説明

発光基板装置、プリントヘッドおよび画像形成装置

【課題】LEDプリントヘッドに用いられる発光基板装置において、ドライバ等の電子部品の発熱により、平面度が悪化することを防止する手段を提供。
【解決手段】長手方向に沿って表面に複数の発光素子アレイ4が直線状または千鳥状に実装された長尺な第1のプリント配線基板24と、表面および/または裏面に発光素子アレイを駆動するための信号を出力する電子部品9が実装された第2のプリント配線基板25と、第1のプリント配線基板の裏面と第2のプリント配線基板の表面が対向するように、第1のプリント配線基板と第2のプリント配線基板を接続する接続部材とを備えた発光基板装置において、第2のプリント配線基板25の裏面から透視して見たときに、第1のプリント配線基板24の裏面における電子部品9の占めるエリア29にダミーパターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に複数の発光素子アレイを実装した発光基板装置、この発光基板装置を備えたプリントヘッド、およびこのプリントヘッドを備えたデジタル複写機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置の感光体の表面に画像の静電潜像を形成するために、発光素子アレイとレンズアレイを主要な構成要素とするプリントヘッドが用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
発光素子アレイは、発光ダイオード(LED)等の発光素子を直線状に複数(例えば、128個)並べたものであり、発光素子アレイを駆動するための信号を出力する駆動素子、画像処理素子等の電子部品からの信号により任意の発光素子をON(点灯)/OFF(消灯)することができるものである。
【0004】
そして、これら発光素子アレイと駆動素子等の電子部品は、当該電子部品から出力された信号にノイズがのると発光素子が正常にON/OFF動作できないため、近接させて実装することが一般に行われている。
【0005】
駆動素子等の電子部品と発光素子アレイを近接させる構成としては、1つのプリント配線基板の表面に発光素子アレイ、裏面に駆動素子等の電子部品を実装するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−289843号公報
【特許文献2】特開2005−193638号公報
【特許文献3】特開2000−141744号公報
【特許文献4】特開平11−266037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、かかる構成だと、駆動素子等の電子部品は発熱するため、この熱がダイレクトにプリント配線基板および発光素子アレイに伝わり、プリント配線基板の反り、発光素子アレイの光軸の曲げ、発光素子の光量の低下等の不具合を引き起こす。
【0008】
そこで、複数の発光素子アレイを実装した第1のプリント配線基板と、発光素子アレイを駆動するための信号を出力する駆動素子、画像処理素子等の電子部品を実装した第2のプリント配線基板の2枚のプリント配線基板を準備し、両プリント配線基板を対向させてコネクタ等の接続部材で接続した手段を採用した発光基板装置が用いられている。
【0009】
かかる構成の発光基板装置は、電子部品が発した熱をダイレクトに第1のプリント配線基板および発光素子アレイに伝えることがなく、かつ、第1のプリント配線基板または第2のプリント配線基板を標準化できるというコストメリットがある。
【0010】
しかし、前記したように、駆動素子等の電子部品と発光素子アレイは近くに設ける必要があることから、第1のプリント配線基板に対して第2のプリント配線基板を遠く離すことができない。このため、第2のプリント配線基板に実装された駆動素子等の電子部品から出た熱が、第1のプリント配線基板と第2のプリント配線基板の間の空気を伝わって、第1のプリント配線基板における駆動素子等の電子部品と対応する部分(エリア)を局所的に加熱するという問題がある。
【0011】
ここで、第1のプリント配線基板における駆動素子等の電子部品と対応する部分(エリア)とは、第2のプリント配線基板の裏面から透視して見たときに、第1のプリント配線基板の裏面における駆動素子等の電子部品が占める部分(エリア)のことをいう。例えば、第1のプリント配線基板の裏面と第2のプリント配線基板の表面が向かい合う(対向する)ように接続部材で両者を固定し、かつ、第2のプリント配線基板の表面に電子部品を実装した場合、第1のプリント配線基板における駆動素子等の電子部品と対応する部分は、第1のプリント配線基板の裏面における電子部品と対向する部分のことである。
【0012】
