発光装置、その製造装置および製造方法、ならびに画像印刷装置
【課題】 画像印刷装置に用いられる発光装置において、その製造工程において複数種類のスペーサを用意することなく、フレームの製造方法の選択の自由度を向上させ、かつ電気光学基板と集束性レンズアレイとの距離と当該集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離とのズレをより小さくする。
【解決手段】 発光装置10は、光像を形成する発光基板14と、貫通孔が形成され、当該光像を形成した光が当該貫通孔内を進行するように発光基板14を固定するフレーム16と、一端が当該貫通孔内に位置するようにフレーム16に固定され、当該光像を形成した光を一端から入射して当該光像の正立像を形成する光を他端から出射する集束性レンズアレイ15とを備え、フレーム16には、一端がフレーム16越しに視認可能となる認識孔17が形成されている。
【解決手段】 発光装置10は、光像を形成する発光基板14と、貫通孔が形成され、当該光像を形成した光が当該貫通孔内を進行するように発光基板14を固定するフレーム16と、一端が当該貫通孔内に位置するようにフレーム16に固定され、当該光像を形成した光を一端から入射して当該光像の正立像を形成する光を他端から出射する集束性レンズアレイ15とを備え、フレーム16には、一端がフレーム16越しに視認可能となる認識孔17が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、その製造装置および製造方法、ならびに画像印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラム等の像担持体を帯電し、その感光面に潜像を形成し、この潜像にトナーを付着させて顕像を形成して他の物体に転写する画像印刷装置がある。この種の画像印刷装置は、感光面に光を照射して潜像を形成する発光装置を有する。この発光装置として、複数の発光素子が配列されて光像を形成する発光基板を備えたものがあり、その中には、発光基板からの光を透過させて感光面に結像させるための集束性レンズアレイを備えたものがある。
【0003】
この集束性レンズアレイは、発光基板内の光像を形成した光を一端から入射して当該光像の正立像を形成する光を他端から出射する。この集束性レンズアレイを備えた発光装置は、発光基板と集束性レンズアレイとの距離が物体距離に応じた最適な距離に等しく、かつ集束性レンズアレイと感光面との距離が像面距離に応じた最適な距離に等しい場合に、発光基板内の光像と等倍の正立像を感光面に結像することができる。その一方、発光基板と集束性レンズアレイとの距離が物体距離に応じた最適な距離に等しくなければ、感光面における結像の精度、ひいては画像印刷装置の印刷品質に悪影響が及ぶ。したがって、発光基板と集束性レンズアレイとの距離を調整するための技術が提案されている。
【0004】
この種の技術としては、フレームに形成された孔の壁に段差または突出部を設けておき、この孔に集束性レンズアレイを挿入してその一端を段差または突出部に当接させることによって集束性レンズアレイの位置決めを行う一方、フレームと発光基板との間にスペーサを挟んで発光基板をフレームに接着することによって発光基板の位置決めを行う技術が挙げられる(特許文献1〜2)。
【特許文献1】特許第2625702号公報(図1)
【特許文献2】特許第3296623号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、物体距離とは、光像が形成される光像形成面と集束性レンズアレイの一端との理想的な距離であり、集束性レンズアレイの一端と他端との距離、すなわち集束性レンズアレイの厚さによって決まる。集束性レンズアレイの厚さには製造バラツキ(例えば、±0.1mm)があるため、物体距離にもバラツキがある。つまり、物体距離は集束性レンズアレイに固有であり、物体距離に応じた最適な距離も集束性レンズアレイに固有である。
【0006】
したがって、フレームと発光基板との間にスペーサを挟んで距離を調整する上述の技術を採ると、発光装置の製造において複数種類のスペーサを用意しておかねばならない。また、この技術を採ると、フレームの製造において、集束性レンズアレイの位置決め用の段差の形成に高い精度が要求される。したがって、フレームの製造方法が限定され、アルミニウムの型成型や型成型後の研削による追加工といった高コストの製造方法を採らざるを得ない。しかも、このような製造方法を採っても、発光基板と集束性レンズアレイとの距離と当該集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離とのズレは数十μmに達してしまう。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数種類のスペーサを用意することなく製造可能であり、フレームの製造方法の選択の自由度が高く、かつ電気光学基板と集束性レンズアレイとの距離と当該集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離とのズレをより小さくすることができる発光装置、その製造装置および製造方法、ならびに画像印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写する画像印刷装置に用いられ、前記帯電された面に光を照射して前記潜像を形成する発光装置において、光像を形成する電気光学基板と、貫通孔が形成され、前記光像を形成した光が前記貫通孔内を進行するように前記電気光学基板を固定するフレームと、一端が前記貫通孔内に位置するように前記フレームに固定され、前記光像を形成した光を前記一端から入射して前記光像の正立像を形成する光を他端から出射する集束性レンズアレイとを備え、前記フレームには、前記一端が前記フレーム越しに視認可能となる切欠が形成されている、ことを特徴とする発光装置を提供する。
【0009】
この発光装置によれば、その製造工程において、集束性レンズアレイの一端がフレーム越しに当該フレームの切欠を通じて視認可能となる。つまり、切欠を通じて、電気光学基板と集束性レンズアレイとの距離を示す情報を取得することができる。よって、電気光学基板と集束性レンズアレイとの距離が集束性レンズアレイに固有の物体距離と等しくなるように、集束性レンズアレイおよびフレームの少なくとも一方を移動させることができる。以上より、この発光装置によれば、複数種類のスペーサを用意することなく製造可能であり、電気光学基板と集束性レンズアレイとの距離と当該集束性レンズアレイに固有の物体距離とのズレをより小さくすることができる。また、集束性レンズアレイの位置決め用の段差が存在しないから、フレームの製造に要求される精度は低い。したがって、フレームの製造方法の選択の自由度が高くなる。
【0010】
また、上記の発光装置において、複数の屈折率分布型レンズを1列または2列かつ千鳥状に配列して集束性レンズアレイを構成し、フレームに形成される切欠を複数とし、これらの切欠が複数の屈折率分布型レンズの配列方向に並ぶようにすれば、集束性レンズアレイの下端の傾きを求め、この傾きが適切な傾きとなるように集束性レンズアレイおよびフレームの少なくとも一方を移動させることができる。さらに、フレームに形成される切欠を3以上とし、これらの切欠のうちの1つが、上記の配列方向において集束性レンズアレイの中央部付近に配置され、これを挟むように残りの切欠のうちの2つが配置されるようにすれば、集束性レンズアレイの下端の撓みを求め、この撓みがなくなるように集束性レンズアレイを変形させることができる。
【0011】
また、本発明は、上記の発光装置を備え、前記他端から出射した光を前記帯電された面に照射する画像印刷装置を提供する。この画像印刷装置によれば、上記の発光装置が露光ヘッドとして用いられるから、画像印刷装置内でのその配置が適切であれば、感光体ドラムにおける結像の精度をより高くすることが可能である。つまり、印刷品質を向上させることが可能である。
【0012】
また、本発明は、上記の発光装置の製造装置であって、駆動されると、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動させる移動手段と、前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を前記フレーム越しに前記切欠を通じて取得する取得手段と、前記取得された情報に基づいて、前記電気光学基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な画像を表示装置に表示させるための制御信号を生成する画像処理部と、を備えることを特徴とする発光装置の製造装置を提供する。この製造装置によれば、複数種類のスペーサを用意することなく、上記の発光装置を製造することができる。
【0013】
また、本発明は、上記の発光装置の製造装置であって、駆動されると、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動させる移動手段と、前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を前記フレーム越しに前記切欠を通じて取得する取得手段と、前記取得された情報に基づいて、前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を演算により求める演算部と、前記演算により求められた距離が前記集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離であるか否かを判定し、前記最適な距離でなければ前記演算部により求められる距離が前記最適な距離に等しくなるように前記移動手段を駆動する制御部と、を備えることを特徴とする発光装置の製造装置を提供する。この製造装置によれば、複数種類のスペーサを用意することなく、上記の発光装置を製造することができる。また、この製造の際には、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方の移動を自動的に行うことができる。
【0014】
また、上記の各製造装置において、前記取得手段は、前記フレーム越しに前記切欠を通じて前記貫通孔内を撮像して画像データを生成するカメラを有していてもよいし、前記フレーム越しに前記切欠を通じて前記貫通孔内に差し込まれた接触子を用いて前記一端の前記電気光学基板に対する相対位置を特定可能なデータを生成する接触測定部を有していてもよい。
【0015】
また、上記の各製造装置において、前記集束性レンズアレイは、複数の屈折率分布型レンズを細長く配列して構成されており、前記切欠は複数あり、前記複数の切欠は前記複数の屈折率分布型レンズの配列方向に並んでおり、前記移動手段は前記集束性レンズアレイの複数の箇所に接触して前記集束性レンズアレイを吊り下げ、前記集束性レンズアレイを箇所毎に独立して昇降可能である、ようにしてもよい。この製造装置によれば、電気光学基板に対する集束性レンズアレイの傾きを無くすように集束性レンズアレイおよびフレームの少なくとも一方を移動することができる。さらに、この製造装置において、切欠の数および接触箇所の数をそれぞれ3以上としてもよい。この製造装置によれば、集束性レンズアレイの下端の撓みを無くすように集束性レンズアレイおよびフレームの少なくとも一方を移動することができる。
【0016】
また、本発明は、像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写する画像印刷装置に用いられ、前記帯電された面に光を照射して前記潜像を形成する発光装置の製造方法において、貫通孔が形成され、電気光学基板内で光像を形成した光が前記貫通孔内を進行するように前記電気光学基板を固定するフレームに、前記光像を形成した光を一端から入射して他端から前記光像の正立像を形成する光を出射する集束性レンズアレイを固定するときに、前記一端が前記貫通孔内に位置するように前記集光性レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動し、次に、前記フレームに形成された切欠を通じて前記電気光学基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を取得し、次に、取得した情報により特定される距離が前記集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離と等しいか否かを判定し、等しければ前記集光性レンズアレイを前記フレームに固定する、ことを特徴とする発光装置の製造方法を提供する。この製造方法によれば、複数種類のスペーサを用意することなく、上記の発光装置を製造することができる。
【0017】
また、上記の製造方法において、前記集光性レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動する前に、前記集束性レンズアレイを前記一端または前記他端を下に向けて定盤上に載置する、ようにしてもよい。この製造方法によれば、集束性レンズアレイの一端は、平坦とされてからフレームの貫通孔内に位置することになる。したがって、一端の平坦度を貫通孔内で調整する必要がない。よって、使用する製造装置の構成を簡素とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0019】
