発光装置および発光装置の製造方法
【課題】色再現性(NTSC比)の優れた発光装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体蛍光体と樹脂等の蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物を備えた著しく良好な白色光を得ることができる発光装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体蛍光体と樹脂等の蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物を備えた著しく良好な白色光を得ることができる発光装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
樹脂等と蛍光体が混練された蛍光体混練物包装容器から得られた蛍光体混練物を具備した発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子と蛍光体とを組み合わせた発光装置は、低消費電力、小型化、高輝度、さらには広範囲な色再現性が期待される次世代の発光装置として注目され、活発に研究、開発が行われている。発光素子から発せられる一次光は、通常、長波長の紫外線から青色の範囲、すなわち380〜480nmのものが用いられる。また、この用途に適合した様々な蛍光体を用いた波長変換部も提案されている。
【0003】
一方、4価のマンガン付活フッ化金属塩蛍光体については、たとえば特許文献1にその製法などは記載されているが、しかしながら特許文献1には、さらに高効率な緑色蛍光体と組み合わせて、その色再現性(NTSC比)に言及されてはいない。
【0004】
赤色狭帯域フッ化物蛍光体(KTF)はピーク波長635nmの赤色発光、スペクトル半値幅λ1/2=10nmときわめて狭く、ディスプレイ用途に好適な発光特性を示すが、フッ化物蛍光体(KTF)は、粉体では水に溶解(溶解度1%程度)してフッ酸(HF)を発生するという問題があった。粉体を吸引すると人体に悪い影響が生じ、よって粉体の取り扱いには十分な注意が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0169998号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、本発明によれば、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体の飛散防止および水分を遮断し、水分との反応が抑えられ、フッ酸の発生を抑える効果がある蛍光体混練物包装容器から得られた蛍光体混練物を具備することで、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、配線パターン上に発光素子が配置され、配線パターンと発光素子の上部がボンディングワイヤで接続され、配線パターンと発光素子上に蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物が封止樹脂で封止されていることを特徴とする発光装置である。
【0008】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂および赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに封止樹脂で封止されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂、赤色蛍光体および緑色蛍光体を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂および被覆樹脂で覆われた赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに封止樹脂で封止されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物がプライマーおよび赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂およびプライマーで覆われた赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂、プライマーで覆われた赤色蛍光体および緑色蛍光体を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る発光装置において好ましくは、透明性樹脂が拡散剤、反射剤および散乱剤からなる群から選択された少なくとも1種を含む。
【0015】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物を封止する封止樹脂と接する発光素子上のパッド電極、ボンディングワイヤおよび配線パターンの最上層は、白金または金層からなることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る発光装置において好ましくは、赤色蛍光体は4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体であることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物には、さらにカルシウム化合物を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物包装容器と蛍光体混練物は接触し、その接触する面が高分子材料からなることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物包装容器がチューブ形状のチューブ包装容器またはチューブ状容器であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物包装容器内部にさらにカルシウム化合物を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る発光装置において好ましくは、カルシウム化合物は、グルコン酸カルシウム、ボログルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムの少なくとも一つからなることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る発光装置の製造方法は、配線パターン上に発光素子が配置され、配線パターンと発光素子の上部がボンディングワイヤで接続された発光装置の製造方法において、配線パターンと発光素子上に蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物が封止樹脂で封止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の蛍光体混練物包装容器によれば、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体の飛散防止および水分を遮断し、水分との反応が抑えられ、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂と赤色蛍光体を含む蛍光体混練物包装容器と蛍光体混練物の概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂と赤色蛍光体を含む二層構造を有する蛍光体混練物包装容器と蛍光体混練物の概略図である。
【図4】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂と緑色蛍光体および赤色蛍光体を含むの蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図6】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂と熱可塑性樹脂で覆われた赤色蛍光体を含む蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図8】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図9】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いるプライマーと赤色蛍光体を含む蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図10】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂とプライマーで覆われた赤色蛍光体の蛍光体プライマー粒子を含む蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図12】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図13】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂とグルコン酸カルシウムおよび赤色蛍光体を含む蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図14】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図15】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂とプライマーおよび赤色蛍光体を含む三層構造を有する蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図16】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図17】実施例1で作製した発光装置の発光スペクトル分布図を示すグラフである。
【図18】実施例1で作製した発光装置をバックライト光源として組込んだLCDの色再現性を示す色度図である。
【図19】従来の発光装置の発光スペクトル分布図を示すグラフである。
【図20】従来の発光装置をバックライト光源として組込んだLCDの色再現性を示す色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施の形態および実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
前記の蛍光体混練物包装容器から取り出した蛍光体混練物を使用して作製した発光装置について説明する。
【0027】
(実施の形態1)
実施の形態1を図1および2を用いて説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施の形態における発光装置5の製造に用いる透明性樹脂2と赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物包装容器1と蛍光体混練物4の概略図である。図2は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子上に前記蛍光体混練物包装容器1から得た透明性樹脂2と赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物4および緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置5を示す。
【0029】
本実施の形態の発光装置5に用いる発光素子6としては特に制限されるものではないが、ピーク波長が430〜480nm(より好適には440〜480nm)の青色領域の一次光を発する窒化ガリウム(GaN)系半導体を発光素子として好適に用いることができる。ピーク波長が430nm未満の発光素子を用いた場合には、青色光成分の寄与が小さくなって演色性が悪くなり、実用的でなくなる虞があるためであり、また、ピーク波長が480nmを超える発光素子を用いた場合には、白色での明るさが低下し、実用的でなくなる虞があるためである。
【0030】
ここで、蛍光体混練物4は、蛍光体混練物包装容器1から透明性樹脂2および赤色蛍光体3を取り出し使用する。蛍光体混練物4の取り出しは、透明性樹脂2によって赤色蛍光体3に接触する可能性のある水分が遮断されているため、特別な条件下で行なう必要はないが、完全に水分を遮断するためには窒素雰囲気中で行なうことが好ましい。緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをシリコーン樹脂中に分散し(シリコーン樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置5を作製した。
【0031】
例えば、蛍光体混練物4は、赤色蛍光体5.00gに対して、粘度13500mPa・sのシリコーン樹脂(A剤(主剤))3.33gを、高速回転装置を用いて混合して調整する。得られた赤色蛍光体混練物の粘度は20000mPa・s以上である。
【0032】
上述した赤色蛍光体混練物0.840gに、粘度13500mPa・sのシリコーン樹脂(A剤(主剤))1.58gと、粘度35mPa・sのシリコーン樹脂(B剤(硬化剤))2.00gと、Eu0.05Si11.50Al0.50O0.05N15.95(β型SiAlON)(メディアン径:12.0μm)なる組成で表わされる緑色蛍光体0.180gとを混合し、この混合物を用いて波長変換部を形成し、図2に示した発光装置5を作製する。なお、発光素子としては、450nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用いる。
【0033】
前記の透明性樹脂2は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ノルボルネン系樹脂、フッ素樹脂、金属アルコキシド、ポリシラザン、アクリル樹脂、低融点ガラス等が挙げられる。透明性樹脂2は拡散剤、反射剤および散乱剤からなる群から選択された1種以上を含むことが好ましい。拡散剤、反射剤、散乱剤としてはチタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素などを好適に使用することができる。
