説明

発光素子、発光素子の製造方法および発光素子パッケージ

【課題】基板の裏面側に備える反射メタルにより高い反射率で光を反射させて光取り出し効率を向上させることができ、しかもその反射メタルと基板との密着性に優れる、フェイスアップタイプの発光素子およびこれを含む発光素子パッケージを提供すること。
【解決手段】フェイスアップ姿勢で用いられる発光素子1であって、基板2と、基板2の表面3に順に積層されたn型GaN層6、発光層7およびp型GaN層8を有する窒化物半導体積層構造部9と、基板2の裏面4に形成された透明接着層10と、AgとPt族金属とCuとを含む合金からなり、透明接着層10に接触した状態で透明接着層10の裏面に形成された反射メタル11と、反射メタル11の裏面に形成された接合メタル13とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスアップタイプの発光素子およびその製造方法、ならびに当該発光素子を樹脂パッケージで覆った発光素子パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
1つの先行技術に係る半導体発光素子は、たとえば、特許文献1に開示されている。
特許文献1の図5に開示された半導体発光素子は、フェイスアップの形態で使用される素子であって、光取出し面側の表面およびその反対側の裏面を有するサファイア基板と、サファイア基板の表面に順に形成された、n−GaN層、発光層、p−GaN層および透明電極とを備えている。p電極は、透明電極上に形成され、n電極は、p−GaN層および発光層の一部が除去されて露出したn−GaN層上に形成されている。また、サファイア基板の裏面には、反射層、バリア層およびAuSn層が順に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、基板の裏面側に備える反射メタルにより高い反射率で光を反射させて光取り出し効率を向上させることができ、しかもその反射メタルと基板との密着性に優れる、フェイスアップタイプの発光素子およびこれを含む発光素子パッケージを提供することである。
また、本発明の別の目的は、本発明のフェイスアップタイプ発光素子を精度よく簡単に製造することができる発光素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発光素子は、フェイスアップ姿勢で用いられる発光素子であって、前記発光素子の光取出し面側の表面および当該表面の反対側の裏面を有し、発光層の発光波長に対して透明な基板と、前記基板の前記表面に順に積層されたn型窒化物半導体層、前記発光層およびp型窒化物半導体層を有する窒化物半導体積層構造部と、前記基板の前記裏面に形成された透明接着層と、AgとPt族金属とCuとを含む合金からなり、前記透明接着層に接触した状態で前記透明接着層の裏面に形成され、前記透明接着層を透過した光を前記基板の前記表面へ向けて反射させる反射メタルと、前記反射メタルの裏面に形成された接合メタルとを含む。
【0006】
「発光波長に対して透明」とは、具体的には、たとえば、発光波長の透過率が60%以上の場合をいう。
この構成によれば、発光層が発光すると、ほとんどの光は、p型窒化物半導体層を透過して、発光層に対して基板の反対側(光取出し面側)から取り出されるが、一部の光は、n型窒化物半導体層、基板および透明接着層を順に透過してから、透明接着層と反射メタルとの界面で反射され、その後、光取出し面から取り出される。
【0007】
AgとPt族金属とCuとを含む合金からなる反射メタルと透明接着層との界面では、90%以上の高い反射率で光を良好に反射することができる。その結果、発光素子の光取り出し効率を向上させることができるので、高輝度の発光素子を実現することができる。
また、上記した組成の合金からなる反射メタルを基板に直接接着するのではなく、透明接着層を挟んで接着することにより、反射メタルと基板との密着性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明の発光素子では、前記反射メタルおよび前記接合メタルが、前記透明接着層の前記裏面に収まるように形成されていて、前記発光素子を前記光取出し面の反対側から見たときに、前記基板の前記裏面または前記透明接着層の前記裏面が選択的に露出していることが好ましい。
このような構成の発光素子は、たとえば、光取出し面側の表面および当該表面の反対側の裏面を有し、発光層の発光波長に対して透明な基板ウエハの前記表面に、n型窒化物半導体層、前記発光層およびp型窒化物半導体層を順に積層して窒化物半導体積層構造部を形成する工程と、前記基板ウエハの前記裏面全面に、透明接着層を形成する工程と、前記透明接着層の裏面全面に、AgとPt族金属とCuとを含む合金からなる反射メタルを堆積する工程と、前記反射メタルの一部を前記基板ウエハの切断予定ラインに沿って選択的に露出させるように、前記反射メタルの裏面に接合メタルを形成する工程と、前記反射メタルの露出した部分をエッチングで除去することにより、前記透明接着層の一部を前記切断予定ラインに沿って選択的に露出させる工程と、前記基板ウエハの前記裏面からの処理により、露出した前記透明接着層および前記基板ウエハに、前記切断予定ラインに沿う分割ガイド溝を形成する工程と、前記分割ガイド溝に沿って前記基板を分割する工程とを含む、本発明の一の局面に係る発光素子の製造方法により製造することができる。
【0009】
