説明

発光素子とともに使用するための実質的に透明な材料

本発明は、無機チタン酸塩又は無機ジルコン酸塩の粒子と、少なくとも1つの化合物とを含み、該粒子が該少なくとも1つの化合物中に均一に分散し、該粒子が、該粒子の少なくとも1つの表面官能基によって該少なくとも1つの化合物に結合している実質的に透明な材料を提供する。本発明はまた、実質的に透明な材料で封入される発光ダイオードを含む発光素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に透明な材料及びそれを含む発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子、例えば、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)は、非常に効率がよくかつ丈夫な光源として大きな関心を集めている。より短い波長の可視スペクトル(例えば、緑から紫)までこのような素子の作用を延長する取り組みにより、III−V族の半導体、特には、ガリウム、アルミニウム、インジウム及び窒素の二元合金、三元合金及び四元合金(即ち、III−窒化物材料)、並びにガリウム、アルミニウム、インジウム及びリンの二元合金、三元合金及び四元合金(即ち、III−リン化物材料)が使用されている。典型的なLEDにおいては、半導体材料のp型層が半導体材料のn型層と接触してLEDチップを形成している。電極が各層に取り付けられ、アセンブリが典型的には実質的に透明な材料中に封入されてLED素子が完成する。半導体材料の2つの層の間に電圧が印加されると、LEDのp−n接合が発光する。
【0003】
現行のLEDの欠点は、封入材料がLEDチップの屈折率よりも低い屈折率を典型的に有することである。LEDチップの屈折率が典型的に2.4〜2.6であるのに対し、エポキシ又はプラスチックの封入材の屈折率は典型的に1.4〜1.6である。光がLED素子から出るためには、LEDチップから発せられた光がLEDチップと封入材料の間の境界を横切らなければならない。材料間の境界への光の入射角が臨界角よりも浅いと、全反射現象のために光はLEDに反射して戻され、LED素子から出ることができる光の量が減少し、素子の効率が低下する。臨界角は、式θc=sin-1(n2/n1)(式中、n1はLEDチップの屈折率であり、n2は封入材料の屈折率である)によって与えられる。それゆえ、低い屈折率n2を有する封入材料は、より高い屈折率n2を有する封入材料と比べて臨界角θcが小さくなり、全反射による光の損失量が大きくなる。
【0004】
加えて、光が2つの異なる屈折率の媒体間の境界を横切ると、光の一部は、屈折率の相違のために2つの媒体間の界面から反射して戻される。この現象は、フレネル反射又はフレネルロスとして知られている。フレネルロスの量は、2つの媒体間の屈折率の相違が大きくなるとともに増大する。フレネル反射による光の損失量は全反射による光の損失量よりも小さいが、フレネルロスは、LED素子によって作り出される光の損失の大きな部分を占める。封入材料の屈折率が大きく、それゆえLEDチップと封入材料の屈折率の相違が小さい場合には、フレネルロスは小さくなるであろう。
【0005】
現行のエポキシや他のポリマーよりも大きな屈折率を有するLEDのための封入材料を製造する試みが行われている。例えば、カルコゲナイド・ガラスがLEDのための封入材として研究されている。しかしながら、このようなガラスを製造する上での問題は、それが大量生産に適していないことである。高屈折率のナノ粒子、例えば、二酸化チタンをポリマー母材に組み込むことが、米国特許第5,777,433号明細書において報告されている。しかしながら、二酸化チタンの粒子は、母材に組み込む際に集合及び/又は凝集する傾向があり、母材との混合前に凝集防止剤のコーティングによる処理が必要である。加えて、低屈折率の母材に関する要件や、集合及び/又は凝集が続いて起こることなく母材中に組み込むことができる高屈折率のナノ粒子の量に関する制限により、このようなアプローチの有用性が制限される。
【0006】
さらに、LEDはより高い光出力を作り出すよう開発されているので、このようなより高い光出力を作り出すのに必要な高い電力によって、LED素子の動作温度がより高くなる。LED素子によって作り出される抽出可能な光の量を増大することで、所与の光出力に対して求められる電力を低減することが可能であり、それに伴い、動作温度も低下させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、封入材料及びそれを含む発光素子を提供する。本発明のこれら及び他の利点、並びに追加の発明の特徴は、本明細書に与えられる本発明の説明から明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)約4nm〜約15nmの中央粒径を有する無機チタン酸塩又は無機ジルコン酸塩の粒子と、(b)少なくとも1つの化合物とを含む実質的に透明な材料であって、該粒子が該少なくとも1つの化合物中に均一に分散し、該粒子が、該粒子の少なくとも1つの表面官能基によって該少なくとも1つの化合物に結合し、該実質的に透明な材料が0.1s-1のせん断速度で約30,000センチポアズ以上の粘度を有する、実質的に透明な材料を提供する。
【0009】