【0034】
前記の赤色蛍光体3は、K2(Ti0.99Mn0.01)F6、K2(Ti0.9Mn0.1)F6、K2(Ti0.999Mn0.001)F6、Na2(Zr0.98Mn0.02)F6、Cs2(Si0.95Mn0.05)F6、Cs2(Sn0.98Mn0.02)F6、K2(Ti0.88Zr0.10Mn0.02)F6、Na2(Ti0.75Sn0.20Mn0.05)F6、Cs2(Ge0.999Mn0.001)F6、(K0.80Na0.20)2(Ti0.69Ge0.30Mn0.01)F6などを挙げることができるが、勿論これに限定されるものではない。さらにZn(Ti0.98Mn0.02)F6、Ba(Zr0.995Mn0.005)F6、Ca(Ti0.995Mn0.005)F6、Sr(Zr0.98Mn0.02)F6などを挙げることができるが、勿論これに限定されるものではない。
【0035】
緑色蛍光体7はEu0.05Si11.50Al0.50O0.05N15.95、Eu0.10Si11.00Al1.00O0.10N15.90、Eu0.30Si9.80Al2.20O0.30N15.70、Eu0.15Si10.00Al2.00O0.20N15.80、Eu0.01Si11.60Al0.40O0.01N15.99、Eu0.005Si11.70Al0.30O0.03N15.97などを挙げることができるが、勿論これに限定されるものではない。また2(Ba0.70Sr0.26Eu0.04)・SiO2、2(Ba0.57Sr0.38Eu0.05)O・SiO2、2(Ba0.53Sr0.43Eu0.04)O・SiO2、2(Ba0.82Sr0.15Eu0.03)O・SiO2、2(Ba0.46Sr0.49Eu0.05)O・SiO2、2(Ba0.59Sr0.35Eu0.06)O・SiO2、2(Ba0.52Sr0.40Eu0.08)O・SiO2、2(Ba0.85Sr0.10Eu0.05)O・SiO2、2(Ba0.47Sr0.50Eu0.03)O・SiO2、2(Ba0.54Sr0.36Eu0.10)O・SiO2、2(Ba0.69Sr0.25Ca0.02Eu0.04)O・SiO2、2(Ba0.56Sr0.38Mg0.01Eu0.05)O・SiO2、2(Ba0.81Sr0.13Mg0.01Ca0.01Eu0.04)O・SiO2などを挙げることができるが、勿論これに限定されるものではない。
【0036】
包装容器の材料は、蛍光体と水分の反応によりフッ酸が発生した場合を考えると、少なくとも蛍光体混練物と接触する面が、フッ酸に侵されることがないポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレンで形成されていることが好ましい。さらに前記包装容器全体がポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレンで形成されていることがより好ましい。
【0037】
包装容器の形状は、包装容器内部を多層にするため、チューブ形状のチューブ包装容器またはチューブ状容器であることが好ましい。包装容器外部を加圧した際に、最外部に充填された部材が包装容器中心部の部材を被覆するのに簡便で最適な形状と考えられるためである。
【0038】
赤色蛍光体と水分の反応によりフッ酸が発生した場合を考えると、配線パターンは白金・金から成ることが好ましい。また、半導体素子6のパッド電極の最表面は白金・金から成ることが好ましい。
【0039】
封止樹脂2cとしては、透光性を有する樹脂材料であるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、波長変換部には、上述した蛍光体および封止樹脂以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜のSiO2、TiO2、ZrO2、Al2O3、Y2O3などの添加剤が含有されていても勿論よい。
【0040】
本実施の形態の発光装置5は、上述した特徴を備えているのであれば、その他の構成については特に制限されるものではない。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態2を図3および4を用いて説明する。
【0042】
図3は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2と赤色蛍光体3を含む二層構造を有する蛍光体混練物包装容器11と蛍光体混練物41の概略図である。図4は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器11から得た透明性樹脂2および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物41ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置を示す。
【0043】
発光素子6として、450nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用いた。
【0044】
蛍光体混練物41は蛍光体混練物包装容器11から透明性樹脂2で覆われた赤色蛍光体3の蛍光体混練物を取り出し使用する。
【0045】
蛍光体混練物包装容器11から生成された蛍光体混練物41は、赤色蛍光体3で構成されている内層が透明性樹脂2からなる外層に覆われているために、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0046】
さらに、蛍光体混練物包装容器11内部においては、透明性樹脂2と赤色蛍光体3が混ざってないため、赤色蛍光体3の沈降防止の効果がある。樹脂中に蛍光体を混練した状態の場合、蛍光体が包装容器内で沈殿するという問題があるが、本実施の形態のように樹脂と蛍光体を分けて入れておくと、沈殿の問題は少ない。
【0047】
チューブ外層を構成する透明性樹脂2は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ノルボルネン系樹脂、フッ素樹脂、金属アルコキシド、ポリシラザン、アクリル樹脂、低融点ガラス等が挙げられる。
【0048】
赤色蛍光体3については、実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置51を作製した。
【0049】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0050】
(実施の形態3)
実施の形態3を図5および6を用いて説明する。
【0051】
図5は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2と緑色蛍光体7および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物包装容器12および蛍光体混練物42の概略図である。図6は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に蛍光体混練物包装容器12から得た透明性樹脂2、赤色蛍光体3および緑色蛍光体7を含む蛍光体混練物42が封止樹脂2cで封止されている発光装置52を示す。
【0052】
ここで、蛍光体混練物42は蛍光体混練物包装容器12から、チューブ内部で透明性樹脂2中に赤色蛍光体3および緑色蛍光体7を混練した前記蛍光体混練物42を取り出し使用する。
【0053】
蛍光体として透明性樹脂2中に緑色蛍光体7と赤色蛍光体3が所望比で配合されているため、所望の色度の蛍光体(言い換えれば、白色の発光装置)が得られる。このため、発光装置を作製する際に緑色蛍光体および赤色蛍光体の秤量が必要ない。
【0054】
蛍光体混練物包装容器12から生成された蛍光体混練物42は透明性樹脂2と赤色蛍光体3および緑色蛍光体7で構成されているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0055】
赤色蛍光体3は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
透明性樹脂2は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ノルボルネン系樹脂、フッ素樹脂、金属アルコキシド、ポリシラザン、アクリル樹脂、低融点ガラス等が挙げられる。
【0056】
蛍光体混練物42の緑色蛍光体7と赤色蛍光体3は30:70の割合(重量比)で混合されており、予め封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)ている。このようにして発光装置52を作製する。
【0057】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
(実施の形態4)
実施の形態4を図7および8を用いて説明する。
【0058】
図7は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2と被覆樹脂2aで覆われた赤色蛍光体3である蛍光体樹脂粒子31を含む蛍光体混練物包装容器13および蛍光体混練物43の概略図である。図8は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に蛍光体混練物包装容器13から得た透明性樹脂2および被覆樹脂2aで覆われた赤色蛍光体3である蛍光体樹脂粒子31を含む蛍光体混練物43ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置53を示す。
【0059】
ここで、蛍光体混練物43は蛍光体混練物包装容器13からチューブ内部で透明性樹脂2および赤色蛍光体3が被覆樹脂2aで覆われた蛍光体樹脂粒子31を蛍光体混練物43として取り出し使用する。ここで、被覆樹脂2aで全面を覆われている赤色蛍光体3としたが、少なくとも一部が熱可塑性樹脂にて覆われている赤色蛍光体3でもよい。
【0060】
蛍光体混練物包装容器13から生成された蛍光体混練物43は被覆樹脂2aで全面を覆われた赤色蛍光体3、すなわち蛍光体樹脂粒子31と透明性樹脂2にて構成されているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0061】
被覆樹脂2aは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である。
熱可塑性樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどの汎用プラスチック、熱可塑性プラスチック、エンプラ、耐熱エンプラ、熱可塑性エラストマーとしてスチレンブタジエン系(TPS)、オレフィン系(TPO)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)の4大TPEと呼ばれるものや塩化ビニル系(TPVC)、ポリアミド系(TPEA)、フッ素ゴム系、シリコーン樹脂などを用いることができる。
【0062】
熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリイミドなどを使用することができる。
【0063】
蛍光体を覆っている被覆樹脂2aが熱硬化性樹脂の場合は、加熱しても蛍光体樹脂粒子形状を保持している。
【0064】
赤色蛍光体3は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
赤色蛍光体3を覆っている被覆樹脂2aは熱可塑性樹脂の場合は、加熱すると封止樹脂2c中に溶け込み、封止樹脂2c中に分散される。このようにして発光装置53を作製する。
【0065】
また、緑色蛍光体7および赤色蛍光体3を熱硬化性樹脂で覆った蛍光体樹脂粒子を用いて前記発光装置が構成されていてもよい。
【0066】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0067】
(実施の形態5)
実施の形態5を図9および10を用いて説明する。
【0068】
図9は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いるプライマー22と赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物包装容器15および蛍光体混練物44の概略図である。図10は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器15から得たプライマー22および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物44ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置を示す。
【0069】
ここで、蛍光体混練物44は蛍光体混練物包装容器15からチューブ内部で赤色蛍光体3がプライマー22で覆われた蛍光体混練物44として取り出し使用する。
【0070】
蛍光体混練物包装容器15から生成された蛍光体混練物44はプライマー22と赤色蛍光体3で構成され、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、水分と赤色蛍光体3の反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0071】
ここでプライマー22は、アクリル系プライマー、エポキシ系プライマー、シラン系プライマー、ウレタン系プライマー、シリコーン系プライマー、フェニルシリコーン系プライマーを用いることができる。プライマー層があることにより、封止樹脂と蛍光体の密着性が向上して、より赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0072】
赤色蛍光体3は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして発光装置54を作製する。
【0073】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0074】
(実施の形態6)