前記した問題が発生すると、第1のプリント配線基板は長尺であるため、局所的に加熱されると反りが発生し、全ての発光素子から出射した光の光軸が平行にならない。そうすると、この発光基板装置をプリントヘッドに用いた場合、第1のプリント配線基板の表面に実装された発光素子アレイから出射した光がつくる結像ラインが曲がるという問題が生じる。ここで、結像ラインとは、発光素子アレイの複数の発光素子から出射した光がレンズアレイを通って収束した複数の焦点(結像点)を結んでできる線をいう。
【0013】
また、駆動素子の発した熱により第1のプリント配線基板が局所的に加熱されると、当該加熱されたエリアに対応する第1のプリント配線基板の表面のエリアに実装された発光素子アレイに熱が伝わり、当該発光素子アレイの光量が低下するという問題も発生する。
【0014】
本発明は、前記した問題を解決するためになされたものであって、複数の発光素子アレイが表面に実装された第1のプリント配線基板の裏面における第2のプリント配線基板の電子部品と対向するエリアに、ダミーパターンを形成するという簡単な構成により、電子部品の発熱によって第1のプリント配線基板が受ける影響をなくした発光基板装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(第1発明)
第1発明の発光基板装置は、長手方向に沿って表面に複数の発光素子アレイが直線状または千鳥状に実装された長尺な第1のプリント配線基板と、表面および/または裏面に発光素子アレイを駆動するための信号を出力する電子部品が実装された第2のプリント配線基板と、第1のプリント配線基板の裏面と第2のプリント配線基板の表面が対向するように、第1のプリント配線基板と第2のプリント配線基板を接続する接続部材とを備えたものである。
【0016】
そして、第2のプリント配線基板の裏面から透視して見たときに、第1のプリント配線基板の裏面における電子部品の占めるエリアにダミーパターンが形成されたものである。
【0017】
ここで、ダミーパターンとは、配線パターンのような電子部品間の電気的接続(結線)を目的とするものではない、ベアボード上に付加的に形成された絵柄または模様の導体パターンをいう。すなわち、本発光基板装置に関して言えば、発光素子アレイにおける発光素子のON/OFF動作に直接関与することのない導体パターンのことである。尚、ダミーパターンは、製造コストを安価にするため配線パターンと同一の材質(銅箔等)で形成することが望ましい。
【0018】
また、発光素子アレイを駆動するための信号を出力する電子部品とは、発光素子アレイに対して直接駆動信号を出力する駆動素子や、この駆動素子に画像処理信号を出力する画像処理素子等の集積回路(IC)であって、駆動すると発熱する電子部品をいう。
【0019】
前記した構成により、発光素子アレイを駆動するための信号を出力する電子部品が動作することにより発する熱をダミーパターンにより放熱することができる。このため、第1のプリント配線基板に反りが生じたり、第1のプリント配線基板の表面に実装された発光素子アレイの光量が低下する、全ての発光素子アレイの光軸が平行にならない等の不具合が発生することが無い。
【0020】
(第2発明)
第2発明の発光基板装置は、ダミーパターンがグランドに接続されたものである。
【0021】
ここで、グランドとは、プリント配線基板の表面と裏面に導体パターンが形成されている2層基板の場合は、表面および/または裏面に形成されたグランドパターンのことをいい、中間層にグランド層が形成された多層プリント配線基板の場合は、当該中間層に形成されたグランド層のことをいう。
【0022】
前記した構成により、前記した第1発明の効果を奏するのみならず、ダミーパターンに伝わった電子部品の熱をグランドから効率的に放熱することができる。また、ダミーパターンにより外部からのノイズをグランドに落として除去することもできる。
【0023】
(第3発明)
第3発明の発光基板装置は、第1発明または第2発明において、第1のプリント配線基板の長手方向の長さは、第2のプリント配線基板における第1のプリント配線基板の長手方向の長さよりも長く、ダミーパターンが第1のプリント配線基板における第2のプリント配線基板と対向するエリアを超えて形成されたものである。
【0024】
かかる構成により、ダミーパターンの長さが長いので、前記した第1発明または第2発明に記載した以上の放熱効果を得ることができる。それだけではなく、放熱することができずに残った電子部品の熱を広い範囲で第1のプリント配線基板に伝えることができるので、第1のプリント配線基板の表面に実装された発光素子アレイの光量の低下や、全ての発光素子アレイの光軸が平行にならない等の影響を、より小さくすることができる。
【0025】
(第4発明)
第4発明のプリントヘッドは、複数のロッドレンズを整列配置したレンズアレイと、このレンズアレイを固定したハウジングと、このレンズアレイの一方のレンズ面と発光素子アレイが対向するように、ハウジングに固定した第1発明から第3発明のいずれか1つの発光基板装置とを備えたものである。
【0026】
かかる構成により、電子部品が発した熱により、全ての発光素子から出射された光の結像点が作る結像ラインが曲がったり、発光素子の光量が低下する等の不具合が無いプリントヘッドを提供できる。