本発明はまた、(a)光を発する発光ダイオードと、(b)該発光ダイオードを封入し、発せられた光に対して実質的に透明な材料とを含み、該実質的に透明な材料が(i)無機チタン酸塩又は無機ジルコン酸塩の粒子と、(ii)少なくとも1つの化合物とを含み、該粒子が該少なくとも1つの化合物中に均一に分散し、該粒子が、該粒子の少なくとも1つの表面官能基によって該少なくとも1つの化合物に結合し、該実質的に透明な材料が0.1s-1のせん断速度で約30,000センチポアズ以上の粘度を有する、発光素子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の1つの実施態様による実質的に透明な材料によって封入されたLEDチップを有する発光素子の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は実質的に透明な材料を提供する。実質的に透明な材料は、(a)約4nm〜約15nmの中央粒径を有する無機チタン酸塩又は無機ジルコン酸塩の粒子と、(b)少なくとも1つの化合物とを含むか、それらから本質的になるか又はそれらからなる。この粒子は、少なくとも1つの化合物中に均一に分散し、粒子の少なくとも1つの表面官能基によって少なくとも1つの化合物に結合する。実質的に透明な材料は、0.1s-1のせん断速度で約30,000センチポアズ以上の粘度を有する。
【0012】
実質的に透明な材料は、所望の波長又は所望の範囲の波長で入射光の放射に対して透過性であることが望ましい。実質的に透明な材料は、2mm厚さの実質的に透明な材料を通して、10°の反射角、望ましくは7.5°、5°又は5°未満の反射角で、実質的に透明な材料に対して向けられる400nmの波長を有する光ビームの約75%以上(例えば、約80%以上、約85%以上、又は約90%以上)の光の透過を可能にすることが望ましい。典型的には、実質的に透明な材料は非晶質であり、光の散乱に物質的に寄与することがある任意の1つ又は複数の結晶相を含まないものである。結晶相とは、化合物と粒子を含み、粒子の結合した化合物が、結晶格子中に配置された該化合物の複数の分子を含む結晶相を形成している実質的に透明な材料の1つ又は複数のバルク領域を言うものであり、粒子自体の結晶化度を言うものではない。粒子は可視光の波長の20分の1よりも小さい中央粒径を有するので、粒子によって散乱する光はわずかである。
【0013】
粒子及び化合物は、それぞれ第1及び第2の屈折率を有する。粒子の屈折率は、典型的には約2.0以上(例えば、約2.1以上又は約2.2以上)であり、化合物の屈折率は、典型的には約1.4〜約1.6である。実質的に透明な材料の屈折率は、実質的に透明な材料が光を散乱させない他の材料を含む母材として処理できる場合には、その成分の屈折率の体積加重平均(volume weighted average)で近似することができる。したがって、実質的に透明な材料の屈折率は、以下の式、即ち、
【化1】

によって与えることができ、式中、viは成分iの体積分率であり、niは成分iの屈折率である。
【0014】
それゆえ、実質的に透明な材料は、粒子の屈折率と化合物の屈折率の間の値の屈折率を有し、この材料の屈折率は、粒子と化合物の体積加重量に依存している。
【0015】
粒子は、無機チタン酸塩及び無機ジルコン酸塩からなる群より選択される。好ましくは、無機チタン酸塩は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、及びチタン酸鉛からなる群より選択される。より好ましくは、無機チタン酸塩は、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムである。好ましくは、無機ジルコン酸塩は、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カリウム、及びジルコン酸鉛からなる群より選択される。より好ましくは、無機ジルコン酸塩は、ジルコン酸バリウム又はジルコン酸ストロンチウムである。
【0016】
粒子は、約4nm以上(例えば、約5nm以上又は約6nm以上)の中央粒径を有する。粒子はまた、約15nm以下(例えば、約14nm以下又は約13nm以下)の中央粒径を有する。これに関連して、粒径は、粒子を囲む最も小さい球の径を言うものである。中央粒径は、粒子サイズ分布の中央値を表す粒径を言うものであり、粒子が少なくとも1つの化合物中に分散している場合の粒径を言うものである。
【0017】
当技術分野でよく知られているように、多くの粒子は、最も低いレベルの構造で、一次粒子を含む。一次粒子は、粒子を含む原子間の共有結合又はイオン結合によって形成され、最も厳しい条件を除けば安定である。次のレベルの構造では、一次粒子が結合して二次粒子になることができ、一般に集合体と称される。集合粒子は、一次粒子を含み、共有結合及びイオン結合によって互いに結合し、典型的には、例えば、高せん断混合などの機械的なエネルギーの入力によって劣化に対して抵抗性がある。次のレベルの構造では、集合体はよりゆるく結合して凝集体になることができる。典型的には、凝集体は、機械的なエネルギーの入力によって構成要素の集合体に分離することができる。望ましくは、粒子が少なくとも1つの化合物中に分散している場合に、粒子は、一次粒子として実質的に存在し、実質的に集合していないか及び/又は凝集していない。粒子は結晶質又は非晶質であることができる。本明細書で用いられる場合には、中央粒径は、一次粒子の中央粒径を言うものである。
【0018】
粒子は、約80vol%以上(例えば、約85vol%以上、約90vol%以上、又は約95vol%以上)の粒子が約20nm以下の粒径を有する粒子サイズ分布を有することが好ましい。
【0019】