実施の形態6を図11および12を用いて説明する。
【0075】
図11は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2とプライマー22で覆われた赤色蛍光体3である蛍光体プライマー粒子34を含む蛍光体混練物包装容器16および蛍光体混練物45の概略図である。図12は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器16から得た封止樹脂2、プライマー22で覆われた赤色蛍光体3である蛍光体プライマー粒子34および緑色蛍光体7を含む蛍光体混練物45が封止樹脂2cで封止されている発光装置55を示す。
【0076】
波長変換部には、緑色蛍光体7と赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物45を用いる。ここで、蛍光体混練物45は蛍光体混練物包装容器16からチューブ内部で、透明性樹脂および赤色蛍光体3がプライマー22で覆われた蛍光体プライマー粒子34の混練物として取り出し使用する。
【0077】
プライマー層があることにより、透明性樹脂と蛍光体の密着性が向上して、より蛍光体を水分と遮断することができ、水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0078】
蛍光体混練物包装容器16から生成された蛍光体混練物45は、透明性樹脂2とプライマー22で覆われた赤色蛍光体3である蛍光体プライマー粒子34で構成され、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0079】
ここでプライマー22は、アクリル系プライマー、エポキシ系プライマー、シラン系プライマー、ウレタン系プライマー、シリコーン系プライマー、フェニルシリコーン系プライマーを用いることができる。
【0080】
赤色蛍光体3は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置55を作製する。
【0081】
ここで、緑色蛍光体7、赤色蛍光体3をプライマー22で覆った蛍光体プライマー粒子を用いて前記発光装置が構成されていてもよい。
【0082】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0083】
(実施の形態7)
実施の形態7を図13および14を用いて説明する。
【0084】
図13は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2とグルコン酸カルシウム8および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物包装容器17および蛍光体混練物46の概略図である。図14は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器17から得た透明性樹脂2、グルコン酸カルシウム8および赤色蛍光体3を含む前記蛍光体混練物46ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置56を示す。
【0085】
波長変換部には、グルコン酸カルシウム8と赤色蛍光体3とを含む蛍光体混練物46を用いる。ここで、蛍光体混練物46は蛍光体混練物包装容器17からチューブ内部で赤色蛍光体3、透明性樹脂2およびグルコン酸カルシウム8とが混練りされている蛍光体混練物46としてチューブ17から取り出し使用する。
【0086】
蛍光体混練物包装容器17から生成された蛍光体混練物46は、透明性樹脂2、グルコン酸カルシウム8および赤色蛍光体3から構成されているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0087】
フッ化水素は体内のカルシウムイオンと結合してフッ化カルシウムを生じる反応を起こすので、骨を侵す。濃度の薄いフッ化水素酸が付着すると、数時間後にうずくような痛みに襲われる。生じたフッ化カルシウム結晶の刺激によるものである。さらに血液中のカルシウムイオンがフッ化水素によって急速に消費され、血中カルシウム濃度が低下し、しばしば重篤な低カルシウム血症を引き起こす。本実施の形態においては、フッ酸の発生を抑える効果があるため、人体への有害な影響を低減することが可能である。
【0088】
また、透明性樹脂2および赤色発光体3を、フッ酸と結び付き易いものであるグルコン酸カルシウム8を含有して混練しておくと、赤色発光体3と水分により反応して生成されたフッ酸がグルコン酸カルシウム8と反応し、フッ酸を放出させない効果がある。
【0089】
ここで、グルコン酸カルシウム(分子式:C12H22CaO14・H2O)は白色の結晶性の粉末又は粒状の粉末である。
【0090】
グルコン酸塩は体に吸収されやすい性質を有する。グルコン酸塩として取り込まれたカルシウムイオンは、溶解性のフッ化物イオンと結合して不溶性のフッ化カルシウムを形成し、溶解性のフッ化物イオンを無毒化する。
【0091】
なお、本実施の形態ではグルコン酸カルシウムを用いているが、生体に無害である化合物であればいかなるカルシウム化合物でもよい。例えば、ボログルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどのうち少なくとも一つがあげられる。前記カルシウム化合物類は、グルコン酸カルシウムと同様に使用することができ、また、その効果も同様である。
【0092】
赤色蛍光体3および透明性樹脂2は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0093】
ここで、グルコン酸カルシウム8の割合は、封止樹脂2cに対して重量比で30〜50%とする。
【0094】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の樹脂中に分散し(樹脂2と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置56を作製する。
【0095】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0096】
(実施の形態8)
実施の形態8を図15および16を用いて説明する。
【0097】
図15は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2とプライマー22および赤色蛍光体3を含む三層構造を有する蛍光体混練物包装容器18および蛍光体混練物47の概略図である。図16は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器18から得た透明性樹脂2、プライマー22および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物47ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置57を示す。
【0098】
波長変換部には、緑色蛍光体7と、赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物47を用いた。ここで、蛍光体混練物47は蛍光体混練物包装容器18からチューブ内部で赤色蛍光体3がプライマー22と透明性樹脂2に覆われたものを、蛍光体チューブ18から取り出し使用した。
【0099】
蛍光体混練物包装容器18から生成された蛍光体混練物47は、外層に透明性樹脂2、内層にプライマー22と中心に赤色蛍光体3で構成されているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0100】
赤色蛍光体3および透明性樹脂2は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0101】
プライマー22は実施の形態6と同様のものを使用することができる。
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置18を作製する。
【0102】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態3と同様のものを使用することができる。
【0103】
なお、本実施の形態の発光装置に用いられる前記の緑色蛍光体および赤色蛍光体は、いずれも公知のものであり、従来公知の適宜の手法で製造するか、または製品として入手することが可能である。
【実施例1】
【0104】
図1に、チューブ形状の包装容器(ポリエチレン製)内部に透明性樹脂2としてシリコーン樹脂と赤色蛍光体3として赤色フッ化物蛍光体であるK2(Ti0.99Mn0.01)F6がチューブに混練されている。
【0105】
包装容器材料は、蛍光体と水分の反応によりフッ酸が発生を用いた蛍光体混練物4が充填された蛍光体混練物包装容器1を示す。
【0106】
蛍光体混練物4は、赤色蛍光体3が透明性樹脂2であるシリコーン樹脂で覆われているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、水分と赤色蛍光体3の反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0107】
包装容器材料は、蛍光体と水分の反応によりフッ酸が発生した場合を考えポリエチレン製とした。
【0108】
次に図2に示す発光装置5を作製した。発光素子6として、450nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7としてEu0.05Si11.50Al0.50O0.05N15.95(β型SiAlON)、赤色蛍光体3としてK2(Ti0.99Mn0.01)F6を含んだ蛍光体混練物4を用いた。ここで、蛍光体混練物4は、前記蛍光体混練物包装容器1から透明性樹脂2および赤色蛍光体3であるK2(Ti0.99Mn0.01)F6の混練物を取り出し使用した。緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをエポキシ樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例1の発光装置を作製した。
【0109】
実施例1でそれぞれ得られた発光装置について、明るさ、色再現性(NTSC比)を評価した。明るさは順電流(IF)20mAの条件にて点灯し、発光装置からの白色光を光電流に変換することにより求めた。また、色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が86.4%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【0110】
なお、NTSC比とは、NTSC(National Television System Committee)が定めた赤、緑、青、各色のXYZ表色系色度図における色度座標(x、y)はそれぞれ赤(0.670,0.330)、緑(0.210,0.710)、青(0.140,0.080)であり、その赤、緑、青それぞれの色度座標を結んで得られる三角形の面積に対する比率を表している。
【0111】
ここで、図17は、本発明の実施例1で作製した発光装置の発光スペクトル分布を示すグラフであり、図17において縦軸は強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。また図18は、本発明の実施例1で作製した発光装置をバックライト光源として組み込んだLCDの色再現性を示す色度図(CIE1931)である。これに対し、図19は、黄色系発光蛍光体((Y0.40Gd0.45Ce0.15)3Al5O12)を用いた従来の発光装置(比較例)の発光スペクトル分布を示すグラフであり、図20は、この発光装置をバックライト光源として組み込んだLCDの色再現性を示す色度図(CIE1931)である。なお、図17および図19に示す発光装置の発光スペクトル分布は、MCPD−2000(大塚電子(株)製)を用いて測定された結果であり、また、図18および図20に示す色再現性は、Bm5((株)トプコン製)を用いて測定された結果である。図17〜図20から、本発明の発光装置によれば、従来の発光装置とは異なり、発光素子からの発光を波長変換部において効率よく吸収して、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる発光装置が提供されることが分かる。
【実施例2】
【0112】
図3に、蛍光体混練物包装容器11、包装容器外層の透明性樹脂2がエポキシ樹脂、包装容器内層が赤色蛍光体3とする蛍光体混練物を示す。ここで、赤色蛍光体3としてK2(Ti0.995Mn0.005)F6を用いた。
【0113】
次に図4に示した発光装置51を作製した。発光素子6として、440nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7として2(Ba0.70Sr0.26Eu0.04)・SiO2、赤色蛍光体3としてK2(Ti0.995Mn0.005)F6を含む蛍光体混練物41を用いた。ここで、蛍光体混練物41は蛍光体混練物包装容器11から透明性樹脂2であるエポキシ樹脂で覆われた赤色蛍光体K2(Ti0.995Mn0.005)F6の蛍光体混練物41を取り出し使用した。
【0114】
緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをエポキシ樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(エポキシ樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例2の発光装置を作製した。色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が88.1%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例3】
【0115】