【0027】
(第5発明)
第5発明の画像形成装置は、表面に静電潜像を形成する感光体と、この感光体と対向して固定した第4発明のプリントヘッドとを備えたものである。
【0028】
かかる構成により、電子部品の熱によりプリントヘッドの結像点を結んでできる結像ラインが曲がったり、発光素子の光量が低下する等の不具合が無いので、高画質な画像を形成できる画像形成装置を提供できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、電子部品が発する熱による発光素子アレイの動作に影響が出ない発光基板装置を提供することができる。また、この発光基板装置を用いたプリントヘッドは、電子部品が発する熱の影響を受けることなく結像ラインを直線状にすることができる。このため、このプリントヘッドを用いた画像形成装置は、高画質な画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】発光基板装置の平面図である(実施例1)
【図2】発光基板装置の正面図である(実施例1)
【図3】発光基板装置の背面図である(実施例1)
【図4】第1のプリント配線基板の背面図である(実施例1)
【図5】第1のプリント配線基板の裏面の部分拡大図である(実施例1)
【図6】第1のプリント配線基板の表面の一部分を拡大した斜視図である(実施例1)
【図7】発光基板装置の正面図である(実施例2)
【図8】発光基板装置の背面図である(実施例2)
【図9】第1のプリント配線基板の背面図である(実施例2)
【図10】発光基板装置の正面図である(実施例3)
【図11】第1のプリント配線基板の裏面の部分拡大図である(実施例4)
【図12】発光基板装置の正面図である(実施例5)
【図13】第1のプリント配線基板の裏面の部分拡大図である(実施例5)
【図14】プリントヘッドの平面図である(実施例6)
【図15】プリントヘッドの斜視図である(実施例6)
【図16】プリントヘッドの断面図である(実施例6)
【図17】プリントヘッドを使用状態を示した図である(実施例7)
【図18】画像形成装置の構成を示した図である(実施例7)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
尚、各実施例で用いられる図面において配線パターンおよびダミーパターンが太く図示されているが、これは説明を分かりやすくするためであり、実際には数百〜数十ミクロンの幅寸法である。
【実施例1】
【0032】
本発明に係る第1実施例を、図1乃至図8を用いて説明する。
(発光基板装置の全体構成)
本発明に係る発光基板装置5は、図1から図3に示すように、長手方向に沿って表面10に複数の発光素子アレイ4が千鳥状に実装された長尺な第1のプリント配線基板24と、表面31に発光素子アレイ4を駆動するための信号を出力する電子部品9が実装された第2のプリント配線基板25と、第1のプリント配線基板24の裏面11と第2のプリント配線基板25の表面31が対向するように、第1のプリント配線基板24と第2のプリント配線基板25を接続する接続部材28とを備えたものである。
【0033】
(第2のプリント配線基板)
まず、第2のプリント配線基板25について詳細に説明する。
図2に示すように、第2のプリント配線基板25の表面31には電子部品9としてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)が実装(半田付け)されている。このASICは、発光素子アレイ4を駆動するための信号を出力するためのものであり、発光素子アレイ4の駆動素子と、図示しない画像形成装置のコントローラ(例えば、図18の画像処理部140)から送られてくる画像データを処理した画像処理信号を駆動素子に送信する画像処理素子とを備えた(内蔵した)ものである。
【0034】
また、第2のプリント配線基板25の表面31には、後述する第1のプリント配線基板24の雌コネクタ26と接続するための雄コネクタ27が実装されている。これら雌コネクタ26および雄コネクタ27により接続部材28が構成されている。また、第2のプリント配線基板25の裏面32には、図示しない画像形成装置のコントローラ(例えば、図18の画像処理部140)と電気的に接続するための雌コネクタ30が実装されている。
【0035】
(第1のプリント配線基板)
次に、図1および図6を用いて、第1のプリント配線基板24について詳細に説明する。尚、図1おける一端部分W(図6)以外の部分の説明は、当該一端部分Wから他端に至るまで発光素子アレイ4が千鳥状に連続して固定される略同一構成の繰り返しであるため、省略する。
【0036】
図6に示すように、第1のプリント配線基板24は、表面10において所定の幅の銅箔からなるベタパターン8が長手方向(Y方向)に沿って形成され、ベタパターン8の表面に、千鳥状に複数の発光素子アレイ4が接着剤を用いて固定されている。
