説明

発光装置および画像形成装置

【課題】基板の面上に複数の発光素子が形成される発光装置の歩留まりを向上する。
【解決手段】発光装置Hは、X方向に配列する複数の単位部U(U1・U2)を具備する。
複数の単位部Uの各々は、単位部Uごとに別体である基板10と、X方向に沿って基板の
面上に配列する複数の発光素子Eと、当該単位部Uの各発光素子を駆動するICチップ1
5とを具備する。複数の単位部Uは単一の支持体20に固定される。支持体20は、複数
の単位部Uの各発光素子Eを挟んで各基板10に対向する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子が配列された発光装置とこれを利用した画像形成装置とに関
する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード素子など各種の発光素子を基板の面上に配列した発光装置が従来か
ら提案されている。例えば特許文献1には、感光体ドラムなどの像担持体を露光する手段
として発光装置を採用した電子写真方式の画像形成装置が開示されている。特許文献1の
発光装置は、主走査方向を長手とする姿勢に配置された長尺状の基板と、主走査方向に沿
って基板の面上に配列された多数の発光素子と、基板の面上に実装されて各発光素子を駆
動する集積回路とを具備する。
【特許文献1】特開2006−51703号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、所期の特性の多数の発光素子をひとつの基板の面上に形成することは製
造技術上の理由から困難である。画像の高精細化のために発光素子が微細化された発光装
置においては発光素子の欠陥(例えば非点灯)が特に発生し易い。そして、例えば画像形
成装置に採用される発光装置において何れかの発光素子が点灯しない場合には、実際に形
成される画像のうち当該発光素子に対応した位置に副走査方向のスジ状のムラが発生する
。また、欠陥がある発光素子の修理は現実的には不可能であるから、欠陥の発生がひとつ
の発光素子に過ぎない場合であっても、発光装置は検査の過程で不良品と判定される。し
たがって、従来の構成の発光装置は歩留まりが低いという問題があった。以上の事情に鑑
みて、本発明は、基板の面上に複数の発光素子が形成される発光装置の歩留まりを向上す
るという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、所定の方向に配列する複数の
単位部を具備し、複数の単位部の各々は、単位部ごとに別体である基板と、所定の方向に
沿って基板の面上に配列された複数の発光素子とを含む。換言すると、発光装置が備える
複数の発光素子は、各々が別体である複数の基板に分散して配置される。この構成におい
て、例えば複数の単位部の何れかが不良品と判定された場合には、当該単位部を良品の単
位部に交換すれば、その残余の単位部はそのまま使用することが可能である。したがって
、総ての発光素子が単一の基板に形成される従来の構成と比較して発光装置の歩留まりを
向上することができる。
【0005】
また、複数の単位部の各々が当該単位部の複数の発光素子を駆動する駆動回路を含む構
成も採用される。この構成によれば、ひとつの単位部の駆動回路に欠陥が発見された場合
に、当該単位部を別の単位部に交換すれば、残余の単位部をそのまま発光装置の作成に利
用できるという利点がある。なお、駆動回路はICチップの形態で実装されてもよいし基
板の表面に作り込まれた薄膜トランジスタで構成されてもよい。
【0006】
本発明の好適な態様において、複数の単位部が固定される単一の支持体を具備し、支持
体は、複数の単位部の各発光素子を挟んで各基板に対向する。以上の態様によれば、各単
位部の基板が共通の支持体によって支持されるとともに各単位部の発光素子が支持体と基
板との間隙にて保護される。したがって、各基板を支持する部材と各発光素子を保護する
部材とが別個に配置された構成と比較して発光装置の構成を簡素化することができる。な
お、以上のように各基板が支持体に固定される構成に代えて(またはこの構成とともに)
、相隣接する各基板の端面が相互に接合された構成も好適に採用される。
【0007】
以上の態様に係る支持体は、例えば、複数の単位部の各基板に対向する板状部と、板状
部から各基板側に突出するとともに端面が各基板に接合された側壁部とを含む。この態様
における複数の単位部の各発光素子は、基板と板状部との間隙にあって側壁部に包囲され
た空間内に封止される。以上の態様によれば、各発光素子に対する外気や水分の付着を防
止して各々の劣化を抑制することが可能である。
【0008】
さらに好適な態様において、側壁部は、各単位部の複数の発光素子と当該単位部に隣接