図5に、蛍光体混練物包装容器12、該包装容器(ポリテトラフルオロエチレン製)内部に、シリコーン樹脂からなる透明性樹脂2中に、緑色蛍光体7と赤色蛍光体3が所望比で配合(透明性樹脂2と蛍光体との比率は1.00:0.25)されている蛍光体混練物42を示す。ここで、緑色蛍光体7としてEu0.30Si9.80Al2.20O0.30N15.70、赤色蛍光体3としてNa2(Ti0.895Zr0.100Mn0.005)F6を使用した。
【0116】
次に図6に示した発光装置52を作製した。発光素子6として、430nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7としてEu0.30Si9.80Al2.20O0.30N15.70、赤色蛍光体3としてNa2(Ti0.895Zr0.100Mn0.005)F6を30:70の割合(重量比)で含む蛍光体混練物42を用いた。ここで、蛍光体混練物42は蛍光体混練物包装容器12から、包装容器内部でシリコーン樹脂中にEu0.30Si9.80Al2.20O0.30N15.70およびNa2(Ti0.895Zr0.100Mn0.005)F6を混練した蛍光体混練物を取り出し使用した。
【0117】
蛍光体混練物42の緑色蛍光体7と赤色蛍光体3は30:70の割合(重量比)で混合されており、予めシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(シリコーン樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)ている。このようにして実施例3の発光装置52を作製した。
【0118】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が86.4%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例4】
【0119】
図7に、蛍光体混練物包装容器13、包装容器内部に、シリコーン樹脂からなる透明性樹脂2とシリコーン樹脂からなる被覆樹脂2aで全面を覆われている赤色蛍光体3が混練されている蛍光体混練物包装容器13を示す。ここで、赤色蛍光体3としてCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6を用いた。
【0120】
次に図8に示した発光装置53を作製した。発光素子6として、480nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部は、緑色蛍光体7としてEu0.15Si10.00Al2.00O0.20N15.80、赤色蛍光体3として蛍光体混練物包装容器43から得たCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6を30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の封止樹脂2c中に分散して(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)作製した。ここで、蛍光体混練物43は蛍光体混練物包装容器11からシリコーン樹脂からなる被覆樹脂2aで覆われたCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6の蛍光体樹脂粒子31を蛍光体混練物43として取り出し使用した。
【0121】
ここで、赤色蛍光体3を覆っている被覆樹脂2aは熱可塑性樹脂のため、加熱すると封止樹脂中に溶け込み、樹脂中に分散される。このようにして実施例4の発光装置53を作製した。
【0122】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が87.9%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例5】
【0123】
図9に、蛍光体混練物包装容器15、包装容器内部に、プライマー22としてアクリル系プライマーと赤色蛍光体3とが混練されている蛍光体混練物44を示す。赤色蛍光体3としてCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6を使用した。
【0124】
次に図10に示した発光装置54を作製した。発光素子6として、455nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7として2(Ba0.82Sr0.15Eu0.03)O・SiO2、赤色蛍光体3として蛍光体混練物44から得たCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6を使用した。ここで、蛍光体混練物44は赤色蛍光体3としてCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6がプライマー22で覆われた蛍光体混練物44を蛍光体混練物包装容器15から取り出し使用した。
【0125】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定のシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例5の発光装置を作製した。
【0126】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が88.5%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例6】
【0127】
図11に、蛍光体混練物包装容器16、包装容器内部に、透明性樹脂2と赤色蛍光体3がアクリル系プライマーで覆われている蛍光体プライマー粒子34からなる蛍光体混練物を示す。赤蛍光体3はBa(Ti0.990Mn0.010)F6を用いた。
【0128】
次に図12に示した発光装置55を作製した。発光素子6として、460nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7としてEu0.01Si11.60Al0.40O0.01N15.99、赤色蛍光体3として蛍光体混練物45から得たBa(Ti0.990Mn0.010)F6を用いた。ここで、蛍光体混練物45は赤色蛍光体3としてBa(Ti0.990Mn0.010)F6がプライマー22で覆われた蛍光体プライマー粒子34として包装容器16から取り出し使用した。
【0129】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例6の発光装置を作製した。
【0130】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が87.8%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例7】
【0131】
図13に、蛍光体混練物包装容器17、包装容器内部に、透明性樹脂2としてシリコーン樹脂、グルコン酸カルシウム8(分子式:C12H22CaO14・H2O)と赤色蛍光体3が混練されている蛍光体混練物46を示す。ここで、赤色蛍光体3は(K0.80Na0.20)2(Ti0.690Ge0.300Mn0.010)F6を用いた。
【0132】
次に図14に示した発光装置56を作製した。発光素子6として、445nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7として2(Ba0.85Sr0.10Eu0.05)O・SiO2、赤色蛍光体3として蛍光体混練物46から得た(K0.80Na0.20)2(Ti0.690Ge0.300Mn0.010)F6を用いた。ここで、蛍光体混練物46は赤色蛍光体3として(K0.80Na0.20)2(Ti0.690Ge0.300Mn0.010)F6が透明性樹脂2とグルコン酸カルシウム8と混練りされている蛍光体混練物46として蛍光体混練物包装容器17から取り出し使用した。
【0133】
ここで、グルコン酸カルシウム8の割合は、透明性樹脂2に対して重量比で30%とした。
【0134】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂2cと蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例7の発光装置を作製した。
【0135】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が88.5%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例8】
【0136】
図15は、蛍光体混練物包装容器18、包装容器内部が3層構造とし、透明性樹脂2と赤色蛍光体3の間にプライマー22からなる層を有する蛍光体混練物を示す。ここで、赤色蛍光体3はZn(Ti0.849Sn0.150Mn0.001)F6を用いた。
【0137】
次に図16に示した発光装置57を作製した。発光素子6として、470nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7としてEu0.005Si11.70Al0.30O0.03N15.97、赤色蛍光体3として蛍光体混練物47から得たZn(Ti0.849Sn0.150Mn0.001)F6を用いた。ここで、蛍光体混練物47は赤色蛍光体3としてZn(Ti0.849Sn0.150Mn0.001)F6がプライマー22と透明性樹脂2に覆われたものを、蛍光体混練物包装容器18から取り出し使用した。
【0138】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例8の発光装置を作製した。
【0139】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が88.4%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【0140】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0141】
1,11,12,13,15,16,17,18 蛍光体混練物包装容器、2 透明性樹脂、2a 被覆樹脂、2c 封止樹脂、22 プライマー、3 赤色蛍光体、31 蛍光体樹脂粒子、34 蛍光体プライマー粒子、4,41,42,43,44,45,46,47 蛍光体混練物、5,51,52,53,54,55,56,57 発光装置、6 発光素子、7 緑色蛍光体、8 グルコン酸カルシウム。
【技術分野】
【0001】
樹脂等と蛍光体が混練された蛍光体混練物包装容器から得られた蛍光体混練物を具備した発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子と蛍光体とを組み合わせた発光装置は、低消費電力、小型化、高輝度、さらには広範囲な色再現性が期待される次世代の発光装置として注目され、活発に研究、開発が行われている。発光素子から発せられる一次光は、通常、長波長の紫外線から青色の範囲、すなわち380〜480nmのものが用いられる。また、この用途に適合した様々な蛍光体を用いた波長変換部も提案されている。
【0003】
一方、4価のマンガン付活フッ化金属塩蛍光体については、たとえば特許文献1にその製法などは記載されているが、しかしながら特許文献1には、さらに高効率な緑色蛍光体と組み合わせて、その色再現性(NTSC比)に言及されてはいない。
【0004】
赤色狭帯域フッ化物蛍光体(KTF)はピーク波長635nmの赤色発光、スペクトル半値幅λ1/2=10nmときわめて狭く、ディスプレイ用途に好適な発光特性を示すが、フッ化物蛍光体(KTF)は、粉体では水に溶解(溶解度1%程度)してフッ酸(HF)を発生するという問題があった。粉体を吸引すると人体に悪い影響が生じ、よって粉体の取り扱いには十分な注意が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0169998号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、本発明によれば、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体の飛散防止および水分を遮断し、水分との反応が抑えられ、フッ酸の発生を抑える効果がある蛍光体混練物包装容器から得られた蛍光体混練物を具備することで、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、配線パターン上に発光素子が配置され、配線パターンと発光素子の上部がボンディングワイヤで接続され、配線パターンと発光素子上に蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物が封止樹脂で封止されていることを特徴とする発光装置である。
【0008】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂および赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに封止樹脂で封止されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂、赤色蛍光体および緑色蛍光体を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂および被覆樹脂で覆われた赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに封止樹脂で封止されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物がプライマーおよび赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂およびプライマーで覆われた赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物が透明性樹脂、プライマーで覆われた赤色蛍光体および緑色蛍光体を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る発光装置において好ましくは、透明性樹脂が拡散剤、反射剤および散乱剤からなる群から選択された少なくとも1種を含む。