粒子サイズ分布、したがって中央粒径は、任意の好適な技術によって測定することができる。ナノ粒子(例えば、約1nm〜約5000nmの粒径を有する粒子)に関する粒子サイズ分布の測定のために特に好適な方法は、光子相関分光法としても知られる動的光散乱である。分析方法として動的光散乱を利用する幾つかの粒子サイズ測定装置は、Malvern Instrument(マルバーン、英国)、Particle Sizing Systems(サンタバーバラ、カナダ)及びMicromeritics Instrument Corporation(ノークロス、ジョージア州)などの供給業者から商業的に入手可能である。加えて、粒子サイズ分布は、Optimas 6.1(Media Cybernetics社、シルバースプリング、メリーランド州)などの商業的に入手可能な画像ソフトと併用して走査電子顕微鏡法(SEM)又は透過電子顕微鏡法(TEM)を使用することによって測定することができる。
【0020】
無機チタン酸塩及び無機ジルコン酸塩は、所望の粒子サイズ分布を有する粒子を製造することができる任意の好適な方法によって調製することができる。制御された粒子サイズ分布を有するナノメートルスケールの粒子を製造することができる無機チタン酸塩及び無機ジルコン酸塩の製造に有用な方法の例としては、ゾル・ゲル法及び水熱法が挙げられる。ゾル・ゲル法は、高温で好適な溶媒の存在下において、好適な金属の前駆体であって、バリウム、ストロンチウム、カリウム、及び鉛からなる群より選択される金属の前駆体、例えば、金属アルコキシド又は金属塩(例えば、金属酢酸塩又は金属ハロゲン化物)と、チタンアルコキシド又はジルコニウムアルコキシドとの反応を典型的に伴う。好適なチタンアルコキシド又はジルコニウムアルコキシドとしては、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシドなどが挙げられる。ゾル・ゲル法は水の存在下で行われ、金属前駆体とチタンアルコキシド又はジルコニウムアルコキシドが加水分解を受け、続いて加水分解された種が縮合して無機チタン酸塩及び無機ジルコン酸塩を生成するようにすることができ、次いでそれらが反応混合物から回収されて無機チタン酸塩及び無機ジルコン酸塩が提供される。
【0021】
水熱法は、チタニア又はジルコニア源、例えば、チタン又はジルコニウムのアルコキシド、酸化物、又は酸化物ゲルを、バリウム、ストロンチウム、カリウム、及び鉛からなる群より選択される金属の塩で、強アルカリ性の水溶液中、約60℃〜約500℃の温度で以って無機チタン酸塩及び無機ジルコン酸塩を生成するのに十分な時間にわたり処理することを典型的に伴う。粒子サイズは、用いられる反応時間及び反応温度によって制御することができる。水熱法の変形態様では、チタン酸化物前駆体、例えば、二酸化チタン又はチタン酸化物のゲルを、強塩基性の水溶液中、高温において金属塩の溶液で処理して無機チタン酸塩を与えることができる。ナノ粒子のジルコン酸バリウムの水熱合成の例は、Kolen’koらのInorganic Materials,38:252−255(2002)に記載されている。
【0022】
粒子を製造するための好ましい方法は水性沈殿であり、この方法は、第1の金属水酸化物M(OH)x(式中、Mはバリウム、ストロンチウム、カリウム、及び鉛からなる群より選択され、xは1〜4の整数である)の高温の水溶液を、水酸化チタン又は水酸化ジルコニウム(例えば、Ti(OH)4又はZr(OH)4)の高温の水溶液と組み合わせ、次いで、組み合わせた溶液を冷却し、それによって金属チタン酸塩又は金属ジルコン酸塩の粒子を形成することを一般に伴う。こうして得られる粒子の中央粒径及び粒子サイズ分布は、溶液中の各成分の濃度、各成分を含む溶液が混合される温度、各成分の溶液の冷却速度、溶液がさらなる処理の前に保持される時間の長さなどによって制御することができる。より高い温度で第1の金属水酸化物と水酸化チタン又は水酸化ジルコニウムを含む溶液を混合すると、より低い温度で形成された粒子よりも小さい中央粒径を有する粒子が製造される傾向がある。
【0023】
実質的に透明な材料は少なくとも1つの化合物を含む。粒子は、少なくとも1つの化合物中に均一に分散され、粒子の少なくとも1つの表面官能基を介して少なくとも1つの化合物と結合される。
【0024】
化合物は、粒子の少なくとも1つの表面官能基と結合を形成する少なくとも1つの官能基を有するという条件で任意の好適な化合物であることができる。有利には、粒子と化合物の間の結合の形成は、化合物中における粒子の安定性を提供し、化合物中で粒子が集合及び/又は凝集するのを防ぐ。結合は任意の好適な結合であることができ、典型的には、静電相互作用、共有結合、配位結合、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される結合である。好ましくは、化合物は耐熱性化合物である。例えば、化合物は、典型的には長時間(例えば、24時間)約200℃の温度に耐えるものである。本発明の範囲内において、化合物の安定性は、分解プロセス、例えば、酸化に対する経時的な化合物分子の完全性、より小さい分子量フラグメントへの分裂に対する抵抗性、及び粒子の少なくとも1つの表面官能基との結合を維持する化合物の能力を言うものである。
【0025】
化合物は、任意の好適な分子量を有することができる。典型的には、化合物は、約300ダルトン以上(例えば、約350ダルトン以上、約400ダルトン以上、又は約500ダルトン以上)の分子量を有する。好ましくは、化合物は、約10,000ダルトン以下(例えば、約7500ダルトン以下、約5000ダルトン以下、約2500ダルトン以下、又は約1000ダルトン以下)の分子量を有する。
【0026】