する他の単位部の複数の発光素子との間隙に介在する部分(例えば図2や図3の部分22
3)を含む。すなわち、各発光素子は単位部ごとに仕切られた空間内に封止される。この
態様によれば、各発光素子を確実に封止することが可能となる。
【0009】
本発明の好適な態様において、複数の単位部の各々は同じ構造である。この態様によれ
ば、複数の単位部を区別することなく複数を組み合わせて発光装置が製造されるから、各
単位部の構造が相違する構成と比較して、発光装置の製造の効率や歩留まりを向上するこ
とが可能である。なお、「単位部の各々が同じ構造である」とは、物理的な構造が完全に
同一である場合だけでなく構造が実質的に同一である場合も含む。複数の単位部の構造が
「実質的に同一である」とは、例えば、ひとつの単位部と他の単位部とを交換しても発光
装置の作用や機能が変化しないような関係を意味する。したがって、例えば、各発光素子
の個数や配列のパターンが複数の単位部にわたって共通し、かつ、複数の単位部が各々の
配列の方向およびその垂直な方向の軸線に関して線対称である場合には、各単位部が同じ
構造であると言える。なお、複数の単位部の各々が同じ構造であるとは言っても、発光装
置を構成する総ての単位部の構造が共通することまでは必要ではない。
【0010】
本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、本発
明の発光装置を露光装置(露光ヘッド)として利用した画像形成装置である。本発明の画
像形成装置は、露光によって潜像が形成される像担持体(例えば図1の感光体ドラム70
)と、像担持体を露光する本発明の発光装置と、像担持体に形成された潜像に対する現像
剤の付加によって顕像を形成する現像器とを具備する。本発明の発光装置によれば歩留ま
りを向上することができるから、これを搭載した画像形成装置によれば製造のコストを低
減することが可能である。
【0011】
ひとつの態様に係る画像形成装置において、像担持体は、副走査方向に進行する像形成
面を含み、発光装置は、複数の単位部が主走査方向に配列するように配置される。この態
様のように複数の発光素子が主走査方向に配列する画像形成装置においては、何れかの発
光素子に欠陥がある場合(例えば点灯しない場合)に、実際に形成される画像のうち当該
発光素子に対応した位置に副走査方向のスジ状のムラが発生する。したがって、複数の発
光素子が単一の基板に形成されているとすれば、ひとつの発光素子に欠陥があるに過ぎな
い場合であっても発光装置の全体として不良品と判定せざるを得ない。ひとつの単位部の
発光素子に欠陥が発見された場合であっても他方の単位部を利用できる本発明の発光装置
は、複数の発光素子が主走査方向に配列する画像形成装置に特に好適であると言える。
【0012】
なお、本発明に係る発光装置の用途は像担持体の露光に限定されない。例えば、スキャ
ナなどの画像読取装置においては、本発明に係る発光装置を原稿の照明に利用することが
可能である。この画像読取装置は、本発明に係る発光装置と、発光装置から出射して読取
対象(原稿)で反射した光を電気信号に変換する受光装置(例えばCCD(Charge Coupl
ed Device)素子などの受光素子)とを具備する。また、多数の発光素子がマトリクス状
に配列された発光装置は各種の電子機器の表示装置として利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<A:発光装置>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の部分的な構造を示す斜視図である。
同図に示すように、画像形成装置は、発光装置Hと集束性レンズアレイ30と感光体ドラ
ム70とを具備する。感光体ドラム70は、X方向(主走査方向)に延在する回転軸に支
持され、像形成面72(外周面)を発光装置Hに対向させた状態で回転する。
【0014】
集束性レンズアレイ30は、発光装置Hと感光体ドラム70との間隙に配置され、発光
装置Hからの出射光の正立像を感光体ドラム70の像形成面72に結像する。日本板硝子
株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)が集束性レンズアレイ
30として好適に採用される。なお、「セルフォック/SELFOC」は日本板硝子株式
会社の登録商標である。
【0015】
図2は、感光体ドラム70とは反対側(図1の上方)からみた発光装置Hの構成を示す
平面図であり、図3は、図2におけるIII−III線からみた断面図である。発光装置Hは、
光線の照射によって感光体ドラム70の像形成面72に潜像を形成する露光ヘッドであり
、図1から図3に示すように、支持体20と2個の単位部U(U1・U2)とを含む。2個