【0015】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物を封止する封止樹脂と接する発光素子上のパッド電極、ボンディングワイヤおよび配線パターンの最上層は、白金または金層からなることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る発光装置において好ましくは、赤色蛍光体は4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体であることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物には、さらにカルシウム化合物を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物包装容器と蛍光体混練物は接触し、その接触する面が高分子材料からなることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物包装容器がチューブ形状のチューブ包装容器またはチューブ状容器であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る発光装置において好ましくは、蛍光体混練物包装容器内部にさらにカルシウム化合物を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る発光装置において好ましくは、カルシウム化合物は、グルコン酸カルシウム、ボログルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムの少なくとも一つからなることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る発光装置の製造方法は、配線パターン上に発光素子が配置され、配線パターンと発光素子の上部がボンディングワイヤで接続された発光装置の製造方法において、配線パターンと発光素子上に蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物が封止樹脂で封止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の蛍光体混練物包装容器によれば、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体の飛散防止および水分を遮断し、水分との反応が抑えられ、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂と赤色蛍光体を含む蛍光体混練物包装容器と蛍光体混練物の概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂と赤色蛍光体を含む二層構造を有する蛍光体混練物包装容器と蛍光体混練物の概略図である。
【図4】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂と緑色蛍光体および赤色蛍光体を含むの蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図6】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂と熱可塑性樹脂で覆われた赤色蛍光体を含む蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図8】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図9】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いるプライマーと赤色蛍光体を含む蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図10】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂とプライマーで覆われた赤色蛍光体の蛍光体プライマー粒子を含む蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図12】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図13】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂とグルコン酸カルシウムおよび赤色蛍光体を含む蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図14】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図15】本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂とプライマーおよび赤色蛍光体を含む三層構造を有する蛍光体混練物包装容器および蛍光体混練物の概略図である。
【図16】本発明の一実施の形態における発光装置の断面図である。
【図17】実施例1で作製した発光装置の発光スペクトル分布図を示すグラフである。
【図18】実施例1で作製した発光装置をバックライト光源として組込んだLCDの色再現性を示す色度図である。
【図19】従来の発光装置の発光スペクトル分布図を示すグラフである。
【図20】従来の発光装置をバックライト光源として組込んだLCDの色再現性を示す色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施の形態および実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
前記の蛍光体混練物包装容器から取り出した蛍光体混練物を使用して作製した発光装置について説明する。
【0027】
(実施の形態1)
実施の形態1を図1および2を用いて説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施の形態における発光装置5の製造に用いる透明性樹脂2と赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物包装容器1と蛍光体混練物4の概略図である。図2は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子上に前記蛍光体混練物包装容器1から得た透明性樹脂2と赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物4および緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置5を示す。
【0029】
本実施の形態の発光装置5に用いる発光素子6としては特に制限されるものではないが、ピーク波長が430〜480nm(より好適には440〜480nm)の青色領域の一次光を発する窒化ガリウム(GaN)系半導体を発光素子として好適に用いることができる。ピーク波長が430nm未満の発光素子を用いた場合には、青色光成分の寄与が小さくなって演色性が悪くなり、実用的でなくなる虞があるためであり、また、ピーク波長が480nmを超える発光素子を用いた場合には、白色での明るさが低下し、実用的でなくなる虞があるためである。
【0030】
ここで、蛍光体混練物4は、蛍光体混練物包装容器1から透明性樹脂2および赤色蛍光体3を取り出し使用する。蛍光体混練物4の取り出しは、透明性樹脂2によって赤色蛍光体3に接触する可能性のある水分が遮断されているため、特別な条件下で行なう必要はないが、完全に水分を遮断するためには窒素雰囲気中で行なうことが好ましい。緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをシリコーン樹脂中に分散し(シリコーン樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置5を作製した。
【0031】
例えば、蛍光体混練物4は、赤色蛍光体5.00gに対して、粘度13500mPa・sのシリコーン樹脂(A剤(主剤))3.33gを、高速回転装置を用いて混合して調整する。得られた赤色蛍光体混練物の粘度は20000mPa・s以上である。
【0032】
上述した赤色蛍光体混練物0.840gに、粘度13500mPa・sのシリコーン樹脂(A剤(主剤))1.58gと、粘度35mPa・sのシリコーン樹脂(B剤(硬化剤))2.00gと、Eu0.05Si11.50Al0.50O0.05N15.95(β型SiAlON)(メディアン径:12.0μm)なる組成で表わされる緑色蛍光体0.180gとを混合し、この混合物を用いて波長変換部を形成し、図2に示した発光装置5を作製する。なお、発光素子としては、450nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用いる。
【0033】
前記の透明性樹脂2は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ノルボルネン系樹脂、フッ素樹脂、金属アルコキシド、ポリシラザン、アクリル樹脂、低融点ガラス等が挙げられる。透明性樹脂2は拡散剤、反射剤および散乱剤からなる群から選択された1種以上を含むことが好ましい。拡散剤、反射剤、散乱剤としてはチタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素などを好適に使用することができる。
【0034】
前記の赤色蛍光体3は、K2(Ti0.99Mn0.01)F6、K2(Ti0.9Mn0.1)F6、K2(Ti0.999Mn0.001)F6、Na2(Zr0.98Mn0.02)F6、Cs2(Si0.95Mn0.05)F6、Cs2(Sn0.98Mn0.02)F6、K2(Ti0.88Zr0.10Mn0.02)F6、Na2(Ti0.75Sn0.20Mn0.05)F6、Cs2(Ge0.999Mn0.001)F6、(K0.80Na0.20)2(Ti0.69Ge0.30Mn0.01)F6などを挙げることができるが、勿論これに限定されるものではない。さらにZn(Ti0.98Mn0.02)F6、Ba(Zr0.995Mn0.005)F6、Ca(Ti0.995Mn0.005)F6、Sr(Zr0.98Mn0.02)F6などを挙げることができるが、勿論これに限定されるものではない。
【0035】
緑色蛍光体7はEu0.05Si11.50Al0.50O0.05N15.95、Eu0.10Si11.00Al1.00O0.10N15.90、Eu0.30Si9.80Al2.20O0.30N15.70、Eu0.15Si10.00Al2.00O0.20N15.80、Eu0.01Si11.60Al0.40O0.01N15.99、Eu0.005Si11.70Al0.30O0.03N15.97などを挙げることができるが、勿論これに限定されるものではない。また2(Ba0.70Sr0.26Eu0.04)・SiO2、2(Ba0.57Sr0.38Eu0.05)O・SiO2、2(Ba0.53Sr0.43Eu0.04)O・SiO2、2(Ba0.82Sr0.15Eu0.03)O・SiO2、2(Ba0.46Sr0.49Eu0.05)O・SiO2、2(Ba0.59Sr0.35Eu0.06)O・SiO2、2(Ba0.52Sr0.40Eu0.08)O・SiO2、2(Ba0.85Sr0.10Eu0.05)O・SiO2、2(Ba0.47Sr0.50Eu0.03)O・SiO2、2(Ba0.54Sr0.36Eu0.10)O・SiO2、2(Ba0.69Sr0.25Ca0.02Eu0.04)O・SiO2、2(Ba0.56Sr0.38Mg0.01Eu0.05)O・SiO2、2(Ba0.81Sr0.13Mg0.01Ca0.01Eu0.04)O・SiO2などを挙げることができるが、勿論これに限定されるものではない。
【0036】
包装容器の材料は、蛍光体と水分の反応によりフッ酸が発生した場合を考えると、少なくとも蛍光体混練物と接触する面が、フッ酸に侵されることがないポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレンで形成されていることが好ましい。さらに前記包装容器全体がポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレンで形成されていることがより好ましい。
【0037】
包装容器の形状は、包装容器内部を多層にするため、チューブ形状のチューブ包装容器またはチューブ状容器であることが好ましい。包装容器外部を加圧した際に、最外部に充填された部材が包装容器中心部の部材を被覆するのに簡便で最適な形状と考えられるためである。
【0038】
赤色蛍光体と水分の反応によりフッ酸が発生した場合を考えると、配線パターンは白金・金から成ることが好ましい。また、半導体素子6のパッド電極の最表面は白金・金から成ることが好ましい。
【0039】
封止樹脂2cとしては、透光性を有する樹脂材料であるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、波長変換部には、上述した蛍光体および封止樹脂以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜のSiO2、TiO2、ZrO2、Al2O3、Y2O3などの添加剤が含有されていても勿論よい。
【0040】
本実施の形態の発光装置5は、上述した特徴を備えているのであれば、その他の構成については特に制限されるものではない。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態2を図3および4を用いて説明する。
【0042】
図3は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2と赤色蛍光体3を含む二層構造を有する蛍光体混練物包装容器11と蛍光体混練物41の概略図である。図4は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器11から得た透明性樹脂2および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物41ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置を示す。