【0037】
発光素子アレイ4の表面には図示しない発光素子(例えば、LED)が直線状に複数(例えば、128個)形成されており、複数のパッド13も形成されている。この複数のパッド13と、第1のプリント配線基板24の表面10に形成された複数のパッド14は、ワイヤー12で接続されている。尚、図6においては、パッド13および14は、説明を簡単にするため1つのみ図示したが実際には複数ある。
【0038】
そして、パッド14は、銅箔からなる配線パターン15により第1のプリント配線基板24の所定の位置に形成されたスルーホール(図示せず)と電気的に接続されており、当該スルーホールにより裏面11の配線パターン16に電気的に接続されている。
また、第1のプリント配線基板24の裏面11には前記したように雌コネクタ26が実装されており、当該雌コネクタ26は前記した裏面11の配線パターン16に接続されている。
【0039】
このため、第1のプリント配線基板24の雌コネクタ26に、第2のプリント配線基板25の雄コネクタ27を挿入することにより、全ての発光素子アレイ4と電子部品9を電気的に接続することができる。
【0040】
かかる構成の第1のプリント配線基板24と第2のプリント配線基板25とを接続部材28により接続した発光基板装置5は、発光素子アレイ4をON/OFFするための電子部品9の駆動により、電子部品9が発熱する。この電子部品9から生じた熱は、第1のプリント配線基板24の裏面11における電子部品9の表面と対向するエリア29に空気を介して伝わり、当該エリア29を加熱する。
【0041】
当該エリア29は、図3および図4における点線で囲まれた裏面11の部分であり、別言すると、図2〜図4に示すように、第2のプリント配線基板25の裏面32から第2のプリント配線基板25を透視して見たときに、第1のプリント配線基板24の裏面11における電子部品9の占める部分である。
【0042】
本発明に係る発光基板装置5は、図5に示すように、当該エリア29において放熱するためのダミーパターン21を設けたことを特徴とするものである。ダミーパターン21は、第1のプリント配線基板24の裏面11に形成された配線パターン16と同一の基材(銅箔等)で形成されているので、熱伝導率が高く、放熱効果が高い。
【0043】
このため、電子部品9から発生した熱を、エリア29において、第1のプリント配線基板24の長手方向(Y方向)と平行であって、第1のプリント配線基板24の短手方向(X方向)に等間隔で形成した複数のダミーパターン21により効率的に放熱することができるので、発光素子アレイ4のON/OFF動作が電子部品9から発生した熱の影響を受けることが無い。
【0044】
すなわち、電子部品9から発生した熱により、第1のプリント配線基板24に反りが生じて発光素子アレイ4から出射した光が作る結像ラインが曲がったり、発光素子アレイ4の光量が低下する等の不具合が生じることが無い。
【0045】
尚、本実施例1においては、図6に示すように、第1のプリント配線基板24の裏面11に形成された9本のダミーパターン21のそれぞれのX方向の幅寸法Cは、配線パターン16のX方向の幅寸法Aと同一の150ミクロンとした。また、ぞれぞれのダミーパターン21同士のX方向の間隔Dは、配線パターン16同士のX方向の間隔Bと同一の100ミクロンとした。このように、ダミーパターン21は、第1のプリント配線基板24の長手方向(Y方向)に形成されている配線パターン16と平行に形成することが第1のプリント配線基板24の反りを防止する点で望ましい。
【0046】
また、図1および図6においては、発光素子アレイ4を千鳥状に固定したものを示したが、直線状に固定したものであっても良く、この場合であっても前記した効果を得ることができる。
【実施例2】
【0047】
本発明に係る第2実施例を、図7乃至図9を用いて説明する。
尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
本実施例2の実施例1との主な相違点は、図7〜図9に示すように、第2のプリント配線基板33の裏面32に電子部品9を設けた点である。尚、符号34は、図示しない画像形成装置のコントローラ(例えば、図18の画像処理部140)と電気的に接続するためのコネクタである。
【0049】
この場合においても、電子部品9から発生した熱は、第2のプリント配線基板33の表面31に伝わり、当該表面31から空気を介して第1のプリント配線基板24の裏面11のエリア29に伝わる。このため、実施例1の図5で示したようにエリア29にダミーパターン21を設けて放熱することにより、実施例1と同一の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0050】
本発明に係る第3実施例を、図10を用いて説明する。