<第1実施形態>
<1.発光装置>
図1は本発明の第1実施形態に係る発光装置10の正面図であり、図2は図1のII−II断面図である。発光装置10は、感光体ドラム11を帯電し、回転している感光体ドラム11の帯電された面に潜像を形成し、この潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、この顕像を紙などの他の物体に転写する画像印刷装置に用いられるものであり、帯電された面に光像を形成することによって潜像を形成する。なお、感光体ドラム11は、画像印刷装置の筐体に固定された軸受13により支持されている軸12を中心として回転する。
【0020】
発光装置10は、内部の細長い光像形成面に光像を形成し、その光を出光面から出射する発光基板14と、発光基板14からの光を細長い入射面(一端)から入射して細長い出射面(他端)から出射することによって当該光像を感光体ドラム11の表面に結像させるための集束性レンズアレイ15と、発光基板14および集束性レンズアレイ15を固定するための細長いフレーム16を備える。光像形成面は、感光体ドラム11の感光面に結像しようとする光像が形成される面である。
【0021】
フレーム16は、プラスチックにより形成された内周が長方形状の枠であり、感光体ドラム11に対向する平坦な表面から裏側の平坦な裏面まで貫通した貫通孔を有する。この貫通孔には集束性レンズアレイ15の入射面側の部分が挿入されている。またフレーム16には、一方の長辺に相当する部分に3つの認識孔17が長辺方向に並んで形成されている。長辺方向において、これらの認識孔17は重なっておらず、当該部分の中央部付近には1つの認識孔17が配置されており、当該認識孔17を挟んで残りの認識孔17が配置されている。また、認識孔17は、各々の形成部分において短辺方向に貫通して形成されている。なお、本実施形態では、3つの認識孔17のうち、主に使用されるのは中央の1つだけであり、残りの2つは予備である。
【0022】
認識孔17の形成位置および形態は、集束性レンズアレイ15の下端の高さ、すなわち発光装置10内の基準面から集束性レンズアレイ15の入射面までの距離が後述の物体距離(d2)に応じた最適な高さ(以降、「最適高さ」という)に等しい場合に、後述の封18により視界が遮られなければ、集束性レンズアレイ15の下端がフレーム16越しに当該認識孔17を通じて覗く位置および形態となっている。基準面は発光基板14側の基準となる面であり、本実施形態ではフレーム16の裏面が基準面となっている。また、集束性レンズアレイ15の下端とは、集束性レンズアレイ15の入射面の縁である。なお、認識孔17の内部にはフレーム16内への異物の侵入を防止する封18が設けられている。封18は例えば樹脂から形成されている。
【0023】
発光基板14は、フレーム16の裏面側に配置されてフレーム16に固定されている。この固定は、接着剤36を用いて為されている。接着剤36は、例えば熱硬化型接着剤または紫外線硬化型接着剤である。また発光基板14は、その出光面がフレーム16の裏面に接して貫通孔を塞ぐように配置されている。したがって、基準面は発光基板14の出光面でもある。
【0024】
発光基板14の出光面の反対側には、与えられた電気エネルギにより発光特性が変化する複数の発光素子、より具体的には複数の有機EL(Electro luminescent)素子が軸12の延在方向に画素として配列されている。発光基板14には、発光基板14と協働して複数のEL素子を封止する封止基板19が取り付けられている。また発光装置10は、複数の有機EL素子から発光基板14を透過して進行してきた光を照射するボトムエミッションタイプであり、発光基板14は、光透過性のガラスまたはプラスチックにより形成されている。
【0025】
有機EL素子は、発光基板14上に形成された陽極と、その上に成膜された発光層と、その上に形成された陰極を有し、与えられた電気エネルギに応じた強度で発光層を発光させる。これにより、全ての発光層を通る光像形成面に光像が形成される。陽極は例えばITO(Indium Tin Oxide)製であり、発光光は陽極および発光基板14内を導かれて出光面から出射する。
【0026】
集束性レンズアレイ15は、フレーム16の表面側に配置されてフレーム16に固定されている。この固定は、接着剤36を用いて為されている。集束性レンズアレイ15の入射面は、フレーム16の貫通孔内で発光基板14の出光面に正対している。また集束性レンズアレイ15は、複数の屈折率分布型レンズを細長く配列して構成されている。例えば、複数の屈折率分布型レンズは2列かつ千鳥状に配列されている。各屈折率分布型レンズは、光軸すなわち中心軸での屈折率が低く、中心軸から離れるほど屈折率が高くなるように形成されたグレーデッドインデックス光ファイバである。このような光ファイバの長さが、屈折率分布型レンズの厚さであり、集束性レンズアレイの厚さ(x)でもある。
【0027】
このような集束性レンズアレイの光学寸法として、共役長(TC)、像面距離(d1)および物体距離(d2)がある。すなわち、集束性レンズアレイ15は、光像形成面と感光面との距離が共役長(TC)に等しく、かつ、集束性レンズアレイの出射面と感光面との距離が像面距離(d1)に等しく、かつ、光像形成面と集束性レンズアレイの入射面との距離が物体距離(d2)に等しい場合には、光像形成面に形成された光像と等倍の正立像を感光面に結像可能に構成されている。
【0028】
これらの光学寸法の関係を集束性レンズアレイの厚さ(x)を用いて表すと、以下の通りである。
TC=d1+x+d2
d1=d2
つまり、集束性レンズアレイの厚さ(x)が決まれば、その像面距離(d1)、物体距離(d2)および共役長(TC)が決まる。なお、集束性レンズアレイ15の具体例には、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある。セルフォック\SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標である。
【0029】
発光装置10には、集束性レンズアレイ15の出射面と感光面との距離を集束性レンズアレイ15に固有の像面距離(d1)に近づけるための調整機構が設けられている。具体的には、フレーム16の両短辺側に、ボールネジ20が挿入された鞘21が固定されている。鞘21とネジ20は螺合している。ボールネジ20の先端は軸受13に固定されたストッパ22に突き当たっている。フレーム16は、図示しないバネにより感光体ドラム11側へ付勢されている。この付勢は、ボールネジ20の先端がストッパ22から外れないように行われている。つまり、フレーム16はボールネジ20を支柱にしてストッパ22から立ち上がっている。
【0030】
<2.製造方法>
次に発光装置10を製造する手順を説明する。
まず、図3および図4に示すように、上面が平坦な定盤23上に集束性レンズアレイ15を載置し、集束性レンズアレイ15を3つのチャック(保持手段)26にチャックさせる。なお、定盤23上で下になっている集束性レンズアレイ15の面は後に入射面となる。
【0031】
チャック26は、集束性レンズアレイ15に接して集束性レンズアレイ15をチャックするものであり、定盤23に沿って延在するチャックヘッド25に固定され、集束性レンズアレイ15を挟む一対の爪27を備える。チャックヘッド25に固定されているチャック26の数は3であり、これら3つのチャック26は、チャックヘッド25の延在方向に並んで設けられている。一対の爪27の内側面には、集束性レンズアレイ15の進入を阻む段差が形成されている。3つのチャック26における段差は、定盤23の上面と略平行な面上に揃うように形成されている。
【0032】
またチャックヘッド25には、発光装置10の製造設備に固定されたモータ28の回転軸であるボールネジ29が螺合している。モータ28はボールネジ29を駆動するものであり、ボールネジ29は、モータ28により駆動されて回転することによってチャックヘッド25を移動させるものである。チャックヘッド25は、モータ28によりボールネジ29が駆動されると、図示しないガイドに沿って移動する。このガイドはチャックヘッド25の移動方向をチャック機構24にチャックされている集束性レンズアレイ15の屈折率分布型レンズの光軸方向に限定する。つまり、チャックヘッド25の移動は昇降に限定される。
【0033】
集束性レンズアレイ15のチャック時には、まずチャックヘッド25を集束性レンズアレイ15上に配置する。次にチャックヘッド25を下降させ、集束性レンズアレイ15を三対の爪27に挟ませることにより、複数のチャック26にチャックさせる。このとき、集束性レンズアレイ15は爪27の段差によって定盤23に押し付けられる。したがって、集束性レンズアレイ15の入射面は平坦となる。
【0034】
次に、図5および図6に示すように、集束性レンズアレイ15をフレーム16の貫通孔に挿入する。具体的には、まず、チャックヘッド25を上昇させる。このとき、集束性レンズアレイ15はチャックヘッド25とともに上昇する。次に、フレーム16を上面が平坦なフレームステージ30上に載置し、フレームステージ30に一時的に固定する。このとき、基準面はフレームステージ30の上面でもある。フレームステージ30への固定の強度は、チャック26が集束性レンズアレイ15をチャックする強さを上回る。次に、チャックヘッド25を初期位置に配置する。初期位置とは、チャックヘッド25を下降させればチャック26にチャックされている集束性レンズアレイ15がフレーム16の貫通孔に挿入される位置である。次に、チャックヘッド25を下降させる。
【0035】
ところで、図6に示すように、フレームステージ30にはブラケット31によりカメラ32が固定されている。カメラ32は、CCD(Charge Coupled Devices)33を有し、フレーム16越しに中央の認識孔17を通じて貫通孔内を撮像し、これにより得られた画像データを出力する。貫通孔内に集束性レンズアレイ15が挿入され、その入射面が中央の認識孔17にさしかかると、カメラ32から出力される画像データは、集束性レンズアレイ15の下端24が認識孔17を通じてフレーム16越しに捉えられた画像を表すものとなる。
【0036】
また、カメラ32には画像処理部34を介してモニタ35が接続されている。画像処理部34は、カメラ32から出力された画像データに基づいて、下端の高さを特定可能な画像をモニタ35に表示させるための制御信号を生成し、モニタ35に供給する。より具体的には、カメラ32からの画像データを用いて、当該画像データで表される画像に基準面bからの高さを示す目盛りを合成し、合成画像を表示させるための制御信号をモニタ35に供給する。
【0037】
チャックヘッド25を下降させていくと、やがて、集束性レンズアレイ15の入射面の縁が認識孔17から覗く。認識孔17から覗いている縁は、目盛りとともに、画像として、モニタ35に表示される。製造者は、使用する集束性レンズアレイ15に固有の物体距離(d2)と使用する発光基板14の厚さを予め知っており、モニタ35の画像を視認して下端の高さを特定し、最適高さと比較し、両者が等しくなるようにチャックヘッド25を昇降させる、という作業を、両者が等しくなるまで繰り返す。そして、両者が等しくなったら、チャックヘッド25を停止させる。ここで、最適高さとは、集束性レンズアレイ15に固有の物体距離(d2)から、基準面から光像形成面までの距離を減じた距離である。
【0038】
次に、図7に示すように、集束性レンズアレイ15をフレーム16に接着して固定し、チャックヘッド25を上昇させる。具体的には、フレーム16の表面と貫通孔から突出している集束性レンズアレイ15の側面との間に接着剤36を盛り、硬化させ、その後に、チャックヘッド25を上昇させる。これにより、チャック26によるチャックが外れ、集束性レンズアレイ15はフレーム16側に残る。
【0039】
次に、図8および図9に示すように、発光基板14をフレーム16に接着して固定する。具体的には、フレーム16の裏面と発光基板14の側面との間に接着剤36を盛って硬化させることにより行われる。この接着時には、発光基板14の出光面がフレーム16の裏面に接して貫通孔を塞ぐように、発光基板14とフレーム16との位置合わせを行う。発光基板14の出光面と画像形成面との距離は発光基板14ごとにバラつき得るが、このバラつきは極めて小さい。また、前述のように、下端の高さは最適高さと等しくなっている。よって、この位置合わせの結果、光像形成面と集束性レンズアレイの入射面との距離と物体距離とのズレは数μm以下となる。
【0040】
また、発光基板14の接着時には、発光基板14と集束性レンズアレイ15との配置が列の幅方向において適切な配置となるように、発光基板14とフレーム16との位置合わせを行う。この位置合わせは、図10に示すように、屈折率分布型レンズ37の列幅方向の中心と画素の配列された範囲38の列幅方向の中心とを手動または自動で重ねることにより実現可能である。範囲38は例えば細長い矩形であって集束性レンズアレイ15を通して肉眼で視認可能である。なお、発光基板14の接着に先立って、発光基板14には封止基板19を取り付けておく。