の単位部U1・U2はX方向に配列される。
【0016】
図2および図3に示すように、単位部U1は、基板10aと複数の発光素子Eと複数の
ICチップ15とを含む。同様に、単位部U2は、基板10bと複数の発光素子Eと複数
のICチップ15とを含む。各基板10(10a・10b)は、ガラスやプラスチックで
長方形状に成形された光透過性の平板である。基板10aと基板10bとは別体である。
基板10aの端面(X方向の側面)と基板10bの端面とは相互に対向するとともに両者
間に充填された接着剤25によって接合される。
【0017】
図2および図3に示すように、単位部U1の複数の発光素子Eと複数のICチップ15
とは基板10aのうち感光体ドラム70とは反対側の面上に配置される。同様に、単位部
U2の複数の発光素子Eと複数のICチップ15とは基板10bの面上に配置される。各
発光素子Eは、有機EL(Electroluminescence)材料からなる発光層を陽極と陰極との
間隙に介在させた有機発光ダイオード素子である。図2に示すように、各単位部Uに属す
る多数の発光素子Eは、X方向に沿って2列かつ千鳥状に配列する。もっとも、発光素子
Eの配列のパターンは任意であり、単列や3列以上であってもよいし他の適切なパターン
であってもよい。
【0018】
単位部U1の各ICチップ15は、基板10aの表面にX方向に沿って配列されて単位
部U1の各発光素子Eを駆動する。同様に、単位部U2の各ICチップ15は、基板10b
の面上に配列されて単位部U2の各発光素子Eを駆動する。各ICチップ15はCOG(C
hip On Glass)技術によって実装される。各発光素子Eからの出射光は基板10と集束性
レンズアレイ30とを透過したうえで感光体ドラム70の像形成面72に到達する。像形
成面72を副走査方向に歩進させながら単位部U1・U2の各発光素子EをICチップ15
によって選択的に点灯させることで像形成面72には所望の潜像が形成される。
【0019】
以上に説明したように単位部U1と単位部U2とは構成が実質的に共通する。すなわち、
基板10aと基板10bとは同形状であり、発光素子EやICチップ15の個数および配
列のパターンは単位部U1と単位部U2とで共通する。さらに、個々の発光素子Eや個々の
ICチップ15の構成も単位部U1と単位部U2とで共通する。また、各単位部UはX方向
およびY方向の各々に沿った軸線に関して線対称である。したがって、図2の単位部U1
と単位部U2とを入れ替えても発光装置Hの構成や機能は変化しない。
【0020】
図1から図3の支持体20は、例えば各種の樹脂材料で成形(例えば射出成形)された
単一の部材である。本実施形態の支持体20は、板状部21と側壁部22とが一体に形成
された形状となっている。板状部21は、基板10に垂直な方向(Z方向)からみて単位
部U1・U2の各発光素子Eと対向するように寸法が選定された略長方形の部分である。側
壁部22は、板状部21の表面から基板10側に突出する部分であり、図2や図3に示す
ように、板状部21の周縁に沿って長方形の枠状をなす部分221と、部分221の各長
辺の中央部を相互に連結するようにY方向(副走査方向)に延在する部分223とを含む
。すなわち、部分223は、部分221に包囲された空間を仕切る部分である。
【0021】
側壁部22のうち各基板10(10a・10b)に対向する端面(底面)は例えば接着
剤によって各基板10に接合される。換言すると基板10a・10bは支持体20に固定
される。図3に示すように、単位部U1の各発光素子Eは、基板10aと支持体20の板
状部21との間隙にあって側壁部22(部分221・部分223)に包囲された空間内に
封止される。同様に、単位部U2の各発光素子Eは、基板10bと板状部21との間隙に
あって側壁部22に包囲された空間内に封止される。以上のように本実施形態の支持体2
0は、基板10a・10bを所期の姿勢に維持する機能と、各単位部Uの発光素子Eを外
気から遮断(封止)する機能とを兼ね備える。各発光素子Eが封止された閉空間には不活
性ガスや乾燥剤が封入される。
【0022】
以上に説明したように、本実施形態の発光装置Hは、複数の発光素子Eと複数のICチ
ップ15とを各々が含む2個の単位部U1・U2を連結した構造となっている。換言すると
、発光装置Hが備える複数の発光素子Eと複数のICチップ15とが単位部U1と単位部
U2とに分散して配置される。したがって、例えば単位部U1の発光素子EやICチップ1
5に欠陥が発見された場合には、当該欠陥に係る単位部U1を別の単位部U1と取り替えて
単位部U2と組み合わせることで発光装置Hが作成される。総ての発光素子Eが単一の基
板10に形成される従来の構成においては、ひとつの発光素子Eに欠陥が発生された場合