尚、説明を分かりやすくするため、実施例2と同一の部分については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施例3の実施例2との主な相違点は、図10に示すように、第2のプリント配線基板33の裏面32に実装された電子部品35以外に、表面31にも電子部品36が実装されている点である。例えば、電子部品35が発光素子アレイ4の駆動素子、電子部品36がコネクタ34を介して画像形成装置のコントローラ(画像処理部)から送信されてきた画像データを処理する画像処理素子の場合、本実施例3の構成があり得る。
【0052】
かかる構成であっても、電子部品35および36は、共に発熱するため、第2のプリント配線基板33の裏面32から透視して見たときに、第1のプリント配線基板24の裏面11における両電子部品35および36の占める部分、すなわち、エリア29に図5に示したダミーパターン21を設けることにより、前記した実施例2と同一の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0053】
本発明に係る第4実施例を、図11を用いて説明する。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
本実施例4の実施例1との主な相違点は、図11に示すように、第1のプリント配線基板24の裏面11のエリア29において形成したダミーパターン21の両端に、スルーホール22を形成し、このスルーホール22によりダミーパターン21と図示しないグランドとを接続した点である。
【0055】
グランドは、第1のプリント配線基板24の中間層に形成されたグランド層であっても良く、表面10に形成されたグランドパターンであっても良い。いずれの場合においても、ダミーパターン21に伝わった熱を、グランドからも放熱できるので、前記した実施例1以上の放熱効果を得ることができる。
【0056】
尚、図11おいては、スルーホール22を全てのダミーパターン21の両端に形成したものを示したが、これに限るものではなく、一端のみでも良い。また、全てのダミーパターン22を連結するX方向のダミーパターンを形成し、1個のスルーホールでダミーパターンとグランドを連結しても良い。さらに、裏面11にグランド(グランドパターン)が形成されている場合は、ダミーパターンをグランドパターンまで伸ばして、ダミーパターンとグランドを接続しても良い。
【実施例5】
【0057】
本発明に係る第5実施例を、図13を用いて説明する。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
本実施例5の実施例1との主な相違点は、図13に示すように、第1のプリント配線基板24の裏面11に形成したダミーパターン38を、エリア29の外側まで伸ばした点である。
【0059】
かかる構成により、ダミーパターン38に伝わった熱を、第1のプリント配線基板24と第2のプリント配線基板25で囲まれた空間を超えて放熱できるので、前記した実施例1以上の放熱効果を得ることができる。
【0060】
尚、ダミーパターン38は、図12に示したように、第1のプリント配線基板24の略全域(少なくとも1個目(左端)の発光素子アレイ4の一端(左端)からn個目(右端)の発光素子アレイ4の他端(右端)に至るエリア)に引き延ばすことが望ましい。つまり、ダミーパターン38は、全ての発光素子アレイ4が実装されている表面10のエリアに対応する裏面11のエリアをカバーするように形成されることが望ましい。
【0061】
かかる構成により、電子部品9の熱を第1のプリント配線基板24の略全体から放熱することができるのみならず、第1のプリント配線基板24を略均一に暖めることができる(より局所的な加熱を防止できる)ので、第1のプリント配線基板24に与える電子部品4の発熱の影響を最も小さくすることができる。
【0062】
尚、図12において、ダミーパターン38は、第1のプリント配線基板24の裏面11に実装された雌コネクタ26、バイパスコンデンサ(図示せず)を避けて(迂回して)設けることは言うまでもない。
【実施例6】
【0063】
本発明に係る第6実施例を、図14乃至図16を用いて説明する。
(プリントヘッド)
図14〜16に示すように、本発明に係るプリントヘッド1は、複数のロッドレンズ6を整列配置したレンズアレイ3を接着剤等で固定したハウジング2と、このレンズアレイ3の一方のレンズ面と発光素子アレイ4が対向するように、ハウジング2に接着剤等で固定した前記した発光基板装置5とを有する。
【0064】
このプリントヘッド1は、図16に示すように、発光基板装置5の表面10に実装(固定)された発光素子アレイ4の発光素子(LED等)を発光させた場合に、発光素子から、出射した光がレンズアレイ3により収束(集光)する結像点(焦点位置)までの距離が共役長TCになるように設定されている。
【0065】
この共役長TCは、発光素子の発光面からレンズアレイ3の下面(一方のレンズ面)までの距離Lと、レンズアレイ4の上面(他方のレンズ面)から結像点までの距離Lと、レンズアレイ4の高さTとの和であり、TC=T+2Lという関係が成り立つ。