【0041】
こうして製造した発光装置10は、認識孔17が封18で塞がれた後、図1に示すように、画像印刷装置に取り付けられる。具体的には、フレーム16の両短辺側に固定された鞘21に、この鞘21に螺合するボールネジ20を挿入して貫通させておき、フレーム16を図示しないバネにより感光体ドラム11側へ付勢することによって、ボールネジ20の先端を感光体ドラム11の軸13を支持する軸受13に固定されたストッパ22に突き当て、フレーム16が画像印刷装置の筐体に固定されるようにする。この際、ボールネジ20を回すことにより、集束性レンズアレイ15の出射面と感光面との平行度や距離を調整する。
【0042】
上述した製造方法によれば、複数種類のスペーサを用意することなく、発光基板14と集束性レンズアレイ15との距離と集束性レンズアレイ15に固有の物体距離に応じた最適な距離とのズレがより小さい発光装置10を製造することができる。また、集束性レンズアレイ15の位置決め用の段差を形成する必要がないから、フレーム16の製造に要求される精度は低い。したがって、フレーム16の製造方法の選択の自由度が高い。よって、より低コストで発光装置10を製造可能である。なお、フレーム16の材料としては、プラスチックに限らず、ある程度の剛性をもたらす任意の材料を採用可能である。
【0043】
<3.製造装置>
なお、発光装置10を製造する際に用いられる装置は、発光装置10の製造装置として把握可能である。この製造装置は、集束性レンズアレイ15が載置される定盤23、集束性レンズアレイ15をチャックするチャック26、チャック26を移動させるボールネジ29、集束性レンズアレイ15が載置されるフレームステージ30、フレーム16越しに中央の認識孔17を通じて貫通孔内を撮像し、これにより得られた画像データを出力するカメラ32、および、当該画像データに基づいて、下端の高さを特定可能な画像を表示させるための制御信号を生成してモニタ35に供給する画像処理部34を有する。
【0044】
この製造装置によれば、上述の製造方法により発光装置10を製造することができる。また、集束性レンズアレイ15はチャック26により定盤23に押し付けられつつチャックされるから、その入射面の平坦度を十分に高くすることができる。また、チャック26は集束性レンズアレイ15を計3箇所でチャックするから、集束性レンズアレイ15の平坦度が維持され易い。また、下端の高さと前述の最適高さとのズレを特定可能な画像がモニタ35に表示されるから、複数種類のスペーサを用意することなく、光像形成面と集束性レンズアレイ15の入射面との距離の精度が十分に高い発光装置を製造することができる。また、カメラ32はフレームステージ30に固定されているから、画像処理部34における上記の画像データの生成が容易である。
【0045】
<4.変形例>
なお、本実施形態を変形し、フレーム16の表面側の貫通孔の端部周縁に面取り加工または曲面加工を施してもよい。一例として、フレーム16の表面側の貫通孔の端部周縁に面取り加工を施して得られる発光装置の一部を図11に示す。この端部周縁には、面取り加工により切欠39が形成されている。このような加工を施すことにより、フレーム16の表面側の貫通孔の端部が漏斗状に広がり、集束性レンズアレイ15を貫通孔に挿入する作業が容易となる。
【0046】
また、本実施形態を変形し、認識孔17に代えて溝を設けてもよい。このような発光装置の一例を図12に示す。この発光装置が発光装置10と異なる点は、フレーム16に代えてフレーム40を有する点である。フレーム40がフレーム16と異なる点は、認識孔17に相当する位置に、フレーム40の表面に開口した溝41が形成されている点のみである。この発光装置においても、フレーム40の貫通孔に挿入された集束性レンズアレイ15の入射面が溝41から覗くから、発光装置10と同様の効果が得られる。このことから明らかなように、フレーム越しに集束性レンズアレイ15の入射面が覗けばよく、孔であっても、溝であっても、他の切欠であってもよい。
【0047】
<第2実施形態>
上述した実施形態では、チャックの移動や集束性レンズアレイのフレームへの固定を手動で行っているが、これらの作業を自動化してもよい。自動化の一例が本実施形態である。本実施形態に係る製造装置は、発光装置10を製造するものであり、その機械的構成は図3〜図6と同様である。
【0048】
図13は、本実施形態に係る製造装置の構成を示すブロック図である。この図に示すように、この製造装置は、1つのモータ28、チャックヘッド25、カメラ32、接着剤36をフレーム16の表面と貫通孔から突出している集束性レンズアレイ15の側面との間に供給する接着剤供給器42、使用する集束性レンズアレイ15に固有の物体距離(d2)から、使用する発光基板14の光像形成面と基準面との予測距離を減じた距離を、最適高さとして更新可能に記憶する最適高さ記憶部43、およびCPU44を有する。
【0049】
CPU44は、画像処理部45、高さ演算部46、高さ判定部47、開始指令部48、駆動制御部49および接着指令部50として機能するものであり、総体として、カメラ32から出力された画像データおよび最適高さ記憶部43に記憶されている最適高さに基づいてモータ28の駆動および接着剤供給器42の挙動を制御する。
【0050】
図14は、CPU44が行う処理の流れを示すフローチャートである。この図に示すように、まず、開始指令部48として、チャックヘッド25の移動先の位置を指す位置指令およびチャックヘッド25を移動させるためにモータ28の駆動を開始することを命ずる駆動指令を出し、駆動制御部49として、これらの指令に従ってモータ28の駆動を制御する(ステップS1およびS2)。これにより、モータ28が駆動され、ボールネジ29が回転し、チャックヘッド25が移動する。
【0051】
開始指令部48が出す位置指令が指す位置は、集束性レンズアレイ15の入射面が認識孔17にさしかかる位置である。したがって、初期位置にあるチャックヘッド25は下降し、最終的には、チャック26にチャックされている集束性レンズアレイ15の入射面が認識孔17にさしかかる位置で停止する。このとき、集束性レンズアレイ15の入射面の縁が認識孔17から覗く。したがって、カメラ32から出力される画像データは、この縁をフレーム16越しに認識孔17を通じて捉えた画像を表すものとなる。
【0052】
次に、画像処理部45として、カメラ32からの画像データを処理して下端の高さを特定可能なデータを生成する一方、高さ演算部46として、このデータを用いて下端の高さを演算により求める(ステップS3)。次に、高さ判定部47として、求められた下端の高さが最適高さ記憶部43に記憶されている最適高さとを比較し、両者が等しいか否かを判定する(ステップS4)。この判定は、例えば、求められた下端の高さと最適高さとのズレを演算により求めることにより行われる。
【0053】
両者が等しくない場合、CPU44は、高さ判定部47として、両者が等しくなるように位置指令および駆動指令を出力する(ステップS1およびS2)。この結果、両者が等しくなるように、モータ28が駆動され、ボールネジ29が回転し、チャックヘッド25が移動する。以降、ステップS3、S4、S1そしてS2の処理が繰り返し実行される。
【0054】
両者が等しい場合、CPU44は、高さ判定部47として、接着剤供給器42に接着剤36の供給を行わせるための接着指令データを出力し、接着指令部50として、この接着指令データを受けて、接着剤36の供給を行わせるための接着指令を接着剤供給器42に供給する(ステップS5)。
【0055】
接着剤供給器42は、接着剤36を収容しており、接着指令を受けると、フレーム16の表面と貫通孔から突出している集束性レンズアレイ15の側面との間に接着剤36を供給する。次にCPU44は、接着剤36の硬化に要する一定時間が経過するのを待つ(ステップS6)。次にCPU44は、高さ判定部47として、チャックヘッド25が上昇して初期位置に復帰するように位置指令および駆動指令を出力し、駆動制御部49として、これらの指令に従ってモータ28の駆動を制御する(ステップS7)。これにより、モータ28が駆動され、ボールネジ29が回転し、チャックヘッド25が上昇し、初期位置に復帰する。この際、接着剤36は既に硬化しているから、集束性レンズアレイ15はフレーム16側に残る。
【0056】
<第3実施形態>
上述した各実施形態では、上面がフレームステージ30と平行な定盤23を用いて集束性レンズアレイ15の入射面とフレーム16の裏面との平行度を確保しているが、定盤23を用いずとも、この平行度を確保することが可能である。この一例が本実施形態である。本実施形態に係る製造装置は、発光装置10以外の発光装置の製造にも適用可能であるが、ここでは説明が繁雑になるのを避けるために、発光装置10の製造に適用するものとする。
【0057】
図15は、本実施形態に係る製造装置の構成を示すブロック図である。この図に示すように、この製造装置は3つのモータ28を有する。各モータ28は発光装置10の製造設備に固定されており、その回転軸はボールネジ29になっている。また、チャックヘッド25は存在せず、ボールネジ29はそれぞれチャック26に螺合している。チャック26は、それぞれ、対応するモータ28によりボールネジ29が駆動されると、図示しないガイドに沿って独立に昇降する。
【0058】
この製造装置を用いた製造工程では、定盤23を用いないから、集束性レンズアレイ15をフレーム16の貫通孔に挿入してから集束性レンズアレイ15をフレーム16に固定するまでの間に、集束性レンズアレイ15の入射面とフレーム16の裏面との平行度を確保することになる。具体的には、予備も含めて各認識孔17を通じて求められる下端の高さが最適高さとなるように各モータ28の駆動を制御する。これにより、下端の高さが最適高さとなり、上記の平行度が確保される。
【0059】
<第4実施形態>
上述した各実施形態では、下端の高さを視覚的に検出しているが、視覚的な検出以外の検出方法を採ることも可能である。この一例が本実施形態である。
図16は、本実施形態に係る製造装置の構成を示す図である。この図に示すように、本実施形態に係る製造装置は、接触測定部51、画像処理部52およびモニタ35を1つずつ有する。接触測定部51は接触子53を有し、接触子53から伝わる力に基づいて接触子53先端の変位量を測定し、測定結果を示すデータを出力する。接触子53はフレーム16越しに認識孔17を通って差し込まれており、その先端はフレーム16の貫通孔に達している。画像処理部52は、接触測定部51からの測定結果データに基づいて、下端の高さと前述の最適高さとのズレを特定可能な画像をモニタ35に表示させるための制御信号を生成し、モニタ35に供給する。
【0060】
この製造装置を用いた製造工程では、接触測定部51により下端の高さを特定可能な測定結果データがフレーム16越しに認識孔17を通じて取得され、この測定結果データに基づいて、画像処理部52により、下端の高さと前述の最適高さとのズレを特定可能な画像を表示させるための制御信号が生成されてモニタ35に供給されるから、製造者は、モニタ35に表示された画像を見ながら発光装置10を製造することにより、複数種類のスペーサを用意することなく、光像形成面と集束性レンズアレイ15の入射面との距離の精度を十分に高い精度(例えば数μm)とすることができる。
【0061】
<画像印刷装置>
発光装置10を用いた画像印刷装置について説明する。この種の画像印刷装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部分がある。なお、以下の説明において、発光装置10および感光体ドラム11が複数存在する場合には、これらを個々に識別するために、前述とは異なる符号を用いる。
【0062】
図17は、発光装置10をライン型の露光ヘッドとして用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像印刷装置である。
【0063】
この画像印刷装置では、同様な構成の4個の露光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。露光ヘッド10K,10C,10M,10Yは上述した電気光学装置10およびその変形例による電気光学装置のいずれかである。
【0064】
この図に示すように、この画像印刷装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122が設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0065】
この中間転写ベルト120の周囲には、互いに所定間隔をおいて4個の外周面に感光層を有する感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0066】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、露光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数のEL素子14の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のEL素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0067】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされて、この結果フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0068】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0069】
