説明

発光素子駆動回路及び携帯電話

【課題】発光素子駆動回路において、携帯電話の電子部品が、より適切に2つの基板に分けて配置されることに貢献することである。
【解決手段】発光素子駆動回路10は、LED駆動制御信号を出力するCPU44が搭載される第1基板42と信号線で接続される第2基板29に搭載される発光素子駆動回路10であって、LED駆動制御信号に基づいて起動停止し、起動中にLED駆動信号を出力するパルス生成部24と、パルス生成部24に基準パルス信号を供給するLED用発振器22と、LED駆動信号に基づいてLED11の点滅駆動を行うLEDドライバ部28と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子駆動回路及び携帯電話に係り、特に、2つの基板を備える装置に設けられる発光素子駆動回路及びその発光素子駆動回路を含む携帯電話に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話において、電話、メール等の着信時にユーザーが対応することができなかった場合、不在着信の通知として発光素子(例えば、LED)を点滅させることがある。特許文献1には、例えば、携帯機器に搭載される発光素子の駆動装置として、発光素子と発光素子を定電流駆動する駆動部とを有する光源部と、携帯機器のシステム全体を制御する制御部と、光源部及び制御部に電力を供給可能な電池電源と、電池電源によって充電され光源部に電力を供給する蓄電素子とを備えているものが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−108545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成において、LEDを点滅させるために、その都度、携帯機器に搭載されるCPUを起動させるとCPUに電流が流れるため消費電力が問題となる。そのため、時計等用に常時発振している発振器を利用したパルス作成回路によってパルスを作成し、そのパルスを用いてLED駆動装置等を制御することも考えられる。
【0005】
ところで、近年の携帯機器として、例えば、携帯電話では、折りたたみ式・スライド式といった2つのパーツに分けられ、その2つのパーツにそれぞれ基板が配置されるセット構成が主流となっている。この場合、CPUや発光素子やパルス生成回路をどのように配置するかがポイントとなり、各電子部品の配置状態によっては、携帯電話の小型化が困難となる場合がある。
【0006】
本発明の目的は、携帯電話の電子部品が、より適切に2つの基板に分けて配置されることに貢献する発光素子駆動回路及びその発光素子駆動回路を含む携帯電話を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光素子駆動回路は、LED駆動制御信号を出力する制御回路が搭載される第1基板と信号線で接続される第2基板に搭載される発光素子駆動回路であって、LED駆動制御信号に基づいて起動停止し、起動中にLED駆動信号を出力するパルス生成部と、パルス生成部に基準パルス信号を供給するLED用発振器と、LED駆動信号に基づいて発光素子の点滅駆動を行うLEDドライバ部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る発光素子駆動回路において、LED用発振器は、第1基板に搭載される制御回路に用いられる制御用発振器に比べて基準パルス信号の周波数精度が低い回路であることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る発光素子駆動回路において、発光素子のアノード電極の電圧に基づいて昇圧を行う昇圧回路を備え、LEDドライバ部と昇圧回路とは、LED駆動信号のL期間中にスリープ状態であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る携帯電話は、制御回路が搭載される第1基板と、第1基板と信号線で接続され、発光素子を駆動する発光素子駆動回路が搭載される第2基板と、を備える携帯電話であって、発光素子駆動回路は、LED駆動制御信号に基づいて起動停止し、起動中にLED駆動信号を出力するパルス生成部と、パルス生成部に基準パルス信号を供給するLED用発振器と、LED駆動信号に基づいて発光素子の点滅駆動を行うLEDドライバ部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る携帯電話において、LED駆動制御信号は、携帯電話の不在着信時に出力される信号であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の少なくとも1つにより、パルス生成部は、第2基板に設けられた発光素子の駆動を行う発光素子駆動回路に配置される。