【0043】
発光素子6として、450nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用いた。
【0044】
蛍光体混練物41は蛍光体混練物包装容器11から透明性樹脂2で覆われた赤色蛍光体3の蛍光体混練物を取り出し使用する。
【0045】
蛍光体混練物包装容器11から生成された蛍光体混練物41は、赤色蛍光体3で構成されている内層が透明性樹脂2からなる外層に覆われているために、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0046】
さらに、蛍光体混練物包装容器11内部においては、透明性樹脂2と赤色蛍光体3が混ざってないため、赤色蛍光体3の沈降防止の効果がある。樹脂中に蛍光体を混練した状態の場合、蛍光体が包装容器内で沈殿するという問題があるが、本実施の形態のように樹脂と蛍光体を分けて入れておくと、沈殿の問題は少ない。
【0047】
チューブ外層を構成する透明性樹脂2は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ノルボルネン系樹脂、フッ素樹脂、金属アルコキシド、ポリシラザン、アクリル樹脂、低融点ガラス等が挙げられる。
【0048】
赤色蛍光体3については、実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置51を作製した。
【0049】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0050】
(実施の形態3)
実施の形態3を図5および6を用いて説明する。
【0051】
図5は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2と緑色蛍光体7および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物包装容器12および蛍光体混練物42の概略図である。図6は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に蛍光体混練物包装容器12から得た透明性樹脂2、赤色蛍光体3および緑色蛍光体7を含む蛍光体混練物42が封止樹脂2cで封止されている発光装置52を示す。
【0052】
ここで、蛍光体混練物42は蛍光体混練物包装容器12から、チューブ内部で透明性樹脂2中に赤色蛍光体3および緑色蛍光体7を混練した前記蛍光体混練物42を取り出し使用する。
【0053】
蛍光体として透明性樹脂2中に緑色蛍光体7と赤色蛍光体3が所望比で配合されているため、所望の色度の蛍光体(言い換えれば、白色の発光装置)が得られる。このため、発光装置を作製する際に緑色蛍光体および赤色蛍光体の秤量が必要ない。
【0054】
蛍光体混練物包装容器12から生成された蛍光体混練物42は透明性樹脂2と赤色蛍光体3および緑色蛍光体7で構成されているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0055】
赤色蛍光体3は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
透明性樹脂2は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ノルボルネン系樹脂、フッ素樹脂、金属アルコキシド、ポリシラザン、アクリル樹脂、低融点ガラス等が挙げられる。
【0056】
蛍光体混練物42の緑色蛍光体7と赤色蛍光体3は30:70の割合(重量比)で混合されており、予め封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)ている。このようにして発光装置52を作製する。
【0057】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
(実施の形態4)
実施の形態4を図7および8を用いて説明する。
【0058】
図7は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2と被覆樹脂2aで覆われた赤色蛍光体3である蛍光体樹脂粒子31を含む蛍光体混練物包装容器13および蛍光体混練物43の概略図である。図8は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に蛍光体混練物包装容器13から得た透明性樹脂2および被覆樹脂2aで覆われた赤色蛍光体3である蛍光体樹脂粒子31を含む蛍光体混練物43ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置53を示す。
【0059】
ここで、蛍光体混練物43は蛍光体混練物包装容器13からチューブ内部で透明性樹脂2および赤色蛍光体3が被覆樹脂2aで覆われた蛍光体樹脂粒子31を蛍光体混練物43として取り出し使用する。ここで、被覆樹脂2aで全面を覆われている赤色蛍光体3としたが、少なくとも一部が熱可塑性樹脂にて覆われている赤色蛍光体3でもよい。
【0060】
蛍光体混練物包装容器13から生成された蛍光体混練物43は被覆樹脂2aで全面を覆われた赤色蛍光体3、すなわち蛍光体樹脂粒子31と透明性樹脂2にて構成されているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0061】
被覆樹脂2aは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である。
熱可塑性樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどの汎用プラスチック、熱可塑性プラスチック、エンプラ、耐熱エンプラ、熱可塑性エラストマーとしてスチレンブタジエン系(TPS)、オレフィン系(TPO)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)の4大TPEと呼ばれるものや塩化ビニル系(TPVC)、ポリアミド系(TPEA)、フッ素ゴム系、シリコーン樹脂などを用いることができる。
【0062】
熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリイミドなどを使用することができる。
【0063】
蛍光体を覆っている被覆樹脂2aが熱硬化性樹脂の場合は、加熱しても蛍光体樹脂粒子形状を保持している。
【0064】
赤色蛍光体3は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
赤色蛍光体3を覆っている被覆樹脂2aは熱可塑性樹脂の場合は、加熱すると封止樹脂2c中に溶け込み、封止樹脂2c中に分散される。このようにして発光装置53を作製する。
【0065】
また、緑色蛍光体7および赤色蛍光体3を熱硬化性樹脂で覆った蛍光体樹脂粒子を用いて前記発光装置が構成されていてもよい。
【0066】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0067】
(実施の形態5)
実施の形態5を図9および10を用いて説明する。
【0068】
図9は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いるプライマー22と赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物包装容器15および蛍光体混練物44の概略図である。図10は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器15から得たプライマー22および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物44ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置を示す。
【0069】
ここで、蛍光体混練物44は蛍光体混練物包装容器15からチューブ内部で赤色蛍光体3がプライマー22で覆われた蛍光体混練物44として取り出し使用する。
【0070】
蛍光体混練物包装容器15から生成された蛍光体混練物44はプライマー22と赤色蛍光体3で構成され、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、水分と赤色蛍光体3の反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0071】
ここでプライマー22は、アクリル系プライマー、エポキシ系プライマー、シラン系プライマー、ウレタン系プライマー、シリコーン系プライマー、フェニルシリコーン系プライマーを用いることができる。プライマー層があることにより、封止樹脂と蛍光体の密着性が向上して、より赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0072】
赤色蛍光体3は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして発光装置54を作製する。
【0073】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0074】
(実施の形態6)
実施の形態6を図11および12を用いて説明する。
【0075】
図11は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2とプライマー22で覆われた赤色蛍光体3である蛍光体プライマー粒子34を含む蛍光体混練物包装容器16および蛍光体混練物45の概略図である。図12は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器16から得た封止樹脂2、プライマー22で覆われた赤色蛍光体3である蛍光体プライマー粒子34および緑色蛍光体7を含む蛍光体混練物45が封止樹脂2cで封止されている発光装置55を示す。
【0076】
波長変換部には、緑色蛍光体7と赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物45を用いる。ここで、蛍光体混練物45は蛍光体混練物包装容器16からチューブ内部で、透明性樹脂および赤色蛍光体3がプライマー22で覆われた蛍光体プライマー粒子34の混練物として取り出し使用する。
【0077】
プライマー層があることにより、透明性樹脂と蛍光体の密着性が向上して、より蛍光体を水分と遮断することができ、水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0078】
蛍光体混練物包装容器16から生成された蛍光体混練物45は、透明性樹脂2とプライマー22で覆われた赤色蛍光体3である蛍光体プライマー粒子34で構成され、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0079】
ここでプライマー22は、アクリル系プライマー、エポキシ系プライマー、シラン系プライマー、ウレタン系プライマー、シリコーン系プライマー、フェニルシリコーン系プライマーを用いることができる。
【0080】
赤色蛍光体3は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置55を作製する。
【0081】
ここで、緑色蛍光体7、赤色蛍光体3をプライマー22で覆った蛍光体プライマー粒子を用いて前記発光装置が構成されていてもよい。
【0082】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0083】
(実施の形態7)
実施の形態7を図13および14を用いて説明する。
【0084】
図13は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2とグルコン酸カルシウム8および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物包装容器17および蛍光体混練物46の概略図である。図14は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器17から得た透明性樹脂2、グルコン酸カルシウム8および赤色蛍光体3を含む前記蛍光体混練物46ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置56を示す。
【0085】
波長変換部には、グルコン酸カルシウム8と赤色蛍光体3とを含む蛍光体混練物46を用いる。ここで、蛍光体混練物46は蛍光体混練物包装容器17からチューブ内部で赤色蛍光体3、透明性樹脂2およびグルコン酸カルシウム8とが混練りされている蛍光体混練物46としてチューブ17から取り出し使用する。
【0086】
蛍光体混練物包装容器17から生成された蛍光体混練物46は、透明性樹脂2、グルコン酸カルシウム8および赤色蛍光体3から構成されているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0087】
フッ化水素は体内のカルシウムイオンと結合してフッ化カルシウムを生じる反応を起こすので、骨を侵す。濃度の薄いフッ化水素酸が付着すると、数時間後にうずくような痛みに襲われる。生じたフッ化カルシウム結晶の刺激によるものである。さらに血液中のカルシウムイオンがフッ化水素によって急速に消費され、血中カルシウム濃度が低下し、しばしば重篤な低カルシウム血症を引き起こす。本実施の形態においては、フッ酸の発生を抑える効果があるため、人体への有害な影響を低減することが可能である。
【0088】
また、透明性樹脂2および赤色発光体3を、フッ酸と結び付き易いものであるグルコン酸カルシウム8を含有して混練しておくと、赤色発光体3と水分により反応して生成されたフッ酸がグルコン酸カルシウム8と反応し、フッ酸を放出させない効果がある。
【0089】