1つの実施態様では、化合物は有機リン酸塩である。化合物は任意の好適な有機リン酸塩であることができる。有機リン酸塩は、構造R1O−P(=O)(OR2)(OR3)によって特徴付けることができ、式中、R1はC1−C30アルキル、C1−C30アルケニル、C1−C30アルキニル、C6−C30アリール、C7−C30アルキルアリール、C7−C30アリールアルキル、R4(OR5n−(式中、R4はC1−C30アルキル、C1−C30アルケニル、C1−C30アルキニル、C6−C30アリール、C7−C30アルキルアリール又はC7−C30アリールアルキル基であり、R5はC2−C4アルキレン基(例えば、エチレン、プロピレン又はブチレン)であり、nは1〜約20の整数である)、及び繰り返し基R4−(OSiR67p−(式中、R4はここで規定されるとおりであり、R6及びR7は独立してC1−C30アルキル、C1−C30アルコキシ、C1−C30アルケニル、C1−C30アルキニルオキシ、C1−C30アルキニル、C1−C30アルキニルオキシ、C6−C30アリール、C7−C30アルキルアリール、C7−C30アルキルアリールオキシ、C7−C30アリールアルキル、C7−C30アリールアルキルオキシ、及びC7−C30アリールオキシアルキルからなる群より選択され、pは1〜約50の整数である)を含むポリシロキサン部分を含む基からなる群より選択され;R2及びR3は独立して水素又はC1−C10アルキルである。好ましい実施態様では、R2及びR3は両方とも水素である。好適な有機リン酸塩の限定的でない例としては、ポリオキシエチレンデシルエーテルホスフェート、例えば、Ethfac 161(Ethox Chemicals、グリーンビル、サウスカロライナ州)、C11−C14エトキシ化ホスフェート、例えば、PS131(Akzo Nobel、アルンヘム、オランダ)、ポリエチレンノニルフェニルエーテルホスフェート、例えば、STEPFAC 8171(Stepan Company、ノースフィールド、イリノイ州)が挙げられる。ポリシロキサン部分を含む好適な有機リン酸塩の限定的でない例としては、米国特許第6,175,028号明細書に開示されているシリコーンアルキルホスフェート、及び構造CH3(Si(CH22O)xP(=O)(H)(OH)2(式中、xは約10〜約25の整数である)の化合物が挙げられる。
【0027】
別の実施態様では、化合物は有機ホスホン酸塩である。有機ホスホン酸塩は、構造R1−P(=O)(OR2)(OR3)によって特徴付けられ、式中、R1はC1−C30アルキル、C1−C30アルケニル、C1−C30アルキニル、C6−C30アリール、C7−C30アルキルアリール、C7−C30アリールアルキル基、R4(OR5n−(式中、R4はC1−C30アルキル、C1−C30アルケニル、C1−C30アルキニル、C6−C30アリール、C7−C30アルキルアリール又はC7−C30アリールアルキル基であり、R5はC2−C4アルキレン基(例えば、エチレン、プロピレン又はブチレン)であり、nは1〜約20の整数である)、及び繰り返し基R4−(OSiR67p−(式中、R4はここで規定されるとおりであり、R6及びR7は独立してC1−C30アルキル、C1−C30アルコキシ、C1−C30アルケニル、C1−C30アルキニルオキシ、C1−C30アルキニル、C1−C30アルキニルオキシ、C6−C30アリール、C7−C30アルキルアリール、C7−C30アルキルアリールオキシ、C7−C30アリールアルキル、C7−C30アリールアルキルオキシ、及びC7−C30アリールオキシアルキルからなる群より選択され、pは1〜約50の整数である)を含むポリシロキサン部分を含む基からなる群より選択され;R2及びR3は独立して水素又はC1−C10アルキルである。好ましい実施態様では、R2及びR3は両方とも水素である。有機ホスホン酸塩の限定的でない例としては、オクタデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、及びドコシルホスホン酸が挙げられる。シリコーン含有ホスホン酸の限定的でない例としては、構造CH3(Si(CH22O)xCH2P(=O)(H)(OH)2(式中、xは約10〜約25の整数である)の化合物が挙げられる。
【0028】
別の実施態様では、化合物は有機ホスフィン酸塩である。有機ホスフィン酸塩は、構造R1−P(=O)(H)(OR2)によって特徴付けられ、式中、R1はC1−C30アルキル、C1−C30アルケニル、C1−C30アルキニル、C6−C30アリール、C7−C30アルキルアリール、C7−C30アリールアルキル基、R4(OR5n−(式中、R4はC1−C30アルキル、C1−C30アルケニル、C1−C30アルキニル、C6−C30アリール、C7−C30アルキルアリール又はC7−C30アリールアルキル基であり、R5はC2−C4アルキレン基(例えば、エチレン、プロピレン又はブチレン)であり、nは1〜約20の整数である)、及び繰り返し基R4−(OSiR67p−(式中、R4はここで規定されるとおりであり、R6及びR7は独立してC1−C30アルキル、C1−C30アルコキシ、C1−C30アルケニル、C1−C30アルキニルオキシ、C1−C30アルキニル、C1−C30アルキニルオキシ、C6−C30アリール、C7−C30アルキルアリール、C7−C30アルキルアリールオキシ、C7−C30アリールアルキル、C7−C30アリールアルキルオキシ、及びC7−C30アリールオキシアルキルからなる群より選択され、pは1〜約50の整数である)を含むポリシロキサン部分を含む基からなる群より選択され;R2及びR3は独立して水素又はC1−C10アルキルである。有機ホスフィン酸塩の限定的でない例としては、オクタデシルホスフィン酸、テトラデシルホスフィン酸、及びドコシルホスフィン酸が挙げられる。シリコーン含有ホスフィン酸の限定的でない例としては、構造CH3(Si(CH22O)xCH2P(=O)(H)(OH)(式中、xは約10〜約25の整数である)の化合物が挙げられる。
【0029】