もしくは、光取出し面側の表面および当該表面の反対側の裏面を有し、発光層の発光波長に対して透明な基板ウエハの前記表面に、n型窒化物半導体層、前記発光層およびp型窒化物半導体層を順に積層して窒化物半導体積層構造部を形成する工程と、前記基板ウエハの前記裏面全面に、透明接着層を形成する工程と、前記透明接着層の一部を前記基板ウエハの切断予定ラインに沿って選択的に覆うように、前記透明接着層の裏面にマスクを形成する工程と、前記マスク上および前記マスクから露出する前記透明接着層上に、AgとPt族金属とCuとを含む合金からなる反射メタルおよび接合メタルを順に堆積させる工程と、前記反射メタルおよび前記接合メタルの前記マスク上の部分を前記マスクとともにリフトオフし、前記透明接着層の一部を前記切断予定ラインに沿って選択的に露出させるように前記反射メタルおよび前記接合メタルを残す工程と、前記基板ウエハの前記裏面からの処理により、露出した前記透明接着層および前記基板ウエハに、前記切断予定ラインに沿う分割ガイド溝を形成する工程と、前記分割ガイド溝に沿って前記基板を分割する工程とを含む、本発明の他の局面に係る発光素子の製造方法により製造することができる。
【0010】
これらの方法によれば、透明接着層の一部が切断予定ラインに沿って選択的に露出するように反射メタルおよび接合メタルが形成され、当該切断予定ライン上には反射メタルおよび接合メタルが存在しないので、透明接着層および基板ウエハに、切断予定ラインに沿う分割ガイド溝を簡単に形成することができる。しかも、基板ウエハの切断予定ライン上に配置されているのは透明な透明接着層であるため、分割ガイド溝を形成する際のアライメント(位置決め)を精度よく行うことができる。
【0011】
さらに、分割ガイド溝を基板ウエハの裏面側からの処理(たとえば、レーザ照射等)で形成するので、基板ウエハの表面側に積層されたn型窒化物半導体層、発光層およびp型窒化物半導体層が直接ダメージを受けることがない。その結果、品質に優れる発光素子を製造することができる。
また、前者の一の局面に係る半導体装置の製造方法においては、反射メタルの形成に関して、まず、反射メタルを透明接着層の裏面全面に形成するので、反射メタルを透明接着層の裏面に接着する際に、レジストパターンなどのマスクを透明接着層の裏面に形成する必要がない。したがって、反射メタルを透明接着層に堆積させる際に、透明接着層と反射メタルとの界面にマスクの欠片等の異物が混入することを防止することができるので、透明接着層に対して反射メタルを優れた密着性で接着することができる。
【0012】
一方、後者の他の局面に係る半導体装置の製造方法では、逆に、透明接着層の裏面にマスクを形成した後に、反射メタルおよび接合メタルを順に堆積させる。そのため、前者の方法とは異なり、反射メタルおよび接合メタルを堆積させる際に、マスクの欠片等の異物が各メタル界面に混入するおそれがあるが、予め形成したマスク上に反射メタルおよび接合メタルを堆積させ、その後、各メタルの不要部分をリフトオフすることで、最終的な形状の反射メタルおよび接合メタルを同時に形成することができる。そのため、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0013】
また、前記発光素子は、前記n型窒化物半導体層に電気的に接続され、前記窒化物半導体積層構造部から前記基板に平行な方向に引き出された引き出し部と、前記引き出し部上に形成されたn側電極と、前記p型窒化物半導体層上に形成された透明電極層と、前記透明電極層上に形成されたp側電極とを含んでいてもよい。
また、前記反射メタルは、前記Pt族金属がPdであるAgPdCu合金からなることが好ましいが、前記Pt族金属がPtであるAgPtCu合金からなっていてもよい。前者の場合、前記反射メタルは、Pdを0.6%、Cuを0.2%の割合でそれぞれ含有していることが好ましい。
【0014】
PdおよびCuを上記割合で含有させることにより、Ag単体で発生し易い硫化を抑制することができる。
また、前記透明接着層は、ITOまたはZnOからなっていてもよい。また、前記接合メタルは、銀、半田またはAuSn合金からなっていてもよい。
また、本発明の発光素子は、前記反射メタルと前記接合メタルとの間に設けられたバリアメタルをさらに含むことが好ましく、その場合、TiW合金からなるバリアメタルを採用することができる。
【0015】
また、前記基板の厚さは、200μm〜300μmであることが好ましく、前記基板は、サファイア、GaNまたはSiCからなることが好ましい。また、前記発光波長は、450nmであることが好ましい。
前記発光素子は、互いに間隔を空けて前記基板の前記表面に離散して配置された複数の凸部の集合体からなる凸パターンをさらに含むことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、基板とn型窒化物半導体層との界面に対して様々な角度で入射する光が、当該界面において光取出し面の反対側に全反射することを抑制することができる。その結果、光の取り出し効率を向上させることができる。
前記複数の凸部は、行列状に配列されていてもよく、千鳥状に配列されていてもよい。
そして、本発明の発光素子を、前記光取出し面側を上方に向けたフェイスアップ姿勢で、樹脂パッケージで覆うことにより、本発明の発光素子パッケージを構成することができる。
【0017】
また、本発明の発光素子パッケージは、前記発光素子として、前記n側電極、前記透明電極層および前記p側電極を含む発光素子を備えている場合、前記樹脂パッケージに設けられた外部n側電極および外部p側電極と、前記n側電極と前記外部n側電極とを接続するn側ワイヤと、前記p側電極と前記外部p側電極とを接続するp側ワイヤとをさらに含むことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る発光素子の模式的な平面図である。
【図2】図2は、図1の発光素子の模式的な底面図である。
【図3】図3は、図1の発光素子の模式的な断面図であって、図1の切断線A−Aでの断面を示している。
【図4A】図4Aは、図3の凸パターンの一例を示す図である。