ここで、グルコン酸カルシウム(分子式:C12H22CaO14・H2O)は白色の結晶性の粉末又は粒状の粉末である。
【0090】
グルコン酸塩は体に吸収されやすい性質を有する。グルコン酸塩として取り込まれたカルシウムイオンは、溶解性のフッ化物イオンと結合して不溶性のフッ化カルシウムを形成し、溶解性のフッ化物イオンを無毒化する。
【0091】
なお、本実施の形態ではグルコン酸カルシウムを用いているが、生体に無害である化合物であればいかなるカルシウム化合物でもよい。例えば、ボログルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどのうち少なくとも一つがあげられる。前記カルシウム化合物類は、グルコン酸カルシウムと同様に使用することができ、また、その効果も同様である。
【0092】
赤色蛍光体3および透明性樹脂2は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0093】
ここで、グルコン酸カルシウム8の割合は、封止樹脂2cに対して重量比で30〜50%とする。
【0094】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の樹脂中に分散し(樹脂2と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置56を作製する。
【0095】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0096】
(実施の形態8)
実施の形態8を図15および16を用いて説明する。
【0097】
図15は本発明の一実施の形態における発光装置の製造に用いる透明性樹脂2とプライマー22および赤色蛍光体3を含む三層構造を有する蛍光体混練物包装容器18および蛍光体混練物47の概略図である。図16は配線パターン上に発光素子6が配置され、前記配線パターンと前記発光素子6の上部がボンディングワイヤで接続され、前記配線パターンと前記発光素子6上に前記蛍光体混練物包装容器18から得た透明性樹脂2、プライマー22および赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物47ならびに緑色蛍光体7が封止樹脂2cで封止されている発光装置57を示す。
【0098】
波長変換部には、緑色蛍光体7と、赤色蛍光体3を含む蛍光体混練物47を用いた。ここで、蛍光体混練物47は蛍光体混練物包装容器18からチューブ内部で赤色蛍光体3がプライマー22と透明性樹脂2に覆われたものを、蛍光体チューブ18から取り出し使用した。
【0099】
蛍光体混練物包装容器18から生成された蛍光体混練物47は、外層に透明性樹脂2、内層にプライマー22と中心に赤色蛍光体3で構成されているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、赤色蛍光体3と水分との反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0100】
赤色蛍光体3および透明性樹脂2は実施の形態1と同様のものを使用することができる。
【0101】
プライマー22は実施の形態6と同様のものを使用することができる。
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の封止樹脂中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製する。このようにして発光装置18を作製する。
【0102】
発光素子6、封止樹脂2cは実施の形態1と同様のものを使用することができる。
緑色蛍光体7は実施の形態3と同様のものを使用することができる。
【0103】
なお、本実施の形態の発光装置に用いられる前記の緑色蛍光体および赤色蛍光体は、いずれも公知のものであり、従来公知の適宜の手法で製造するか、または製品として入手することが可能である。
【実施例1】
【0104】
図1に、チューブ形状の包装容器(ポリエチレン製)内部に透明性樹脂2としてシリコーン樹脂と赤色蛍光体3として赤色フッ化物蛍光体であるK2(Ti0.99Mn0.01)F6がチューブに混練されている。
【0105】
包装容器材料は、蛍光体と水分の反応によりフッ酸が発生を用いた蛍光体混練物4が充填された蛍光体混練物包装容器1を示す。
【0106】
蛍光体混練物4は、赤色蛍光体3が透明性樹脂2であるシリコーン樹脂で覆われているため、赤色蛍光体3の飛散防止および水分を遮断し、水分と赤色蛍光体3の反応を抑え、フッ酸の発生を抑える効果がある。
【0107】
包装容器材料は、蛍光体と水分の反応によりフッ酸が発生した場合を考えポリエチレン製とした。
【0108】
次に図2に示す発光装置5を作製した。発光素子6として、450nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7としてEu0.05Si11.50Al0.50O0.05N15.95(β型SiAlON)、赤色蛍光体3としてK2(Ti0.99Mn0.01)F6を含んだ蛍光体混練物4を用いた。ここで、蛍光体混練物4は、前記蛍光体混練物包装容器1から透明性樹脂2および赤色蛍光体3であるK2(Ti0.99Mn0.01)F6の混練物を取り出し使用した。緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをエポキシ樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例1の発光装置を作製した。
【0109】
実施例1でそれぞれ得られた発光装置について、明るさ、色再現性(NTSC比)を評価した。明るさは順電流(IF)20mAの条件にて点灯し、発光装置からの白色光を光電流に変換することにより求めた。また、色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が86.4%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【0110】
なお、NTSC比とは、NTSC(National Television System Committee)が定めた赤、緑、青、各色のXYZ表色系色度図における色度座標(x、y)はそれぞれ赤(0.670,0.330)、緑(0.210,0.710)、青(0.140,0.080)であり、その赤、緑、青それぞれの色度座標を結んで得られる三角形の面積に対する比率を表している。
【0111】
ここで、図17は、本発明の実施例1で作製した発光装置の発光スペクトル分布を示すグラフであり、図17において縦軸は強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。また図18は、本発明の実施例1で作製した発光装置をバックライト光源として組み込んだLCDの色再現性を示す色度図(CIE1931)である。これに対し、図19は、黄色系発光蛍光体((Y0.40Gd0.45Ce0.15)3Al5O12)を用いた従来の発光装置(比較例)の発光スペクトル分布を示すグラフであり、図20は、この発光装置をバックライト光源として組み込んだLCDの色再現性を示す色度図(CIE1931)である。なお、図17および図19に示す発光装置の発光スペクトル分布は、MCPD−2000(大塚電子(株)製)を用いて測定された結果であり、また、図18および図20に示す色再現性は、Bm5((株)トプコン製)を用いて測定された結果である。図17〜図20から、本発明の発光装置によれば、従来の発光装置とは異なり、発光素子からの発光を波長変換部において効率よく吸収して、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色光を得ることができる発光装置が提供されることが分かる。
【実施例2】
【0112】
図3に、蛍光体混練物包装容器11、包装容器外層の透明性樹脂2がエポキシ樹脂、包装容器内層が赤色蛍光体3とする蛍光体混練物を示す。ここで、赤色蛍光体3としてK2(Ti0.995Mn0.005)F6を用いた。
【0113】
次に図4に示した発光装置51を作製した。発光素子6として、440nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7として2(Ba0.70Sr0.26Eu0.04)・SiO2、赤色蛍光体3としてK2(Ti0.995Mn0.005)F6を含む蛍光体混練物41を用いた。ここで、蛍光体混練物41は蛍光体混練物包装容器11から透明性樹脂2であるエポキシ樹脂で覆われた赤色蛍光体K2(Ti0.995Mn0.005)F6の蛍光体混練物41を取り出し使用した。
【0114】
緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをエポキシ樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(エポキシ樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例2の発光装置を作製した。色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が88.1%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例3】
【0115】
図5に、蛍光体混練物包装容器12、該包装容器(ポリテトラフルオロエチレン製)内部に、シリコーン樹脂からなる透明性樹脂2中に、緑色蛍光体7と赤色蛍光体3が所望比で配合(透明性樹脂2と蛍光体との比率は1.00:0.25)されている蛍光体混練物42を示す。ここで、緑色蛍光体7としてEu0.30Si9.80Al2.20O0.30N15.70、赤色蛍光体3としてNa2(Ti0.895Zr0.100Mn0.005)F6を使用した。
【0116】
次に図6に示した発光装置52を作製した。発光素子6として、430nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7としてEu0.30Si9.80Al2.20O0.30N15.70、赤色蛍光体3としてNa2(Ti0.895Zr0.100Mn0.005)F6を30:70の割合(重量比)で含む蛍光体混練物42を用いた。ここで、蛍光体混練物42は蛍光体混練物包装容器12から、包装容器内部でシリコーン樹脂中にEu0.30Si9.80Al2.20O0.30N15.70およびNa2(Ti0.895Zr0.100Mn0.005)F6を混練した蛍光体混練物を取り出し使用した。
【0117】
蛍光体混練物42の緑色蛍光体7と赤色蛍光体3は30:70の割合(重量比)で混合されており、予めシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(シリコーン樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)ている。このようにして実施例3の発光装置52を作製した。
【0118】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が86.4%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例4】
【0119】
図7に、蛍光体混練物包装容器13、包装容器内部に、シリコーン樹脂からなる透明性樹脂2とシリコーン樹脂からなる被覆樹脂2aで全面を覆われている赤色蛍光体3が混練されている蛍光体混練物包装容器13を示す。ここで、赤色蛍光体3としてCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6を用いた。
【0120】
次に図8に示した発光装置53を作製した。発光素子6として、480nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部は、緑色蛍光体7としてEu0.15Si10.00Al2.00O0.20N15.80、赤色蛍光体3として蛍光体混練物包装容器43から得たCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6を30:70の割合(重量比)で混合したものを所定の封止樹脂2c中に分散して(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)作製した。ここで、蛍光体混練物43は蛍光体混練物包装容器11からシリコーン樹脂からなる被覆樹脂2aで覆われたCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6の蛍光体樹脂粒子31を蛍光体混練物43として取り出し使用した。
【0121】
ここで、赤色蛍光体3を覆っている被覆樹脂2aは熱可塑性樹脂のため、加熱すると封止樹脂中に溶け込み、樹脂中に分散される。このようにして実施例4の発光装置53を作製した。
【0122】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が87.9%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例5】
【0123】
図9に、蛍光体混練物包装容器15、包装容器内部に、プライマー22としてアクリル系プライマーと赤色蛍光体3とが混練されている蛍光体混練物44を示す。赤色蛍光体3としてCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6を使用した。
【0124】
次に図10に示した発光装置54を作製した。発光素子6として、455nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7として2(Ba0.82Sr0.15Eu0.03)O・SiO2、赤色蛍光体3として蛍光体混練物44から得たCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6を使用した。ここで、蛍光体混練物44は赤色蛍光体3としてCs2(Ti0.790Si0.200Mn0.010)F6がプライマー22で覆われた蛍光体混練物44を蛍光体混練物包装容器15から取り出し使用した。