別の実施態様では、化合物は有機ジルコン酸塩である。有機ジルコン酸塩は、構造(R1O)(R2O)(R3O)(R4O)Zrによって特徴付けられ、式中、R1、R2、R3及びR4は独立してC1−C30アルキルからなる群より選択され、R1とR2及び/又はR3とR4をひとつにして環状構造が形成される。好適な有機ジルコン酸塩の限定的でない例としては、オクチレングリコールジルコネート、テトラ−2−エチルヘキシルジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラブチルジルコネート、及びt−ブチルトリメチルジルコネートが挙げられる。
【0030】
実質的に透明な材料が、粒子及び少なくとも1つの化合物以外の成分を実質的に含まない場合には、実質的に透明な材料は、約40wt%以上(例えば、約45wt%以上、約50wt%以上又は約55wt%以上)の粒子を典型的に含み、約60wt%以下(例えば、約55wt%以下又は約50wt%以下)の化合物を典型的に含む。上記のように、実質的に透明な材料の屈折率は、実質的に透明な材料中の粒子の量を最大にすることで極限まで大きくすることができる。実質的に透明な材料中の粒子の合計量に影響を与える1つの因子は、粒子の単位体積あたりの表面積である。粒子の中央粒径が小さくなるにつれ、粒子の単位体積あたりの表面積は大きくなり、それゆえ、化合物との結合に利用できる表面官能基の数が多くなる。化合物中の粒子の安定な分散を形成するために化合物と粒子はそれらの間に結合を形成するので、粒子との十分な数の結合を形成するのに十分な化合物が存在しなければならず、そのことが実質的に透明な材料中に組み込むことができる所与の表面積に関する粒子の量を制限する。
【0031】
実質的に透明な材料は、0.1s-1のせん断速度で約30,000センチポアズ以上(例えば、約50,000センチポアズ以上、約75,000センチポアズ以上、又は約100,000センチポアズ以上)の粘度を有することが望ましい。粘度は、商業的に入手可能な粘度計、例えば、Brookfield Dial Viscosimeter又はWells−Brookfieldコーン/プレート粘度計(Brookfield Engineering Labs社、ミドルボロ、マサチューセッツ州)を用いて測定することができる。有利には、実質的に透明な材料は、経時的に所望の形状を維持するのに十分な機械的強度を有するような粘度を有する。
【0032】
実質的に透明な材料は、任意の好適な方法によって調製することができる。例えば、粒子は高せん断混合により水中に分散させることができる。次いで、水非混和性溶媒中の化合物の溶液が加えられ、粒子が水性相から有機相へ移動するまで撹拌が続けられる。好適な溶媒の限定的でない例としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ヘプタン及びヘキサンが挙げられる。次いで、有機相が分離され、溶媒が回収されて実質的に透明な材料を与える。溶媒は、任意の好適な技術、例えば、回転蒸発、単蒸留、オープンディッシュ(open−dish)蒸発、及び減圧蒸発を用いて除去することができる。
【0033】
あるいはまた、粒子は、水性媒体中に分散させることができるか又は水性媒体中の分散体として合成された状態で得ることができ、次いで、粒子の表面電荷を変更する試薬を添加すること、例えば、pHを調節するか又は多価陽イオンを添加することによって凝集体にされる。次いで、凝集された粒子は、例えば、遠心分離又は濾過を含む方法によって水性媒体から分離される。凝集粒子は、化合物と当該化合物を溶解する溶媒の混合物に加えられる。次いで、得られた凝集粒子、化合物及び溶媒の混合物は、特に限定されないが、高せん断混合、ジェットミル(jet milling)、媒体ミル(media milling)などを含む方法によって塊をほぐされる。塊をほぐした後、溶媒が除去されて実質的に透明な材料を与える。好適な溶媒及び溶媒を除去する方法は上記のとおりである。粒子が化合物の存在下で塊をほぐされると、粒子と化合物の間に結合が形成されて粒子の再凝集が抑えられ、それによって有利には粒子、好ましくは一次粒子としての粒子の化合物中における均一な分散が可能になる。
【0034】
実質的に透明な材料は、任意選択で二酸化チタンの粒子をさらに含む。二酸化チタンの粒子は、ルチル、アナターゼ、板チタン石、及び二酸化チタン(B)を含む任意の形態を有することができる。典型的には、二酸化チタンの粒子は、約4nm以上(例えば、約5nm以上又は約6nm以上)の中央粒径を有する。好ましくは、二酸化チタンの粒子は、約15nm以下(例えば、約14nm以下又は約13nm以下)の中央粒径を有する。望ましくは、二酸化チタンの粒子は、少なくとも1つの化合物中に均一に分散され、二酸化チタンの粒子の少なくとも1つの表面官能基を介して少なくとも1つの化合物に結合される。無機チタン酸塩又は無機ジルコン酸塩の粒子と同様に、結合は任意の好適な結合であることができ、典型的には、静電相互作用、共有結合、配位結合、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される結合である。
【0035】
二酸化チタンの粒子は、約80%以上(例えば、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上)の粒子が約20nm以下の粒径を有する粒子サイズ分布を有することが好ましい。
【0036】
実質的に透明な材料が二酸化チタンの粒子をさらに含む場合には、典型的に、実質的に透明な材料は、約10wt%以下(例えば、約5wt%以下)の二酸化チタンの粒子を含む。
【0037】