【図4B】図4Bは、図3の凸パターンの他の例を示す図である。
【図5A】図5Aは、図3の発光素子の製造工程の一部を示す図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図5C】図5Cは、図5Bの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図5D】図5Dは、図5Cの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図5E】図5Eは、図5Dの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図5F】図5Fは、図5Eの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図5G】図5Gは、図5Fの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図5H】図5Hは、図5Gの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図6A】図6Aは、図3の発光素子の他の製造工程の一部を示す図である。
【図6B】図6Bは、図6Aの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図6C】図6Cは、図6Bの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図6D】図6Dは、図6Cの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図6E】図6Eは、図6Dの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図6F】図6Fは、図6Eの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図6G】図6Gは、図6Fの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図6H】図6Hは、図6Gの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図7】図7は、発光素子パッケージの模式的な断面図である。
【図8】図8は、p側電極およびn側電極のレイアウトの変形例を示す図である。
【図9】図9は、p側電極およびn側電極のレイアウトの他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る発光素子1の模式的な平面図である。図2は、図1の発光素子1の模式的な底面図である。図3は、図1の発光素子1の模式的な断面図であって、図1の切断線A−Aでの断面を示している。図4Aは、図3の凸パターン20の一例を示す図である。図4Bは、図3の凸パターン20の他の例を示す図である。
【0020】
発光素子1は、たとえば、長辺および短辺を有する平面視長方形のチップ状である。チップ状の発光素子1の長辺は0.2mm〜3.0mm、短辺は0.1mm〜2.0mmである。
発光素子1は、表面3および裏面4を有する基板2と、基板2の表面3に順に積層されたn型窒化物半導体層としてのn型GaN層6、発光層7(たとえばInGaN)およびp型窒化物半導体層としてのp型GaN層8からなる窒化物半導体積層構造部9とを含む。この実施形態では、基板2の表面3が光取出し面34(後述)側の面となっており、発光層7が発光すると、ほとんどの光は、p型GaN層8を透過して、発光層7に対して基板2の反対側(光取出し面34側)から取り出される。
【0021】
基板2は、発光層7の発光波長λ(たとえば450nm)に対して透明な材料(たとえばサファイア、GaNまたはSiC)からなる。基板2の厚さは、たとえば、200μm〜300μmである。
基板2の裏面4には、透明接着層10、反射メタル11、バリアメタル12および接合メタル13がこの順に積層されている。透明接着層10は、その側面14(外郭)が基板2の側面5と面一に揃うように基板2の裏面4全面に形成されている。この透明接着層10上の反射メタル11、バリアメタル12および接合メタル13は、それらの側面15,16,17(外郭)が互いに面一に揃っており、揃った側面15,16,17が透明接着層10の側面14に対して内側において、個々のメタル11,12,13を区画している。したがって、図2に示すように、反射メタル11、バリアメタル12および接合メタル13は、透明接着層10の裏面に収まる大きさで形成されていて、発光素子1を光取出し面34の反対側(基板2の裏面4側)から見たときに、反射メタル11、バリアメタル12および接合メタル13を取り囲む透明接着層10の周縁部18(透明接着層10の裏面)が露出している。露出した周縁部18の幅は、たとえば、15μm〜100μmである。
【0022】
また、それぞれの厚さの一例として、たとえば、透明接着層10は20nm程度、反射メタル11は100nm程度、バリアメタル12は100nm程度、接合メタル13は2μm程度の厚さをそれぞれ有している。なお、これらの数値はあくまでも一例であって、適宜変更することができる。
透明接着層10は、たとえば、発光層7の発光波長λに対して透明な材料(たとえばITO(酸化インジウム錫)、ZnO(酸化亜鉛))からなる。なお、透明接着層10は、たとえば、20nm〜160nmの厚さであるとよい。とくに、厚さが20nm〜35nmであると、熱処理を行わなくても光吸収が少ないので好ましい。
【0023】
反射メタル11は、たとえば、AgとPdとCuとを含む合金(AdPdCu合金)からなるが、Pdに代えてPtを用いたAdPtCu合金であってもよい。各金属の配合比率は、Agが99%程度であり、Pdが0.6%、Cuが0.2%であることが好ましい。PdおよびCuをこの割合で含有させることにより、Ag単体で発生し易い硫化を抑制することができる。