【0125】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものを所定のシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例5の発光装置を作製した。
【0126】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が88.5%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例6】
【0127】
図11に、蛍光体混練物包装容器16、包装容器内部に、透明性樹脂2と赤色蛍光体3がアクリル系プライマーで覆われている蛍光体プライマー粒子34からなる蛍光体混練物を示す。赤蛍光体3はBa(Ti0.990Mn0.010)F6を用いた。
【0128】
次に図12に示した発光装置55を作製した。発光素子6として、460nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7としてEu0.01Si11.60Al0.40O0.01N15.99、赤色蛍光体3として蛍光体混練物45から得たBa(Ti0.990Mn0.010)F6を用いた。ここで、蛍光体混練物45は赤色蛍光体3としてBa(Ti0.990Mn0.010)F6がプライマー22で覆われた蛍光体プライマー粒子34として包装容器16から取り出し使用した。
【0129】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例6の発光装置を作製した。
【0130】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が87.8%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例7】
【0131】
図13に、蛍光体混練物包装容器17、包装容器内部に、透明性樹脂2としてシリコーン樹脂、グルコン酸カルシウム8(分子式:C12H22CaO14・H2O)と赤色蛍光体3が混練されている蛍光体混練物46を示す。ここで、赤色蛍光体3は(K0.80Na0.20)2(Ti0.690Ge0.300Mn0.010)F6を用いた。
【0132】
次に図14に示した発光装置56を作製した。発光素子6として、445nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7として2(Ba0.85Sr0.10Eu0.05)O・SiO2、赤色蛍光体3として蛍光体混練物46から得た(K0.80Na0.20)2(Ti0.690Ge0.300Mn0.010)F6を用いた。ここで、蛍光体混練物46は赤色蛍光体3として(K0.80Na0.20)2(Ti0.690Ge0.300Mn0.010)F6が透明性樹脂2とグルコン酸カルシウム8と混練りされている蛍光体混練物46として蛍光体混練物包装容器17から取り出し使用した。
【0133】
ここで、グルコン酸カルシウム8の割合は、透明性樹脂2に対して重量比で30%とした。
【0134】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂2cと蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例7の発光装置を作製した。
【0135】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が88.5%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【実施例8】
【0136】
図15は、蛍光体混練物包装容器18、包装容器内部が3層構造とし、透明性樹脂2と赤色蛍光体3の間にプライマー22からなる層を有する蛍光体混練物を示す。ここで、赤色蛍光体3はZn(Ti0.849Sn0.150Mn0.001)F6を用いた。
【0137】
次に図16に示した発光装置57を作製した。発光素子6として、470nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用い、波長変換部には、緑色蛍光体7としてEu0.005Si11.70Al0.30O0.03N15.97、赤色蛍光体3として蛍光体混練物47から得たZn(Ti0.849Sn0.150Mn0.001)F6を用いた。ここで、蛍光体混練物47は赤色蛍光体3としてZn(Ti0.849Sn0.150Mn0.001)F6がプライマー22と透明性樹脂2に覆われたものを、蛍光体混練物包装容器18から取り出し使用した。
【0138】
これらの緑色蛍光体7と赤色蛍光体3とを30:70の割合(重量比)で混合したものをシリコーン樹脂からなる封止樹脂2c中に分散し(封止樹脂と蛍光体との比率は1.00:0.25)波長変換部を作製した。このようにして実施例8の発光装置を作製した。
【0139】
色再現性(NTSC比)は、作製した発光装置を市販のLCDテレビディスプレイのバックライト光源として組み込み、(株)トプコン製Bm5にて測定し、その値を求めた。色再現性(NTSC比)が88.4%と飛躍的に向上しており、中、小型LCD用バックライトとして好適な特性を有していることが分かる。
【0140】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0141】
1,11,12,13,15,16,17,18 蛍光体混練物包装容器、2 透明性樹脂、2a 被覆樹脂、2c 封止樹脂、22 プライマー、3 赤色蛍光体、31 蛍光体樹脂粒子、34 蛍光体プライマー粒子、4,41,42,43,44,45,46,47 蛍光体混練物、5,51,52,53,54,55,56,57 発光装置、6 発光素子、7 緑色蛍光体、8 グルコン酸カルシウム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターン上に発光素子が配置され、前記配線パターンと前記発光素子の上部がボンディングワイヤで接続され、
前記配線パターンと前記発光素子上に蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物が封止樹脂で封止されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂および赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂、赤色蛍光体および緑色蛍光体を含むことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂および被覆樹脂で覆われた赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項5】
前記蛍光体混練物がプライマーおよび赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項6】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂およびプライマーで覆われた赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項7】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂、プライマーで覆われた赤色蛍光体および緑色蛍光体を含むことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項8】
前記透明性樹脂が拡散剤、反射剤および散乱剤からなる群から選択された少なくとも1種を含む請求項2〜4または6〜7いずれか記載の発光装置。
【請求項9】
前記蛍光体混練物を封止する封止樹脂と接する発光素子上のパッド電極、ボンディングワイヤおよび配線パターンの最上層は、白金または金層からなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項10】
前記赤色蛍光体は4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体であることを特徴とする請求項2〜7いずれか記載の発光装置。
【請求項11】
前記蛍光体混練物には、さらにカルシウム化合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記蛍光体混練物包装容器と前記蛍光体混練物は接触し、その接触する面が高分子材料からなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項13】
前記蛍光体混練物包装容器がチューブ形状のチューブ包装容器またはチューブ状容器であることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項14】
前記蛍光体混練物包装容器内部にさらにカルシウム化合物を含むことを特徴とする請求項1または12〜13いずれか記載の発光装置。
【請求項15】
前記カルシウム化合物は、グルコン酸カルシウム、ボログルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムの少なくとも一つからなることを特徴とする請求項11または14に記載の発光装置。
【請求項16】
配線パターン上に発光素子が配置され、前記配線パターンと前記発光素子の上部がボンディングワイヤで接続された請求項1〜15いずれか記載の発光装置の製造方法において、前記配線パターンと前記発光素子上に蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物が封止樹脂で封止されることを特徴とする前記発光装置の製造方法。
【請求項1】
配線パターン上に発光素子が配置され、前記配線パターンと前記発光素子の上部がボンディングワイヤで接続され、
前記配線パターンと前記発光素子上に蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物が封止樹脂で封止されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂および赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂、赤色蛍光体および緑色蛍光体を含むことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂および被覆樹脂で覆われた赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項5】
前記蛍光体混練物がプライマーおよび赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項6】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂およびプライマーで覆われた赤色蛍光体を含み、緑色蛍光体とともに前記封止樹脂で封止されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項7】
前記蛍光体混練物が透明性樹脂、プライマーで覆われた赤色蛍光体および緑色蛍光体を含むことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項8】
前記透明性樹脂が拡散剤、反射剤および散乱剤からなる群から選択された少なくとも1種を含む請求項2〜4または6〜7いずれか記載の発光装置。
【請求項9】
前記蛍光体混練物を封止する封止樹脂と接する発光素子上のパッド電極、ボンディングワイヤおよび配線パターンの最上層は、白金または金層からなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項10】
前記赤色蛍光体は4価のマンガン付活フッ化4価金属塩蛍光体であることを特徴とする請求項2〜7いずれか記載の発光装置。
【請求項11】
前記蛍光体混練物には、さらにカルシウム化合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記蛍光体混練物包装容器と前記蛍光体混練物は接触し、その接触する面が高分子材料からなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項13】
前記蛍光体混練物包装容器がチューブ形状のチューブ包装容器またはチューブ状容器であることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項14】
前記蛍光体混練物包装容器内部にさらにカルシウム化合物を含むことを特徴とする請求項1または12〜13いずれか記載の発光装置。
【請求項15】
前記カルシウム化合物は、グルコン酸カルシウム、ボログルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムの少なくとも一つからなることを特徴とする請求項11または14に記載の発光装置。
【請求項16】
配線パターン上に発光素子が配置され、前記配線パターンと前記発光素子の上部がボンディングワイヤで接続された請求項1〜15いずれか記載の発光装置の製造方法において、前記配線パターンと前記発光素子上に蛍光体混練物包装容器から得た蛍光体混練物が封止樹脂で封止されることを特徴とする前記発光装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図18】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図18】
【図20】
【公開番号】特開2010−45328(P2010−45328A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105999(P2009−105999)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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