よって、パルス生成部が第1基板に設けられた場合に比べて、第1基板と第2基板とを接続する接続線を削減することが可能となる。したがって、より適切に、2つの基板に分けて配置されることに貢献する発光素子駆動回路及びその発光素子駆動回路を含む携帯電話を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。なお、以下では、発光素子は携帯電話に用いられるものとして説明するが、発光素子を用いたその他の電子機器に用いられるものであってもよい。
【0014】
図1は、携帯電話5を示す図である。携帯電話5は、折りたたみ式の2パーツ構成で1つのパーツである液晶の表示部を有する液晶部7と、もう1つのパーツである携帯電話5の操作を行う操作部9と、2つのパーツである液晶部7と操作部9とを接続する接続部8とを備える。
【0015】
液晶部7は、不在通知を知らせるLED11と、LED11を駆動する発光素子駆動回路10が設けられる第2基板部20と、図示していない液晶素子を組み込んだ表示部である画像表示装置及びその駆動回路とを含んで構成される。LED11は、カソード(陰極)に対し、アノード(陽極)に順方向に電圧を加えた際に発光する発光素子である。第2基板部20の詳細な説明については後述する。
【0016】
操作部9は、携帯電話5の制御を行う回路が搭載される第1基板部40と、携帯電話5の操作を行う操作ボタンとを含んで構成される。操作部9は、携帯電話5の操作を行うことができ、例えば、電話番号を入力して発信する等の操作機能を有する。第1基板部40の詳細な説明については後述する。
【0017】
接続部8は、第1基板部40と第2基板部20とを接続するケーブル部30を含んで構成される。ケーブル部30は、複数のケーブル線から構成され、それぞれのケーブルが第2基板部20と第1基板部40とを電気的に接続している。ケーブル部30には、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits)が用いられる。
【0018】
携帯電話5において、ケーブル部30と、第1基板部40と、発光素子駆動回路10を含んだ第2基板部20と、を含んで構成されるものが発光素子駆動装置100に相当する。第1基板部40は、携帯電話5を制御するための制御回路を配置するための第1基板42と、第1基板42に配置されるCPU44と、制御用発振器46とを含んで構成される。第2基板部20は、画像表示装置に関する電子回路が配置される第2基板29と、第2基板29に配置される発光素子駆動回路10と、図示していない画像表示装置の駆動回路とを含んで構成される。まず、第1基板部40について説明を行い、その後、第2基板部20について説明する。
【0019】
図2は、発光素子駆動回路10を含んだ発光素子駆動装置100を示すブロック図である。CPU44は、携帯電話5全体の機能を制御するマイクロコンピュータである。CPU44は、第1基板42上に設けられ、後述する制御用発振器46や図示していないメモリ回路等と電気的に接続される。ここでは、特に、CPU44は、携帯電話5において、電話、メール等の着信時に対応することができなかった場合に、不在着信の通知としてLED11の点滅駆動を行うための基準となるLED駆動信号を発生するパルス生成部24に対するLED駆動制御信号を出力する機能を有する。
【0020】
制御用発振器46は、持続した交流を作る電気回路である。制御用発振器46には、水晶振動子が用いられる。水晶振動子は、発振回路を構成することでパルスを出力することができる。制御用発振器46は、図示されていない時計回路等の基準のパルスとして用いられるため、周波数精度や周波数の安定性が必要である。制御用発振器46とCPU44とは電気的に接続される。
【0021】
発光素子駆動回路10は、LED用発振器22と、パルス生成部24と、昇圧回路26と、LEDドライバ部28とを含んで構成される。
【0022】
LED用発振器22は、固体振動子等を用いた発振回路である。LED用発振器22は、後述するLED駆動信号52の生成のみに用いられ、制御用発振器46に比べて周波数精度があまり高くなくてもよく、周波数の安定性の高さも必要とされない。したがって、制御用発振器46に比べて、安価で小型化された発振回路で構成することができる。LED用発振器22は、後述するパルス生成部24と接続される。なお、LED用発振器22は、常時発振する回路であってもよく、またCPU44の指令によって発振を開始する回路であってもよい。