【0024】
バリアメタル12は、たとえば、TiW合金(チタン・タングステン合金)からなり、接合メタル13は、たとえば、Ag、半田またはAuSn合金からなる。これらの組み合わせのうち、TiW合金からなるバリアメタル12と、AuSn合金からなる接合メタル13との組み合わせが好ましい。これにより、反射メタル11(AgPdCu合金)と接合メタル13(AuSn合金)との間に、TiW合金からなるバリアメタル12が介在することになるので、反射メタル11の成分が接合メタル13へ拡散することを良好に抑制することができる。
【0025】
一方、基板2の表面3には、互いに間隔を空けて基板2の表面3に離散して配置され、n型GaN層6へ向かって突出する複数の凸部19の集合体からなる凸パターン20が形成されている。凸パターン20の配列形態は、たとえば、図4Aに示すような行列状であってもよいし、図4Bに示すような千鳥状であってもよい。凸パターン20を構成する各凸部19は、SiN(窒化シリコン)からなる。
【0026】
SiNからなる凸部19が基板2の表面3に形成されているので、反射メタル11で反射して、基板2とn型GaN層6との界面に対して様々な角度で入射する光が、当該界面において光取出し面34の反対側(反射メタル11側)に全反射することを抑制することができる。その結果、光の取り出し効率を向上させることができる。
窒化物半導体積層構造部9は、平面視で発光素子1とほぼ相似な長方形となるようにp型GaN層8からn型GaN層6が露出する深さまでエッチングされている。そして、n型GaN層6は、窒化物半導体積層構造部9から、基板2の表面3に沿う横方向に引き出された引き出し部21を有している。すなわち、引き出し部21は、n型GaN層6の延長部で構成されている。
【0027】
引き出し部21は、その側面22が基板2の側面5と面一に揃う位置まで窒化物半導体積層構造部9の側面から外側に引き出され、窒化物半導体積層構造部9を取り囲む環状の外周部23と、当該外周部23から窒化物半導体積層構造部9を横切る方向に直線状に延びる直線部24とを含む。
引き出し部21の外周部23は、この実施形態では、基板2の厚さ方向において反射メタル11と対向しない程度の幅で形成されている。これにより、外周部23の上に電極などの部材が形成されても、その部材が反射メタル11と対向することにならないので(つまり、部材が光取り出しの際の障害物にならないので)、反射メタル11で反射した光の取り出し効率を向上させることができる。
【0028】
引き出し部21の直線部24は、窒化物半導体積層構造部9の周縁部に配置されたパッドスペース25(たとえば、円形のスペース)と、当該周縁部に囲まれた窒化物半導体積層構造部9の中央部に配置され、パッドスペース25よりも幅が狭い配線スペース26とを含む。
この実施形態では、パッドスペース25は、窒化物半導体積層構造部9の長手方向一端部に配置され、配線スペース26は、パッドスペース25から当該長手方向にパッドスペース25の反対側に延びている。また、パッドスペース25の幅(直径)は、5μm程度であり、配線スペース26の幅は、5μm程度である。
【0029】
この引き出し部21の表面に、n側電極27が接触して形成されている。n側電極27は、引き出し部21上に敷設されたn側メタル配線28と、パッドスペース25においてn側メタル配線28上に形成されたn側パッド29とを含む。
n側メタル配線28は、たとえば、AlやCrからなる。この実施形態では、Alを引き出し部21(n型GaN層6)に接するように形成し、そのAl上にCrを形成することでn側メタル配線28を構成している。n側メタル配線28の厚さは、たとえば、1000nm程度である。
【0030】
n側メタル配線28は、この実施形態では、引き出し部21の直線部24、およびパッドスペース25に近い側の窒化物半導体積層構造部9の短辺に沿う外周部23の一部に敷設されており、このn側メタル配線28により、n型GaN層6に対するn側電極27のコンタクトが形成されている。また、n側メタル配線28は、パッドスペース25においては、パッドスペース25の幅よりもやや小さい幅の板状に形成されており、パッドスペース25以外の直線部24(つまり配線スペース26)および外周部23においては細線状に形成されている。
【0031】
n側パッド29は、パッドスペース25からp型GaN層8よりも上方に突出する柱状(この実施形態では、円柱状)に形成されており、その厚さは、たとえば、1000nm程度である。n側パッド29は、たとえば、Ag、半田またはAuSn合金からなる。
n側電極27に関しては、n側メタル配線28が、平面視で反射メタル11を長手方向に横切って、基板2の厚さ方向に反射メタル11と対向することになるが、n側メタル配線28が細線状に形成されているため、反射メタル11で反射した光の取り出し効率に与える影響が少なくて済む。一方、n側メタル配線28よりも幅が広いn側パッド29も反射メタル11に対向することになるが、このn側パッド29は反射メタル11の周縁部にしか対向していないので、n側メタル配線28と同様に、反射メタル11で反射した光の取り出し効率に与える影響が少ない。
【0032】
p型GaN層8の表面には、透明電極層30が形成されており、この透明電極層30により、p型GaN層8に対するp側電極31(後述)のコンタクトが形成されている。透明電極層30は、たとえば、発光層7の発光波長λに対して透明な材料(たとえばITO、ZnO)からなる。また、透明電極層30の厚さは、たとえば、100nm程度である。
【0033】