次に、本発明に係る画像印刷装置の他の実施の形態について説明する。
図18は、電気光学装置10のいずれかをライン型の露光ヘッドとして用いた他の画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像印刷装置である。
【0070】
この図に示す画像印刷装置において、感光体ドラム(像担持体)165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、露光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けられている。
【0071】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。露光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。露光ヘッド167は、上述した電気光学装置10およびその変形例による電気光学装置のいずれかであり、複数のEL素子14の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のEL素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。
【0072】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0073】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0074】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム9が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
【0075】
画像印刷装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0076】
上記のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再度定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0077】
図17および図18の画像印刷装置は、露光ヘッドとして、発光基板14と集束性レンズアレイ15との距離と集束性レンズアレイ15に固有の物体距離(d2)に応じた最適高さとのズレがより小さい発光装置10を用いるから、露光ヘッドを適切に配置することにより、感光体ドラムにおける結像の精度をより高くすることが可能である。つまり、印刷品質を向上させることが可能である。加えて、発光素子として有機EL素子を備えた発光装置10を用いるから、他の素子を備えたものを用いる場合に比較して、感光体ドラムにおける結像が鮮明となる。よって、印刷品質をより向上させることが可能である。
【0078】
以上、画像印刷装置を例示したが、発光装置10は、他の電子写真方式の画像印刷装置にも応用可能である。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像印刷装置や、モノクロの画像を形成する画像印刷装置、像担持体として感光体ベルトを用いる画像印刷装置にも応用可能である。
【0079】
<変形例>
また、発光装置10を変形して得られる発光装置を用いて画像印刷装置を構成してもよいし、そのような発光装置を上述した各実施形態に係る製造方法や製造装置によって製造するようにしてもよい。そのような発光装置としては、前述したものの他に、以下に述べるものがある。
【0080】
例えば、発光素子が配列された発光基板に代えて、液晶素子等のライトバルブ素子が配列された基板を用いるようにしてもよい。つまり、発光基板に代えて、電気的な作用に応じて発光特性または光学特性が変化する電気光学素子が配列された任意の電気光学基板を用いるようにしてもよい。ただし、発光装置は光を発するものであるから、ライトバルブ素子が配列された基板を用いて発光装置を構成する場合には、この基板の他に、光源が必須となる。
【0081】
また例えば、フレームに認識孔や溝などの切欠を4つ以上形成してもよい。また例えば、集束性レンズアレイの撓みを調整する必要がないのであれば、形成する切欠の数を2つとしてもよい。また例えば、集束性レンズアレイの傾きおよび撓みを調整する必要がないのであれば、形成する切欠の数を1つとしてもよい。
【0082】
また、移動中の集束性レンズアレイを保持する手段はチャックに限らない。例えば、集束性レンズアレイを吸引して気圧差により保持する手段を用いてもよいし、集束性レンズアレイに強磁性体を着脱自在に取り付けておき、集束性レンズアレイを磁力により保持する手段を用いてもよい。
【0083】
また、集束性レンズアレイを移動する機構はボールネジを用いる機構に限らない。例えば、ギアやカム等の他の公知の機構を用いてもよい。もちろん、これらの機構を駆動する手段はモータに限らない。例えば、人力で駆動するようにしてもよい。
【0084】
また例えば、集束性レンズアレイの位置合わせ時に、集束性レンズアレイや集束性レンズアレイを保持しているチャックではなく、フレームまたはフレームを保持している手段を移動するようにしてもよい。要は、集束性レンズアレイとフレームとの相対的な配置を変更可能であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置10の正面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】発光装置10を製造する最初の工程を示す正面図である。
【図4】発光装置10を製造する最初の工程を示す断面図である。
【図5】図3および図4の次の工程を示す正面図である。
【図6】図3および図4の次の工程を示す断面図である。
【図7】図5および図6の次の工程を示す断面図である。
【図8】図7の次の工程を示す正面図である。
【図9】図7の次の工程を示す断面図である。
【図10】列の幅方向における位置合わせを説明するための図である。
【図11】変形例に係る発光装置の一部の断面図である。
【図12】他の変形例に係る発光装置の正面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る製造装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る製造装置のCPU44が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明の第3実施形態に係る製造装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係る製造装置の構成を示す図である。
【図17】発光装置10を用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。
【図18】発光装置10を用いた画像印刷装置の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0086】
10…発光装置、11…感光体ドラム(像担持体)、14…発光基板(電気光学基板)、15…集束性レンズアレイ、16,40…フレーム、17…認識孔(切欠)、23…定盤、25…チャックヘッド、26…チャック、28…モータ、29…ボールネジ(移動機構)、30…フレームステージ、32…カメラ(取得手段)、34,52…画像処理部、35…モニタ、36…接着剤、41…溝(切欠)、44…CPU(演算部、制御部)、51…接触測定部(取得手段)、b…基準面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、その製造装置および製造方法、ならびに画像印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラム等の像担持体を帯電し、その感光面に潜像を形成し、この潜像にトナーを付着させて顕像を形成して他の物体に転写する画像印刷装置がある。この種の画像印刷装置は、感光面に光を照射して潜像を形成する発光装置を有する。この発光装置として、複数の発光素子が配列されて光像を形成する発光基板を備えたものがあり、その中には、発光基板からの光を透過させて感光面に結像させるための集束性レンズアレイを備えたものがある。
【0003】
この集束性レンズアレイは、発光基板内の光像を形成した光を一端から入射して当該光像の正立像を形成する光を他端から出射する。この集束性レンズアレイを備えた発光装置は、発光基板と集束性レンズアレイとの距離が物体距離に応じた最適な距離に等しく、かつ集束性レンズアレイと感光面との距離が像面距離に応じた最適な距離に等しい場合に、発光基板内の光像と等倍の正立像を感光面に結像することができる。その一方、発光基板と集束性レンズアレイとの距離が物体距離に応じた最適な距離に等しくなければ、感光面における結像の精度、ひいては画像印刷装置の印刷品質に悪影響が及ぶ。したがって、発光基板と集束性レンズアレイとの距離を調整するための技術が提案されている。
【0004】
この種の技術としては、フレームに形成された孔の壁に段差または突出部を設けておき、この孔に集束性レンズアレイを挿入してその一端を段差または突出部に当接させることによって集束性レンズアレイの位置決めを行う一方、フレームと発光基板との間にスペーサを挟んで発光基板をフレームに接着することによって発光基板の位置決めを行う技術が挙げられる(特許文献1〜2)。
【特許文献1】特許第2625702号公報(図1)
【特許文献2】特許第3296623号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、物体距離とは、光像が形成される光像形成面と集束性レンズアレイの一端との理想的な距離であり、集束性レンズアレイの一端と他端との距離、すなわち集束性レンズアレイの厚さによって決まる。集束性レンズアレイの厚さには製造バラツキ(例えば、±0.1mm)があるため、物体距離にもバラツキがある。つまり、物体距離は集束性レンズアレイに固有であり、物体距離に応じた最適な距離も集束性レンズアレイに固有である。
【0006】
したがって、フレームと発光基板との間にスペーサを挟んで距離を調整する上述の技術を採ると、発光装置の製造において複数種類のスペーサを用意しておかねばならない。また、この技術を採ると、フレームの製造において、集束性レンズアレイの位置決め用の段差の形成に高い精度が要求される。したがって、フレームの製造方法が限定され、アルミニウムの型成型や型成型後の研削による追加工といった高コストの製造方法を採らざるを得ない。しかも、このような製造方法を採っても、発光基板と集束性レンズアレイとの距離と当該集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離とのズレは数十μmに達してしまう。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数種類のスペーサを用意することなく製造可能であり、フレームの製造方法の選択の自由度が高く、かつ電気光学基板と集束性レンズアレイとの距離と当該集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離とのズレをより小さくすることができる発光装置、その製造装置および製造方法、ならびに画像印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写する画像印刷装置に用いられ、前記帯電された面に光を照射して前記潜像を形成する発光装置において、光像を形成する電気光学基板と、貫通孔が形成され、前記光像を形成した光が前記貫通孔内を進行するように前記電気光学基板を固定するフレームと、一端が前記貫通孔内に位置するように前記フレームに固定され、前記光像を形成した光を前記一端から入射して前記光像の正立像を形成する光を他端から出射する集束性レンズアレイとを備え、前記フレームには、前記一端が前記フレーム越しに視認可能となる切欠が形成されている、ことを特徴とする発光装置を提供する。
【0009】
この発光装置によれば、その製造工程において、集束性レンズアレイの一端がフレーム越しに当該フレームの切欠を通じて視認可能となる。つまり、切欠を通じて、電気光学基板と集束性レンズアレイとの距離を示す情報を取得することができる。よって、電気光学基板と集束性レンズアレイとの距離が集束性レンズアレイに固有の物体距離と等しくなるように、集束性レンズアレイおよびフレームの少なくとも一方を移動させることができる。以上より、この発光装置によれば、複数種類のスペーサを用意することなく製造可能であり、電気光学基板と集束性レンズアレイとの距離と当該集束性レンズアレイに固有の物体距離とのズレをより小さくすることができる。また、集束性レンズアレイの位置決め用の段差が存在しないから、フレームの製造に要求される精度は低い。したがって、フレームの製造方法の選択の自由度が高くなる。