1つの実施態様では、実質的に透明な材料は、粒子及び少なくとも1つの化合物以外の任意の成分を約10wt%以下(例えば、約8wt%以下又は約5wt%以下)の量で含む。限定的な実施態様では、実質的に透明な材料は、粒子及び少なくとも1つの化合物以外の成分を実質的に含まない(例えば、約2wt%以下、約1wt%以下又は0wt%)。
【0038】
他の実施態様では、粒子及び少なくとも1つの化合物は母材と均一に混合され、実質的に均一な混合物が形成される。母材は任意の好適な材料であることができる。好ましくは、母材は熱安定性である。例えば、母材は、典型的には長時間(例えば、24時間)約200℃の温度に耐えるものである。本発明の範囲内において、母材の安定性は、分解プロセス、例えば、酸化に対する経時的な母材の完全性、より小さい分子量フラグメントへの分裂に対する抵抗性、及び経時的に実質的に透明な材料との均一な混合を維持する母材の能力を言うものである。
【0039】
望ましくは、母材は実質的に透明であり、「実質的に透明」という用語は本明細書に規定されるとおりである。典型的には、母材はポリマーである。一般的には、ポリマーは、導電性膜が使用の際にさらされる最大の動作温度よりも高い流動温度を有するように選択される。ポリマーは、非晶質、半結晶質又は結晶質であることができる。ポリマーの流動温度は約200℃以上(例えば、約250℃以上又は約300℃以上)であることが好ましい。好ましくは、ポリマーは、シリコーン重合体、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルイミド、環化ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステル、環状ポリオレフィン、及びエラストマーからなる群より選択される。
【0040】
粒子及び少なくとも1つの化合物は、任意の好適な機械的混合プロセスを用いるか又は溶液中で混合することによって母材と混合することができる。好適な機械的混合プロセスの限定的でない例としては、スクリュー押し出し及び従来の3ロールミルの使用が挙げられる。粒子及び少なくとも1つの化合物は、溶媒中に実質的に透明な材料の成分を溶解又は懸濁させることによって溶液中で母材と混合され、均一な溶液を得ることができ、次いで溶媒を除去して混合物を得る。成分は同じ体積の溶媒中に溶解させることができるか、又は成分は同じ溶媒若しくは2つ以上の異なる溶媒中に別々に溶解させて(例えば、第1の溶媒中の粒子及び少なくとも1つの化合物と第2の溶媒中の母材)別々の溶液を得、続いてそれらを一緒にしてすべての成分を含有する1つの溶液を得ることができる。次いで、溶媒が除去されて混合物を与える。溶媒は本明細書に記載されるようにして除去することができる。粒子は、母材と組み合わせる前に少なくとも1つの化合物に結合され、化合物と結合した粒子の溶液が母材と混合されるようにすることができるか、又は実質的に透明な材料は、溶媒の存在下で又は溶媒なしで、粒子と、少なくとも1つの化合物と、母材を同時に混合することにより調製することができる。
【0041】
本発明はまた、(a)光を発する発光ダイオードと、(b)該発光ダイオードを封入し、発せられた光に対して実質的に透明な材料とを含み、該材料が(i)無機チタン酸塩又は無機ジルコン酸塩の粒子と、(ii)少なくとも1つの化合物とを含み、該粒子が該少なくとも1つの化合物中に均一に分散し、該粒子が、該粒子の少なくとも1つの表面官能基によって該少なくとも1つの化合物に結合し、該実質的に透明な材料が0.1s-1のせん断速度で約30,000センチポアズ以上の粘度を有する、発光素子を提供する。発光ダイオードを封入し、発せられた光に対して実質的に透明な材料は、本明細書に記載される実質的に透明な材料である。
【0042】
図1は、本発明の1つの実施態様による実質的に透明な材料によって封入されたLEDチップを含むLED素子(10)を示す。n型層(20)はLEDチップを互いに形成するp型層(30)と接触している。n型層(20)は、電気接点(50)に電気的に接続される導電性金属層(40)と接触している。p型層(30)は、電気接点(70)に電気的に接続される導電性金属層(60)と接触している。LEDチップは、実質的に透明な材料(80)によって封入されている。電気接点(50)と(70)の間に電圧が印加されると、p−n接合(90)が光を発生し、その一部がp型層(30)の露出部分を通って封入材(80)に発せられる。
【0043】
有利には、高屈折率の実質的に透明な材料を使用することで、他の多くの材料と比較して全反射及びフレネルロスによる損失が小さいためにLEDチップからの光の抽出を増大させることができる。加えて、化合物と粒子の結合によって実質的に透明な材料の化合物中の粒子の分散が改善され、それにより、粒子が集合及び/又は凝集して光散乱及びそれに伴う損失に寄与する透過光の波長の約20分の1よりも大きな径を有する大きな集合体及び又は凝集体が形成されるのを防ぐ。より低い屈折率を有する一部の粒子に代えて約2.7の屈折率を有する任意選択の二酸化チタン粒子を使用することで、高い屈折率を有する実質的に透明な材料の調製が可能となる。さらに、実質的に透明な材料がポリマーをさらに含む場合には、実質的に透明な材料の全体的なコストは、実質的に透明な材料の屈折率を低下させるという代償を払って、実質的に透明な材料の単位体積あたりの粒子及び少なくとも1つの化合物の使用量を少なくなることで低減することができる。さらに、実質的に透明な材料に組み込むための、高い流動温度と高温で優れた安定性を有するポリマーを選択することで、より高い温度で有用であるか又は様々な機械的性質を有する実質的に透明な材料の調製が可能となる。
【0044】