【0066】
また、発光基板装置5は前記した効果を奏するので、本発明に係るプリントヘッド1は、発光素子アレイ4のON/OFF動作による温度変化の繰り返しによっても反りが無い(高い平面度を維持できる)ので結像点のバラツキが少なく、結像ラインを一直線にすることができる。
【実施例7】
【0067】
本発明に係る第7実施例を、図17および図18を用いて説明する。尚、図17は、プリントヘッド1と感光体ドラム17との位置関係を分かりやすくするために拡大した図18の部分拡大図である。
【0068】
(画像形成装置)
図18に示すように、本発明に係る画像形成装置は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタ131であり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部110、画像形成プロセス部110を制御する制御部130、パーソナルコンピュータ102や画像読取装置103から受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部140を備えている。
【0069】
画像形成プロセス部110は、一定の間隔をおいて並列配置される4つの画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kを備えている。
【0070】
そして、これらの画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kのそれぞれは、静電潜像を形成してトナー像を担持する像担持体としての感光体ドラム17と、この感光体ドラム17の表面を所定電位で一様に帯電する帯電装置113と、帯電装置113によって表面が帯電された感光体ドラム17を露光する露光装置としてのプリントヘッドとしてのLEDプリントヘッド1と、LEDプリントヘッド1によって得られた静電潜像を現像する現像装置115と、転写後の感光体ドラム17表面を清掃するクリーナー(ブレード)116とを備えている。
【0071】
さらに、現像装置115の下流側近傍には、感光体ドラム17に対向して、感光体ドラム17上に形成されたテスト用パッチ(濃度見本)のトナー像濃度を検出する濃度検出回路117が備えられている。この濃度検出回路117は制御部130に接続され、トナー像濃度検出値を出力する。
【0072】
ここで、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kは、現像装置115に収納されたトナーを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0073】
また、画像形成プロセス部110は、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kの感光体ドラム25にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト121と、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kの各色のトナー像を中間転写ベルト121に順次転写(一次転写)させる一次転写帯電装置としての一次転写ロール122と、中間転写ベルト121上に転写された重畳トナー像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写帯電装置としての二次転写ロール123と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置125とを備えている。
【0074】
画像形成プロセス部110は、制御部130から供給された同期信号等の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。その際に、パーソナルコンピュータ102や画像読取装置103から入力された画像データは、画像処理部140によって画像処理が施され、インタフェースを介して各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kに供給される。
【0075】
そして、例えばイエローの画像形成ユニット111Yでは、帯電装置113により所定電位で一様に帯電された感光体ドラム17の表面が、画像処理部140から得られた画像データに基づいて発光する本発明に係るLEDプリントヘッド1により露光されて、感光体ドラム17上に静電潜像が形成される。
【0076】
この静電潜像は、現像装置115により現像され、感光体ドラム17上にはイエローのトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット111M、111C、111Kのそれぞれの感光体ドラム17においても、マゼンタ、シアン、黒の各色トナー像が形成される。
【0077】