であっても発光装置Hの全体として不良品と判定される。これに対して本実施形態におい
ては、単位部U1が不良品と判定された場合であっても、欠陥のない単位部U2については
引き続き発光装置Hの製造に使用することが可能である。したがって、従来の構成と比較
して発光装置Hの歩留まりを大幅に向上することができる。
【0023】
また、本実施形態においては支持体20が基板10a・10bの支持と各発光素子Eの
封止とに兼用されるから、基板10a・10bを支持する部材と各発光素子Eを封止する
部材とが別個に設置される構成と比較して発光装置Hの構成が簡素化される(例えば部品
点数が削減される)という利点がある。さらに、単位部U1の各発光素子Eと単位部U2の
各発光素子Eとが単一の支持体20によって封止されるから、各々が別個の部材によって
封止される構成と比較して発光装置Hの構成が簡素化される。
【0024】
ところで、単位部U1と単位部U2とで構成が相違するとすれば、例えば発光装置Hの量
産時において単位部U1に集中的に欠陥が発生した場合に単位部U2が余剰になるという問
題が発生し得る。本実施形態のように単位部U1と単位部U2とで構成が共通する場合には
、基板10の面上に発光素子EとICチップ15とが配置された要素を単位部U1・U2の
何れとしても利用できるから、単位部U1・U2の一方のみが過剰となる事態は回避される
。また、単位部U1と単位部U2とで製造の工程が共通化されるから、単位部U1と単位部
U2とが別構成である場合と比較して発光装置Hの製造コストが低減されるという利点も
ある。さらに、複数(2個)の単位部Uの組み合わせが任意であるから、例えば量産され
た多数の単位部Uのなかから発光素子Eの特性(例えば発光効率)が近似する複数の単位
部Uを適宜に選択して発光装置Hを製造することも可能である。したがって、各発光素子
Eの特性が均一化された高品位な発光装置Hを高い歩留まりのもとで製造することができ
る。
【0025】
<B:変形例>
以上の形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以
下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0026】
(1)変形例1
発光装置Hを構成する単位部Uの個数は任意である。すなわち、図4に示すように、3
個以上の単位部U(基板10)が連結された構成としてもよい。なお、図4においては支
持体20の図示が省略されている。以上のように単位部Uの総数が多いほど発光装置Hの
歩留まりは向上する。また、ひとつの単位部Uが備える発光素子EやICチップ15の個
数は任意である。例えば、各単位部Uの基板10にICチップ15が1個だけ実装された
構成も採用される。
【0027】
(2)変形例2
支持体20の形状は以上の例示に限定されない。例えば、以上の形態においては単位部
U1の各発光素子Eと単位部U2の各発光素子Eとが部分223で仕切られた個別の閉空間
に封止された構成を例示したが、例えば図5に示すように部分223を省略し、単位部U
1・U2の各発光素子Eを封止する領域が連続する構成としてもよい。もっとも、図2のよ
うに単位部Uごとに個別の閉空間が画定される構成によれば、図5の構成と比較して各発
光素子Eを確実に封止することが可能である。
【0028】
また、以上の形態においては単位部U1の各発光素子Eと単位部U2の各発光素子Eとが
単一の部材(支持体20)によって封止される構成を例示したが、基板10と協働して各
発光素子Eを封止する部材が単位部Uごとに別個に設置された構成も採用される。この構
成における基板10a・10bは、接着剤25のみによって相互に接合されてもよいし、
各発光素子Eの封止のための部材とは別個に用意された単一の部材に各々が固定されても
よい。
【0029】
(3)変形例3
図2から図5においては、図面の煩雑化を防止する観点から便宜的に、各基板10の境
界を挟んで隣接する各発光素子Eの間隔が、ひとつの基板10上で隣接する各発光素子E
の間隔よりも広くなされた構成を図示した。しかしながら、各発光素子Eの間隔に相違が
あると、画像形成装置が形成する画像にムラ(特に副走査方向に延在するスジ状のムラ)
が発生する可能性がある。したがって、実際には、各発光素子Eが配列の全体(各基板1
0の境界の部分を含む)にわたって等間隔(同じピッチ)に配列される。
【0030】
例えば、以上の各形態のように複数の発光素子Eが2列かつ千鳥状に配列される発光装
置Hにおいては図6の構成が採用される。図6は、ひとつの態様に係る発光装置Hのうち
基板10aと基板10bとの境界の部分を拡大して示す平面図である。同図の部分(a)に
示すように、基板10aのうち基板10bに対向する端面には、単位部U1に属する複数