実質的に透明な材料は、実質的な透明性及び高屈折率が要求される多くのさらなる用途で使用するのに適している。LED素子及びレーザーダイオードなどの発光素子に加えて、有用な製品の例としては、特に限定されないが、レンズや光透過デバイスが挙げられる。
【0045】
本明細書において引用された全ての参照文献は、刊行物、特許出願、及び特許を含め、各参照文献が個別に特定して参照によって組み込まれると述べて記載されたと同じように、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる。
【0046】
本発明を説明する中で(特に特許請求の範囲の中で)使用される「a」、「an」及び「the」という冠詞並びに同様の指示語は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含すると解されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段の断りがない限り制限のない用語(即ち、「含むが限定されない」ことを意味する)と解されるべきである。本明細書における値の範囲の説明は、本明細書で別段の指摘がない限り、単に範囲の中に入っているそれぞれ独立した値を個々に言及することの省略方法として機能することを意図しており、それぞれの独立した値は、まるでそれが本明細書で個々に列挙されたかのように本明細書に組み入れられる。本明細書で説明されたすべての方法は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって別に明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及びすべての例又は例示的な語(例えば、「などの」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲に関する限定をもたらすものではない。本明細書の如何なる言語も、特許請求の範囲に記載のない任意の構成要素を本発明の実施に不可欠であるものとして示すと解されるべきではない。
【0047】
本発明を実施するために発明者らが知っている最良の方法を含めて、本発明の好ましい実施態様を本明細書で説明している。これらの好ましい実施態様の変形態様は、前述の説明を読めば当業者に明らかになるであろう。発明者らは、当業者が適切であるような変形態様を用いることを期待しており、発明者らは、本発明が本明細書で具体的に説明したのと別の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって容認されているように、特許請求の範囲に列挙した主題のすべての改良及びそれと同等なものを包含する。さらには、そのすべての可能な変形態様における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって別に明確に否定されない限り、本発明によって包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約4nm〜約15nmの中央粒径を有する無機チタン酸塩又は無機ジルコン酸塩の粒子と、
(b)少なくとも1つの化合物と
を含む実質的に透明な材料であって、該粒子が該少なくとも1つの化合物中に均一に分散し、該粒子が、該粒子の少なくとも1つの表面官能基によって該少なくとも1つの化合物に結合し、該実質的に透明な材料が0.1s-1のせん断速度で約30,000センチポアズ以上の粘度を有する、実質的に透明な材料。
【請求項2】
前記粒子の約80vol%以上が約20nm以下の粒径を有する、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項3】
0.1s-1のせん断速度で約50,000センチポアズ以上の粘度を有する、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項4】
前記粒子が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カリウム、ジルコン酸鉛、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項5】
前記化合物が、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、有機ホスフィン酸塩、及び有機ジルコン酸塩からなる群より選択される、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項6】
前記化合物が約300ダルトン以上の分子量を有する、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項7】
前記粒子が、静電相互作用、共有結合、配位結合、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される結合によって前記少なくとも1つの化合物に結合される、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項8】
二酸化チタンの粒子をさらに含み、該二酸化チタンの粒子が、約4nm〜約15nmの中央粒径を有し、前記少なくとも1つの化合物中に均一に分散され、該二酸化チタンの粒子の少なくとも1つの表面官能基を介して該少なくとも1つの化合物に結合される、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項9】
前記二酸化チタンの粒子の約80vol%以上が約20nm以下の粒径を有する、請求項8に記載の実質的に透明な材料。
【請求項10】
前記二酸化チタンの粒子が、静電相互作用、共有結合、配位結合、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される結合によって前記少なくとも1つの化合物に結合される、請求項8に記載の実質的に透明な材料。