【0010】
また、上記の発光装置において、複数の屈折率分布型レンズを1列または2列かつ千鳥状に配列して集束性レンズアレイを構成し、フレームに形成される切欠を複数とし、これらの切欠が複数の屈折率分布型レンズの配列方向に並ぶようにすれば、集束性レンズアレイの下端の傾きを求め、この傾きが適切な傾きとなるように集束性レンズアレイおよびフレームの少なくとも一方を移動させることができる。さらに、フレームに形成される切欠を3以上とし、これらの切欠のうちの1つが、上記の配列方向において集束性レンズアレイの中央部付近に配置され、これを挟むように残りの切欠のうちの2つが配置されるようにすれば、集束性レンズアレイの下端の撓みを求め、この撓みがなくなるように集束性レンズアレイを変形させることができる。
【0011】
また、本発明は、上記の発光装置を備え、前記他端から出射した光を前記帯電された面に照射する画像印刷装置を提供する。この画像印刷装置によれば、上記の発光装置が露光ヘッドとして用いられるから、画像印刷装置内でのその配置が適切であれば、感光体ドラムにおける結像の精度をより高くすることが可能である。つまり、印刷品質を向上させることが可能である。
【0012】
また、本発明は、上記の発光装置の製造装置であって、駆動されると、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動させる移動手段と、前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を前記フレーム越しに前記切欠を通じて取得する取得手段と、前記取得された情報に基づいて、前記電気光学基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な画像を表示装置に表示させるための制御信号を生成する画像処理部と、を備えることを特徴とする発光装置の製造装置を提供する。この製造装置によれば、複数種類のスペーサを用意することなく、上記の発光装置を製造することができる。
【0013】
また、本発明は、上記の発光装置の製造装置であって、駆動されると、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動させる移動手段と、前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を前記フレーム越しに前記切欠を通じて取得する取得手段と、前記取得された情報に基づいて、前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を演算により求める演算部と、前記演算により求められた距離が前記集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離であるか否かを判定し、前記最適な距離でなければ前記演算部により求められる距離が前記最適な距離に等しくなるように前記移動手段を駆動する制御部と、を備えることを特徴とする発光装置の製造装置を提供する。この製造装置によれば、複数種類のスペーサを用意することなく、上記の発光装置を製造することができる。また、この製造の際には、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方の移動を自動的に行うことができる。
【0014】
また、上記の各製造装置において、前記取得手段は、前記フレーム越しに前記切欠を通じて前記貫通孔内を撮像して画像データを生成するカメラを有していてもよいし、前記フレーム越しに前記切欠を通じて前記貫通孔内に差し込まれた接触子を用いて前記一端の前記電気光学基板に対する相対位置を特定可能なデータを生成する接触測定部を有していてもよい。
【0015】
また、上記の各製造装置において、前記集束性レンズアレイは、複数の屈折率分布型レンズを細長く配列して構成されており、前記切欠は複数あり、前記複数の切欠は前記複数の屈折率分布型レンズの配列方向に並んでおり、前記移動手段は前記集束性レンズアレイの複数の箇所に接触して前記集束性レンズアレイを吊り下げ、前記集束性レンズアレイを箇所毎に独立して昇降可能である、ようにしてもよい。この製造装置によれば、電気光学基板に対する集束性レンズアレイの傾きを無くすように集束性レンズアレイおよびフレームの少なくとも一方を移動することができる。さらに、この製造装置において、切欠の数および接触箇所の数をそれぞれ3以上としてもよい。この製造装置によれば、集束性レンズアレイの下端の撓みを無くすように集束性レンズアレイおよびフレームの少なくとも一方を移動することができる。
【0016】
また、本発明は、像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写する画像印刷装置に用いられ、前記帯電された面に光を照射して前記潜像を形成する発光装置の製造方法において、貫通孔が形成され、電気光学基板内で光像を形成した光が前記貫通孔内を進行するように前記電気光学基板を固定するフレームに、前記光像を形成した光を一端から入射して他端から前記光像の正立像を形成する光を出射する集束性レンズアレイを固定するときに、前記一端が前記貫通孔内に位置するように前記集光性レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動し、次に、前記フレームに形成された切欠を通じて前記電気光学基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を取得し、次に、取得した情報により特定される距離が前記集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離と等しいか否かを判定し、等しければ前記集光性レンズアレイを前記フレームに固定する、ことを特徴とする発光装置の製造方法を提供する。この製造方法によれば、複数種類のスペーサを用意することなく、上記の発光装置を製造することができる。
【0017】
また、上記の製造方法において、前記集光性レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動する前に、前記集束性レンズアレイを前記一端または前記他端を下に向けて定盤上に載置する、ようにしてもよい。この製造方法によれば、集束性レンズアレイの一端は、平坦とされてからフレームの貫通孔内に位置することになる。したがって、一端の平坦度を貫通孔内で調整する必要がない。よって、使用する製造装置の構成を簡素とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0019】
<第1実施形態>
<1.発光装置>
図1は本発明の第1実施形態に係る発光装置10の正面図であり、図2は図1のII−II断面図である。発光装置10は、感光体ドラム11を帯電し、回転している感光体ドラム11の帯電された面に潜像を形成し、この潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、この顕像を紙などの他の物体に転写する画像印刷装置に用いられるものであり、帯電された面に光像を形成することによって潜像を形成する。なお、感光体ドラム11は、画像印刷装置の筐体に固定された軸受13により支持されている軸12を中心として回転する。
【0020】
発光装置10は、内部の細長い光像形成面に光像を形成し、その光を出光面から出射する発光基板14と、発光基板14からの光を細長い入射面(一端)から入射して細長い出射面(他端)から出射することによって当該光像を感光体ドラム11の表面に結像させるための集束性レンズアレイ15と、発光基板14および集束性レンズアレイ15を固定するための細長いフレーム16を備える。光像形成面は、感光体ドラム11の感光面に結像しようとする光像が形成される面である。
【0021】
フレーム16は、プラスチックにより形成された内周が長方形状の枠であり、感光体ドラム11に対向する平坦な表面から裏側の平坦な裏面まで貫通した貫通孔を有する。この貫通孔には集束性レンズアレイ15の入射面側の部分が挿入されている。またフレーム16には、一方の長辺に相当する部分に3つの認識孔17が長辺方向に並んで形成されている。長辺方向において、これらの認識孔17は重なっておらず、当該部分の中央部付近には1つの認識孔17が配置されており、当該認識孔17を挟んで残りの認識孔17が配置されている。また、認識孔17は、各々の形成部分において短辺方向に貫通して形成されている。なお、本実施形態では、3つの認識孔17のうち、主に使用されるのは中央の1つだけであり、残りの2つは予備である。
【0022】
認識孔17の形成位置および形態は、集束性レンズアレイ15の下端の高さ、すなわち発光装置10内の基準面から集束性レンズアレイ15の入射面までの距離が後述の物体距離(d2)に応じた最適な高さ(以降、「最適高さ」という)に等しい場合に、後述の封18により視界が遮られなければ、集束性レンズアレイ15の下端がフレーム16越しに当該認識孔17を通じて覗く位置および形態となっている。基準面は発光基板14側の基準となる面であり、本実施形態ではフレーム16の裏面が基準面となっている。また、集束性レンズアレイ15の下端とは、集束性レンズアレイ15の入射面の縁である。なお、認識孔17の内部にはフレーム16内への異物の侵入を防止する封18が設けられている。封18は例えば樹脂から形成されている。
【0023】
発光基板14は、フレーム16の裏面側に配置されてフレーム16に固定されている。この固定は、接着剤36を用いて為されている。接着剤36は、例えば熱硬化型接着剤または紫外線硬化型接着剤である。また発光基板14は、その出光面がフレーム16の裏面に接して貫通孔を塞ぐように配置されている。したがって、基準面は発光基板14の出光面でもある。
【0024】
発光基板14の出光面の反対側には、与えられた電気エネルギにより発光特性が変化する複数の発光素子、より具体的には複数の有機EL(Electro luminescent)素子が軸12の延在方向に画素として配列されている。発光基板14には、発光基板14と協働して複数のEL素子を封止する封止基板19が取り付けられている。また発光装置10は、複数の有機EL素子から発光基板14を透過して進行してきた光を照射するボトムエミッションタイプであり、発光基板14は、光透過性のガラスまたはプラスチックにより形成されている。
【0025】
有機EL素子は、発光基板14上に形成された陽極と、その上に成膜された発光層と、その上に形成された陰極を有し、与えられた電気エネルギに応じた強度で発光層を発光させる。これにより、全ての発光層を通る光像形成面に光像が形成される。陽極は例えばITO(Indium Tin Oxide)製であり、発光光は陽極および発光基板14内を導かれて出光面から出射する。
【0026】
集束性レンズアレイ15は、フレーム16の表面側に配置されてフレーム16に固定されている。この固定は、接着剤36を用いて為されている。集束性レンズアレイ15の入射面は、フレーム16の貫通孔内で発光基板14の出光面に正対している。また集束性レンズアレイ15は、複数の屈折率分布型レンズを細長く配列して構成されている。例えば、複数の屈折率分布型レンズは2列かつ千鳥状に配列されている。各屈折率分布型レンズは、光軸すなわち中心軸での屈折率が低く、中心軸から離れるほど屈折率が高くなるように形成されたグレーデッドインデックス光ファイバである。このような光ファイバの長さが、屈折率分布型レンズの厚さであり、集束性レンズアレイの厚さ(x)でもある。
【0027】
このような集束性レンズアレイの光学寸法として、共役長(TC)、像面距離(d1)および物体距離(d2)がある。すなわち、集束性レンズアレイ15は、光像形成面と感光面との距離が共役長(TC)に等しく、かつ、集束性レンズアレイの出射面と感光面との距離が像面距離(d1)に等しく、かつ、光像形成面と集束性レンズアレイの入射面との距離が物体距離(d2)に等しい場合には、光像形成面に形成された光像と等倍の正立像を感光面に結像可能に構成されている。
【0028】
これらの光学寸法の関係を集束性レンズアレイの厚さ(x)を用いて表すと、以下の通りである。
TC=d1+x+d2
d1=d2
つまり、集束性レンズアレイの厚さ(x)が決まれば、その像面距離(d1)、物体距離(d2)および共役長(TC)が決まる。なお、集束性レンズアレイ15の具体例には、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある。セルフォック\SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標である。
【0029】
発光装置10には、集束性レンズアレイ15の出射面と感光面との距離を集束性レンズアレイ15に固有の像面距離(d1)に近づけるための調整機構が設けられている。具体的には、フレーム16の両短辺側に、ボールネジ20が挿入された鞘21が固定されている。鞘21とネジ20は螺合している。ボールネジ20の先端は軸受13に固定されたストッパ22に突き当たっている。フレーム16は、図示しないバネにより感光体ドラム11側へ付勢されている。この付勢は、ボールネジ20の先端がストッパ22から外れないように行われている。つまり、フレーム16はボールネジ20を支柱にしてストッパ22から立ち上がっている。