この透明電極層30の表面34に、p側電極31が形成されている。p側電極31は、たとえば、Ag、半田またはAuSn合金からなり、窒化物半導体積層構造部9の周縁部に配置されたp側パッド32と、p側パッド32から窒化物半導体積層構造部9の側面に沿って延びるp側メタル配線33とを一体的に含む。
この実施形態では、p側パッド32は、窒化物半導体積層構造部9の長手方向におけるn側パッド29の反対側に配置され、p側メタル配線33は、平面視において反射メタル11の外側を、直線部24上のn側メタル配線28と平行に敷設されている。とりわけ、p側メタル配線33は、直線部24上のn側メタル配線28を挟むように、当該n側メタル配線28に対して一方側および他方側に1本ずつ設けられ、それぞれのp側メタル配線33が、p側パッド32におけるn側パッド29から遠い側の端部に一体的に接続されている。
【0034】
p側電極31に関しては、p側メタル配線33が、平面視で反射メタル11を避けるように反射メタル11の外側に敷設されているので、反射メタル11で反射した光の取り出し効率に与える影響がほとんどない。一方、p側パッド32は反射メタル11に対向することになるが、このp側パッド32は、窒化物半導体積層構造部9の長手方向におけるn側パッド29の反対側に配置され、反射メタル11の周縁部にしか対向していない。そのため、n側パッド29と同様に、反射メタル11で反射した光の取り出し効率に与える影響が少ない。
【0035】
この発光素子1では、p側電極31(p側パッド32)とn側電極27(n側パッド29)との間に順方向電圧を印加すると、発光層7から、発光波長λ=440nm〜460nmの光が発生する。この光は、p型GaN層8および透明電極層30を透過して、透明電極層30の表面34(光取出し面)から取り出される。発光層7からn型GaN層6側に向かった光は、n型GaN層6、基板2および透明接着層10をこの順で透過して、反射メタル11で反射する。反射した光は、透明接着層10、基板2、n型GaN層6、発光層7、p型GaN層8および透明電極層30をこの順で透過して、光取出し面34から取り出される。
【0036】
次に、2つの例を挙げて、発光素子1の製造方法を説明する。
図5A〜図5Hは、図3の発光素子1の製造工程の一部を工程順に示す図である。
発光素子1を製造するには、たとえば、図5Aに示すように、基板ウエハ41(たとえば、厚さ600μm〜1000μmのウエハ)の表面3に、SiNからなる層(SiN層)を形成し、レジストパターン(図示せず)をマスクとするエッチングにより、このSiN層を複数の凸部19に分離して凸パターン20を形成する。次に、基板ウエハ41の表面3に、凸パターン20を覆うように、n型GaN層6、発光層7およびp型GaN層8をエピタキシャル成長させることにより、窒化物半導体積層構造部9を形成する。次に、たとえば、スパッタ法により、透明電極層30の材料(ITO等)を窒化物半導体積層構造部9上に堆積させることにより、透明電極層30を形成する。
【0037】
次に、所定の形状のマスクを介して、透明電極層30および窒化物半導体積層構造部9をエッチングする。これにより、窒化物半導体積層構造部9が所定の形状(平面視長方形)に成形され、同時に、n型GaN層6の延長部からなる引き出し部21が形成される。
次に、透明電極上にp側電極31を形成し、また、引き出し部21(n型GaN層6)上にn側電極27を形成する。
【0038】
その後、基板ウエハ41の表面3側を保護した状態で、基板ウエハ41を裏面4から、200μm〜300μmの厚さになるまで研削する。
次に、図5Bに示すように、たとえば、スパッタ法により、透明接着層10の材料(ITO等)を基板ウエハ41の裏面4全面に堆積させることにより、裏面4全面を覆う透明接着層10を形成する。
【0039】
次に、図5Cに示すように、たとえば、スパッタ法により、反射メタル11の材料(AgPdCu合金等)を透明接着層10の裏面全面に堆積させた後、この反射メタル11の裏面全面に、バリアメタル12の材料(TiW合金等)を堆積させる。
次に、図5Dに示すように、バリアメタル12における基板ウエハ41の切断予定ライン42上の所定幅の領域を覆うようにレジストパターン43を形成し、そのレジストパターン43を介して、接合メタル13の材料(AuSn合金等)を堆積する。そして、接合メタル13の材料の不要部分(レジストパターン43上に堆積した部分)をレジストパターン43とともにリフトオフする。
【0040】
これにより、図5Eに示すように、バリアメタル12および反射メタル11の一部を、切断予定ライン42に沿って選択的に露出させるように、接合メタル13が形成される。次に、たとえば、ドライエッチングにより、接合メタル13から露出したバリアメタル12および反射メタル11を除去(エッチオフ)する。これにより、図5Fに示すように、透明接着層10の周縁部18が、切断予定ライン42に沿って選択的に露出することとなる。露出幅は、次の工程でレーザ走査を行うので、30μm以上(片側15μm以上)であるとよい。
【0041】
次に、図5Gに示すように、レーザ加工機を用いて、基板ウエハ41に対して裏面4側からレーザ光を走査する。より具体的には、切断予定ライン42に沿って、レーザ光を走査して分割ガイド溝44を形成する。走査の過程において、レーザ光は常時照射していてもよいし、レーザ光発生ユニットをオン/オフすることによって、間欠的にレーザ光を照射するようにしてもよい。
【0042】
レーザ光が照射される位置においては、分割ガイド溝44の底面部にレーザ光が集光されて、その集光点で多光子吸収が発生する。そして、集光点が分割ガイド溝44の底面部に沿って走査されることによって、切断予定ライン42に沿って、分割ガイド溝44が形成される。分割ガイド溝44の深さは、たとえば、100μm程度である。この場合、分割ガイド溝44は、透明接着層10を貫通し、基板2の途中に達する。
【0043】