【0023】
昇圧回路26は、LED11に接続され、LED11のアノード側端子の電圧に基づいて昇圧を行い、LED11に電圧を供給する機能を有する。昇圧回路26は、LED11と、後述するパルス生成部24とに接続される。
【0024】
LEDドライバ部28は、LED11を電流で駆動する電流回路を設けた回路である。LEDドライバ部28によって、LED11に電流が流された場合にはLED11が点灯し、LED11に電流が流されなくなった場合にはLED11が消灯する。また、LEDドライバ部28に設けられた電流回路の電流値を変更することによって、LED11の輝度を変更することも可能である。LEDドライバ部28は、LED11と、後述するパルス生成部24と接続される。
【0025】
図3は、LED駆動制御信号50と、基準パルス信号51と、LED駆動信号52と、パルス生成部起動信号53とを示した図である。図3は、横軸に時間を取り縦軸に電圧を取っている。LED駆動制御信号50は、携帯電話5において着信があって、ロー(L)からハイ(H)へと一度立ち上げられた信号が、着信不在であったためにハイ(H)からロー(L)へと立ち下げられ、その後、ユーザーが操作部9のボタンを押して不在着信の確認等を行った際、もう一度ロー(L)からハイ(H)に立ち上がった後にハイ(H)からロー(L)に再び立ち下がる信号である。LED駆動制御信号50は、CPU44から発光素子駆動回路10に伝達される。パルス生成部起動信号53は、ハイ(H)の期間はパルス生成部24が起動中であり、ロー(L)の期間は、パルス生成部24が停止中である。ここで、パルス生成部起動信号53は、LED駆動制御信号50がHからL(不在着信時)となったときに連動してハイ(H)となり、その次にLED駆動制御信号50がHからL(不在着信確認時)となったときに連動してロー(L)となる。
【0026】
基準パルス信号51は、LED用発振器22によって出力される基準パルス信号であって、例えば、64kHzの周期でハイ(H)・ロー(L)と切り替わる信号である。
【0027】
LED駆動信号52は、昇圧回路26とLEDドライバ部28とに対し出力される信号であって、上述したように、昇圧回路26とLEDドライバ部28の機能によって、ハイ(H)期間にはLED11が点灯し、ロー(L)期間にはLED11が消灯される信号である。なお、ここでLED駆動信号52がハイ(H)期間のときは、昇圧回路26とLEDドライバ部28は通常動作状態であり、LED駆動信号52がロー(L)期間のときは、昇圧回路26とLEDドライバ部28はスリープ状態である。
【0028】
パルス生成部24は、LED用発振器22により出力される基準パルス信号51を入力として受け取る。そして、パルス生成部24は、LED駆動制御信号50の立ち下がり後の基準パルス信号51における次の立ち上がりをトリガーとして、図3に示されるLED駆動信号52を生成する。なお、基準パルス信号51の周波数としては、例えば、64kHzのパルス信号が用いられると、LED駆動信号52は、例えば、5秒に1回立ち上がるようなパルス信号となる。
【0029】
上記の構成の作用について説明する。LED駆動信号52は、上記のように、例えば、5秒に1回立ち上がるようなパルス信号であって、このパルス信号のハイ(H)、ロー(L)に応じてLED11を点灯・消灯することにより、携帯電話5の不在着信時の通知を行うことができる。ここで、図4は、比較するために従来の実施の形態における発光素子駆動装置150を示すブロック図である。図4は、パルス生成部24が、図2のように第2基板29ではなく、第1基板42に設けられている。この場合、パルス生成部24は、LED用発振器22の代わりに制御用発振器46の出力を受けてパルスを生成することができる。しかし、この場合、パルスを昇圧回路26とLEDドライバ部28に入力する必要があるため、第2基板29と第1基板42とを接続するケーブル部31が1本余計に必要となる。
【0030】
これに対し、図3に示される発光素子駆動装置100は、発光素子駆動装置150に示されるケーブル部31に比べてケーブル数を削減することが可能であり、携帯電話5の小型化に貢献することができる。なお、LED用発振器22は、制御用発振器46に比べてパルス生成精度が低い回路であって小型化された回路であるため、第2基板29におけるLED用発振器22の占有率を下げることができる。
【0031】