【0030】
<2.製造方法>
次に発光装置10を製造する手順を説明する。
まず、図3および図4に示すように、上面が平坦な定盤23上に集束性レンズアレイ15を載置し、集束性レンズアレイ15を3つのチャック(保持手段)26にチャックさせる。なお、定盤23上で下になっている集束性レンズアレイ15の面は後に入射面となる。
【0031】
チャック26は、集束性レンズアレイ15に接して集束性レンズアレイ15をチャックするものであり、定盤23に沿って延在するチャックヘッド25に固定され、集束性レンズアレイ15を挟む一対の爪27を備える。チャックヘッド25に固定されているチャック26の数は3であり、これら3つのチャック26は、チャックヘッド25の延在方向に並んで設けられている。一対の爪27の内側面には、集束性レンズアレイ15の進入を阻む段差が形成されている。3つのチャック26における段差は、定盤23の上面と略平行な面上に揃うように形成されている。
【0032】
またチャックヘッド25には、発光装置10の製造設備に固定されたモータ28の回転軸であるボールネジ29が螺合している。モータ28はボールネジ29を駆動するものであり、ボールネジ29は、モータ28により駆動されて回転することによってチャックヘッド25を移動させるものである。チャックヘッド25は、モータ28によりボールネジ29が駆動されると、図示しないガイドに沿って移動する。このガイドはチャックヘッド25の移動方向をチャック機構24にチャックされている集束性レンズアレイ15の屈折率分布型レンズの光軸方向に限定する。つまり、チャックヘッド25の移動は昇降に限定される。
【0033】
集束性レンズアレイ15のチャック時には、まずチャックヘッド25を集束性レンズアレイ15上に配置する。次にチャックヘッド25を下降させ、集束性レンズアレイ15を三対の爪27に挟ませることにより、複数のチャック26にチャックさせる。このとき、集束性レンズアレイ15は爪27の段差によって定盤23に押し付けられる。したがって、集束性レンズアレイ15の入射面は平坦となる。
【0034】
次に、図5および図6に示すように、集束性レンズアレイ15をフレーム16の貫通孔に挿入する。具体的には、まず、チャックヘッド25を上昇させる。このとき、集束性レンズアレイ15はチャックヘッド25とともに上昇する。次に、フレーム16を上面が平坦なフレームステージ30上に載置し、フレームステージ30に一時的に固定する。このとき、基準面はフレームステージ30の上面でもある。フレームステージ30への固定の強度は、チャック26が集束性レンズアレイ15をチャックする強さを上回る。次に、チャックヘッド25を初期位置に配置する。初期位置とは、チャックヘッド25を下降させればチャック26にチャックされている集束性レンズアレイ15がフレーム16の貫通孔に挿入される位置である。次に、チャックヘッド25を下降させる。
【0035】
ところで、図6に示すように、フレームステージ30にはブラケット31によりカメラ32が固定されている。カメラ32は、CCD(Charge Coupled Devices)33を有し、フレーム16越しに中央の認識孔17を通じて貫通孔内を撮像し、これにより得られた画像データを出力する。貫通孔内に集束性レンズアレイ15が挿入され、その入射面が中央の認識孔17にさしかかると、カメラ32から出力される画像データは、集束性レンズアレイ15の下端24が認識孔17を通じてフレーム16越しに捉えられた画像を表すものとなる。
【0036】
また、カメラ32には画像処理部34を介してモニタ35が接続されている。画像処理部34は、カメラ32から出力された画像データに基づいて、下端の高さを特定可能な画像をモニタ35に表示させるための制御信号を生成し、モニタ35に供給する。より具体的には、カメラ32からの画像データを用いて、当該画像データで表される画像に基準面bからの高さを示す目盛りを合成し、合成画像を表示させるための制御信号をモニタ35に供給する。
【0037】
チャックヘッド25を下降させていくと、やがて、集束性レンズアレイ15の入射面の縁が認識孔17から覗く。認識孔17から覗いている縁は、目盛りとともに、画像として、モニタ35に表示される。製造者は、使用する集束性レンズアレイ15に固有の物体距離(d2)と使用する発光基板14の厚さを予め知っており、モニタ35の画像を視認して下端の高さを特定し、最適高さと比較し、両者が等しくなるようにチャックヘッド25を昇降させる、という作業を、両者が等しくなるまで繰り返す。そして、両者が等しくなったら、チャックヘッド25を停止させる。ここで、最適高さとは、集束性レンズアレイ15に固有の物体距離(d2)から、基準面から光像形成面までの距離を減じた距離である。
【0038】
次に、図7に示すように、集束性レンズアレイ15をフレーム16に接着して固定し、チャックヘッド25を上昇させる。具体的には、フレーム16の表面と貫通孔から突出している集束性レンズアレイ15の側面との間に接着剤36を盛り、硬化させ、その後に、チャックヘッド25を上昇させる。これにより、チャック26によるチャックが外れ、集束性レンズアレイ15はフレーム16側に残る。
【0039】
次に、図8および図9に示すように、発光基板14をフレーム16に接着して固定する。具体的には、フレーム16の裏面と発光基板14の側面との間に接着剤36を盛って硬化させることにより行われる。この接着時には、発光基板14の出光面がフレーム16の裏面に接して貫通孔を塞ぐように、発光基板14とフレーム16との位置合わせを行う。発光基板14の出光面と画像形成面との距離は発光基板14ごとにバラつき得るが、このバラつきは極めて小さい。また、前述のように、下端の高さは最適高さと等しくなっている。よって、この位置合わせの結果、光像形成面と集束性レンズアレイの入射面との距離と物体距離とのズレは数μm以下となる。
【0040】
また、発光基板14の接着時には、発光基板14と集束性レンズアレイ15との配置が列の幅方向において適切な配置となるように、発光基板14とフレーム16との位置合わせを行う。この位置合わせは、図10に示すように、屈折率分布型レンズ37の列幅方向の中心と画素の配列された範囲38の列幅方向の中心とを手動または自動で重ねることにより実現可能である。範囲38は例えば細長い矩形であって集束性レンズアレイ15を通して肉眼で視認可能である。なお、発光基板14の接着に先立って、発光基板14には封止基板19を取り付けておく。
【0041】
こうして製造した発光装置10は、認識孔17が封18で塞がれた後、図1に示すように、画像印刷装置に取り付けられる。具体的には、フレーム16の両短辺側に固定された鞘21に、この鞘21に螺合するボールネジ20を挿入して貫通させておき、フレーム16を図示しないバネにより感光体ドラム11側へ付勢することによって、ボールネジ20の先端を感光体ドラム11の軸13を支持する軸受13に固定されたストッパ22に突き当て、フレーム16が画像印刷装置の筐体に固定されるようにする。この際、ボールネジ20を回すことにより、集束性レンズアレイ15の出射面と感光面との平行度や距離を調整する。
【0042】
上述した製造方法によれば、複数種類のスペーサを用意することなく、発光基板14と集束性レンズアレイ15との距離と集束性レンズアレイ15に固有の物体距離に応じた最適な距離とのズレがより小さい発光装置10を製造することができる。また、集束性レンズアレイ15の位置決め用の段差を形成する必要がないから、フレーム16の製造に要求される精度は低い。したがって、フレーム16の製造方法の選択の自由度が高い。よって、より低コストで発光装置10を製造可能である。なお、フレーム16の材料としては、プラスチックに限らず、ある程度の剛性をもたらす任意の材料を採用可能である。
【0043】
<3.製造装置>
なお、発光装置10を製造する際に用いられる装置は、発光装置10の製造装置として把握可能である。この製造装置は、集束性レンズアレイ15が載置される定盤23、集束性レンズアレイ15をチャックするチャック26、チャック26を移動させるボールネジ29、集束性レンズアレイ15が載置されるフレームステージ30、フレーム16越しに中央の認識孔17を通じて貫通孔内を撮像し、これにより得られた画像データを出力するカメラ32、および、当該画像データに基づいて、下端の高さを特定可能な画像を表示させるための制御信号を生成してモニタ35に供給する画像処理部34を有する。
【0044】
この製造装置によれば、上述の製造方法により発光装置10を製造することができる。また、集束性レンズアレイ15はチャック26により定盤23に押し付けられつつチャックされるから、その入射面の平坦度を十分に高くすることができる。また、チャック26は集束性レンズアレイ15を計3箇所でチャックするから、集束性レンズアレイ15の平坦度が維持され易い。また、下端の高さと前述の最適高さとのズレを特定可能な画像がモニタ35に表示されるから、複数種類のスペーサを用意することなく、光像形成面と集束性レンズアレイ15の入射面との距離の精度が十分に高い発光装置を製造することができる。また、カメラ32はフレームステージ30に固定されているから、画像処理部34における上記の画像データの生成が容易である。
【0045】
<4.変形例>
なお、本実施形態を変形し、フレーム16の表面側の貫通孔の端部周縁に面取り加工または曲面加工を施してもよい。一例として、フレーム16の表面側の貫通孔の端部周縁に面取り加工を施して得られる発光装置の一部を図11に示す。この端部周縁には、面取り加工により切欠39が形成されている。このような加工を施すことにより、フレーム16の表面側の貫通孔の端部が漏斗状に広がり、集束性レンズアレイ15を貫通孔に挿入する作業が容易となる。
【0046】
また、本実施形態を変形し、認識孔17に代えて溝を設けてもよい。このような発光装置の一例を図12に示す。この発光装置が発光装置10と異なる点は、フレーム16に代えてフレーム40を有する点である。フレーム40がフレーム16と異なる点は、認識孔17に相当する位置に、フレーム40の表面に開口した溝41が形成されている点のみである。この発光装置においても、フレーム40の貫通孔に挿入された集束性レンズアレイ15の入射面が溝41から覗くから、発光装置10と同様の効果が得られる。このことから明らかなように、フレーム越しに集束性レンズアレイ15の入射面が覗けばよく、孔であっても、溝であっても、他の切欠であってもよい。
【0047】
<第2実施形態>
上述した実施形態では、チャックの移動や集束性レンズアレイのフレームへの固定を手動で行っているが、これらの作業を自動化してもよい。自動化の一例が本実施形態である。本実施形態に係る製造装置は、発光装置10を製造するものであり、その機械的構成は図3〜図6と同様である。
【0048】
図13は、本実施形態に係る製造装置の構成を示すブロック図である。この図に示すように、この製造装置は、1つのモータ28、チャックヘッド25、カメラ32、接着剤36をフレーム16の表面と貫通孔から突出している集束性レンズアレイ15の側面との間に供給する接着剤供給器42、使用する集束性レンズアレイ15に固有の物体距離(d2)から、使用する発光基板14の光像形成面と基準面との予測距離を減じた距離を、最適高さとして更新可能に記憶する最適高さ記憶部43、およびCPU44を有する。
【0049】
CPU44は、画像処理部45、高さ演算部46、高さ判定部47、開始指令部48、駆動制御部49および接着指令部50として機能するものであり、総体として、カメラ32から出力された画像データおよび最適高さ記憶部43に記憶されている最適高さに基づいてモータ28の駆動および接着剤供給器42の挙動を制御する。
【0050】
図14は、CPU44が行う処理の流れを示すフローチャートである。この図に示すように、まず、開始指令部48として、チャックヘッド25の移動先の位置を指す位置指令およびチャックヘッド25を移動させるためにモータ28の駆動を開始することを命ずる駆動指令を出し、駆動制御部49として、これらの指令に従ってモータ28の駆動を制御する(ステップS1およびS2)。これにより、モータ28が駆動され、ボールネジ29が回転し、チャックヘッド25が移動する。
【0051】
開始指令部48が出す位置指令が指す位置は、集束性レンズアレイ15の入射面が認識孔17にさしかかる位置である。したがって、初期位置にあるチャックヘッド25は下降し、最終的には、チャック26にチャックされている集束性レンズアレイ15の入射面が認識孔17にさしかかる位置で停止する。このとき、集束性レンズアレイ15の入射面の縁が認識孔17から覗く。したがって、カメラ32から出力される画像データは、この縁をフレーム16越しに認識孔17を通じて捉えた画像を表すものとなる。
【0052】