こうして分割ガイド溝44が形成された後には、図5Hに示すように、基板ウエハ41に外力を加えることにより、基板ウエハ41を各発光素子1の個片(チップ)に分割する。これにより、図3の発光素子1の個片が得られる。
図6A〜図6Hは、図3の発光素子1の他の製造工程の一部を工程順に示す図である。発光素子1は、以下の製造工程により製造することもできる。
【0044】
この場合、たとえば、図6Aに示すように、図5Aの場合と同様に、基板ウエハ41の表面3に、凸パターン20を形成した後、窒化物半導体積層構造部9および透明電極層30を形成し、p側電極31およびn側電極27を形成する。その後、基板ウエハ41の表面3側を保護した状態で、基板ウエハ41を裏面4から、200μm〜300μmの厚さになるまで研削する。
【0045】
次に、図6Bに示すように、たとえば、スパッタ法により、透明接着層10の材料(ITO等)を基板ウエハ41の裏面4全面に堆積させることにより、裏面4全面を覆う透明接着層10を形成する。
次に、図6Cに示すように、透明接着層10における基板ウエハ41の切断予定ライン42上の所定幅の領域を覆うようにレジストパターン45を形成する。
【0046】
次に、図6Dに示すように、レジストパターン45を介して、たとえば、スパッタ法により、反射メタル11の材料(AgPdCu合金等)、バリアメタル12の材料(TiW合金等)および接合メタル13の材料(AuSn合金等)を順に堆積する。
次に、図6Eに示すように、反射メタル11、バリアメタル12および接合メタル13の各材料の不要部分(レジストパターン45上に堆積した部分)をレジストパターン45とともに同時にリフトオフする。
【0047】
これにより、図6Fに示すように、透明接着層10の周縁部18が、切断予定ライン42に沿って選択的に露出すこととなる。
その後は、図6Gおよび図6Hに示すように、図5Gおよび図5Hの場合と同様に、レーザ加工機を用いて分割ガイド溝44を形成した後(図6G)、基板ウエハ41に外力を加えることにより、基板ウエハ41を各発光素子1の個片(チップ)に分割する(図6H)。これにより、図3の発光素子1の個片が得られる。
【0048】
図7は、発光素子パッケージ51の模式的な断面図である。
発光素子パッケージ51は、発光素子1と、支持基板52と、樹脂パッケージ53とを含む。
発光素子1は、基板2の表面3が上を向くようなフェイスアップ姿勢で接合メタル13が支持基板52に接合されることにより、支持基板52に配置されている。
【0049】
支持基板52は、発光素子1を支持する絶縁基板54と、絶縁基板54の両端から露出するように設けられて、発光素子1と外部とを電気的に接続する金属製の一対の電極(外部n側電極55および外部p側電極56)とを有している。
そして、発光素子1のn側電極27(n側パッド29)と外部n側電極55とが、n側ワイヤ57によって接続されている。また、発光素子1のp側電極31(p側パッド32)と外部p側電極56とが、p側ワイヤ58によって接続されている。
【0050】
樹脂パッケージ53は、樹脂が充填されたケースであり、その内側に発光素子1を収容して(覆って)保護した状態で、支持基板52に固定されている。樹脂パッケージ53は、側方(発光素子1に向かい合う部分)に反射部59を有し、発光素子1から出射された光を反射させて外部へ取り出す。
樹脂パッケージ53を構成する樹脂には、蛍光体や反射剤が含有されているものがある。たとえば発光素子1が青色光を発光する場合、当該樹脂に黄色蛍光体を含有させることで発光素子パッケージ51は白色光を発光することができる。発光素子パッケージ51は、多数が集まることによって、電球などの照明機材に用いることもでき、また液晶テレビのバックライトや自動車等のヘッドランプに用いることもできる。
【0051】
以上のように、発光素子1によれば、発光層7が発光すると、ほとんどの光は、p型GaNを透過して、透明電極層30の表面34(光取出し面)から取り出されるが、一部の光は、n型GaN層6、基板2および透明接着層10を順に透過してから、透明接着層10と反射メタル11との界面で反射し、その後、光取出し面34から取り出される。
AgとPt族金属とCuとを含む合金からなる反射メタル11と透明接着層10との界面では、90%以上の高い反射率で光を良好に反射することができる。その結果、発光素子1の光取り出し効率を向上させることができるので、高輝度の発光素子1を実現することができる。
【0052】
また、上記した組成の合金からなる反射メタル11を基板2に直接接着するのではなく、透明接着層10を挟んで接着することにより、反射メタル11と基板2との密着性を向上させることができる。
このような効果を実証するため、反射メタル11の材料および透明接着層10の有無以外は同じ条件を備える4つの発光素子1を作製し、それぞれの反射率、密着性および硫化の有無を調べた。結果は下記表1の通りとなった。
【0053】
【表1】

【0054】
表1に示すように、AgPdCu合金からなる反射メタルを用いた実験例3および4では、いずれも90%以上の高い反射率を実現することができた。さらに、ITOからなる透明接着層を備えた実験例4の発光素子は、密着層にも優れるものであった。
これに対し、Alからなる反射メタルを用いた実験例1では、反射率が87%でやや低く、Agからなる反射メタルを用いた実験例2では、反射率が97%優れるものの、密着性が低く、また反射メタルが硫化してしまった。
【0055】
また、この実施形態の製造工程によれば、図5Fおよび図6Fに示すように、透明接着層10の周縁部18が切断予定ライン42に沿って選択的に露出するように反射メタル11、バリアメタル12および接合メタル13が形成され、当該切断予定ライン42上には反射メタル11等のメタルが存在しない。
