に変換する構成としてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、楽音の再生が開始されると、優先期間であるか否かに関わらずレベルメータ輝度を算出する構成としたが、優先期間中は、レベルメータ輝度を算出しない構成としてもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、電子楽器1内に設けられた記憶部(ROM11,RAM13,フラッシュメモリ14)に記憶される波形データに基づく楽音が再生される構成とした。再生される波形データは、電子楽器1内に設けられた記憶部に記憶されているものに限らず、SDカード(登録商標)や、コンパクトフラッシュ(登録商標)や、USBメモリ等の着脱可能な記録メディアや、外付けのハードディスクドライブなどに記憶されているものであってもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、再生開始時も再生終了時も、打撃時輝度波形メモリ12bに記憶されている同じ輝度変化パターンを使用する構成であった。これに換えて、再生開始時と再生終了時とで異なる輝度変化パターンを使用するように構成してもよい、なお、「異なる輝度変化パターン」としては、再生開始時と再生終了時とで、参照期間は同じであるが、時間変化に伴う輝度変化のパターンが互いに異なる場合や、再生開始時と再生終了時とで参照期間の異なる輝度変化パターンである場合などがある。
【0121】
また、上記実施形態では、打撃時輝度波形メモリ12bに予め記憶されている輝度変化パターンを用いて打撃時輝度を算出する構成としたが、打撃時輝度の輝度変化パターンを演算により算出する構成としてもよい。例えば、参照期間の頭で所定値となり、残りの期間で0(ゼロ)となるインパルス波形や、参照期間内は所定値となり、参照期間外では0となる矩形波形や、参照期間の頭で所定値となり、参照期間の終わりで0(ゼロ)になる鋸波形などを、輝度変化パターンとしてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、優先期間を参照期間より短い期間としたが、優先期間と参照期間とが同じであってもよい。即ち、参照期間を全て優先期間とし、優先期間後に参照期間が残らないように構成してもよい。
【0123】
上記実施形態において、レベル情報取得手段としては、レベル取得処理(S401)が例示され、再生開始情報取得手段としては、S301が例示され、再生終了情報取得手段としては、S301が例示される。また、設定手段としては、図5の発光制御処理が例示される。また、第1設定手段としては、S603:Yes,S604:No,S607が例示される。また、第2設定手段としては、S603:Yes,S604:Yes,S605:Yes,S607が例示される。輝度変化パターン記憶手段としては、打撃時輝度波形メモリ12bが例示される。第3設定手段としては、S503a:Yes,S503c:Yes,S503d:Noが例示される。第4設定手段としては、S503a:Yes,S503c:Noが例示される。
【符号の説明】
【0124】
1 電子楽器
3 パッド
4 LED
11 CPU(発光制御装置の一部)
12 ROM(発光制御装置の一部)
13 RAM(発光制御装置の一部)
19 DSP(発光制御装置の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体を発光させる発光手段を制御する発光制御装置であって、
音のレベルに応じたレベル情報を取得するレベル情報取得手段と、
音の再生開始を示す再生開始情報を取得する再生開始情報取得手段と、
前記レベル情報取得手段により取得されたレベル情報と、前記再生開始情報取得手段により取得された再生開始情報とに基づいて、1つの発光体が、音の再生状態を識別可能にするとともに再生音のレベルを報知可能な発光態様で発光されるよう、前記発光手段に対する制御情報を設定する設定手段とを備えていることを特徴とする発光制御装置。
【請求項2】
前記設定手段は、
所定の場合を除いて、前記レベル情報が示す音のレベルがゼロである場合の輝度がゼロであり、音のレベルが大きいほど輝度が高くなるように、1つの発光体が前記レベル情報に応じた輝度で発光されるよう、前記発光手段に対する制御情報を設定する第1設定手段と、
前記所定の場合として、前記再生開始情報取得手段により再生開始情報が取得されてから、前記再生終了状態取得手段により再生終了情報が取得されるまでの間である音の再生中であり、かつ、前記レベル情報が示す音のレベルがゼロ又は所定値以下である場合に、前記1つの発光体が前記レベル情報とは無関係な所定輝度で発光されるよう、前記発光手段に対する制御情報を設定する第2設定手段とを含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の発光制御装置。
【請求項3】
前記第2設定手段は、
前記所定の場合として、音の再生中であり、かつ、前記レベル情報が示す音のレベルがゼロ又は所定値以下である期間が、所定時間を超えた場合に、前記1つの発光体が前記所定輝度で発光されるよう、前記発光手段に対する制御情報を設定することを特徴とする請求項2記載の発光制御装置。
【請求項4】
前記設定手段は、
所定の場合を除いて、前記レベル情報が示す音のレベルがゼロである場合の輝度がゼロであり、音のレベルが大きいほど輝度が高くなるように、1つの発光体が前記レベル情報に応じた輝度で発光されるよう、前記発光手段に対する制御情報を設定する第1設定手段と、
前記所定の場合として、前記再生開始情報取得手段により再生開始情報が取得された場合に、その取得から第2所定時間が経過するまでの期間は、前記1つの発光体が、所定の輝度変化を示す輝度で発光されるよう、前記発光手段に対する記制御情報を設定する第3設定手段とを含んで構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発光制御装置。
【請求項5】
音の再生終了を示す再生終了情報を取得する再生終了情報取得手段を備え、
前記設定手段は、
前記レベル情報と、前記再生開始情報と、前記再生終了情報取得手段により取得された再生終了情報とに基づいて、1つの発光体が、音の再生状態を識別可能にするとともに再生音のレベルを報知可能な発光態様で発光されるよう、前記制御情報を設定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発光制御装置。
【請求項6】
前記設定手段は、
所定の場合を除いて、前記レベル情報が示す音のレベルがゼロである場合の輝度がゼロであり、音のレベルが大きいほど輝度が高くなるように、1つの発光体が前記レベル情報に応じた輝度で発光されるよう、前記発光手段に対する制御情報を設定する第1設定手段と、
前記所定の場合として、前記再生終了情報取得手段により再生終了情報が取得された場合に、所定の輝度変化を示す輝度で、前記1つの発光体が発光されるよう、前記発光手段に対する記制御情報を設定する第4設定手段とを含んで構成されることを特徴とする請求項5記載の発光制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−88780(P2013−88780A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232206(P2011−232206)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000116068)ローランド株式会社 (175)
【Fターム(参考)】