の発光素子Eのうち単位部U2側の端部に位置する2個の発光素子Eに沿った傾斜面11
が形成される。同様に、基板10bのうち基板10aに対向する端面には、単位部U2の
うち単位部U1側の端部に位置する2個の発光素子Eに沿う傾斜面11が形成される。図
6の部分(b)に示すように、基板10aと基板10bとは各々の傾斜面11が接触するよ
うに接合される。以上の態様によれば、発光装置Hの総ての発光素子Eが高い精度で等間
隔に配置されるから、ムラを抑制した高品位な画像の形成が可能となる。
【0031】
(4)変形例4
以上の形態においては基板10にICチップ15が実装された構成を例示したが、各発
光素子Eを駆動する回路の配置の仕方は任意である。例えば、基板10に接合された配線
基板にICチップ15が実装された構成としてもよいし、基板10の表面に例えば低温ポ
リシリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタで駆動回路を構成してもよい。
【0032】
(5)変形例5
有機発光ダイオード素子は発光素子の例示に過ぎない。例えば、無機EL材料からなる
発光層を含む発光素子や発光ダイオード素子、電界放出(FE:Field Emission)素子
、表面導電型電子放出(SE:Surface-conduction Electron-emitter)素子、弾道電子
放出(BS:Ballistic electron Surface emitting)素子など様々な発光素子を備え
た発光装置に本発明を適用することができる。
【0033】
<C:応用例>
次に、本発明に係る発光装置を利用した機器のひとつの形態として画像形成装置を例示
する。
図7は、以上の各形態に係る発光装置Hを採用した画像形成装置の構成を示す断面図で
ある。画像形成装置は、タンデム型のフルカラー画像形成装置であり、以上の形態に係る
4個の発光装置H(HK,HC,HM,HY)と、各発光装置Hに対応する4個の感光体ドラ
ム70(70K,70C,70M,70Y)とを具備する。ひとつの発光装置Hは、これに対
応した感光体ドラム70の像形成面72(外周面)に対向するように配置される。なお、
各符号の添字「K」「C」「M」「Y」は、黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエ
ロー(Y)の各顕像の形成に利用されることを意味している。また、図7においては集束
性レンズアレイ30の図示が省略されている。
【0034】
図7に示すように、駆動ローラ711と従動ローラ712とには無端の中間転写ベルト
72が巻回される。4個の感光体ドラム70は、相互に所定の間隔をあけて中間転写ベル
ト72の周囲に配置される。各感光体ドラム70は、中間転写ベルト72の駆動に同期し
て回転する。
【0035】
各感光体ドラム70の周囲には、発光装置Hのほかにコロナ帯電器731(731K,
731C,731M,731Y)と現像器732(732K,732C,732M,732Y)
とが配置される。コロナ帯電器731は、これに対応する感光体ドラム70の像形成面7
2を一様に帯電させる。この帯電した像形成面72を各発光装置Hが露光することで静電
潜像が形成される。各現像器732は、静電潜像に現像剤(トナー)を付着させることで
感光体ドラム70に顕像(可視像)を形成する。
【0036】
以上のように感光体ドラム70に形成された各色(黒・シアン・マゼンタ・イエロー)
の顕像が中間転写ベルト72の表面に順次に転写(一次転写)されることでフルカラーの
顕像が形成される。中間転写ベルト72の内側には4個の一次転写コロトロン(転写器)
74(74K,74C,74M,74Y)が配置される。各一次転写コロトロン74は、これ
に対応する感光体ドラム70から顕像を静電的に吸引することによって、感光体ドラム7
0と一次転写コロトロン74との間隙を通過する中間転写ベルト72に顕像を転写する。
【0037】
シート(記録材)75は、ピックアップローラ761によって給紙カセット762から
1枚ずつ給送され、中間転写ベルト72と二次転写ローラ77との間のニップに搬送され
る。中間転写ベルト72の表面に形成されたフルカラーの顕像は、二次転写ローラ77に
よってシート75の片面に転写(二次転写)され、定着ローラ対78を通過することでシ
ート75に定着される。排紙ローラ対79は、以上の工程を経て顕像が定着されたシート
75を排出する。
【0038】
以上に例示した画像形成装置は有機発光ダイオード素子を光源として利用しているので
、レーザ走査光学系を利用した構成よりも装置が小型化される。なお、以上に例示した以
外の構成の画像形成装置にも本発明を適用することができる。例えば、ロータリ現像式の