そのため、切断予定ライン42に沿って分割ガイド溝44を形成する際に、レーザ光を照射し易くなるため、透明接着層10および基板ウエハ41に、切断予定ライン42に沿う分割ガイド溝44を簡単に形成することができる。しかも、基板ウエハ41の切断予定ライン42上に配置されているのは透明な接着層であるため、分割ガイド溝44を形成する際のアライメント(位置決め)を精度よく行うことができる。
【0056】
さらに、分割ガイド溝44を基板ウエハ41の裏面4側からのレーザ照射で形成するので、基板ウエハ41の表面3側に積層されたn型GaN層6、発光層7およびp型GaN層8が直接ダメージを受けることがない。その結果、品質に優れる発光素子1を製造することができる。
また、図5A〜図5Hの製造工程においては、反射メタル11の形成に関して、まず、反射メタル11を透明接着層10の裏面全面に形成するので(図5C)、反射メタル11を透明接着層10の裏面に接着する際に、レジストパターンなどのマスクを透明接着層10の裏面に形成する必要がない。したがって、反射メタル11を透明接着層10に堆積させる際に、透明接着層10と反射メタル11との界面にマスクの欠片等の異物が混入することを防止することができるので、透明接着層10に対して反射メタル11を優れた密着性で接着することができる。
【0057】
一方、図6A〜図6Hの製造工程においては、逆に、透明接着層10の裏面にレジストパターン45を形成した後に、反射メタル11、バリアメタル12および接合メタル13を順に堆積させる(図6D)。そのため、図5A〜図5Hの製造工程とは異なり、反射メタル11および接合メタル13を堆積させる際に、レジストパターン45の欠片等の異物が各メタル界面に混入するおそれがあるが、予め形成したレジストパターン45上に反射メタル11、バリアメタル12および接合メタル13を堆積させ、その後、各メタル11,12,13の不要部分をリフトオフすることで(図6E)、最終的な形状の反射メタル11、バリアメタル12および接合メタル13を同時に形成することができる(図6F)。そのため、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、n側電極27およびp側電極31のレイアウトは、図8や図9に示すレイアウトであってもよい。
たとえば、図8および図9では、n型GaN層6の延長部で構成された引き出し部61は、その側面62が基板2の側面5と面一に揃う位置まで窒化物半導体積層構造部9の側面から外側に引き出された環状に形成されている。
【0059】
n側電極63は、この引き出し部61の1つの角部に配置されたn側パッド64と、n側パッド64を支持し、当該n側パッド64の位置から基板2の側面5に沿って延びるn側メタル配線65を含む。これらの変形例では、n側メタル配線65は、基板2の長手方向に延びている。
そして、窒化物半導体積層構造部9は、全体として平面視で発光素子1とほぼ相似な長方形状に形成され、n側電極63が配置された部分において、n側電極63の形状に沿って内側に窪んだ凹面66を有している。
【0060】
また、p側電極67は、n側パッド64と対角をなす位置に配置されたp側パッド68と、p側パッド68から基板2の長手方向に延びるp側メタル配線69とを一体的に含む。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 発光素子
2 基板
3 (基板の)表面
4 (基板の)裏面
5 (基板の)側面
6 n型GaN層
7 発光層
8 p型GaN層
9 窒化物半導体積層構造部
10 透明接着層
11 反射メタル
12 バリアメタル
13 接合メタル
14 (透明接着層の)側面
15 (反射メタルの)側面
16 (バリアメタルの)側面
17 (接合メタルの)側面
18 (透明接着層の)周縁部
19 凸部
20 凸パターン
21 引き出し部
22 (引き出し部の)側面
23 (引き出し部の)外周部
24 (引き出し部の)直線部
25 パッドスペース
26 配線スペース
27 n側電極
28 n側メタル配線
29 n側パッド
30 透明電極層
31 p側電極
32 p側パッド
33 p側メタル配線
34 光取出し面
41 基板ウエハ
42 切断予定ライン
43 レジストパターン
44 分割ガイド溝
45 レジストパターン
51 発光素子パッケージ
52 支持基板
53 樹脂パッケージ
54 絶縁基板
55 外部n側電極
56 外部p側電極
57 n側ワイヤ
58 p側ワイヤ
59 反射部
61 引き出し部
62 (引き出し部の)側面
63 n側電極
64 n側パッド
65 n側メタル配線
66 (窒化物半導体積層構造部の)凹面
67 p側電極
68 p側パッド
69 p側メタル配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスアップ姿勢で用いられる発光素子であって、
前記発光素子の光取出し面側の表面および当該表面の反対側の裏面を有し、発光層の発光波長に対して透明な基板と、
前記基板の前記表面に順に積層されたn型窒化物半導体層、前記発光層およびp型窒化物半導体層を有する窒化物半導体積層構造部と、
前記基板の前記裏面に形成された透明接着層と、
AgとPt族金属とCuとを含む合金からなり、前記透明接着層に接触した状態で前記透明接着層の裏面に形成され、前記透明接着層を透過した光を前記基板の前記表面へ向けて反射させる反射メタルと、
前記反射メタルの裏面に形成された接合メタルとを含む、発光素子。
【請求項2】
前記反射メタルおよび前記接合メタルが、前記透明接着層の前記裏面に収まるように形成されていて、前記発光素子を前記光取出し面の反対側から見たときに、前記基板の前記裏面または前記透明接着層の前記裏面が選択的に露出している、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記発光素子は、