また、パルス生成部24を第1基板に設けた場合には、CPU44をはじめノイズ発生源となる回路の影響を受けるが、第2基板の発光素子駆動回路10に設けることでノイズの影響を抑制することができる。また、LED駆動信号52は、上記のように、例えば、5秒に1回立ち上がるようなパルス信号であり、ロー(L)期間のときは、昇圧回路26とLEDドライバ部28はスリープ状態であるから消費電力削減に貢献できる。
【0032】
図5は、他の実施の形態におけるLED駆動制御信号と基準パルス信号とLED駆動信号を示した図である。図5は、図3に示されるLED駆動制御信号50、LED駆動信号52、パルス生成部起動信号53は同じ信号であり、基準パルス信号54だけが相違する。基準パルス信号54は、CPU44からのLED駆動制御信号50の立ち下がりに応じて発振を開始し、その立ち上がりに連動してLED駆動信号52が生成される。このLED駆動信号52を用いることで、携帯電話5の不在着信を通知することもできる。ここで、基準パルス信号54は、LED駆動制御信号50の立ち下がりを検知した場合にのみ発振するため、消費電力の抑制に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態の発光素子駆動回路を含んだ携帯電話を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の発光素子駆動回路を含んだ発光素子駆動装置を示すブロック図である。
【図3】LED駆動制御信号と基準パルス信号とLED駆動信号を示した図である。
【図4】従来技術の発光素子駆動装置についてのブロック図である。
【図5】他の実施の形態におけるLED駆動制御信号と基準パルス信号とLED駆動信号を示した図である。
【符号の説明】
【0034】
5 携帯電話、7 液晶部、8 接続部、9 操作部、10 発光素子駆動回路、20 第2基板部、22 LED用発振器、24 パルス生成部、26 昇圧回路、28 LEDドライバ部、29 第2基板、30,31 ケーブル部、40 第1基板部、42 第1基板、46 制御用発振器、50 LED駆動制御信号、51 基準パルス信号、52 LED駆動信号、53 パルス生成部起動信号、100,150 発光素子駆動装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED駆動制御信号を出力する制御回路が搭載される第1基板と信号線で接続される第2基板に搭載される発光素子駆動回路であって、
LED駆動制御信号に基づいて起動停止し、起動中にLED駆動信号を出力するパルス生成部と、
パルス生成部に基準パルス信号を供給するLED用発振器と、
LED駆動信号に基づいて発光素子の点滅駆動を行うLEDドライバ部と、
を備えることを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載の発光素子駆動回路において、
LED用発振器は、
第1基板に搭載される制御回路に用いられる制御用発振器に比べて基準パルス信号の周波数精度が低い回路であることを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発光素子駆動回路において、
発光素子のアノード電極の電圧に基づいて昇圧を行う昇圧回路を備え、
LEDドライバ部と昇圧回路とは、
LED駆動信号のL期間中にスリープ状態であることを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項4】
制御回路が搭載される第1基板と、
第1基板と信号線で接続され、発光素子を駆動する発光素子駆動回路が搭載される第2基板と、
を備える携帯電話であって、
発光素子駆動回路は、
LED駆動制御信号に基づいて起動停止し、起動中にLED駆動信号を出力するパルス生成部と、
パルス生成部に基準パルス信号を供給するLED用発振器と、
LED駆動信号に基づいて発光素子の点滅駆動を行うLEDドライバ部と、
を有することを特徴とする携帯電話。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯電話において、
LED駆動制御信号は、携帯電話の不在着信時に出力される信号であることを特徴とする携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−124026(P2009−124026A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298139(P2007−298139)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】