画像形成装置や、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムからシートに対して直接的に
顕像を転写するタイプの画像形成装置、あるいはモノクロの画像を形成する画像形成装置
にも本発明の発光装置を利用することが可能である。
【0039】
また、本発明に係る発光装置の用途は像担持体の露光に限定されない。例えば、本発明
の発光装置は、原稿などの読取対象に光を照射するライン型の照明装置として画像読取装
置に採用される。この種の画像読取装置としては、スキャナ、複写機やファクシミリの読
取部分、バーコードリーダ、あるいはQRコード(登録商標)のような二次元画像コード
を読む二次元画像コードリーダがある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る画像形成装置の部分的な構成を示す斜視図である。
【図2】発光装置の構成を示す平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線からみた断面図である。
【図4】変形例に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【図5】変形例に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図6】変形例に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
H……発光装置、U(U1,U2)……単位部、10(10a,10b)……基板、E……
発光素子、15……ICチップ、20……支持体、21……板状部、22……側壁部、2
5……接着剤、30……集束性レンズアレイ、70……感光体ドラム、72……像形成面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に配列する複数の単位部を具備し、
前記複数の単位部の各々は、
前記単位部ごとに別体である基板と、
前記所定の方向に沿って前記基板の面上に配列された複数の発光素子と
を含むことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記複数の単位部の各々は、
当該単位部の前記複数の発光素子を駆動する駆動回路
を含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数の単位部が固定される単一の支持体を具備し、
前記支持体は、前記複数の単位部の各発光素子を挟んで前記各基板に対向する
請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記支持体は、前記複数の単位部の各基板に対向する板状部と、前記板状部から前記各
基板側に突出するとともに端面が前記各基板に接合された側壁部とを含み、
前記複数の単位部の各発光素子は、前記基板と前記板状部との間隙にあって前記側壁部
に包囲された空間内に封止される
請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記側壁部は、前記各単位部の前記複数の発光素子と当該単位部に隣接する他の単位部
の前記複数の発光素子との間隙に介在する部分を含む
請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
相隣接する各基板の端面は相互に接合される
請求項1から請求項5の何れかに記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数の単位部の各々は同じ構造である
請求項1から請求項6の何れかに記載の発光装置。
【請求項8】
露光によって潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体を露光する請求項1から請求項7の何れかに記載の発光装置と、
前記像担持体に形成された潜像に対する現像剤の付加によって顕像を形成する現像器と
を具備する画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体は、副走査方向に進行する像形成面を含み、
前記発光装置は、前記複数の単位部が主走査方向に配列するように配置される
請求項8に記載の画像形成装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−296680(P2007−296680A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124936(P2006−124936)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】