各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kのそれぞれの感光体ドラム17に形成された各色トナー像は、図18の矢印A方向に回動する中間転写ベルト121上に、一次転写ロール122により順次静電吸引され、中間転写ベルト121上に重畳されたトナー像が形成される。
【0078】
この重畳トナー像は、中間転写ベルト121の回動に伴って二次転写ロール123が配設された領域(二次転写部)に搬送される。そして、重畳トナー像が二次転写部に搬送されると、トナー像が二次転写部に搬送されるタイミングに合わせて用紙Pが二次転写部に供給される。
【0079】
そして、二次転写部にて二次転写ロール123により形成される転写電界により、重畳トナー像は搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される。その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト121から剥離され、搬送ベルト124により定着装置125まで搬送される。
【0080】
定着装置125に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置125によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、デジタルカラープリンタ131の排出部に設けられた図示しない排紙載置部に搬送される。
【0081】
つまり、本実施例7に係る画像形成装置は、本発明に係るプリントヘッド1を備えているので、画像形成(発光素子アレイ4のON/OFF動作)による電子部品9の発熱の影響を受けることなく、高画質な画像を形成できる。
【0082】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0083】
例えば、ダミーパターン21は、複数のダミーパターン21同士を接続するものであっても良く、形状を問わない。
【0084】
また、前記した実施例においては、配線パターン16の幅寸法Aを100ミクロンにしたものを示したが、75ミクロンであっても50ミクロンであっても良い。さらに、実施例6において、幅寸法A=幅寸法C=間隔B=間隔Dが75ミクロンであっても、50ミクロンであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置で用いられるプリントヘッド、およびプリントヘッドに用いられる発光基板装置に適用される。
【符号の説明】
【0086】
1 プリントヘッド
4 発光素子アレイ
5 発光基板装置
21 ダミーパターン
24 第1のプリント配線基板
25 第2のプリント配線基板
28 接続部材
29 エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って表面に複数の発光素子アレイが直線状または千鳥状に実装された長尺な第1のプリント配線基板と、
表面および/または裏面に前記発光素子アレイを駆動するための信号を出力する電子部品が実装された第2のプリント配線基板と、
前記第1のプリント配線基板の裏面と前記第2のプリント配線基板の表面が対向するように、前記第1のプリント配線基板と前記第2のプリント配線基板を接続する接続部材とを備えた発光基板装置において、
前記第2のプリント配線基板の裏面から透視して見たときに、前記第1のプリント配線基板の裏面における前記電子部品の占めるエリアにダミーパターンが形成されたことを特徴とする発光基板装置
【請求項2】
前記ダミーパターンは、グランドに接続された請求項1に記載の発光基板装置
【請求項3】
前記第1のプリント配線基板の長手方向の長さは、前記第2のプリント配線基板における前記第1のプリント配線基板の長手方向の長さよりも長く、
前記ダミーパターンは、前記第1のプリント配線基板における前記第2のプリント配線基板と対向するエリアを超えて形成された請求項1または請求項2に記載の発光基板装置
【請求項4】
複数のロッドレンズを整列配置したレンズアレイと、
該レンズアレイを固定したハウジングと、
該レンズアレイの一方のレンズ面と前記発光素子アレイが対向するように、前記ハウジングに固定した請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発光基板装置とを備えたプリントヘッド
【請求項5】
表面に静電潜像を形成する感光体と、
該感光体と対向して固定した請求項4に記載のプリントヘッドとを備えた画像形成装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−274447(P2009−274447A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−154497(P2009−154497)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】