前記n型窒化物半導体層に電気的に接続され、前記窒化物半導体積層構造部から前記基板に平行な方向に引き出された引き出し部と、
前記引き出し部上に形成されたn側電極と、
前記p型窒化物半導体層上に形成された透明電極層と、
前記透明電極層上に形成されたp側電極とを含む、請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記反射メタルは、前記Pt族金属がPdであるAgPdCu合金からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記反射メタルは、Pdを0.6%、Cuを0.2%の割合でそれぞれ含有している、請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記反射メタルは、前記Pt族金属がPtであるAgPtCu合金からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記透明接着層は、ITOまたはZnOからなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記接合メタルは、Ag、半田またはAuSn合金からなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項9】
前記反射メタルと前記接合メタルとの間に設けられたバリアメタルをさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項10】
前記バリアメタルは、TiW合金からなる、請求項9に記載の発光素子。
【請求項11】
前記基板の厚さは、200μm〜300μmである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項12】
前記基板は、サファイア、GaNまたはSiCからなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光素子
【請求項13】
前記発光波長は、450nmである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項14】
前記発光素子は、互いに間隔を空けて前記基板の前記表面に離散して配置された複数の凸部の集合体からなる凸パターンをさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項15】
前記複数の凸部は、行列状に配列されている、請求項14に記載の発光素子。
【請求項16】
前記複数の凸部は、千鳥状に配列されている、請求項14に記載の発光素子。
【請求項17】
樹脂パッケージと、
前記光取出し面側を上方に向けたフェイスアップ姿勢で前記樹脂パッケージに覆われた、請求項1〜16のいずれか一項に記載の発光素子とを含む、発光素子パッケージ。
【請求項18】
前記発光素子パッケージは、前記発光素子として請求項3または請求項3に係る請求項4〜16のいずれか一項に記載の発光素子を備えており、
外部n側電極および外部p側電極と、
前記n側電極と前記外部n側電極とを接続するn側ワイヤと、
前記p側電極と前記外部p側電極とを接続するp側ワイヤとをさらに含む、請求項17に記載の発光素子パッケージ。
【請求項19】
フェイスアップ姿勢で用いられる発光素子の製造方法であって、
光取出し面側の表面および当該表面の反対側の裏面を有し、発光層の発光波長に対して透明な基板ウエハの前記表面に、n型窒化物半導体層、前記発光層およびp型窒化物半導体層を順に積層して窒化物半導体積層構造部を形成する工程と、
前記基板ウエハの前記裏面全面に、透明接着層を形成する工程と、
前記透明接着層の裏面全面に、AgとPt族金属とCuとを含む合金からなる反射メタルを堆積する工程と、
前記反射メタルの一部を前記基板ウエハの切断予定ラインに沿って選択的に露出させるように、前記反射メタルの裏面に接合メタルを形成する工程と、
前記反射メタルの露出した部分をエッチングで除去することにより、前記透明接着層の一部を前記切断予定ラインに沿って選択的に露出させる工程と、
前記基板ウエハの前記裏面からの処理により、露出した前記透明接着層および前記基板ウエハに、前記切断予定ラインに沿う分割ガイド溝を形成する工程と、
前記分割ガイド溝に沿って前記基板を分割する工程とを含む、発光素子の製造方法。
【請求項20】
フェイスアップ姿勢で用いられる発光素子の製造方法であって、
光取出し面側の表面および当該表面の反対側の裏面を有し、発光層の発光波長に対して透明な基板ウエハの前記表面に、n型窒化物半導体層、前記発光層およびp型窒化物半導体層を順に積層して窒化物半導体積層構造部を形成する工程と、
前記基板ウエハの前記裏面全面に、透明接着層を形成する工程と、
前記透明接着層の一部を前記基板ウエハの切断予定ラインに沿って選択的に覆うように、前記透明接着層の裏面にマスクを形成する工程と、
前記マスク上および前記マスクから露出する前記透明接着層上に、AgとPt族金属とCuとを含む合金からなる反射メタルおよび接合メタルを順に堆積させる工程と、
前記反射メタルおよび前記接合メタルの前記マスク上の部分を前記マスクとともにリフトオフし、前記透明接着層の一部を前記切断予定ラインに沿って選択的に露出させるように前記反射メタルおよび前記接合メタルを残す工程と、
前記基板ウエハの前記裏面からの処理により、露出した前記透明接着層および前記基板ウエハに、前記切断予定ラインに沿う分割ガイド溝を形成する工程と、
前記分割ガイド溝に沿って前記基板を分割する工程とを含む、発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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