次に、画像処理部45として、カメラ32からの画像データを処理して下端の高さを特定可能なデータを生成する一方、高さ演算部46として、このデータを用いて下端の高さを演算により求める(ステップS3)。次に、高さ判定部47として、求められた下端の高さが最適高さ記憶部43に記憶されている最適高さとを比較し、両者が等しいか否かを判定する(ステップS4)。この判定は、例えば、求められた下端の高さと最適高さとのズレを演算により求めることにより行われる。
【0053】
両者が等しくない場合、CPU44は、高さ判定部47として、両者が等しくなるように位置指令および駆動指令を出力する(ステップS1およびS2)。この結果、両者が等しくなるように、モータ28が駆動され、ボールネジ29が回転し、チャックヘッド25が移動する。以降、ステップS3、S4、S1そしてS2の処理が繰り返し実行される。
【0054】
両者が等しい場合、CPU44は、高さ判定部47として、接着剤供給器42に接着剤36の供給を行わせるための接着指令データを出力し、接着指令部50として、この接着指令データを受けて、接着剤36の供給を行わせるための接着指令を接着剤供給器42に供給する(ステップS5)。
【0055】
接着剤供給器42は、接着剤36を収容しており、接着指令を受けると、フレーム16の表面と貫通孔から突出している集束性レンズアレイ15の側面との間に接着剤36を供給する。次にCPU44は、接着剤36の硬化に要する一定時間が経過するのを待つ(ステップS6)。次にCPU44は、高さ判定部47として、チャックヘッド25が上昇して初期位置に復帰するように位置指令および駆動指令を出力し、駆動制御部49として、これらの指令に従ってモータ28の駆動を制御する(ステップS7)。これにより、モータ28が駆動され、ボールネジ29が回転し、チャックヘッド25が上昇し、初期位置に復帰する。この際、接着剤36は既に硬化しているから、集束性レンズアレイ15はフレーム16側に残る。
【0056】
<第3実施形態>
上述した各実施形態では、上面がフレームステージ30と平行な定盤23を用いて集束性レンズアレイ15の入射面とフレーム16の裏面との平行度を確保しているが、定盤23を用いずとも、この平行度を確保することが可能である。この一例が本実施形態である。本実施形態に係る製造装置は、発光装置10以外の発光装置の製造にも適用可能であるが、ここでは説明が繁雑になるのを避けるために、発光装置10の製造に適用するものとする。
【0057】
図15は、本実施形態に係る製造装置の構成を示すブロック図である。この図に示すように、この製造装置は3つのモータ28を有する。各モータ28は発光装置10の製造設備に固定されており、その回転軸はボールネジ29になっている。また、チャックヘッド25は存在せず、ボールネジ29はそれぞれチャック26に螺合している。チャック26は、それぞれ、対応するモータ28によりボールネジ29が駆動されると、図示しないガイドに沿って独立に昇降する。
【0058】
この製造装置を用いた製造工程では、定盤23を用いないから、集束性レンズアレイ15をフレーム16の貫通孔に挿入してから集束性レンズアレイ15をフレーム16に固定するまでの間に、集束性レンズアレイ15の入射面とフレーム16の裏面との平行度を確保することになる。具体的には、予備も含めて各認識孔17を通じて求められる下端の高さが最適高さとなるように各モータ28の駆動を制御する。これにより、下端の高さが最適高さとなり、上記の平行度が確保される。
【0059】
<第4実施形態>
上述した各実施形態では、下端の高さを視覚的に検出しているが、視覚的な検出以外の検出方法を採ることも可能である。この一例が本実施形態である。
図16は、本実施形態に係る製造装置の構成を示す図である。この図に示すように、本実施形態に係る製造装置は、接触測定部51、画像処理部52およびモニタ35を1つずつ有する。接触測定部51は接触子53を有し、接触子53から伝わる力に基づいて接触子53先端の変位量を測定し、測定結果を示すデータを出力する。接触子53はフレーム16越しに認識孔17を通って差し込まれており、その先端はフレーム16の貫通孔に達している。画像処理部52は、接触測定部51からの測定結果データに基づいて、下端の高さと前述の最適高さとのズレを特定可能な画像をモニタ35に表示させるための制御信号を生成し、モニタ35に供給する。
【0060】
この製造装置を用いた製造工程では、接触測定部51により下端の高さを特定可能な測定結果データがフレーム16越しに認識孔17を通じて取得され、この測定結果データに基づいて、画像処理部52により、下端の高さと前述の最適高さとのズレを特定可能な画像を表示させるための制御信号が生成されてモニタ35に供給されるから、製造者は、モニタ35に表示された画像を見ながら発光装置10を製造することにより、複数種類のスペーサを用意することなく、光像形成面と集束性レンズアレイ15の入射面との距離の精度を十分に高い精度(例えば数μm)とすることができる。
【0061】
<画像印刷装置>
発光装置10を用いた画像印刷装置について説明する。この種の画像印刷装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部分がある。なお、以下の説明において、発光装置10および感光体ドラム11が複数存在する場合には、これらを個々に識別するために、前述とは異なる符号を用いる。
【0062】
図17は、発光装置10をライン型の露光ヘッドとして用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像印刷装置である。
【0063】
この画像印刷装置では、同様な構成の4個の露光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。露光ヘッド10K,10C,10M,10Yは上述した電気光学装置10およびその変形例による電気光学装置のいずれかである。
【0064】
この図に示すように、この画像印刷装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122が設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0065】
この中間転写ベルト120の周囲には、互いに所定間隔をおいて4個の外周面に感光層を有する感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0066】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、露光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数のEL素子14の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のEL素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0067】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされて、この結果フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0068】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0069】
次に、本発明に係る画像印刷装置の他の実施の形態について説明する。
図18は、電気光学装置10のいずれかをライン型の露光ヘッドとして用いた他の画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像印刷装置である。
【0070】
この図に示す画像印刷装置において、感光体ドラム(像担持体)165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、露光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けられている。
【0071】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。露光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。露光ヘッド167は、上述した電気光学装置10およびその変形例による電気光学装置のいずれかであり、複数のEL素子14の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のEL素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。
【0072】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0073】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0074】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム9が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
【0075】
画像印刷装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0076】
上記のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再度定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0077】
図17および図18の画像印刷装置は、露光ヘッドとして、発光基板14と集束性レンズアレイ15との距離と集束性レンズアレイ15に固有の物体距離(d2)に応じた最適高さとのズレがより小さい発光装置10を用いるから、露光ヘッドを適切に配置することにより、感光体ドラムにおける結像の精度をより高くすることが可能である。つまり、印刷品質を向上させることが可能である。加えて、発光素子として有機EL素子を備えた発光装置10を用いるから、他の素子を備えたものを用いる場合に比較して、感光体ドラムにおける結像が鮮明となる。よって、印刷品質をより向上させることが可能である。
【0078】
以上、画像印刷装置を例示したが、発光装置10は、他の電子写真方式の画像印刷装置にも応用可能である。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像印刷装置や、モノクロの画像を形成する画像印刷装置、像担持体として感光体ベルトを用いる画像印刷装置にも応用可能である。
【0079】
<変形例>
また、発光装置10を変形して得られる発光装置を用いて画像印刷装置を構成してもよいし、そのような発光装置を上述した各実施形態に係る製造方法や製造装置によって製造するようにしてもよい。そのような発光装置としては、前述したものの他に、以下に述べるものがある。
【0080】
例えば、発光素子が配列された発光基板に代えて、液晶素子等のライトバルブ素子が配列された基板を用いるようにしてもよい。つまり、発光基板に代えて、電気的な作用に応じて発光特性または光学特性が変化する電気光学素子が配列された任意の電気光学基板を用いるようにしてもよい。ただし、発光装置は光を発するものであるから、ライトバルブ素子が配列された基板を用いて発光装置を構成する場合には、この基板の他に、光源が必須となる。
【0081】
また例えば、フレームに認識孔や溝などの切欠を4つ以上形成してもよい。また例えば、集束性レンズアレイの撓みを調整する必要がないのであれば、形成する切欠の数を2つとしてもよい。また例えば、集束性レンズアレイの傾きおよび撓みを調整する必要がないのであれば、形成する切欠の数を1つとしてもよい。
【0082】
また、移動中の集束性レンズアレイを保持する手段はチャックに限らない。例えば、集束性レンズアレイを吸引して気圧差により保持する手段を用いてもよいし、集束性レンズアレイに強磁性体を着脱自在に取り付けておき、集束性レンズアレイを磁力により保持する手段を用いてもよい。
【0083】
また、集束性レンズアレイを移動する機構はボールネジを用いる機構に限らない。例えば、ギアやカム等の他の公知の機構を用いてもよい。もちろん、これらの機構を駆動する手段はモータに限らない。例えば、人力で駆動するようにしてもよい。
【0084】
また例えば、集束性レンズアレイの位置合わせ時に、集束性レンズアレイや集束性レンズアレイを保持しているチャックではなく、フレームまたはフレームを保持している手段を移動するようにしてもよい。要は、集束性レンズアレイとフレームとの相対的な配置を変更可能であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置10の正面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】発光装置10を製造する最初の工程を示す正面図である。
【図4】発光装置10を製造する最初の工程を示す断面図である。
【図5】図3および図4の次の工程を示す正面図である。
【図6】図3および図4の次の工程を示す断面図である。
【図7】図5および図6の次の工程を示す断面図である。
【図8】図7の次の工程を示す正面図である。
【図9】図7の次の工程を示す断面図である。
【図10】列の幅方向における位置合わせを説明するための図である。