【請求項11】
前記実質的に透明な材料の他の成分と実質的に均一な混合物を形成するポリマーをさらに含む、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項12】
前記ポリマーが、シリコーン重合体、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルイミド、環化ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステル、環状ポリオレフィン、及びエラストマーからなる群より選択される、請求項11に記載の実質的に透明な材料。
【請求項13】
前記実質的に透明な材料の合計質量に基づいて、前記粒子及び前記少なくとも1つの化合物以外の任意の成分を合計で0〜約10wt%含む、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項14】
10°の反射角で複合材料に対して向けられる400nmの波長を有する光の約75%以上が2mm厚さの前記実質的に透明な材料を通過する、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項15】
約1.5以上の屈折率を有する、請求項1に記載の実質的に透明な材料。
【請求項16】
(a)光を発する発光ダイオードと、
(b)該発光ダイオードを封入し、発せられた光に対して実質的に透明な材料とを含み、該実質的に透明な材料が
(i)無機チタン酸塩又は無機ジルコン酸塩の粒子と、
(ii)少なくとも1つの化合物と
を含み、該粒子が該少なくとも1つの化合物中に均一に分散し、該粒子が、該粒子の少なくとも1つの表面官能基によって該少なくとも1つの化合物に結合し、該実質的に透明な材料が0.1s-1のせん断速度で約30,000センチポアズ以上の粘度を有する、発光素子。
【請求項17】
前記粒子の約80vol%以上が約20nm以下の粒径を有する、請求項16に記載の発光素子。
【請求項18】
前記実質的に透明な材料が0.1s-1のせん断速度で約50,000センチポアズ以上の粘度を有する、請求項16に記載の発光素子。
【請求項19】
前記粒子が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16に記載の発光素子。
【請求項20】
前記化合物が、有機リン酸塩、有機ホスホン酸塩、有機ホスフィン酸塩、及び有機ジルコン酸塩からなる群より選択される、請求項16に記載の発光素子。
【請求項21】
前記化合物が約300ダルトン以上の分子量を有する、請求項16に記載の発光素子。
【請求項22】
前記粒子が、静電相互作用、共有結合、配位結合、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される結合によって前記少なくとも1つの化合物に結合される、請求項16に記載の発光素子。
【請求項23】
前記実質的に透明な材料が二酸化チタンの粒子をさらに含み、該二酸化チタンの粒子が、約4nm〜約15nmの中央粒径を有し、前記少なくとも1つの化合物中に均一に分散され、該二酸化チタンの粒子の少なくとも1つの表面官能基を介して該少なくとも1つの化合物に結合される、請求項16に記載の発光素子。
【請求項24】
前記二酸化チタンの粒子の約80vol%以上が約20nm以下の粒径を有する、請求項23に記載の発光素子。
【請求項25】
前記二酸化チタンの粒子が、静電相互作用、共有結合、配位結合、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される結合によって前記少なくとも1つの化合物に結合される、請求項23に記載の発光素子。
【請求項26】
前記実質的に透明な材料が、該実質的に透明な材料の他の成分と実質的に均一な混合物を形成するポリマーをさらに含む、請求項16に記載の発光素子。
【請求項27】
前記ポリマーが、シリコーン重合体、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルイミド、環化ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステル、環状ポリオレフィン、及びエラストマーからなる群より選択される、請求項26に記載の発光素子。
【請求項28】
前記実質的に透明な材料が、該実質的に透明な材料の合計質量に基づいて、前記粒子及び前記少なくとも1つの化合物以外の任意の成分を合計で0〜約10wt%含む、請求項16に記載の発光素子。
【請求項29】
10°の反射角で前記実質的に透明な材料に対して向けられる約400nmの波長を有する光の約75%以上が約2mm厚さの該実質的に透明な材料を通過する、請求項16に記載の発光素子。
【請求項30】
前記実質的に透明な材料が約1.5以上の屈折率を有する、請求項16に記載の発光素子。

【図1】
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【公表番号】特表2009−544151(P2009−544151A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519487(P2009−519487)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/015709
【国際公開番号】WO2008/008323
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】