【図11】変形例に係る発光装置の一部の断面図である。
【図12】他の変形例に係る発光装置の正面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る製造装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る製造装置のCPU44が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明の第3実施形態に係る製造装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係る製造装置の構成を示す図である。
【図17】発光装置10を用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。
【図18】発光装置10を用いた画像印刷装置の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0086】
10…発光装置、11…感光体ドラム(像担持体)、14…発光基板(電気光学基板)、15…集束性レンズアレイ、16,40…フレーム、17…認識孔(切欠)、23…定盤、25…チャックヘッド、26…チャック、28…モータ、29…ボールネジ(移動機構)、30…フレームステージ、32…カメラ(取得手段)、34,52…画像処理部、35…モニタ、36…接着剤、41…溝(切欠)、44…CPU(演算部、制御部)、51…接触測定部(取得手段)、b…基準面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写する画像印刷装置に用いられ、前記帯電された面に光を照射して前記潜像を形成する発光装置において、
光像を形成する電気光学基板と、
貫通孔が形成され、前記光像を形成した光が前記貫通孔内を進行するように前記電気光学基板を固定するフレームと、
一端が前記貫通孔内に位置するように前記フレームに固定され、前記光像を形成した光を前記一端から入射して前記光像の正立像を形成する光を他端から出射する集束性レンズアレイとを備え、
前記フレームには、前記一端が前記フレーム越しに視認可能となる切欠が形成されている、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置を備え、前記他端から出射した光を前記帯電された面に照射する画像印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発光装置の製造装置であって、
駆動されると、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動させる移動手段と、
前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を前記フレーム越しに前記切欠を通じて取得する取得手段と、
前記取得された情報に基づいて、前記電気光学基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な画像を表示装置に表示させるための制御信号を生成する画像処理部と、
を備えることを特徴とする発光装置の製造装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発光装置の製造装置であって、
駆動されると、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動させる移動手段と、
前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を前記フレーム越しに前記切欠を通じて取得する取得手段と、
前記取得された情報に基づいて、前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を演算により求める演算部と、
前記演算により求められた距離が前記集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離であるか否かを判定し、前記最適な距離でなければ前記演算部により求められる距離が前記最適な距離に等しくなるように前記移動手段を駆動する制御部と、
を備えることを特徴とする発光装置の製造装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記フレーム越しに前記切欠を通じて前記貫通孔内を撮像して画像データを生成するカメラを有する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の発光装置の製造装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記フレーム越しに前記切欠を通じて前記貫通孔内に差し込まれた接触子を用いて前記一端の前記電気光学基板に対する相対位置を特定可能なデータを生成する接触測定部を有する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の発光装置の製造装置。
【請求項7】
前記集束性レンズアレイは、複数の屈折率分布型レンズを細長く配列して構成されており、
前記切欠は複数あり、
前記複数の切欠は前記複数の屈折率分布型レンズの配列方向に並んでおり、
前記移動手段は前記集束性レンズアレイの複数の箇所に接触して前記集束性レンズアレイを吊り下げ、前記集束性レンズアレイを箇所毎に独立して昇降可能である、
ことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載の発光装置の製造装置。
【請求項8】
像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写する画像印刷装置に用いられ、前記帯電された面に光を照射して前記潜像を形成する発光装置の製造方法において、
貫通孔が形成され、電気光学基板内で光像を形成した光が前記貫通孔内を進行するように前記電気光学基板を固定するフレームに、前記光像を形成した光を一端から入射して他端から前記光像の正立像を形成する光を出射する集束性レンズアレイを固定するときに、
前記一端が前記貫通孔内に位置するように前記集光性レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動し、
次に、前記フレームに形成された切欠を通じて前記電気光学基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を取得し、
次に、取得した情報により特定される距離が前記集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離と等しいか否かを判定し、等しければ前記集光性レンズアレイを前記フレームに固定する、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記集光性レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動する前に、前記集束性レンズアレイを前記一端または前記他端を下に向けて定盤上に載置する、
ことを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項1】
像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写する画像印刷装置に用いられ、前記帯電された面に光を照射して前記潜像を形成する発光装置において、
光像を形成する電気光学基板と、
貫通孔が形成され、前記光像を形成した光が前記貫通孔内を進行するように前記電気光学基板を固定するフレームと、
一端が前記貫通孔内に位置するように前記フレームに固定され、前記光像を形成した光を前記一端から入射して前記光像の正立像を形成する光を他端から出射する集束性レンズアレイとを備え、
前記フレームには、前記一端が前記フレーム越しに視認可能となる切欠が形成されている、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置を備え、前記他端から出射した光を前記帯電された面に照射する画像印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発光装置の製造装置であって、
駆動されると、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動させる移動手段と、
前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を前記フレーム越しに前記切欠を通じて取得する取得手段と、
前記取得された情報に基づいて、前記電気光学基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な画像を表示装置に表示させるための制御信号を生成する画像処理部と、
を備えることを特徴とする発光装置の製造装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発光装置の製造装置であって、
駆動されると、前記レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動させる移動手段と、
前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を前記フレーム越しに前記切欠を通じて取得する取得手段と、
前記取得された情報に基づいて、前記発光基板と前記集束性レンズアレイとの距離を演算により求める演算部と、
前記演算により求められた距離が前記集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離であるか否かを判定し、前記最適な距離でなければ前記演算部により求められる距離が前記最適な距離に等しくなるように前記移動手段を駆動する制御部と、
を備えることを特徴とする発光装置の製造装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記フレーム越しに前記切欠を通じて前記貫通孔内を撮像して画像データを生成するカメラを有する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の発光装置の製造装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記フレーム越しに前記切欠を通じて前記貫通孔内に差し込まれた接触子を用いて前記一端の前記電気光学基板に対する相対位置を特定可能なデータを生成する接触測定部を有する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の発光装置の製造装置。
【請求項7】
前記集束性レンズアレイは、複数の屈折率分布型レンズを細長く配列して構成されており、
前記切欠は複数あり、
前記複数の切欠は前記複数の屈折率分布型レンズの配列方向に並んでおり、
前記移動手段は前記集束性レンズアレイの複数の箇所に接触して前記集束性レンズアレイを吊り下げ、前記集束性レンズアレイを箇所毎に独立して昇降可能である、
ことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載の発光装置の製造装置。
【請求項8】
像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写する画像印刷装置に用いられ、前記帯電された面に光を照射して前記潜像を形成する発光装置の製造方法において、
貫通孔が形成され、電気光学基板内で光像を形成した光が前記貫通孔内を進行するように前記電気光学基板を固定するフレームに、前記光像を形成した光を一端から入射して他端から前記光像の正立像を形成する光を出射する集束性レンズアレイを固定するときに、
前記一端が前記貫通孔内に位置するように前記集光性レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動し、
次に、前記フレームに形成された切欠を通じて前記電気光学基板と前記集束性レンズアレイとの距離を特定可能な情報を取得し、
次に、取得した情報により特定される距離が前記集束性レンズアレイに固有の物体距離に応じた最適な距離と等しいか否かを判定し、等しければ前記集光性レンズアレイを前記フレームに固定する、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記集光性レンズアレイおよび前記フレームの少なくとも一方を移動する前に、前記集束性レンズアレイを前記一端または前記他端を下に向けて定盤上に載置する、
ことを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−55060(P2007−55060A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242238(P2005−242238)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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